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1952-04-15 第13回国会 衆議院 本会議 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年四月十五日(火曜日)  議事日程 第三十号     午後一時開議  第一 日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定実施に伴う所得税法等臨時特例に関する法律案内閣提出)  第二 日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定実施に伴う関税法等臨時特例に関する法律案内閣提出)  第三 日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定実施に伴う国有財産管理に関する法律案内閣提出)  第四 日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定実施に伴う国税犯則取締法等臨時特例に関する法律案内閣提出)  第五 平和條約第十一條による刑の執行及び赦免等に関する法律案内閣提出)     ————————————— ●本日の会議に付した事件  議員請暇の件  中央更生保護委員会委員任命につき同意の件  村上運輸大臣航空事故に関する報告  議員立法制限に関する野田建設大臣発言に関する緊急質問井上良二提出)  日程第一 日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定実施に伴う所得税法等臨時特例に関する法律案内閣提出)  日程第二 日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定実施に伴う関税法等臨時特例に関する法律案内閣提出)  日程第三 日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定実施に伴う国有財産管理に関する法律案内閣提出)  日程第四 日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定実施に伴う国税犯則取締法等臨時特例に関する法律案内閣提出)  日程第五 平和條約第十一條による刑の執行及び赦免等に関する法律案内閣提出)  日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定に伴う民事特別法案内閣提出)     午後一時四十九分開議
  2. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) これより会議を開きます。      ————◇—————
  3. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) お諮りいたします。議員宮腰喜助君から、欧米各国における農業協同組合制度調査視察のため渡航につき、四月十二日から本会期中、議員森曉君から、アメリカフランス両国における工業技術調査視察のため渡航につき、四月十四日から本会期中、いずれも請暇の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり)
  4. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて許可するに決しました。      ————◇—————
  5. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) お諮りいたします。内閣から、中央更生保護委員会委員土田豊君を任命するため本院の同意を得たいとの申出がありました。右申出の通り同意するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  6. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 起立多数。よつて同意するに決しました。      ————◇—————
  7. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 運輸大臣から航空事故に関して発言を求められております。この際これを許します。運輸大臣村上義一君。     〔国務大臣村上義一登壇
  8. 村上義一

    国務大臣村上義一君) 去る九日朝突発いたしました日本航空株式会社所属飛行機事故につきまして、その概要を御報告申し上げたいと存じます。  日本航空株式会社運航に関しまとては、政府会社側も、その業務開始以来、安全第一主義を目標にしまして、万全の注意を拂つて愼重態度をもつて臨んで参りましたが、はからずも乗客三十三名、乘員四名全員遭難という、まれに見る悲惨事を惹起いたしましたことは、まことに遺憾なことでありますと同時に、乘客並びにその近親の方々に対しましては、真に申し上げる言葉を知らない痛恨事であるのであります。  当日は、各便とも所定のスケジュールに従つて無事に運航がなされたのでありまするが、ひとり東京発福岡行き第三百一便に就航しましたもく星号は、七時四十三分、羽田飛行場を離陸しまして、七時五十七分、館山上空において所定通過報告を発しました後は、まつたく連絡を断つたので、ただちにその捜査を開始いたしたのであります。政府といたしましても、米国極東空軍国家地方警察その他関係各方面の協力を得ると同時に、海上保安庁巡視艇による捜索、また付近航行船舶に対する連絡など、全力をあげて捜索を、続けたのでありますが、遂にその機影を発見することができず、不安、焦慮のうちに一夜を徹した次第であります。翌十日午前五時半、捜査のため羽田を出発しました日本航空会社捜索機は、午前八時五十分に、大島三原山噴火口東側約一キロメートル、標高約二千フイートの地点遭難機の残骸を発見いたしましたので、急速救助のため、国警大島地区署捜索隊消防縁などの現地派遣、または米空軍よりの飛行機派遣海上保安庁救助艇派遣等、でき得る限りの手配を講じたのであります。その後、現地警察本部大島地区署報告によりまして、この乗客並びに乘員全員の死亡が確認されるに至つた次第であります。  現地は御神火茶屋から約六キロの地点にありまして、遺骸收容その他につきましては、非常に困難な作業でありましたにかかわらず、大島国警隊消防隊はもちろんのこと、元村並び付近の官民の非常な御盡力によりまして、迅速に運搬、納棺、安置をなし得た次第でありまして、まことに感謝にたえぬところであります。  日本航空会社は、遭難の確報を得ますると、ただちにヘリコプターによつて関係者現地に急行しますると同時に、東海汽船株式会社の菊丸を用船いたしまして、御遺族現地に輸送して、これらの御遺族とともに、翌十一日の午後四時、遺骸を納めた霊枢月島桟橋に陸揚げいたしまして同所において仮供養を行いました後、遺骸をお引渡しした次第であります。なお会社におきましては、来る十九日に合同慰霊祭築地本願寺においてとり行い、丁重の法要を嚴修することになつております。  政府といたしましては、遭難機発見後、ただちに現地に航空庁の係官を派遣いたしまして、現場状態をありのまま保存せしめて今後の調査検討に遺憾なきを期しておるのでありまするが、事故原因探求につきまして、また独立後の運営に備えまして、迅速かつ的確な調査を行わしめるために、関係技術者専門家等に委嘱しまして、航空事故調査会を運輸省内に設けまして、昨日その第一回の会議を開いた次第であります。この調査会は、今後明確な結論を得るまで鋭意調査を進めますが、事故の性質上、真相を明白にするには若干の時間を要するものと考えられるのであります。  