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1952-05-22 第13回国会 衆議院 本会議 第44号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月二十二日(木曜日)  議事日程 第四十三号     午後一時開議  第一 議院に出頭する証人等旅費及び日当に関する法律の一部を改正する法律案議院運営委員長提出)  第二 船舶安全法の一部を改正する法律案内閣提出)  第三 宅地建物取引業法案瀬戸山三男君外十一名提出)  第四 最高裁判所における民事上告事件審判特例に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)  第五 下級裁判所設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付)  第六 裁判所職員定員法等の一部を改正する法律案内閣提出)  第七 貸付信託法案内閣提出参議院送付)  第八 日本開発銀行法の一部を改正する法律案内閣提出)  第九 地方公共団体職員給與改善のための地方公共団体に対する国の貸付金に係る債務免除等に関する法律案内閣提出)  第十 地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、税関出張所及び監視署設置に関し承認を求めるの件 ●本日の会議に付した事件  日程第一 議院に出頭する証人等旅費及び日当に関する法律の一部を改正する法律案議院運営委員長提出)  日程第二 船舶安全法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第三 宅地建物取引業法案瀬戸山三男君外十一名提出)  日程第四 最高裁判所における民事上告事件審判特例に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第五 下級裁判所設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付)  日程第六 裁判所職員定員法等の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第七 貸付信託法案内閣提出参議院送付)  日程第八 日本開発銀行法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第九 地方公共団体職員給與改善のための地方公共団体に対する国の貸付金に係る債務免除等に関する法律案内閣提出)  日程第十 地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、税関出張所及び監視署設置に関し承認を求めるの件     午後二時四十五分開議
  2. 林讓治

    議長林讓治君) これより会議を開きます。      ————◇—————
  3. 林讓治

    議長林讓治君) 日程第一は委員長提出の議案でありますから、委員会審査を省略するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 林讓治

    議長林讓治君) 御異議なしと認めます。  日程第一、議院に出頭する証人等旅費及び日当に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。提出者趣旨弁明を許します。議院運営委員中川俊思君。     〔中川俊思君登壇
  5. 中川俊思

    中川俊思君 ただいま議題となりました、議院に出頭する証人等旅費及び日当に関する法律の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。  まず改正要点簡單に申し上げますと、従来委員会に出頭した参考人に対して支給する旅費及び日当は、国家公務員等旅費に関する法律によつて支給しておりましたが、これを証人及び公述人と同様に、議院に出頭する証人等旅費及び日当に関する法律を整備し、これによつて支給することにしたこと、また特に緊急出頭を要する場合に航空賃支給の道を開いたこと、なお従来は官吏がその職務関係証人等なつた場合のみ旅費日当を支給しないこととなつておりましたが、国会開会証人なつ国会議員及び国会議員秘書または参議院における緊急集会証人なつ参議院議員及び参議院議員秘書政府委員国会職員及び職務関係証人なつ公共企業体役職員等にもこれを支給しないこととしたこと等であります。  本案議院運営委員会において起案したものでありますから、何とぞ御賛成あらんことを希望いたします。(拍手
  6. 林讓治

    議長林讓治君) 採決いたします。本案可決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 林讓治

    議長林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて本案可決いたしました。      ————◇—————
  8. 林讓治

    議長林讓治君) 日程第二、船舶安全法の一部を改正する法律案議題といたします。委員長報告を求めます。運輸委員長岡村利右衞門君。     〔岡村利右衞門登壇
  9. 岡村利右衞門

