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1952-05-20 第13回国会 衆議院 本会議 第43号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月二十日(火曜日)  議事日程 第四十二号     午後一時開議  第一 議員川崎秀二懲罰事犯の件  第二 港湾法の一部を改正する法律案岡田五郎君外四名提出)  第三 昭和二十五年度国有財産増減及び現在額総計算書  第四 昭和二十五年度国有財産無償貸付状況計算書  第五 ドイツ人工業所有権特別措置令の一部を改正する法律案内閣提出)  第六 石油及び可燃性天然ガス資源開発法案内閣提出)  第七 麻薬取締法及び大麻取締法の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付)  第八 地方税法の一部を改正する法律案内閣提出)  第九 日本国との平和条約効力発生及び日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定実施等に伴い国家公務員法等の一部を改正する等の法律案内閣提出)     ————————————— ●本日の会議に付した事件  警察予備隊令の一部を改正する等の法律案内閣提出参議院回付)  国立学校設置法の一部を改正する法律案(本院提出参議院回付)  日程第二 港湾法の一部を改正する法律案岡田五郎君外四名提出)  日程第三 昭和二十五年度国有財産増減及び現在額総計算書  日程第四 昭和二十五年度国有財産無償貸付状況計算書  日程第五 ドイツ人工業所有権特別措置令の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第六 石油及び可燃性天然ガス資源開発法案内閣提出)  日程第七 麻薬取締法及び大麻取締法の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付)  日程第八 地方税法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第九 日本国との平和條約の効力発生及び日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定実施等に伴い国家公務員法等の一部を改正する法律案内閣提出)  地方公務員法の一部を改正する法律案内閣提出)     午後二時八分開議
  2. 林讓治

    議長林讓治君) これより会議を開きます。      —————・—————
  3. 林讓治

    議長林讓治君) 参議院から、内閣提出警察予備隊令の一部を改正する等の法律案、及び本院提出国立学校設置法の一部を改正する法律案が回付されております。この際議事日程に追加して右回付案を随時議題となすに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 林讓治

    議長林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  まず警察予備隊令の一部を改正する等の法律案参議院回付案議題といたします。     —————————————
  5. 林讓治

    議長林讓治君) 採決いたします。本案参議院修正同意諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  6. 林讓治

    議長林讓治君) 起立多数。よつて参議院修正同意するに決しました。     —————————————
  7. 林讓治

    議長林讓治君) 採決いたします。本案参議院修正同意諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  8. 林讓治

    議長林讓治君) 起立多数。よつて参議院修正同意するに決しました。      ————◇—————
  9. 福永健司

    福永健司君 日程第一は延期されんことを望みます。
  10. 林讓治

    議長林讓治君) 福永君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 林讓治

    議長林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて日程第一は延期するに決しました。      ————◇—————
  12. 林讓治

    議長林讓治君) 日程第二、港湾法の一部を改正する法律案議題といたします。委員長報告を求めます。運輸委員長岡利右衞門君。
  13. 岡村利右衞門

    岡村利右衞門君 ただいま議題となりました港湾法の一部を改正する法律案について、運輸委員会における審査経過並びに結果を報告いたします。  まず本法案趣旨を簡単に説明いたします。  港湾法施行されて約二箇年になりますが、この二箇年にわたる施行状況検討いたしますと、港湾管理者の設立を円滑ならしめ、その事務の遂行を万全ならしむるためには、港務局委員の数、委員欠格條件、あるいは港湾区域の認可の條件等について実情に適しない点があるのであります。よつて、これらの諸点を改正するとともに、その他の現行法の不備を補修しようとするのが、本法案の目的とするところであります。  次に、その内容のおもな点を申し上げます。  まず第一点は、現行法によりますと、地方公共団体議会議員は、一港務局について一名を限り委員になれることになつておるのでありますが、港務局地方議会との連絡を密にする必要がありますので、関係地方公共団体議会から一名ずつ委員になり得るようにしようとするものであります。  第二点は、港務局委員の数を、関係地方公共団体が三つを越える場合は、十一名まで委員増加し得ることといたそうとするのであります。  第三点は、港湾区域の設定に際し、必要やむを得ない場合は、港域法区域を越えてこれを設定し得るようにしようとするのであります。  第四点は、負担の公平を期するため、新たに受益者負担制度を設けようとするのであります。  本法案は、去る五月九日、本委員会に付託され、翌十日提出者より提案理由説明を聽取し、十五日質疑に入りまして、提案者委員との間に熱心なる質疑が行われましたが、その内容会議録に譲ることといたします。  次に、討論を省略いたしまして、ただちに採決の結果、本法案起立総員をもつて原案通り可決すべきものと議決いたした次第であります。  以上をもつて報告を終ります。(拍手
  14. 林讓治

    議長林讓治君) 採決いたします。本案委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 林讓治

    議長林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて本案委員長報告の通り可決いたしました。      ————◇—————
  16. 林讓治

    議長林讓治君) 日程第三、昭和二十五年度国有財産増減及び現在額総計算書日程第四、昭和二十五年度国有財産無償貸付状況計算書、右両件を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。決算委員長中垣國男君。
  17. 中垣國男

    中垣國男君 ただいま議題となりました昭和二十五年度国有財産増減及び現在額総計算書並び国有財産無償貸付状況計算書につきまして、決算委員会における審議経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず昭和二十五年度国有財産増減及び現在額総計算書について御説明いたしますと、昭和二十五年度増加いたしました国有財産総額は六百二十七億六千八百余万円であり、減少いたしました国有財産総額は四百三十九億一千百余万円でありまして、差引百八十八億五千七百余万円の純増加となつております。従いまして、前年度末現在額二千五百二十七億八千八百余万円に右純増加額を加算いたしました二千七百十六億四千五百余万円が昭和二十五年度末における国有財産総額でございます。この総額の内訳を申し上げますと、行政財産は九百三十九億六千四百余万円、普通財産は千七百八十億八千百余万円となつております。  次に昭和二十五年度国有財産無償貸付状況計算書について御説明いたしますと、昭和二十五年度増加いたしました無償貸付国有財産総額は五千百余万円、減少いたしました総額は千百余万円でありまして、差引三千九百余万円の純増加となつております。これを前年度末現在額三千余万円に加算いたしました昭和二十五年度末における無償貸付国有財産の現在額の総額は七千余万円であります。なお本年度において増加いたしましたおもな事由は、生活困窮者收容施設として貸し付けた分四千三百余万円の増加によるものであります。  以上が本件の大要でありますが、本委員会は、四月二十五日以来、会計検査院及び政府当局説明を聽取し、愼重審議いたしました上、五月十六日討論を省略して採決に入りましたところ、多数をもつて右両件を是認すべきものと議決した次第でございます。なお委員会における審議の詳細は速記録について御了承願いたいと存じます。  右御報告申し上げます。(拍手
  18. 林讓治

    議長林讓治君) 両件を一括して採決いたします。両件を委員長報告の通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  19. 林讓治

    議長林讓治君) 起立多数。よつて両件とも委員長報告の通り決しました。      ————◇—————
  20. 林讓治

    議長林讓治君) 日程第五、ドイツ人工業所有権特別措置令の一部を改正する法律案日程第六、石油及び可燃性天然ガス資源開発法案、右両案を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。通商産業委員長中村純一君。     〔中村純一登壇
  21. 中村純一

