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1952-02-27 第13回国会 衆議院 本会議 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年二月二十七日(水曜日)  議事日程第十四号     午後一時開議  第一 昭和二十七年度一般会計予算  第二 昭和二十七年度特別会計予算  第三 昭和二十七年度政府関係機関予算     ————————————— ●本日の会議に付した事件  岡崎国務大臣不信任決議案笹森順造君外百二十名提出)  日程第一 昭和二十七年度一般会計予算  日程第二 昭和二十七年度特別会計予算  日程第三 昭和二十七年度政府関係機関予算     午後一時五十三分開議
  2. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) これより会議を開きます。      ————◇—————
  3. 福永健司

    福永健司君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、笹森順造君外百二十名提出岡崎国務大臣不信任決議案及び井之口政雄君外二十二名提出国務大臣岡崎勝男不信任決議案の両案は、いずれも提出者の要求の通り委員会の審査を省略してこの際逐次議題となし、その審議を進められんことを望みます。
  4. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 福永君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  まず笹森順造君外百二十名提出岡崎国務大臣不信任決議案議題といたします。提出者趣旨弁明を許します。笹森順造君。     〔笹森順造登壇
  6. 笹森順造

    笹森順造君 岡崎国務大臣不信任決議案について、野党各派を代表いたしまして趣旨弁明をいたします。   岡崎国務大臣不信任決議案  衆議院は、国務大臣岡崎勝男君を信任せず。  右決議する。     理 由   現下日本の最重要案件たる日米行政協定は、日米安全保障條約第三條に委任されたる米軍配備規律範囲を逸脱して国家主権の著しき制限国民基本的権利に抵触する広はんなる協定締結せんとし、しかもその内容国際法の通例の基本線に照し、日本をはなはだしく不利ならしめる條項多く、更に本協定憲法第七十三條にいう実質的條約なるにかかわらす、国会承認を得さる非民主的態度に終始し、憲法精神を全くじゆうりんすることはわれわれの許容し得ざるところである。   われわれは、まずこれが交渉の直接担当者たる岡崎国務相を信任する能わす。ここに不信任案提出する。  講和條発効を目前に担えまして、私たち国民は、真にわが国の自主的なる独立確保に希望をつないでいるのであります。しかるに、最近の吉田秘密外交岡崎屈従外交は、わが国の占領を継続せしめて、しかも外国隷属下に置くかごとき、はなはだ遺憾なる措置をとつておる次第であります。(拍手)ここに、わが国民の憤激が、この秘密外交、この屈従外交に対して大なる反撃を国民の名において今なさんとしつつある現状てあります。  日米安全保障條約の内容をなしまする諸項目を決定する行政協定は、日本国主権の権威と、国家の安危と、国民権利義務にかかわる重大かつ広汎な事項を含む両国間の約束をなす新たな條約の性質を有し、しかもまた昭和二十七年度予算案編成一大要素をなしておるのでありますから、本予算審議決定に先だつて、その行政協定内容を明示して国会承認を求めることは、憲法内閣法財政法規定に照して、内閣国会に対して当然とるべき責任なのであります。(拍手)しかるに、その衝に当れる岡崎国務大臣は、いたずらにこれを国会に隠蔽し、他面これを世間に漏洩して新聞報道たらしめ、あまつさえ国権最高機関たる国会を無視して調印を行わんとするかごときは違憲不信行為であつてかくのごとき失政をなした岡崎国務大臣衆議院は信任することかとうていできない。(拍手)ただちにその職を辞すべきであります。  安全保障措置費五百六十億円が二十七年度の歳出としてはたして不可欠のものなりやいなやを判断すべき材料たる行政協定内容につき、政府ま現在に至るまてこれをつまびらかに明示せずして本予算案を通過せしめんとするは、何としても重大な手落ちてあります。(拍手行政協定履行に伴う支出を中核として、これと密接不可分なる関係にある防衛支出警察予備隊費海上保安隊費等を合わするならば、実に二千三十三億円という厖大なる額に達している。しかるに、政府は、行政協定履行に伴う支出費目の使途を明細に説明することなく、軍に與党国会のみにおける多数に依存してこれを押し切り、国民負担と不安を與えんとしているのであります。国民より予算審議権を託されております国会議員としては、断してこれを看過することができないのであります。  講和條約の意図するところを有効ならしむる一方途として安全保障條約が結ばれ、安保條約を実行に移すために行政協定か結ばれ、これを実際に運営するために合同委員会か構成され、それに託さるべき権能範囲内の決定によつて米軍配備に必要な費用が使用される順序となるのであります。すなわち、施設地域の土地及び建物賃貸料公共事業たる交通、通信、光熱等利用の代償、物資、労務等の調達に対する補償等が、支出対象として、そのとき初めて課題となる次第であります。しかるに、いまだ行政協定が結ばれず、その内容国会に示されずして、政府がまず五百六十億円の予算をうのみにせよという態度は、実に国民を愚弄するもはなはだしきものといわなければならない。(拍手)民意を圧迫し、租税を賦課して外戦に備え、専制をほしいままにして、国民の窮状を救済するの努力を欠き、しかも納税の義務国民にしいて、代棄権の発動たる予算擁護権を抑圧せんとするがごときは、国家動乱の主因をなすものであつて国民憤激は、吉田総理独断専行の上に、この非民主的なものの上に大いなる打撃を與えずにおかないのであります。  前国会においても、安保條約の、承認国会に求められた際に、その内容をなす行政協定決定せらるるにあたりましては、当然起つて来る国民権利義務に関する問題並びに予算に関する事項については必ず国会承認を求むると、総理は公約をしておる。しかるに、今日に至つてその言をくつがえし、安保條約によつて委任された範囲内の細目決定であるから、国会にその内容を示さずして調印し、かつその関係予算をも通そうというに至つては、まさに国民をあざむく政治欺備的行為といわれても弁疏の余地がなかろうと思うのであります。(拍手)  国権最高機関たる国会を無視して、これに報告せず、これを漏洩して新聞記事たらしめた重大なあやまちを犯したものはすなわち岡崎国務大臣であり、これをあえてなさしめたものは外務大臣吉田総理である。外に対して屈従を事とし、内に対して傲岸を事とするは、吉田総理弊習的行動である。(拍手)過般の国会においても、外交のことは国民の意思に従つて行う、総理の一存では決して行わないということは、この壇上において私にも約束した一箇條である。今や、食言の罪は決して軽くはない。  今、行政協定全貌として新聞に発表せられたものを見まするに、明らかに行政協定の本質を逸脱した、重大な多くの点を規定したものであつて、明らかに別個の條約として取扱わるべきものである。この行政協定は、軍に軍の配備を規制するたけのことのみ託されたものであることは明瞭である。申し上げるまでもなく、安保條約第三條には「アメリカ合衆国の軍隊日本国内及びその附近における配備を規律する條件は、両政府間の行政協定決定する。」とある。今伝えられるところの行政協定なるものの全貌を見るに、明らかに日本憲法法律適用外に置かれるものがたくさんある。これは、その性質上、必要であるならば当然国会審議に付すべきはずである。しかして、その取捨選択を誤らざるようにしなければならない。  第一、この協定対象となるものは、当然軍人軍属に限らるべきではないか。その家族日本法律適用下に当然置かるべきてある。軍人軍属配偶者、二十一歳未満の子、両親及び二十一歳以上の子で生計の半分以上を扶養されている者を日本法律適用外に置くことには、とうてい賛成することはできない。(拍手)  第二に、軍の公共事業利用については、わが国民を不当に不利不便に陥れさらしむるごとき規定か当然なされなければならない。この点か欠除せられてはならない。  第三に、関税、租税については、軍直属使用以外は日本法律適用を受くるのか当然でなければならない。第四に、刑事裁判管轄権について、属人主義による管轄権の限度は、はなはだ不備なるものと考えられる。すなわち、軍の施設建物以外における犯罪、またすべて日本人に対して行われる犯罪に対して日本法律適用されるのは当然であるのに、あの富士銀行のギヤングのごときものを見たときに、もしもこの行政協定規定かこのまま行われるならば、はたして日本自主独立国としての国民権能を守り得るかどうか。(拍手)これすなわち、この外交屈従外交であり、隷属外交であると非難されるゆえんでなければならない。(拍手)  第五に、民事裁判管轄権についても不備の点が多々ある。軍の公務執行中であつても、軍が與えた損害は当然米国側負担となすことを主張すべきである。(拍手)  第六に、米軍出動の場合は、第一條の規定であるがゆえに、第三條の行政協定規定さるべきはずはない。当然これは国会承認を受くべき国家重大の事項である。(拍手)  これを要するに、われらか前国会において安保條約に承認を與えたのは、日本国憲法日本国法規適用範囲内においてのみであつて審法諾法律との適用を受けない條項まて結ぶことを、国会は決して内閣に委任しておらない。(拍手)しかるに、政府は、安保條約か承認されたから、行政協定において、日本憲法法律に抵触する事項でもかつてに結ぶというならば、これこそ違憲行為と断ぜなければならない。(拍手米国憲法と、諸法規と、その慣行は、あるいは大統領に行政協定権能を相当大幅に與えておるであろう。しかしながら、日本憲法では、行政協定によつて日本憲法法律制限し得る何らの積極的規定かないのである。(拍手)このことは、吉田総理も明白に知つているはずである。しかもまた、日本法律適用せられさる事項行政協定をもつて取扱うということは、日本国憲法始まつて以来、今回か初めてのできごとである。(拍手従つて、われらは、護憲の立場よりしても、あくまでもこの点を証明しなければならない。いやしくも国家主権の不当なる制限と、国民基本的権利を侵すかごときことなからしめ、かつまた国際法慣例最低線を逸脱し、はなはだしき不利を国家の将来に負わしめ、隷属国家状況を事実において継続せしむべき状況に置くがごときことは、断然これを許すことはできない。  講和発効後の日本か、米国と真に対等主権国として友邦のよしみを結び、世界平和維持に妨害となる一切の種を除去するために、まず岡崎国務相の退陣を求めなければならない。このことに対して吉田総理は当然その責任をとるべきことを強調し、本不信任案趣旨弁明とする次第であります。(拍手
  7. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) これより討論に入ります。北澤直吉君。     〔北澤直吉登壇
  8. 北澤直吉

    北澤直吉君 私は、ただいま上程されました岡崎国務大臣不信任決議案に対しまして、自由党を代表して、次の理由により反対の討論を試みんとするものであります。(拍手)  私は、長い間岡崎君とともに、外務省の同僚として、外務省に職を奉じおつた者でありまして、同君の人格、識見、手腕等については十分承知いたしておるつもりであります。同君は、終戦当時は終戦事務局長官として、当時の重光外務大臣を助けて、円満裡戦争終了に関する事務を完遂し、その後再度にわたつて外務次官に就任し、吉田外相及び芦田外相を助けたことは、世間周知の事実であります。同君は、光輝ある伝統を有する日本外務省の生み出した優秀なる外交官の一人でありまして、過般調印せられました日米史保障條約の実施に関する日米間行政協定交渉の大役をになう国務大臣に任命せられましたのも、まことにゆえなきにあらずであります。各方面より相当の困難を予想せられました今回の日米行政協定に関する交渉か、相互の友好と信頼のうちに順調円滑に進捗し、ほとんど妥結に近づきつつありますることについては、吉田総理外務大臣を助けて本交渉に当つた岡崎君の功績少からざるものあることを確信する次第であります。(拍手)     〔発言する者多し〕
  9. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 御静粛に願います。
  10. 北澤直吉

    北澤直吉君(続) 野党諸君は、岡崎国務大臣不信任理由一つとしまして、今回の日米行政協定国会承認を経へきてあるにかかわらず、国会承認を受けずに締結すること及び国会承認を受ける必要なしとするも、締結前に国会に報告することか必要であるにかかわらず、何ら国会に報告しないことをあけておるのでありますが、行政協定米国駐留軍配備條件だけをきめましたものでありまして、過般民主党及び緑風会を含めた。     〔発言する者多し〕
  11. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 御静粛に願います。
  12. 北澤直吉

    北澤直吉君(続) 圧倒的多数をもつて日本国会承認を経ました日米安全保障條約の第三條によつて日米両国政府限りにおいて、すなわち両国国会承認を経ないて、両政府限りにおいて締結することを認められたものでありまして、従いまして、行政協定は出会の承認を必要といたしません。あえかも国内法におきまして、法律による委任命令国会承認を経ずに、政府限りにおいて立法事項を制定し得るのと同様であります。のみならず、政府側においては、行政協定の結果、予算または法律を要するものについては、予算案または法律案としまして国会審議に付することを、たびたび声明いたしておるのであります。  また、事前に行政協定内容を全都国会に報告すべしとの議論につきましては、政府側は事情の許す限り詳細にわたつて協定交渉の経過について国会の本会議及び委員会において説明いたしておりますが、現に交渉中の問題についてこれ以上の説明をすることは、外交機密に属することでありまして、不可能でありますることは、国際関係または国際外交の一片の常識だけでも持つておる者はただちに了解し得るところであります。相手のある外交談判中の問題について、当方の考え方なり、あるいは手の中なりを全部さらけ出すことは、断じて談判を有利に導くゆえんでないことは、三歳の意見といえども知るところであります。これは個人間の話合いの場合においても同様であります。  民主主義は、全部ガラス張りにし、秘密を排撃するごとく言う人もありますか、民主主義の祖国である英米におきましても、個人秘密外交秘密は嚴重に尊重せられ、国会秘密会において外交秘密事項が説明せられる場合におきましても、外部には秘密が絶対に漏洩することはないのであります。英米国会の秘書か厳守されておることにつきましては、牧畜を表せざるを得ないのであります。外交交渉にあたりまして、あるいは暗号電報を使用したり、あるいは外交官もしくは大使館の不可侵の特権か認められておりますのも、この外交機密が国際的に尊重せられておるからであります。  次に、野党側が問題といたしておりまする刑事裁判管轄権につきましては、世界対等国間の場合におきましても、国際法原則によつて、一国の元首、外交官軍隊、軍艦は、外国におきまして外用の法権に服しないのであります。これはその職務を遂行するために必要であるからであります。いわゆる領事裁判権は、一国の国民全部が他国においてその法権に服しないことでありまして、これかいわゆる不知等国間の関係であります。従いまして、今回の行政協定によりまして、日本駐留米国軍か、ある種の事件につきまして日本法権に服さないことは、これは領事裁判権とは全然趣を異にするのであります。  今回の日米行政協定におきましては、国際法原則にのつとり、かつ現在アメリカイギリスフランス等との間に行われておりまする駐留軍地位に関する方式にのつとつておるものでありまして、日本か、駐留軍の取扱いに対しまして、イギリスフランス以上の地位を要求することはできないのであります。のみならず、先ほど本決議案趣旨弁明の際に笹森議員から指摘されましたか、今回の行政協定におきましても、重大な犯罪については、米国軍人の犯した犯罪についてもその裁判管轄権日本側に委譲するとの規定か含まれるわけでありまして、先ほど御指摘のギヤング事件のごときは、行政協定締結のあかつきにおいては日本側裁判権を持ちますることは明らかであります。  御承知の北大西洋同盟條加入国間の駐留軍地位に関する協定におきましては、今回の日米行政協定よりも駐留国権限制限して規定かあるのでありまするが、この北大西洋同盟條加入国間の協定は、昨年の六月調印されましたけれどもいまだ米国議会の批准がなく、効力を発生しておらぬのであります。従いまして、今回の行政協定におきましては、将来この北大西洋同盟條加入国間の協定効力を発生する場合においては、日米行政協定はこれに切りかえることが規定されておるのでありまして、今回の行政協定は、すなわち北大西洋同盟條加入国間の協定効力を発生するまでの暫定的の措置でありました、われわれはこれをやむを得ないものと思うのであります。  次に、野党諸君岡崎国務大臣不信任理由一つとしてあげておりまするのは、いわゆる非常事態の場合に処しまして、今回の行政協定においては、日米両国間で隔音なく協議をするということてあつて、具体的に米駐留軍出動條件をきめておらぬということを攻撃するのでありますか、北大西洋同盟條約第四條におきましては、「締約国は、いずれかの締約国の領土の保全、政治的独立又は安全か脅かされていると認めるときけ、何時でも協議する。」、こういう規定があります。こういう規定は、あるいは全アメリカ相互援助條約、アメリカ、濠州、ニュージーランド三国防衛條約というものにもすでにあるのであります。すなわち、そういう非常の事態が起きる場合には、関係国隔意なく相談をして措置をとる、こういう規定があるのであります。従いまして、今回の日米行政協定におきまして、駐留軍出動條件を具体的に規定することを避けまして、両国隔意なく相談するということは、これは国際慣例にのつとつたのであります。緊急の事態か起きた場合におきましての出動峰件をあらかじめ規定しておくということは、これは事態に即さないのであります。
  13. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 北澤君に申し上げます。申合せの時間も過ぎましたから御降壇を願います。
  14. 北澤直吉

    北澤直吉君(続) ただいま申し上げましたような理由によりまして、今回の日米行政協定におきまして駐留駐出動條件を具体的にきめないということをもつて不信任理由とすることは、われわれは絶対に了解ができないのであります。  以上の理由によりまして、私は自由党を代表しまして、岡崎国務大臣不信任決議案に反対するものであります。(拍手
  15. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 岡良一君。     〔岡良一登壇
  16. 岡良一

