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1952-05-30 第13回国会 衆議院 法務委員会 第60号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月三十日(金曜日)     午後二時四十分開議  出席委員    委員長 佐瀬 昌三君    理事 鍛冶 良作君 理事 田嶋 好文君    理事 田万 廣文君       安部 俊吾君    押谷 富三君       角田 幸吉君    北川 定務君       松木  弘君    眞鍋  勝君       大西 正男君    加藤  充君       佐竹 晴記君  出席政府委員         法務政務次官  龍野喜一郎君         検     事         (法制意見第四         局長)     野木 新一君         検     事         (中央更生保護         委員会事務局         長)      斎藤 三郎君         検     事         (中央更生保護         委員会事務局少         年部長)    池田 浩三君         法務事務官         (中央更生保護         委員会事務局成         年部長)    大坪 与一君  委員外出席者         専  門  員 村  教三君         専  門  員 小木 貞一君     ――――――――――――― 五月二十九日  戦犯者釈放に関する陳情書  (第二〇三八号)  同  (第二〇三九号)  市区町村役場における戸籍届出用紙等無料頒  布中止に関する陳情書  (第二〇四〇号)  同(第  二〇四一号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一三九号)     ―――――――――――――
  2. 佐瀬昌三

    佐瀬委員長 これより会議を開きます。  犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑の通告がありますので、これを許します。押谷富三君。
  3. 押谷富三

    押谷委員 昨日に引続きまして犯罪者予防更生法改正案につきましての質疑を続行いたしたいと思います。  まず今国会に提出をされております法務設置法の一部を改正する法律案におきまして、地方少年委員会地方成人委員会区別を、従来と異なつてこれを撤廃いたしまして、地方委員会を一本といたしております。また保護司少年と成年との区別も同じく撤廃をいたしております。一体少年事件成人事件とは、その対象の相違によりましておのずから取扱い方を異にせねばならぬと考えるのであります。しかも少年に対しましては特に相当専門知識を必要とするものでありますが、このような一本にするやり方で十分な成果を上げ得るやいなや相当疑問があると考えるのであります。この点について政府の御意見をまずお伺いをいたしたいと思います。
  4. 斎藤三郎

    斎藤(三)政府委員 ただいま御指摘の通りに、法務設置法等改正案におきまして地方委員会を一本にし、また保護司も従いまして少年保護司成人保護司区別がなくなることに相なります。これにつきまして過去三年、この法律の運営にあたりまして仕事の点からだけ申しますると、少年成人おのおのやり方において異なるところがございますが、行政機構として二つありますことは、比較的少人数委員会観察所において場所によりましては、またまずい場合が——若干対立的な感情等も起りまして、保護司さん方もまた観察係の人々もできるならばこれを統合いたしたいというような希望が非常に強かつたのでございます。当時やむを得ない事情で統合ができなかつたのでございますが、今回は三年間の実績に照しまして、わずかの人間を一本にして使う方が能率が上るという意味合いで統合いたしたのでございます。もちろん実際の事件にあたりましては少年事件を長く練達されている方に少年事件をお願いする、こういうようなやり方によりまして、その技術的な面において損失をなくし、機能的な能率の向上をはかつて行きたい、こういう意味合いでございます。
  5. 押谷富三

    押谷委員 この新しい設置法によりまして地方委員会に設けられる委員の数でありますが、昨日もこの点についてお尋ねをいたしておいたのでありますが、大体三人から九人というような数字になるようであります。この委員を配分される予定の人数はどういうようになつておりますかをいま少し詳しく承りたいと存じます。
  6. 斎藤三郎

    斎藤(三)政府委員 昨年の行政整理の際に地方委員の定数が三十九人ということにきまりまして、今度の機構が統合いたしましても、同様の三十九人でやることになつております。但し事件が非常に過不足がございます。四国地方のごときは関東事件数の四分の一以下というふうになつておりますので、これらの点及び北海道等交通便等もございまするから、それらを勘案いたしまして、関東は九人、四国は三人、その他は五人、場所によつて六人のところが二箇所できるか、一箇所を七人にするか、それで全部合せて三十九人ということで現状とほとんどかわらない形で参ることに予定いたしております。
  7. 押谷富三

    押谷委員 この保護司保護観察官との関係でございますが、これはきわめて緊密なる連絡を保つて、共同の目的を達成するために協力をせなければならぬのでありますが、この間が必ずしも円滑に行つているとは考えられないような事情にあると聞かされているのでありますが、はたしてこの保護司保護観察官との関係は円滑に行つているとお考えになつておりますか。またその間において多少とも行き違いがあるならば、その間に何かの調整をする必要をお認めになつているかどうかを伺いたいと思います。
  8. 斎藤三郎

