○
小野政府委員 今回
特例を設けます動機といたしましては、北緯二十九度以南の南西諸島との間に、現在
為替の
交換ができない。これを早く
再開してもらいたいという非常に熱烈な要望が全島民からも、
沖繩からこちらの方へ参
つておる
方面からもあつたのでありますが、最近までこの
取扱い開始につきましては、いろいろな点から
支障があつたわけであります。昨年の十一月一日から
アメリカ並びに
カナダ方面に対しまして、従来片
為替でありまして、
アメリカから
日本へ向けての
送金は許されておつたのでありますが、
日本から
先方への
送金はできない
状況にあつたわけであります。
ちようどこの
状況が、十一月一日から
日本側からの
送金為替を組むことができるようになりました機会に、
沖繩関係につきましても大体
再開の
準備を進め得るような
状況に
相なつたわけであります。ただこれを進めますためには、いろいろな
準備を整えなければならないのでありますが、御
承知の
通り日本の
国内法がそのまま施行できる
地域に現在
相なつておりませんので、
内国郵便為替法をそのまま適用することはできないのでありまして、
先方の政庁と何らかの
話合いをつけなければならぬわけでございます。かりに非常にきゆう
くつなとりきめを考えますと、一定の外交とりきめのようなきゆう
くつなものになるわけでありまして、そういつた場合には勢い
為替の
再開いたします
内容も、
外国為替式な非常に
手数の込み入つたものになりますので、私
どもといたしましてはこの
地域の
特殊性も考え、また
国民感情も考えまして、できるだけ
日本内地で現在行
つております
内国郵便為替と同様な
内容を持つたもので始めたい。こういう
希望を実は持
つておるわけであります。そのためにはいろいろ
先方と
話合いをしなければならないのでありますが、その
話合いが現在まだ確定的なところまでは参
つておりませんが、ある
程度進んでおります。その実施の
目標が、大体四月一日には
お互いのとりきめができまして、それまでには
業務の
再開に対する諸般の
準備を整え得るという
目標で進んでおるのでありまして、実はその場合の
根拠規定を、今回の
改正によ
つて第二十四条の二としてつけ加えようということでございますが、今御
質問の
省令でどのような
特例を設けるか、こういう御
質問に対しましては、ただいまどういう案になるか、
準備を取進め中でございます。現在までのところで申しますと、
郵政省で一案をつくりまして、これを
先方に送付してございます。一方GHQの方も通しまして、
先方の
関係方面とも
話合いをして来てもら
つておるわけでありますが、今日までのところでは、大体
郵政省案に
先方で
支障がないという大まかな返答は間接にあつたわけでございます。最近
郵政省関係から
先方に出張しておりまする者が、電報でよこしましたごく最近の情報によりますると、
郵政省から送付しました原案に対しまして、
沖繩の
郵政局の
方面ではすでに
審議を了しておるそうでございます。その
審議を了した
状況は、
郵政省案に大体
支障はない。大体そのままでよろしい、こういうような見解のようでございます。さらに
沖繩方面におきましては、
郵政局から
関係の筋に了承を求むべく折衝いたしておるそうでございますが、大体において
支障はない。ただ一、二、たとえば
外貨の
関係等につきまして、
財政的見地から
考慮が払われておる、こういう連絡があつたのでありますが、これはおそらく
為替業務取扱いの
内容自体ではなく、その
外貨表示の
関係から来る
為替のわくというようなところに、
考慮が払われておるのではないかと推察するのであります。いずれ
沖繩側でそういうような
関係がすべて解消されますると、実は
先方から
出張員が参りまして、そこ
不在式にわれわれの方と
話合いをつけるような
段階にな
つておるのであります。近く参るだろうと思います。従いまして
特例を設けまする
事項といたしましては、これがもう確定という
段階には実は行
つておらないのでありますが、多分この線はかわらないだろう。こういう
内容につきましては、たしか先般資料といたしまして御配付申し上げたように記憶するのでありまするが、大体の
内容は二点あるはずであります。
まず第一点は、先ほど申しましたように私
どもの
希望といたしましては、
国内の
郵便為替と同様な
内容を持つたもので施行したい。こういう
希望を持
つておりまするので、できるだけ例外的なものを少くしたい。こういうふうに考えるのでありますが、何しろ
国内法の
法域外にあるところでありまするし、
外国為替とは観念したくないのでありますが、
幾分か
国内業務とは
違つた面が出て参るわけであります。この面はいろいろ
考究をいたしたのでありまするが、できるだけ仕事の
