○立花敏男君 私は、日本共産党を代表いたしまして、ただいま上程されております市警察並びに消防に関する
法律案並びにその
修正案に対して反対の
意見を開陳せんとするものであります。まず最初に申し上げておきたいと存じますことは、この
二つの
法案は密接不可分の
法案でありまして、改進党あるいは社会党のなされましたことく、一つの
法案に反対し、他の
法案に
賛成するというがごとき、まつたくばらばらのものではないのであります。何となれば、
政府はこの
二つの
法案を通じまして、全国十数万に達するところの警察勢力を集中的に掌握し、さらに全国二百万に達するところの消防団を含めます消防組織を集中的に掌握し、この
二つの勢力をもちまして、盛り上
つて参りました人民の彈圧と、並びに迫り来りまするところの
自由党あるいは他の反動政党の最も恐るべき総選挙対策に用いんとしているからであります。この
法案は、一口に申しますと、自治体警察を国家警察の手に取上げるところの突破口を築くための
法案であります。しからば、なぜ
自由党は自治体警察を国家警察に取上げんとしているのであるか。これは、現在
自由党が地方自治体において何とやろうとしておるかということを見れば、一目瞭然であります。ただいま吉田
政府がや
つておりますことは、地方自治体を督励いたしまして住民登録を強行し、警察予備隊十一万への増強のための強制募集を断行せんとしておることであります。しかも、この新しい徴兵制度——アメリカ製選抜徴兵制に対しましては
国民の大きな反対が燃え上り、応募人員はわずか二倍の割合であります。これでは予定の人員も充足できない惨状であります。採用
規定の引下げを行わなければならないはめに陷
つておるのでありますが、しかも一方、アメリカ帝国主義の日本再軍備への要求は熾烈でありまして、マーフイー大使を通じまして、傭兵軍十八万への至急増加が要求されておるという情報が伝わ
つておるのであります。かかる状態のもとにおきまして、売国吉田
政府のとるところの方法は、ただ一つ徴兵反対運動を警察力をも
つて彈圧する以外には全然手がないのであります。(
拍手)さらに吉田
政府が地方でや
つておりますことは、国税約七百億の大増税の上に、地方税約四百億の大増税を強行し、住民税、
事業税等を大幅に收奪せんとしていることであります。今までも食えなかつた
国民が、この千二百億に達するところの大増税に対して全国的に反税闘争に立ち上り、あるいは税金不納の抵抗運動を始められておるのでありますが、しかもこの
国民の膏血をしぼつた税金が中央、地方の軍事
予算に無限に注ぎ込まれておることを目の前にいたしまして、
国民大衆の憤りは今や頂点に達しつつあるのであります。(
拍手)これを彈圧することなくしては、売国吉田
政府がアメリカ帝国主義に再軍備要求に対して忠実たり得ないことは明白であります。さらに吉田
政府の地方でや
つておりますことは、全国至るところでの軍事基地、軍事施設、演習用のための土地あるいは海面の取上げであります。このため、農民、漁民はその生業を奪われ、生活を破壞され、完全に死の脅威にさらされつつあるのであります。これらの人々の闘争と抵抗は、今や地方によりましては、まつたく一揆的な様相を帶びつつあるのであります。これに対して吉田
政府のなし得ることは、ただ一つ、ピストルとこん棒の脅迫のみであります。さらに、吉田
政府の向米一辺倒の軍需産拳偏重の産業政策は、完全に地方産業あるいは民族産業を崩壞せしめまして、彼ら中小
企業資本家自身が反
政府闘争に大きく立ち上りつつあるのであります。またこれらの産業破壞より生ずるところの厖大なる失業群及び植民地的な農業政策に発するところの厖大なる潜在失業群、これらは、まさに吉田
政府にとりましては、恐るべき不逞のやからであり、警察力をも
つて監視し、脅迫し、彈圧しなければ、内外の支配階級どもは枕を高くして寝ることができないのであのます。以上のように、吉田
政府が現在地方でや
つておりますことは、すべて
国民の
利益を無視いたしまして、アメリカ帝国主義の
利益と要求を実現するために軍事植民地的売国政策を強行しつつあることは明白であるのであります。
従つて、それは必然的に地方において全
