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1952-03-14 第13回国会 衆議院 法務委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月十四日(金曜日)     午後二時三十九分開議  出席委員    委員長 佐瀬 昌三君    理事 押谷 富三君 理事 北川 定務君    理事 田嶋 好文君       安部 俊吾君    角田 幸吉君       鍛冶 良作君    高木 松吉君       松木  弘君    眞鍋  勝君       加藤  充君    梨木作次郎君       佐竹 晴記君  出席政府委員         検     事         (法務法制意         見第二局長)  林  修三君         外務事務官         (条約局長)  西村 熊雄君  委員外出席者         専  門  員 村  教三君         専  門  員 小木 貞一君     ————————————— 三月十四日  委員田中堯平君辞任につき、その補欠として梨  木作次郎君が議長指名委員に選任された。 三月十三日  委員石井繁丸辞任につき、その補欠として田  万廣文君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  行政協定締結に伴う法制並びに法務行政等に関  する件     —————————————
  2. 佐瀬昌三

    佐瀬委員長 これより会議を開きます。  行政協定締結に伴う法務行政等に関する件について調査を進めます。発言の通告がありますから、順次これを許します。鍛冶良作君。
  3. 鍛冶良作

    鍛冶委員 このたび国民にとつて最も重大な関係のありまするいわゆる日米行政協定なるものが結ばれたのでありまして、しかもこれを一読いたしましたるところ、非常に疑問の点が多いのであります。そこで当法務委員会において、法務委員会としての任務上できるだけこれを明らかにして、国民のよるべき道を定めておくことが必要だと思うので、逐条的に質問申し上げて不明なところを明瞭にしていただきたいと思うのであります。そこで問題のずいぶん大きいところもありますので、岡崎国務大臣並びに法務総裁にも御出席を願うように申し上げておつたのでありまするが、お見えでありませんので、はなはだ困るとは思いまするが、御多用中西村条約局長がわざわざおいでになりましたから、局長に承るだけ承つて、なおあと疑問の点がありまするならば、後刻国務大臣に承ることにいたしたいと思います。なおまた前提として申し上げておきますが、他の委員会その他において、いろいろ議論もありましたろうし、またあなた方から見れば明瞭であるという点もあるかもしれませんが、われわれは法務委員会としての立場から、ここにあらためて承りたいと考えておりまするから、従来他の委員会その他においてありました議論でも、ここでひとつできるだけ明瞭になるように御答弁を願いたいと思います。  そこで第一に承りたいのは前文でありまするが、前文の第二段に「また、同条約第三条は、合衆国軍隊日本国内及びその附近における配備を規律する条件は両政府間の行政協定決定すると述べている」この点であります。これはしばしば問題になつたと思いますが、かような内容を持つておるものを行政協定でやつてさしつかえないものであるかどうか。もちろんさしつかえないというところからおやりになつたと思いまするが、その法律上の根拠を明白にしていただきたいと思います。
  4. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 御質問事項につきましては、今日まで衆議院参議院におきまする各種の委員会で、総理、国務大臣、その他主管大臣から御答弁になつておる事柄が多いと存じます。主管責任大臣から御答弁になりました趣旨は、私最近の事務が多端でありますために一々拝聴する機会もございませんし、議事録を拝読する機会も得ておりません。新聞もまた注意深く読んでおる時間を持つておりません関係上、ごく漠とした印象しか持つておりません。今日私が御答弁申します事柄が、各責任ある国務大臣の御答弁とあるいは違うようなことがございましたならば、私の違つておる点はお取立てにならなくて、一に責任ある大臣の御答弁をもつて政府の御見解と御了解召されるようにお願いいたしたいと思います。私が御答弁申し上げる事柄は、ただ事務当局といたしまして考えておるところを申し上げる次第でございます。  安全保障条約第三条によりまして、日本国内及びその付近配備されまする合衆国軍隊条件につきましては、日米両国政府の間にとりきめられる協定で定めるという条項は、安保条約実施に必要なるとりきめを政府限りでやつてよろしいという委任条項趣旨で置いたものでございます。安保条約につきましては、昨年の春以来交渉をいたしました関係上、交渉経緯によりまして両当事者意思はこの点についてはつきりと一致を見ております。簡單に言えば、条約を締結するにつきましては、アメリカにおきましても日本におきましてもそうでありますように、国会承認が必要となつております。従つてこの国会承認を経て締結いたされまする安保条約におきまして、この安保条約実施するために必要な細目協定があるということは、交渉の当時からわかつておりましたので、その種の協定を一々国会——日本におきましては国会合衆国におきましては上院の承認を必要といたしまするような形式をもつてしては、とうていその煩にたえないから、条約そのものの中に政府に対する委任条項を置こう、こういうことで第三条は入つて来ておるわけであります。従いまして今御質問の点が合法であるかどうかという点は、安保条約の御審議を願いましたときにすでに十分論議を尽されたところでございます。政府といたしましては、むろんこれは合法であるし、当然なし得ることであるという御説明を申し上げまして、安保条約締結に関する案件所要の議決を経まして批准されたような次第でございます。従いましてこの前文の第二項にうたつてある事柄は、その事柄を言つておりまして、今回の行政とりきめの出どころを明らかにしたものでございます。
  5. 鍛冶良作

    鍛冶委員 もちろん安保条約はさように書いてありまするから、それに基いてやられたのでありますが、この実質上における問題が大きいと思うのであります。われわれはこの行政協定を読んでみますると、旧来われわれが考えておる法律上の原則等にも異なつた特別の協定がなされておるものが多々あるようであります。かようにいわゆる創設的の大きな効力ができまするものは、これは条約として少くとも新しく法律をつくると同様の国会の手続をふむのが常道でなかろうかと考えるのであります。そうなりますと、安保条約そのもので、かような大きな行政協定国会承認を経ぬでもなし得るのだ、こうきめたこと自身に疑問を持たれるのじやないかと思うのでありますが、この点は憲法上さしつかえないものという御確信をお持ちだろうと思いますから、その点をひとつできるだけ明白にしていただきたいと思います。
  6. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 その点は今最後におつしやつた通り政府当局といたしましては憲法上当然できるとの確信のもとにやつた事柄でございます。
  7. 鍛冶良作