現在におきましては、航空運送事業運営に関しましては、昭和二十年十二月十八日の、連合国最高司令官から発せられました日本人航空活動禁止に関する覚書によりまして、日本人が直接飛行機を所有し、整備し、また運航することを禁止されておりますことは御承知通りでありまするが、その後、この覚書を前提として発せられました日本における国内航空事業運営に関する覚書によりまして、日本航空株式会社営業面のみを担当しまして、整備、運航実施面は、米国ノースウエスト航空会社日本航空会社との間に締結した委託契約に基きまして、ノースウエスト株式会社が、極東空軍監督のもとに責任を持つて行う形態をとつておるのであります。しかしながら、平和條発効後は、当然航空運送事業運航についても自主的運営が期待されますので、政府は、その監督、特に事故防止につきましては、諸般の万全の措置をとつて参りたいと考えておる次第であります。このためまず、かねて準備中の航空法案をすみやかに国会提出しまして御審議を願うことにいたしたいと存じておるのであります。  遭難者のみならず、遭難者の御近親各位に対しましては、返す返すもまことにお気の毒にたえない次第でありまするが、この際でき得る限り手厚き敬弔慰藉措置を講ずるよう、会社側に指示をいたしておる次第宿あります。  終りに重ねて申し上げますが、このたびの悲惨事につきましては、全国民に深甚なる衝撃心痛を與えたことでありまするし、また民間航空事業再発足半年にしてこの事故を見たことは、返す返すも残念しごくでありまして、運輸大臣としましては、遭難者のみたまに対しまして哀悼のまことをささぐるとともに、この議場を通じ国民各位に深甚なる遺憾の意を表する次第であります。また同時に、将来かかる不鮮事を絶対に繰返さないよう監督の責務を果し、もつて民間航空の健全なる伸展をはかつて行きたいと念願いたしておる次第であります。  事故の御報告を兼ねて一言ごあいさつを申し上げた次第であります。(拍手)      ————◇—————
  9. 福永健司

    福永健司君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわちこの際、井上良二提出議員立法制に関する野田建設大臣発言に関する緊急質問を許可せられんことを望みます。
  10. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 福永君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  議員立法制限に関する野田建設大臣発言に関する緊急質問を許可いたします。井上良二君。     〔井上良二登壇
  12. 井上良二

    井上良二君 「議員立法制限に関する野田国務相発言に関して、日本社会党を代表いたしまして緊急質問を試みたいと存じます。野田建設大臣は、去る四月八日夜、福井県の災害観察に参ります途上、新聞記者団と会見して、国会を否定し、憲法を無視する重大発言行つたのでありますが、このことに関し、当面の責任者たる野田国務大臣並びに総理責任ある答弁を伺いたいと思うのであります。  野田国務大臣は、当時の車中談として、記者団に対し、総司令部内政関與講和発効とともになくなるが、今度は国会立法権者としての専横をどう阻止し調整するかが重要な問題となつて来る、特に予算関係ある法律案議員立法でかつてにつくり上げることになれば、憲法で保障された政府予算編成権も無意味になり、国政上ゆゆしき問題が生ずる、場合によつて議員立法憲法違反の疑義さえあるので、愼重検討の上、その解釈を早急に統一したい、いずれにせよ、財政負担の伴う議員立法は何かの方法で調整する必要がある、と語つているのであります。もしも、かくのごとき発言野田国務相行つたといたしますならば、その政治的責任はきわめて重大でございます。(拍手)それは、この発言国会立法権制限し、否定する重大な発言でありまするがゆえに、野田建設相の、所管の建設行政や、行政管理庁長官としての行政機構の改革に関する発言とまつたく異なり、この発言吉田内欄の閣僚として、国務大臣として発言されているという点に、私は重大な問題があると考えておるのでございます。(拍手)私は、この新聞報道されておりまする野田建設相発言を見て、野田建設相日本憲法をいかに解釈し、国会の存在を何と考えているのかを、まず伺いたいのであります。  日本国憲法の前文の中には、そもそも国政は、国民の嚴粛な信託によるものであつて、その権威国民に由来し、その権力は国民代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。」と規定してあります。また憲法第四十一條には、御承知通り、「国会は、国権最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。」と明記されているが、この憲法規定野田国務相は否定されるのでありますか。(拍手憲法のどこに、行政府国会立法権制限できるという規定があるか、この点を明らかにしてもらいたい。(拍手)  国会政府の御用的な翼賛機関ではありません。国会立法機関として、また国利民福目的として立法的手段をとることは、国会に與えられた当然の責任であり、義務であります。(拍手)また、かりに国会議員が提案した法律案が、国家財政と国費の支出に関係があるとしましても、その場合は、国会がその法案審議を通じて予算的措置検討し、考慮しているのであつて、そのことが政府予算編成を妨害するなどと考えることは、たなはだしい見当違いであります。(拍手)国の行政府たる政府が、国権最高機関を無視し、国会立法権に容喙するがごとき態度をとることは、民主的政治を否定し、官僚軍閥独裁政治へ時代を逆行させようとする現われであつて民主政治を擁護する立場から断固糾彈しなければならぬのであります。(拍手)  この野田国務相発言を重視いたします私どもは、野田国務相が、かつて官僚として長い間官僚生活を続けて来られましたから、いよいよ近く占領が解けて独立するにあたりまして、占領の間は占領軍にこびて、占領軍のきげんをとることによつて自己の勢力を保持し、いよいよ占領から解放されて独立するのを機会に再び官僚軍閥による独裁的な政治を夢見ておりはしないかというところに、われわれの問題があるのであります。(拍手)  同国務大臣は、この新聞報道自分の意見を正確に伝えたものではないと、こう言うかもしれません。もし正確に伝えたものでないという場合には、野田国務相は、議員立法制限することについて、国務大臣としていかなる考え方を持つておられるか、この点が一番問題でございます。あなたが正式に申さないにしても、雑談的にでもそういう話をされて、万一予算が伴う議員立法は、予算編成その他の立場から調整が困難であるから、その点は一応考えなければならぬというようなお考えを持つておるのではないか、そこにあなたの官僚的なものの考え方が横たわつているのであります。(拍手)この点を、われわれは徹底的にたださなければなりません。従つて、この議員立法制限について、いかにあなた方はお考えになつておるか、特にこの点を明確にされたいのであります。  また、この際政府に特に伺つておきたいのは、かくのごとき重大な発言をいたしましたところのこの野田国務相政治的責任について、政府はいかなる処置をとり、いかなる対策をとろうとするか、この点について、きようは総理がおりませんから、後ほど総理大臣より明確に御答弁を願います。  なお私は、野田氏の答弁いかんによつて質問をさせていただくことをお願いして、簡單でございますけれども一応質問を終りたいと思うのであります。(拍手)     〔国務大臣野田卯一登壇