    岡村利右衞門君 ただいま議題となりました船舶安全法の一部を改正する法律案について、運輸委員会における審査経過並びに結果を報告いたします。  まず本法案趣旨を簡単に説明いたします。現行船舶安全法は、一九二九年海上における人命の安全のための国際條約において要求されておる諸事項が包含されておりますが、右條約は一九四八年に改訂せられ、わが国は現在この條約に加入しておりません。しかしながら、わが国といたしましても、この新條約に加入し、国際海運に参加して、今後の発展を期する必要があるのであります。よつて、新條約の規定に基いて現行法所要改正を加えんとするものであります。  次に、この法案要旨を申し上げます。新しく無線電信を施設することを要する船舶として、国際航海に従事する総トン数五百トン以上千六百トン未満の貨物船を加え、それらの船舶につきましては、無線電信にかえて無線電話を施設し得ることとし、また船舶検査に関しまして国際的義務の履行を確保するため、責任態勢を強化する意味において、船舶検査官地位を明確に規定しようとするのであります。  本法案は、五月十日、本委員会に付託され、十二日政府より提案理由説明を聽取し、二十日質疑に入り、政府委員委員との間に熱心なる質疑応答がとりわされましたが、その内容会議録に讓ることといたします。  次に、討論を省略し、ただちに採決いたしましたところ、本法案起立総員をもつて政府原案通り可決すべきものと議決した次第であります。  右御報告申し上げます。(拍手
  10. 林讓治

    議長林讓治君) 採決いたします。本案委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 林讓治

    議長林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて本案委員長報告の通り可決いたしました。      ————◇—————
  12. 林讓治

    議長林讓治君) 日程第三、宅地建物取引業法案議題といたします。委員長報告を求めます。建設委員淺利三朗君。     〔淺利三朗登壇
  13. 淺利三朗

    淺利三朗君 ただいま議題となりました宅地建物取引業法案の、建設委員会における審議経過並びに結果を報告申し上げます。  今次大戰により戰災、強制疎開等のため多大の損害を受けた多数の都市におきましては、建物、特に住宅の需給が極度に逼迫し、これが取引を業とする者が激増し、惡質業者の不正が頻発していることは、すでに御承知のことと存じます。ここにおきまして、宅地建物取引業を営む者に対し、その事業の取締りを強化し、宅地または建物需給両者に安んじて利用できる業者を育成し、宅地及び建物の利用を促進することを目的として本法案提出せられた次第であります。  建設委員会におきましては、去る四月十九日、本法案が付託されまして以来、四回にわたり委員会を開催いたし、慎重に審議いたしました。質疑内容等につきましては会議録に讓ることにいたします。  質疑終了後、小平久雄君より修正の動議が提出されました。すなわちそれは、第十八條に規定されているところの「重要な事項について、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為」及び「不当に高額の報酬を要求する行為」に対する罰則は、最高刑の三年以下の懲役もしくは三十万円以下の罰金に処することになつているが、その罰則としては重きに失するので、これを軽減し、一年以下の懲役もしくは十万円以下の罰金に処するこことし、以下これに関連して、均衡上他の罰則も順次軽減したいとのことでありました。  かくして、討論を省略して採決に入り、まず修正案について採決いたしましたところ、全会一致をもつて可決、次いで修正案を除く部分の原案について採決いたしましたところ、同様全会一致をもつて可決いたしました。よつて法案修正議決すべきものと決せられた次第でございます。  以上、簡單ではありますが、概要を報告申し上げます。(拍手
  14. 林讓治

    議長林讓治君) 採決いたします。本案委員長報告修正であります。本案委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 林讓治

    議長林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて本案委員長報告の通り決しました。      ————◇—————
  16. 林讓治

    議長林讓治君) 日程第四、最高裁判所における民事上告事件審判特例に関する法律の一部を改正する法律案日程第五、下級裁判所設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案日程第六、裁判所職員定員法等の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。法務委員長佐瀬昌三君。     〔佐瀬昌三登壇
  17. 佐瀬昌三

