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1952-06-12 第13回国会 衆議院 本会議 第53号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年六月十二日(木曜日)  議事日程 第五十二号     午後一時開議  第一 伊東国際観光温泉文化都市建設法の一部を改正する法律案遠藤三郎君外九名提出)  第二 開拓者資金融通法の一部を改正する法律案内閣提出)  第三 道路交通事業抵当法案参議院提出)  第四 日本赤十字社法案青柳一郎君外十四名提出)  第五 国会議員選挙等執行経費基準に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)     ————————————— ●本日の会議に付した事件  議員請暇の件  議員風早八十二君を懲罰委員会に付するの動議中川俊思君外三名提出)  議員林百郎君を懲罰委員会に付するの動議田渕光一君外一名提出)  日本銀行政策委員会委員任命につき同意の件  戰争犯罪者釈放等に関する決議案益谷秀次君外六名提出)  農業共済基金法案内閣提出参議院回付)  道路交通取締法の一部を改正する法律案内閣提出参議院回付)  日程第五 国会議員選挙等執行経費基準に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第二 開拓者資金融通法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第三 道路交通事業抵当法案参議院提出)  日程第四 日本赤十字社法案青柳一郎君外十四名提出)  耕土培養法案坂田英一君外二十三名提出)     午後二時四十分開議
  2. 林讓治

    議長林讓治君) これより会議を開きます。     —————————————
  3. 林讓治

    議長林讓治君) お諮りいたします。議員小川半次君から、アメリカにおける文化、文教、厚生、体育関係調査視察のため渡航するにつき、六月十四日から本会期請暇の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 林讓治

    議長林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて許可するに決しました。      ————◇—————
  5. 林讓治

    議長林讓治君) 中川俊思君外三名より、成規賛成を得て議員風早八十二君を懲罰委員会に付するの動議提出されております。右の動議を議題といたします。提出者趣旨弁明を許します。中川俊思君。     〔中川俊思君登壇
  6. 中川俊思

    中川俊思君 去る五月六日、本院において五・一メーデー騒擾事件に対する政府への質問中、共産党議員風早八十二君の質問内容は、虚構捏造に終始し、荒唐無稽の言辞を弄して国民をして故意に警察官に対する反抗心を助長したることなど、無責任のはなはだしきのみならず、議院の品位を傷つけ、秩序を乱したるものとして国会法第百二十一條第三項により、ここに同君に対し懲罰動議提出せんとするものであります。(拍手)以下、その趣旨を説明して、諸君の御賛同を願う次第であります。  去る五月一日のメーデーは、独立最初のものとして、最も厳粛に、しかも明朗に終始すべきことを要請され、傘下労働組合の大半もまた同様趣旨を体して、きわめて穏健裡に終了せんことを企図したにかかわらず、共産党を中核とする一部過激分子計画的暴動に端を発し、遂に皇居広場において前代未聞の不祥事を招来したることは、まことに遺憾でありまして、これが内外に及ぼしたる甚大なる悪影響は、独立早々わが国一大汚点を印したるものにして、その責任は一にかかつて背後からこれを使嗾扇動したる日本共産党にありと断ぜざるを得ません。(拍手)しかるに、風早君は、これを称して政府━━━━━━━行為となし、苦痛を訴える大衆━━━━━━━━━━━━━━━━をほしいままにした云々と、口から出まかせを並べた上、━━━━━━━━━━━━━━━のか、国家警察も、予備隊同様、━━━━━━━━━━━━━━━━云々と、出たらめを並べていることは、いかに言論の自由が保障されているとはいいながら、顧みて他を言うもはなはだしく、まことに盗人たけだけしき無責任なる言辞として、私どもの断じて黙過できざるところであります。  顧みれば、昭和二十四年一月の総選挙において、日本共産党終戰後における民心混乱虚脱状態を巧みに利用して、得意のアジ宣伝にものを言わせ、一挙に本院に三十数名の議席を有するや、対日理事会におけるソ連の虎の威をかり、あたかも同年秋までにわが国赤化革命を成就すると呼号して、盛んに民心の不安定と動揺を策したることは、諸君の御記憶に新たなるところであります。しかしながら、本院に絶対過半数を擁したるわが自由党の着実なる政策遂行の前にはさすがの共産党もまつたく乗ずる余地なく、あたらその計画は水泡に帰し去つたのであります。  爾来、彼らの焦燥は逐日熾烈となり、とうてい尋常一様の手段をもつてしては所期の目的を達するあたわずとなし、いよいよその本性を暴露し始め、諸君承知のごとく、全国各地集団暴行事件を頻発さすに至つたのでありまして、今回の皇居広場における騒擾事件のごときもその一の現われであることは明々白々であります。このことは、つい昨日まで共産党議席を持つてつた中西伊之助君の、最近とみに狂暴化して来た日本共産党武力革命コースにはとうていついて行けないという脱党声明によつても明らかな通りであります。(拍手)さらに中西君は語を継いで、最近の日本共産党は次第に一揆主義化して行つて警察官と見れば、だれかれの区別なく、みんな敵にまわしてしまう、くぐればあせると、ケルン共産党時代マルクス言つた通りになつて来た、五全協で打ち出された軍事方針をうのみに、新幹部は極端に非合法活動を強要する、こん棒火炎びんだけの日共になり下つたと断じ、当初平和革命で党員を獲得しておきながら、途中武力革命に看板を塗りかえた擬裝を完膚なきまでに暴露しておるのをもつて見ても、現下日本共産党の全貌を察知して余りありというべきであります。また中西君は、共産党だけで革命が達成できるなどと考えているような共産主義者が多いから日本革命が容易に進行しないのである、日本共産主義者が、いつまでもそんなうぬぼれが抜けず、つまらぬ思い上つた優越感を抱いておる限り、革命なんかできるものではないと、最近の共産党が完全に国民から浮かび上つたことを正直に告白して、永年共産主義を遵奉し、共産党代議士として今日に来つた中西君ですら、近時の共産党非合法活動にあいそをつかすに至つておるくらいでありますから、一般国民が逐日彼らから遊離しつつあることは推して知るべきでありまして、今や日本共産党は、あらゆる面において完全に日本の孤児となりつつある現況であります。皇居広場において、ほりにたたき落された警官外国人が、生命の危険を感じて石がけによじ登らんとしているのに対して、雨あられのごとく石ころを投げつけたり、赤旗やプラカードの棒で突き落している残虐非道光景を、見るに見かねた通行人が、お互い日本人ではないかと助け上げんとすれば、その通行人もまたほりにたたき落したなどの行為は、これこそまさに鬼畜にひとしき行為として、天人ともに許すべからざる人非人的残虐行為でなくて何でありましよう。(拍手)私は、昨秋ヨーロツパ旅行の際、フランス、イタリア等に立ち寄り、両国議会を親しく見学する機会を得ましたが、諸君承知のごとく、両国とも共産党が百名以上の議席を有し、その政情の複雑なること並びにその勢力の大なることは、日本共産党の比ではございません。しかしながら、私の感心したことは、彼らはいずれも民族自覚を堅持しつつ行動しておることでありまして、一挙手一投足ことごとくソ連隷属下に行動しつつある日本共産党とは、まつたくその趣を異にしておるのであります。ローマでは、折よく共産党一大デモに遭遇し、つぶさに実情を見ることができましたが、行進も集会もまことに秩序整然と行われ、いやしくも公衆の通行上支障なきよう万般の注意を拂つて行動し、三々五々靜粛に解散しているのを見て、日本共産党に比し一世紀の長あることを感知した次第であります。日本共産党の正体を知る者は、彼らの内部で行われておるあらゆる行為が、いかに陰険であり、残虐なものであるかに驚かざるを得ないのであります。甘言に乗ぜられて入党したものの、こんなはずではなかつたと後悔している者の幾多あることは、中西君の脱党声明によつても明らかな通りであります。しかも、一たび入党した以上は、泥沼に足をとられたと同様、脱党はなかなか容易のわざではありません。これを強行すれば、残忍なる彼ら一流のリンチが控えていることを覚悟しなければならないという実情で、およそ彼らの世界には自由もなければ、人権尊重等大よそ縁遠いものといわざるを得ないのであります。かかる環境のもと、中西君のごときは、よほどの勇気を持つて脱党を決行した者として、敬意を表せざるを得ないのであります。  共産党諸君の身辺には常に監視の目が光り、共産党議員諸君が、委員会やこの演壇でしやべる演説の原稿ですら、実は諸君構想になつたものでもなければ、また共産党議員諸君の筆になつたものでもなく、実は共産党政治局の部員が書いたものを、諸君監視付で読まされているという、まつたくお気の毒な状態であることは、共産党諸君が一番よく承知のはずである。(拍手)その証拠には、諸君らがしやべる演説内容は、およそいつの場合、いつの機会においても、ほとんど大同小異で、また同じことを言つているという批評が異口同音に行われておるのをもつて見ても明らかな通りであります。口を開けば自由を唱え、人権尊重を呼号する共産党諸君の叫びこそは、鉄のカーテン内に幽閉されたる諸君がみずからの解放を叫ぶ悲鳴とさえ聞え、議席を同じゆうするわれわれとしては、諸君に対し一掬同情の涙なきを得ないのであります。     〔発言する者多く、議場騒然
  7. 林讓治

    議長林讓治君) 中川君に申し上げます。趣旨弁明をお願いいたします。
  8. 中川俊思

    中川俊思君(続) 共産党諸君は、万一諸君が企図する暴力革命が成功し、わが国人民政府が打立てられた際、諸君はその政府重要ポストにでも重用されるなどと甘い考えでも持つておられる者があるか知りませんが、私は断言してはばかりません、少くとも諸君のごときだら幹は、一顧も與えられざるのみか、われわれ同様、一発のもと生命を剥奪されることくらいは十分御覚悟の上、いずれの祖国に忠誠を誓うべきかを今のうちにきめておかれることが賢明なる策であることを、あえて御忠告申し上げるのであります。今や祖国日本は、二つの世界にはさまつて、幾多困難な課題に直面しております。共産党諸君といえども、ひとしく日本人たる自覚に立ち返れば、たとい行く道はわれわれと異なり、左であろうと右であろうと、おちつく先はひとしく日本再建構想に違いないはずであります。お互い、区々たる問題で口角泡を飛ばすがごときは、私どもの本旨とするところではありません。私ども従つて、同僚風早君に対しても、本動議提出することは、私情においてはまつたく忍びないものがあります。罪を憎んでひとを憎まずの寛大なる気持こそ、私どもの偽らざる心情であります。有能なる風早君でありまするから、過般の君の演説内容が、いかに虚構捏造に終始し、もつて議会政治の否認と暴力革命是認——暴力革命是認を宣伝されたることは十分おわかりと存じますが、ただ君の現在のお立場上、たとい心中ではこのことを否定されながらも、言外に現わすことの不可能なることは察するに余りがあります。願わくば、君の該博なる知識と高邁なる識見とを活用され、大悟一番、日本再建のため挺身されんことを衷心所念してやみません。事の成行き上、君に対し懲罰動議提出せざるを得ないことはまことに遺憾であり、泣いて馬謖を切るの心境であります。しかしながら、禍を転じて福となすのたとえもあります。これを契機に、洋々たる君の将来が期待できるならば、君またもつて瞑すべきでありましよう。あえてここに本懲罰動議趣旨弁明して諸君の御賛同をお願いする次第であります。     〔発言する者多く、議場騒然
  9. 林讓治

