○立花敏男君 共産党は、ただいま上程されております二つの
法案に対しまして
反対するものであります。
最初に申し上げたいことは、この
法案はいわゆる
行政協定に基くところの
法案であり、しかも
日本の
国民の重大な問題であるところの税金に対する問題でありますので、共産党といたしましては、この
法案が、かかる少数の
人たちの出席するところの本
会議において
討論されるということに、はなはだ大きな不満を感ずるということであります。改進党に至りましては、わずか一名しか出ていません。
自由党に至りましては、およそ十分の一しか出席がない。こういう
状態のもとにおいて、かかる重大な
法案、
国民の
生活に重大なる
関係のあるところの
法案が
審議されるこいうことは、
まつたく言語道断と言わざるを得ないと思う。かかる実態こそ、
自由党政府がまさに売国
政府であり、
国民の
利益を
外国に売り渡して、
国民の苦痛を顧みることなく、して、ただ
外国人にだけ税金を免除しようとしているその売国性、パンパン性を余すところなく暴露していると申しても過言ではないと信じます。(
拍手)
さきに、
政府與党は、全
国民の
反対を押し切
つて單独講和を締結し、
国会にはかることなくして
行政協定を調印したのであります。かかる売国
政策の結果、
日本は
まつたく
アメリカの軍事植民地となり、
国民は奴隷的佳酒を強制されるに至
つたのでありますが、しかも、かかる植民地
政策、奴隷
政策の推進の中核をなすものが———————であることは、もはや言をまたないところであります。従
つて、
日本の
独立と平和も望むすべての
国民は、売国條約の破棄と占領軍の撤退を要求しておるのである。しかも
政府は、この
国民の愛国的要求を無視して、逆に占領軍に対する地方税の全面的免除を規定せんとするのがこの
法案であります。
吉田政府の売国
政策、パンパン
政策は今やきわまれりというべきであ
つて、
国民の断じて許すことのできないところでありますし
国民を奴隷にし、
日本を
戰争に引込むところの———に対して、税金を免除してまでお
つてもらおうとは、
国民のだれ一入として考えていないからであります。
最近のわが国における重大問題の一つであるところの地方財政の破綻も、実は占領軍の駐屯が原因であります。何となれば、二十七年度国家予算において、占領軍を主軸とするところの
日本の再軍備費は千八百億に達するのでありまして、この厖大な軍事費をまかなわんがために、地方財政平衡交付金の大幅削減が行あれたのであります。このことは、今やおおうことのできない事実だからでありますゆえに、地方財政の確立を要求する全国の地方自治体、あるいは全国の地方自治体の住民は、あげて占領軍の撤退こ再軍備
反対を叫ぶのは当然であります。しかもなお、この結果は、この地方財政破綻の元凶であるところの———にその地方税の免税をするというところの
法案であるからして、まさに盗人に追銭というところの性格をもつ
法案であることは明白であります。(
拍手)
さらに地方税増税の面からいたしましても、事態は同様でありまして、
政府は厖大なる占領費、再軍備費をまかなわんがために、二十七年度国税において七百七十九億の増税を決定しておるのでありますが、地方税におきましても、同じく十七年度四百十四億の大増税を
実施せんとしておるのであります。その結果、ただいま
国会において
審議中の
地方税法の
改正法案におきましては、従来二十六年度までは、税金を納めなくてもよかつたところの六十才以上の老人で、年数十万円以下の者に対しましても、二十七年度からは新しく税金を徴収しようとしておるのであります。農村におきましては、牛が子を産んでも税金をとる、豚が子を産んでも税金をとる、こういう苛斂誅求を行わざるを得なくな
つたのであります。
国民は、こんなひどい税金がとられるのは、
日本にいなくてもいいところの
外国軍隊が駐屯し、
日本が
外国の軍事基地にされるからだということを、よく知つでおるのであります。
国民は、自分たちの増税の原因にな
つている占領軍に対しまして、かえ
つて地方税を免税せんとするところの
法案には、断じて
賛成することができないのであります。
