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1952-02-06 第13回国会 衆議院 法務委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年二月六日(水曜日)     午前十一時四十二分開議  出席委員    委員長 佐瀬 昌三君    理事 押谷 富三君 理事 北川 定務君    理事 田嶋 好文君 理事 田万 廣文君       安部 俊吾君    鍛冶 良作君       高橋 英吉君    牧野 寛索君       眞鍋  勝君    吉田  安君       田中 堯平君    加藤  充君  出席政府委員         国家地方警察本         部警視長         (警備部長)  柏村 信雄君         法務政務次官  龍野喜一郎君         法制意見長官  佐藤 達夫君         検     事         (法務検務局         長)      岡原 昌男君         検     事         (法務特別審         査局長)    吉河 光貞君  委員外出席者         専  門  員 村  教三君         専  門  員 小木 貞一君 二月五日  委員金原舜二君近藤鶴代君及び高橋權六君辞任  につき、その補欠として山口好一君、古島義英  君及び眞鍋勝君が議長の指名で委員に選任され  た。     ————————————— 二月五日  国の利害関係のある訴訟についての法務総裁  の権限等に関する法律の一部を改正する法律案  (内閣提出第二八号)(予) の審査を本委員会に付託された。 本日の会議に付した事件  国の利害関係のある訴訟についての法務総裁  の権限等に関する法律の一部を改正する法律案  (内閣提出第二八号)(予)  検察行政及びこれと関連する国内治安に関する  件     —————————————
  2. 佐瀬昌三

    佐瀬委員長 これより会議を開きます。  検察行政及びこれに関連する国内治安に関する件、すなわち警察官射殺事件その他について、委員田嶋好文君より発言の通告がありますので、これを許します。田嶋好文君。
  3. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 本日国警部長さん並びに法務府の関係長官局長の御出席を得ておるのでございます。最近治安に関連いたしまして、警察官に対する暴行傷害等事件が続出いたしております。この現状にかんがみまして、この真相をお尋ねいたし、これに基いて、国会といたしましても、これらに対する対策を立てようといたすものであります。昨年の十二月を契機といたしまして、いろいろ全国的に警察官に対する暴行傷害事件が続出いたしておるのでありますが、これらの行為を、今まで国警に入りましたおわかりになつておる範囲においてお答えを願いたいと思います。  なおこれらの件は、新聞紙上報道によりますと、いずれも背後関係を持つ団体がある。この団体名前といたしまして、日共というような言葉がちらほら出るのであります。これはまことに共産党に対しても御迷惑なことでございますので、この点をはつきりいたしておきますことは、われわれ国会にとりましても、公党として認められている共産党のためにも、私は必要なことだと考えるのであります。どうか詳しく御説明を願いたいと思います。
  4. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 田嶋委員の御質問に対してお答えを申し上げます。警察官に対しまする暴行事件についてのお尋ねでありますが、昨年の十二月中におきましては、自由労務者関係において集団暴行事件として約十件ほど起つた事実がございます。一月に入りまして以来は、現在のところ札幌に起りました白鳥警備課長射殺事件、その後帯広におきまする巡査に対する暴行事件、また最近長野県の南佐久郡で起りました暴行傷害事件、この程度でございます。  これにつきましてただいまお尋ね日本共産党との関係につきまして、新聞紙上にとかく大きく取上げられておりまするが、その背後団体として日本共産党がはたしてそれらをあやつつてつておるかどうかということにつきましては、現在までのところ確証を得ておらない次第であります。ただ日本共産党非合法機関誌と考えられまする「球根栽培法」という雑誌の中に、軍事活動の方針、軍事組織の基本問題を取上げておるという事実がございますが、これは日本共産党機関誌であるというふうに現在確認をいたすところまで至つておるわけではございません。なお白鳥事件の直後におきまして、日本共産党札幌地区委員会名前におきまして、あの白鳥警備課長射殺事件を是認するごとき文書がまかれたことは、これまた事実でございます。以上お答えを申し上げます。
