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1952-03-11 第13回国会 衆議院 本会議 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月十一日(火曜日)  議事日程 第十八号     午後一時開議  第一 経済安定本部顧問を命ずるにつき国会法第三十九条但書規定により議決を求めるの件  第二 放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会承認を求めるの件  第三 ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く労働省関係命令廃止に関する法律案内閣提出)  第四 一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)  第五 国民貯蓄組合法の一部を改正する法律案内閣提出)  第六 公庫予算及び決算に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)     ————————————— ●本日の会議に付した事件  両院法規委員会委員辞任の件  両院法規委員会委員補欠選挙  憲法第九条と自衛戦力と再軍備に関する緊急質問平川篤雄提出)  野田建設大臣北海道地方地震による災害に関する報告  日程第一 経済安定本部顧問を命ずるにつき国会法第三十九条但書規定により議決を求めるの件  日程第二 放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会承認を求めるの件  日程第三 ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く労働省関係命令廃止に関する法律案内閣提出)  日程第四 一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第五 国民貯蓄組合法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第六 公庫予算及び決算に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)     午後二時五分開議
  2. 林讓治

    議長林讓治君) これより会議を開きます。      ————◇—————
  3. 林讓治

    議長林讓治君) お諮りいたします。両院法規委員会委員佐瀬昌三君から委員辞任の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 林讓治

    議長林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて許可するに決しました。      ————◇—————
  5. 林讓治

    議長林讓治君) つきましては、委員に一名の欠員を生じましたので、この際両院法規委員会委員補欠選挙を行います。     —————————————
  6. 福永健司

    福永健司君 両院法規委員会委員選挙は、その手続を省略して、議長において指名せられんことを望みます。
  7. 林讓治

    議長林讓治君) 福永君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 林讓治

    議長林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて議長は、両院法規委員会委員金原舜二君を指名いたします。      ————◇—————
  9. 福永健司

    福永健司君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、平川篤雄提出憲法第九条と自衛戦力と再軍備に関する緊急質問をこの際許可せられんことを望みます。
  10. 林讓治

    議長林讓治君) 福永君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 林讓治

    議長林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  憲法第九条と自衛戦力と再軍備に関する緊急質問を許可いたします。平川篤雄君。     〔「総理はどうした」「総理を出せ」と呼ぶ者あり〕
  12. 林讓治