    斎藤(三)政府委員 現在多数の事件を処理いたしております現状におきまして、保護司方々ほんとうに挺身してその仕事に当つていただくということがこの仕事能率を上げる、成績を納める不可欠の問題であると存じまして、その間の連絡についてはきわめて緊密に行くように注意をいたしております。大体において非常にうまく行つているのではないかと存じております。実際には全国一様には参りませんが、二、三十人あるいは四、五十人の保護司が一つの保護区を構成しておられまして、それが月に一回会合いたしまして、それに担当保護司が臨席して個々事件報告を受け、それについての意見の交換をする、こういうようなことをいたしております。その間大体においてうまく行つていると存じております。しかし部分的には若干問題があるところが、ある時期にはあつたこともございます。それについてはいろいろ事情調査してそれぞれ適切な処置をいたしておりまして、現在問題になつておる場所はないように存じております。
  9. 押谷富三

    押谷委員 昨日お伺いいたした点でありますが、引致状によりまして保護観察に付せられている者を引致するという、このことは規定上必要でありますが、実際の問題といたしまして、引致状を発付する手続を経る余地がなくて、その相手方がどこかに行方をくらましておつたものが、たまたま道で会つたとか、電車の中で出会つたというような場合に引致状によつてこれを引致すれば、それはいいわけでありますが、そういう時間のゆとりがない、ただちにこれをつかまえたいというような場合において、保護観察官はこの状況においては何の強制権も持つておらないのでありますか。そういうような場合において緊急に引致をして、緊急逮捕のような形で、あとで引致状を出すというような手続、そういう処置をする必要をお認めになつておらないかどうかを伺いたいと思います。
  10. 大坪与一

    大坪政府委員 お答えいたします。お尋ねのような場合もあり得ることと存ずるのでございますが、大体から申しますると、保護観察官ないし保護司——今のは保護観察官お尋ねであつたかと思いますが、保護観察官保護観察を行いまするのは、本人住居地または現在地におきまして指導監督補導、援護をして行くという建前でございまして、身柄に対する特別な強制権を持たないところにうまみを見出して、更生を助けて行くという建前でございますので、例外的な場合のためには、多少遺憾な点が生ずることもありますけれども、現在は今の形で行つても、大して支障はないものと考えております。
  11. 押谷富三

    押谷委員 次に少年法との関係でありますが、少年法第二十五条に、家庭裁判所少年調査官観察に付することができるという規定があります。この観察はいわゆる試験観察と称するものでありますが、この調査官観察をさすという制度と、保護観察との関係はどういうようになるのでありますか、伺いたいと思います。
  12. 斎藤三郎

    斎藤(三)政府委員 少年法第二十五条によりまして、家庭裁判所保護処分決定をいたします前に、ある期間少年調査官観察に付する、場合によつては外部の人にそれを委託するという制度がございまして、俗に試験観察と申しておりますが、これは、この制度からいいますと、裁判所決定をいたします前に、やはりある期間調査のために、かような観察をいたす、こういう建前でできておるのでございまして、当初施設が不十分な場合に、若干これを本来の趣旨以外に使つたことがございましたが、その後最高裁判所におかれましても、機会あるごとに、本来の趣旨のようにと注意を促して来られまして、これは試験観察というよりは、私ども調査観察と呼ぶのが適切ではないか、執行段階に入る前の、決定をするための調査観察である、かように考えております。
  13. 押谷富三

    押谷委員 御趣旨はよくわかりますが、この観察が実際上二十五条第二項第三号の規定によつて保護観察官または保護司に委託されておるようであり、保護観察とまつたくかわらぬものでありますが、この保護観察との間がはたして円滑に行つているか。中央更生保護委員会裁判所とが全然所管の役所が違つておる関係から、そこに軋轢を生じまして、現在もまだこの関係は円満に解決をされたという状況に達しておらないと聞いておるのでありますが、その間の事情伺いたいと思います。
  14. 斎藤三郎

    斎藤(三)政府委員 この俗にいう試験観察というものが決定後の保護観察と外形的に同じような外貌を呈することがございます。従いまして、これについては、最高裁判所家庭裁判所のことに関係いたしております家庭局とも十分連絡をとつて、適切なる通牒といいますか、地方にお示しのあるように、たびたび連絡をとつておりまして、さしてその間に問題があるということには相なつておりません。
  15. 押谷富三

    押谷委員 この新しい設置法で修正をされております予防更生法第十九条で、保護局調査官及び保護観察官を置くことにいたしておりますが、この調査官裁判所にある少年調査官との関係は、いかようになつているのであるかの一点をお尋ねしたいと思います。保護局調査官が実際上少年を直接手がけるということになりますれば、その間に何らかの調整をする必要があると考えますが、この点についての御意見伺いたいと思います。
  16. 斎藤三郎

    斎藤(三)政府委員 お言葉通り調査官という同じ名前を使つておりまして、その点ではまぎらわしいのでございますが、家庭裁判所少年調査官は、家庭裁判所の裁判官の補助機関として、審判のための調査として、直接送致されました少年について、いろいろの調査をいたしております。中央委員会に置かれております調査官は、現行法のもとにおいても置かれておりまして、その仕事といたしましては、犯罪科学的調査研究犯罪者の人格、性行あるいは心理学的な点、そういうものを調査いたしまして、全般的に犯罪者の改善あるいは犯罪予防という面について、大きな企画をする資料調査いたしておるのでございまして、中央委員会調査官が直接少年にタッチするという機会は全然ございませんので、実際上においては紛淆を来すことはございません。
  17. 押谷富三

