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1952-05-26 第13回国会 衆議院 郵政委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月二十六日(月曜日)     午後一時四十分開議  出席委員    委員長 尾関 義一君    理事 飯塚 定輔君 理事 風間 啓吉君    理事 山本 久雄君 理事 受田 新吉君       池田正之輔君    石原  登君       犬養  健君    江崎 真澄君       玉置  實君    坪川 信三君       降旗 徳弥君    椎熊 三郎君  出席政府委員         郵政政務次官  寺本  齋君         郵政事務官         (簡易保険局         長)      白根 玉喜君  委員外出席者         郵政事務次官  大野 勝三君         專  門  員 稻田  讓君         專  門  員 山戸 利生君     ――――――――――――― 五月二十二日  委員石原登辞任につき、その補欠として犬養  健君が議長指名委員に選任された。 同月二十六日  委員小西寅松君及び三木武夫辞任につき、そ  の補欠として石原登君及び椎熊三郎君が議長の  指名委員に選任された。     ――――――――――――― 五月二十四日  簡易生命保險及び郵便年金積立金運用に関  する法律案内閣提出第二四〇号) 同月二十三日  簡易生命保險及び郵便年金積立金運用に関す  る請願降旗徳弥紹介)(第三〇六五号)  同(藥師神岩太郎紹介)(第三〇六六号)  同(長野長廣紹介)(第三〇六七号)  同(中村寅太紹介)(第三〇六八号)  同(神田博紹介)(第三〇六九号)  同(竹尾弌君紹介)(第三〇七〇号)  同(福永一臣紹介)(第三〇七一号)  同(尾関義一紹介)(第三〇七二号)  同(船越弘紹介)(第三〇七三号)  同(岡良一紹介)(第三〇七四号)  同(村上勇紹介)(第三〇七五号)  同(辻寛一紹介)(第三〇七六号)  同(内海安吉紹介)(第三〇七七号)  同(大矢省三紹介)(第三〇七八号)  同(船田享二紹介)(第三〇七九号)  同(前田郁紹介)(第三〇八〇号)  同(田中豊紹介)(第三〇八一号)  同(坪内八郎紹介)(第三〇八二号)  同(塩田賀四郎紹介)(第三〇八三号)  同(加藤鐐造君紹介)(第三〇八四号)  同(高橋英吉紹介)(第三〇八五号)  同(中島茂喜紹介)(第三〇八六号)  同(竹山祐太郎紹介)(第三〇八七号)  同(早稻田柳右エ門紹介)(第三〇八八号)  同(北村徳太郎紹介)(第三〇八九号)  同外二件(井上知治紹介)(第三〇九〇号)  同外一件(平澤長吉紹介)(第三〇九一号)  同外一件(山口喜久一郎紹介)(第三〇九二  号)  同外一件(飯田義茂紹介)(第三〇九三号)  同外一件(八木一郎紹介)(第三〇九四号)  同外一件(飯塚定輔紹介)(第三〇九五号)  同外二件(中野武雄紹介)(第三〇九六号)  同(並木芳雄紹介)(第三〇九七号)  同外二件(淺香忠雄紹介)(第三〇九八号)  同外二件(木村俊夫紹介)(第三〇九九号)  同外三件(山手滿男紹介)(第三一〇〇号)  同外四件(宇田恒紹介)(第三一〇一号)  同(塩田賀四郎紹介)(第三一二一号)  同(中野四郎紹介)(第三一二二号)  同外一件(中村幸八君紹介)(第三一二三号)  同外二件(田嶋好文紹介)(第三一二四号)  同(寺崎覺紹介)(第三一二五号)  同(小淵光平紹介)(第三一四八号)  同(小金義照紹介)(第三一四九号)  同(竹山祐太郎紹介)(第三一五〇号)  同(増田連也君紹介)(第三一五一号)  同(佐伯宗義紹介)(第三一五二号)  同(鈴木義男紹介)(第三一五三号)  同(大矢省三紹介)(第三一五四号)  同外三件(受田新吉紹介)(第三一五五号)  同外二件(河口陽一紹介)(第三一五六号)  同外四件(前田榮之助君紹介)(第三一五七  号)  集金郵便制度復活に関する請願田中重彌君紹  介)(第三一四三号) の審査を本委員会に付託された。 同日  簡易保險及び郵便年金積立金運用に関する陳  情書(第一九  六三号)  同(第一九六四号)  同(第一九  六五号)  同  (第一九六六号)  同外一件  (第一九六七号)  同外二件  (第一九六八号)  同(  第一九六九号)  同(  第一九七〇号)  同(  第一九七一号)  同外四十件  (第一九七二号)  同外十九件  (第一九七三号)  同(第  一九七四号)  同  (第一九七五号)  同  (第一九七六号)  同外四件  (第一九七七号)  同(第一九七八  号)  簡易保險積立金独立運用再開反対陳情書  (第一九七  九号)  同外一件  (第一九八〇号)  同  (第一九八一号)  同(第一九八二号)  同(第一九八三  号)  同(第一  九八四号)  同外一件  (第一九八五号)  同外三件  (第一九八六号)  同外五件  (第一九八七号)  同外四件  (第一九八八号)  同(  第一九八九号)  同外一件  (第一九九〇号)  同(第一九九  一号)  同(第一  九九二号)  同(第一九  九三号)  同外二件  (第一九九四号)  同(第一九  九五号)  同外三件  (第一九九六号)  同外一件  (第一九九七号)  同外一件  (第一九九八号)  同外一件  (第一九九九号)  同(第二〇〇〇号)  同(第二〇〇一号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  簡易生命保險及び郵便年金積立金運用に関  する法律案内閣提出第二四〇号)     ―――――――――――――
  2. 尾関義一

    尾関委員長 これより郵政委員会を開会いたします。去る二十四日本委員会に付託になりました簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関する法律案議題とし、まず政府より提案理由説明を求めます。寺本政府委員
  3. 寺本齋

    寺本政府委員 ただいま議題となりました簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関する法律案提案理由を御説明いたしたいと存じますが、それに先立ちまして、この問題につきまして、絶えず絶大なる御支援と御教示をいただきました委員各位に対しまして、厚く厚く御礼を申し上げます。お蔭をもちまして、多年の懸案が解決をいたし、ここに本法律案の御審議を迎える段階となるに至りましたことはひとえに委員各位のお力添えの賜でありまして、衷心より感謝をいたす次第であります。簡易生命保険及び郵便年金特別会計積立金は、事業創始以来一貫して、簡易生命保険事業及び郵便年金事業所管大臣が管理運用して来たのでありますが、戰時から戰後にかけまして、臨時的措置として、自主的運用が制限されて参つたのであります。すなわち、まず、昭和十八年度以降、地方債営団金庫債券に融資運用するもの以外の積立金大蔵省預金部に預け入れることとなり、引続き、戰後昭和二十一年一月に、連合国最高司令部の意向によりまして、契約者に対する貸付を除き一切の投融資を停止し、積立金全額資金運用部に預託することとなりまして、これで、郵政省における自主的運用実質的に失われてしまつたのであります。  さらにその後昨年三月の資金運用部資金法成立によりまして、簡易生命保険法が改正され、運用基礎法規まで削除されまして、名実ともにいわゆる運用権失つたのであります。かように戰時中の臨時的措置が一層強化された状態となつて今日に至つたのであります。  この間、衆参両院よりしばしば簡易生命保険及び郵便年金積立金運用をすみやかに復元することを要望した決議をいただきまして、政府はその実現に努力して来たのでありますが、重ねて今国会におきましても、両院よりその実現を促進する決議をいただいた次第であります。  以上の経緯にかんがみ両院の御要望に沿うためにも、講和成立機会として、ここに政府におきましては簡易生命保険及び郵便年金積立金運用郵政省に復元し、積立金を確実で有利な方法により、かつ公共利益になるように運用することによつて簡易生命保険事業及び郵便年金事業経営を健全ならしめるため、その管理及び運用基本法として、この法律案を提出いたした次第であります。  この法律案要旨を申し述べますと、次の通りであります。  まず第一点は、簡易生命保険及び郵便年金積立金は、郵政大臣が管理し、及び運用することを明かにしたことであります。  第二点は、簡易生命保険及び郵便年金積立金運用の対象でありますが、これは保険契約者等に対する貸付地方債及び地方公共団体その他政令で定める公共団体に対する貸付とし、現実に運用するまでの積立金大蔵省資金運用部に預託することができるものといたしました。  第三点は、簡易生命保険及び郵便年金積立金運用計画及びその変更計画は、あらかじめ資金運用部資金運用審議会に諮問して決定すること。その他郵政大臣は、積立金運用に関する重要事項について、同審議会意見を聞くことといたしました。最後に、郵政大臣は、毎年度簡易生命保険及び郵便年金積立金運用についての報告書を、同審議会に提出することといたしております。なおこの法律案は、昭和三十八年四月一日より実施することとし、その実施の万全を期するため必要な運用計画のごときは、右の実期施日以前において立てることができるよりにいたしておる次第であります。以上をもちまして、提案理由法律案の概要につき説明申し上げましたが、何とぞ十分御審議の上すみやかに御可決くださるようお願い申し上げます。
  4. 尾関義一