    岡良一君 私は、ただいま野党各涯によつて提出されましたる国務大臣岡崎勝男君に対する不信任案に対しまして、日本社会党立場から賛意を表するものであります。(拍手)  今や、この締結も間近と伝えられておりますところの行政協定は、聞けば聞くほど国民基本的権利国家主権にかかわるところの重大な内容を含んでおることは、すでに国民周知の事実であります。(拍手政府は、憲法第七十三條に恪遵いたしまして、国会に報告し、国会承認を求むべきが当然であるにもかかわらず、われわれをつんぼさじきにかり立てておいて、委任状も與えないところのわれわれから、多数の暴力をもつて白紙委任状を強奪せんとするかごときことは、明らかに憲法違反の暴挙であるといわざるを得ないのであります。(拍手)  過日、政府部内においても、その職責上当然政府法理的解釈を代表するところの木村法務総裁は、何と言明しておるか。行政協定安全保障條約の一部であり、その内容いかんによつて国会承認という処置も必要であると、明らかに言明しておるではないか。(拍手)しかるに、吉田総理岡崎国務相は、行政協定安保條約を履行する範囲できめられる事務処理であるから国会承認は要しないと、しらを切つておるのである。木村総裁が、真に法務総裁立場において政府法理的解釈を代表するものであるならば、当然政府国会に報告し、承認を求むべきである。それは国民常識の命ずるところではないか。  今日、全国民の待望久しき独立を迎えんといたしまして、政府か、かくのごとく国家主権国民基本的人権にかかわる重大なる問題を、白紙委任状をもつて一方的に強行せんとするかごときは、国民をしてその帰趨に迷わしめるばかりではない、実に国際的にわが国の威信を失墜することもまことにはかり知れさるものありといわなければならぬのであります。(拍手)われわれは、かくのごとき政府部内における意見の対立に対してもその責任を追究したいのではあるか、その張本人であり、秘密主義と、独善主義と、しかして叩頭百ぺんを事とするところの外務官僚の越権に対して、鋭くその責任を追究せざるを得ないのである。(拍手)  第二に、非常事態と、これに対するところの具体的措置というものか、まつたく不分明ではないか。かつて明治憲法においても、天皇が戒厳令を宣布するときには枢密院の語調を要したのである。  現行の法律においては、警察法によつて国家非常車群国家公安委員会総理大臣に勧告することになつておる。しかるに、明治審法においても枢密院語詞を要した戒嚴令というものに準ずべき非常事態に対し、その具体的措置が発生したときにおいて善処するというがごときは、まつたく無責任きわまるものではないか。(拍手)いわんや、その性格において何らわれわれの納得し得ないような合同委員会に白紙委任されるに至つては、まつたく国民国会を無視するもきわまれりといわざるを得ないのである。(拍手)  そもそも、非常事態といい緊急事態というならば、軍司令官のもとに立法、司法、行政の三権は掌握され、従つて国内政治も経済も、国民生活そのものか重大なる変化をこうむることは必至である。安全保障條約の明文にも明らかなるごとく、かくのごとき緊急事態に対し、一体指揮命令権限はいずこにあるのか、協力の具体的方式はいかなるものであるか、かかることを明快にせざるは、実に本條約をなめたる——政府與党とか本條約の根本的精神をまつたく踏みにじるところの、矛盾きわまる行動であるといわなければならないのである。(拍手)  第三には、刑事裁刊管轄権についても問題がある。今日軍服をまとつたところの外人のギヤングが横行し、これが国民感情を著しく刺激し、国民の不安を高めておることは、すでに政府諸君も御存じの通りである。今次協定の結果として、基地以外における軍人軍属あるいはその家族までも、彼らの犯した犯罪に対する裁判権をわれわれは一方的に放棄しなければならないというような、実に憂うべき事態か起ろうとしておるのである。これはまさしく明治初年における治外法権の再現ではないか。しかも、われわれの祖先か実に幾多の血を流してこの治外法権の撤廃を叫び、遂にわれわれの祖先の手によつてこれを撤廃しえたことは、明らかに歴史の示すところである。(拍手)にもかかわらず、歴史は繰返さずというか、今日また吉田内閣独善秘密外交のゆえをもつて最も不詳なる歴史を繰返さんとすることは、われわれは祖先の霊と子孫に対して何の面目あつてまみえることができるのであるか。(拍手)かかることを強行する結果といたしましては、国民感情不測の刺激を與えるはかりではなく、反米感情にかり立てて、将来の国際関係不測の暗影を與え、ひいてはまた国内不安と社会の不安を拍車することは必至であるが、これまた一にかかつて政府の重大なる責任であると断言せざるを得ない。(拍手)  かかる意味合いにおいて、国家主権を拘束し、国民基本的人権を蹂躪、侵害せんとする、また国民の生活そのものにも直接間接に重大なる影響を及ぼすがごとき本行政協定を、あくまでも秘密独善と、ほおかむりのもとにこれを強行せんとするところの岡崎国務大臣という当の責任者に対し、われわれは独立を期待し、自由を守り、平和を愛する全国民の名において、すみやかにその政治責任を明らかにし、すみやかに大臣たるの職を辞すべきことを心から警告いたしまして、私の賛成の討論にかえるものであります。(拍手
  17. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  18. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 起立少数。よつて笹森順造君外百二千名提出岡崎国務大臣不信任決議案は否決せられました。(拍手)      ————◇—————
  19. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 次に井之口政雄君外二十二名提出国務大臣岡崎勝男不信任決議案議題とするのでありますか、ただいま笹森順造君外百二十名提出不信任決議案か議決されましたので、審議を要しないものといたします。      ————◇—————
  20. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 日程第二昭和二十七年度一般会計予算日程第二、昭和二十七年度特別会計予算日程第三、昭和二十七年度政府関係機関予算、右三件を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。予算委員長塚田十一郎君。     —————————————     〔塚田十一郎君登壇
  21. 塚田十一郎

    ○塚田十一郎君 独立第一年の意義深い昭和二十七年度本予算三案の審議につき御報告申し上げることを得ますことは、私の光栄とするところであります。  本予算案は、去る一月二十三日予算委員会に付託せられまして、去る二月二十三日まて質疑応答か行われ、昨二十六日の委員会において討論採決をいたしたのであります。その間二日間の公聴会を開いて、各界十二人の公述人の意見を徴しました。予算案の重要性を反映して、質疑はきわめて真剣に行われ、審議は二十三日間にわたり、一般質疑だけに費された正味時間は六十四時間を越え、はるかに従来の記録を破つておるのであります。この長時間にわたる審議の詳細を各位に御報告申し上げることは、限られた時間においてよくするところではありませんので、逐次お手元に届きつつある会議録によつて、ごらんを願うことといたし、ここにはその概略について御報告申し上げることといたしたいと存します。 昭和二十七年度予算案の考察にあたり、特に注意を要する点は、本予算案の編成か一連国の占領下に行われたにかかわらず、その内容は平和條約発効後の日本、すなわち独立第一年のわが国の財政経済象として編成されたということであります。過去七年間にわたる連合国の占領状態から解放されて、国の自主性を回復することは、きわめて深い歴史的意義を持つものであるとともに、国民の心からなる喜びであります。しかしながら、その結果として、わが国は新たに諸種の国際的義務をになうことになるのでありまして、これか本予算案の中に現われておるわけであります。  第二は、予想されるわが国独立実現か、きわめて複雑微妙な国際情勢のもとに達成されるであろうという見通してあります。かかる情勢下において独立国となる以上、国際條約及び憲法に許された範囲において、治安の維持と国土の防衛とをみずからの手で行わなければならぬのであります。これか、本予算案の検討にあたつて留意しなければならない、いま一つの問題点であります。  第三は、独立わが国経済の自主的発展をはからねばならぬことであります。独立後も従来のごとく米国の援助を期待するということは、われわれの自尊心か許さないところであります。従つて、今後は、自立達成のためみずからの努力を費やさねばならぬことを覚悟しなければなりません。  昭和二十七年度予算案は、以上のような一般的條件のもとに編成ざれたものであることを、まず御了解願いたいと存じます。  予算審議の経過の説明に入るに先だち、一言言及しておきたいことかあります。それは、審議の劈頭、野党側委員より、本予算案は、財政運営の基本法である財政法及び会計法の改正法案が参議院において審議中で、なお法律として成立していないのに、その改正法律案に基いて編成され、かつその内容において憲法に違反すると思われる継続費を計上していることは明らかに違憲であり、従つて、かかる予算案審議に入ることはできないとの主張かなされたことであります。これに対する政府側の見解は、予算案かこれと関係ある法律案と並行的に審議されることは従来慣例的に行われているところであり、また継続費を設けることは必ずしも憲法精神に反するものではないというにありました。このように、予算案そのものの法的性格について若干の異論はありましたか、政府側の説明を了とし、かつ現実の必要から予算案審議を進めたのでありますが、財政法及び会計法の改正案は予算審議中に成立を見ましたので、この違法問題は事実上解消したものということかてきると思うのであります。  まず財政規模について見ますると、一般会計予算総額は歳出入ともに八千五百二十七億円で、本年度、すなわち昭和二十六年度に比較いたし五百九十億円余、比率にして七分五厘の増加となつております。しかし、これを国民所得に関連させて観察いたしますと、国民所得の一七%に当り、本年度とほほ同様であることがわかるのであります。特別会計予算の総計は、歳入一兆三千六百六十二億円余、歳出一兆三千百九億円余でありまして、前年に比し、歳入において三百七十億円の減、歳出において五百五十二億円の増となつております。また政府関係機関予算の総計は、歳入四千五百九十六億円余、歳出三千二百九十二億円余でありまして、本年度に比し、歳入で五百六十二億円余、歳出で六百六十五億円余がそれぞれ減少となつております。  次に、これら予算内容を御説明いたします。  独立第一年を迎える国民にとつて、二十七年度予算に対する最大の関心は、これか国の治安並びに平和にいかなる関連を有するか、また国民生活の維持改善にいかなる影響を與えるかということであろうと思うのであります。この観点、に立つて予算を概観いたしますとき、講和後の困難な諸情勢にかかわらず、国民負担をおおむね現状程度に維持することを目途として歳入の最大限を算定し、すべての歳出をこのわく内に納めるよう苦心せられた政府の努力は、高く評価しなければならないと思うのであります。  まず一般会計の歳入から申し上げます。総額八千五百二十七億の主要部分を占めるものは、租税及び印紙収入の六千三百八十一億と、千二百十三億の専売納付金とてあります。この両者を合せますと、総収入の実に九〇%に当つております。しかして収入で最も論議の焦点となつたのは、このうち税収入であります。本年度は補正予算を含めて五千六百八億の見積りであるものが、どうして国民負担を現状に維持しつつ七百七十三億円の増収を期待できるのであるか、税収の見積りは過大なのではないかというのが、その主要なる論点、であります。しかしながら、七百七十三億の増収のうちのおもなるものは、法人税の三百八十五億と、酒税の百四十五億とでありまして、酒税の増は造石高の増加に原因するのでありまするから、問題となるのは法人税だけということになるのであります。これに対する政府の説明は、この見積りは昭和二十六年九月以前一箇年間に終了した事業年度の申告利益を基礎とし、その後の生産及び物価の上昇の状況を勘案して算定したのであり、もちろん二十六年度中における特殊事情も十分考慮されており、また去る一月末現在における法人税の収入実績は千四百十九億に達しており、年度内には少くとも千七百億程度に達するものと認められているから、二十七年度は税率も二割引上げられることになつているので、決して見積り過大とは思わないというにありました。このように法人税に問題がないといたしますると、そのほかに通常最も問題の多い所得税は、本年度に比してわずかに五十九億、比率にいたしまして二・五%程度の増収しか見込んでおりませんので、収入の面には大きな問題はないものと考えられるのであります。  次に一般会計予算の歳出について申し上げます。歳出は、これを講和関係諸費二千三十三億と、内政費六千四百九十三億とに大別することができるのであります。歳出総額に対する比率は、講和関係諸費が三二%弱、内政費か七六%強であります。このうち講和関係諸費の内容は、防衛支出金六百五十億、安全保障諸費五百六十億、警察予備隊費五百四十億、海上警備費七十三億、連合国財産補償費百億、平和回復善後処理費百十億等であります。このうち最初にあげました四つの経費がいわゆる防衛費と呼ばれるものでありまして、その合計は千八百二十三億円となります。かりに昭和二十六年度における終戦処理費、警察予備隊費及び海上保安庁経費中の警備救難関係分の予算を防衛費と見るといたしますると、その合計は千二百六十五億円でありまするから、約五百六十億円の増加となるわけであります。しかして、国民の最大関心事の一つてある独立後の国の平和並びに安全の見通しは、この千八百二十三億の中に具体化されているため、これらの費目に関する質疑は、予算審議全体を通じて最も活発なものでありました。  これら費用の大部分は、目下協議中の日米行政協定決定いかんによりその内訳か明確になるのであるから、これが明らかにされるまで予算審議はできないという形式的な論議から、防衛費が歳出総額の二一%余に相当するのは、わが国経済の現状からして過度の負担はないか、また、かかる厖大な経費の計上は、実質的には再軍備であると言えるのではないか、警察予備隊については、その装備は国内の治安維持の限度を越えるものであり、これは明らかに軍隊であつて憲法に抵触するものである、しかも予備隊は来る十月以降保安隊に切りかえられるというが、これはいよいよ軍隊としての性格を明瞭にするものではないか、また外国の直接侵略という非常緊急の事態においては、予備隊は米軍の指揮下に入るのではないか、あるいは現在の国際情勢から見て、これは早晩海外に派遣されるようにならないか等の実質面の論議に至るまで、実に多数の論議が、角度をかえ、または人をかえて、この問題に集中されたのであります。  これに対する政府側の答弁は、行政協定は確定次第国会に報告する。折衝中の目下の段階では、その内容を詳細に報告できないのは遺憾であるが、行政協定の成立によつてこの予算に変動を生ずるようなことはない。費用の内訳が確定的に明細にできないのは、これら費用の性質によるものである。講和後の軍備を持たないわが国の安全及び平和は、世界の平和を愛好する自由主義諸国の集団保障機構によつて保持されるものであるから、この程度の防衛費の支出はやむを得ないと考える。しかしながら、国の治安と、ある程度の防衛は、みずからの手で行うべきが当然であるから、逐次警察予備隊及び海上保安庁を強化して自衛力の漸増に努める。しかしながら、それをもつてただちに再軍備であるというのは当らない批判であり、また自衛力の漸増が国民負担の過重を来すことのないよう今後とも政府は最大の注意と努力を拂うつもりであり、いな、むしろ将来経済力の発展に応えて国民負担になお余力を生ずる場合には、少くともその相当部分を国民生活の安定改善に向けたい。それから予備隊の目的はあくまで国内治安の確保にあるが、それにしてもこの程度の装備はぜひ必要である。十月に予備隊の名称を改めるつもりであるが、防衛隊と称するか保安隊と称するかはまた未定である。非常緊急の事態については、実はかかる事態が発生することのないようにしたいためにこそ米軍の駐留があるわけで、かりにそのような事態が生じた場合には、当然に日米両国の話合いによつて万事決定されることになろう。もちろん、予備隊は内閣総理大臣の指揮下にあるもので、外国の傭兵ではない。海外派遣については全然その話もないし、政府としてもそのような意図は毛頭持つていないということであつたのであります。  ここで平和回復善後処理費について一言言及したいと存じます。この費目は、本年度予算において繰越し使用を許されておる百億円を加えて、二十七年度に使用できる額は二百十億円となるのでありまして、賠償並びに外債の支拂いはこの費目から行われるのであります。  次に内政費について申し上げます。このうちの主要費目は、公共事業費千二百三十七億円、地方財政平衡交付金千二百五十億円、出資及び投資六百九十七億円、民生安定費五百二十二億円、食糧増産対策費四百二億円、文教関係費二百三十四億円、国債費三百十五億円、価格調整費二百七十億、戦死者遺族及び障害年金百七十四億円であります。これらの諸経費のうち、昭和二十六年度に比し増額を見ましたものは、公共事業費の二百四十二億円、国債費の百二億円、地方財政平衡交付金の五十億円、食糧増産対策費の九十四億円等であります。なお平和條約発効後の外交関係の復活に備え在外公館経費費三十二億円が計上してあります。国債費の増額のうちには、遺家族に対する交付公債の利子五十三億円が含まれております。一方減少いたしましたものは、出資及び投資の六百五十五億円でありますが、これは外国為替特別会計への繰入れにおいて四百五十億円か減少したのがおもな理由であります。しかして、その減少の理由は、二十七年度の貿易じりの見通しが、二十六年度のごとく多額の繰入れを必要としなくなる見通しであるというのが政府の説明であります。問題となりました学校給食は、二十七年度においては一般会計より支出することをやめ、食糧管理特別会計の操作による給食を継続することとなつております。  遺家族援護費は、世間一般には二百三十一億円といわれておりますが、その内訳は、前述の遺族年金百五十六億円、障害年金十七億円のほか、遺族一時金、すなわち遺族に対する交付公債の利子五十三億円その他の合計額二百五十六億円から、未復員者給與費、生活保護費等の二十五億円を差引き、結局二百三二十一億円となる計算であります。内政費のうちで最も審議の焦点となつたのは、この遺家族援護費であります。そのおもなる論点は、国家補償という基本的態度を明確にすべきである。またその額は、同じ敗戦国であるドイツが予算の二〇%程度を年々支出しておるに比し、あまりにも僅少であつて、長い間隠忍して来た遺家族の期待をまつたく裏切るものである、また講和條約の発効に伴い軍人の恩給も復活すべきではないか、さらに軍人家族のみに限ることなく、船員、被徴用者その他広汎な戦争犠牲者に対する援護の方策も立てるべきである等でありました。これに対する政府の答弁は、国家補償という考え方には同感である。また遺家族の方々のお立場には十分なる敬意と同情とを拂つているが、目下の財政事情においては、この程度の予算措置をもつてがまんしていただきたい。従つて、補償というにはあまりに僅少であるので、援護という表現を用いるのを適当と考える。しかし、今回の措置は、とりあえずとつたところの暫定的なもので、将来財政に余裕ができれば、当然これが増額に努力する所存である。また軍人恩給や戦争犠牲者の援護も重要な課題であることはこれを認めておるが、財政全体を勘案して、今回は軍人家族及び傷害軍人だけを取上げた次第であるということでありました。  元来、内政費は、これを求める国民立場から見ますならば、少しでも多いに越したことはないのでありまするし、できますならば、遺家族援護費は申すに及ばす、公共事業費、平衡交付金等ももつと増加いたしたい希望は委員会内にも強くあつたのでありまするが、国民負担の現状と、国の置かれている立場とを考えるならば、この程度でしんぼうせざるを得ないであろうというのが、委員会大多数の意向であつたようであります。しかしながら、内政費のうち遺家族援護費は、必ずしも金額の多寡のみが唯一の問題点ではなく、これらの人々に対する政府のあたたかい思いやりが一層望ましいのであるということは、公聴会の意見にも述べられていたところでありまするから、本予算の実施にあたつては、政府の気持の存するところが行政の末端にも十分に行き渡るよう万全の措置を講ぜられたいというのが、委員会全体の強い要望てあつたことを申し添えておきます、  そのほか、銀行のオーバー・ローンの問題、長期資金の問題、これらの解決策としての資本の蓄積の問題、さらに貿易の振興、ことにポンド過剰対策等、幾多の重要な経済問題か取上げられて論議されましたが、ここではその詳細は省略いたしたいと存じます。  以上が一般会計予算に関する重要事項であります。  次に、特別会計について簡単に御説明申し上げます。特別会計においては、財産税等收入金特別会計が廃止され、一方新たに特定道路整備事業特別会計が設けられまして、その数は合計三十三となりました。右のうち、新設されました特定道路整備事業特別会計は、道路橋梁並びにトンネルの新設、改良により便益を受くるものに対し通行料を徴收して道路網の早急整備をはかることを目的として創設されたものであります。  特別会計予算の歳出入金額か本年度に比して減少していることは前にも申し上げましたが、この減少は、主として食糧管理特別会計及び米国対日援助見返資金特別会計の減少によるものであります。前者の減少の理由は、輸入食糧のうち砂糖の買入費の減少によるものがおもなるものであります。また後者は、昨年六月末に援助物資が打切られましたので、二十七年度には援助物資特別会計よりの受入れがなくなつたためであります。  最後に、政府関係機関予算について一言いたします。政府関係機関のうち、閉鎖機関整理委員会は、本年三月末をもつて清算業務を停止し、委員会自体の残務整理に入り、九月にはこれを完結することになつております。また商船管理委員会も、二十七年度には清算に入り、年度末までに完了することになつております。  委員会における質疑は、さきにも述べました通り、二月二十三日をもつてこれを打切り、二十六日に三案の一括討論に入りましたが、総理大臣の出席要求をめぐり野党側委員の退場となり、採決の結果、全員一致をもつて政府の原案通り可決いたした次第であります。(拍手)  最後に委員長として一言申し添えることをお許し願いたいと存じます。本予算案は、内外の諸情勢きわめて困難なるときに編成されたものであり、これをこの時期において、国会審議のために提出されるまでに運ばれた裏面には、政府側に並々ならぬ苦心と苦労が存したことは想像にかたくないのであります。さればこそ、また大多数の委員諸君は、その形式及び内容において若干不備不満の点の存するにかかわらず、これを可決すべきものと判断せられたものと存ずるのであります。終始反対の立場をとられた野党側委員諸君の発言中にも、国民の希望を率直に表明せられて、内外世論の啓蒙に役立つた建設的なものかあつたことに対しては、衷心敬意を表する次第であります。しかしながら、一たび結論を得た以上は、與野党協力して、一旦獲得せられた地歩を踏台としてさらに次の段階への飛躍を期することこそ、国会と政党との国民に対する責務ではないかと存ずる次第であります。  激動を続ける内外の政治経済情勢は、戦勝国にも決して安易なる生活を許していないことは、諸君のつとに御承知の通りであります。ましてや、ようやく自立の段階に到達した敗戦国民のたどるべき道は、決してたんたんたる大道を行くがごときものであり得ないことは、国民の率直に了解されるところと存ずるのであります。企業は、その大、中、小を問わず、いずれもその経営は容易ならぬ困難に直面していることは、われらのよく承知しているところであります。農民並びに勤労者諸君も、これまたいずれもが、それぞれ苦しい生活を続けられていることも否定できません。  講和関係費、特に対外支拂いを伴う諸経費は、直接生産に関係の薄いものでありましてこれが増大することは、それ自身インフレーションの発生を憂慮せしめるものがあるのであります。また総額幾ばくに上るかもしれない賠償の大部分は、二十八年度以降の問題として残されているのであります。また戦争により従来の勢力圏を喪失し、その上戦後の疲弊から完全に回復しないまま国際経済の激甚なる競争に立向わねばならぬ関係上、貿易の前途には予想以上の降路が横たわつていることを銘記しなければなりません。  戦時中より戦後にかけて複雑かつ厖大化した行政機構は、これを放置するときはますます激化する傾向を有することが明らかであります。官紀の弛廃は、またようやく国民の関心事とならんとしつつあります。近来の頻発する騒擾事件は、国民をして国内治安の不安を感ぜしめているむとも、いなみがたい事実であります。よつて政府といたしましては、国内治安の確保、経済産業の育成に努めると同時に、綱紀の粛正、行政機構の改革等にも一層の努力を拂われたい。なほまた明年度予算の執行にあたつては特に愼重を期し、冗費を節し、あとう限り国民負担を軽減せられるよう格段の努力を拂われんことを切望する次第であります。  以上をもつて報告を終ります。長時間の御静聴感謝にたえません。(拍手
  22. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 質疑の通告があります。これを許します。川島金次君。     〔川島金次君登壇
  23. 川島金次