    押谷委員 やはり家庭裁判所法務府の関係でありますが、今度の裁判所職員定員法を修正いたしまして、家庭裁判所医官を配属して、少年事件特殊性にかんがみ、少年の心身の調査をなさしめることになつております。しかるに従来法務府には少年保護鑑別所がございまして、鑑別所の技官が科学的にきわめて綿密な調査行つて、その結果を裁判資料として、裁判所に送つているのであります。同じような事柄に、二つの役所がそれぞれの法律根拠に基いて仕事をいたしておる関係になりますならば、この両者の間において何らかの調整をする必要があると考えておりますが、その点についてお伺いをいたしたいと思います。最高裁判所家庭局では、この保護鑑別所はむしろ裁判所設置をさるべきものであるというような強い意見を持つておるように聞かされておるのでありますが、この点についての御意見伺いたいと思います。
  18. 斎藤三郎

    斎藤(三)政府委員 当初少年法あるいは少年院法の立案の際に私も参与いたしまして、その点をいろいろ研究をいたしました。少年特殊性によりまして、少年の性格その他について科学的な調査研究をして、初めて適切なる審判もでき、適切なる矯正教育もできる、こういう意味合いでありまして、あるいは理想的にいうならば、きわめて連絡のいい組織にして、おのおの機関調査鑑別組織、機能を持たせるということが最も望ましのかもしれませんが、それはまた非常な負担を要することに相なります。少年院においてもそれを必要とし、保護観察所においてもそれを必要とする、また家庭裁判所審判にもそれが必要で、三箇所に同じ施設を置くということは避けた方がいいのではないかと考えまして、保護鑑別所ができたのであります。これは法務府内におきましては同じ部局でございますから、少年院保護鑑別所も現在においておのおのほしいというような要望がございますならば、家庭局家庭裁判所は外部的な関係にお互いになりますので、あるいは不便と考えられてお置きになつたのか、その辺のところは私ども正確のことは申し上げかねますが、大体今までの経過はさようなことになつております。
  19. 佐瀬昌三

    佐瀬委員長 他に御質疑はございませんか。田万廣文君。
  20. 田万廣文

    ○田万委員 簡単にお尋ねいたしたいと思います。それは三十条の二項の点ですが、本法逐条説明によりますと、面接の点については、「本人面接をしますることは、本人が仮出獄または仮退院に適するかいなかについて的確な心証を得るためにも、また本人更生を確保するためにも、重要な意義のある適切な方法でありまするので、本項におきましては、現行第三十条と同様、その審理を行う委員はみずから本人面接しなければならないことを原則といたしました。」と説明されておるのでありますが、それに関連してお尋ねいたします。それはこの但書に、本人重病または重傷である場合、「その他中央委員会規則で定める場合であつて、仮出獄又は仮退院を許すことを相当認めるときは、この限りでない。」その文句の「中央委員会規則で定める場合」ということはどういう場合が考えられておるのでございますか。
  21. 斎藤三郎

    斎藤(三)政府委員 まだ確定案決定いたしておりませんが、現在準備をいたしております範囲で申し上げます。重傷重病等受刑者で、きわめて短期間に出すという場合、それから前回の審理で、すでに一回あるいは二回委員面接が済んでおりまして、その際この点が問題である、その問題が解消したというふうに見られる場合、あるいは開放的な構外作業場に出ておりまして、しかも成績がよろしい、そしてその開放的な施設によつて全然問題を起していないというような場合、その他を考えておりますが、最も大事な点は、不許可にするという場合は面接を省略することができない、許す場合には省略できる、こういうふうにいたしておりまして、原則としては面接が有益でございますが、実際の現状において、これはやはり重点的に行うことが有利である、こういう構想でかような案になつておる次第であります。
  22. 田万廣文

    ○田万委員 おつしやるまでもなく、この但書の裏は、仮出獄または仮退院相当認める場合は、面接の必要がないというふうに解されるわけです。そこでお尋ねしたいのは、こういう場合であつても、本人との面接によつて、あるいは相当思つていたものが、状況から判断して、本人の心境もよくわかつて相当のものと認められる場合も、ときにはあり得るのではないか、そういう懸念がありますので、全然そういう懸念がないとおつしやればともかく、あると思えば、また別にお考え願わなければならぬ点があるのではないかと思つてお尋ねしておるのであります。
  23. 斎藤三郎

