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1952-06-24 第13回国会 衆議院 文部委員会 第39号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年六月二十四日(火曜日)     午前十一時二十九分開議  出席委員    委員長 竹尾  弌君    理事 甲木  保君 理事 若林 義孝君    理事 小林 信一君       鹿野 彦吉君    坂田 道太君       首藤 新八君    高木  章君       田中 啓一君    圓谷 光衞君       東井三代次君    長野 長廣君       水谷  昇君    渡部 義通君       坂本 泰良君    浦口 鉄男君  出席政府委員         大蔵政務次官  西村 直己君         文部事務官         (調査普及局         長)      久保田藤麿君         文部事務官         (管理局長)  近藤 直人君  委員外出席者         議     員 庄司 一郎君         文部事務官         (管理局著作権         課長)     柴田小三郎君         専  門  員 石井  勗君        専  門  員 横田重左衞門君     ————————————— 六月二十三日  委員甲木保辞任につき、その補欠として篠田  弘作君が議長指名委員に選任された。 同日二十四日  委員篠田弘作辞任につき、その補欠として甲  木保君が議長指名委員に選任された。 同日   甲木保君が理事補欠当選した。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  小委員及び小委員長選任に関する件  教育委員会法等の一部を改正する法律案内閣  提出第一八一号)(参議院送付)  教育委員会委員選挙期日等臨時特例に  関する法律案内閣提出第一八二号)(参議院  送付)     —————————————
  2. 竹尾弌

    竹尾委員長 これより会議を開きます。  まず理事補欠選任を行います。委員甲木保君が一時辞任され、再び委員になられましたので、先例によりまして、選挙の手続を省略し、私より指名いたすに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 竹尾弌

    竹尾委員長 御異議なしと認め、私より甲木保君を理事指名いたします。     —————————————
  4. 竹尾弌

    竹尾委員長 この際お諮りいたします。当委員会におきましては、請願審査をなすため、小委員会を設置いたしたいと存じますが、小委員会を設置することに決するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 竹尾弌

    竹尾委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  これより小委員長及び小委員を選任いたします。先例によりまして私より  指名するに、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 竹尾弌

    竹尾委員長 御異議なしと認め、私より指名いたします。  請願審査小委員に    岡延右エ門君  若林 義孝君    甲木  保君  圓谷 光衞君    水谷  昇君  小林 信一君    坂本 泰良君  浦口 鉄男君以上八名を指名いたします。なお、小委員長には、甲木保君を指名いたします。     —————————————
  7. 竹尾弌

    竹尾委員長 次に、請願日程六三、天皇陛下名誉理学博士称号を奉る請願につきまして、特別に庄司議員より、紹介議員として委員外発言を求められておりますが、これを許可するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 竹尾弌

    竹尾委員長 御異議なしと認めます。庄司一郎君。
  9. 庄司一郎

    庄司一郎君 ただいま紹介議員として、特に発言のお許しをいただいて、たいへんありがとうございます。  本請願請願者は、宮城県柴田郡大河原町町役場の助役の公職にありますかたわら、公民館の館長を勤めておる方であります。請願者経歴事項あるいは公職一端を申し上げましたのは、きわめて常識の円満な相当の紳士であるということの御了承を受けんがためであります。請願人総代笹谷源三郎君は、公民館長として自己独自においてこの請願を出されたものではございません。公民館運営委員会を開き、運営委員会において、満場一致の賛成を得られた上において提出をされた請願でございます。  請願要旨は、すでに御承知のごとく、人間天皇陛下にあつて大正十四年この方、生物学に関するところの御研究が非常にその造詣が深くあらせられることは、御承知通りであります。天皇陛下には、大正十四年以来、研究の対象とされた生物関係において、約一千を越えるところの研究を終了され、特に世界生物学界においていまだかつて発見されたことのございません、すなわち学界において未発見生物海岸地帯より幾多発見をされまして、世界生物学界に貢献された点は、非常にその学問の点においてかくかくたるところの御功績があらせられるということは、諸外国の生物学界おいても深く認めて感謝されておる次第でございます。わが国におけるいわゆる学位博士というような称号は、各学校の学長とか、あるいは大学の総長とか、あるいは教授会とかいうものに対して、本人より俗にいう博士論文を書いて、学位要求をされるというような建前になつておられるそうでありまするが、むろん天皇陛下自身は、あえて理学博士称号を望まれておるわけではあらせられないと考えるのであります。しかれども学界に貢献されたところの陛下の学究的な業績は、何らかの方法をもつてこれに対して報いなければならないのである。そういう見地より、請願人らは、天皇陛下に、この人間天皇に、いかにも人間らしく、天皇が欲せざるにかかわりませず、いわゆる名誉的な意味において博士称号を、学位を贈呈されるよう、政府にその御善処方を要請するという意味請願結論であります。もとより文部当局におかれては、そういうことがこの衆議院の文部委員会通つても、政府としては、何ら施すべき手段がないというお答えがあるでありましよう。法律あるいは規則、そういう点からいえば、あるいはそうかもしれませんけれども文部省がこのうるわしい国民感情発露に対して善処されて、適当な大学教授会等にこれをごあつせんなされ、あるいは御懇談なされた上において、たとい陛下自身学位請求博士論文なるものを提出されませんでも、すでに世界生物学界に貢献された陛下のこの学究的な業績に、何らかの方法においてお報いすることのできるようにしてあげるのは、当然なことであると考えますので、本日は特に委員会の劈頭において御理解ある委員各位の御賛成をちようだいいたしまして、ここに紹介議員として、決して従来の旧憲法時代の、神秘的な陛下のためにという考え方は持つておりませんで、あくまで一個の学究として、真理を探求されておる人間天皇のため、何らかその名誉を保持し得る一端としての学位の贈呈は望ましいものであるという、かような信念の上に、あえて紹介に及んだ次第でございます。どうぞ小委員会に委譲されるようでありますが、小委員会におかれましても、よく政府と御懇談の上において、請願者のうるわしい国民感情発露に対し、適当なる御善処をお願い申し上げたいのであります。
  10. 竹尾弌