  13. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) ただいま井上議員から御質問がありましたが、福井に行く途中の車中談として、おそらく読売新聞に載つた記事をおさしになつておるのではないかと思います。そのときに、私は車中談として、あるいは国務大臣として申し上げたことは全然ございません。車中談として話したあとで、私は個人的な話をしておりました。雑談をしておりました。私の言つたことをそのまま申し上げます。そのときに出た話の中で、今後予算関係する法律案、すなわちこれははつきりしておりますが、たとえば昭和二十何年度とか、二十五年度とか、二十八年度とか、あるいは二十七年度に何々のために何千何百億という予算を伴う法案がかりに出されるということがあつたらどうなるであろうかというような問題だつたのです。それに対しまして、私は、そういうものが、かりに出るならば、政府は困るだろう、そうして予算の作成及び提出の権能を政府が持つておる、政府に專属するということになつている憲法條文の建前からいつても、いろいろと問題が生ずるだろう、それに対しては愼重に研究しなければならぬ、こういうことを申し上げました。私が申したのは、それだけであります。新聞にはどう書いてあるか知りませんが、新聞に関する記事については、私は責任は負いません。     〔井上良二登壇
  14. 井上良二

    井上良二君 ただいまの野田建設大臣答弁のうち、二つ大きな問題がございます。一つは、新聞報道に対して、特に読売新聞記事が全然間違いであると、こう言う。もし間違いでありまするならば、かくのごとき重大な報道を、今日まで何ゆえに放任しておいたか。従つて建設大臣は、この報道自分の談話として発表されている以上、非常な誤解を招き——しかも憲法並びに国会権威に関する重大な発言報道であります。そういう重大な報道がされているのに、これに対して記事が誤りならば取消しを要求しその謝罪を要求すべきであるが、そういう手続をとられたかどうか、この点が第一点。  それから、かりに予算の伴う法律案議員立法として提出された場合、政府が困るとか困らぬとかいうことは、それは別問題であります。当然そういうことは国会審議すべきであつて政府が容喙すべきことではあむません。政府は、かりにそういう法律案が上程され、可決されました場合は、当然それに伴つて予算を段取りすべき責任があるのであつて政府が先に予算をつくつたから、この予算従つて法律をつくれなんという、その考え方間違つているのです。(拍手)その考え方を直さなければ話はつきませんぞ。その考え方をあなたが直さなければ——予算編成権などという大権をあなた方に與えているのではないんだよ。予算を編成しても、国会承認を得なければ予算にならないではないか。国会承認を得て初めて予算というものが成立するのです。行政府として必要な予算はこれこれいりますということを言うて、そこで国会がこれは妥当かどうかということを審議した後でなければ予算は成立しないのです。そういう点をもつとはつきりしてもらわぬと、政府予算編成権を持つているから、予算従つて法律をつくれという考え方か、この点は明確に御答弁を願いたい。それでないと、もう一ぺん私は再質問をいたしますから……。(拍手)     〔国務大臣野田卯一登壇
  15. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) ただいまの質問に対してお答えい失します。  読売新聞記事の問題は、私は知らなかつたのであります。東京帰つてそれを聞きまして、読売新聞には非常に迷惑しているということを申し入れてあるのであります。善処を求めてあります。  それから、あとの点につきましては、私はこの問題に対して法律上の解釈を下しているのではありません。ただ問題があるだろうということを雑談のとき言つた。これに対して政府はどう考えるかということにつきましては、法務総裁あるいはその他担当の大臣から、必要があれば答弁していただくことにいたします。
  16. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 日程第一、日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定実施に伴う所得税法等臨時特例に関する法律案日程第二、日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定実施に伴う関税法等臨時特例に関する法律案日程第三、日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定実施に伴う国有財産管理に関する法律案日程第四、日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定実施に伴う国税犯則取締法等臨時特例に関する法律案、右四案を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。大蔵委員会理事小山長規君。
  17. 小山長規

    小山長規君 ただいま議題となりました、日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定実施に伴う所得税法等臨時特例に関する法律案外三法律案について、大蔵委員会におけて審議の経過並びにその結果について御報告を申し上げます。  まず四法律案の趣旨と内容の概略を御報告申し上げます。  御承知通り占領下にありましては、占領軍及びその関係者に対し相当広汎な免税措置が講ぜられて来たのでありますが、安全保障條約に基く駐留軍として日本に駐留するアメリカ軍隊に対しましては、その駐留目的を達成するに必要な範囲においてのみ、この際妥当と認められる課税上の臨時特例措置をなそうとするのでありまして、広汎にして一般的な課税上の例外規定を設けたものではなく、各場合につき、それぞれ具体的に事項を明らかにして限定的に免税等措置を講ずることになつておるのであります。従つて、この特例措置に該当しない限り、アメリカ軍人軍属、その家族等といえども、すべて日本人同様、課税の適用を受けるのであります。なおこの免税特典濫用防止についても、必要な規定行政協定及びこの法律に設けられており、また政府当局の説明によりますと、その運用についても、アメリカ当局者十分連絡をとり、今後適切な措置をとることをたびたび言明いたしておるのであります。  以下、法案のおもなる点について御報告を申し上げます。  第一に、日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定実施に伴う所得税法等臨時特例に関する法律案におきましては、行政協定の締結に伴い、同協定に従い駐留する米軍構成員軍属またはこれらの家族等につきまして、所得税等課税に関する臨時特例を設けようとするものであります。すなわち、合衆国軍隊構成員軍属またはこれらの者の家族が、合衆国軍隊またはPX等軍人用販売機関等における勤務または雇用により受ける給與所得等については所得税を課さないのであります。合衆国の個人または法人で、合衆国軍隊の使用する施設及び区域建設運営等に関して合衆国で締結した契約に基く事業のみを行うもののその事業から生ずる所得等については、所得税または法人税を免除いたしております。通行税については、合衆国軍隊及びその軍人が公務を遂行するために汽車等を利用する場合に限り、課税しないこととしております。合衆国軍隊またはその公認調達機関等合衆国軍隊の用に供するため日本において調達する物品または揮発油については、物品税または揮発油税を課さないこととする等でありますが、なお今回の行政協定による物品税課税上の措置に関連いたしまして、輸出免税手続について簡易化をはかるため、物品税法に所要の改正を加えることといたしております。  第二に、日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定実施に伴う関税法等臨時特例に関する法律案におきましては、臨時特例といたしまして、合衆国公用船で、公の目的運航されているものに対してはトン税を免除し、公用船一般貨物を積載しているときは、全積載貨物一般貨物が占める重量の割合に応じてトン税を徴収することとし、公用船及び公用機の入出港に際しては、関税法で定める手続のうち、必要最小限度のものはこれをとらせることといたしております。