    議長林讓治君) 総理大臣は、ただいま参議院予算委員会に出席をいたしております。     〔平川篤雄登壇
  13. 平川篤雄

    平川篤雄君 去る六日の参議院予算委員会におきましての総理のいわゆる失言問題は、その後の訂正をもつてしても、とうていぬぐうべからざる不安な衝動を国民に与えておるのであります。(拍手)かつては、再軍備をしない、そういう総理のしばしばの言明に拍手を送つておりました国民大衆も、近ごろは疑惑を抱き始めておるからであります。(拍手国民は、政府憲法第九条の解釈を気ずい気ままに曲げていると感じております。平和条約から安保条約、さらに行政協定最後には両国政府間の了解事項、次々にえたいも知れないものになりつつあると思い始めておるのであります。政府の愚かしい詭弁というものは、日々矛盾撞着を露呈し始めております。国民は不安なのであります。まつたくこの事実に対して笑う気持も持てない。私は、この際、いささか疑問の点を明らかにいたしたいと思うのであります。  総理は、戦力という言葉を取消されました。われわれは、現在日本が持つているものは戦力であり、すでに再軍備であると思つておるのであります。そうして、吉田内閣憲法に違反しておると解釈をいたしておるのであります。(拍手)一体、政府考えておる戦力というのは何でありましようか。吉田総理は、予算が二千億くらいでは軍備とは言えないと言い、木村法務総裁は、現在のような兵員量装備では近代戦に応ずることができないから、これまた軍備ではないと言われる。戦力というようなものは、このような相対的な量や質ではかるものではないと思うのであります。そうなれば、日本は永久に軍備というものはあり得ないでありましよう。アメリカソ連と同様な力を備えるまでは、これは再軍備ではない、戦力ではない、そういうことを言い続けられるつもりなのでありましようか。それならば、スイスやインドネシアやフィリピンの持つておりますのは軍備ではないのであましようか。  日本にも、秋には弱小国並み保安隊というものができるそうであります。しかし、フィリピンや中国にも保安隊というものがありますが、これは国連国際兵力の中に、ちやんと軍備として登録済みでございます。いかに小さな保安隊といえども、決してこれは軍備と言えないことはないのであります。もし吉田総理を初めとする閣僚諾公言葉を裏返しにいたしましたら、次のようなことになるのであります。すなわち、しばしば言明てられておるように、条件が整えば、独立国家として当然の再軍備国民の総意に諮つてやると言つておられる。そうすると、あなた方の考えておられる再軍備規模というのは、アメリカソ連に匹敵をして原子爆弾やジェット機を所有するものである。かようなものを構想しておられるのでありましようか。そんなことを正気で考えられておるといたすならば、これはまつたくナンセンスであります。われわれの国民生活を破壊するような軍備は、これは不可能でもあり、また絶対にやつてはならないのであります。効果的で、しかも安上りな方策はないのであろうか。ここで、なしくずし的な、長年月にわたる建設計画というものが必要になるでありましようし、また国連への加入であるとか、あるいは太平洋安全保障機構の中に入るという構想も出て来るのであります。  私どもは、無方針で、二千億というような厖大な予算を、しかも内容が明らかでないままに、やすやすと提案をせられるその態度がだらしないと思うのであります。これは自主性の喪失でございます。独立精神が欠除したものといわなければならぬと思うのであります。(拍手戦力と申しますものは、これは単に兵員量でもなければ装備でもないのであります。これは総合的な力である。これは木村さんのおつしやる通りである。と同時に、現在の予備隊を、やはり機能的に、動的に見ることも、これは必要であろうと思います。  現在の予備隊がどんな訓練を受けておるか、これはここであらためて申しませんが、ともかくも、はつきり外敵を予想したところの大規模野戦訓練をやつておることは事実である。これは警察としての行動を逸脱いたしております。国家の統制に基いた、整然たる組織による殺傷行為訓練をやつておるのである。これは警察ではない。明らかに、まさしくこれは軍隊であります。また予備隊使用目的が、こんな外敵侵略に対応することにありとすれば、これはすでに警察という目的を逸脱しておるのであります。木村法務総裁は、不意に外国から襲われたときには、これはもうだれでも彼でも、石つぶてをもつても戦わなければならぬと言われますが、私は、そういう突然に起つた事態というものと、あらかじめさようなことがあるだろうと思つて絶えず訓練し、配備しておる場合とは、これは違うと思うのであります。それだけのことをするならば、やはりはつきりとした法的な措置をやつた上でおやりにならなければいけないものだと思うのであります。一昨日の新聞でありますか、北海道に、あるいは東北方面隊というものを新設するということがいわれておる。これは事実であるか、お伺いしたいのである。それによりますと、北辺防衛ということが考えられておるということでありますが、この北辺防衛と申しますのは、明らかに外敵を予想したものであるかどうか。この意図をこの際明らかにしていただきたいと思うのであります。(拍手)  さて、もう一つ警察予備隊あるいは将来の保安隊というものが軍ではなかろうかと思われる理由があるのであります。行政協定の第二十四条は、日本区域防衛のために、緊急非常事態に即しては必要な共同措置をとるということをきめております。また吉田さんは、日本自衛能力漸増ということを明らかに約束しておいでになる。こういうことになりますならば、これは駐留米軍と、日本のいわゆる自衛力というものの間には、漸滅し、漸増するという相関函数的の関係があるものと認めざるを得ない。一体、極東の平和、日本の安全の維持に関する一定規模一定計画というものが当然あるべきであつて、その一環として予備隊ないし将来の保安隊というものが考えられておるということは明らかであります。もしも米国の駐留軍が、これが明らかに軍であるならば、その一つの働きを持つておりますわが防衛隊とか保安隊とか称するものは、同じく軍としての性格を持つておるものといわなければならないと思うが、これはどうでしようか。(拍手)  なおこれは本問題からややずれるのでありますが、この際特に重大な問題でありますから明らかにしておきたいのであります。今回の行政協定は、安保条約第三条に基いて、米軍日本区域における配備を規律する条件をとりきめる、ということになつておるのであります。しかるに、この行政協定全文二十九箇条のうちで、前述の第二十四条は、消極的ではございますが、明らかに第一条後段軍隊使用に関するものである。その共同措置は、上述のように重大な影響を持つておるものでありまて、これは少くとも一種の軍事協定的なものであるといわなければならぬと思うのであります。(拍子)このようなものを黙つて約束をしておいでなつたということは、安保条約第三条の趣旨を逸脱するのみでなく、国会政府に対して委任をいたしました限界を越えるものである。(拍手従つて、当然これは国会審議承認を求めらるべきものであると考えるのであるが、この際この点を明らかにしていただきたいのであります。(拍手)  さて本題にもどりまして、われわれの理解に従うと、憲法戦争放棄というものは、これはきわめてきびしいものだと考えるものである。すなわち、侵略戦争あるいは制裁戦争は言うをまたず、自衛のための戦争をも放棄しておることは明らかであります。なるほど国際法上では、芸の国の自衛権を認められておりましよう。また憲法第九条の前段は、必ずしも自衛戦争をも否定しておらないかもしれません。しかし、たといそうであつたにせよ、後段は実質的に自衛権発動手段を否定しておるのである。これは憲法改正当時、総理自衛権の存在というものに対しても否定的な態度をとつておられたし、当時の責任者である金森さんも、自衛権はあるけれども発動手段を否定しておるのであるから、実質的には自衛権がないにもひとしいのであるということを述べておられる。もとより、これは御存じのポリティカル・リォリエンテーション・オブ・シャパンの第三章によれば、いわゆるマッカーサー元帥のノートに基く条文でございますから、かかる解釈になることは明らかであります。  さて、憲法第九条第二項は「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。」といつております。この戦力とは、日本国憲法は疑義を生じた場合には必ず英文によつて調べるということになつておるのであるから、当然ウォー・ポテンシャルという言葉でなければならないのである。そうなると、ォー・ポテンシャルという言葉は、軍需産業から軍事訓練軍事教育というような、実に広汎なものを含んでおることは明らかであります。ポツダム宣言というものは、軍需工業の禁止をもおごそかに規定しておるのでありますから、当時、憲法のできましたときは占領の初期であり、単に産業面だけを取上げてみましても、このウォー・ポテンシャルという言葉は実に厳格なものであるということが言えるのであります。憲法戦力はすべて禁じておるのに、自衛的戦力はさしつかえないと誤解されそうな答弁をしたというので、吉田さんを初め大騒ぎをしていらつしやいますが、しかし現在予備隊がやつておることは、すでにウォー・ポテンシャルの語義以上のものであるということにお気づきになつておらぬのであります。(拍手総理が持つてまわつておちれる戦力という言葉は、憲法にいつておるウォー・ポテンシャルと違うのでありましようか。英語でいつたら、これは何なのであるか。フォースなのか、アームなのか、パワーなのか、少くともウォー・ポテンシャルではありますまい。この点を明らかにしていただきたいのである。  憲法をこのように身がつてに拡張解釈してよろしいものであるか。憲法を私するということは、このような態度をいうのであります。幾多内閣が、憲法に反したということでつぶれておる。現に吉田内閣は、そういう点について深く反省をして、憲法を一字一句たがえないということにこれ努むべきであります。もうこれをもつていたしましても、現在あなた方がやつておることは憲法違反である。これでも、総理が言われるごとく、憲法に対する見解が一貫しておると公言せられるのであるか、明らかにしていただきたいと思うのである。(拍手)  最後に、十月には予備隊等廃止せられて保安隊となつて、新たに省が設けられ、大臣が設けられるそうであります。ところが聞いてみると、この新しいものも、現在の予備隊と何ら性格に違いがないと言つておられる。もし、これが言われるごとく警察法に基くものならば、大橋国務大臣は必要ではない。木村法務総裁のもとに、警察と一緒におやりになつたらよろしい。(拍手海上保安隊がもし同じものであるならば、これも村上運輸大臣管轄下に置かれるべきであります。(拍手)何のために機構を改めて、名称をかえるのであるか。これは今の警察から軍に性格が移行することを暗示しておるものとわれわれは考えざるを得ない。(拍手
  14. 林讓治