    鍛冶委員 あまり議論にわたらぬようにしたいと思うのでありますが、もちろんそうであろうけれども、われわれここで疑問を持ちまするのは、このような法律上の創設的の効力を現わすものは、行政協定でやるべきものでないのだ、条約としてその内容を示して国会承認を経べきものではなかろうか、こう思いますので承つておりますが、さようなことは経なくてもよろしいのだ、こういう御見解ならばその見解の基礎を伺いたい、こう思うのであります。
  8. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 安保条約第三条による委任が、日本国内及び付近における合衆国軍隊配備を規律する条件と広くいつておるのであります。配備条件の中には、むろん外国の軍隊日本国内に駐在いたしまして日常生活を営みます関係上、ただに国家の経費の面だけでなくて、いわゆる生活上の関係から生れて来る権利義務関係において、国民日常生活に影響を持つ面が多分にあるということは、安保条約を御審議願つたときから政府当局としては御説明申し上げておるところであります。その御説明を御了承の上第三条につきまして無条件で御承認をいただいておりますので、私ども法律的に見ますれば、むろん今日見るような内容行政協定を締結するにつきましても、何ら越権とか憲法に反するようなことをしたとは決して考えておりません。  但しこのことだけは御注意申し上げたいと思います。それは参議院におきましても衆議院におきましても、ことに参議院特別委員会におきまして大橋法務総裁は、行政協定内容に入る配備条件のうち、その結果として国の財政的負担を伴い、または国民権利義務関係するような事項については、行政協定のみによつてただちに拘束されないようにする方針をもつて交渉に当る方針でありますということを、私は一々覚えておりますが、御明答になつております。これは責任大臣としての大橋法務総裁国会に対する政治的約束であると思いましたので、今回の交渉にあたりましては、その点につきましては十分こちらの考えを述べまして先方の了解を求めた次第であります。その結果入りましたのが二十七条の第二項でありまして、「この協定の各当事者は、この協定規定中その実施のため予算上及び立法上の措置を必要とするものについて、必要なその措置立法機関に求めることを約束する。」という規定になつております。むろんこの規定は私ども趣旨はかなり出ておりますが、万全とは申せません。私どものここで明らかにしようと思いました事柄は、今御指摘になりましたような条項につきましては、国会という機関憲法権限を持つておる事柄に属するからして、立憲政治下における政府といたしましては、憲法立法機関が所有する権限内の事項につきましては、当該機関の判断と措置の自由を最終的に拘束するものではない、言いかえれば当該措置につきましては、政府としては所要措置立法機関に提案し、そうして審議に付する、立法機関がその措置をとつて初めて当該条項実施されるという趣旨を明らかにする意味におきまして、この条文を設けました。この点は先方交渉相手方も実によくわかつてくれまして、行政協定、言いかえれば政府限りで締結する協定国際約束の中で、アメリカにおいてもむろん国会、コングレスの権限に属する事柄について最終的な決定を与えることはできないということは日本と同様である、従つてその他の条項を引いてみますれば、たとえば経費分担に関します条項によりますれば、大体日本側が負担する分担金アメリカに渡して、共同で経理をするということになつておりますが、この点は議事録にもはつきり載つております。その点などは合衆国としての法制の改正を要する事項であります。また第十八条で、ある種の場合に合衆国におきまして補償の義務を受諾いたしております。これは損害賠償義務であります。それに対してはやはり予算面における措置を必要とする、こういう事柄については全然日本政府と同じ立場にあるのであつて従つて第二十七条の第二項が書かれたような次第でございます。私ども委員のおつしやる通り理想論といたしましては政府限りで締結される協定の中に、立法機関憲法上有しておるような権限を侵す結果となるような協定は結ぶべきではないということについては、同感であります。ただこの場合に安保条約第三条によつて軍配備条件を定める協定政府間で結んでよろしいという条項を含む安保条約について十二分の御審議を経、しかもその点について政府はどういうふうにして国会権限を尊重するようにするかということについて、すでに政府はつきりした御答弁もありましたので、この行政協定におきまして、御指摘のような条項が入つたということは何ら法律的には非難さるべきものではない。もし非難さるべきことがあるとするならば、それは政治的の御意見からならばやむを得ないのではないかと考えております。当事者といたしましては、大橋法務総裁の議会に対するお約束を十二分に協定面に現わすように努力いたしたし、その点については合衆国側代表団も私どもと全然同一であつたということを御報告申し上げたいと思います。
  9. 鍛冶良作

    鍛冶委員 御鄭重なる御説明がありましたので、局長に対するこの点の質問はこの程度にしておきますが、いずれまた責任ある国務大臣に承りたいと思つております。  そこで今お言葉が出ましたからお聞きいたしますが、もちろん逐条的にこの場合にはどういう法律ができる、どういうことだというふうに承ることにいたしますが、今おつしやるような第二十七条における立法措置をとられるには、全部まとめて一度に出されるつもりでありますか、それとも一つ一つできたものから提案なされてやられるつもりでありますか、まずその点から承りたいと思います。
  10. 林修三

    林政府委員 ただいまの御質問の点は、この行政協定に基きまして幾つかの関係立法を要する事項があると私ども存じております。これにつきましてまとめてとおつしやいます意味は、一本の法律にしてとおつしやいますのか、あるいは時期的に一緒にとおつしやいますのか、ちよつと私にははつきり了解いたしかねたのでございますが、いろいろの事柄もございますので、事務的には必ずしも一本の法律にまとめる必要はなかろうと考えております。それから時期的の問題でございますが、これも事柄といたしましてただいまはつきり申し上げかねますけれども安保条約発効と同時にぜひとも施行しなければならないものもございますし、多少時期が遅れてもさしつかえないものもあろうかと存じます。時期的に必ず一緒に出すということは、仕事準備の都合しただいまはつきり申し上げかねるところではないかと思います。
  11. 鍛冶良作

    鍛冶委員 さしあたつて必要なもので、準備のできているものもあると思います。もしございましたら、ひとつ内容を承るわけには行きませんでしようか。
  12. 林修三

    林政府委員 この内容につきましては、各主管庁におきましてただいま準備中であろうと存ずるわけであります。いずれ政府といたしまして国会に提出いたします際には、私ども法務府の法制意見局でも法案の審査をいたすわけでございますけれども、まだ各主管庁におきまして準備段階にあると思います。ただ法務関係のものにつきましては所管が私どもになつておりますが、全般的に申しましては、各主管庁において準備中で、もちろん非常に急いでやつておるわけでございます。ただいま私ども手元にどれだけ来ておるか、どういう内容かということはまだ申し上げかねる段階であります。
  13. 鍛冶良作

    鍛冶委員 これから逐条に入りまして、具体的の問題について伺うことにいたしましよう。第二条でありますが、第二条を読んでみますると、「日本国は、合衆国に対し、安全保障条約第一条に掲げる目的の遂行に必要な施設及び区域使用を許すことに同意する。個個の施設及び区域に関する協定は、この協定効力発生の日までになお両政府合意に達していないときは、この協定の第二十六条に定める合同委員会を通じて両政府が締結しなければならない。」こう書いてあります。この条文によりますると、両政府合意に達しないときは合同委員会をつくつてやる、こういうことが書いてあるのですが、この合同委員会前においてどうしてきまるのかわからないのであります。この点をひとつ明瞭に御説明を願いたい。
  14. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 その点は、お手元にお持ちになつておりまする印刷物の二十五ページ以下にありまするラスク代表岡崎国務大臣の間にとりかわされました付属公文で、行政協定効力を生ずる前におきましてもただちに予備作業班を設定して、予備作業班の間で施設区域決定相談を始める、そうして相談がまとまつたら、まとまり次第それを実施して行くという趣旨のことを明らかにしてございます。これによりまして、私どもとしてはできる限り早く解除できるものは解除していただきたいというつもりで、現在作業を始めている次第でございます。御質問の点は、付属交換公文でございます。
  15. 鍛冶良作

