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1952-05-24 第13回国会 衆議院 本会議 第45号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十七年五月二十四日(土曜日)
議事日程
第四十四号 午後一時
開議
第一
農産物検査法
を
改正
する
法律案
(
河野謙三
君外二十三名
提出
) ————————————— ●本日の
会議
に付した事件
労働関係調整法等
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
)
労働基準法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
)
地方公営企業労働関係法案
(
内閣提出
) 午後九時四十分
開議
林讓治
1
○
議長
(
林讓治
君) これより
会議
を開きます。 ————◇—————
福永健司
2
○
福永
健司君
議事日程追加
の
緊急動議
を
提出
いたします。すなわち、
内閣提出
、
労働関係調整法等
の一部を
改正
する
法律案
、
労働基準法
の一部を
改正
する
法律案
、
地方公営企業労働関係法案
、右三案を
一括議題
となし、
労働委員長
の
報告
を求め、ぞの一
審議
を進められんことを望みます。
林讓治
3
○
議長
(
林讓治
君)
福永
君の
動議
に御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
林讓治
4
○
議長
(
林讓治
君) 御
異議
なしと認めます。よ
つて日程
は追加せられました。
労働関係調整法等
の一部を
改正
する
法律案
、
労働基準法
の一部を
改正
する
法律案
、
地方公営企業労働関係法案
、右三案を
一括
じて
議題
といたします。
委員長
の
報告
を求めます。
労働委員長島田末信
君。 〔
島田末信
君
登壇
〕
島田末信
5
○
島田末信
君 ただいま
議題
となりました
労働関係調整法等
の一部を
改正
する
法律案
、
地方公営企業労働関係法案
及び
労働基準法
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、
労働委員会
における
審査
の
経過
と結果を御
報告
いたします。
終戰以後
、
わが国
の
労働立法
は、
労働組合法
、
労働関係調整法
、
労働基準法
、
公共企業体労働関係法等
が順次に制定され、戰前に比すれば飛躍的な
発展充実
を遂げ、これらの
労働立法
によ
つて労働者
の利益は擁護せられ、その
福祉
は増進し、また
わが国
の
民主化
の
促進強化
に大いに貢献したのであります。しかしながら、
平和條
約の効力が発生し、
わが国
の
経済自立
が特に緊要と
なつ
た今日においては、産業平和を維持し、
労働生産性
を高め、も
つて
日本経済
の再建をするために、
労働法規
に再
検討
を加えることが必要であります。
政府
は、この点にかんがみまして、昨年秋、
労働関係法令審議委員会
及び
労働基準審議会
に対し、
改正
すべき諸点につき諮問し、それらの答申を
検討
の上、今次
改正案
を立案し、本
国会
に
提出
いたしたのであります。 以下、
法案
の
大要
を申し上げたいのでありまするが、詳細は、時間の
関係
上、
議長
の
許可
を得て
速記録
に掲載することといたします。 これら三個の
法案
は、五月十八日、本院に
提出
せられ、同日
労働委員会
に付託されたのであります。
労働委員会
は、十四日に
政府
より
提案
の
理由
について
説明
を聽取し、引続き連日八回にわたり
審査
を続けました。さらに、この間、十九、二十日の
両日公聽会
を開き、
利害関係者
及び学識経験者合せて十四名より
意見
を聞き、なおこれを補足するため、二十一日に二名の
参考人
より
意見
を聞くなど、愼重に
審査
をいたしたのであります。 次に、
委員会
の
審査