    議長林讓治君) ただいまの中川君の説明中、すでに不穏当の言辞として削除いたした言葉がありますれば、これは先例により速記録からは除いておきますから御了承願います風早八十二君より、一身上弁明のため発言を求められております。これを許します。風早八十二君。     〔風早八十二君登壇〕
  10. 風早八十二

    風早八十二君 私は、ただいま上程せられた懲罰動議に関して一身上弁明をなすものであります。その第一点として私は本年の統一メーデー歴史的意義について私の評価を下し、これによつて問題にされた私の緊急質問根本的態度を明確にせんとするものであります。サンフランシスコ講和條約発効の三日後にめぐり来つた今年のメーデーは、まず第一に、七年に近いアメリカ占領下の搾取と圧制に対する日本人民大衆の怒りと憎しみの爆発であり、民族解放鬪争最初組織的のろしであつたのであります。(拍手)第二に、この日のために、組織大衆の下からの幾多の闘争が積み重ねられて来たことであります。吉田政府が、その売国政策に対する国民大衆的反撃を圧殺せんとして破防法案を上程せんとするや、炭労を初め、総評傘下数百万の組織労働者は、政府のあらゆる干渉と分裂政策をけ飛ばして、断固ゼネストをもつて鬪つたのであります。この広汎な組織大衆の実力闘争によつてますます強固に打立てられた統一戰線こそは、今年のメーデーを文字通り統一メーデーとして実現せしめる裏づけであつたのであります。第三に、東京統一メーデーは、もはや、これまでの破防法粉砕実力鬪争の單なる積み重ねだけではなく、統一メーデーに結集せられた東京五十万組織大衆は、この日に一つの偉大なる飛躍的、革命的前進途げたことであります。(拍手破防法粉砕の第一波、ことに第二波ゼネストは、それ自身政治的ゼネストであることは明白であります。だが、しかし、統一メーデー闘争は、人民大衆が身をもつて大衆的に、かつ組織的に、日本にのしかかつているアメリカ占領政策アメリカ占領勢力そのものに体当りし、四つに組もうとして立ち上つたのであります。(拍手)今までもやもやしていた雲霧を吹き飛ばし、今までもたもたしていた跳躍台を飛び越えたのであります。アメリカ兵ほりに投げ込み、アメリカ将兵の自家用車を焼き拂つたというがごとき行為は、そもそも派生的現象にすぎません。重要なことは、その根底にある本質であります。もしも、日本の平和と独立を、から念仏としてでなく、基本的に要求するのであるならば、いつの日にかは必ず同じような事件が起るはずであり、それが早くも起つただけであります。(拍手)今日の日本人は、もはや断じて昨日までの日本人ではありません。かくのごとき民族解放最初のろしたる意義を抜きにして、ことしの東京統一メーデーを語ることはナンセンスであると申さなければなりません。アメリカは、現在帝国主義的腐敗、堕落、フアシズム、これになつておりますが、このアメリカにおいて、民主主義時代に、リンカーンはどういうことを言つた。もし国民がその政府に飽きた場合は彼らはその政府を改造する権利、またはこれを廃止し、あるいは打倒する革命的権利を行使することができる。もし大多数の人間が、多数の威力をもつて、憲法に明記された権利を蹂躪し、少数者を無視するに至るときは、道義的見地から革命を肯定せざるを得ない。もし、その侵された権利が重要なものであるときは、おそらく革命に至るであろう。およそ政府人権をみだりに蹂躪するとき、革命的な暴動人民にとつて最も神聖な権利となり義務となることを忘れてはならないのであります。(拍手従つて問題は日本民族開放賛成反対か、民族独立と自由のために鬪う意思があるのかないのか、私はかくのごとき観点から緊急質問を試みたにほかならないのであります。第二点として私がたださんとしたのは、統一メーデー闘争に対する政府根本的態度であります。政府は、明らかに日本民族解放反対であり、日本民族独立と自由のための鬪争を恐れおののいておる。恐れているからこそ、政府はあらゆる手段をもつて独立と自由のための闘争を圧殺して来たのであります。政府は、今日の統一メーデー闘争が、必ずや日本民族解放鬪争最初のろしになるであろうということを知つてつたはずである。だからこそ、政府━━━━━━━━を企てたのではないか。第一に、五月二日、法務委員会における田中警視総監の言明でも明らかなごとく、警視庁は、メーデー━━━━━━━━━つたのであります。━━━━━━━第二に、武裝警官隊は、とつさの反射的行動をとつたのではなく、対峙している━━━━━━━━━━━━━━、大衆の順列を混乱に陷れる効果を上げた後、指揮号令のもとに━━━━     ━━━━━━━━━━━━━ いるのであります。第三に、実況写真によつても推定し得るごとく、狙撃部隊とも呼ばるべき一隊があつたことであります。この部隊は、一人当り彈丸十六発あて支給されていたと伝えられておる。いずれにせよ、断じてこれらは偶然ではない。彼らは━━━━━━━━━━━━━━━━━ことは、目撃した一切の大衆によつて確認せられておるところであります。
  11. 林讓治

    議長林讓治君) 風早君に申し上げます。風早君の過般の発言について弁明を願います。あまり身上弁明範囲を越えないように願います。
  12. 風早八十二

    風早八十二君(続) ただいま一身上弁明をやつておるにほかならない。提案者は何をもつて私の懲罰動議としておるか。提案者の理由は、私が緊急質問において述べた事実が虚構であり、捏造であると申しておる。従つて、私の緊急質問で述べた事実が虚構でもなければ捏造でもない、そう言う提案者こそがまつたくの虚構者であり捏造者であるということを、ここで今立証せんとしておるのだ。(拍手)第四に、警察隊は、大衆を殺傷した後も、即死者負傷者に対し、少しでもこれに手当を加えるとか、治療するとかの態度なく、それどころか、まつた鬼畜にひとしい暴行をやつたことであります。広場負傷者応急手当をやつておる医師看護婦に対してさえ、背後から腕をもぎとり、頭をこん棒で殴打するという鬼畜的行為を働いたのは、一体たれであるか。武裝警官ピストルで、背後から心臓を貫く一発によつて即死して、大衆の手によつて新京橋診療所にかつぎ込まれた高橋正夫君の遺骸は、急いでかけつけた両親や兄弟が遺骸に手を触れることも許されない。泣いて待つているにかかわらず、五月一日の午後三時から少くも九時まで六時間以上も放置してあつたのであります。しかも、診療所の廊下には、京橋署員が一ぱいいたにかかわらず、鑑識を呼ぶという努力を少しもやらなかつた武裝警官こん棒によつて頭部を割られ、内出血で瀕死の近藤亘士君は、東京病院に運ばれ、激痛でほとんど意識を失つていたにかかわらず、また医師は絶対安靜の必要を告げて抗議したにかかわらず、二日午前二時から約三時間の間ゆり起し、かつて尋問調書をとつて、腕をつかんで無理に捺印をさせておるのであります。近藤君はそのために、遂にむごたらしく死亡したのであります。近藤君のお母さんは、こんな残虐な拷問がまたとありましようかと、泣いて訴えておるのであります。ここには人間性の一かけらも見出せない。(拍手強制尋問に当つた警察官こそは、実に明白な殺人犯人でなければなりません。以上のごとき計画性、以上のごとき非人道的な鬼畜ぶり、しかしてその結果として殺人と重傷、これを━━━━━と言わずして何と名づけることができるか。(拍手懲罰動議提案者は、私の指摘した事実が虚構だと言い、捏造だと言う。だが、一体この事実のどこに虚構があるのか。提案者こそは風上に置けない虚構者ではないか。現に、これは諸君もおなじみの梅崎春生君という文学者であります。この文学者は、「世界」の七月号に書いておる。これは「私はみた」という、メーデー人民広場事件を、みずから親しくそこで見た。この「みた」ということは、何を見たのであるか。     〔発言する者多し〕
  13. 林讓治

    議長林讓治君) 風早君に御注意申し上げます。一身上弁明範囲を越えないように願います。
  14. 風早八十二

    風早八十二君(続) 壇上から、私は議長に申し上げる。先ほども申した通り懲罰動議提案者は、私の見た事実が虚構であると言う。それが虚構でないということを立証すること、これ以上の一身上弁明があるか。その立証の一つとして、梅崎春生君は言つておる。私の見た限りでは、最初暴力を振つて挑発したのは明らかに警察官であり、いわゆる組織された暴徒とは、デモ縁のことではなく、完全武裝のこれら警官隊であつた。(拍手)「デモ隊の右側をかけ足で走り抜けた警官隊は、警棒を振りかざして斜めにデモ隊に殺到した。私はあの一瞬の光景を、忘れることは出来ない。ほとんど無抵抗なデモ隊」……。     〔発言する者多し〕
  15. 林讓治

    議長林讓治君) 風早君、身上弁明範囲を越えておると思いますから注意を願います。
  16. 風早八十二

    風早八十二君(続) 諸君は、この真理を恐れているのだ。これは真理である。この真理を恐れておる者のみが騒いでおるのだ。「ほとんど無抵抗なデモ隊一般市民も相当にその中に温つていた)に向つて、完全に武裝した警官たちは、目をおほはせるやうな獰猛な襲撃を敢へてした。」「警棒は立つているものに対しては、必らずその頭部をねらふ。デモ隊後頭部負傷者が多かつたのは、逃げて行くところを、背後からねらひ打ちされた為だ。倒れている者に対しては、腰部又は腹部をねらふ。そこをなぐると動けなくなるといふことを、彼等は充分に知り、またその訓練を経てきたに違ひない。」と、はつきり書いてある。この明々白々たる━━━━━━━━に対して、あえてこれを虚構の事実と称するその提案者こそは、これはまつた風上に置けない虚構者だ。(拍手政府━━━━━━━━に関連して、次に第三点として取上げねばならないことは、武裝警官に殺された大衆の数と、その遺骸の処置の問題であります。東大学生新聞によれば、塚本トシオ君はMPに六発撃たれ、即死したと報道されておる。また、日比谷で職安のおばさんが撃たれ、おまけにMPの自動車がそれをひき殺して走り去つたという記事もある。広場で足を撃たれ、倒れているところを、さらに後頭部ピストルで撃たれ、殺されたという記事もある。さらに、これは一警官が、あるところで、ある人物に語つたことである。第一方面隊長が、自分の見ているこの目の前で、大衆に向つて……。     〔発言する者多し〕
  17. 林讓治

    議長林讓治君) 風早君に御注意いたします。弁明範囲を越えておると思いますから、再度御注意いたします。
  18. 風早八十二

    風早八十二君(続) 至近彈をぶつ放した、相手は、ころつと倒れた、まつたくもろいものだ、こういう暴言を吐いている事実があるのであります。(「一身上弁明をやれ」と呼び、その他発言する者多し)人民広場に参加した人々は、警察側の報告をまつたく信用せず、死者は少くも九名ということを強く信じておるのであります。私は、大衆がそう信ずるには十分な根拠があると考えるのであります。私は国会議員として、大衆のこの疑いを前提として質問したものにほかならない。私は国会議員として、国民にかわつて、行方不明の遺骸の所在について、どうしても政府に対して問いたださなければならないと考えておる。(拍手)先般も、ある国会議員都会議員が検察庁に行き、メーデー関係で死亡した人の数を追究した。ところが、これに対し、田中次席検事は、きわめて意味深長な答弁をしておるのであります。すなわち、二名以上はわからないが、ただ五日の日に目黒川で発見された死体頭部と胸部に傷があるので、変だなと思つておるが、大分日にちもたつておるから、何とも言えません(「それが何だ」と呼び、その他発言する者多し)大衆は、目黒川にほうり込まれた死体こそ、メーデー当日警察隊に殺され、拉致せられたものではないか……。     〔発言する者多し〕
  19. 林讓治

