○加藤(充)
委員 私
どもは国家公務員を含めての一般の勤労者の生活の問題、これには及ばずながら人一倍関心を払い、
努力している政党だとうぬぼれております。私がかように
執行吏の生活費に
関係のある本改正
法案にとやこうの
質問をいたし、疑問を持ちますのは、大体言
つて、今明らかにされたような根本的なところにわれわれは問題点を見つけているからなのであります。なるほど地域によ
つていろいろ差がある。あるいは忙しいところ、あるいはひまなところ、いろいろ
執行状況にも違いが出て来る。しかしそういうところに必要な
制度として
執行吏を配置しておるのでありまするから、やはりそこには
基本給というようなもの、今の給与の
建前が私
どもはすべて完全だとは言いませんけれ
ども、しかし
基本給その他動務手当、あるいは地域給というようないろいろな複雑な給与体系のもとにそれがカバーされておるわけであります。しかしそれで問題はまだ解決されておりませんが、そういうふうないやしくも国家権力の
執行というような、裁判所の判決の
執行というような場面において、この
執行吏が片方では商売人であるというような
建前で生活をして行くというやり方の中に実はとんでもない腐敗と不正が行われておるのであります。今申し上げたような質疑で一般の人は知りませんけれ
ども、
執行吏のやり方、生活の仕方から、非常にいいかげんなことをや
つておる。金で無理なこともするし、金でどうにもなるというようなことすらがいわれております。大阪の事例を申しますが、実をいいますと、
執行のための費用を莫大に、
言葉が妥当ではありませんが、やみ費用の予納をさせられておるのであります。その予納金の精算を受けた依頼者というものはあまり私は聞きません。それで大阪の弁護士会では裁判所と相談の上である一二、三の
執行吏を集めて来まして別に役場をつく
つた。それは
ちようどあの裁判所の東側にある調停裁判所ですか、簡易裁判所の中にあるのでありますが、私はこれで便利に
なつた、弊害が除去される一歩を踏み出したと
思つていましたが、わずか数箇月の経験の中に、それはべらぼうなことをやらないどころじやなしに、むしろ依頼者に頼まれればどんな無理なことでもや
つてのける。
執行停止の命令を持
つてその
執行吏に見せても、どんどん競売して持
つて行
つてしまうというような事例がある。それで商売仲間と言つちや
言葉がおかしいのですが、ほかの
執行更の役場ではあんなものをつく
つたところで初めは便利に思うけれ
ども、どうせまた弊害が出て来るよと言
つてあざ笑
つているような
状態なんであります。そういう新しい
執行吏の役場をつくりましても、依然として前から大阪の地方裁判所の管下に起きておりますが、
執行吏の弊害というものは除去されておらぬ
実情です。これはお調べにな
つていただけば私は事態がはつきりいたすと思いまするし、私は全然無
責任な発言をいたすわけではございません。それで実をいいますと、国家は今言
つたような複雑な給与
制度といいますか、給与に準ずるような
制度のもとにおいてそれを養
つておらぬのです。
従つて執行吏をしてもつぱら
執行依頼者の費用の中で生活させている。
従つてそこにはやみ費用を予納させて精算をしないというインチキなやり方にな
つてや
つています。しかし半面それでは
執行費用、
執行の債権総額の中に加えて行きましてびしびし取立てて行きまして、そうして預か
つたものはどこかに消えて行
つてしまう。そうするとこういうようなやり方をや
つておりましても、これだけでは要するに御指摘のように不十分でありまするから、これでは
執行吏はかかあや子供を養
つて行くという自信はありません。また地域で比べますと大阪あたりはよそのいなかよりはいいのかもしれませんけれ
ども、人間というものはしかく簡単に行きませんので、こういういい加減の費用をあげても、これは今私が指摘したような根本的な問題、弊害除去にはならぬ。しかもそれが一面においては
執行吏の依頼者の費用の増額を口実にし、あるいは
執行を受けたものはさらに競売等の中から多額の
執行費に充当するものを天引きを受けて行くというような始末にな
つてしまうと思うのであります。こういうふうないいかげんなことじやなしに、
執行吏が公務員であるならば、国家がこれに対して万全の給与を出して、それで実費等のものでだれもが了解つくような明白な費用の増額はいたし方がないにいたしましても、そういうところで
執行制度の問題を片づけて行かなければ、これは問題が一つも片づかない。
ちようど昔の公定が上
つてもやみ値がさらに上るというような腐敗と混雑を強めるばかりでないかということを強く危惧するものであります。
従つてこういうふうなやり方の中には、私は民事、刑事、またその
執行までひつくるめまして人権の保障というような点、これを万般の点から検討しまするならば、こういうやり方ではだめだ。なぜかというと、簡単に言うと
執行吏の生活を、完全に不正をやらなくても食
つて行けるだけの生活給の裏づけをこれではしていないということになると思うのであります。私はいろいろ申し上げたいことはあるのでありますが、私がきよう発言したことは大阪の事例ですが、
執行吏の費用の問題については、当
委員会において
委員をなされている
方々で、弁護士の職業をされている
方々があればみな胸に思い当るところがある問題なのであります。むしろこれは国家が全面的に俸給を支給して、あとはほんとうの実費でやる、ひまな
執行吏については、国家が、先ほど来一部
お話に出ましたような方法で、最低の生活は不正をやらなくてもや
つて行けるというやり方をしなければならないし、また同時にこういうふうな依頼者に負担を増額させるというようなこと、物価が上
つたから手数料が上るというようなやり方では、私は民事、刑事万般の人権の保障という実質の上から行
つてむしろ弊害が出て来やしないか、これをおそれるからなのであります。こういう点について幸いに御意見でもあ
つたら聞かしていだだいて、私の質疑は終りたいと思います。