それから合衆国軍隊、その公認調達機関軍人用販売機関合衆国軍隊構成員軍属またはこれらの者の家族等が輸入する特定の物品については関税及び内国消費税を免除することといたすとともに、右の免税を受けた物品が、国内において免税を受ける資格のない者に処分されたときは関税及び内国消費税を徴收することとし、讓渡人及び讓受人懸案手続を行わせることといたしております。関税及び内国消費税を免除された物品については、その横流れを防止するために必要な措置を講ずるものであります。  第三に、日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定実施に伴う国税犯則取締法等臨時特例に関する法律案におきましては、国税犯則取締法または関税法等にはる臨検捜索または差押えについて特例を設けようとするものであります。すなわち、国税に関する犯則事件調査するために、合衆国軍隊の使用する施設及び区域内において国税犯則取締法または関税法規定によつて臨検捜索または差押えを行う場合においては、合衆国軍隊の権限ある者の承認を受け、またはこれに嘱託して行うこととし、その施設及び区域外におきましては、合衆国軍人軍属及び家族の身体、財産については、このような制限を受けることなくして、国税犯則取締法に基き直接日本の官吏が処分をすることができることといたしております。その他タバコ專売法アルコール專売法トン税法保税倉庫法地方税法等により、国税犯則取締法またぱ関税法規定を準用して臨検捜索または差押えを行う場合につきましても、右の措置に準ずることといたしておるのであります。  最後に、日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定実施に伴う国有財産管理に関する法律案につきましては、行政協定規定によりまして、合衆国の軍隊の用に供することとなります国有財産管理及び処分に関しまして、国有財産法等の特例を設けようとするものであります。第一に、国有財産を無償で合衆国に使用を許すことといたしております。第二に、合衆国の使用に供した国有財産につきましては、合衆国から日本国政府に当該財産の返還があつた場合においても、その原状回復またはこれにかわる補償の請求を合衆国に対して行わないものといたしております。第三に、合衆国の使用に供した国有財産について、合衆国軍隊の用に供している間といえども、その用途または目的を妨げない限度において他の者にその使用または收益を許すことができることといたしております。第四に、国が国有財産を国以外の者に貸し付けている場合において、当該国有財産合衆国の軍隊の用に供する必要上、貸付契約を解除する場合には、従来の使用者に対しては適正な補償を行うことを規定いたしております。その他、特別会計に属する国有財産合衆国軍隊の用に供しようとする場合、当該財産は一般会計に所属がえをし、または当該財産は一般会計に使用せしめたこととした上で、一般会計から合衆国の使用に供することとする等であります。  以上の法律案につきましては、まず政府委員より提案理由の説明を聽取し、次いで数回にわたり質疑が行われましたが、なかんずく米国建設業者に対する所得税及び法人税免除による内外建設業者の競争関係の問題、CPOの購入商品について、内外商品の物品税課税上の差異による競争関係の問題、駐留軍による国有財産無償使用の際の現使用者に対する補償の問題、及び合衆国軍隊の使用する施設及び地域外における臨検捜索差押え行政協定十七條との関係等について熱心なる質疑応答が行われました。  次いで、昨十四日質疑を打切り、ただちに討論に入りましたところ、自由党を代表して小山委員は賛成の意を述べ、日本社会党を代表して松尾委員より反対の意を述べられ、日本共産党を代表して深澤委員より反対の意が述べられました。  次いで採決をいたしましたところ、起立多数をもつて法律案は原案の通り可決いたされました。  以上御報告を申し上げます。(拍手
  18. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 松尾トシ子君。     〔松尾トシ子君登壇
  19. 松尾トシ子

    ○松尾トシ子君 ただいま議題となりました、日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定実施に伴う所得税法等臨時特例に関する法律案外三件に対し、私は日本社会党を代表いたしまして反対の意を表するものでございます。  そもそも私どもが安全保障條約に根本的に反対をいたしましたゆえんのものは、この條約によつて、国際的にはわが国の中立的立場を放棄する危險を痛感いたし、国内的には独立国としての権威を物心両面において失うがためであります。ここに上程されました四法案は、私どもの心配いたしましたことが單なる杞憂でなかつたことを如実に示す回答案であるかのように思うのであります。すなわち、税の面における広汎な治外法権を認め、しかも多数の外国軍隊及びその関係者を取締ることの困難を思うとき、その影響と弊害はまことに甚大なものがございます。  まず、この法律において特例を認めんとする人的範囲について見ましても、合衆国軍隊構成員軍属及びその家族等となつております。軍属とは、合衆国の国籍を有する文民で、合衆国軍隊に雇用され、これに勤務し、またはこれに随伴するものと規定してございます。随伴なる言葉が示すように、このあいまい模糊として、とらえどころのない範囲は、ほどんど無制限にひとしいものでございます。また家族とは、合衆国軍隊構成員または軍属の配偶者及び二十一歳未満の子供並びに父母、及び二十一歳以上の、子供で、その生計費の十分の五以上を合衆国草陰の構成員または軍属が負担するものとしてあります。すなわち、二十一歳以上の子供で独立の生計を営むものを除外せんとする法案の意味は了解できますが、実際には、その親が半分以上生計費を負担しているかいなかを判断することは不可能であると思うのであります。  さらに、この法律には、特例として契約者なる字句が使われております。軍関係の仕事を契約し、当該契約にかかる建設、維持または運営のみの事業をなすもの及び当該事業に従事するためにのみ日本国にあるものを免税の範囲に入れておりますが、この契約者の判別もまた、末端の取締りにおいては不可能であると思うのであります。かくのごとく、直接に取締りに当る末端において判別しがたい多数の外国人に税の治外法権を與える結果は、国内経済に無限の弊害を導入することになるのであります。外国タバコの取締りにさえ手を燒いた当局が、この不平等の結果派生するところの諸事態を公正に処理して行くことは絶対にできない相談でございます。まして、弱い者にはきわめて強く、強い者にはまことに卑屈なわが国の官僚根性をもつてしては毛色の違い、目色の違つた外国人に対しては、依然として無條件降伏の状態が続けられて行くのではないかと心配するのであります。  明治維新以降、不平等條約がわが国を非常に苦しめたことは、身近な歴史がこれを示しておるのであります。国民の日常生活に最も深い関係を持つておりまする税の面において、不平等の特権を濫用するものと、これも利用して不当に巨利を得んとするもの等の弊害がやがて国の経済を乱すこどは、火を見るよりも明らかでございます。不公平な條約や行政協定を結んだ政府責任はまことにまことに重大であり、たとい吉田内閣が倒れた後といえども、今後五十年、百年の長きにわたりまして、わが国が独立国として生成発展することを阻害するものでございます。  私どもは、この機会に不平等條約たる安全保障條約の根本的改正を主張いたし、行政協定に内包されたところの日本民族の致命的損失をここに重ねて指摘いたしまして、本案に反対の意を表するものでございます。(拍手