    議長林讓治君) 風早君の発言一身上弁明範囲を越えておると思われますから、発言の中止を命じます。     〔風早八十二君発言継続
  20. 林讓治

    議長林讓治君) 風早君、降壇を命じます。     〔風早八十二君なお発言継続
  21. 林讓治

    議長林讓治君) 執行を命じます。(発言する者多く、議場騒然懲罰動議は討論を用いずして採決をいたすのであります。よつて、ただちに採決いたします。中川君外三名提出動議賛成諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  22. 林讓治

    議長林讓治君) 起立多数。よつて議員風早八十二君を懲罰委員会に付するに決しました。(拍手)      ————◇—————
  23. 林讓治

    議長林讓治君) なお、田渕光一君外一名より、成規賛成を得て、議員林百郎君を懲罰委員会に付するの動議提出されております。右動議を議題といたします。提出者趣旨弁明を許します。佐々木盛雄君。     〔佐々木盛雄君登壇〕
  24. 佐々木盛雄

    ○佐々木盛雄君 私は、自由党を代表いたしまして、共産党議員林百郎君に対する懲罰動議につき、提案者を代表いたしまして、提案の理由を簡單に御説明申し上げます。ただいまの風早八十二君の弁明演説においても諸君が痛感されましたごとく、最近共産党議員の院内における言動が著しき破壞的性格を露呈しておりますることは、憲法を破壞し、議会政治を蹂躪し、暴力革命を達成せんとする世界共産主義の鉄則より考えまするならば、いまさら驚くに足らないところでありますが、(発言する者多し)しかし、国政の最高機関である国会におきまして、單にそれが共産党であるというだけの理由によつて、無責任きわまる言動をかりにもし放任いたしまするならば、国会の秩序と議院の品位はとうてい保持し得ないのであります。(拍手)  去る七日、本議場において林百郎君が行つた日華平和條約に対する反対討論は、もとより共産党を正式に代表するものであり、従つて共産党の本質を正式に表明するものでありまするがゆえに、これに対する責任は、單に林君個人のみならず、日本共産党全体が共同連帯の責任を負うべきものであることはいうまでもないのでありますが、その内容は、法律を無視し、暴力によつて革命を実現せんとする意図を露骨に表明するものでありまして(発言する者多し)われわれは、今や共産党に対する合法性を認めることは断じてできない段階に到達いたしたのであります。(拍手)この意味におきましても、さきに衆議院において圧倒的多数をもつて通過し、現に参議院において審議中の破壞活動防止法案が一刻も早く成立し、共産党の存在そのものに対して断固かつ峻嚴なる歴史的適用が行われるべきことを、国民諸君とともに心から期待するものであります。(「そうだ」と呼び、その他発言する者多し、拍手)林君の演説全文は、良心と良識ある議員といたしましては、とうていなし得ざるところであり、また、まつたく聞くに耐えざるところであります。その演説内容については、全文そのものがことごとく懲罰の対象たるべきものと言ずるのでありますが、(拍手)その詳細は速記録によつてこらんを願いたいと存じます。ただ、ここで一、二の点のみを例示いたしまして提案理由の説明にかえんとするものであります。  まず第一には、法務総裁は人民殺傷の総指揮官であるとか、吉田政府は     ━━━━━━━━━━━━━ ━とか暴言するがごときは、国会法第百十九條において厳禁いたしておりまする無礼の言たるはもちろんのことでありまして、憲法第五十八條は、院内の秩序を乱した議員の懲罰を明記し、また衆議院規則第二百四十五條は、「議院の秩序をみだし又は議院の品位を傷つけ、その情状が特に重い者に対しては、議院は、これを除名することができる。」と規定をいたしておるのであります。(拍手)次には、林君がその討論において吉田政権が━━━━国家の権力によつて政権の座に居すわらんとするならば、日本人民は━━━━━━━━━━━━━━と、不穏当きわまる暴力的、脅迫的言辞を弄しましたことは、もとより武力革命の基本方針に立つた共産党の本質に連なるものではありますが、(発言する者多し)しかし、かくのごとき憲法を破壞し、議会制度を否認せんとする暴力革命宣言を、院内において公然と行うに至つては、われわれの絶対に黙過し得ないところであります。以上申し述べました理由により、共産党議員林百郎君を、憲法第五十八條、国会法第百十六條及び第百十九條、衆議院規則第二百三十八條及び第二百四十五條の各條項に照し、ここに衆議院規則第二百二十五條の規定にのつとり、懲罰に付すべしとの動議提出する次第であります。何とぞ憲法と国会の尊厳擁護のために、議員各位の愼重なる審議をお願いする次第でございます。(拍手
  25. 林讓治

    議長林讓治君) 林百郎君より一身上弁明のため発言を求められております。これを許します。林百郎君。     〔林百郎君登壇〕
  26. 林百郎

    ○林百郎君 去る七日の私の日華條約の反対討論で、私を懲罰にするそうであります。先ほどの風早君の例を見ましても、また私の例を見ましても、野党が反対討論に出て、時の政府の政策を批判することが一々懲罰になりましたならば、こんな国会はもう必要がないのであります。(発言する者多し、拍手諸君、一片の良心があるならば——かつての帝国議会のころ、天皇制の議会でも、軍部に対する批判はもつと峻烈にやつたのだ。うそだと思つたら、速記録を読んで見たまえ。諸君は、民主主義だとか、共産党民主主義を破壞する、議会制度を破壞すると言うけれども、かつての東條時代に許された言論の自由すら許さないような諸君こそが、民主主義を破壞しているじやないか。諸君こそが国会を破壞しているじやないか。諸君に一片の良心でもあるなら、もう少し考え直したらどうです。私が、日華條約をもつて吉田政府は━━━━━━━━━━━━━━━━━ということは、これは四億八千万の中国の人民がみなそう言つているのだ。(拍手)だから、諸君は、この四億八千万の人民を敵にしてまた日本を再び日本と中国との間の戰争に巻き込むようなことをたくらむから、あらゆる方法で諸君の反省を促すために、中国四億八千万の人民にかわつて諸君に言つただけなんだ。だから、諸君が私を懲罰にするということは、一共産党議員の私を懲罰にするだけではないのだ。中国四億八千万の人民に対しで重大なる侮辱を與えたことになるのだ。(発言する者多し、拍手)だから、諸君は、みずから天につばして、自分の顔につばがおつこちて来るのを靜かに待つていたら、それでいいのだ。(発言する者多し)、いいか、吉田・岡崎外交がいかにマーフイーに対する茶坊主外交かということは、きのうの外務・水産の連合委員会を見たまえ。
  27. 林讓治

    議長林讓治君) 林君は先日の発言につき弁明のため発言を求められておるのですから、別のことにわたらぬように願います。
  28. 林百郎

    ○林百郎君(続) 私は、吉田外交が帝国主義者の召使外交になつたということが正当だということを根拠にしているわけなんだ。きのうの外務・水産連合委員会で、君たちの先輩が何と言つているんだ。(発言する者多し)いいかね、米加日の三国漁業條約に対し、自由党の長老植原悦二郎氏は、こうした不平等條約が結ばれたのは腰抜け外交の結果であると言つているじやないか。馬丁外交とどこが違うのだ。米加漁業は……。(発言する者多し)よく聞きたまえ、米加の漁業は單なる一事業であるが、日本の漁業は、国民生活にとつて死活の重要性を持つておる。
  29. 林讓治

    議長林讓治君) 林君に注意いたします。一身上弁明として発言を許可したのでありますから、討論にわたらぬように願います。
  30. 林百郎

    ○林百郎君(続) 自由党の長老ですら、岡崎外交が腰抜け外交だと言つてるじやないか。それを説明しているんだよ。(発言する者多し)従つて、この事情をよく相手国に伝えたならば、こうした事態は生じなかつたであろう、この腰抜け外交の責任をどうするのだと植原氏は言つてるんじやないか。諸君、與党ですら——與党ですら腰抜け外交と言うのだ。しかも、かつての吉田内閣の閣僚なんだよ。それを野党が馬丁外交と言つて、何で懲罰になるのだ。何で懲罰になるのだ。そんなことなら、国会の存在意義はない。よく考えてみたまえ。君たちこそ国会を破壞しているんじやないか。(発言する者あり)何を言つているか。  また、この岡崎氏については、こういうことを言つている。彼は、どんな政権ができても、自分は大臣のいすを離れたくないからということで、シーボルドにあらゆる妥協をしてしまつて、あの行政協定が結ばれた。この岡崎の買弁ぶり、シーボルドに対する茶坊主ぶりには、さすがの吉田側近の白洲すら罵倒したといわれているんじやないか。諸君、どうなんだ。こんなことは、諸君の内部の方がよく知つているんじやないか。それで、自分が点数をかせいだシーボルドを駐日大使にしようとしたところが、これが成功しなかつた。(「何を言つてるか」と呼び、その他発言する者あり)そこで、今度はこの反撃に、白洲が駐米大使になろうとしたときに、あらかじめシーボルドに連絡をして、正式な申出もないのに、アグレマンの拒否を受けてしまつた。この白洲の駐米大使問題について、シーボルドと一緒になつて妨害したということは、これは諸君の與党の内部ですら、この茶坊主ぶりには、どんどん非難が高まつているじやないか。(拍手)しかも、重要なことは、この岡崎外務大臣は、自由党のほかに、他党の首脳部にまで、ひそかに使いを通じて、いかなる政権ができても自分が外務大臣のいすを離れないような事前工作をしていることは、もつぱら伝えられているじやないか。これに対してわれわれがいかなる批判をしようと、いかなる攻撃をしようと、野党の立場としては当然じやないか。このことは、われわれより、むしろ諸君の方がよく知つているはずじやないか。その次に重要な問題は……。(「何が重要だ」と呼び、その他発言する者多し)その次に重要な問題は、きのうソ連の代表部から、ソ連の代表部の存在理由がないという日本政府の通告に対して、そんなことはお前たちの言うことではないんだといつて、しつぺ返しを食わされておるじやないか。これも吉田・岡崎外交の大失敗だ。スエーデンなどを頼んで——スエーデンに頼んで、ソ連に外交関係を結ぼうとしたのが断られている。本来ならば、対日理事会の問題は、アメリカが先頭に立つて解決すべき問題を、日本政府が火中のくりを拾つて、こんな問題を片づけるようなはめに陷れられて、そうしてソ逋に通告したところが、ソ連からは、お前たちの知つたことじやないといつて断られた。こんな醜態が、諸君、どこにあるか。日本人であるならば……。(発言する者あり)日本人であるならば、スエーデンに断られたり、スイスに断られそうになつたり、また自分が通告してソ連から断られたり、こんな醜態外交を、日本人であるならば、だれが許すことができるのだ。
  31. 林讓治