    議長林讓治君) 時間が経過いたしましたから、簡単に願います。
  15. 平川篤雄

    平川篤雄君 予備隊令の出現したときは、予備隊警察補助でございました。安保条約審議の際には、政府答弁によると、間接侵略に対抗する任務がこのときに明らかにせられた。ところが、それがだんだん広まつて来て、現在では、間接侵略も直接侵略も全部をやるということが明らかになつたのであります。(拍手)この次は海外へ連れて行かれるのではないかということが、私どもの一番の心配なんである。このような保安隊法なるものが、憲法上の幾多の問題があるとは明らかなのでありますから、憲法改正をまたずして今国会に上程せられる意思を相かわらずお持ちになつておるのかどうか、ここで確かめておきたいのである。(拍手)しかして、独立国として当然の再軍備を、国民の自由なる意思によつて将来行われることを明言しておいでになるのであるが、その再軍備吉田さんがおやりになるときには、戦争放棄ということはどういうふうに変更せられるのか、あるいはやはり自衛戦争のみにとどめられるのか、これをはつきりしていただきたいのであります。(拍手
  16. 林讓治

    議長林讓治君) 重ねて御注意いたします。時間が経過いたしましたから、簡単にお願いいたします。
  17. 平川篤雄

    平川篤雄君(続) 以上、私は野党各派を代表して質問をいたしたのでありますが、要するに、私は、現実に行われつつあることは、もうすでに再軍備である、明らかに憲法に違反しておるものであると結論せざるを得ないのであります。(拍手客観情勢の大波に押し流されて、しかもおぼれながら国民の前に衣紋をつくろうとしておる。そういう醜い態度は、もうおやめになつたらどうかと思うのである。しかも、そうやつて苦しみながら一層深い渕に落ち込んでおられることは、野党のわれわれとしても見るに忍びないのであります。(拍手)真に憲法を重からしむるために、もう少し大局に立つて本筋を立て、憲法をどこまでも守るという線において物事を明らかにせらるるのが私はほんとうであると思うので、ここに質問をいたした次第であります。(拍手)率直に、明らかに御答弁をお願いしたいと存じます。(拍手)     〔国務大臣木村篤太郎登壇
  18. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) お答えいたします。  総理はしばしば、再軍備はしないということを申しておるのであります。再軍備をしないということは、要するに戦力を持たないということであります。そこで、昨日参議院予算総会におきまして、総理はあらためて、たとい自衛のためであつても、戦力を持つことは再軍備であるから、この場合には憲法改正を要する、ということを断言されたのであります。従つて自衛のためでも憲法第九条第二項の戦力を保持することはやらない、こういう趣旨にほかならないのであります。  そこで、戦力とは何ぞやということでありまするが、私がしばしば申し上げました通り戦力とは一つの総合的の力である。戦争を遂行し得るに有効かつ適切な装備編成を持たなければならぬ。これであります。そこで問題は、現在の警察予備隊がはたしてかような戦力に相当すべき編成装備を持つておるかということであります。これは断じて持つていないのであります。しかして、この警察予備隊というものは、いわゆる警察補助であります。あるいは外国の干渉、あるいは教唆によつて内地に動乱が起つた場合を予想いたしまして、これに対抗すべき一つ機構として警察予備隊を設けたのであります。従つて、これの有する装備編成その他は、決して軍力あるいは戦力というような程度に至らないものであります。この警察予備隊は、どこまでも内地治安確保のために設けられたものでありまして、外国との戦争のために設けたものでないということは明瞭であるのであります。(拍手)しかして、一たび外国から侵略を受けた場合にはどうするかと申しますると、これは個人が正当防衛権を有するがごとく、国家もまた正当防衛権を有するのであります。その場合には、国民はおそらくこの正当防衛権を行使するでありましよう。警察予備隊もあるいはこれに参加するでありましようが、その目的自体は、決して外国戦争するために設けられたものでなく、ただ内地治安確保のために設けたものでありますから、これは決して憲法第九条第二項の戦力に該当しないということを断言し得るのであります。(拍手)     〔国務大臣大橋武夫登壇
  19. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 警察予備隊は、わが国の平和と秩序を維持することを唯一の使命といたすものでございまして警察力の補完を目的といたしております。非常事態におきまする警察予備隊の活動といえども、またわが国の平和と秩序、すなわち国内治安確保のために適切なる任務を担当するだけでございます。従いまして、予備隊は、断じて戦力、すなわちウォー・ポテンシャルではない、こういうふうに考えでおります。  なお防衛力漸増ということについて計画を示せということでございましたが、政府といたしましては、内外の情勢にかんがみまして、さとあたり警察予備隊及び海上保安庁の増強計画をいたしております。これに要する経費につきましては、二十七年度予算案として計上いたしまして本院の議決を得た通りでございます。明後年度以降においても、国情がこれを許しますならばなお増強をはかりたいと存じまするが、その具体的計画至つては、まだ申し上げる段階に至つておりません。  それから憲法第九条に関しまして、将来改正することがあるかどうか、その場合にはどういう改正をするかという御質問でございましたが、政府といたしましては、現在すぐに改正をしようという考えはございません。  なお予備隊令につきましては、予備隊令改正法案はぜひとも今国会提出いたしたいと存じております。(拍手)      ————◇—————
  20. 林讓治