  20. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 深澤義守君。     〔深澤義守君登壇
  21. 深澤義守

    ○深澤義守君 ただいま上程されました四法律案に対しまして、日本共産党を代表し反対の意見を述べるものであります。  本法案が、日米安全保障條約に基く行政協定日本の税務行政の上に実施するためのものであることは、言うまでもないのであります。日米安全保障條約が、アメリカのみの利益と安全の保障であり、アメリカ——————ための極東戰略上の必要から出発しているものであることも明らかであります。その結果といたしまして、わが国土は———アメリカの軍事基地となり、わが国の政治も産業経済もこの線に沿つて軍事的に再編成されつつあることもまた明らかな事実であります。  このたびの講和が、国民が長く待望したところの独立ではなくして、完全にアメリカの属国化することになり、国民生活は、無権利と困窮のうちに、植民地的な奴隷状態に転落して行くことも、わが党があらゆる機会に指摘し、反対して来たところであります。憲法を無視いたしまして、国会審議にかけることなしに、政府が独断的にアメリカとの間にとりきめられたところの行政協定が発表されるに及びまして、今までわが党が指摘し、反対して来たことが白日のもとに明らかになり、今や現実となつているのであります。心あるところの国民は、これに対しまして非常な反対の意見を持つております。すなわち、広汎なる治外法権を認めたこの行政協定は、わが明治の先輩諸子が血を流してその撤廃のために鬪つたところの安政の條約以上の屈辱的なものであると、国民の大部分が民族的な憤激をもつて政府に抗議をしているのであります。  なお許すべからざることは、緊急非常事態に対しまして、その措置については日米両国がただちに協議しなければならないとなつているのでありますが、これは、清瀬一郎氏も批判している通り米国日本に通告するということと実質において大差ないことになるおそれがあるのであります。それ以上に、現在の隷属関係においては、ただアメリカから命令されるままに動くという結果になるということをおそれるのであります。  なお、一九五一年九月八日、アチソン長官と吉田総理大臣との交換公文によりますれば、吉田総理大臣は、平和條約の効力発生の後に、国際連合の軍隊が極東における国際連合の行動に従事する場合には、その軍隊が日本国内及びその付近において行動することを許し、かつその行動を容易にすることを確認するの光栄を有しますというところの公文をアメリカに対して出しているのであります。この事は、わが国が戰争に介入し、わが国土が戰場となることに対して、わが国民は事前にみずかちの国家意思の決定を行うこともなく、アメリカの一方的通告によつて戰争の中に引込まれて行く結果になるのであります。  また総理大臣の公文は、国連に加盟するところの四十数箇国の軍隊が国連の行動に従事する場合は、日本国内とその付近に行動することの自由を確認したのであります。どこに日本の独立があり、平和と安全の保障があるのでありましよう。あるものは、原爆戰争の危險と民族の破滅あるのみとわれわれは考えるのであります。和解と信頼の講和と自主独立の幻想に惑わされた国民は、今その本質を見きわめて、民族の怒りに燃えつつ、この売国的條約の改正あるいは破棄の決意を持ちつつあるのであります。わが国土と国民を犠牲にする法案を、次から次と製造いたしまして、與党の多数に物をいわせて成立させんとしているのでありますが、この四法律案も、その売国法案の片割れであるということをわれわれは考えているのであります。  第一に所得税等に関する法律案でありますが、これは日本に駐留する合衆国軍隊構成員軍属またはこれらの者の家族またはPX、食堂、社交クラブ等、軍人用販売機関または日本米軍基地を建設する契約工事者に対しまして、所得税法人税、相続税、富裕税、通行税、印紙税、物品税揮発油税等を免除することになるのであります。わが国土に戰争をもたらす外国軍隊の即時撤退を要求するわが国民立場から見ますれば、その災いをもたらす外国軍隊の駐留と、それに協力する再軍備のために多大の税金を——され、差押え、競売、更正決定等に苦しんでいるにもかかわらず、その駐留軍に対する一切の税金を免除することは、まさに盗人に追銭のしわざといわざるを得ないのであります。  一つの例をあげますと、駐留軍日本における基地建設について、合衆国政府と、合衆国に居住する個人あるいは法人との間に契約ができた場合は、その契約に塞いで、日本における基地の建設、維持、運営事業から生ずる所得に対して免税するのでありますその結果どうなるか。日本所得税アメリカよりも相当高いために、基地建設の一括した大契約は、この形がとられることが予想されるのであります。アメリカ国内において、米国政府米国契約者と契約する場合において、アメリカの経済事情に基いて原価計算が行われ、契約額が決定されることはいうまでもありません。その契約者が日本へ来て、その契約工事を行うときに、駐留軍権威をかさに着て、アメリカの十分の一の低賃金で労働者が駆使され、不況に悩む日本経済の滯貨が非常に安くたたき買いをされ、莫大なる利潤がアメリカの大資本家の手に入ることは明らかであります。これに対して日本は税金がとれないのみか、その工事費の半分は、日本国民の血の出るような税金によつて分担されるのであります。経費は半分負担させられ、低賃金でこき使われ、商品は安く買いたたかれまして、さんざんもうけられたのに対して税金をかけることができない。このような措置をどうして日本人承知することができましようか。  第二に関税等の免税でありますが、合衆国軍隊の公用に供するための輸入物品に対してのみならず、軍人軍属及びその家族の私用品及び私用車両、その部品または米国軍隊の軍事郵便局を通じて入る相当量の衣料及び家庭用品等に対しては、何ら具体的な制限をつけることなしに免税にしているのであります。すべてを税関当局の認定に、ゆだねているのでありますが、駐留軍権威の前にまつたく無力である日本政府は、結局において無制限免税にするというおそれがあるのであります。  第三に国有財産管理に関する法案でありますが、米軍の使用に供する必要があるときは無償で使用を許し、その返還にあたつては、原状回復の請求権を放棄して補償の請求をしないことになつているのでありますが、占領軍命令によつて、過去において、日本全土において、農耕地、開拓地、採草地、山林等を一日一坪十銭以下の借上料によつて強制接收をされまして、現在その補償さえ未解決であります。神奈川県の追浜地区の再接收の問題や、横浜市の接收解除の陳情運動等を考えますときに、駐留軍の基地拡大を予想するこの法案に対して、日本国民は多大の不安を持たざるを得ないのであります。大蔵委員会においても、政府当局は、今後の被害者に対する補償の基準も明らかにできない。その予算も明らかにできない。われわれは、占領軍の接收財産にも遡及いたしまして、被害者の生活保障のできるような補償を実行すべき措置政府がただちに講ずべきであると考えるのでありますが。そういう考え政府には全然ない。  第四に国税犯則取締法等特例でありますが、第三條において違法であつた場合においては、米軍施設及び区域内の臨検または差押えを行うときは、米軍の承諾を受けて行うことができるということになつております。しかし、その後段において米軍に嘱託して行うこともできると規定いたしまして結局は龍頭蛇尾に終るところの伏線が敷かれているのであります。  安全保障條約が、行政協定によつてその正体をはつきりさせられ、さらに行政協定に基く法律の施行によつて国民は身をもつて講和の実体を体験するでありましよう。やがて民族の怒りは全国民の大きな力となつて、一切の売国勢力に対して嚴粛に民族的な審判を下すときが近く来るということを、われわれは確信いたすのであります。  以上述べまして、日本共産党の反対の討論にかえる次第でございます。(拍手
