運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1952-05-26 第13回国会 衆議院 文部委員会地方行政委員会連合審査会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月二十六日(月曜日)     午前十一時二十一分開議  出席委員   文部委員会    委員長 竹尾  弌君    理事 岡延右エ門君 理事 甲木  保君    理事 若林 義孝君 理事 小林 信一君    理事 松本 七郎君       首藤 新八君    水谷  昇君       渡部 義通君    坂本 泰良君       浦口 鉄男君    小林  進君   地方行政委員会    委員長 金光 義邦君    理事 河原伊三郎君 理事 野村專太郎君    理事 門司  亮君 理事 床次 徳二君       池見 茂隆君    大泉 寛三君       佐藤 親弘君    前尾繁三郎君       鈴木 幹雄君    大矢 省三君       立花 敏男君    八百板 正君  出席国務大臣         国 務 大 臣 岡野 清豪君  出席政府委員         総理府事務官         (地方財政委員         会事務局長)  荻田  保君         地方財政委員会         委員      上原 六郎君         文部事務官         (初等中等教育         局長)     田中 義男君  委員外出席者         総理府事務官         (地方自治長財         務課長)    奥野 誠亮君         文部事務官         (初等中等教育         局庶務課長)  内藤誉三郎君         文部專門員   石井  勗君         文部專門員  横田重左衛門君         地方行政專門員 有松  昇君         地方行政專門員 長橋 茂男君     ————————————— 本日の会議に付した事件  義務教育費国庫負担法案竹尾弌君外十四名提  出、衆法第四〇号)     —————————————
  2. 竹尾弌

    竹尾委員長 これより文部地方委員会連合審査会を開会いたします。  義務教育費国庫負担法案を議題とし、前会に引続き、通告順により質疑をお許しいたします。立花敏男君。
  3. 立花敏男

    立花委員 問題のこまかい点はあとに讓るといたしまして、根本的な問題を聞いておきたいと思います。  この法案をお出しになりました根本的な趣旨として、どういうことをお考えになつておるのか。平衡交付金制度による教育費負担とこの法案との差異を、どういうようにお考えになつておるのか、これを承つておきたいと思います。私どもの従来の平衡交付金制度に対する不満は、平衡交付金というものが、その名前のごとく、決して地方財政の困難、赤字を埋め盡す、平衡さすというところにあつたのではなしに、実は地方の貧困を平均化する、かえつて平衡交付金によりまして、地方財政の困難が一般的、全国的に平均化されたという結果になつているのではないか。そこに大きな問題がありまして、六・三制の困難にいたしましても、平衡交付金によつてそれが克服されたのではなしに、六・三制の困難そのものが平均化されたにすぎない、ここに私は問題があると思う。この根本的な問題が、平衡交付金制度による負担から、この義務教育費国庫負担法による負担に切りかえられて、はたして克服されるかどうか、この問題が残つていると思う。いくら建前はかわりましても、法律がかわりましても、真に地方財政を確立し、地方の困難を克服するという基本的な考え方にかわりがなければ、法律がかわりましても、同じく根本的な問題は残つて行くのではないか。やはり国の軍事予算が優先し、法律で定められました平衡交付金制度による交付が確保されないというような本質的な問題が解決されない限りは、いくら国庫負担法ができましても、やはりその本質は平衡交付金の場合と同じでありまして、困難は残つて行く、六・三制の破壊は残つて行くのではないかと思います。この問題についてこの義務教育費国庫負担法に改めますならば、根本的な問題は解決されるという点を、具体的に御説明願いたいと思います。
  4. 若林義孝

    若林委員 御質問で要望せられておるお気持は、よくわかるのでありますが、本法案自体直接根本的にそれを満たす法案にはなつておりません。現在の地方財政平衡交付金配分いたします精神は、尊重するつもりで盛られておるわけであります。ただ間接に、教育費国庫において半額程度確保されますことによつて——御存じの通り、この教育費伸縮を許しません。完全には参りませんけれども定員定額によつて、すべてのものが大体律せられておるのでありますから、行政整理などで一割の人員整理というようなことを言われましても、義務教育費だけは、対象にするわけにはいかぬのであります。子供の数でも滅らせばともかくでありますけれども兒童生徒の数というものは、絶対に、いかにかけ声をかけましても、伸縮はきかぬのであります。またあるいは教育内容をかえるならば、行政整理で一割というなら、教えることを一割減らして行くというようにするのならば、対象になるかもしれませんけれども、それは教育部面には、普通の一般行政事務と切り離して考えなければならぬものがございます。だから、伸縮を許さぬこの教育費わくを、この法律で明確にいたしておきますことによつて、他の行政費一つ標準を示されるものでありますから、それによつて義務教育費の方からいえば、それが圧縮を受ける、また他の行政部面からいえば身動きならぬ大部分を占めておる教育費のために圧縮を受けるのだ、こういうのでありますから、截然とこれを切り離して考えて行くことによつて、今御質問になりました地方財政健全化というものをはかる一歩に、間接にはなると思うのでありますが、根本的にはそれはなつておりません。一昨日も河原委員から御質問があつたのでありますが——これも御参考になるかならぬか、資料になるかならぬかは、それをお用いになる方によつて違うと思いますが、この平衡交付金が、二十五年度においては千五十億であつた、二十六年度においては百五十億増して千二百億になつておる。それから二十七年度においては千二百五十億である。これは二十五年度を標準にして二十七年度の率を出して見ますと、一一九という増加率になつております。一般国庫補助形式をとつております他の部面で、生活保護費で見ますと、これが一五七という増加率を示しておるわけであります。それから公共事業費のいわゆる一般増加率を二十五年度と比較してみますと、二一〇という増加率を示しておる。だから、大部分を占めております教育費根幹となつております平衡交付金の率の一一九というような増加率から見ましても、ここに非常な不均衡がある。だから教育費を摘出して行きますならば、明確に、ほかの行政費も、国家補助対象となつておるいわゆる平衡交付金制度増額しやすい、こういうような意味におきまして、直接には、根本的にこれを改革する法案ではないけれども間接的には、地方財政というものの健全化をはかる有力なる法案であるという気持で提出いたしたのでございます。
  5. 河原伊三郎

    河原委員 私の名が出ましたので関連質問をいたしますが、平衡交付金だけをもつて言われたのでありますが、地方税收入増減はどういうふうになつておりますか、御調査になつているか、その点をお伺いいたします。
  6. 若林義孝

    若林委員 これは大体今平衡交付金制度によるものだけを摘出して申し上げたのでありますが、この配分につきましては、現在のものがそのまま是認されるとは思つておりません。現在地方行政委員会におきましても、地方税改革というものが目途とされておるわけでありまして、それに照し合せて、今度のこの法律では配分自体は別に法律をもつて、その地方税制増減に伴い、この改革伴つて配分方法をとろう、こういうことでございます。今地方税がどういう経過をたどつておるかということは、私つぶさに承知いたしておりません。
  7. 河原伊三郎

    河原委員 地方財政需要を満たしますものは、地方税收入地方財政平衡交付金の二つが主要なるものであります。従つて地方税收入が非常に多くなります場合は、平衡交付金は減じても、地方財政はゆたかになるものであります。また平衡交付金を著しく増大いたしましても、地方税收入が激減いたしますれば、これは財政需要圧縮しなければならぬ、こういうことになるのであります。地方財政平衡交付金だけをもつて律するということは、きわめて浅薄にして、無知な、ほとんど政治を解しない者の行き方といわんければならぬ。かようなずさんまたは幼稚な観点のもとに立てられた法案としますれば、ほとんど審議の価値のないような、まことに嘆かわしい立て方といわんければならぬと思います。
  8. 若林義孝

    若林委員 私は、地方税制というものが改革をせられることを前提としておればこそ、別に法律をもつて定めるということにいたしておるのであります。それから地方財政平衡交付金になりましようとも、また前の義務教育費国庫負担法昭和十五年に制定せられて二十四年度まで実施せられましたその実績を見ましても、また現在の平衡交付金の中に地財委算定基準としておられます教育関係費算定いたしましても、大体において国家が二分の一補助をするという形式が認められておるのでありまして、その意味において、二分の一を下らざる程度ということが明確にしてあります。その配分基準については、今河原委員地方税制を無視した行き方であつてはいけないということを言われましたが、無規していなければこそ、別に法律をもつて定めるといたしてあるのでありまして、これはいかなる標準を持つて来るかと今お尋ねになるとするならば、地方税制改革に伴いまして、現在のままならば、平衡交付金配分率によつてわけますと言いたいところであります。ところが、地方税制というものの根本的な改革をば、地方行政委員会において特に御熱心に御審議になつておる今日でございますから、われわれといたしましても、それを無視してこの配分基準を定めるということはできません。地方行政委員会の御熱意並びに地方税制というものを尊重するところのこの法案でありまして、これに今とやかくいろいろな配分率をわれわれが出したら、その御批判を甘んじて受けるのでございますが、しかしながら、尊重すればこそ、また地方税制というものに根幹を持つ配分基準を今堅持して行くという上でこそ、私は別に法律をもつて定めると明記いたしたのでありまして、その御非難は当つていないと思うのであります。
  9. 河原伊三郎

    河原委員 まつたく見当のはずれた答弁でありまして、外国人にものを言うておるような感じがするのであります。私の申し上げますのは、やがて改正される地方税制の問題とか、そういうようなことは申しておりません。平衡交付金が一一九というパーセンテージを言われます点からいたしまして、この平衡交付金というものは、地方税收入をあわせて考えなければ、地方財政がゆたかになつたかどうかということはわからない。従つて、やがて改正されるべき税法による税收入の問題でなく、地方現実の問題をとらえて、一一九という数字は、平衡交付金だけではそうなるが、地方財政收入の全体から見ればどうなるか。すなわち、地方税收入がどうかわつておるかということをお調べになつておるかどうか、それがどうなつておるかということをお尋ねしたのであります。現在の問題であります。
  10. 若林義孝

    若林委員 大体二千億が三千億になつておるのでありまして、われわれの承知しておる数字が誤りであると仰せになればともかくでありますが、大体そのふえる行き方というものは一五〇%の増加になつておるのであります。
  11. 河原伊三郎

    河原委員 地方財政收入のことでありますが、しかしそれを加算して、平衡交付金のふえ方と両方を勘案しなければほんとうの財政收入がどれだけということは出ないわけであります。それをよく御検討願いたいと思います。
  12. 立花敏男

    立花委員 河原君から大分意見がありましたが、私そこに問題があるじやないかと思う。平衡交付金が二十五年度から二百億しかふえない。しかも地方税は、今若林さんの御指摘になりましたように、一千億ふえておる。しかも一千億地方税がふえたにかかわらず、その間国税滅つてはおりませんので、国の財源地方に委讓いたしまして、地方税金がふえるのであれば話は別ですが、そうではなしに、国も地方もともに税金はふえておる。二十七年度を見ますと、国が七百七十六億ですか、地方が四百十四億、合計千二百億ばかりの税金両方でふえておるわけです。従つて、この国税地方に委讓いたしまして、地方税金減つたのではない、一千億もふえている。しかも、その間にわずか二百億しか平衡交付金はふえていない。しかもそのふえました二百億という平衡交付金は、二十七年度約千二百五十億ですか、これは地方では非常に不満である。平衡交付金建前上、どうしても出さなければいけない額を非常に割つている。これは二十五、二十六年度以来、引続き地方財政委員会政府に対する、あるいは国会に対する意見書にも現われておりますし、地方自治体の平衡交付金に対する増額要求で明らかであると思う。そういうふうに、平衡交付金の額が非常に少いということが現実の問題であり、しかも、それを地方民負担において地方税で收奪しているということも明白だと思うのであります。こういう事態が、はたして義務教育費国庫負担法を切りかえることによつて、克服されるという見通しがあるかどうか、その点の保障は一体どうであるかということを伺いたいのてす。そうでありませんと、單にこの法律をかえることであり、あるいは文部省自治庁とのセクシヨナリズムの争いの具に供されることであり、あるいは一般父兄に対して、何か義務教育費負担が軽減されるような幻想を抱かせることであり、これは非常に困つた問題であると思うのですが、その点に対する保障が、この義務教育費国庫負担法のどこに與えられているか、どういう方法をもつてその保障を與えようと思つておられるのか、これを伺いたいと思います。
  13. 若林義孝

    若林委員 この点は、国庫において総額の二分の一を下らざる範囲において負担をするということを明確にいたしていることによつて、前進の一歩を見るのだと私は考えております。
  14. 立花敏男

    立花委員 この義務教育費国庫負担法によつて規定されております算出の仕方のようなものは、こまかい点は違つておりますが、大体の平衡交付金配分算定基準はあるのでありまして、現在でも、義務教育に対する平衡交付金は、兒童一人当り幾らといわれて出しておるわけであります。決してこれは本質的には違つていないと思うのです。それで、聞くところによりますと、二十七年度におきましては、この法案におきましても、千二百五十億という平衡交付金の中のわく内操作なんです。決してこれは、義務教育費基準はこうあらねばならないというところから割出されたものではないと承つております。事実そうだと思います。そうなりますと、やはり先だちますものは、国の予算から割出されました義務教育費予算、これから割出されました義務教育規格になつて来るだろうと思うのであります。そうなつて参りますと、それはあくまで逆算でありまして、決して下から正しい、あるいはこうあらねばならないという義務教育費のあり方を出して行くのではないと思うのです。この点がどういうふうにこの法案保障されるのか、非常に不明確でありまして、あくまでも国の軍事予算から割出されました、逆算されました規格が、文部省を通じて押しつけられて行くのではないか、こう思うのですが、その点をひとつ御説明願いたいと思います。
  15. 若林義孝