    竹尾委員長 ちよつと速記をとめてください。     〔速記中止
  11. 竹尾弌

    竹尾委員長 速記を始めてください。  次に、教育委員会法等の一部を改正する法律案並び教育委員会委員選挙期日等臨時特例に関する法律案の両案を一括して議題とし、前会に引続き質疑を続行いたします。田中啓一君。     〔「議事進行」と呼び、その他発言する者あり〕
  12. 竹尾弌

  13. 田中啓一

    田中(啓)委員 私は文部当局に対しまして……。     〔「法律の解釈が統一されなければいかぬ」と呼び、その他発言する者あり〕
  14. 竹尾弌

    竹尾委員長 発言を禁じます。     〔「議事進行を許すべきだ」と呼び、その他発言する者あり〕
  15. 田中啓一

    田中(啓)委員 議場の整理をお願いいたします。
  16. 竹尾弌

    竹尾委員長 田中啓一君にもう許しました。
  17. 田中啓一

    田中(啓)委員 委員長から発言を命ぜられておりますので、私は教育委員会法等の一部を改正する法律案のうち、教育委員会法の一部を改正する部面につきまして、文部当局にお尋ねをいたしたいと存ずるのであります。  先般大臣より、提案理由、すなわち一年間実施延期したいという旨の理由の御説明があつたのでございますが、御承知のように、この法律が成立いたしましたのは、昭和二十三年の夏でございまして、爾来二十四年、二十五年、二十六年、今二十七年であります。五箇年間延期をしておるわけであります。これをさらに一年間延期をする、こういう御提案でありますが、私ども国会議員といたしましては、きわめて重大な問題であると考えるのであります。従つて、まず私は、御延期になりたいという御趣旨が那辺にあるのかを、さらに明確にお伺いをいたしたいと思うのであります。お答えを願います。
  18. 久保田藤麿

    久保田政府委員 委員会法が成立いたしましてから、そういう年数を経ておりますことは、御指摘通りでございますが、この委員会法ができ上りますときの経過から申し上げなければならぬと思います。これは教育使節団が参りまして、この教育使節団の勧告に基く基本線といつたものが一本出ております。それに対して、文部省側と申しますか、日本側関係筋との間の折衝は、相当やつかいな形を経て来ておりまして、法案として国会に上程されてから後も、相当の紆余曲折を経て来ております。たまたま昨年になりましてから、行政制度、特に地方制度というようなことにもからんで、内閣にも、そういう意味調査をし、将来への態度をきめて行こうというような御意向がありましたし、また文部省自身といたしましても、この委員会の問題は、先ほど申しますようないきさつにからんで、いよいよ独立したから、その日から始めるといつたような行き方もいかがか。そういうことを目前に控えての、まだ関係筋とわれわれとの連絡のつないである間に、むしろそういう制度に対するある程度の批判を堂々と構えて行つた方がよかろうというようなことから、昨年の夏ごろ——またそれ以前にも、文部省自身としてはある程度の研究をしておりますが、少くとも形を整えての研究は、昨年の夏、そうした問題に首をつつこんで、まずそれには関係筋にも話合いをつけながらやつてつたわけであります。ところが内閣に置かれました方のそうした制度機関も、文部省につくりました機関も、いずれも——くどくど申しておりますので、すでに御承知と思いますが、明白にこうあるべきであるという結論を出すところにまで至つておりません。あるいはこうした方でよいのではあるまいか、あるいはこれは無理じやあるまいかという程度の、いわば結論へのデータとしてこういうことが考えられる。またその結果をとりまとめましたところ、いずれも過半数を押えるといつたような圧倒的な議論の固まり方ではないのでありまして、しいて申せばこちらであろうかというくらいの、たとえば十三人ありますと、六人と七人といつたような結果を出しておるわけでありまして、それにはいま一つ思い切つた研究も入れれば、またそうした態度も入れるといつたようなことから、近く私どもの方に設置いたしたいと願つております中央審議会にこの問題をかけて、そうした動きに対する態度も、もう少しはつきりきめていただく時間が必要であろう。同時に、これはまた地方制度に対して、ことに地方教育行政に対しては、根幹的な問題でございますので、地方制度をどんなふうにおきめくださるか知りませんが、それらとも十分にらみ合せながら決定すべき筋合いのものであろうから教育委員会のことだけ文部省が取上げてきめるのもいかがかといつたような態度で、臨んで来ている経過でございます。
  19. 田中啓一