    鍛冶委員 せつかく行政協定をおやりになつたら、行政協定のうちできめられていいと思うのですが、行政協定にきめられなかつた理由は、どういうわけでございますか。
  16. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 行政協定できめることができれば、一番理想的であるという委員の御意見には同感でございます。しかし何と申しましても案件が非常に多いものでございますので、この協定署名いたされまして効力発生するまでに予想されている期間は、正確ではございませんが、一月ないし一月半、来月初め、来月中旬ということが常識的に考えられるわけでございます。それで短期間内には完了し得ないという事情が一方にありますと同時に、それ以上に日本政府として関心を持ちましたことは、施設区域決定を一日も早く始めて、合意ができれば即時これを実行に移して行くということが、とりもなおさず平和条約発効してここに占領が完了するという事実が、結局一般の日本の人々の前に事態が明確にかわつたのだということを了解させる上からいつても最も望ましいということで、政府といたしましても交渉当事者といたしましては、むしろ行政協定署名とか、行政協定効力発生というものを待たないで、できる限りその前に、いわゆる決定のための話を始め、そうして合意の成立を急ぐ、合意ができたらただちに実行をして行くべきであるということを強く言つたような次第でございます。そういうふうな内容で、付属交換公文でその趣旨はつきりさせられたわけでございます。
  17. 鍛冶良作

    鍛冶委員 行政協定によつて協定されたものでない以上は、行政協定以外のもの、かように解釈していいと思う。またそうでなければならぬと思いますけれども、それはどうでありますか。
  18. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 行政協定というものをそう狭くお考えくださらなくて、この署名と同時にラスク代表岡崎国務大臣の間にとりかわされた書面は、協定の第二条に関連する内容合意を記録したものでございますので、付属公文、こういう考えを私どもは持つております。行政協定をお考えくださいますときは、この書簡も一緒に入れてお考えを願いたいと思うのでございます。
  19. 鍛冶良作

    鍛冶委員 私はそこに疑問を持つたのであります。この交換公文は、予備作業班の問題のみならず、なおあとを見ますとたいへん重大なことまでもきめてございます。かようなことを行政協定以外の交換文できめられるということは行政協定以外のものだ、今の予備作業班だけならまだある程度いいと思いますが、この一番あとの方に書いてあります問題はたいへん重大だと思います。先ほどのあなたの説明を聞くと、行政協定安保条約第三条によつてきめてもいいという、いわゆる委任効力はあつたかもしれませんが、行政協定付属するからといつて行政協定以外のことまでもきめていいとは委任されておらぬものではなかろうか、かように私は考えますが、この点の御見解はいかがでありますか。
  20. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 私どもはそう狭く解釈いたさないのであります。第二条の一項にもはつきり、この協定効力発生の日までになお両政府合意に達していないときは、この協定の第二十六条に定める合同委員会を通じて協議をして合意を定める、こういう規定でございます。この規定は、合同委員会がいつまでに作業を完了すべきであるかという点がはつきりしていないわけであります。その点は日本側立場から申しますと、おもしろくないと考えるわけであります。私どもといたしましては、交渉経過中にこの施設区域に関する話合いは、行政協定発効前に予備作業班が熱心に作業をするならば必ず大部分は円満な話合いがつくであろうと思う。かりに行政協定発効したあとにおきましても、九十日の余裕期間の間には必ず話合いがつくと思う。従つて二条には九十日以内に合意を完成するようにしなければならないということにしたいという話合いをいたしたわけでございますが、先方におきましてもその点は全然同感でございまして、できる限り所定の九十日——猶予期間の九十日と申しますのは、平和条約第六条にありますように、占領軍平和条約発効後九十日以内に撤退しなければいけない、その九十日以内においては現に占有しておる財産を継続使用することができるという条項に基く使用権が認められておるわけであります。従つて理想論としてはその期間経過満了前に完全に話合いができることが一番望ましいと思います。その点は双方とも全然同感でございまして、その所定期間内に合意を完了するようにすでに作業班活動が始まり、きわめて順調に行つておりますので、私は今御指摘になりました最後の点、もし九十日以内に合意ができないようなものがあつたならばできるまで使用することができるという条項が、実際適用を見ないで済むことになることを期待いたしておりますし、そうなると信じております。
  21. 鍛冶良作

    鍛冶委員 われわれも今おつしやつた通りそうあつてほしいと思うのですが、この協定効力発生の日までになお両方の政府合意に達してないとか合意する期間があるとかいうことは予想できます。そこでその次に出て来ます達せなかつたら平和条約効力発生の日の後九十日以内にやる、こうなつて来ますと、予備作業班権利を超越して、この行政協定効力発生してもなおかつ前の効力でそのまま行く、こういうことになります。さらに進んで、驚くべきことは、九十日以内に成立しなかつたらやはり相かわらず同じように継続する、こういいますとこれはもう行政協定がなくても前と同じことの権限を与える。言いかえますれば占領中の効力平和条約効力発生後も同様に引継がれるものである、同様に施行されるものである、とかような解釈が起るような気がいたしますが、この点はわれわれの解釈が誤りでございましようか。
  22. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 その点は交換公文の中に、行政協定実施されるまでに予備作業班仕事が完了していないときには、予備作業班仕事合同委員会に引継がれるということになつておりますので、決して法律的なギヤップは存在しないわけでございます。最後に御指摘の点は、そう思わないのでございまして、手紙の冒頭に日本政府見解岡崎国務大臣から陳述してございます。それは平和条約効力発生と同時に、現在行われている占領による接収使用ということは終止して、その日からは両国合意に基く使用ということにならなければならない、これが日本政府見解でございます。それに対してラスク代表は、合衆国政府基本的見解も同様である。こう答えられております。従つて平和条約発効すれば、必然の結果といたしまして、現在の接収による使用は解除いたされます。しからば以後九十日の間はどうなるかといえば、九十日は平和条約六条の使用権に基くものであります。これはサンフランシスコ平和条約日本署名し、これを批准し、これが効力発生する当然の法律的結果であります。今さら日本はそれをノーとは言えない。一番考えるべき問題は、九十日以内に合意を達成するように日米双方が努力することにあると思うのです。また現にその努力はされております。私どもは九十日以内に日米双方の間に善意があり、信頼があるならば必ずできるものと確信いたしております。ただ万一できなかつたときは今使つておるところにいさしてもらいたいという切なる先方の要請がありましたので、政府としてはその点はよろしい、認めましようという意思を表示されておるわけでございます。この意思表示があるがゆえに、私は合衆国政府が現在使用いたしておりまする施設ないし区域使用を継続するというような気持はみじんもないものであると信じております。とにかくこの点につきましては、行政協定発効前における予備作業班作業、それから発効後における合同委員会活動にいましばらく御信頼をおいてくださいまして、この条項の結果をごらんいただきたい。その上でまたあらためて御批評をちようだいいたしたいと考えます。
  23. 鍛冶良作

    鍛冶委員 もとよりわれわれもあなたがおつしやる通りならなければならぬと思いますが、法律的にわれわれが考えてみますると、そういう疑念が出て来るのであります。そこでむしろこれが九十日間にできないで、そのまま継続されるとしたら、この条約効力がある限り使用されてもやむを得ないのでありましようか。この点はどういうことになるのでありますか。     〔「答弁は簡潔に、ごまかさないでやりなさい、日本人らしくやりなさい」と呼ぶ者あり〕
  24. 佐瀬昌三