    中村純一君 ただいま議題となりましたドイツ人工業所有権特別措置令の一部を改正する法律案の、通商産業委員会における審議経過並びに結果を御報告申し上げます。  本法律案要旨は、日本国との平和條約第二十條において、日本国にあるドイツ財産たる特許権等について英米仏三国が決定する処分を確実にするために、日本国がすべての必要な措置をとり、これらの財産最終的処分が行われるまで、日本国がその保存及び管理について責任を負うべきことが規定されておりますので、右の平和條約に規定されておる義務を履行するためであります。よつて、本法律案内容も、ドイツ財産処分する権利を有する三国が決定するドイツ人工業所有権に関する処分実施するための手続等規定したものであります。  本法律案は、五月十日通商産業委員会に付託され、五月十三日政府委員より提案理由を聽取いたしました。五月十五日、本案に対する質疑が行われましたが、その詳細は会議録を御参照願います。  十五日をもつて質疑を終了し、十六日討論を省略して採決の結果、多数をもつて法律案原案の通り可決すべきものと議決した次第であります。  次に、同じくただいま議題となりました石油及び可燃性天然ガス資源開発法案の、通商産業委員会における審議経過並びに結果について、その概要を御報告いたします。  この法案は、石油資源の完全なる開発をはかるため、戰時中に制定せられましたる現行石油資源開発法にかわつて、今日の時勢に即応する新しい法律たらんとするものであります。この法案のねらいとするところは、完全開発のため油層エネルギーの浪費を防止すること、掘採に関する補助金を交付するとともに、これを確実に回収すること、開発に関する技術的事項検討するため審議会を設けることなどが、その主要なる点であります。  この法案は、去る二月一日、本委員会に付託せられ、同月四日提案理由説明を聽取いたしましたが、爾来委員会を開催すること前後四回、なおこの間特に小委員会を開くこと四回、かように愼重審議いたしました結果、去る十六日、中村幸八君より原案に対する修正案提出せられました。その内容について申しますれば、採掘制限または中止の命令を発する前に勧告の段階を設けることによつて民主的運営をはかるとともに、現場に関して最も詳しく、かつ最も新しい知識を有する企業技術を積極的に活用し、もつてコンサーヴエーシヨンの趣旨を徹底せしめること、当該企業に交付した補助金総額以上に納付金徴收することの不合理をなくするため納付金の限度を補助金総額までにとどめることなどがその骨子となつているのであります。  五月十七日、この修正案並び原案一括討論に付しましたところ、自由党中村幸八君、改進党山手滿男並び社会党加藤鐐造君の三名は、いずれも所属党派を代表して、修正案並びにこの部分を除く原案賛成の意を表するとともに、政府に対して強く要望せられるところがありました。その要旨は、石油需要供給に関する現下実情と、同時に一方わが国における石油並び可燃性天然ガス資源及びその開発状況にかんがみるとき、これが急速かつ完全なる開発燃料国策上焦眉の急務とも申すべきであるが、石油資源探鉱開発は多額の資金を必要とし、しかもその成功率がきわめて低い関係上、政府補助金政策を積極的に推進すること、完全開発についてはすこぶる高度の学術を必要とする点にかんがみ、民間企業学識経験を遺憾なく活用することによつて政府の独善を避けること等でありました。  討論終つて採決の結果、日本共産党を除く各党委員起立によつて修正案並びにこの部分を除く原案は可決せられました。  以上、簡単ながら御報告申し上げます。(拍手
  22. 林讓治

    議長林讓治君) 両案を一括して採決いたします。日程第五の委員長報告は可決でありまして、日程第六の委員長報告修正であります。両案を委員長報告の通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  23. 林讓治

    議長林讓治君) 起立多数。よつて両案とも委員長報告の通り決しました。      ————◇—————
  24. 林讓治

    議長林讓治君) 日程第七、麻薬取締法及び大麻取締法の一部を改正する法律案議題といたします。委員長報告を求めます。厚生委員会理事丸山直友君。     〔丸山直友登壇
  25. 丸山直友

    丸山直友君 ただいま議題となりました麻薬取締法及び大麻取締法の一部を改正する法律案について、厚生委員会における審査経過並びに結果の大要を御報告申し上げます。  まず本法案提案理由並び改正要点について申し上げます。  現行麻薬取締法におきましては、国民の医療上簡単に使用できる家庭麻薬生産が、一般麻薬生産と同様に強い規制を受けておりますため、不便をこうむつておりますので、次の改正をなさんとするものであります。第一は、新たに家庭麻薬に関する業種を増加し、その販売手続を簡略にすることであります。第二は、麻薬の輸入の必要が近く生ずるため、その手続を詳細に規定することであります。第三は、麻薬に関する違反事犯増加している状況にかんがみ、その撲滅を期するため、各種違反行為に対する罰則を強化することであります。  次に大麻取締法につきましては、繊維資材としての大麻の増産をはかるために、大麻取扱者報告を緩和いたそうとすることであります。  本法案は、三月二十日予備付託、五月十二日本付託となり、同月十四日政府委員より提案理由説明を聽取した後、同日及び十六日慎重審議の結果、質疑を打切り、討論を省略して採決いたしましたところ、全会一致をもつて原案通り可決すべきものと決した次第であります。  以上御報告申し上げます。(拍手
  26. 林讓治

    議長林讓治君) 正採決いたします。本案委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 林讓治

    議長林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて本案委員長報告の通り可決いたしました。      ————◇—————
  28. 林讓治

    議長林讓治君) 日程第八、地方税法の一部を改正する法律案議題といたします。委員長報告を求めます。地方行政委員長金光義邦君。     〔金光義邦登壇
  29. 金光義邦