  22. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。  四案を一括して採決いたします。四案の委員長報告はいずれも可決であります。四案を委員長報告通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  23. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 起立多数。よつて四案とも委員長報告通り可決いたしました。      ————◇—————
  24. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 日程第五、平和條約第十一條による刑の執行及び赦免等に関する法律案議題といたします。委員長報告を求めます。法務委員長佐瀬昌三君。
  25. 佐瀬昌三

    ○佐瀬昌三君 ただいま議題となりました平和條約第十一條による刑の執行及び赦免等に関する法律案につき、法務委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  御承知のように、わが国は、平和條約第十一條により、いわゆる戰争犯罪人に対する刑の四国を引受けたのでありまするが、なお同僚によれば、これらの者に対し赦免、減刑及び仮出獄を行うについては、日本国の勧告と関係連合国の決定を要する旨を規定いたしているのであります。本法案は、平和條約の発効と同時に同條所定の諸事項を適正に実施するために提出されたのであります。  申し上げるまでもなく、戰争犯罪に対する国際社会における考え方は、第二次世界大戰によつて根本的に一新されたといつても過言ではありません。すなわち、新たに平和に対する罪及び人道に対する罪等が問擬せられるに至つたのみならず、さらにその刑の執行を敗戰国が引受けるということも、これまた世界史上初めてその例を見る事柄であります。しかも、戰犯に対するいわゆる刑は、日本国内法上のものではなく、外国裁判所の科したものであります。このいわゆる刑の執行につきましては、日本といたしましても、国際社会といたしましても、まつたく無経験の事柄でありまして、国内法上、また国際法上、いろいろ困難な問題が提起されるのであります。かような次第で、いわゆる刑の執行及び赦免等につき、国内法をそのまま適用することはもとより困難であるため、ここに必要なる規定を設けることにいたしたのであります。  今その概略を申し上げますと、第一に、刑の執行に関する事項については法務総裁が、また赦免、刑の減刑、仮出所及び一時出所に関する事項につきましては、中央更生保護委員会がそれぞれ管理に当ることにいたしたのであります。  第二に、刑の執行は巣鴨刑務所において行うごととし、その準拠法令としてこの法律案規定するもののほか、監獄法中の受刑者に関する規定を準用し、あわせて国際刑法及び国際刑務委員会による被拘禁者の処遇に関する最低基準を他の国際慣行とともに遵守すべきものといたしたのであります。すなわち、未決日数の算入、在所者の病院移送、善行特典等の制度が採用されているのであります。  第三に、仮出所につきましては、刑期の三分の一、または刑期四十五年以上及び終身刑の者については十五年を経過したときは、本人の申出またはその他の者の願出により委員会が審議し、勧告を相当とするときは條約第十一條による勧告の手続をとり、これに対する関係諸国の決定をまつて、その処分を実施することといたしているのであります。  第四に、一時出所の制度を設けている点でありますが、これも従来国際慣行として行われているのを取入れておるのでありましてへ在所者の父母、配偶者または子の死亡、危篤等の特別の事由があるとき一時帰郷を許されるものであります。  第五に、赦免及び刑の減刑につきましては、在所者及び仮出所中の者の申請、その他の者の願出あるいは刑務所長の申出もしくは委員会の職権により委員会が審理を行い、勧告を相当と認めるときは勧告の手続をとり、これに対する関係国の決定を待つて処分を実施することになつておるのであります。以上が本法案の骨子でございます。  さて、委員会におきましては、三月二十九日、政府より提案理由の説明を聞き、質疑を行いましたが、さきにも申しましたように、戰争犯罪及びその刑の執行ということ自体が、日本としてはもちろん、国際社会といたしましても初めて歴史上経験する事柄を多分に包蔵している関係上、各委員から深い思いをこめた厳粛なる質疑がなされたのであります。その詳細につきましては速記録に讓りまするが、おもなるもの二、三をここに御紹介いたしますると、一、巣鴨戦犯及び在外戰犯の実態、二、巣鴨戰犯に対する一般的措置、三、在外戰犯に対する方針、四、平和條約第十一條の連合国軍事法廷と、第二十五條の連合国という意義の異同及びその関係、五、條約第十一條日本人の意義、六、執行停止の制度を採用しない理由、ことに高齢者に対し人道的立場からの必要性、七、赦免、仮出所等の勧告の判断の基礎となる條件または基準及び赦免等に関する事項を委員会の所管事項とした理由等につきましてそれぞれ質疑がありましたのに対し、政府よりは、二、国内では巣鴨刑務所に千七名、在外者はフイリピンに百十一名、うち五十九名が死刑未執行、オーストラリアにおいては二百十名、なおソ連関係は不明であり、中国関係は折衝中である。二、巣鴨戰犯については、本法の適切な運用と外交折衝により、合法的に一日も早く自由を回復するよう最善の努力を拂いたい。三、在外戰犯については、本法を適正に運用し、国際的信頼を高めつつ、すみやかに日本帰還を促進したい。四、條約第二十五條と第十一條との解釈上、この條約に署名しない国の裁判の分も本法案の適用あるものと解せられる。五、條約第十一條日本人とは、裁判当時日本人であつた者と解せられる。六、執行停止に該当するような場合は、一時出所あるいは病院移送等の活用によりこれを処理することができ、さらに場合によつては仮出所、赦免も可能である。七、赦免、仮出所等の勧告については、最も公平妥当な基準と方法に従つて処理したい。またこれらの事項を委員会の所管としたのは、在所者の社会復帰に適切なる運用を期するためである等の答弁があつたのであります。  かくして、四月十四日質疑を終つて討論に入り、自由党、改進党及び社会党より賛成の、共産党より反対の討論があり、多数をもつて政府原案の通り本案を可決した次第であります。  以上、簡単に御報告申し上げます。(拍手
  26. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 討論の通告があります。これを許します。加藤先君。     〔加藤充君登壇
  27. 加藤充