    斎藤(三)政府委員 相当認めて仮出獄を許さないという決定をする場合には、必ず面接をしなければならない。そしてその結果相当認める場合には仮出獄を許可する、こういうことをいたしまして、もう見なくても、会わなくても、今までの資料その他前後の事情から、これはもう出してもよろしいという場合だけ、しかもそれは全部を省略してよろしいというのではなくて、個々の事案について、もうこれは見なくても、会わなくても、出してよろしいという場合にだけ面接を省略できるという考え方でございます。なおこれにつきましても、委員が直接行かれない場合でも、地元観察所のしかるべき者がかわつて面接といいますか本人会つて事情を聞くということは、できるだけ考えたいと存じております。
  24. 田万廣文

    ○田万委員 四十一条の二項の一号に関連いたしましてお尋ねしますが、この条項によりますと、「保護観察に付されている者が第三十四条第二項の規定により居住すべき住居に居住しないとき。」とございます。それは居住しないという理由について正当な理由があるという場合も考えられるのですが、その取扱い方については何ら規定がなされておらない。実際問題としてどういうふうにお取扱いになるのですか。引致の問題です。
  25. 斎藤三郎

    斎藤(三)政府委員 仮出獄を許す前に、本人申立てにより、委員会相当認めて、居住すべき場所を指定してございます。そして本人が転居する必要がある場合は、それぞれの手続により、正当なる場合には許す、こういうことに相なつております。その居住地から無断でいなくなつてしまうという場合を考えておるわけでございます。
  26. 田万廣文

    ○田万委員 住居を変更するときは届出をしなければならない、これは常識だと思うのですが、故意でなくして過失でそういう手続について落ち度がある、従つてその結果は、転住の届出を怠つておるという場合は、やはりこのかたい規定通りはおやりにならぬと思いますが、いかがですか。
  27. 斎藤三郎

    斎藤(三)政府委員 ただいま仰せのような場合は、ただ引致をさせることができるという場合でございまして、十分常識をもつて、これは正当な理由があるというふうに思われる場合は、引致状は出さないことにいたしたいと思つております、
  28. 田万廣文

    ○田万委員 それから同条の第七項によりますと、「第二項の引致状により引致された者は、引致された時から二十四時間内に釈放しなければならない。」こうありますので、二十四時間という時間の基準はどういうところから割出されたか。私どもの考えるところでは、大体あやまつて引致したような場合においては、すみやかに釈放してやらなければならない。人権に重大な関係があるという観点から考えて、二十四時間は長過ぎるのではないか。引致する限りは相当根拠があると思いますが、その引致間違つてつた場合には、すみやかに釈放しなければならない。二十四時間内とありますから、一時間でも二時間でもよろしゆうございましようが、二十四時間というと相当長い時間でありますが、その点心配するのです。
  29. 斎藤三郎

    斎藤(三)政府委員 当人の申立て事項について、またさらに調査を要するという場合も起るかと存じまして、最大限ということで二十四時間内というふうにいたしております。運用に当りましては、十分御趣旨の点を尊重して、無用に人権を拘束することのないように努めたい、かように考えております。
  30. 田万廣文

    ○田万委員 私どもは実態をちつとも知らないのですが、保護観察というものについての方法はいかなるものか、ちよつと勉強のために聞いておきたいと思います。
  31. 斎藤三郎

    斎藤(三)政府委員 私どもは、刑務所に入れましたならば、できるだけりつぱな役に立つ人にして社会に早く帰したい、こういうつもりでおりまして、刑務所に入りまして、仮出獄を許すことのできる期間以前に刑務所から通知を受けまして、それによつて本人家庭その他を十分調査いたしまして、その調査に当るのには、その地元地元において有力な信望のある人に依頼をしまして、これは保護司という名前でございますが、その方々調査によりまして、また所内の成績によつて出獄決定されるわけでございます。そして決定されまして仮出獄になりますと、家族の出迎え等をいたさせまして、できるだけ家庭に円満に帰るように努めまして、その後指定された保護司が、しかも近所におつて、よく事情がわかつて信頼できる人が相談相手になつて保護観察をいたす、これが通常の場合でございます。特殊といいますか、少数の困難な場合には、保護観察官が直接タッチする場合もございますが、通常の場合は保護司保護観察をし、それを毎月観察所報告を出してもらう。また会合を開いた際に、観察所から担当観察官が出向きまして、事情をいろいろ聞いて打合せをする。こういうことをいたして保護観察をいたしております。
  32. 田万廣文

    ○田万委員 保護観察というまことにきれいな言葉ですが、保護観察が多少行き過ぎになると、せつかく更生しかけている少年——特に少年ですが、何か非常に恐怖心を持ち、また反動的にもうおれは絶対に保護観察からのがれられないんだ、いつも目をつけられておる、こんなことならまじめにやろうと思つてもやれやしないじやないかというような反抗心を喚起しておるような向きもなきにしもあらずと私は思うのですが、そういうことは今までございませんでしたか。
  33. 斎藤三郎