    ○川島金次君 私は、ただいま行われました予算委員長の昭和二十七年度の一般、特別両会計予算案委員会における審議並びにその結果の報告に関連し、若干の質疑を行いたいと思うのであります。この質疑に対しましては、委員長から答えられる範囲のものはもとより、さらに重大な案件でございますので、責任ある関係閣僚からの発言を特に要求いたし、その説明を要求いたすものであります。  まず第一にお伺いいたしたい点は、昭和二十七年度予算案における最も重要な経費として、千八百二十余億万円に上る防衛費が計上されております。しかも、この予算は、いずれも日米安全保障條約に基く日米行政協定とまつたく不可分の関係にあることは、いう選もありません。従つて、この行政協定全貌が明確にされません限りは、防衛費に関する限りにおいては、形式的にもまた実質的にも審議の方法がないということであります。これあるがゆえにこそ、吉田総理は、行政協定内容はいずれ予算案審議過程の上において明らかにするであろうと言明いたしたほどであります。しかるに、今日までその協定内容が明らかにされず、この重大な予算案に対し、一方的に審議を押しつけ、あまつさえ多数の力を頼んで遂に予算案の採決を強行した点は、まさに国会審議権と国民を無視し、民主政治を破壊する、専制独裁以外の何ものでもないといわなければならぬのであります。(拍手)この点について、まず賢明なる塚田委員長はいかに考えられておるか、またこれに関する関係責任大臣の明快なる見解を求めるものであります。  しかも、この行協政定の内容いかんは、わが国独立後における主権国民基本的人権、あるいはまた国民生活各般にわたつて重大な影響をもたらすものでありまするから、形式論はともかくとして、実質的には條約と何らかわりのない重要性を持つことは、きわめて明白な事柄と存ずるのであります。(拍手)しかも、今やこの行政協定の会談のさ中に国会は開会中であります。従つて、その協定内容については、逐次もしくは一括してこの国会に報告し、かつその審議を受けることは、責任ある政府の当然の任務といわなければならぬのであります。(拍手)  しかも、伝えられるところによれば、このわが国主権、人権、国民生活に重大なる関連を持ちまする行政協定が、今やとりきめの運びになつたと伝えられており、しかも昨日のごときは、各有力紙が一齊に行政協定全貌をつまびらかに報道しており、その報道はかなり有力な論拠があるように見受けられるのであります。もし伝えられるようにその全貌が内定いたしたとするならば、この機会にこれを本議場を通して国民の前に明らかにする責任政府にありと私は信ずるのであります。(拍手従つてただいまの委員長の報告においては、との問題が少しも明らかにされておりませんので、同時に責任ある関係大臣のこの機会における詳細なる発表をわれわれは求める次第であります。(拍手)  ことに本行政協定の実施に関しましては日米合同委員会が設置され、この協定の実施に関しては、おおむねあげてこの合同委員会に委託されるとの報道が伝えられております。この事柄は、きわめてわれわれ国民にとつて重大な事柄でありますので、この機会に、日米合同委員会の性格あるいは構成、あるいはその権限等はいかなるものであるかを、国民の前に明かにされたいのであります。  さらに重大な問題は、日米協定の中に明記されまするところの刑事及び民事並びに懲戒上の裁判権の問題や、日本国民が受ける不測の損害等に対する補償等の問題も、きわめてわれわれ国民生活にとつて重大な事柄といわなければなりませんが、これらの問題に対していかなるとりきめがなされるのであるかということについて、この機会に明かにされたいのであります。(拍手)  さらにわれわれ国民の重大な関心を呼んでおりまする点は、緊急非常事態に対する措置の問題であります。この必要なる措置については、伝えられるところによると、日米双方でいずれ協議せられるということでありまするが、一体非常緊急事態が起つてからあらためて双方が協議するなどということは、あたかも盗賊をとらえてなわをなうようなものでありまして、ここにこそ国民の不安の増大があり、いかにも行政協定秘密きわまるものであるという印象を国民に與えておりますることは、きわめて明白な事実であります。われわれは、この機会に、この重大な問題に対してせめて大綱なりとも政府はあるべきはずでありますので、この点に関する政府の明快な説明を要求するものであります。  さらに吉田総理大臣は、去る一日の予算委員会において、わが党の西村委員から行われました行政協定に関する質疑に対し、現在行つておる行政協定に関する会議は予備交渉であつて、正式の調印は講和條約が発効いたしてから後においてなすべきものであるということを、みずから言明されたのであります。これに反して、去る十三日、岡崎国務相は、同じくわが党の西村委員の質疑に対しまして、この行政協定は近く調印されるであろうと明言いたしておるのであります。一体、この重大な問題に関して総理大臣は、調印は講和條発効後であると言明いたしたに反して、一国務大臣たる岡崎君は、の行政協定は近目中に調印されるであろうということで、答弁にきわめて重大な食違いを来したのであります。どちらが本旨であるか。その見解についての閣内の重大な意見の不一致は、私どもはきわめて重大な、表裏相反するところの発言であろうと思いますので、この機会に政府の統一された見解を明らかにされることを要求するものであります。最後に、内政上の問題について一、二私は二の機会にただしておきたいのである。すなわち……。
  24. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 川島君に申し上げます。申合せの時間が参りましたから、簡単に結論を願います。
  25. 川島金次

    ○川島金次君(続) 政府は、本昭和二十七年度の予算を通じ、国民生活の水準は極力今後とも維持向上に力を注ぐと言明いたしておるのでありまするが、今や国民立場から申し上げますならば、このような国民生活に対する政府のから念仏だけを国民は望んでおるのではございません。論より証拠、一昨年以来ようやく国民生活の水準は若干向上をいたしまして、昨年の春には、戦前に比較して実に八〇%前後にまで回復を見たのであります。しかるに、その後における政府の財政、経済、金融、物価諸政策の失敗からいたしまして、今や憂うべきことには、国民生活の水準は、実に驚くなかれ、戰前に比較して七四%までに落下いたしたことは、まぎれもない事実であります。この事実こそは、今申した政府の財政、経済、物価、賃金、金融諸政策の失敗を表明いたしました以外の何もの零ないとわれわれは断言せざるを得ないのであります。はたして、今後政府は、予算委員会あるいは本会議を通じて国民に確約いたした国民生活の水準に関しての言明通りの確信ありやいなやを、われわれは明らかにされたいことを要求いたすものであります。  以上、私は予算委員長の報告に漏れました重大な事柄について質疑を行い、これに対する責任ある政府閣僚の発言と、その説明を求めるものでございます。(拍手)     〔塚田十一郎君登壇
  26. 塚田十一郎

    ○塚田十一郎君 川島議員のお尋ねのうち、私に関しまする部分につきまして、簡単にお答え申し上げます。御指摘のように、行政協定はまだその全貌予算委員会に明らかにされてはおりませんけれども、予算審議に必要な範囲におきましては、その都度々々政府側から明らかにされておりますので、これはこの程度で十分である。なお今後は、行政協定は外務委員会において明らかにされるであろうということを期待いたしております。  防衛費の明細が明らかでないという御意見に対しましては、相当程度本委員会に明らかにされましたことは、市島君も御存じの通りであります。これ以上明細にできませんのは、これらの費目の性質によるものであるということを委員長は了解いたしております。以上お答え申し上げます。(拍手
  27. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) これにて質疑は終了いたしました。  これより討論に入ります。早川崇君。     〔早川崇君登壇
  28. 早川崇

