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1952-03-27 第13回国会 衆議院 法務委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月二十七日(木曜日)     午後一時五十四分開議  出席委員    委員長 佐瀬 昌三君    理事 押谷 富三君 理事 北川 定務君    理事 田嶋 好文君 理事 中村 又一君    理事 田万 廣文君       角田 幸吉君    鍛冶 良作君       古島 義英君    松木  弘君       大西 正男君    加藤  充君       世耕 弘一君  出席国務大臣         法 務 総 裁 木村篤太郎君  出席政府委員         法務政務次官  龍野喜一郎君         法制意見長官  佐藤 達夫君         刑 政 長 官 清原 邦一君         中央更生保護委         員会事務局長  齋藤 三郎君  委員外出席者         専  門  員 村  教三君         専  門  員 小木 貞一君     ――――――――――――― 三月二十七日  田万廣文君が理事に補欠当選した。     ――――――――――――― 三月二十六日  最高裁判所における民事上告事件の審判の特例  に関する法律の一部を改正する法律案内閣提  出第一一二号)  平和條約第十一條による刑の執行及び赦免等に  関する法律案内閣提出第一一九号)  下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の  一部を改正する法律案内閣提出第一二〇号)  (予) 同日  真野町に簡易裁判所設置の請願(風間啓吉君紹  介)(第一七二二号) の審査を本委員会に付託された。  失火罪重罰等に関する陳情書  (第九八九号)  人権擁護局存続に関する陳情書  (第九九〇  号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事の互選  恩赦に関する件      ――――◇―――――
  2. 押谷富三

    押谷委員長代理 これより会議を開きます。  委員長所用のため、理事である私が暫時委員長の職務を行います。  本日の日程に入ります前に、理事補欠選任についてお諮りいたします。すなわち理事でありました田万廣文君は、去る三月六日委員を辞任せられましたので、理事が一名欠員になつているのであります。従いまして理事補欠選挙を行わなければならないのでありますが、先例に従いまして委員長において御指名いたすに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 押谷富三

    押谷委員長代理 異議がなければ、理事には従前通り田廣文君を御指名いたします。     —————————————
  4. 押谷富三

    押谷委員長代理 引続き、恩赦に関する件について調査を進めます。発言の通告がありますから、これを許します。田嶋好文君。
  5. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 本日はたいへん御多忙な中だつたと存じ上げるのでございますが、その御多忙をわざわざ法務総裁が御出席くださいまして、やがて独立機会にいたしまして、公布されることを予想されておりますところの恩赦につきまして、当委員会が質問いたすことになりましたことにつきまして、お答え願いますことを、ここに前もつて御了解とともに、お願いをいたしておく次第であります。  実はかつて日本で行われておりましたところの恩赦というものは、申し上げるまでもなく、天皇大権事項に基きますところの勅令恩赦でありました。天皇大権事項一つでありました関係上、これに対しましては、国民代表でありますところの国会というものが関與することをほとんど許されなかつた言つても過言ではないのであります。ところが現今におきましては、天皇大権事項が憲法から取除かれまして、ここにわれわれ、国民輿論に基きますところの恩赦令に基きまして、内閣がこれをつかさどることになつたのであります。申し上げるまでもなく、そうなつて参りますれば、内閣がこれを運営するにあたりまして、多くの国民輿論をこれに反映させ、これを多く採用することによりまして、この内閣行動がきまらなければならないものだと、深く私は信じておるのであります。今回の恩赦令がそうした意味におきまして行われるといたしますれば、私たちはいち早くこの恩赦に対しましては、むしろ政府だけの考えというのではなくて、恩赦審議会とでも申し上げるべきものを設置いたしまして、広く国民輿論を聞き、そうしてその輿論を反映して、恩赦恩典を出していただきたかつたのでございます。しかるに恩赦審議会は設置されておりません。しかしこれを今設けて、恩赦審議会において再び恩赦を練り直せということを、あえて政府要望するものではないのでございますが、恩赦審議会が設置されなくして、今日その恩赦範囲がきめられつつあるものといたしますれば、ここに私は恩赦審議会にかわるべきものとして、大いに国民輿論を代表いたしますところの国会方面意向というものを、尊重していただかなければならぬことになるのではないかと思うのであります。さき衆議院のわれわれ法務委員会におきましては、委員長の名前によりまして、恩赦に関する事項法務総裁まで伝達いたしておいたのでございますが、こうした意味におきまして、法務総裁は、われわれ、衆議院法務委員会意向として、この委員長の伝達を尊重されるべきことが至当と考えておるのでございますが、さき委員長名をもつて総裁まで申出いたしましたこの衆議院法務委員会意見は、現在内閣として尊重され、採用されているものでございましようか、どうでございましよう。ここらあたりからひとつ法務総裁の御意見を承りたいと思います。
  6. 木村篤太郎