    議長林讓治君) 建設大臣から、北海道地方地震による災害に関し発言を求められております。この際これを許します。建設大臣野田卯一君。     〔国務大臣野田卯一登壇
  21. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) 今回の十勝沖震災につきまして、私は、五日に総理大臣の特命によりまして現地に向い、六日、七日、八日と三日間罹災地域を視察し、またいろいろな打合せをいたしまして、九日に帰京いたしました。これより今回の地震概要対策等について申し上げたいと思います。  今回の地震は、御承知のように三月四日の午前十時二十三分過ぎに発生いたしまして、北海道一帯及び東北地方襲つたのであります。その強度におきましては、かつてわれわれが経験いたしました福井の震災の二倍、南海震災とほぼ匹敵するものでありまして、このために特に影響を受けました地域は、北海道釧路十勝日高の三地区であります。この地震に伴いまして、津波または高潮が来襲いたしまして、中には高さ三メートルに及ぶ津波もありまして、甚大なる被害を受けたのであります。特に今回の津波に特異な現象といたしましては、釧路地区におきましては、流氷津波とともに押し寄せて参りました。私は現地行つてそれを見たのでありますが、流氷の大きいものは高さが六尺ぐらいありまして、あるいは八畳敷き、あるいは六畳敷き、あるいは畳一畳といういろいろの形がありますが、非常に大きな流氷が流れて参りまして、これが津波とともに民家をさらうというような特異な現象を生じまして、災害をさらにひどからしめたのであります。  次に、被害概要を申し上げます。被害地域が広汎にわたり、交通通信が杜絶しており、かつまた冬季のことでありまして、北海道は全道雪におおわれております。従いまして、農地等に及ばしたところの影響につきましては、まだ的確にこれをつかむことができません。しかしながら、三月八日現在におきまして北海道庁が集め得ました資料について御報告をいたします。  まず人的被害でありますが、死者は二十六名、行方不明二名であります。重傷者百十一人、軽傷者四百十二人を算しております。  物的被害につきましては、住宅及び各種の公共施設の破壊、交通通信被害農林水産業鉱工業等、各般に及んでおりますが、そのおもなるものを申し上げますと、住宅につきましては、全壊並びに流失したもの千三百三十七戸、半壊五千三百四十七戸、中壊、小壊一万五千戸、合計二方一千六百八十四戸でありまして、その被害金額は三十五億五千六百万円と見られております。なお住宅に関連いたしまして、家財道具等損害が九億五千万円程度と見積られております。学校施設に関連いたしましては、小学校五十三、中学校十九、高等学校十五、合計八十七校が被害を受けておりまして、建物の被害面積は二万三千三百八十坪に上り、損害金額は六億二千万円と見積られております。病院、保健所その他の公共施設につきましても被害がありまして、その金額は三億八千六百万円と見られております。  水産関係につきましては、津波高潮によるものが大部分でありまして漁船一千十六隻がその被害を受け、その他漁具、漁業施設等、総体におきまして損害額は九億八千百万円に上つております。農業関係におきましては、耕地関係におきまして十億五千六百万円、農作物及び農業資材におきまして六千六百万円、畜産関係におきまして七千九百万円、開拓関係におきまして二億八千三百万円その他で、合計十五億六千二百万円の損害を受けております。林業関係におきましては二億六千二百万円の損害を受け、商工業及び鉱業、この関係におきましては、損害が七億三千九百万円に上つております。公共土木関係におきましては、道路の損壊が十億二千三百万円、橋梁が三億四千七百万円、港湾並びに漁港が五億一千九百万円、上水道二億三千二百五円その他がありまして、合計いたしまして公共土木関係は二十五億六千万円の損害を受けております。  次に鉄道につきましては、東北海道一帯被害があるのでありますが、根室本線、日高線の被害が特に多く、橋梁の破壊したもの、路盤の陷没したもの等随所に起りまして、輸送機能は一時停止するのやむなきに至りました。列車事故は五つありましたが、乗客に被害がなかつたのが不幸中の仕合せであります。被害の総額は七億円と見積られております。通信施設につきましては、比較的損害が軽微でありまして、五千万円程度と見られております。  そのほか、先ほども申しましたように、現在の北海道は雪におおわれておりますので、農地の災害等よくわかりません。こういう、いわゆる未報のものを約三十億円と見積りますと、被害の総額は合計百五十四億七千四百万円に上つておる次第であります。  なおこの被害につきまして特に申し上げたいことは、火災がなかつたということであります。ただいま北海道では、各家々にみなストーブを盛んにたいております。一番たくさん火を使うときでありますが、それにもかかわらず火災がなく、私が訪れました釧路の町におきましては、人口十万を算する都市でありまして、この地震とともに九箇所に火災が発生したのでありますが、消防団はよくこれを消しとめましてわずかに二戸燃えただけ、こういう成績であります。全道にわたりまして火災がほとんどなかつたということが、今回の被害を僅少ならしめておる一つの大きな原因だと認めます。  次に、今回の震災に対してとられました応急措置について申し上げます。現地におきましては、道庁が中心となりまして、罹災地の支庁長を駆使し、罹災地の市町村長と連絡をとり、また関係の各機関と協力いたしまして、迅速果敢に方策を進めております。あるいは無線電話を極度に活用して各地との連絡を緊密にし、また震災対策本部を急速に設置し、調査班を各地に派遣する。また、ただちに災害救助法を発動いたしまして必要なる措置をとつておるのであります。  食糧につきましては、大体におきまして、現地政府米あるいは乾パン等がありますから、それをまわしまして、配給に事なきを得ておる次第であります。  衣料につきましては、災害備蓄用の毛布、あるいは進駐軍から提供されましたもの、あるいは厚生省から急送いたしましたもの、あるいは現地において入手されましたもの等を活用いたしまして、至急にこれを配つておる実情であります。なおそのほかに、六千点に上るララの救援物資も罹災民を大いに助けておる次第であります。  医療につきましては最も重点を置きまして、地震の起りました四日の即日、北海道大学、日赤、一般病院の医師を現地に派遣いたしまして、ただちに医療に従事させておるのであります。薬品につきましては、現地にあるものを使い、また進駐軍から提供されたものを使いまして間に合せておる実情であります。  次に飲料水でありますが、この罹災地域におきましての水道は、ほとんど全部破壊をいたしております。従つて、市民あるいは町民は、ただちに飲料水に困るのであります。これにつきましては、井戸水を使い、あるいは水道に対しまして応急措置をとりまして、ようやく間に合せておるのでありますが、非常に水が悪いので、さらし粉をもつて津水装置を施しておるというような措置を講じておるのであります。家を失いました罹災民につきましては、ただちにこれを、あるいは寺院、あるいは学校等に収容いたしまして、必要な手当をいたしておるのであります。  