    ○加藤充君 こういう議場で、わが党の反対討論を述べ立てることは、きわめて不本意な気持がいたしまするけれども、日本共産党が本法案に断固反対いたさなければならない理由を簡單に申し述べます。  第二次世界戰争は、西欧においてはドイツ・ファシズム、アジアにおいては日本帝国主義が、それぞれ自国の支配階級のために世界を征服しようとして、歴史に比類なき人類の大量殺戮を行つたものであります。東京裁判の記録に現われただけでも、日本人として目をおおわしめるものがあるのであります。南京事件は、昭和十五年十二月、元大将松井石根の占領下、戰鬪行為の終つたのに、四十日にわたつて、九万五千余名の中国の市民、婦女子、幼児の射殺、首切り、舌抜き、燒殺し、目玉突き、なぐり殺し、け殺しなどのあらゆる殺人犯罪と、強姦、輪姦、屍姦など、あらゆる破廉恥な情欲犯罪などが敢行されたのであります。また昭和二十年の二月、マニラ市でも、約十万の市民を同様の方法で虐殺したのであります。比島人を殺すのは、極力一箇所にまとめ、彈薬と労力を省くように処分せよ、死体の処理うるさきをもつて、燒却または爆破予定家屋に集め、あるいは川に突き落すべし、このような部隊命令も証拠にあげられておるのであります。日本帝国主義者は、一千万の中国人民を殺し、百万以上のフイリピン人を殺し、ヴエトナム、マレー、インドネシア、ビルマ、ニユーギニア等、地球の四分の一にわたつてかくのごとき残虐の行為をほしいままにしたのであります。  このように、侵略戰争は人類に対する犯罪である。この戰争の組織者は、戰争の犯罪人として、その償いをしなければならないのである。このことは、当然きわまることであります。特に二月十四日、法務委員会での、フイリピン戦犯、元中将黒田の証言によれば、彼はその理由も判然としないままに無期懲役から減刑され、釈放されたということである。しかも、セブ島残虐事件の犯人として死刑の判決を受けている者の仲には、セブ島におらなかつた者も含まれているということであつて、わが党は、このような部下の犠牲者を比島に残したまま、最高責任者の黒田が帰国したるがごとき、無責任な人身御供的な行為を嚴重に指摘し、私どもは断固糾弾しなければならないと考えておる次第であります。  諸君、現在ますます、原爆兵器の恐怖と、これによる威嚇が行われております。しがも、化学兵器、細菌兵器などのような大量殺戮の兵器は、婦女子、老人、幼児のような平和な住民をも無差別に殺すものである。このはうな侵略兵器の使用は禁止されなければならないという、あのジユネーヴ議定書をしり目に、朝鮮、満州等では、この恐るべき細菌兵器が使用されているということである。  皆さん、この戰争で、日本人は、二百五十三万入の、いたずらなる犠牲の、同胞の生命が奪われて行つたのであります。また日本国民は、世界人類最初の原爆攻撃を受けた国民でもあり、この日本国民は、世界の平和と人類の幸福のためにも、この爆弾、この細菌引きの使用を中止させる権利と義務と名誉を持つているものであると考えます。  戰犯としての処罰を免れた戰犯どもは、すなわち天皇、財閥、官僚、寄生地主などは、再び戰争を企て、今度はアメリカの下働きを勤めて、再び国民をこれにかり立て、許すべからざる戰争犯罪を再び敢行せんとしているのであります。しかも、彼らは、日本国民り悲願、国民の悲痛なる運動である平和運動を、恥知らずにも権力をもつて彈圧しておるではありませんか。  日米両国政府が、もつたいぶつた口実のもとに取結んだ諸條約は、————帝国主義者と、日本のこれらの勢力との仲直りにしかすぎません。サンフランシスコ條約及び日米行政協定は、日本の安全と独立を保障する條約ではなくて、日本国民を中ソ等に対する—————————————に引きずり込む條約である。それは日本の運命をアメリカ極東軍司今宮の命のままにゆだね切つだ條約であります。一言にして言えば、日本人を肉弾として売り渡しだところの身売り契約であつたということも言えましよう。(「それが本案と何の関係があるのだ」と呼ぶ者あり)との法案は、実はその目的につながるものであります。彼らは、彼らの企てておる新しい戰争に役立つ者を、千七名の戰犯の中から、一時出所、仮出所、赦免、減刑などと称して、新しい仲間に引きずり出そうとしておるのが、この法案目的であります。侵略戰争に対する少しの反省もなく、現にやじつておる諸君のように、戰犯の処罰は、負けたためにこうむつた犠牲である、戰争犯罪人は気の毒な犠牲者である、彼らは前科者ではない、刑務所で服役さすのは不当である、現在以上にその処遇を引上げようというような、この質疑応答の中には、皆さん、明らかに不当なこの法案の意図が、はつきりと自己暴露されておるのではありませんか。皆さん、再犯のおそれなき者以外は釈放してはならないというのは、日本国内法規、仮釈放審査規程にも明らかな通りであります。」  私どもは、千七名の戰犯服役者の中から、新しい戰争に役立つ者だけを引きずり出そうというような、そして新しい戰争を敢行しようというような、恥知らずの、国民に不幸をもたらすような、この不届きな法案提出を糾彈し、断固反対しなければならないと考えておるものであります。(拍手
  28. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。採決いたします。本案の委員長の報旨は可決であります。本案を委員長報告通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  29. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告通り可決いたしました。      ————◇—————
  30. 福永健司

    福永健司君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、内閣提出日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定に伴う民事特別法案議題となし、この際委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  31. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 福永君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定に伴う民事特別法案議題といたします。委員長報告を求めます。法務委員長佐瀬昌三君。     〔佐瀬昌三君登壇
  33. 佐瀬昌三

    ○佐瀬昌三君 ただいま議題となりました、日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定に伴う民事特別法案につきまして、提案の要旨及び法務委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案は、日米行政協定規定された事項中、民事に関し特別の規定をしようとするものであります。すなわち、行政協定第十八條第三項においては、安保條約に基き日本国内に駐留するアメリカ合衆国軍隊の活動に起因する不法行為による損害につきましては、日本国がその賠償をすべきことが定められており、また同協定第十八條第六項の(b)においては、合衆国駐留軍の使用する施設または区域内にある私有の動産に対して強制執行する場合には、合衆国の当局が、日本国の裁判所の要請に基いて、それらの動産を差押えて、日本国の当局に引渡すべきことが定められているのであります。以上の二点は、いずれも国民の権利義務に直接関係りある事柄でありまして、行政協定の右の規定実施いたしますためには、法律で特別の定めをする必要がありますので、本法案提出された次第であります。  本案の内容を簡單に御説明いたしますと、第一條から第四條までにおきまして、米国駐留軍の活動によつて違法に他人に損害を與えた場合は、国家賠償法の規定の例に準じて、日本政府がその損害を賠償することを規定し、第五條において、米国駐留軍の使用する施設または区域内にある動産に対する強制執行について、民事訴訟法の特例規定したのであります。  さて、当法務委員会における審議の詳細につきましては、速記録に讓りたいと存じますが、そのうち質疑のおもなるものを申し上げますと、第一に、日本における米国駐留軍の行動と、国連軍の一翼としての米軍の行動との区別については、実際上の判定が困難であるから、これらの軍の行動によつて違法に損害をこうむつたときは、すべての場合に国が賠償するようにすべきではないかとの質問がありました。これに対し、政府からは、駐留軍と国連軍との区別は、法律上論理的に区別しなければならぬものと思う、なお講和條約発効後の日本国と国連軍との関係については目下外交交渉中であるとの答弁がありました。  第二に、駐留軍の行動が、職務の執行にあたつて解釈につき争いのあつた場合はいかにするかとの質問に対しましては、行政協定にまりこれを日米合同委員会に付議することになる、これを要するに、わが国の国家賠償法における国の公務員または被用者が賠償の責任を負うと同じ條件で米国軍隊が賠償の責任を負うことになる旨政府答弁がありました。  第三に、條文には「違法に他人に損害を加えた」とあるが、その違法性の判定いかんとの質問に対しまして、れは日本の民法と国家賠償法の規定に準拠して、過失主義を原則としておる言政府答弁がありました。  かくて、四月十五日質疑を終了し、討論に入り、改進党、日本社会党、貸本共産党及び社会民主党からそれぞれ反対の討論がありました。  次いで採決の結果、多数をもつて政府原案通り可決した次第であります。  以上御報告申し上げます。(拍手