    議長林讓治君) 林君に御注意いたします。林君の発言身上弁明範囲を越えておると思いますから注意を願います。
  32. 林百郎

    ○林百郎君(続) 日本人の血が、いかなることを言つても、この岡崎外交を攻撃するのはあたりまえじやないか、諸君。その私を懲罰にするような諸君は、すでに諸君自身が日本人としての良心の一片がないことを示しているんだ。(拍手)しかも、もつと重要なことは……。(発言する者あり)しかも、もつと重要なことは、昨日、国連軍の総司令官のクラーク大将が、朝鮮の問題が平和的に解決しない場合は、中国本土を……。
  33. 林讓治

    議長林讓治君) 林君は先日の発言につき弁明のため発言を求められておるのですから、別のことにわたらないように、重ねてお願いします。
  34. 林百郎

    ○林百郎君(続) 中国本土を爆撃することは、日本の基地から国連軍の飛行機が飛び立つて、中国本土を全面的に爆撃するということだ、諸君。逆に日本の国連軍の基地が爆撃される可能性のある危険性があるということは明らかではないか、君。このようなとりきめをする吉田、岡崎外交は、明らかにアメリカのために日本を職場にし、国土を戰場にし、日本人を肉彈としてアメリカに提供することになるじやないか、諸君日本の国が戰争か平和か……。(発言する者多し)日本の国が戰争か平和かという場合に……。(発言する者多し)日本が戰争か平和かという場合に、いかに攻撃しても——吉田内閣をあらゆる方法で攻撃して、日本の平和を守り、日本民族独立を守ることは、国民の代表としての国会議員の当然の責務なんだ。平和を守るために、戰争を防ぐためには……。(発言する者あり)平和を守り、戰争を防ぐためには、いかなる言葉を使つても……。(発言する者あり)いかなる言葉を使つても、それはあたりまえなんだよ。(発言する者多し)もし、諸君諸君は一片の良心があるならば、私を懲罰する前に、日本の駐留する全アメリカ軍隊の撤退をアメリカに要求したらいいじやないか。(「一身上弁明じやない」と呼び、その他発言する者多し)また、行政協定についてもそうであります。諸君、明治のわれわれの先輩が、横浜の港のほんの一部に外人居留地があつて、ここへ裁判の管轄権が及ばないということに対して、われわれの明治の先輩は……。(「除名だ」と呼び、その他発言する者あり)三十年間血を流して、この屈辱的條約を撤廃するために鬪つて来たじやないか。ところが、諸君、岡崎外務大臣は、日本の全国土に……(「何を言つているのだ」と呼び、その他発言する者多し)全国土に、アメリカ人であるならば日本の裁判権は全然及ばないというような、われわれの明治の先輩にまつたく顔向けできないような屈辱的なとりきめをしているじやないか。(発言する者多く、議場騒然)われわれが、このような屈辱的なとりきめをするならば、われわれは何のかんばせあつて、われわれの先輩に対して顔向けできるか。何のかんばせがあつて、われわれの子孫に対して顔向けができるか。
  35. 林讓治

    議長林讓治君) 林君には再三注意をいたしておりますが、これを聞くことなく、範囲を越えておりますから、発言を中止します。     〔林百郎君発言継続
  36. 林讓治

    議長林讓治君) 降壇を命じます。     〔林百郎君なお発言継続
  37. 林讓治

    議長林讓治君) 執行を命じます。(発言する者多し)ただちに採決いたします。田淵君外一名提出動議賛成諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  38. 林讓治

    議長林讓治君) 起立多数。よつて議員林百郎君を懲罰委員会に付するに決しました。      ————◇—————
  39. 林讓治

    議長林讓治君) お諮りいたします。内閣から、日本銀行政策委員会委員に岸喜二雄君を任命するため本院の同意を得たいとの申出がありました。右申出の通り同意するに賛成諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  40. 林讓治

    議長林讓治君) 起立多数。よつて同意するに決しました。      ————◇—————
  41. 福永健司

    ○福永健司君 議事日程追加の緊急動議提出いたします。すなわち、益谷秀次君外六名提出戰争犯罪者釈放等に関する決議案は、提出者の要求の通り委員会の審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
  42. 林讓治

    議長林讓治君) 福永君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 林讓治

    議長林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。戰争犯罪者釈放等に関する決議案を議題といたします。提出者趣旨弁明を許します。益谷秀次君。     —————————————     〔益谷秀次君登壇〕
  44. 益谷秀次

    益谷秀次君 ただいま議題となりました戰争犯罪者釈放等に関する決議案について、私はここに自由党、改進党、社会党、社会党第二十三控室を代表いたして、その趣旨を説明いたしたいと思います。  まず決議の案文を朗読いたします。 戰争犯罪者釈放等に関する決議案   講和條約が発効し、独立の日を迎えた今日、衆議院は、国民大多数の感情と家族縁者の切実な念願に副い、フイリピンにおいて死刑の言渡を受けた者の助命、同国及びオーストラリア等外地に拘禁されている者の内地送還について関係諸国の諒解を求めるため、又内地に拘禁されている者については平和條約第十一條による赦免、減刑及び仮出獄の実現を図るため、政府の速やかな措置を要望する。 右決議する。 御承知のごとく、さきに平和條約が発効して、わが国は再び独立国家として国際社会に復帰することとなつたのであります。国民の大多数が、この歴史的な喜びの日を迎えて日本の再出発を祝福いたしたのでありまするが、わが国が国家主権を回復した今日、なお多数の人々が、戰犯の名においていまだなまなましい戰争の惨禍を身をもつて体験しつつあるということは、われわれ同胞のまことに忍びがたいところであります。(拍手)思うに、戰争の責任の一半は、全国民のひとしくわかつべきものでありまして、一部指導的責任者の糾彈処罰はまたやむを得ないものといたしましても、特にB級、C級の戰犯者にあつては、その情状の同情すべきもの多く、不幸なる戰争犠牲者として、暗澹たるその日常を思いやるとき、まことに涙なきを得ないのであります。(拍手)これらの人々はかつては国家存亡のときに身を挺して前線に苦闘し、戰い敗れ、戰犯の汚名を受けて囹圄の身となつた国家の犠牲者であります。(拍手)しかもまた、一家の支柱を失つた家族の人々の経済的窮迫、精神的な打撃はまことにわれわれの想像を絶するものあり、その悲痛な叫びは切々といてわれわれの胸に迫るものがあるのであります。(拍手)新生日本の喜びの陰には、実にかくのごとき同胞犠牲者の懊悩と、限りなき家族の悲歎があるのであります。その、むしろ当然の希求ともいうべき戰犯者の助命、帰還、赦免、減刑並びに仮出獄の実現をすべきは、今やわれわれの負うところの、また当然の使命でなければならないのであります。(拍手) さきに平和條約発効にあたり、一般受刑者に対し、最も広範囲にわたり特に恩赦、大赦の恩典を與えて、あるいはその刑を軽減し、あるいは免除して、この国家的慶祝をわかつたのは、まことに機宜を得た措置と申すべきでありましよう。(拍手)しかも、戰時中国家のため犠牲となつた人々が、いまなお囹圄に呻吟苦悩するという事実は、われわれをして実に断腸の思いあらしめるのであります。伝え聞くに、これらの人々は、日常よく法規に従い、謹愼の実を示して、あえて日本人たるの矜持を失わないということであります。今や戰争は完全に終結して当事国ば相互に信頼と友好の関係を回復すべきときであります。いわゆる戰犯に連なる人々が、関係各国との間における制約のため、いまだにその桎梏を脱し得ないということは、まことに遺憾のきわみであります。すなわち、政府の最もすみやかにして適切なる措置を要望するゆえんであります。すでにして、這般調印された日華條約においては、戰犯者に対する條項は、国民政府においてこれを放棄し、これが批准のあかつきには、関係戰犯者は即日釈放せられるとのことであります。(拍手)また目印條約においても、インド政府が進んでこの條項を放棄せられたのであります。今や全国的な感情にまで盛り上つた戰犯者の助命、釈放等に関し、政府はさらに深い理解と温情をもつて関係各国との折衝に十分なる熱意を示し、すみやかに国民大多数の要望にこたえられんことを切に希望する次第であります。(拍手
  45. 林讓治

    議長林讓治君) 討論の通告があります。順次これを許します。高田富之君。     〔高田富之君登壇〕
  46. 高田富之

    ○高田富之君 私は、日本共産党を代表いたしまして、ただいま議題となりました戰争犯罪者釈放等に関する決議案に対しまして反対の意を表明せんとするものであります。(発言する者あり)     〔議長退席、副議長着席〕 その理由を一言で盡しますれば、この決議案は、わが国民のたれしも持つておる、あたたかい人道主義的な精神と、民族自然の感情たる同胞愛に訴え、これを巧みに利用して、戰犯者に対する同情心を喚起し、かくすることによつて、過去においてわが国がアジア諸国人民に対して犯した重大なる犯罪に対する真劍な反省心を鈍らせ、また今日すでに再起復活しつつある軍国主義的、專制主義的支配者に対する檜悪心を麻痺せしめんとするものにほかなりません。諸君、われわれが、かつて七年前の敗戰のその日、ポツダム宣言を受諾することによつて世界にかたく誓つたことは、わが国家と国民をしてこの重大なる過誤を犯さしめたところの日本軍国主義者の勢力及び権力を永久に排除して、平和と民主主義に徹した新日本を再建することでありました。これこそ、アジア諸国人民に加えた、はかり知るべからざる罪をあがなう、ただ一つの道であります。  しかるに、諸君、今わが国が歩みつつある道は、またしてもアジア諸国人民を敵として再軍備を急ぎ、アメリカ侵略軍に協力して、現に朝鮮同胞の殺戮に重大な役割を演じておるではないか。單独講和、日米安全保障條約は、中国及びソ同盟に対する新たなる宣戰布告であります。かかる破廉恥なる背信行為を軍ねることによつてアジア諸国の人民の不安と猜疑心をますます深め、今やわが国はアジアから完全に孤立する道を進んでおります。諸君、一方でこのような誤つた道を歩みながら、戰犯者の釈放だけを、人道的見地をたてにとつて要請するがごときことが、はたして許さるべきかいなかは、少しく物事を冷靜に、まじめに考えるならば、おのずから明らかであるといわなければなりません。(拍手)次に、私は、このような決議案提案者諸君の思想の中には見のがしがたい問題があると考えるので、その二、三の点を指摘しておきたいと思う。その第一は、罪は全国民にあつていわゆる戰犯者だけにあるのではないという考えであります。これは明らかに、みずからが戰犯者もしくはその同類であるため、罪を国民全体に帰し、みずから責任を回避せんがためにこね上げられた、三百代言的詭弁にすぎません。第二に、戰争犯罪そのものは憎んでも、戰犯者その人を憎まないというたぐいの人道主義的な擬裝をこらした欺瞞的理論もあります。しかし、諸君、戰犯者なくして戰犯はあり得ないではないか。第三に、連合国の戰犯裁判は、勝つた者が負けた者をさばいたので、公平な第三者による裁判でないから不公正だというがごとき、驚くべき暴論があります。これは、負けたことだけが悪かつたという考えに通じており、明らかに戰犯そのものを否定する思想である。しかし、いまさら言うまでもないが、過ぐる第二次大戰は、凶暴野蛮な日独伊三国のフアシズム侵略者を打倒し、人類世界に自由と人権と恒久平和の基礎を確立せんとする崇高な理想のもとに戰われたものであつて、連合国の戰争目的は正義に立脚していたからこそ勝利したのであり、反対に日独伊の侵略者どもは、不正義なればこそ必然的に敗れるべき運命にあつたのである。それゆえ、連合国による戰犯裁判は、正義のさばきとしてこれを甘受すべきものであり、これに難くせをつけるがごとき者は、みずから再び同じ犯罪を繰返さんとするものであります。(拍手諸君、しかしながら、この連合国の正義の大理想は、残念ながら、アメリカを先頭とする帝国主義者どもによつて、その後完全に蹂躪し盡されてしまつたのであります。ここに今日世界人類の不安と不幸の根源がある。彼らは、日独両国を占領した瞬間からポツダム宣言を踏みにじつて両国の永久占領を企て、これを新戰争の足場にかえて来たのである。そのため、わが国はまつたアメリカの軍事的植民地となり、あるいは買弁財閥、秘密警察は復活し、再軍備は進められ、戰犯はかつてに釈放され、追放も解除されて国家の枢要な機関に復帰しているのである。また、━━━━━━━━━━━━━━━━━のであります。一九五〇年、ソ同盟が、旧関東軍細菌戰犯として天皇を初め、石井元中将らの引渡しを要求したが、アメリカの拒否するところとなつておる。しかるに、本年二月の朝鮮民主共和国朴外相の声明によれば、米軍の朝鮮における残虐きわまる細菌戰に、かつてソ同盟によつて摘発された戰犯石井らが協力していることが明らかにされているではありませんか。(拍手)今日では、アメリカ帝国主義者は、極東裁判は行き過ぎであつたとして、逆に戰犯を日本の重要な地位に復帰させることにより、最もアメリカに忠実にしてかつ好戰的な日本の再建工作に熱中しているのである。日本の反動どもは、またこのアメリカの意図に完全に便乗して、その野望をたくましくしておるのであります。これこそ、今日かかる決議案を、国会にまで、おくめんもなく提出せしめるに至つた政治的、社会的背景であります。(拍手諸君、われわれはアジアに敵対する一切の戰争準備と再軍備に反対し、米軍の撤退を要求しなければなりません。ポツダム宣言の厳正なる履行こそが、第二次大戰後、わが民族に課せられている唯一最高の責務であります。かくてこそ、初めてソ中両国を含む全アジア、全世界人民の心からなる支持と協力をかち得て、戰犯の問題のごときも、またおのずから、根本的に、かつ永久的に解決されるでありましよう。それこそ、本決議案は、今日のわが国にとつて、まさに百害あつて一利なきものであり、わが党の断じて賛同をし得ないところであります。(拍手
  47. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 中村又一君。     〔中村又一君登壇〕
  48. 中村又一

