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1952-02-28 第13回国会 衆議院 本会議 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年二月二十八日(木曜日)  議事日程 第十五号     午後一時開議  第一 漁港法第十七条第二項の規定により、漁港整備計画の一部改正について承認を求めるの件  第二 ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く全国選挙管理委員会関係命令廃止に関する法律案内閣提出)  第三 ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く警察関係命令措置に関する法律案内閣提出)  第四 日本放送協会昭和二十五年度財産目録貸借対照表及び損益計算書  第五 ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く賠償庁関係命令措置に関する法律案内閣提出)  第六 千九百十二年一月二十三日にへーグで、千九百二十五年二月十一日、千九百二十五年二月十九日及び千九百三十一年七月十三日にジュネーヴで、千九百三十一年十一月二十七日にバンコックで並びに千九百三十六年六月二十六日にジュネーヴで締結された麻薬に関する協定条約及び議定書改正する議定書並び附属書への加入について承認を求めるの件  第七 郵便貯金法の一部を改正する法律案内閣提出)  第八 ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く文部省関係命令措置に関する法律案内閣提出)     ————————————— ●本日の会議に付した事件  議員木村左衞門君の逝去につき院議をもつて弔詞を贈呈し、その弔詞議長に一任するの動議益谷秀次提出)  岡崎国務大臣日米安全保障条約第三条の規定に基く行政協定に関する演説  日程第一 漁港法第十七条第二項の規定により、漁港整備計画の一部改正について承認を求めるの件  日程第二 ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く全国選挙管理委員会関係命令廃止に関する法律案内閣提出)  日程第三 ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く警察関係命令措置に関する法律案内閣提出)  日程第四 日本放送協会昭和二十五年度財産目録貸借対照表及び損益計算書  日程第五 ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く賠償庁関係命令措置に関する法律案内閣提出)  日程第六 千九百十二年一月二十三日にへーグで、千九百二十五年二月十一日、千九百二十五年二月十九日及び千九百三十一年七月十三日にジュネーヴで、千九百三十一年十一月二十七日にバンコックで並びに千九百三十六年六月二十六日にジュネーヴで締結された麻薬に関する協定条約及び議定書改正する議定書並び附属書への加入について承認を求めるの件  日程第七 郵便貯金法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第八 ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く文部省関係命令措置に関する法律案内閣提出)  ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く経済安定本部関係命令措置に関する法律案内閣提出)     午後一時四十七分開議
  2. 林讓治

    議長林讓治君) これより会議を開きます。      ————◇—————
  3. 林讓治

    議長林讓治君) 御報告いたすことがあります。議員木村左衞門君は、本日逝去せられました。まことに痛惜哀悼の至りにたえません。  この際弔意を表するため、益谷秀次君から発言を求められております。これを許します。益谷秀次君。     〔益谷秀次登壇
  4. 益谷秀次

    益谷秀次君 ただいま議長から御報告に相なりました故衆議院議員木村左衞門君に対し、院議をもつて弔詞を贈呈し、もの弔詞はこれを議長に一任するの動議提出いたします。  今にわかに尊敬すべき先輩の訃報に接し、心から痛恨にたえないのであります。この際私は、諸君の御同意を得て、議員一同を代表いたし、つつしんで哀悼の辞を述べたいと存じます。(拍手)  木村君は、島根県大原大東町の御出身であります。父祖の名跡を継いで、幾多公共の要職につき、あるいは実業界の要路に立ち、若冠二十五歳にして大東会議員となり、二十七歳にして大原会議員に選ばれ、その議長に推されるなど、青年時代より政治生活に身を投じ、その前途を嘱望されておつたのであります。  大正十三年五月の総選挙には、憲政会公認候補として、初陣にして首位の得点を占め、みごとに本院議員に当選せられました。時に、同郷の先輩若槻禮次郎氏は、憲政会の領袖として、つとに中央政界に名声をはせられておりましたが、翌六月、若槻氏の入閣にあたり、君は選ばれてその秘書官となられたのであります。爾後、改選ごとに、常に高点をもつて当選せられました。当時、わが政党政治はその発展途上にあり、この間における君の体験はまことに貴重なるものと申すべく、その多年の政治的試練は察するに余りあり、君の今日ある、まことにゆえなきにあらずと存ずるのであります。(拍手)  昭和十五年、請われて郷里大東町の町長に就任、地方自治の発達と民利民福の向上に献身せられましたが、戦後再び新たなる抱負と希望をもつて本院に議席を占め、日夜精励して、新日本の理想を達成するために献身せられました。引続き国務大臣に列して農林大臣内務大臣または建設院総裁地方自治庁長官重任を担当し、戦後日本再建に幾多の業績を残されたことは、御承知の通りであります。  君は、資性温厚篤実、温情に富む人となりと、豊富なる経験、卓抜なる識見は、つとに上下の信任するところであつて、戦後の民主党には最高顧問、現改進党に顧問として、もつばらその権威を重んぜられておりました。君は、多年の政治生活を通じて、常にわが民主政治確立を念とし、戦後の機運に乗じて、ますますわが民主政治の将来に多大の希望をもつて、終始建設的努力を続けられたのであります。再建途上に残されました君の偉大な足跡はまことに永劫不滅と申すべく、その着実真摯なる民主政治確立への至誠と熱情は、後進のもつてことごとく範とするところであります。(拍手)当選八回、在職実に十八年有余に及ぶ君の偉大なる功績をしのんで、まことに無量の感慨に打たれるのであります。  思うに、君が積年の政治的経歴と信望は、今にして再びその光輝を新たにし、独立後の日本に幾多寄与するところあるべきを期待していたのでありますが、病魔の冒すところ、君は遂にゆいて再び帰らず、われわれは国家の一大損失一大不幸として、君の長逝を心から惜しむのであります。(拍手)  ここに君が偉霊を送るにあたり、つつつしんで哀悼の辞を述べ、衷心の弔意を表する次第であります。(拍手
  5. 林讓治

    議長林讓治君) ただい益谷君から提出せられました動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり)
  6. 林讓治

    議長林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて動議は可決せられました。  ここに議長の手元において起草いたしました文案を朗読いたします。  衆議院ハ多年憲政ノ為二尽瘁シ屡屡国務大臣重任ニアタリ嘗テ本院議長職務ニ鞅掌サレタル議員正五位勲三等木村左衞門君ノ長逝哀悼シ恭シク弔詞呈ス  この弔詞贈呈方議長においてとりはからいます。(拍手)      ————◇—————
  7. 林讓治