    尾関委員長 これより質疑に入ります。質疑の通告がありますのでこれを許します。石原登君。
  5. 石原登

    石原(登)委員 私はまず質疑に入ります前に、本法が提案されまして、今日私ども審議できるようになりましたことについて、この間政府当局並びに関係各位が並々ならぬ努力を拂われたことにつきまして、まことに欣快にたえぬ次第であります。私どもはこの法律の通過によりまして、長年待望しておりましたところの国民諸君に、大いにおこたえができることをここに確信いたしまして、喜びにたえません。しかしながらこの間法律が上程になるまでにおきまして、相当いろいろな問題がありまして、この簡易保險自体根本の問題についても幾多の疑義を持つことがあつたのであります。私はこの機会におきまして、こういうような疑義一切を明らかにいたしまして、今後本事業が円満に運用されるようにいたしておかなければならぬ、かような考え方に立ちまして、質問を申し上げる次第でございます。でありまするから、政府もどうか率直に御答弁をお願い申し上げたいと存じます。私がまず第一番にお尋ね申し上げたいのは、今度の法案を出すまでにおいて、あるいは政府の部内においても、あるいは世論の中においても、あるいは国会の中においても、この簡易保險積立金あるいは郵便年金積立金性格がきわめてあいまいであります。     〔尾関委員長退席飯塚委員長代理着席〕 ある者は、これは国家資金だというふうに見ておる。ある者はさにあらず、これは契約者相互間の金である、こういうことを申しているのであります。その他いろいろ議論はありましたが、大きく対立いたしますところは、この積立金国家資金であるという議論、この積立金はあくまでも零細なるところのいわゆる契約者相互の金であるのだ、この二つ議論に大別されまして、しかもこの二つ議論の思想が最後まで対立して今日に至つたのでありますが、これがどちらのものであるかということがはつきりされることによつて、今後の簡易保険のいわゆる運用、あるいは簡易保険事業発展に、相当影響があると私は考えるわけでございます。大体政府は、こういうような世論に対して、今日までどのような態度で進んでおられるのであるか、この点をはつきりいたしてもらいたいと存じます。そもそも簡易保険大正五年に第三十七回の帝国議会において制定された当時、当時の関係議員箕浦逓信大臣との問答によりましても、当然これは断じて国家財政のために使われる資金ではないということを私は確信をいたしております。これは当然契約者相互間の金であるのだ、こういうような建前に私は立つているわけでございますが、政府はいかようにお考えでありますか。この点を明らかにいたしていただきたいのであります。
  6. 寺本齋

    寺本政府委員 石原委員の御質問にお答えいたします。簡易保険積立金性格の問題でございますが、保険事業という建前から考えれば、当然これは保険加入者のための積立金と見るべきだと思います。しかし純粋保険事業というものから離れて、この簡易生命保険国家がやつております方面から考えて、これを形式的には、御承知の通り国家資金として、運用して来たわけでありますが、純粋国家資金というには、あまりに——保険事業の本来から言いますれば、これはやはり零細な加入者資金を集めた資金でありますから、加入者の立場に立つて、その利益増進のために考えなければならぬと思います。これは国家資金であるか、加入者のための資金であるかと、はつきり区別することは困難じやないかと考えております。
  7. 石原登

    石原(登)委員 政府はしつかり思想統一して答えてもらわないと、これは後日に非常に影響する。なるほど言うところの純然たる民間契約者資金ではないというような感じの答弁は、もちろん了解できるのでありますが、私はこの金が国家資金であるのか、それとも契約者の金であるのかということを、理論的に、学問的に言つてもらいたい。ただこれは政府があくまでも経営をやつているところの事業でありますから、この金がある都合によつて国家資金としてそういうような向きに使われることを、私は全面的に否定するわけでも、あるいはそれを拒否するわけでもないのであります。ただ根本国家資金であるのか、あるいは契約者の金であるのかというわけです。たとえば民間保険の場合は、これは会社の金では断じてありません。民間保険積立金は、決して会社の金ではなくて、契約者相互間の金なんです。ところがこの保険については、契約者が官であるからというので、これが国家資金であるという理由はないのであつて、これはあくまでも本質的には契約者の金であるということが確立されなくてはならない。また理論的に私はさように考えられるわけなんです。ですから私はそれなら現在どうして契約者の金を国家資金に使つているのか、そういうことを指摘しようとか、あるいはつつ込もうとするというような意図ではありませんから、本質はこういうものであるということを、率直に言つてもらいたい。答弁はだれからでもけつこうです。
  8. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 御質問要旨は、簡易保險資金が、実質上と申しますか、制度趣旨からいたしまして、国家財政上の理由によつて流用されるような国家資金性質を持つかどうかという御質問であろうかと存じますが、私ども考えといたしましても、簡易保險の金は、創始以来、加入者利益のためにする信託財産的色彩を持つておる、かように考えておるのでございます。事業創始時代の、大正五年の第三十七回帝国議会の衆議院における質疑応答経緯から見ましても、当時議員の方々が、この金は財政上の理由によつてやられるのではなかろうか、あるいは地方資金中央に集中してやるのではなかろうかという御心配が、非常に質疑の形におきまして出て参つたのでございますが、その際におきましても、箕浦逓信大臣は、財政上の理由によつて運用するということは絶対に避くべきものであつて産業組合その他に貸付け、あるいは細民、中産階級以下の加入者階層利益のために、還元的に融資すべきものであるということを、はつきり答弁しておるのでございます。現に簡易保險法建前から申し上げましても、簡易保險の金に余剰が出た際におきましては、簡易生命保險法第四十七條におきまして、「簡易生命保險事業経営上剰余を生じたときは保險約款の定めるところにより、保險金受取人にこれを分配する。」また年金法にもそういうような規定があるのでございます。資金を集めて事業経営の結果、余剰が出たら加入者利益のために還元しなければならないと、こういうような規定も現にあるのでございまして、従いまして、資金実質的意義から申し上げますと、これは加入者に対する信託財産である。ただ、ただいま政務次官がおつしやいましたのは、形式上のかつこうをちよつと御説明しただけでございまして、政府におきましては、事務当局と一つも意見の齟齬はないと思います。
  9. 石原登