    金光義邦君 ただいま議題となりました地方税法の一部を改正する法律案について、地方行政委員会における審議経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず本改正案内容につき御説明申し上げます。  改正の第一点は、本年の一月一日から実施せられることになつておりました附加価値税実施をさらに一年間延長するとともに、その間事業税及び特別所得税を存置することといたしたことであります。  改正の第二点は市町村民税に関するものでありまして、その一は、国税たる法人税税率法人所得の三五%から四二%に引上げられたのに対して、法人税割法人所得に対する割合を変更せしめないよう、税率を引下げて調整をはかつたことであります。その二は、老年者等で、その前年の所得が十万円以下の者は市町村民税課税を免ぜられておりましたのを改めて、これらの者がいわゆる家事專従者として働ける壮年者を有しておる場合においては課税し得られることとして、税負担の不均衡を是正したことであります。  改正の第三点は固定資産税に関するものであります。その一は、都市計画法または特別都市計画法による土地区画整理施行にかかる土地については、課税台帳上で所有者が変更されるまでの間は、換地予定地または換地に対応する従前の土地土地台帳上の所有者を、その換地予定地なり換地なりの土地台帳上の所有者とみなして固定資産税を課することができることとし、現実にすでにその土地に使用收益している者に税を負担せしめることとしたことであります。その二は、固定資産課税台帳縦覧期間を二十日間に延長するなど、徴税合理化をはかつたことであります。  改正の第四点は、木材引取税について、素材の引取りに対し、価格のほかに容積をも課税標準とすることができることとして、徴税を簡易ならしめたことであります。  改正の第五点は国民健康保険税についてでありますが、その一は、二以上の市町村が一部事務組合を設けて国民健康保険行つている場合、これに加入している市町村自体がその費用の組合分賦金に充てるため国民健康保険税を課することができることとし、課税の主体を明確にしたことであります。その二は、本税の最高賦課制限額を一万五千円より三万円に引上げ、物価の変動、受診率上昇等に即応させたことであります。  改正の第六点は、附加価値税実施延期の結果存続することといたしました事業税及び特別所得税についてであります。まずその一は、両税について従来の免税点制度を改め、新たに三万八千円の基礎控除を認めることといたしたことでありまして、これによつて課税の不均衡を改め、かつ小額所得者負担軽減しようとしたことであります。その二は、青色申告法人限つて繰越損金控除を従来一箇年間に限つたのを、二箇年にわたつて行うことを認めて、負担合理化をはかつたことであります。その三は、二以上の道府県において事業を行う法人昭和二十五年度分以前の事業税及び同附加税について、仮徴收を行うことを認め、当時賦課処分の方式によつて徴税していた関係上、とかく徴収が困難でありましたのを、早急に解決しようとしたことであります。  最後に漁業権税広告税及び接客人税廃止することとし、また市町村民税法人税割及び法人事業税について、徴収猶予の行われる場合の延滞金を、日歩四銭から日歩二銭に引下げたこと等の改正行つているのであります。  以上が改正案概要であります。  本法案は、三月十五日、本委員会に付託せられ、同十八日、岡野国務大臣より提案理由説明を聽取した後質疑に入り、折から地方財政平衡交付金法及び地方財政法のそれぞれ改正法案審議されておりましたので、これらの法案と並行して、地方財政全般との関連において論議が展開され、多角的な質疑応答が行われたのであります。質疑の詳細は会議録についてごらんを願うこととして、ここでは論点のおもなもの二、三を御紹介するにとどめます。  まず第一点は、今回提出改正案において、政府は、地方財政の今日の窮乏、不均衡不安定等現実に対処すべく、地方税法上当然期待せられる根本的改正に触れることなく、かつまた住民負担軽減高率課税廃止等の懸案の解決をも企図しなかつたことなどに対する不満の意思が多かつたのであります。その二は、国税法人税増徴に対応して、地方税たる市町村民税法人税割については、税率調整行つて現状維持をはかるがごとき消極的態度にとどまつたことは、地方税源を国の税源犠牲とするものではないか、またそれは個人の所得割増徴の傾向に対比して不均衡ではないかという趣旨論議であります。その三は、附加価値税の再三の延期について、あるいはむしろ廃止に決定すべきであるとし、あるいは結果において中小企業犠牲において大企業を擁護するものであるとする趣旨の議論があつたのであります。  これに対しまして、政府は、第一点について、政府根本的改正を考慮して来たのであるが、やがて実施を予想される行政事務の再配分等ともにらみ合せ、近く設置される地方制度調査会にもはかつて、国と地方を通ずる財政全般に触れて抜本的改革をはかるべきこと、第二点に対しては、地方財政計画の上から特に法人税割を増徴する積極的必要がなかつたこと、第三点に対しては、附加価値税は、現下経済状態においては、実施の適否はなお検討を要するものがあり、採否の決定をさらに延期するのが適当である旨、それぞれ答弁をしているのであります。  これらの質疑と並行して、かねて本委員会においてもしばしば実現に努力し、しかも諸般の情勢にはばまれて素志を貫き得なかつた地方税法修正を、国権回復の今日、一挙に実現に移して、国民の期待にこたえるべきであるという一致した見解のもとに検討を進めて参つたのであります。去る十三日、地方財政に関する小委員会におきまして最後的な修正案を決定し、十五日、小委員会の野村小委員長より、本委員会にこれを提示したのであります。  以下、修正案大要を御説明申し上げます。修正の第一点は、入場税税率を一齊に二分の一に引下げて百分の五十とするとともに、純舞踊、純オペラ、文楽、能楽の研究発表の鑑賞、あるいは職業野球等の観覧、学生生徒のアイス・スケート場入場等の場合について、入場税軽減税率百分の二十としたこと、学校社会事業団体兒童福祉施設等の主催する、しろうと出演にかかる催しものに関する免税規定について、主催者を政令で限定した上、その催しものの出演者しろうとに限らず、職業的專門家出演をも認めることとしたこと、徴税確保のため二、三の規定を加えたこと並び麻雀場玉突場等娯楽施設の利用に対する入場税外形標準によつて賦課できることとしたことなどであります。  次に修正の第二点は、遊興飲食税税率について、芸妓等の花代を百分の百から百分の七十に、料理店貸席等における遊興または飲食料金並び條例で定める特殊な旅館の宿泊料金を百分の二十に、その他の一般宿泊飲食料金を百分の十に、それぞれ約二分の一程度引下げたこと、純粋に茶菓の類を提供する店舗で、地方財政委員会規則で定めるものにおいて飲食する場合、一人一回百円未満の飲食はすべて非課税としたこと及び会社のクラブ、寮等で行われる遊興飲食や持込み飲食課税できるようにする等、徴税確保の方途を講じたことなどであります。  修正の第三点は、電気ガス税非課税品目の追加を行つたことであります。電解電炉工業製品、セメント、硫酸、合成繊維及びその主原料並び農業用電力等がこれであります。  修正の第四点は、事業税及び特別所得税について、湯屋業事業税対象から特別所得税対象に変更し、理容業特別所得税の第二種業務から第一種業務に移し、それぞれ税率軽減をはかつたこと、民間放送事業新聞広告取次業非課税としたことであります。  修正の第五点は、国鉄、專売公社日本放送協会日本電信電話公社等が直接本来の事業の用に供する以外の固定資産自動車自転車荷車に対しては、それぞれ固定資産税自動車税自転車税荷車税を課することとし、農業協同組合の所有し使用する農業用倉庫非課税としたこと、大略以上五点が修正要点でありまして、一部を除いて、いずれも負担軽減をはかつたものであります。  しかして、本修正によつて生ずる税收の異動は、平年度百三十億減少、本年度は、かりに入場税遊興飲食税及び電気ガス税に関する改正を十月より実施するとして、約五十億円の減收となるのであります。これが補償については、今後政府との折衝によつて平衡交付金の増額または酒消費税等の新税の創設にまつことが期待されているのであります。  五月十七日、政府原案並び修正案に対する質疑を終了し、一括して討論に付しましたところ、床次委員よりは改進党を代表して、修正案には意見を付して賛成修正部分を除く原案賛成河原委員よりは自由党を代表して、修正案並び修正部分を除く原案賛成門司委員よりは日本社会党を代表し、立花委員よりは日本共産党を代表し、八百板委員よりは日本社会党第二十三控室を代表して、それぞれ原案に反対、修正案には意見を付して賛成討論があつたのであります。  採決を行いました結果、修正案全会一致をもつて可決せられ、次いで修正部分を除く原案は多数をもつて可決せられたのでありますが、続いて床次委員より本案に対する附帯決議を行いたき旨の動議が提出せられ、これまた全会一致をもつて可決せられました。決議の内容は、政府に対して、地方財政の自主性確保に向つて財源措置に努力すべきこと、ことに本案修正による地方財源の減収に対しては、あるいは補正予算提出の時期において平衡交付金の増額をはかるか、あるいはまた酒、タバコの消費税等の創設によつて確実に補填の道を講ずべきことを要望するものであります。  かくして、本法案は、右の附帶決議を付して修正議決すべきものと決した次第であります。  右御報告いたします。(拍手
  30. 林讓治