    佐瀬昌三君 ただいま議題となりました最高裁判所における民事上告事件審判特例に関する法律の一部を改正する法律案下級裁判所設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案及び裁判所職員定員法等の一部を改正する法律案の三案につきまして、提案要旨及び法務委員会における審議経過並びに結果を一括して御報告申し上げます。  まず最高裁判所における民事上告事件審判特例に関する法律の一部を改正する法律案につきまして御報告を申し上げます。  元来、この法律は、最高裁判所に対する憲法違反等特別の場合を除いてはすべて民事上告を制限する特例法でありまして、その有効期間を施行の日から二年間と限られており、来る六月一日からその効力を失うことになつております。政府におきましては、この法律臨時特例法として制定された趣旨にかんがみ、民事上訴制度全般につきさらに検討する必要があるものと認め、最高裁判所事務総局の協力を得て研究を重ねて参つたのでありますが、上訴制度を改革するについては、下級審における手続その他民事訴訟手続全般にわたり根本的に再検討する必要があるとの結論に達したのであります。しかし、何分問題が重大でありまして、まだ成案を得るに至つておりません。以上の事情にかんがみまして、この際最高裁判所における民事上告事件審判特例に関する法律有効期間をさらに二年間延長し、その間に、全般的に、かつ根本的に民事訴訟法改正につき成案を得るよう努力したいというのが、政府提案要旨でございます。  法務委員会におきましては、向う二年間で民事訴訟未済事件を審理し、以後この法律による民事上告の制限を撤廃することができるかという質問があつたのであります。これに対して、最高裁判所説明員から、計数等をあげ、見込みとしては、おおむね二箇年内にそれが可能であるとの答弁があつたのであります。  次に、下級裁判所設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。  本改正案要旨は次の四点であります。第一点は、土地状況及び交通の便否等を考慮いたしまして、簡易裁判所管轄区域に関し、十一箇所についてこれが変更をすることであります。第二点は、土地状況にかんがみまして、高松地方裁判所管内土庄簡易裁判所の庁舎を移転し、これを渕崎簡易裁判所と改称することであります。第三点は、市、町、村その他の行政区画変更に伴いまして、簡易裁判所所在地名改称通りに四箇所の庁名を改称することであります。第四点は、従前の市、町、村が合併または分離して、新たに市、町、村ができ、また市、町、村の一部が他の市、町、村に編入される等、裁判所管轄区域の基準となつ行政区画変更等のあつたものについて、この法律の別表を改正しようとするものであります。以上が政府提案要旨であります。  法務委員会におきましては、これら管轄区域変更一般国民の利害と密接なる関係があるが、いかなる方法変更の決定をするのかとの質問がありました。これに対して、いずれも地元町村民その他関係者の意見を十分にしんしやくして、最高裁判所とも協議の上決定する旨政府答弁があつたのであります。  次は、裁判所職員定員法等の一部を改正する法律案について御説明いたします。  今回の改正のおもなる点は、裁判官以外の裁判所職員のうち、裁判所事務官七名、雇六十三名、裁判所技官四名及び看護婦十名、合計八十四名を増員しようとするものであります。すなわち、最近の実情にかんがみまして、事件の審理の際における法廷内外の静穏を保持するための方法として、裁判所事務官及び廷吏を若干増員して裁判所構内における警備あるいは法廷における秩序維持に必要な命令の実施等に遺憾なきを期せんとするものであります。また技官及び看護婦の増員は、家事審判事件少年事件、その他の家庭裁判所事件の処理において、医師としての技官及び看護婦医学的見地からの調査の必要から、いまだその配置のない家庭裁判所にこれを新たに配属しようとするものであります。以上が政府提案趣旨であります。  法務委員会におきましては、法廷秩序に関する最近の実情について質問があり、これに対し最高裁判所説明員より、去る五月十三日に起りました広島地方裁判所における法廷よりの被告奪還事件及び同十五日大阪地方裁判所堺支部に惹起しました裁判官に対する傍聽人暴行事件につきまして、現地調査に基いた説明がありました。なお、今回増員する六十三名の廷吏は有為なる青年をもつてし、その敏活な行動によりて法廷秩序を堅持せしむべく、各高等裁判所にこれを配置する旨の答弁があつたのであります。  かくて、五月二十一日、すべての質疑を終了いたしましたので、三法案を一括して討論に入り、採決の結果、右三法案はいずれも日本共産党を除く多数をもつて政府原案の通り可決した次第であります。  以上、簡單に御報告申し上げます。(拍手
  18. 林讓治