    斎藤(三)政府委員 全国五万余りの保護司の中に全然ないかとおつしやいますと、それは私どもわかりませんが、しかし私どもは、選考にあたりましても、選考委員会で十分選考してもらつてやりますし、また毎月機関誌を発行し、またその他いろいろな議会に保護司さん方に、この仕事は従来のような警察監視というのではなくして、本人についてほんとう親がわりになり、兄弟になつて指導をし、また就職のできない人には就職のあつせんもし、また相当の年配に達すれば結婚の媒酌までしてやるということにできるだけ努めておりまして、保護司のほとんど全部はほんとうに一生懸命にやつておられると存じております。今回の恩赦にあたりましても、非常に献身的に協力していただきまして、予想外成績を現在示しております。
  34. 佐瀬昌三

    佐瀬委員長 ただいまの保護司の問題ですが、本法成果保護司の双肩にかかつておるともいえるわけですが、この選考、任免、待遇の実際はどうなつておるのか、保護司に権威と責任と熱心を持たせるためにも重要な問題であると思いますから、その点を一応御説明願いたいと思います。
  35. 斎藤三郎

    斎藤(三)政府委員 選考にあたりましては、各府県のそれぞれの民生委員推薦会委員長であるとかあるいは弁護士会の会長であるとかあるいは裁判所長、検事正、その他各方面の方々によります選考会によりまして選考し、その選考せられた人に中央委員長が委嘱するという建前に相なつております。待遇につきましては、この仕事社会奉仕的な面を多分に持つておりまして、保護司法という根拠法におきましても、社会奉仕者としての精神でおやりになるんだということにいたしておりまして、報酬、給与は支給いたしておりません。ただ謝金としてきわめてわずかな謝金を差上げ、そのほか毎月一件について補導に要する若干の費用を国家から支給する、また調査等のために、予備調査家庭調査等観察所から委嘱した場合には官位のあるグレードの人と同等の旅費を出す、こういうことにいたしております。
  36. 加藤充

    加藤(充)委員 私は仮釈放すなわち仮退院、仮出獄本質の問題、それから保護観察本質の問題、これは実際的な効果の面と関連してお尋ねをいたしたいのであります。収容からいわゆる仮釈放までの平均の期間というようなものがまず計数的にありましたならばお尋ねいたしたいと思うのです。それからなおそれに関連して、その収容から仮釈放の間までに、一時収容された者のこうむつた影響というようなものについて、いずれ考えておられるだろうと思うが、その点を聞いておきたい。
  37. 斎藤三郎

    斎藤(三)政府委員 収容されてから仮釈放になるまでの期間全国的にどういう数字になつておるか、これについては現在調査をいたしておりませんので、ちよつと申し上げかねますが、ただ終戦前におきましては、仮釈放ということは非常に例外的のことに相なつておりまして、きわめてわずかの数字でございました。終戦後刑務所等の過剰拘禁を緩和するためにこの運用が漸次かわつて参りまして、犯罪者予防更生法のできます昭和二十四年の六月ごろは、仮釈放で出る人が満期釈放で出る人よりも相当多いという現状に相なつてつたのでございます。その後この犯罪予防更生法ができまして、その割合は同じでございますが、十分調査をいたし、真に仮出獄さすべき人を仮出獄させるということに努め、また仮出獄後の保護につきましてもできるだけの努力をいたしておりまして、この法律施行前の仮釈放の取消しの割合よりも、この法律を施行いたしましてからその取消しの率が相当顕著に減少いたしておるような実情になつております。
  38. 加藤充

    加藤(充)委員 私は今の言葉の中に重大なものを見出ざるを得ないのです。われわれはここでさきにも申し上げたように、仮釈放並びに保護監察というものが不幸な反則者あるいは犯罪者に対してどういうような実際上の効果、機能を持つか、これをいま少し科学的に全体的に考察して、このたびの改正の問題についてわれわれの誤たざる審議の責任を果したいと思つてつたわけなんです。しかし過剰収容の緩和のために仮釈放というものが行われたのだということになつてしまつたら、これは入れられた者の利益でなくて、入れるところがないから、もうしようがないからほうり出してしまつた、こういう無責任なことになると私は思います。戦争中には何でもかんでも入れて置いた。しかし戦争後犯罪者も多くなつたのかもしれませんけれども、それほどでもないし、今度は入れるところが小さくなつてしまつたから、ほうり出すということになつてしまつては、私どもはこの法案の質的な問題として重要だと思います。これでは入れられた者は入れられても救われぬし、ほうり出されても救われないということになるでしよう、まつたく役人や収容所の便宜のために入れたり出したりしてしまうということになると思いますが、この点どうですか。
  39. 龍野喜一郎

    ○龍野政府委員 ちよつと私も耳ざわりになつたのでありますが、今斎藤局長に聞いたところによりますと、戦争中の実情はうそも隠しもない、やはりそういうような実情であつたそうですが、その当時は御承知の通りにあらゆる方面において兵隊にとられたというような関係で非常に人員が不足しておつた従つて改過遷善をなすべき刑務所の任務が完全に行われなかつた、それでそれよりも早く社会に出した方がいいのじやないかという考えでいたのじやなかろうかとこれは想像であります。
  40. 加藤充