    若林委員 逆算であるかどうかということについては、御見解によつて決するだろうと思いますから、答弁を避けたいと思いますが、ただこの算定基準ということにつきましては、われわれは従来、大蔵省査定基準地財委査定基準とは、相当の開きがあるのではないかと思つております。この法律が明記いたしておりますのは、従来大蔵省査定をいたします場合の基準を、法律で明確化したのであります。地財委の方におきましての算定基準開きがあつたということが、三万幾らかふえるという反対の御理由の中に加えられておるのが、そこだと思うのでありますが、この法案大蔵省定員定額によります算定基準法律によつて明確にした、こういうことになつております。御参考資料に申し上げますと、二十七年度におきましては、大蔵省所要額というものは、九百八億の算定になつておる。それから地方財政委員会補償額というものは、八百四十三億になつておる。その間六十五億の開きがある。それから教員数査定も、大蔵省査定標準は五十一万九千百八十七人になつておる。地財委の方の補償人員というものは、四十八万七千八百五十七人になつておりまして、その開きが三万一千三百三十人になつておるということになつております。こういうように、同じ政府算定基準が、場所によつて違うのでありますが、これをこの法律によつて明確にいたした、こういうことになつております。
  16. 立花敏男

    立花委員 大体これは中央軍事予算から出ますところのわく内操作なのであつて、非常に規格に無理があるということを、少し指摘しておきたいと思うのです。たとえば教員給與ですが、これがやはり現在の地方教職員が受取ります給與の実態を無視いたしまして、三百七十五円という額の減少をもつて規格を決定しようとしておる。これは非常に無理がある一つの証拠だと思う。これはやはり上からわく内操作をやる結果、こういう無理が出て来ておるのだ。あるいは建築にいたしましても、わずか一坪二万二千円ばかりの校舎と申しますと、これはバラツク建築のようなものだと思うのですが、こういうものが五十年間も使用に耐えるというような計算、こういうように、一、二の例をとりましても、非常に理想的なこうあらねばならない義務教育規格が決定されるのではなしに、あくまでも中央軍事予算から逆算されたわくが、決定されようとしておる。しかも、それが文部官僚の手を通じて地方に強制されようとしておる、ここに私は問題があるのじやないかと思うのです。そういうことは、義務教育建前であつてはならないことなんです。そういうことが、どういう形で確保されようとされるのか、おそらくこの法案ではできないと思うのです。この法案を、理想的な真の意味義務教育国庫負担法といたしまして、実際のそういう実情にそぐわない形を根本的に振り切つて行かれる決意がおありになるのかどうか。それがありませんと、この法案は單なるセクシヨナリズム一つの現われにすぎないと思われるのですが、そういう御決意があるかどうか。その義務教育に必要なる経費は、何をおいてもこの法案を通じて確保して行くという明白な法意があられるのかどうか、これをひとつ承りたい。
  17. 若林義孝

    若林委員 先ほども申しましたように、上からの軍事予算云々ということにつきましては、批判を避けることにいたしますが、教育費の増大というものは、立花委員におきましても、あるいは御列席の委員各位全部が、妥当な線へ、十分なとまではいえなくとも、とにかく可能な範囲の最大の予算を獲得いたしまして、完全に近づく教育を施行いたしたいという念願は、だれ人も優劣なくお持ちであろうと思うのであります。この法案のねらうところは、現在の予算を、今年施行せられております予算範囲内において、まず教育費だけを明確にして行こうとするところのものでありまして、この法案成立によりまして、この法案を骨子として、より目的に向つて進み行く第一歩を踏み出すところのものであります。言葉は妥当であるかどうかはわかりませんが、まず橋頭堡を確保して、第二、第三の財源確保に進もうという気持でございまして、教育費確保に対する熱意がどうかという御質問でありますが、これは皆様方と同様、われわれも教育費確保のために邁進いたしたいという熱意は持つております。
  18. 立花敏男

    立花委員 前国会の末でございましたか、衆議院、参議院全会一致で、平衡交付金増額決議をいたしました。これは地方財政委員会等意見も入れまして、あるいは全国の自治体の要求も入れまして、衆参両院全会一致決議をいたしました。しかも、これがまつたく無規されてしまう。これの関係方面への交渉も、おそらく御存じでございましようが、その最後に到達いたしましたのは、なるほど日本には現在金の余裕がある、しかし、これは軍事方面に使わなければいけないのだから、これは平衡交付金に出すことはできないという明確な意思表示がありまして、遂にこの全国民あげての要望、全国会あげての決議が、無視された形があるわけであります。この形を突き破つて行くという決意政府與党にない限りは、こういう法案の形をかえましても、問題は依然として残つて行くのではないか。結局は、さつきからたびたび言つておりますように、ただ形をかえ、所管をかえましただけで、上からの軍事予算わく内操作で、その規格地方に押しつけて行くことになるのではないか。この点を私どもは、やはり過去の経験に徴しまして、深く反省し、それを突き破つて行く決意をお尋ねしているわけです。過去になまなましい例がありますので、はつきりした決意を具体的にお示し願いたいと思います。  さらに、問題を発展させまして、そういう義務教育費保障を完全にやるという御決意があつたならば、なぜこれを全額国庫負担という形にただちに持つて行かれなかつたのか、その点を説明願いたいと思うのであります。しかも問題は、二分の一を国家で補償いたしましても、残りの二分の一は、当然地元の負担になりますし、政府與党の方で非常に義務教育費保障する、あるいは増額するということの熱意がおありになつて、あるいは国家の分はふやされることがあるかもしれませんが——おそらくないと思うのでありますが、そういうことをおやりになりましても、それに伴う地方費増額に対しては、どういう保障をされようとしておるのか。この残りの二分の一に対する保障がない限りは、これはまつたく空文で、かえつて地方財政破壊し、それに伴う他の地方行政破壊するようになつて来るのでありますが、そうなりますと、第一條にうたつてあります「妥当な規模と内容とを保障する」ということは、実際上は行われないのではないか、かえつていろいろな摩擦とか破壊を引起すことである。これは地方自治の上から見ましても、あまり感心できない問題であると思います。地方財政委員会としても、その点は憂慮しておるのではないかと思いますが、なぜ全額国庫負担にされなかつたのか、また残りの二分の一について、なぜ責任をお持ちにならないのか、この点をひとつ明確にしていただきたい。
  19. 若林義孝

    若林委員 立花委員も、われわれも、教育を尊重するという表面に現われましたところは同じでございます。根本理念がどうかということにつきましては、議論があると思うのでありますが——そこで、この義務教育費確保熱意が燃えるべきだということでございますが、この点につきましては、私たち人後に落ちず、いろいろな国費が大体増大されますときでありますので、義務教育費というものはいかなる事態が起りましようとも、確保して行かなければならぬという熱意であるということだけは、明確に御承知おき願いたいと思うのであります。  次に、二分の一補助ではいけない、全額でなければならぬというお説でございますが、これも同感であります。いわゆる全額国庫負担制度をとるということは、私は理想だと考えるのでありますが、しかし、この法案のねらつておりますところのものは、まず現在の地方税制というもの、あるいは平衡交付金制度が存置されております上に立つて立案したところのものであります。全額国庫負担ということになりますと、幾らか地方税制改革というものと相照して考えなければならぬものだと考えるのであります。なお全額国庫負担になりますと、地方々々によつていろいろの特色があるわけでありますが、この特色をも平均化するということは、かえつて均衡にもなるわけであります。ただ国家公務員の、いわゆる国立の学校の教職員基準をとりまして、二分の一というものを最低に確保する。そうしてなお残りの二分の一についての保障はどうするかということにつきましては、これはまだ地方税制改革となお残りましようと思う平衡交付金制度とによつて、これがまかなわれて行くものだと考えておるのであります。あるいはまた、一説には八〇%を持つべきではないかというお説をお持ちの方もあるのであります。全額といい、八〇%といい、二分の一といい、とにかく地方税制の変革と相にらみ合せて考えらるべきものでありますが、しかしながら、この法案が第一條で述べておりますように、最終の保障というものは国家がするのであります。地方によらずして、中央でやる。ここにおいて最終の保障はどうするのであるかということを明確にし、直接の国庫補償は全額の二分の一、他の二分の一は地方税制改革と、なお足らざるところは平衡交付金によつてつて行く、こういうふうに考えておる次第であります。
  20. 立花敏男

    立花委員 あなたの提案理由の説明の中にも、国としてこれを最終的に保障するという言葉があるのでありますが、われわれが今お聞きいたしますと、残りの二分の一については、何ら具体的保障が私はないと思うのであります。平衡交付金地方税とでまかなつて行くのだといわれますが、地方税平衡交付金のあり方を従来ながめて参りますと、それは決して残りの二分の一を保障する方向には行つておりませんので、その点の保障がない限りは、あなたの御説明は單なる言葉の上であつて、実際上の保障は與えられてないと思うのであります。では、どういう形で平衡交付金地方税とで保障されようとするか、その具体的な御意見を承りたい。
  21. 若林義孝

    若林委員 現在の段階におきまする保障の仕方、あり方を述べたのでありますが、将来どういうふうにするかということについては、これは将来の研究のものに属すると考えておるのであります。
  22. 立花敏男

    立花委員 決してこれは将来ではありません、この法案が提出されておりまして、これと同時にそのことは考えられなければいけないのではないか。この法案現実の問題であつて、補償は将来の問題であるというに至りましては、これは首尾一貫しないのであります。この法案を出すのであれば、しかも提案理由として国が最終的にはその財政的な保障をするのだということをうたう以上は、やはりこれと同時に現実の問題として、その保障の問題が考えられなければいけないのではないか。残りの二分の一に対しましても、では、地方税をどういうふうにする、平衡交付金をどういうふうにするという保障がない限りは、私はまつたくこれは空文でないか、こう思うのであります。地方税の問題にしましても、さいぜんも触れましたが、何ら中央からの基本的な財源の讓與もなしに、ただ水増しあるいはその他の名目によつての大増税を行つておりますので、こういう形で保障されるとは、私ども考えていないわけであります。その点はどうお考えになつておるか。たとえば所得税等の基本的の財源地方に委讓して、そうして地方税増加さすという方法をお考えになるのかどうか。お考えになるとすれば、そういう具体的な法案をお出しになる具体的な方法をおとりにならないと、私は最終的に国家財源を裏づける責めがあるといわれるお言葉が、これはごまかしにすぎないのじやないかと思うわけです。あるいは平衡交付金にいたしましても、若林氏も指摘されましたように、二十五年度以来わずか二百億しかふえていないわけで、漸次この国家予算の中に占める平衡交付金のパーセンテージは減少しておるわけです。総体的に平衡交付金は減少しておる。この方向を改められない限りは、平衡交付金であとの二分の一を保障すると申しましても、これもごまかしにすぎない。これをどうされようとするか。この二つの点がはつきり具体的な形で現われて来ない限りは、二分の一は絶対に保障しておるということはいえませんし、またこの法案で、この義務教育費国家が最終的に財政的な責任を持つのだ、保障するのだと申されることも、これは單なる詭弁にすぎないと思うのです。だから、この問題は決して将来の問題ではありませんので、地方にとりましては現実の問題なんです。従つて地方の議会あるいは理事者等が、こぞつてこの法案に反対しておるのは御承知だと思うのです。財源的な裏づけなしに、こういうものを地方わくをきめられては困る、これは地方財政地方行政破壊であるということを申しまして、われわれのところに地方の団体から意見書が参つております。地方にとつては、これは現実の問題なんです。それを提案者が将来の問題だというふうにごまかされることは、これは非常に困ると思うのです。その点を具体的にどう保障されようとしておるか、それをひとつお伺いいたします。
  23. 若林義孝

    若林委員 立花委員の仰せになりますのは、総理大臣に対する御質問のように思うのでありますが、私たちは現在の税制地方財政というものを根幹とし、また現存いたしております地方財政平衡交付金制度というものの上に立つた今年の予算基準として立案をいたしたのであります。その立案について、今年度はそのわくの中における教育予算というものを明確にしたのであります。二十八年度からについては、今あなたの言われます地方財政負担軽減というものを、根本的に改革して行かなければならぬということについての御説を含めて考慮されるべきものとして、別に法律をもつて定めるといたしておるのであります。すべての国政なり税制なりを自由にできるオールマイテイを持つておる者ならばお答えができるでありましようけれども地方税制改革のごとき一事をかえるにいたしましても、相当お骨折りをなさつておる、特に地方行政委員会の各位のことでございますから、その困難さはわれわれより以上痛感せられておることだろうと思うのでありまして、それを私がここで明確に、こう考えております、ああ考えておりますというようなことは、架空事に属するものでありますから、ただ将来皆様方熱意によつて地方税制というものは根本的に改革を見るであろうということを前提といたしまして、この法律を提出した次第であります。
  24. 立花敏男

    立花委員 これははなはだけしからぬお答えだと思うのです。この法案は、主として與党の文部委員の方が一致されてお出しになつ法案であります以上は、しかも現在の制度が政党内閣の建前である以上は、当然政府與党の一致された、統一された政策のもとに、出て参つておらなければならないと思うのです。こういう観点からいたしまして、これと関係のありますところの二分の一に対する地方税制の問題、あるいは平衡交付金制度の改正の問題、こういうものが当然あわせて考えられ、しかもそれが法案として出されて参らない限りは、これは十全ではないのではないか。しかもそれは決して出すことができないという問題ではありません。それの国会審議がどうなるか、その結果がどうなるかは別問題といたしまして、少くともこういう法案をお出しになる以上は、そういう完全なものをお考えになつてお出しになるのが当然ではないか。しかも、これはできないことではありませんので、政府與党がそういう熱意と統一された政策があるなれば、当然これは出すことができるものであり、またこれは出さなければならないものだと思うのです。それをおやりにならないところに、非常にこの法案の基礎の薄弱さがあるのじやないか。そこで、私どもはどういたしましても、これは確信を持つて審議する気にはなれなくて、どうもあやふやな法案であるというふうな感じを抱かざるを得ないわけてあります。総理大臣に質問するようなことだと言われますが、総理大臣は決してオールマイテイではありません。オールマイテイと申しますのは、私ども国会が持つておりますので、総理大臣がやろうからといつてやれるものではありません。それは総理大臣が提案することはできる。政府與党としてこれは提案なさる責任があるのじやないか。こういうものをお出しになる以上は、そういうものの裏づけとしての財源の確保について、関係法案を制定なさつてお出しになる責任があるのじやないか。それをこれだけをお出しになるのは、あまり無責任じやないか。何ら保障されていないのじやないか、そういうことを言つておりますので、総理大臣云々の御答弁は少しこれは見当はずれで、不穏当ではないかと思いますので、御注意申し上げたい。その他の問題での御意見をひとつ承りたいと思います。
  25. 若林義孝