    議長林讓治君) 討論の通告があります。これを許します。梨木作次郎君。     〔梨木作次郎登壇
  19. 梨木作次郎

    梨木作次郎君 私は、日本共産党を代表いたしまして、ただいま上程された三法案に反対いたします。そのうち、裁判所職員定員法等の一部を改正する法律案につき反対の理由を明らかにせんとするものであります。  この法案は、裁判所職員定員を八十四名増加しようとするものでありますが、その中で七十名は裁判所警備員を増加しようというのであります。裁判所側説明によりますと、法廷秩序維持のためだというのであります。ところで、最近の裁判所動向は著しく反動化しまして、裁判国民の支持と同感を失いつつあることは動かし得ない事実であります。たとえば松川事件のごときは、被告人の無罪を証明する証拠を裁判官故意に握りつぶしまして、死刑、無期等の重刑を科した事実があるのであります。また、警察や検察庁が行うところの、不法な根拠のない逮捕状家宅捜索令状などの請求に対しまして、裁判所側は無批判にこれに屈して、これらの書類の濫発を行い、人権蹂躪にみずから加担しているのであります。特に政治犯につきましては、かつて治安維持時代さながらの、保釈を澁り、また弁護人の発言を二十分に制限するなどの不法をあえて行つておるのであります。  特にここで黙視できないことは、田中最高裁判所長官裁判運営についての態度、方針についてであります。田中長官は、ことしの一月一日の裁判所時報に、「新年の詞」と題して、次のようなことを言つておるのであります。「眼を国際社会に転ずるときに、同じ現象が見受けられるのである。ヒトテー、ムッソリーニ、東條の軍国主義的極端な国家主義的禍害は取り除かれたが、似而非哲学、偽科学によつて粉飾されたとうころの、権力主義独裁主義と、その結果である人間奴隷化においてナチズムフアシズムに勝るとも劣らない赤色インピリアリズムは、その発祥の領域を越えて、世界制覇の野望を露骨にあらわし始めた。」さらに「これらの諸国は、国際連合の正統的な理念である平和主義民主主義の忠実な使徒として、恐るべき国際的ギャングの侵略を食い止めるために一致結束しつつある。朝鮮の戰乱は、これらの諸国が如何なる程度に国連の理念に忠実であるかを実証したのである。」中略で「もし現在の二つ世界対立に直面して、なお中立の可能性を信じる者があるとするならば、その現実の情勢の認識の欠如に驚く外はない。」こういうように言つて、「さらにわれわれは、その道徳的信念と勇気の欠如批判せざるを得ない。」さらに「わがインテリゲンチヤの平和論全面講和論くらい、その真理への不忠実と論理的無確信を暴露しているものはない。彼等の中のある者は、真理とか平和とかの抽象的な言辞によつて自己の主張を粉飾する。もし彼等が真に真理と平和に忠実ならば、共産主義者でない限り平和條約や安全保障條約に批判を加える前に、それ以上の熱意をもつてまず共産主義理念及びこれを奉ずる国々の現実批判を向けなければならぬはずである。」と、かようなことを言つたり、さらに本年十月十五日付の雑誌「法曹」に、「講和裁判官」と題しまして、「同一のことは裁判官にも適用される。新憲法の精神を否定する世界観や理論を懐抱する裁判官は、如何に法律技術に卓ぐれていても裁判官として不適格である。又これに対し信念を欠き、又は懐疑的な者は、裁判官として適当であるとはいえない。それ等の者は、少くとも高度に良心的であることが要求される裁判官として、安んじてその地位に止り得ないわけである。」