    佐瀬委員長 静粛に願います。
  25. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 第二条の第二項をごらんになりますと、日本国合衆国は、いずれか一方の当事者が要請するときはこの施設区域に関する合意を再検討しなければならないということがはつきりさしてあります。さらに第三項には「合衆国軍隊使用する施設及び区域は、この協定の目的のため必要でなくなつたときは、いつでも、日本国に返還しなければならない。」とありまして、しかも「合衆国は、施設及び区域の必要性を前記の返還を目的としてたえず検討することに同意する。」となつております。協定の建前は必要最小限度にとどめて、必要性がなくなつたものから随時返還をして行くように、絶えず合衆国としては努力するという約束になつております。両国間に信頼関係があれば、私はこの条項は必ず円満に行くものと考えております。
  26. 鍛冶良作

    鍛冶委員 私の單なる意見でありますが、もちろんその意味もございますが、これは予備作業班できまらなかつた場合は、九十日間そのまま置く。これもある程度……。
  27. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 そうじやないのです。これは鍛冶委員の誤解があると思うのですが、予備作業班協定署名と同時に、即時発足して、すでに作業を開始いたしております。そうして今度予備班の作業によつて合意ができたものから、実行に移して行くということになつております。  それから協定の二条には、今度はこの協定発効すれば、予備作業班仕事合同委員会に引継ぐ。合同委員会が、発効後は、施設区域決定作業をいたすわけであります。そうして交換公文では、この合同委員会は九十日の間で作業を完了しなければならぬと書いてある。これはわれわれの方の要請であるわけであります。この最後に、万一九十日間にできないような施設があつた場合には、その施設については合意ができるまでも継続して使用してよろしい、こうなつておるわけでございます。従いまして作業班作業は、行政協定発効と同時に合同委員会に引継がれる。合同委員会の主たる任務は、当面の間は、施設区域決定ということに二十六条それ自身でうたわれておると思う次第であります。予備作業班合同委員会仕事に私は大いに期待したいと思うのであります。
  28. 鍛冶良作

    鍛冶委員 そこで九十日の間に合同委員会で全部きめればいいんじやないですか。きめるつもりだとおつしやいますが、そのまま使わせるというぐらいならば、会議の結果、前の通りにするといえば、それでよいのに、どうもこれを読んだところでは、きまらなかつたら、前の通りにするということは、こつちの意思を聞かぬでも、言うことを聞かないなら、前の通りで使つてやるぜというように聞えますから、われわれは疑問を持つのですが、むしろそういうことでなくて、どうしても使わなければならぬものならば、日本国意思を入れて使わせる、こういうふうにされた方がいいのじやないか。こんなものはなくて、九十日でみなきめてしまうのだとした方がいいのじやないかと思われるのであります。もちろんそういうことであろうと思いますが、だれしもこれを読みますると、相当疑問の生ずるところでありまするがゆえに、もう少し政府としてのこれに対する見解を明白にしておいてもらいたいと思います。
  29. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 御意見よくわかります。しかしながら交渉に当りました者の気持といたしましては、現在双方の間の気持に強く出ておりますように、行政協定発効前から施設区域についての話合いを始め、行政協定発効したら、合同委員会のまず第一の任務としてそれをやらせる。しかも合同委員会としては九十日以内に話合いができるようにしなければならぬという原則的の意思の合致がありますので、私は必ず九十日以内に施設区域についての話合いができまして、最後の今御指摘になりました条項が実際適用されるようなケースはなくて済むものと思つております。またなくて済ませなければならぬ。済ませないようでは日米両国にとつてともにおもしろくない事柄であると考えておるわけであります。鍛冶委員のように、最後の一文章がなくていいのではないか、向うの方が使うから使うんだというふうにやらしてもいいのではないかという御意見のようでありますが、それは私どもとしてはとらないところであります。と申しますのは、平和条約発効と同時に、占領管理に伴う日本政府意思によらざるいわゆる占領による徴発使用というような形式は、いかなる場合にもその瞬間から終了しなければならぬという立場は、どうしても通さなければならないし、その立場アメリカ政府に了承させなければならないと考えるからであります。
  30. 鍛冶良作

    鍛冶委員 まだありますが、議論になりますから、この程度にしておきますが、いずれにいたしましても、あまり見よいものでないことを御注意願いたいと思います。だんだんこまかくなりますが、逐条的に各条項について承ります。第一条の(b)でありますが、一番最後のところに「この協定のみの適用上、合衆国及び日本国の二重国籍者で合衆国日本国に入れたものは、合衆国民とみなす。」とあります。両国籍がある以上どつちかにきめなければならぬので、おきめになつたんだと思うが、本人は、私は日本法律に服したいと言つても、これは合衆国法律に服さなければならぬのじやないか、法律的に解釈すると、そういうことに解釈できまするが、この点はいかがでございますか。
  31. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 御質問の点はまことにごもつともだと存じます。一体国際法上から申しますれば、二重国籍を有する者がその一方の国籍国に滞在しますときは、その国はその国の人として取扱うことができる、他の国籍を無視することができるというのが慣例でございます。慣例でありまするがゆえに、「この協定のみの適用上」と特に入れた次第であります。ここに該当する者はいわゆる米国軍隊の軍属として合衆国政府日本に連れて来る者だけを見ているわけであります。従つて広い意味におきまして軍隊の構成の一部をなす合衆国国籍と日本国籍とを持つておる者、平たく言えば、二世邦人でございますので、この協定の適用に関する限りは、合衆国軍隊の構成員と言いましようか、軍隊の一部をなすものとしての、軍属としての立場を公的に持つております以上は、こういう取扱いをすることが最も妥当であるという結論に達した次第でございます。むろんこれは特例でございまして、これをもつて一般の先例となすべきでないという点については、両当事者意見の一致を見ておる次第であります。
  32. 鍛冶良作

    鍛冶委員 そうすると、これは本人の意思というものは入れる余地のないものと解釈せなければならぬですか。
  33. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 これは立場をかえまして、かりに日本合衆国立場に立ちました場合のことを考えればよくおわかりくださると思います。軍に関連する国家との関係でございますので、その面においては必ずしも個人の自由意思だけにはよれない場合があろうかと考えます。
  34. 鍛冶良作

    鍛冶委員 次は第一条の(C)の(2)でありまするが、「父母及び二十一歳以上の子で、その生計費の半額以上を合衆国軍隊の構成員又は軍属に依存するもの」とありますが、どういうことで半額以上依存しているとかしておらぬとかいつたことはわかるものでありますか、われわれ法的に考えてみてどうもつかみどころがないように思いますが、標準をどういうところに置いておいでになるか、伺いたいと思います。
  35. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 これはずつとお読みになりますと、こういうものとして待遇を受ける者については、身分証明書に当るものを持つて来て、その身分証明書に身分を明らかにしなければいかぬということが別に規定してあります。従つて本人たちが持つて来る書類の中にその点は明示されておりますので、日本政府では実際の適用上何ら困難を感じないことになつております。要するにこの点は軍人、軍属の扶養家族という意味でございます。そしてこの二十一歳というものをとつた点は、イギリス法、アメリカ法におきましては二十一歳をもつて選挙権の有無を標準としておりまして、大体二十一歳以上の者は扶養家族ではなく、独立の家族と通念的に考えられますので、この標準をとつた次第でございます。
  36. 鍛冶良作

