○田嶋(好)
委員 今回
提案となりました破
壞活動防止法案につきまして、
政府の所信をただいまから伺いたいと思うのでございます。
申すまでもないのでございますが、本
法案はおそらくポツダム政令による
団体等規正令が
平和條約の発効により効力がなくなりますので、これにかわる
法律案といたしまして
立案されたものであるように思います。昨年の九月に大橋前
法務総裁が構想を発表されまして以来、現木村
法務総裁がこの
法案を
立案、提出するに至りますまで練り直すこと実に二十数回、そうして
法案の名称も特別保安
法案から破
壞活動防止法案とかわ
つて参りました。十分
審議研究を盡して参つたようでございますが、しかしいよいよ本
法案が
国会に提出される段階になりますと、
言論機関の批評的な言葉また警告的な言葉、また
言論機関の論説と同時に、総評を中心といたしましたところの
労働組合のゼネストを含む抗議とな
つて現われましたことは、御
承知の
通りであります。そういたしますと非常に慎重
審議を重ねて今日まで参
つておるのでございますが、これらの事実を見ておりますと、いまだ
国民全体を納得せしめていないのではないか。
国民全体がこの
立法に納得いたしていないのではないかという感を遺憾ながら抱くものでございます。しかる以上は、
政府は、本
法案がこの
国会を通過いたしますまでは、十分
国民を納得せしめるように、この
委員会において最善の努力をお盡し願いたい。こういうことを私は冒頭に
政府に申し上げたいのであります。
申し上げるまでもないことでございますが、われわれはいよいよ独立するのでございます。独立というのは、これは第一番に、何者からも外部的などんな力をも
つてしても
国家の意思を
制限されない。
国家はその自由なる意思を表示することがどこまでもできるということでなければ、独立ではないのでございます。同時にこれに付随いたしまして、国内に住む
国民をして自由に語らしめ、自由に行動せしめる。この
国民の
基本的人権が
国家によ
つて十分保障されることか、独立でなければならぬと考えておるのであります。もしもこの自由が
制限せられ、不法に圧迫を受けるということになれば、これは独立
国家ではないのであります。しかる以上、私たちは
国家の独立を絶対的に推進して行くと同時に、
国民の自由を絶対的に守
つて行かなければならぬ義務を持つものと考えます。
私は自由と申し上げましたが、しかしこの自由を無
制限なものと申しておるわけではないのであります。私たちのその行動の自由が
公共性を無視しても、また
国家の秩序を破壞しても是認せられるか。もちろんこれは是認せられるものではございません。われわれの自由は
公共性を維持すると同時に、
国家の秩序が破壞されない行動でなければ、自由とは言えない。
公共性を無視した行動の自由があるとしますれば、また
国家秩序を破壞する行動の自由があるといたしまれば、むしろこれは自由でなく、
基本的人権の侵害となるのであります。これこそ私たちは自由をはき違えた、かえ
つて自己の権利を侵害される立場に立
つておる自由であり、反対の立場に立
つて考えなければならぬ行動である。こう考えますときに、私たちの自由は、基本
人権の擁護から来るところの自由の確保の範囲においての自由でなければならぬと思うのであります。そうした意味からいたしますれば、
公共性が無視され、
国家秩序が破壞せられる行動につきましては、むしろわれわれの
人権の侵害になる立場から考えますから、これに対抗する
措置を講ずることが絶対に必要にな
つて参ります。こういうように考えます。
最近遺憾なことでございますが、全国的に
暴力行為が発生いたしておりますことは、皆さん御存じの
通りであります。警官に対するテロ、税務署の襲撃、また検察幹部に対する投石、関西地方の集団暴行事件等、実に枚挙にいとまがないほどこうした事例が起
つておるのでありまして、これらの連続的暴行
行為事件が、いかなる背後
関係によるものであるかということは、現在まだ確証があが
つていないようでございますから、確証があが
つてから、それを断ずる以外に道がないのでございますが、われわれの想像することのできる某
団体の国内の治安を無力化する恐怖戰術の一端の現われであるといたしますれば、まことにこれこそ憎むべき
行為であり、意図であります。私はそう断じてやまないのであります。日本共産党のか
つての
機関紙「アカハタ」の後継紙と目せられておりますところの「内外評論」並びに「球根栽培法」の記載の記事が真実のものといたしますれば、日本共産党は明らかに武裝革命の段階に入つたものと断ずるのほかはございません。こうした立場からいたしますれば、今回の
立法はいまだ不十分である、もう少し拡充した
法案をつく
つてもいいのじやないかという気持すらいたすのでございます。しかしながらこれがために、先ほど
山口君も言われたのでございますが、善良なる
国民の
基本的人権が侵害せられ、
憲法で保障せられた
国民の自由が不当に
制限せられてはならないのでありまして、今回の
立法に対して、共産党に対してはどうしても何かの線を引かなければならない。しかしこの共産党に対する
制限のためにわれわれの基本的な
人権が
制限せられ、侵害せられるのではないかという
国民の懸念もあると私は思うのであります。
そこで私は、このような立場に立ちまして、以下の質問を
法務総裁にいたしたいと思うのでございますが、まず第一に、本
法案は先ほどから申しておりますように、
国民の
基本的人権に関し重大な影響のある
法案であります以上は、
国民各層の
意見を十分に聞いてかからなければならない。しかるに本
法案が提出せられることになりますと、
言論機関の批評は急激となりました。そして民主
団体の反対的行動がまつたく露骨とな
つて参つたのであります。実は
国会におきましても、
政府は本
法案に対してあまりにも秘密主義ではないかという
意見がちらほらわれわれの耳に入つた。そうしたところよりいたしまして、
政府は本
法案を
立案するまであまり秘密主義を守り過ぎたのじやないか、
立案に対して一体
国民の声を聞いたか。町民の声を聞いたといたしますと、どういう方面の
国民の声を聞いて、この
法案の万全を期したか、またもし聞いていないとすれば今後いかにして万全を期そうとするか、こうした点を
政府に承
つておきたいと思います。