かようなことを言い、さらに「そうして、その国際的協同体二つ陣営に分裂している今日、我々は正義、自由、秩序基本的人権支配する陣営に所属するに至つたのである。」と、かようなことを言つておるのであります。  この田中長官の言動というものは、現代を国際的にも国内的にも二つ世界対立と断定し、その一方を正義と平和と自由の世界と独断し、他の一方を似而非哲学、偽科学によつて粉飾される、人間奴隷化する赤色インピリアリズムであり、ナチズムフアシズム以上の敵とし、国際的ギャングと呼び、これを敵視していることは明らかであります。このことは、全国裁判官に対して、田中最高裁判所長官の名において、戰争を挑発し、戰争に参加し、戰闘開始を呼びかけるもの以外の何ものでもありません。(拍手最高裁判所長官が、戰争を放棄した憲法を否定し、反戰、平和の愛国者裁判の名において彈圧し、投獄することを全国裁判官に要求とているもの以外の何ものでもありません。さればこそ、全国裁判所は、日本国民に平和を訴え、戰争反対、民族独立、自由を守れと呼びかけた新聞「平和のこえ」の発行、編集、配布、これを所持する者に至るまで、不法にも有罪にいたしておるのであります。かような裁判をするから、日本国民は現在の裁判所信頼を持たず、平和擁護民族独立運動を達するものであると考えているのであります。これを裁判の名において強行とようとするから、法廷においてはげしい抗議が起るのは当然であります。  しかるに、本法案は、警備員を増加することによつて暴力的に愛国者を彈圧し、これによつて法廷秩序を維持しようというのであります。これは明らかに裁判ファッショ化以外の何ものでもありません。裁判所がほんとうに国民信頼を受けようとするならば——日本の平和と独立と自由を守るために奉仕しておるような、そのような裁判をすみならば、国を愛するすべての日本国民によつて支持され、守られるでありましよう。だが、しかし、現実裁判所のやり方というものは、多数のものものしい武装警官の包囲のもとに裁判をしたり、また人民を彈圧するような武装警官をふやしてみたりするようなことをやつておる。  特にわれわれがここで言わなければならないことは、占領中に連合国最高司令部法務部におつたような役人、たとえばマコーミツク氏のごときものを、講和が発効した今日におきまして、一箇月四万五千円の月給を拂つて最高裁判所に雇い入れている。彼らは、これは図書館の仕事だとか、司法研修所の仕事をさせるとか言つておるが、われわれは、明らかに講和発効後においても、アメリカ支配をこの裁判所を通じて行わんがために、この人間を派遣したものと考えざるを得ない。かようなアメリカ支配者に対しては卑屈な態度をとりながら、日本国民に対しましては、ただ彈圧のみをもつてせんとするこのような裁判、このような裁判をするからこそ、日本国民信頼と共鳴をかちとることができないのである。従つて、七十名やそこそこの警備員を増置することによつて裁判の権威だとか、法廷秩序を維持せんと考えること自体、笑止千万であります。かようなことをやるからこそ、日本裁判所というものが国民から孤立し、国民から敵視され、憎惡の場所となることは当然であります。  私は、日本裁判所が、日本独立と宇和と自由、人権を保護するための、真の人民のための裁判所となることを願うがゆえに、これと逆行する現実裁判所動向に嚴重に抗議するとともに、その反動化を促進する本法案に絶対反対するものであります。(拍手
  20. 林讓治