    鍛冶委員 そうすると向うからこの者は生計費の半額以上を依存している者であるという証明さえあれば、そういうことに認めざるを得ないということになるのですか。
  37. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 私の申したのは第九条でございますが、第九条に合衆国はこういう者を入れる場合にはそれぞれその身分を明らかにした書類を携行させなければいけないというようなことになつております。従つて実際の適用上日本の側におきまして、父母または二十一歳以上の子で、被扶養者として入つている者であつても、生計のために自分の子ないし自分の親に半額以上依存していないという事実があれば、いつでもこちら側から要請はできるわけです。そういう者を家族として取扱うことはできぬということは言えることに相なります。
  38. 鍛冶良作

    鍛冶委員 議論にわたらぬようにしますが、形式上これは半額以上を依存している者だと言われたらやむを得ぬのだととするならこれはやむを得ません。やむを得ませんが、実質上において半額以上負担しておらなかつたらそれは除外されるのだとおつしやるのだつたら、どうしてそういうことを認定する方法がございましようか、こう承つているのです。
  39. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 合衆国官憲がそう認めて証明書を発行して、それを持たして日本に入れますから、それは一応尊重いたしますが、ただその人たちの日本国内における生活情勢を見て、どうもそうでないという事実が客観的に確立されれば、いつでもそういう待遇を与えられないカテゴリーに入るということを日本政府としては言えるわけであります。     〔「九条にはそんなことは書いてないよ。」「いや、今逐条審議をやつているのだから、議論あとにしよう。」と呼ぶ者あり〕
  40. 鍛冶良作

    鍛冶委員 第二条は先ほど申しましたから、その程度にしておきます。(「議事進行について。」「逐条になるのなら逐条的にみなやろうじやないか、そうでなければ混乱するぞ。」と呼ぶ者あり)  次に第三条の適用を受けるということに対して、何か公示もしくは表示と接収の手続を要するのじやないかと思いますが、それとも前から載つておれば黙つてそのまま行くのですか。どういう手続によつて今後もこれを使用するものだという表示もしくは公示がなされるのか、この点が明瞭でないわけであります。
  41. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 私から答弁いたしかねる事項かと存じますが、ちよつと御質問趣旨をとりかねましたので、失礼ですがもう一回御質問の要旨をお願いいたします。
  42. 鍛冶良作

    鍛冶委員 予備作業班できまつて接収するのだ、それから合同委員会決定してこれから使用するのだということだけはわかつておりますが、その利害関係人もしくは国民一般に対しての公示方法か何かがなされなければならぬと思いますが、これに対する規定が見当らない。いかなる方法によつてこれを了解させ、また他のものに知らせるのか、この点であります。
  43. 林修三

    林政府委員 この点につきましては日本国内法の問題かと存ずるわけでございます。もちろん合同委員会においてきまりましたものにつきまして、日本側の行政当局の権限ある機関がこれによつて施設区域として向う側に提供することのできるような契約も結び、あるいはそういう手続をとることになると存じます。但しそこでどうしても日本国内話合いがつかないという場合に備えまして、使用権の設定等のことにつきましては、あるいは立法を要するのじやないかと存じているわけであります。この立法を要するかどうかにつきましては目下主管庁において御研究中のことであろうと思つております。
  44. 佐瀬昌三

    佐瀬委員長 ちよつと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  45. 佐瀬昌三

    佐瀬委員長 速記を始めてください。鍛冶君。
  46. 鍛冶良作

    鍛冶委員 私の一番聞きたいところは、今まで占領軍使用しておりますものをそのまま新しい安保軍が使用するという場合に、そのまま行くのか、それとも何か特別な手続をやられるのか、特別の手続をやられるというならばどういうことでやられるのかということです。
  47. 林修三

    林政府委員 もちろん国内的に向うが接収しております物件は、一応みな契約に基いているわけでございます。その契約の期間がどうなつておるか等については私も一々詳細には存じませんが、おそらく占領終了とともに終るようなことになるだろうと思いますけれども、これにつきまして、今後その施設なり区域を向うに提供いたします必要がある場合、どういう国内手続をとるか。もちろんこれは契約ができることであるならば契約によることであろうと思いますが、この契約がどうしてもできない場合の措置は、当然日本政府側といたしましても考えておく必要があるだろうと思います。この点につきましては、あるいは立法を要することではないかと考えております。たとえば土地収用法では普通には参りませんけれども、たとえばあれに類似したような手続が必要であろうか、かように考えております。この点につきましては、所管庁であります特別調達庁あるいは建設省で目下寄り寄り研究中であると存じております。
  48. 鍛冶良作

    鍛冶委員 私の一番懸念するのは、現在も使つているのだからそのまま使われるのだという観念の継続は、はなはだ困るということであります。何らかそこに明確なけじめがなければいかぬと思う。そこでどのようなけじめをつけて行くかということで、これは十分お考えを願いたい。  次いで第四条でありますが、これは、「合衆国は、この協定期間満了の際又はその前に日本国施設及び区域を返還するに当つて、当該施設及び区域をそれらが合衆国軍隊に提供された時の状態に回復し、又はその回復の代りに日本国に補償する義務を負わない。」これは要するに賃借物を返還する場合に、原状回復の義務がないということなんであります。これはおそらく民法の大原則、世界のいかなるところを通じましてもさようなことはないものだと私は患いますが、私のひが目かどうか。もしそうでないとすれば、どういうわけでそういうことをやられたか、それを承りたい。
  49. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 第四条一項の意味は、アメリカが原状回復をしない、アメリカ合衆国政府日本に対して、原状回復にかえて補償することをしないというだけの意味でありまして、施設区域の所有者に対して日本政府が原状回復の義務がない、または補償の義務がないという意味はあり得ないわけであります。その点は要するに国内問題として、関係当局においてすでに研究中の事柄でございます。それではなぜ日米政府の間においては原状回復の義務を免除し、またそれにかわる補償の義務日本側はこれに対して免除したかということは、結局安保条約に基いて日本の防衛のために合衆国軍隊日本国内に配置されるのであるから、日本としてはその賠償義務ないし補償義務を要求することを差控えた次第でございます。またそれだけではなくて同時に第二項におきまして、使用中に施設及び区域内におきまして合衆国側でつけ加えた改良工作物その他については、合衆国がそのかわりにただで置いておく。それに対する日本政府の原状回復ないしは補償の義務合衆国としても放棄するということによつて、ほぼ相互的な考え方を採用した次第でございます。
  50. 鍛冶良作