    議長林讓治君) 岡崎国務大臣から、日米安全保障条約第三条の規定に基く行政協定に関して発言したいとの通告がありました。この際これを許します。国務大臣岡崎勝男君。     〔国務大臣岡崎勝男登壇
  8. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 行政協定につきましては、かねてからラスク大使ジョンソ次官補一行と交渉をして参りましたが、今朝、日米両国政府間に完全に意見一致を見まして、正午、協定調印附属文書交換を了するを得ました。米国側調印者ラスク大使及びジョンソン次官補でありまして、日本側調印者は私であります。  この行政協定は、外国軍隊国内における配備の条件を定めるものでありまするから、当事者間に最も友好的な、相互信頼関係がなければ実効をあげ得ない性質のものであります。従いまて、今回の交渉は、互いに権利を主張し合うものではなくして、日米両国間の将来を勘案し、互いに現状に即して最も適当と思われる協定の案を披露し、相互に相手方の意を了解することに努め、かようにして最も合理的と思われる協定案におつくよう、日米双方において努力いたしました。その結果、両国政府にとつて最も満足すべき協定を締結し得たと、ひそかに確信しておる次第であります。以下、交渉の経緯と、協定の大綱について説明いたしたいと存じます。  一月二十八日、ラスク大使と非公式に会談して、交渉の進め方について打合せました。その結果、公式会談を開催するほか、一般的性質事項については、両者間で随時非公式に話し合うこととし、また技術的事項については、専門委員会を設けて、双方専門家の間で討議させることになりました。二十九日、第一回の公式会談を開きましたが、それ以来十一回にわたり公式会議を開催いたしました。公式会議後、その都度、日米間に意見一致を見た事項につきましては、その件名と内容の要約を発表して参りました。専門委員会は二十回近く会合いたしました。ほかに起草委員会を設けて、案文の整備に当らせた次第であります。協定は前文と本文二十九箇条からなつております。別に付属交換公文が一つあります。また正式の議事録があります。これは印刷でき次第、御要求の向きに差出すつもりでおります。  協定の第一条は、協定使用されておる軍隊構成員軍属家族という字句の定義を定めております。  第二条は、国民に非常に関係のある、米軍使用に供する施設及び区域決定の仕方を定めております。この決定両国政府合意によつてなされるものでありまして、個々の施設及び区域に関する合意がこの協定効力発生の日までに成立実施されていないものにつきましては、この協定によつで成立される合同委員会によつて協議決定することになつております。施設及び区域は、この協定目的のため必要でなくなつたものは、いつでも日本側に返還することになつております。また射撃場演習場のような、必ずしも常時米国軍隊によつて使用されないものは、日本政府当局及び国民が臨時に使用することができ、かつかような施設及び区域にこの協定規定などの程度適用するかは合同委員会決定することになつております。なお付属交換公文は、平和条約発効と同時に現在の占領徴発は終了し、爾後は両国政時間の合意の基礎の上にのみ施設及び区域使用米軍において行い得るものであることを明らかにし、かつ施設及び区域決定を至急に行うために予備作業班を設け、作業班決定は、なるに従つて実施に移される旨規定しております。これは、お互いに誠意と熱意をもつてやりますれば、すみやかにまとまるものと考えられますが、少なくとも平和条約に定めるその効力発生後九十日という期間内にはできると確信しております。  第三条は、施設内及びその近傍において米国側が持つ権利権能を定めたものであります。但し、これらの権利権能施設及び区域外で行使されるような場合には、合同委員会を通じて両国政府で協議することとなつております。  第四条は、米国日本施設及び区域を返還する場合には、それが米軍提供されたときの状態に回復しなくてもよろしいこと及び日本施設及び区域に加えられた改良または残された建物等に対し、米国補償義務がないことを明らかにいたしております。  第五条ないし第八条は比較的事務的の規定でありまして、第五條は、米国の船舶、航空機等の移動、第六条は航空交通管理、第七条は米軍公益事業使用料等の問題、第八条は気象観測上の問題を規定しております。  第九条は、米軍関係者の入国について規定しております。米国軍隊構成員は、日本の旅券に関する法令適用を受けず、また軍隊構成員軍属家族は、外国人登録及び管理に関する日本法令適用を受けません。けれども、軍隊構成員身分証明書または旅行命令書を携行しなければならないし、軍属及び家族米国当局が発給した適当な文書を携行しなければならないことになつております。  第十条は、車両に関する規定であります。米軍日本人の日常の接触面で、自動車というものが一つの大きな要素になつておりますので、こまかいことのようでありまするが、登録番号標識等について規定することといたしました。  第十一条は、輸入に関する規定であります。米国軍隊、その公認調達機関またはP・Xのような機関が、米国軍隊の公用のため、または軍隊構成員軍人家族のため輸入する物品は、関税その他の課徴金免除される原則をつくつております。本条は、その他関税手続上の詳細な事項並びに日本税関当局が執行する法令に対する違反行為を防止するための日本当局及び米国軍当局の間の協力について詳細規定しております。  第十二条は、米国軍隊日本における物資労務調達に関する規定であります。物資労務調達で、日本経済に不利な影響を及ぼすおそれのあるものは、日本の権限ある当局との調整のもとに、かつそれが望ましい場合には、日本の権限ある当局を通じて、またその援助を得て調達することになつております。物資調達は内国税免除原則といたします。労務調達につきましては、直接雇用間接雇用かということが問題になりましたが、協定では、そのどちらにも限定しないで、現地労務に対する需要は、日本当局援助を得て、実情に即するよう充足することになつております。また雇用及び労働条件労働関係に対する労働者権利等日本法令に定めるところによらなければならないことになつております。  第十三条は、米国軍隊日本所有使用、移転する財産について課税されないし、米軍軍人軍属家族日本所得税の課税を受けないことを明らかにしております。もつとも、この免除は、日本における投資のため、もしくは事業を行うため所有される財産または日本登録された財産権には適用がありません。また私有自動車に対する自動車説免除されないのであります。  第十四条は、米国軍隊との契約の履行のみを目的として日本に来る、通常米国に居住する者に対して、この協定の特定の条項利益を享有させる趣旨のものであります。当初、先方は、これらの者も軍属として取扱えとの希望でありましたが、わが方は、これらの者の活動に必要な限度において協定利益を与えることを主張いたしました結果、この一条を設けて、その取扱いを一まとめにしたわけであります。米国政府としては、従来もそうでありましたように、できるだけ現地の業者で問に合せる方針であつて、どうしてもそれができない高度の専門技術を要するような場合にだけ米国から呼び寄せるとのことであります。  第十五条は、米国軍隊軍人軍属家族の用に供するP・X等施設を設けることを規定しております。  第十六条は、日本法律を尊重し、及びこの協定精神に反する活動、特に政治活動を慎むことが米国軍隊軍人軍属家族義務であることを明白にいたしております。私は、今後日本に駐在する米国軍隊所属員本条精神に十分徹せられることを期待しているのであります。  第十七条と第十八条は、国会においても、また国民一般も多大の関心を示されました裁判管轄権に関する条項であります。刑事裁判権につきましては、施設または区域の内外を問わず、日本人日本裁判権に、米軍関係者米軍裁判のもとに服するというのが原則であります。御承知のように、北大西洋条約当事国間には、昨年六月十五日、ロンドンで、軍隊地位に関する協定という文書が締結されております。この方式は、各自の軍隊を有する同盟国間において、一国の軍隊が他国に駐屯する場合に起る裁判権関係について相互平等主義を徹底した、最も飛躍的な方式であります。今次の交渉にあたりまして、この方式によることをわが方は強く希望いたしましたところ、先方におきましても、主義上は異存はないけれども、上記の北大西洋条約協定がいまだ合衆国において効力を発生していないため、前記のような方式暫定方式として採用することになつた次第であります。前記原則を採用しつつも、日本国民感情に応ずるよう可能の範囲において努力されたことは、交渉当事者としての私がここに申し上げてはばからないところであります。  やや詳細に規定を説明いたしますと、まず軍隊地位に関する北大西洋条約当事国間の協定合衆国について効力を生じましたときは、日本が申し入れれば、米国はただちに同協定方式従つて刑事裁判権に関する協定を締結いたすことを承諾いたしました。第十七条の1に、これが明白にされております。