    議長林讓治君) これにて討論は終局いたしました。  三案を一括して採決いたします。三案の委員長報告はいずれも可決であります。三案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  21. 林讓治

    議長林讓治君) 起立多数。よつて三案とも委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)      ————◇—————
  22. 林讓治

    議長林讓治君) 日程第七、貸付信託法案日程第八、日本開発銀行法の一部を改正する法律案日程第九、地方公共団体職員給與改善のための地方公共団体に対する国の貸付金に係る債務免除等に関する法律案日程第十、地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、税関出張所及び監視署設置に関し承認を求めるの件、右四件を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。大蔵委員会理事三宅則義君。     〔三宅則義登壇
  23. 三宅則義

    三宅則義君 ただいま議題となりました三法律案及び一承認案について、大蔵委員会における審議経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず第一に、貸付信託法案について申し上げます。  この法律案は、わが国現下経済事情にかんがみ、資本の蓄積をはかり、電源開発資金その他緊要な長期資金の円滑な供給をはかるために、新たに貸付信託制度を設けようとするものでございます。その内容を概略申し上げますと、まずこの貸付信託は、一個の信託約款に基きまして多数の委託者が信託した金銭を、信託約款に定められた特定の目的に合同いたしまして運用する金銭信託でありまして、その受益権受益証券により表示することといたしております。次に、受益者の保護をはかり、信託財産の運用の適正を期するとともに、信託財産が予定せられた緊要産業に運用せらるることを確保するため、信託約款及びその変更につきましては、あらかじめ大蔵大臣承認を要することといたしまして、また信託約款変更の場合において、受益証券権利者が買取り請求をいたしたときは、受託者固有財産をもつて買い取らなければならないことといたしているのであります。このほか、受益証券の消化を容易にいたし、この制度の普及をはかる等のため、受益証券貸付信託期間特別留保金等につきまして所要規定俺設けているのでございます。  本案につきましては、数回にわたり審議の結果、去る五月二十日質疑を打切り、討論を省略の上採決いたしましたところ、起立多数をもつて原案の通り可決いたしました。  第二に、日本開発銀行法の一部を改正する法律案について申し上げます。  この法律案は、日本開発銀行資本金を増額するとともに、資金の借入れができることとするほか、業務活動全般についてこれを拡充する措置を講じようとするものでありまして、その要点を申し上げますと、まず第一に、この資本金を三百億円に増加するとともに、復興金融金庫から承継した資金に見合う政府借入金八百五十二億二千万円を出資金に振りかえることといたした次第であります。  第二は、従来の融資肩がわり業務改善を加えたほか、新たに開発資金に関する債務保証業務を行い得ることといたしたのであります。  第三は、政府からの資金の借入れ及び外国からの外貨資金の借入れを認めることといたした点でありまして、明年度におきましては米国対日援助見返資金特別会計から四十億円の借入れをいたすことといたした次第であります。  第四は、将来適当な時期に、米国対日援助見返資金特別会計から、この私企業に対する貸付債権及びこれに付随する権利義務を承継することといたした点でありまして、右の承継債権に相当する金額は、将来適当な時期にこれを出資金に振りかえることができることに改正いたしたものであります。  さらに、その利益金の一定割合を国庫に納付させることとし、これに伴い法人税等の非課税の取扱心をすることといたしたのであります。  本案につきましては審議の結果、昨二十一日質疑を打切り、ただちに討論に入りましたところ、共産党を代表いたしまして深澤委員より反対討論のあつた後、続いて採決いたしましたところ、起立多数をもつて原案の通り可決いたしました。  第三に、地方公共団体職員給與改善のための地方公共団体に対する国の貸付金に係る債務免除等に関する法律案について申し上げます。  この法律案は、最近におきまする地方公共団体の財政状況にかんがみまして、昭和二十二年度において国が地方公共団体職員給與改善の財源に充てるために都道府県及び五大市に対しまして貸し付けた五十一億七千九百五十万円の政府資金のうち、未償還額三十五億三千八百六十五万円を免除することといたしまして、これに伴いまして、昭和二十一年度分以前の還付税のうち、まだ都道府県に還付されていないものにつきましては還付を要しないこととする措置を講じようとするものでございます。  本案につきましては、審議の結果、昨二十一日質疑を打切り、討論を省略の上採決いたしたところ、起立多数をもつて原案の通り可決いたしました。  最後に、地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、税関出張所及び監視署設置に関し承認を求めるの件について申し上げます。  本件は、最近におきまする外国貿易の趨勢、密貿易の動向及び北緯二十九度以北の島嶼のわが国の行政権内への復帰等にかんがみまして、税関行政の円滑な遂行、密貿易の監視、取締りの完全を期するため、津久見税関支署佐伯監視署外一監視署出張所に改めますとともに、神戸税関飾磨監視署外二監視署を新たに設置しようとするものでございます。  本件につきましては、審議の結果、昨二十一日質疑を打切り、討論を省略の上採決いたしましたところ、起立多数をもつて原案通り承認を與うべきものと議決いたしました。  以上各法案に対しまして大蔵委員会審議の結果を御報告申し上げます。(拍手
  24. 林讓治