  5. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 そこで今度は今年起りましたこれらの三件の警官に対する暴行傷害事件内容について、少しつつ込んでお聞きをいたしたいのであります。白鳥事件に対しましては、衆議院よりも現在調査団が派遣されておりまするので、いずれその結果は国会において発表せられることと思うのでありますが、この委員会はわが法務委員会とは多少目的を異にした委員会でございますので、法務委員会として一言白鳥事件についてなおお尋ねいたしておきたいと思います。  この白鳥事件は、白鳥警備課長射殺後、そうしたビラがまかれたということだけのお答えでございますが、新聞紙上では、捜査の線につきまして、日本共産党党員であるという人たち、これを対象にして捜査が行われているようでございますが、この捜査の点について、秘密にわたる点はもちろんこれはお答え願うことはできないのでございますが、明らかに願える範囲で、ひとつもう少し現在の捜査段階捜査方向等についてお答え願いたいと思います。
  6. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 先ほどお答えのうちで、ちよつと字句の間違いがございましたので、訂正さしていただきます。札幌地区委員会と申し上げましたが、これは札幌委員会でございます。ただいまの白鳥事件捜査の過程につきましては、現在鋭意捜査中でございまして、詳細申し上げる段階に至つておりませんが、この犯人党員であるかどうかということにつきましても、まだ明確にはいたされておらないのであります。およそ捜査にあたりましては、あらゆる角度から考えられまする問題をすべて追究いたしまして、合理的に、科学的にこれを判断する必要があると思うのでありまして、非常に容疑の濃いというものにつきましてのみ捜査を進めるということは、やはり捜査の堅実な道ではない。もちろん現在の段階において、共産党員であるということが断言できないと同時に、これでないということも断言できないような状況でございます。
  7. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 先ほどお答えの中で「球根栽培法」、これは共産党機関誌ではないということを言われました。私たちは「球根栽培法」というのは「アカハタ発刊停止後の共産党機関誌の一部だと見ておるのでございますが、その「球根栽培法」によりますと、警察工作の立遅れを克服せよ、悪質な警察官は徹底的にマークしてたたけというようなことが「球根栽培法」に書かれてあり、これを各地区細胞にまわした形跡すらあるということなんでございますが、これらをもつていたしますと、私たちは、昨年十二月を契機として起りました一連の警察官に対する暴行事件傷害事件というものは、やはりこうした背後関係につながるものである、こう考えるのでありますが、これに対していかようにお考えになつておりましようか。この点、警備部長お答えいただくと同時に、特審局長がお見えのようでございますから、お二人からひとつお答えを願いたいのであります。
  8. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 「球根栽培法」についてのお尋ねでございますが、先ほど私がお答え申しましたのは、日本共産党非合法機関誌と目せられるということを申し上げましたので、そういう疑いは多分にあるという意味で申し上げたのでありまするが、現段階においてこれが確実にそうである、平たく申しますれば、裁判上の問題として、そうであるということをわれわれが主張し得るまでの証拠を持つていないという程度のものであります。十一月十四日に発刊停止処分になりました「内外評論」というものと通巻番号によりまして、十一月一日から「球根栽培法」第三十号として出されておるわけでありまして、ただいままで、私の聞いておる範囲では、三十三号くらいまで出ておるようであります。この中におきまして、ただいま御指摘のように、三十二号の中でありまするが、第一に予備隊工作の当面の重点、第二に警察工作の立遅れを克服するために、というような論文が掲載されておりまして、この中に対警工作として、警察フアツシヨ化工作の誤りと当面の重点というような二項目をあげておるのであります。そこで内容的には、警察官をして国民大衆の包囲の中にさらし、監視下に置かなければならない、いかなる小さな弾圧にも徹底的に攻撃し、攻撃闘争を執拗に加えるとともに、敵を実際に撃破するために行動を準備しなければならない、さらに守勢に立つていることは、専任工作隊独自的工作活動が軽視され、いまだにその編成さえできていないということからも指摘できる点である、また悪質売国分子に対する徹底的な攻撃を組織して行くことがきわめて重要であり、欠くことのできないものになつている等の内容が載せられておりまして、これによりましても、警察に対する実力的攻撃を強調しているものと見られるのであります。
  9. 吉河光貞

