○
加藤(充)
委員 関連して……。これは今
鍛冶委員の
質疑、
政府委員の応答が期せずして笑いのうちに終
つてしま
つたようなことに
なつたが、しかしこれは笑いごとじやない。それでこれの存続は困るし、さりとて廃止もまた困る。そうなると、結局この
法律は無用の飾り物になる。しかも
鍛冶委員が指摘したように、無用の飾り物だけで終ればまだいいのですが、無用の飾り物を伝家の宝刀にして、抜けば玉散るというようなことにな
つて、ここに警察やあるいは役人の腐敗が出て来る、こういう形になると思う。これについては、なかなか対象になる
現象が根絶するわけには行かないのだということが指摘されました。もちろんその
通りでありまするし、その
現象の根源たるや深く広いものがあると思うのであります。しかし私は、ただ問題がしかく簡單でないというだけで、お茶を濁して行くというようなやり方では、卑怯だと思うのです。今日本に、いわゆるパンパンが跋扈している根本の
理由は占領軍の敗戰後の駐屯と、それから同時にまた講和条約締結後の
行政協定等々によりまして、占領軍が駐留軍に名をかえて、今後無期限に駐留を続けるということ、ここに大きな時代的な、歴史的なパンパンの発生の根本の原因があると思うのであります。ごく俗な言葉で言えば、占領軍人ないしは駐留軍人の生理的必要を充足させなければならないという、日本の国家、民族が置かれたまことに屈辱的な立場が、このネセサリー・イーヴルというようなことに解消されて、この売笑、売淫の問題が存続されてしまうということは、まことに遺憾だと思うのです。もう
一つその反面の原因といたしましては、根本的に言いますれば、低賃金低米価ということに質的に表現されるような日本の大衆の生活安定の施策が怠られておるというよりも、それを無視して行かなければならない強制を受けており、その強制に甘んじて日本の
政府が迎合しておる、これが大きな原因だと思う。低賃金で生理年齢に達しましても妻帯をすることができない、こういうような政治が強行されており、させられておる。しかも反面には先ほど申し上げました原因で村の子女あるいは大
部分の日本の子女は、経済的な
理由もあ
つて結局人身御供にささげられたような形でパンパンにかり出されて行く。私はこの問題が原因なのだと思うのでありまして、再軍備をやめて占領軍の撤退をや
つて行く、その基礎になる
行政協定の廃棄というような政治の
方向が打出さなければ、これは依然として飾り物である。あるいはそれは痛しかゆしな問題であるというだけで根本的な解決を先に延ばすという卑怯な態度が出て来る。笑いごとではないと思うのであります。私はここで一例を申し上げたいのですが、これは決して笑いごとじやございません。ことしの三月ころのある新聞に次のような記中が出ていたのです。その前書きに、中国のことをほめて話をすると喜ばれないのだが、
実情か話すことになれば当然そういうことになるのです。だから名前は出さないでほしいというようなことがあ
つて、次のような記事が続けられております。私は昨年の暮れに上海から帰りました。これがあの上海の話ですよ。信じられますか。ところがまつだくほんとうなのです。何しろ晝間の外出でも夜寝るときでも戸締りなどはいらないのです。それから一昨年はかやをつりましたが、昨年の夏はかやをつらなくても蚊は一匹もいませんでした。そんDDT——なものじやない。町が清潔に
なつたからですよ。こういう話があ
つたのであります。それで私は今申し上げたような前提に立
つて、なかなかやめられないその原因は深く広いものがあるというだけでは、あなたの方の答弁は私の見るところでは無責任な答弁だと思います。それで今少しどういうところに最近のいわゆる売笑婦の問題の根本的な歴史的な社会的な原因があるか。このパンパン問題の歴史的、社会的な当面の意義づけというものはどこにあると考えて、その対策をお考えにな
つておるのか、この点を少し明確に具体的にお示しを願いたいと思うのであります。