    議長林讓治君) 討論の通告があります。順次これを許します。門司亮君。     〔門司亮君登壇
  31. 門司亮

    ○門司亮君 私は、ただいま上程されておりまする地方税法の一部を改正する法律案に対しまして、日本社会党を代表いたしまして、政府提出原案に対しては反対の意思を表明し、さらに修正部分につきましては賛成の意を表したいと思うのであります。  以下、その理由をきわめて簡單に申し述べたいと思うのであります。  政府原案によりますると、附加価値税をなお一年間延期することになつておりまするが、この附加価値税の創設は、昭和二十五年の税制改革のときに創設されました一つの新しい税種目でありまして、これが今日まで実行を見ないのは、この税種目がいまだ世界に類例のない悪い税目であるために、十分なる各方面の研究がなされていないということ     〔議長退席、副議長着席〕 同時に、不十分のうちにこれが実施を見まするならば、地方に、あるいは住民に非常に大きな影響をもたらすことは当然でありますので、政府はこの点について、いまだにこれを施行する自信がないために、これをさらに一年間延期しようとする案であります。およそ法律を制定いたしまして、その法律の実行を三年以上も延ばすというようなことは、私は法の取扱いの上において、また法の権威の上においても、かくのごときことをすべきでないと思うのであります。もし提案して、その法案が通過いたしました後におきましても、これの実施が困難であるとするならば、いさぎよくこれを撤回して、そうして十分の審議を盡した上で、確固たる自信のもとに、こういうものが提案されて実施を見るのでなければ、法の権威の上から申し上げましても、私どもはきわめて遺憾に考えております。政府当局のこれに対しまする調査と研究が足りなくて、與党の各位がまたこれを実施する自信をお持ちにならないで、これを一年間延期するがごとき不見識なものに対しましては反対せざるを得ないのであります。(拍手)  さらに、この原案の中の、市町村民税の中にあります法人に対しまする所得割でございますが、これは現行所得税の百分の十五でありまするものを、政府はこれを百分の十二・五に切り下げようとする案であります。この事項につきましては、皆さんも御承知のように、昨年の本会議におきまして、各派の共同の提案と共同の交渉によつて、その筋の了解を得まして、一般住民が所得税の百分の十八を納めておるときに、法人だけが政府原案による百分の十では均衡がとれないから、ぜひ法人と個人との均衡をとることのために、これを百分の十八に上げていただきたいという交渉をいたしましたときに、交渉の過程においていろいろな問題その他が研究されて参りまして、これは百分の十五に落ちついたのであります。従つて、昨年の税制改革のときには、自由党もともに、この法人所得割に対しては、一般住民とその負担均衡を保つために五%だけ高率にするということに賛成をされておる。政府もまたこれに同意をして、現在実行しておる。それを、たつた一年だけ実行して、今年はまたこれを百分の十二・五に下げるというところに非常に大きな矛盾があると思う。これもまた政府の自信と施策を私は疑わざるを得ないのである。  ことに、この問題は、政府当局意見を聞いて見ますると、現在の百分の十五をそのまますえ置くということも考えられるが、しかしながら、国の税制の改革において、法人税税率が上つて来たから、従つて法人の国に納める税金が多くなつたから地方の税金を下げたのであるという答弁であります。この答弁を私ども聞きまするときに、唖然足らざるを得ないのであります。なるほど、法人のふところから出る金は、国に納める分も、あるいは地方に納める分も同じかもしれないが、しかしながら、地方財政を考えて参りまするときに、国税がふえたから地方税を下げて、地方財政が今日のごとく窮乏しておりまするときに、なおこれに拍車をかけようとするような政府の態度に対しましては、われわれは断じて承服することができないのであります。  国の予算と地方の予算とを、その他の方面からこれを研究いたして参りまして、どういう角度が出ておるかと言いますと、御承知のように、日本の最終の平和であつたといつてよい昭和十一年度における国の予算と地方の予算との関係は、国の一〇〇に対して地方予算は一三〇%を持つてつたのであります。これが昭和十二年に支那事変に突入いたしまして、国がだんだんと非常時財政を編成しなければならない段階に立ち至りますると、だんだん地方の財政が逼迫して来て、これが国にしわ寄せされて、大東亜戰争の終局の年でありました昭和十九年並び昭和二十年度の財政状態は、国の一〇〇に対して地方はわずかに二五%に切下げられて参つておるのであります。非常時財政はかくのごとき様相を示すと思う。もし政府の提案いたしておりますように、国の財政をゆたかにするために、地方財政がこれの犠牲なつたとするならば、明らかに政府当局は非常時財政を編成しつつあるという動向を示しておるものであると、私どもははつきり言わなければならないのであります。これの具体的に現われたものが、今問題になつておりまする再軍備への費用の増徴のために地方財政犠牲になつておることであると申し上げても、私は決して過言ではないと思うのであります。(拍手)こうしたふうに、実際の国と地方との財政関係の面から申し上げて参りまするならば、先ほどから申し上げておりまするように、明らかに戰時財政の様相を露骨に現わして来ておるものであると申し上げて、私どもはこの政府原案に対しましては反対の意思表示とするものであります。  さらに修正案でありまするが、修正案につきましては、先ほど委員長報告がありましたように、全会一致でこれの修正を見ておりまするが、その内容といたしまするところには、まだいろいろ不十分の点があると申し上げておきたいと思うのであります。たとえば固定資産税におきましても、農業用の固定資産のごときは、その利用効率から見まするならば、きわめてわずかであります。都会において百パーセント利用しておりまする機械器具とは非常に大きな相違を持つておりまして、御存じのように、脱穀調製機といえども、一年を通じてわずかに二十日以上は使わないのである。またタバコの乾燥の家にいたしましても、一年に二十日以上は使用しない。養蚕のために建てられておりまする家屋も、一年を通じて六十日以上はこれを使用いたさないのであります。こういうように、実際の利用効率の面からこれを勘案いたして参りますると、農業用の償却資産等に対しましては、当然それらのことが勘案されなければならないが、依然としてこれも勘案されなかつたことは、私どものこの修正案に対する一つの大きな意見であります。  さらに市町村民税の個人の人頭割が非常に高いのでありまするが、これを引下げるために私ども努力をすることが正しいと考えておりまするが、これのできなかつたことについては、先ほど申し上げましたような政府原案との関連があるのであります。もし私どもが政府原案修正いたしまして、法人所得割に対しまして現行百分の十五をかけることができるといたしまするならば、ここに約五十億の財源が生れて来るということを御了承願いたい。さらに個人と同じように、百分の十八を徴收いたしまするならば、八十三億三千万円の財源をここに見つけることができるのであります。今地方の財政がきわめて逼迫いたしておりまするときに、ことさらに政府は、先ほど申し上げましたように、その財源を中央に集結いたしまして、地方財政を苦しめておりまする現状から見まして、われわれは、そうした問題に対しても、ぜひ與党、自由党各位に十分御留意を願いたいと思います。  同時に、その他の問題につきましても、たとえば遊興飲食税あるいは入場税等のごときも、修正案によりまするならば、現在の不合理な税制度を是正したのでありますが、ただ私この機会に政府当局に申し上げておかなければならないことは、不合理な税制の修正はいたしましたが、しかし、これはあくまでもこれを消費する者の立場、あるいは観覧する者の立場に立つて物を考えていただかなければならないのでありまして、もしこの税率の引下げが、いたずらに業者のみの利益になるようなことがあつては断じてならないということであります。この点につきましては、本法施行にあたりましては、十分に政府の責任において注意をしていただきたいと思うのであります。  さらに、われわれといたしましては、今日の地方の財政をいかにまかなつて行くかということ、あるいは減税にいたしましても、百十七億の減税をいかに補填して行くかということも、先ほどの委員長報告にありました附帯意見に現われておりまするが、この附帯意見につきましても、もう少し申し上げておきたいと思いますることは、かりに酒税の一割を地方に還元するといたしましても、本年度において百三十億の財源があるのであります。また現在国が徴收いたしておりまする揮発油税のごときは、当然道路の維持管理をいたしておりまする都道府県並びに五大市にこれを委譲すべきである。もしこれを委譲いたしまするならば、ここに百十一億の財源が生れて参るのであります。あるいはタバコ、塩、しようのうというような專売益金の一部を地方に委譲して参りまするならば、われわれがここに減税をいたし、さらに減税をしようとする問題に対しましても、これを財政的に十分にカバーして余りあることを、私はここに申し上げなければならないのであります。  かくのごときことを申し上げまするとともに、少くともわれわれは、この修正案国民負担を幾分なりとも軽減する方向に向いつつあることに根拠を置きまして、私はきわめて簡単ではありましたが、原案に対しては反対であり、修正案に対しては賛成意見を申し述べた次第でございます。(拍手
  32. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 野村專太郎君。     〔野村專太郎君登壇
  33. 野村專太郎