    若林委員 同じことを繰返す以外にないのでありますが、この法案自体は、現在の税制というものに基幹を置いておるのでありますけれども、先ほど申しましたように、地方行政委員会におきましては、根本的に地方財政地方税制というものの改革を企図せられておるわけであります。それを、将来根幹にいたしまして、この配分その他についての基準を定めるのであります。ただこの法案は、少くとも二分の一は保障するということを明確にいたしておるのであります。お考えになり、御要望になる事柄の一歩前進は前進であるが、これをもとといたしまして、御要望になるような完璧を期する方向に向つて進みたい、こういう考えを持つております。
  26. 竹尾弌

    竹尾委員長 次に大泉寛三君。
  27. 大泉寛三

    ○大泉委員 私どもの多数の同僚の中でも、特に人格的に尊敬しております若林先生、竹尾先生、それらの方々の御熱意に対して、また教育行政に関しての深い御造詣に対して、私は敬意をもつてその審議に当つておるつもりであります。ただ自分の地方行政に関する立場から、一通りこの委員会でお伺いしたいと思うのであります。地方行政、おのおの自治体を單位として、すべての行政を一本に行われておる。こういう自治体の中に、教育行政をまた新たに国の行政機関としてやられるようなこの法案は、かえつて地方行政を二本建てにするようなきらいがあると私は思うのであります。これに対する御所見を伺いたい。
  28. 若林義孝

    若林委員 地方の自主性の尊重ということについては、大泉委員のお考えとわれわれ同感でございます。特にこの日本の国の存立というものは市町村にあると考えるのであります。同様に教育自体というものも、その土地に溶け込んだ、特異の性質を持つたところの学校教育というものが行われて来るべきだと存するのであります。この意味においては、地方教育委員会というものも設けられまして、将来、国で行うところの画一的な学校教育にあらずして、その郷土の色を明確に生かした、その土地に足を踏み入れた教育が行われて行くべきだと考えるのでありまして、地方自治の独自性というものについては、あくまでもこれを尊重して行くべきだと考えておるのであります。地方々々で要するところの費用を、国庫負担し安定せしめて、その上に立つた伸び伸びとした教育を打ち立てていただきたい、こういう意味でございまして、あえて地方の独自性を奪おうという気持一つもございません。  なお、この法律自体は、地方自治体を尊重して行く意味からいつて、逆行するものではないかという御意見もあつたようでありますが、もし文部省がこの金を配分することに教育中央集権化である、また地方の自主性を阻害するものであると御解釈になるとすれば、現在地方財政委員会において行われております配分も、何らこれとかわるものではないと考えるのでありまして、そういうことのないように、中央でいろいろ裁量の余地がないよう、法律で明確に規定いたしておくことがいい。それから今まで平衡交付金を少しでも増額してもらうためには、お百度を踏まなければならなかつたのですが、そういうことなしに、明確にこの法律国家の補償の全額算定できるようにしたのであり、御懸念になりますことのないようにという意味において、この法案を作成いたしました気持をひとつ受取つていただきたいと思います。
  29. 大泉寛三

    ○大泉委員 教育委員会制度が設置せられてから、各府県はむろんのこと、小さな自治体においても、非常に教育行政には深い関心を持つて参りましたが、財政的には、各公共団体が非常に苦しんでおる。やはり教育行政財政ということは、切り離すことのできない問題であるが、私はそれ以外に、なお教職員の問題があると思います。教育委員会の活動は、非常に私どもは好意を持つて迎えておりますが、教育を実際に施す教員は、教職員組合というような大きな団体を持つて、半ば政治活動をしておる。教育を受ける国民の立場から考察いたしたときに、どうもこれでは国民の要望する教育財政というものが、その期待通りに遂行できるかどうか疑問であります。こういうような立場から、教育の理想はまことにけつこうであるけれども、それに伴う、いわゆる財政負担というものを考えてみたときに、もしこの法案が実現するとしたならば、国民の負担が軽くなるかどうなるかということを、どういうふうにお考えになるか、御意見を承りたい。
  30. 若林義孝

    若林委員 この法律のねらいますところは、現在の段階で、いわゆる教育費と他の行政費との色わけをしたにすぎません。教育というものが完全に行われて行きますならば、国が持とうとと地方が持とうと、負担は同じだと思うのであります。教育と他の行政部門と相並行して行くべきであつて教育だけが先走るわけにも参らない。この法律によりまして、他の行政部面だけがとんとんと先行して、教育が取り残されないようにという最低線をねらつておるのであります。だから、国民の負担が軽減されるかどうかということにつきましては、国家行政費が増大するかどうかということと、それから教育費とのつり合いとによつて申さなければならぬと思いますけれども、われわれは、文化国家である以上は、他の行政費よりは義務教育費の方が非常にたくさん使われておる、教育に重点を置いた財政でなければならぬ、こういうように思います。だから、他の行政義務教育とのバランスにおいて、今より多くをねらうかどうかということについて御説明をいたしますならば、それは国家財政の四一%を軍事費が占めておつたというときがあるが、私は少くともそれにかわるのが教育費でなければならぬ、こういうように思つておるのであります。それから、現在の状態を基準として考えるならば、この法案のねらつておりますものは、いわゆる教材費についてPTAが負担をせられておりますうち、半額でございますか、五十億が国家から支出せられることによつて、PTAの直接の費用は少くなる。こういうことが期待できると考えるのでありますが、将来この法律は、教育費国家財政の中でも主要部分を占め、他の行政費と比べましても、文化国家にふさわしい財政的の保障国庫がして行くべき方向に進む一つの基礎となる法案であると考えております。
  31. 竹尾弌

    竹尾委員長 皆さんに御協力をお願いしたいのですが、本日の質疑の通告者は多数ございます。このあと床次徳二君、大矢省三君、前尾繁三郎君、渡部義通君、小林進君、松本七郎君、これだけございますし、今日は午後一時までしかこの委員会室が使えませんから、どうかそのおつもりで、質問はできるだけ簡單にお願いします。
  32. 大泉寛三

    ○大泉委員 せつかくの連合審査会ですから、合致した意見が必要だと思いますので、くどいようでありますけれでも、資料によつて朗読的に御質問をいたしたいと思います。あとで総括的な御答弁でもまつこうでありますけれども、ごく簡單に御答弁願えればけつこうだと思います。  義務教育教員の質と量が低下しておるというが、どのように低下しているのか、またこれを比較すべき基準について、教育主管省はどのようなことを制定されておるか、これは政府にお伺いしたい。
  33. 内藤誉三郎

    ○内藤説明員 従来私ども国庫負担法当時の状況を見ますと、昭和二十四年度までが国庫負担であります。その当時の基準から見ますと、教員の数は昭和二十四年にドツジ予算で相当な削減を受けたのでありまして、二十六年度現在は伸びていない。むしろ低下の傾向にあるということを、数字で御説明を申し上げたいと思います。それから各府県のバランスが非常に乱れておる、不均衡なつたということも、別に資料がございますから、これも差上げたいと思います。特に各府県の給與の差がはなはだしくなつた、これも別に資料がございますので、その資料をもつてお答えいたしたいと思います。これに対する解釈といたしましては、別に文部省は学校教育法の施行規則等で制定されておりますが、それにつきましては法律基準を示すように目下研究中であります。
  34. 大泉寛三

    ○大泉委員 六・三制が中身を伴わない現状であるというが、その原因はどこにあつたと考えられるのか。新制中学校半額の国庫負担制度は、適正に運営されて来たかどうか。
  35. 内藤誉三郎

    ○内藤説明員 六・三制が急激に整備されるという状況でございましたので、もちろん六・三制の国庫補助が十分であつたとは私ども考えておりません。しかしながら、現在までにほぼ〇・七坪を完成するような状態になつたのであります。〇・七坪はもちろん最小限の教室と廊下、便所等しか見ておりませんが、これによりまして満足しておるわけではございません。特に教材の整備ができないという点についても、これは私どもとしては、非常に遺憾に思つておりますので、ただいま提案されているような教材費に関する国庫負担制度が確立しますならば、一段と教材の整備も強化されて来るだろう。さらに、教材費用としてPTAが約百六億のうち四十七億程度負担しておるものが解消されることを期待しておるのであります。
  36. 大泉寛三

    ○大泉委員 憲法の保障する義務教育の無償とは何を意味するか。地方税收入でまかなうことにしても、無償の趣旨は達せられるのではないか。これは先ほど若林さんからも大体御答弁があつたようでありますから、政府当局の考え方をちよつとつけ加えてもらいたい。
  37. 内藤誉三郎

    ○内藤説明員 憲法に規定する義務教育の無償というのは、これは一つの理想でありまして、私どもとしては、この中には教科書、学用品まで入る。すなわち、義務教育を受けるについては、費用のかからないように、父兄の負担にならないようにというのが理想であると考えております。現在のところどうなつておるかと申しますと、授業料はとつてはならないという規定がありますが、授業料にかわるPTAの寄付金というものが非常に多額でありまして、シヤウプ税制で、三百億の増税をして寄付金の解消をはかつたわけでありますが、それにもかかわらず、依然としてPTAの寄付金は解消されていないというのが現在の事実であります。私どもは、できるだけこの憲法の理想に向つて進んで参りたい、かように考えております。
  38. 大泉寛三

    ○大泉委員 教職員の数は、戰前に比して現在はどうなつておるか、これをお聞きしたい。
  39. 内藤誉三郎

    ○内藤説明員 これは終戰前の教育体系と終戰後の教育体系が、根本的に違つておりますので、今ここでこの数字をお示ししても、あまり意味がないと思うのでありますが、終戰後の状況から見ますと、昭和二十二年、三年、四年は、この六・三制の過渡期でありまして、一応昭和二十四年が完成年度になつておりますから、完成年度をとつてみますと、二十六年度は総体的には若干の低下になつております。特に各府県別に見ますと、貧弱な府県は、ほとんど大部分は低下しておるというのが実情でございます。いずれこれは書類によりまして御説明申し上げたいと思います。
  40. 大泉寛三

    ○大泉委員 本法案による国庫負担制度の創設の結果は、地方税制等についても考慮をする必要があるのであるから、これら全般的な方針を決定しない前に、本法案審議することは、意味が薄弱なばかりでなく、はなはだ危險であつて、しかも義務教育費のような重要なものを早急に決定することは、国政の基本をゆるがすものではないか。文部当局に御説明を願います。あるいはまた、提案者でもよろしゆうございます。
  41. 内藤誉三郎

    ○内藤説明員 先ほど若林委員からお話がございましたように、国庫負担するということの原則をきめておいて、あとで地方税制の改正と関連して、どういうふうに国が負担金を配分するか、または地方がどの程度負担するかということは、これは現行の地方税法がそのままならば、私どもにも案があるのですが、伝えられるようにシヤウプ税制に対する改正が予想されますので、この点をむしろ避けて、地方税制の改正がスムーズに進むようにという意味で、あとに延ばしたのであります。
  42. 大泉寛三

    ○大泉委員 もし本制度が実施された場合、国庫負担金の申請、交付、使途の報告及び監査あるいは監督のため、行政事務は増加し、しかも煩雑となり、負担金獲得のため陳情等、労力と経費がかさむこととなり、行政事務の簡素化、国民負担の軽減を標榜するわが党の方針に反するのではないか。これに対して御答弁願いたい。
  43. 内藤誉三郎

    ○内藤説明員 従来国庫負担制度は、大正の初年から始まつて昭和二十四年度まで続いておりまして、県にはこれに関する事務に非常に精通した人がおりますので、私どもは別に新しい負担だとは考えていないのであります。それから陳情等につきましては、陳情のないように、これも若林委員から御説明のありましたように、算定基準を明確に規定しておりまして、行政裁量の余地をできるだけ少くいたしておりますので、そういう意味で陳情等のこともない、かように考えております。
  44. 大泉寛三

    ○大泉委員 それでは、次にお伺いいたしますが、提案者の説明に、重大な段階にある義務教育費についてその財政的な裏づけをする制度は、六・三制建築補助と若干の起債を除けば平衡交付金制度のみで、これては緊急の事態を解決するわけには参らないと言われておるのでありますが、むしろ地方税收入を充実することが、財政的裏づけの根幹をなすものではないか、文部当局に伺います。
  45. 内藤誉三郎

    ○内藤説明員 私ども地方税の充実強化につきましては、非常に賛意を表するものでありますが、この法案は、一応現在の税制体系を基礎にして考えておられるのであります。そういう意味で、将来地方税の充実強化ができることは、非常にけつこうなことであり、またそうしていただきたいと念願しておるのでありますが、これも国の財政上の点からなかなか困難も予想されますので、とりあえず現在のところを一応基準にいたしまして、二分の一という負担率が妥当ではなかろうかと考えるのであります。
  46. 大泉寛三

    ○大泉委員 地財委の奧野さんが見えているようでありますから、これに対する地財委意見を、簡單でいいから承りたい。
  47. 奥野誠亮

    ○奥野説明員 先ほどお話のありました地方税收入がどう伸びておるかという問題につきましても、はつきりいたしていなかつたようでありますので、具体的に申し上げておきますと、昭和二十四年度、義務教育費国庫負担制度の存在いたしました最後の年度の地方税総額が千四百三十三億、これが昭和二十七年度におきましては二千九百二十四億と、二倍以上に伸びて来ているわけでございます。やはり義務教育につきましても、地方要求に応じて、いろいろと施設の充実強化をはかつて行くべきでありますので、一方的に国が財源配分するという問題よりも、やはり独立税收入でまかなつて行くのが理想であると考えます。国がわざわざ国税として取上げまして、それを負担金として地方団体に交付するくらいなら、同じ方法国税地方税委讓という形でできるはずであります。こういう法律をお出しになりますならば、同じような考え方から、国税委讓の形もとれるはずであると考えております。
  48. 大泉寛三

    ○大泉委員 この問題は、文部委員会の各委員の方々と、地方行政委員会委員の立場においては、別に対立というわけではないでしようけれども、われわれ自由党においても、どうもあまり意見がしつくりしておらない。そこでこの問題に対しては、私どもは実行に当る財政当局と緊密なる連絡をとつて合理的に解決したいと念願するものであるから、とにかくこういう資料をもつてお伺いしたのであります。今まで若林先生の御説明その他当局の御意見等を私は承りました。この程度で私はとどめておきますけれども、どうか文部当局と地財委当局との話合いが完全に行かれることを期待し、そうしてこの法案に善処されるように、私は望んでやまないのであります。意見を差加えてはなはだ恐縮でございますが、これで質問は終ります。
  49. 竹尾弌