    ○中村又一君 私は、ただいま上程されましたる戰争犯罪者釈放等に関する決議案に対しまして、改進党を代表して賛成の意を表明せんとするものであります。(拍手)申すまでもなく、平和條約第十一條は「日本国は極東国際軍事裁判所並びに日本国内及び国外の他の連合戰争犯罪法廷の裁判を受諾し、且つ、日本国で拘禁されている日本国民にこれらの法廷が課した刑を執行するものとする。」と規定しております。これを正確に文言に即して理解いたしますならば、わが日本国が刑を執行するものとせられているものは、平和條約制定の際、現にわが国内において拘禁されている日本国民に限ることとなると申さなければならないのであります。しかるに、なおオーストラリアのマヌス島や、フイリピンのモンテインルパ刑務所には数百の戰犯が收容されているのでありまするが、政府はこの事実を何と見ておられるのでありましようか。私は、この平和條約第十一條の明文に照しまして、これらの外地に放置せられている戰犯者の收容拘禁の事実に思いを及ぼしましたときにおいて、かかる外地の拘禁者に対しては、平和條約第十一條の規定は、まつたくこの平和條約の対象外としているのかどうかを深く疑わねばならぬのであります。もとより、日本国で拘禁されている日本国民、すなわち巣鴨刑務所における戰犯者につきましては、平和條約第十一條におきまして「これらの拘禁されている者を赦免し、減刑し、及び仮出獄させる権限は、各事件について刑を課した一又は二以上の政府の決定及び日本国の勧告に基く場合の外、行使することができない。」と規定せられ、さらに「極東国際軍事裁判所が刑を宣告した者について、この権限は、裁判所に代表者を出した政府の過半数の決定及び日本国の勧告に基く場合の外、行使することができない。」と定めているのでありますが、この赦免、減刑ないし仮出獄の権限は、国外に拘禁中の者に対しましても同様に行使さるべきものであることは、われわれの最も関心深く要望してやまないところであります。しかして、今日巣鴨刑務所に收容されている人々の罪状とせられるところは、あるいは平和に対する罪であり、あるいは人道に対する罪とせられるところのものでありまして、いずれも極東国際軍事裁判所條例の定めるところであつたのであります。しかるに、今や極東国際軍事裁判所は解散して存在せず、いわんや平和條約はすでにその効力を発生しているのでありますから、列国も犯罪に対する恩赦の歴史と実例を有する関係もあり、国内犯に対しましては、過般実施されました大幅恩赦の精神は、ここにもそのまま働かさるべきものであることは当然なりと確信するところであります。(拍手)さらに一言いたしまするならば、戰犯者に対する裁判は、国内犯の場合と異なつて、いわゆる控訴、上告等の審級制度による利益もまつたく受けておらず、一審即判決確定となつて服役したものであつて、気の毒の至りでございます。しかも、裁判官は戰争に勝てる国がこれに当り、戰勝者が戰敗者をさばき去つたのでありますから、時日の経過とともにその裁判は再検討せられ、その刑の執行につきましては、これを赦免することこそ、世界情勢の変化とともに適当とするに至るべきことは、この種国際裁判の特性であると断言せざるを得ないのであります。(拍手)私は、六年十箇月前、日本の占領及び管理が開始されましてから、日本の軍備の廃止、軍需品生産の禁止、公職追放、反民主主義団体の解散、戰争犯罪人の処罰など、次ぎ次ぎに行われたのを思いまして、今日は諸国との間にいよいよ平和は成立いたしまして、日米安全保障條約の締結も結実いたしましたる今日でもありまするから、いわゆる戰犯者たちが、講和になれば恩赦になると考えましたのも、一面の理由は十分あつたものであると、私は同情にたえない次第でございます。(拍手)私は、戰犯の裁判と刑の執行は、固有の司法権の行使とはおのずから別個の行政的考慮に出た措置であることを指摘いたしまして、われわれ政治家の政治が、これが解決に十分なる働きをなさらなければならぬことを提唱せざるを得ないのであります。政府は、勧告書を極東委員会の構成国でありましたる国々に送るとか、あるいは列国に特使を派遣してこれを要請するなど手段を盡しまして、いわゆる国際的恩赦のすみやかに実現せられんことを要望いたしてやまないのであります。(拍手)  飜つて見まするのに、いまだなおソ連及び中共地域には、多数の未帰還者が帰国の日を待ちわびております。かかる非人道的な抑留国に対しまして抑留者の帰国を促進せしめるわれわれの念願は、同時にいわゆる戰犯者の拘禁を解かんするわれわれの心情と相通ずるのでありまして、私は、このためにも一層強く釈放を勧告せなければならぬと痛感をいたし、政府の奮起を願つてやみません。私は、本決議案に対する賛成演説を通じて、戰犯者の国内、国外にあるとを問わず、一日も早くわれわれとともに平和独立の喜びをわかち、相携えて世界人類の幸福のために協力し得る日の来らんことを念願いたし、広く内外の良識に訴える次第であります。かくして、世界人権宣言の精神が強く貫かれまして、一日も早くこの戰犯者たちの釈放が実現することを期待いたしまして、本決議案賛成するものであります。(拍手
  49. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 堤ツルヨ君。     〔堤ツルヨ君登壇〕
  50. 堤ツルヨ

    ○堤ツルヨ君 私は、ただいま上程になりました戰争犯罪者釈放等に関する決議案について、日本社会党を代表いたしまして、簡單に賛成の意を表したいと存じます。(拍手)ただいま益谷議員が提案者として御説明になりました、また改進党の中村議員がるる御説明になりました点とは重複いたさない程度において説明をいたしたいと存じます。共産党の方々は戰犯釈放に対して反対をなさいますが、戰争犯罪人、ことに今日服役いたしておりますところの、B、C級が絶対に多いところの戰争犯罪人、一体どうしてこの戰争犯罪人が生れたか、よく原因を追究してみますると、国家の至上命令で動いたのでございます。(拍手)この国家の至上命令で動いたところの人々は、当時上官の命令に従わなかつたら、御存じの通り軍事裁判にかけられて、この人たちはその責めを問われたのでございます。この人たちが、国が講和に調印をいたしまして、国際場裡に堂々と出るの権利を獲得いたしました今日、この国の至上命令によつて動いた個人が釈放されないということは、人道的な見地から、まことに耐え得ないところでございます。(拍手)私たちが、委員会におきまして法務府並びに外務省当局からその数を伺いますと、内地服役九百二十五名、外地三百十七名、合計一千二百四十二名でございまして、この中に韓国人、台湾人が九十六名あるのでございます。この方々は、B、C級が、先ほど申しましたように圧倒的であります。皆さん御承知通り、当時政局を担当して軍と協力し、この議会議席を持つて、その国策遂行に協力し、計画したところの当時の政治家が追放を解除されて、再びはなばなしく政界にデヴユーしようとしておるのであります。この計画のもとに動いた人々が、これに反して服役しなければならないとは、何たるお気の毒な状態でございましようか。これは、まさに国会にある者が責任を痛感しなければならないと存じます。  私は、この決議案に、むしろ即時釈放をつけていただきたいものでございます。(拍手委員会における政府の答弁は、これらの戰犯を裁判いたしましたところの米国、英国、蘭印、仏印などの諸外国に対しまして、書類をつくつて、公式に交渉段階にあると答えておるのであります。それにつけましても、政府の事務停滯が、この答弁の片々にうかがわれるのでありまして、私は、この本会議場を通じて、特に外務大臣、法務総裁に、すみやかなる事務の処理を要望いたしておきたいと存ずる次第でございます。(拍手)  わが党の婦人議員、五名そろつて、数日前に、巣鴨の九百三十名の戰犯の方々をおたずねいたしました。長きにわたつては十数年、最も短かくて五、六年、これらの人々は、家族の顏を見ることもなく、太陽を恋い、ふるさとを恋い、肉親を思つて、悶々やる方なく、希望なき日を送つておるのでございます。ここで参考のために、私の手元にはるか海を越えて送られて参りましたところの、比島モンテインルパに服役する死刑並びに有無期刑百九名よりの切々血を吐くごとき嘆願書を読んで、議場を通じて、議員諸公並びに国民の、この方々に対する同情の輿論を喚起いたしたいと存ずるのでございます。  「当所においては、四月二十八日午前十時半、虜囚一同、小暗き刑房の廊下に相つどい、ささやかなる式を催し、終戰後初めての君が代を感激の涙にぬれて合唱いたしました。終戰以来七年の今日、奇蹟的に生命を全うし得まして、この講和発効の喜びを迎え、国運の将来に再び光明を見出すことができましたことは、感激おくあたわざるところであります。従つて、この講和條約が、軍に歴史の一事実としてのみならず、国民一同の永久平和の実行宣言となることを念じてやみません。この喜びの日にあたりまして、一般犯罪者は数十万人も恩赦に浴します由、しかし戰争犠牲者として当地に今なお抑留されています人々は、今日あるを楽しみに恥を忍んで生き拔いて参りましたのに、外地にありますため、何らの恩典をも受け得られない現状を思いますとき」と、切々と外地から訴えておるのでございます。  また、先ほど提案者からも留守家族の実情についてお話がございましたが、私たちがその戰犯の家族の生活状態について実情を調査いたしましたところ、どうにかこうにか家族がささやかに生命をつなぎ得て来たというのが二百世帯でございます。残る世帯は、講和発効と同時に釈放されるまではと思つてがんばつて来たが、もうどうにもならないというのがほとんどでございます。その手紙を受取りました巣鴨の方々は、この家族の見るにたえない情ない状態を非常に悲しみまして、数人の自殺未遂者をも出したのでございます。未復員者給與法の適用さえも受けず、家族が今日まで耐えて参りましたことを思うとき、まことに同情にたえません。即時釈放を望むと同時に、気も狂わんばかりのこの希望なき人々を救うとともに、留守家族の援護が適切になさるべきでございまして、この点を強く政府に要望いたしたいと存じます。  この、わが国議会での叫びは、おそらく世界の各国々の人々にはよく理解していただけることと存じます。国際人道的な見地から、関係諸外国が日本政府に協力されんことを切に望むとともに、日本政府は、この信念をもつて、即時遂行の段階に入つていただきたいと存じます。これをもつて賛成討論を終ります。(拍手
  51. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。本案に賛成諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  52. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は可決いたしました。(拍手)  この際木村法務総裁から発言を求められております。これを許します。法務総裁木村篤太郎君。     〔国務大臣木村篤太郎君登壇〕
  53. 木村篤太郎