の際に述べられました最も重要な問題数個につき、その
質疑
と
政府
の答弁について申し述べたいのでありますが、これまた詳細は
議長
の
許可
を得て
速記録
に掲載することといたします。 かくて、五月二十三日
質疑
を終局いたしましたが、本二十四日、
政府提出
の三個の
法案
のおのおのに対し、
改進
党、
日本社会党並び
に
社会党
第二十三
控室
及び
労働者農民党
その他より、それぞれ一個、合計九個の
修正案
が
提出
されました。それらの
修正案
の内容は記録によ
つて
御承知を願います。
労働委員会
は、以上各
修正案
の
趣旨説明
を、
森山欽司
君、
前田種男
君及び
青野武一
君より順次聽取の後、
政府原案
及び各
修正案
を
一括
して、これらに対する
討論
に入りましたところ、
天野公義
君は
自由党
を代表して
政府原案
に
賛成
、各
修正案
に
反対
の意を表しました。次いで
石田一松
君は、
改進
党の
修正案
の全部及び
日本社会党
の
修正案
の一部に
賛成
、
政府原案
に
反対
の意を表し、
熊本虎三
君は、
政府原案
に
反対
、
日本社会党
の
修正案
の全部及び他党の
修正案
の一部に
賛成
し、
柄澤登志子
君は、
政府原案
及び各
修正案
に対し
反対
の意を表しました。また
青野武一
君は、
日本社会党
第二十三
控室外提出
の
修正案
に
賛成
、
政府原案
に
反対
し、
中原健次
君は、
政府原案
並びに
改進
党及び
日本社会党
の
修正案
に
反対
、
日本社会党
第二十三
控室外提出
の
修正案
に
賛成
の意を表しました。 かくて、
討論
を終局し、各
修正案
及び
政府原案
を
採決
に付しましたところ、各
修正案
は全部否決され、
政府原案
が多数をも
つて
可決されました。 右御
報告
いたします。(
拍手
)
林讓治
6
○
議長
(
林讓治
君) 三案に対しては、
森山欽司
君、
前田種男
君及び
青野武一
君からそれぞれ
成規
により
修正案
が
提出
されております。この際順次
修正案
の
趣旨弁明
を許します。
森山欽司
君。 〔
森山欽司
君
登壇
〕
森山欽司
7
○
森山欽司
君
改進
党を代表して、今回
政府
の
提出
いたしました
労働法改正
に対する
修正案
の
趣旨弁明
をいたします。(
拍手
)
政府
の今回の
改正案
は、今日の
労働法
における緊急の
問題点
に何ら触れることなく、これを根本的に解決する
態度
がまつたく見られないのであります。(
拍手
)特に、去る五月十六日、
労働委員会
の席上において、
木村法務総裁
は、
ゼネス下禁止立法
をでき得る限り今
国会
に
提出
するよう準備中であるという重大な言明を
行つたの
であります。しかも、今回の
政府
の労働三法に関する
改正案
の中には、
緊急調整
のごとき、
争議権
の
実質的制限
ないし
禁止
が課せられておることは、健全な
労働運動
の伸長を祈念する
立場
からは、とうていこれを容記することができないのであります。(
拍手
)また
公共企業体労働関係法
上、従来最も問題と
なつ
た
仲裁裁定——
今日までの
国鉄裁定
あるいは
専売裁定
の際に最も問題になりましたこの
裁定
の
政府
に対する
拘束性等
の問題についても何ら触れることがなか
つたの
であります。さらに
労働基準法
において、
珪肺病
のごとき特殊の職業病に対して配慮を求める
労働者
の声が熾烈をきわめておるにもかかわらず、これに一顧だも與えず、安易なる
改正態度
をも
つて
臨んだことは、とうていこれを看過することができないのであります。よ
つて
、わが党はこれに対し、
大要左
のごとき
修正
を行わんとするものであります。もしこれが認められないときは、今回の
労働法改正
に
反対
せざるを得ないことを、はなはだ遺憾とするものであります。(
拍手
)以下、概略について申し上げますと、
政府
の意図する
実質的ゼネスト禁止立法
である
緊急調整
を全面的に削除し、
現行
の
職権調停
及び
労働大臣等
の
調停請求制度
を活用する
労調法