    吉河政府委員 ただいま国警の柏村警備部長から大体詳細お答えしたので、私の方からさらにこれを蛇足する必要がないのではなかろうかと考えるのでありますが、なお簡單に一言申し上げます。  ただいま柏村部長がお述べになつた球根栽培法」というのは、ただいまここに持参しました写真の通り文書であります。これは三十二号となつておりまして、その内容につきまして柏村部長から一端を御披露したのでありますが、なお私から蛇足して申し上げますと、こういう記事が書いてあります。だがそれをさらに前進させ、徹底化するためには、警官の一人々々を居住地において各個に撃破して行くことである。平和を守り、自由を要求する国民統一戰線の前進の中で、家庭における警官を包囲し、彼らをして番犬であることにいたたまれなきまでに追い込んで行く意識的、計画的、大衆的工作が重要である。売国悪質警官居住地攻撃し成功している例は多い。東京王子署滝刑事に対する攻撃は、彼がもはやそこでは活動できないまでに追究しているのである。滝追究ビラ居住地周辺を埋め尽し、朝鮮人少年のかけ足デモは、連日早朝繰返され、売国奴滝の名が連呼されたのである。専任工作隊活動もこの中から開拓されている。無差別なビラ新聞の手渡しや交番工作は、労多くして功少く、いたずらに犠牲を生むだけである。東京某区では選挙人名簿から警官の住居をつきとめている。われわれがもし居住地における攻撃を怠れば、彼はその重点攻撃に転化し、国民をフアシストに売り渡すスパイ活動の部隊として活用し、彼らのよい休憩場所にするだけである。われわれは瞬時といえども彼らをして現在の地位に安んじさせてはならないのであり、攻撃に次ぐ攻撃でなければならないのである。言うまでもなく、それがわれわれと対峙する敵の武装力の手先であるからである。第二に、いかなる小さな弾圧にも徹底的に攻撃し、抗議闘争を執拗に加えるとともに、敵を実際に撃破するために、行動を準備しなければならぬのである。こういうような、きわめて暴力主義的な、破壊的煽動、宣伝の文書が載つておるのであります。これらの文書につきましては、ただいま柏村警備部長からもお話になりました通り、昨年十一月十四日、「内外評論」を「アカハタ」の同類紙として発刊停止処分をいたしました。なお引続き私どもといたしましては、これらの文書の発行、配布関係という方面につきましても、さらに調査を進めておるわけであります。これがただいま申し上げました通り、「アカハタ」の同類紙という認定のもとにいたしましたが、私どもはそれが日本共産党といかなる関連に立つかということについては、いまだ結論に達しておりません。鋭意調査中であります。最近にいたりまして、一部破壊分子の手によつて暗々裡にきわめて破壊的な暴力主義的行動を煽動するような文書が配布せられておるのでありまして、これはまさにその一例であります。これらの点につきましては、関係機関と緊密な連絡のもとに、鋭意調査を進めておるような状況であります。
  10. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 そこで今度はひとつ長野県の事件内容を聞きたいのでありますが、新聞報道でも明らかになつておりますように、また地警がそれを認めておりますように、今回長野県に起りました警官集団暴行事件というものは、国会でもときどき問題になりました長野県と群馬県の県境である。要するにわれわれから言わしめますと、共産活動に対する盲点とまで指摘できる地点に起つた事件のように考えるのであります。この事件新聞報道で一部知ることができるのでございますが、いかなる動機によつて発生し、いかなる暴行が行われ、現在いかようなる段階に達しているのか、これを今少しくお知らせを願いたいのであります。
  11. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 ただいまお尋ね長野県におきまする暴行事件についてお答えを申し上げたいと存じます。二月三日の午後十時三十分ごろの出来事でございますが、長野県の南佐久田口村におきまして、警察官不審尋問に対しまして、多数の暴徒がこれを取巻きまして、暴行を加えた事件が起つたのであります。詳細なる点は目下現地に対して照会をいたしておりますが、約十三名程度の者が警察官に対して暴行をいたしたと認められておるのであります。そのうち氏名のはつきりいたしました容疑者八名につきまして、令状を執行して逮捕いたしましたが、そのうち一人は容疑が薄いということでこれを釈放いたしております。目下これらについて取調べを進めておるような状況であります。暴行を受けました警察官は四人でありますが、そのうち二人はかなり重い傷を受けておるわけであります。一人はみけんに骨膜に達するほどの裂傷を受け、一人は鼻の部分、あごの部分を強打されまして、血みどろになつておつたというような状況で、そのほか倒れたところを踏んだりけつたりしたような痕跡も認められておるのであります。他の二人は軽傷だというふうに聞いております。
  12. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 八名の逮捕を見たということで、まことに喜ばしい次第でございますが、これらの逮捕された人間は職業的であるということが新聞報道されておりますが、党籍は持つておりましようか。どういうことになつておりますか、身分関係について……。
  13. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 報告によりますと、そのうち大部分党籍を持つておるとのことであります。
  14. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 党籍共産党でしようか、自由党籍でしようか。
  15. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 現地からの報告によりますと、共産党員であります。
  16. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 ことしの二月五日付の朝日新聞報道によりますと、集団暴行事件が起きました三日、日共田口村で秘密会議を開くという情報が入つた。そこで国警の本部の警備課では、県下一齊に特別警戒パトロールをするように指令した。そうしてこの事件はこうした警戒中に起きたのであるということが、この新聞報道されておりますが、こうした報道国警としていかように見ておりましようか。真実を報道したものでございましようか。新聞の推察によるものでございましようか。
  17. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 二月三日に祕密会合が行われるという情報があつて、これに対して非常警戒をしたという現地からの報告は、確認いたしておりません。
  18. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 この集団暴行を受けました二名の警察官、これは普通の巡視に当つてつたものでありましようか、何か特殊な任務を帯びた警戒にでも当つてつたものでありましようか。
  19. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 これらの警察官は、私のただいままで受けておる報告によりましては、特別の任務というふうには聞いておりません。
  20. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 これも新聞報道でございます、また私たちも多少根拠をつかんでおる点もあるのでございますが、問題の田口村というのは、長野県下におきましても、共産党細胞の最も活発に活動をしておるところであります。しかも人数的においても党員が非常に多い、シンパの数も非常に多い。地下活動が非常に活発に行われておる。こういうようなことを同じく朝日新聞が二月の五日付で報道いたしておりますが、これらの点につきまして特審局長の御調査がありましたら、特審局長からひとつお答えを願いたいと思います。
  21. 吉河光貞

