運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1952-05-27 第13回国会 衆議院 本会議 第46号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月二十七日(火曜日)  議事日程 第四十五号     午後一時開議  第一 労働関係調整法等の一部を改正する法律案内閣提出)(前会の続)  第二 労働基準法の一部を改正する法律案内閣提出)(前会の続)  第三 地方公営企業労働関係法案内閣提出)(前会の続)  第四 農産物検査法の一部を改正する法律案河野謙三君外二十三者提出)     ――――――――――――― ●本日の会議に付した事件  議員請暇の件  議員木下榮君の逝去につき院議をもつて弔詞を贈呈し、その弔詞議長に一任するの動議堀川恭平提出)  日程第一 労働関係調整法等の一部を改正する法律案内閣提出)(前会の続)  日程第二 労働基準法の一部を改正する法律案内閣提出)(前会の続)  日程第三 地方公営企業労働関係法案内閣提出)(前会の続)  日程第四 農産物検査法の一部を改正する法律案河野謙三君外二十三名提出食糧管理法の一部を改正する法律案内閣提出参議院回付)  一般職職員給與に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出参議院回付)  両院協議会協議委員選挙国土総合開発法の一部を改正する法律案内閣提出)     午後二時二十一分開議
  2. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) これより会議を開きます。      ─────・─────
  3. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) お諮りいたします。議員受田新吉君から、米国視察のため、五月二十八日から本会期中、請暇の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて許可するに決しました。      ─────・─────
  5. 岩本信行

    副賞長岩本信行君) 御報告いたすことがあります。議員木下榮君は、昨二十六日逝去せられました。まことに痛惜哀悼の至りにたえません。  この際弔意を表するため、堀川恭平君から発言を求められております。これを許します。堀川恭平君。     〔堀川恭平登壇
  6. 堀川恭平

    堀川恭平君 ただいま議長から御報告に相なりました故衆議院議員木下榮君に対し、院議をもつて弔詞を贈呈し、その弔詞はこれを議長に一任するの動議提出いたします。  この際、私は諸君の御同意を得て議員一同を代表いたし、つつしんで哀悼の辞を述べたいと存じます。(拍手)  木下君は、かねて病気御療養中と承つておりましたが、しかもわれわれは、今日この事あるをいささかも予期しなかつたのでありまして、心から痛惜にたえないのであります。  君は、明治十五年、長野県下伊那郡に出生せられ、和仏法律学校に学び、台湾総督法院書記に任官せられましたが、青雲の志押えがたく、二年の後退官して大陸に渡航し、満州日日新聞に入社、後神戸又新日報に入り、操觚界に活躍すること十年、大正四年には神戸鈴木商店に入社して、同店経営の日比製錬所、浪華造船所鳥羽造船所経理部長、支配人としてその敏腕をうたわれましたが、時たまたま第一次世界大戰に際し、君は十二分にその本領を発揮せられたのであります。大正十四年、神明自動車神姫自動車の両社を創設して、みずからその経営に任じ、爾来自動車交通事業に畢生の努力を傾け、昭和七年以来、兵庫乗合旅客自動車事業組合理事長として今日に至つたのであります。君は、資性闊達、進取にして覇気に富み、独立独歩もつて今日を築かれたのであります。  昭和二十一年四月、日本戰後経営に大いなる抱負を持つて、君が第二の故郷たる兵庫県第四区より出馬、よく当選の栄冠を得られました。次いで二十二年、二十四年の総選挙にも引続き当選せられたのでありまして、その声望推して知るべきものありと存ずるのであります。昭和二十三年には運輸政務次官として、戰後多事なる運輸行政に多年の蘊蓄を傾け、また生前運輸委員として日夜精励せられましたことは、御承知の通りであります。  君は、もと国民協同党に属し、党の長老として重きをなしておられましたが、現改進党の結成せられるや、合流して今日に及んだのであります。  戰後幾年、新日本の建設に老後を捧げられました君が、今独立日本再出発の門出にあたり永遠に訣別するに至つたことは、まことに痛恨のきわみであります。いわんや、希望ある日本前途にはまだ幾多の困難と試練が予想せられるとき、有為なる君の長逝を惜しむこと、ひとしお切なるものがあるのであります。  ここに、つつしんで哀悼の微衷を披瀝し、君の御冥福を祈る次第であります。(拍手
  7. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) ただいま堀川君から提出されました動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて動議は可決せられました。  ここに議長の手元において起草いたしました文案を朗読いたします。   衆議院ハ議員正五位勲四等木下榮君ノ長逝哀悼シ恭シク弔詞呈ス   この弔詞贈呈方議長においてとりはからいます。(拍手)      ─────・─────
  9. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 日程第一、労働関係調整法等の一部を改正する法律案日程第二、労働基準法の一部を改正する法律案日程第三、地方公営企業労働関係法案、右三案を一括して議題とし、前会の議事を継続いたします。前田種男君。     〔前田種男登壇
  10. 前田種男

    前田種男君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま上程されております労働関係法規改正案に対し、日本社会党修正案趣旨説明を申し上げます。  吉田内閣は、独立後の労働対策に対処するため、今回労働法規整備をなすとの理由のもとに、労働三法改正を提案し来つたが、その内容たるや、改善整備でなく、むしろ改悪、あるいは憲法基本権に抵触するような法案を出して、かえつて労働大衆を刺激し、反撃を買い、組合運動をして反政府鬪争にかり立てる結果を招来しておる。以下、政府提出の重要なる部分に対して、わが党は修正をなし、さらに進んで多年問題になつ現行労働法規に対しても修正をなさんとするものである。修正案の全文は議案として提出してあるので、その大要を説明し、明らかにして行きたいと思います。  政府改正案の重要なる、改悪法ともいわれる主たる点と、当然改正すべき必要に迫られながら改正案を出さなかつた点を指摘いたしますれば、緊急調整制度調停申請却下制度労働法規個人罰を入れた点、女子時間外労働と深夜業の復活、年少者坑内労働制度、当然改正もしくは解決すべき現行法の主たる点は、仲裁裁定効力拘束力の問題、完全なる団交権スト権の問題、現業並びに單純労務者適用除外の問題、労働法規労働行政統一化の問題、標準賃金スライド制問題等々があります。改正案に対しては、わが党は抜本的修正をなし、広く労働大衆の、独立後の国家再建に積極的なる協力を求めようとするものである。以下、わが党の修正案の二、三の要点を説明いたします。  公企労法並びに地方公企労法内容においても整備統合をするという政府説明から行くならば、当然労働三法に一元化し、労働行政の一本化をはかるべきであるのでございます。しかるに、現状は、公務員法公企労法地方公企労法駐留軍労務者関係労働三法等々、ばらばらな法規と、主管を異にする行政官庁等の問題を整備しようとしなかつたところに大きな欠陷がある。政府は、口を開けば正常な組合運動を希望すると言いながら、労働基本権とも言うべき争議権の問題、あるいは完全なる団体交渉権仲裁裁定効力問題等にも考慮の手を加えていないのでございます。わが党の案では、完全なる団体交渉権罷業権不当労働行為損害賠償等規定を設けて使用者の猛省を促し、労働基本権を確保すべきであるとしておるものである。  地方公務員法関係單純労務の問題は、さきの国会決議により、政府は約束されているにもかかわらず、立法的措置を講じていないのでございます。地方公企労法第三條第七項に「その他地方公共団体條例で定める事業」という一項目を設けることによつて現業單純労務者の長い間の問題を解決することができるのでございます。しかも、画一的に全国の地方公共団体を拘束せずに、それぞれの公共団体の議会の決定によつて適用できることにすれば、何ら弊害もなくしで、多年の問題を解決することができるのでございます。公企労法制定以来一番問題となり、その盲点といわれました仲裁裁定効力、第十六條と第三十五條関係地方公企労法第十條の問題等は、争議権を持たない組合に対して当然仲裁裁定が両当事者を拘束し、政府地方公共団体の長までも裁定に従わしめることが当然であり、さように修正されるべきである。(拍手罷業権の問題も、東京の地下鉄争議権があるが、大阪の地下鉄にはないのでございます。都営のバス争議権がないが、民営のバスはあるのでございます。都電はスト権がないが、私鉄はスト権があるのでございます。こうした矛盾を解決せずに、どうして労働階級の積極的な協力を得られるでありましようか。(拍手)  次に、労働関係調整法中、第十八條第五号の申請却下制度であるが、政府案によると、「自主的な解決のための努力が著しく不十分であると認めたとき」とあるが、不十分であるとの限界をそれぞれいずれの点に置くか不明確であり、労働委員会申請却下権限は、中立で公正であるべき労働委員会立場を失わしめることになり、爾後のあつせん調停に支障を来すおそれが多分にあるのでございます。さらに、かような制度があることによつて争議行為に訴える余地なからしめ、使用者側のかけひきの道具に使われ、悪用される危険性を招来する結果になる。よつて申請却下制度は削除すべきである。  次に、今回の改正案の一番悪質といわれるのは緊急調整制度であるが、その内容たるや、「労働大臣公益事業に関する労働争議又はその規模が大きいため若しくは特別の性質の事業に関するものであるために公益に著しい障害を及ぼす労働争議につき、これを放置することにより国民生活に重大な損害を與えると認めたときは、緊急調整決定をなすことができる。」と、かような條文のもとに労働大臣職権行使を許すことは、五十日間の冷却期間とともに労働争議禁止行為であり、さような権限労働大臣に持たすことは、一つには独断專横となり、二つは政府労働争議に介入する悪例となり、断じて許されてはならないのでございます。(拍手)そもそも労使関係の問題は、相互の自主的な解決にゆだねるべきことを根本原則としておるのであつて政府がみだりに干渉すべきではございません。しかるに、国会の末期に、あわただしく、政府治安対策として諸立法を強引に提案し来つたことは、ちようど破防法によりて右手を奪い、警察法改正で左足をもぎり、ゼネスト禁止法で両眼をとり、集団デモ取締法によつて右足を切断し、労働三法改悪で栄養失調に陷れ、なかんずく緊急調整によつて身体行動をまつたく麻痺せしめんとするに至つては、労働組合運動にとつて、まさにバラバラ事件以上のしわざと言わねばらなぬのでございます。(拍手)それこそ労働大衆に対する政府の不当な干渉であり、実質的にはほとんど争議権の剥奪ともいうべき暴挙であるのでございます。かかる制度を認めることは、資本家陣営をして、いやが上にも頑迷な態度をとらせ、労使関係はますます紛争をかもし、労働組合運動をいたずらに不健全な非合法化のふちに追いやる結果を招来するのである。よつて、かかる條項は断固削除すべきである。(拍手)  次に、第三十九條の個人罰を設けたごときは、労働法刑法化であり、労組幹部のねらい撃ちが可能となり、組合員個人のささいなる行動をも罰せられる脅威となるのでございます。もとより、組合員個人といえども、違法行為があつたとすれば、それは他の法規で罰せられることはやむを得ないのであるが、労働法個人を罰するがごときことは、断じて許されてはならないのでございます。(拍手)わが党は、当然こうした点は削除せなければならぬと思うものでございます。  次に労働基準法の問題であるが、女子の時間外労働、深夜業の点は大した問題ではないといわれております。しかし、現実に現行労働基準法脱法行為が随所に行われ、完全なる適用がなされていないときに、かような改正案を認めることは、基準法違反行為を助長する結果に終るのであります。(拍手)  未成年者坑内労働の問題に対しましては、労働大臣は、改正を正当化するために、ILO炭鉱委員会決議またはイギリスにおける実施状況を報告されましたが、しかし、ILO炭鉱委員会の右の基準は、坑内年少労働者保護をいかにするかという観点からなされたもので、すなわち最低年齢職業補導健康診断夜間労働、休憩時間及び休暇、社会保障監督制度社会福祉設備等十一項目一つであるから、諸種の労働條件及び労働者保護制度と相まつて初めてその本来の趣旨を全うし得るのでございます。(拍手)しかるに、わが国のごとき労働條件の劣悪、安全、衛生、災害補償及びその他の保護施設のきわめて不備なる現状においては、ILO本来の趣旨とは異なつて、問題にならない悪條件である。(拍手)  政府は、技能者養成の美名のもとにこれを行おうとしているが、坑内という特殊な環境においては、成年者さえも精神上、肉体上の障害を多く受けることは、珪肺、炭肺、特殊畸型者の多いことで如実に示されており、坑内の高温、粉塵、悪気流などは、年少未成年者のまつたく耐え得るところではございません。(拍手)しかるに、わが国においては、そうでなくとも労働基準監督のはなはだしい不徹底が叫ばれておるのであるから、これに対しては、なおさらその弊害は著しいといわざるを得ないのでございます。(拍手)試みに、世界の多くの国の例をとつてみますれば、アメリカ南濠州、フランス、ポーランド、カナダ、トルコ、アルゼンチン、チリー、フインランド、ルーマニア、ユーゴ等々は十八才未満嚴重禁止しておるのでございます。ブラジルでは、二十一才未満は認めておりません。またILO憲章は、国際規約または勧告の採択を理由としてその国の有利な條件を引下げることは許されていないのでございます。(拍手)  以上の理由によつて明らかなごとく、この改正経済的弱者たる労働者保護すべき基準法根本精神を誤るもので、年少者を悪條件のもとに苛酷な労働にかり立てる結果となり、年少労働者の将来を思うとき、まことに憂慮にたえないものがございます。(拍手)よつて本條項の削除を強く要求するものである。  さらに、休業補償労働災害補償の基礎をなす標準賃金算出方法は、わが国現在の経済事情のもとにおいては当然スライドされるべきでございます。珪肺その他の職業病等により、二年、三年の長い療養期間、数年前の平均賃金の百分の六十で、どうして最低の生活が守れるでありましようか。あまりにも悲惨といわざるを得ません。さらに療養期間も三年を五年に延長し、職に倒れた人々を安んじて療養せしめることは、国家としての責任でなくてはなりません。(拍手)それらの点に対する現行法規改正は論をまたないところであります。  最後に、講和後の日本の生きる道は、資源、資材なく、資金に乏しく、食糧に不足して、ただ一つ人口の多い、労働力のみが再建の唯一の宝であり、この労働大衆協力を積極的に沸き立たせる労働政策こそが国を救う基本的なかぎであります。その意味において、進歩的な労働法規改正をなすべきにもかかわらず、政府原案のごとき、逆コース的な反動法規をもつてしては、ますます労使間の対立を激化せしめ、治安上もかえつて憂慮ざれる結果となり、わが国経済国民生活を貧困に押し詰めることになり、かくては国家前途まことに憂うべきものがあり、この意味において、わが党は政府原案を徹底的に修正しようとするものであり、各位の御賛成を求めて説明にかえる次第でございます。(拍手
  11. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 青野武一君。     ―――――――――――――     〔青野武一登壇
  12. 青野武一