    加藤(充)委員 それは逆だよ、戦争中は出さなかつたというのだ。
  41. 龍野喜一郎

    ○龍野政府委員 ちよつと待つてください、うそも隠しもしない、戦争時代の実情はそうであつたと申します。その当時の実情をその当時の責任者におただしになるのはまことにごもつともと思いますが、その当時と比べまして、戦後の取扱い方についてはこの仮釈放の精神によつて、遺憾なくやつておるという点は御承知願いたいと思います。
  42. 加藤充

    加藤(充)委員 さすがは議席を持ちながら政府の席に名を連ねたあなただけの答弁だと思うのですが、今のあなたの答弁とは違うのです。私は言葉じりをつかまえて問題にして、失言だ、何だかんだということを問題にするつもりはありませんが、そういうことに近いようなやり方、そういう取扱い方では、入れられても助からぬし、仮釈放されても、保護観察されても助からぬのだ。この精神の問題、心の置き所、この政策の運営の本質ということを私どもは問題にするわけなのです。その立場から、今の言葉はきわめて遺憾しごくで、そういう立場で法律をいかにうまいことを言つて解釈しあるいは改正しても、実績は上らぬ、こういうことを私は考える。あなたのなりかわつた説明なり答弁は、前の人の答弁と事実上違つたところが出て来て、ますます複雑怪奇、混乱していると思うのですが、それはここでは取上げません。それで収容から仮釈放までの期間は大体どのくらいにあるかについては、数字がわからぬということですが、おそらくあまり長い期間ではなかろうと思われるのです。これは何か不定期刑なら不定期刑、あるいはそれに相当するような刑期というものを予定されて、それの三分の一勤めなければ仮釈放はせぬのだというような、成文的な、あるいは内規的な制限がありますか。
  43. 斎藤三郎

    斎藤(三)政府委員 刑法の二十八条で、刑が三分一以上経過して、改悛の状ある者、ということになつております。
  44. 加藤充

    加藤(充)委員 そうすると先ほど言つたように、収容から仮釈放までの間は大体において刑期の三分の一以上を勤めなければ、あずかれぬということになりますね。そうすると、これは少年の問題、未成年者の問題等に中心を置いてお尋ねをいたすのですが、三分の一というようなものが、少年犯の場合には平均どのくらいの刑期に当るか、これをお尋ねしたいと思います。
  45. 池田浩三

    ○池田政府委員 ただいま御質問の不定期の場合の仮出獄期間調査でございますが、今全国的な調査は完全にできておりませんけれども、最近二十六年度の実績を関東少年保護委員会が扱つている件について調査いたしましたところが、これは不定期刑でありますから短期と長期とございますが、長期の三分の一前後、これが平均になつておるようであります。
  46. 加藤充

    加藤(充)委員 それが具体的には平均としてどのくらいの期間、年月になつているかということを、事実上の数字で承りたいのです。標準はわかりましたけれども……。
  47. 池田浩三

    ○池田政府委員 不定期刑の刑期が非常にまちまちになつておりまして、平均をとるのがむずかしいのでございますが、短期の短かいものでありますと一月というもの——これは例外的でありますが、そういうものも出ておりますが、大体普通は一年以上であります。それから長期は二年から三年、五年くらいまでが一番多いようでございます。大体この辺で当てはめていいところかと思いますが、正確にはまだ計算いたしておりません。
  48. 加藤充

    加藤(充)委員 長期といつても不定期刑なのですから一般の刑期の場合とは区別して判断をしなければならぬと思うのですが、いずれにしても三年、五年というような長期不定期刑を受けられたものについては、しばらくここには別論にしておきます。しかし今お話にもあつたように、短かいのになると一箇月、これは極端な例外でもございましようが、一年以上というようなもの、これも短かい方の部類の例ですが、それの三分の一というと大体三箇月、四箇月足らずということになるのですが、そういうような事柄のために、いわゆる収容して服役させたというような事柄から受ける全体的な——これも社会というようなものではなしに、むしろ私は少年犯の場合ですから、収容されたその少年の場合について、個人的な立場でお尋ねいたしますが、収容されたその不幸な少年が、わずかの間の収容のためにこうむる心身ともどもの影響というようなものを考て、これを収容して仮釈放というようなことで生かすのであるならば、むしろわずかの間の収容というものはなくした方がいいのではないか、こういうような点についてのいろいろな実例——あなたの方では結論は違うと思うので、私の言うような結論にはなかなか達しないと思うのですが、それじやなくても、わずかの期間はむしろ収容しない方がよかろう、わずかの間収容したために、かえつて二犯、三犯の累犯の原因にもなつたかと思われるような事例が相当たくさんあるのではないかと思います。その点について実例やあなたの方の調査資料でもありましたならば、ここで承れば非常に参考になると思います。
  49. 池田浩三