    木村国務大臣 ただいまの御意見、すなわち法務委員会の御意見を今度の恩赦に対して反映させるべきだということであります。われわれは法務委員会の御意見を十分尊重して、それを参考にして恩赦範囲決定したい、こういうように考えておる次第であります。
  7. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 その点まことにありがたく思います。  次に具体的な事項につきましてお尋ねをいたしたいのでありますが、今回の恩赦で一番問題になりますのは、大赦ではないかと思います。大赦にいかなる部類のものが属せしめられるか、これが一番問題になると思います。われわれといたしましては、大赦に当然属すべきものといたしましては政治犯、国事犯、経済犯風俗犯等が属されなければならないというように考えておるのでございますが、それらの犯罪につきまして、逐條的に法務総裁お尋ねをいたしたいと思います。聞くところによりますと、これは真実かいかがかは存じませんが、法務総裁におかせられましては、案を得た上で、閣議決定まで終つているのじやないかというようなことを実は耳にいたすのでございます。しかしこの閣議決定があるないは別といたしましてそういうようなことを耳にする今日でございますので、以下お尋ねいたしますことにつきましては、国民ももう待望している今日でございます。世間では新聞記事を見ながら、新聞に発表された範囲についての犯罪につきまして意思を決定し、それぞれ用意もしているように承つておりますので、法務総裁がここである程度詳細な御発表を願いましても、これが世間に対して悪影響を及ぼすというようなことでなくして、むしろ待ちに待つている国民のこれらに関係ある人々の行動につきまして、よりよき指導になるのではないかとまで考えている時期でありますから、どうかできるだけ詳細にわたつてお答えを願いたいと思います。  まず最初はポ政令違反者でございます。これは占領政策遂行のためにつくられました犯罪でございますので、このポ政令違反については、大部分の者、全部といつてもいいくらいの者が当然大赦に入るべきものではないかというような考えを持つて進んでおりますが、ポ政令違反について大赦とならない部分がございましようか、どうでございましよう。ならない部分についてのお答えをいただきたいと思います。
  8. 木村篤太郎

    木村国務大臣 これは田嶋委員に申し上げることでありますが、確定的にどの部分大赦になるか、どの部分大赦にならないかということをここで明言することは、いろいろな点から申しましてさしさわりがあるので、明言できないことをまことに遺憾と存じます。しかし御意見の筋はよくわかつておりますので、でき得る限りこういう機会大赦恩典に浴するよう努力いたしたい、こうわれわれは考えております。
  9. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 そういたしますと、ポ政令につきましては、でき得る限りの最高限度において大赦に浴せしめるように努力する、こう承つてよろしゆうございますか。
  10. 木村篤太郎

    木村国務大臣 さようでございます。
  11. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 それから次はやはりポ政令関係がございますが、これは相当共産党の諸君から口ひどくわれわれ委員会に申込みがございました事柄でございますし、法務総裁の方にもおそらくそうした意見具申があつた問題だと思うのでありますが、占領目的違反、すなわち勅令三百二十五号違反者は現在大赦に入る段階になつておりましようか、なつていないのでございましようか。
  12. 木村篤太郎

    木村国務大臣 少数例外は別といたしまして、できる限りの者を入れたいと考えております。
  13. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 少数例外と申しますと、これはどういうようなものになりましようか。おそらく悪質なもの、それから特に日本独立後の政治に支障を来すべきもの、これは当然大赦から除外してもいいと思いますが、そういうような部類のものでございましようか。
  14. 木村篤太郎

    木村国務大臣 それにつきましてはちよつとここでは明言することを差控えたいと考えております。
  15. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 次に選挙違反でございます。これは社会常識的に当然今回の大赦に属せらるべきものだという考えで、あらゆる階層、あらゆる方面がそうした面で準備をいたしているようでございますが、この選挙違反は含まれましようか。含まれるといたしますれば、いつごろまで——要するに私たち考えといたしましては、これは大赦令恩赦令が出ますその日までのものの選挙違反を含ましていいものじやないかと考えておりますが、この点いかがですか。
  16. 木村篤太郎

    木村国務大臣 御意見趣旨をよく承りまして、善処いたしたいと考えております。
  17. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 よくわかりました。  次に経済犯でございますが、経済犯は、私たちはイデオロギーの立場から申しますと、統制経済というようなものは、現在の社会機構としては当然維持さるべきのだということにもなりましようが、現在一般国民感情からいたしますと、統制経済は時期的なものであつて、すべてが自由経済の面に復元すべきものである、これが原則であるというふうに考えていると思います。その線から参りますと、この経済統制違反は全部大赦範囲に属さすべきが当然であるというふうに考えておりますが、いかようにお考えになつておりましようか。
  18. 木村篤太郎