    ○国務大臣(木村篤太郎君) ただいま成立いたしました決議に対して、政府の所信を披瀝いたしたいと存じます。  戰争犯罪に問われまして、ただいま内地に服役されている人は九百二十四名、国外において服役されている方が三百数十名に及んでおるのであります。これらの人々は、長きは十数年、短かい者でも五年以上、家郷を離れまして、戰時中軍人または軍属として公務に盡瘁された方々でありますが、不幸にして戰争犯罪に問われた人方であります。その心中を察しまするときに、まことに同情を禁じ得ないものがあるのであります。ことに、長い間一家の柱ともいうべき人が不在であつたため、精神的にも経済的にも多大の苦痛を受けておられる、これらの人々の家族のことを思いますときには、まつたく皆様と同様、涙なきを得ないのであります。(拍手)  外地にある戰犯者の内地送還及び助命につきましては、もつぱら関係国の決するところでありますが、政府におきましては、外交折衝によりまして、関係国の好意ある処置が実現いたされまするように、極力努力を拂いつつあるのであります。また平和條約の発効によりまして、内地にある人々の赦免、減刑及び仮出獄の道が開かれておりますので、これらの処置は、日本側が勧告して、関係各国がこれに同意の処置を決定して行うことになつたのでありますが、政府におきましては、這般国会の御審議を得られました、これらの勧告の手続に関する法律が、平和発効の日に公布施行されましたので、ただちに関係国に対しまして、この勧告の方式に同意を求むるよう申入れをなしておるのであります。同時にまた、勧告の際、相手国をしてすみやかに同意せしめるよう、これらの人々に関しましたる調査を開始いたしまして、ただいままでに仮出獄に関する二百数十名の調査がほぼ完了いたしました。今後赦免、減刑に関する手続を進めるところであります。政府におきましては、今日まで、あらゆる機会をとらえまして、公式あるいは非公式に、関係国の好意ある取扱いを得べく努力を拂つておりますが、今後もこの努力を続けまして、仮出獄はもちろん、赦免または減刑につきましても、調査の上、正式に勧告を行いましてこの不幸な事態を一日も早く解消させまして、本日の御決議に対しておこたえ申し上げる次第でございます。(拍手)      ————◇————— 農業共済基金法案内閣提出参議院回付
  54. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 参議院から、内閣提出農業共済基金法案及び道路交通取締法の一部を改正する法律案が回付されております。この際議事日程に追加して、右回付案を逐次議題とするに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。まず、農業共済基金法案参議院回付案を議題といたします。
  56. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 採決いたします。本案の参議院の修正に同意の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  57. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて参議院の修正に同意するに決しました。      ————◇————— 道路交通取締法の一部を改正する法律案内閣提出参議院回付
  58. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 次に道路交通取締法の一部を改正する法律案参議院回付案を議題といたします。
  59. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 採決いたします。本案の参議院の修正に同意の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  60. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて参議院の修正に同意するに決しました。      ————◇————— 第五国会議員選挙等執行経費基準に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出
  61. 福永健司

    ○福永健司君 日程第一は延期し、この際日程第五を繰上げ上程し、その審議を進められんことを望みます。
  62. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 福永君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。日程第五、国会議員選挙等執行経費基準に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。地方行政委員会理事河原伊三郎君。     〔河原伊三郎君登壇〕
  64. 河原伊三郎

    ○河原伊三郎君 ただいま議題となりました国会議員選挙等執行経費基準に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、地方行政委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。御承知のごとく、国会議員選挙等執行経費基準に関する法律は、国会議員選挙、最高裁判所裁判官の国民審査及び日本国憲法第九十五條の規定による一の地方公共団体のみに適用される特別法の制定に関する住民投票の適正かつ円滑な執行を確保するため国において負担することになつておるこれら選挙等執行経費で、都道府県及び市区町村に交付する経費の基準を定める目的をもつて昭和二十五年施行されたものでありますが、その後の物価及び賃金の騰貴にかんがみまして改正せんとするものであります。改正の第一点は、一面には公務員の給與、鉄道旅客運賃、郵便料金、電信電話料金及び電気料金の改訂、用紙、燃料等の価格騰貴を考慮し、他面には、あとう限りの節約をはかるとともに、事務の執行にくふうを凝らし、経費の増高を避ける趣旨をもつて種々検討をいたしました結果、節約によつてもなお補うことのできない選挙事務従事者の超過勤務手当選挙事務執行上の旅費、通信費、電燈料、薪炭費、用紙、ガソリン代筆について改訂する必要を認めて改正しようとすること。第二点としては、公職選挙法施行後の同法の改正によりまして、選挙事務の態様にも多少の変更が出て参りましたので、経費の基準についても改正しようとすること。第三点としては、本法施行後の実績にかんがみまして、なかんずく市及び区における事務費の増額の必要を認め、経費積算の基礎を規定しようとすること。第四点としては、参議院議員の再選挙または補欠選挙を執行する場合の経費算出方法を明確に規定しようとすることなどであります。以上が本法案の内容でありますが、本法案は、二月十九日、本委員会に付託せられ、二月二十一日、保利内閣官房長官より提案理由の説明を聽取し、二月二十八日以来数回にわたり質疑応答を重ね、六月十一日質疑を終了したのでありますが、たまたま公職選挙法の一部を改正する法律案がこのほど本院を通過いたしました結果として、これに伴いまして、経費基準法の内容となつておりまする国会議員選挙等執行経費基準を修正する必要がありますことば申し上げるまでもありませんが、本委員会において、六月十一日、政府原案に対する討論採決に入るに先だちまして、自由党及び改進党委員共同により、床次委員外九名から修正案が提出せられましたので、この修正案を上程し、まず床次委員より修正案の理由及び内容について説明を聽取した次第であります。  ここに修正案の理由及び内容の大要について申し上げます。  その第一点は、選挙公報の内容の拡充に伴うものであります。現在は公報の字数は五百字となつておりますのを、衆議院議員の選挙の特例として千五百字に改められます関係上、用紙の量及び印刷費の増額を来すものであります。  第二点は、候補者の氏名等の掲示の拡充に伴うものであります。この掲示は一投票所につき三ないし五箇所と規定されておりますので、予算面では四箇所分を見ておりましたのを、許される最高の五箇所掲示といたし、板材を用い、候補者一人当りのスペースも大きくするので増額を来すものであります。  第三点は衆議院議員の選挙の特例でありまして、個人演説会の表示のための立札の公営に伴うものであります。第四点は、やはり衆議院議員の選挙の特例でありまして、個人演説会の告知のためのポスター用紙の公営に伴うものであります。第五点は、候補者が使用するポスターは、参議院全国選出議員の選挙の場合を除いて他はすべて廃止するのに伴うものであります。以上のほかに、経費の増加を伴う公職選挙法の一部改正といたしまして立会演説会の開催度数の増加に伴うものがあります。但し、これは本改正法案に対する修正の必要はないのであります。さらに、公職選挙法の改正とは直接関係はありませんが、国家公務員等の旅費に関する法律が改正せられ、本年四月一日から適用されておりますので、この際あわせて修正しようとするものであります。以上申し上げましたところは、ポスター用紙の廃止の点を除きましてはいずれも経費の増額を伴うものでありますが、公職選挙法の改正案におきましては、個人演説会の開催度数を候補者一人当り四十回に制限いたしておりまして、予算的には六十回分の経費を見ておりましたために、二十回分が不要となり、また無料はがきは三万枚を一万枚に減ぜられましたため、経費が浮いて参ります。その結果、この修正案に基く衆議院議員総選挙等のための経費は、本年度予算に盛られております衆議院議員総選挙の経費のわく内でまかない得る次第であります。最後に修正しようとする二点を申し添えますると、第一は、改正法案の適用期日を、昭和二十七年一月一日から適用あるものと修正しようとすることであります。第二は、公職選挙法の改正案は、衆議院議員の撰挙については次の総選挙から、参議院議員その他の選挙については本年九月一日から施行することとされております。本修正案は、それまでの間に行われ、または行われる国会議員選挙等にもこの経費基準法の改正案を適用するために必要な措置を講じようとすることであります。以上が修正案の内容の大要でありますが、この修正案に対し、六月十一日提案者の説明を聽取した後、ただちに質疑を行い、即日これを終了し、ついで原案並びに修正案について討論を行いましたところ、日本社会党を代表して門司委員より賛成の意を表せられ、日本共産党を代表し立花委員より反対の討論がありました。次いで採決いたしました結果、多数をもつて修正案並びに修正部分を除く原案が可決せられ、よつて本案は修正議決すべきものと決した次第であります。以上御報告を申し上げます。(拍手
  65. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 採決いたします。本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  66. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り決しました。(拍手)      ————◇—————
  67. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 日程第二、開拓者資金融通法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。農林委員会理事遠藤三郎君。     〔遠藤三郎君登壇〕
  68. 遠藤三郎