    鍛冶委員 今の御説明は、この協定に基いて使用したものですが、これを読みますと、「その前に日本国施設及び区域を返還するに当つて、」こう書いてありまして、これは占領中のものであると解釈しなければならぬと思いますが、どうですか。
  51. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 それは誤読でありまして、この協定の満了の前——この協定の満了前に返すときにはということであります。第二条でしよつちゆう返す目的をもつて合衆国政府施設区域を検討すると約束しておりますので、協定の建前は絶えず返してもらうという考え方になつております。
  52. 鍛冶良作

    鍛冶委員 要するに日本国政府は第三者の義務を負担することになるわけです。このよし悪しは別として、はなはだ異例なことを申し上げるよりほかはない。そこで、それならば日本国がそういう第三者の義務を負担するということについては、特別の立法なり何なりがなかつたらさようなことは出て来ないと思いますが、これに対してどういうことをされるものであろうか、またどんなところまで進んでおりますかを承りたいと存じます。
  53. 林修三

    林政府委員 これは御承知の通りに、占領中の向う側の接収しております施設につきましての返還の際にも、やはり同じような問題があるわけであります。これにつきましては、ただいまのところ、大体予算措置によつて補償が行われていると存じております。但し将来につきまして予算措置だけで行かないということもあろう、こういう点について、必要があればどの程度の補償をいたすかにつきまして、これはもちろん民法なり何かの一般手続によつて補償すると思いますけれども、そういう場合に——もちろんつけ加えた施設等による利益の問題もありましようけれども、そういう問題もございますので、あるいは立法を要するかもわからないと思います。あるいは立法をすることが原則であろうと思います。予算措置だけでできないこともないかとも存じておりますけれども、原則といたしましては立法を要するかと思います。
  54. 鍛冶良作

    鍛冶委員 今私の質問しておるのは民法の原則に特異なものである、特例を設けるものである、こういう考え方なんです。今あなたの御答弁を聞きますと、民法に基くと言う、私の見解が間違つておるということになるのだが、私は民法の原則にはこういうことはないと思うのです。
  55. 林修三

    林政府委員 私の申しました民法の原則という意味は、この場合に向う側に提供いたします契約が、日本側が間接的に提供いたしますれば日本政府が一応契約の当事者になる、あるいは使用権を設定する当事者になることも考えられます。そういう場合には、その施設の所有者との関係日本政府が契約上の責任を負うことになります。そういう場合には、大体日本の民法の原則によると思います。ただ向うに直接提供することがあるかないか、これは今後の折衝のぐあいであります。かりにあるといたしました場合でも、その場合に日本政府としてはいわゆる借主としての立場で、もちろんそういう意味を、日本政府が借主に立つたものと仮定した場合における民法上のものとして申し上げたのです。
  56. 鍛冶良作

    鍛冶委員 日本国政府が賃借人になつている場合は、これはいいかもしれません。実際において使用しておる者が責任を負わぬというのですから、だれが負うかということになれば、これは特別の場合で、どうあつても私は何かの手続をやらなければいかぬものと思います。さしつかえない場合はやらぬでもいいとおつしやるのは、それは当然なことです。さしつかえある場合があると思うからどうするかというのでありまして、そんなことではいかぬと思う。もつと明確に研究して、ぜひとも明瞭にしてもらわなければ困る。これは国民に対して非常に不安を与えるものだと思います。
  57. 林修三

    林政府委員 ただ現状は、御承知の通りにみな間接的な提供になつておりまして、日本政府が借りまして向うに提供する。従つてそれの補償問題は、大体契約者の責任になつて来ると思うのですが、実際は予算措置で大体まかなつているわけでございます。将来の問題といたしましてこの提供がそういう方式をとる、あるいはかりに直接に向う側と所有者と契約を結ぶ場合があるかないか存じませんが、かりにありといたしますれば、日本政府がその財産管理者として補償義務を負担するということになればもちろん立法問題になります。
  58. 鍛冶良作

    鍛冶委員 私は言いますが、日本政府が賃借人になつておりましても、これは明白にしておかなければいけません。皆がどんなに不安がつているかわかりません。こんな規定があつても、必ずだれかが補償するのだ。このことは国民に対して宣言せらるべき必要があるものと私は深く信じます。これは十分御注意を願いたいと思います。  それから第四条の第三項に「前記の規定は、合衆国日本国との特別取極に基いて行う建設には適用しない。」とあるが、この「特別取極」というのはどういうことをいうのか。適用しなかつたらどういうことになるのか。この点は非常に不明確です。どういうことを特別取極でやられる予想であるか。それによつて適用がないということになれば、何もかも特別取極ということになりますと、今まで私が不安に思い質問したこともみな水泡に帰してしまうので、この点を明確にしていただきたい。
  59. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 第三項で主として見ておりますのは、合衆国予算をもつて来て、日本国内でみずから工作物を製作する、これが相当大きな場合、相当多額の予算を必要とするものについては、その不要になつたとき、その建物をどうするかということは、その場合々々に政府間で話合いをしてきめる、こういうわけでございます。
  60. 鍛冶良作

    鍛冶委員 そうすると、今の御説明によると、第二項の特例だけのようですが、第一項の特例にもなるのじやありませんか。
  61. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 一項、二項ともに全然違つたとりきめというのではなしに、そのときの話合いできめるということです。
  62. 鍛冶良作

    鍛冶委員 そうしますと、今私が言つたように、一項、二項で日本政府で明瞭にしてもらいたいとやかましく言つて国民に不安のないようにやつてもらいたいと申し上げましても、第三項を適用されるとどうなるか、こうなるか一向見当がつかないようになりますが、この点はどうなんですか。
  63. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 第三項は日本国民には直接関係のない事柄でありまして、合衆国が自分の予算から支出した金で日本で建物をつくつた、その建物をどうするか、これはその場合に……(「敷地はどうするのか」と呼ぶ者あり)これは建物だけの話です。敷地は関係ございません。それで建物をどうするかということは、その場合々々に話合いできめて行く、こういうことでございます。
  64. 鍛冶良作

    鍛冶委員 今お話がありましたように、なるほど建物だけならばよろしいが、敷地に関係がないと明瞭に承つてよろしいんですか。
  65. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 四条に定める一項、二項の規定を適用しないというのは建設物だけについてでありますと、こう申し上げたわけであります。
  66. 鍛冶良作

    鍛冶委員 次に第五条の第一項の「合衆国及び合衆国以外の国の船舶及び航空機で、合衆国によつて合衆国のために又は合衆国の管理の下に公の目的で運航されるものは、」云々というのですが、これも公の目的であるか、目的でないかということは、どういう標準できめられるのでありましようか。
  67. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 そこで言いますのは、具体的に申しますと裸用船のもの、航海用船のもの、それから期間用船のものを指すのでございまして、たとえば一部用船の場合は含まれておりません。従つて今申し上げたように、全船用船、定期用船、それから航海用船という場合には、明らかに概念的に合衆国政府の管理のもとに航海されるということがすぐわかるようになつておりますので、第三者の商品とか、いわゆる一般の貨物ないしは一般の旅客というものは乗り得ない性質の用船形式でございますから、海事専門家から見れば一目瞭然にわかるそうでございます。
  68. 鍛冶良作