    ○野村專太郎君 私は、自由党を代表して、政府の提案にかかる地方税法の一部を改正する法律案並びにこれに対する地方行政委員会における修正案について討論を行わんとするものであります。まず修正案に対し賛意を表すると同時に、修正部分を除く原案に対してもまた賛成するものであります。  まず第一に、政府今回の改正案は比較的小規模のものでありまして、地方財政の確立とか、住民の負担軽減とかいうような理想を一挙に実現するには至つておりませんが、おおむね既往の実績及び事情の変化にかんがみて、その不合理を是正して公平をはかり、あるいはまた税法の根本的改正に至るまでの当面の処置として必要な事項を規定したものであつて、妥当な処置と考えられるのであります。もとより、政府においても、当初改正案の立案に際しては、これ以上の改正を考慮いたしたようでありますが、当時の諸事情がこれを許さず、一面、地方税法の理想を目ざす大規模かつ根本的な改革は、いわゆる行政事務の再配分とも関連し、地方財政地方税制、地方自治制度等を総合的かつ根本的に検討の上なさるべきものと考え、近く設けられる地方制度調査会に多くを期待しております以上、今回の改正が当面の応急的な処置以上に出ないことは、これを了としなければならないと思うのであります。  次に修正案について賛成の理由を申し上げます。この修正案については、委員会において全会一致これを決定いたしたものであつて、わが自由党としても、すでに数年来にわたつて、この修正の方向に対しては努力をいたしたのであります。もつとも、政府当局においてもその実現を考慮し、努力しておつたのでありますが、諸般の事情から今回の改正案に盛り得なかつたのであります。すなわち、入場税及び遊興飲食税軽減電気ガス税非課税品目の追加、事業税特別所得税及び固定資産税その他に関する若干の変更等は、いずれも地方税法制定当初から論議の的となつていたものでありまして、これらのほかにも考慮を要するものがあるとはいえ、補充財源等ともにらみ合せ、この程度の改正をなすことは国民の要望にこたえるもので、現下の急務と考えるのであります。  入場税遊興飲食税税率が高きに過ぎ、あまりにも戰時的、非常時的な趣を存し、大衆課税として文化国家の名にふさわしくない、あるいは徴税実情に即しない、かえつて税制を乱すものであるということは定評があつたところでありまして、これを是正して、健全娯楽ないし文化の発展を助長し、一面においては、守り得る税法として、可能な徴税の実際に適合させることは絶対に必要であると思うのであります。かようにして税率軽減するとともに、他面、種々徴収確保の措置を講じて、税収の可及的激減を防止しようとしたことは、まことに時宜を得たものと思うのであります。  電気ガス税については、主として電力を多く費消する重要工業製品及び農業用電力について非課税の範囲を広げておりますが、これは産業の奨励、輸出の保護、食糧の増産等の見地から適当な改善といわなければならないと思うのであります。ただ、この点については、産業の複雑さのゆえに、必ずしもこれのみをもつて十分かつ公平なりとは言いがたいのでありまして、他面に、このほか医療品生産、学術研究用電力等も考慮を拂うべきものと思いまするが、その範囲決定の技術的困難さと、かわり財源の関係等から、今回は見送らざるを得なかつたことは遺憾でありまして、その是正は他日に大いに期待すべきであると考えるのであります。  事業税等の変更についても、なお権衡上研究を要するものがあるのでありまして、また出版業のごとく、文化保護の立場から考慮を要するものもあるのでありまするが、これまた他日を期すべきものと思います。  国鉄、專売公社日本放送協会等の公共企業体や公益団体について、固定資産税その他の税が現在非課税となつているのを改めて、今回はその本来の用に供しないものについては課税することとしたことは、一般民間事業との権衡上やむを得ないものと考えるのであります。地方税の応益負担の建前からもこの程度は必要であり、また窮乏に悩む地方財源を幾分なりとも潤します上に役立つものとして適切なる改正といわなければならないと信ずるものであります。  これを要するに、この修正案内容はなお十分とはいえないにいたしましても、文化と産業の保護助成、国民負担軽減、税法の合理化等の見地から、現在としては望み得る限りの改善であつて、その実現が望ましく、これはまたわが自由党の年来の主張でもあり、公約でもあります。問題となりますのは、減税に伴う補充財源の措置であると思うのでありますが、私どもは、この法案の成立によつて政府はあとう限りの努力をもつて善処すべきであり、その措置の可能いかんによつて法の実施期を調節し得るよう配意し、これを政令にゆだねたのであります。しかして、政府の適切な処置を求むる附帶決議が付してありまして、決して地方団体に減税による財政圧迫の迷惑をこうむらせるようなことのないことを期しておりますので、私どもは政府を信頼するとともに、これを督励して、かかる不安の生ぜざることを期し、かつ信ずるものであります。従つて、本法の実施期は、地方団体に不測の迷惑をこうむらせることのないように財源措置が行われるのを見定めて、政令によつて規定されるのでありますから、一部の誤解するごとく、財源措置なくして減税を行うものでは断じてないのであります。  以上が、私の賛成論旨の大要であります。
  34. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 立花敏男君。     〔立花敏男君登壇
  35. 立花敏男