    青野武一君 私は、日本社会党第二十三控室、労働者農民党並びに社会民主党その他の議員諸君を代表いたしまして、ただいま議題になりました、内閣提出労働関係調整法等の一部を改正する法律案労働基準法の一部を改正する法律案地方公営企業労働関係法案、この三つの法案に対しまして修正案趣旨説明を試みんとするものでございます。  修正案趣旨を御説明申し上げまする前に、日本社会党立場から、党の修正案を出しました基本的態度を申し上げ、第二点は、限られた時間のうちでございまするから、修正案概要の御説明を申し上げ、第三点は、重要な箇所の修正案の御説明を申し上げたいと思うのでございます。  敗戰によつて日本連合国軍占領下に置かれまして六年八箇月になりました。しかし、連合国軍の前期において一貫してとられました日本占領政策は、挑戰的、好戰的、非民主的な性格を拂拭して平和国家をつくり上げるというところに眼目があつたと思います。すなわち、日本資本主義の構造を徹底的に改革して、その目的を達成せんとしてとられましたのが、連合軍一連民主化措置であつたと存ずるのであります。日本国の主権は日本国民のものであることになり、それを受けて、新憲法による徹底的な普通選挙が実施されることになつた。男女の平等が宣言せられ、そうして学問、言論集会、結社の自由が保障されたのである。陸海空軍は完全に解体された。治安維持法特高警察がなくなつて、しかも戰争の先頭に立つて国民太平洋戰争にかり立てました、いわゆる当時の権力を持つ諸君は、多数の人々が追放されたのであります。日本帝国主義において指導的役割を演じました人々が、政界から、官界、教育界言論界、軍部、上層部等の舞台から一掃されました。財閥解体独占禁止経済力集中排除の方針がとられ、日本資本主義支配力であつた独占資本が分断されるやに見えるところまで追い込まれたことは事実であります。しかも、労働者階級占領政策によつて解放され、いわゆる労働三法によつて利益と権利が保障されたのでございます。  日本の手によつて民主化をしようとすれば数十年かかるものが連合国の手によつてなされたということは事実でありますが、連合軍占領が予期に反して長引くとともに、米ソの対立がはげしくなり、一九四七年、アメリカトルーマン政策をとり、さらに蒋介石政権が沒落し、中華人民共和国が成立して以来、米国日本の意義をあらためて認識する段階に追い込まれました。そうして、米国は、世界政策の一環としてのアジア政策において、日本を忠実なる友邦として活用するという必要に当面いたしまして、非軍事化民主化という対日政策は漸次変更され、今日では遂に逆転をしてしまつたのであります。すなわち、一切がアメリカ世界戰略に従属せしめられるところまで参つたことは事実であります。そして、資本家階級は、戰争によつて失いました失地を回復して、日本資本主義を戰前の状態に復元しようという意欲を持つようになり、またそれを可能ならしめる客観的條件にも恵まれるようになつて来たのでありまして、政府及び資本家階級による敗戰後の諸改革の廃止あるいは骨抜き等が次々と開始され、拍車をかけられるようになつて来たのであります。こういう傾向は、一昨年の六月から始まつた朝鮮戰争及びサンフランシスコ会議を経てますます強化され、敗戰後日本民主化一連重要政策が次のように変化して参つたことは、驚くべきものがあるのであります。  形式的には、主権在民と完全な普通選挙はなお確保されておりますが、しかし一方では、破壞活動防止法、近く提出されんとしておりますゼネスト禁止法言論集会の取締り、こういう反動立法制定が企図されておりまして、東大事件、早大に対する警察官実力特使愛知大学事件は一体何を物語つておるか。警察官に対してこそ破壞活動防止法適用せなければならないような事態に直面しております。軍が警察予備隊海上保安隊等の形で復活しつつあることは、これも事実であります。さらに平和憲法改悪しようとする陰謀さえ伝わつておるのであります。(拍手治安維持法にかわるべき一連反動立法制定特高警察にかわる特審局制度の拡充、戰争中の旧政界右翼団体の大物から旧現役の中堅軍人までも大幅に追放を解除され、しかもその多くが社会の重要なる地位に復活しつつあることも事実である。(拍手予備隊幹部として旧軍人が次から次に採用せられておることは、一体何を物語つておるか。財閥解体有名無実となり、金融資本が着々と強化されつつある現状は、世界周知の事実であります。労働法規改悪その他によつて労働階級が多くの点で拘束せられるようになつて参りました。  今回の労働関係法規改正も、ただいま私が述べました国際的、国内的情勢の中から、強烈に大きな力に刺激せられて、必然的に計画的にこれが産物となつて、われわれの前に本案の形で出て参つたのであります。(拍手)私は、こういう観点に立つて、本修正案趣旨説明をする社会党基本的態度簡單に御説明申し上げました。  次に修正案説明いたしまするが、その概要簡單に申し上げる。二十分の限られた時間では、全部具体的に趣旨説明することは不可能であります。  労調法関係に関しましては、一、緊急調整條項を削除する。従つて、第八條の二、特別調整委員の設置や、三十九條、四十條の罰則を削除いたします。二、公益事業争議冷却期間を廃止して、七日間の予告期間を設ける。これは第三十七條であります。三、調停申請労働委員会による却下制度は削除して、十八條現行法通りとする。四、第二十一條調停委員九名、任期一年等の規定は削除して、現行法通りとする。  公共企業体労働関係法は、原則的には労組法適用すべきであることは、われわれは常に主張して参りましたが、私はこの原則の上に立つて政府原案修正したいと思います。一、職員団結権については、現行法のごとき組合非加入を暗に奨励するがごとき、あいまいな表現を改めて、明文化した組合加入の自由を認める。(拍手)二、組合員範囲については、公共企業体等組合協議によつて定めること。現行法のごとき職員組合的な嚴重な制限を緩和することであります。三、団体交渉範囲について次の事項を加えます。一、企業経営並びに業務改善に関する事項、二、就業規則、二、シヨツプ約款に関する事項、四、專従職員及び組合活動に関する事項であります。四、交渉單位及び交渉委員制度の経験にかんがみて、実情にそぐわない点があるから、関係規定は一切削除いたします。これは第九條、第三十五條であります。五、争議行為禁止條項を削除して、労調法上の公益事業扱いとする。六、仲裁裁定労働協定と同一の効力を有し、政府の履行する義務については、法規裁量である旨を明記する。(拍手)七、仲裁並びに調停委員会を廃止し、労働委員会の管轄とする。八、不当労働行為救済措置を講ずる。これは労組法二十七條、二十八條であります。  次に労働組合法について二点。第一は、労働協約に関する規定に、社名変更、合併により協約の効力は失われないことを明記する。これは労働組合法第十五條の三項に追記するのであります。第二は、労働委員会を拡充する。これは中央労働委員会九十名、公共企業体等仲裁委員会が十六名、公共企業体等調停委員会委員百一名、合計二百七名、これを廃止いたしまして全部一本化するために、中央労働委員会を拡充するという修正案であります。  第四は労働基準法についてであります。これは改進党の修正案右派社会党修正案とほぼ同じでございますが、労働基準法につきましては、第七十條の二項を削除して現行通りとする。炭鉱において、技能者養成規定により、十八歳未満、十六歳以上の男子を労働させることは削除する。これは現行法通りであります。第六十一條現行法通り。六十二條の女子の深夜業の禁止現行法通りとしたいのであります。八十一條珪肺病療養期間三年を五年に延長する  最後地方公労法につきまして、第五條職員団結権は一切削除いたします。第七條団体交渉権範囲を拡大する。第八、九、十條、規則その他の規定に抵触する協定の内容におきましては、協約の効力條例、規則、規程に優先せしめる。第四に、第十一條争議行為禁止は一切削除いたします。最悪の場合でも制限規定を設ける。第五に、十四條の調停の開始、十五條仲裁の開始の職権の部分はこれを削除する。第十六條、仲裁裁定に服従義務を付する。以上に従つて、第四條の適用に関し修正するものでございます。これが私の趣旨説明概要でございます。  まず第一の労働関係調整法の一部を改正する法律案に対して、私は一番重大でございまする緊急調整の問題について趣旨を申し述べたいと思うのでございます。「労働大臣は、緊急調整決定をなしたときは、直ちに、その旨を、公表するとともに、中央労働委員会及び関係当事者に通知しなければならない。」なお「(船員法の適用を受ける船員に関しては、船員中央労働委員会)」と括弧の中に書いてございます。この緊急調整は、この労調法改正内容において重要な点でありまして、これは争議権に対し事実上の禁止法であり、政府が争議に介入することになり、改正案というよりも、むしろこれは改悪であるということは、全国の労働組合の主張しておるところであります。(拍手)  一九四六年十二月六日に極東委員会において決定された日本労働組合に関する原則、すなわち十六原則の第五に、ストライキ及びその他の作業停止は、占領軍当局が占領の目的または必要を直接阻害するおそれがあると認める場合にのみ禁止さるべきである。こういうように、われわれと戰争して戰争に勝つた諸君の手によつてつくられました十六原則の第五に、明瞭に規定されておるのであります。しかも、あの全国的大争議の直前に禁止された二・一スト、引続いて二月九日の八幡製鉄所のスト禁止、また炭労の大規模スト禁止等は、連合軍最高司令官の命によつて行われたもので、その適当であつたかいなかの点については、多くの批判する点がいまだに残つております。しかし、占領目的でさえも万やむを得ないときにのみ禁止するということが書いてある。  この占領下六年八箇月間に、労働組合の争議全部が、この連合軍の方針によつて禁止されたのではありません。しかるに、今度政府提出する改正案中の緊急調整権は、ひとり労働大臣の独断、いわゆる資本家の側に立つて来る独断的判定によつて、そうして公益事業外の争議でも、その規模が大であり、特別の性質の事業に関するもので、公益に著しい阻害を及ぼすとか、国民生活に重大損害を與えるものとして、たとえば金属鉱山、石炭鉱山、船舶、電気産業、民間の交通機関その他の争議に対して、生殺與奪の強権を握る労働大臣は、まさに労働争議に関する限り、第二のマツカーサーの立場をとるものであります。(拍手)形式的ではあつても、講和條約発効は去る四月二十八日午後十時三十分であつたはずであります。引続いての占領政策に類似する強権発動は、いたずらに政府労働組合対立を惹起し、紛争を繰返すのみで、関係労組の受ける不利益は甚大であると私は考える。  平和條約が発効いたしました今日は、占領政策をあらためて検討する段階に立つております。私は、憲法二十五條の「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」、この條章の基礎の上に立つて第二十八條がつくられたと信じております。「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。」といつておる。今は、占領政策のもとに日本が置かれておるのではありません。この憲法精神に立脚し、同時に、労働者の基本的人権を守り抜くには、資本家擁護の反動的、反勤労者的政府の原案に対しては、絶対にわれわれは反対せざるを得ないのであります。(拍手)  なお特別調整委員を置くことは、屋上屋を架することになり、機構をいたずらに複雑にするもので、むしろ労働委員会委員を増員すべきであると思います。従つて、この第八條の二は削除する。また第三十九條、第四十條の罰則規定において、団体処罰を個人処罰にしたことは、労組指導者に対する一種の挑戰的圧迫の意図が含まれております。(拍手個人の罰金規定は無用の長物であるから、これを削除する。  第二点として、第三十七條の公益事業争議冷却期間三十日間を十五日に改訂しておりますが、これは今までの争議の実態を検討して見れば、三十日が十五日になつても、ほとんど効果はございません。わが党の修正は、この冷却期間を廃止して、そのかわりに七日間の予告期間を設けることにしたのであります。  第三点として、第十八條の追加二項目を削除して、第十八條現行法通りとする。「申請をなした関係当事者による事件の自主的な解決のための努力が著しく不十分であると認めたときは、その申請を却下することができる。前項の規定により調停の申請が却下されたときは、第三十七條の規定適用については、申請がなされなかつたものとみなす。」と書いてございますが、これは非常に危険性が伏在しております。財閥は名目上解体しましたが、しかし、日本資本主義の根幹をなす金融資本は、ただ名前が変つただけで、何等の打撃を受けなかつた。これらを軸にして立ち直つて来た産業資本家群は、初期占領政策労働階級の攻勢の苦い経験にかんがみ、その巨大なる資本を中心にして、反動的な戰前の支配権確立のために、労働組合に対して、労働三法によるその利益と権利を極度に制限しようとするのが、今回の労働法改悪となつて現れたのである。(拍手)自主的解決のための使用者側努力などは、例外はありまするが、全面的には、ほとんどこういう資本家の諸君には大きな期待が持てないのでございまして解決のための努力不十分と認めて、その申請を却下する労働委員会労組との無用の対立を激化せしむることは、いかなる角度より検討するも納得することはできないのであります。労働委員会本来の使命たるあつせん、調停仲裁をもつて労働関係についてはあくまでも公平であるべき労働委員会を紛争の渦中に巻き込むもので、断じて私どもは容認することができません。却下制度に強い反対を示しておるのであります。これは削除して、第十八條現行法通りとすることを主張するのであります。  次は、公共企業体労働関係法の一部を修正せんとするものであります。先ほども申しましたように、わが……。
  13. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 青野君に申し上げますが、申合せの時間が参りましたから、簡潔に結論をお願いいたします。
  14. 青野武一