    田中(啓)委員 ただいま文部省が、この法律の成立以来今日まで、いろいろ御研究になつております経過伺つたのでございます。しかし、一体この法律は、ただ自分らはさような研究をしておるけれども、まだなかなか結論がつかぬということだけ伺つて、さようでございますかといつて承知をいたしますには、私はわが国教育上、あまりにも重大な法律であると思うのであります。御承知のように、教育につきましては、昭和二十二年に教育基本法というものが、憲法を受けてできまして、さらにそれを受けてこの教育委員会法ができているように、私は承知をいたしておるのであります。すでに立法当時、実情にそぐわぬところは、非常に当時の委員会は苦心をされまして、そうして、できるだけ日本実情に合うように御修正の上で、この法律ができておりますことは、当時の速記録を詳細に読めば、だれにも明瞭になることであると思うのであります。しかもこのねらいは、教育委員会法の第一條、あるいは基本法の何條でありましたか、書いてあるところをそのままに受けておるのでありましで、教育が不当な支配に服することなく、国民全体に対し、直接に責任を負つて行わるべきであるという自覚のもとに、公正な民意により、地方実情に即した教育行政を行うために、この教育委員会を設けるんだ。私は、教育のやり方におきましてこれほど大事なことはない。今日日本教育というものは、おそらく国民だれしもいろいろな意味から、不満を持つておるのでありますが、それでは、どこから手をかけて、そうして教育の本来の姿を立てて行くかというような点に着眼をいたしますと、この教育基本法ないし教育委員会法の第一條に書いてあるようなこの行き方で行くほかには、第一着手としてやるべきことはないのではないか、教育基本法に基きましたその他の法律は、いずれも所期の目的通り実施をされておるわけであります。ひとりこの法律だけが中途半端で、県と五大都市には教育委員会義務設置とし、市町村は任意として、自発的意思に基いて数十の委員会ができたままで、はなはだ片ちんばな状態で今日まで来たのであります、それをまた一年延ばそう、こうおつしやるのでありますが、今これを完全に実施するについての、御研究経過というものは伺いましたけれども、しかし、どういう点で文部省が躊躇されるのか、中身のことはお話がございません。どうかその理由をひとつ明白にお聞かせを願いたいと思うのであります。
  20. 久保田藤麿

    久保田政府委員 前段の御指摘の部分は、私どもつたく同感でございまして、先生のおつしやる通りに、私ども考えておりますし、またそうありたいと思つておるわけであります。後段の、特に延期をする問題点といつたようなところが、御質問要旨かと伺うのでありますが、ただいままで私どものやつて来ました経過から申しますと、設置單位を村々の端まで置くのかどうか、いま一つはそうした問題のあり方、たとえば市町村に置く場合も、県に置かれる場合も、教育委員会そのものの性格は同一でいいのかといつたような問題、それから教育委員の選出の方法の問題、そうした点が、あるいは公選がよろしい、あるいは任命がよろしいとか、あるいはその数をどうすべきであるとか。同じ公選にするにしても、公選の方式を間接選挙にするとか、あるいは特定な人の任命に置きながら、それを大きな機関選挙するといつたような、いろいろなテーマが考えられるわけでありまして、それらの問題を、正直に申しまして、県に置く場合も、非常に大きな都市に置く場合も、かりに学校一つしか持たないような町村に置きますような場合も同一であつてよろしいというわけにも参らないと思つております。それらの問題をいろいろな角度からながめながら、先ほど来申しますように、特に地方行政全般とのにらみにおいて、ものを考えたい。ことに義務教育費の大きな負担関係責任町村に持たせるか、市に持たせるか、県に持たせるかといつたような、その單位の置き方ということとも、たいへん大きなからみを持つて参りますので、それらと関連させながら、かくあるべしという線を出すために、いま一度調査に入りたい、また、研究に入りたいというわけでございます。
  21. 田中啓一

    田中(啓)委員 実はこれから本論に入るところでありますが、小林委員の御要求になつておりました大蔵当局が御出席でございますから、私暫時中止をいたしまして、その方をおやり願つて、そのあとでまた本論を続けたいと思います。
  22. 小林信一

    小林(信)委員 單刀直入にお伺いいたしますが、年度予備費が三十億ありますが、その三十億の中から、もし地方教育委員会が設置されるならば、それに要するところの費用は出す、こういうことを大蔵省予算編成の場合に、大臣として了承されたことがあるかどうか、お伺いいたします。
  23. 西村直己

    西村(直)政府委員 私御質問意味が、十分のみ込めていないかもしれませんが、御了承願います。もしこの選挙というものを施行した場合に、それに対する経費をどうするかという問題、扱い問願だろうと思うのであります。たとえば、予備費を幾ら出し得るかという、そういう御質問のように承ります。これは、もちろんその場合においては、予備費というような方法一つ方法でありましようし、また金額いかんによつて、あるいはその扱い方いかんによつては、現在まだ政府として補正予算を立てるという方針はきめておりませんが、他にもたくさんこういつた似たような地方財政関連するところの国家財政との関連需要がありますから、補正という方法もあり得るわけじやないかと私は思つております。
  24. 小林信一