    吉河政府委員 ただいま御質問の点につきましては、資料を持参いたしませんので、詳細はお答えできません。いずれあらためて調査の上お答えしたいと思います。届出の党員が何名あるかというような点につきましては、正規の資料に基いてお答えするつもりであります。
  22. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 それでけつこうでございます。そこでもう一つ特審局長お尋ねをいたしますが、先ほど国警の柏村警備部長から十二月、一月に起りました警官に対する集団暴行事件報告を聞きましたが、特審関係関係すると思われます集団的な事件、これはずつと古いのはけつこうでございますが、最近起りました集団的のそうした事件、これはどういうふうなものがございましようか。それの詳細なる報告が得られますれば、まことにありがたいと思います。
  23. 吉河光貞

    吉河政府委員 最近起つた集団的な暴行事件ということにつきましては、自由労組関係、あるいは鮮人関係につきまして、約一年間の概況を集計したものがございますが、ただいま持参いたしませんので、後日提出したいと思います。実は特審関係についての集団暴行事件というお話がありました。これも狭く解釈いたしまして、特審職員集団暴行で負傷した事実があるかどうかというような意味に解釈いたしてお答えいたします。実は昨年八月十三日の夜、大阪市内におきまして、大阪平和友の会準備会主催の同会結成大会の流れが約三百名の団体行進なつて、七時三十分ごろ同市内桜橋交叉点付近を通行、そこにたまたま特審職員田島事務官が佇立して状況を視察しておつたのであります。ところがたちまちその中の男が出て参りまして、特審スパイだ、吉田の犬だ、しばらくして、特審田島だと、口々に叫んで、約二、三十名の者がこれを取巻いて、同事務官の胸ぐらをつかんで、なぐる、シヤツを破るというような状況でありまして、遂には相当な重傷を負わせるような状況がありました。かような事例もございました。
  24. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 私の特審関係と申し上げましたのは、狭義の意味であります。今お答え願つた点が私の質問の趣旨でございます。これは大阪だけでございましようか、その他にございましようか、この点承つておきたいと思います。
  25. 吉河光貞

    吉河政府委員 集団暴行事件は事案の重大なものはございませんが、軽微なものは従来しばしばありました。「アカハタ」の発刊停止、「アカハタ」の同類紙後継紙発刊停止処分等に際しましては、軽微な集団暴行事件はしばしば起きております。これはいずれ資料をそろえまして御報告したいと思います。
  26. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 私は本日法務府の方がおいでになつておられますから、法務関係も同様な意味お尋ねをいたしたい。昨年は松川事件に関連いたしまして、ああした脅迫状が盛んに出された。こういうようなものにおきまして、法務関係で全国的にどのような事件が起つておりましようか。もつと具体的に申しますと、思想裁判から起つた判事に対する脅迫恐喝、また検事に対する恐喝脅迫傷害というようなことであります。関係当局お答えを願います。
  27. 岡原昌男

    岡原政府委員 ただいま御質問の点でございますが、御承知の松川事件につきましては、第一審の裁判を担当いたしました長尾判事に対しまして、名古屋の自宅相当数脅迫状が参りました。なおこの判事に対しまして自宅の附近をいろいろな風体をした者が横行いたしまして、同判事の悪口を言うというふうな事件が頻発いたしましたけれども、この事件は幸い検察庁警察の密接な協力によりまして、犯人の一部を逮捕しまして、目下起訴公判中でございます。詳細の資料はきよう持つて参りませんので、具体的な事実内容は申し上げかねますが、その事件が一つございます。なお最近の事件といたしまして、大分西村検事自宅に一月の二十二日の夜十時三十分ごろでございますが、鶏卵大の石とともに、次のような脅迫文を木綿の布に包みまして、窓越しに投げ込んでガラスをこわして犯人が逃走した、かような事件が起りました。内容は「西村検事よ、米侵略者売国奴番犬として日本共産党弾圧するのか。今後も弾圧するなら命はないものと覚悟せよ。われわれは武装を完了しておるのだ。札幌警備課長は民族の反逆児として殺されたのだ」。かようなことが書いてありました。この事件目下大分の市警と検察庁協力捜査中でございますけれども、いまだ犯人検挙に至つておりません。  次は先ほど問題になりました例の白鳥課長とも関係があるものと思われるのでございますが、ちようどその直前、この札幌地検塩谷検事自宅に、各種の脅迫状が参りました。ちようど新年の年賀状に事寄せまして、たとえば「松川事件長尾みたいにお前も出世したいのか、ついでに天まで出世してしまえ、ことしは……」ちよつとこのへん文面がわかりませんが「遺言を書いてから、水さかずきをかわしておけ」というふうな年賀郵便が舞い込んだ。これが似たような文章で幾つか入つておりました。なお松川事件の第二審の判検事に対しましても同様な投書ないし脅迫状めいたものが舞い込んだというような報告も参つております。それらの点につきまして、いずれ詳細なる資料がありましたら、何かの機会にまた御参考までに申し上げたいと存じます。きようはとりあえず手元の材料だけにとどめておきます。
  28. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 それで警察特審関係検察関係のある程度の事情を知ることができたのでありますが、元に返りまして警察の問題にもう一点触れさせていただきます。  警察官に対する暴行事件新聞報道を見ますと、この結果には必ず警察官所持拳銃を奪いとる、要するに武器を奪いとる、こういう結果が現われ、報道されておるわけであります。これに対しまして国警としてはいかような観察を持ち、いかような処理をいたしておりましようか、これを最後に承つておきます。
  29. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 警察官に対する暴行事件に伴いまして拳銃が奪取された事例は若干あるのであります。これがいかなる意図によつてなされておるかということは、ここで私が確言申し上げる段階ではないと思いまするが、先ほど申し上げましたように凶悪なる犯罪が頻発をいたしまするし、そうしたものに使用する意図をもつて計画的に集められることがあるとするならば、これはゆゆしき大事であろうと思うのでありまして、警察官自身の修練、また警察のこれらに対する警備態勢というようなものにつきましては、今後とも十分に研究を重ねまして、正しい位置に強力に推進をいたして参りたいと思うのであります。  なお奪取されました拳銃については、今後におきましても鋭意捜査を続けて参りたいと考えております。
  30. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 いよいよ独立の時期も近づいて参つたのでございまして、われわれ国民は、独立後の国家に対しまして、こうした事件が頻繁に起るのを非常に心配すると同時に、また国民の力をもつてこうしたものは防がなければならないと思います。もちろん国民の代表であるところのわれわれ国会といたしましては、これに対する研究調査対策を十分に練つて行くべき義務を持つのであります。おそらく新聞報道されておりますように、治安立法というようなものも本国会にかかるものと考えますが、この治安立法につきましては、私たちはこうした面から十分な対策を講ずると同時に、また治安立法がこうしたことを利用することによつて行き過ぎに陥つてはならないという警戒心を持つものであります。治安立法全貌をいまだ知つていない国会議員といたしましては、この点に重大な関心を持つと同時に、一日も早くこの内容を知りたいものだと考える一人であります。きようは法務総裁の御出席を求めてあるのでございますが、いまだ法務総裁はお見えなつておりませんので、この全貌につきましては、法務総裁お答えをいずれ機会を見ていただくことにいたします。
  31. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 田嶋委員質問に関連して承りたいと思います。これは警察官でなく県の公務員だつたと思いますが、自由労組の問題に関連しまして脅迫状を受けまして、そのために正月になつて発狂いたしました。そこでこの脅迫したる者に対して暴行脅迫罪の嫌疑をもつて捜査に着手いたしまして十何名か検挙したと覚えております。その大部分共産党員であつたと覚えておりますが、この事件について報告がありましたら、これは国警でも検察庁でも特審でもよろしゆうございますから、知られる限りの御報告を願いたいと思います。
  32. 岡原昌男