    ○早川崇君 私は、改進党を代表いたしまして昭和二十七年度予算案に対して反対の意を表する次第でございます。(拍手)以下数項にわたりまして反対の理由を説明いたしたいと思います。第一は、本予算案審議方式それ自体に対するものであります。皆さんの御承知のように、昭和二十七年度の予算の最も重要な部分をなすものは、防衛分担金と安全保障費等、いわゆる防衛分担の費用でございます。     〔副議長退席、議長着席〕 しかるに、政府は、の行政協定内容の十分な説明すら行わないのでございます。いわんや、この行政協定の結果必然的に生ずる費用の分担の明細に至つては、さらにわれわれの納得し得ないところでございます。  かような国民の納得し得ざる行政協定の、あいまいな、しかもいまだ協定締結されざる以前において、與党が多数をもつて予算案衆議院通過をはからんとするがごときは、まさにわれわれ国会の権威を無視するなのといわなければなりません。(拍手米国の議会において安保、講和両條約の上院の批准は、この行政協定の具体的な締結をまつて初めて両條約を批准せんとする、かような権威のある、真に民主的なアメリカ国会審議状況と対比した場合に、與党諸君が、今これを行政協定締結せずしてやらんとするこの態度こそは、わが日本国会を侮辱し、のみならず、講和條約によつてまさに独立せんとするわが日本の民族のプライドを傷つけ、民族の自主性を傷つけ、おそらくこの予算案に対して賛成投票をされる與党諸君は後世国民の重大な指弾を受けるということを、私はこの壇上において断言してはばからないのでございます。(拍手)真に国権最高機関たる審議権を重んじ、わが民族の自主性とプライドを尊重するならば、少くともわが国会は、行政協定の成立後においてその内容の検討を十分に行い、しかる後に賛否を決するのが妥当でございます。さらに諸般の事情で爾余の予算を急ぐというならば、少くとも行政協定に伴うこの防衛費だけは切り離して、補正第一号をもつて国会の賛否を問うのが、真に民主的なわが国会の権威を尊重するゆえんであろろということを、私は断言してはばかりません。  次に、一歩しりぞきまして、予算案内容についての反対理由を申し述べたいと思うのであります。  第一は防衛分担金の六百五十億円の内容でございますが、防衛分担金というものは、行政協定ができまして、駐留軍の兵力、駐留軍の基地というようなむのが真に明らかにならなければ、どうしてこれに伴う費用の予算が出て参りますか。かような、まこと矛盾したものを、われわれははあえて承認することはできません。さらに、政府がたびたび言明している日米折半の防衛分担金の負担も、わが国の方が百億多く負担しようというようなことは、断じて私は承認できないのでございます。  次に、第二の安全保障諸費五百六十億円に至つては、まつたくその内容は想像予算でございます。かつての東條軍閥の臨時軍事費的性格はきわめて明瞭でございます。今国民が血と汗によつて納めておるこの税金を、国権最高機関にある、国民の代表たる皆さんが行政府諸君にまったく白紙委任状を與えて、その内容審議検討しないということは、いかなる理由によるのであるか。銀行から金を借りるのでも、こまかい明細書がいることは、わかるはずであります。いわんや、金を借りるのではない。血と汗の税金から支出する三百何億という建築費は、何に使うのでございますか。かような想像予算を、白紙委任状をもつて、吉田さんに、どうかどうにでも使つてくれというようなことは、私は旧憲法時代の国会の域を脱しておらない、まことに恥辱にひとしい行為だと思うのでございます。当然この五百六十億は、費途の内容が明らかになるまで本予算案から削除すべきことを、私は主張するのでございます。  第三の問題は、防衛関係費が総額千八百二十三億円の巨額に上つておるのでございますが、この金額は予算全体の二一%でございます。国民所得全体の約四%に上るものでございまするが、かような巨額な支出というものは、世界の国際水準から見ましても、その内容において、実質において国防費支出と見なければなりません。しかるに、政府が、これをもつて依然として警察の予備隊的なものであると強弁して国民を欺瞞するのはちょうど日華事変をもつて戦争にあらずと言つた過去の悪い印象を引継ぐものでございます。(拍手)私は断じてかような国民に対する欺瞞は許されないと信ずるのでございます。むしろ、はつきりこの内容がそういうものであれば、自衛軍としての性格を明らかにすべきであると私は思うのであります。しからずして、費用のみをたくさん出して、濫費して、しかも魂のこもらない、似て非なる軍隊をいかにわれわれがたくさんつくつても、祖国の防衛はおろか、大規模の内乱に対しても、とうていこれを防ぐ力は持たないと私は信ずるのであります。以上が、防衛関係支出全般に関する私たちもの賛成し得ない理由でございます。  次に、経済関係予算についてのわれわれの見解を申し述べたいと思うのでございます。  第一点は、国民生活を圧迫することなくして防衛費の増大の要請にこたえるためには、言いかえれば、大砲かバターかという、この矛盾した二つの要請をいかにして調和して、大砲がバターを圧迫することなく均衡を保つということは、私はひつきようするに生産の増大、国民所得の増大にまたなければならないと信ずるのであります。しかるに、バターと大砲の、バランスのとれた安全保障を行うというこの段階におきまして政府が今唱えており、また実行して参りました、資本主義的な、自由経済的な浪費経済をもつて、はたして今後の生産増強することができるかどうかということは、私は断じてしからずと存ずるのであります。なぜならば、現在までは一応は何とか糊塗して参りましたけれども、今までのように、片方において一年間の日本の鉄鋼生産の量にひとしい鉄材を使つて、あるいはヒルができる、あるいはトルコぶろができるというような、いわば浪費経済の面に重要な資材が流れておつて、こつちの面においては電源開発がとんと進まぬというような、かような自由放任経済では、とても生産の増強は望まれません。さらに貿易政策をながめましても、現在の各中小企業、貿易商社の倒産その他の不況というものは、諸君も御承知のように、昨年の初めの皮革とか油脂とかいうものの、まつたく無計画きわまる輸入に原因しておるのでございます。さらに最近は、ポンドの過剰問題で、あわてて為替政策を変更せざるを得ない場面に立ち至つておる。さらに日米経済協力という面にお営ましても、製品で輸出しないで、鋼材をそのまま百万トン近く出そうという、無計画きわまる自由経済方式をもつてしては、バターか大砲かを調和して、国民生活を安定しつつ防衛力を増大するという、困難な講和後の日本の経済を担当する資格なしと、私は断ぜざるを得ないのであります。にもかかわらず、本予算案におきましては、あの特需景気によつて潤つた二十六年度の生産よりもさらに一〇%生産が増強すると見積つておる。国民所得においては、さらに八%の増大を期待しておる。法人税においては四百億円の自然増収を期待しておるというような実情でありまして、もう一度朝鮮特需でも日本に恵んで来るというようにお考えになつておるとすれば、まことに甘い、虎威に類した大蔵大臣であろうと私は思うのであります。次に私が反対せざるを得ない理由は、依然として本予算案におきましては財政と金融の均衡がとれておらないのでございます。言いかえれば、財政の面においては一応黒字均衡予算を潤んでおりますけれども、金融の面をながめましたならば、オーバーローン、貸越しの日銀再割引という、まことに不自然な不均衡赤字金融であるということは、皆さんも御承知であろうと思うのであります。かようなこの財政金融の矛盾をもつて、どうしてインフレを抑圧し——生産増強を達成することができるかどうかということを、私は疑わざるを得ないのでございます。  具体的な数字をもつて申しますと、産業投資において一千百八十五億円を計上しておりますけれども、これは二十六年度の予算よりも二百五十億少いのでございます。にもかかわらず、財政資金の中に含まるべき運用部資金、見返り資金を合しますと、驚くなかれ千四百二十五億円というものがリザーヴされて効率的にこの金を使わないで保存しているのであります。片一方の方は、オーバーローンで銀行があえいでいる。片一方においていかに一財政資金とは申せ、かような非効率的な、非能率的な貨幣を遊休せしめてまことに貧弱な日本の資金資材の現状において、はたして講和後真剣に日米経済の再建に取組もうとしているのがどうか、私はこの熱意を疑わざるを得ないのでございます。(拍手)  次に、私は食糧政策において反対せざるを得ないのであります。本予算案においては、食糧自給度の向上を、鬼の首でもとつたように高く主張しているのであります。しかるに、諸君よく聞いていただきたいのは、片一方において五百数十億円の土地改良費その他で食糧増産、食糧向上を唱えながら——右の手においては食糧増産だが、左の手においては、御承知のように麦の統制撤廃その他の措置を誤り、総額において年間四百万石の麦の減産を来しておるというこの事実は、矛盾にあらずして何ぞやということを私は申し上げたいのであります。(拍手)  さらに本予算案の基礎をなす米価の算定において、農民を欺瞞するもはなはだしいのでございます。なぜなれば、本予算の基礎になる米価は、二五五の指数によるパリティ計算になつておるのでございますが、この二三五のパリティ計算の中において占める肥料の価格の率は、驚くなかれ一千分の百三十より肥料というものを見込んでおりません。なるほど、衣料その他はダブついて価格が下落し、横ばいになつておりますけれども、終戰直後の農家はいざ知らず、最近の農家のほとんどの收入の中の支出は何かといえば肥料でございます。この肥料が高くなつておるので困つておりますけれども、千分の百三十より肥料を見込んでおらないということは、いかに農家経営の実態にうとい廣川農林大臣であるかということが私はわかるのであります。もしそれ二五五のパリティ指数を維持しようとするならば、どうしても低肥料を農家に円滑に配給するために、肥料需給調整の財政支出を当然見込まなければならぬのでございますけれども、本予算において何らこれに触るる二となきは、羊頭を掲げて農民に狗肉を売るにひとしいといわなければなりません。(拍手)次に私は、中小企業に対する本予算措置が、池田さんの性格そのまま、まことに冷淡だということを申し上げないわけには参りません。なぜならば、私は中小企業の竹本の産業におけるウエートを非常に高く評価するからでございます。皆さんも御承知のように、中小企業は日本の生産の四割を担当しているのであります。工場数の九二%、労働者において四〇%のものはこの百人以下の中小企業に雇われているのでございます。しかるに、かような日本産業の特殊性から来る中小企業の重要性にもかかわらず、本予算において一体どれだけこれに対して財政支出をしておりますか。まず皆さんに、ほとんど何らの措置を講じておらないということを申し上げなければなりません。  私は、中小企業のための予算支出をこの予算書の中から探すのに骨が折れたのですよ。皆さんに申し上げますが、まず中小企業信用保険特別会計の出資といたしまして、昨年度十億のものが、本年度五億に創られている。国民金融公庫六三十億円計上しております。ほかの面はどんどんふやしておりまするけれども、これは二十六年度より少しもふえておりません。三千億円に上るところの運用部資金並びに見返り資金の中で、牛小企業のための融資に充てられた金額は、驚くなかれ、運用部資金においてわずか二十億でございます。見返り資金においても、わずか二十億でございます。財政の運用部、資金部合せて——一兆数千億に上る予算の中で、全部を合せてわずか七十五億の財政融資まり見積つておらないということは、かつて大蔵大臣が、中小企業者の四人や五人自殺してもさしつかえないと言つた、あの冷酷なる自由資本主義政策の現われだと断じて、私は誤りではなかろうと思うのであります。(拍手)  次に、私の反対の理由を申し上げたいと思うのでございます。  戦後のわが国における社会問題の最大なるものは、皆さんもすでに御承知のように、戦争犠牲者の国家補償の問題でございます。この問題に関しまして、政府予算案内容は、公債において八百八十三億、一柱に対して五万円というものを一時金としてやる。さらに現金は、妻、すなわち未亡人において年間一万円、子供と父母、一組父母、孫はそれぞれ一人について年間五千円でございまして、全部合せまして二百三十一億円という予算を計上しておるのでございます。われわれは、八百八十三億円の公債と、二百三十一億という現金支出というものを目の前に突きつけられまして、池田大蔵大臣は、日本の財政事情から、これ以上の支出は絶対不可能であると言い張つたために、橋本前厚生大臣が辞職したようなはめになつたことは、皆さん御承知の通りであります。しからば、はたして池田さんの言うように、かような金額が日本の経済力、財政力からいつてぎりぎりのものであるかと言えば、断じてしからずということを私は申上げなければなりません。  例をドイツにとりましても、ドイツと日本とは経済事情はもちろん違いまするけれども、わずか四千七百万よりない人口の西ドイツにおきまして、一年間に現金支出において二千二百五十億円を遺家族に與えておるということを、われわれとしては無視できない。すなわち、予算において遺家族援護の金額の占める率はどうかと申しますと、全予算の二〇%、日本の二百二十一億円の現金支出は、全予算に対してわずか二・二七%という、まことに低い支出でございます。かようなことで、どうして全国一千万に及ぶところのこの遺家族のほんとうの同意と同情を得ることができるかどうかということは、一目瞭然でございます。ひつきようするに、この西ドイツの政治諸君と違つて、橋本龍伍君が言うように、六年間の占領政策の安易になれ、真剣に、講和独立後、日本精神的あるいは物質的独立をはかる場合に最も重要なこの遺家族問題に対して真剣に取組む情熱と、しかも関係連合軍諸国に対して、断固としてこの金額は低過ぎると言つて闘うだけの政治家としての勇気が池田さんになかつだということを、私は断言せざるを得ないのであります。(拍手)公共的な行為に対して、みずから身を犠牲にした人に対して、何ら十分な補償をしないというようなことでは、いやしくもロビンソンクルーソーの離れ小島ならいざ知らず、社会を結び、国家をつくり、村をつくつて行こうという場合K公のために犠牲になつた者に対して、ほかの人がこれを保障するという精神がわが日本国民全体からなくなつたならば、私は国家の滅亡であり、社会の滅亡であり、町村の滅亡であると断言してはばからないのであります。(拍手)  さらに私は、次に租税問題について反対の理由を申し述べてみたいと思うのでございます。税制改革の案をこの予算案に盛り込んでおりまするが、私はこれに対して重要な疑問と反対の理由を申し述べなければならないのであります。どういうことかといいますと、本予算案に盛られておるこの現行税制度というものは、御承知のように、シヤウプ博士が参られて、いわゆる英米式の直接税本位の税制度をもつて根幹にしておるのであります。しかしながら、私は、そのような直接税本位の税制度は、講和独立後の日本の資本蓄積その他を考えた場合に、幾多の疑問なきを得ない。欧州諸国の間接税中心の税制というものを顧みなければならないと思うのでございます。  しかしながら、現在の日本は、資本の蓄積の非常にゆたかな、しかも利益の多い英米流の税制度を採用いたしましたために、間接税に対する直接税の比率というものは、直接税が四千四百億円、間接税が専売益金をも含めて二千九百億円でございます。言いかえれば六対四の比率で直接税本位の税制度をとつておりますために、一般大衆に対する直接税の圧迫は、われわれ戦争前に経験しなかつたような重いものになつておるのでございます。言いかえれば、戦争前においては、直接税、いわゆる所得税は、現在の物価指数に直しまして二十四万円の基礎控除でありました。ところが、現在は基礎控除五万円というような状況でありまするから、いかに直接税というものが大衆課税の性格を帯びているかということは、皆さんも御承知かと思うのであります。従つて、今後の日本の資本蓄積その他を考えて、日本の税制は、間接税七、八割ということを採用しようというのではありませんが、少くとも直接税、間接税半々の併用主義によつて資本蓄積をはかり、国民大衆から直接税の負担を軽減することがわれわれの義務でなければならないのであります一(拍手)少くとも簡単にできることは、最低に見積りましても、中小企業、農民、勤労者に対する所得税五百億円の減税というものは、生活必需品以外の奢侈的なものに対する間接税の増徴によつて十分その目的を達するということを、私は申し上げなければならないと思うのであります。  さらに私は、もう一つ予算案の重大な欠陷として物価に対する見通しがでたらめであるということを申さなければなりません。本予算案に組まれておるところの公共事業費その他を見ましても、昭和十六年十一月の物価水準を基準にしておるのであります。さらに物価は横ばいになり、せいぜい二%ないし三%より物価は上らないという観点から、パリテイ指数は二五五という線をはじいておりますけれども、先ほど私が申し上げましたように、自由経済政策の浪費経済並びに厖大な防衛支出費の増大に伴いまして、このままの経済政策を続行して行きまするならば、おそらく、若干か、あるいは非常に大きいかは知りませんが、インフレになるということだけは、私は保証できると思うのであります。してみれば、公務員の給與改訂、食糧買上げ価格の増額等を考えて、いかに池田大蔵大臣が本年度内には補正予算は組まぬと強弁いたしましても、経済法則は、池田さんの頭の中のいかんにかかわらず進行いたしまして、補正予算必至という運命に立たされることを私は断言してはばかりません。(拍手)  以上、私はこの内容並びに形式について幾多の反対理由を申述べたのでございますが、最後に最も重要な点を申し述べまして、私の反対討論を終りたいと思うのでございます。それは何かといいますと、この八千五百億円の国民の血税による予算によつていろいろなことをやることになつておりますけれども、これが現在の政府官吏諸公のように、汚職に次ぐ汚職では、いかに国民が血税をしぼつて、これだけの税金を出しましても、この厖大な予算は死物化してしまうということを私は申し上げたいのでございます。(拍手) さて、しからばこの官吏の汚職事件はどういうところに原因があるかということを申し述べますならば、それはひつきようするに政治道義の低下ということでございます。政治道義の腐敗でございます。吉田総理大臣の政府は、みずから電力九分割という法案をつくつて、この法律によつてできた会社の社長に自分の女婿をすえる、側近の白洲さんをどこかの会社の会長にするというような、かような前例は、政党史上いまだかつてございません。李下に冠を正さずということを申しますが、かような、法律でできたものを死物化するような、こういう政治道義の政府では、汚職官吏の絶えないのはもつともでございます。(拍手)  さらに、最近皆さんにぜひとも聞いていただきたいのは、電通省の役人が、局長以下四百五十名も汚職事件を犯した。昔なれば、右黒さんの農相時代と聞きますが、部下の官吏が一人ちよつと赤化したために、ただちに閣議に辞表を提出したと聞いておりますが、部下の四百五十名が汚職事件に連坐しておりながら、便々としてこの大臣席におつて、佐藤電通大臣が辞表を提出しないということは、いかに政治家の道義が低下したかという証拠ではございませんか。(拍手)  さらに食糧統制撤廃に対しても、総理大臣責任をとらない。その他、あるいは大橋さんもそうかもしれない。ちよつと見ただけで、何か暗い影がさす。かような政治道義が低下した政府をもつてして——いかに八千五百万といえども、これは国民所得のおそらく相当部分を占める血と汗の結晶の予算でございます。かような予算を、汚職官吏が何ぼでも出て来ることによつて、自分のふところへ入れられるというようなことでは、どうして八千万国民諸君が納得しますか。私は、この政府のもとにおける限り、かような予算をこの政府諸公に使つていただくことを、国民的良心をもつて拒否したいのでございます。(拍手)  以上、私は予算審議の形式並びに内容につきまして、るる反対の理由を申し述べましたが、ここまで反対の理由が明らかになりました以上、われわれは断固として全面的に本予算案に反対をいたさざるを得ないということを申し上げて、私の討論を終りたいと思います。(拍手
  29. 林讓治

    議長(林讓治君) 小峯柳多君。     〔小峯柳多君登壇
  30. 小峯柳多

    ○小峯柳多君 私は、自由党を代表いたしまして、ここに上程されております昭和二十七年度予算各案に対し賛成の意を表明し、あわせて野党各派の反対論の批判をしながら、その理由を明らかにいたしたいと考えます。(拍手)   本論に入ります前にまず強調しておきたい点は、本予算案の背景をなす、わが国政治條件についてであります。サンフランシスコの会議以来、條約の発効を基礎づける批准の手続は、わが国のそれを手初めとして、諸外国の間に着々として進行し、待望の独立の日は文字通り目睫の間に追つていることは、御承知の通りであります。(拍手かくて、本予算案は、その編成も審議も占領下で行われながら、早ければその実施の第一日から、おそくともその実施のきわめて早期において独立予算に転移いたしますことは、明白なる筋道であります。国民待望の独立ではありますが、独立は同時に、わが国が経済的にもみずからの力と責任において生き、かつ国際的な義務を果し、さらに積極的に国際社会に貢献すべき使命をになうことを意味しますことは、これまたきわめて明瞭であります。現在依然として占領下にあり、ながら、来るべき独立の日に備えて諸般の準備を急激に進めなけばならないこ参の條件こそ、本予算案の背景をなす政治的な條件であり、しかるがゆえに、これが本予算案政治的性格ともいうことができると思うのであります。かかる政治的性格を持つ予算案なるがゆえに、その編成の困難でありましたことは容易に想像のつくところでありまして、以下述べるがごとき筋の通つた予算案が組み上りましたことは、もつて政府当局の労を大いに多としなければならないと思うのであります。(拍手)おそらく、いかなる当局が予算の編成に当りましても、右のごときむずかしい政治條件を考えるとき、これ以上の予算案を組み得ないことは、断言してはばからないところであります。(拍手)どちらかというと、むしろ野党的意識が強いと見られる国民経済研究協会の稲葉理事長が、本予算案に対し、お前は何点をつけるかと聞かれれば、最低九十点はつけるという意味のことを言つておりますことから考えましても、この見方は私の独断ではありませんで、大方識者の共通した見方であると申してよいと思います。  次に本予算案の特徴でありますが、第一点では、独立に伴う諸経費の急増と、独立の意識に燃える各部門からの積極的予算要求にもかかわらず、国民負担能力を厳正に考慮して、極力財政規模の圧縮に努めたことであります。  第二点では、右の方針のもとに、増税は絶対にこれを避けたのみならず、かえつてさきに決定した臨時的減税措置を平年化し、さらに進んで税負担の軽減と適正化を断行している点であります。  第三点では、従来の超均衡予算の行き方こそ、若干は訂正いたしておりますものの、依然として均衡予算原則を堅持して、インフレ回避策に不退転り決意を見せている点であります。  第四点では、以上のごとき方針を堅持しながらも、経済力を勘案しつつ、日米安全保障條約の精神に即してその責任を果し、かつ国内治安力の増強にも留意して、いわゆる自衛力の漸増の措置に出ていることであります。  第五点では、以上のだんだんの方針を堅持しながらも、政治の窮極の目標こそ民生の安定以外の何ものでもないとの観点に立つて、直接の民生関係諸費と、間接の民生関係諸費、すなわち経済力増強費に特段の意を用い、独立に伴う諸経費の急増にもがかわらず、前年度以上の内政費を確保している点であります。  以上述べた、本予算案に関する五つの特徴を要約して申し上げますれば、本予算案こそ国民負担予算であり、非増税予算であり、均衡予算であり、自衛力漸増予算であり、民生安定予算であるということになりまして、経済の独立に対して不可欠なるこの五つの條件一つの体系の中に結び上げているこの手ぎわは、どう謙遜しても謙遜し切れないものがあるといわなければなりません。(拍手)  ところで、われわれがかく推奨する本予算案に対し、野党各派は一齊に反対し、あるいは返上の態度をとつているのであります。もつとも、各派とも予算委員会を一齊に退場して委員会討論に参加しなかつたがゆえに、ただいまここで反対論を伺つた改推党以外の諸君からは正式な態度を聞く機会を持たなかつたのであります。しかし、ただいま改進党の反対論を伺いましても、伝えられる各派の態度について考えましても、予算案そのものに対する反対は案外低調のように思われてならないのであります。(拍手予算委員会における審議権を放棄するまでに思い詰められた野党各派の反対も、その主たる理由は、防衛関係費の内容が不明確であるとか、その内訳をきめる行政協定に関する政府の説明が不十分であるとか、行政協定内容が不適正であるとかの点にあるのでありまして、予算そのものの構成や性格に対しての反対はさほど強いものでなく、むしろ心中大いに賛意を表しているかに見受けられるのであります。(拍手)  もつとも、予算案そのものに対する反対も皆無ではありません。社会保障関係費が不十分であるとか、防衛関係費を全額削除して民生費を増加すべきであるとか、警察予備隊費を二十六年度程度にとどめ、その他の防衛関係費はこれを民生費に振り向けるべきであるとかなどその例でありますが、しかし、さきに述べだ本予算案の五つの特徴に対しまして決定的な反対論になつていない点を見落してはならないと思うのであります。けだし、本予算案に対する野党各派態度の中には、その立場上難くせはつけましてもう独立第一年の予算案としては、本予算案がきわめて手ぎわよく編成されていることに対し、心中ひそかに敬意を拂つているからではないかと思われるのであります。(拍手)  かくて、野党各派の本予算案に対する反対も、本予算案の五つの特徴中わずかにその一つである自衛力漸増予算の面に集中されていることがわかるのであります。野党各派がいかに政略的にものを考えましても、国民負担予算に対し、非増税予算に対し、均衡予算に対し、民生安定予算に対し反対できるはずはないと思うからであります。そこで問題は、もつぱら本予算案中、自衛力漸増面に対する野党各派の反対を取上げて批判反駁すれば、本予算案に対する野党の反対論を抹殺することになると思うのであります。   さて、政府の自衛力漸増方針に対する野党各派の反対でありますが、その反対には、自衛力漸増方針そのものに対する反対と、自衛力漸増方針に基く防衛関係費が過大であるとの予算額に対する反対と、さらに駐留軍内容をきめる行政協定が不合理かつ一方的であるとの行政協定に対する反対とに整理することができると思います。  最初に自衛力漸増方針そのものに対する反対でありますが、同じ反対でも、改進党の諸君が、明白に自衛軍を創設すべきであるのに、自衛力漸増というがごとき、あいまいのやり方はとらぬところで、むしろ堂々と自衛軍の創設に乗り出すべきであると主張するのに対し、社会党の両派は、政府は自衛力漸増の名において実質上の再軍備に乗り出しているが、これはわれわれの断固反対するところであると主張しているのであります。しかし、右二つの反対とも、現実に政権を担当して責任を持つて国運を双肩にになう政府及び與党立場からすれば、一顧の値打もな心公式論であると申さなければなりません。(拍手)諸般の事情かち、今ただちに自衛軍の創設に乗り出すべきでないことと、さればといつて自衛力漸増の方針を一擲して防衛力を空白にすることはなおさら許さるべきでないことは、すでに国民常識にさえなつているのであります。政府及びわれら與党は、かかる国民感情を熟知いたしますがゆえに、非武装中立のから念仏を排するとともに、一方また性急なる自衛軍創設にも反対し、現下わが国の経済力と社会的條件に適応した自衛力漸増方針以外、絶対にとるべき策のないことを確信するものであります。(拍手)すなわち、将来の問題としましては別といたしましても、当面、内に対しては予備隊を整備充実して治安力を確保し、外に対しては近代装備を誇る米国駐留軍の力を借りてこの自衛をはかる、この漸進方針以外、現実にとり得るいかなる方針かあるとお考えになりますか。  なおこの問題に関連して一言触れておきたい点は、政府か自衛力漸増方針の一環として、憲法の條文に照しつつ予備隊の整備充実に努力していることを目して、野党諸君か軍備なりとなす、不見識な言動に関してであります。軍備は相対的なものであります。相手のもつ装備を考慮せずに、機関銃を持つから軍備だ、高射砲を持つから軍備だというがごときは近代装備に対する認識不足もはなはだしく、最近の進歩せる諸外国の軍備を顧みるときは、予備隊の整備充実こそ治安力増強策以外の何ものでもないことがわかろうと思うのであります。  なおこの際特に強調したい点は、政府が国内治安力の充実のみを念願して進めている予備隊の整備充実に対して軍備呼ばわりをすることの国際的反響についててあります。わが国の新生再出発にあたつて、かつての軍国主義の復活を懸念ずる国なきにしもあらざる今日、国会における言論か、むしろその懸念を増すがごときことありとすれば、国家のため、とらざるところであります。(拍手)少くとも真に国を憂える立場からは、その言論に愼重を期さなければならないことと考えるのであります。野党諸君の言論の中に、この愼重さありやいなや、あえて借問したいのであります。(拍手)  次に、自衛力漸増の名において計上している防衛関係費千八百二十三億円は、一般会計歳出に対して二一%にあたり、いかにも厖大であつて、かかる厖大な経費の計上こそ民生を圧迫する最大の原因なのであるから、これを削除すべしとの、予算額に対する反対であります。しかし、最小限度の防衛費は、国の独立を期する以上当然のことでありまして、その最小限度の費用につきましては、わが国周辺に起りつつある、なまなましい教訓から、国民は先刻了解をしておると信ずるものであります。しかも、予算総額に対する二一%の防衛関係費か必ずしも大きなものでないことは、世界各国の軍事費とわが国の防衛関係費の比較で明白な回答か出て来るのであります。すなわち、一九五一予算年度において、各国の軍事費かその予算総額に占める割合を計算してみますると、イタリアの一八%を最低に、フランスは二六%イギリスが三五%、アメリカが五六%を計上し、さらにアメリカにおいては、一九五二予算年度においては、実に六〇%を計上しているのであります。わが国の二一%は、かかる各国の例と比較いたしまして、決して高いものではなく、むしろ独立国としての責任と誇りを保つ最低水準のものであることが理解されなければならないと思うのであります。  次に行政協定内容に関する反対の問題でありますが、この行政協定が一方的であり、不合理であり、またアメリカに引きずりまわされておるかのごとき議論も多いのでありますが、かかる言論こそその真実をゆがめるもはなはだしく、かつ好意に結ばるべきアメリカ感情を傷つける懸念の多いことも思わなければなりません。何となれば、友好と信頼のうちに会議が進められて参りましたことは、政府のしばしば言明して来たところであり、また日米安全保障條約の精神からいいましても当然に考え得られるところであります。口に自主独立を唱えながら、内に確固たる自負と自信を欠くときは、とかく被害妄想にかかつたり、劣等感に階つたり、神経質になりがちなものでありますが、行政協定の非を鳴らす野党諸君の中にこの傾向なしとすれば、はなはだ幸いであります。(拍手)われわれは、自主独立を金切り声で叫ぶようなことはいたしません。普通の声で、普通の調子で、談笑裏に独立の自負と自信を打出して行くことこそ新生日本のとるべき自信ある態度といわなければならないのであります。(拍手)ま九行政協定に関して、その内容の明示が予算審議の過程において適正に行われなかつたという野党側の言い分は、外交交渉の慣例的技術を知らざる者の言であつて政府としては、時々刻々、委員の質問に答えて、そのときまでにまとまつた内容と方向を明らかにして来ましたことは、予算委員会に出席をした大方の予算委員の認めるところであります。(拍手)  以上、だんだんに昭和二十七年度予算各案に対する賛成の理由を明らかにして参りましたが、最後に結論として、二十七年度予算各案は、公平なる第三者が最低九十点の評価をするほど、占領下から独立への橋かけ予算としては上々のものでありまして、しかるがゆえに、予算案そのものに対する反対は、さすがの野党諸君といえとも低調をきわめ、その言論はかえつて政府案の妥当適切なることを裏書きした結果になつておるのであります。(拍手)また野党か口をきわめて非難する自衛カ漸増方針も、わが国現下の経済力と社会的諸條件を考えるときは、この行き方以外にいかなる方法もなく、しかるかゆえに、国民は、野党のからまわり論議をよそに、すでにこの点を了解済みであるのであります。また野党が非難を集中した行政協定論議も、そのできばえの結果からいうと、むしろひとり相撲になつてしまつて、その論議に予算案審議の大方の時間を空費したあと味の悪さだけが残つているのではないかと思うのであります。(拍手) これを要するに、野党諸君にして一片のスポーツマンシップを解し、またわが国を取巻く世界の情勢に活眼を開くならば、占領から独立へという困難なる政治的諸條件のもとに、これだけ筋の通つた予算案を組み上げた政府の努力に対しましては、党派を越えて拍手を送るべきものと考えますが、野党諸君の御心境はいかがでありましよう。  私の討論はこれて終ります。(拍手
  31. 林讓治