    青野武一君(続) わが党は、先ほども申しましたように、原則的には労働三法適用すべきであるということを強く主張しておりまするが、この原則の上に立脚して政府の原案を修正するものであります。  この公共企業体労働関係法は、御承知の通り昭和二十三年七月二十二日、マツカーサー元帥の書簡に基いて、二十四年六月一日に施行されたのでありまして、これはまさに日本労働組合の両足を縛り、両手をうしろに縛つた一つ制度であります。しかるに、今日でさえも、公共企業体の労働組合員諸君に対しまして、より一層の圧迫を加えようとするのが、今回の政府原案改正案でございます。従つて、私はこの点につきましては、むしろ労働三法を完全に適用することを主張するのでございまするが、第二段としても、公益事業をも労調法に基く公益事業扱いにするということを、私どもは修正点の中に加えたのであります。  その他、先ほど概略を申し述べましたので、多くを申し上げる必要はないと思いまするが、要するに……(「時間がないぞ」と呼ぶ者あり)たくさんあるんですよ、済みませんが……。ところが、今度出ました労調法等の改正案の中で、結局緊急調整権を労働大臣が握るということは、まさに遼東半島を還付さして満州を強奪した行き方に違いない筆法であります。私は、これによつて日本労働組合政府が大きな対立抗争を巻き起して行くことを予想いたしますると、今の自由党の諸君が中心になつて日本労働組合を敵視し、これらの諸君を圧迫するがために幾多の取締り法案をつくり出すという行き方に対しては絶対に反対をするものでございます。(拍手)  私は、最後に、今行われんとしておりまする政治ストに対しては、日本を再軍備し、日本戰争に引込むために幾多の取締り法案を出して来る政府並びに自由党に対して、みずからの最低生活権を守るために、日本労働組合国民にかわつて政治的ストをやろうとすることで、断じて私どもは支持せざるを得ないのであります。(拍手)この意味から申しまして、われわれは、日本労働組合とわれわれとが協力して、この反動政党である自由党並びに吉田内閣を打倒し、日本を再軍備の危機から救い、国民生活の安定と向上に努力するがためにこの修正案を出したのであります。(拍手
  15. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) これより討論に入ります。船越弘君。     〔船越弘君登壇
  16. 船越弘

    ○船越弘君 私は、自由党を代表いたしまして、ただいま議題となりました労働関係調整法等の一部を改正する法律案労働基準法の一部を改正する法律案地方公営企業労働関係法案、以上三案に関する野党各派三修正案に絶対反対、原案に賛成の趣旨を申し述べたいと思うものであります。(拍手)  独立後のわが国経済自立を達成するためには、労使双方の自発的、積極的な協力が不可欠の要件でございまして、労働者の権利はできるだけこれを保障しつつ、労使の紛争を平和的に、合理的に解決し、もつて福祉の増進をはかり、産業平和を確保するの要あることは、私のいまさら喋々するまでもないところであります。かかる見地からいたしますなれば、わが国労働法規は、占領という特殊事情のもとに生れたものでありまするがゆえに、独立後は再検討の要があり、帯に短かいものは少しこれを補い、たすきに長いところは少し切りとりまして、整然たる服裝に仕上げようというのが原案の趣旨でございまして、まことに時宜を得た措置というべきであります。(拍手)     〔発言する者多し〕
  17. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 御靜粛に願います。
  18. 船越弘

    ○船越弘君(続) 顧みますのに、昭和二十四年五月、本院におきまして労働組合法労調法の一部改正法律案が上程されましたときに、野党の諸君は当時何と言つたか。労働法規改悪だと言つた。彈圧法規であると言つた。労働者を奴隷と貧困に追い込み、ひいては国民経済を破壞するものであると、諸君らは反対をいたした。ところが、事実はどういう情勢になつて来たか。私がここで喋々するまでもなく、鉱工業の生産指数は、当時の昭和二十四年三月が、昭和九年―十一年を基準年次といたしますると七四・五%、二十五年三月が八五・八%、二十六年三身が一二九・三%であり、本年の二月は一二九・二%と、非常な上昇率を示している。労働者の名目賃金はどうなつているか。二十四年が一四八・五%、二十五年が一八〇・五%、二十六年度が二三一・四%、二十七年一月が二六二・九%、また実質賃金も同様な上昇率を示しておりまして昭和二十四年と比較いたしますと、実質賃金におきましては五二%という非常なる上昇率を示している。この実情こそは、この数字こそは、明らかにわが自由党の労働政策の成功を物語つている。わが自由党が国民大衆のためにいかに善政を施したかということを雄弁に物語つている。(拍手)爾来三年を経過いたしました今日ただいま、性懲りもなく、再び三年前に繰返しましたところの古めかしい論拠と方法とをもちまして、野党の諸君どもが三修正案をこのたび上程いたしましたことは笑止千万の限りであると申さざるを得ないのであります。(拍手)  憲法第二十八條により保障せられました労働三権と、二十九條の財産権とは、憲法十二條、十三條とによつて明らかに公共の福祉のために利用せらるべき責任があるのでありまして、決してこれを濫用してはならないことは、憲法解釈上一点の疑義のないところでございます。私は、ここに憲法論議を省略いたしまして、今回最も問題となつて参りましたところの二、三点を取上げまして、修正案に反対の論証を試みたいと思うものであります。  まず第一は、労調法三十五條の二の緊急調整であります。この緊急調整は、公益事業に関する労働争議、またはその規模が大きいため、もしくは特別の性質の事業に関するものであるため、公益に著しい障害を及ぼす労働争議につき、これを放置いたしておきますると国民生活に重大なる障害を及ぼすような場合に初めて労働大臣が発動いたすものでございまして、これはひとえに国民生活、公共の福祉の安全をはかろうとするものでございますい。しかも、その決定後の措置は、権威あり、公正なる中央労働委員会に一切をあげておまかせしておるのであります。しかるに、社会党両派の修正案は、この緊急調整を削除しよう、こういう御意見であるようでございます。  原案は、冷却期間の設定はいたしておりましても、決して罷業権禁止いたしておらないことは、労働法規の建前から明らかでございます。(「五十日も禁止しておるではないか」と呼ぶ者あり)そのことについては、あとに述べる。一歩譲りまして、緊急調整の点を削除いたしたといたしましても、御承知のように、経済ストと政治ストとの段階というものは非常に困難でございます。ところが、少くとも経済問題におきまして、十八條五号によつて調停ができ得なかつた場合には、いかなる法律、いかなる根拠をもつてこれに当ろうとせられるのであるか。もし緊急調整を削除いたしました場合には、経済問題、労働問題をあげて治安立法に讓らざるを得ないような立場に追い込むことになるのであります。この点は、むしろ私は労働大衆のためにもとらないところであります。(拍手)  なおまた、ほんのわずか、短期間片山内閣を組織せられましたところの社会党とか、あるいは、いまだかつて経験もなく、将来永久に政権にありつけそうもない小会派ならいざ知らず、過去におきまして数度にわたつて責任ある内閣を組織いたしました自由党、また今後十年、二十年にわたつて永久に責任ある内閣を組織しようとする確信と熱情を持つておる自由党といたしましては、かかる事態を招来いたしましたときに、絶対にこれを拱手傍観して放任することはできません。かかる観点からいたしましても、この緊急調整の削除ということにつきましては、われわれ自由党は、遺憾ながら絶対に反対せざるを得ないのであります。  次に改進党の修正案なるものは、緊急調整の項を削除いたしまして、現行法第十八條第五号を改正することによつて糊塗せんとするものでありますが、かかる重大事案が中央労働委員会の単なる調停によつてのみ解決され得るやいなや、疑問なきを得ないのみならず、緊急調整のあらゆる手段、すなわち調停を除くあつせん、仲裁、実情調査、勧告の方法がないことは、原案よりもむしろ非民主的であり、改進党の修正案なるものは、修正でなくして、私は修悪であるように考えるのであります。また十八條各号の調停進行中に、労働大臣の一片の通知によつて、追討ち的に三十日の冷却期間を設定するがごときは、勤労大衆のためにも私はとらざるところであります。すなわち、改進党の修正案は、緊急調整の実体規定を十八條の各号に盛り込もうとする苦心のあとは、私にもよくわかるのではありまするけれども、私をして忌憚なく批評せしめますならば、虎を描かんとしてねこを描き得ず、死んだねずみを描いたと同断であります。改進党でなくして、私は━━━であるとの非難を受けざるを得ないかと思うのであります。  また緊急調整冷却期間五十日について種々の論議があります。しかしながら、民主主義の先進国であるアメリカにおいてさえ、タフト・ハートレー法によりますると六十日、その上手続規定の点を合せますると八十日の冷却期間アメリカにおいても設定いたしておるのであります。他面、共産党の諸君が随喜の涙を流す、諸君の祖国ソ連においてはどうであるか、ソ連におきましては、鉄の氷で三百六十五日争議権を凍結せしめられておるのであります。かかる見地に立ちまするときに、五十日の冷却期間は決して過当なるものにあらずと言い得られるのであります。  第二は、公労法の一部改正地方公営企業労働関係法案であります。わが国独立をしましたのを機会に、前者は、国家公務員であつても、統一的企業組織の現業職員、すなわち郵政、印刷、造幣、営林、アルコール專売等の現業職員団体交渉権を與えるものであります。その数は五十三万に及び、後者は、政令第二百一号により団体交渉を許されていなかつた地方公務員のうち、公営企業に従事するものについて、現業国家公務員に対すると同様の趣旨から団体交渉権を認めんとするものでありまして、その数は約六万、これを合せますと約六十万名の勤労者に広汎な基本権を與えるものでありまして、何人といえどもその進歩性を否定することはできないと私は思うのであります。憲法国家公務員法地方公務員法をいまさら私が持ち出すまでもなく、公務員は全体の奉仕者であり、公共の福祉に直接関連するものでありますがゆえに、ストライキ権のないのは当然でありまして、諸外国の立法例もこれを認めていないところであります。しかるに、罷業権を與えぬ限り絶対反対だとの所論は、たいのさしみがなければ白い御飯も食べないと、だだをこねる子供と同断でございまして、私の絶対承服し得ざるところでございます。  なお労働基準法その他について種々所見を申し述べたいと思ますが、時間の関係がございますので、これを省略いたします。  これを要するに、今回の改正案は昨年の秋以来、労、使、公益三者構成の労働関係法令審議会、中央労働基準審議会の愼重なる審議の結果答申されたものでありまして、労使の合致せる意見は全部これをとり、労使の合意なき部分につきましては、おおむね公益委員会の意見を尊重して採択せるものでありまして、その慎重にして民主的なる立法手続といい、国際的水準にまさるとも劣らざるその内容といい、さすがにわが自由党のホープであるところの吉武労働大臣の苦心の作であり、名工の逸品として賞讃せざるを得ないのであります。さりながら、弘法も筆の誤りと申すこもとあるのでありますから、私は二、三労働大臣に希望を申し述べておきたいと思います。  第一に、緊急調整は、その明文の示すごとく、真に緊急やむを得ざる場合のみに発動すべきであつて、いやしくもこれを濫用し、争議権の制限にならざるよう愼重を期せられたい。第二は、地方公務員法第二十一條に掲げる單純労務については、少くとも縦割現業について団体交渉権を認めるよう、近き将来において特別の立法措置を講じていただきたい。第三は、珪肺病等悲惨なる職業病について、その打切補償の期間を延長する等、近き将来において改善の方途を講ぜられたい。最後に第四点は、ゼネスト禁止法案は、終戰直後の労働運動の状況よりいたしますれば、その必要なしといたしませんけれども、近時ようやく日本労働組合も健全化に向わんとしつつある際でありますから、今後の組合の動向を十分見きわめて、愼重なる態度をとつていただきたいと思うのであります。  最後に、私は心ある労働者諸君にあえて訴えたいのであります。その第一は、労使紛争の場合、国民大衆の支持があつてこそ初めて勝利を獲得するものでありまして、公共の福祉のもとにおいてこそ諸君生活向上があるのであり、第二は、政府や官憲の一方的不当な彈圧により諸君基本権を抹殺することは不可能であつて、むしろ諸君の指導的立場にある一部暴力主義的過激分子による争議権、自由権の濫用によつてこそ諸君の自由権が剥奪されるであろうことを私は申し述べまして私の討論にかえたいと思うのであります。(拍手
  19. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) ちよつと船越君に申し上げますが、先ほどの船越君の御発言中、改進党を━━━と申された点は不穏当と思いますが、お取消しになりますか。
  20. 船越弘