飛行機につきましては、今回非常に活用されまして、飛行機の上から救援物資を投下する、あるいは人心安定のために各種の通信あるいはその他宣伝のビラをまくというように、飛行機がたいへんに活用されまして復旧に大いなる貢献をいたしております。  交通通信、すなわち鉄道につきましては、国鉄当局が昼夜兼行の努力をされまして、十勝釧路との間の鉄道四十キロは、いわゆるずたずたのやられておつたのでありますが、不眠不休の努力によりまして、十一日には開通をしておると思います。通信につきましては、六日と七日の両日にわたつて北海道の通信が復旧を見ておる次第であります。  次に治安並びに人心の動向でありますが、治安は完全に維持をされております。これにつきましては、無線電信電話の利用、あるいは飛行機の利用というようなもの、あるいはまた救援復旧等の措置が、きわめて手ぎわよく、順調になされておるというようなことが、あずかつて力があると思います。また国家警察、自治体警察、消防団等が、きわめて緊密なる連絡をとりまして、有効果敢なる活動をいたしておるのも、その大きな原因であると思います。中央から、われわれが、災害の翌日に現地に飛行機で飛んで参りましたことも、現地の人々にとりましてはたいへん喜ばれたことでありまして、私は自分のことを申し上げて恐縮でありますが、釧路の東方の霧多布という漁村が一番ひどくやられております。そこに参りましたときは、村民の各位が出迎えてくださつたのでありますが、そのうちの年をとつた人々が、手を合せてわれわれを拝まれたときには、私はまつたく感きわまりました。(拍手)  今後の対策といたしましては、緊急住宅の建設が最も急がれておるのであります。住宅を失つた方が千戸以上に上つておると思いますが、この方々に対しまして、まだ北海道は寒くありますので、従いまして、バラックでもいいから、できるだけ建ててあげるということが、まつ先になさるべきことであるのでありまして、道知事も、十日に開かれました道議会におきまして、この問題を一番早く取上げて措置をすると申しておりましたから、おそらく決定を見たことと思います。  土木災害、すなわち道路の整理、あるいは橋梁の復旧、あるいは先ほど申しました上水道の修理、あるいはまた学校がたくさんやられまして、休校のやむなきに至つておるのがたくさんあり、また病院もかなりいたんでおります。こういうものに対しましても、すみやかなる措置がとられなければなりません。もうすでに現地におきましては、いろいろな資材を集めまして、日夜兼行でこの方に努力をいたしておる実情であります。なお今後の問題といたしましては、罹災民に対しまして生業資金を融通する問題、あるいは漁船、漁具その他の漁業施設を奪われておる漁民に対しまして、すみやかにこれらの生産手段あるいは生活の手段を与えるという問題、その他幾多の問題があるのでありますが、北海道庁におきましては、道会を開いて、いろいろな方策を立て、こぐ近日中に上京して、われわれと打合せられるはずになつておるのであります。政府におきましては、現地に派遣した者が大体帰つて参りましたので、本日の閣議におきまして、北海道開発庁を中心とし、各省が協力いたしまして、災害復旧の措置を推進するために特に協議会を設置することにいたしました。われわれは、この協議会を中心にいたしまして、大いに復旧対策を促進したいと考えておる次第であります。  次に、私は今回の災害についての感じを申し上げますと、地震程度が、先ほど申しましたように、あるいは南海地震に匹敵し、あるいは福井震災の倍であつたという程度の大地震であつたにかかわらず、被害におきましては、これらの地震よりもはるかに少く済んだというのでありますが、その原因は、地震の起りましたのが午前十時二十三分という、ちようど昼の、各人が働いておる最中であつた。また当日は天気がよく、また今回大きな被害を受けた土地が、いずれも雪はありましても、比較的雪の浅い地帯であつた。その上なお幸であつたことは、ちようど潮の引いておる干潮時に遭遇したことであります。もしこれが満潮時でありましたならば、私は海岸地帯の災害はずつと大きくなつたであろうと思いますが、幸い干潮時でありました。こういうような自然的条件のほかに、私は、人的条件といたしまして、道庁であるとか、あるいは支庁、あるいは市町村、その地警察、こういうような方々がきわめて緊密に提携して、果敢なる措置をうまくとられたということに大きな原因があり、また道民諸君の心がけがきわめてよく、ストーブを消す、あるいはストーブを持ち出す、それがために負傷をした人も相当あるのでありますが、このストーブの処理等につきまして全力をあげた、その他の点につきまして、あるいは津波の襲来に対して警告を発し、それに従つて粛々として行動されたというようなことが、物的、人的被害を最小限度に食いとめた原因であろうと思うのであります。人心は、先ほど申しましたように、今安定をいたしております。しかしながら、その安定のうちには、当然当局が有効適切なる措置をすみやかにとつてくれるであろうという期待に相当の根拠を持つておると思うのであります。(拍手)従いまして、われわれは、できるかぎりの力をもちましてこの救済策、復興策、復旧策を打立てて推進したいということを痛切に感ずるのであります。  最後に私が一言つけ加えたいことは、進駐軍の今回の震災に対するきわめて親切な御協力であります。私が千歳飛行場に参ります往復は、リッジウエイ大将から特に貸していただきました飛行機に乗りましたが、また現地におきましては、知事その他の者が、交通が杜絶をして、道がいたんでおるので、被害地に近寄れませ。従つて、飛行機をもつていろいろな連絡をとる、あるいは視察をするわけでありますが、それに対しまして、心持よくあらゆる航空機の便宜を提供され、あるいはまた物資を投下するにも飛行機を使う、あるいはビラをまくにも飛行機を使うというわけで、何でも使つてくれということで、全部の飛行機を提供されるという親切ぶりであり、物資の面におきましては、毛布その他の衣料、あるいはカン詰その他の食料、あるいはその他医薬品というものを幾らでも上げるからというように開放されまして、急速なる救援に大いに役立つた次第であります。またリッジウェイ大将の代理官が現地を訪れまして慰問激励されるということもあり、特に私が感激いたしましたのは、北海道を管轄しております騎兵第一師団長がみずから音頭をとりまして、進駐軍の部内におきまして、今回の震災に対する義捐金の募集運動を始められておることであります。私は、この好意に対しまして非常に感激をいたしました。われわれとしては、一日も早く復旧復興をなし遂げまして、この好意に報いたいと存ずる次第であります。(拍手)なお一言、北海道以外の地域東北についても申し上げますが、東北震災が多少でもありましたのは、岩手県、宮城県、福島県であります。しかしながら、宮城県、福島県の災害はきわめて軽微であつて、申し上げるほどではありません。ただ岩手県につきましては、地震もある程度ありまして、特に宮古が被害を受けたようであります。相当の高潮を見たのであります。その金額は、道路、海岸関係におきまして千八百八十万円、農林省の漁港関係におきまして一億円、運輸省の港湾関係におきまして二億円、田畑その他におきまして三千九百万円、合計三億五千万円程度に上つております。  以上をもつて私の報告を終わります。(拍手)      ————◇—————
  22. 林讓治