    ○立花敏男君 日本共産党は、ただいま提案されました地方税法改正原案に反対であり、修正部分には賛成であります。  昭和二十七年度地方予算は、当初予算約七千億に達する厖大なものでありまして、これを二十六年度に比べますと約一千百億の膨脹であり、さらに二十五年度に比べますと二千百億の増加であります。しかるに、この間二十七年度におきまして政府の支出いたしました平衡交付金は、二十六年度に対しましてわずか五十億の増額でありまして、二十五年度に比しましてもわずか百六十五億の増額でしかないのであります。地方財政膨脹のわずか二十分の一にも達していないのであります。  しかも、この間における国家予算を見ますと、二十七年度国家予算は、当初予算約八千五百億に達しておりまして、これを二十六年度の当初予算約六千五百億に比べますと約二千億円の大膨脹であります。この大膨脹のすべては売国的軍事支出でありまして、米軍の駐屯費、安全保障費、警察予備隊費約二千億を支出していることは周知の通りであります。この間、わずか五十億の平衡交付金の増額を行つているのみであります。地方財政に対しては、ほとんど何らの顧慮も拂わず、所得税等、税の主たる部分を中央において占有し、二千億に達する專売益金を独占し、平衡交付金を削減し、あまつさえ地方の責任において借り入れますところの地方起債に至るまで重大なる制限を加えているのであります。政府は、まつたく中央における植民地的軍事予算の確保のために地方財政犠牲にしているのでございます。ここに地方財政破綻の第一の基本的な原因が横たわつているのであります。  しかも、政府の軍事産業偏重の産業政策及び中日貿易あるいは日ソ貿易等の禁止の向米一辺倒の貿易政策は、完全に地方の平和産業、あるいは民族資本を崩壞いたしまして、地方の財源を完全に枯渇せしめているのであります。一方、奴隷的な低賃金と略奪的な重税との挾撃にあいまして、国民の大半は完全に担税力と納税意欲を喪失しているのであります。従つて地方自治体といたしましては、急激に増大する財政需要に対し、平衡交付金等の国家よりの支出以外には、地方にはまつたく財源を求める余地がないのであります。ここに地方財政破綻の第二の原因があるのであります。  さらに政府は、何ら財政的裏づけなくして徴兵事務、住民登録事務、防空事務、軍事土木事務、あるいは政治特高警察事務等々をどしどし地方に押しつけまして、その費用を地方負担に転嫁せしめているのであります。さらに民生関係事務、社会関係事務等も地方へ移管いたしまして、中央はその責任と経費の負担をまぬがれようとしているのであります。ここに地方財政破綻の第三の根本的な原因があるのであります。  かくて、地方自治体の財政破綻、赤字市町村の続出が全国的現象となつて現われているのは当然でありまして、この法案提案理由趣旨説明によるところの岡野国務大臣の言葉によりましても、次のように明言されております。地方団体の財政状態をながめますと、若干の例外を除き、ひとしく財源捻出に苦慮しているのであります、昭和二十五年度の決算においては、形式上も赤字を出している団体は、四十六都道府県の中では四団体、五大市の中では三団体、その他の二百六十有余の都市の中では約三割に上る八十一団体、一万町村の中では約四百の団体に達しているのであります、形式上は赤字決算をいたしませんでも、実質上赤字であつた団体は、おそらくこの数倍に上るものと想像されるのであります。地方団体が財政的に異常の窮迫状態にあるということは、何人もこれを認めざるを得ないのであります、これはほかならない政府自身の告白であります。  しかも、政府は、かかる事実を認めながらも、問題の正しい解決の方向へは向わないで、かえつて逆に一層事態を悪化させる手段を採用したのであります。すなわち、政府に真に地方財政を確保し、地方自治を確立する意図があるのであるならば、政府は、今ただちに、上に述べたような地方財政破綻の根本的原因を除却するために、中央の軍事予算を廃し、中央より地方への十分なる財源援助をなし、さらに地方への植民地的軍事事務の押しつけをやめるべきであります。しかるに、政府は、かかる措置をとるどころか、かえつて逆に地方税の大増税を企てまして、そのために提出されて参つたのがこの法案であります。  政府は、この改正案によつて昭和二十七年度地方税を、二十六年度に比しまして約四百十四億の大増税を実施しようとしているのであります。まことにこれは、しかばねにむちうつがごとき法案であり、一万有余の全国自治団体をもあえて犠牲に供せんとする政府の売国的植民地政策は、まつたくここにきわまれりというべきであります。従つて法案内容も軍事的、反国民内容を持つものであります。  まず第一に改正案の持つ軍事的な性格は、巨大産業あるいは大資本の擁護の点であります。すなわち、大資本の住民税の税率を百分の十五から百分の十二・五に引下げているのであります。あるいはまた、大企業事業税の計算において、企業の赤字を二箇年間にわたつて毎年の所得より控除するということを認めているのであります。あるいはまた、附加価値税実施をさらに一箇年延長することによつて、大企業に対して、二十七年度において約三十数億円の実質上の減税を與えているのであります。その他修正案におきましては、主として軍需工業の製品、たとえばアルミナ、電解鉄、各種ソーダ、セメント、ビニール等々、二十五品目にわたつて電気ガス税の免税を規定しているのであります。まことに、この改正案は、完全に軍事産業を育成し、侵略戰争に奉仕するものであります。  次に、第二に改正案の持つ反国民的、反民族資本的な点を見まするに、すなわち、附加価値税延期することによりまして、中小企業に対しまして約百二十三億の大増税を課しているのであります。しかも、現行のままの事業税の計算でいたしますと、中小企業に対しましては約二百七億の大増税となるのでありますが、いくら何でもこれではあまりひど過ぎまして、中小企業をごまかすことはできないというので、政府、與党の考えましたのが、基礎控除三万八千円の改正であります。政府は、この点のみを宣伝これ努めているのでありますが、中小企業者は断じて欺かれないのであります。すなわち、事業税は、二十六年度に比しまして、二十七年度は百四十二億の絶対的な増税が行われているからであります。  次は、国民健康保険税の適用の範囲の拡大であります。国民健康保険経済の行詰りは、政府の社会保障費の削減と、低賃金による勤労階級の生活の破綻がその根本的な原因であることは明白でありまして、これが解決はあくまで政府の責任においてなさるべきものでありまして、決して強制力をもつて国民より徴収するところの国民健康保険税の形でなさるべきでないことは明白であります。しかも、なおあえてこれをなすところに今回の改正案の反国民的な性格が潰憾なく暴露されていると断言してはばからないのであります。  さらに最後には、苛烈な形における住民税の收奪が企図されている点であります。すなわち、前年度までは税金を免除されておつたところの、六十歳以上、年収十万円以下の老人から新しく住民税を徴収しようとしているのであります。まさに鬼畜の行為といわなければなりません。かくのごとく、この改正案は、まさに軍事的であり、かつ反国民的であることは明白であります。  そこで、総選挙を目前に控えて、いくら何でもこれではあまりひどいと考えました政府、與党が案出いたしましたのが修正案であります。従つて修正案は、本質的には欺瞞的なものであり、改正案の反国民的本質を隠蔽する役割を果すものであります。すなわち、修正案は、何ら以上のごとき改正原案の持つところの欠陷を修正するものではなく、改正案とはまつたく別個な、現行地方税に対するところの修正であります。しかも、この修正はまつたく無責任きわまるものでありまして、大衆の負担軽減を何ら約束していないのであります。あるいは、修正案による地方団体の減収に対しては何ら保証していないのであります。この二点において、まつたく人気取り的な選挙対策以外の何ものでもないのであります。すなわち、入場税遊興飲食税軽減によりまして、これら業者は平年度約百三十億円の納税義務が免除せられるのでありますが、一方、入場料あるいは遊興飲食費をそれだけ安くするための措置は何らとられていないのであります。また一方、地方自治団体は、特に府県側は、この修正によりまして、二十七年度数十億、平年度百数十億の減收になるのでありますが、これに対する財源措置は何ら與えられていないのであります。しかもなお共産党がこの修正案賛成いたしますのは、この修正案によつて真に大衆の負担軽減するための闘いの道が開かれるという意味においてであります。(拍手)もう一つは、主として中小企業に属するこれら業者の経営が少しでも容易になる可能性が生れるという点からのみであります。  以上のごとく、政府はあくまで單独講和條約あるいは売国行政協定に基くところの軍事植民地政策を強行せんとしていることは明白であります。その行政的、財政的しわ寄せを地方団体と国民の肩に転嫁せんとしておることも明白であります。その結果といたしまして、四百十四億の大増税を規定するところの本改正案提出されておりますことは、もはや疑問の余地がないのであります。しかも、国民大衆の生活も、地方産業の経営も、政府の売国政策の結果、今や壞滅的状態にあるのでありまして、これ以上の増税などは、まつたくもつてのほかというべきであります。  さらに、従来の植民地的重税政策と、最近の苛酷なる強制徴税は、今や全国民の憤激の的となつておるのでありまして、自己の防衛と民族の独立のために、今や売国税政策打破、再軍備、人民彈圧のための強制徴税反対の闘争が、全国的規模で燃え上つておるのであります。政府は、この状態に狼狽して、これを隠蔽せんとして……。
  36. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 立花君に申し上げます。時間が来ておりますから簡潔に顧います。
  37. 立花敏男