    議長林讓治君) 討論の通告があります。これを許します。深澤義守君。     〔深澤義守君登壇
  25. 深澤義守

    ○深澤義守君 ただいま上程されました四案に対しまして、日本共産党を代表して反対の意見を表明せんとするものであります。  日本開発銀行法の一部を改正する法律案を中心といたしまして反対討論をいたします。日本開発銀行は、昨年四月、アメリカ帝国主義の強い要求によつて、国会の審議わずかに十日足らずで法案を通過させて設立されたのでありますが、わが党は、このときに、開発銀行は米国による日本産業の軍事的再編成の推進という役割を負わされているものであるということで、強くこれに反対したのであります。このたびの法案改正によつて、このことはいよいよ明確になつてつたのであります。  見返り資金と一般会計からの支出によつて資本金を三百億に増額し、さらに復興金融金庫から承継した政府出資金八百五十二億二千万円を資本金に振りかえまして、合計千五百五十二億二千万円という厖大な銀行になるのであります。その上に、適当な時期に見返り資金の私企業分を承継し、さらに政府からの借入れと外資の借入れもできることにしたのであります。かくして、日本開発銀行は、日本における最大の銀行として、また最も大きな特権を持つた銀行として再出発することになつたのでありますが、このことは、日本経済をアメリカの兵器工場に再編成するための長期資金の供給を行う植民地銀行となつたとわれわれは言わざるを得ないのであります。(拍手)これが反対の第一点であります。  第二点は、一体見返り資金は、終戰直後の大豆かすや、こうりやんや、大豆粉等のアメリカのありがたい援助物資に対して国民が安拂つた代金を積み立てたものであります。国民が終戰時の栄養失調のからだで働いて支拂つたところの金であります。一般会計からの出資は、国民の血の出るような税金であります。従つて、この血と涙のにじむ国民の金によつて開発銀行の資本は成り立つでおります。それが国民大衆には返されずに、一握りの日本独占資本に利用され、アメリカ戰争目的に奉仕するのであります。  昭和二十七年一月十六日現在の開発銀行の資金の貸付の状態を見ますると、石炭関係が十九億八千三百万円、鉄鋼二十一億八千二百万円、非鉄金属七億四千五百万円、自家発電十二億七千六百万円でありますが、これはいずれも八幡製鉄、神岡鉱業等九大会社の分であります。さらに化学工業が十六億一千三百万円、機械工業六億一千万円、港湾施設一億円、これは三菱、住友の倉庫であります。電源開発に対しまして五十六億、さらに返済資金として市中銀行の長期貸付の肩がわりでありますが、これを海運に対して二十五億四千八百万円、以上百六十六億円は、まつたく日本の有数な独占資本家に対する貸付であります。  平和産業にも貸し出しておると言つておりますが、繊維工業に二億円、これは高瀬染工場五千万円、日本レーヨン一億円で、これも斯界の大資本家であります。農林水産にも出していると政府言つておる。五億一千万円出してあることは間違いないのでありますが、これは米をつくる百姓や、山に働く炭焼や、漁業者に貸したのではなくて、大洋漁業、日本水産、極洋捕鯨という三つの大独占資本家に貸しておるのであります。国民大衆を貧困と重税と資金難の苦しみに究き落しておいて、日本経済の再建復興、開発の美名に隠れて、日本の独占大資本家を太らせつつ、日本再軍備と日本軍国主義の復活の経済的な基礎をつくり、もつてアメリカのごきげんを伺わんとするのが、この銀行の本質であります。  自由党の諸君の中にも、総裁小林中のおめがねにかなわなければ借りることができないと非難ている者がありますが、中小企業や平和産業では、まつたく日本開発銀行の対象にはならないのであります。諸君の絶対多数でつくつた開発銀行は、諸君が利用する銀行ではなくて実は諸君がこの銀行に利用されたのだということを、われわれは言わざるを得ないのであります。  第三の反対の点は、復興金融金庫政府出資金八百五十二億余円を無批判に承継させることでありますが、再びこれは開発銀行をして第二復金的な役割を果させることになるのであります。復興金融金庫は、昭和電工事件の大不正に集中的にその性格が現われておるのであります。全体として、もつと深刻にわれわれは検討すべきものがあるのであります。終戰直後、くつ一足二十円の相場のときに、当時の内務省の調査によりまして、六千億円の旧軍関係の物資があつたのであります。この物資がやみからやみに流れた一方、国民の血税で復興金融金庫が創設されて、それが各大財閥に貸し出されているのであります。  