    小林(信)委員 私は金の出しようをお聞きしておるわけじやないのですが、今の補正予算を出してもというふうなことは、これは今審議しておる問題から考えまして、非常に重大なことになつて来ると思うのです。というのは、一応教育委員会地方に設置するかしないかというふうなことは、政府が政策を立てる上から、重大な問題である。これに関連して、そのために予算というものが編成されるわけでありますから、本年度教育委員会を設置するかしないかわからない、やるようだつた補正予算で組んで行こうというふうなことでもつて教育行政がなされているというふうにもし解釈されたら、これは非常に重大な問題じやないかと思うのです。現在の政府は、教育行政には相当一貫した信念的なものを持つておいでになる。その教育行政の中でも、地方教育委員会を設置するかしないかというようなことは、非常に重大な問題でございまして、これが当初政府においていかに考えられておつたかということを、私はお尋ねする意味でお聞きしたのです。というのは、先日地方教育委員会を設置するようなことが不可能だという点からして、私は文部省にお伺いしたのですが、文部省としては、いやこの予算を  編成する場合にも、もし地方教育委員会を設置する場合には、予備費から出すからいいというふうなことで出発しているというのです。これもやはり、まことに私たちとしては、承りにくいお話を受けたのですが、大蔵省としても、やはりそういう態度予算を編成されているのかどうか、それを私はお伺いしたのです。今お聞きしたところでは、やはりそういうような漠然たる気持で、予備費から出すとか、あるいは補正予算を組んで出すというふうな見地で、この教育委員会の問題を考えられたというふうに承るわけなんですが、してみると、この教育委員会につきましては、実際本年度予算を編成する点において、はつきりした信念を持つて臨んでおらない、こういうことがいえるわけなんです。そこで、もし出して行くという場合、ここで簡單に私の考えられる問題は、選挙に必要な費用の問題です。さらに教育委員会を育成して行くために、現在におきましても、都道府県の教育委員会に対して、これを育成するための費用というものが設けられておりますが、新たに地方教育委員会が設置されるとするならば、特別これに対しても、相当予算が必要だと思うのです。それから、先日文部省からはつきり承つたのですが、町村單位教育委員会を設置した場合には、最低どれくらいの費用がかかるかという私の質問に対して、文部当局は百二、三十万円はかかるだろう、こういうお話つたのです。実際百二、三十万円の教育委員会費を使うところの町村が、現在小中学校をかかえておつて、どれくらいの教育費を計上しているかと申しますと、これも最低でなく普通のところで百二、三十万円の教育費でまかなつているわけなんです。これと同額のものが、新たに人件費その他の費用として町村に付加されるとするならば、これはやはり平衡交付金というふうなもので相当考慮されておらなければならない、こう考えるわけでありますが、平衡交付金への考慮があるかどうか。選挙費用、どれくらいをお考えになつておられるか、あるいはこれを育成するための費用、どれくらいを、文部省との交渉において、大蔵省はお考えになつておられるか、この点詳細に承りたいと思います。
  25. 西村直己

    西村(直)政府委員 お答えします。選挙の方の費用につきましては、平衡交付金基準財政需要の基礎として、十七億円ぐらいすでに見込んで、この予算の中で平衡交付金の中に織り込んであるわけであります。但し、それで足りるか足りないかの問題は、もちろん別問題であります。それから、委員会事務費と申しますか、そういつたものがふえて行く場合においては、もちろん将来これは地財委あるいは地方財政そのもの国家財政との関連をもつて、相互に話し合つて行かなければならぬ。もちろん総額がきまつて参りますれば、それに伴つて変更されなければいかぬということは、当然のことであります。
  26. 小林信一

    小林(信)委員 お話を承つていながら、いよいよもつて、この教育委員会法につきましては、政府においては一貫したものがないというように、承らざるを得ないのです。文部省といたしましては、もし教育委員会が設置されるならば、かくかくの費用から捻出してもらうということが明らかに約束されているというのですが、今大蔵省からお聞きすればこれは将来財源の処置をしてやるというようなお考えなんです。先ほど申しましたように教育委員会を設置するかしないか、これに対して政府は、非常に不明瞭な考えで臨んでいる。     〔「政府は延ばす計画だ」と呼ぶ者あり〕 それは文部省だけなんです。文部省はそういう態度でいるけれども大蔵省は何ら関知しておらないということを証拠立てられているわけです。だから、一貫しておらないということがいえるわけなんです。そこで、選挙費が十七億組まれていると言われるのですが、もし教育委員会選挙をするために十七億が計上されているとするならば、なぜそれが同じような方法教育委員会の育成と、あるいはこれに対する町村費用というようなものを、平衡交付金の中に考えられなかつたか。それから教育委員会を、今政府は閣議の意見の一致の上で、一年延期するという態度を持つて来られたわけなんですが、そこら辺の意向が非常にばらばらなんです。大蔵省としてはどういうようにお考えになつておられるか、お尋ねいたします。
  27. 久保田藤麿

    久保田政府委員 十七億ほどすでに平衡交付金の中で考えられていると申します意味合いは、十七億明らかに数字として入つている、金額として入つているという意味合いでなくして、本年度改選をある程度——これはどういう問題が起るにしても、改選だけは進められなければならないといつた場面を予想される見込みから、改選を主にした、また地方町村では、町村といつたようなことを考えませんで、市と郡單位というものをかりに計算に置いてみると、大体この計数ぐらいにおちつくだろうというくらいの計数基準に置いたというわけでありまして、その金がすでにその意味において見込まれ、またこれからの運び方がどういうふうになるのだということを予定した、また明確な正確な形で組んだものではございません。
  28. 小林信一

    小林(信)委員 明確でないから、ほかの予算は組んでない、こういう御答弁だと思うのですが、その通りですか。
  29. 久保田藤麿

    久保田政府委員 明確でないと申しますのは、明確にすることにまだ時間がかかる、片方の予算の方は、時間的に一応の計数を立てなければならない。その場合の一つ基準をそこに求めたというだけでございます。ほかの予算をどうするとか、またどういうわけでほかの予算は措置しないとかいう立場のものではございません。
  30. 小林信一

    小林(信)委員 結局はつきり承りたいのは、大蔵省としては、今まで地方教育委員会を設置することについては、本年度考えなかつた、こういうふうに承つてもよろしゆうございますか、大蔵省の御意向を承ります。
  31. 西村直己

    西村(直)政府委員 そういう意味でもありません。もちろんこれは、予算としては平衡交付金そのものにぴしやつと数字が十七億というのではなくて、それの基準として十七億という数字を出した。しかし私どもは、予算を伴う国会の審議権というものにつきまし  ては、今後十分政府国会の間の連繋をとりながら、国会の審議の進行状況いかんによつては、やはり予算というものもある程度それに伴つて考えられて参らなければならぬ、こういうようにわれわれは考えているわけであります。
  32. 小林信一

