○服部
最高裁判所説明員 川南工業株式会社に対しまする破産申立
事件につきまして。
最高裁判所で調査いたしました結果を申し上げます。
全日本造船労働組合香焼島分会員津田藤男外二千六百六十四名から、昭和二十五年十二月二十八日、川南工業株式会社に対しまして、大阪
地方裁判所に破産の申立てがあつたのでございます。
当時、大阪
地方裁判所におきましては、同じ川南工業株式会社に対しまして、他の数名の債権者から破産の申立て
事件が提起されておりましたので、裁判所におきましては、関係者に対しまする調査、会社の書類その他の保全処分等の方法によりまして
事件についての審理を進めまする一方、
本件以外の関連
事件をも含めまして、総合的な解決をはかるために種々あつせんを試みたのでございまして、そのうちの相当多数につきましてはいずれも示談解決を見まして、昭和二十六年十月初めごろまでの間に破産の申立てを取下げるに至つたのでございますが、
本件につきましては解決を見るに至らなかつたのでございます。
そこで、同裁判所におきましては、昭和二十六年十月三十一日から十二月十二日までの間に四回にわたりまして口頭弁論を開きまして、
事件についての審理をいたしました上で、同十二月十二日に審理を閉じまして、
事件を書面審理に移し、同月二十六日川南工業株式会社代表取締役川南豊作を審尋いたしたのでございます。
その後、同裁判所は、問題に
なつております組合員を含む各債権者と債務者川南工業株式会社との間に立ちまして、さらに数回にわたつて示談のあつせんを試みまして、その結果会社側におきまして債務の一部の弁済をする等の方法によりまして、一部については解決を見るに至つたのでございますが、組合員全部の全債権については解決を見るに至らなかつたのでございます。
そこで、裁判所では、従来
本件は坂裁判官の単独審理であつたのでありますが、これを坂、岩本、坂井三裁判官の
会議体で審理いたすことといたしまして、同年四月二十三日、二十四日の両日、岩本、坂井両裁判官を受命裁判官といたしまして、香焼島及び深堀の造船所の検証を行わせ、続いて五月八日に申立人側、それから五月十三日に会社側を審尋いたしたのでございますが、その五月十三日に、会社の代理人から、坂、岩本、坂井の三人の裁判官に対しまして忌避の申立てがございましたので、破産
事件の手続は停止に
なつたわけでございます。
なお、この忌避
事件は大阪
地方裁判所の第二民事部におきまして審理をいたしまして、その結果五月三十日に忌避の申立てを却下する旨の決定がありまして、その決定は三十一日に当事者に送達に
なつたのでございますが、さらに六月四日申立人側から大阪
高等裁判所に抗告がありましたので、現在その忌避
事件は大阪
高等裁判所に係属中でございます。さような次第で、現在忌避
事件が係属いたしておりますために、この
事件は停止に
なつておる状況でございます。
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