    石原(登)委員 ただいまの保険局長の御説明によりまして、なおまた簡易生命保険法第四十七條の趣旨にかんがみましても、簡易生命保険積立金は、政府に対する信託財産の形によつて、これはあくまでも加入者相互間の金であるということを、あらためて確認をいたしました。そこでその建前に立つて質問を申し上げるわけでございますが、さようでありますればありまする通り、今後の保険金運用については、当時箕浦逓信大臣が言われた通り一般財政運用に供する目的ではないのでありまするから、こういうものとは別個に離れまして、この保険運用上の利益、それから多くの一般国民の、いわゆる零細国民利益の上に立つて行かなくてはならない、こういうような根本的な考えを、私はさらに強くいたすわけであります。そういう意味におきまして、私どもが今度提案されましたこの法律を見ますと、いろいろまだ矛盾するものがたくさんございますが、これらのものも、過渡的な段階の現われとして、これもあえていろいろ指摘しようとは考えません。ただ特にお尋ねをいたしたいのは、今後簡易生命保険並びに郵便年金によつて集められるところの金は、相当大きな分野を持つ。しかも今後は本法施行によりまして、おそらくこの事業自体をよりよく国民の大多数が理解いたしまして、この事業はさらに一層健全、急速な発展を見ることを私は確信いたします。ゆえにこの面から考えましても、相当の資金源になりまするがゆえに、これらの資金に対して、各方面から非常ないろいろな要求があろうかと考えます。しかしながら、ただいま申しました通り、この資金は決して一般財政のために充てらるべきものではありませんから、これはどうしても零細な国民のために運用してもらわなくてはならないのであります。ところが本法によりますと、これらはもつぱら地方公共団体、あるいはその他の政令によつて定められたところの公共団体にのみ融資すると、こういうような建前になつているのでありますが、これは近い将来において、一般中小商工業者、こういう人は非常に資金に困つておる、さらに農山漁村営農資金、あるいは漁業上の資金、こういうものにも早急に融資するところの道をお開きになる意思があるのかどうか、この点をお尋ね申し上げたいのであります。
  10. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 お尋ねの御趣旨はごもつともでございます。さような趣旨に基きまして、われわれといたしましては貸付先も決定いたしたいところでございます。その趣旨を汲みまして、実は地方債なり地方貸付に力点を置いて参つておるのであります。なお中小商工業者の助成とか、あるいは地方営農資金、こういう問題はおつしやる通りにあろうと存じます。現に戰前におきましては、そこまで手を伸ばしておつたのであります。しかしながらこれは先ほど私が申し上げました資金性質論と矛盾するような点もあるかもしれませんが、現在形式上の意味における民間資金にあらざるものの資金量が非常に少いのでございます。需要に対しまして供給財源が少い現状におきましては、せめてもわれわれの希望する方面借入れ先にやりたいという意味合いで、さしむき地方還元と申しますか、加入階層に還元するような方面で、しかも確実な方面に制限いたしまして、お手元に御配付いたしました三件程度借入れ先法律的に限定しておるのでございます。しかしながら資金量もだんだんふえて参りまして、民間資金にあらざる、まあ形式上の政府に集める金の量が、相当資金源がふえて行く度合いに照応いたしまして、御質問のような方向へできるだけ伸びて参りたい、かように事務当局としては存じておりますが、さしむきのところといたしましては、この程度借入れ先でスタートいたしたい、かように存じておる次第でございます。
  11. 石原登

    石原(登)委員 私は今出されたこの法律案は過渡的な現象であつて、これはやむを得ないということは私もよくわかります。ただ私は近い将来において、今私の質問したような趣旨のことができるかどうか、そういう意思があるかどうかということをお尋ねしておるのでございます。それはなぜかといいますと、最近すべての事業金融に行き詰まつておる。金融が円滑に行きさえしたらりつぱに成り立つて行く仕事が、ただ金融がつかないためにばたばた倒れておる。これはひとり大企業のみでなしに、むしろ中小企業にはこういうような事態が多いわけであります。そこで政府としましてはこういうような事業を助成するの道を、法律あるいはいろいろな道で開いておりますが、どうも役所仕事になりますと、その手続はきわめて複雑でありますために、普通の中小商工業者は、なかなかこれを利用することができない。言いかえれば政府の満足するような書類をつくるだけの能力はない。特にこういうことは、農業とか漁業経営しておる人は、一生懸命に仕事をやるところの熱意とそれだけの実効をあげる実力はありますが、書類をつくるところの実力に欠けておる。従いまして、たとえば国民金融公庫の金にいたしましても、あるいは住宅金融公庫の金にいたしましても、当然借りられなくてはならないような人が借りられないで、悪智恵のあるような人にこういう金が流れておる。しかもこれをもつと端的に申しますと、こういうような地方に当然流れて行かなくてはならないような金が、そういうところに流れておつて、都市の一方的に偏する、こういうような実情にあるからであります。ですから、地方農業経営におきましても、あるいは漁業経営にしましても、あるいは小さな商工業経営にしましても、もしここでわずかな金の融資の道が開けるならば、どんどん発展して行くということがはつきりとわかつているにかかわらず、その道がないわけであります。そうして現状から申しますと、資金の枯渇しておる状態とは言いながら、大きな事業資金は決して倒産に至るほど枯渇していない、こういうことを考えてみますときに、私はこういうような気の毒な、中小商工業者あるいは漁業者あるいは農業者、こういうところをどうして救う道をつくらないかということをかねてから考えております。昔は勧業銀行とかあるいは農工銀行あたりで、不動産を担保にいたしまして、相当こういう方向の金が融資されましたが、戰争後今日はそういう道もとざされております。まつたく農業漁業振興の道はとざされておる。中小商工業振興の道もとざされておると言つても過言ではないわけであります。この簡易生命保険郵便年金積立金運用郵政省に還元することを希望しまして、いわゆる国民としての声がほうはいとして起つた理由の第一は、決して郵政省にこの仕事をやつてもらいたいというのではなくて、かつて郵政省がやつていらつしやつた時代、それによつて大きな利益を得た、大きく奉仕してもらつたところの国民の大多数が、そういう日が再び来ることを心から切望したゆえにほかならないわけであります。国会においても、三回ほどもこの資金還元決議いたしました。これは未曽有のことだ。この未曽有国民的な輿論というものは、そういうところから、ぜひ中央の大事業だけでなしに、地方のこういうような零細な国民を助けてくれるであろうというところの大きな期待が、このような形で現われて来たのであるということを私は確信いたします。また政府も、郵政当局も、そのように確信されておるであろうということを私には考えられるわけであります。当然今日いろいろな面における資金源が非常にきゆうくつである場合に、今すぐそうでなくてはならないという議論をしておるわけではありませんが、当然近い将来においてはもちろんいろいろな困難はありましようけれども、こういうような困難を排しまして、これらの国民の意図にこたえるだけの御決意があるかどうか、この点をお尋ねいたしておるわけであります。その点をはつきりいたしまして、私は今日この法律案の実施を待望しておるところの国民にこたえていただきたい、こういう意味質問をするわけでございますから、大胆率直に御答弁を願いたい、かように考えるのであります。
  12. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 御趣旨はごもつともであります。従いまして私どもの将来の目標といたしましては、その線に沿つて行きたいと希望いたしております。ただお話もありましたように、現在の資金源現状等からいたしまして、にわかにそこまでは行けないと思いますが、行き得る可能性が出た範囲におきましては、御趣旨に沿うて運用したい気持でおる次第でございます。
  13. 石原登