    議長林讓治君) 日程第一につきお諮りいたします。内閣から、本院議員根本龍太郎君に経済安定本部顧問を命ずるにつき議決を得たいとの申出がありました。右の申出の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  23. 林讓治

    議長林讓治君) 起立多数。よつてその通り決しました。      ————◇—————
  24. 林讓治

    議長林讓治君) 日程第二、放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会承認を求めるの件を議題といたします。委員長の報告を求めます。電気通信委員会理事高塩三郎君。     〔高塩三郎君の登壇
  25. 高塩三郎

    ○高塩三郎君 ただいま議題と相なりました、放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会承認を求めるの件に関し、電気通信委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  御承知の通り放送法第三十七条の規定によりますると、日本放送協会の毎事業年度の収支予算、事業計画及び資金計画は、同協会がこれを作成して電波監理委員会に提出し、電波監理委員会はこれを検討して意見を付し内閣を経て国会提出し、その承認を受けなければならないことと相なつておるのでありまして、すなわち本議案は、この規定に基き、昭和二十七年度における日本放送協会の収支予算、事業計画及び資金計画につき国会承認を求めるため、去る二月十四日内閣より提出されたものであります。  次に、議案の内容につきその大綱を御説明申し上げます。  本議案は、ただいま申し述べました通り、本年度における日本放送協会の収支予算、事業計画及び資金計画の三つからなつておりまするが、そのうち収支予算は、協会が受信契約者から徴収する受信料の額、予算計理の基本準則等を定める予算総則と、収入支出の科目別区分及び予算額を定める収支予算書とにわかれておるのであります。  予算書につきまして、その大略を数字について申し上げますると、昭和二十七年度予算総額は、収入支出おのおの七十三億九千六十八万四千円でありまして、これを前年度の予算と対比すれば、収入支出それぞれ十億一千六百二十一万四千円を増加しております。吸入のうち、資本収入は十二億二百万円でありまして、このうちには放送債券発行額六億円、長期借入金二億六千七百万円、減価償却引当金二億八千四百万円等が含まれております。事業収入は六十一億八千八百六十八万四千円、その大部分が受信料収入でありまして、年度初頭の有料契約者数を九百五十万、年度内純増加数四十五万、受信料月額五十円を基礎といたしまして算定いたしております。なお事業収入には、前年度予算には計上されなかつた交付金収入及び役務収入として合計二億八千七十五万三千円を新たに加えております。支出のうち、資本支出は十四億四百四十万円でありまするが、そのおもなるものは、放送設備の拡充整備等に充てる建設費の九億九千六百万円であり、その他は放送債券償還積立金及び諸返還金であります。事業支出は五十九億三千六百二十八万四千円でありまして、前年度予算に比べて九億四百五十一万四千円の増加となつております。この増額の理由といたしましては、通信、電気料金の値上げを初め、諸物価の高騰に基くもの並びに前に申し述べました交付金収入及び役務収入と関連いたしましする国際放送、選挙放送及び進駐軍需要の役務に関するもののほか、国内放送の番組の刷新充実、受信契約者の維持増加、放送文化、放送技術の研究等のために要する経費の増加が見込まれておりますが、なおそのほかに業務量の増加に伴う最小限度の増員と、生計費の増高に対応する給与ベースの改訂とを行うための経費の増三億三千三十三万円及び職員の厚生保険費の増七百二十八万円をも含んでおるのであります。事業支出として予見しがたい予算の不足に充てるための予備金は五千万円でありまして、前年度計上額まり一億円を減じております。  収支予算に関連して、受信料について一言いたしたいと存じます。日本放送協会が受信契約者から徴収する受信料は、放送法第三十七条第四項の規定によりまして、国会が収支予算承認することによつてこれを定めるべきものでありまするが、昭和二十七年度における受信料額は、予算総則第二条により、本年度におけると同様、月額五十円となつておりまして、すなわち本収支予算承認は、同時に来年度の受信料の額を決定することに相なる次第であります。  次に事業計画は、計画概説、建設計画、事業運営計画、受信契約者数の四項目にわかれておりまするが、講和後の日本の立場と国際的諸情勢とを正しく把握して、公共放送としての使命達成をはかることを基調といたし、放送、施設、普及、研究、管理各部面の運営計画を定めておるのであります。特に放送番組に関しましては、国際知識の普及徹底並びに青少年教育放送、報道放送及び健全明朗な娯楽放送の充実に重点を置き、第一、第二放送及びローカル放送それぞれの特性を最高度に発揮するよう、教養、文芸、報道各部門の企画編成を行わんとするものであります。なお国際放送に関しましては、わが国情及び固有文化の紹介に重点を置いてその番組を企画編成し、これに要する経費は大半を政府交付金に仰ぎ、その他は協会の負担とするものでああます。  次に資金計画でありまするが、これは収支予算及び事業計画に照応する資金の出入に関する計画であります。  以上をもつて本議案の内容の説明を終つたのでありますが、電波監理委員会におきましては、本収支予算、事業計画及び資金計画は、日本放送協会の業務運営を指導統制する経営委員会が、公衆の要望と社会の諸情勢を慎重に考慮し、公共の福祉のために経営の適実をはかつて決定したものと認め、放送法趣旨、協会の財政状況等から検討して、これを妥当なものであると判定する旨の意見をつけておるのであります。  電気通信委員会においては、去る二月十四日、本案の付託を受け、同月の十九日、二十八日及び三月の一日、四日、五日の五回にわたり、長時間に及ぶ会議を開き、政府側より提案理由及び議案内容の説明を受け、質疑を行いましたほか、特に参考人として日本放送協会の会長及び理事の出席を求め、協会の事業経営状況に関する説明をも聴取して、慎重審議を重ねたのであります。  質疑の内容といたしましては、日本放送協会の経営の基本方針より番組の適否に至るまで、ほとんど事業の全面に及び、民間放送に対する公共放送のあり方、国際放送の性格とその責任の所在、テレビジョン対策、番組充実の方策、予算の科目間流用、収支の見積り、建設計画の実施状況、給与引上げ及び定員増加と職員の労務状況、選挙放送、役務提供等の経費負担問題、ラジオ共同聴取の受信料問題等、きわめて多岐にわたつたのでありまするが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。  かくして、委員会は三月四日質疑を打切り、二月五日討論に入つたのでありまするが、討論に際し、自由党を代表して不省高塩は、本議案はその内容おおむね妥当と認め、現在平和条約発効を目前に控える重大時期において、協会がわが国公共放送の使命達成に格段の努力をいたすべきことを要望して、本議案の承認に賛成の意を表したのであります。改進党を代表して長谷川四郎君は、公共放送の全国普及に向つて電波監理委員会及び日本放送協会が一層の努力を傾倒すべきことを希望して、同じく賛成の意見を述べられ、日本社会党を代表して石川金次郎君は、協会の事業運営上、さらに一段と公共性の発揮に努めること、国際放送及び選挙放送の経費は将来全額を国の負担とすること、役務提供関係の契約につき一切の経費を需要者負担とすることに努めること、ラジオ共同聴取者の受信料は協会と有線放送施設者との中断契約によるものとし、聴取者よりの個別徴収を廃すること及び協会の給与水準を類似産業の給与と均衡を得しむるよう考慮することの希望意見を付して、同じく賛成の意見を述べられ、次に日本共産党を代表して田島ひで君は、受信料を撤廃して公共放送経費の全額を国庫負担とすべきことを主張し、職員給与及び番組の編成に関する措置に不満の意を表して、本案に反対の意見を述べられたのであります。  次いで採決の結果、日本共産党所属委員を除く全出席委員の賛成により、多数をもつて本議案はこれに承認を与うべきものと議決した次第であります。  以上をもつて報告といたします。(拍手
  26. 林讓治