    鍛冶委員 これは日本において公の目的であるとか、公の目的でないとかいうことを調べ得るのでありまするか。それとも先ほど言つたように、向うからこれは公の目的であるといつて何か表示でもせられたり、もしくは通知でもせられれば、それに従うべきものなんでしようか。
  69. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 むろん一応は合衆国政府の公式の通報であれば、そのまま受取ることが国際信義の問題でございましよう。しかしかりにはなはだ疑わしいというような場合には、日本政府としては事実を確かめるために話し合うことは少しもさしつかえないと存じます。これは外交上の常道でございます。
  70. 鍛冶良作

    鍛冶委員 次に第六条第一項の一番あとに書いてある「相互の取極によつて定める。」こうなつておりまするが、これはどういう機関によつてかようなことのとりきめをなさる考えでございますか。
  71. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 第二十六条の合同委員会規定にありますように、下部組織を設ける。現に作業班作業に当るにつきましても、十数箇の小班にわかれて作業をいたしておりまする現状でございまするが、合同委員会における下部組織において、当該事項を管轄しておりまするわが方の政務部局の専門家と、先方の当該事項を担任する専門家との間の話合いで、具体的な取扱い方をきめる、こういうことになるのかと考えております。
  72. 鍛冶良作

    鍛冶委員 そうすると、これはすべて合同委員会できまるものだ、かように解釈してよろしゆうございますか。
  73. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 大体合同委員会を通じて協議して話をする、こういうことになつております。
  74. 鍛冶良作

    鍛冶委員 そうすると特別の外交交渉、こうなるわけでありますか。
  75. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 特別の外交交渉を必要とするような性質の問題ではないと考えております。きわめて技術的な事柄であります。
  76. 鍛冶良作

    鍛冶委員 合同委員会できまるというのならそれでよろしいが、合同委員会を通じてきまる、こうおつしやるが、何によつてきまるかわからないのですか。
  77. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 合同委員会は正確に言いますると、二十六条をごらんになればおわかりになりますように、協議の機関でございます。合同委員会の当該下部機構でお互いに話合いをして、そこで意見が一致すれば、それはそのあと政府で、それでよろしいということがあつて、初めて実施でき得る形になるわけでございまして、合同委員会それ自体に決定権があるというのは、主として施設及び区域の場合はそうなりますが、委員会それ自身は協議機関という性格のものでございます。
  78. 鍛冶良作

    鍛冶委員 第七条ですが、これは非常に重大な規定のようでありまするが、私頭が悪いのかよくわかりません。これは短かい条文でありまするがゆえに、条文全体の筋を詳細に承りたいと思います。
  79. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 この規定趣旨は一言にして申し上げれば、安全保障条約のもとで日本にいる合衆国軍隊は公共事業、公共役務、たとえば鉄道、電気、ガス、水道または街路の清掃業務といいましようか、そういうものについては日本の省、庁と同じ立場で利用することができる。最後の優先の点は、もし日本政府機関が一般国民よりも優先的に使い得ることを法制上認められたものがあるならば、それと同じ待遇を与えてほしい、こういう事柄でございます。
  80. 鍛冶良作

    鍛冶委員 公益事業といえば非常に広いものになりまするが、鉄道、電気、ガスその他一切のものを含むおつもりでありますか。それから公共の役務ということになりますと、どういうものを言うのでありましようか。しかもこれは「すべての」と書いてございますが、具体的には大体どういうものが含められることになるのですか。
  81. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 今申し上げましたように、鉄道、郵便、電信、電話、電気、ガス、水道がそれから市町村の役場でやつておりまする清掃業務、こういう問題であります。
  82. 鍛冶良作

    鍛冶委員 そうすると、これは日本にいろいろありますが、政府であるがゆえに国有財産には料金を払わずに使つておる。それからいろいろなことで政府の特権をもつて——特権と言つては悪いかもしれぬが、政府なるがゆえをもつて特に免除されておるようなものがずいぶんあると思いまするが、それと同じことにやれ、こういうことに書いてあるわけでございますか。
  83. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 私の了解しておる範囲内では、これは公共事業、公益役務でございますから、今申されたような事柄は入らないわけであります。電気、電信、鉄道、郵便、ガス、水道などを日本の官庁が利用するにあたりまして、私の了解する限りにおきましては、一般料率に従つて料金を払つておると了解いたしております。日本政府としては、日本の各官庁と同じ待遇をアメリカ合衆国軍隊に与えれば、その条文関係義務は果したことになるわけであります。
  84. 鍛冶良作

    鍛冶委員 あたりまえの料金を払つておるのなら、それは何もかわつたことはないので、規定通り払えばいいのであつて政府が特権を持つているものはそのまま特権を与えろということだと思いますが、それにいたしましても、実際に当つた場合はどういうことになるのです。これはアメリカ軍隊であるとこう言えば、すべて日本政府と同様に相手方にやる義務があるのですか。それとも何かこちらから申し込んで、これを同様に取扱つてもらいたいというようなことでやるものですか、その点どういうことになりますか。
  85. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 こういうふうな役務は、駐留軍が日本にいて日常生活をする上において必ず必要なものでありまして、汽車に乗る場合は日本の汽車に乗らざるを得ない。水道を使うのにはその駐在地の水道を使わざるを得ない。ガスは日本のガス会社が経営しておるガスを使わざるを得ないということになります。そういう場合に料金の点については、日本政府が納めるのと同じ料金を納めろ、こういうことであります。
  86. 鍛冶良作

    鍛冶委員 もつと具体的に聞きましよう。この趣旨は、政府がこの義務を負うのですか、公共事業自体が政府と同様に取扱う義務を負うという規定なんですか。
  87. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 たとえば水道を例にとつてみたいと思うのですが、水道経営者の立場から言えば、もし日本政府に優先的に何か使わせているというような事実があるならば、その優先権を先方から要請があつたら優先さしてもらわなければいかぬ、こういうことになるわけであります。主として判断の基準は鉄道、電気、郵便、ガス、水道などが今日日本政府に対してどういうふうな条件でサービスを提供しているかということが問題になるわけであります。それと同じ条件合衆国軍隊に対しては与えればよろしい、こういうことです。現在各種の業務が、日本政府の官庁に対する業務の提供について何か特殊の優遇条件を与えているかどうかということは存じません。また交渉中もそれを確かめるだけの時間余裕がございませんでした。
  88. 鍛冶良作

    鍛冶委員 私の言うのはこれに基く「優先権を享有する権利を有する。」とありますが、この権利の相手方は政府なのか、公益事業なのですかというのです。
  89. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 優先権は日本政府が優先権を持つている場合には、同じ優先権を合衆国軍隊に与えるという趣旨なんです。それですから、御疑念がございましたならば、一々当該の事業につきまして、ガス会社ならガス会社、電話なら電話の方で郵政省において政府に対するものには特別な条件がもしあるならば、合衆国軍隊に対しても政府と同じ待遇をしてほしい、こういうことでございます。
  90. 林修三

    林政府委員 多少補足して申し上げれば、公益事業なり、公共事業で政府が使います場合と、そうでない場合、たとえば料金をきめている、そういう場合には政府の料金によるというようなことを必要がありますれば、あるいはそれをはつきりさせる。日本国内法上はつきりさせる、こういうことであろうと思います。
  91. 鍛冶良作