  34. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 討論の通告があります。これを許します。田中堯平君。     〔田中堯平君登壇
  35. 田中堯平

    ○田中堯平君 ただいま議題となりました案につきまして、私は日本共産党を代表して反対の意思を表明いたします。  平和條約、安保條約、行政協定と、漸次抽象的規定から具体的な規定に発展するに伴つて、だんだんと吉田政府の売国性が明らかになつてつたのであります。この法案は、行政協定に基いてさらに具体的な国内立法を行う一つでありますが、そのごまかしと売国性はおおい隠すべくもなく、いよいよ露骨に暴露されて来ておるのであります。  本法案によれば、駐留軍の不法行為により国民のこうむる損害を、日本国家が血税をもつて肩がわりをして賠償するということになつておる。こんなばかげた法律が、どこの国にありますか。次に駐留軍の加えた損害は国家がかわつて賠償するぞということになつておるけれども、これも実はペテンである。本法案をしさいに点検をしてみますると、賠償の場合は、きわめて限られたる場合だけであつて、ほとんど無賠償に終るであろうことが予想されるのであります。  第一に、この法律駐留軍による損害に関する規定であつて、国連軍に関しては何らの規定もない。駐留軍が同時に国連軍として作用するであろうことは、朝鮮事変以来の実績に徴して明らかであります。最近の、横田基地、B二九の事故、あるいは八高線における爆弾投下等の事件のごときは、これは駐留軍ではなしに、国連軍の事件となるでありましよう。従つて、何らの賠償関係を生ずるものではないことになるのであります。被害者は泣寢入りという以外に方法はない。  第二にいたとい駐留軍による損害であつても、演習等の軍行動による損害である場合は、これはもう賠償しないということになつておる。軍事行動による損害こそ最大の損害であるのに、この点についても国民は泣寢入りをしなければならぬのであります。たとえば、今日全国十四箇所の演習海区のために、漁民は莫大なる損害——過去五箇年間におよそ十八億というような損害を受けておるのでありますが、この法案実施されますならば、これらに対しては、演習行為、軍行動なるがゆえに、一文の賠償請求権もないことになるのであります。(「そんなことはないよ」と呼び、その他発言する者多し)そうだよ。何を言つておるのだ。そうだよ。  第三に、駐留軍が土地や建物を接收する場合には、日本政府が間に入つて、民間と契約してこれを軍に提供するということになつておりますが、事実はなかなか話がまとまらない。そこで、話がまとまらないときにはどうするか。政府は強制収用をする必要上、その法案を今上程しておるのであります。しかして、多くの場合は、この強制收用の規定の発動を見ることとなりましよう。その他の物資や、あるいは労務の調達ということについては、行政協定の十二條や七條等によつて駐留軍が直接に調達することになつております。形式上は合意の取引が行われることになつてはいるが、彼我の力関係から、商人も労働者もえらい損害を受けるであろうことは明らかであります。その損害が少しも国家によつて賠償されないということは、現にPD工場の資本家や労働組合がひどい目にあつておる事実によつて明らかである。  以上のごとく、駐留軍による国民の損害は、あらかたは無賠償ということになるのであります。そこで、政府に私どもは質問した。一体いかなる場合がこの法案によつて賠償を受けることになるのか。ところが、政府答弁が振つておる。たとえば駐留軍の兵士が交通規則に反して人や物に損害を加えた場合のことしと言つておる。そんなことは、酔つぱらいの運転手か何かでなければあり得ない。しかも公務執行中という條件がついておりますから、公務執行中に酔つぱらうなどという兵隊は、まずないと見なければならぬ。  最後に、いよいよこの法律の條件を具備して、そうして被害者が賠償請求をすることができるとしても、さてこれは、先方が違法に損害を加えた事実、または先方の持つておる工作物の設置または管理に瑕疵があつたという事実を請求者、原告が立証しなければ、請求は成立たないのであります。相手は絶大なる力を持つた駐留軍、こちらは弱い日本人が、違法や瑕疵がどうして立証できますか。  このようにして、本法案は、国民に対して駐留軍が損害を加えたなら、日本政府がりつぱに賠償してやるぞと、大みえを切つておるだけであつて、その実は何も賠償しない結果になるのであります。国民を瞞着するものはなはだしい。このような不合理な立法は、この法案に限らない。今や行政協定に基いて、続々と、雨後のたけのこのように上程されつつある、その不合理についてわれわれが追究をすると、政府は二口目には、赤い侵略から国を守るためにはしかたがないじやないかと言う。(「その通り」)その通りと言われるが、その通りか。ところが、一体赤の侵略などと何をもつて申されるか侵略などはありません。  目を転じて、少し西の方をごらんなさい。去る三日から、モスクワにおいては、世界の四十五箇国から五百人に近い代表が集まつて、この半身不随の世界経済を打通し、そうして世界平和と各国民の生活の向上のために、まことに実効的な会議をやつておるではありませんか。あらゆるじやま立てをけつて米国からさえも十二人の代表が参加しておるのであります。そうして、この会議で、ソ連代表や、あるいは中国の代表——中国代表再漢民氏、ソ連代表ネスチェロフ氏などは、日本との平和的な貿易により双方の繁栄を期すべく、有益な、具体的な提案をしておるのであります。どこに侵略の危機がありますか。スターリンは、最近外国の新聞記者の質問に答えて、二、三年前に比べて世界戰争の危機は遠のいたという意味のことを明言しておる。軍拡経済に大ぎな破綻、蹉跌を来して、もたもたしておる戰争陣営を、スターリンは笑殺しておるではないか。  ひるがえつて、わが国内をごらんなさい。貿易と産業はがたぴしになり、中小企業、平和産業がどんどん倒産しておる。失業者は洪水のように氾濫しでおる。こういう状態にありながら、侵略勢力のしり馬に乘つて、戰争準備の片棒をかついで、いりもしない外国軍隊を輸入し——われわれの産業を復興し、また生活のための貴重物資を輸入するのじやない、いりもしない軍隊を輸入して、そうしてそのためにこうむる国民の損害は、本法案に現われた切捨てごめん、無賠償というようなことでやつて行こうという魂胆、これが本法案であります。かかる戰争立法、売国立法である本法案に対して、どうして賛成ができますか。断固反対するものであります。(拍手
  36. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。本案の委員長報告は可決であります。本案を委員長報告通り決するに賛成の諸君の起立を求めます     〔賛成者起立
  37. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 起立多数。よつで本案は委員長報告通り可決いたしました。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。     午後三時二十七分散会