    小林(信)委員 そうすると、大蔵省意向としては、国会の審議のいかんによつては、これがどういうふうになるかわからない。従つて、そういう場合には、また別途に財源的な措置を講ずる、こういう態度で臨んだということで、この教育委員会法につきましては、やはり国会の審議いかんというか、待機したような形でもつておられた、こういうように承つてよろしゆうございますか。
  33. 西村直己

    西村(直)政府委員 もちろん、こういうことは政治でございますから、ある程度は政策も出ましよう。しかし、同時にまた、政策の裏には金がいるものであります。しかも政策というものは、法律によつて国会の御審議を願うその限度において、多少そこに将来において補正であるとか、あるいは予備費の流用であるとか、あるいはときと場合によつては、地方財政との調整をまた考えなければならぬということは、大蔵省としては考えているところであります。
  34. 小林信一

    小林(信)委員 私の質問も非常にしにくいところがある。というのは、大蔵省を含めての政府意向では、教育委員会は一年延期していただきたい、こういうので提案しているのだから、その態度からすれば、私たちの意向とやはり同じなんですから、それが至当なんですが、今教育委員会を設置すべきだという主張者が、与党である方から出て来ている場合に、その態度を、予算上から責任を持つところの大蔵省あたりが、はたしてどう考えておるか。また教育そのものから考えて、はたしてこれが必要かどうかという二点にかかつているわけなんです。そこで大蔵省にお伺いいたしますが、今問題になりました二、三の点から、どうも一村百二、三十万円の金が教育委員会を運営するために必要である、これを今日実施して、地方財政というものがこれに耐えられるかどうか。教育の問題は別問題として、財政的に、はたしてこれが可能であるかどうか。もちろん、これには付随しまして、今の選挙の問題もあるわけなんです。選挙は、局長の言われたように、本年度改選の時期に入つておるものがあるわけですが、これはやはり、政府意向としては一年延期という形で通ります。この費用というものは、当然一つの措置として見なければならないわけなんですが、これはほんとうに部分的なものです。各町村教育委員会を設置するというと、これは厖大な予算がかかるわけです。これらのものを国家的にまかなつて行こう、それから地方財政という建前で、平衡交付金等でこの問題も考えて行かなければならぬ、そういう財源的な措置がなければならぬというようなことは考えておると今申されたのですが、大蔵省の現在の国家財政から考えて、はたして可能であるかどうかお伺いいたします。
  35. 西村直己

    西村(直)政府委員 お答えを申し上げます。これはもちろん、教育委員会のことも大きいが、他に、御存じの通り地方税法の軽減であるとか、他の地方財政あるいは義務教育費国庫負担法においてもしかり。地方財政国家財政需要との調整問題というのは、まだ今後にひとつ残された問題であろうと思います。ですから、一概に百何十万円かかると申しましても、財政当局として、これが正しいかどうか、これは今後の検討の問題だと思うのです。しかし同時に、一つ国会を通しての立法、あるいはそういつた政策というものがはつきりして参りますれば、それに伴つてある程度国家財政地方財政の調整をして参らなければならぬということは、政府としても考えなければならぬ。御存じの通り政府としては、国会の最高意思機関従つて運行して参らなければならぬ、いわんや——これはあるいは問題が多少御批判もあるかもしれませんけれども、今日政党政治であるということは、また御存じであると思います。それらの点を考えまして、私ども政府の立場におきましては、国会の御審議というも  のに対して、十分国家財政需要考えながら、一面においてまた国会の審議というものも尊重して参らなければならない、こういう立場をとることは御了解いただけると考えます。
  36. 小林信一

    小林(信)委員 おつしやるところは、当然だと思うのですが、しかしまた、国会の方の審議がどうであつても、その審議過程におきましては、与党と政府のことですから、話合いは相当あると思う。そういう場合には、率直に、大蔵省としてはこれは財源の出し方が非常に困難であるというようなことも、言えると思うのです。そういう腹蔵ないところをお伺いしたいのが私たちの態度なんですが、今まで実際に交渉なさつておられるかどうか。そうして、それに対して交渉があつたとするならば、大蔵省としてはどういう見解をもつて今臨んでおられるか、できたらお伺いいたしたいと思います。
  37. 西村直己

    西村(直)政府委員 具体的な事柄につきましては、まだ相互に十分数字が固まつているわけでもありませんから、御答弁する段階に至つておらぬことを御了承願いたいと思います。
  38. 小林信一

    小林(信)委員 そこで最初に返りますが、政府としてはこういうふうな意向で臨んで来たわけですが、私たちとしては、当然政府考えているところが、実情に沿つていると思うのです。従つて、これを教育そのものから考えても、また国家財政から考えても、政府の所信というものは、貫くべき性質のものだと私は思うのです。しかし、それが、国会の審議いかんによつては自分たちの信念もどうするということも不可能だと言う。この御見解も、また無理のないところですが、しかしやはりそこを一貫したものがほしい。そこに初めて日本教育に対するりつぱな政策が生れて来ると思うのです。その点でお伺いするところは——これは次官の個人の御見解でもよろしゆうございますが、今年度の当初予算の中に、この教育委員会等を含めまして、日本教育制度というものが独立したということが、大きな基点になつているわけだと思うのですが、日本の国情に照して、ここで日本教育制度を検討しなければならぬ、こういう意向政府には大きくあつたと思うのです。これは單に教育行政ということだけでなく大きく国家政策の問題にも考えられると私は想像いたしますか、そのために、文部省で中央教育審議会というものを設けて、愼重にあらゆる制度について検討したいということを言つて、これが通つているわけなんです。これに対して、大蔵省としても同意されたと思うし、また与党としても同意されたと思うのですが、その中に教育委員会制度というものが含められておるということは、今こうやつて政府側から提案された事実でわかるわけなんです。その場合に、教育委員会につきましては、大蔵当局、あるいは次官個人として、どういう見解をもつてこれに臨まれたか、この際お伺いいたしたいと思います。
  39. 西村直己