    ○船越弘君 取消します。
  21. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) その点は船越君において取消されました。  稻葉修君。     〔稻葉修君登壇
  22. 稻葉修

    ○稻葉修君 私は、改進党を代表いたしまして、去る二十四日、本議場におきしまて、わが党の森山欽司氏が修正案を詳細に説明しましたが、その修正案に賛意を表し、不合理、欠点の多い政府原案に対しましては断固反対をいたすものであります。(拍手)反対の理由を申し述べます。  まず第一に、労働関係調整法の一部改正案につきまして、政府原案の最も不当なる点は、その第四章の二、第三十五條の二に掲げるところの緊急調整労働大臣の職権に基く緊急調整権であります。これはよろしく削除して、現行法通りにすべきものと考えるのであります。元来、今回の政府原案には、そもそも独立後のわが国労働法上の諸問題を根本的に解決する態度が全然見られないのであります。今回の改正の目的は、独立後のわが国経済の自立態勢における労使関係の安定にあつたばずでありますのに、今回の政府並びに自由党の原案の強行は、わが国の今後における労働運動を著しく激化し、労使対立を激化して、経済を不安定に追い込むというおそれが十分あるからであります。労鬪第三波ストというがごとき好ましからざる影響を與えるのに十分であるのであります。  元来、緊急調整権のごとき、争議権のはなはだしい制限を設けることは、その濫用のおそれが十分あるのであり、これを濫用するにおきましては、労働者に対する弱者保護立法たる労働法の基本線を崩懐いたしまして、憲法第二十八條労働者の基本的人権の保障を空文ならしめるおそれがあるわけであります。木村法務総裁は、しばしばゼネスト禁止法制定さえ口にいたしておりますが、われわれをして言わしめるならば、憲法基本権の制限に関する法律をやつぎばやに制定して行かなければ現状の治まりがつかないほど社会不安を惹起したところに、現内閣の施政一般の敗北があるのであります。(拍手)  政府の提案理由並びに自由党の原案賛成理由におきましては、しばしば公共の福祉ということが口にされました。公共の福祉という憲法の文言は法理論的な概念規定を嚴格にすることはなかなか困難な問題であります。従つて、権力者がこれを悪用すれば、幾らでも自分に都合のよい方に、行政でも立法でも持つて行くことができる。破壞活動防止法の場合もこれと同所であります。濫用のおそれが多いので、先ほど賛成討論に立つた船越君からも、労働大臣に対して愼重にやるように、濫用のおそれのないようにやるようにというふうに警告を発せられましたが、これと現内閣の性格を結びつけますと、濫用のおそれは、幾ら警告を発してもある。(拍手)  改正案では、国民生活上重大な支障ありと認める場合に限つて労働大臣の強制調整権が発動されるのだから心配はない、こう言われますけれども、何を国民生活上重大な支障ありと判定するのか。それがもし、自由党的な頭で、資本家の生活に重大な支障ありと判定して、強制調整権をその都度発動せらるるにおいでは、重大な結果になると思うのであります。吉田総理大臣はかつてしばしば労働者を目してすべてこれを不逞のやからと称し、政府の政策に不都合な学説を吐く学者に対しましては、これを曲学阿世の徒輩だと称するのであります。こういう頭でもつて、こういう異常な神経をもつて労働大臣緊急調整権というがごとき、争議行為の全面的な禁止にもひとしい強大なる権力を與えることは、わが国労働運動の健全なる発達のために断固として反対しなければならない。濫用のおそれが十分あるこういう改正案――そういう、われわれの修正案に一顧も與えないで原案を強行せんとするところに、労働組合は第三波ストでもつてこれに抗議しようとしておるのであります。現内閣は、いかに自分を弁護いたしましても反動的であります。公共の福祉を守るという口実で、その実は国民生活の安定向上に失敗した四年間のみずからの貧困な政策の欠陷、破綻を糊塗せんとするものであります。(拍手)これは断じて許すことができません。  次に、地方公営企業労働関係法についてのわれわれの政府原案に対する反対理由としては、第一次国鉄仲裁裁定以来、專売公社の裁定等でしばしば国会でも問題になりまして、われわれはこれを記憶いたしておるわけでありますが、問題は、いつも公共企業体労働関係法第十六條と第三十五條との関係についてであります。第三十五條仲裁裁定は、労使双方を最終判定として拘束するとあるにもかかわらず、政府及び與党は、常に第十六條の規定を故意に曲げて解釈し、これを口実として、政府は予算上質金上不可能な支出を内容とするがゆえに国会の承認を求めるのだと称して、その実は多数をもつて否決してくれというやり方をやつて参りました。これを数次にわたつて繰返して参りましたが、これは法理論的にも、公共企業体労働関係法立法精神を根本的にくつがえすものであります。事業の公共性のゆえに、一般労働者憲法上保障されておるところの争議権を剥奪し、その代償として強力に與えられた仲裁裁定の拘束性を無視して、予算上質金上不可能なりとして、これを踏みにじつて参りましたことは、政府及び與党の法律違反であります。法律違反でありますから、国有鉄道からの提訴に基き、地方裁判所の判決はすでに下つておる。政府のやり方は違法であるという判決が下つておるのだ。しかるに、今回の政府原案には、この点についてまだ反省がない。性懲りもなく、従来のやり方を押し通さんとしておるところに、われわれの断固反対せざるべからざる理由がある。(拍手)  第三は、今回の改正案一連労働立法でありまするが、しかし、それは労調法労働基準法地方公営企業労働関係法という別個な法律であります。その別々な法律を、これを一括とて論ずることがそもそも無理であるのに、その裏には、きわめて悪意なかけひきがある。公労法の一部改正には、郵政事業以下五つの政府企業公企労法第二條の公共企業につけ加えまして、これらの従業員に団体交渉権を與えております。これは事のきわめて当然なる次第であつて、これに対して反対の理由はないはずである。これは賛成せざるべからざるものであります。われわれの反対は、これにあるのではない。そういう賛成せざるべからざるものを少しばかり入れて、不合理きわまるものと一緒に出して来て、賛成か反対か、こうやつて、われわれが反対すると、団体交渉権労働者に與える改正案に反対した、こういうやり方をやろうという、きわめて悪質な欺瞞がある。(拍手)  さらに最後に、私どもは修正を目的として毎日努力をして参りました。しかるに、最後の段階において、自由党の幹部は原案の強行を決定いたしまして、われわれの合理的な修正案を一蹴いたしました。今、政府とその與見たる自由党は、この不当な原案を無修正に押し通さんとしておるのであります。かかる與党のやり方は絶対多数を誇る衆議院をして、実は実質的には第二院的地位に転落せしめるおそれが十分にある。(拍手)破防法も無修正で通つたが、参議院では修正されるでありましよう。今回の労働三法も、無修正が強行されるとしても、おそらく参議院では進歩的な修正が加えられるでしよう。世界各国の二院制度を見渡す場合に、第一院たる衆議院は、民衆と直結して、もつと進歩的でなければならない。その行き過ぎを、第二院たる上院がチエツクアンド・バランスするのが通例であるのに、わが国の二院制度の現在の運行を見ておりますと、衆議院の議決が常に保守反動的であつて参議院がわずかにその修正をなすにおいては、わが国民主化は非常に前途憂えなければならねと思うのであります。(拍手)しかも、去る二十四日の本会議の採決の強行にあたつては、その朝、議院運営委員会におきましては、議員の登院成績不良を指摘したばかりであつたにもかかわらず、與党の出席議員が三分の一の定足数を満たすに足らず、振鈴が鳴つた後一時間も逡巡したという事実は、修正案の議案の無配付を理由とした流会とともに、議会史上まれに見る醜態といわなければなりません。(拍手)これは原案の強行をはからんとする多数党のおこりに対する天譴であり、まさにまた與見たる自由党の政治的末期的症状を物語るものと申さなければなりません。(拍手)  しかしながら、労働法の原案の無修正強行は、諸君のやろうとするこの無修正の無理押しは、おそらく参議院において審議未了のうき目を見る公算が大であります。もし参議院において何らかのまとまりを見せるとすれば、それはおそらくわが改進党の修正案の基本線を出して、来るものであると確信いたします。(拍手)その意味におきましてこの修正案はやがて国会の意思として、実現するに違いないということを、私はここに明瞭に予言するものであります。(拍手)この予言は、すでに去る二十四日、修正案提出趣旨弁明者森山君によつてなされたところでありますが、私も本会議場におきまして、再びこれを引用して断言をいたします。  これをもつて私の討論を終る次第であります。(拍手
  23. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 熊本虎三君。     〔熊本虎三君登壇
  24. 熊本虎三

    ○熊本虎三君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま上程されております労働関係調整法等の一部を改正する法律案に対しまして、原案には反対、わが党の修正案に賛成の意を表明するものでございます。(拍手)  私は、法案内容を検討する前に、政府の提案方法について一言いたして、おきたいと存じます。この案件は労働関係の数個の法案を一括審議することになつておりまして、各法案ごとに分割して審議ができなかつたのでございます。それは政府の本法案審議に対する悪辣なる謀略といわなければならないのでございます。(拍手)それは、労調法基準法の極端なる改悪に伴い、世論の反対をカバーせんがために、形式的な公企労法の進歩性を裝い、大衆を欺瞞せんとする方法でありまして、少くとも良識ある政治家のよくなしあたわざる不信行為といわなければなりません。(拍手)  さて、これら数個の法案の中でも特に問題になる点は、労働関係調整法改悪であります。元来、労働法労働者保護法たるべきものであるにかかわらず、この改悪法案は、ことごとく労働者団結権を規制、圧迫するのみでありまして、立法精神の根本的破壞ともいうべき重大問題であります。まず改悪中の調停申請に対する却下方式は、せつかくの労働組合に対して、サービス機関である労働委員会が敵対的な地位に変化されるもので、労働者罷業権を抑圧せんとする悪質資本家の魔手がここに延びていることを見のがしてはなりません。(拍手)  次に同法第三十五條及び三十八條において、労働大臣の独断による緊急調整権をもつて、民間産業に対しても五十日の冷却期間制定せんとするがごときは、労働問題に対する行政機関の強力介入の第一歩であり、健全なる労働運動の自主的発展を阻害するもので、実に言語道断といわなければなりません。(拍手)このことは、多くを論ずるまでもなく、委員会の審議中政府も確認いたしておりますごとく、過去一箇年の実績が雄弁に実証しておるところであります。すなわち、過去一箇年の中労委調停件数三十六件でありまして、その発生から解決に至るまでの平均日数は百日を越え、調停のみの所要日数が五十数日を要しておるにもかかわりませず、調停期間中にただの一件といえども実力行使に突入したるものはないのでありまして、これを見ても、かくのごとき彈圧、改悪の必要は断じてないのであります。(拍手)  次に罰則規定を見るに、これは現在団体対象でありましたものを改め、個人処罰に切りかえんとするものであります。もしこれを通過せしめんか、数千名の組織であつても、組合員のことごとくが処罰の対象となるのであります。政府は、委員会席上におきまして、私の質問に答えて、それは裁判所の裁量により、ことごとくが罰せられることはないであろうと答弁しておるのでありますが、いかにも無責任きわまる放言であつて、実に驚き入つたる答弁であると断ぜざるを得ないのであります。法は個人を罰するごとくに制定し、あとは裁判官の裁量によつて手かげんせよというがごときは、少くとも立法理念を逸脱するもはなはだしききわみであると断じなければなりません。(拍手)  さらに重要な問題は、最近特に増大しつつある経営者の不信行為に対しては耳をおおい、目をおおつて、何らこれに言及することなく、ひたすら労働者を圧迫することによつて経営資本の傀儡たらんとする現政府並びに自由党諸君の動向こそ、まことに遺憾千万であるといわなければなりませりん。(拍手)  次に公共企業体労働関係法並びに地方公営企業労働関係法については、適用範囲団体交渉権範囲等、多くの保守的、反動的な規制條項があり、わが党が提案した修正案のごとくに改めるのはもちろんでありますが、特に仲裁裁定の実施を常に阻害する本法第十六條及び第三十五條については、政府は一顧だに與えることなく、同じ国家機関に基くこれらの決定を無視するがごとき前例を是正しようともせず、労働者の権利保障については、文字通り冷血無比の暴状と言つてもあえて過言ではございません。ことに、不完全なる団交権がいかにも進歩的であるかのごとき言動を弄しておりますが、元来これらの経営傘下の労働者は当然罷業権を有すべきものでありまして、仕事の内容は同一であるにもかかわらず、單に経営形態が公共企業体であるか私営であるかの相違によつて、当然の権利たる罷業権が抑圧されておるのでありまして、矛盾もはなはだしき限りである。十分これらの点を考慮し、わが党の修正案適用すべきことが妥当であると信ずるのでございます。  さらに労働基準法改悪については、婦女子の深夜業及び休日労働、また坑内労働十八才を十六才に引下げんとするがごときは、かつての戰前における労働者奴隷化への逆行でありましてあくまでも反対せざるを得ないのであります。(拍手)  過般の破防法、集団示威運動取締法、さらにこの労働関係改悪に至る一連労働対策は、現政府並びに自由党の諸君が特定少数資本家の走狗たる本質を暴露したものであり、善良なる国民を塗炭の苦しみに追いやり、ますます国民思想と生活を混乱するものであるといわなければなりません。(拍手)  私は、この際、政府並びに自由党の諸君に、労働法はいかにあるべきかを再認識していただきたいと存じます。いうまでもなく、労働法は、憲法の命ずるところにより、労働者に自由を與え、その自主的組織と行動とを通じて生活と地位の向上をはかり、その基本権を確立保障すべきが根本精神でなくてはなりません。今や、わが国労働運動が、一部少数特定分子を除けば、すべて合法的健全性を確立しつつある現段階において、深くこれを認識すべきであることともに、これが日本民主化の推進となり、労働者の地位と生活の向上が同時に真の平和へのかぎであることを確認しなければなりません。(拍手従つて、私は、はげしい資本家の反動攻勢にさおさして、再び戰前のごとく、労働者奴隷化に拍車をかけるがごときは断じてとるべきではないと信じます。(拍手)  吉田内閣が、本案のごとき法案を提案し、強引に押し通さんとするは、まことに時代逆行もはなはだしく、全勤労大衆の激憤を誘発し、思想の混乱と社会不安を増大する以外の何ものでもないところを警告する次第であります。(拍手)かくては、現吉田内閣は、時局を担当し、日本再建する能力なきものであることを断定し、原案に全面的反対を主張いたしまして、私の討論終りたいと存じます。(拍手
  25. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 柄澤登志子君。     〔柄澤登志子君登壇
  26. 柄澤登志子