    石原(登)委員 ただいまの局長の御答弁を、相当の決意によつて答弁された、こういうような了解で了承いたします。そこで法律案の内容でありまするが、まずいわゆる貸付貸付け先ですが、「地方公共団体その他政令で定める公共団体」、ここのところにどうもはつきりしないものがある。地方公共団体というのは、いわゆる言うところの地方公共団体でありましようから、これには一応疑問はないといたしましても、その他の政令で定めるところの公共団体というのは、大体どういうようなものを予想していらつしやるのでありますか。この点を明確にしていただきたい。おそらく政府の意図は、戰争前に貸付けておりましたところのいわゆるいろいろな公共団体を指摘していらつしやるものだと考えております。戰争前には、たとえば畜産組合とか農会とか、あるいは水産会とか商工会議所、水利組合、耕地整理組合、府県の農会、土地区画整理組合、社会事業協会、栄養食配給組合あるいは医師会、薬剤師会、住宅組合、こういうようなところにも事実融資しておられたのでありまするが、この法律で定められたところのその他の公共団体というのはこういうような団体も含んでおるかどうかその点を明らかにお願いいたします。
  14. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 さしむきこの法條で予定しておりますのは、土地改良区とかあるいは水害予防組合等に対する貸付でございまして、土地改良区は御承知のように耕地整理組合とかいろいろなものを集中いたしまして、そういう組合になつておるのでございますが、それらを一応想定いたしておるのでございます。御承知のように、戰前におきましては、いろいろこまかい事業につきまして直接貸付をしておつた時代があるのであります。一例を申し上げますと、自作農といたしましても、府県も町村も通じないで、自作農組合自体に貸した時代があるのであります。そういうようなやり方を直接やるかやらぬかということにつきましては、関係官庁の方面の政策とも関連する問題なりのであります。従いまして、さしむきのところ私ども考えておるのは土功組合とか水利組合等を想定しておるのであります。これも直接今すぐにやり得るかどうかという問題につきましては、議論があるのであります。現在の資金運用法におきましても、これらの土功組合、水利組合を直接の対象として貸し得る法的な條文はあるのであります。しかしながら、一面別途農林漁業資金融通特別会計、いわゆる農林中金を通じてやる道もあるのであります。従いまして現在におきましては、御承知のようにこの特別会計に対する貸付一木でやつているのが現状でございます。従いまして、昨年できました農林漁業資金融通法によりまして、農林漁業資金特別会計というのをつくりまして、これに融資する方法で行つておるのが現状でございます。御承知のように、この特別会計は一般会計と米国対自援助見返り資金特別会計の両会計から繰入金をしております。これが資本になりまして、それに対応いたしまして、別に借入金というのを認めまして、この借入金ができることの基礎に基きまして、資金運用部より貸し付けておるのであります。三十七年度におきましてはたしか百十億円であつたと思いますが、そういう貸付の一本でやつておりまして、こういう土功組合とか水利組合に直接貸付といことは、一応資金運用部におきましても構えをしておりまして、融通規則にあるのでございますが、まだ直接貸付の方法をとつていないのでございます。これらの問題は、農林政策の面からいたしまして、この会計を通じての借入金以外に、直接に、たとえば資金運用部あるいは私の方から、簡易生命保険のこの法律に基く運用によつてやる道を開くことにつきまして、農林省と了解がつくかつかぬかという問題もございます。しかしながら向うの行政の建前からいたしまして、支障がないということに相なれば、私の方といたしましても、できれば直接貸付をいたしたいという気持を持つております。従いましてこの條文を特に挿入いたしておる次第でございます。
  15. 石原登

    石原(登)委員 私は実はこの第一條の目的のところに若干疑問を持つのであります。この法律によると、この金を公共利益になるように運用することによつて簡易生命保険事業が健全になるということを目的にしている、こういうふうにうたつてある。ところが簡易生命保険法の第一條によりますと、安い料金で生命保険国民に提供する、そうして国民の経済生活の安定をはかるんだ、こういうふうに規定しております。さようにいたしておりますと、この簡易生命保険というものは、公共利益のための目的であるのか、あるいは契約者のための目的であるのかということになりますと、これは当然契約者を通じて公共の目的に沿うように運用されなくてはならぬ。ですから、第一義的な前提としては、その契約者利益の擁護という建前に立つて行くのが当然かと私は理解いたします。さよういたしますと、この積立金運用につきましても、先ほど私は原則的なことを申し上げたのであつて、決して政府のあげ足をとろうというのではありませんが、これは契約者を通じてうまく運用される、そうして公共の目的にならなきやならないというふうに考えるわけであります。でありますから、第四條の、資金運用部資金運用審議会の議を経てこの資金運用されるということがむしろおかしいのである。私は可能な方法があるならば、契約者相互意思を、この資金運用に何らかの形において反映させて行くのが建前でなくてはならぬと思う。大体資金運用部資金は純然たる国家資金なのである。この純然たる国家資金運用審議する機関で、契約者相互間の資金運用をはかること自体も、これは法律的にはおかしい。ただ過渡的な運用において私はそれもやむを得ず認めますが、しかし政府は、将来もやはりこの資金運用資金審議会の議を経て、言いかえますと、こちらの指揮を仰いで運用しなきやならないものだとお考えになるのか、あるいは何らかの機関をつくつて、こういうような零細な契約者が、自分の金であるから自分の意思を何らか反映させることによつて、自主的な運営をして行くというような道を開くべきだと思うか、その点の答弁を求めたいと思うのであります。
  16. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 御趣旨はごもつともでございまして、戰前におきましては、簡易生命保険資金運用につきましては、その当時における大蔵省の預金部にこだわりなく、別個の委員会をつくりまして、関係各庁並びに学識経験者、金融の関係、契約者の代表的な人を入れまして、運用委員会をつくりまして、そこに諮問してやつてつたのでございます。従いまして、本然の姿から申し上げますと、そういう制度に復元するのがあるいは、理想に近いのではないか、かように存じておるのでございます。しかしながら、現状におきましては、ただいま御質問の際にもお触れになりましたように、とにもかくにも、実質論は別にいたしまして、民間資金にあらざる国家資金政府資金的なものの資金量は少いのであります。従いまして、私の方の資金運用計画はこちらで立て、向うの資金運用部資金計画は向うで立てる、こういう線をはつきりいたしておるのでございますが、それらの計画双方をにらみ合せてやる必要が、現在においてはなお残つておるのではなかろうか、従いまして、そういう資金の総合的なにらみ合せが必要である間におきましては、やはりここへ書きとめましたような運用で、資金運用部審議会を利用すべきものではなかろうか、しかしながら、資金源が相当多くなり、国民経済が安定して行つて、しかも資金の統制と申しますか、よくいう資金の総合的計画という線が、そう強くやらなくてもいいような時代が参りましたら、おつしやるような線に、場合によつては切りかえるのが正しい姿ではないか、これはざつくばらんに申し上げますとそう考えておりますが、さしむきのところは、この委員会を活用することで行つたらどうか、かように存じておる次第でございます。
  17. 石原登

    石原(登)委員 ただいまの局長の答えで、戰前には、預金部と別個に運用計画を立てておつた。私はそれは当然であろうと思う。また保険創設の趣旨から考えましても、それが当然だと思う。であるとすれば、今後は、資金運用部資金運用審議会の議にかけることは、私は理論的には間違つておると思うのであります。こういうような保険あるいは年金を利用する人の階層を私どもよく考えてみますと、簡易保険創設当時の、政府出資のあれを見ましても、簡易生命保険事業経営し、社会中級以下の多数の人の幸福を増進するためにこの保険をつくるのだというふうに定義している。かようになりますと、今日ではそういう中級以下の人を救うためにやるいわゆる社会保障の制度なり施設なりには、政府はまだまだ多くの金を投じまして、いろいろな事業をやつて、そういう人を助けなくてはならないというような建前になつている。また事実そういう方向の行政をやつている。ところがひとり簡易保険に限つて、そういう人を助けるどころか、そういう人の犠牲によつて、あるいは共産党的な言葉を使うと、そういう人からの搾取によつて国家全体の利益をはかつている。すなわち、こういう人のわずかな金を、最も安い利まわりの金でいろいろな事業資金に使われている。こういうことははたして簡易保険の創設の趣旨に合うか。しかも、世界的社会保障の制度をつくり、こういう気の毒な人を助けてやるために、わざわざ国家財政資金を何百億と使わなくてはならない時期に、簡易保険創設の趣旨にもとつたような事業経営をやつて行くことが、正しいことかどうかということを私は聞いているわけであります。戰時中はそれこそ国民全体は命までも投げ捨てて戰かつた——いわゆる戰争でありますから、零細な者も金持もみんな捧げるのは当然でありますから、戰時中から占領下を経た今日までのやり方について私はとやかくは申し上げません。しかし少くとも平和が回復いたしました今日においては、この簡易保険の金は当然創立当時の趣旨に基いて使わるべきである。その方面において事業経営されなくてはならない。こういうふうに考えますと、どうしても今後の運営については、資金運用部資金審議会に諮ることが正しいので、これを国家資金と見て大蔵省が独断でああだこうだということはおかしい。これはあくまでも契約者の意を意として尊重して、あくまでも利益を擁護いたさなければならない。これはどうしてもそういうふうにお考えを直さないと、今後の運用に。いても、今後の郵政当局の行政上においても、非常に重大な禍根を残す、かように考えます。幸いに大野事務次官がお見えのようでありますが、こういう私ども考え方についてどういうようにお考えでありますか、御意見があると思いまするから承つておきたいと思います。
  18. 大野勝三