    岡原政府委員 お尋ねのような自由労組の事件がたしか富山に発生したことは報告を受理しております。但しその詳細は、ただいま手元に持つて来ておりませんので、いずれ機会を改めまして答弁いたしたいと思います。
  33. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 現地から報告は受けておるようでありますが、現在資料を手元に持ち合せておりませんので、ちよつとお答えをいたしかねます。
  34. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 先ほど田嶋委員から質問しましたこと、それから今私の問いましたこと、これらはすべて今後の治安上において重大な関係があるものと思われます。これらのものを一つとりまとめて、どの方面からでもよろしゆうございますから、次の機会にこの委員会に明白にできるように御準備を願つて、詳細な報告を願いたいと思います。また事件が起つてまだ詳細な報告がなかつた報告をお取寄せを願つて、ぜひ願いたいと思います。さらにまたきよう質問しないものでもこれと同様な事件がございましたならば、まとめて御報告を願いたい。こういう希望を申し上げておきます。
  35. 押谷富三

    ○押谷委員 田嶋委員質問に関連をいたしまして二、三お尋ねをいたしたいと思いますが、白鳥事件背後関係は、警備部長お話ではまだはつきりいたさないようでありますが、衆議院の行政監察特別委員会から現地委員を派遣して調査をいたしておりますが、その調査員の報告の一部によりますと、この背後関係については大体共産党であるという一つの見通しを持つてつたようでありますが、それについて現地で十数名の新聞記者と調査団との間に会見をいたした際に、新聞記者としてこの背後関係をどう考えるかという質問に対して、記者の立場からはこれに意見を述べることはできないが、地元の住民の声を代弁するならばという前提のもとに、地元新聞で特に左派の新聞の記者が言つてつた言葉の中に、これははつきり共産党である、こう言つたようであります。そうしてその地元の住民の声を代弁したというこの言葉に、十数名の新聞記者はいずれも肯定をして、少しの異論もなかつたというのでありますが、地元におきましてはそういうような、背後関係共産党であるという(「まだ正式な報告が出ていないじやないか」)黙つて聞きなさい。そういうような空気にある。言いかえれば共産党背後におるんであるということは、公知の事実であるというような状況にあるかどうかをお尋ねいたしたいと思います。
  36. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、捜査の現段階におきましては、どちらであるとも申しかねるということなのであります。現地でいろいろの声もあることも捜査上の参考として当然に取入れて捜査を進めておることと考えております。
  37. 押谷富三

    ○押谷委員 さらに調査団の意見から私が知つた内容でありますが、そういうような地元の空気の中であるが、調査にあたつて、同じような共産党事件で、平の場合においては地元住民は非常に警察協力をしてくれたが、札幌においては協力をしてくれない。なぜしないかといえば、共産党の暴力破壊が非常に身近に迫つている。やがては北海道が共産党の勢力下に置かれる時期が来るであろう。そういうようなときにあとで復讐をされることを恐れるというような空気から、警察協力しないというようなことを聞いたのでありますが、さような事実はございますか。
  38. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 ただいまお話のような報告は私どもとしては受けておりません。
  39. 押谷富三

    ○押谷委員 これは北海道における共産党の破壊活動と関連を持つものでありますが、北海道におきましては、共産党員が経営をし、従業員が共産党員である鉱山、炭鉱などがあるのでありますが、この炭鉱に配給される火薬、ダイナマイトといつたようなものが、政府からどんどん出されておる。しかもそれは監督もなければ警戒もされておらない状況において、ダイナマイト、火薬が配給されておることを非常に危険視されておるのでありますが、これに対しどういうお考えをもつておられるか、お伺いしたいと思います。
  40. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 ただいまお尋ねの点は、むしろちよつと警察関係外の面が多いのではないかと思いますが、單に共産党員の経営するということで、現在の段階において、そういう配給を——これは私どもの所管ではございませんが、配給をしないということもならぬかと思います。ただそういう危険な薬品等が不法に使われるというようなおそれがある場合、またそうした事実の容疑があるような場合におきまして、初めて警察としてこれに対して手を打つ必要があるのではないかというふうに考えております。
  41. 押谷富三