第十八條四号、五号をそのまま存置するのであります。この場合は、
公益事業
のみならず、それ以外の大
規模争議
についても、
中央労働委員会
の
意見
を聞いて、
国民生活
に重大な損害を與えると認められるものは
冷却期間
を設ける、すなわち
労調法
第三十
七條
第一項を
改正
するのであります。右のほか、
公益事業
における
争議行為
については、従来の
冷却期間制度
を廃し、
労働大臣等
への十五日間の
予告制度
をも
つて
かえる、すなわち
労調法
第三十
七條
第一項の
改正
であります。以上の
緊急調整
の
全面削除
、以下
主要点
おおむね六点、その他細部の点については、別にわれわれの
修正案
を十分御
検討
願いたいと思う次第であります。 さて、
現行
の
労働法
は、
労働法理論
の上からはきわめて不備が多いのであります。なかんずく、
占領下
において加えられた制約は、新
憲法下
において
公共
の
福祉
を
考慮
いたしましても、純粋の
労働法体系
としては調和がとれておらないのであります。
従つて
、これは
独立
とともに根本的に再
検討
されなければならないのであります。しかしながら、われわれは
国会
において
立法
の作業をや
つて
おるのであ
つて
、学説の争いをや
つて
おるのではありません。学問には
妥協
はないが、
立法
には
妥協
があると古人も言
つて
おるのであります。 さらに、今日の
労働界
の
現状
を見るならば、
総評
、
労闘
は、
破防法反対
を
中心
として第一波、第二波の
スト
を実行し、今後
労働法改正
に
反対
をいたしまして、第三波の
ス下
を計画しつつあるのであります。この
スト
の是非はともかくといたしまして、これは一面から見るならば、
総評左派
の
政治的偏向
のもとに
労働者
の
階級的結集
を固めんとする
行為
とな
つて
いることは、いなめない事実であります。しかし、他の面には、健全なる
労働運動
に結集する
労働者
といえども、
緊急調整
の持つ
ゼネスト禁止法的性格
に対し、
争議権
を守るために正当にも闘わねばならぬ
立場
に立
つて
おることは、見のがすことができないのであります。しかも、一方、
政府與党
に、この正当なる
反対
をも、強権をも
つて
、あえて多数を頼んで押えようという反動があることを、私どもは指摘せざるを得ないのであります。(
拍手
) このような
現状
において、われわれは、
独立
後の
わが国自立経済
の
発展
と、健全なる
組合運動
を
中心
とすべき
わが国労働界
の将来のために、このような衝突は好ましくないという
立場
において、何とかこれを回避せんとして、あえて最大の
努力
を傾けたものでありました。われわれは、この見地から
與野党
の
労働委員
の
意向
を打診し、
意見
の
調整
を試みたのであります。これに対し、
社会党右派
の
諸君
は、いろいろな難点はあ
つたの
でありますけれども、
自由党
の
諸君
にして
改進
党修正案
に対して十分なる
考慮
を拂うならば、われわれも
考慮
しようという
態度
をとり、また
自由党
の
労働委員
の
諸君
も、
社会党
にしてこの
改進
党の
修正案
に対して十分
考慮
するならば、われわれもこれに対して十分な
考慮
を拂うというようなことにな
つたの
であります。これに対する折衝は、昨日並びに本日午前中かか
つたの
であります。この結果、本二十四日午前、自由、
改進
、
社会右派
の三
党会談
を開いて、わが党の
修正案
を
中心
として最終的な
調整
を試みたのであります。特に
右派社会党
においては、忍びがたき
立場
にあるのではありまするけれども、わが
改進
党の
修正案
に対しましてまさに同調せんといたしましたその一せつな、
自由党
はいかなる
修正
をも拒否するという、まことに意外なる
態度
に出ましたために、
調整
は遂に
失敗
に
終つたの
であります。(
拍手
) 何ゆえわれわれの
努力
がこのように
失敗
に終つたか。これはあげて
與党自由党
の反動的な
態度
にあるのであります。(
拍手
)多数を頼んで弱肉強食的な