    遠藤三郎君 ただいま議題と相なりました、内閣提出開拓者資金融通法の一部を改正する法律案につきまして、農林委員会におきまする審議の経過並びに結果の大要を御報告いたします。御承知のごとく、昭和二十一年度に開拓者資金融通法が成立いたしまして、爾来政府は、同法に基きまして開拓者に対し営農資金、住宅資金及び共同施設資金につき長期低利の融通をいたし、開拓者の営農の改善、向上をはかつて参り、今日まですでに七十八億円に上る貸付をいたしまして、開拓政策の遂行に多大の貢献をしておる次第であります。しかしながら、昭和二十三年度以前の入植者にありましては、当時インフレの高進期にありましたために、物価の変動著しく、予算わく内の貸付資金では、当初予定しただけの営農資材を取得することができませんので、当時の入植者の中には、今なお営農の安定を得ていない者がありますので、これらの者に対し営農資金の貸付を受ける機会をさらに與えて営農の安定をはかろうとするのが、本法案提出の理由であります。次にその内容を簡單に申し上げますと、入植後すでに数年を経過いたし、ある程度の経済力を持つに至つた開拓者を対象といたし、現行の長期資金のほかに、いわゆる中期の営農資金を設定し、特に家畜導入の資金に充てようとするのが本案の趣旨でありましてその利子は年五分五厘とし、二年すえ置き、三年間均等年賦償還の方法によるものであります。なお本年度においては二億一千七百万円の資金が計上されております。本法案は、去る五月十日、本農林委員会に付託され、六月六日、農林政務次官より提案理由の説明を聽取いたし、翌七日及び十日の両日質疑を行いましたところ、改進党大森委員、社会党井上委員、社会党第三十三控室足鹿委員、共産党竹村委員等の各委員から御発言がございました。詳細は速記録に譲りますが、その際御発言の各委員から、開拓者が特に困難な條件のもとに食糧増産に挺身しているという現状を考慮して、さらに利子を引下げることをやるべきであるとの意見が開陳されたことをつけ加えておきます。質疑終了後、討論に移りましたところ、共産党竹村委員は本法案の趣旨そのものには反対ではないが、開拓者の特殊事情にかんがみ、無利子で貸付けることが妥当であるとして、本法案に反対の意見を述べられました。次いで採決を行いましたところ、多数をもつて政府原案の通り決した次第であります。なお本法案に対し、自由党平野委員から附帯決議を付したいとの動議提出されました。その附帯決議は、開拓者資金融通法の一部を改正して、開拓農民に対する中期資金の貸付制度を創定し、その営農の基礎を確立しようとすることは、もとより適切な措置であるが、今後なお国の強力な保護育成を必要とする開拓地の特殊性にかんがみ、その金額を増加するとともに、貸付利率は極力これを引下げるよう努力すべきであるというのであります。これを採決いたしましたところ、全会一致をもつて、この附帶決議を本法案に付することと決した次第であります。以上御報告いたします。(拍手
  69. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  70. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。      ————◇—————
  71. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 日程第三、道路交通事業抵当法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。運輸委員会理事滿尾君亮君     〔滿尾君亮君登壇〕
  72. 滿尾君亮

    ○滿尾君亮君 ただいま議題となりました道路交通事業抵当法案につき、運輸委員会における審査の経過並びに結果を報告いたします。まず本法案の趣旨を申し上げますと、最近における道路運送事業及び通運事業の顯著なる発達に伴い、企業経営の維持及び拡充をはかるため、金融の円滑化に対する業界の要望切なるものがあります。これに対処するため、個々の自動車に対しては、昨年六月自動車抵当法が制定せられ、短期資金調達の道が開かれたのでありますが、さらに設備資金等の長期資金調達の円滑化をはかるため、企業を一体として担保に供する財団抵当制度を確立する必要がありますので、この法律を制定しようというのであります。次に本法案の骨子を簡単に申し上げますと、第一に、財団を設定し得る者は、一般自動車運送事業者、自動車道事業者及び通運事業者とし、これらの事業者は、その事業単位の一または二以上について財団を設定することができることとなつております。第二に、財団を一個の不動産とみなし、工場抵当法にならつた法体系をとりました。従つて、財団の登記に関しては不動産登記法の規定が、財団の抵当権に関しては民法上の抵当権の規定が、また財団の抵当権の実行に関しては民事訴訟法及び競売法の規定がそれぞれ適用せられることになつております。第三に、財団の担保価値を高めるためには、財団に属する事業の一体性を確保することが必要であるので、事業用の物件が財団に当然所属すること、原則として財団組成物件の個々的な処分を禁止すること、競落人は免許に属する権利義務を当然承継すること等を規定いたしております。本法案は、五月二十一日、予備審査のため運輸委員会に付託され、同月二十六日、提出者より提案理由の説明を聽取し、愼重にこれを審査いたしたのでありますが、本月六日参議院より送付され、運輸委員会に本付託となつたのであります。本法案審査に当りましては熱心な質疑応答があつたのでありますが、その詳細は会議録によつてこらんを願いたいと存じます。かくて、本月十日質疑を打切り、討論を省略して、ただちに採決の結果、本法案は多数をもつて原案の通り可決いたしましたところ、滿尾委員より本法案に対する附帯決議を行いたい旨の動議提出せられ、採決の結果、全会一致をもつて可決いたしました。その内容は、道路運送事業及び通運事業の重要性にかんがみ、本法案の成立は長期資金の確保に資するものとして当を得たものであるが、さらに当該事業を日本開発銀行等の融資対象事業に指定する等、資金の確保、あつせんに関し強力適切なる措置を講じ、本法の運用上遺憾なきを期するよう政府に対し要望したものであります。以上のごとく、本法案は右の附帯決議を付して可決すべきものと決した次第であります。右をもつて報告を終ります。(拍手
  73. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  74. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)      ————◇—————
  75. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 日程第四、日本赤十字社法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。厚生委員会理事青柳一郎君。     〔青柳一郎君登壇〕
  76. 青柳一郎

    青柳一郎君 ただいま議題となりました日本赤十字社法案について、厚生委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。赤十字は、世界の平和と人類の幸福をもたらすために、一八六四年、ジユネーヴにおいて、スイス国外十一箇国の間に締結せられた、戰時における戰傷病者を救済しようとする赤十字條約によつて確立せられ、一九〇六年及び一九二九年の再度の條約改正を経て、現在わが国を初め七十箇国によつて支持せられておるのであります。また赤十字社は、赤十字條約加盟各国において、この條約の崇高な使命を達成するために奉仕しようとする、平和を愛好する人々によつて組織せられ、その活動は、赤十字條約の規定に従つて戰時における戰傷病者の救済に奉仕するほか、常時において人々の健康を増進し、疾病を予防し、また天災地変その他不測の不幸から派生する生活上の苦痛を軽減することにあらゆる努力と奉仕がなされ、しかもこの努力と奉仕は、自国民のみにとどまることなく、各国赤十字社相協力して、可能なる限り広く世界各国の人々の上になされるものであり、このため、赤十字條約加盟国の各赤十字社は国際赤十字機関を構成して、組織ある赤十字活動を展開し、かつ赤十字活動を通じて強固な国際親善の基礎をつちかい、世界恒久平和の達成に貢献いたしており、各国政府も自国赤十字社を公認し、種の特権と便宜を與え、その発展振興に当つておりますことは、御承知通りであります。  ことに、昨年九月平和條約調印の際、日本は平和條約発効後一年以内に、千九百四十九年八月十二日の戰争犠牲者の保護に関するジユネーヴ諸條約に加入することを世界に宣言いたしましたことから、日本赤十字社の制度をこの際すみやかに確立して、該條約受入れの態勢を整えますことは、平和を愛好するわが国の真摯なる態度世界に宣明するものであると深く信ずる次第であります。従つて日本赤十字社に対し、その所期する活動を期待いたしますためには、現在のような民法上の一般社団法人として運営せしめることなく、日本赤十字社の性格とその実態に即し、特殊法人としての法的根拠を與え、国の指導援助のもとに、強力にしてかつ健全な運営をはからしめることが最も緊要であると信ずる次第であります。  以上が日本赤十字社法案提案の理由であります。  本法案の内容のおもなる点について申し上げますれば、第一に、日本赤十字社は、赤十字に関する諸條約等の精神にのつとつて、赤十字の理想とする人道的任務の達成に当ることを目的とすることにいたしたのであります。  第二に、日本赤十字社の国際的な性格にかんがみ、その運営の成否は国際信用の土に至大の関係を持つものでありますので、国際赤十字の一員としてその本来の使命を果すよう、国際協力の原則を規定したことであります。  第三に、日本赤十字社に対する国の立場を明らかにしたのであります。日本赤十字社の活動は、赤十字條約の規定に基き、篤志赤十字機関として国の赤十字に関する條約業務に奉仕し、平時においては健康の増進、疾病の予防及び苦痛の軽減等のための国家的施設を補足するものでありますから、国は日本赤十字社によつて実施せられるこれらの役割に対し、その代償として必要な特権と便宜を與え、また物心両面にわたる援助をなすことといたしたのであります。しかしながら、他面、日本赤十字社の役員の決定、その他運営の本質に直接関係ある事項につきましては、赤十字国際会議において決議せられた諸原則を尊重し、またその国際的な性格から考えて中立性を保持せしめる必要より、その自主性を重んじ、不当な関與はこれを避けしめることといたしたのであります。  第四に、日本赤十字社淡現在なお一千三百万人に及ぶ社員を擁する全国的組織の社団たる性格にかんがみ、その基盤たる社員について一章を設け、その資格、加入、脱退並びに権利義務等を明確ならしめておるのであります。  第五に、日本赤十字社の業務を明らかにするとともに、赤十字に関する條約に基く業務並びに非常災害時または伝染病流行時における非常救護のために必要とする看護婦等救護要員の確保について、必要な看護婦の養成等に関する事項を規定したことであります。  次に、日本赤十字社の行う事業に対し、国または地方公共団体が助成の道を講じたことであります。日本赤十字社は、その性格から、社員の醵金により維持経営せられるのが理想でありますが、非常救護のための救護班の派遣、病院、診療所及び療養所の施設、あるいはまた救護員の養成等のためには多額の費用を要することが予想せられるのでありまして、單に社員の醵金のみをもつては、とうていまかなうことができないのみならず、これらの業務はいずれも国家的施設の補足をなすものでありますので、これらの費用に対して、国または公共団体は、あるいは補助金を支出し、あるいは有利な條件で貸付金を支出し、または財産を讓渡貸付できることとして助成することにいたしたのであります。  最後に、日本赤十字社は、その本来の業務に必要な資金について寄附金を募集し得る旨の規定を設けたのであります。日本赤十字社がその業務を行うに必要なる経費につき、社員の醵金で不足する分については、従来いわゆる白い羽募金を毎年一回定期に実施して参つたのでありますが、これについては、社会福祉事業に要する経費を除いた日本赤十字社本来の業務に必要な募金を行う場合には厚生大臣へ届け出ることといたし、さらに特別の事情に基ことといたし、さらに特別の事情に基き必要な経費に充てるため臨時に実施する寄付金募集については厚生大臣の許可を受けることといたしたのであります。  本法案に関しましては、その重要性にかんがみ、五月十六日特に小委員会を設け、連日会議を開いて調査研究に当つたのでありますが、その間しばしば日本赤十字社副社長以下の関係者、中央共同募金委員会関係者等を参考人とし招致し、日本赤十字社の組織、運営その他各般の問題について慎重審議が続けられたのであります。  かくして成案を得ましたので、本月七日、日本共産党を除く各派の共同提案をもつて委員会に付託せられ、十日、提案者を代表して私より提案理由の説明を聽取した後、ただちに審議に入り、引続き十一日の委員会において、日本赤十字社の目的、性格、本支部の機構、救護員の養成、寄付金募集等の諸点について、きわめて熱心なる質疑応答が行われたのでありまするが、その詳細については会議録によつて承知願いたいと存じます。かくして質疑を打切りましたところ、自由党の中川委員より寄付金募集の点につき修正案が提出せられたのであります。その要旨は、日本赤十字社の事業に必要なる経費は、原則としてまず社員の醵出金でまかなうのが当然であり、その不足ある場合に限り募金を認めることとすべきであるが、それも当分の間に限るべきである、その意味において、本法案の第三十六條及び第三十七條を附則に移し、これに伴う條文字句の整理をしようとするものであります。  次いで、右の修正案並びに修正部分を除く原案について討論に入りましたところ、日本社会党を代表して岡委員、日本社会党第二十三控室を代表して福田委員より、それぞれ希望を述べて賛成意見の開陳があり、日本共産党を代表して苅田委員より反対意見が述べられたのであります。  右をもつて討論を終り、ただちに修正案につき採決に入りましたところ、日本共産党を除く多数をもつてこれを可決し、次に修正案を除く原案について採決しましたところ、これまた同様多数をもつて原案通り可決すべきものと決した次第でございます。  以上御報告申し上げます。(拍手
  77. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 討論の通告があります。これを許します。苅田アサノ君。     〔苅田アサノ君登壇〕
  78. 苅田アサノ