    ○押谷委員 この鉱山等に使われる火薬、ダイナマイトにつきましては、配給関係はもちろん警察ではございませんが、そのものが破壊工作に使われるとなれば、治安上ゆゆしき問題でありまして、これは警察にも重大な関係を持つておるといわなければならぬと思うのであります。これがどういう方面に流れるかということによつて、破壊工作などがたいへんな結果を生むことになるのでありますから、特に御注意を願いたいと思います。  最後にひとつお尋ねいたしたいのは、白鳥事件、あるいは長野事件、その他全国各地において警察官に対するいろいろな暴行あるいは脅迫などがあるということは、すでに私どもも承知をし、御当局においても十分お知りのことでありますが、こういうような幾つかの事件は、何か一貫した関連性があるかないか、この点についての御意見を承りたいと思います。
  42. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 現在までのところ、個々のこうした事案についての関連性は確認いたしておりません。但し先ほど申しましたような「球根栽培法」に掲げられておりまするような事項が、ある組織的な活動の一環として行われるとすれば、将来多発するおそれも十分にあり得ることであろうと考えるわけであります。
  43. 加藤充

    ○加藤(充)委員 時間がありませんから、遠慮して簡單に二、三点だけの関連質問をいたします。平和を求めて、戰争には反対だというような言動や運動が、すべてあれは赤だ、あれは共産党だと言われて弾圧されている実情でありまするから、お調べは自由でありましようが、何でも共産党だというようなことに押しつけられることは、これは明らかなことで、常識であります。それこそ天下公知の事実である。田嶋君、鍛冶君、押谷君が日共と結びつけて、何らかの結論を結びつけようと努力しておつても、それは特に目新しい事実ではないのである。ですから重々お調べ相なつてしかるべきだと思うのですが、偏見を持ち、しかもその間違つた偏見のもとに捜査方針を立てられて、人的動員、財的な出費を重ねて行つて、ほんとうに赤い舌を出されているというような結論にならざるを得ぬことは、これは大きな意味での汚職の部類に属すべきであつて、そういう方針をめつたやたらに立てられまして、さつき申し上げましたように、人的動員をやり、国費を濫費する者の責任は、事の結果が明らかになつたときに、ひとしく国民と憲法に対して責任をとるべきであるという、明確な責任感のもとにおいて発言をしてもらいたいと思います。ここで思い出すのは、大阪の造幣局に起きた問題でありますが、終戰後間もなくある相当量の金塊が紛失したのであります。そしてあの当時労働組合が結成されましたときに、労働組合員のしわざであるということで、ほとんど全員にわたつて苛烈な取調べが、重罰と早期検挙という方針のもとに遂行されましたが、どろぼうしない者からは出ないのであります。結局連袂でやめてやるというようなことになつて、ついにその捜査は打切りになつたと聞くのでありますが、海の向うかこつちかは知りませんけれども、真犯人はおそらく赤い舌を出しておつたことだろうと思うし、そういうことを意識しながら、日本人に対して罪名を着せて、そして金塊をどろぼうしたというような汚職の被疑を立てるということは、日本人の根性前からして、われわれは真剣な責任を持たなければならない。日本人やせたりといえども、破れたりといえども、われわれは断じて大国民であり、八千四百万の大民族であります。われわれはそういうことで、何でも共産党である、日本人の一部がやつたというようなことで卑下する必要は断じてない。そういう卑下した捜査方針を立てるものこそが、屈辱的な売国的な根性であるとわれわれが指摘しても弁解の言葉はないだろうと思います。大阪造幣局の事件を今思い出すのでありますが、おそらく白鳥事件などについても、われわれはもつと根本的な調査を、科学的に合理的に日本人らしい根性を忘れずにやつていただきたい。このことを申しておきます。  それから長野県の事件ですが、きようの朝日を見ますと、「長野県下の警官に対する集団暴行事件について、国警東京管区本部は五日各県隊長を招集、金谷長野県本部隊長から実情を聞いたが、同隊長は次のように報告した。一、計画的であつたかどうかはもう少し捜査しなければわからぬ。二、対警察工作の表面的な動きはなかつたが、底流は認められた。」というようなことなのでありまして、この結論から見れば、今田嶋君その他御一連の方々がここを先途と発言したこととほとんど遠いものであつて、こういうようなことから、今の段階において、共産党と結びつけて、きわめて疑義が多いような考え方を自由党の連中が持つているとするならば、警察の正確な報告に基いて、それを早まつたものであるという気持がいたすかどうか、その点をまず承りたいと思います。
  44. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 ただいま平和とかいうことだけで弾圧をしておるというお話でありますが、そういうことは絶対にございません。また捜査方針についてある一つの色めがねをもつて見るようなことはけしからぬというお話でありましたが、この点につきましても、先ほど申し上げましたように、考えられるあらゆる方向を十分に合理的に科学的に捜査を進めなければならないということを申し上げたわけでありまして、警察当局といたしましては、そういう御指摘のような考えは持つておりません。
  45. 加藤充