    木村国務大臣 経済違反につきましては、御承知の通りまだ統制のはずれていない面もあるのでありまして、統制のはずれていないものについて大赦をやるかどうかということについては影響するところが非常に大きいのでありまして、その点については私ここに明言をいたしかねるのであります。しかしお説の通り戰後統制違反と申しますと、大体は終戰直後混乱状態違反でありまして、まことに気の毒な事情のもとにあるものが多数とわれわれは考えているのであります。これらの人たちについては、その間の事情を十分しんしやくいたしまして、でき得る限り喜びをわかつて大赦恩典にあずからせたいと考えております。
  19. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 次は税法違反関係であります。この税法違反関係というのは、考えようによりましては、非常に重くも見られましようが、また考えようによりましては、経済統制違反以上にまことにお気の毒な犯罪に属するものである。戰後経済においては国民ひとしく重税に悩んで参りました。そして特に税務官吏涜職事件等がたくさん起つておる。この関係から見ますと、税務官吏品性の粗悪のために、また素養の欠けておりますがために、税法違反に問われる場合は、むしろ正直者がかかつてつて不正直者がのがれておるというような場面が社会常識的に見られます。特に税法違反は、税で処罰されたときは、大蔵省といたしましては、追徴金もとる、追徴金の上に罰金を科し、罰金の上にまた体刑を科するというような二重、三重、四重の刑罰を持つております。国家の立場から見ますと、税法違反によりまして、税の損失は少しもなく、その上十倍、二十倍という追徴金が加わり、財政面においてはより一層確保せられる、こういうことになつておるのでありまして、これに対する刑罰というものはむしろおまけた、こう見られるのでございます。なるほど反税闘争というような面は大いに考えなければならない国家的な問題だと思いますが、單純なる脱税、税法違反というようなものは、社会感情国民感情からいたしましても、当然大赦に浴せしめてやらなければならぬと私も考え、また当委員会も同様な考えを持つ法務総裁まで申し出ておるのでありますが、これはいかようなお取扱いの方針になつておりましようか。これを承りたいと思います。なおこれに関連いたしまして、たとえば税法違反大赦になるといたしました場合、密造酒それから密輸関係関税違反、こうしたものは税法違反の中に含まれるのでございましようか。これをひとつ承りたいと思います。
  20. 木村篤太郎

    木村国務大臣 お説の点はわれわれ、十分考慮いたしまして、これをどうするかということをただいま愼重に検討中であります。
  21. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 そうすると、税法違反はまだ確定してないということになりましようか。
  22. 木村篤太郎

    木村国務大臣 今研究中であります。
  23. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 しかし委員会意見は大いに尊重する、こう法務総裁が先ほど言われましたので、この点についても尊重願つておるものと考えますが、後ほどあとの質問に対するお答えと含めてお答えを願いたいと思います。  次は食糧管理法違反、これは経済事犯の場合に含めてお答え願つたかもしれませんが、食糧管理法違反も、主食の確保、そして現在まだそれの統制がはずされてないというような部面からいたしますと、やはり相当考慮の余地があるのでございますが、現在の社会情勢は、われわれ国会議員国会において半ば公でなしに、むしろ公に白い御飯をいただいておる。しかもそれは何ら手続を経ずしていただいておる。またどこを旅いたしましても、もはや食糧に対する統制というような観念がない。ただここに問題になりますのは、食糧関係から生ずるところの、経済を撹乱いたしております一部の悪質ブローカーにつきましては、相当考えていいものと思うのでございます。その悪質ブローカーを除くその他の食糧管理法違反は、異論なく当然大赦に浴せしめることが、現在の国民要望であるし、これは国民感情だ、こう私は考えるものでございますが、いかがでございましようか。  次に食糧管理法違反と同様に労働基準法違反、この労働基準法違反というのは戰後新しく立法されたものであります。しかも労働基準法というのは、戰後立法された新しい法規のみではなくして、これが日本国民として習慣づけられないところの非常に厳重な、習慣よりも一層範囲を越えた厳重な法規になつておりますがために、この運営あたりましては、悪意ではなくして、誤まつた使用者が非常に多い。またこれも税法と同じように、労働基準法運営いたします行政官というものがまことに品性が粗悪である。そして自分の目ぼしにとつたものに対しては厳重にやるが、それ以外にはまことに寛大であるというような、取扱い上遺憾な点が具体的に多々見られて来ております。また労働基準法を施行します官吏涜職事件が非常に多い。こういうような面からいたしますと、法規性質上、またその運営面からいたしまして、これにかかつた人は、税法違反にかかつた人と同じように、むしろよい人がかかつて、悪人がのがれて行くというかんばしくない現象が起つておるのであります。これは当然税法とともにお考えを願わなければならぬ。また労働基準法もそうでございますが、これに関連いたします職業安定法違反、これも申し上げるまでもなく戰後新しく日本に立法された法規でございます。日本には口入れ屋というものが早くから存在をいたしております。またこの慣習が非常に古い。ところが、民衆は口入れ屋に対しては非常に便利なために利用しようという面が多い。のみならず、現在政府の方では法律で禁止しており、また国民法律にあるのだと言つておるのでございますが、実際上は公娼というものは依然日本に跋扈しておる。こうした公娼に働く女はどうしてもこの職業紹介所にあらざる民間の職業紹介を通じて働かなければならぬ。要するに口入れ屋が依然として社会常識上衡平の観念から生きておる。こういう現状におきましては、労働基準法と同じように、職業安定法というものは大赦に浴せしめてしかるべきものと考えるのでございますが、政府はこの点につきましては、どうきまつておるかとうことをお尋ねいたしますと、法務総裁には考慮中というようにお答え願わなければならないことになりましようから、私はどうきまつているかということではなしに、私の今申し上げましたような意見政府の認めるところの意見になりましようか、どうでございましようか。感情的にはそうした立場から当然大赦に浴せしめるべき線にあるべきものだ、こう私は考えるのでございますが、どういうように法務総裁はお考えになつておりましようか。
  24. 木村篤太郎