    ○大野説明員 ただいま白根政府委員からお答えを申し上げたと同様に考えておりまして、仰せの趣旨は私どももまつたく同感に存じておるところでございます。
  19. 石原登

    石原(登)委員 いろいろさつきから言います通り、私は過渡的であるからやむを得ず今日はこれを認めるのです。しかしながら、これはいわゆる契約者相互間の金であるのです。それがそういうふうにはつきりと言明がない。そういうふうにはつきりした御答弁がないとどうも了承ができかねるのでありますが、この点はどうでございますか。
  20. 大野勝三

    ○大野説明員 先ほど来お答えを申し上げたと同様に私ども考えておるのでございまして、実は非常に形式的な法律論を持ち出しますと、これはかなり意見のわかれるところであろうと思います。しかしそういう法律論は別といたしまして、実質上の問題とすればまさに仰せの通りであろうと考えております。
  21. 石原登

    石原(登)委員 ただいまの御答弁で了承いたしました。そこでさつきのいわゆる運用の範囲でありますが、より近い機会において、少くとも戰前と同じようなわくの程度には広げていただきたい。そうして今日借入れに融資に完全にシヤツト・アウトされておるところの、こういう気の毒な中小商工業者農山漁村の人々に、ぜひとも救済の手をさしのべていただきたいということを強く希望をいたします。それから、この法律で実際的にも私は了承できかねる面が一つあるのであります。附則の第二に、「昭和二十八年三月三十一日現在の積立金でこの法律の施行の際資金運用部に預託されているもののこの法律規定による運用については、その範囲を政令で定める。」と書いてありますが、これはこの法律趣旨から申しましても、従来の慣例から考えましても、資金運用部に委託しているところの五箇年間の計画でつくつたものは、当然これは郵政省にやつてもらわなければならないものであります。それをわざわざ法律の精神を無視してなぜこういうような條項をお加えになつたのか。これはわれわれのまつたく了解に苦しむところであるが、大体どういうふうな意味でありますか、どういうふうな意図でありますか、この点を明らかにしていただきたい。
  22. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 第二項におけることを御説明申し上げますと、本法によつて運用する積立金は、当面昭和二十八年度以降の新規運用積立金にいたしたことでございます。と申しますのは、三十七年度以前の資金運用部に預託してある積立金は、預託期限の到来と同時に引上げまして、これを新規の運用原資に加えて行くのが建前ではないかとも考えざるを得ないのでございます。一方におきまして、資金運用部におきましては、実際面としては長期資金に貸し付けておるような実情でございますが、それを預託期限が到来するとただちに引上げてこちらの運用に持つて行くのも、実際面といたしましては、向うの金繰りの関係もあろうと存ずるのでございます。従いまして、これらの面をどの程度引上げてこちらの運用原資にプラスするかということの限度を政令で定めたいということであります。根本的な考え方といたしましては、あるいは、理想論からいたしますれば、すでに運用しているものの金の面におきましても、できる限りこちらへ引継いだり、あるいは回收金のごときは、全部引上げて運用するのがいいのではないかというような考え方も立ちますけれども資金の投資状況は生きものでございます。従いまして、生きものを殺したり、いろいろの混乱を来させるということもどうかと考えまして、せめて向うの運用状況等の実際の面をも加味いたしまして、可能な限りにおいて既運用積立金の金の中からでも、ある程度引出してこちらで運用したい。その限度を政令で定めたい、こういうような考え方でございます。
  23. 石原登

    石原(登)委員 そうすると、建前としてはあくまでも五箇年間の預託期間が過ぎたら郵政省に返すのだ、但し、融資先のいろいろな事情によつて、にわかにそれを回收できない場合は両者の話合いによつて若干延ばす、こういう意味に了解していいですね。そうしてこの問題は、あくまでも郵政省の主体性によつて政令で処理されるのだ、こういうふうに了承してよろしゆうございますね。
  24. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 おつしやる通りでございます。
  25. 石原登

    石原(登)委員 それからもう一つ確かめておきたいと思いますが、どうもいろいろな議論が出まして、郵政省がこの資金運用すると、何か保険を強制的に勧誘させるというような議論をしておる。これは私どもは従来の保険性格から考えまして、非常に遺憾に考えております。しかもはなはだしい議論になりますと、こういうことを言つておる。この金は保険の加入の多寡によつて貸すのであるから、結局金持の町村は多くの金を借りられるが、保険に加入することができないような、いわゆる中産以下の、あるいはさらに零細な貧乏村ではこの金も借りられないのだ、だからこういうことになると、貧乏なものはどんどん貧乏して行くという結果になることを、心から実は心配しておる人たちが多いのです。私は決してさようでないということを確信をいたしております。従つて保険の契約の度合いによつて融通されるのでなくて、ほんとうに困つた町村に対しましては、十分検討の上で、そういうところになおかつ救済の手をさしのべるところの性格資金である、こういうふうに了解しておるのでありますが、政府はこの点どのようにお考えであるか。その点をお尋ねしておきたい。
  26. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 私どもの方へ運用を再開させていただくという理由の一つといたしまして、地方還元という言葉を使つておるのでありますが、その言葉を誤解いたしまして、今おつしやいましたような意味でお考えなつたり、宣伝しておる向きもあるかと存じておるのでございます。しかしながら、私どもはさような考えは毛頭持つておらないのでございます。私どもはできるだけ集まつた金を地方へ多く流したい、できれば町村の方面に重点を置いて貸し付けたい、こういうような気持までも持つておるのでございまして、従いまして、新規契約の量に応じて科学的に按分して、あるいは結果として都市に集中的に行くという考え方は、われわれは毛頭持つておらないのでありまして、私ども考えは、戰前にやつておつた考えと同じでございます。戰前におきましても、毛頭さようなことはないのでございまして、これは何かの誤解であろうかと存じますが、それを石原さんが御心配していただいた上の御質問と存じまして、たいへんありがたく存じておる次第であります。
  27. 石原登

    石原(登)委員 ただいまの言明で安心いたしましたが、こういう面につきまして、地方によつては相当重大な関心を持ち、かつ心配しているようでありますから、政府としてはあとう限りの方法をもつて、こういうような誤解を一掃されるよう、なお一段の努力をお願いいたしたいと思います。それから、これは法律上のたいへんな欠陥ですが、この法律を制定することによつて資金運用部資金法簡易保険の特別会計法、当然改正しなければならぬ。ところが本法によると、その改正によらずして、わざわざ別個の姿によつて提案されておる。今まで私は六年も国会におるが、こういう法律が出たのは私は初めてであります。たとえば資金運用部資金法が提案された当時も、いわゆる整理要綱として、簡易保險法の一部が、この法律の附則によつて訂正された。ところが本法においてのみ、どうもおかしな取扱いをしておりまして、この法律は初めからいけない。全然整理がしてない。法律的にこういう欠陥がありますが、せつかくこういう法案が出ておるので、一応これを審議するという建前はとりましたが、本来だとこれは法律の体をなしていない。その点はもちろん、大蔵委員会審議の状況とにらみ合わして、必要に応じて改正しなければならないのでありますが、政府はこういう面についても十分研究されて、今後このようなおかしな状態が出て来ないように、御注意を願いたいと好じます。私の質問は一応この程度にとどめます。すぐまた継続いたしますが、この程度でとどめておきます。
  28. 降旗徳弥