    ○加藤(充)委員 これは先ほど警察官に対する暴行事件などでも、練馬の巡査殺しなども、少くとも当初は背後関係日共等があり、自由労組があり、そして思想的な底流を持つた殺害事件として、しかも警察に与えた打撃として、重大な意味合いを持つ治安対策上ということから、真剣にずいぶん新聞あたりでも報道されていたと思うのでありますが、最近の新聞論調は、まだ結論ではありませんけれども、あそこらのパンパンと関連のある私情的なものだというふうに捜査方針がかえられて行つたかのごとく報ぜられていると思うのであります。私どもは真相をどんどんお調べになるのはいいが、さつき言つたように、それを日共と結びつけるのは迷惑しごくだと言いました。それで警察暴行事件といつても、私は次に警官が人民、国民に対して暴行を働いた警官暴行事件というものが白鳥事件の直後、しかも北海道で行われ、しかもそれは社会党の支部の責任者に行われた弾圧暴行事件であるという情報を入手しておりますので、お尋ねしたいと思うのであります。それは一月十二日の午後二時ころ社会党根室副支部長の池田清五郎氏のところに私服六名が来て、石川某に対する政令三百二十五号違反容疑として、同氏の留守中に部落会事務用品、同窓会の通信、社会党機関紙などを持ち去り、あとで調べてみたところが、戰死した長男の形見の勲章までが紛失していたという事件であります。これに対して、池田君は、憲法には令状に書いてあるものしか押収できないとある。しかも顔も知らぬ石川某の政令違反で家宅捜索をし、子女を脅迫し、何ら関係なき事務用品を盗み出すとは何事だ。さらに政令三百二十五号とは一体何たることか。これこそ重税で国民を苦しめ、戰争の暗雲をただよわせる吉田政府の日本社会党に対する弾圧の現われである。これをこのまま許すならば、日本全国の全民主団体弾圧され、かの東条時代を再現するだろうという声明書を出したのであります。ところが、中標津というその地区の警察署長は、これは責任者でありますが、これに対してどういうことを放言したかというと、何をどれだけ持つて来ようとこつちのかつてだ。どつかの国の法律には国民大衆のためになる法律があるそうだが、日本になぞそんな法律は一つもない。こちらが必要だとあれば、かまでもなべでも持つて来るなどはこちらがかつてにできるのだ。そのために国民の日常生活にどんなさしつかえがあつても、その損害賠償などしなくてもよいのである。告訴するのはかつてだが、それが何でもないときはそれ相当の責任をとつてもらわねばならないし、お前がひどい目にあうかもしれない。それでよかつたら告訴しろ、こういうようなけんかの文句を言つているのでありますが、特審吉河君の話を聞けば、去年の八月十五日に大阪特審局員が桜橋とやらにたまたま居合せたときけんかが起きて、シヤツなどを破られて、暴行を受けたというようなことを言つている。また特審がいろいろなところで軽微な負傷を受けた事例はこのほかにもあるというのですが、こういう特審あるいは一般の警官の軽微な事件まで取上げられるのであるならば、それに対応してこういうようなばかげた放言が行われているということで、憲法の番人であり、あるいはそいつの最末端に働く国警並びに特審あたりにおいては細大漏らさず十分な調査ができていると思うが、こういうような根室の社会党の副支部長に与えられたようなばかな弾圧、並びにそのばかげた国警署長の放言、あるいはそれに類する事例は全国にあるはずだが、なければ、私そういう例を思いつくままに二、三あげてもいいが、そういう事例についての御報告があつたら、聞かしてもらいたいと思います。
  46. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 警察官行動があくまでも法の適正な執行、国民の生命財産の保護、犯罪の予防、捜査、検挙という面に限らるべきであることは申すまでもないのでありまして、この点につきましては、新警察制度発足以来われわれといたしましても最も注意をいたしておる点でございます。ただいま根室の警察についてお話のございました点は、私どもそういう報告を受けておりませんし、情報も聞いておりません。ただ実際に多数の警察官のうちには、ときに権能を越えた行動もないとは申されません。そういう事例も過去において若干あつたのでありまして、そういう場合におきましては適正にこれを処分をいたす方針にいたしておるわけでありまして、決して警察官の不法越規の行動を黙認しているような事実はございません。
  47. 加藤充