    西村(直)政府委員 まだ、個人の見解を申し上げるには、遠慮させていただきたいと思います。
  40. 小林信一

    小林(信)委員 それでは個人の見解でなくて……。そういう項目がはつきり述べられて、しかもこれは、單に金額からすれば、わずかなものでございますが、日本の国情を考えて、これに照し合せて、日本の現行教育制度というものを改革して行くということは、大きな問題なんです。ことに大蔵大臣は、教育に対しては私はひけをとらないということをしよつちゆう言われておるのですから、おそらくこの点に関しては、重大な関心を示されると思うのですが、次官としましても、これは次官個人でなくて、大蔵省の一貫した責任者としてお考えになつておられると思いますので、その点で、この問題を承りたいと思います。
  41. 西村直己

    西村(直)政府委員 大蔵省は、各省の政策の内容に、あまり入れません。財政需要に対して、国家財政全部あるいは地方財政全部の観点から、教育制度に対する見解を申し上げる。その御質問であれば、むしろ主管の大臣なり主管の御当局の方へ御質問願いたいと思います。
  42. 竹尾弌

    竹尾委員長 小林委員に申し上げますが、大蔵委員会の方で、今急に問題が起つたそうで、次官に至急御出席を願いたいという要求があるのですが、よろしゆうございますか。それでは、次に田中啓一君。
  43. 田中啓一

    田中(啓)委員 先ほど文部当局に対してお伺いをしておりました続きを、御質問いたしたいと存じます。先ほどは、一口に申しますれば、地方制度あるいは地方の税制、財源等の制度などにも、改革が行われんとしつつあるように思うから、それらと関連せしめて、教育委員会の今後のあり方と申しますか、今半分ほど実行になつておるのをどうするかという問題を、実は解決したい、そういうために、なお一年延ばすのだ。こういう御答弁であつたと思うのでありますが、私は今後何らかやらんとするある程度の腹案がございまして、そうして愼重にお構えになるということならば、これはよくわかるのであります。しかし、本法はすでに公布後七年近くなつて、しかもそのうちの約半分と申しますものは、義務的に公共団体に対して実行されておつて、そうして市町村に対する分が任意にまかされておつて、任意にまかされた市町村が、すでに数十の委員会をつくつて今日まで進んで来ておる。この法律は、一つのまとまつた法律でありまして、従つてこの制度も、これは全部実施されて、一つのまとまつた制度になるわけであります。それを半分ほど実行して、半分ほど中途半端にして、しかも、それは任意だから、ある程度は自発的にやつておるという状態のものを——最初の二箇年というものは、まあよろしゆうございましよう。その次をまた延ばす、そうしてその期限が今年で切れる、こういう跛行状態のままで何度も延ばし延ばしする。こういうことは、私はそれ自身、非常に問題ではないかと思うのであります。ただ私は、文部当局が非常に御苦心のあつたことと思うて、その点は了とするのであります。従つて、これまで文部当局が各方面の意向を徴するというような意味でつくられました協議会、審議会等の結論が、方向が一致しないからということで躊躇されましたことも、わからないじやありません、わかるのであります。しかし、新しい制度をつくるような場合には、そういう愼重なる態度ということも非常に必要かと思いますけれども、この跛行状態のままで、これを延ばし延ばしして行くということは、そこによほどはつきりした理由がなけらねば、一応はこの法律の完全実施をやるということが、国の制度の運営上、必要なことでないか。従つて、いま一段とつつ込んで、市町村教育委員会義務設置にしたならば、どの点で地方制度なり、あるいはまた地方税制の関連におきまして支障があるのか、それをひとつ明瞭にしていただけないか。さらに質問を繰返すようでありますけれども、だらだらと並べられないで、一つ一つはつきりいたしたい、こう思う次第でありますから、よろしくお願いいたします。
  44. 久保田藤麿

    久保田政府委員 前段のお話、私どもつたく同感でございます。たまたまこういう制度が、二年目に改選という形になつておりますために、一回延ばすということが、そのために二年、従つて最初の二年を御猶予願うと、他の一同も実はそういうことであつたということにすぎません。それにしても、後段で御指摘のように、町村でどうして困るか、どうした弊害があるかということは、これは現在、御指摘のように、県を合せまして全部で六十二ほどございますが、すでにでき上つております委員会は、割合に楽観的な、條件のいいところで、しかるべき成績をあげておられる。従いまして、それだけをながめました場合においては、こういうものを置いて、地方において弊害が起るはずはない。私どもの立場から申しましたならば、むしろ、できるだけそうしたいものができることを望んでおるわけでありまして、それ自体としては、弊害の問題を考えておりません。ただ、先ほど来申し上げましたように、県に置く場合にも、割合に小規模な教育機関、小規模な教育関係に置かれておる町村にまで、現在の段階のままで、現在の性格のままで置いてさしつかえないかという考え方に立つた場合に、教育委員会をそのままの性格で行きますと、單に教育者の任免権といつた問題ではなくして、費用の問題から一切を含めて、教育委員会が今問題になつておるわけであります。そのままに持ち込めるかどうか。従つてこれは、先ほども申しましたように、地方の税、財政の関係とかいつた問題と当然からんで参りますので、このままで押し切つて、單純に今の性格のままで地方に押しつけるというのでは、少し無理がかかるのではないか、その懸念がむしろ、内閣で御審議なさつた場合でも、私どもの方でつくりました協議会で御審議願つた場合でも、一番大きく扱われ、一番難点とされた部分でありますので、これをそのまま押し切ることは、われわれとしては躊躇があるというだけでございます。
  45. 田中啓一