また行政協定が発効いたしましてから一年たつてもなお北大西洋条約効力を生じていない場合には、米国は同じく刑事裁判権に関する問題を再考慮することになつております。第十七条の5が、これを明らかにいたしております。従つて、この行政協定が定める職事裁判権方式は、短かければ数箇月、長くても一年間の暫定方式であることと御了承願いたいのであります。この過渡期間におきましては、米国軍隊軍人軍属家族——但し、日本国籍のみを持つ者は除外されます——は、日本で犯す罪について、米国がもつぱら裁判権を行使いたします。日本人は、施設及び区域の内と外とを問わず、その犯した罪については、合衆国裁判権に服する場合は絶対にありません。日本当局は、施設及び区域外において、米国軍軍人軍属家族犯罪の既遂または未遂について逮捕することができますが、逮捕したときは米国軍隊に引渡します。米国当局は、施設または区域内において、犯罪のかどで日本人等を逮捕した場合は、日本当局に引渡すことになります。日米双方当局は、各自の裁判所における刑事訴訟のため証人及び証拠提供することについて協力し、かつ捜査を行うことについて相互援助することになつております。  日本人として最も関心を持つ点、すなわち日本法令に違反する犯罪行つた米国軍人軍属家族につきましては、日本がこれを裁判し、かつ処罰する意思及び能力米国軍事裁判所及び当局が有すること、並びに軍人軍属家族が犯したと認められる犯罪について、日本当局が通告するもの、または米国軍事裁判所及び当局が発見するものを捜査し、かつ当局に処罰する意思及び能力合衆国軍事裁判所及び当局が有することを約束しております。また米国政府において、これらのすべての事件について、米国軍事裁判所が行なつた処分日本当局に通告することを約束しております。さらにまた、日本政府米国裁判権放棄を特に重要と認めるものについて、日本当局がこれを要請したときには、この要請に好意的考慮を与えることになつております。米国裁判権放棄があつたときは、日本国裁判権を行使することは当然であります。以上明らかなことく、これは日本法律国内全部に適用されることと相まつて、いわゆる治外法権的のものでないことは明瞭であります。  民事裁判権について説明いたします。第十八条の規定であります。民事裁判権日本にあります。少しく詳しく説明いたしますと、両国政府は、その軍人または政府職員公務執行中にこうむつた負傷または死亡については、負傷または死亡公務執行中の他方軍人または職員によるものであるときは、相互請求権放棄いたします。両政府は、日本において所有する財産につきましては、その損害公務執行中の他方軍人または政府職員によるものであるときは、相互請求権放棄いたします。公務執行中の米国軍隊軍人もしくは被用者作為、不作為または米国軍隊法律上責任を有するその他の作為、不作為、事故で第三者損害を与えた場合は、日本側におきましては、日本法令従つて審査、解決または裁判し、決定された補償金はまず日本支払い、それに要した費用は、後日両国政府合意した条件で分担することになつております。この公務執行により第三者に与えた損害に対する補償に関する日米両国間における費用の分担の条件は、合同委員会等において決定することになつております。  最後に、日本人として多大の関心を持つ点、すなわち日本における公務執行でない不法の作為または不作為で、米国軍隊軍人または被用者に対するものについては、次のような方法で処理されることになつでおります。すなわち、日本当局でかような事件に対するすべての事情を考慮して、公正に請求を審査し、補償金を査定し、報告書を作成いたします。報告書米国当局に交付いたします。米国当局は、遅滞なく慰藉料を支払うかどうか、支払う場合にはその額を決定します。請求人が、その請求の完全な弁済としてこれを受諾するときは、米当局はみずから支払いをし、その旨を日本当局に通知することになつております。もつとも、以上の方法は、請求の完全な弁済として支払いが行われない限り、軍人または被用者に対する日本裁判所裁判権影響を及ぼすものではありません。なお米国軍隊及び当局は、日本裁判所における民事訴訟について証人及び証拠提供すること、施設及び区域内で日本法律に基き強制執行を行うことについて日本裁判所に協力することになつております。また米国軍隊物資及び労務調達に関する提供から生ずる紛争で、契約当事者によつて解決されないものは合同委員会の調停に付託することができることも明らかにいたしております。  第十九条ないし第二十二条は、これまた比較的事務的の規定でありまして、第十九条は外国為替管理令、第二十条は軍票の使用、第二十一条は軍事郵便局、第二十二条は日本に在留する米国人予備役編入等規定であります。  第二十三条は、米軍、その構成員等の安全を確保するため日本側が協力すべきことを定めたものであります。これについては立法措置を講ずる必要があるものもありますので、関係法案について御審議をお願いすることになるはずであります。  第二十四条は、日本区域敵対行為が現に起つたとか、今にも起りそうだとかいう場合に関する規定であります。元来、安全保障条約は、そのような事態が起らないようにするために、少くともその可能性をできるだけ少くするために締結されたものであります。それでも絶対に起らないと断定することができないことは申すまでもありません。逆に、そういう可能性がいくらかでもあるからこそ安全保障条約が必要になつたのであるとも言うことができるわけであります。従つて、そういう場合にどうするかということについては、少くとも原則は明らかにしておくべき筋合いであると思うのであります。そこで、この協定では、そういう場合には、日米両国政府は、日本防衛のため必要な共同措置をとるため及び安全保障条約第一条の目的を遂行するため、ただちに協議すべきことを定めております。これは当然で、別に規定を要しないほどのことでありますが、現実の場合をあれこれと予想して、あらかじめこまかい規定をしておくことはできないのでありますので、具体的の場合に最も適切な措置をとるほかはないのであります。そのためには、ただちに協議し、緊密に連絡協力して行く趣旨規定にとどめた次第であります。  第二十五条は、経費に関する規定であります。これについては、すでに大蔵大臣から内容について説明がありましたから、詳細はこれを差控えます。この規定は、要するに日本は、この規定目的のために、米軍使用する施設及び区域を、協定存続期間中、米国に負担をかけないで提供し、かつ施設及び区域所有者及び提供者補償を行うこと等、定期的に再検討した結果、新たなとりきめをするまでの間、米国が輸送その他の役務及び需品を日本調達するため、日本政府は年額一億五千五百万ドルに相当する円貨を提供することの義務を負うが、それ以外のすべての経費は、この協定存続期間中、米国が負担することが明らかにされております。  第二十六条は、合同委員会に関する規定であります。これは、この協定実施に関して協議を必要とすることは何でも協議する機関であります。特に施設及び区域決定し、これを変更することをその重要な任務とするものであります。合同委員会は、日米それぞれ一名の代表者で構成し、これに代理及び必要な職員をつけることになりております。この合同委員会で処理し切れない問題は、政府間の交渉に移すことになつております。  第二十七条は、効力の発生に関する規定であります。この協定安全保障条約と同時に効力を生ずることにすべきものであることは申すまでもありません。しかしながら、この協定には、それを実施するために予算及び立法上の措置をとる必要のものがあります。従つて、このようなものについては、必要な措置を立法機関に求めることを約束しておるのであります。政府の屡次の言明もあり、この点について明文の規定協定中に設けることとした次第であります。  第二十八条は協定改正に関する規定でありまして、この種の協定にあたつては、実際にやつてみて種々の改善の余地の発見される面も出て来ることがあり得るわけでありますから、当然のことながら、そういう場合には、どちら側でも、この協定のどの条項についても、いつでも改正を要求することができ、その場合には、適当な径路を通じて交渉することを明らかにした次第であります。  第二十九条は有効期間に関する規定でありまして効力発生の場合と同様、安全保障条約の有効期間と同じにすることになつております。  以上が行政協定の大綱であります。この種の協定は、相互に相手方の立場を尊重し、相互に信頼の精神をもつて当らなければまとまるものではないし、また協定をつくつてみたところで円滑に運用できるものでないことは、申すまでもないのであります。今回の協定についても、政府としては、互譲の結果妥当なところにおちついたと考えるのでありまして、日本国民と米軍双方がこれをよく守つて行くならば、日米両国間の融和協調を確保するに足り、また安全保障条約の根本目的の達成を保障するに足ると信ずるのであります。  以上をもつて報告を終ります。(拍手)     —————————————
  9. 福永健司