    竹尾委員長 次に床次徳二君。
  50. 床次徳二

    ○床次委員 簡單に提案者に伺いたいことは、今日義務教育が、必要な経費が確保されないために非常に窮迫にあるということにつきましては、私どもも同感です。その原因は結局現在の平衡交付金では期待できないというところにある。この点に関しましても、私はその通りであると思う。しかしながら、この提案の説明に書いてあります理由を拝見いたしますと、いささかおかしいところがあると思うが、その点についてお聞きしたい。特に提案者に対して私が伺いたいと思いますことは、平衡交付金交付金の額の決定は常に政治問題化し云々と書いてあるのですが、平衡交付金の総額の決定について、提案者はいかように考えておられるかということです。私ども平衡交付金が政治問題的に決定されるということは、あるべきことではないと思つておるので、この点について、まず提案者の御意見を承りたい。
  51. 若林義孝

    若林委員 われわれは、地方知事その他から、今年度の平衡交付金増額についても、床次委員も同様でございましようが、相当強烈な増額の運動を受けたのでありまして、おそらく三十日くらいすわり込みの運動を受けたわけであります。それでこの平衡交付金について、政治的含みがあることを指摘いたしたわけであります。なお配分につきましても、本案は教育費算定基準を明確にしておきましたが、その算定基準においても、相当の政治的含みが予想されるのを懸念するのであります。
  52. 床次徳二

    ○床次委員 まことに提案者の言われる通りでありますが、私どもは、平衡交付金の総額が何ゆえに少いかということについて、提案者自体はお考えにならなかつたろうか。これは與党という立場においても、相当責任があるのではなかろうかと思うのであります。われわれはかねがね平衡交付金増額を大いに主張しておつたわけで、われわれの希望するように予算増額されれば、皆さん方の御懸念はなかつたのではないかと思うのですが、この点について、提案者としてはお考えがあるのではないかということをひとつ伺いたい。
  53. 若林義孝

    若林委員 平衡交付金が理想に近いほど増額を見れば、相当の目的が達成されるから、この法案の必要がないではないかというお考えをお持ちの御質問ではないかと思いますが、われわれといたしましては、たといその増額がいかようでありましようとも、一応教育費については、明確な基準を置いておくべきだという気持の方が主でありまして、今年度は現在の平衡交付金の中において最低限度教育費を確保する。それから明年度からは、この算定基準従つて平衡交付金制度を離れて国庫が半額を補償して行こう、こういうねらいでございます。
  54. 床次徳二

    ○床次委員 追究はいたしませんが、平衡交付金の総額の基礎になりますところの義務教育費所要額の総額、これに対しましては、文部省の希望並びに地財委がきめました数字というものがある。結局妥協案としてああいう数字ができたと思うのですが、提案者は今後これを増額しようというお考えのように私ども考える。私も増額する必要があると思う。ただ、これを増額するにつきましては、教育基準というものをいかようにきめるかということについて、はつきりした基準の根拠法をつくられることが望ましい。地方行政委員会におきましても、平衡交付金審議の際において、すみやかに教育の施設、内容基準たるべき基礎法をつくるべきことを政府に要望してあるのであります。この点に関しまして、文部当局としましては、施設、内容基準たる法律の作成が今日のごとく遅れているのでありますが、それをお出しになつて、さらに平衡交付金だけでは実情において確保できないから、これを確保するような法律を出すというお気持は私どもよくわかるのですが、私どももできるだけ義務教育費を増したいと思う。しかし増額しやすい順序をお踏みになることがいいのではないかと思うのですが、この点に関して御説明を伺いたい。
  55. 内藤誉三郎

    ○内藤説明員 教育基準につきましては、文部当局も学制改革以来一つの成案を持つておつたのでありますが、司令部の方の関係もございまして、どこで線を引くか、関係方画の方ではミニマムを非常に限定したのであります。ところが、文部省考えているのは、学校の定員とかあるいは建物の坪数とか、相当詳細な基準で話合いを進めた。その基準の問題で、司令部と文部省側に相当な食い違いがあつて、遂に今日まで及んだのであります。私どもも、学校基準に関する法律案というのを、当初から準備しておりますので、近くこれが成案を得ると考えるのであります。ただ、司令都側の考えでは、あまりに基準をこまかくしますと、地方自治を侵害することになりますから、基準はなるべく大まかで——司令都側の基準ですと、ほとんどあつてもなくてもいいような基準になりますので、そういう基準ではわれわれは困るということを主張して参つたのであります。そういう意味で、日本が独立しましたので、別に教育の学校基準に関する法律を整備いたしたいと考えております。  それから今の平衡交付金制度ではなぜいけないかというお話ですが、この平衡交付金制度については、アメリカでやつた場合は、教育費だけでしたので成功したと思うのです。と申しますのは、教育費算定が非常に楽なことと、もう一つは、地方の税收が財産税一本であつたという点で問題がなかつた。ところが、日本の場合には、地方行政全体になつておりますので、この中には義務教育のような経費も入つておりますし、その他三十数項目に上るような地方行政全体の経費を保障するというところに無理があるのではなかろうか。そこで算定の容易なものも、算定のほとんど不可能に近いような経費も一緒に入つておるので、この中で教育費を確保することは非常に困難ではなかろうか。従つて大蔵省査定する場合に、義務教育費については、従来の国庫負担基準がございますので、比較的教育費については問題はなかつたのですが、その他の経費の算定についてまた問題があり、財政需要の面においても問題がある。收入面におきましても、地方税收入をどの程度に見込むかという点について相当問題があるのではなかろうか。従つて、その差額である平衡交付金がなかなかきちつと出にくい。そこで今度地方行政委員会では、法律でこの経費を法定されようというお考えのようですが、これについても、最近の物価の変動あるいは給與ベースの改訂等の予想されます時代においては、はたしてこれによつて保障されるかどうか。しかも、その経費が何に使われてもいいということになつておりますから、それでは義務教育費保障され得ない。それでは義務教育も困るし、地方財政も困る。これを明確にいたしますならば、義務教育費も確保されるし、地方財政もその大きな部分を占めている義務教育費が確保されることによつて安定するのではなかろうか、かように考える次第であります。
  56. 床次徳二

    ○床次委員 ただいまの地方財政に対する御意見は、まつたく私どもと違うと思うのです。非常に判断が違うと思つております。ただ地方財政の中において、所要額だけとれないのは、平衡交付金そのものが非常に少いからだということが明らかにいえると思う。従つて、十分教育費わくをとるためには、教育費たるもののわくを確立するということが必要ではないか。わくを確立せずして所要額を確保することは、困難ではないかということを、私ども第一に考える。もう一つは、やはり所要の教育費を確保するためには、所要の地方財政需要を確保するということが必要になつて来る。すなわち、必要な平衡交付金の総額をとらなければならぬことになると思う。しかし提案者のごとく、どうしても所要の平衡交付金が今の政府のもとにおいてとれないというならば、これはまつたく意味が別でございまして、われわれといたしましても、別の方法によつて教育費を確保することはまことにけつこうだと思います。政府が所要の平衡交付金を計上しないというならば、やむを得ないと思いまして、われわれは別の形において教育費を確保するという趣旨については賛成である。しかし、提案者の当初の御説明におきましては、與党、政府としては、まだまだ努力する余地があるではないか。それを残しておられるようなふうにも考えられるし、そのために、事態の観測において多少判断が違つているように思われるので、特に伺つたわけであります。  それで、教育費の額の点について重ねて伺いたいのですが、今度教材費だけを新しく考えておられますが、教材費そのものについて、本年度の予算の際に、それを教育費のうちに考えておつたか、あるいは考えていなかつたか。これはPTAその他において負担するというのでもつて標準教育費の中から落されておつたものかどうかということについてお伺いしたい。
  57. 内藤誉三郎

    ○内藤説明員 教材費も、現在の平衡交付金制度基準財政需要の中に、一応入つておるのであります。ですが、市町村関係では、建物の減価償却の分と教材費から、いわゆる維持運営費、光熱費、水道料、通信運搬費とが一応見込まれておりますが、額が少いので、なかなか思うようになりませんし、一方PTAの寄付金は少しも減少しないというような状況にありますので、この法案考えていらつしやることは、大体PTAの寄付金を解消する程度に、新たに国庫から負担していただきたい、そういうお考えと思うのであります。それから現在市町村の教材費については、大体交付金と地方税の中で七十億程度見ておるのであります。ですから、これを加えますと百二十億程度になると思うのであります。
  58. 竹尾弌

    竹尾委員長 次に大矢省三君。
  59. 大矢省三

    ○大矢委員 私は、この法案の通過を熱望しておられる提案者に対して、さらにまたこの通過に対して非常に関係の深い文部、大蔵——大蔵は来ておらぬようですから、地財委の奧野さんでもけつこうですから、お尋ねいたしますが、この法案は提出が五月七日になつて地財委の方の参議院、衆議院の議長あてに出している意見書は五月二十一日になつております。一体この間、これを提案するにあたつて地財委、大蔵との——文部省もこれの通過を願うようでありますが、その間提案者、文部省がこれらの関係各方面に向つて折衝されたことがあるかどうか、この点をまずお伺いいたします。
  60. 若林義孝

    若林委員 折衝をいたしております。なお折衝中であります。それから文部委員会のときに、私から説明し、協力をお願いしたのであります。また先ほど大泉委員からの御発言の中にもありましたが、役所同士がよく話し合うというお話もあつたのでありますが、正直に言つて、この折衝は事務的にきわめて困難でございます。また各省々々が自己の職務に熱心であればあるほど、この妥結は困難でございます。單なるセクシヨナリズムに堕しておるというような気持を離れまして、自己の職務に熱心であれば熱心であるほど、非常に困難である。それからこの間地財委の方の御意見があつたのでありますが、あの御熱心さをもつて、もし文部省の事務官であつたならば、あれより以上、またこれを守る方のお説が出たであろうと私は思うのでありまして、一応敬意を表してすべて聞いておりまして、党におきましても、この両方なり第三者の中をとつた最低線をねらつての妥協案を作成したのがこれなんであります。この上は、われわれといたしましても折衝を続けるのでありますが、責任政治、政党政治の建前から、国会の意思を政府に反映して、この妥協を早からしめたい、こういう気持があるのであります。それから各党と提案者との関係について、おいででございませんでしたから、一応お耳に入れておきたいと思うのでございます。  従来こういう問題については超党派的に取扱つておつたのでございます。各党におきましても、いと懇切な、熱心なる案ができておつたのでありますが、その折衝がこれまた相当困難だと思いましたので、一応最低の線で出したのであります。この法案につきましては、文部委員会の各政党関係では、いろいろ御不満の点もあるでしようけれども、一致協力して御支持を願うよう、また政府へも、この国会の圧力といいますと、ちよつと言葉が惡いのでありますけれども——を加えて行つていただきたい、こういうように考えております。
  61. 内藤誉三郎

    ○内藤説明員 文部省の方でも、事務的にいろいろと折衝を重ねて参つたのですが、何しろ根本的に意見の対立がございます。文部省側の方は、義務教育は国の義務である。憲法上の国の義務であるから、あくまでも義務教育費は国が財政的な責任を負うべきだという見解であり、地方財政委員会の方では、義務教育地方の義務であるから、地方財政の中で地方が見るべきであるという主張のようでございます。そういう根本的な対立がありましたので、閣僚と與党との懇談会を開かれまして調整に努められたのですが、遂に妥結を見なかつたことは、私どもも非常に残念に思つておるのであります。
  62. 大矢省三

    ○大矢委員 今承つておりますと、各事務官が熱心の余り、どうも妥結を見なかつた。しかしながら、双方の意見を聞いて、大体最低線と申しますか、これならばまとまるであろうという見通しのもとに、この案が提案されたようであります。そういたしますと、なお熱心のあまりいろいろ意見があるけれども、この案ならば双方がまんができる。従つて、そこには一致点を見出せるであろうという確信といいますか、心境といいますか、これならば大体事務的にまとまりそうだ——ども考えはまた別でありますが、提案者はそういうお考えかどうか、その点を……。
  63. 若林義孝

    若林委員 その通りでございます。なお前々回文部委員会へ岡野国務大臣が出席せられまして、私が今申し述べましたと同じように仰せになつておりました。なお地財委としての反対の理由も、堂々とその大綱をお述べになつたのであります。しかし、国会で御意思が決定すれば、欣然これに服するという特別の御発言もあつたのでございます。
  64. 大矢省三

    ○大矢委員 それから、これは地財委の奧野さんにお尋ねしますが、八項目にわたつて、なかなか激越な字句を使つて反駁しておるようであります。これを文書に出すまでに、大体提案が今申しましたように五月七日になつておりまするし、文部省の意向も大体察知したと思いますが、その事前に、こういう文書を出す内容について、文部省と折衝されたか、その点をひとつ……。
  65. 奥野誠亮

    ○奥野説明員 自由党の政調会を中心にして、たびたび会合がございました。その都度地方財政委員会としての意見を申し述べて来ているわけであります。しかしながら、地方財政委員会が主張して参りました意見が何らいれられておりませんので、そのような意見書を、自由党から法律案が正式に出されましたあかつきにおいて、再び提出することにいたしたわけであります。
  66. 大矢省三

    ○大矢委員 その程度にしまして、例の戰災復興建築費用その他について、特に大都市の建築基準法による防火建築が非常に強く要望されておりますので、従つて、建設費が非常に相違のあることは御承知の通りであります。特に大都市は、地方税法の改正によつて赤字を持つており、さらに多くの公債を発行して、この建設は非常に困難であります。現に非常に教育行政の行き詰まつておる原因もそこにある。そういう場合に、提案者なりあるいは文部省、あるいはまた平衡交付金において、今後これを確保する一つの精神から行きまして、どのように考慮されて扱われたか。これを申しますのは、地方財政の確立のために税法が改正になりましたが、そこにはどうも画一的にものを決定されるために、地方と大都市の間に非常に教育行政の上に不均衡が来まして、ことに教育職員の問題であるとか、あるいは建築費の問題等で、非常な赤字の上にさらに困窮を来しておるような実情でありますから、この点をどのように考慮され、今後またどういうふうに扱おうとされるのか。これはこの法案についての意思を決定する上にきわめて重要なことでありますので、この機会に文部省平衡交付金の関係で地財委、それから提案者、この三者に御答弁をお願いして終りたいと思います。
  67. 若林義孝