    ○柄澤登志子君 日本共産党は、ただいま上程になりました三法案の原案並びに各党各派の修正案に対し反対するものでございます。日本共産党はさきに出されました破壞活動防止法案並びに刑事特別法等とともに、明らかに日本国民を奴隷化する戰時立法である理由をあげまして、このような彈圧法案には絶対に反対するものでございます。(拍手)  第一に、今次改悪の骨であります労調法の第三十五條の二項、緊急調整についてでございますが、公益事業関係または大規模の産業もしくは特別の性質の事業労働争議であると、労働大臣の判定だけで、全産業の労働者の争議を緊急調整の対象にし得るように範囲を非常に拡大し、事実上ストライキ禁止をねらつているのがこの法案の骨子でございます。労働者のストライキと公共の利益並びに国民生活安定とを明らかに対立させているものであります。     〔副議長退席、議長着席〕  公共の利益を蹂躙しているのは一体だれでしようか。政府が、今いよいよ露骨に、事実上あらゆる産業の罷業権を取上げようとする暴挙に出て来たのは、軍国主義の勢力を日本から徹底的になくする平和と独立のための占領軍が、明らかにアメリカの進駐と同時にアジア侵略の大方針にかわり、交戰国であつた中ソを再び敵として永久に、無制限に日本に駐留することになつた。この日本の実情を、労働者のストライキを含む実力こそが、たたきつぶすことを最もよく知つているからであります。あの四月十八日、炭鉱がとまり、私鉄がとまつたときに、この偉大な労働者の政治ストライキを見て、政府は今さら日本の支配者の無力を思い知つたのであります。(拍手)  労働者は、今日までの血のにじむような首切り反対や、賃金値上げの生活を守る闘いが、占領軍の名によつてたびたび彈圧されて来たことを、身をもつてつております。占領政策違反として縛られ、つながれている者こそが、占領政策を最も忠実に守つた者であることも知つて来たのであります。アメリカ駐留軍と日本政府が今一番恐れていることは、サンフランシスコで結ばれた二つの條約と、それに伴う行政協定の内容が急速に具体化して、日本国民の間にまき起つている不平不満が民族的怒りとなつて爆発することであります。  吉田首相は、講和條約締結と同時に、日本は米英につぐ帝国になつたと宣言しました。そして、日本労働者の低賃金を誇つたのであります。政府にいわせると、戰争に反対し、両條約に反対し、行政協定を破棄し、再軍備に反対する労働組合は、みな好ましからぬ、不健全な組合になるのであります。それのみでなく、賃金鬪争も、ストをもつて訴える場合には、いわゆる罰金刑に処すという罰法が、これを証明しておるものであります。総評を中心に、電産も、国鉄も、官公庁も、かつて国家公務員法や公共企業関係労働法で手や足を縛り、口をふさいだはずの労働組合が、一齊に、この政府の一番きらいな要求を掲げて、メーデーに結集されたのが恐ろしいのです。なぐられても、銃を向けられても、彈圧にひるまず、基本的な人権を守つて抵抗する愛国者を政府は暴徒と呼ぶのであります。労働者ばかりではない。農民も、市民も、婦人も、子供も、老人までが、戰争こそが日本全国土を焦土に化し、夫も、妻も、子も愛別離苦全日本国民生活を根底から破壞に陷れたことを忘れてはおりません。朝鮮で、毎日々々、夜となく畳となく殺され、燒かれ、破壞されているこの残虐な朝鮮戰争に対しても、売国奴以外の日本国民が憎しみを持つのは当然であります。(拍手)  両條約と行政協定に反対する労働者の鬪いは、労働者のみでなく、あらゆる階層の中から、燎原の火のように燃え広がる條件にあります。政府にいわせると、この中心になつて鬪う実力を持つ組織労働者が暴徒なのであります。すなわち、労働者がゼネストをやつて、朝鮮向けや人殺しの特需向けの増炭基準引下げを要求し、労働強化に反対するのを恐れておるのであります。爆彈輸送をとめるのが、武器の製造をとめるのが、兵器製造の電気をとめるのがこわいのであります。教員が再軍備の予算を教育費国庫負担にまわせと立ち上るのがこわいのであります。すなわち、世界人類の幸福のための平和の鬪いが公共の利益に反するというのであります。もし、この論法で言うならば、農民の命である演習地の土地の取上げ反対鬪争が国民生活を壞すと言いたいのでありましよう。日本のシンボルである、あの平和のシンボルである富士山を、日本人に返せという鬪いが、日本国民の利益に反すると言いたいのでありましよう。漁民が、日本人の食べる魚を日本の沿海でとりたいから、アメリカの演習をやめろというのが、日本人の生活の安定を害すると言いたいのでありましよう。(拍手日本だけではなくそれがかりに賃金の日本だけ値上げに立ち土つても、アメリカの石油産業や鉄鍋の大ストライキは戰争政策を破綻させる実力であります。原子爆彈製造工場の労働者の闘争は、世界人類の平和と幸福のための鬪争であつて、公共の利益に反するものでは断じてあり得ないのであります。すなわち、平和と民主主義のとりでである中ソを敵として、アメリカの軍隊によつて日本の国の安全はともかく、自己の安全を保ちたいという政府と、国民は今やまつたく相反する立場対立しておるのであります。自由党の委員までが、全員一致して教育費国庫負担を決議し、中小企業者が総蹶起大会を開いて政府に反対しようとしておるのは、まつたくその一例にしかすぎません。  ゆえに、この労調法改悪は、ひとり全日本労働者のみでなく、全日本人民の生活安定と、民族独立平和のための闘いを外国のために彈圧するところの悪法であることは明瞭であります。(拍手)それのみではなく、木村法務総裁はゼネスト禁止法と集団示威運動等秩序保持に関する法律案をどうしも本国会に出して通したいと、政府はうろたえぶりを示しておるのでございます。  第二に、ひどいのは基準法改悪であります。主として少年の坑内労働と、婦人の労働者の深夜業が、居残り、休日返上とともに改悪されているのでございますが、現在でも基準法違反行為ということは日常茶飯事の状態でございます。八王子の労働基準局は、女工さんの訴えに対して、こんなことは通例で、人手もなし、予算もなし、一々取上げてはいられないといつてこれをはねつけております。綾部の繊維婦人労働者は、むちで打たれ、職制に追いまわされているといわれております。いやだと言えば、操業短縮の対象で、すぐ首だとおどかされて、帰ると、村では親たちが飯米もなく、肥料も買えない状態で、娘の給料は大切な現金收入であつたのであります。この弱みにつけ込んで、ブローカーは手を差延べて、石川県では、一つの村で六十人の娘が特飲街へ売られて行つたといわれますが、婦人少年局の全国会議の席上では、九州の娘たちが海外にまで売られているという悲惨な報告があつたといいます。  これらの日本の婦人労働者の職場を守るためには、現行基準法を厳然と守り、さらに最低賃金制の確立を加え、母体を保護する生理休暇も保障し、就労の機会も拡大しなければなりません。戰時中、男子の留守の職場を守り、低賃金で電労働まで押しつけらた婦人は、戰後また職場をほうり出され、今や再び戰時動員にかり出されるため、じやまになる基準法改悪をやられようとしておるのであります。(拍手)しかし、日本の婦人労働者は、生活の防衛と、平和と独立のために、断じて面せず立ち上つております。  十八才以下の少年の坑内労働についても同様、日本人を戰争に再びかり託そうとするアメリカと吉田政府は、右害労働であろうと、兒童憲章に何と辱めておこうと考えている余裕を持ない醜態を呈したのがこの改悪であります。(拍手坑内労働者は、今や毎品けが人のないことはなく、指や足を昂る者、命を落す者、凄惨な戰時中と嵩じ労働強化を低賃金のために押しつけられております。炭鉱の妻や母は、出でも、むすこでも、あぶない坑内だけには入れたくないが、坑内は金が高大からしかたがないといつて、わびながら送り出しているのです。どんなに争うつていても、帰つて来る姿を見るまでおちつかないのが、地下産業で働く労働者の家族の実情であります。  この少年の坑内労働は、親の実質賃金が、八時間では食えない状態に押つけられているという、低賃金であるということを無視するわけには行かないのであります。だからこそ、けさも、高松炭鉱の一坑採炭夫八百名は、第三波ストのトツプを切つて、戰時採炭カツペ反対、アメリカ式採炭反対立ち上り、ストライキに突入したではありませんか。政府が育成した愛労幹部小椿、武藤は、審議会でこの基準法改悪に賛成し、全労働者から追放され、総評のみならず、総同盟からも、労働半の裏切者として烙印を押されたではありませんか。労働大臣及び政府は、今必死になつて愛労幹部を抱き込み、第三波ゼネストに水をかけようとしているが、大衆はこれをすでに乗り越えて立ち上つているのであります。(拍手)  諸外国の支配者も、最後には外国の軍隊をもつて労働者国民を彈圧したのでありますが、自由党の諸君は、駐留軍がいなくなつたら、われわれの首があぶないと言つておるそうであります。外国軍隊の駐留は絶対に必要だというのだそうであります。これを世間が指して売国奴だというのであります。(拍手日本労働者は、まつたく反対の立場から、彈圧をはねのけて抵抗を続け、第三波ストを整然とうち、勝利に向つて闘い抜くことを、われわれは確信するものであります。  すでに東日重工下丸子工場では、五千円の賃金値下げに怒つた労働者は、米国のピストルと銃創と留置場の彈圧に囲まれてストライキに突入したのであります。八幡、富士、扶桑、鶴鉄等の鉄鋼労働者もストライキに入る決議をしております。電産は破防法に反対し、単独でもストを打つといつて決議しておるのであります。法律で足りずに、政府が、たといピストルや、こん棒や、武裝した軍隊の力でもつて、血迷つて彈圧いたしましても、すればするほど、闘争は広く、根深く国民的規模に拡大しておるではありませんか。政府は、今後かかる悪法を制定して、いかなる重大なる事態が起きても、あげて一切の責任は政府にあることを肝に銘じておくべきであります。  もちろん、かかる悪法に対して、修正立場というものは許さるべきものではありません。従つて共産党は、各派提案の修正案にも反対であります。ことに社会党右派に至つては、ゼネ禁法で彈圧を強化せよという改進党とともに、自由党と修正の取引をするなどとは、第三波ストに立上ろうとする英雄的な労働者階級に対する裏切り行為であります。共産党は、国家公務員法労働関係調整法公共企業体労働関係法を撤廃し、罷業権団交権団結権労働三権の完全に保障された労働組合法制定を囲い取るためにも、売国吉田内閣の打倒を決意し、闘い抜くことを表明いたしまして、わが党の反対の討論を終るものであります。(拍手
  27. 林讓治

