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猪俣委員 なお私は一点お願いしておきたいことは、これは
法務総裁がおいでに
なつたら、なおよく
法務総裁の
意見を聞きたいと
思つておるのですが、
人権擁護局が縮小されるということに対しましては、
法務総裁は、これは
日本弁護士協会にやらせるのだという御
答弁でありました。ところが
日本弁護士協会の役員
会議におきましては、これに対しまして猛烈に反対をいたしました。
自分たちはやれない、これはやはり擁護局を縮小してもら
つては困るということを私
どもに陳情して参
つておるのであります。こういういろいろな治安立法ができます際に、そうしてまた世上騒然たる際に、やはり取締りを厳重にするとともに、この
人権は極力擁護するという一面を
国家が持たないと、昔の
特高国家になるのでありますから、私はこういう時勢においてこそなお
人権擁護局というものは拡大強化されて、一面において取締りを厳重にすることともに、一面
人権の保護を十二分にやるということによりまして特高
警察化することを防ぐということが必要だと
考えておるものでありますのに、
法務府はこれを縮小しようと
考えておられるようであるが、これは
法務府の部内におきましても十二分に御検討くださいまして、その時期が非常に悪い時期である。こういう時期に
人権擁護局を縮小する提案なんか出すということは、これは自由党の諸君もよく
政府に話をしてぼくはこれは取下げさしていただきたいと思う。実に時期が悪いです。それでなくてさえいろいろなことを言われるときに、こういう
人権擁護局を縮小するというような提案を今やるということはまことに下手な
やり方だと
考えるものであります。
なおこれは
検察庁の方々であ
つて警察ではございませんが、
検察庁は
警察のある程度の指導的任務をお持ちにな
つておりまして、
局長な
どもやはり
警察官に対していろいろまたお話なさる機会があると思うのでありますが、私は
警察と軍隊との違いを明らかにしましたアメリカのある州の
警察長官の言葉というものを極力
警察官に御説明を願いたい。それはグルムという大佐でありまして、陸軍出身の人でありますが、後に
警察官に転じて十五年間ヴアージニア州かなんかの
警察長官をつとめた人でありますが、これは軍隊と
警察との違いを明らかにいたしまして
——国会への証言であります。治安の維持は
警察でなければならぬ。
警察官の
教養訓練というものは、かわら何枚投げつけられてもどの程度がまんできるか、どんな罵詈雑言を言われてもどの程度忍耐できるか、それが
警察官のほんとうの訓練だ、兵隊にはその訓練ができない。兵隊は敵を撃退するのであるから、敵腐心を盛んにして、全部これを撃滅すればよろしいが、
警察官は治安の維持、民衆の保護にあたるべきものであるから、とにかくがまんをするということが第一の任務で、その
意味において
警察訓練を受けた者と軍隊訓練を受けた者は違うのであ
つて、治安の維持は
警察訓練を受けた者でなければならないということをグルムという大佐が詳細にアメリカの国会に報告いたしておりますし、今忘れましたがアメリカのある州のやはり
警察委員会におきましても、同様なる
意見を国会に報告しておるのであります。近ごろの
警察官は、早稻田大学のあの
騒擾事件を見てもわかるように、どうもはやり過ぎて、若い学生や何かの言葉にすぐかつとして、そうしてはやりにはやるというような傾向があるのではないかと思うのであります。これは
警察官として非常に心得違いである。それをも
つて士気旺盛なりと指揮官が
考えるといたしますと、これはとんでもない指揮官であ
つて、
警察官の任務というものはそういうものではないのであります。そういうことに対しまする訓練をしていただきたい。私は先般
警察大学校に頼まれまして講演に参りましたが、
警察大学に来ております署長級だそうでありますが、極力それを頼んで参りました。どうぞ
検察当局におかれましても、そういう
警察大学あたりにお臨みになる際には、われわれが言うことよりも
皆さんが言う方が
警察官が聞くと思いますので、よくその点を説明していただいて
——そうしませんと、一部の矯激なる暴力主義者の誘発に乗りまして、ことさらに
事件を拡大して、そうして民衆と
警察官のますます反目を助長し、これから
国家の秩序の一角がくずれて行く。ま
つたくわれわれの排撃しまする暴力主義者たちの計略に、近ごろの
警察官は乗
つておるのじやないかという心配を私は十二分にしておる。それをよほど注意をしてかか
つていただかないと、民衆と
警察の融和が阻害せられまして、それこそいわゆる民主
国家の秩序というものが、
警察官と民衆の協力によ
つてやるということが根本でございますので、それを破壊するようなことになるのを私はおそれるのであります。どうぞ
検察の御
当局の方々もその点を御留意いただいて、
警察官及び
検察官の
態度というものにつきまして、訓練を誤らぬようにお願いしたいと存ずるのであります。これをも
つて終ります。
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