    田中(啓)委員 だんだん文部省のお延ばしになろうという理由が、明らかになつて参りました。そこで、今おつしやつたことを、もう一ぺん私がどう了解したか申し上げて、質問に移ろうとするわけでありますが、第一は、市町村に置かるべき教育委員会の権限と申しますか、仕事の内容、そういつたものをこのままこの法律に書いてある通り施行するのには、不適当な面もありはせぬかと思つた、こういうお話であります。そこで私は、この委員会の職務権限を読み上げるまでもありませんが、現在まず義務教育の教職員の俸給その他の給与につきましては、別個の法律がございまして、府県の負担となつておるわけであります。従つてこの法律を施行しましても、その点は動かぬわけであります。しかし、それが動かないがいいか悪いかということ  は、むろんなお問題があるところで、それは将来またその法律をどうするかということについて、国会の審議にまたなければならぬと思うのでありますが、俸給の支払い義務のことは現状通りであるわけであります。次に教職員の任免権というものは、本来はそれぞれ学校の設立者でありますところの地方公共団体にあるわけでございましようが、この法律によりまして、市町村教育委員会がない間は、これを県の教育委員会が行う、こういうことになつておるのでありまして、先ほど私が、非常にちんばな状態だと申しましたのも、一体県の教育委員会に、かように広汎な権限を持たそうということで、この教育委員会法ができたものとは思わない。と申しますのは、従来の地方自治法によりますと、府県知事の権限はきわめて広大でありまして、市町村長に対して、大きな監督権を持つており、ある程度の指揮権も持つてつた、こういう状況であります。ところが、新自治法におきましては、さようなことはなくて、ただ市町村でできないような事務だけについて、府県知事がいわゆる広域地方行政として権限を持つておるというふうになつておるのであります。日本の行政の民主化が叫ばれて、またそれが真にいいのだということで、憲法以下諸般の法律ができ、またこの教育委員会法においても、その趣旨にのつとつてできておるのにかかわらず、今のようなことになつておる状況というものは、教育行政の民主化から見て、早くそうでない姿に直さなければ、全般の地方制度の民主化という点から申しましても、非常に欠陷があり、これを長く続けて来たのではないかと思うのであります。職務権限をこのままにして、市町村教育委員会を全面的に設置することはいかがかと思うとおつしやいますけれども、私は逆に、これは急務ではないかと思う。そうでなければ、今日の教育委員会法ないし地方制度全般の趣旨にかなわないのではないかと思いますがこの点についての御見解をお伺いしたいと思います。
  46. 久保田藤麿

    久保田政府委員 多少繰返しになるかもしれませんが、文部省といたしましては、そういう跛行状態をできるだけ積極的に、また御指摘のように、なるべく早い目に改正をいたしたいという考えは、従来も今日もかわつておりませんが、先ほど申しましたように、少くとも独立までの期間にあつて、この委員会制度そのものには、どの程度文部省が積極的にやれたかという問題が、むしろあるのでありまして、従来の交渉経過から考えますと、そう簡單には解決できない。しかも、先ほど御指摘のように、任命権の問題以外に、むしろ財政の関係が、現在教育委員会では一番の問題点になつておるわけでありまして、それらとからみながら、しかも、そういう跛行状態を最も早い時間に解決して行きたい。そのために、昨年来そういう姿において一応やつてみたわけでありますが、望ましい結果を求めることができなくて、このまま今年の選挙に臨むには、少しここに無理があるのではないか。従つて、一年の猶予をいただいておいて、その間に、できるだけ早い目に、そうした問題を解決すべきである。その場合に、先ほど申しますような関連の問題を同時に解決することが、一番ありがたいわけでもあるし、また現在置かれております教育委員会における一番の問題点が、そこにもあるわけでありますので、それらとからんで、一番早い機会にそうしたものを確立するように、私ども態度をきめたい。その上、御指摘のように、国会なり、またそれらの関連の方に御審議を願う時間がほしい、こういう計算でおるわけであります。
  47. 田中啓一

    田中(啓)委員 ただいま伺いますと、私がつつ込んで御質問申し上げた点については、御見解をお述べにならないで、むしろ、さらにもう一つ展開されまして、教育財政の問題の方に話をお移しになつたと了解いたしましたので、私もその方へ質問を移したいと思います。  財政との関係においては、二つ問題があると思います。一つの点は、今直接問題になつておる点、つまり教育委員選挙とか、委員会を設置する上についての経営費は、町村当局の負担になり、財政が窮迫して来はしないかという点について、政府はどう配慮するかという点。この点については、先ほどの小林委員の御質問の際、大蔵当局並びに文部当局から、政府としては国会の意思を尊重して、既定の費用で足らないもの、あるいは流用しても足らないものは、さらに財源措置を講ずるという御答弁がありまして、ほぼ明らかになりましたので、私は問題はないかと思います。  いま一つは、政府委員お話には、前から何か教育財政の独立というようなことが、ずいぶんある面から言われまして、独立税でもとるのだという論も、一部にはかなりあるのでありますけれども、これはどうも今そういう論を起して、どこへ結着するかということを考えれば、そういう独立税をつくることには、おそらくいかなる審議機関をつくつてつても、そういう結論にはなるまい。やはり一般財源のうちから、何らか適切な方法教育費を確保して行く道を講ずることは、国にしても地方公共団体にしても、必要なことではないか。今後その方の改善が、いろいろ行われるだろうと思います。現に義務教育費国庫負担法なども、その一つであります。従つて、その辺の論の確立を待つてというお話ならば、その論の先はまず見通しがつくのではないか。やはり町村の財政の統一と教育費との関係は、現在やつておりますような教育委員会町村長並びに町村議会とのあの関係で、相当教育関係機関の意思を入れつつ、教育費の問題の財政を統一して行くということであろうと思います。人々見るところによつて、違うでありましようけれども、しかし、私はその点、何らかの結論を待つて全面設置にするかどうかを考えたいということは、どうも理由にならないのではないか、こう考えますので、何かまたこの問題は、教育委員会制度協議会等におきましてもずいぶん論もあつたようでありますし、今日でも、いろいろな方面から論のあることはあるのでありますから、何か財政を圧迫しはせぬか、こういうようなことは言われるのであります。しかし、私は、そういうことにはならない、こういう一応の見解を持ちまして、そうして、それに対する文部当局の御見解をお伺いしたいと思うわけであります。
  48. 久保田藤麿