    議長(林讓治君) 中原健次君。     〔中原健次君登壇
  28. 中原健次

    ○中原健次君 私は、ただいま議題となつておりまする労働関係調整法等の一部を改正する法律案労働基準法の一部を改正する法律案並びに地方公営企業労働関係法案に対しまとて、労働者農民党を代表して政府の原案とともに、前会で森山君、さらにただいま前田君等によつて説明になりました二つの修正案に対して反対をいたし、春野君によつて説明されました修正案に対して賛成をいたすものであります。(拍手)  政府原案は、いわゆる対日平和條約、いわゆる日米安全保障條約並びに日米行政協定による、新しい裝いの占領支配体制のもとに日本労働階級をくくりつけ、もつて労働者を従順にこれに奉仕させることをねらいといたすものであります。これは吉田政府労働政策の重要な骨格をここに示すものでありまして、文字通り改正案では寸ごうもありません。まごうかたない改悪案であります。  この改悪案の眼目とするところは、争議行為に対する緊急調整措置規定しようとしておる点でありますが、それによれば、すなわち「放置することにより国民生活に重大な損害を與へると認めたときは」労働大臣の職権で緊急調整決定され、五十日間の争議行為禁止するというのでありますが、問題はまことに重大であります。第一、その認定の正当性というものはだれがこれを保障するのであろうか。また、不当なる処置の場合に、その不当処分に対する救済はどのようにしようとするのか。政府原案は、このことについて、いささかも触れておらない。そればかりではなく、この認定をいたしまする條件一つ、その規模が大きいために、さらにもう一つ、特別の性質の事業に関するものなどという、この抽象的な規定は、その適用範囲を拡大するおそれなしといたしません。ことに、現在反動政府のもとにおける労働大臣の認定は、おそらく適宜に、御都合主義にその適用範囲を拡大するでありましよう。(拍手)このことは、おのずからそこに労働争議に対する官僚の不当介入を容易ならしめ、(拍手)同時にまた職権支配を必至にいたすでありましよう。かくの、ごとくいたしまして不当労働行為が手放しで行われるということがここに起つて参るのであります。  なお、労働関係調整法施行以来の経験は、冷却期間をもつていたしましては、問題の早期解決は望めないし、むしろそのために解決を遅延させるということが実証されて参つているのであります。 去る十九日、二十日、二十一日の三一日間にわたる、本三法案に対する労働委員会における公聽会の席上におきまして、ひとり日経連系統の公述人を除く、その他のほとんどすべての公述人の諸君は、品をそろえまして、この法律案改悪を指摘し、ことに緊急調整に対する非合理性を強く指摘いたしているのであります。しかるに、自由党の諸君は、それをお聞きにならなかつたのか。この公聽会の論議も馬耳東風のごとくに聞き流しまして、この悪法案通過のために、そのたくらみを必死に推し進めているのでありますが、このことは輿論を軽視するということではなくて、むしろそのことが本質的に自由党の反動性を意味するものであると私は思うのであります。(拍手)このことは、明らかに憲法が保障する労働者の団体行動権を事実上否定しようとするものであり、また、そのためのたくらみでしかございません。すなわち、労働者を階級的団結と統一行動から切り離しまして、その闘争を寸断して、これを個々の経営内に押し込めようとするものであり、のみならず、単純な経営内闘争からさえも、ストライキ権を剥奪せんといたしまして、この改悪案を合理づけ、占領支配体制に直結、従属する吉田政府の全労働政策の展開のために道を開こうといたしているのであります。まさに、そのために、一政府はいわゆる政治ストに関するデマゴギーを精力的に振りまいており、そのために異常なる努力を続けているのでありますが、その政治スト、デマゴギーとともに、いわゆる健全労働組合運動を宣伝し、さらに煽動し、それを組織しようと努力いたしているのが、政府の現在の正体であります。 対政府、対国会への働きかけにおいて、労働者がストライキをもつて闘うということは、これは政府をして言わしむるならば非合法というのだそうであります。そうして、これを政府は公共の福祉に反するというふうに、りくつづけようといたしているのであります。そうして、このような闘争をやらないのが、いわゆる健全労組だというているのでありまするが、しかし労働階級は、労働者自身のからだをもつて政府のこのデマゴギーを粉砕して闘つております。(拍手)そこに隠されたやいば、そのやいばの恐ろしさをはつきりと見抜くことができるように成長いたしているのであります。  いわゆる法規闘争は政治ストであり、非合法であるという政府の宣伝に関しまして、過日の労働委員会において、その政治ストが非合法だとしきりに主張する吉武労働大臣に対しまして、その法的な根拠は、一体どのような法律の第何條にそのことが規定されているかについて私は二回にわたつて追究をいたしたのでありまするが、吉武労働大臣は遂に答えることができておりません。労働者が、職場の中で、工場の中で、あるいは経営の中で獲得いたしました、たとえば賃上げその他の労働條件の成果を、自分自身と労働一者全体のために、これをもつともつと安全強固にするために、確実にそれを拡大するために、それが立法化を闘うということはきわめて当然のことでありますし、これはまた世界の歴史について見ましても、たとえば最低賃金制の問題や、労働組合制定の闘いの歴史などに見ましても、そこにいささかの疑問もないことであります。  日本国憲法の基本人権に関する諸規定並びに労働組合法等の労働権に関するものは、労働者生活の安定と向上のために、組合の政治活動を承認いたしているのであります。しかるに、その政治活動の中からストライキ権を抜き出し……。     〔議場騒然〕
  29. 林讓治

    議長(林讓治君) 御靜粛に願います。
  30. 中原健次

    ○中原健次君(続) これを禁圧しようとする政策は、明らかに労働階級に対する積極的な攻撃であり、吉田政府とその與党の違憲行為であると私は指摘して躊躇いたしません。(拍手)まさに、そのことは、歴史の前進を横切る反動フアツシヨの道であるといわなければならないのであります。(拍手)われわれは、資本家階級、その労働対策機関である産業別の経営者連盟、さらにまた彼らのいわば総評ともいうべき日経連が、どのようなことを現在やつているかを、よく承知いたしているのであります。彼らは、労働者にとつて死刑を意味する首切り、賃下げ、労働強化等々について單に各個別の経営においてだけではなくして、資本家の産業別組織の中で、さらに全資本家階級立場から、日経連などにおいて、連日協議を進め、指令を発し、統一行動のために狂奔をいたしているのであります。  今日、金鉱連傘下のわが労働者諸君が、一齊に賃上げ要求を闘つておりまするが、その金鉱連の資本家たちは、その要求に対しまして、誠意ある応対を示しておりません。自主的な解決のための努力著しく不十分という、まさに調停申請却下の認定條件をそのままの態度に出ているのであります。そうして労組側の申立てに対しまして、L金鉱連の資本家たちは応訴を拒んでおります。これと符合いたしましたように、労調法一部改正政府原案は、金鉱ストにおける資本家の意図をそのまま証に、いな、むしろそのことに忠実にこたえまして、調停申請の却下制を新たに設定しようといたしているのでありまして、しかも却下されました労働事件の争議が違法になるというように仕組まれておる本法律案の中でそのことをあわせ思いまするならば、労働者一階級は、吉田政府のもとでは、法律の百改正がされるたびごとに、労働運動の十骨抜き、無力化が画策されているということを、身をもつて経験させられて参るのであります。(拍手)現段階の資本家階級は、常に対政府あるいは対国会活動を意のままに続けておりまするが、しかもその強力なる闘争の武器といたしましては、あり余る黄金を活溌に振りまいているのでありまして、彼ら資本家たちは、その武器に災いされて、今私が思い浮ぶだけを拾つてみましても、たとえば炭鉱国外管理法案事件、また今の吉田内閣のできますためのきつかけとなつ昭和電工事件、さらにまた五井産業の事件、または二重煙突事件等々の、不覚にも足を出しました、これらだけの問題を拾いましても、枚挙にいとまのないところであります。このような資本家たちの暗い政治活動を放任しておい、労働者階級から一方的にストライキ権を剥奪せんとし、そうして提出されたのが本労働関係三法の改悪案でありまするが、それだけではなくして、過日は破防法案を本院で押し切り可決し、さらにまた公安條例法律化を実現させることによつて、現在以上に大衆運動を窒息させようとするのが政府の計画であるわけであります。さらにまた、資本家階級は、すでに昨年の春ごろから、私的な暴力組織たる職場防衛組織なるものをつくりつつありまするが、日経連は、精力的に職場防衛組織を整備せよという趣旨の秘密指令をその傘下の各資本家団体に発令しておることは、皆さんは御存じでありますか。このようなことは、明白に労働階級に対する直接の挑戰行為であることは申すまでもございません。しかるに、吉武労働大臣は、このことに対して、私が委員会において質疑をいたしましたところが、そのような資本家団体の武裝的な一つの組織をつくるということは時節柄当然であろうと彼は答えたのであります。皆さん、これが、口を開けば、そのたびごとに非合法といい、あるいは暴力という言葉を労働者階級に投げつけておる政府と資本家たちのやり口なのであります。(拍手)結局、このような立場を堅持ながら、資本家階級と、政府と、その與党の自由党諸君が、その資本家たちとのお手盛りの法律をみずから破り、非合法をやつてもなほ暴力を行使し、そうして、そのためにどのような結果が起つて参りましようとも、責任をいささかも感じておらぬ現状なのであります。  私は、以下各條項について詳しい改正案に対する批判を試みたいと存じまするが、時間の関係もございますので、各法律案に対する内容的な指摘を省略いたします。  要するに、このようにいたしまして、今や吉田政府は、明確に一方の側についてしまいました。つまり、日経連によつて代表される資本家の側に立つて施策することを使命とる、そのことを実証いたしたのであります。(拍手)かくして政府はもはや表見上の中立性をさえみずから喪失いたしました。従つて政府が口癖にいう公共の福祉とは、もう日本国民のものではございません。(拍手)單に日本経営者団体連盟の、すなわち日米経済協力に狂奔する大資本家たちの公共の福祉以外の何ものでもなくなつたのでございます。(拍手)  政府の、このような姿は、最近一層明白になつて来たのであります。たとえば五月一日のメーデー事件においても、また九日朝における早大事件におきましても、政府の警察は、あまりにも露骨に国民に対して憎しみをたぎらせ、容赦なく攻撃を加えておるのでありまするが、メーデー事件直後の五月二日、破防法案に関する衆議院法務委員会の公聽会において、政府の慣用語をもつてすれば、おそらく穏健な作家といわれる石川達三氏は、このように公述いたしております。「私どもは、やはり自分の自衛の立場から、こういう国家迫害から自分を守る行動をせなければならぬ……。この長い間に家を焼かれ、食糧を失い、あるいは親子兄弟を失い、高い税金を拂つて戰後に新しい世の中が出て来るかと思つていたのに、まるで昔と同じような、あるいはそれ以上の官僚国家ができて、そうして警察も非常に強くなつて来た。一体これで、国民が安心して日本の国中で生活ができるかどうか。」このように石川達三氏が述べておるのであります。考えさせられる言葉であります。  ここに、今日の日本国民大衆の追い詰められた、後へは引けない緊迫感が反映しておることを、われわれは思わなければなりません。(拍手)だからこそ、労働階級が、破防法案と本労働三法案に対しまして、従来に見ない真剣さと規模によつて、ストライキをもつて立ち上つておるのでありまするか広汎な国民大衆もまたこのストライキ闘争を心から支持し、労働階級は、この闘争にこそ現状打破の期待をかけておるのであります。わが労働者農民党は、労働階級を先頭とする全日本国民のこの闘いを熱烈に支持し、本労働三法案のこの政府原案に絶対反対するものであります。  おそらく自由党の諸君は、先日破防法案を当本会議場で無理押しに通過せしめたと同様に、この関係法案に対しましても、本会議において、しやにむに数を頼んで押し切るでありましようが、しかし吉田政府は、この議場で一つ法律案を成立させること、そのことによりまして日本国民大衆に対し、慎むべき罪状をみずから加重して参ることになることを自覚されなければならぬのであります。それと同時に、ますます国民全体から、あなた方が孤立して行くでありましようし、労働者、農民、市民大衆の毅然たる、反動に対するたくましき闘志とその実力とは、あくまで反動的フアシズム、政策全般に対しまして……。     〔発言する者多し〕
  31. 林讓治

    議長(林讓治君) 靜粛に願います。
  32. 中原健次

    ○中原健次君(続) 抵抗し、これを粉砕せねばやまないでありましよう。  私は、最後に皆様に訴えておきたい。皆様、反動の、保守の政治権力は、(発言する者多く、聽取不能)地球は動いております。歴史は前進いたしておるのであります。どうか皆さん、皆さんの聰明に訴えて、わが日本のよき歴史的発展成長のために、皆さんの御協力を心かち懇請いたしまして、私はここに提出されました三法案に対する反対の討論を終ります。(拍手
  33. 林讓治

    議長(林讓治君) これにて討論は終局いたしました。  採決の順序につき申し上げます。第一に労働関係調整法等の一部を改正する法律案、次に労働基準法の一部を改正する法律案、次に地方公営企業労働関係法につき採決することといたします。なお森山欽司君、前田種男君及び青野武一提出修正案相互の間には共通の点がありますが、便宜上別個のものとして各別に採決することといたします。  これより労働関係調整法等の一部を改正する法律案に対する修正案につき採決いたします。  まず青野武一提出修正案につき採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  34. 林讓治

    議長(林讓治君) 起立少数。よつて青野君提出修正案は否決せられました。  次に前田種男提出修正案につき採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  35. 林讓治

    議長(林讓治君) 起立少数。よつて前田君提出修正案は否決せられました。  次に森山欽司君提出修正案につき採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  36. 林讓治

    議長(林讓治君) 起立少数。よつて森山君提出修正案は否決せられました。  次に労働関係調整法等の一部を改正する法律案の原案につき採決いたします。この採決は記名投票をもつて行います。本案の委員長の報告は可決であります。本案を原案の通り決するに賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます。閉鎖。  氏名点呼を命じます。     〔参事氏名を点呼〕     〔各員投票〕
  37. 林讓治

    議長(林讓治君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。開鎖。  投票を計算いたさせます。     〔参事投票を計算〕
  38. 林讓治

    議長(林讓治君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。     〔事務総長朗読〕  投票総数 三百四十八   可とする者(白票) 二百三十六     〔拍手〕     否とする者(青票)   百十二     〔拍手
  39. 林讓治