    若林委員 提案者の気持といたしましては、大矢委員の仰せになります通りの熱意に燃えておるわけであります。この法案をまだ第一歩といたしまして、所期の目的に向つて進みたいと考えております。
  68. 内藤誉三郎

    ○内藤説明員 都市の場合の建築の問題ですが、戰災の場合と災害については、従来負担区分が明らかになつておりませんので、この際二分の一の国の補助負担を明らかにしたのであります。都市は特に人口移動で非常に集中されますので、起債についても建物は生徒一人、小学校の場合は一・一、中学校は一・四六坪で、総面積を五十年で更新できるに必要な起債を認めてもらう、その起債のわくを確保するようにいたしてあるのであります。これが従来の地方財政法五條の特例となつておりますので、義務教育については特別に五條の制限にかかわらず、大都会では起債ができるような道が開かれておるのであります。そうしませんと、私どもの方の考え方では、平衡交付金財政調整が一応できておりますので、その上に義務教育のようなものは特別に起債のわくを見ない限りは、いつまでたつても二部教授、三部教授は解消されない。今日都会が一番二部教授、三部教授が多いところでありますが、それによつて義務教育の校舎ができるであろうということを期待しておるのであります。
  69. 奥野誠亮

    ○奥野説明員 基準財政需要算定いたします際に、それの基礎になります測定單位の数字が、どのような單位で市町村に帰属しておるかによつて割振りいたしましたりすることによりまして、町村の実情に合致するような措置を講じておるわけであります。なおまた戰災地につきましては、特に戰災復興費という項目を設けまして、罹災地の面積をとりまして、それらの団体に対して相当の財源を供與するというようなやり方もいたしておるわけであります。なおまた地方債の詮議にあたりましては、団体の財政需要、あるいはまた団体におきまして必要な経費を基準にして配分するように心がけて参つておるわけであります。
  70. 竹尾弌

    竹尾委員長 次に門司亮君。
  71. 門司亮

    ○門司委員 ごく簡單に聞いておきたいと思いますことは、主としてこの法案に反対されておる地財委に、この機会にもう一言聞いておきたいと思いますが、地財委は現行の地方財政平衡交付金内容によつて教育行政が完全であるとお考えになつておるかどうか。
  72. 奥野誠亮

    ○奥野説明員 現在の義務教育の施設が、はたしてこれで適当であるかどうであるかということを考えますにあたりましては、何と比較して適当であるかという問題になるだろうと思うのであります。そういう意味合いにおきまして、地方財政委員会といたしましては、従来から、国会の議を経ましてこれらの企画の基礎となるべきものをつくり上げて行きたい、府県なり市町村なりが努力すべき目標というものを明らかにすべきじやないか、かような考え方を持つておるわけであります。しかしながら、義務教育費国庫負担制度がありました時から、現在どうなつているかということだけを考えて行きましたならば、先ほど内藤課長からお話がありましたような、教員数が減つて来ているということは、まつたく事実を違えている、かように考えているわけであります。戰前からずつと増加の傾向のみをたどつてつて来ております。いずれ文部省から数字が出されるということでありますので、その数字を見せていただいた上で、よく検討させていただきたい、かように考えておるわけであります。なおまた、市町村の基準につきましては、現に六・三制新教育制度から、新制中学が建設されなければならないことになつております。これが国と市町村の折半負担というふうな形になつておりますけれども、現在の〇・七坪では職員室もないし、特別教室もない、また国の折半負担の基礎には、そういうものは入らないし、土地の購入費が入らない、二階建の場合には階段も入らないというような基礎は、穏当ではないのじやないだろうか。そういう意味合いにおきましては、私どもといたしましても、現状においてなお不備である、この充実にこそもつと力を盡さなければならないのじやないだろうかという考え方を持つております。
  73. 門司亮

    ○門司委員 そういたしますと、こう解釈してよろしゆうございますか。そういう不備があるから、何らかの処置はとらなければならない。この法律は、内容が必ずしも充実したものとはいえませんが、しかし、そういう理想へ近づく一つの段階であるというふうに解釈してもさしつかえありませんか。
  74. 奥野誠亮

    ○奥野説明員 国力の重点の置き方、言いかえれば、優先順位を間違えている、かような考え方を持つているわけであります。たとえば市町村の問題でありますならば、戰争中、市町村が戰争協力の見地から、建てたい建築もしないで来たわけであります。そういう意味合いにおきまして、今日老朽校舎というものが山積しております。この問題を解決しなければならない。また今申し上げましたように、新制中学というものは、非常に不備であります。これを充実して行かなければならない。せつかく新制中学に対しまして国家が二分の一の負担をすることになつておりますけれども、〇・七坪という基礎をもつと上げなければならないだろう。しかもまた、来年度以降になつても継続すべきであろう、かような考え方を持つているわけであります。
  75. 門司亮

    ○門司委員 そうすると、この法律では、そういうものは実現されないというようにお考えでございますか。
  76. 奥野誠亮

    ○奥野説明員 そのように考えております。
  77. 門司亮

    ○門司委員 私はその点で、地財委意見を少し聞いておきたいと思います。地財委は、御存じのように、自治庁設置法案が全国会を通過いたしますと、今の地財委の形はなくなります。そうして、これは財政調整委員会という形で、この自治庁の中に包含されることになつて参ります。そうなつて参りますと、地財委というものの性格が非常に薄くなつて参りまして、ただ内閣の中にあります自治庁長官に対して意見を具申することができるというだけしか書いてない。今のような勧告権は、なくなつて参ります。しかも、自治庁設置法案のそうした問題について、一昨日の内閣委員会で、私質問いたしましたときの大臣の答弁では、非常に地財委が弱くなるということはいえない。とにかく私が意見を聞けば、勧告案であろうと、大臣が内閣に対して意見を具申するのだと、力が弱いとは言えなかつただろうと思いますが、かわりがないから、地方財政委員会がなくなつてもさしつかえはないというような御意見だつた。ところが、その御意見の先について参りましたものが、地財委の勧告権というものがなくなつて地方財政が非常にきゆうくつになつて来ることが予想される。と同時に、現在の地方財政平衡交付金というものが、地財委の力が弱くなれば、必然的にこの制度が弱められて来て、そうして国の財政の都合で、地方財政がきわめて不利な立場になるであろうと思いますが、それに対してどうかということを聞いたときに、これは国と地方が一体のものであるから、国の財政の都合で地方財政平衡交付金が減るかもしれないという答弁があつたのであります。もしそうなつて参りますと、教育行政については、非常な危機が来るであろうと思う。しかも憲法で無償でするということをきめております以上は、その無償の責任が国にあるか地方にあるかということは別にいたしまして、他のいずれの角度からも、教育行政というものは完璧を期するようにしておかないと、地方財政平衡交付金にたよつているわけに参らないのであります。従つて、私ども一つ考え方といたしましては、今地財委がおつしやつているような、各方面から検討するというようなことでは、実際上の安心はできないのであります。そういう角度から考えて参りますと、きわめて微温的なものではありましても教育行政については、やはり国がはつきりした予算的措置を講ずるの道を明けておくということは、この際どうしても必要だと思うので、この点について地財委意見をもう一度承つておきたいと思います。
  78. 奥野誠亮

    ○奥野説明員 勧告権の問題は、委員からお答え願うようにいたしまして、その他の点について申し上げてみたいと思います。  今御指摘になりましたところの、地方財政平衡交付金の総額が、現状においては確保されがたいではないかという問題でございますが、これがやはり各省においても危惧されている点だろうと思うのであります。従いまして、先般地方財政平衡交付金法の改正にあたりまして、御審議いただきましたように、平衡交付金の総額が、法律の基礎に基いて全部算定されて行くというようなことにいたしたいというような関係から、單位費用を法律で定めましたし、さらにまた、数値の算定基準とか補正係数とかいうようなものも、全部法律できめるというような方針をとつてつておりますし、同じように、義務教育費の問題も、その他の行政費の問題も、これらの法律の基礎に基いて算定されて来ることになりますので、総額はやはり確保されて来るのではないだろうか。従つて、その総額の中でさらに義務教育費を確保しようといたしますならば、義務教育費算定費用に考えております單位費用をどう定めるかというような問題についても、確保が容易になつて来るだろうというような考え方をしておるのであります。
  79. 上原六郎

    ○上原(六)政府委員 地方財政の問題につきまして、平衡交付金あるいは起債の問題につきましては、従来、地方財政委員会設置法によつて意見書の提出あるいは勧告の提出権が認められておりました。その権限に基きまして国会に提出いたしました場合に、国会におきまして十分御審議を願つておりましたことは、御承知の通りであります。しかし、今回政府が提出しております自治庁設置法案にあります地方財政審議会は、そういう意見書の提出あるいは勧告の提出ということを認めておりません。従つて自治庁の内部機構にとどまるわけでありまして、この点につきましては、地方財政委員会としては、やはり従来通り意見書の提出、勧告権というものを與えてやつていただきたい、こういう希望を持つております。
  80. 門司亮

    ○門司委員 奧野君のせつかくの御答弁でございましたが、今の地財委関係としては、そういうことになると思いますけれども、しかし大臣の御答弁は、地方財政平衡交付金政府予算の都合で多くなるが少くなるかわからないという御答弁でありますので、一応大臣の答弁を信用すると、算定の基礎が出ておりましても、きわめてこれは怪しいものだという感じを持つたのであります。  最後に一つだけ提案者に聞いておきたいと思いますことは、提案理由の一番最後の項でありますが、ここに書いてあります文字の中に私どもの納得しがたいものが少しあるのであります。それは「憲法に保障された義務教育が国策の根幹であることを明らかにし、防衞力漸増と相並んで、教育文化と尊重するゆえんを中外に宜明するもので」と書いてあります。教育文化というものを非常に重大視するということは必要だと思いますが、これが「防衞力漸増と相並んで」と書いてあるところに、思想的な問題が含まれていると思う。戰争をしないということをきめた日本の教育行政の上に、提案者の思想の中に、こういう「防衞力漸増と相並んで」という文字が使つてあるということはいかがかと存ずるのでありますが、提案者は、この文字を、取消される御意思があるかどうか。
  81. 若林義孝

    若林委員 ここの意味の防衞は、嚴密な意味の国防ということではなしに、治安というものに重点を置いてあるのであります。国家予算にいたしましても、普通は国防という意味のことは現われて来ておりません。しかしながら、国内防衞というものについて相当の予算が盛られておりますことは、事実でございます。教育と国内治安というものとは、これは離るべからざるものではないかと考えております。そこで国内治安費だけを増しても、教育を軽んずるというようなことがあつてはならない。その兼ね合いにおいては、非常に微妙なものがあると思いますので、その点を言うておるのでありまして、これが国防という意味のものでないことを、ひとつ御承知おき願いたいと思います。
  82. 門司亮

    ○門司委員 私は今提案者のお話で、そういう意味だということは一応聞いておきますが、しかし私どもが杞憂いたしますものは、これもやはり一つの思想的の動向でありまして、お互い思想が違つていればやむを得ぬと思いますが、こういう取扱い、教育もやはり国防の問題と同じように考えるという重要性の見方です。重要性の見方は、非常に重大な問題でありまして、私どもから考えて参りますならば、やはりここに、日本の平和を守ることのためにも教育行政が非常に必要だ、こう書いてあれば、わかりがいいのでありますが、防衞という言葉が使われております。これは国内防衞ということは言えないのでありまして、防衞というものは対外的の問題であります。内部的防衞というものは、内部的の抗争を意味するものであつて、私は重ねて、もしこういう言葉はお取消しができるならば幸いだと思います。
  83. 若林義孝

    若林委員 ここで使つておりますのは、先ほど申しましたような気分でございますので、解釈をそう願いたいと思います。  それから、国内治安と教育ということについては、これは微妙なものがあります。治安というものがあつて教育であり、また教育が進むに従つて治安費が少くて済む、こうわれわれは考えておるわけであります。
  84. 竹尾弌

    竹尾委員長 次に、八百板正君。——八百板君にお願いいたしますが、もう時間が来ておりますので、たいへん恐縮でございますけれども、できるだけ簡單にお願い申し上げます。
  85. 八百板正

    ○八百板委員 委員長の御注意にもありましたし、大分問題はしぼられて来ておりますから、簡單に二、三点お尋ねいたしておきたいと思います。ただいま門司委員から、提案者の心構えについて御質問がありましたが、これは非常に重大でございます。どういうお考えで立てられたかということは、今後どういうふうに発展して行くかということと関連しますので、重ねてそれと関連してお伺いしたいのでございますが、提案者は何か昔の、教育の義務徴兵の義務といつたようなものを並べたような、そういうような意味でお考えになつておられるとしますと、これは重大だと思うのでございますから、この点、もう一ぺんはつきりお答え願いたいと思います。  なおそれと関連いたしまして、教育委員会制度の問題でございます。教育委員会制度の公選を続けて行きたいというのが、われわれの念願とするところでございますが、これが廃止というような話が、ちよいちよい出ております。こういうことに対する提案者の見解も、この法案審議する上に非常に重要な参考になりますので、この際、先ほどのお話とあわせてお答え願いたいと思います。
  86. 若林義孝

    若林委員 第一の御質問は、門司委員にお答えいたしだとかわりませんですから……。第二の御質問教育委員会制度の公選につきましては、御質問になりました趣旨とわれわれはかわりません。あくまでも公選の意味をもちまして、教育委員会の権限を確立して行きたいものだと思つております。なお、先ほど大泉委員にお答えをいたしたときに申しましたように、学校教育にいたしましても、社会教育にいたしましても画一的な教育にあらずして、その市町村に溶け込んだ独自の教育、こういうことでなければ真に日本の民主化ははかれない、こう思うのでありまして、そういう意味で、教育委員の公選という意味もいわゆる変化さすことなく、公選の精神を強めて行きたい、こう考えております。
  87. 八百板正