    木村国務大臣 御趣旨の点はよくわかるのであります。しかしいろいろな技術的の面その他の事情から大赦にし得ないものも出て来るんじやなかろうかと考えております。しかしながらその犯罪性質によつて、まことに気の毒なもののあることは田嶋君の仰せになる通りでありまして、われわれも十分にそれは認めております。従いまして、かりに大赦範囲に属せない人たちといえども、その事情を十分考慮いたしまして、いわゆる特赦の方でまかない得ればその目的は十分達し得るのではないかと考えております。その面においてできるだけの考慮を払いたいこう考えております。     〔押谷委員長代理退席委員長着席
  25. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 次は物価統制令違反、これは前二回の恩赦におきましてはいずれも抜けております。しかし物価統制令違反も、今度の独立機会といたしまして物統令が改正され、わずか十二品種類をのけました他のものはすべて自由販売になる傾向になつていることは、総裁の御存じの通りであります。しかしまだ法案は通つていないようでありますが、これはほぼ確定的でございます。そういたしますと、物価統制令違反に対しましては、前の二回の恩赦のときとまつた違つた客観情勢もここに生まれておりますので、これはやはり当然恩赦部類に属せしめたいものだと考えますが、なるならぬは別といたしまして、法務総裁いかようにお考えでございましようか。きようのお尋ねは、その結果がいかようになるかは別といたしまして、法務総裁としては、われわれ委員会意見に沿うたお考えがあるかどうか。個人的な意見を承りましてもいいと私は思うのであります。
  26. 木村篤太郎

    木村国務大臣 十分御意見のあるところを考慮いたしまして善処いたしたい、こう考えております。
  27. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 大分内容が明確になりました。ありがとうございました。  そこで次に、最後でございますが、ここにひとつ問題が起きますのは、この大赦令に属するものと属しないものとの間に、手段結果牽連犯が生れるのがある。その場合は裁判所あたり要求といたしましては、ぜひともこの手段結果の犯罪は、一方が大赦に属せしめる限り大赦に属せしめてもらいたい、こういう要求裁判所技術面から多いのでございますが、大赦に属させるものと属しないものと、手段結果に立ちますところの犯罪につきましてはどういうようにおとりはからいをするお考えでございましようか。
  28. 齋藤三郎

    齋藤(三)政府委員 技術的な面がございますので、便宜私から申し上げます。牽連関係あるいは想像的競合関係法律上の一罪ということに相なつております。従いまして一面において大赦になつても、他面において大赦にならないという場合は、従来からこれは大赦にはならないと、こういう解釈でございます。
  29. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 これが従来の例だと思うのでございますが、私たちはどうしても、技術的に考えまして従来はそうであつても、今回はぜひ手段結果の関係考えていただきたい。そうして一方が大赦にする以上やはり全体として大赦に含ましてもらいたい、こういうことを要望しておきます。  次に大赦の面といたしまして、風俗犯、これは勅令九号並びにバー喫茶店等犯罪でありますが、この犯罪は一面考えますと、これもいろいろ議論はございましようが、やはりバーが許され、カフエーが許され、そうして売春関係が許されている今日では、悪意にあらずして、善意な意味で、またいたずら半分というような意味で、風俗犯を犯した者が多いようでございます。これは大赦部類に属せしめていいものでございましようか、どういうようなお考えをお持ちでございましようか。これをひとつ………。
  30. 木村篤太郎

    木村国務大臣 御意見を承るということにいたしたいと思います。
  31. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 これは法務委員会要望でございますのでぜひともお入れを願いたいと思います。以上が大赦関係でありますが、私はこの大赦につきましては、先ほど法務総裁お答え考え、また推測し、また法務総裁が当会員会の申入れに対しましては、大いにこれを尊重されておるということを承りましたので、この部類については卓然大赦、ないし大赦が不可能とするものは、先ほどお答えがございましたように、考慮した結果特赦ということに全部がなりますことをここに期待ししやまないものであります、と同時に信じてやまないものであります。  次に特赦部類でございます。この特赦で今一番に問題になりますのは、特赦申請検事正が担当している、これであります。検事正特赦申請を担当いたすといたしますと、これは一つ基準等がなければ、取扱い検事正が非常にお困りになるのじやないか。また、そんな検事正はないと思いますが、えこひいき、個人的な感情というようなものも、どうしても申請につきましては起きて参るおそれがあるのであります。もちろん検事正申請いたしましても、特赦を許すか許さぬかは、最後法務府の決定するところでございますので、そうした面は是正されると思うのでございますが、ここらあたりがわれわれの特赦に対して一番懸念をいたす面でございます。従いまして特赦につきましては、この判定にあつて法務官吏のみの考え検事正のみの考え、これが強く打出されることを非常にここに警戒をいたすものであります。法務関係官吏のお考え検事正のお考えが強く打出されますと、必ず不公平か生れる、どうしてもこれを是正しなければならぬ。是正しなければならぬということになりますと、この判定にあたつて国民感情を反映したところの一定の基準が定められなければならぬと思いますが、これはいかようにお考えになつておられましようか、それを承りたい。
  32. 木村篤太郎

    木村国務大臣 御意見はごもつともでありまするが、この基準閣議でぜひきめたいと考えております。そうしてそれについては国民感情を十分に考慮して、万違算のないようにしたいと考えております。
  33. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 従来のこの特赦に関する基準というものはどういうような基準で進んでおりましたでしようか。
  34. 齋藤三郎

