○石原(登)委員 本日は時間がありませんから、簡單に要望だけ申し上げておきます。答弁はこの次でけつこうであります。この
保險の審議を始めましてから、
政府の
提案理由の
説明を聞きましても、八万円を
政府が提案されたという根本の理由がきわめてあいまい模糊として、われわれはどうも了承ができない。本委員会では
簡易保險の限度五万円があまりにも低過ぎるというので、たびたび論議をいたしきた。なお一面には、社会政策については非常に冷淡であるといわれておるところの自由党ですら——自由党は決してそうではありませんが、すでにこの金額については二十万円から二十五万円というものを出しておる。にもかかわらず、
政府が今度提案されたものは、驚くなかれ八万円という数字であります。こういうものの根拠について、たびたび同僚議員から質問をしておりますが、
政府の答弁はその根拠が
はつきりしておりません。大体どこに基準を置いてこの八万円という数字を持
つて来られたのか、その根拠を明らかにお示し願いたい。われわれこの問題を検討する前にどうしても
考えなくてはならないのは、まず第一番目に、
簡易保險に加入する対象となる階級の人々の加入意欲と購買力の変化を
考えなければならない。さらに第二番目には、死亡した場合に、今日の
状況において大体どのくらい費用がかかるかということも、当然
考えてやらなければならない。第三に、民間
保險との
関係も十分
考えてやらなくてはならない。第四に、この
保險運営にあた
つての
従業員の立場も
考えてあげなくてはならない。そうして一番大きなものは、創始当時の精神、すなわちその対象になる人々に対する社会保障の
制度が、さらにより健全に拡大強化されて行くことでなければならぬ。ところが今日審議の過程を見ておると、あまりにも政治的な考慮が払われ過ぎて、
提案理由はまことにあいまい模糊、不明朗な感が深いわけでございます。われわれは民営
保險の助長についてももちろん協力はいたしますが、多くの
国民の利益と福祉を無視して、それを犠牲にして、営利
事業の利益を保護しなければならないという理由もなかろうと
考える。以上二つのことを申し上げて、この次の委員会においては八万円を出された根拠をお示し願いたいと思う。でないと、今までの答弁はまるでしどろもどろであ
つて、これでは委員会としてはもちろん修正するのもやむを得ないという段階に来ているようでありますから、さらにあなた方の加えられた政治的な考慮、またその根拠についても、十分納得の行くような
説明をする資料をお持ち願いたいということを要求いたしておきたいと思います。