    ○八百板委員 この法律で問題になりますのは、申すまでもなく、教育費が事実上ふえるかどうかという問題であろうと思うのであります。そういう点について、提案者の将来についての熱意は、非常に示されておりますが、具体的に教育費がふえるという確保の法的な根拠は、非常に浅いようであります。とりあえず当面問題になりますのは、何といつても具体的に給與費がどういうふうに考えられているかという点だろうと思うのでありますが、給與費の点について、実績を下まわらないような保障考えられているかどうか。すなわち定員をどういうふうに見て、欠員をどんなふうに見て、平均額が——ことに今平均額が、地方公務員の場合は、一応国家公務員よりも高いというふうな説が往々にして出ておる場合でありますから、どういう前提に立つて考えを立てられておるか、どの線を充足することを頭に入れておられるか、これをひとつ御説明願いたい。
  88. 内藤誉三郎

    ○内藤説明員 この算定基準で行きますと、小学校は兒童数五十人について一・五、中学校は五十人について一・八、そのほかに結核教員の分といたしまして、二・四四%見込まれております。そこでこの定員給與單価、国立学校の例によるところの給與單価を乗じますと、大体現在の教員給與費がまかなえるという確信を持つております。三百七十五円高いという大蔵省数字が出ましたのは、これは国立学校の例に比べまして、大体全国平均いたしますと三百七十五円という数字が出たのであります。これは国庫負担当時は、大体国立学校との差は四号ないし五号が平均でありましたが、最近は非常に縮まつて来たのであります。これは地方公務員全体の問題でございまして、府県吏員は、大蔵省の調べによると四百六十二円、市町村が五百七十六円高いという結論が一応出ておるのであります。そうしまして、この三百七十五円の操作は、今の実員と定員との開きが約二万人程度ございますので、それで全国的にカバーできる、かように考えておるのであります。従来の算定基準から前進いたしましたのは、結核の分が、従来の昭和二十四年当時の実績が教員総数の一・三三であつたのを、二十六年度の実績であるところの二・四四に改めてあるのが一つ、それから事務職員の分が従来は法定されてありませんでしたが、このたびはそれが従来の実績を基礎にいたしまして、国庫負担対象にいたしたという点が、やや進歩の跡と思うのであります。
  89. 八百板正

    ○八百板委員 実績を下まわることがないことを、われわれは期待するわけでございますが、片方の教育費がふえるという確保がなくて、ただ役所の所管がかわるというようなかつこうにだけなりますと——少くとも二十七年度はそういう危險が多いのでございますが、そうしますと、結局において、いわゆる問題とされております教育行政地方職員の弊害というものが、一番問題になるわけてございます。監督官庁であります文部省が、とかく地方の上に立つて教育内容等に対する統制を容易にするような條件をつくり出す危險があるわけであります。そういう点について、文部当局はどういう心構えを持つておられますか、この際明らかにしていただきたいと思います。
  90. 内藤誉三郎

    ○内藤説明員 この点については、中央集権的にならないように最善の考慮を拂いたい。実際の問題といたしましては、各地方義務教育費算定基準は、全部法律で書きたい、そこに行政官庁の裁量の余地が少くなるように、最善のくふうをいたしたいと考えております。
  91. 竹尾弌

    竹尾委員長 次に渡部義通君。——渡部君にお願いしますが、もう一時半に近いのですから、例のごとく長講一席をおやめくださいまして、どうぞ簡單にお願いします。
  92. 渡部義通

    ○渡部委員 文部省に関する部分はあとまわしにして、地財委の方にだけお伺いします。  憲法の義務教育に関する事柄は、国家負担において義務教育の無償、機会均等等を保障するという点にあるものが、現在においてはこれが完全にできないということは、両方とも言つておられるので、できないということ自体に問題があるのでありますが、これは別にしまして、この法案が出たということは、言いかえれば半額国庫負担をすることによつて教育費の確保を一歩前進させようという考え方は、現在の平衡交付金のもとでは、教育費が他の予算に食い込まれて実際実現できないのだという見通しの上に出ているということが、今までの文部委員会その他の討論でも、提案者の方には明らかになつていることだと思います。ところで、その現象としては、給與地方差が、あるいは低下がはつきり現われて来るとか、定員が少くなつて来るとかいう形で出て来ている。平衡交付金のもとでは教育費の確保ができない、ますます困難に追い詰められて行く現象形態であるというふうに、文部当局の方では見ているのですが、しかしこの現象形態そのものについて、意見がまつたく矛盾している。ここに私は、現在のような條件のもとで、この法案について考える場合にさえも、解明しておかなければならない問題があると思うのです。しかし、それは今後地財委の方と文部省の方から数字を明確にして——数字はいろいろな角度からいろいろな形で現われるのですが、実態を明らかに出しておいてもらいたい。そういうことを前提にしまして、平衡交付金の内部操作における教育費が増大しているか減少しているかということを、はつきりつかむことができるかどうか、その点、第一にお伺いします。
  93. 奥野誠亮

    ○奥野説明員 地方団体ごとに教育費が幾らであるかということを、一応基準財政需要額の面では測定しているわけであります。しかし、平衡交付金は、負担金ではございませんで、交付にあたつて使い道を指定いたしましたり、あるいは制限をつけたりしてはならない、何につかつてもよろしい金であります、しかしながら、その交付金を幾らにするかということを考えますにあたりましては、財政需要の総額を計算しなければならない。財政需要の総額を計算いたしますには行政項目ごとに計算いたします。その計算いたしました額を使つている団体と、それまで使つていない団体とをとつて参りますと、大体従来から財政の惡かつた府県、言いかえれば、東北の県では基準財政需要額まで使つておりません。しかしながら、従来から財政のよかつた団体におきましては、基準財政需要額以上を使つております。地方財政平衡交付金制度のもとにおきましては、各地方団体間の均衡化の理想を達成して行こう、こういう考え方を持つておるものですから、従来施設の惡かつた団体につきましても、少くともこの程度までは施設を充実すべきであるという考え方のもとに計算しておりますので、そういう団体は、さしあたつてはそこまで使つておりませんが、漸次そこまで使うようになつて来るだろうと考えておるわけであります。従いまして、少くとも従来財政の惡かつた団体におきましては、従来よりも施設の内容がよくなつておるということは、明らかにいえると思うのであります。もとより財政の惡かつた府県におきましては、学校に一例をとりますれば、先生の資格構成も惡かつたと思うのです。しかしながら、基準財政需要が、ある程度それ以上に補償されて参つておりますので、漸次高める努力が行われつつある、こういうことがいえるだろうと思うのであります。その前提として、先ほど教育費の額がどの程度使われるかということについて、必ずしも保障がないという意味の御意見があつたわけでありますが、われわれは、どれだけの金を使わなければならないというところに問題があるのではないのであつて、どのような施設を維持しなければならないか、どのような資格を持つた先生を何人置けばよろしいか、あるいは教材をどういう種類のものを幾らそろえればよろしいか、こういう施設さえ維持されておるならば——少い金でそれだけの施設が維持されるならば、ほむべきことであつて、けなすべきでないという考えを持つておることを御了解願いたいと思います。
  94. 渡部義通

    ○渡部委員 つまり配分された平衡交付金をも含む地方財政全体の中で、教育費がまかなわれるということになれば、その場合に、不時のいろんな問題が起きる。たとえば一般の問題としては、先ほど文部当局からも説明があつたように老朽校舎をどうするとか、償却金をどうするとかいうような形で、教材費その他に用いなければならないものが、結局用いられないで終るような結果になる。その他洪水とか暴風雨とかいう場合に、早急に地方財政の中から負担しなければならない、厖大な予算要求されるということになると、今度は教育費の必要なものさえ切り詰めてしまつて、その方向に向けられなければならないという事態が起きて来ざるを得ないわけであります。その場合に、現在出されておるような法案でさえも、一歩進むということは考えられないことかどうか、地財委意見はどうなんですか。
  95. 奥野誠亮

    ○奥野説明員 お話のような点から考えまして、可及的に財政というものは総合的に運営しなければならない、切り離すような運営の仕方を行つてはならないというような考え方を持つておるのであります。先ほども申し上げましたように、平衡交付金制度のもとにおきまして、行政項目ごとに財政需要を測定いたします。しかしながら、決してこれらの交付にあたりましては、使い道を制限しないようにしておるわけであります。従いまして、ある場合には学校を建築する、その場合には、教育費というものは非常に大きくなるだろうと思うのであります。反面に学校の建築の済んだ翌年におきましては、教育費の額というものは若干少くなる。それだけのものは、ほかの方に充実できるというようなことになつて参るわけでありまして、小さい団体であればありますほど、総合的な運営を押し広めて行かなければならない、こういうふうな考え方を持つておるのでございます。負担金といいますものは、必ずそのために使わなければならないのでありまして、使途が特定されるものでありますから、それだけに彈力のないものなのでございます。そういう意味合いにおいて、負担制度について今申し上げますような点をカバーする、こういうようなことを申し上げておるわけであります。  なお一言、くどいようで恐縮でございますが、先ほど内藤課長から、アメリカにおいては、教育費についてだけ平衡交付金制度が行われておるから成功しておるんだというようなお話がありました。アメリカの制度を誤解されてはなりませんので、一応申し上げたい。御承知のように、アメリカはまだ国をなしましてから歴史が浅いわけであります。欧州各国その他から植民をされて、人が集団生活をしますために、いろいろな時々の要求に応じまして、道路を建設をするためには道路組合という自治団体をつくらなければならぬ、それから衞生施設を整備するためには衞生組合をつくり、学校を設けなければならないために学校組合をつくるというようなことで、個々の行政目的ごとに独立の地方自治団体をつくつておるわけであります。しかしながら、現にそれらが総合化されつつあるわけでありまして、教育につきましては、現在スクール・デイストリクトという特別の自治団体をなしておるのであります。これも総合化の過程にありまして、ニユーヨークその他二州におきましては、市町村において教育行政を担当するということに、漸次かわつて来ております。従つて、アメリカにおいてはスクール・デイストリクト——これは教育自治体、その学区に対する平衡交付金制度なのでありますから、特定するものは教育費しかないわけでありまして、当然のことであります。そういうことを例にお引きになつては、多少誤解しやすいと思いますので、アメリカの教育制度について一言申し上げた次第であります。
  96. 渡部義通

    ○渡部委員 そういうことを聞いているのではない。ぼくの聞いているのは、教育費を確保しなければならないということを前提とする限りは、一定のわくがあるのは当然のことであつて、その場合に、それが侵蝕されてはならない、他の費目のためにそれが食い込まれてはいけないということと、ことに洪水とか暴風とか厖大な経費を要する場合には、これに食い込まれる憂えがあるばかりでなく、現に食い込まれている。これを防ぐためには、今暴風等の例をあげましたが、そのような場合には、地方財政地方において特殊的な財政上の困難が起きるとすれば、これこそ国家地方団体とが協議の上、支出方法考えるべきであつて、このために食い込まれるようなことがあつてはならない。そういうこがあれば、教育財政を確保する意味は全然ないのじやないかということをぼくは申し上げている。
  97. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 これは私としては議論の盡きておるものでございまして、国会に御提案になるまでには、いろいろ私も反対意見を唱えておりました。むろん、その反対意見をひつ込めたわけじやございません。しかし、議案が国会に提出されたら、われわれ政府といたしまして、どうすることもできません。でございますから、皆様方の御意見によつて、この法案の処置をしていただきい、こう考えております。  それから、いろいろ御議論もございましようけれども、私は根本的には、今の平衡交付金制度が根本的にくつがえされてしまうような危險に瀕するというような法案に対しては、どうも賛成いたしかねる。でございますから、この次に地方制度調査会というものをつくりまして、この義務教育費国庫負担ばかりじやございません、各省に同じような問題がたくさんあるのでございますから、それを一括いたしまして、地方税法並びに平衡交付金法、あわせて国税と、この両者との関連というものを調整して、もう少しすべての国家事務が十分地方団体において遂行されて行くような、もつと完全な、もつといい制度にいたして行きたい、こう考えておりまして、この問題も当然地方制度調査会に打ち込んで、研究いたしたいと私は念願しておつたのでございます。しかし、教育に対する非常な御熱心の余り、この法案が提出されましたのでございます。意見といたしましては、私は地方財政委員会意見を支持しておりますけれども——これは皆様方の御参考に申し上げるわけでございまして、国会を私が動かそうとか、国会に対して反撃をしようというようなことは、一向考えておりません。
  98. 渡部義通