    降旗委員 多年の県案でありました本問題が、実現の軌道に乗つて来たということについては御同様喜びにたえないところであります。そこで私どもは、この運用は年度内に再開されるものであると強く期待しておつたのでありますが、提案によりますと、二十八年四月一日ということになつておるのでありまして、いろいろの事情があつたことと思われますが、この点につきましては遺憾にたえないところであります。そこで、さきほど石原委員質疑によりまして了承できた点もありますが、この附則の第一と第二に関連いたしまして、二十八年四月一日から郵政省において運用を再開するのでありますが、その積立金は一体どのくらいあるのか、また郵政省運用のできがたいところの積立金はどういうような状態になるのか、この点を数字の上で御説明願いたいと思います。
  29. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 この積立金と申しますのは、本年度に入つた金は本年度中は余裕金の姿であるわけであります。それが一年たちまして決算して——どのくらいの金になるかというと、決算をしたあとで積立金になるのであります。従いまして、二十七年度の余裕金がどのくらいになるかという見通しでございますが、これは予算面では三百七十億になつております。それが決算の結果、予定通りに三百七十億になりますと、これが二十八年度の積立金になるのであります。その限度から運用するということになるのであります。しからば既往の額はどのくらいであるかという問題でございますが、現在、資金運用部に現に積立金として預託しておるものが三百九十五億九千七百余万円になつております。そこへ二十六年度の余裕金で、まだ積立金として決算未済のものが二百六十三億三千七百万円であります。この合計がさしむき既運用原資として、資金運用部運用しておる金でございます。
  30. 降旗徳弥

    降旗委員 よくわかりました。そこで最近行政機構改革の問題をめぐつていろいろと議論のある点は、私ども了承しておるのでありますから強く申しませんけれども、とにかく行政機構の改革が今行われておりますときに、何もこの再開について一年も先の期日をきめる必要は私はないと思う。もう少し早くこれを再開した方が、より多く大下の輿論にこたえるゆえんだと固く信じておるのでありますが、私はそれだけを申し上げて、質問を打切ります。
  31. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 御趣旨はごもつともでございまして、年度の途中であるという考え方からいたしまして、さしむき本年度からの実施は差控えまして、来年度からやつたらどうかという、一般的な考え方だろうと思います。事務的に申し上げますと、地方債が具体的に決定するのは六月から七月の上旬ごろにスタートを切るのであります。従いまして、本年度から実施いたしましても、実施できないことはないのです。ただ借入先が今では資金運用部ということになつておりまして、その借入先をある程度変更しなければならない面も残つておるということでございます。これは事務的処理でできないことはない、かように存ずるのでございますが、いろいろの関係からいたしまして、また私の方といたしましても、できれば準備は万全を期したいというような意味合いもございまして、政府決定通りになつたのであろう、かように存じております。
  32. 受田新吉

    ○受田委員 この法律案の通過とともに、運用権の復元がされるわけでありますが、先ほど以来質問をした要点を調べてみますと、どこへこれが貸し付けられるかという点について、政府の意図するところを伺つておるのでありまして、今非常に危惧されておるのは、これが郵政省へ復元されると同時に、特に保險契約とタイ・アップしたる貸付がされるのではないか。従つてこの運用をさせてもらおうとする地方公共団体などが、契約を割当てられて、それとさつ引いて貸付を受けるというような危惧が一部に抱かれておりますので、この点の危惧を一掃して、決してそういう契約を増すため、の作戰と、それから貸付をすることとは混同されるものでないという点を、特に明らかにしていただきたいと思います。現在各市町村長などが特にこの反対陳情などをやつた根底に、資金国家的統一をはかつて地方にこれを利用させてもらう場合でも、むしろ大蔵省にある方がいいんだという、あの猛烈な今度の復元反対運動などを十分われわれは検討しなければならぬと思うのであります。この点復元をして同時に地元の人たち——地方公共団体が、ほんとうに復元をしてよかつたという効果をあらしめなければならぬと思いますが、簡易保険局長といたしまして、こういう危惧を一掃するところの用意があるかどうかお伺いしたいのであります。
  33. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 これは石原委員にお答えいたしたのでありますが、簡易保険運用をこちらへ持つて参るということは資金地方還元という言葉を使つた。従つてそれを科学的にはじいて、契約量に相応して、そこに還元するんだというように誤解された向きも相当あると思います。しかしながら私どもはそういう考え方を持つておるのでは毛頭ないのであります。とにもかくにも私どもの集つた金は、できるだけ地方へ還元したいという考え方は考え方でございますけれども、それを契約量の多いところにたくさん貸し付けるとか、そういうような考え方は毛頭ないのでありまして、この事実は戰前におきましても、私の方で運用しておつたときに、地方還元というのを表に出しておりました。けれども契約量に比例して還元の資金を流すということは全然やつてなかつたのであります。私ども地方還元と申し上げたのはそういう意味でございます。従いまして、できればわれわれの運用の際におきましては町村方面は割合に契約量が少いけれども、むしろ町村の方へ重点を置いてでもやりたいという気持を持つておるのでございます。決してさようなことはないのでございます。ただ私の方の資金によりまして学校が建つた、橋ができたということの結果に基きまして、自発的に御協力していただくということは、期待はむろんしておりません。しかしそういう自発的にやられたという例はあるのでございますけれども、それに期待を持つて運用貸付をきめるということは全然いたす考えはございません。
  34. 受田新吉

    ○受田委員 政府の意図するところをお伺いしてある程度安心をしております。この点せつかく復元をしたこの機会に、第一線の地方公共団体などが、絶対に危惧を抱かないようなはつきりした態勢でやつていただきたい。それから次のお尋ねでありますが、今まで保険契約者に対しての便益の供與ということがはなはだ少くて、診療とかそのほか保険契約者の直接の利益を受くる点に事を欠いていた、こういう点においてさつそく保険契約者に対しての便宜の供與という意味で、たとえば診療の移動カーを全国に多数増発するとか、あるいは無料診療所を設置して、厚生省とある程度タイ・アップする点もあるかもしれませんが、簡易保険加入者に便益を供與するという点においての具体策をお持ちではないかと思うのでありますが、利益供與の問題について当局の御意向をただしたいのであります。
  35. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 その御趣旨はごもつともでございます。従いましてやる方法が二つあるのでございます。一面は歳出の面におきまして、お話のように厚生省と連絡をとつて、診療所とかあるいは移動カーとかいうものを強化したらどうかという面は歳出の面で考慮する考え方が一つ、一面は運用の面で、そこまで考慮するかせぬかという問題があるのであります。従いまして歳出の面におきましては、運用郵政省へ復元したといたしますと、利ざやが相当ふえて参ります。従いましてそのふえた歳入増がございますので、そこらを足がかりにいたしまして、できるだけ歳出面におきましてお話のような線に沿つた施策を考えてみたい、こう考えております。それから運用の面ではどうかということでございますがこの面につきましては、現在の資金の状況から見まして、直接むき出しに運用貸付をするという点は法文には実は出ていないのであります。しかしながら地方債なり地方貸付の線におきまして、そういう事業を主体といたしまして起債をするという面につきましては私どもといたしましては、できるだけそこへ重点を置いて貸付をいたしたい、かように存じております。
  36. 受田新吉

    ○受田委員 こうした歴史的な郵政省復元という大戰果をあげたこの機会に、郵政省簡易保険を通じて、大衆にほんとうに親しまれ、大衆の便益を與える省であるということをはつきりさせなければならないし、郵政省がこの国の行政機関として非常に重視せられるという一段階をここに画したわけでありますが、こういう重大な段階において、この運用権が復元をした機会に、簡易保険局がある程度機構の上において、相当大幅に拡大強化されて、できるならばこれが郵政省の外局として独立した大きな機構になり、簡易保険院長官というものが置かれるような機構改革を行うよう、この際奮発する用意があるかないか、ひとつ政府の御意向をお聞きしたいのであります。
  37. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 非常にありがたい御質問でございます。非常に感謝にたえないのでございます。しかしながら私どもといたしましては、機構の問題におきましては、外局というところまでただいまのところは考えていないのであります。形の上で大きくするのも一つの手でございますが、実質的に仕事ができるように、その必要な限度において拡充をするという考え方はおつしやる通りに持つておるのでございます。ただ外局のところまで持つて行くという考えはただいまございません。但し直接市町村等に接触する郵政局の分野におきましては、現在は運用運用係だけでございまして、これを課に昇格するというようなことは考えていない。運用課的なところは、今運用係になつておりますが、そういう程度の拡充は考えてみたい、かように存じております。
  38. 受田新吉