    議長(林讓治君) 西材榮一君。     〔西村榮一君登壇
  32. 西村榮一

    ○西村榮一君 私は、日本社会党を代表いたしまして、本予算案に反対の討論をいたすものであります。  私が反対いたしまする第一の理由は、本予算案の歳入の見積りが過大であつて、ずさんであるという点であります。昭和二十六年度の国民所得よりも、二十七年度の所得に対しまして、政府は一二%の見積りを余計盛られたのてあります。しかしながら、先ほど改進党の代表か申し述べられましたように、この一二%国民所得が増して行く要素は、本年度の予算の中にはどこにもございません。昨年の一月に生産は頂上を越えまして、今は下り坂であります。また賃金は昨年の一月より五・七%下降し、雇用量は四・四%落ちておるのでありまして、かような條件のもとにおいて一二%国民所得がふえるということは、一体いかなる根拠に基かれておるのであるかということを考えてみまするならば、これは昭和二十五年の六月に発生いたしました朝鮮事変以来の特需景気か、あるいは昭和二十七年度に、形をかえて、もう一ぺん国際情勢の上に出て来るのてはないかという偶発的事実を当てにした、きわめてずさんきわまる、かつての太平洋戦争において、東條軍閥が必勝の信念のもとに天佑神助を当てにした神風予算であると申さねばならぬのであります。(拍手)  この過大な予算案の歳入の見積りはどこに無理があつたかと申しますと、それは歳出の無理から歳入を過大に水増ししたのにすぎないのであります。その歳出の大なるものは、防衛分担金六百五十億円、安全保障諸費の五百六十億円、あるいは対日援助費を債務なりとして償還計画をいたしましたことによりまして、これは無理な歳出を隠蔽せんがために歳入の過大な見積りと相なつて現われて来たのであります。  この際考えてみなければならないことは、たとい二百十億円の対日援助費の債務の償還にいたしましても、これを債務として見るのであるか、援助として見るのであるかということは、将来の国民経済にとりまして重要なる影響を持つのであります。本年度提案された二百十億円の償還費は、これは氷山の一角であります。対日援助費は申すまでもなく、終戦以来七年の間、日本終戦條約において義務づけられました占領軍の負担をする反面において、日本の貿易を封鎖し、海外の取引を封鎖し、自由なる活動を封鎖した結果、同時にポツダム宣言の條項従つて日本国民の平和的生活を保障するというこの條項従つて終戦処理費は日本において四十七億ドル負担いたしました。対日援助費は、二十一億ドル援助を受けました。  従来、日本国民は、これは日本に対する援助なりとして感謝感激の決議案諸君自身が濫発しておつたのでありますけれども、今日対日援助費は債務なりとして償還せなければならぬといたしますならば、一体その債務はいつ生じたのであるか。今日の日本憲法八十五條の規定するところによれば、国が債務を負うときに、それは国会承認を経なければならぬということになるのであります。この国会承認は借金をした後における事後承諾ではないのでありまして、事前に予算計画書を提出して国会承認を経なければならないのにかかわらず、現内閣は、債務を生ずる件について国会に対する承認の手続を一体いつとられたか。  池田大蔵大臣は、これに対し、債務と援助とは同一であるという御答弁をなすつたのでありますけれども、常識ある人は、この池田大蔵大臣の頭脳を疑います。債務とは借金であり、援助とは贈與であるのでありまして、債務と贈與と同一であるという根拠はどこにもございません。しかりといたしますならば、予算委員会において、日本が対日援助費を債務として返したときに、アメリカではどういう収入になるかということを聞きましたところが、それは雑収入になるという御答弁であります。諸君、雑収入というものはもろもろの收入であつて、これは国内に限定される財政の扱い方であります。国家国家との間における金の出し入れというのは国際條約によつて決定されるのであつて、国際間の取引において雑収入などということは断じてあり得ないということを銘記しなければならないのであります。この点から考えてみますならば、対日援助費といい、あるいは防衛分担金の無理な支出といい、この無理な支出が結局歳入の見積りの過大と相なつたと思うのであります。  私がさらに反対せんとする第二の理由は、防衛分担金六百五十億円、安全保障諸費五百六十億円、一括して千百十億円はどこに使われるかと申しますと、これはアメリカ駐留軍に一括して渡して、政府はその支拂いの報告を受けるということにとどまつておるのであります。しからば私は問わん。現在の日本憲法によつて規定されておる財政法三十二條、三十三條は何を規定しておるか。これは各省の局、部の費目の流用を厳禁しておるところの財政法であります。なぜ財政法三十二條、三十二條、三十四條においで費目の流用を禁止したかと申しますならば、かつて日本において、東條軍閥が審議権を抑圧し、国民の税金を臨時軍事費の名のもとにおいて、かつてに流用した過去の経験に懲りまして、財政法三十二條、三十三條、三十四條は費目の流用を禁止したのであります。過夫の日本軍閥の専横に懲りて新憲法によつて財政法を制定された今日の国会が、再び外国軍隊によつて同一なる悪例を與えんとするのが、本財政法三十三條の欠点であると申さねばならぬのであります。  これを考えてみまするならば、本予算案に盛られましたように、世界各国において、他国の軍隊がその国に駐兵する結果、その国が外国軍隊に対して防衛分担金を負担した歴史はございません。ひとり日本だけであります。西欧各国は、アメリカの駐兵に対して、その費用を分担しておらないのみならず、反対に一八%ないし二四%の軍事援助費を受けております。  つらつら考えてみるならば、今日日本が無防備状態に置かれていることを世人は指摘いたしまするが、しからば諸君日本はなぜ非武装状態に置かれたか。七年前に、日本に対して一ちょうのピストルの所持をも許さずして、徹底的に武装を解除したのは、日本に対して正当防衛的武装解除をいたしましても日本の平和とアジアの安定が保たれるというアメリカのアジア政策によつて日本は正当防衛なる武装も禁止されたことを、日本国民は銘記しなければならないのであります。しかりといたしますれば、ここにアメリカが七年たつて日本に武装をさせなければ日本の平和とアジアの安定が保たれぬといたしますならば、これはアメリカ世界政策あるいはアジア政策の一大転換だと申さねばなりません。日本は、アメリカのこの世界政策の大転換に際しまして、多くの考えさせられることがあるのであります。アメリカ世界政策の転換によつて日本が人間的にも財政的にも今日の自衛力の漸増計画の予算を持ち、あるいはアメリカの防衛費の分担をする能力が今日の日本の財政の上にあるかないかということを私ども考えてみまするならば、本予算案はもつと愼重に考えるべきであると思うのであります。  私の指摘せんとするところは、單に千二百十億円のこの防衛分担金だけではありません。昨日公表された行政協定には何と書いてあるか。従来の占領政策よりもまさるところの軍事的施設、生産施設国家公私の財産の徴用が明確に規定されておる峻烈なる規定を考えてみましたならば、この新しい行政協定によつて生れます日本の生産施設、軍事施設の徴用は実に数十億ドルに上るのでありまして、千二百十億円の防衛分担金は氷山の一角といわねばならぬのであります。今日この予算案に軽々に賛成するということはその背後に控えている多くの問題を考えてみまするならば、私どもは、これは明らかに戰勝国による暴圧に対し、日本民族は憤慨禁じ得ざるものがあると申さなければならないのであります。  しからば、吉田総理大臣あるいは岡崎国務大臣が提唱せられるごとく、昨日並びに今朝の新聞において公表せられたる行政協定締結するところの権能が、はたして政府にありやいなやということを考えてみねばなりません。行政協定の問題を規定しておりますものは、日米安全保障條約第三條に存在いたしておりまするが、その日米安全保障條約第三條には、アメリカ合衆国の軍隊の、日本国内及びその付近における配備を規律する條件両国政府間において行政協定せんとするのであると規定されておるのであります。この第三條に盛られていることは、合衆国軍隊日本並びに日本の周辺に駐留する場合の規定を限定するのでありまして、国民権利義務憲法に抵触する大幅な條件、これを決定する権能政府に與えておらないということは明らかであります。  しかも、その中に問題になりますことは、国権の中心である裁判権の制約、非常処置による憲法との抵触、予算の問題、これを考えてみまするならば、政府はしばしば本條約は北大西洋條約の行政協定にモデルをとつておるといわれるのでありますが、しからば北大西洋條約第十八條に何と書いてあるかと申しますると、本協定は各国の憲法規定従つて批准條項が伴つておるのでありまして、日本だけがなぜ批准を要しないでこれを調印しなければならないか。  ここに政府がいう属人主義なるものを考えてみまするならば、この属人主義というものは、かつて帝国主義的植民地支配の一形態として存在いたしました領事裁判制度の一変形であるということは、あまねく人々の認識するところであります。(拍手)本協定は、各国の前例を考えてみまするならば、かつて約百年前、阿片戦争において中国かイギリスに破れまして以来、諸君御承知の通り、上海その他において中国では現存いたしました。これは属人主義とは領事裁判権の一種であるのでありまして、日本においてこれを考えてみまするならば、九十余年前、安政五年七月の二十九日に締結せられました江戸條約には、一体何と書いてあるかと申しますると、日本人に対し法を犯せしアメリカ人は、アメリカ領事裁判所にて吟味の上、アメリカの法度をもつて罰すべし、これか皆さん、アメリカ属人主義であります。九十数年前に、江戸條約の名によつて日本人に対して法を犯せしアメリカ人は、アメリカ領事裁判所にて吟味の上、アメリカの法度をもつて罰すべしというのが安政條約であるといたしまするならば、今政府締結せられんとするところの行政協定属人主義とどこに相違があるかと言わさるを得ないのでありまして、(拍手)その安政條約が結ばれて以来二年たらずして、この江戸條約こそは屈辱的條約である、植民地的條約であるというので、当時の勤皇の志士は奮起いたしまして、遂に桜田門外の変となり、安政の大獄となつたことを、現内閣は銘記しなければならぬと思うのであります。私は、ここにおいて現内閣属人主義という思想の背後に隠れておるこの屈辱的條約というものを考えてみまするならば、わが国はここに独立か隷属かの運命の岐路に立つておると申さねばなりません。  私は、これを考えてみますならば、わが国の前途に対して多くの戦争を禁じ得ないのでありますけれども、最後に私の吉田内閣に申し上げたいことは、去る一日の予算委員会において、吉田総理大臣は、木行政協定は今は予備交渉の段階であつて従つて正式調印は講和條約成立の後にする、ということを言明せられたのであります。しかも、過日フランドレー統合参謀本部議長は、アメリカの上院において、行政協定締結されなければ講和條約の批准は成立しない、ないしは拒否すべきであるということを証言せられたのであります。日本政治責任者と、アメリカ軍部の責任者との考え方が、かくも食い違つた結果は、こういうものが現われて来たかと申しますならば、ここに吉田総理大臣の言明を裏切つて、現実は予備交渉の段階から正式調印の現実に迫つたということを今日考えてみなければなりません。  私どもは、吉田総理大臣が、なせ今は予備交渉であつて、正式調印は講和條約の発効後になすのであると言明されたかということを考えてみまするならば、それは講和條約から安全保障條約、安全保障條約から行政協定という順序をふんでこそ初めて行政協定か成立するのであります。しかるに、行政協定か先にてきて、講和條約が成立するということは、これは本天転倒するのでありまして、さすがに吉田総理大臣は、政治的良心によつて委員会において問い詰められるや、これは予備交渉でてあつて、正式調印は講和條約の発効後にいたしますという答弁をされたのであります。これは吉田総理大臣の政治家としての一片の良心を物語つておる。しかるに、今日行政協定か調印されようとするのでありますけれども、この行政協定は、政府の主張するごとく、かりに国会承認を得ないといたしますならば、調印と同時に効力の発生する條約であるということを考えてみますならば、現在は予備交渉であり、将来講和條約が成立して後に初めて行政協定の調印をするのであるという吉田総理大臣の言明は、明らかに裏切られておるということを申さねばなりません。(拍手)しからば、それに対して、吉田総理大臣は、みずからの政治的信念、みずからの言明を現実において裏切られんとするならば、一体いかなる政治責任をとられんとするのであるか。私は、この際吉田内閣かとるべき道は、今日の日本政治の運命の岐路に立ち、祖国の運命の岐路に立つておる現実を考えてみまするならば、この二月一日の、現在は予備交渉であつて講和條発効後に初めて調印せられるのであるというこの言明を裏切られた上からは、吉田内閣のとるべき道は三つしかありません。第一は、総辞職をして、みずからの政治的良心に忠ならんとするか、第二は、議会を解散して、民意にこれを問うか、第三は、この国会を通して、天下民衆に自己の政治の不明をわびるか、この三つ以外にとるべき方法は断じてありません。(拍手)私は、吉田総理大臣か政治家として一片の良心があるならば、一体この三つの方針のいずれをとられんとするのであるかということを問わざるを得ないのであります。  私か最後に申し上げておきたいことは、この講和條約が安全保障條約に送られ、安全保障條約から日米行政協定に送られ、日米行政協定から、重要なる部分を了解事項に送られ、次から次へと白紙委任状を渡すがごとき、国会審議対象の外に日本の国政の大きなものを置かんといたしましても、それは将来の日本の運命をまかすわけには参りません。かりに、これは了解事項であるといたしましても、その了解事項は、国と国との契約でありまするならば、当然これは国際條約でありまして、この国際條約を結ぶにあたつて国会の協賛を経なければならないということは、法治国家として当然の任務であると言わざるを得ないのでありまして、これを考えてみるならば、政府衆議院の絶対多数を頼んで、了解事項の中に逃げ込んで白紙委任状をとろうといたしましても、それは八千三百万の民衆の目をごまかすわけには参りません。同時に、あすから審議されるところの参議院において、この吉田内閣のとるべき行政協定に対する態度、それに付随するところの予算の盛り方、これに対して黒白が明らかにされるであろうと思うのでありまして、重ねて私が吉田内閣に直言せざるを得ないことは、一日の速記録をもう一ぺんごらんになればわかります。行政協定の正式調印は講和條約の成立した後においてなすという言明が現実に裏切られておるならば、乞う、吉田茂氏、一片の政治的良心かあるならば、総辞職をするか、国会を解散するか、天下万民に国会を通して謝罪するか、この三つの方法をとられることこそが吉田氏の行くべき道であるということを申し上げまして、私の予算反対の討論を終る次第であります。(拍手
  33. 林讓治