    鍛冶委員 この条文日本国政府となんですから、政府とやつたからといつて民間の公共事業は当然縛られるものじやないと思いますが、それを聞いているのです。今ちよつと言われたがもしそういうことであつたら、特に公共事業等に義務を負わせるなら負わせるという、何らかの措置が必要だろうという点を聞いているのです。
  92. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 その点は林局長から御答弁のあつた通りと思います。もし公共業務について日本の官庁に対して特殊の条件が与えられ得るならば、同様な条件を当該事業が合衆国軍隊の要請に応じて与えさせるように国内措置、そのためにあるいは立法措置も必要だろうと思いますが、そういうことであろう、かように考えます。
  93. 鍛冶良作

    鍛冶委員 これは西村条約局長にあまりこまかいことを申し上げるのは無理かもしれませんが、ですから、佐藤法制意見長官に来てもらいたかつたのですが、これはそんな簡單なことで納まるものではないと思います。これは十分に検討されているかどうか、法制意見局なんかでどう考えておられるか、ひとつ伺いたいと思います。
  94. 林修三

    林政府委員 もちろんこれは交渉の経過において日本政府の各当局も研究しておつたはずでございます。ここで問題になるのは法律上そういう優先条件を与えている。法律上あるいは安い料金にしているという場合であります。実際上の取扱いはこれは問題にならないと思います。法律上そういう特別な料金をきめておるものがあれば、それと大体同じように扱う、こういうことだと思います。御承知のように法律上そういうことをしなければならないという規定はございません。電気通信等につきましては、多少そういうものがございます。
  95. 鍛冶良作

    鍛冶委員 いやしくも法務府でそんな答えでは困る。もちろん同じものがあればこんなものはいらない。特別なものがあるからこういうものが出ておる。そこで特別なものがあつたら特別な取扱いをせいということです。ところがこの義務を負うたものは日本政府だと思う。政府が負うたからといつて、公共企業体がただちに負うという理論は成り立たぬ。それを公共企業体にやらせるときには、どういう方法でおやらせになるか、これを聞いておるのですよ。
  96. 林修三

    林政府委員 その点は先ほどから申し上げましたように、そういうものがあれば、国内的の法律上の措置がいると思います。この協定はおそらく一々そういうことに具体的に当つたわけではなく、将来の問題もあると思います。将来そういうことが、日本国内におきまして官庁用のものとしからざるものの料金を区別するということがあれば、その待遇もまた均霑する、こういう趣旨も表わしておると思います。ただいま申し上げましたように、電気通信業務につきましては、政府とそれ以外のものを多少区別しておる例はございます。そのほかにはほとんどございませんか。
  97. 鍛冶良作

    鍛冶委員 今言われた電気通信事業なんかはどうしておやりになるつもりなんですか。そういう一種の義務を負わせるのですが、それをどうしておやりになるつもりなんですかというのが私の質問のポイントです。
  98. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 具体的な問題でございますので、私から御説明申し上げておきます。第七条を交渉いたしましたときに、偶然のことから日本の電話については警察だけが特殊に低い料率で納めておるという事実があることを発見いたしたわけであります。その点は相当むずかしい議論をいたしたのでございます。それは主義の問題だけでなくて、実は来年度の予算はすでに編成を終えておりまして、六百五十億でございましたか何かの中には、すでにその電話料金も含めてありまして、その電話料金の起算の基礎は、特別に警察に与えてある低率にはよらないで、普通の官庁並の基礎において計算されてあつたわけであります。来年度の予算については、ただいま官庁の中に必ずしも条件が同じくない場合がある。たとえば今申しました電話のような、ある場合には先方としては少くとも警察予備隊に日本政府が与える程度の条件を与えられることを希望するという強い意見がありまして、それを議事録にとどめたような次第でございます。私どももこの条で話をしておるときにできる限り現状を明らかにしようとしましたが、その一点だけが気についた次第でございまして、民間の事業に非常に影響のあります鉄道とか電気、ガス、水道などについてはちよつと思い当るところはございませんでした。ちよつと御報告申し上げておきます。
  99. 鍛冶良作

    鍛冶委員 今の場合でも、やはりあなた方の方、政府との間だけで合点しておられても、公共企業体が知らなくちやどうにもならぬ。公共企業体に、警察の料金でやるのだ、そうじやない、ほかの官庁の料金でやるのだ、こういうことは何かの手続をしなければできはしないし、また相手方を拘束する場合にもそんな簡單なものではないと思う。これらに対しては相当の準備がなくちやならぬと思うのです。どうも私は法務府の答弁としてそれだけの答弁ではまことに心もとないのですが、これは十分ひとつ万全の策を講じて、なさなければならぬものだけはやつてもらうこどを希望しておきます。それ以上はあまり長くなりますから……。  次に第九条の第二項でありますが、「軍隊の構成員は、日本国の旅券及び査証に関する法令の適用から除外される。」これはあとに出て来ます身分証明書を持つておるからということになるのだろうと思いますが、その次の「合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族は、外国人の登録及び管理に関する日本国の法令の適用から除外される。」これを除外するということはわかるのでありますが、どういうわけで除外されるのか、その法理がわからないのです。それともう一つ、これは施設内におれば問題ないと思います。施設外ももちろんこれは含むのだと思いますが、これらに対してはどういう御見解から出たものであるか、承つておきたいと思います。
  100. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 安保条約に基きまして、この協定条件従つて日本に滞在します合衆国軍隊の軍人、軍属、家族につきましては、一般在留外国人とは特殊の待遇を与えるのが妥当な地位にあるものと認めました結果、一般在留外国人を目的といたしまする外国人登録及び在留外国人の管理に関する日本の法令を直接適用しないで済むということにした次第でございます。
  101. 鍛冶良作

    鍛冶委員 これはあとで聞きます裁判権の問題になりまするが、司法権でさえ除外されるからこれくらいのことは当然だと言われれば当然かもしれませんが、これは要するに行政上のことが多いと思います。かようなことになりますと、これは不便がなかろうかと思いますが、さようなことは研究中さしつかえないという御確信を得られましたのですか。
  102. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 大多数のこれらの人々は、施設または区域内に起臥いたしまして、ただ家族を持つたごく少数の人があるいは施設区域外において住所を持つということも考えられますが、それはきわめて例外的のことであろうと存じます。従つてこの人たちは大体集団的に生活をする関係にありますので、その内部の事項は、合衆国軍隊内における統卒、取締りその他に信頼を置いてよかろう、こう考える次第でございます。なおまたこの軍属なり家族なりにつきましても、何も持つていなくていいというのではなくて、必ず身分証明書というものを持つていてそうして日本の官憲その他があつたときに、身分を明らかに証明するためにそれらを提示させるような仕組みになつておりますので、大した御懸念のような不便は生じないと考えております。
  103. 佐瀬昌三

    佐瀬委員長 ちよつと速記をとめて。     〔速記中止〕
  104. 佐瀬昌三

    佐瀬委員長 速記を始めて。本日はこの程度にとどめ、次の会議日は三月十八日午前十一時といたします。本日はこれにて散会いたします。     午後四時二十五分散会