    ○渡部委員 地方財政委員会意見を支持しているというところに、問題があるわけであります。あなたに質問しなければならぬ問題があるわけでございます。つまり現在こういう法案が出たということ、これについて私たちは必ずしも賛成でなく、こんな不完全なものについては、もちろんわれわれは反対しなければならぬと思つていますけれども、しかしながら、この法案が出たということ自体は、文部省の報告によれば、平衡交付金によつて教員給與地方差が大きくなり、低下もしている定員も少くなつているという現情、またそういう傾向を防ぐことができない。そのために、教育費を確保するためには、国庫負担にすることが必要であるし、そのことが憲法の精神でもあるのだということから出されておる。従つて平衡交付金の状態が今日のような状態であるならば、これは教育費を確保することもてきなければ、教育の崩壊を防ぐこともできないということになると思います。従つて、もしこの平衡交付金制度のもとに教育の基礎を築いて、発展を飛躍的に高めて行くということであるならば、よしんばそうでなくて、現状を維持することでさえも必要であるということならば、平衡交付金をもつとふやさなければならぬのだが、どうも平衡交付金がふえる情勢はない。現にまた平衡交付金が、地方要求により、それから国会における参衆両院の支持のもとに平衡交付金の一定の額が上げられても、それが現在の軍事的な国家予算のために、実現が不可能であるというような状態のもとでは、ますますこの教育費の確保ということは困難になるわけであります。もし、あなたの意見が前提的にとられるならば、あなたの意見が強調されるとすれば、平衡交付金が今後もふえるのであり、また教育費確保に要するだけふやすことができるのだ、確保も含めてふやすことができるのだという確信があなたになければならぬ。こういう確信があなたにあられるのかどうか。今後もいろいろな障害が起きて来る。いろいろな障害が起きても、地方財政平衡交付金というものを、地方要求に応じ、国会要求さえもあつたような場合には、断固としてそれを貫き得るような條件があるのかどうか。このことなしには、教育費の問題は考えられない。
  99. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。地方財政は、御承知の通りに七千五億円が二十七年度の予算でございます。それでそのうち二千九百二十四億円と申すものが、大体これが主幹をなしているところの財政收入でございます。これは税でございます。それから国庫のほかの補助金が千五百億円ほどございます。そうして平衡交付金は千二百五十億でございます。そこで平衡交付金さえ増せば教育費がうんとよくなるかどうかということは、これは少し見当違いだと思います。でございますから、私どもといたしましては、先ほども申し上げましたように、地方が自分で持つているところの行政を完全にし遂げるたけの財源を、国家に依存する平衡交付金によらずに、税收によつてまかなわせるということが、最も理想的であろうと思います。しかしながら、御承知の通りに、日本の国情といたしましては、大阪とか東京とかいうような裕福な団体ばかりではございません、地方に参りますと、非常に貧弱な町村もございます。そういうふうな方面に対して、やはりつり合いのとれた地方行政をやつて行けるような税收を與えるために、平衡交付金というものは残しておかなければならぬ。そう考えております。そこで私考えますのに、税收をまず確保するということが一番大事なことだと思います。先ほども地方財政委員会の奧野課長から申し上げました通り、有力な団体は、平衡交付金で算出した需要以上に、やはり教育費に対しても、またほかの行政に対しても、支出しておるわけてございます。ところが、貧弱町村におきましては、この程度のいわゆる水準と称しますか、全般的の必要なる費用をちやんと算出して出しておりますけれども、それがほかの方面に食われて、あるいは今までの水準は維持しておりますけれども国家全体としての水準まて進んで行けぬというような地方団体がございます。でございますから、私の考えておりますことは、そういう方面にもう少し税收をたくさん差上げまして——平衡交付金は、ほんとうを言えば、これだけ差上げておるけれども、貧弱団体では、ほかの方面の金が足りないから、この地方教育費をこのくらいに減して行く、こういうことにして償つておるところもあると思います。ところが、あにはからんや、この減したというのも、今まであるものを減したのではなくて、今までの水準を保つて行けばいい、国家全体としては、一応あるべき筋合いのものを、それを今まではこのくらいの水準であるから、まあそれでやつて行け、ほかの足りぬ方にまわして行け、こういうことてやつているのであろうと私は想像しております。それはどこにあるかというと、地方財政というものが、そういう地方において非常にきゆうくつになつておるということが原因でございます。でございますから、このきゆうくつであるところの税收、すなわち地方の自治を確立します上においては、国家に依存した財政を立てるということは、これは本来の趣旨ではございません。できるだけ地方において税收をあげて、その税收でどうしても足りないという場合に、国家から平衡交付金を出すべき筋合いのものであつて平衡交付金というものは、これは財政收入の主体をなすものではない。そうして、地方行政は、主として自分自身があげたところの税收によつてまかなつて行く、こういう方向に進んで行きたい、こう考えておる次第でございます。そういうわけでございますから、今にわかにこの負担制度というものを検討するという、ことは私はまだ早過ぎるのじやないか、こう考えて、実は反対をし続けておつたわけてございます。
  100. 渡部義通

    ○渡部委員 あなたの意見は、地方財政の確立、言いかえれば、税收の確保ということを前提としてのみ実現し得るような、いわば理想であるのだが、今日の状況は、税收入の確保とか増強とかいうものとは、まつたく反対な方向に進んでおるわけです。今日国民がこれほどの收奪を受けて、これほどの窮乏状態にあつて、税收をふやすとか、税收をもつと確立して行くとかいうような條件にはないわけなんで、その條件にないからこそ、平衡交付金に対する地方要求というものが非常に強くなり、あなたたちもそれに少しは骨を折つたわけなんです。従つて平衡交付金というようなものが、今日そういう意味で重要な意味を持つている。その場合に、平衡交付金が今日のような状態でさえも、これは教育費を確保することができないはかりでなくて、教育の崩壊状態を来している。これをどうするかということが問題になつているわけなんで、ここではやはり依然として国家教育費を補償するという形が出て来なければ、現状のもとにおいては、これはいつのことか世の中がかわつてしまつて、時代が変革した後でなければとうていできないということになるわけです。だから、今日の問題として答えられる場合には、やはり平衡交付金を確保できるか、増大できるかということが、問題になつて来るのであつて、この場合におけるあなたの見通しや確信を、私は聞いておるわけです。
  101. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 一応先に申し上げておきますが、税收によつてやるということ、それがすく收奪とかあるいは増税とかいうように、もし誤解されることがありますならば、これはひとつ弁明しておきますが、私の税收と申しますことは、地方税を増收するということであつて、その地方税の増收ということは、もう一つ国税というものがありますが、国税とつり合いをとつて、国民の負担はやはりあまりたくさん負担がかからぬようにしなければならぬ、そこで初めて国税地方税というものの調整をとらなければならぬと思います。それで、私は地方自治建前からいたしますれば、これは平衡交付金でも、やはり国民の納税でございますから、国民の負担とすれば同じことになります。でございますから、私自身といたしましては、平衡交付金のように、一旦中央政府がとつて、それをこつちでもらう、それは同じ国民が出しておる税であるが、地方税に対しては非常にとりにくいという点がありますから、これをもし地方に必要なものであるならば、何も一旦中央政府にプールして、そうして地方へわける必要はないと思います。でございますから、その点において、地方の税收を増すということは、国税地方税との間の調整をとつて、国民負担増加はせずに、地方財政を充実して行きたい、こういう建前に立つておるわけでございます。  次に平衡交付金というものは、これは法律上、御承知の通りにきまつておるものでございまして、地方財政需要額と財政收入額とを比べまして、そうしてその不足の部分平衡交付金で出す、こういうことになつておりますから、これは私、今後できるだけ地方財政委員会の主義、主張を閣内に反映しまして、そうしてできるだけのことをやりたい、こう考えております。
  102. 竹尾弌

    竹尾委員長 渡部君、もう一時間くらいになりますが、あと二人残つておりますから、簡單に願います。
  103. 渡部義通

    ○渡部委員 岡野さんの意見を聞いておりますと、非常な豊富な国におけるおとぎ話を聞いているような感じがするわけです。国税地方税とをうまいぐあいに配合する、そういう形において地方税をふやし、あるいは地方財政を確立するということを前提として考えておられますが、今申し上げましたように、第一には、いかなる意味においても財政の確立というものは、今日の状況では、收奪の強化なしにはできないということが第一であります。第二には、国税地方税との調整をして、地方財源をもつとゆたかにするということを述べられておりますけれども、今日地方財源がこれほど窮乏危機の状態にあるという現実事態こそが、国税を減らして地方税の方向にまわすということが、今日現実的に不可能であるということを、実際これは示しておるわけなんです。何となれば、現在国家は、全力をあげて再軍備に向けて、これを国税によつてまかなおうとしているのであります。国税によつてこのような面をまかなおうとする限り、全国からの税金を増強して、そうしてこれを国税に集中するということなしには不可能であり、現在の財政そのものが、そのことを示しておるわけなんです。この場合に、どうしてあなたは、地方税国税とを調節して、地方財源をよりゆたかにし、地方財政を確立する見通しがあるのか、この点が第一に聞かなければならぬわけです。もしこの点が解決されないとすれば、先ほど申した私のあなたに対する意見は、依然として残つておるわけです。
  104. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 国税増加して何かほかの方面に使うとか、これは政府の施策としまして、いろいろなことをやらなければならぬと思います。しかし、私は地方財政の担当者でございます。そして私は、ちようど馬車馬みたいに、地方財政というものを確立する意味において、孤軍奮闘しているわけでございます。でございますから、他にいかような理由がございましようとも、先ほど申し上げましたような理想に向つて万全の努力をして、そうして地方財政を確立して行きたい。そのためには、今回提案しております地方制度調査会において十分御検討を願つて地方財政がりつぱに立ち行くように、国税の方から、あるいは平衡交付金制度の並行して、そうして充実して行きたい、こういう理想に燃えて、それに邁進しておる次第でございます。
  105. 竹尾弌

    竹尾委員長 次に小林進君。
  106. 小林進

    小林(進)委員 私も時間がありませんので、ほんの申訳的な質問をして終りますが、地方行政費の中にはいろいろの費用がございます。あるいは衞生費とか土木費とかいうような費用でございますが、これもみな国家の事業、国家の責任に関連をするのでありますから、そういう意味からいえば、中央地方行政費というものを、何も差別をつけて考える必要はないと思うのであります。しかし、今この教育費を論じます場合に、同じ地方行政費の中にも、この教育費というものについて、われわれ文部委員としましては、その必要限度、あるいは重要性といいますか、そういうものを非常に高く評価をする。ところが、地財委考えとしましては、ほかの地方行政費というものと、この教育費というものを並立してお考えになつている。ここに私どもは非常に基本的な物の考え方の相違があるように思うのであります。憲法をしばしば申し上げて惡いのですけれども、文化国家を銘打つて教育というものを根本に出したわが国といたしましては、みんな重要でございましようが、特に教育費というものは、地方行政費の中でも、その重要性というものをわれわれはここに考えなければならぬのではないか。並立ではなくして、教育費というものは、やはり一般地方行政費よりは別個に、この重要なる費用というものを考える必要があるのではないか。この点私は、地財委の大臣としてではなく、国政一般を論ずる連帯責任を有する国務大臣として、岡野国務相の御意見を承りたいと思います。
  107. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。文部委員として仰せになりますところの、文部行政というものに対して非常な関心を持つておられることには、敬意を表しますと同時に憲法におきましても、義務教育というものが非常に尊重されておることもよく存じております。ところで、私ども全般的の行政を見ておりますと、むろんどの行政でもなくていいという行政一つもない。また兒童福祉にしろ民生保護にしろ、これもやはり重要なものであります。ただ問題は、義務教育だけが非常に虐待されておりまして、それがほかの行政よりも、財政的にも非常に虐待されておるということがありますならば、それは御説のように、憲法に保障されておるところの義務教育を遂行して行くためには、必要なことをしなければならぬと思いますが、これは地財委の方からひとつ御説明を願いたいと思いますけれども教育費は、ほかの行政費に比べまして、むしろ優遇されておるということは確かでございます。ただ問題は、御承知の通りに国家財政地方財政も、ただいまのところ非常にきゆうくつでございますから、その点におきまして、どの行政に対しても十分なるお手当ができていない、こういうことは私率直に認めます。ただ、率直に認めますけれども、これはだんだんと経済界の進展をはかり、同時にあまり苦しくない納税をしても、十分国政が運行して行くように、だんだんとして行かなければならぬと思いますが、私自身といたしましては、教育費というものが地方財政に占める地位というものは、ほかの行政よりはもつと優遇されているというような感じを持つております。この点は、地財委の方からひとつ詳しい数字で御説明願つた方がいいと思います。
  108. 奥野誠亮

    ○奥野説明員 教育にかかります基準財政需要額を測定いたします際は、大体地方財政計画を立てます際に見ておりますのと、ほぼ同額程度のものを、基準財政需要額で確保するというような方法をとつておるわけでございます。しかしながら、御承知のように、平衡交付金制度財源として見て行きますものは、普通税收入の七割程度のものであります。従つて、測定されましたほかに、三割程度の税收入が残されているわけであります。また平衡交付金を普通交付金と特別交付金とにわけまして、特別交付金が八割程度でございます。この部分も計算の外に置かれておるわけてございます。従つて、普通の行政費でありましたならば、七、八割程度のものしか、基準財政需要額では見て行けないわけでございますけれども義務教育は非常に大切でございますので一〇〇%に近いものを基準財政需要額として測定をするというような方法をとつておるわけでございます。  もう一つ考えいただきたいのは、個々の行政につきまして、地方住民がどの程度の関心を示すものであるかということでございますが、義務教育につきましては、地方住民はこぞつてこれらの点に関心を示しておるであろうというような考え方を持つておるわけでございますから、施設の内容が肯定されるならば、それに向つて十分努力をされて行くものであろうというような考え方を持つておるわけであります。  なお地方財政委員会がかつてなことをするという意味の御心配もおありのようでありますが、これらの基準財政需要額の測定は、大体法律できめることになつております。従つて、閣議も経、国会審議も経ますので、もしここに不公平がございましたならば、十分その間において是正されるはずであろうというふうに考えております。
  109. 小林進

    小林(進)委員 地方において教育予算が特に優遇されているというお話はわかりましたが、問題はそこじやないのであります。どうも的確な例がありませんので、これはその的確な例証にはなりませんが、たとえて言うと、土木費でも、重要なる業務はこれを地方に委讓しないで、国営として、国家でその費用を持つておやりになつている。こういうものの考え方からいつて教育という国民全般にわたる、しかも国家の基本的性格を形づくるような費用は、地方財政において優遇するとか、あるいは優遇しないとかいう問題じやなくて、こういう国家の基本的な問題は、あくまでも国自体が責任を持つてやるべき性格のものじやないか。この意味において、地方に委讓するいわゆる土木費や小さな衞生費等とは、おのずから別個に考えて行くべきものではなかろうか。これに対する考え方を、私はお伺いいたしておるのであります。
  110. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。私は今回出ておりますところの負担法に対しては、反対を唱えておりますけれども、しかし全額国庫負担によつて義務教育を確保する、こういう趣意には賛成でございます。もし、ほんとうに義務教育というものが国家的事務であつて、同時に教育というものが、日本が文化国家として成り立つには一番大事なことであるということに徹底されるならば、私は全額国庫負担にされて、これを遂行されることが最もいい、これはあなたと御同感でございます。
  111. 小林進