    議長(林讓治君)右の結果、労働関係調整法等の一部を改正する法律案は原案の通り可決いたしました。(拍手)     〔参照〕  労働関係調整法等の一部を改正する法律案を原案の通り決するを可とする議員の氏名    阿左美廣治君  安部 俊吾君    青木 孝義君  青木  正君    青柳 一郎君  淺香 忠雄君    淺利 三朗君  天野 公義君    新井 京太君  有田 二郎君    井手 光治君  井上信貴男君    伊藤 郷一君  飯塚 定輔君    池田 勇人君  池見 茂隆君    石田 博英君  石原 圓吉君    石原  登君  犬養  健君    今泉 貞雄君  今村 忠助君    今村長太郎君  岩本 信行君    宇田  恒君  宇野秀次郎君    植原悦二郎君  内海 安吉君    江田斗米吉君  衞藤  速君    江花  靜君  遠藤 三郎君   小笠原八十美君  小川 平二君    小澤佐重喜君  小高 熹郎君   小野瀬忠兵衞君  小淵 光平君    尾崎 末吉君  尾関 義一君    大石 武一君  大泉 寛三君    大内 一郎君  大上  司君    大澤嘉平治君  大西 禎夫君    大橋 武夫君  大村 清一君    岡延右エ門君  岡崎 勝男君    岡田 五郎君  岡西 明貞君   岡野 清豪君  岡村利右衞門君    奧村又十郎君  加藤隆太郎君    鹿野 彦吉君  鍛冶 良作君    角田 幸吉君  風間 啓吉君    柏原 義則君  片岡伊三郎君    甲木  保君  金光 義邦君    神田  博君  川西  清君    川端 佳夫君  川村善八郎君    川本 末治君  河原伊三郎君    菅家 喜六君  木村 公平君    菊池 義郎君  北川 定務君    北澤 直吉君  金原 舜二君    久野 忠治君  倉石 忠雄君    栗山長次郎君  黒澤富次郎君    小金 義照君  小坂善太郎君    小平 久雄君  小玉 治行君    小西 寅松君  小峯 柳多君    小山 長規君  河野 謙三君    佐久間 徹君  佐々木盛雄君    佐瀬 昌三君  佐藤 榮作君    佐藤 重遠君  佐藤 親弘君    坂田 英一君  坂田 道太君    坂本  實君  志田 義信君    清水 逸平君  篠田 弘作君    島田 末信君  澁谷雄太郎君    島村 一郎君  首藤 新八君    庄司 一郎君  周東 英雄君    鈴木 明良君  鈴木 仙八君    鈴木 善幸君  鈴木 正文君    瀬戸山三男君  關内 正一君    關谷 勝利君  千賀 康治君    田口長治郎君  田嶋 好文君    田中伊三次君  田中 角榮君    田中 重彌君  田中 彰治君    田中  元君  田中不破三君    田中 萬逸君  田中  豊君    田渕 光一君  多田  勇君    多武良哲三君  高木  章君    高木 松吉君  高塩 三郎君    高田 弥市君  高橋 英吉君    高橋 權六君  高間 松吉君    竹尾  弌君  橘  直治君    玉置 信一君  圖司 安正君    塚田十一郎君  塚原 俊郎君    土倉 宗明君  辻  寛一君    圓谷 光衞君  坪内 八郎君    坪川 信三君  寺島隆太郎君    寺本  齋君  東井三代次君    飛嶋  繁君  苫米地英俊君    冨永格五郎君  奈良 治二君    内藤  隆君  中垣 國男君    中川 俊思君  中野 武雄君    中村  清君  中村 純一君    中山 マサ君  仲内 憲治君    永井 英修君  永井 要造君    長野 長廣君  夏堀源三郎君    西村 英一君  西村 直己君    西村 久之君  根本龍太郎君    野原 正勝君  野村專太郎君   橋本登美三郎君  橋本 龍伍君    幡谷仙次郎君  畠山 鶴吉君    花村 四郎君  原 健三郎君    原田 雪松君  平井 義一君    平澤 長吉君  平野 三郎君    福田 篤泰君  福田 喜東君    福永 一臣君  福永 健司君    藤枝 泉介君  渕  通義君    淵上房太郎君  船越  弘君    古島 義英君  降旗 徳弥君    保利  茂君  星島 二郎君    細田 榮藏君  堀川 恭平君    本多 市郎君  本間 俊一君    眞鍋  勝君  前尾繁三郎君    前田  郁君  前田 正男君    牧野 寛索君  増田甲子七君    益谷 秀次君  松井 豊吉君    松浦 東介君  松永 佛骨君    松野 頼三君  松本 一郎君    丸山 直友君  三池  信君    三浦寅之助君  三宅 則義君    水田三喜男君  水谷  昇君    滿尾 君亮君  南  好雄君    宮幡  靖君  宮原幸三郎君    武藤 嘉一君  村上  勇君    村上 清治君  守島 伍郎君    森   曉君  八木 一郎君    柳澤 義男君 山口喜久一郎君    山口 好一君  山口六郎次君    山崎 岩男君  山崎  猛君    山村新治郎君  山本 久雄君    吉武 惠市君  龍野喜一郎君    若林 義孝君  亘  四郎君  否とする議員の氏名    荒木萬壽夫君  有田 喜一君    石田 一松君  井出一太郎君    稻葉  修君  今井  耕君    小野  孝君  大西 正男君    大森 玉木君  岡田 勢一君    金子與重郎君  川崎 秀二君    北村徳太郎君  吉川 久衛君    小林 運美君  小林 信一君    河野 金昇君  河本 敏夫君    佐伯 宗義君  坂口 主税君    笹森 順造君  笹山茂太郎君    椎熊 三郎君  鈴木 幹雄君    清藤 唯七君  園田  直君    高倉 定助君  高橋清治郎君    竹山祐太郎君  床次 徳二君    苫米地義三君  内藤 友明君    中曽根康弘君  中村 寅太君    中村 又一君  橋本 金一君    長谷川四郎君  林  好次君    原   彪君  平川 篤雄君    福田 繁芳君  増田 連也君    松谷天光光君  三木 武夫君    水野彦治郎君  村瀬 宣親君    山手 滿男君  山本 利壽君    吉田  安君  淺沼稻次郎君    井上 良二君  石井 繁丸君    石川金次郎君  大矢 省三君    岡  良一君  加藤 鐐造君    川島 金次君  熊本 虎三君    佐竹 新市君  鈴木 義男君    田万 廣文君  堤 ツルヨ君    戸叶 里子君  土井 直作君    西村 榮一君  前田榮之助君    前田 種男君  松井 政吉君    松尾トシ子君  松岡 駒吉君    松澤 兼人君  松本 七郎君    三宅 正一君  水谷長三郎君    門司  亮君  山口シヅエ君    井之口政雄君  池田 峯雄君    江崎 一治君  柄澤登志子君    苅田アサノ君  木村  榮君    田島 ひで君  田代 文久君    田中 堯平君  高田 富之君    竹村奈良一君  立花 敏男君    中西伊之助君  梨木作次郎君    林  百郎君  深澤 義守君    横田甚太郎君  米原  昶君    渡部 義通君  青野 武一君    赤松  勇君  稻村 順三君    久保田鶴松君  佐々木更三君    坂本 泰良君  田中織之進君    福田 昌子君  八百板 正君    足立 梅市君  中野 四郎君    石野 久男君  岡田 春夫君    黒田 寿男君  中原 健次君    小林 泰良君  佐竹 晴記君     ―――――――――――――
  40. 林讓治

    議長(林讓治君) これより労働基準法の一部を改正する法律案に対する修正案の採決に入ります。  まず青野武一提出修正案につき採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます     〔賛成者起立〕
  41. 林讓治

    議長(林讓治君) 起立少数。よつて春野君提出修正案は否決せられました。  次に前田種男提出修正案につき採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  42. 林讓治

    議長(林讓治君) 起立少数。よつて前田君の修正案は否決されました。  次に森山欽司君提出修正案につき採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  43. 林讓治

    議長(林讓治君) 起立少数。よつて森山君提出修正案は否決せられました。  次に労働基準法の一部を改正する法律案の原案につき採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  44. 林讓治

    議長(林讓治君) 起立多数。よつて本案は原案の通り可決いたしました。(拍手)  これより地方公営企業労働関係法安に対する修正案につき採決いたします。  まず青野武一提出修正案につき採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  45. 林讓治

    議長(林讓治君) 起立少数。よつて青野君提出修正案は否決せられまた。  次に前田種男提出修正案につき採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  46. 林讓治

    議長(林讓治君) 起立少数。よつて前田君提出修正案は否決せられました。  次に森山欽司君提出修正案につき採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  47. 林讓治

    議長(林讓治君) 起立少数。よつて森山君提出修正案は否決せられました。  次に地方公営企業労働関係法案の原案につき採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  48. 林讓治

    議長(林讓治君) 起立多数。よつて本案は原案の通り可決いたしました。(拍手)      ─────・─────
  49. 林讓治

    議長(林讓治君) 日程第四、農産物検査法の一部を改正する法律案議題といたします。委員長の報告を求めます。農林委員会理事遠藤三郎君。     〔遠藤三郎君登壇
  50. 遠藤三郎

    ○遠藤三郎君 ただいま議題と相なりました、河野謙三君外二十三名提出農産物検査法の一部を改正する法律案につきまして、農林委員会におきまする審議の経過並びに結果の大要を御報告いたします。  御承知のごとく、去る第十国会において、農産物の公正かつ円滑な取引と、その品質の改善とを助成する目的をもちまして、現行農産物検査法の成立を見たのでありますが、その後実施の経験に基きまして愼重に検討いたした結果、あわ、ひえ、そば、澱粉等十二品目を新たに検査品目として追加いたそうとするのが、本改正法案提出理由であります。  次に本法案の要旨を申し上げますと二点ございます。第一点は、ただいま申し上げましたあわ、ひえ、そば、澱粉、はつか、除虫菊、大麻、亜麻、苧麻、みつまた、こうぞ、わら工品など十二品目を検査品目として追加いたしました。第二点はあわ、ひえ、そば、澱粉以外の他の品目につきましては、農林物資規格法による日本農林規格制定されておりますので、この規格によつて検査を行うことといたしましたことであります。  本法案は、五月十三日、本農林委員会に付託と相なり、去る二十二日、提案者を代表して河野委員より提案理由説明がございました。翌二十三日質疑を行いましたところ、自由党遠藤委員、改進党高倉委員社会党第二十三控室足鹿委員、共産党竹村委員から発言がございました。詳細は会議録に譲りたいと思いますが、特に遠藤委員から、昨年、本農林委員会から政府に対し、食管特別会計から独立した検査制度の確立をはかるべきことを要望した趣旨にかんがみ、政府はすみやかにこれが実現に努力すべき旨を強調されました。  質疑を終了後。討論を省略、採決を行いましたるところ、多数をもつて原案の通り可決すべきものと決しました。  以上御報告を終ります。(拍手
  51. 林讓治

    議長(林讓治君) 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  52. 林讓治

    議長(林讓治君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。      ─────・─────
  53. 林讓治

    議長(林讓治君) 参議院から、内閣提出食糧管理法の一部を改正する法律案が回付されております。この際議事日程に追加して右回付案を議題となすに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 林讓治

    議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  食糧管理法の一部を改正する法律案参議院回付案を議題といたします。     ―――――――――――――
  55. 林讓治

    議長(林讓治君) 採決いたします。本案の参議院の修正に同意の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  56. 林讓治

    議長(林讓治君) 起立多数。よつて参議院の修正に同意するに決しました。      ─────・─────
  57. 林讓治

    議長(林讓治君) 参議院から、内閣提出一般職職員給與に関する法律の一部を改正する法律案が回付されております。この際議事日程に追加して右回付案を議題となすに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 林讓治

    議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  一般職職員給與に関する法律の一部を改正する法律案参議院回付案を議題といたします。     ―――――――――――――
  59. 林讓治

    議長(林讓治君) 採決いたします。本案の参議院の修正に同意の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  60. 林讓治

    議長(林讓治君)起立少数。よつて参議院の修正に同意せざることに決しました。      ─────・─────
  61. 福永健司

    ○福永健司君 憲法第五十九條第三項及び国会法第八十四條第一項の規定により、一般職職員給與に関する法律の一部を改正する法律案について両院協議会を求められんことを望みます。
  62. 林讓治

    議長(林讓治君) 福永君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 林讓治

    議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて両院協議会を求めることに決しました。      ─────・─────
  64. 林讓治

    議長(林讓治君) これより両院協議会協議委員選挙を行います。     ―――――――――――――
  65. 福永健司

    ○福永健司君 両院協議会協議委員選挙は、その手続を省略して、議長においてただちに指名せられんことを望みます。
  66. 林讓治

    議長(林讓治君) 福永君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 林讓治

    議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて協議委員議長において指名するに決しました。  ただちに指名いたします。   一般職職員給與に関する法律の一部を改正する法律案両院協議会協議委員    倉石 忠雄君  岡西 明貞君    福永 健司君  田中不破三君    田中伊三次君  藤枝 泉介君    淵上房太郎君  水田三喜男君    西村 久之君  村上  勇君  ただいま指名いたしました協議委員諸君は、本会議散会後、議長応接室に御参集の上、議長、副議長おのおの一名を互選せられんことを望みます。      ─────・─────
  68. 福永健司

    ○福永健司君 議事日程追加の緊急動議提出いたします。すなわち、内閣提出、国土総合開発法の一部を改正する法律案議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  69. 林讓治

    議長(林讓治君) 福永君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  70. 林讓治

    議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  国土総合開発法の一部を改正する法律案議題といたします。委員長の報告を求めます。経済安定委員会理事志田義信君     〔志田義信君登壇
  71. 志田義信