    議長(林讓治君) 横田甚太郎君。     〔横田甚太郎君登壇
  34. 横田甚太郎

    ○横田甚太郎君 国破れて国会あり。ここに一つの不審が残る。自由党諸君、この予算を通してはならない。多数を擁して予算を通すだけが政治ではない。過ぎし日本の、ついこの間の思い出に、翼賛政治関係し、この国と、おのれ自身を滅ぼした、なまなましい戦犯政治の記録かある。戦後、日本の目標は、この道から脱却することであつた。  しかるに、日本の現実は、議会を持ちながらポツダム勅令が頻発され、日本予算を組むにも、米機がドツジを自由党の上におろさぬ限りはきめられない。占領下、日本の議会こそ、アメリカ日本支配のための、この上もなき便利な飾り物であつた。日本の権益を守ろうとするものか、どうして日本国会をこのような翼賛議会————————のままで放置しておけよう。国会日本国民の手に取返さねばならない。われわれは——————として、今わずかの生をむさぼるより、苦しくとも未来に長き日本の繁栄のために、生死をかけて戦うのだ。  今投げ出されたこの予算案は、アメリカ資本のもうけのために、世界の原料をアメリカヘ、アメリカの余つたものの有利なはけ場のためのアメリカ市場の獲得を意図している、貪欲なドル資本のあがき苦しむ日本版である。不合理な、くずれ行く現世界秩序を維持しようとあせるアメリカにつながり、日本に何の利かあるのだ。外米の援助だ、輸入だと喜んで食つている間に、われわれの借金はかさみ、皮の中につまつた肉のかたまりとして、ドル資本のために働く奴隷になり下つてしまつたのだ。  この現状に屈せず、日本人としての気魂を持つているものの叫びが今の日本の良心である。これかやつかいがられているのが治安問題だ。われわれは、米国のために日本を東洋の孤児とすることに反対する。日本の財と人命中にたたき込み、日本の嘆きを再び繰返しては、あすの日本人に済まない。  戦後の世界日本に課した占領の目的は何か。戦争によつて膨脹した日本に、今後の世界の戦争は、玄武門と原田電吉、乃木将軍とステツセル時代の戦争とは違う、勝つた英国さえが苦しんでいる姿を見ろ、戦争はもうからないものだと教え、日本政治経済の仕組みを民主化し、人と人との間に基本的人権を確立し、平和な日本を再建させるのが目的であつたはすだ。  生活のために未亡人か操を売り、天皇のために戦つて白衣着る不具の人々が、楽器をかかえて、こじきをしている。心中、パンパン、職を求める日雇い労務者の群れ、統制と供出があつて、やみ米かやつと農業生産を保障している。配給の酷さに苦しむ主婦のやりくりをよそ目に、高級料理店に美食が並び、日本の白ありが食つている。賠償を求められる日本にまた軍需工場か復活し、旧軍需施設の利権は、内外人によつてやみ取引されている。町にピストルと鉄かぶとか氾濫し、再軍備反対、徴兵反対を叫ぶ人々が投獄されている。これでどうして平和な、民主的な日本か再建されていると言えるのだ。  アメリカ日本占領は、占領の甘みをひとり占めにしたのみで、ポツダム宣言による日本とは似ても似つかぬ日本にしてしまつた。一体、戦前の日本とどこにかわりがあると言うのか。映画は、白刃を振つて再び人を殺している。子供の世界はすつかり再軍備され、日本の子供は世界で一番豊富な武器を持つている。これすべてアメリカ精神と、ギヤング映画の御指導によつて再建された日本の縮図だ。—————————————のみ自国の繁栄と威信を誇示している国なのだ。世界の戦争兵器廠てある。戦闘に際しては、自国の犠牲を最も少くし、戦果はどこの国よりも欲ばつてとるというのが——————————————アメリカの産業構造は、————によつてのみ、もうけられるようにできている。戦争中五箇年間に三十八兆五千二百億円の利益をあけ、戦後五箇年間には五十六兆八千五百億円を、さらに朝鮮戦争後九箇月間には二十六兆八千五百億円という厖大な利益をあげていることは、これを証明して余りある事実だ。この————が、もうからない平和政策なんかをどうしてとるものか。————こそがアメリカの正常経済であつて、平和政策は———————————————————である。——と、そのための——を振りまく、これがアメリカの金もうけで、—————。このアメリカ指導者のもとに再建された日本なればこそ、蔵相池田氏は、臆面もなく、アジアの解放を妨げ、日本国民を弾圧するための軍事費一千八百二十三億円を予算に組んでいる。しかも、その言い草が振つている。二十五年度国民所得三兆五千八百五十一億円、二十七年度は五兆二百七十億円となつたというのだ。その増加ぶりには一兆四千四百十九億円で、それゆえにこそ軍事費の計上も国民生活を圧迫しないというのだ。しかし、そのふえた一兆四千四百十九億円は、民族自決の政治形態をつくる——————の家を焼き、人を殺すための殺人兵器の製造を————————、彼らの欲する値段と條件のもとに強行することによつて、やつと得た利得なのだ。これこそ占領の目的を裏切り、特需に名をかりた裏切り代金ではないか。「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」という憲法を持つ国の大蔵大臣にして、もし国際正義に立脚した良心と、日本を知り、日本を憂うる一片の愛国心でもあるならば、このような所得の増加は、みずから省みることなくして、この国会で発表できるしろものではないのだ。  貿易外収入一千五百八十億円のうち、その約五分の一に当る二百八十億円は、—————————————————によつてかせいだ金額ではないか。日本のドル収入の約六分の一が—————である。吉田自由党内閣こそ、まさに国際的には————————————————————である。それゆえにこそ、自由党か人身売買を云々しようとも、自由党政権のもとては、人身売買問題は解決できず、基本的人権は確立しない。——————————吉田自由党政権は、————————————————————ことによつてのみ、やつとその日をごまかしている、政策のない植民地政権である。それゆえにこそ、国会によつて任免される総理国会出席率は悪く、おし同様であつて、何事もしやへらない横着な態度をとつておるのだ。国を———————————————————にしておいて、どうして日本が平和な政情になり得るのだ。国民教育の中心である六・三学校は————————————で悩み、これを憂いて純潔教育を主張する教師は赤と騒がれるのだ。書は文教地区で、夜は夜の女の地区では、あまりにひど過ぎる。これが、国立町からの、町の風紀についての請願だ。  爆弾を積んだB二九は次々と墜落し、農家を焼き、人命を損傷し、村会も開かせず、御丁寧にも二十九発の爆弾が東京都下と埼玉にばらまかれ、日本は朝鮮につながる戦場になつてしまつたではないか。この危険な條件で、日本における米人のみが防空演習をやり、日本人は明日の危険を知らされずに今日を暮している。これほど無暴な政治がまたとあろうか。  演習場だと言つて漁場は奪われ、治安費三百六十三億のピストル、こん棒、鉄かぶとの化けものがふらつく東京都内で、外人ギヤングは横行し、富士銀行で金は強奪され、神田にゆうゆうと米兵姿のピストル強盗が日本人の収入を奪い、外人の自動車強盗、ひき逃げ、鳥と間違えては老婆を撃つ、東京都下では、十九の日本娘か、からすと間違えられて米兵に撃たれておる。米兵の眼は、一体どうなつているのた。米国人は、鳥と日本人が見わけられぬのか。これでどうして基本的人権を保障できるのた。占領長期にわたり、軍紀はかくも弛緩したのか。占領長期にわたれば、占領軍も腐敗し云々というのは、かつて米軍の将が予言したことなのである。今がこのときなのだ。結局、—————の軍隊は、被占領地の人民にいやがられない限りにおいては帰らない———であるということを立証しているのだ。  占領下では、日本人には人権はなく、米人に至つて犯罪まてが保護されている。治安を云々する自民党は、銀行ギヤングをどこへやつたのだ。(拍手)犯人を永久に日本の司法権の及ばない所に逃がすまでは、日本に逮捕権を與えぬというのか。何のための安全だ、治安だ。どろぼうは外からうかがつているのではない。家の中に強盗を引入れて戸締りを厳重にし、われわれに犠牲を忍べと言つているのが追放総裁の治安だ。こんなことに、がまんができるか。  たび重なる米兵の暴行に、さすがにおとなしい占領下日本の新聞も大きく取上げ、世は騒然となるとき、総司令部また大あわてに、脱走兵に関する声明をやつている。法の前に、すべての者は中等である。吉田氏得意の書簡は、ダレス氏を喜ばせるためには出すか、このようなときには使わないのか。新聞記者にステッキを振りまわすような勢いで、この問題解決のために、ワン・マン談話を世界の内外に発表できないのか。(拍手
  35. 林讓治

    議長(林讓治君) 横田君、予算案討論でありますから、あまり議題を離れないようにお願いします。
  36. 横田甚太郎

    ○横田甚太郎君(続) 吉田氏のワン・マンぶりは日本人に対してのみであり、米人には、こんなにも和解と信頼に満ち、エチケツトの中にしまつてあるのか。主権在民の憲法は、だれに約束され、だれが守るのか。吉田政権は、この憲法の外で政治をやつているのではないか。  日本では、政府提出以外の計画で日本の経済か運用されている。住宅金融公庫か、百六十七億円で五万戸の家を建てようと計画していても、住宅不足の人々の申分には応じられないのに、皮肉にも、資本か利潤をかせぐための高層建築は、鉄筋コンクリートで、予算の裏づけがないにもかかわらず、町の大通りにどしどし建つて行く。町でいやというほど売られているアメリカの品物の出所について、政府は疑いを持つたことがあるか。日本人に、だぶたぶのアメリカの古服を着せ、これらの米製品は、日本産業と日本の製品を圧迫して、余すところなくアメリカのもうけをかせいでいる。有利な事業はアメリカの資本に握られ、倒産した企業からは、失業者が街頭にほうり出されて行く。  ハイヤーを見ろ。彼らのもうけは飛びきりよく、生活はきらびやかで、日本の国土は彼らの貪欲を満たし、日本人は彼らか欲する享楽を満喫させるための対象として生涯をささげているがごときものだ。彼らの利得は日本によつてあけられるのであつて、彼らが母国から多額の下宿料を持つて日本に来ているのではない。  食糧不足、食糧自給度向上の農村で、硫安買う金に困る農民があるのに、町の料亭の前には、国民から巻き上げた税金で動く自動車か列をなしてとまつている。食糧増産対策費は四百二億となつているか、この金が農村の田畑に入らず、役得官僚と農村ボスのさかずきの中に消え、日本農村の民主化を阻害するボスの政治と選挙の資金に横取りされてしまうのだ。軍用地のために、本年は三千万円で農地を取上げるといつているが、これてどのくらいの農地を取上けるんだ。旧軍用地に日本の金を入れて、やつと米麦かとれるようになつた今日、また米軍あるいは日本の予備隊に日本の田畑をつぶされてしまう。こんなむだのために、われわれの金はどのくらいむだ使いされたかわからない。  このような、ぐらつく政策の中に、娘を売ろうか土地を売ろうかの農村か再現されて、低賃金と警察予備隊の人的給源地かつくられているんだ。手内職の収入は安く、物価は高く、家族は多く、働く人たちはタバコ代にも困つているんだ。それにもかかわらず、社会保障の費用はバズーカ砲に押しつぶされて、全歳出の一割にも満たないんだ。働く人は、働くことによつて得る収入では、一家をささえる生活費さえ十分でないんだ。クラブはなく、書籍代金、映画料金の税は高く、ほかなき夢を競輪とか競馬、パチンコに求めて、人生を浪費しているんだ。   こんなものをつくるには、金に困らない占領下日本で金のもうかる人は、国を売る人と、つまみ食いする人と、肉体を労せず、好知にたけた、不労所得のペテン師のみだ。それゆえにこそ、当然求むべき三度の食事時さえも空腹を感ぜず、金のあるにまかせて衣食に贅を盡し、国民生活と緑なき高級料理か、むちやに高価な味つけをして、敗戦下の国民義務を忘れた。ペテン師どもの胃袋に詰め込まれているんだ。これらは、農漁村のものを不当に安く買いたたき、高く売りつけることによつて不当利得をあげているんだ。  一ぱい四百円のうなぎどんぶりが、今日の勤労国民と何の関係かあるんだ。この予算に、国民の食事に注意した箇所かどこにある。耐乏は日本の勤労国民に要請さるべき言葉ではないのであつて、勤労国民に耐乏すべき何のゆとりがある。耐乏こそは、占領権力と吉田政権を取巻く、日本の売弁化した上級層にのみ設かれるべき言葉なんだ。  予算は、日本の何を基礎にして組んだのか。日本に必要でないもののために、日本につくつてはいけないもののために予算を組む。これでは日本の混乱を招くのみではないか。外からの直接の侵略があるから、アメリカが安全保障——一つてやる。そのための必要な金を——と、一千二百十億円の安全保障費と、防衛分担金を——している。その上、アメリカのために———せよ、その費用は五百四十億の警察予備隊費と、七十三億の海上保安隊費を——、何という——な言い分なんだ。  元来、われわれが講和を望むのは、外国軍隊であるアメリカ軍に、おもに終戦処理費を多く使われ過ぎていやだから帰つてくれと言うんだ。貿易は盲で、外交は暗室で、財政はウォール街の金庫次第で、経済はやみ取引で、政治に自主性がないのをきらつて、早く米軍に撤退してもらいたかつたがために講和を望んだのだ。その米軍に頼んで、日本に長く残つていてくださいとは、よくも日本総理として言えたものだ。(拍手)  そんなことを言つているから、米国の議会では、空軍参謀次長ローリングスが、今年度三千百億円、来年度四千百億円の軍事費を日本に出させる、来年度には、陸軍三十万、海軍五万、空軍十万の再軍備をやらせるなどと証言している。これはアメリカ議会で証言された事実なんだ。かくして、このために自由党はまた苦しむのだ。  米人の考えでは、ドルは国民の血潮でしか得られないという。——————————————————なければ、アメリカ日本を援助する気にはならないということがいわれているんだ。—————、アメリカの外資にすがる吉田総理は、日本人をどのくらいいけにえに供するつもりだ。ソ連、中共と貿易はやらせず、旅行はさせず、国際経済会議には行かせず、これじや、やかで平和な独立国になると言つている吉田首相は、一体どこのことを言つているのだ。日本の先生民族はわれわれで、アメリカ人は、占領期間中おるたけの居候なんだ。いつまでも、かつてにされては、たまつたものか。日本のことわざに、居候は三はい目の御飯はそうつと出すものだといわれている。日本に今おる居候は帰らない。三はい目の御飯は、安全保障、日米行政協定で、ふんぞりかえつて出すんだ。非常事態宣言では、何を言い出すやらわかつたものではない。家運傾いた一家のおやじが、家人に納得もさせず、居候に気ままを許していては、その家か治まるであろうか。  吉田首相は、この豪快な居候が気に入つたと、日本の土地を、日本の金を、日本の工場を、国会に十分納得もさせずに、————————————、気前よく奉仕させていては、居候は帰らず、その一家はうまく行かないのが当然だ。日本はこの通りをやつているではないか。ここに日本の混乱があり、この問題を解決することなしには、日本に平和は訪れないんだ。このように、見えぬ、見させぬ、外のどろぼうに戸締りを云々する前に、どろぼうを云々しているおやじの顔を、もう一ぺん見直そうじやないか。(拍手アメリカの国防の必要より他国を基地化する、これほど横着な考えがあろうか。われわれは、居候に気がねせずに、立ち上るアジアの力を見きわめて、日本に生れた一人として、アメリカ占領軍か駐留軍として—る費用の負担は一切ごめんこうむる意思表示をしようではないか。  アリメカの建国の歴史にも、こんな例があるのだ。一七六〇年代、かつてアメリカか英国の植民地であつたころのことてある。英国の時の宰相、ジヨージ・クインヴイルは、植民地アメリカに一万の常備軍を配置し、軍施設の費用の一部は植民地アメリカ負担にし、兵舎その他の設備を移民側から提出するという法律を議会で成立させ、一方アメリカ国内の出版物、公文書など一切に政府の発行印紙を張らせる印紙條例を議会に提出した。法案が議会を通過しようとすると、マサチユセツツ州を中心に猛列な反対運動が起つて、請願書が山をなして英国の王室へ送られた。印紙條例か法律になつてしまうと、しばらく不気味な沈黙がそこにただよつた。すると、開会中のヴァージニアの州議会で、議員パトリツク・ヘンリーは、突然こう叫び出した。シーザーにブルータスあり、チャールズ一世にはクロンウエルがありました。ジヨージ三世には——こう言いかけると、議長は、反逆罪です、反逆罪ですと叱咤した。ちようど日本の議会で、不謹愼、不穏当を云々する人があるように。そのときに、ヘンリーはひるまず立ち上つて、演説のあとを続けた。よろしく歴史上の例にかんがみるところがあつてしかるべきてありましよう。そして、かく申すことが反逆罪に該当するのでありましたなれば、それもやむを得ないところであります。——マサチユセツツ州では、印紙販売官吏の名前が発表されると、暴徒はその邸宅を襲撃して窓カラスを破壊し、官吏に辞表を提出させた。軍隊出動して買わせる段になると、だれ一人として買うものはなかつた。それからイギリス製品の不買運動が起つて、平年の貿易は半分にがた落ちになり、そのためにイギリスの工場では、おびただしい失業者が町に放り出された。諸君に号令するアメリカは、この騒乱の中より生れた。  アメリカ占領軍には、日本の共産党かあるんだ。アメリカに従順なる自由党よ、この意気があつてこそ、フランス革命が成功し、米国独立がなり、ソ連と中国に人民政権が盤石の強きを築いたのだ。イギリスの暴政に抗して立ち上つたアメリカの父ワシントンは、一体何と言つたか。自由のために抗争したんだ。引揚者のおらない地区に引揚者をこしらえて、ゼロから人をつくつておるアメリカ製品の氾濫、かつてな貿易、サンフランシスコ講和、安全保障、行政協定、こういうふうなものを一切合財解決するために立ち上つた政治勢力を間接侵略の対象にして、再軍備を必要としているのだ。このあせりが日本国民の多数を敵とし、一部の人たちに、やがて値打を失いつつある札で人心をだまして、武器を持たせて警察予備隊とし、政治経済の不満と不平から来るところのものを解決しようとして立ち上つた人に、血の犠牲を強要しているんだ。  国民のほしがつているのはバズーカ砲ではないんだ。ピストルではないんだ。アメリカ人をまねて、洋服のお化けのような軍装ではないのだ。高くて臭い外米ではないのだ。日本の農村から出て来た米だ。平和なんだ。騒乱ではないのであつて、日々向上して行くところの国民生活の安定なんだ。  日本国民生活の向上改善に専念せよ。そこに何の不安かあるのだ。この問題を解決せずに、何のための政治なんだ。日本政治家は、もつとはつきり日本を見るべきだ。日本の現実を直視している者なれば、このような予算承認できないはずなんだ。—————————日本の数字、予算の説明書が日本語で書いてある。これだけが、自由党の言う、たつた一つの自主性なんだ。再軍備で新しく不具者をつくるために予算は組めても、天壌無窮、八紘一字の犠牲者のためには、お燈明代しか出せない。未亡人等にやつと八百億の金を組めば、すでに高利貸がこの金をねらつている。米人は、とるために、わずかのものは日本に與えるであろう。われらか困つて暴れ出さない程度のものを與える。対日援助という言葉をもらつて、高くて、臭くて悪い外国食糧を押しつけられて、日本農業の発展を阻害され、日本の経済的独立を失つた過去の事実をわれわれは忘れることができない。
  37. 林讓治