国民的な大きな反対と抵抗に直面せざるを得ないのであります。現に、あすから開始されようとしておりますところの、数百万労働者を先頭とするところの第三波ゼネストは、かかる全
国民的な反吉田
政府の一つの現われにすぎないのであります。ここに、吉田
政府が自治体警察を国警に編入いたしまして、
政府自身の手によ
つて全警察組織を掌握せんとする根拠が横たわ
つておるのであります。だからこそ、
政府はこの
法案を
提出いたしまして、市が自治体警察を持たなくてもよいという
特例をつくり、全警察組織掌握の突破口を切開かんとしているのであります。しかも、あわせて重大なことは、自治警察を奪うことによ
つて、
政府は日本民主政治の基礎であるところの地方自治そのものを完全に破壞せんとしておることであります。何となれば、警察権を他に奪われたごとき自治というものは、もはや自治の名には値しないことは明白であります。かくて、吉田
政府の売国的政策は、遂に地方自治をさえ許し得ない状態に立至
つているのであります。植民地官僚のフアツシヨ政治に移行しつつあることが強く注目されねばならないと思うのでありますが、日本のすべての愛国者、すべての平和主義者は、断じてかかる暴挙を許し得ないのであります。次は
消防組織法の一部改正
法案についてでありますが、以上述べましご「たことく、吉田
政府の軍事植民地政策は明かに全
国民的反撃を呼び起し、全国津々浦々に至るまで大きな反対と抵抗の波が盛り上りつつあるのでありますが、全
国民的規模の大鬪争に対しては、單に警察機構の整備、掌握のみでは役に立たないことを、吉田
政府自身が十分察知しておるのであります。かくて
考え出されましたのが、全国二百万に達する消防組織の掌握であります。ゆえに、
政府與党の
修正案が最も端的に示しておりますものは次のごとくであります。すなわち、国家消防本部長よりの地方自治体の消防に対する
勧告権、指導権あるいは助言確を明権に
規定しておることであります。これは明白に全国消防組織の中央集権化にほかならないことは、賛言を要しないと思うのであります。さらに、このことは、府県知事に対しまして重大なる
権限を與え、府県内の市町村消防に対する知事の
勧告権、指導権及び助言権を
規定し、さらに知事は市町村消防に対しまして必要なる指示を與えることを
規定しておるのであります。以上のごとく、地方自治の建前からいたしましてまつたく独自の立場であつた市町村消防が、知事、国家消防本部長の段階を経まして、完全に中央集権の姿となるのでありますが、これは自治警察の国家編入、国警長官の総理大臣任命制による全警察組織の総理大臣掌握のフアツシヨ的方向とまつたく軌を一にするものといわざるを得ないのであります。(
拍手)今や全国二百万の消防団員は、吉田
政府とその一味の忠実なる番犬として、全国至るところの自治体に大きく立ち上りつつあるところの大衆鬪争に対抗し、彈圧する役割を果させられようとしておるのであります。この
意味において、今や
消防組織法の改正は、火を消すための消防の組織の確立ではなくしてまさに大衆彈圧の
法案とな
つておるのであります。(
拍手)しかし、遺憾ながら吉田
内閣のこの
目的は失敗に終るでありましよう。何となれば、消防団員は、今や立ち上りつつありますところの
国民大衆とは決して別個のものではないからであります。われわれは断じて消防団員
諸君を売国
自由党の手には渡さないでありましよう。売国
政府がアメリカ帝国主義に忠実であり、
日本国民を奴隷化し、日本の軍事基地化の政策を強行しようとすればするほど、
国民大衆の鬪争はますます広汎に、ますます大量的に、全
国民的な鬪争に燃え上ることは、今や必至であります。この愛国的大
国民鬪争の高まりの中で、売国吉田
政府の反動機構、彈圧機構はその内部において明らかに崩壞し、残されるものは、ただ一握りの売国吉田
政府とその一味にほかならないのであります。これはまさに歴史の冷酷なる必然であり、全
国民の希望であります。日本共産党は、この歴史の必然と
国民の要求に
従つて、吉田売国
内閣打倒の鬪争の先頭に立つとともに、かかる反動的、売国的彈圧
法案には断固反対するものであります。(
拍手)