    ○志田義信君 ただいま議題となりました国土総合開発法の一部を改正する法律案につきまして、委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  御承知のごとく、独立後のわが経済の自立を達成するためには、電源開発、食糧増産、奥地未利用林の開発及び災害防除対策の確立等の国土総合開発事業の推進が焦眉の急務となつておるのであります。これがために、一昨年の五月二十六日には国土総合開発法が公布されましたが、同法は計画組織法でありまして、これに対して、いわば実施法ともいうべきものが必要なのであります。ことに特定地域につきましては、昨年の十二月四日地域指定が行われ、しかも一方、これら特定地域内の重要河川の総合開発計画は、今や国をあげての要望となつておるのでありますから、これらが実施法たるべき諸般の措置を講ずるとともに、国土総合開発審議会の組織及び所掌事務を拡充強化して国土総合開発計画を促進しようというのが、本改正法律案なのであります。  以下、本案の内容につきまして、その大要を申し上げます。  第一に、国土総合開発計画を国の行政に移す手続が現行法には何ら規定されていないので、本案においては、特定地域総合開発計画を閣議決定するとともに、これに必要な予算の計上及び資金の確保に努めることといたしたのであります。さらに都府県、地方の各総合開発計画につきましても、都府県がその年度計画を提出した場合には、これに必要な調整を加えて行政上の措置をとることといたしたのであります。  第二に、国土総合開発審議会の組織及び所掌事務を拡充強化したことであります。従来、この審議会の委員には衆参両院の議員は入つていないのでありまするが、本案におきましては、これを委員に任命することにして、審議会の組織を強化するとともに、その所掌事務を拡充いたしたのであります。  第三に、国土総合開発計画は、強度の総合性確保のために、計画段階における調整のみならず、実施段階における調整も欠くことができないのでありまするから、このために、新たにこれが実施の調整規定を設けたのであります。  第四に、全国総合開発計画を内閣総理大臣が作成した場合には、これを国土総合開発計画の基本とする旨の規定を設け、これによつて当該各計画を一貫した方針のもとに推進して行くこととしたのであります。  第五に、国土総合開発計画を進めて行くためには、当該計画の作成及び調整のための調査は絶対に必要でありますから、都府県が当該諸計画を作成する場合における調査費の補助規定を設けるとともに、各省の調査に重複なきようこれを調整することとしたのであります。  本案につきましては、去る四月十六日に提案理由説明を聴取し、引続き十七日、五月七日及び二十日に審議を続行いたし、まだ四月二十二日及び二十四日に建設委員会と連合審査会を開き、それぞれ熱心なる討議を重ねました結果、本案の円滑適正なる実施をはかるためにはこれを修正する必要を認め、自由党の委員より次のごとき修正案の共同提案がありました。    国土総合開発法の一部を改正する法律案に対する修正案国土総合開発法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。   第十條の改正規定中「を加え、同條」を『を加え、同條第二項中「関係各行政機関の長の意見を聞き」を「関係各行政機関の長と協議し」に改め、同條』に改める。   第十二條の改正規定に次の一項を加える。  4 経済安定本部総務長官は、毎年度、関係各行政機関の長から公共事業関係の歳出の見積に関する書類の提出を求め、これについて、前項の規定により調整した事業計画の円滑な実施を図るため、必要な調整を行うものとする。   附則第一項中「五月一日」を「六月一日」に改める。  右修正案に、第十條中「関係者行政機関の長と協議し」といたしましたのは、建設大臣もまた関係行政機関の長としての立場にあることを明らかにしたものであり、また第十二條中に一項を加えましたのは、調整した事業計画に関する資金計画をも調整することが円滑な実施に必要であるからであります。右審議の詳細は委員会の速記録に譲ることにいたします。  かくて、二十日、右の修正案並びに修正の部分を除きたる本案を一括して討論を行いましたが、自由党を代表して私から、改進党を代表して有田委員から、日本社会党を代表して中崎委員から、いずれも賛成意見を述べられました。  次に採決に入りましたが、全員一致をもつて修正案並びに修正の部分を除いた原案を可決いたしました。  右御報告を申し上げます。(拍手
  72. 林讓治

    議長(林讓治君) 本案に一対しては、淺利三朗君外三名から、成規により修正案提出されております。この際修正案趣旨弁明を許します。淺利三朗君。     ―――――――――――――   〔淺利三朗君登壇
  73. 淺利三朗

    ○淺利三朗君 ただいま議題となりました国土総合開発法の一部を改正する法律案に対する修正案について、提案者を代表して趣旨弁明をいたします。  まず修正案を朗読いたします。   国土総合開発法の一部を改正する法律案に対する修正案第十二條の改正規定に次の一項を加える。  4 経済安定本部総務長官は、毎年度、関係者行政機関の長から総合開発計画に関する公共事業関係質金計画の書類の提出を求め、これについて、前項の規定により調整した事業計画の円滑な実施を図るため、必要な調整を行うものとする。   附則第一項中「五月一日」を「六月十日」に改める。  本修正案は、大体経済安定委員会の修正條項と同一であります。御承知のごとく、国土総合開発法において、その実施上の措置につきましては、特定地域の開発について国の経費負担及び補助の特例に関する規定がありますが、今回の改正法案は、さらにこれが実施法として、総合開発計画の作成手続の整備とともに、実施に関する必要な規定を設けて、これが円滑な実施を進めるための諸般の措置を明らかにしたものであります。従つて、先刻経済安定委員長の報告にもありますように、本改正案の第十二條の規定に一項を加えられました次第でありますが、ただいま提出の本修正案はこれと同一の趣旨のものでありますけれども、ただこの改正案の字句では疑義を生ずるおそれがありますので、この疑義を一掃して、さらに一層明確ならしめるために、この條項中の「公共事業関係」とある字句の上に「総合開発計画に関する」といろ補足的字句を加えるとともに、「公共事業関係の歳出の見積に関する」とあるを「公共事業関係資金計画の」と改めることにいたしたいと思うものであります。これは、国土総合開発法が多くの行政機関に関連するものである以上、これがためにその調整に疑義を生ずるおそれなきよう、法律趣旨を徹底、明確ならしめることはきわめて必要であるからであります。ことに、本法は総合開発に関する規定である以上、公共事業に関しましても、総合開発に関する範囲を明らかにすることが妥当であると信ずるのであります。また「歳出の見積」を「資金計画」に改めましたのは、経済安定委員会の修正案趣旨が、事業計画の調整に必要な範囲において、各省の予算要求を含む資金計画の全般について調整を行うことにありますので、この点を明確にいたしたのであります。  次に、附則第一項中の施行期日を「五月一日」から「六月十日」に改めたのは、本改正案の審議上、これを延期することが必要となつたからであります。  以上、本修正案につき簡單趣旨弁明をいたしましたが、何とぞ愼重御審議の上、すみやかに賛成せられんことをお願い申し上げます。(拍手
  74. 林讓治

    議長(林讓治君) 討論の通告があります。これを許します。池田峯雄君。     〔池田峯雄君登壇
  75. 池田峯雄

    ○池田峯雄君 私は、日本共産党を代表いたしまして、国土総合開発法の一部を改正する法律案に対する修正案並びに修正部分を除く原案に反対するものであります。  本法案の主要なる改正点は、第一に、内閣総理大臣が全国的な開発計画を作成し、これに基いて地方計画を立てる、地方計画が内閣の意に沿わない場合は、内閣は地方計画を変更させることができるという点であります。これは地方自治体を内閣の意のままに操縦し、中央集権制を強化しようとする吉田内閣の政策の最も端的な現われとして、きわめて重大な問題であります。  そもそも吉田内閣が、全国的な開発計画を樹立する上での中心的な環――立案の背骨ともなるべきものは何であるかといえば、言うまでもなく電力であります。アメリカの軍需産業の下請として、日本を極東の兵器廠とするための最大の弱点は、石炭と電力の決定的な不足であります。従つて、電力の開発こそが全国計画の背骨をなすものでありますがゆえに、電力を抜きにした地方計画は全然顧みられないという結果になつて来るのであります。これは、いくら調整したつて、そうなつて来るのであります。しかるに、地方においては、電力を含まないところの重要な開発計画が無数にあるのでありますが、かかる地方計画は、内閣の勧告によつて変更をしいられ、あるいは予算的措置において減額または削除されるという結果になるのであります。このことは、地方住民に非常に重大な影響を及ぼすものであり、また中央集権制の強化というフアツシヨ体制を促進するとい点において、われわれは強く反対するものであります。  第二に、総合開発のねらいは、あくまでも軍点を電源開発に置こうとするものでありますから、十五億ドルといわれる外資導入がきわめて困難を予想されておる今日、特定地域内の他の事業費が電源開発のためのダム建設費に吸い取られてしまうということであります。十五億ドル対日借款説が、日米間の重要協定締結のたびことに、まことしやかに放送され、協定成立と同時に立消えになつております。政府並びに自由党の諸君は、この幽霊みたいなものにつかれたもののように、電源開発促進法をつくつたり、あるいは国土総合開発計画による特定地域なるものを指定したりしております。しかし、自由党の諸君政府が本気になつて信じている十五億ドル対日借款という神風は、はたして御注文通りにやつて来るものでありましようか。  ウオール街は、日本政府の外資導入計画に対して何と言つておるか。日本への借款供與は危險きわまりないものである、その償還計画においては問題にならないと言つているではありませんか。白洲次郎氏の駐米大使も完全に締出しを食つている現状ではありませんか。だから、アメリカの意図は、アメリカの軍事計画に日本の資源を最大限に活用すること、しかし、そのためにアメリカの負担になるような投資は絶対にしないということ、すなわち、やらずふんだくりというのが対日政策根本原則なんであります。十五億ドル借款説というのは、だから、ちようど馭者が馬の鼻づらに、にんじんをぶら下げて馬をあやつる手段にする、あのやり方なんだ。にんじんのにおいをかがされて行政協定に判こを押し、三国一の富士山まで捧呈し、日中貿易を熱望する資本家を無理に押えつけ、共産党を初め全面講和論者を彈圧する。このにんじんの魅力、これが吉田政府の政策を貫く経済的裏づけになつているのであります。  かような次第で、外資が入らぬことは明々白々なんです。にもかかわらず、アメリカの軍事産業にあくまでもすがりついて、一切の資金をあげて電源開発に投入し、反共戰線のために勲功を抜きん出ようとするのが電源開発促進法であり、それと表裏一体をなすこの国土総合開発法であります。  そこで、特定地域なるものは結局どういうことになるか。結局、これは、農林省の予算も、建設省の予算も、地方団体の予算も、一切合財電源開発につぎ込む、電源開発と関係のないものはどんどん切り捨てる、こういうことになるのは明々白々なのであります。  例を利根川にとるならば、電源開発のために多目的ダムが完成いたしましたといたしまして、最大洪水流量である一万七千立米のうち、ダムによる調節量はわずか三千立米である。しかも、このダム工事には莫大な資金を必要とするのであります。この費用をもつて利根の洪水を東京湾へ注がせるべき大放水路の掘鑿に向けるならば、利根の洪水は完全に解消するばかりでなく、利根両岸の慢性的な洪水状態が解決し、一毛田は二毛田となり、霞ケ浦の水位は低下し、印旛沼、手賀沼は干拓され、数千町歩の美田がただちにつくられるのであります。論者あるいは言うかもしれない。利根の土砂流出はダムによつてのみ防止できると。しかしながら、利根の土砂流出の最大の原因の一つに赤城山の崩壊があることは、これ御承知の通りである。しからば、赤城の砂防工事と電力のダム工事と、どこでどう結びつけることができるのか。  さらにここで強調しなければならないのは、電力開発の性格がアメリカの軍事計画を助けようとするものであるがゆえに、それゆえに、電源開発のダムと洪水予防のダムとは、その効用においてまつたく相反する結果となるということであります。すなわち、大降雨の来襲前に、いち早くからにしておくべきダムに、電力需用の関係上、満々と水をたたえておかなければならないということになり、洪水予防の役割が全然果し得なくなるであろうということであります。  以上のごとき幾多の問題点が特定地域内に起つて来るのであります。これを解決する根本方針は、あくまで戰争計画者への電力確保にあるのでありますから、自由党の諸君がいくら修正案を出してもだめであります。一切を犠牲にして、ただ電力のダムをつくる、できたダムを軍事的に使用する、こういう結果となつて、国土はますます大雨で氾濫し、土地改良も干拓もできなくなるという結果になつて来るのであります。これがこの国土総合開発法の一部改正案のねらいであることは、一点疑いをいれぬところであります。さらにまた、水害の多い利根や北上川よりも、電力の多い熊野川や只見川に多くの資金が注がれるという結果になることは明白なのであります。でありますから、これはまさに国土総合開発法ではなくて、国土破壊法なのであります。(拍手)  私は、ここに国民の名において、この政府と自由党による国土破壊活動に対して断固として闘い抜くであろうことを宣言いたし、本法案に反対するものであります。(拍手
  76. 林讓治

    議長(林讓治君) これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。まず本案に対する淺利三朗君外三名提出修正案につき採決いたします。淺利君外三名提出修正案に賛成の諸君の起立を’求めます。     〔賛成者起立〕
  77. 林讓治

    議長(林讓治君) 起立多数。よつて修正案は可決されました。(拍手)  次に委員長報告にかかる修正につき採決いたします。ただいま淺利君外三名提出修正案が議決されましたので、委員長報告にかかる修正中、第十二條及び附則第一項の修正はこれを除き、第十條の修正について採決いたします。委員長報告にかかる第十條の修正に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  78. 林讓治

    議長(林讓治君) 起立多数。よつて委員長報告にかかる第十條の修正は可決されました。  最後に、第十條、第十二條及び附則第一項の修正を除いたその他の原案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  79. 林讓治

    議長(林讓治君) 起立多数。よつて第十條、第十二條及び附則第一項の修正を除いたその他の原案は可決いたしました。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時二十四分散会