    ○受田委員 この法案の第六條には「郵政大臣は、積立金の出納執行の命令を部下の部局の長に行わせることができる。」ということになつておるので、この点においてこの部局の長は非常な権能を待つわけでありますが、この点地方の郵政局の中にある今お説の運用の担当をしている係を、課にするとか何とか、この際中央の権限の強化と相まつて、第一線にすみやかに復元の効果が現われるように、早急に手を打たれる必要があると思います。この点において当局の善処を要望いたします。なおこれが郵政省へ復元をした機会に、なおこれから大蔵省から執拗にこれに対して干渉しようという空気がなきにしもあらずと私は思うのでありまして、この点はよほど警戒を要するので、今度こちらへ復元をしたいきさつなどを考えてみても、これはただごとじやありません。そうするとまたここへ臭いにおいがしないような先手を打つておく必要がある。この点において郵政省として大いに努力していただいて、今度の例の審議会などのメンバーについても、十分検討を加えてそつがないように、ひとつ十分の御注意をお願いしておきたいのであります。これをもつて私の質問を終ります。
  39. 石原登

    石原(登)委員 それではほかに質問がないようですから、私また続いて質問をいたします。この法律の制定の一番のポイントはもちろん第三條にあるわけですが、そこで第三條の中でも第一号これは従来も行つておるところでありまするし、現在も行つているから問題はありません。第二に地方債に対する融資を行うについての具体的な方法、また地方債は現在相当の資金源を擁していますが、今郵政省が持つているところの資金源ではとうてい耐えられないわけであります。その間の調整をどのように行うか。またこの資金の貸出しについて、地方財政委員会との調整にあたつて、実際予想されるいろいろな事柄について、これは事務的な問題でありますが、この点を十分御説明願いたいと思います。
  40. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 おつしやる通りでありまして、ただいまこの点につきまして、はつきり関係官庁と話合いがついた段階ではないのでございます。しかしながら私ども、おつしやる通りに、その点についてはよほど慎重に考えなければならないのであります。かように存じております。従いまして御承知のように地方債を起すにあたりまして、まず毎年々々起債総額のわくと起債の詮議方針を決定するのでありますが、その際におきまして、起債総額のわくにつきましては、地方予算の推計をまずやりまして、それから国の金融政策を決定しまして、この二つの要素をかみわけまして起債のわくがきまるのであります。その際におきまして、地方予算の推計は地方財政委員会が当ることになつております。それから国の金融政策は実質上現在のやり方といたしますと、現在実際上には資金運用部資金地方債融資可能額の算定を基礎にしております。これらをかみわけてやることになつておりますが、この国の金融政策は、現在大蔵省がやることになつております。ところが今度は、われわれのところの資金のわくがきまるわけでありまして、この国の金融政策の一翼をになうことになると思うのであります。従いまして、私どもといたしましては、起債の詮議方針の策定にあたりましては現在は大蔵省と地財委でございますが、その中へ郵政省も加えていただいて、起債詮議方針にある程度関與さしていただくのが筋合いではないか、かように存じております。  なお次の選考方針の決定につきましては、現在は起債の総額のわくの決定と同時に、地財委は大蔵省と協議いたしまして、年間における地方公共団体のいずれの事業に力点を置くかという基本方針もきめるのであります。この事業につきましては、御承知のように公共事業と單独事業の二本建てになつております。それと災害復旧事業、そういうことになつております。これらの事業のどこに力点を置くかとうことは、われわれといたしましても、最も大事なことでありまして、單独事業は御承知のように小学校とか、自治体警察とか、消防とか、下水道とかいうものでございます。それから公益企業の中では上水道、電車、病院、ガス、電気、公益質屋という心のが入つております。それ以外に公共事業といたしまして、事業費の全部または一部が国庫補助金によつてまかなわれて、かつ安本の認証を受ける事業公共事業というのであります。これらの大体事業の内容を持つておりますこの事業内容に対して、私ども資金はどこへ力点を置くかということも重大な関心を持たなければならない、かように存じております。従いまして起債の詮議方針につきましては、大体われわれも三者で話合いをすべきではなかろうか。さて起債の申請に対しましては、起債申請前につきましては、私どもといたしましては財政監督をするわけではございませんので、起債の申請自体に対しては多くタッチする必要はないと思いますが、さればといつて、起債の借入先はどこであるかということについては、関心を持たなければならぬと思うのであります。従いまして起債の申請につきましては現在でもやつておりますが、借入先はどこを要望するかということをやはり書いていただく。従いましてその借入先を地財委といたしましても尊重する建前を、従来とも持つております。その借入先を尊重する従来の建前も今後も継続していただき幸して、まずできれば地方自治体の希望を入れる。しかし希望を入れるにあたりましても、向うのわくとこちらのわくとの関係からいたしまして、ある程度更正決定を地財委がしなければならぬ場合が出ると思います。それらの更正決定の際におきましては、むろん私の方も地財委ともよく相談いたしまして、融資の円滑を期したい、かように存じておる次第であります。
  41. 石原登

    石原(登)委員 先ほどは主として私はいわゆる個々人的な立場から、地方農山漁村の人々の資金の枯渇を訴えました。今度私は地方公共団体、いわゆる地方債は、今日起債という言葉で呼ばれて、毎年地方の町村長あるいは市長が出て参りまして、あるいは地方財政委員会に行つたり、あるいは大蔵省に行つたりして、そしてこずきまわされている。このこずきまわされているという言葉の表現は、遺憾な表現でありますけれども、事実さようであります。地方財政委員会に行つてこずかれ、大蔵省に行つてこずかれ、実にわれわれは残念だ。ところが残念ではあつても、この起債が得られるかどうかということが、地方の町村が存続して行けるかどうかということになる。ですから今日この地方の起債の許可をとるために、非常に苦労をいたしておるといことであります。私も今日主でのやり方については、非常に異論があります。幸いにいたしまして、これがただ軍に大蔵省だけではなしに、郵政省も関係して来るということは、大蔵省と郵政省国民に対して、ほんとうにどちらが公僕であるかという、いわゆるサービスの競争が出て来るのだということも、私は大きな期待を持つております。郵政省は従来ともおとなしい役所でありますから、必ずや多くのこういうような人たちに、満足を與えるような奉仕をされるだろうということを、私は期待をいたすわけでございます。地方でも、これだけの金があればほんとうにこの仕事をやりたいのだが、この金がないために、実はこういうような計画があるけれどもできないのだ。いわゆる地方の自立的な、自主的な計画があるけれども、そういうものは今国家財政という大きな面から、地方財政委員会に押えられて、なかなか起債のわくの中に入れてもらえないというのが現状であります。これは今日水道とか何とか、そういう面はさることながら、産業振興の面から、事業経営の面から、当然この村でこういうことをやつたらいいという事例を、私自身よく知つております。ところがなかなか地方財政委員会が許可してくれない。残念なことには今日起債の許可というものは、先ほど視明がありました通り公共事業費とか何とか、安本において認証を受けたもののみ、起債の許可が與えられるというふうに断一言してもさしつかえない。こういうような状態でありまして、地方公共団体が自主的に金を工面して、金が借りられて仕事を起す。いわゆる産業め振興をはかるという道は全然とざされていると言つても過言ではないわけであります。そこで地方の町村においては、銀行からでも金を借りたらいいかというと、銀行もなかなか貸してくれない。相当大きな金ですから、貸してくれない。起債に行こうとしましても、なかなかそういうような起債を許さない。こういうことになつております。地方債と申しましても、すべてが政府、いわゆる地方財政委員会の制約を受けた範疇だけでの貸付であつたのでは、どうしても運用の妙味がない。そういうことでは今後地方の産業振興に與えるところの影響は、私は多く期待できないわけであります。そこで第三に示されましたところの地方公共団体に対するところの貸付、これが問題になつて来る。この地方公共団体に対する貸付というのは、いわゆる地方財政委員会できめましたところの起債のわくの外に立つて貸し出すわけでありますか。この貸出しについては、全然起債のわくとか何とかいうものに縛られないで、地方公共団体も、自主的にこういうような借入れの申込みができるのか、その点をお尋ねいたしたいと思います。
  42. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 三号のうちで地方公共団体、この面は御承知のように、地財委、大蔵省、あのわくの中に入るのでございます。従いまして土工組合とか、水利組合とか、町村組合でやるような場合と、それから一つの町村がやる場合というものはやはり起債のわくの中に入るわけでございます。わく外で運用することができるかできないかということ、もつぱらその他政令で定める公共団体の問題でございます。この問題は先ほど御説明申し上げましたように、資金運用部についても、直接は書いてございませんが入つておるのでございます。それを農林政策等の考え方からいたしまして、先ほど御説明申し上げました、農林漁業資金融資法によりまして、農林漁業資金融通特別会計へ一本で流しておるのが現状でございます。しかしこの姿でずつとやらなければならないということもないと思います。われわれの希望といたしましては、直接に土工組合なり、水利組合なりにお貸しするような措置ができればという希望は持つております。そういう場合に備えて、この條文を置いておるわけでございます。またただいまのところでは、そのわくの中も、さしむきは土工組合とか、水利組合とかいうことになつておると御説明申し上げましたけれども、その幅は公共団体の幅の範囲内において、ある程度広げることはむろんできるわけでございます。従いましてどの程度につかまえ、どの程度に広げて行くかということは、例を農林省の関係の方に持つて行けば、先ほどのような考え方に基いて、農林省との話合いの問題になることと思います。また先ほどおつしやいました中小商工業者の組合その他につきましても、これは商工行政との結び合せもございましよう。またこれはさしむきの現在の状況から見れば、地財委の考え方もあろうと思います。そこらの考え方を、いろいろ連絡をとつて、可能な限りにおいて、直接融資をする道を開きたい、こういう意味でこの條文があるのであります。御趣旨はできるだけ善処いたしたいと思いますが、関係官庁もあることでありますので、そう御希望に沿うように、一気にということにはあるいは行かぬかとも存じます。できるだけそういう線に向つてわれわれは行きたい、かように存じております。
  43. 石原登