    ○池田政府委員 短期の収容がどういう影響を与えるかということにつきましては、いろいろ問題がございますし、短期収容の弊害は相当研究いたされております。それで私ども個々のケースについて、これはこういうことをしなかつた方がよかつたのじやないかと思われるケースを時折見受けます。それでその実態を突きとめて、こういう者はどういうふうに処遇したらいいのかという基本的な扱い方を発見いたしたいとかねがね考えておりまして、犯罪者予防更生法が発足いたしましてから三年になりますけれども、私のところの中央更生保護委員会の事務局におきましても、その面を専門に研究している担当委員も置いて、個別調査などからいろいろと、いろいろな方法をもつてその問題を検討いたしております。ただいまのところまだその結論を発見するまでに至つておりません。いずれこれがまとまりましたら、適当な形で御報告する機会があろうと思います。
  50. 加藤充

    加藤(充)委員 今問題になりましたような事例のときには、私は、停止を解除するというような取扱いをやつて、そうしてまたひつぱつてしまうぞというようなやり方じやなしに、むしろおおらかに、これを全部、仮釈放でもいいが、釈放と同じ取扱いをやつて、再犯を重ねた場合に、これを徹底的な収容とか、何とかいうような方向に切りかえて行くというやり方の方が、同僚の田万委員が質問しました意見と関連いたして、私は重要なんじやないかと思う。停止を解除する規定を設けた、これが非常に進歩だと言われていますが、そういう場合に当てはまる場合も確かにあると思いますが、何せ少年の不定期刑で短期のようなものを考える。そうしてまた少年犯だという特別の質的な意味において重要視いたしまするときには、停止の解除というようなことを、これが進歩だとか、改善だとかいうのではなくして、むしろこれは救われざる道に追い込むようなやり方になりはしないか。しかもそれが保護観察司ですか——少年保護司ですか、保護観察の具体的な実行と相まつて、きわめて冷たいものになり終りはしないか。しかもまた、その原因の一つになりまする引致状の発付というようなことについては、前の基本的な発行の場合よりも条件が緩和されて、判事補もこれを発行できるというようなやり方にして行きますと、ますますもつて私は、せつかくの更生の道を、官僚的な無責任な、あるいはお手柄流に仕事をするというようなことになつて参りまして、むしろこの法律の改正は、事実上は改正でなくて、改悪になつて行く面を多分に疑わざるを得ないのであります。これは私どもが職業上あるいは私上、関係をしておりましたし、あるいは聞き知つております大阪近辺の事例をあげる必要は、ここにはないと私は認めますけれども、そういう事例をあげて詳しくお話すればなお徹底すると思うのですが、どうもその点が私は、この改正の中で運営がうまく行くかどうか、むしろ改悪になるのではないかという懸念が強いのです。今の点で、停止を解除する——わずかな短期の場合、そうして、せつかく諸般の事情を考慮されて仮釈放を受けたような人が、停止の解除という形になつて来て、いつまでも不安だというようなことになつて来、しかもそれが、今度は最初の引致状に比べて、再引致の場合には、引致状の発行条件が緩和されてゆるやかになるというようなことになれば、まさしくその点がさらに強められて行くのではないかと思われます。問題は少年犯の問題ばかりではなくして、むしろこれは一概に言つて現在の家庭制度の崩壊状態、一般的な暮しの問題、さらに一般的な社会全体の問題と関連があることで、これをただ小手先の仮釈放の取消し——停止の解除とかいうような技術面のことで、私は民族の宝とも言うべき青少年の訓練をやつて行くというやり方は、どうも一抹の危険——というよりも、多大の不安を持たざるを得ないのですが、その点を一つ最後にいたしまして、私の質疑を終ります。
  51. 斎藤三郎

    斎藤(三)政府委員 短期自由刑の弊害、ことに初犯の少年の短期自由刑をやめていただきたい、そういうお考えは私はまことにごもつともに存じます。  現在少年法が改正になりまして、またさらに年齢等の改正もございまして、二十歳未満の犯罪をした少年については、家庭裁判所が十分調査をし、いろいろな複雑した、混乱した社会情勢において起つた少年の非行というものについては、まずそれを矯正という面で家庭裁判所が考慮する。その面でどうしても諸般の事情からいけないということを認めた場合に、初めて刑事処分に付するということにする、こういうふうにいたしまして、極力それにつきましては短期自由刑の弊害を、ことに少年については避けるという方針でございます。また本法の運用にあたりましては、御意見通り、形式的な運用によつて諸対象者の更生の芽をつまないように、十分注意をいたしたい、かように存じます。
  52. 押谷富三