    齋藤(三)政府委員 大体一般的に言いますると、先ほど仰せのような牽連関係大赦にならない、あるいは併合関係で一部が大赦になつても一部が大赦にならない、しかも余罪がきわめて軽微だ、こういつたようなものを救うとか、あるいはそのときの事情社会情勢などを勘案しまして、国民感情の目ざすところ察知して、そういうものを基準にする、こういうようなことになつております。
  35. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 もう一つ局長に……。そこでその国民感情ですが、従来は国民感情はどういうところが国民感情になるのでございましようか。たとえば刑の執行ができないとか、家庭が気の毒だとか、そうしたものも入るのでしようか。これをひとつお答え願いたい。
  36. 齋藤三郎

    齋藤(三)政府委員 あらゆるものを勘案して決定すると、こういうことになるのじやないかと存じます。ただいま仰せの点も、もちろんその考慮の中に入ると思います。
  37. 佐瀬昌三

    ○佐瀬委員長 ちよつとお諮りしますが、木村法務総裁は参議院の本会議に出なければなりませんが、もしこの機会法務総裁に対して御質疑があれば、簡單に……。
  38. 角田幸吉

    ○角田委員 私一点だけ関連してお尋ねしておきます。今の大赦関係があります。法務総裁に承りたいのは、先ほど田嶋委員から申されたことは大体刑事犯的なものであります。そこで行政罰的な、いわゆる商法違反であるとか銀行業違反であるとか、無盡業法違反であるとか、何業法違反であるとかいう、刑事罰よりも行政罰的な意味についてのものは大赦としてどういう御構想をもつておられるか、この機会に承つておきたいと思います。
  39. 木村篤太郎

    木村国務大臣 今それは研究中であります。
  40. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 ずつと済ませます。今度は総括してお尋ねしておきます。  次は減刑でございますか、減刑につきましては、凶悪犯に対しましては、従来は個別的に減刑するという方針のようでございますが、今回は個別的でございましようか、一般的に減刑されるのでございましようか。それから減刑の刑期、これの刑期の短縮は、刑期の三分の一か四分の一が常識でございましようが、今回はいかなる基準によろうといたしておりますか。それから刑の執行の面、これも当然考えらるべきものだと思いますが、刑の執行の免除はいかよう範囲においてお考えになつておりますか。  それから破廉恥罪に対しまして、特赦は当然に考えられるのでありますが、一体大赦考えておる犯罪があるかどうか。  それから前科の抹消、これはどういうような構想をお持ちでございますか。お尋ねいたしておきます。
  41. 齋藤三郎

    齋藤(三)政府委員 減刑につきましては、もちろん特殊の罪以外は一般的に減刑いたす、こういうことに考えられることになろうと思います。減刑の率等についても十分従来の先例を考えて、しかも有利になることができるならば、それも考える。こういうふうな考え方で準備をいたしております。  それからこの一般減刑から漏れました特殊のいわゆる凶悪犯、こういう者につきましてもできるだけ減刑を個別的に考えて行きたい。こういう考え方でいたしております。  それから執行免除につきましては、特赦までには至らない、しかしその本人の事情はまことに気の毒である、あるいはその刑を執行することが本人並びに家族にとつて償いがたい損害を與える、こういうような場合に執行の免除ということを考えてよろしいのではないか。  それから前科抹消につきましては、刑法の三十四條の二でございまするが、これ以上にその人の資格の回復について、この際国民と喜びをわかつという意味合いにおいて、資格の回復を早からしめる、こういうことを考えてもいいのではないか、こういう考え方で準備をいたしております。
  42. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 破廉恥罪には大赦はないのか、特赦だけになるのか。
  43. 齋藤三郎

    齋藤(三)政府委員 大体特赦考えて行くということになるのではないかと思います。
  44. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 最後にこれは法務総裁から特にお答えを願いたいのでございますが、現在いろいろな立場から大新聞がこれを取上げて論じております。その中には今回の思赦に属せしめられる人たちは、四十万とも書かれ、百万とも書かれ、また中には六十万と書いたのがございましたが、とにかく四十万、六十万、百万説があるのでございますが、対象となるべき人たちは、法務府のお見込みといたしましては、いかほどなお見込みを持つておりましようか。これを伺いたいと思います。  それからこの前の朝日新聞を見ますと、減刑令につきましては、今回は前例を破つて、刑の確定した者のみではなくて、刑の確定しない者に対しても、減刑令をやろうというお考え政府にあるという記事を見たのでありますが、これが真実といたしますならば、私はむしろ適切なことだと考えるのであります。当委員会には、日本弁護士連合会からも、減刑令については、発令後一箇月内に裁判の確定した者に対しても適用を受ける規定を設けられたい、当局に要望してくれという要望書が来ております。これはまことにそれが真実なことといたしますならば、適切なることである。これは国民要望するところである、こう考えておりますが、この点をひとつ考慮中とかいう抽象的な言葉でなしに、はつきりひとつもうおきまりになつていることでございましようから、お答えを願いたいと思います。
  45. 木村篤太郎

    木村国務大臣 今度の思赦にあずかるべき人たちの数いかんというお尋ねでありまするが、これは新聞紙上で報道されておる数字よりかはるかに多くなるのじやないか、こう考えております、おそらく百万以上になるのではないかと考えております。  それから控訴中の人たちについては、これはもちろん控訴権の放棄ということは考えておりません。これは確定した後に適当な処置をとつて行きたい、こう考えております。
  46. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 控訴中のみでございますか。
  47. 木村篤太郎