例をとつてみますれば、二十四年三月末の調べでは、三井鉱山が八十八億、三菱鉱業六十四億、北海道炭礦汽船四十四億、井華鉱業二十二億、明治鉱業十八億五千万、宇部興産十三億、東芝十億五千万、九つの電力会社合計九十一億、日本水産十億三千万、麻生鉱業六億三千万、昭和電工二十六億一千万、こうして各界の大資本家に貸し付けた五千万円以上の貸付総額は実に七百十八億四千万円であります。しかも、利率は年九分五厘で、期限は十箇年のものが多いのであります。なお現在、七百五十八億円がその貸付残額となつておるのであります。その上に、開発銀行からの二重融資を受けておるのであります。麻生鉱業に例をとれば、二十四年三月末の貸付が六億三千万円、復金の解散のときに、二十七年一月十六日現在で、なお三億五千一百万円残額があります。それにもかかわらず、開発銀行からさらに一億三千万円を貸し付けているのであります。  戰災によつて打撃を受けた日本の財閥、大資本は、前に言つた、当時六千億もの厖大な物資の運用と、この復金の特権的な金融によつて、何らの恐慌、倒産も味わうことなく、今日大きく太つておるのであります。国民の困苦欠乏をよそに、また、さんたんたる戰争の犠牲をしり目に、彼ら財閥、独占資本は、まさに完全に復活したのであります。このために、復興金融金庫の役割はまことに大きなものがあつたのであります。当時と今日とでは、貨幣価値は十数倍低下しておるのであります。従つて、われわれは、復金の貸付金を繰上げ返済させてこれを資金に苦しむところの中小企業や農林漁業、平和産業にまわすべきであるということを主張するのであります。(拍手)  第四の反対点は、講和の発効によつて、占領中のアメリカの援助資金約七千億余円が債務となつて、その返済の方針がまだ確定しておらない。池田大蔵大臣は、見返り資金日本政府の独自の方針によつて運用すると明言したが、返済の方針がきまらない援助資金に見合うところの見返り資金に、国民の目に見えないひもがついておることは、想像にかたくないのであります。この見返り資金の私企業分を開発銀行に承継する今度の改正は、開発銀行にアメリカの非常に強いところのワイヤー・ロープを結びつけて、植民地銀行としての役割を果させることになることは必然であります。  自分の国の完全な独立を願い、悲惨な戰争に反対して平和な国を再建したい念願は、日本人のすべてが、観念として、だれ一人として考えない者はないのであります。ところが、経営や事業が、兵器や軍需品をつくらねば金融がつかない、金繰りができないとすれば、観念や意思に反して、兵器や軍需品の発注を希望し、軍備の拡張を主張することになるのであります。経済が軍事的に再編成され始めますると、坂道にころがされた車のごとく、加速度的に再軍備戰争挑発にまで発展するところの危険があるのであります。日本開発銀行の果す役割は、この戰争の破滅のものをつくるものであるということを指摘いたしまして、われわれは断じてこの銀行法の一部改正案に対して反対するものであります。  さらに貸付信託法案は、一般産業投資家の便益に供するという偽装をもつて、厖大なる電源開発資金をかき集めるところの政府の金融政策の一環であります。善良なる国民大衆の貯蓄によつてアメリカ戰争準備に投資するというのがこの法案内容でありまして、わが党はこれに対して反対いたします。  なお地方公共団体職員給與改善のための地方公共団体に対する国の貸付金に係る債務免除等に関する法律案は、一見まことにけつこうではありまするが、その裏に、昭和二十七年度の平衡交付金の算定にあたつて、これを免除されたところで、調整差引を平衡交付金の中でされるという危険があるのでありまして、思わざる平衡交付金の減額と、いうものが行われる公共団体が出て来るのであります。こういうような法案内容に対しましては、一見非常にけつこうな法案でありまするが、われわれは賛成できないのあります。  以上、共産党を代表して反対討論を行つた次第であります。(拍手
  26. 林讓治

    議長林讓治君) これにて討論は終局いたしました。  まず日程第七ないし第九の三案を一括して採決いたします。三案の委員長報告はいずれも可決であります。三案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  27. 林讓治

    議長林讓治君) 起立多数。よつて三案とも委員長報告の通り可決いたしました。  次に日程第十につき採決いたします。本件は委員長報告の通り承認するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  28. 林讓治

    議長林讓治君) 起立多数。よつて本件は委員長報告の通り承認するに決しました。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時三十五分散会