○渡部義通君 われわれは、ただいまの
決議案にま
つたく反対であります。
東洋文化、ことに
中国文化が、
日本の歴史の上で、ある
意味で非常に重大な影響を持
つた。大化改新の前後、
日本の国の文化が非常に低か
つたときに、
中国の高い文化を取入れたことは、
日本の文化の発展の上に確かに重大な
意味を持
つたのであります。しかし、古代文化というのは、これは
中国の専制君主の思想であり、封建的な、父家長的なイデオロギーであるのであ
つて、これがその後の
日本の文化の上にどういう影響を持
つたかと申しますと、これは
日本の封建的なイデオロギーを固め、そうして人民を支配、収奪する上に重要な役割を果したのであります。同時に、この思想は、天皇制時代の
日本においても重要な役割を果した。
日本の天皇制は父家長的な性格を持
つておるのであり、
従つて、これは古代
中国の思想、専制君主の思想、忠君思想として
日本の天皇制をイデオロギー的に支持する上に重大な役割を果したばかりではなくて、その結果は
一体どういうふうにな
つたのか。君主専制的な専制のもとでこの思想が働いた
一つの結果として、
日本を
中国侵略、東洋侵略のためにかり立てる重要な思想的な役割を果したのではないか。同様に、この思想によ
つて、天皇の前には、すべての
国民が一言を吐くことができず、天皇の一言一句が
日本の絶対の
法律的な権力を持つようなものとして現われて来たのではないか。
この天皇制的な思想の根底には、古代
中国の専制君主的な思想が深くからんでおるのである。そうしてまた、その結果、それによ
つて日本人がどれだけあの天皇制的な
状態のもとで苦しんだか。あらゆる収奪と、あらゆる暴圧とが
日本の
国民に加えられただけではなしに、
戦争にかり立てることによ
つて、全世界に対して
日本国民として顔向けならないような
戦争を引起し、その結果、
日本国民の今日の悲惨な
状態をつくり出したのではないか。東洋古代思想というものは、こういう役割を
日本の歴史の上に果したのである。
今日また東洋思想が再び叫ばれたことについては、重大な
理由がある。自由党の
諸君、
吉田内閣がこれを持ち出したところに特に
意味があるのである。今日、
アメリカの支配のもとで、
日本の
政府、そうして
諸君、自由党が、
国民のあらゆる反対を押し切
つて、
国民の闘争を弾圧しながら、そうして
国民の一切の生活を━━し、
権利と自由を━━、
日本を
アメリカの━━にしながら、強引に
日本の再軍備にとりかか
つておる。
日本の━━━━の再建にとりかか
つておる。
何のために
諸君はこの━━━━の再建をしようとするのか。これは、
日本のすべての
国力をあげて、
日本の今日の
政府の━━である
アメリカの━━にしようとしておる。そのための
日本の━━━━の再建なのである。同時に、すでにこのためにこそ、今天皇制の━━ということを、
諸君がこれに並行して強引に行いつつある。天野文相が
国民道徳実践要領というものを出して、世の中の物笑いにな
つて撤回せざるを得なか
つたけれども、その根底には、再び天皇中心主義と天皇━━をつくり出そうとしておるものがあるのである。それだけではない。現にあの大戦時代において天皇制が果したところの役割というもの、すなわち
国民の一切の自由も、
権利も、生活も無視して、そうして軍国主義をつくりあげたあの天皇制の役割を、今日
吉田内閣と
諸君が━━━━━━━━のである。
現に見ろ。(「ソ連はどうだ」と呼び、その他発言する者多し)黙
つて聞け。──現に、
日本のすべての人々は
戦争に反対しておる。そのためにこそ再軍備に反対しておる。また
日本の若い学生たちは、すべて徴兵制度に反対し、徴兵制度が来るということに反対して闘
つておるてはないか。
先日も、十八日に澁谷駅頭で何が起きたか。この澁谷駅頭では、東大の若い学生たちが、
自分たちは再び
戦争にとられたくない、徴兵に行きたくない、
日本の軍国主義に反対だという演説会を開こうとしたときに、武装警官を動員して、これに対する徹底的な弾圧を加えておる。あの澁谷の駅頭というのは、再軍備
賛成の演説はいくらでもやらせるのだ。再軍備
賛成の演説はいくらでもやらせて、学生たちが
戦争に行きたくないという署名運動を弾圧しておるではないか。
また二十日に、東大でどういうことが起きたか。東大の学生も、同じような考えを全部持