    木村国務大臣 控訴中の……。
  48. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 一審はだめなんですね。
  49. 齋藤三郎

    齋藤(三)政府委員 一審のものはいいのです。控訴の方です。
  50. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 それでわかりました。
  51. 押谷富三

    押谷委員 関連して……。今最後お答えいただきました点でございますか、少しはつきりいたさないのでありますが、現在公訴係属中のものであつて、そうして特赦恩典に浴する関係から発令後どの程度の期間に言い渡しがあり、その罪が確定したときには、その特赦恩典に浴し得るか、政府にその格別な配慮をお持ちになつているか。その期間ですね。発令後どの期間、一箇月、あるいは二箇月内に言い渡しがあり、罪が確定した場合に恩典に浴し得るか、その関係を明らかにしていただきたいと思います。
  52. 齋藤三郎

    齋藤(三)政府委員 技術的な問題でございますから便宜私からお答え申し上げます。特赦につきましては、前回の例におきましては、三箇月以内に特赦をいたす、こういう先例がございまするが、今回はそれをもつと大幅に広げたい、こういう考えで準備いたしております。  それから先ほど田嶋委員のお話の、控訴中という問題、確定していないものについて、減刑がどうなるかというお尋ねでございまするが、従来は政令施行の日までに確定した人について減刑をするという先例が長い間続いて参つております。一番最近の昭和二十二年の減刑の際に、それではせつかく刑事訴訟法で認めておる控訴権を事実上侵害するということになつておもしろくないのではないか、こういうことで、一審あるいは二審で禁錮以上の有罪の言い渡しを受けて現在控訴中の者については、その後政令施行後に確定した際においても、同じ割合で減刑するという先例がございます。私どももこの先例はどこから見てもいいのではないか、こういうふうに考えておるような次第でございます。
  53. 佐瀬昌三

    ○佐瀬委員長 法務総裁に一言お尋ねしておきたいのでございますが、刑罰以外の、たとえば弁護士に対する懲戒処分、あるいは公務員に対する懲罰処分というものに対しては、現在のところ恩赦の対象としていかにこれを考慮されておるか、簡單に伺つておきたいと思います。
  54. 木村篤太郎

    木村国務大臣 その点については、実は今考慮中であります。確定しておりませんが、できるだけやりたい、こう考えて、おります。いろいろの技術的の点がありますので、その点を今考慮中であります。
  55. 佐瀬昌三

    ○佐瀬委員長 世耕弘一君。
  56. 世耕弘一

    世耕委員 極東軍事裁判に関係のある犯罪で、特赦減刑ということが考えられておると思うのでありますが、さような場合に、必ずその裁判に関係した当該国の承認を得なければならぬというようなことの條文を、ほかの方でもちよつと見たのでありますが、独立国として、日本の裁判権を確立した場合に、ただ報告だけにとどまるというような、取扱いはできないものでございましようか。依然として関係国の了解を得なければ、その行政手続はできないものであるかどうかということを一つと、もう一つは、一昨日でございましたか、本委員会で西村條約局長を通じて、いろいろな行政協定についての意見を聞いたのでありますが、こまかいことば他の機会お尋ねすることとして省きますが、ただ結論としてお尋ねしたいことは、そのときの感じとして申し上げたいのは、行政協定は主として外務省がお当りになつてつて法務関係の人が参加していないように実は感ずる。それはどうしてかというと、取扱つたいろいろな事案についてつつ込んでみると、法律的な見解が、きわめて貧弱な回答しか得られないのです。これは法務ばかりではない、実は大蔵関係も同様な感を深くすのであります。特にこの際、法務関係は、行政協定に関してどういうふうにタツチしておられるか、今後どういう方針で臨まれるかということを、参考にちよつと聞いておきたい。
  57. 木村篤太郎

    木村国務大臣 いわゆる極東軍事裁判、それから軍事法廷で言い渡された人の問題は、平和條約第十一條で明らかな規定を設けられております。日本の国内問題として取扱うことはできなくなつております。関係各国の決定と、日本政府からの勧告によつて取扱うということになつております。しかし戰犯にかかつておる人たちは、まことに気の毒なことは御承知の通りであります。日本政府としては、関係各国と十分に連絡をとりまして、いわゆるこの十一條の勧告をして、一日も早くこれらの人が釈放をされるように努力するつもりであります。  それから第二の問題ですが、行政協定そのものについての主管省は外務省であります。しかし事法律問題に関する限りにおきましては、法務府においても十分意見を述べ、またその協議にあずかつておるわけであります。これに全然タツチしないというわけではない、十分の協議をしております。
  58. 世耕弘一

    世耕委員 行政協定についてタツチなさるということは、当然のことでもあるように思いますが、実はどうも法務府、大蔵省は積極的に動いていないように感ぜられたのであります。今後この点についてもなお一層御努力を払つていただきたい。  それから極東国際軍事裁判の裁判権の問題あるいは処分された者の処置についての了解事項でありますが、これは独立後の日本の処置といたしましてはなはだ遺憾であると思います。しかしこの間の條約局長の答弁では、今後行政協定その他に関して、矛盾したこと等に関しては、合同委員会を開いて、日本側の意見も入れて改善する余地あり、かように答弁しておりましたが、そういうような道が講ぜられる希望がございますか、それとも何かほかに手がございますか、その点だけ伺つておきます。
  59. 木村篤太郎

