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奧野説明員 ただいまのお話を伺
つておりましても、先ほどの
内藤課長のお話を伺
つておりましても、財政
制度について、誤解しておられるように思うのであります。といいますのは、
義務教育費国庫負担金という国からの補助
負担金というものと、
地方財政平衡交付金なり
地方税なりというものを、同一に論ぜられているのじやないかと私は思うのであります。といいますのは、補助
負担金というものは、国が意図しております行政を
地方団体に行わせますために、国からそれに使うべき金として交付される額であります。通称ひもつき補助金といわれている額であります。これに対しまして、
地方財政平衡交付金は一般財源であります。何に使
つてもよろしいのでありまして、そのことを、ことさら
地方財政平衡交付金法という
法律の條文の中で、
地方財政平衡交付金の交付にあた
つては、何らの條件をつけたり、使い道を制限したりしてはならないと断
つているわけであります。その
意味におきまして、問題は非常に違うのでありまして、もし、
先ほどお話がありましたように、わくをつく
つても、国の負担の限度を示すだけである、こういうことであるならば、むしろ
教育に関します基準がつくられるならば、それらの基準に応じて基準財政需要額が測定されるべきである。それだけの
地方財源が保障されなければならない。しかも
地方財政平衡交付金
制度では、なかなか
地方財源が確保されがたいというような
意見もございまして、今回の
改正案におきましては、全部
法律で測定ができるように
改正されて参
つて来ているわけであります。ことにまた、昨秋
政府部内においてもいろいろ議論されましたように、
地方財政平衡交付金というような交付金では、やはり補助金
負担金の類と誤解されまして、とにかく中央依存的になりかねない。だから、これらの相当
部分を酒、タバコ還付税に置きかえよう、こういうようなことで、具体的に総司令部とも折衝が行われたわけであります。酒、タバコを還付税にいたしまして
——しかし富裕な
地方団体には交付しない。しかしながら、実質的には
地方財政平衡交付金とはかわらないわけであります。観念的に税的な観念を持たせながら、
地方団体の自律的な精神というものをつちか
つて行かなければならない、こうい
つたことも考えられてお
つたわけであります。この
意味合いにおきまして、補助
負担金と
地方財政平衡交付金とは、性格的にま
つたく別なわけであります。もし、先ほどの御
説明がありましたように、わく
はつくるけれ
ども、それは何ら
地方団体を制約しないものなんだというようなお話であるならば、
現行制度と何にもかわりはないわけであります。
義務教育費国庫負担
制度をつくりまして、ことさらに、
地方団体が使うところへ直接收入を得まして、
地方の住民が思うような使い方をすればいいものを、わざわざ
政府官僚の手を通じまして配分を行う。
事務費だけでも莫大なものに上ります。直接
府県が使うところへ收入いたしまして、それをどう使うかということを、議会にかけまして配分の使い方を決定して行けば、何ら
事務費はいらない。それをわざわざ国庫に收入いたしまして、
政府官僚の手を通じて、しかも
負担金というかつこうで配
つて行きましたならば、しばしば申し上げますように交付の申請、あるいは交付の手続、あるい使い道の報告、あるいは監査、いろいろな問題におきまして、相当な
事務費がいるものであります。これは、ほかの補助
負担金の例をごらんにな
つても、よくわかることであります。しかしながら、それだけ
事務費を要しましても、あるいは国民の負担がふえましても、その結果、行政が非常によくなるというならば、そうせざるを得ないかもしれません。しかしながら、
義務教育費につきましては、住民が非常な関心を持
つているものであります。
地方政治の
中心をなす問題であります。
従つて、もし義務
教育につきまして適切な
内容が定められますならば、必ずやそのような方向に行政施設が講ぜられるだろうというような考えを持
つているものであります。従いまして、また平衡交付金
制度におきましても、だからとい
つて、いたずらに中央依存的な気持を起させてはなりませんので、先ほ
ども申しましたように、基準財政の測定も
法律できめて行こうとしておるのであります。従いまして、原則的には、普通交付金の算定にあた
つては、裁量の余地を残しておりません。たとえば、具体的に申し上げますと、法人の事業税をどうや
つて測定するかということですが、法人の事業税を測定する際には、事業諸統計に基きます産業分類別の従業者数を用いて、銀行業の従業者一に対して紡績業の従業者はどの程度の所得をあげておるか、こういうようなことから、従業者数を基礎にいたしまして、かりに銀行業の従業者数に置き直した場合には、税額において何人の従業者数になるか、これを基礎にして税額を算定するというような方式をと
つて参るわけであります。しかしながら、同じ業種の会社でありましても、労働争議が起きたとかいろいろのことで、他の会社では利益をあげてあ
つても、その会社では損失を計上している場合がございます。そういう問題を補填いたしますために、特別交付金
制度というものを設けておるのであります。しかしながら、
地方財政平衡交付金というものと他の補助
負担金とは、性格が全然違うものであるということも、御了承を願
つておきたいと思います。