    ○立花敏男君(続) 火炎びん云々のデマを放つておるのであります。国民は、やむにやまれず、窮迫せる生活の基礎の上に立つて行動を開始しておるのでありまして、断じて政府のでつち上げたデマにはごまかされないのであります。まして、最近のメーデー事件の経験は、政府の売国政策がいかに破廉恥きわまるものであり、祖国と国民の敵であるかをはつきりと全国民に教えておるのであります。かかる状態のもとで、なおかつ厖大売国増税を強行せんとするならば、政府は当然重大な反撃を覚悟すべきであります。ここから生ずる一切の事態の責任はあくまでも政府にあることを断言しておくものであります。(拍手
  38. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 床次徳二君。     〔床次徳二君登壇
  39. 床次徳二

    ○床次徳二君 私は、改進党を代表いたしまして、ただいま上程せられました地方税法の一部を改正する法律案原案並び修正案に対しまして賛成の意を表するものであります。(拍手)  提案せられたところの政府原案は、きわめて事務的な改正案でありまして、これにわれわれの修正意見を数点にわたつて追加いたしたのであります。業種間の負担均衡と、負担の減少と、徴税強化とをあわせ行いました結果、納税の適正と円滑をはかり、さらに国民文化生活に即するがごとく一部の負担軽減を行い得ましたので、ここに賛成の意を表する次第であります。しかしながら、政府は、この地方税制の根本問題に関しましては未解決の点を残しておるばかりでなく、政府地方税制そのものに対する態度において根本的な誤りを犯しておるのでありまして、この点を指摘いたしまして反省を促すとともに、わが改進党の所信を明らかにいたしたいと思うのであります。  第一に、現下地方財政の急務は、財源の充実をはかるとともに、その財源は可及的地方の自主的な財源となすべきであるのであります。改進党は、必要なる平衡交付金総額を確保するとともに、地方の赤字を解消し、さらに酒税またはタバコ專売益金を、消費税あるいは還付税という形におきまして地方に移譲、還付し、もつて地方財源の充実をはかることを強く主張いたしておるのでありまして、これは今日すでに輿論になつておるのであります。(拍手)しかるに、政府は、口には地方財政の充実を唱えておりますが、その行うところは、まつたくこれに反しておるのであります。平衡交付金総額の決定に対しましては、常に地方財政委員会の要求を不当に圧迫いたしまして、中央予算のために、地方予算の枢軸たる平衡交付金に対して、しわ寄せを行つておるのでありまして、これが今地方の赤字の主原因をなしておることは、今さら申し上げるまでもないのであります。(拍手)ことに本年度におきましては、当然地方の収入であるべき五十億に達する市町村民税法人税割収入を、逆に中央において奪い取つて国税法人税税率を三五%から四二%に引上げまして、地方財源であるべきものを、中央において、いち早く横取りをいたしてしまつたのであります。これは政府地方財政に対してまつたく無理解な証拠でありまして、地方自治に関心を有する者は、ひとしくこの点を糾彈してやまないところであります。この点は、岡野自治庁長官のきわめて大きな失策であると断ずるものであります。  第二は、附加価値税に対する政府の無定見を追究いたしたいのであります。われわれは、新地方税法制定以来、附加価値税がわが国の実情に沿わざるゆえんをしばしば述べておりまして、これにかうるに現行事業税並び特別所得税を大幅に改善いりたしまして、中央企業の税金の重圧を軽減するとともに、担税能力にふさわしい事業税を創設することを主張しておるのであります。しかるに、政府は、附加価値税新設以来、引続きその実施延期し、本年一月より実施すべきところをさらに一年延期しておるのでありまするが、はたして将来の方針はいかがでありましようか。もとより、われわれの主張に追随することについては異存はないのでありますが、法律施行後二度延期し、三年を経過するにもかかわらず、将来の方針が明瞭でないということは、法律の権威を失墜するもはなはだしいというべきであります。すみやかに、われわれの主張に基き、事業税の改善へと決意することを勧告するものであります。 第三には、納税者の納得のできる徴税を行うべきことであります。今次の修正によりまして、負担均衡税率合理化のために、税率軽減もある程度実施いたしましたが、これには納税の励行と徴税の適正か強化が行われなければならないのであります。適正なる課税に対する滞納は、あくまでこれを追究整理することの努力が必要なのであります。入場税及び遊興飲食税については、従来この点において大きな欠陷を有しておつたのでありまして、この際納税の徹底を期すべきものであります。われわれは、あえて遊興に対して軽減をはかる考えはないのでありまするが、納税の確立を期するという意味におきまして、今回修正賛成いたしたのであります。なお入場税飲食税の両者につきましては、税率軽減は当然入場料及び飲食料金の低下を来すべきことを予期いたしておるのでありまして、この点に関しましては、政府に対して十分なる善処を要望するのであります。なお現行税制におきましては、市町村民税軽減あるいは固定資産税の評価の適正化、その他多くの問題があるのでありますが、将来の行政事務配分等を考慮し、すでに述べました線によつて根本的な解決を要望することを明らかにいたしておきたいと存じます。  最後に、修正案に伴うところの財源の補償に関しまして、一言所見を明らかにしておきたいのであります。修正によるところの減税額は、本年十月より減税を実施いたすといたしまして、約五十億円と見られておるのであります。改進党といたしましては、将来地方財源の充実を予期いたしまして、酒税並びにタバコ專売益金の一部を国より地方へ還付、移譲する考えであるのであります。自由党では、あるいは平衡交付金の増額によることも考えておりますが、いずれにいたしましても、確実に財源を補償すべきことは当然であります。政府が対策を考慮する余地を與え、施行実施時期につきましては一応政令に譲ることになつておるのでありますが、政府はこの国会の意思を十分に尊重し、おそくも補正予算編成の際におきましては、来る十月より減税を実施すべく措置し、しかも明年度におきましては、地方財源の自主性をより一層確保するがごとく対処しなければいけないと考えておるものでありまして、この点は特に附帯決議におきまして明らかにいたしたところであります。  以上、改進党の地方税法に対するところの所信を明らかにいたしまして、賛成の意を表する次第であります。(拍手
  40. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。まず委員長報告にかかる修正につき採決いたします。委員長報告にかかる修正に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて委員長報告にかかる修正は可決せられました。  次に委員長報告にかかる修正を除いた原案につき採決いたします。その他は原案の通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  42. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつてその他は原案の通り決しました。      ————◇—————
  43. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 日程第九、日本国との平和條約の効力発生及び日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定実施等に伴い国家公務員法等の一部を改正する等の法律案議題といたします。委員長報告を求めます。建設委員西村英一君。     〔西村英一君登壇
  44. 西村英一