    木村国務大臣 行政協定につきましては、御承知の通り明らかに條文がございまして、双方合意の上であればこれを修正できることになつております。はなはだ不都合であるということであれば、こちらから申し入れることはできるのであります。  それから法務関係の裁判権、管轄権の問題、こういうような問題については、十分にこちらからも意見を述べて、万違算のなきようになつております。
  60. 中村又一

    ○中村(又)委員 私は質問の形式をもつてむしろお願いをしておきたいと思います。すでに政府において恩赦のわくなどがきまつているといたしますればこれは少し遅れたお願いでありますが、関税法違反の問題をここにお願いをいたしておきたいと思います。それは昨年二、三月ごろ当時占領下に置かれたる沖繩人の要望にこたえまして、九州の人が、すでに日本においては統制の撤廃されておつたなべかまを積んで沖繩に運んで、その需要に応じたという問題でありますが、それが長崎の裁判所で公訴せられて今裁判中であります。これが罪名は関税法違反となつておりますが、沖縄人も日本人であつた当時の昨年二、三月ごろの出来事でありますので、講和発効と同時に占領下の問題として取扱われるべき件であります。従つてこの関税法違反という問題は、大赦に浴すべき性質を持つておるのではなかろうかというので、質問というかお願いを申してみたいというのが私の考えであります。  それからついでに今朝巣鴨拘置所から手紙が参りましたから、これを朗読して法務総裁の御参考に供しておきたいと思います。簡單であります。「謹啓まつたく一面識もない者ではなはだ僣越でございますが、何とぞお許しください。御尊台は連日政務に骨身を砕かれ、祖国の再建に御盡力のほど承り、心から感謝いたします。まことに御苦労でございます。突然書面を差上げ済みませんが、お力添えを願いたいと思つて差上げました。小生杵島郡の者で戰犯として拘置されましてから足かけ六年、重労働二十年の刑に服して現在に至つている者ですが、一切の望みを講和の批准にかけて参りました。どうか私たちのために、また留守家族のために、ぜひ批准のときには恩典がありますように御努力くださいませんでしようか、お願いいたします。字数制限のゆえ敬具、三月二十三日、吉原剛、中村又一殿」という手紙であります。一昨日一本参つてこういう手紙が二本偶然参つたのでありますが、どうか講和発効と同時に、独立したる日本法務当局といたされまして、最大なる御善処をお願いするために、以上一言いたした次第であります。
  61. 木村篤太郎

    木村国務大臣 関税法の問題でありますが、大赦をやることになると関税法違反の者を全部やらなければならぬ関係になりますので、その点をわれわれは非常に考慮しなければならぬ。そういう特殊な事犯につきましては、まことに気の毒でわれわれは大いに同情しなければなりませんが、特別特赦でもつてとりはからうようなことになりはしないかと考えております。しかし関税法違反のことはまた別に考慮いたしたいと思います。  それから戰犯の問題については、私はまことに同情にたえません。ほんとうにわれわれの力の及ぶ限り何とかしてあげたいと思つております。
  62. 田万廣文

    ○田万委員 関連して。田嶋委員大赦に関するポ政令違反問題に対しての法務総裁の御答弁において、これはさしさわりがあるから言えないというお話がありました。また占領目的阻害行為、政令三百二十五号違反の者について、少数例外は別として明言はできないというお話でありますが、今度の大赦についての基本的な考えとしては、今の言えないとか明言できないとかいうことは、目的のために言えないのか、あるいは政治的な立場から言えないのか、これをまずお伺いしたいと思います。
  63. 木村篤太郎

    木村国務大臣 両面から申し上げることができると思います。あらゆる点から考慮いたしまして、これをどう取扱うかということを考えなければならないので、これをあらかじめ発表するということは相当愼重に扱わなければならぬと思います。
  64. 田万廣文

    ○田万委員 これは立場々々があつておわかりにならぬかもわからぬが、大体常識をもつて考えるならば、いずれわかるべき内容なのです。時間的な多少のずれはあつても、いずれわかるということになれば、民主主義の時代に秘密主義を排して行くという政治の姿がほんとうであれば、少しでも早くわかつたものは発表してやる。特にこういうポ政令違反とか占領目的違反行為というものについてははつきり言つてさしつかえないのではないかと思うのですが、なぜそういうふうに非常に御愼重な態度をとられるか。その点少し納得行きにくいが、わかるように言つてもらいたい。
  65. 木村篤太郎