    議長(林讓治君) 申合せ時間が参りましたので、結論を簡単にお願いいたします。
  38. 横田甚太郎

    ○横田甚太郎君(続) 停電に脅かされ、値上げされたわれらの電燈料金で、電源開発はサボられ、——————————————————のみをつくつているんだ。戦争放棄の憲法を持つわれわれは、戦争兵器はどぶの中にたたき込んでこそ憲法に忠実なる国民なんだ。朝鮮へ送られる武器は、一体日本のどこて製造しているのだ。何の治安維持なんだ。治安とは、昇給の望みが薄くて、いつまでも労働者にそれをがまんせよということだ。腐敗せる階級の不当なる収益を許し、批判の自由を持たせずに盲従せよというのだ。すなわち、現状維持の治安を守れというのだ。  自由党に八千五百二十七億の予算をかつてにきめさせて、アメリカの古ぼけた駆逐艦を持たせても、バズーカ砲を持たせても戦力にはならぬと、月給取は嘆いている。五百四十億を使つても、この警察予備隊は、日本のためには強くなつてはいけないのだ。二十七万円を身代金としての命をかけての戦いに予備隊が使う武器は、日本では自給自足を許されないのだ。勝つために、きめ手を持たない予備隊、これほどむごい軍隊日本歴史上にあつたことがあるか。残忍なる————の仕打ちを憎む……。
  39. 林讓治

    議長(林讓治君) 申合せ時間が参りましたから、簡単に結論を願います。     〔「時間だ、降壇を命じろ」と呼び、その他発言する者多し〕
  40. 横田甚太郎

    ○横田甚太郎君(続) アメリカ軍の前には、常に弱くて降参しておらねばならないのが日本の予備隊だ。アメリカ軍は、朝鮮で四苦八苦ではないか。強いのはアメリカ軍だけではないのだ。こんなにアメリカ軍より強い軍隊の前に、装備の整わないところの日本人を立たして、—————————————————こんなことをどうしてわれわれにがまんさせることができるであろうか。無條件に白骨の道へ警察予備隊を押しやつているんだ。この予備隊の行動は、日本のために死ぬのではない、———————————————。
  41. 林讓治

    議長(林讓治君) 申合せ時間が参りましたから、簡単に結論を願います。
  42. 横田甚太郎

    ○横田甚太郎君(続) 予備隊の行動は、日本に再び白木の箱を送り、第二の広島、第三の広島、いな、日本全土を広島にしてしまうのだ。朝鮮でアメリカが兵隊に困つたときに、日本では警察予備隊をつくつた。アメリカの飛行機が朝鮮で苦しんだときに、航空機をつくるための工作機械を日本に買いに来たのだ。これがすなわち経済の分野、産業の分野における警察予備隊だ。われわれは、戦争には断固として反対する。戦争を煽動するやつを地球の外に放逐するんだ。     〔「何を言うのだ」「時間が過ぎているじやないか」と呼び、その他発言する者多し〕
  43. 林讓治

    議長(林讓治君) 結論を願います。
  44. 横田甚太郎

    ○横田甚太郎君(続) 日本をドル資本の植民地化するための予算案には、日本共産党は、断固、果敢な闘争を展開することを宣言して、この予算案には反対する。なおこれに反対するのは、米軍によつて持たされる武器は、日本のだれをねらつて、何のために持たされたか知つている。日本人でありながら、外国人によつて持たされた外国の武器で……。
  45. 林讓治

    議長(林讓治君) 発言の中止を命じます。  ただいまの横田君の発言中、不穏当な言辞があれば、速記録を取調べの上、適当の処置をとることといたします。  田中織之進君。     〔田中織之進君登壇
  46. 田中織之進

    ○田中織之進君 私は、日本社会党第二十三控室を代表いたしまして、ただいま議題に相なつておりまする昭和二十七年度予算名案に対しまして、この予算案日本の中和と独立を阻害し日本経済を危機に陥れるものであるという理由から、これに断固反対をいたし、根本的な組みかえを要求するものであります。(拍手)  次に、われわれの本軍事予算に反対をする理由を申し述べます。  まず第一の理由といたしまして、この予算案は、日本国民に傭兵的再軍備を強制するものであるということであります。この予算には、御承知のように、警察費百八十六億とは別に、警察予備隊の経費五百四十億、海上保安庁の強化費七十億、計六百十億のほかに、二十六年度より警察予備隊の経費三十億を繰越しておるのでありまして、事実上の再軍備費が計上されているものであります。政府並びに保守勢力は、予備隊は軍隊ではなく、国内治安のためのものにすぎないとして、国民を欺瞞いたしておりまするが、内外の世論は、警察予備隊がすでにアメリカ軍の指揮下にある軍隊であるということを完全に認めております。また実際に、その師団編制と装備等、すべてにおいて日本国民の財政負担による傭兵軍であることは、事実となつて現われておるのであります。しかも、最近の諸情勢においては、政府みずから、十月よりこれを保安隊に切りかえ、兵員は七万五千より十一万に、さらに来年には三十万へと増員をし、予備役召集制度あるいは選抜徴兵制度の採用さえ言明しているのでありまして、これは明らかに平和憲法に違反するものであります。  第二の理由といたしましては、この予算日米安保條約に基いて、日本の軍事基地化を日本人の税金によつてまかなおうとするものであるという点であります。この予算では、日米行政協定に基いて予想される防衛分担金六百五十億、さらに進駐軍の移転施設、予備隊との共同施設費等に要する安全保障措置費五百六十億、合計千二百十億円を計上いたしておるのであります。これは、日本か講和後も、政府のたびたびの言明に反して、今後占領費にまさる額のものを負担させられるということを意味するものであります。しかも、対日援助は昨年より打切られ、かてて加えて本予算には、これか返済金を計上いたしておるのであります。これはあらゆる意味において日本アメリカから得るものは何もなく、逆に一方的に日本国民の重大なる負担と犠牲のみを加重するものであり、これがいわゆる和解と信頼の講和條約により日本か得たと称ぜられる独立の代償の実体であります。  反対の第三の理由といたしましては、この予算にある遺家族援護費二百三十一億円についてであります。社会保障としての遺家族救済がすでに終戦以来の緊急課題であるということについては、わが党は今日まで機会あるごとに主張して参つたところでありまするが、それが今になつて急に、このたび軍人に限つて家族救済を行うということは、橋本龍伍君の厚生大臣辞任の際、援護費をお燈明料程度に済まして祖国防衛が全うできるかとの趣旨の声明の中にもはつきり現われておるように、これは何らの社会保障ではなくて、国民輿論を傭兵的再軍備に賛成の方向へ導くための思想的の伏線であつて、旧軍人の大幅な追放解除と軌をひとしくするものであります。この点は、われわれが再軍設備の削減によりまして、より徹底したところの社会保障費の支出を要求するとともに、かかる悪質なる再軍備の伏線としての政府の企図を国民に警告をするものでございます。  第四の反対の理由といたしましては、この予算日本をアジアの諸国から孤立せしめるところの危険を包蔵しているという点であります。この予算は、講和予算と称しなから、重大課題でありまするところの賠償費かなお未確定のままに残されておるという点であります。しかも、日米防衛分担金、予備隊強化費及びガリオア援助費の返済費等を優先あるいは並列せしめておる一方に、蒋介石の国民政府との間に一方的講和を締結するということに対する反感も加わりまして、日本の再軍備よりは、われわれに対する賠償をよこせというアジア諸国民からの強い反感か起りつつあるということを、われわれは銘記しなければならないのであります。(拍手)  第五の最大の反対の理由は、この予算日本経済の自立と再建を阻害するものであるということであります。以上申し述べましたように、純防衛費千八百億を初め、講和関係諸費の総計二千二百九十億円というものは、実に財政総額の二三%という巨額に達しまするために、国内経費か著しく圧迫されておるのであります。日本政府は、国内経費を、目立たない形で、あるいは経済再建費用及び社会厚生費等から、こまかく削減しておるのであります。しかも政府は、これらの削減によつて起る財政投資の不足額を見返り資金及び資金運用部の資金で補うことといたしておるのであります。その結果、資金運用部の金融債三百億の引受けの中止等、そのしわ寄せか一般金融機関に長期資金難を引起し、それが一般中和産業、中小企業等の長期資金への圧迫となつて現われることは必至であります。また外為インヴエソトリー四百五十億円の削減は、約二千億円に上るところの防衛関係費の非生産的な支出と相まちまして、軍需インフレに対する弾力性を著しく失わしめておるのであります。  このことは、すでに昭和二十七年度の鉱工業生産の見通しが、経済安定本部の作業によりましても、作業当初において、少くとも二十六年度の実績見通しの一二六・七に対して、わずか五%の増加すらあぶないという事実によつても現われて来ておるのであります。政府の議会における発表によりますると、約一〇%の増加となつておりまするけれども、これらの生産の頭打ちの理由は、電力、石炭等基礎的動力部門の不足と、朝鮮休戦後の特需の不安定、中央貿易杜絶による原料高、貿易不振等によるものであります。この隘路を打開するためには、基礎的生産部門の開発、増産のための長期資金の公共的な投資を必要とするのでありますか、この予算においては、再軍備のために、これらの産業再建費が大幅に削減ぜられておるのであります。  特に必要な輸送部面における海運について申し上げますれば、中共貿易の杜絶と、高い船賃による原料高と、大幅のマージンをとられておるということから生じまする産業貿易不振を打開するため、緊急にこの海連を増大しなければならない必要か生じておるのであります。しかるに、昭和二十七年度の見返り資金などの運用計画について海運を見ますならば、二十六年度の二百二十三億に対し、本年度は百四十億円に半減せしめられておるのであります。さらに最近の貿易不振は、中共、ソ連との貿易の杜絶、船賃高による原料高、それの鉄鋼及び韓出諸産業へのばね返り、輸出価格の割高等に重要なる原因を持つているのでありまして、このため、諸産業のコストの引下げと、そのための近代化に要する長期資金の供給か必要になつておるのであります。これがいずれも、財政面からは、むしろ逆に圧迫を受けておるのであります。  以上、財政面から金融面への圧迫という形におきまして、この予算案日本経済の再建を阻止するばかりでなく、これに対して強力なる拘束を加えておるということを断せざるを得ないのであります。  反対の第六の理由は、平衡交付金と公共事業費の支出の削減であります。平衡交付金は、一応名目的には前年度並のものを計上いたしており、公共事業費については二百億円の増加となつておりますけれども、昨年来の物価上昇を勘条いたしますると、実質的な事業量は逆に縮小したものといわなければならないのであります。物価について申しましても、一般に不況にあるにもかかわらず、物価は逆に上昇ぎみと見られるのでありまして、今後実質的に事業量の縮小がますます大幅なものとなつて参るのであります。これらの見通しは、地方財政や公共事業費をさらに圧迫したものになることを意味するのでありまして、すでに地方財政の赤字は、地財委の勧告当初よりもさらに増額して、都道府県の赤字は四百億円、市町村の赤字は二百億円に達しておるのであります。これらの赤字に加えまして、今申しました実質的な事業量の大幅縮小は、災害復旧事業を阻止いたしまして、国土の荒廃を促進し、地方公務員や教職員の給與を圧迫し、地方行政事務を不円滑ならしめるものでございまして、この予算は地方自治を破壊し、地方住民の生活を圧迫するものになつて来るのであります。  さらに第七の反対理由といたしましては、この予算案は必ずや年度半ばに補正予算を組まなければならないという弱点を持つておるという点であります。この点については、先般、廣川農林大臣か、新潟で、八、九月に補正予算のための臨時国会の召集不可避を放透したことによつても明らかでありますけれども、これら実質上の事業量の縮小に加えて、さらに今回締結されようとしておりまする行政協定によるところの防衛費の大幅追加が予想されるという関係から当然考えられることでありまして、池田大蔵大臣は、増税なしに再軍備を行うと、かように言明いたしておりますけれども、現実は決してさように甘いものではありません。すでにローリング米空軍参議長は、下院における証言において、一九五四年末までには三十万の日本軍をつくること及び日本側負担は二千億を越えるということを証言いたしておるのでありまして、このたび総選挙前に、一応名目的な、増税を行わない予算の編成を行いましたか、内外情勢の推移はこれを許さないのであります。  しかも二十七年度予算は、二十六年度予算よりも約六百億の厖大化を示しており、均衡予算といいなから、歳入はぎりぎりのものを計上しておることは、小峯君等も認めるところであろうと思うのであります。従いまして、歳入のこれ以上の膨脹は、大幅な水増し増収または増税をもたらすと同時に、今申しました防衛費の非生産的なものが国内の資源、物資の消耗をもたらすことによりまして、生産力の増大が伴わずして、ここにインフレを内包しておるという点であります。  第八の反対理由といたしましては、この予算は実質上の増税でまかなつておるという点であります。政府は、予算案において、税收入の総額六千三百三十五億という、二十六年度よりも七百二十七億の自然増収を見込んでおりまするけれども、これは事実上の増税であります。何とならば、二十六年度の補正予算における改正税率は一応これを引継いておりまするけれども、その基礎になりまするところの二十七年度の国民所得が、二十六年度の国民所得とほぼひとしいといたしまするなりは、この補正予算の場合の減税率に従いまして、それだけ税収は減少しなければならぬということになるのであります。それにもかかわらず、逆に七百二十七億の増収を見込んでおるのであります。政府は、この理由といたしまして、二十七年度の国民総所得を五兆三百億と見込んで、これが二十六年度の四兆五千億よりも増加いたしておるということを報しておるのでありまするが、二十七年度の国民所得は当初四兆九千億と発表せられたにもかかわらず、一夜のうちに五兆三百億ということに水増しをされて発表されておるのであります。二十七年度の生産の上昇はわずかに五%であり、貿易も停滞ぎみである。従つて、全体として不況傾向にあることか定説となつておるにもかかわらず、予算支出においても、今までとは異なる非生産的防衛費でありまするために、実質的な国民所得の増加はそれほど望まれないし、ことに軍需的な独占資本にのみ厚く、国内中小企業あるいは農民を含めた勤労大衆の所得は逆に低下をいたし、ここに国民所得における凹凸かきわめて厖大になるのであります。われわれは、イノフレ傾向に従いまして、多少名目所得が上昇いたしたと仮定しましても、低額所得者でありまする中小法人と勤労大衆は、かえつて物価上昇の打撃によりまして、税率は同じでも、実際の実質的な所得をさらに切り下げられなければならない必然性を持つておるという意味におきまして、この予算案に反対をいたすものでございます。(拍手) さらに、この予算は、国民の厚生その他の面における巧妙なる費用の削減を行つておるのでありまするが、わが党は、以上のような理由によりまして、この予算案が祖国を傭兵再軍備、軍事基地化へ導き、そのために日本経済の自立と再建を阻害し、国民生活を圧迫する苛酷なものであり、しかもこの編成過程から見て、きわめて非自主的な、ごまかし的な暫定予算であるということを認め、断固としてこれが返上を要求し、さらに組みかえを求めるものでございます。組みかえにあたりましては、科学的な経済の見通しの上に立つた日本経済の自立と再建を促進し、かつまた国民生活を安定させるための平和的福祉予算への徹底的な組みかえてなければならないという点でございます。  まず第一に、組みかえの大きなものといたしましては、防衛関係の費用の一切を全額削除することを要求いたします。わが党は、警察予備隊がすでに国内治安に用いられるものではなく、明らかに傭兵軍隊化し、しかもそれが海外派兵のおそれさえあることか明白になつた今日において、予備隊はこれを全廃いたし、国内治安機構はすべて民主的な公安委員会のもとに統轄し、一般警察機構以外の一切の軍隊機構設置に反対をするものであります。防衛支出金、安全保障諸費、これら自衛ではなくして、他の防衛のための関係諸費は、日米安保條約の廃棄、軍事基地提供反対というわが党の自工中立政策の立場からは、もちろんその全廃を要求するものであります。  さらに、平和回復費の中で、ガリオア援助費の返済については、今までの終戦処理費と相殺して免除されるべきことを要求するものであります。すなわち、終戦以来六年の長きにわたつて占領が行われたということは、歴史上かつて見ない異例のことであり、しかもこの占領の後期は、明らかに日本責任ではなくて、米ソの対立から巻き起したところの占領でありました。このことはマツカーサー元帥の認めているところであり、それゆえに、わが党は、日本責任によらないところの後期の占領諸費とガリオア援助資金の返済の相殺を要求するものでありまして、その額は、もし日本民主化の措置がほほ完了し、反対に日本の軍事基地化が進められた時期以後を後期といいまするならば、約四千五百億円はガリオア援助資金との間にわれわれは相殺すべきことを主張するものであります。 さらに外債、連合国人の財産補償については、いまだ中国問題、賠償問題が解決されない、全面講和が達成されない現在、国際関係から見て時期尚早であり、しかも一方的に行わるべきではないのでありました。わが党は、これらの借りかえによる支拂い延期を主張し、賠償支拂いにつきましては慎重な態度をとるべきことを要求するものであります。わが国は、まずアジア各国に対して民主化、非軍事化の実証を示し、最小限度の支拂いの誠意を示すことが第一の要件で、そのして、日本経済の現状から賠償支拂いの能力を欠けていることを科学的に示し、アジア諸国の好意と了解のもとにサービス、技術の最小限度の賠償を支拂うべきことを慎重に行うことを、われわれは要請するものであります。この観点に立ちまして、防衛関係の諸費用を含めまして、われわれは約二千億の防衛関係費の削減をいたし、これを地方財政平衡交付金、公共事業費の増額、あるいは電源開発、造船、輸出入銀行その他の支出国民金融公庫、農業改良、食糧増産、遺家族の援護は少くとも厚生省原案の通り、健康保険の単価引上けの増加等、これらの民生安定のための費用に差向けることを、われわれは断固として要求するものであります。(拍手)  われわれがこの予算案に反対しなければならない立場は、昨年九月、対日講和條約並びに日米安全保障條約が締結されたときから、当然こうした売国的、隷属的予算提出しなければならぬことが見通されたのであります。われわれは、昨年両條約に反対いたしましたと同じ立場におきまして、断固この予算案に反対をいたし、根本的な組みかえを要求いたしまして、私の討論を終るものであります。(拍手
  47. 林讓治