    久保田政府委員 財政問題について二つの点があり、同時に、第一の問題は、今御質問の問題でございますが、第二の点にからんでの問題は、これは田中委員指摘のような見方もあると思いますが、少くとも、既設の委員会の中での一番大きな問題であることは、御存じの通りだろうと思います。そうした問題をどう扱うかということを、相当文部省としても研究いたしておりまするし、また現に各教育委員会の方方が、そうした問題の研究会などをつくつて、盛んに論議をしておられる一番の重点でございます。それらの点は、幸いにおかげさまで負担法が進んで参つておりますので、それらも一つの解決の糸口にはなつておりますが、さらにまた委員会側の言葉を借りて申せば、問題はまだまだこれからでありまして、それらに対する解決の仕方というものが、委員会を置くか置かぬかという問題の基本にどういう響き方をしておるか。これはあるいは田中先生と、見解の相違があるかもしれませんが、私ども承知しております限りでは、委員会のことについて詳しければ詳しい人ほど一番この点を問題にしておられるように私は見受けております。そのために、先ほど来申し上げますように、どの協議会も右、左ということをきめにくかつた、またきめるのに苦しかつた、また苦しい状態に現在あるわけであります。そういう状態に置かれる基本がそこにございます。選出方法とかいうような問題もございますが、むしろ教育委員会の性格がはつきりきまることによつて、またそうした問題も、あるいは付随的にきまりはせぬかというほど重大に考えておりますので、つい御質問外にそれてまで申したかもしれませんが、私どももその点を十分研究させていただきたいし、これから御審議を願う関係者にも、おそらくそういう点が一番大きな問題になつて討議されるだろうというふうに見ておるわけでございます。
  49. 田中啓一

    田中(啓)委員 政府委員の御答弁を伺つておりますと、例の教育財政の独  立問題とでも申しますか、これなくしては、一体教育委員会をつくつても無意味だというような論が、私は既設の委員会側から一時起きたことを承知しております。今でも、やつておるかもしれません。しかし、これは教育財政の独立というので教育というものも、大きな国政並びに地方行政の一部でありまして、これに目的税を付設すると  いうことは、これはどうも、アメリカのように教育区でありますか、学区でありますか、そういつた一箇の地方公共団体、学校專門、教育專門の地方自治体があるものは、これは別でありますけれども、そうでない日本のような総合的な地方自治体でやつておりますところの、日本の長い歴史と今日の制度にかんがみまして、そういうことは、私はおそらく実現をするはずはないと、少し独断かもしれませんが思うのでありまして、この点に望みをかけてその上で教育委員会をつくつてとこういうようなお考えならば、この辺でそれはひとつおあきらめを願う方がいいのではないか。決して独断を押しつけがましく言うわけではございませんから、失礼になりましたら、お許しを願いたいのでございますが、私はその点は、まず現在の委員会と一般の町村議会当局とのこの関係、この教育委員会法でなしに、自治法あるいは地方財政法で書いておりますこの行き方でよろしいのじやないか、こう思いますので、私の所見をもつていたしますれば、その点でお延ばしになつてはまずいのじやないか、かように申し上げたい。何か取違えておるところがあるかもしれませんので、別段追究する意味ではございませんが、御感想がございますれば、お伺いしたいと思います。
  50. 久保田藤麿

    久保田政府委員 私の申し上げ方が、少し行き届きませんで、あるいは誤解を受けたかもしれませんが、その問題があるから延期したいというわけじやございませんで、問題の中に、そういう問題が相当大きなウエートを占めておるということを申し上げたつもりであります。またぜひ独立の財政権がなければ、委員会を置く意味をなさないというようなことに、私ども單純に取上げておるわけではございませんで、それらに対する態度も、いずれこの審議の上に、やはり大きなウエートがかかつて参りましよう、またかかるはずでございますので、それらとの関連から見ましても、ただいま非常に切実な案を、かりに文部省が持ちましたところで、とてもそれはそう簡單に解決しそうにもありません。そのうちの大きなウエートがここにかかつておるということで、そうしたことがある程度関係者に納得させる時間が必要ではあるまいか。今までの審議の経過なり、また私ども関係者から聞かされておりますところ、あるいは議論をいろいろ伺つておりますところから見ても、その点に非常にウエートを持つているということを、特に申したわけであります。これのためにだけ延期しようとか、またこの問題のために、文部省が少くともこれに取組んで、これが解決しなければ、委員会の問題は解決しないのだというふうに、そういうふうな考え方をいたしておるわけではございません。
  51. 竹尾弌

    竹尾委員長 本日はこれにて散会いたします。     午後一時十八分散会