放任政策
を行
つて
おるのであります。
安本長官
はパンにはみそをつけて食えと言い、
池田大蔵大運
は貧乏人は麦を食えと言い、
中小企業者
の二人や三入は死んでもかまわないと
言つたの
は、
天下周知
の事実であります。これは、
社会
における弱者に対する愛情の欠けた
政治
の現われであります。しかも、弱い者の正しい
意見
を取上げない のであります。
金権万能
であります。
労働者
なら何でも敵視するという頑迷な
労働感覺
であります。
吉田総理
は、か
つて
、一部の
労働階級
に対して
不逞
の徒という言葉を
使つたの
でありますが、私はむしろ
不逞
のやからたる
自由党
を糾弾せざるを得ないのであります。特に
独立
後の
自立経済
における
労使関係
の
重要性
にもかかわらず、
労働法
のみならずすべてにおいて
労働政策
がな
つて
おらないのであります。一例をあげてみるならば、今日世界いずれの国においても見ることができるところの
労働者住宅政策
のごときは、今日の
日本
において、その一片すら発見することができないのであります。(
拍手
) このようにして、われわれの
努力
は遂に水泡に帰しました。しかも、なおかつわれわれがあえて本
修正案
を
提出
するゆえんのものは、もし時間の余裕があるならば、より一層詳細の点にわた
つて
改正
も試みたいし、またわが党独自の
立場
においても、さちにこれに附加すべき点を
提案
したいにもかかわらず、
自由党
は本日この
採決
を強行しようとしつつあるのであります。
運営委員会
において、議員の出席が悪いということをあえて指摘せんとした
與党
の
諸君
は、定足数を欠いて、この本
会議
を開くにも、この時間までこの醜態を呈しているのであります。(
拍手
)よ
つて
、われわれは今後の
修正
については
参議院
の同志に
讓つて
、とりあえずこのような大筋のみの
修正
を
提案
するということにとどめ、またそれが現在の事態においてきわめて緊要であると私は確信いたします。(
拍手
) すなわち、本
修正案提案
までの
経過
にかんがみるならば、
総評
、
労闘
といえども、あえて全面的にまつ正面からこれに
反対
の
意向
を表明し得なか
つたの
であります。われわれは、もし
国会
における
政治家
が、
講和発効
直後の重大なる段階と、国家の長き将来を思い、賢明なる
態度
をとり、超党派的な
立場
において事に処したならば、あえて
改悪反対
を唱えるところの
労働者
の支持をも受けたに違いなかつたと確信するのであります。(
拍手
) もちろん、これは本院においては、遺憾ながら少数をも
つて
否決されるでありましよう。しかしながら、
労働法改正
が
参議院
において難航することは、今や必至であります。すでに会期まさに終らんとしつつあります。これをかりに一箇月延長するも、おそらく
自由党
の
原案
をも
つて
いたしましては、この
法案
が野たれ死にすることは、私があえて予言してはばからぬところであります。(
拍手
)また、
万が一参議院
において
審議未了
のうき目を免れ得たといたしましても、もし何らかのまとまりを見せるならば、それはおそらくわが党の
修正案
以上のきびしいものでありましよう。(
拍手
)少くともわが党の
修正案
を出るものではないであろうということは、ここにおられる満場の
諸君
が、
與野党
を問わず、ひとしく認めるところであります。(
拍手
)その意味において、この
修正案
は、衆議院の意思たらずとも、やがて
国会
の意思として表現されるに違いないことを私は明確に予言し、私の
提案理由
の
説明
を終るものであります。(
拍手
)
林讓治
8
○
議長
(
林讓治
君)
前田種男
君。 〔
前田種男
君
登壇
〕 〔「案件の配付がなくて何を
審議
するか」と呼び、その他発言する者、離席する者多く、
議場騒然
〕
林讓治
9
○
議長
(
林讓治
君)
前田種男
君の
登壇
を許しましたが、この際暫時
休憩
いたします。 午後十時六分
休憩
————◇————— 〔
休憩
の後は
会議
を開くに至らなかつた〕