    木村国務大臣 それはまだきまつていないのです。
  66. 田万廣文

    ○田万委員 わかり次第早く発表なさる御意思はございましようか。
  67. 木村篤太郎

    木村国務大臣 それはあります。
  68. 佐瀬昌三

    ○佐瀬委員長 田嶋好文君。
  69. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 法務総裁に対しまして大綱的なことをお尋ねいたしましたので、具体的なことについて齋藤局長に続けてお尋ねいたしたいと思います。刑期の短縮は刑の四分の一程度が従来の例であつた、こう思うのですが、今国家としても、前例もなければ今後もないだろうという時期にあたつて恩赦でございますから、刑期の短縮は従来の例よりももつと短縮したらどうかという要望が確かに強いのであります。われわれといたしましてはできれば四分の一の従来の例によらず、二分の一程度のものにしていただく、これが国民感情に報ゆるものであると思う。しかし先ほども申し上げましたように兇悪犯に対しては個別的な減刑を考えてもらつてもいいが、一般減刑に対してはぜひとも従来の例以上の刑期の短縮をしてもらいたい。こう考えておりますが、この点に対する方針はいかようにとられておりましようか。この点を伺つておきます。
  70. 齋藤三郎

    齋藤(三)政府委員 従来の先例におきましては、御説の通りに刑期の四分の一を減ずる、そうして刑の執行を始めたものについては、残りの刑期の二分の一を減ずる、こういうことでございまして、五分の四勤めを終つたという人については、その五分の一の二分の一、十分の一しか減刑にならないということになつておりますが、今回は恩赦趣旨考えまして平等にやつて行きたい。ただ四分の一になりますか、三分の一になりますか、二分の一になりますかについてはまだ研究中でございます。
  71. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 非常にいいことだと思います。平等ということになりますれば、刑期が四分の一、三分の一、二分の一よりも私は非常に要望にこたえたものだというように思います。それと同時に刑期の短縮は従来よりももつと多く短縮することを要望してやみません。  次に、破廉恥罪の中で少年犯と一般犯がございますが、少年犯と青年犯とを区別をされる御意思がございましようか。青年の一般犯罪と同じように少年犯をお取扱いになる御方針でございますか。
  72. 齋藤三郎

    齋藤(三)政府委員 少年の犯罪を犯しました者で刑を受けておる人につきましては、一般の成人よりも特段の考慮をしております。ただ少年の犯罪について保護処分を受けておるものにつきましては、非常に困難な問題がございます。法律的に言いますと、恩赦法の運用の法外でございます。ただ実際の処分の実情等も十分考慮いたしまして、遺憾のない措置をとりたい、かように考えましていろいろ考慮中でございます。少年について特段の考えと申しますのは、やはり減刑の際にこういうことを考慮したいと思つております。
  73. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 次に大赦は当然被疑者、被告人、受刑者、執行猶予中の者を含めているものと考えますが、もちろん特赦、減刑の場合は被疑者が含まれない、これは一応当然なことでございます。そこでこの範囲でございますが、被疑者、被告人、受刑者、執行猶予者が当然含まれるものと考えるのでありますが、この中で含まれないものがありましようかどうでしようか。
  74. 齋藤三郎

    齋藤(三)政府委員 御説にございました減刑とか特赦ということは、有罪の確定した人以外は対象になりませんが、大赦につきましては未発覚のものまで及ぶというふうに考えております。
  75. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 大赦はその通りでございましようが、減刑の場合は執行猶予中の者も含まりましようか。
  76. 齋藤三郎

    齋藤(三)政府委員 もちろん刑が確定して執行猶予を言渡されておる人には、その刑が一般と同じように減刑されることに相なるものと考えております。
  77. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 執行猶予の期間の短縮というものは、全然考慮の対象になつておりませんか。
  78. 齋藤三郎

    齋藤(三)政府委員 恩赦法の解釈上いろいろ議論はございますが、現在とくと考慮中でございます。
  79. 世耕弘一

    世耕委員 ちよつと関連して……。恩赦という言葉は何か別な言葉をお使いになるお考えはございませんか。
  80. 齋藤三郎

    齋藤(三)政府委員 法律恩赦法ということになつておりますので、現在では恩赦法を別の名前で呼ぶことはできないと思います。ただ恩赦法によりますと、恩赦はいろいろな種類がございますが、あらゆる法律大赦特赦、減刑、復権、執行免除というふうに書いてございますので、法律できまつておる名前をかえるということは法律によらなければできないと存じております。何か特段の不都合な点がございますれば、実際の運用の点で十分考究したいと考えております。
  81. 世耕弘一

    世耕委員 恩赦という言葉それ自体か現代語じやないのじやないか、適当でないじやないかと考えるのですが、その点はどうですか。
  82. 齋藤三郎

    齋藤(三)政府委員 あるいはそういう考え方も成り立つかと存じますが、昭和二十二年にできました恩赦法によつて現在恩赦が行われておる次第でございます。
  83. 世耕弘一

    世耕委員 新憲法その他の面から考えて、むしろ更生とかいうような適当な言葉が当然あつていいのじやないかと思うのです。恩赦というと何か旧憲法に基く刑法の観念が多分に入つていて、何も新味が加わつておらぬのじやないかと思います。
  84. 龍野喜一郎

    ○龍野政府委員 ただいまの御意見は御意見として十分研究いたしたいと思いますが、目下考えております恩赦は、まつたくもつて局長が言つた通り、昭和二十二年に成立した恩赦法によつて行うのでございますから、恩赦法自体の改正の問題としてはいろいろの考えはあると思いますが、その際十分お聞きいたしたいと思います。
  85. 佐瀬昌三

    ○佐瀬委員長 他に御質疑はございませんか。——なければ本日はこの程度にとどめ、明二十八日午後一時より会議を開きます。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後三時一分散会