運営も簡便に参りまするように考えまして、現在の
外国為替の
そういつた交換の
方式が、
目録式のものと
カード式のものがあるわけであります。これは
ちよつとそれだけ申しましても、
内容を御判断願えにくいかとも思うのでありますが、
目録式と申しますのは、その日その日に各
郵便局で
為替を組みましたものをまとめまして、
一覧表のようなものにつくり上げて
相手の
郵政庁に送る、こういうものであります。
カード式というのは、そういつた一表にその日の
取扱いの全部の
為替の
状況を
一覧式に明細にいたしませんで、
個々に一件一件
為替を組む
ごとに案内を出して行く、こういう行き方であります。この
方法は非常に煩にたえないのでありまして、
従つてできるだけそういつた
事務の
簡素化の面も考えまして、
目録式のそれを考えておるのであります。その
目録式の
交換の
方式をとりますために、あるいは
普通為替の振出しの面、また
払渡しの面、あるいは
普通為替証書の再交付の面、
証書の送達の面、また誤記をいたしまして、またそうでなくてもその後
為替証書に記載した
事項に
訂正を必要とするような事由が生じました場合の
記載事項の
訂正、あるいは払渡しが済んでおるか、どういうものであるかという場合の調査とか、また実際の
為替を一旦組んだのでありますが、
先方でまだ受取らないうちに、実は
送金人の方が何かの必要によりまして
為替金の払いもどしを受けたい、こういうような場合に、多少の
内国業務と
違つた点が出るわけであります。これを総括的に申し上げますと、
国内業務でありますと、
郵便局からただちに
為替証書を発行いたしまして、これは
支局を通じて一連の
為替の受払いの
状況として出て参るのでありますが、何しろ一応
行政権を異にしております
関係上、
郵便支局を通じた
個々の現業の流れだけで済まないのでありまして、勢い
日本本土側におきましては、
郵政省の
貯金局がおもに当らなければなりません。
先方においては、
先方の
最高の
機関であります
郵政局がこれに当りまして、一旦そこに集約されるわけであります。その辺からいろいろ払出しの面とか、また
為替を振り出します場合その他に、
内国業務とは
違つた特例が出て参るので掛りまして、かりに今一、二の例をあげて申し上げますと、たとえば
為替の振出しの場合で申しますと、
内国業務で行けば
現金を添えて
郵便局の
窓口に行きますと、すぐ
為替証書になるわけであります。その
為替証書を
本人の
送金したい
相手の
受取人に郵送いたしますと、それを持
つて払渡しの
郵便局に
行つて現金にかえる、こういうことができるのでありますが、
行政権を異にしております
日本本土と
沖繩との
関係におきましては、ただちにその振出しの局において
為替の
証書を発行することができないわけであります。これは一応ほんとうの
証書を発行いたしませんで、ただ
為替の振出しの
請求書ということに実は
証書を書いて、そういうもので行くわけであります。そういつた振出しの
請求書が数個の
郵便局で、また一日数件あるわけでありますが、それが全部
沖繩の
郵政局に集まります。これは
沖繩における
郵政関係の
最高機関でありますが、そういつたものが
郵政局にまとめられまして、それが一日の
一つの
一覧表にすべてなるわけであります。その
一覧表を
沖繩の
郵政局から
本土の
郵政貯金局に送
つて来るわけであります。
貯金局におきましてはそういつた
目録を見まして、それによ
つて初めて指定された
受取人に、そこで
為替証書を発行するというような段取になるわけであります。こういつた点が
内国業務とはかわつた
取扱いになるわけであります。それに類似したような問題が
払渡しの面、その他の面に出て来るわけでありまして、今回の
省令で
規定しようという
内容は、大体そういつたような技術的な問題でございます。
それといま一点、これは
為替の
交換方式として、現在の
内国為替とかわつた点でありますが、いま
一つの面は、
内国為替は
日本円をも
つてただちに表示できるのでありますが、
沖繩との
関係におきましては、
日本の円をも
つて為替に建てることができないのでありす。一応
ドル建にするか、あるいは
ポンド建にしなければならないというようなことに相なるのでありますが、ただいま私
どもの方で考えておりますことは、
ポンド建につきましてはいろいろなめんどうも伴いますので、その
関係が簡便に行く
ドル建を考えておるのであります。この
ドル建で参ります
関係上、通貨の
両者への
交換、円から
ドルヘ、また
ドルから円への換算上の問題が起きて参ります。そういつたことを
特例として
規定しようというようなことでありまして、大体以上の二点に尽きるわけであります。