    ○福永健司君 国務大臣の演説に対する質疑は延期し、明二十九日定刻より特に本会議を開き、これを行うこととせられんことを望みます。
  10. 林讓治

    議長林讓治君) 福永君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 林讓治

    議長林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。      ————◇—————
  12. 林讓治

    議長林讓治君) 日程第一、漁港法第十七条第二項の規定により、漁港整備計画の一部改正について承認を求めるの件を議題といたします。委員長の報告を求めます。水産委員長川村善八郎君。     〔川村善八郎君登壇
  13. 川村善八郎

    ○川村善八郎君 ただいま議題となりました、漁港法第十七条第二項の規定により、漁港整備計画の一部改正について承認を求めるの件にき、そのおもなる内容と、水産委員会における審議の経過及び結果を御報告いたします。  まず本件の提出理由並びにその概要について申し上げます。和歌山県田辺市所在の江川漁港について漁港利用上及びその効果的運営をはかる上から、区域を拡張して、近接せる二つの漁業根拠地を包含した一つの漁港区域とし、田辺漁港と改称して運用するのが適切でありまするので、第二種江川漁港を、利用範囲が全国的な第三種田辺漁港にいたし、また香川県高松市西浜町所在の西浜漁港については、その実情にかんがみ、名称を高松漁港に改正することが適当と思われますので、農林大臣は、さきに第十回国会において承認を受けた漁港整備計画の一部を去る一月二十五日改正いたしたのであります。従いまして、この漁港整備計画の一部を改正したことにつき、漁港法第十七条第二項の規定に基いて国会の承認を求めて来たものであります。  本件は、二月十八日、本委員会に付託となり、二十三日、政府当局より提出理由の説明を聞きましたが、その内容はきわめて簡明であり、趣旨においても適当なものでありますので、質疑もなく、討論を省略して、ただちに採決をいたしましたところ、全会一致をもつて本件はこれを承認することに決定した次第であります。  以上御報告を申し上げます。(拍手
  14. 林讓治

    議長林讓治君) 採決いたします。本件は委員長報告の通り承認するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 林讓治

    議長林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて本件は委員長報告の通り承認するに決しました。      ————◇—————
  16. 林讓治

    議長林讓治君) 日程第二、ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く全国選挙管理委員会関係命令廃止に関する法律案日程第三、ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く警察関係命令措置に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。地方行政委員長金光義邦君。     〔金光義邦君登壇
  17. 金光義邦

    ○金光義邦君 ただいま議題となりました、ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く全国選挙管理委員会関係命令廃止に関する法律案にりき、地方行政委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案は、先般講和条約の締結に伴いまして、政府ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基いて制定いたしました全国選挙管理委員会関係の諸命令を整理することを目的としているものでありまして、これらの諸命令としては、第一、昭和二十年勅令第七百三十一号、第二、昭和二十一年内務省令第二十三号、第三、昭和二十二年内務省令第二十五号の三つがあります。これらの命令は、公布当時すでにその目的を達成し、もはや将来適用されることのない現在におきましては、これを整理することが適当でありますので、そのためにこの法律案が提案せられたのであります。  本委員会におきましては、昨年十二月十四日、本案の付託を受け、慎重審議の結果、以上の見地から本案を適用のものと認め、二月二十六日、討論省略、全会一致をもつて原案通り可決すべきものと議決いたした次第であります。  次に、ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く警察関係命令措置に関する法律案につき、審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本法案は、ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基いて制定せられておりますところの昭和二十五年政令第三百三十四号銃砲刀剣類等所持取締令を、そのまま本案によつて日本国との平和条約の最初の効力発生の日から将来にわたつて法律として存続せしめようとするものであります。御承知の通り、現在は右の取締令によりまして、銃砲及び刀剣類は、法令に基き職務のために所持するとき、狩猟等の用途に供するものとして公安委員会の許可を得たとき、美術品として価値あるものとして文化財保護委員会の登録を受けたものを所持するとき、国または地方公共団体の職員が試験もしくは研究のため、または公衆の観覧に供するため所持するときの各場合を除いては、その所持は禁止せられておるのでありますが、このような内容の政令は、平和条約の発効後も社会公共の秩序を維持する上からも必要でありますので本案が提出されたのであります。  本委員会におきましては、昨年十二月十四日、本案の付託を受け、慎重審議をいたしました結果、二月二十六日討論を行い、自由党を代表して河原委員より賛成の意見が述べられ、また床次委員は改進党を、大矢委員は社会党を代表して、それぞれ本法案の内容つて国民生活の自由に関するところが多いから、法の運用については十分幅を持たせ、適切な運用をなすべき要望を当局希望しつつ賛意を表されました。立花委員は共産党を代表して反対の意を表されましたが、採決の結果、多数をもつて原案通り可決すべきものと議決せられた次第であります。  右御報告申上げます。(拍手
  18. 林讓治