    議長林讓治君) 採決いたします。本件は委員報告通り承認するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  27. 林讓治

    議長林讓治君) 起立多数。よつて本件は委員報告通り承認するに決しました。(拍手)      ————◇—————
  28. 林讓治

    議長林讓治君) 日程第三、ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く労働省関係命令廃止に関する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。労働委員長島由来信君。     〔島田末信君登壇
  29. 島田末信

    ○島田末信君 ただいま議題となりました、ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く労働省関係命令廃止に関する法律案の、労働委員会における審査の経過及び結果を報告いたします。  ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基いて制定された労働省関係命令といたしましては、労務充足に関する件、労務者の就職及び従業に関する件及び労働に関する団体の主要役職員への就職禁止等に関する件の三つがあるのでございますが、労務充足に関する件につきましては、これは連合軍最高司令部によつて指示される労務を、指示された期日及び場所において提供するために制定されたものでありますので、平和条約の効力発生とともに消滅すべきものでございます。  次に労務者の就職及び従業に関する件でありますが、これは労務者に対して、賃金、労働時間その他の労働条件について、国籍、宗教、社会的地位によつて差別することがないよう措置するために制定されたものであります。しかしながら、現在では労働基準法第三条に、この省令に規定されてある事項と同一の内容が規定されておりますので、この省令を存続せしめる必要はないのであります。  第三の、労働に関する団体の主要役職員への就職禁止等に関する件につきましては、その内容は、戦時中において大日本産業報国会、大日本労務報国会日本海運報国会及び協調会における主要役職員の職にあつた者が労働に関する団体に就職することを禁止したものであります。しかしながら、今日におきましては、この省令制定の趣旨はすでに達成されたと認められ、またわが国労働運動の現状から見まして、これらの戦時中の労働団体の指導者が、自由にして民主的な労働団体の発展を再び阻害するとは考えられないから、この省令は存続せしめる必要はないと認められるのであります。  委員会におきましては、二月一日政府より提案理由の説明を聴取し、後数回にわたつて審査を重ね、三月五日討論も行いましたところ、日本共産党、日本社会党第二十三控室及び労働者農民党は原案に対し反対の意見を述べましたが、採決の結果、多数をもつて本案は原案の通り可決すべきものであると決した次第でざいます。(拍手
  30. 林讓治

    議長林讓治君) 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。   「賛成者起立〕
  31. 林讓治

    議長林讓治君) 起立多数。よつて本案は委員会長報告通り可決いたしました。      ————◇—————
  32. 林讓治

    議長林讓治君) 日程第四、一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。人事委員長田中不破三君。     〔田中不破三君登壇
  33. 田中不破三