    ○苅田アサノ君 ただいま上程されておる日本赤十字社法案に対しまして、日本共産党を代表して反対の意見を申し述べます。  この法案は、終戰後民間団体であつた日本赤十字社を特殊法人組織にし、国から多くの特権を公然と得ることを目的といたしたものであります。元来、国際赤十字の主要なる任務は、国籍、人種、宗教、思想、政治的見解の別なく、公平無私に人類の苦痛を救うということにあるのであります。国を越え、政府を越えて、かかる国際的な條約義務を遂行するために中立を重んじ、日本赤十字社法にも特に自分の国に対する自主性が強調してあるのはこのためであります。  ところが、実際の組織はどうなつておるか、というと、総裁には皇后を置き、社長には旧華族、各府県の支部長には府県知事、この下の分区長には市町村長を充てるといつたやり方で、国と政治に強く結びついているのが現状であります。これでは、国を越え、政治的見解を越えた自由な行動がとれるはずがないのであります。  周知のごとく、朝鮮動乱が始まると、日本赤十字社は、国内全組織に呼びかげまして、一方的に南鮮と国連軍とを支持し、北鮮と中国人民義勇軍をまつたく無視したのであります。これに対し、日本赤十字社では、北鮮には救援をする方法がなかつたのだと言つておるのでありますが、国際赤十字連盟に加盟している中国紅十字は、台湾政府ではなく中華人民共和国政府であり、ソ同盟も同じくその加盟国であります。日本赤十字社が誠意を持つて救援の道を講じて、できないという理由はないのであります。  また、去る五月一日のメーデーには、数十万の民衆が集合することが、あらかじめわかつており、かつ、人民広場では、死者十名、負傷者数百名に上る大事件が起つておるにもかかわらず、一人の日赤救護員も出動しないというのは何ゆえであるか。不時の災害に備えるといい、人道に立脚するというのは、一片の空文にすぎないではないか。日赤本社では、あれほど新聞、ラジオで知らされ、かつ芝と日比谷と、つい目と鼻の間で起つたこの騒ぎを知らなかつたのだと言つて弁明しておるのでありますが、これが言葉だけの弁明にすぎないことは、だれにも明らかであります。アメリカ軍とアメリカ赤十字の庇護のもとに立ち、自由党の東京都知事を支部長とする日本赤十字社が、このような方的な行動しかできないのに当然であります。(拍手)  このたびの立法について、この点の根本的な改革を主張したのでありますが、役員は選出するという規定だけで、この積りに積つた宿弊が一掃されないことは明白であり、根本的な改革はなし得なかつたのであります。  また、国際赤十字の人道的博愛精神からいえば、今赤十字が全力をあげてしなければならないことは、戰争の危機を防止することであり、各国間に平和の條件をつくり出すことでなければならないのであります。しかし、私たちは、千三百万の社員組織を持つという日本赤十字社が、どれだけの戰争反対、平和を守る国民運動を推進しておるか、まつたくその事実を知らないのであります。知つておるのは、逆に朝鮮の戰争に対して南鮮側を支持し、二十六年度中にも百名に近い看護婦を国連軍病院に派遣し、血液を送り、また全国学校の兒童を動員して、南鮮のみの罹災者へ慰問品、慰問文を送るという運動であります。これでは、朝鮮におけるアメリカの干渉、侵略の手伝いをしている以外の何ものでもないのであります。もし毎日々々のラジオが、日赤に協力して、国連軍に血液を出しましようと放送をしたかわりに、朝鮮戰争を一日も早くやめるように、原子爆彈、細菌戰は禁止するように、平和を脅かす国外、国内のじやまものと闘うように呼びかけたのでありましたら、どれだけ赤十字の博愛人道精神が生きていたかと思わざるを得ないのであります。(拍手)かつ、現在日赤の年間四十億を越える厖大な収支の重要な部分は、赤十字病院に関連する経費であります。ところが、この赤十字病院たるや、今日国民大衆の、わけて生活困窮にして苦しんでおる、真に博愛人道の対象とならねばならない人たちのための病院でなく、逆に、終戰後も引続き皇室、皇族、元華族等の一部の特権階級のために広く便益を提供する病院であり、こうした不合理な経営のために、雑役婦等、下級労働者は、ひどい低賃金をしいられながら、毎年数百万円の募金で穴埋めをしなければならない状態になつておるのであります。また日赤看護婦の養成所では、戰前と同じように、昭憲皇太后が定めたという制服、制帽を着用し、胸に階級章をつけ、元の監督官庁であつた陸海軍の忠君愛国精神で凝り固まつた幹部か、そのまま若い看護婦を訓練しているのであります。こうした封建的な、軍国的な精神を根本的に改革する処置についても、今回の立法はまつたく問題にされなかつたのであります。  日本赤十字社の人事、会計については、世上多くの疑惑が生れております。日本赤十字社の実権を握つている幹部は、元宮内省、内務省、また厚生省の高官が多く、それらの人たちによつてこの大屋台の運営が襲断されていることは周知の事実であります。また、全国千三百万の社員の社費と、税金同様にして国民から取上げられました募金をもととする巨額の資金の会計か、社員にも、また監督官庁にも明瞭に報告されることなく、あいまいに処置されておることも明白な事実であります。日赤会計にまつわる幾多の不正事件や、監督官庁である厚生省官僚と日赤幹部の間の醜関係が世上にとりさたされるのも、すべてこのような経緯に基くのであります。遺憾ながら、この問題も、当委員会の審査の過程においては何ら明瞭に処置することができませんでした。以上のような実態を持つ日本赤十字社が、今回特殊法人と組織を改めまして、さらに強く国と結びつき、国や地方団体から補助金を受け、税金とかわらない募金が、年一回だけでなく、臨時にも行える権利を與えられ、日赤のための一切の興行、催し物は全部無税にするという、池田蔵相のもとでは、まさに驚異ともいうべき特権が與えられておるのでありますが、こうして集めた金は一体何に使うのであるか。こうして、おびただしい物資の貯蓄をはかり、多数の看護婦等の救護員の養成に乗り出すのは一体何ゆえであるか。私たちは、これを警察予備隊の増強や、破壞活動防止法や、警察法や労働三法の改悪と結びつけずには考えられないのであります。まつたアメリカとの単独講和に屈服した吉田政府の再軍備、戰争準備計画の一端にほかならないのであります。(拍手)論より証拠、先日行われた白い羽の募金には、東京では、アメリカ軍の飛行機が、赤十字募金に協力せよという、アメリカ軍署名入りのビラを、東京都民の上にまいたではないですか。これが、軍国的な、封建的な古い日赤精神と結びついて、全国千三百万人と誇る社員組織、四百万人と称する日赤奉仕団という婦人組織、学校へだんだんと食い入つている日赤少年団等の組織を通じて、国民生活の中に戰時態勢をつくり上げて行くことを考えると、真にはだえにあわを生ずる思いがするのであります。これが、戰争を防ぎ、平和を維持し、人類の苦痛を救うという、元来の赤十字精神を踏みにじつているものでなくて何でありましよう。こうなつては、日本国民大衆には百害あつて一利なきものといわなければなりません。これが、日本共産党がこのたびの日本赤十字社法案に全面的に反対する理由であります。(拍手
  79. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。採決いたします。本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  80. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り決しました。(拍手)      ————◇—————
  81. 福永健司

    ○福永健司君 議事日程追加の緊急動議提出いたします。すなわち、坂田英一君外二十三名提出耕土培養法案を議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  82. 岩本信行

    議長(岩本信行君) 福永君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  83. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました〇・耕土培養法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。農林委員会理事遠藤三郎君。     〔遠藤三郎君登壇〕
  84. 遠藤三郎

    遠藤三郎君 ただいま議題と相なりました、坂田英一君外二十三名提出耕土培養法案につきまして、農林委員会におきまする審議の経過並びに結果の大要を御報告いたします。農業生産力増強の必要性につきましては、いまさら申し上げる必要のないほど自明のことでありますが、わが国自立経済確立のためにも、また農家経済安定のためにも、徹底的に土地生産力の高揚をはかる必要がございます。この土地生産力の高揚のために、今日農業土木的手段による土地改良が行われているのでありますが、なおこのほかに、わが国内に広く散在いたしております酸性土壌、秋落ち水田、塩害地、泥炭地等、生産力低位の不良耕土に対しましては、農芸化学的手段によつてその化学的性質を改善し、生産力の向上を期することができますので、土地改良と並行して、かかる不良耕土の解消をはかることを目的といたし、ここに本法案を提出いたすことと相なつたのであります。次に、法案の内容につき大要を御説明申し上げます。第一点は、都道府県知事は、省令の定めるところにより、耕土培養を実施する必要があると認められる地域につき、都道府県農業委員会の意見を聞き、農林大臣の承認を受けて、耕土培養地域としての指定を行うことであります。第二点は、指定された耕土培養地域をその区域内に含む市町村の長は、市町村農業委員会の意見を聞いて、都道府県に対策調査の実施を請求することといたし、この対策調査におきまして、耕土培養の要否及びその具体的方法を明らかにするため細密な調査を行うのであります。第三点は、市町村長は、対策調査の結果、耕土培養を実施する必要あるときは、市町村農業委員会の意見を聞き、関係者の同意を得て耕土培養事業計画を樹立し、都道府県知事の承認を受けるものとすること。第四点は、国は耕土培養のための一般調査、対策調査及び耕土培養事業助成に必要な補助金の交付、資金の融通、あつせん、その他奨励措置を講ずることといたしましたこと。第五点は、開拓地につきましては、その特殊性にかんがみまして、地域の指定、対策調査及び耕土培養事業計画の設定等につき、政令によつて特例を設けることができることといたしましたこと。以上でございます。本法案は、去る六月六日、本農林委員会付託と相なり、翌七日、提案者を代表して坂田委員より提案理由の説明がございました。次いで、本十二日質疑を行いましたところ、共産党竹村委員から、本法案の実施に必要な予算及び実施計画等について質問かございました。これに対し、提案者代表の坂田委員及び政府委員から、本年度予算として一億八千八百万円が計上されてあること、今後七箇年計画をもつて本事業を完了したい意向である旨の答弁がございました。質疑を終了後、討論を省略、採決いたしましたるところ、全会一致をもつて原案の通り決しました。以上をもつて御報告を終ります。(拍手
  85. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  86. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。この際一言いたします。速記録を取調べましたところ、先刻の高田富之君の討論中に、「━━━━━━━━━━━━━━━━━」と発言されておりますが、これは議長においてきわめて不穏当な言辞と認めますから、職権をもつてその取消しを命じます。本日はこれにて散会いたします。     午後五時五分散会