    ○加藤(充)委員 さつき質問のときに申し上げたように、軽微なるものまで  一件と数えて大事そうに報告したのであります。国民が公僕たる者に対するいろいろな点から、主人が公僕に対して行き過ぎがあつたことよりも、むしろ公僕たる者が主人公たる国民に対して、しかも新憲法のもとで今指摘したようなことをやることの方が、質的に考えて重大であり、そうしててめえの暴力と乱暴をたなに上げて、それから起つて来る一切の責任を国民に転嫁するという、まつたくこれは過去の軍閥官僚時代のやり方と同じなのでありまして、そのことについてはあり得べきでない。報告を聞いていないということは、これはまつたくほおかむりして、耳をおおて鈴を盗むの類であつて、こういう根性が根本的に直らない限りは、いかに治安対策を急いでも、根本の心棒が残るということをはつきりと考えて、謙虚な立場から民主的に出発することが強く要望されると思うのであります。現に警察の集団の中で白昼公然と行われた、手近な例でまことに恐れ入るが、同僚議員の大石ヨシエ君に対することだつて警官がやつたことは明らかになつているのに、その下手人、犯人があがらないじやないか。こういうばかげたことで、国民の中でたまさかの軽微なものまで大きく取上げられるということは、さか立ちしたものの見方だと思うのであります。  それで最後にお尋ねするのですが、先ほど読み上げました文書球根栽培法」とやらですが、その一部にここの結論として警察官を殺せというような結論は、どこからも出て来ないと思うし、きわめて破壊的であるというのですが、いわゆる人民に、主人公に対して横暴と腐敗を働く警官の責任を徹底的に、いたたまらないところまで、大きな顔ができないところまで国民の総意で徹底的に追究して行くというのは、これは明らかに腐敗と暴力がとうとうとして政治を侵し、国民の生活まで侵しておる今日においては、別にこれは暴力的、破壊的だと断ずるまでには至らない。少くとも今読み上げた材料の中からは、私どもあえて破壊的だという感じは受けないのであります。たとえてみれば、その反面に憲法九条が厳存しているにかかわらず、木村法務総裁自体が、ジエツト機と原爆を持たなければ憲法違反にならないのだからさしつかえないのだ、こういうようなやり方、それから閣議を開き自由党の面々と議会答弁、議会対策を考えておるというようなことが、最も恐るべき破壊的な、祕密的な陰謀だとわれわれは評しても過言ではないと思うのであります。しかもその反面において憲法九十九条には、天皇から大臣まで、代議士はもちろんだが、憲法を遵守すべき義務があると明確にうたわれておる。しかも憲法九十八条には、憲法に違反するものは一切が無効だということが書かれておるにかかわらず、そういうような再軍備は明らかに憲法違反であるというのが、国民の中の大多数の良識ある判断にかかわらず、その方針でどんどんやり遂げおるというようなことこそ、暴力の尤たるものであり、この暴力の行使には権力を私しておるという意味で、われわれは民主的な憲法のもとでこれを排撃し抑止しなければならない本質を持つものだと考えるのです。そういうことを取上げずにおいて、国民が軽微なる特審局員とかあるいは警官に対するたまさかのものまで——突発事件で計画的なものであるとは言えないと長野の金谷国警隊長が言つておるときに、なおそれが日共関係がないかとか、共同謀議がないかとかというようなばかな発言をするときには、警察の責任のある者は、そういうことを言うことはおやめなさいと言うくらいの職責を公務員は憲法上持つておると思う。私はそういう点で大石ヨシエ君に対する暴力が警官の中で行われたにかかわらず、まだ犯人があがらないというような事柄の中にこそ恐るべき暴力の根源を見出さざるを得ないと思う。いやしくも議員たる者が、新聞や今言つたような行政府の煽動に興奮して、これと一体となつちようちん持ちをするというようなことになると、五・一五から満洲事変、二・二六、侵略戰争への翼賛態勢をそのまま実現して行くことになるので、(「質問をやれ」と呼ぶ者あり)質問をやれと言われる前に、質問をやるまでもなく、自由党の諸君自身が、やはり与党として真剣に考えてもらわなければならぬところである。そういうものこそ暴力を謳歌し、煽動するものであると思うのであります。  それでは田嶋君が言つたように、木村法務総裁が出て来ないのでありますから、ここで田嶋君、押谷君と議論をやつても始まりませんし、またやる場所でもありませんから、きようは質問を次会に留保して私の質問を終ります。
  48. 佐瀬昌三

    佐瀬委員長 本議題は国会としても治安立法上重大な関心事であります。よつて、本委員会としては、すべて正確な調査報告を望む次第であります。この際政府の関係各当局者におきましては、ただいまの質疑応答に現われた調査資料をすみやかに本委員会に提出せられんことを望みます。     —————————————
  49. 佐瀬昌三

    佐瀬委員長 次に国の利害関係のある訴訟についての法務総裁権限等に関する法律の一部を改正する法律案が昨五日本委員会に付託されましたので、本案について政府委員より説明を聴取いたします。龍野政府委員。     —————————————
  50. 龍野喜一郎

    ○龍野政府委員 ただいま議題となりました国の利害関係のある訴訟についての法務総裁権限等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を説明いたします。  法務総裁は、法務府設置法第一条の規定によりまして、国の利害関係のある争訟に関する事項を管理し、国または行政庁を当事者または参加入とする訴訟の適切な遂行について職責を有するのであります。そのため、これらの訴訟のうち、国を当事者または参加入とする訴訟については、法務総裁は、国の利害関係のある訴訟についての法務総裁権限等に関する法律の規定により、あるいは法務職員を指定し、あるいは弁護士を訴訟代理人に選任して、その訴訟を行わせることができるのでありまして、訴訟の遂行に遺憾なきを期し得るのであります。ところが、行政庁を当事者または参加入とする訴訟については、現行法におきましては、法務総裁は、当該行政庁に対する指揮を行い、必要に応じて、法務職員を指定してその訴訟を行わせることができるのでありますが、法務総裁が直接弁護士を訴訟代理人に選任する道がないのであります。そのため、行政庁の訴訟遂行が十分でないとか、その他諸種の事情から、法務総裁において弁護士を選任するのを適当と認めた場合にも、その方法をとることができず、その結果、この種訴訟について、法務総裁が敏速適切な訴訟上の措置をとる上に、多大の支障を来す場合が少くないのであります。  このような実務上の不便欠陥を補おうとするのが、この改正法案を提出する理由であります。何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
  51. 佐瀬昌三

    佐瀬委員長 提案理由の説明はこれをもつて終了いたしました。  本案についてはこの程度にとどめ、質疑は後日に譲りたいと存じます。  本日はこの程度にとどめ、明後日八日午後一時より会議を開きます。  本日はこれにて散会いたします。     午後一時一分散会