    ○西村英一君 ただいま議題となりました、日本国との平和條約の効力発生及び日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條第三條に基く行政協定実施等に伴い国家公務員法等の一部を改正する等の法律案につきまして、建設委員会における審議経過並びに結果を御報告申し上げます。  本法案は、日本国との平和條約の効力発生並びアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定実施に伴い、日本政府が雇用する連合国軍労務者について国家公務員法等関係法律を整備する必要がありますこと及び日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊のために労務に服する駐留軍労務者の身分の取扱い及びこれら労務者の給與その他の勤務條件の取扱い等について、所要の規定を設けることを目的とするものでございます。  建設委員会におきましては、去る四月二十八日、本法案が付託されまして以来、四回にわたり委員会を開催して、愼重に審議をいたしました。審議はおもに退職手当の支給の問題に集中されたのでありますが、これはすなわち、連合国軍労務者であつて、條約の効力発生の日以後なお引続き駐留軍労務者となつた者においても、條約の効力発生の日をもつて国家公務員の身分を離れるのであるから、退職手当はそのときに当然支拂われるべきものではないかという問題であります。これに対して、政府側といたしましては、実質的には雇用関係が継続しており、雇用主も日本国であることにかわりはないのであるから、この際連合国軍労務者としての在職期間に対する退職手当は一応精算しても、その支給は将来駐留軍労務者でなくなつたときに行いたいとの答弁でございました。  かくして討論に入り、自由党を代表して私から、国家公務員として在職した期間中の退職手当は身分が変更した際に支拂われるのが至当であり、政府は至急に予算措置を講じて、本人が希望する場合はこれを支拂い得るように措置すべきであるとの條件を付して原案賛成する旨の討論があり、続いて改進党を代表して村瀬宣親君より、ほぼ同趣旨賛成討論がございました。  続いて採決いたしました結果、全会一致をもつて原案の通り可決いたしました。  以上、簡単ではありますが、審議経過並びに結果を御報告申し上げた次第でございます。(拍手
  45. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 採決いたします。本案委員長報告は可決であります。本案委員長報告の通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  46. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案委員長報告の通り可決いたしました。      ————◇—————
  47. 福永健司

    福永健司君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、内閣提出地方公務員法の一部を改正する法律案議題となし、この際委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  48. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 福永君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  49. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  地方公務員法の一部を改正する法律案議題といたします。委員長報告を求めます。地方行政委員会理事吉田吉太郎君。     〔吉田吉太郎君登壇
  50. 吉田吉太郎

    ○吉田吉太郎君 ただいま議題となりました地方公務員法の一部を改正する法律案につき、地方行政委員会における審議経過並びに結果を御報告申し上げます。  御承知の通り、地方公務員法は、一昨年十二月、第九回国会において成立し、昨年二月から施行せられているのでありますが、政府においては、地方行政簡素化の線に沿い、また同法実施の結果等にかんがみまして若干の改正を加えるため、本法案提出と相なつた次第であります。  まず本法案内容につき簡單に御説明申し上げます。  いわゆる地方行政簡素化の趣旨による改正といたしましては、第一に、現在五大市以外の市は一様に人事委員会を置くことができることとなつておりますのを改め、人口十五万未満の市は、人事委員会を置かずして公平委員会を置くことといたしたのであります。  第二に、公平委員会事務は都道府県の人事委員会に委託して処理することができることといたしたのであります。  第三に、現在人事委員会には必ず事務局を置くこととなつておるのを改めまして、五大市以外の市で、人口十五万以上の市が置く人事委員会にあつては事務局の設置は任意といたしたのであります。  第四に、人事委員会及び公平委員会委員の兼職禁止をある程度緩和して、広く適材を求め得ることといたした等であります。  次に、地方公務員法実施経過等にかんがみまして、任用及び職階制に関する規定施行をさらに六箇月間延長するとともに、新たに公務員災害補償の審査に関する規定を整備することといたしておるのであります。  本法案は、三月三十一日、本委員会に付託せられ、四月一日政府より提案理由説明を聽取し、四月十五日より数回質疑を行つたのでありまするが、その内容会議録によつて御了承願いたいと存じます。  かくて五月十四日質疑を終了し、同二十日、自由党、改進党及び日本社会党共同の政府原案に対する修正案提出せられ、日本社会党門司委員より代表してその修正案趣旨弁明がありました。その修正案内容を申し上げますと、第一は、第七條第四項の改正規定の一部を修正して「当該都道府県の人事委員会」とあるのを「他の地方公共団体の人事委員会」ということとし、都道府県の人事委員会に限定せず、いやしくも五大市等人事委員会を設けておる他の地方公共団体の人事委員会にも委託して、第八條第二項に規定するところの公平委員会事務を処理させることができるということにいたすことであります。第二は、人事委員会委員及び公平委員会委員の兼職の禁止緩和の点でありまして、第九條第九項の改正規定の一部を修正して、「都道府県の人事委員会」とありますのを「地方公共団体の人事委員会」ということとし、かつ「当該都道府県」とありまするのを「当該地方公共団体」ということに修正いたしまして、修正第一点との調和をはかつたことであります。  同日討論に入りまして、日本共産党を代表して立花委員より、修正案並び修正部分を除く原案に対し反対の意を表明するところあり、日本社会党第二十三控室を代表して八百板委員より、修正案並び修正部分を除く原案に賛意を表されました。  次いで採決に入り、まず修正案は多数をもつて可決され、次に修正案を除く原案につきつましても多数をもつて可決されました。よつて法案修正議決した次第であります。  以上御報告を終ります。(拍手
  51. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 採決いたします。本案委員長報告修正であります。本案委員長報告の通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  52. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案委員長報告の通り決しました。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時二十四分散会