    石原(登)委員 私はこの法案には実は非常に重大な関心を持つております。むろんほかの方も、この法案は画期的な法律案であるということは、お考えだろうと思いますが、私はより以上に画期的な法律案であるということを考えております。と申しますのは今日新憲法のもとにおいて、いわゆる地方自治体の自主性というものが根本的に認められている。しかしながら、遺憾なことには、こういうように自主性を認められたところの地方の自治体というものは、財政的に自立するだけの力が全然ない。従つて財政面から押えられまして、何の仕事をしようとしましてもできない。従つて今日の地方自治の実態というものは、絶対に確立されておると思わないわけであります。こういうような建前のときに、地方の隅から隅まで、大きな、しかも完璧な組織を持つているところのこの郵政事業が、新しい憲法に基く自治体の自立のために、この郵政省で集めたところの大きな資金を、地方に還元することによつて地方の自治体は思い切つた施策ができ、みずからの責任によつて思い切つた施策ができる。こういう点は、地方に大きな組織を持つていないところのあるいは大蔵省とか、あるいは農林省とか、そういうものとは全然違う。私が郵政省に多く期待するゆえんは、郵政省地方の実情を、てのひらを返すようにはつきりと把握できるところに、私は大きな期待を持つている。それと同時に、こういうような大きな資金源を持つている。だからこの資金源を、正しい認識のもとに地方に供給されることによつて地方の産業がずつと生きるわけであります。今までは逆であつた。この金の面で地方を押えていたが、今度郵政省がこの金を地方に供給し、援助する、このことによつて私は日本の産業に大変革を来すものだ、それはしかもりつぱな面において大変革を来すものだ、こういう考え方に立つておりますから、この法律案は画期的な法律だと私は考えているわけでございます。ですから現在現われている法律は、さつきから申します通り、過渡的なものでありますから、やむを得ないものであるとしても、根本の方針と精神だけはここではつきりと明らかにしておきませんと、将来に非常に大きな禍根を残すと思います。しかしながらこの問題は、事務的に私がいくら申しましても、なかなか困難な問題であります。きようは大臣も出席がないようでございますから、この問題は続いて追究することをやめますが、この点だけは次の国会までにどうぞ御研究願いたいと思います。今回運用することによりまして、当然運用の利回りもふえて参ると思います。従いまして利益金も相当増大するわけでありますが、その場合、増加したところの利益金はいかような方法によつて契約者に還元されるか。先ほどの話では、何かサービス・カーをつくるという議論もありました。これもけつこうであります。あるいは一部計画されておりますところの老人ハウス、これもけつこうであります。しかしながら現在予定利率の三分五厘は低過ぎるので、こういう面も十分検討されまして、この目的は、より少いところの保険料で、というのが目的でありますから、この保險料の改訂について、どのような計画がありますか。これも次の機会でけつこうでありますから、具体的にお示しを願いたい。さらにこれは零細な保険ということでありますが、実は簡易保険に加入している者は中級以下でありますけれども、今日はこの簡易保険にさえ加入できないようなあわれな人がいる。こういう人が死んだら、なお一層あわれである。こういう人をこの簡易保険性格からいつて救済の道はないか、私は当然あろうと考えております。私が今考えているところでは、たとえば社会保障の適用を受けまして、月々幾らかずつ保障されている貧乏な家族があります。ああいう家族には、たとえば平額とかあるいは三分の一とかいう低額な保険料で、この簡易保険の契約を認めるという措置も考えられるのではないかと思います。いずれにいたしましても、今度の運用の再開によつて簡易保険の特別会計は相当有利に、余裕あるように展開されるわけでありますから、当然その利益金の国民に対する還元、いわゆる契約者に対する還元ということについて、具体的な説明を発表されることによつて、より多くの契約者に十分の理解を與えることができるのではないかと思いますので、本日は時間の関係もありますから、その答弁はいりませんが、次の機会にその具体的な答弁をお願いいたしまして、本日の私の質問を終ることにいたします。
  44. 受田新吉

    ○受田委員 私ちよつと明後日から外国へ旅行しますので、ここで質問を片づけておきたいと思います。関連した法律で、資金運用部資金法の一部改正案の中に、この審議会の組織の中で、委員が三名ほどふえております。この三名ふえる委員は、郵政通の学識または経験のある者ということになるのかどうかを伺いたいのであります。
  45. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 実はこの委員の増については、閣議の際に農林大臣の御希望によつて一名増員の要求があつた際に、五名ということになつたわけでありますが、この中へ運用にからむ郵政関係と申しますか、これが入つておるかどうかということは、まだ具体的にはつきりいたしておらないのであります。希望としては、いろいろわれわれのところにも希望がございますけれども、どことどこが入るという前提で三名増になつたのではないのであります。
  46. 受田新吉

    ○受田委員 この問題は、こういうところで郵政省が割込みをしておかないと、あとでなめられますよ。この点十分今から用意しておかれることを希望します。もう一つお尋ねしたいのですが、運用権をこつちへ持つて来た場合に、どれだけの職員がふえるのか、その人員について一応構想をお伺いしておきたいのであります。
  47. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 郵政省に復元する結果、人員増というものは実は出て来ておらないのであります。これは復元するに伴いまして、募集しよい環境になることはなるのでありますが、復元に伴つて増員要求をやるという考え方は、現在持つておらないのであります。
  48. 受田新吉

    ○受田委員 それは募集しよいという効果があることは当然でありますが、これはそうした運用に関しての専任職員ということも考えられるし、労務の加重負担が考えられることになるのですが、そういうものに対して人員増をやらぬでおくと、それは非常な従業員の加重負担になると思うのですが、これは現在の人員増を考えないでやり切るという自信が政府にあるのでありますか。その点十分確かめておきたいのであります。
  49. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 さしむきのところは、この案によりますと、大体来年四月一日から本格的な実施をすることになるのです。準備その他の関係で、多少の労働がふえると思いますけれども、さしむきは現在の定員でいいのではないかと存じております、
  50. 飯塚定輔

    飯塚委員長代理 本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめ、明日午後一時から開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時十八分散会