    議長(林讓治君) 黒田寿男君。     〔黒田寿男君登壇
  48. 黒田寿男

    ○黒田寿男君 私は、労働者農民党を代表いたしまして、昭和二十七年度予算関係三案に刻し反対いたします。以下、少しくその理由を申し述べたいと思います。  本予算案は、戦後のわが国予算案といたしましては画期的なものであります。その画期的という意味は、この予算案が、六百五十億円の防衛支出金を含む二千億円の事実上の再軍備費を計上しておりまして、平和憲法を財政の面かり破壊しようとするものであるからであります。(拍手わが国を戦争準備の渦中に強引に引入れようとするものであるからであります。おか国の政治を、平和主義、民主主義から、戦争準備と必然につながるところの独裁主義へと質的に転換させようとするその財政的手段でこの予算はあると思うからであります。(拍手)われわれは、このような予算案に対しましては断固として反対ぜざるを得ないのであります。  しかも、現政府は、この予算案の実行を通じて、わが国政治をフアツシヨ化しようとしておるだけではなくて、実に本予算案審議の過程において、フアツシヨ性を遺憾なく発揮したのであります。(拍手)たとえば、防衛支出金等の予算案への計上の基礎をなす行政協定は、今日に至るもなお政府によつては発表せられていないのであります。大蔵大臣は、先日予算委員会におきまして、防衛支出金なるものの内容を説明せられたのでありますけれども、行政協定それ自身の内容か明らかにされていないのに、それに基く支出の説明をするということは、われわれから考えればナンセンスである。その予算案審議せよというのは無理であります。いわんや、これをのめというのは、まさに独裁的態度であると私どもは考えるのであります。(拍手) その上さらに、より重大な問題がある。それは行政協定締結方式に関するものであります。政府は、国会承認を経ることなく、行政協定締結せんとしておるのでありますが、この行政協定は、すでに報道せられております程度においてこれを見ても、量の上において二十九條の條文を含み、その内容におきましては、国民権利義務並びに基本的人権に関する重大事項を含むだけでなくて、実に国家主権それ自身に制限を加えようとする重要事項を含んでおるのであります。(拍手)このような国際的協定締結にあたりまして、国会の承諾を要せずと、かように考えておる政府態度は、民主主義憲法の蹂躙であり、国会の存在無視であります。独裁政治方式のほかの何ものでもないやり方であると私どもは考えるのであります。  しかも、よく事態を観察してみますと、この表面上の独裁的態度は、実はあわれむべき傀儡的的独裁政治にすきないのであります。(拍手)その本質は、あわれむべき軟弱政治家の、とらの威をかるきつね的な独裁政治にすぎないのであります。(拍手)これが吉田内閣の本質である。対内的には独裁者、対外的には軟弱外山父、これが吉田内閣の正体である。この吉田内閣の性格か、この政府行政協定締結方式において如実に反映していると私は思うのであります。  しかも、なおあわれむへきことは、この吉田内閣は奴隷的独裁者の集団にすぎぬものでありますから、国会審議権を蹂躙しようとするような事態にあたりましても、一定の確信のある理論的な根拠を持たぬのであります。閣僚各自か、めいめいかつて理由づけを行つているにすぎない。すなわち、閣僚間に意見の統一がない。しかも、総理自身は確固たる信念と理論を持たぬ人でありますから、これらの不統一を統一する能力がないのであります。首相と大臣間に存在しております一致点は、国会承認を求めないというこのフアツシヨ的態度だけてある。それだけが一致しておるのである。それを経る必要はないというその根拠につきましては、まるで支離滅裂であります。(拍手)私は、これは重大な問題であると思いますから、少しくこれを指摘してみたいと思う。  私は、先日の予算委員会におきまして、行政協定憲法第七十三條第三号の條約であるかいなかということを問題にいたしました。われわれは、今日の行政協定は右條文における條約であると考えますので、従つてその締結のためには国会承認を経る必要ありと確信をしているものであります。しかるに、この点について政府の見解はどうでありましよう。  まず岡崎国務大臣であります。岡崎国務大臣は、さすがに外交官出身でおありであるだけに、外国のことはよく知つておいでになります。岡崎国務大臣は、今回の行政協定政府権限内で締結し得られるとされまして、その根拠を、米国側がその方式締結できるというておるということに求められ、わが国の場合にも同様なことか言えると断じておられるのであります。しかし、アメリカ側について言い得られることが日本の側についても言えると考えるところに重大な誤謬がある。(拍手)  なるほど、アメリカは、今回の行政協定を、議会の立法による事前承認なくして、単純な政府行政行為として締結し得るもの見ておりまして、この方式アメリカはとつたのであります。しかし、アメリカがこのような方式をとるにつきましては、アメリカ自身として十分な研究がなされておる。先例についていろいろな場合にぶつかつたたびごとに愼重な研究をいたしまして、その結果として、本協定の場合のような締結方式もあり得るというアメリカ憲法上の確信に到達したのであります。しかし、それは次のような場合に限るのであります。その場合とは、アメリカが他の国と軍事的協定締結するにあたりまして、アメリカとしては、他の国からアメリカに與えようと提議されておるその権利を取得して、しかもその権利は取得するが、アメリカ自身としては権利取得に対する将来の一義務負担はないのだ、このような協定締結する場合におきまして、アメリカはこのような締結方式がとれるとしておるのであります。(拍手)その他の場合は、アメリカといえども條約締結方式をとつておるのであります。アメリカが今回の協定において行政協定方式をとりましたのは、右の理由によるのであります。  しかるに、日本側には同様な條件があるでありましようか。ここが問題である。今回の行政協定は、それが日米安全保障條約という基本條約に基いて締結せられるものでありますけれども、その内容は、決して軍に安全保障條約の実施細目を定めたにすぎぬというようなものではないのであります。単なる実施細目というには、あまりにも重大である。あまりにも重要な権利義務関係規定せられようとしておるのであります。アメリカ側とは、條件が全然日本の側においては違うのであります。この相違があるために、日本としては、この協定についてアメリカのまねをしてはならないのである。いな、まねをすることは憲法上断じて許されないと私は考えるのであります。(拍手)私は、この行政協定憲法第七十三條第三号の條約の本質を持つておるものと考える者でありますから、絶対に国会承認を経る必要があると考えております。国会承認を経ない限り、政府がどのように説明しようとも、この協定の有効な成立を否認することかできると私とも確信しておる。(拍手)  次に、木村法務総裁はどうでありましよう。今回の行政協定は、憲法第七十三條第三号の條約であると思うかどうかという私の質問に対しまして、木村法務総裁は、それは條約の一部をなすものであるというように答えられたのであります。しかし、この一部をなすという意味は、私にはよくわからない。安保條約という基本條約から出て来る実施細目という意味であるか、それとも行政協定それ自身か、よく基本條約から生れたものであるといたしましても、みずからもまた條約であるという性格を持つているという意味であるか、私にはよくわからなかつたのであります。しかしながら、その同じ質疑の中で、法務総裁はこうも言われた。それが條約であるとするにしても、すでに委任を受けておるものであるから、あらためて批准を求める必要はない、こういうことも言われたのであります。條約であるということを、はつきりと言つていないようでありますけれども、條約であるとしても、あらためて国会承認を要しないという法務総裁の言葉の中に、私は重要な問題が含まれておると思うのである。  参考のために申し上げておきますが、大橋前法務総裁、現国務大臣は、前国会のときに、当時の法務総裁として、この点につきましては、はつきりとこう言つておられます。「この行政協定憲法第七十三條第三号の條約でありますから、国会承認を経るのは当然であります。この国会承認の方法といたしましては、その基本になつております安全保障條約を承認することによつて、事前の承認をこの行政協定に対してもお與えいただくべきものである、こう考えているわけてあります。」、このように答えられたのであります。木村法務総裁の御答弁は、あるいはこのようなものであるとも解せられないことはないのであります。そこで、今回の行政協定憲法第七十三條第三号の條約と見て、原則として国会承認を要するものであるとなす大橋、木村両大臣の解釈と、岡崎国務大臣アメリカ式解釈との間には重大なる見解の不一致があると私は思う。(拍手)  ところが、次に問題となりますのは、木村法務総裁が、私との同じ質問の中で、次のようにも言われておる。きわめてあいまいでありますが、こうも言われております。それは、行政協定の実体は、本條約である安全保障條約の実施のために必要な細目を定めたのであつて本條約に付随するとりきめにすぎないのだから、これについては別段批准を求める必要はない、こうも言つておられるのであります。この見解は、行政協定憲法第七十三條第三号の條約と見る考え方とは違うのであります。それは、行政協定安全保障條約に対し、あたかも政令か法律に対して持つ関係と同様な関係にあるとの見方でありまして、基本法たる安全保障條約について承認か與えられた以上、その実施細目たる、すなわち政令的なものであるにすきないところのこの行政協定については国会承認は要しないという解釈になるのであります。そこで、これは大橋前法務総裁の解釈とは全然違うのであります。木村法務総裁は、一体どちらを言おうとしておいでになりますか、私にはまたわからない。もつと聞こうと思いましても、なかなか委員会に御出席にならないから、今日までこれを聞くことができない。
  49. 林讓治

    議長(林讓治君) 豊田君、申合せ時間が過ぎておりますから、簡単に結論を願います。
  50. 豊田尋男

    ○豊田尋男君(続) しかし、行政協定は、これは単なる実施細目と見て取扱うことができぬほどの重大なとりきめてあるということは、私が前に述べたところでありまして、木村法務総裁か実施細目にすぎぬと考えられておるとすれば、そこにまた重大な誤謬を犯しておられると私は考えるのであります。なお、かりに大橋法務総裁のごとく考えて率いてになるといたしましても、そこにまた重大なる誤りがある  憲法第七十三條第三号の條約の承認ということは、これは非常に大切なことであります。これは承認を求めようとする條約の内容が確定した後になさるべきものでありまして、ある條約が将来締結せられるであろうと予想せられるというだけて、その内容がまだ不明であり、不確定でありまする時期におきまして、この條約を事前承認するというようなことは、憲法の解釈といたしましては断して許されぬものであると私どもは考える。(拍手)この意味におきまして、大橋前法務総裁及び木村現法務総裁のお考え方も、重大なる憲法無視のフアツシヨ的解釈でありまして、われわれは断じてこのような解釈に承服することはできないのであります。もしこのように、前並びに現法務総裁のような解釈が許されるといたしますれば、それは国会の立法権の無視、政府の立法権拡大という、フアシズム国家体制のもとに行われた條約締結方式と同様のものになるのであります。  私は、ここに一つの実例をあけてみましよう。一九二六年一月三十一日に、イタリヤでは——あのムソリーニが支配しておりましたイタリアでは、こういうことか起つた。執行機関法規発布権に関する法律というものを政府は出しまして、政府の行い得る立法範囲を著しく拡大して、この法律によつて政府の獲得いたしました権限の中に、こういうものがありました。外国との間に締結された條約の承認が、たとい法律を必要とする場合でも、勅令をもつてこれを與え得る権限、こういう権限が含まれていたのであります。これによりまして、外国との條約も勅令でやれるということになつた。国民の意向などにかかわらず、政府の欲する国と、すきかつてな條約を結ぶことができるということになつたのでありまして、国民は、知らぬ間にそういう條約ができることによつて、重大なる義務負担させられるというようなことになつて来るのであります。こういう実例か過去においてあつたということを、私どもよく知つておるのである。
  51. 林讓治

    議長(林讓治君) 申合せ時間が過ぎておりますから簡単に願います。
  52. 豊田尋男

    ○豊田尋男君(続) それは、実にイタリアのムノリーニ政府のときにやつたことであります。(拍手日本民主主義憲法のもとでは、このようなことは新して許されない。もし法務総裁のような考え方が許され、これが実際に実行されることになつて参りますと、日本でも、フアシズム・イタリアと同様な外交が行われるということになるのであります。(拍手)  諸君吉田内閣は、今回の行政協定締結方式におきまして、このようなフアツシヨ的な外交政策をとろうとしておるのであります。しかも、この行政協定さえまたわれわれに示されぬままに、この行政協定に基く予算審議をせよというのでありますが、民主主義と平和主義を標榜するわれわれは、断してこのようなものに賛成することはできません。  以上のことは、私どもが反対理由といたしたいと思いますところの、わずか一つにすぎません。しかしながら、時間も参りましたから、ただ私は、この一つ理由だけても、このような予算案には絶対に賛成することはできないと申し上げまして、私の反対討論を終りたいと思います。(拍手
  53. 林讓治

    議長(林讓治君) これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。ただいま議題となつております予算三件を一括して採決いたします。この採決は記名投票をもつて行います。昭和二十七年度一般会計予算外二件を委員長の報告の通り可決するに賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます。閉鎖。  氏名点呼を命じます。     〔参事氏名を点呼〕     〔各員投票〕
  54. 林讓治

    議長(林讓治君) 投票漏れはありませんか。——投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。開鎖。  投票を計算いたさせます。     〔参事投票を計算〕
  55. 林讓治

    議長(林讓治君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。     〔事務総長朗読〕  投票総数 三百五十四   可とする者(白票)  二百三十八     〔拍手〕   否とする者(青票)    百十六     〔拍手
  56. 林讓治

    議長(林讓治君) 右の結果、昭和二十七年度一般会計予算昭和二十七年度特別会計予算及び昭和二十七年度政府関係機関予算はいずれも委員長の報告の通り可決いたしました。(拍手)     〔参照〕  昭和二十七年度一般会計予算外二件を委員長報告の通り決するを可とする議員の氏名    阿左美廣治君  逢澤  寛君    足立 篤郎君  安部 俊吾君    青木 孝義君  青木  正君    青柳 一郎君  淺香 忠雄君    淺利 三朗君  麻生太賀吉君    有田 二郎君  井手 光治君    井上信貴男君  井上 知治君    伊藤 郷一君  飯塚 定輔君    池田正之輔君  池田 勇人君    石田 博英君  石原 圓吉君    石原  登君  犬養  健君    今村 忠助君  今村長太郎君    岩本 信行君  岩川 與助君    宇田  恒君  宇野秀次郎君    内海 安吉君  江崎 真澄君    江田斗米吉君  江花  靜君    遠藤 三郎君 小笠原八十美君    小川 平二君  小澤佐重喜君    小高 熹郎君 小野瀬忠兵衞君    小淵 光平君  尾崎 末吉君    尾関 義一君  越智  茂君    大石 武一君  大泉 寛三君    大内 一郎君  大上  司君    大澤嘉平治君  大西 禎夫君    大野 伴睦君  大橋 武夫君    大村 清一君  岡崎 勝男君    岡田 五郎君  岡西 明貞君    岡野 清豪君 岡村利右衞門君    奥村又十郎君  押谷 富三君    加藤隆太郎君  鹿野 彦吉君    鍛冶 良作君  角田 幸吉君    風間 啓吉君  甲木  保君    金光 義邦君  上林山榮吉君    神田  博君  川西  清君    川野 芳滿君  川端 佳夫君    川村善八郎君  川本 末治君    河原伊三郎君  菅家 喜六君    木村 公平君  菊池 義郎君    北澤 直吉君  金原 舜二君    久野 忠治君  倉石 忠雄君    栗山長次郎君  黒澤富次郎君    小金 義照君  小坂善太郎君    小平 久雄君  小玉 治行君    小西 寅松君  小峯 柳多君    小山 長規君  河野 謙三君    近藤 鶴代君  佐久間 徹君    佐々木秀世君  佐々木盛雄君    佐藤 親弘君  坂田 英一君    坂田 道太君  坂本  實君    志田 義信君  清水 逸平君    塩田賀四郎君  篠田 弘作君    島田 末信君  澁谷雄太郎君    島村 一郎君  首藤 新八君    庄司 一郎君  周東 英雄君    鈴木 明良君  鈴木 仙八君    鈴木 善幸君  鈴木 正文君    瀬戸山三男君  關内 正一君    關谷 勝利君  千賀 康治君    田口長治郎君  田中 角榮君    田中 啓一君  田中 重彌君    田中  元君  田中不破三君    田中  豊君  田渕 光一君    多田  勇君  多武良哲三君    高木吉之助君  高木 松吉君    高塩 三郎君  高田 弥市君    高橋 英吉君  高橋 權六君    高間 松吉君  竹尾  弌君    橘  直治君  玉置 信一君    玉置  實君  圖司 安正君    塚田十一郎君  塚原 俊郎君    土倉 宗明君  辻  寛一君    圓谷 光衞君  坪内 八郎君    坪川 信三君  寺島隆太郎君    寺本  齋君  飛嶋  繁君    苫米地英俊君  冨永格五郎君    奈良 治二君  内藤  隆君    中垣 國男君  中川 俊思君    中野 武雄君  中村  清君    中村 幸八君  中山 マサ君    仲内 憲治君  永井 英修君    永井 要造君  永田  節君    西村 英一君  西村 直己君    西村 久之君  根本龍太郎君    野原 正勝君  野村專太郎君   橋本登美三郎君  畠山 鶴吉君    花村 四郎君  原 健三郎君    原田 雪松君  平井 義一君    平澤 長吉君  平島 良一君    平野 三郎君  福井  勇君    福田 篤泰君  福田  一君    福永 一臣君  福永 健司君    藤井 平治君  藤枝 泉介君    淵上房太郎君  古島 義英君    降旗 徳弥君  保利  茂君    星島 二郎君  細田 榮藏君    本間 俊一君  眞鍋  勝君    前尾繁三郎君  前田 正男君    牧野 寛索君  増田甲子七君    益谷 秀次君  松井 豊吉君    松浦 東介君  松木  弘君    松田 鐵藏君  松永 佛骨君    松野 頼三君  松本 一郎君    松本 善壽君  丸山 直友君    三池  信君  三浦寅之助君    三宅 則義君  水田三喜男君    水谷  昇君  滿尾 君亮君    南  好雄君  宮幡  靖君    武藤 嘉一君  村上  勇君    村上 清治君  守島 伍郎君    森   曉君  八木 一郎君   藥師神岩太郎君  柳澤 義男君   山口喜久一郎君  山口 好一君      山口六郎次君  山崎 岩男君    山崎  猛君  山村新治郎君    山本 猛夫君  山本 久雄君    吉田  茂君  吉田吉太郎君    吉武 惠市君  龍野喜一郎君    渡邊 良夫君  亘  四郎君  否とする議員の氏名    荒木萬壽夫君  有田 喜一君    石田 一松君  井出一太郎君    飯田 義茂君  稻葉  修君    今井  耕君  小川 半次君    大森 玉木君  岡田 勢一君    金子與重郎君  川崎 秀二君    河口 陽一君  木下  榮君    北村徳太郎君  小林 運美君    小松 勇次君  河野 金昇君    河本 敏夫君  坂口 主税君    笹森 順造君  笹山茂太郎君    椎熊 三郎君  園田  直君    床次 徳二君  苫米地義三君    内藤 友明君  中曽根康弘君    並木 芳雄君  橋本 金一君    長谷川四郎君  畠山 重勇君    早川  崇君  林  好次君    原   彪君  平川 篤雄君    福田 繁芳君  藤田 義光君    船田 享二君  増田 連也君    松谷天光光君  松本 瀧藏君    三木 武夫君  村瀬 宣親君    森山 欽司君  柳原 三郎君    山手 滿男君  山本 利壽君  早稻田柳右エ門君  淺沼稻次郎君    井上 良二君  石井 繁丸君    石川金次郎君  受田 新吉君    大矢 省三君  岡  良一君    川島 金次君  田万 廣文君    堤 ツルヨ君  戸叶 里子君    土井 直作君  西村 榮一君    前田榮之助君  前田 種男君    松尾トシ子君  松岡 駒吉君    三宅 正一君  水谷長三郎君    門司  亮君  山口シヅエ君    井之口政雄君  池田 峯雄君    江崎 一治君  加藤  充君    風早八十二君  柄澤登志子君    苅田アサノ君  木村  榮君    今野 武雄君  田島 ひで君    田代 文久君  高田 富之君    竹村奈良一君  立花 敏男君    中西伊之助君  梨木作次郎君    林  百郎君  深澤 義守君    山口 武秀君  横田甚太郎君    米原  昶君  渡部 義通君    足鹿  覺君  赤松  勇君    猪俣 浩三君  稻村 順三君    勝間田清一君  上林與市郎君    久保田鶴松君  佐々木更三君    坂本 泰良君  鈴木茂三郎君    田中織之進君  成田 知巳君    武藤運十郎君  八百板 正君    浦口 鉄男君  玉井 祐吉君    中野 四郎君  岡田 春夫君    黒田 寿男君  中原 健次君    羽田野次郎君  小林  進君    佐竹 晴記君  小林 信一君     —————————————
  57. 林讓治

    議長(林讓治君) 本日はこれにて散会いたします。      ————◇—————     午後六時二十八分散会