    議長林讓治君) 討論の通告があります。これを許します。立花敏男君。     〔立花敏男君登壇
  19. 立花敏男

    ○立花敏男君 共産党は、ただいま提案せられました最初の法案に対しては賛成であり、次の法案に対しましては絶対に反対であります。  そもそも地球の上に存在いたします戦争には、まつたく相反します二つの戦争がありまして、一つは資本主義の側から行われる戦争であり、他の一つは社会主義、人民民主主義の側から行われる戦争であります。最初の資本主義の側から行われる戦争に対しまして、これに従軍いたします軍隊は侵略軍であり、社会主義、人民民主主義の側から行われる戦争に従いまする軍隊は解放軍であります。この二つの戦争と二つの軍隊を区別いたします基準は、その戦争が、あるいはその軍隊が、国民に対して弾圧を加え、あるいは攻奪を加えるかいなか、国民利益を守り、国民の解放のためにする戦争であるかどうか、これがこの二つの戦争と二つの軍隊のわかれ目であります。  進駐軍が日本に参りまして、二つの武装解除を行つた。東条の軍隊に対する武装解除、またそれを支持しておりましたところの日本の警察軍に対する武装解除、これが進駐軍が行つた一つの武装解除であります。しかし、同時に、彼らは日本国民に対する武装解除を行つたのであります。解放軍は決して他の国の国民の武装を解除するものではありません。しかるに、ただいまになりまして、この進駐軍が行つた二つの武装解除の結果はどうなつておるか。明らかに、かつての東条の軍隊以上の再武装が現在吉田内閣によつて行われておるではないか。しかも、一たび武装を解除されました日本の警察官は、最初に持つておりましたこん棒のほかに、優秀なるアメリカのピストルと、アメリカの機関銃を持つて再武装されておるではないか。しかるに、日本国民に対する武装解除だけは、依然として永久に存続さえようとしておる。ここにこの法案の完全な反動性を見出し得るのであります。  今や、日本国民はまつ裸にされまして、飢えたるおおかみの前にほうり出されておるのである。今や、日本国民は重大なる攻撃の危機の前に立たされておるのであります。御承知のように、千住の富士銀行のギヤングは今に至るまでつかまらない。その後、米兵による強盗、殺人、あらゆる犯行がきびすを接して起つておるではないか。しかるに、この際日本の警察は何と言つておるか。警察は、これに対して発砲することを禁ぜられておると言い、警察署長あるいは警視総監は、これを逮捕することができないと言い、斎藤国警長官は、まだその氏名、住所、あるいはその階級さえ知らされていたいと言つているではないか。最も日本の治安の責任者である木村法務総裁は、この事件に対して何ら責任がないと言つておる。こういうことで、どうして国民がみずからを守ることができるのか。今や、明らかに国民の身体も生命も財産も完全に飢えたるおおかみの前に提供せられまして、これを守るべき一切の日本の治安機構はあげて外国の隷属下に置かれておるのである。こういうことで、どうして諸君は国民に武器を捨てろと言うことができるか。日本の警察予備隊はバズーカ砲を持つておる。最近、進駐軍は、日本の軍需工場に対して追撃砲を注文しておる。このバズーカ砲は、決して戦車に対して撃つバズーカ砲ではないのである。群衆に対して撃つと言つておる。日本国民に対して、バズーカ砲を彼らは用意しておるのである。しかるに、国民に対しては、わずか十五センチのナイフを持つておれば、それを取締るというのである。いかに残虐なる植民地的な状態に日本国民を陥れておるかということが明白ではないか。  しかも、現在の日本におる駐屯軍、占領軍の状態はどうであるか。朝鮮の戦線が急迫するやいなや、朝鮮における戦争の失敗が明らかになるやいなや、日本の占領軍は、日本にいるところの軍隊は、明らかに————な色彩を帯びて来ている。東京の管区だけで三百人の逃亡兵がいるといつているではないか。これが神田に、浅草に、千住に、新宿に、毎日々々まつたく——         ————— をやつているではないか。れこそ、わが国が治安上最も解決せなければならない根本的な問題である。しかるに、これに対しで日本の警察官は何ら一指も触れるところがない。しかるに、千住の銀行ギャングと日を同じくして行われましたところの渋谷の学生の徴兵反対デモに対しましては、警察はわずか二十名の学生に対して五百名の武装警官をもつてこれを弾圧し、ギャングを逮捕しない警察官が、数十名の日本の愛国学生を逮捕したではないか。  以上のような治安の乱れは何に起因しているか。今まで続けられた過去数箇年の占領行政のまつたく失敗の結果といわなければなりません。日本国民は、このよう残虐な法案に対しては断固として立ち上るでありましよう。いくら諸君が国民から四寸五分のナイフを奪つても、かつての琉球が外敵のために完全に全部の武器を奪われたときでも、琉球の愛国者は唐手で立ち上つた。日本国民は、日本国民であるという、やまと魂のあたたかい血が自分のからだの中に流れている以上は、断固として最後まで立ち上りまして、諸君らの陰謀と弾圧を粉砕することを宣言します。  以上をもつて反対討論にかえます。(拍手
  20. 林讓治

    議長林讓治君) これにて討論は終局いたしました。  まず日程第二につき採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 林讓治

    議長林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。  次に日程第三につき採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに健賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  22. 林讓治

    議長林讓治君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)      ————◇—————
  23. 林讓治

    議長林讓治君) 日程第四、日本放送協会昭和二十五年度財産目録貸借対照表及び損益計算書を議題といたします委員長の報告を求めます。電気通信委員長田中重彌君。     〔田中重彌君登壇
  24. 田中重彌

    ○田中重彌君 ただいま議題となりました日本放送協会昭和二十五年度財産目録貸借対照表及び損益計算書に関し、電気通信委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本件は、旧社団法人日本放送協会の一切の権利義務を承継して発足いたしました日本放送協会の最初の会計年度たる昭和二十五年六月一日より昭和二十六年三月三十一日までの十箇月間における決算に関するものでありまして、放送法第四十条第三項の規定に基き、会計検査院の検査を経て、内閣より去る一月二十四日国会に提出されたものであります。  まず議案の概要について申し上げます。財産目録及び貸借対照表によりますると、昭和二十六年三月三十一日現在の資産総額は三十四億五千百八十四万九千余円、負債総額は十二億一千首二十二万三千余円でありまして、差引資本として剰余金に計上せられまする金額は二十二億四千六十二万六千余円であります。損益計算書によりますると、昭和二十五年六月以降十箇月間の事業収入は三十二億三千二十九万三千余円、事業支出は三十一億八千九百二十四万一千余円、差引当期剰余金は四千百五万一千余円でありまして、これは前申しました貸借対照表の剰余金に加算されているのであります。  本議案に添付されている説明書には、資産、負債の増減の内容及び損益と収支予算との比較を述べているのであります。それによりますと、旧社団法人日本放送協会よりの承継額に比べ、資産は再評価益二十億八千四百十五万一千余円を除いて二億九千七百十七万三千余円を増し、負債は三億四百七万三千余円を増しているのであります。また損益は、収支予算との比較におきまして、収入につき三百二十九万八千余円の減、支出につき、建設工事に関する工事特別雑損を別とし、三百九十二万二千余円の減を示すのであります。  なお、本件には会計検査院の検査結果を添付されているのでありまして、それには、会計検査院において改善させたもの二件及び改善を必要と認められるもの五件を列挙してあるのであります。  電気通信委員会においては、一月二十五日、本議案の付託を受けまして、二月十四日、十五日、十九日及び二十六日の四回にわたり会議を開き、政府及び会計検査院の説明を聴取し、特に参考人として日本放送協会理事の出席を求め、政府及び協会に対して質疑を行い、慎重審議を重ねたのであります。この間に行われました説明または質疑応答は、本件は会計検査院の検査について政府出資の法人と趣を異にすること、また本件の根拠とする最初の収支予算、事業計画及び資金計画は、放送法附則第九項の特例により電気通信大臣の認可をもつて国会の承認にかえたものであること、さらにまた本件に関する協会の会計経理の手続、準則等は、旧法人より承継・移行後なお整理の過渡期にあつたこと等の事情をめぐり、会計検査院の指導、政府の監督及び協会の処理基準その他広汎多岐にわたつたのでありまするが、その詳細は会議録に譲ります。  かくして、委員会は二月十九日質疑を打切り、二月二十六日の会議において、自由党橋本委員より、未払金不計上一件、目的外投資一件、計理科目不適当二件、過大再評価一件、計五件については当を得ないものと認め、将来の改善方につき政府の善処を促すとともに、その他については異議なきものとする旨の動議提出されたのであります。  次に、討論を省略して採決の結果、多数をもつて自由党橋本委員の動議の通り議決いたした次第であります。  以上をもつて報告といたします。(拍手
  25. 林讓治