    ○田中不破三君 ただいま議題となりました一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、人事委員会における審査の経過並びに結果の概要を御報告申し上げます。  御承知のごとく、政府職員の現行の勤務地手当支給地域区分は、昨年五月十七日付の人事院の意見に基き、同年十月から改訂実施せられて今日に及んでいるのでありますが、その後における物価並びに生計費等の地域差にかんがみ、政府は本年二月十二日付人事院の国会及び内閣に対する意見を尊重し、現行の勤務地手当支給地域区分をさらに改訂いたそうというのが、本法案の提案理由であります。  次にその要旨を申し上げますと、本法案により改訂せられる支給地域区分は、いずれも現在の支給割合を引下げないものとし、その内訳は、市町村数にいたしまして、非支給地から一級地に引上げられるもの二百十、一級地から二級地に引上げられるもの百三、二級地から三級地に引上げられるもの十八、三級地から四級地に引上げられるもの三十、四級地から五級地に引上げられるもの三、合計三百六十四市町村でありまして、これに伴う所要経費の年間増加額は、一般、特別両会計を合せて約七億円であります。  本法案は、去る二月二十七日国会提出、即日、本委員会に付託と相成り、翌二十八日政府より提案理由の説明を聞き、爾来今日に至るまで数回にわたり慎重に審議を重ねて参つたのであります。  ここに質疑のおもなる点について申し上げますと、まず第一点としては、地域給に関する根本的な問題として、現行の勤務地手当制度は、終戦直後、公務員の実質賃金を均等化する意味においてその長所を発揮したけれども、最近においては、各地の生計費の地域差は漸次縮小されつつあり、しかるになお現行のごとく五段階の差等を付することは、公務員間に絶えず不満の念を惹起せしめ、人事交流の適正化をはばむ原因ともなり、ひいては公務員の能率的運営に支障を来すことともなる、かかる意味で、抜本的な問題の解決について真剣な考慮を願いたい、との質問がありました。これに対し、政府からは、将来給与ベース改訂に際して抜本的な考慮を払いたいと目下研究を継続中であるとの答弁がありました。第二点としては、政府職員地域給に関連して、国鉄並びに専売公社職員地域給についてはどのように考えているかとの質問がありました。これに対し、政府からは、政府職員給与政府機関及び民間給与等の標準ともなるので、その間の調整については御趣旨に沿うよう十分努力したいとの答弁がありました。  次いで、政府職員地域給改訂は当然地方公共団体にも影響を及ぼすことと思われるが、これが財源措置について政府はいかなる考慮を払うかとの質問に対しては、今回の地域区分改訂に伴う地方公務員の地域給所要増加額は約七億円であるが、明二十七年度平衡交付金で十分まかない得ると思う、政府としては財源の点で地方公務員の地域給を制限するというようなことはないと考えるとの答弁がありました。  その他詳細につきましては、速記録によつて御了承をいただきたいと存じます。  かくて、三月七日質疑の終了とともに、討論を省略し、政府原案を議題して採決に入りましたところ、全会一致をもつて本法案は原案の通り可決すべきものと決定いたしました。  以上をもちまして、当委員会における審査の経過ならびに結果の御報告といたします。(拍手
  34. 林讓治

    議長林讓治君) 採決いたします。本案は委員報告通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 林讓治

    議長林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員報告通り可決いたしました。      ————◇—————
  36. 林讓治

    議長林讓治君) 日程第五、国民貯蓄組合法の一部を改正する法律案日程第六、公庫予算及び決算に関する法律の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。大蔵委員長佐藤重遠君。     〔佐藤重遠君登壇
  37. 佐藤重遠

    ○佐藤重遠君 ただいま議題となりました国民貯蓄組合法の一部を改正する法律案及び公庫予算及び決算に関する法律の一部を改正する法律案の二案につきまして、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を簡単に御報告申し上げます。  まず国民貯蓄組合法の一部を改正する法律案について申し上げます。  この法律案は、最近における経済情勢にかんがみまして、資本の蓄積に資するために、国民貯蓄組合のあつせんする少額の貯蓄について優遇の措置を講じようとするものであります。すなわち、国民貯蓄組合のあつせんする貯蓄の利子等に対しましては、現行法いおいては、元本三万円までは所得税をかけないことになつておりますが、これを元本十万円までを非課税とする、すなわち税をかけないことに改めようとするものであります。次に、この非課税の限度を引上げたことと関連いたしまして、二つ以上の国民貯蓄組合に加入することを制限する規定を設け、現に二つ以上の組合に加入しております組合員の貯蓄については、これを一つの組合に預けかえを行わせる等の措置を講じているのであります。  以上がこの法律案改正趣旨でありますが、本案は、去る二月二十二日、本委員会に付託せちれ、翌二十三日、政府当局より提案理由の説明を聴取し、三月五日質疑を終了して、同八日討論に入りましたところ、高田富之委員は共産党を代表して、本案に反対の旨を述べられました。次いで採決いたしましたところ、起立多数をもつて本案は原案の通り可決いたした次第でございます。  次に、公庫予算及び決算に関する法律の一部を改正する法律案について申上げます。  国民金融公庫及び住宅金融公庫予算につきましては、現在の規定によりますと、固定資産の取得に要する経費はその収入支出予算に計上することになつております。しかしながら、公庫の収入支出予算にはその業務上の損益に関する収支のみを計上するのが適当であると考えられまするので、昭和二十七年度予算から以後は、固定資産の取得費を収入支出予算に計上することなく、固定資産の取得のために支払い得る経費の限度額を予算総則に規定して国会議決を受けることに改正いたそうとするのが、本案提案の趣旨であります。  本案につきましては、二月二十五日、政府当局より提案理由の説明を聴取し、慎重審議の結果、去る八日質疑を打切り、討論省略の上、ただちに採決に入りましたところ、起立多数をもつて本案は原案の通り可決した次第でございます。  以上御報告申し上げます。(拍手
  38. 林讓治

    議長林讓治君) 両案を一括して採決いたします。両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長の報告通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  39. 林讓治

    議長林讓治君) 起立多数。よつて両案とも委員報告通り可決いたしました。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時十八分散会