    小林(進)委員 これはわれわれ野党と與党の問題でありまして、私ども全額国庫負担が一番正しいと思つておりますので、この点は、岡野国務相もまつたく私の意見に御賛成を得たものと了承いたしまして、次に移りたいと思うのであります。  ともかく私どもは、教育はあくまでも機会均等でなければいけないということを非常に重要視いたしておるのであります。ところが先ほどの奧野政府委員の御説明によりますと、せつかくわくをはめた教育基準額も、地方に流れますと、その額通り使われていない府県市町村もあるというような御説明であつたのであります。ところが、その使われていないところはどこかというと、やはり東北あたりの地方にその傾向があるというような御説明であつた。これは間違いであつたら御訂正願いたいと思いますが、私はそのように聞いたのであります。そうすると、従来の教育の振興状態からながめても、まず教育設備の一番惡い、あるいは教員給與の一番低下しているのがこの東北じやないかと思う。その方面の地方に対して、平衡交付金が公平に均等化するために、あるいは御配賦になつたかどうかわからぬけれども、その点私は相当疑問があるのじやないかと思う。そのわずかな、というのも語弊がありますが、そのわずかな教育基準額も、東北あたりの教育設備の惡いところに行つて、それがまた百パーセントに使われていないで、よその費目に流用されているということになるのは、いわゆるここで言われているような府県別の教育の不均衡が、さらに露骨に現われて来た、こう私どもは解釈しなければならないと思うのでありまして、重大問題だと思います。文部省あたりからも、私どもはしばしば説明を伺つておりますけれども、この平衡交付金制度で、府県別の差がだんだんはげしくなつておるということを、私どもは何回となく聞いた。これを是正することも、この義務教育費国庫負担法一つの大きなねらいであります。それが地財委の方の御説明によつても明らかに証明されますならば、なおさらもつて今までの制度改革をして、国家全般で責任を持つという形に改めて行かなければならぬと思うのであります。この点に対する岡野国務相の御意見を伺いたいのであります。
  112. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。そこで小林さんの御説に、やはりもどつて来るのであります。もしこれを全額国庫負担にしまして、そうしてりつぱに中央でこれを統制しますならば、低いところへやりました金は、それが十分確保されまして、当然十分な教育施設ができるはずであります。ところが、もしこの案で行きますと、半額でございましよう。そうすると、半額だけやつて、あとの半額は地方公共団体がやはり負担しなければならない。やはり元と同じことで、かわりはないのでございます。でございますから、ほんとうにお説のように、また私と意見が同じになつたように、義務教育財政的な立場から確保して行くならば、全額国庫負担にして、ひもをつけて、中央でめんどうを見てくださるが一番大事だと思います。しかしながら、半額おやりになれば——今まで百やつたものを七十しか使わぬところへ、今度この法案で五十やります。あとの五十はやはり地方負担しなければならぬ。そうすると、五十はもらつたけれども、あとの五十は平衡交付金で見ておりますので、元と同じように、ほかの方面にまわして使うことになりますから、何らの改善にならないのでございます。この点はよく御了承願いたいと思います。でございますから、やはりあなたのお説のように、全額国庫負担にして、ひもつきにしてやる。もう一つは、私はこういうこともできると思います。平衡交付金の改正案は、今参議院で審議中でございます。あれに改正案といたしまして、こういう場合に処する道といたしまして、もし国家地方に與えた事務をぜひやつていただきたい、こういうことがありますならば、義務教育の例をとりますれば、地方において小学生が何人おれば、教室は何坪のものを幾ら備えつけなければならぬ、それに対しては教員は何人置かなければならぬ、こういうことを文部省法律でおきめくだされば、その通りになつてつて行く。それによつてわれわれは平衡金並びに税收入を算出いたしまして割当てて行きます。もしそれがその法律できめられた通りの施設ができないならば、それこそ中央において、財政的措置によりまして、これを強行し得るような平衡交付金法の改正案が、衆議院は通つて、参議院へまわつておりますから、法律でそういう規定をなさるならば、ただいまの平衡交付金は完全に遂行されて行く、こういう次第であります。
  113. 小林進

    小林(進)委員 今までの大臣の御説明によりますと、問わず語らずで、この意見書の中の、地方平衡交付金の彈力性を有するという問題は、これは一つの理論でなくなつて、いずれにしましても相当幅のきついものになるということだけは、同じだろうと思うのであります。しからば、今の教育費をいかに確保するかの問題でありますが、これは今もおつしやるように、半額ならば、お前の言うようなわけでこの教育費が維持されないじやないかとおつしやるのですが、この半額は、あくまでも標準でありまして、何も各府県、市町村をみな半額ずつやるというのではないのであります。これは私ども説明したように、やはりその必要度に基いて、総額において半額をもらうけれども、個別にはそれぞれ実情に基いて、法律的計算の上において配賦するというのでありますから、これは結局同じことだろうと思います。そうすると、問題は、これから将来、いかにしてこの教育費を完全に確保するかという問題なのであります。その問題に至りますと、むしろ平衡交付金という制度の中において、地方行政の中の必要度を並立の形で置くよりも、やはり別個にこれは独立をして、国家が責任を持つて教育費だけは特に確保するような努力をする形をここにつくつた方がよろしい。今おつしやるのは、半額ということに非常に重点を置かれますが、私どもも、半額はまつこうから反対であります。願わく全額国庫負担の方向にいかにして努力するかというその努力目標は、やはりこうした別個の法律をつくつて国家全般がこれに興味を持つて、そうして推し進めて行つた方が効果があるという問題なのでありまして、その意味においても、私はあなたの手に置くよりは、別個にこれをやつて国家がいま少し責任を持つて目的の彼岸に突入した方が、可能性が大きいという主張なんでありますが、これに対する御見解を伺いたい。
  114. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 それは全般的の財政を担当いたしておりますものと、地方の自治の確立ということに猛進しておりますものと、立場の相違でございます。ですから、お説しごくごもつともです。中央集権をお認めになり、同時に中央でいろいろ金を出して、そうしてある国家事務を統制して行く、こういうことになれば、これはしごくけつこうであります。けれども、ただいまの立場といたしましては、私は地方の自治を確立して行きたい。地方の自治を確立させるためには、財政的の自治を確立させて行きたい。たとえば、この地方にはこれこれの財政需要がある、それに対しては税政が幾ら、平衡交付金が幾ら、こういうことにしてそれを割当てる。しかし、勘定が合つたならば、地方は自主的に自分自身の行政をやつて行く、こういうことを私は尊重したいと思います。ただ、立場的の相違でございますから、議論にならないと思います。
  115. 小林進

    小林(進)委員 教育の機会均等とともに、おつしやるように、中央集権あるいは教育の統一性というものは、防止しなければならないということで、おそらくこの法案の提出で中央集権を強化するという言葉が、一番強く響いて来るのではないかと思うのでありますが、しかし、この財政的処置を国家が持つことのみによつて、どうして一体中央集権になるのか、これが私にはまだのみ込めない。どうも言葉としてばかに強いのでありますが、内容を私ども分析するときに、どうして一体これが中央集権になるのかということをいわざるを得ないのであります。あわせてこの意見書の中にも、中央政府の官僚の権限を強化ならしめるというような言葉が強く出ているのでありますが、どうして一体官僚の権限を強化するのか。法律に基いて明朗闊達な形で配賦せられる、それだけの話でありまして、あとは一切地方の特徴を生かして、教育委員会なり地方の知事の意向で教育を推進してもらつて、そこには何ら官僚の干渉は、ないのでありますから、その言葉に盛られる内容の懸念はないのではないかと私は思う。あわせて、もし官僚の権限の強大ということをおつしやるならば、岡野国務相に失礼でありますけれども、今の地方自治庁のあり方が、はたして中央集権の官僚の権限を強化していないかどうか。地方へ参りますと、平衡交付金なんかで、文部省が圧迫を——私は決して文部省の肩を持つのではありません。私は文部委員会では、大いに文部省の攻撃をやるのでありますから、これはお含み願いたいのでありますが、教育費わくがついたということは、中央集権が強化されたというような非難はありませんが、この平衡交付金については、まさに知事会の頭痛の種でございまして、いかに政治的折衝を続け、暗中飛躍をして、そうしてこの平衡交付金増額を望むかということは、もう地方自治あげての苦難の道であります。先ほどもお話がありましたように、地方自治庁に一箇月もすわり込んだというような方もある。私ども地方へ参ると、あの市長は政治力旺盛だから、本来二百万円程度の平衡交付金を九百万円に増額して来た、あれは実に手腕家である。あの市長はどうも力がないから、平衡交付金も何にももらえない。今年は運動をまずくやつたものだから、去年六百万円もらつた平衡交付金が、わずか八十万円に減らされたというように、他方へ行けば侃々諤々の非難の言葉がありまして、まさに官僚の威力を一番発揮せられているのが、私は地方自治委員会にあらざるやの感を深ういたしているのであります。こういう点とあわせて、できれば——話が非常に附随的な話になりますが、一体地方財政委員会では一千二百五十億円——これは一般と特別平衡交付金にわかれていましようけれども、その算定基準を、一体今まで公に発表せられたことがありますかどうか。各自治体が納得するように、一般国民が納得し得るように公表せられたことがあるかないか。なければ、将来公表せられる意思があるかないか。この点をひとつ私はお尋ねしておきたいと思うのでありまして、あわせて、文部省がこの予算を持つことによつて、一体中央集権が強化されるのか。彼我思い合せて、この点ひとつ岡野国務相の御答弁を承つておきたいと思うのであります。
  116. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 地方財政委員会中央集権をやつているというようなお言葉に聞えますが、しかし、地方財政委員会は、御承知の通りに、やはり国会で承認を得て、そして政府から独立の立場にいる委員会であります。私の中央集権と申しますことは、内閣開すなわち各省の中央の役人が、地方に対して少しでも影響力を及ぼすように地方行政をやらせるということがよくない。しかし財政委員会というものは、これは私が国務大臣でありながら、財政委員会に歯が立たないのです。何ら私の言うことも聞いてくれなければ、独自の立場から、ただ平衡交付金をとるときだけは、私が閣内において代弁してとつているという実情でございます。でございますから、財政委員会がやることに対して、いい惡いは別問題といたしまして、これは中央政府のやつていることではなくて、りつぱなニユートラルな立場を持つておりますところの地方財政委員会がやつている。これがやつていることは、私は批評いたしません、また批評をする立場でもございません。それがやるならば、私は中央集権じやないと思います。けれども、各省の中央政府の役人が金を地方にやるという一つの筋道をつけまして、そうしてそれによつて——これこそやはり陳情も来ましようし、陳情によつて中央政府の役人が動かされて不公平なことをするということは、ちよつとおもしろくないと思いますから、その意味におきまして、少し観点が違つているように感じます。これは御了承願えることと思います。
  117. 竹尾弌

    竹尾委員長 最後に松本七郎君。
  118. 松本七郎

    ○松本(七)委員 ごく簡單に、大臣に意見を伺つておきたいと思います。地方財政委員会が、その設置法の十三條に基いて、内閣を経由して国会意見書を出したわけです。それは法案についての個々の問題点について、意見を述べられることは当然なことで、形式も整つているわけです。そうしてまた、個々の問題点についての意見を総合して、結論としてこういう法案には反対だと言う、これもまあ意見といえば意見ということになるのですが、しかし、いやしくも国権の最高機関であり、唯一の立法機関である国会に出す意見書としては、その内容において、私はやはり常識的な限度があると思う。ここに書いてあるように「以下これが理由の詳細を述べ、本法案の成立しないことを強く要望する」こういう書き方をして意見書を提出することは、私は行き過ぎだろうと思うのです。こういう点について、大臣はどのような見解を持たれるのか、そこが第一点です。  それから第二には、先ほど大臣は、自分も反対意見は持つておつた、現在でも持つている。しかし、国会法案が提出された以上は、皆さんの意見におまかせするというような御答弁があつたのです。その御答弁によりますと、まあこれからは、成立しないような運動はしないというようにもとれたのですが、どちらかというと傍観しているというふうに意見がとれたのです。傍観されるおつもりなのか、それとも現在難航している今日、何らか調整がとれるように積極的な御努力をされるおつもりがあるのか、その点を明らかにしていただきたい。  それから第三には、先ほど全額国庫負担のお話が出て、相当これに賛成のような御意見だつたのですが、これの実現について、今後国務大臣として御努力される気持がおありなのかどうか、この三点を伺いたい。
  119. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 意見書内容につきまして、これは行き過ぎじやないかというような御意見でございますが、先ほどちよつと申し上げましたように、財政委員会財政委員会独自の立場を持つておりまして、政府とは離れて存在をしております。そして国務大臣は、これに対して干渉もできなければ、また制肘もできない、こういう立場にございます。でございますから、財政委員会の行き過ぎということに対しては、私は御答弁申し上げることができません。次に、国務大臣として傍観しているかどうかというお話でございますが、これは先般いろいろ話がありました。何とかあれを成立させたらいいじやないかというような御意見がございまして、成立できればしごくけつこうです。私は案が出るまでには、相当な意見も言いましたけれども、しかし国会審議が移つた以上は、これに対して、先ほどおつしやつたように、制肘する考えは一向持つておりません。でございますから、あなた方で、十分国家の最高機関として御審議つておきめください。しかしながら、私にもつといい方法でもありはせぬかという意見を徴せられるならば、私はいつでも、それに対して相談に応ずるだけの態勢を持つております。でありますから、国会に対する態度といたしましては、何ら干渉がましいことはいたしません。しかしながら、国会が御審議の上において、これを何とか相談になることはないだろうかというような御諮問がありますれば、忌憚なく私は申し上げる次第であります。  それから第三番目は、全額国庫負担でございますが、私は全額国庫負担が一番すつきりしていると思います。しかしながら、これにはやはり地方自治の確立という点から、相当検討しなければならぬことがあります。でございますから、そういうこともあわせて、この次にできますところの制度調査会でよく検討したい、こう考えております。
  120. 竹尾弌

    竹尾委員長 上原政府委員、松木君の御意見に対して何か御答弁ありませんか。
  121. 上原六郎

    ○上原(六)政府委員 先ほどの御意見のうちに、財政委員会平衡交付金算定基準あるいはその他のことについて、公表しているかどうかというお尋ねでございましたが、平衡交付金算定基準その他すべて重要なことは、規則をもつて公表し、あるいはその結果につきましても、全部これを詳細に公表しております。  それから、お手元に提出いたしました意見書の字句について御意見がありましたが、財政委員会としては、この法案内容を検討いたしました結果、ああいうような理由によりまして、この法案が成立することは、地方自治の上から好ましくないと考えましたので、ああいう意見書を提出した次第でございます。
  122. 竹尾弌

    竹尾委員長 本日はこれにて散会いたします。     午後二時十九分散会