    議長林讓治君) 採決いたします。本件は委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  26. 林讓治

    議長林讓治君) 起立多数。よつて本件は委員長報告の通り決しました。      ————◇—————
  27. 林讓治

    議長林讓治君) 日程第五、ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く賠償庁関係命令措置に関する法律案日程第六、千九百十二年一月二十三日にへーグで、千九百二十五年二月十一日、千九百二十五年二月十九日及び千九百三十一年七月十三日にジュネーヴで、千九百三十一年十一月二十七日、バンコックで並びに千九百三十六年六月二十六日にジュネーヴで締結された麻薬に関する協定条約及び議定書改正する議定書並び附属書への加入について承認を求めるの件、右両件を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。外務委員長仲内憲治君。     〔仲内憲治君登壇
  28. 仲内憲治

    ○仲内憲治君 ただいま議題となりました、ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く賠償庁関係命令措置に関する法律案に関し、外務委員会における審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。  本案を提出いたしました政府当局の説明に基きまして、本法案の概要を申し上げますと、要点は次の二点になるようであります。  その第一点は、昭和二十六年政令第四〇号の一部改正、すなわち朝鮮総督府交通局共済組合の本邦内にある財産の整理に関する政令の一部を改正するものでありまして、同政令の目的としている同共済組合の整理がなお半箇年余を要する見込みであり、従いまして、その整理の完了は当然に平和条約発効後と思われますので、このいわゆるポツダム政令を引続き法律としての効力を有するごとく措置いたしたいというのであります。  その第二点は、昭和二十一年勅令第二百八十六号特定財産管理令を廃止せんとするものであります。特定財産とは、特定人、すなわち連合国最高司令官から戦争犯罪容疑者として逮捕、拘禁または抑留することを要するものと指定されました者、すなわちこの特定人が有するすべての財産及び特定人が支配する財産でありまして、内閣総理大臣の定めるものであります。従いまして、特定人の裁判が確定するまでの間これを管理し、現状の変更を禁止し、特定人に関する証拠の湮滅を防ぐとともに、特定人に財産刑が科せられた場合に対処するために財産の散逸を防ぐことを目的といたしたものがこの特定財産管理令であります。ところが、平和条約には特定人の逮捕等を要求する明文が特に規定されておらず、かつ現在発せられている連合国最高司令官の指令も平和条約発効と同時にその効力を消滅しますから、現在の特定財産管理を継続する必要がなくなりますので、平和条約発効と同時に、政府は同令を廃止しようというのであります。  本法案は一月二十二日に本委員会に付託せられましたので、本委員会は、二月六日、十三日、二十日、二十七日にわたり、本案件に関し慎重に審議いたしました。この審議の詳細については、これを委員会議録に譲ることといたします。  政府当局に対する質疑終了の後、討論に移り、自由党の佐々木委員、改進党の並木委員、社会党の戸叶委員等より賛成の意見が述べられ共産党の林委員より反対の意見が述べられまして討論を終り、採決の結果は、多数をもつて本委員会は政府提出の原案の通り可決と決定いたしました。  次に千九百十二年一月二十三日にヘーグで、千九百二十五年二月十一日、千九百二十三年二月十九日及び千九百三十一年七月十三日にジュネーヴで、千九百三十一年十一月二十七日に、バンコックで並びに千九百三十六年六月二十六日にジュネーヴで締結された麻薬に関する協定条約及び議定書改正する議定書並び附属書への加入について承認を求めるの件に関し、本委員会における審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。  本案件の承認を求めるために本国会に提出いたしました政府当局の説明に基きまして、その概要につき説明いたしますと、わが国は平和条約に関して二つの宣言を行つておるのでありますが、その第一の宣言の二におきまして「日本国政府は、実行可能な最短期間に、且つ、平和条約の最初の効力発生の後一年以内に、次の国際文書に正式に加入する意思を有する。」旨を規定し、その(一)において本件が明示されておるのであります。  戦前、阿片及び麻薬に関しては、次の六組の条約が締結されております。すなわち、その一は、一九一二年一月二十三日ヘーグで署名された国際阿片条約及び最終議定書、その二は、一九二五年二月十一日にジュネーヴで署名された第一阿片会議協定議定書及び最終議定書、その三は、一九二五年二月十九日にジュネーヴで署名された第二阿片会議条約議定書及び最終議定書、その四は、一九三一年七月十三日にジュネーヴで署名された麻薬の製造制限及び分配取締に関する条約、署名議定書及び最終議定書、その五は、一九三一年十一月二十七日にバンコックで署名された阿片吸食防止に関する協定及び最終議定書、その六は、一九三六年六月二十六日にジュネーヴで署名された危険薬品の不正取引の防止に関する条約、署名議定書及び最終議定書、以上であります。  わが国は、一九三六年に署名された危険薬品の不正取引の防止に関する条約を除いた他の五つの条約協定及び議定書加入していたのでありますが、これらの条約協定及び議定書は、国際連盟に一定の任務を与えていたのであります。ところが、国際連盟が解消した結果といたしまして、わが国が、従来のこれらの諸条約に基いて国際関係に協力して行きますことは、国際連盟諸機関に関する限り、事実上不可能となつておるのであります。従いましてわが国がこの議定書加入することによりまして、再び法律上も事実上と合致する国際協力関係を回復することになるのであります。  わが国のこの議定書への加入は、第六条に従つて、正式文書による受諾書を国際連合事務総長に寄託することによつて行われるのであります。従いまして、この寄託と同時に、この議定書の本文及びわが国が当事国である四条約改正している付属書第一項ないし第四項はわが国に対して効力を生ずることになるのであります。しかし、わが国は一九三六年の条約には加入しておりませんので、同条約改正規定した付属書第五項は、わが国に対して直接には効力を及ぼさないのであります。わが本国は、すでにこの議定書によつて改正された条約上の義務実施しておりますので、この議定書への加入の結果、特に法令改正を行う必要はないのであります。  なお、本件付属書は全部で五項からなり、麻薬に関する諸条約協定及び議定書中に出て来る字句について主として国際連台の設立に伴つて必要となつた字句改正規定しているのであります。また本件議定書は、国際連合の経済社会理事会が作成した草案に総会が若干の修正を加えて、一九四六年十一月十九日採択したものでありまして、この議定書は同年十二月十一日にレーク・サクセスで署名のために開放され、本文は三十一箇国が無条件の署名を行つたので、即日効力を生じたのでありますし、また付属書の五つの項は、それぞれ所要の数の当事国ができて効果をを生じているのであります。  本条約案件は一月二十六日に本委員会に付託されましたので、本委員会は、二月六日、十三日、二十日、二十七日にわたり慎重に審議を重ねました。その審議の内容につきましては、これを委員会議録に譲ることにいたします。  政府当局に対する質疑の終了後、討論に移り、自由党の佐々木委員、改進党の並木委員、社会党の戸叶委員、共産党の林委員よりそれぞれ賛成の意見が述べられて、討論を終結し、採決の結果は、本委員会は全会一致をもつて本案件を承認することに決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  29. 林讓治