しかも、この
特例法に
反対いたしておりますのは、ただ單に以上述べたところの地方自治体あるいは地方住民だけではなくして、まじめなる
資本家あるいは平和
産業家もまた限りない不満をこの
法案に対して表明しておるのであります。何となれば、今回の免税は、広く軍
関係の請負人あるいは契約者にも及ぶものであ
つて、しかも、これは必ずしも
アメリカ人だけには限らないのです。イギリス人でも、フランス人でも、
アメリカに
会社を持
つている全
世界の
戰争屋あるいは武器製造業者、これらの連中は全面的に地方税の免税を受け、住民税、事業税、電気税、ガソリン税、物品税等々を
まつたく納める必要がなくなるのでありまして、このことは、明らかに
日本の平和
産業、あるいはまじめなる
資本家に対する競争の有力なる武器となり、その結果栄えはびこりますものは、
世界をまえにかけてかせいでいるところのイギリス、
アメリカの
戰争屋及び軍需品のやみブローカーであり、あるいはこれに魂を売渡して彼らの下請と
なつた
日本の買弁
資本家、あるいはやみ商人だけということになるのであります。ゆえに、この
法案は、
日本の平和
産業を根本的に破壞するところの恐るべき破壞
法案というべきであります。
さらに問題とすべき点は、かかる脱税と滯納が明白になりましても、
日本の官憲はこれを処置することができないという点であります。何となれば、これらの処分については、基地司令官の承認が不可欠の要件とされておるのであります。すなわち、作戰上の必要という一方的な理由によ
つて承認が與えられなかつた場合は、
まつたく手の施しようがないのであります。か
つての上海、天津等の租界が脱税とやみ取引の温床であつたことは明らかでありますが、この
法案は、明らかに
日本全体をか
つての上海、天津のごとき、やみと脱税と犯罪のちまたに化する
法案であります。(
拍手)今日、地方税の強制徴收は峻烈をきわめまして、たといわずか百円に満たない滯納に対しましても、軒並に強制執行をや
つておるのであります。しかるに、
外国人に対しましては、たとい数百万、数千万の重大なる脱税、滞納が明白でありましても、手を下すことができないとは何たることでありますか。
さらに問題とせねはねもない点は、
地方税法違反に対する裁判の問題であります。
政府が唯一の頼みとするところは、
アメリカの誠意であり、
行政協定にいうところの
日本の
法律を尊重するということだけでありますが、しがし、これは
まつたくごまかしであ
つて、事実は向うの軍法によ
つて、向うの軍裁で決定されるのであ
つて、
日本の
法律を尊重するということに対する何らの具体的な裏づけも、とりきめもないのであります。現に、重大なる犯罪を犯しましたところの富士銀行の銀行ギヤングの犯人が、二人ともゆうゆうと、無事に故郷に帰
つてし
まつだではありませんか。このことに対しまして、
日本の
政府は何らの詳細なる通告も受けていないと言
つております。
以上のごとく、この
法案は
まつたく言語道断な売国
法案であり、かかる恥知らずの屈辱的な
法案を出す
吉田政府の税
政策に対しては断固
反対であります。
最近、
政府は税務署襲撃事件を放送しておりますが、
外国人に対して、かかる売国的、屈辱的税
政策をとりながら、
日本人に対しましては骨の髄まで税金をしぼり上げようとする
政府のやり方を、
国民がいつまでも、おとなしく黙
つて許しておくと考えているかどうか。今回、
政府は破防法を制定いたしまして、反税鬪争を彈圧せんとしておりますが、かかる不法不当なる税
政策に対して断固鬪争することこそ、
国民の当然の権利であります。
国民の
生活を破壞し、平和
産業を破壞し、地方財政を破壞するところの、かかる売国
法案を
提出し、かかる破壞
政策を強行ぜんとするところの
自由党政府こそ、
まつ先に破壞者として
国民の糾彈を受けるに値するものであります。(
拍手)
今回の
日本の労働者三百万のゼネストは、
日本国民に大きな確信を與えております。
自由党政府が、多数を頼んで、かかる売国
法案を成立せしめましても、
国民は断固実力をも
つて粉碎するであろうことを断言しておきます。(
拍手)