    押谷委員 いま一点、この際法務府の御意見を伺つておきたいと思うのであります。それはこの法律案の内容には直接関係はないのでありますが、国会における立法の秩序といつた関係についてお伺いするのであります。  国会に提出をされまして、昨日でありましたか、本会議の決議を了しました法務設置法等の一部を改正する法律案がありますが、その内容を伺いますと、この法務設置法等の一部を改正する法律案の第二条で、犯罪者予防更生法——すなわちこの法律ですが、これの一部を改正いたしておるのであります。その改正点がまた相当実体に触れておりまして、たとえば設置法改正案予防更生法の第三十一条の規定中、仮釈放を受ける者が重病あるいは重傷または危篤の場合には、仮釈放期間本人の遵守すべき特別事項を定めなくてもよいという但書を削除いたしておる。あるいは第三十二条の規定中に、この但書趣旨を新たに設けておる。こういうように、犯罪者予防更生法に対する実体的な改正を法務設置法改正案でいたしておるのであります。  およそ一つの法律を改正する場合におきましては、その法律を改正する法律案を出されるべきでなければならぬと考えております。先年、弁護士法の改正を税理士法の改正においていたしたために、弁護士法は法務委員会でやつておる。税理士法は大蔵委員会でやるのでありますから、この委員会から大蔵委員会に、さような立法の方法は国会における立法秩序を乱すものであるからいけないというので、抗議を申し入れたことがあります。法律はそれぞれの委員会において専門に研究をし、常任委員会が慎重にこれを審議いたしまして法律をつくつておるのであるが、その委員会関係のないほかの委員会でその法律を改正されるというようなことは、立法秩序を乱すものであると考えられるのでありまして、この場合におきましても、設置法は内閣でこれを審議をし、内閣委員会の所管になつております。また犯罪者予防更生法法務委員会でやつておるのであります。同じ法務府から出て来る法律の改正で、こういうふうに内閣で審議をする設置法の内容で、犯罪者予防更生法の内容を実質的に改正をするというような扱い方、処置が、私は国会の立法秩序を乱しておるものではないかと考えるのでありますが、この点について政府の御意見伺いたい。
  53. 野木新一

    ○野木政府委員 ただいま御発言の点はまことにごもつともの点もあるかと存じますが、政府側といたしましては、実はこの法案が法務設置法等の一部を改正する法律案といたしまして、法務設置法の一部を改正する法律案でない形になつております。なお内容を申し上げますと、法務設置法の一部を改正する法律案としまして、その附則で犯罪者予防更生法等を改正するという形にしませんで、いろいろの法律の改正を一つの法律でまとめた。しかもそれは法務設置法の一部改正に牽連するものであるからという理由でまとめたわけであります。御指摘のように、犯罪者予防更生法の一部改正のうちにおきまして、法務設置法一部改正から必然的に出て来る字句の読みかえとか、そういう程度のものよりややはみ出しているということは御指摘の通りだと思います。実はこういうことはあまり好ましくないという点も御意見通りだと思いますが、これを立案するに際しましては、国会の会期の関係もありましたし、またそのはみ出している部分がそう重大な部分ではないということ、そして国会の審議に際しましては、本国会に提案された後に連合審査というような手続もあつて、この点の審議もなし得る余地もあるのではないかという関係で、この法務設置法等の一部改正案はただいま御指摘のような形になつたわけでありますが、政府としてもなるべくならばこういう場合には別々の法律案の形にした方がよいとは存じますが、今言つたような関係で、やむなくそうなつたわけでありますから、御了承願いたいと思います。
  54. 押谷富三

    押谷委員 この内容の点についてはさほど異議を持つている。また異議を述べなければならぬような改正があつたとは思わぬのでありますが、このやり方が非常に好ましくない。今連合審査等のお話がありましたが、連合審査をやりましても、所管が内閣委員会でありますれば、ただそこで発言をする程度であつて、実際に強力にこの改正につきましてのわれわれの意見をそれに反映せしむるということは困難な事情にあるのであります。こういうような立法をやられますと、その所管委員会が知らないうちにわれわれが審議をした法律がかわつて行くというようなことがあり得る危険があるのでありますから、非常に好ましくないやり方だと思います。従いまして、今後におきましてはぜひこういうことはおやめを願いたい。特に犯罪者予防更生法法律がかからぬのなら別ですけれども、現にここにかかつて審議をしており、向うにも法律がかかつて、その二つが平行して審議されておるのに、この内容がよそでかえられておるというようなことはきわめて好ましくないと存じますから、特に強力にその点を要望いたしておきます。
  55. 龍野喜一郎

    ○龍野政府委員 ただいまの御意見はまことにごもつともな御意見でありまして、昔で言えば官制と法律と一緒に出たような形になつておりますことは、法案取扱い手続としてあまりおもしろくないことだと私も同感でありますが、先ほど政府委員から説明がありましたように、あまり重要でないものを二つの法案にするよりも、整理した方がいいという便宜主義でやつたことは、各常任委員会の今日の審議状況から見て、結果的に見て非常におもしろくないことは私も同感でありまして、今後はかかることのないように、少くとも法務関係の法案については、そういうことのないようにやつて行きたいと存じておる次第であります。
  56. 佐瀬昌三

    佐瀬委員長 他に御質疑はございませんか。——速記をとめて。     〔速記中止〕
  57. 佐瀬昌三

    佐瀬委員長 速記を始めてください。  次会は明三十一日午後一時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後四時散会