    議長林讓治君) まず日程第五につき採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  30. 林讓治

    議長林讓治君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。  次に日程第六につき採決いたします。本件は委員長報告の通り承認するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 林讓治

    議長林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて本件は委員長報告の通り承認するに決しました。      ————◇—————
  32. 林讓治

    議長林讓治君) 日程第七、郵便貯金法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。郵政委員会理事飯塚定輔君。     〔飯塚定輔君登壇
  33. 飯塚定輔

    ○飯塚定輔君 ただいま議題となりました郵便貯金法の一部を改正する法律案につき、委員会における審議の経過並びに結果について、きわめて簡単に御報告申し上げます。  御承知のごとく、郵便貯金の預け入れ総額制限額は、昭和二十二年以来そのまますえ置きとなつております。また利率におきましても、現今一般の金利の上昇の趨勢に遅れ、著しく低いので、これを引上げる必要がありまして、今回この法律案提出せられたのであります。  その改正の要点は、第一は預金額の増額であります。従来、郵便貯金の最高額は三万円と規定せられておりましたものを、これを十万円に引上げることとしたのであります。さらに利率の点につきまして申し上げますと、通常郵便貯金におきましては、年利率二分七厘六毛でありますものを、今回三分九厘六毛に引上げ、積立郵便貯金の利率は、年三分一厘二毛のものを四分二厘に引上げたのであります。最後に定額郵便貯金の利率は、これは預け入れ期間従つて六段階にわけておるのでありまするが、これを整理いたしまして、従来の最低三分から最高四分に至る利率を、最低四分二厘から最高六分に引上げたのでございます。なお積立郵便貯金、定額郵便貯金は一定の期間すえ置きとすることが目的でありまするが、そのすえ置き期間内に解約せらるることを防止するために、すえ置き期間内の払いもどしに対しては、右の利率にもかかわらず、三分に引下げてこれを払いもどすこととしておるのであります。なお積立郵便貯金の一回の預け入れ総額は従来千二百円でありましたものを、今回四千円に引上げ、定額郵便貯金におきましても、百円以上三千円まで六段階にわけておりましたものを、さらに今回五千円と一万円の高額の二つを加えることとしたのでございます。  この法案は、二月十九日に本委員会に付託せられて以来、数回にわたつて審議をいたしました。去る二月二十七日、質疑を打切りまして、討論に入りました。自由党を代表して山本久雄委員から、また改進党を代表して椎熊委員から、いずれも原案賛成の御意見が述べられ、社会党の受田委員は、積立郵便貯金のすえ置き期間内における払いもどしに対しても、三分という低率ではなく、将来当局においてこの点を十分考慮せらるべしという御意見が付せられて、原案に賛成せられたのであります。最後に共産党の田代委員が本案に対して反対の御意見を述べられましたが、その御意見は、零細なる貯蓄を中央に集めて、これを軍需産業に利用する——但し、われわれが要求するところによつて提出せられました資料をごらんになればおわかりになりまするが、公共事業、地方財政等に役立てるようにその大部分は使われておりまするが、共産党の見方としては、これを軍需産業に使用するから反対であるという御意見でありました。なお利率の引上げに対しましても、郵便貯金は、一口当りの口座に平均しますると一千円内外の少額であるから、いくら利率を引上げましても、零細なる貯蓄者に対しては何らの利益を与えるものではないという観点から、この法案に反対せられたのであります。  かくして採決に入りましたが、共産党を除く多数をもつて原案の通り可決すべきものと議決した次第であります。  以上簡単でありますが、御報告申し上げます。(拍手
  34. 林讓治

    議長林讓治君) 討論の通告があります。これを許します。田代文久君。     〔田代文久君登壇
  35. 田代文久

    ○田代文久君 私は、ただいま上程されました郵便貯金法の一部改正に対する法律案に対しまして、日本共産党を代表いたしまして、反対の意を表するものであります。  われわれは、本法案を審議するにあたりまして、過失七年前を想起する必要がある。すなわち、終戦直後あるいは戦争中、国家は国民の零細なる資金を愛国の名においてかり集め、しかもこの多額な金額というものを一朝にして凍結せしめ、あるいは第一封鎖、第二封鎖というような形によりまして当時の物価の上昇にかかわらず、貨幣価値自身が非常に下落し、遂に零細なる国民貯金そのものが新聞紙にもひとしいことになり、しかもその金自体というものを勤労大衆が引出すことができなかつたという、この悲惨なる厳然たる事実を、われわれははつきり認識しなければならないのであります。(拍手)  従つて、本法案が提出されておりますところの現在の情勢、時期、またこの法案が今後いかなる事態の中に効果を発し、また適用されようとしておるかということが重大なる問題になつて来るのでございますが、御承知の通り、現在全世界は、帝国主義者による戦争の準備、再軍備に狂奔いたしておるのでありまして、当然日本国自体が、この全世界の戦争冒険の一環として、国際帝国主義の手元にさせられつつあるという事態におきましては、この法案の通過によりまして、またもや愛国貯金運動が展開される危険が多分にあるのであり、従つて、簡易保険を含めまして二千億円に余るという厖大なる資金は、当然再軍備のために使われる危険が多々あることは、国民周知の事実であります。  すでに憲法に規定しておりますところの、飛行機、あるいはタンク、あるいはまた大砲というようなものの生産に入つておることは、これまた天下周知の事実であり、しかもこの厖大なる資金は、地市から集められて、大蔵省の資金運用部の手に一手に握られ、ここに地方に還元して平和産業を復興し、あるいは民生の安定のために使用するという道がとざされておるのでありまして、たとえば、この資金運営部の資金の中にも、六百七十五億という厖大なる二十七年度に対する繰越資金があるのでございますが、委員会において、この使用内容は何であるかという質問に対しまして、政府は何等明確なる答弁をいたさないのでございますが、これはまつたく再軍備のための腰だめ資金であることは、はりきりいたしておるのであります。  しかもまた、この法案は、当然郵便勤労者に対する労働強化となつて現われておるのでありまして、政府の答弁によりますと、すでに単に貯金関係だけでも四千人の首を切るということをはつきり申しておるのであり、しかも二十七年度における、純粋に郵便貯金を集めるという目標といたしまして、昨年四百億であつたものが、本年におきましては六百二十億という、正割以上の多額な金をかき集めようといたしておりますことは、いかに郵政省関係の勤労者に対しまして労働強化になるかということは、はつきりいなめない事実であります。  これを要するに、本法案は、戦時中の愛国貯金運動あるいは貯金報国というものへ、急速に入る前提をなすものであり、すでに税金を取立てるという意味におきまして頭打ちしておる、その税金でとれない部分を、この法案によつて徹底的に勤労大衆からかき集める、それを再軍備に使うということがねらわれておるのであり、国民大衆に対しまして耐乏生活を強要しつつ、アメリカ、ウォール街の帝国主義者の準戦時体制、その金融財政政策へ日本が積極的に協力し、参加し、全国民の犠牲においてこれをなすという欺瞞法案であることは明確であります。  かかる意味におきまして、共産党は本案に断固反対するものであります。(拍手
  36. 林讓治