つておる。この東大の学生が、劇団を持
つて、
一つの集会を開いたときに、ここにスパイが入り込んで、そうして学生達を挑発して、あの集会を破壊しようとした。これは単に学園の自由を侵したというだけにとどまらない。これは単に学園の自由を侵しただけでなしに、
日本の
官憲が、
国家の権力が学園に再び侵入して、そうして学生たちの、自由な――
戦争に反対し、
日本の再軍備に反対し、
日本の
独立を求めて、
日本の隷属しておるものと闘おうとするこの闘いを、
諸君は――
諸君の
内閣は断圧しようとしておるのである。このようなことは、一齊に全国に起きておるのである。
また名古屋大学を見よ。あの名古屋大学においては、同じく学生
諸君が再軍備反対の演説会を開こうとしたときに、MPが来て、そうしてこれに空砲を発して、おどかしながらこれを弾圧しておる。つまり、
諸君の
内閣と、━━━━━━━━━━━━━どもが一緒にな
つて、
戦争に行きたくない、
戦争のために
日本を再び悲惨な
状態に置きたくない、
戦争に反対し、平和の中で
日本の
国民生活を安定し、
日本人が真に自由と
権利を獲得し、
日本の完全な
独立を闘いとることによ
つて世界の平和を守ろうとしておる、このためには命をかけても闘おうとしておるところの、若い、純潔な、
日本の次の世代を背負うところの学生
諸君の運動を、
諸君の
内閣は弾圧しておるのである。
また、これこそは単に学生
諸君の問題だけではない。すべての労働者、すべての勤労者が、その生活と自由と
権利のために闘うところの一切の運動、また
日本の解放と
戦争反対のために闘うところの一切の戦いを、
諸君の
内閣と、
諸君の党が弾圧しておるのである。(
拍手)これは
一体何を
意味するのであるか。これこそ
諸君は、再び天皇制をつくり出して、
日本の
国民を有無を言わさずに━━に動員し――しかもその
戦争というものは、━━━━━━━━━━━━━━━━━━の
戦争である。こういう
戦争に
日本の若い
国民を動員しようとする。この
戦争に
諸君はかりたてようとしておるのである。そのために、
諸君は、天皇制の復活を再び強力に、強引にやろうとしておるのである。東洋精神の復興ということは、この天皇制的な、絶対専制的なイデオロギーを再び学校の正課として
国民の中に持ち込もうとする、
諸君の
内閣及び自由党の━━にほかならないのである。
諸君、もしも
諸君が東洋精神というものを欲するならば、あの四千年前の東洋精神ではなくて、今日の生きた東洋精神を求めなければならない。今日の生きた東洋精神とは何か。これは
中国において、朝鮮において、ヴエトナムにおいて、その他あらゆる東洋の植民地において、命をかけて、全被抑圧民族が、すなわち植民地の民族が闘
つておる、あの生きた新しい力と新しい世界をつくり出すところの精神でなければならない。
諸君がもし
日本の現状を思うならば、東洋精神とはまさにこのような精神をこそ
諸君は取入れなければならない。しかるに、
諸君は、反対に古代天皇制を助けたところの絶対君主制的なあの思想を取入れようとする。
諸君は、
日本の歴史における東洋精神というものの本質を知らず、今日それがどういう
意味を持つものであるかもよくは理解しないでおりながら、実際はこの目的を持
つておる
日本の反動
政府の恣意に甘んじて、
諸君はこれを
提出している。
諸君、われわれは、こういう
意味において、ほんとうに
日本の
国民の生活を安定し、
日本の
国民の
権利と自由を
国民自身のものにし、
日本の国を━━━━━━━━━━━━━━━の下から完全に解放し、そして
日本のほんとうの平和をつくり出し、さらに世界の平和に
諸君がほんとうに寄與しようとするならば、今日
諸君がどう考えているかということが問題じやないのだ。問題は、
日本の歴史的な将来を考えることなんだ。(
拍手)この
日本の歴史的な将来、大きな目をも
つて諸君の子孫のことを考えてみるならば、
諸君の取入れるべき東洋精神というものは、あの天皇専制主義を助けたところの、また
諸君が今試みている天皇専制主義をつくり上げようとするような精神ではなくて、全世界の被抑圧民族を解放する、東洋の中で大きく力強く実力を持
つて動いておるこの変革的、革命的、創造的精神でなければならぬという
理由において、私は
諸君の提案に絶対に反対するものである。(
拍手)