    議長林讓治君) これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  37. 林讓治

    議長林讓治君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。      ————◇—————
  38. 林讓治

    議長林讓治君) 日程第八、ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く文部省関係命令措置に関する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。支部委員長竹尾弌君。     〔竹尾弌君藤登壇
  39. 竹尾弌

    ○竹尾弌君 ただいま上程せられました、ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く文部省関係命令措置に関する法律案につきまして、本法案の概要と、その審議の経過並びに結果につきまして簡単に御報告申し上げます。  本法案は、日本国との平和条約効力発生に伴いまして、文部省関係のいわゆるポツダム諸命令につきまして、その存続を必要とするもの、または廃止措置を講ずべきものがありますので、政府から提出せられたのであります。文部省に関係あるもので、処理する必要のあるものは八件ございます。そのうち五件は、いずれもその処理が終つておりまするか、またはその目的が果されておりますので、これを廃止することといたし、残る三件のうち二件は今後も存続させる必要がございます。あとの一件は別途に措置することと相なつております。  第一条が、存続を必要とする命令規定でございます。すなわち、学校施設は、従来通り今後においても必要に応じまして返還させることができることにいたし、官幣社、国幣社——官国幣社の経費に関する法律廃止の件、附則第三項は、なお旧宗教法人令による宗教法人が存続しておりますので、これも存続せしめる必要がございます。次の第二条は、廃止しようとするポツダム命令の件名をあけたものでございます。第三条及び第四条は経過規定でございまして、著作権の登録につきまして前後関係に不均衡を来さないための措置であります。罰則の適用に関しましては、公平の原則上、違反行為は主権回復後においてもその罰則を適用することの規定でございます。  次に、本法案の審議の経過及び結果について簡単に申し上げます。本委員会におきましては、本法案の付託以来、慎重なる審議を重ねましたが、昨二十七日質疑を終了いたし、討論を省略、採決の結果、全会一致をもつてこれを可決すべきものと決定した次第でございます。  以上御報告申し上げます。
  40. 林讓治

    議長林讓治君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 林讓治

    議長林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。      ————◇—————
  42. 福永健司

    ○福永健司君 議事日程追加の緊急動議提出いたします。すなわち、内閣提出ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く経済安定本部関係命令措置に関する法律案を議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  43. 林讓治

    議長林讓治君) 福永君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり)
  44. 林讓治

    議長林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く経済安定本部関係命令措置に関する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。経済安定委員長前田正男君。     〔前田正男君登壇
  45. 前田正男

    ○前田正男君 ただいま議題となりました、ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く経済安定本部関係命令措置に関する法律案について、委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。  本案の目的は、現行のポツダム命令のうち、経済安定本部所管のものの存続、改正及び廃止規定せんとするもので、経済安定本部所管のポツダム命令は、外国人財産取得に関する政令、外国政府の不動産に関する権利の取得に関する政令、物価統制令及び地代家賃統制令の四件でありますが、このうち外国人財産取得に関する政令及び外国政府の不動産に関する権利の取得に関する政令につきましては一部改正の上存続し、物価統制令及び地代家賃統制令はそのまま存続せしめることとしたのであります。  まず外国人財産取得に関する政令及び外国政府の不動産に関する権利の取得に関する政令について申し上げますと、平和条約第十二条の規定によりますと、わが国は、平和条約調印し、批准した国の国民に対しては、財産取得等に関し日本国民と同様の待遇を与えなければならないことになつております。ところが、上記両政令は、財産取得について外国人日本人とを区別し、外国人または外国政府による不動産等の取得を制限しておりますので、この平和条約第十二条と合致するように、両政令を一部改正の上存続することとし、昭和二十五年五月外資に関する法律制定に伴い削除すべき条項であつて、そのままになつているものをこの際削除する等、不要な条項整備することとしたのであります。  次に外国政府の不動産に関する権利の取得に関する政令につきましては、前述の平和条約調印し、批准した国及び中立国政府をこの政令の適用から除外する措置としましては、現在の第二条の規定で指定することにより目的を達せられますので、別段の改正はなく、ただ連合国最高司令部に関する条項を削除するための小部分の改正を施すことにとどめたのであります。  次に物価統制令及び地代家賃統制令について申し上げます。まず物価統制令につきましては、物価統制は若干の重要品目を除き大幅に撤廃せられたのでありますが、なお現下の経済情勢よりいたしまして、これを存続せしめることが必要であります。地代家賃統制令につきましても、現下の逼迫した住宅事情よりいたしまして、地代及び家賃は依然として統制する必要があります。なお両政令は、ともに現行のままで、目下のところ実施上不備な点がないので、内容改正せずしてそのまま存続せしめることにしたのであります。  本案については、去る二月一日に提案理由の説明を聴取し、引続き六日及び二十八日に審議をいたしました。この審議の詳細は委員会の速記録に譲ることとし、本日討論を行いましたが、永井委員は自由党を代表して、本案は平和条約に伴う当然の措置であると賛成の意見を述べられ、有田委員は改進党を代表し、土井委員は日本社会党を代表してそれぞれの立場より、外国人の指定に慎重を期するとともに、外資の導入促進に努力し、また統制の撤廃につき注意を促すとともに、住宅建設等につき政府に対し強く要望して賛成の意見を述べられました。また横田委員は共産党を代表して、平和条約に反対であるから、従つて本案に反対であるとの意見を述べられました。  次に採決に入りましたが、多数をもつて原案通号可決されました。  右御報告申し上げます。(拍手
  46. 林讓治

    議長林讓治君) 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  47. 林讓治

    議長林讓治君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時二十一分散会