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1952-05-29 第13回国会 衆議院 文部委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月二十九日(木曜日)     午前十一時三十分開議  出席委員    委員長 竹尾  弌君    理事 甲木  保君 理事 若林 義孝君    理事 小林 信一君       柏原 義則君    首藤 新八君       高木  章君    圓谷 光衞君       東井三代次君    長野 長廣君       水谷  昇君    井出一太郎君       笹森 順造君    稻葉  修君       渡部 義通君    浦口 鉄男君       小林  進君  出席政府委員         経理府事務官         (地方財政委員         会事務局長)  荻田  保君         文部事務官         (初等中等教育         局長)     田中 義男君  委員外出席者         総理府事務官         (地方財政委員         会財務課長)  奥野 誠亮君         文部事務官         (初等中等教育         局庶務課長)  内藤譽三郎君         専  門  員 石井  勗君        専  門  員 横田重左衞門君     ————————————— 五月二十四日  委員井出一太郎君、志賀健次郎君及び坂本泰良  君辞任につき、その補欠として千葉三郎君、稻  葉修君及び鈴木茂三郎君が議長指名委員に  選任された。 同日  委員稻葉修辞任につき、その補欠として志賀  健次郎君が議長指名委員に選任された。 同月二十六日  委員千葉三郎辞任につき、その補欠として井  出一太郎君が議長指名委員に選任された。 同月二十八日  委員鈴木茂三郎辞任につき、その補欠として  坂本泰良君が議長指名委員に選任された、 同月二十九日  委員志賀健次郎辞任につき、その補欠として  稻葉修君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 五月二十三日  新潟大学教育学部新発田分校統合移管反対に関  する請願松本七郎紹介)(第三一三六号)  高等学校における家庭科目女子必修科目に加  入の請願外六件(松谷天光光紹介)(第三一  三七号) 同月二十七日  高等学校における芸能科目必修科目に加入の  請願水谷昇紹介)(第三一八四号)  富山大学経済学部独立に関する請願鍛冶良作  君外五名紹介)(第三一八五号)  寒冷地帯学校屋内運動場建設促進に関する  請願外十一件(小林進紹介)(第三二三八  号)  高等学校における家庭科目女子必修科目に加  入の請願小澤佐重喜紹介)(第三二五四  号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  義務教育費国庫負担法案竹尾弌君外十四名提  出、衆法第四〇号)     —————————————
  2. 竹尾弌

    竹尾委員長 これより会議を開きます。  まず義務教育費国庫負担法案を議題といたし、前会に引続き質疑を続行いたします。質疑は通告順によつてこれをお許しいたします。小林進君。
  3. 小林進

    小林(進)委員 私はこの前の連合審査会の続きで、岡野国務大臣質問いたしたいと思うのでありますが、大臣はお見えにならないのですか。
  4. 竹尾弌

    竹尾委員長 大臣は今出席を要求しておりますが、御都合があるそうなので、局長がかわつて今参つております。いずれあとからお見えになるかもしれません。
  5. 小林進

    小林(進)委員 それでは大臣にかわつて答弁を願うことといたしまして、局長お尋ねをいたします。この義務教育費国庫負担法の問題について、これを文部省管轄にすることは、いたずらに中央政府官僚権限を強大ならしめて、官僚による地方行政に対する統制支配を可能にするということが、第一の反対理由にあげられているようでありますが、これが現在の地財委の手で配分をしておられるときには、中央集権ないし官僚統制強化にならないで、管轄を委譲することによつて中央集権あるいは官僚強化になるという区別を、いま少し明確に承りたいと思うのであります。
  6. 荻田保

    荻田政府委員 この管轄がどこになるかということは、さして問題ではないのでありまして、地方で行います行政事務について、個別の補助金が出る條件つき補助金が出る、いわんや中央地方行政費に対して一定わくをきめるような補助金が出る、ここに中央官庁中央集権的な官僚統制が行われるもとがある、こういうように考えます。
  7. 小林進

    小林(進)委員 そのような御答弁でありますと、少し矛盾じやないかと思うのであります。この前の委員会お尋ねいたしましたときに、この標準義務教育費というものが、各府県別によつて十分使われていないじやないか、あるいは東北の方は百パーセントの配賦に対してそれを十分使つていないということで、ますます地方別教育の不均衡を来すおそれがあるじやないかという質問に対して、それならば何も義務教育費国庫負担法などというものをつくらなくても、それを確実に使うような、わくないしは法律根拠をおつくりになつてくだされば、従来の組織で十分ではないかというような御答弁があつたようであります。そうすると、今お話なつたことと前の答弁とでは非常に矛盾をしているではないかと思います。今はあなた方の手で、もつと言いかえますならば、地財委でお扱いになつておる。けれども、あなた方の要求の通りにちやんとわくをつくつて、あなた方にわくをおまかせすれば、それでいいじやないかという今までの御答弁、それが今おつしやる官僚統制中央集権と同じ形ができ上つて来るのじやないか。わくをつくれば、だれがやつでも中央集権になるのでありますから、この点非常に私は矛盾する答弁ではないかと思うが、お答え願いたいと思います。
  8. 荻田保

    荻田政府委員 先般お答えしましたのは、私ではないのでありますが、こちらの考えております趣旨は、地方に示されなければならないのは、教育内容基準であります。どれだけの校舎をつくらなければいけない、あるいはどれだけの先生を置かなければならない、その先生の資格はどれだけでなければならない、あるいは教材というものはどれだけのものをそろえていなければならない、こういうものについての根本を示さずにおいて、そうして経費のことだけを議論するのは本末転倒ではないか。一定の国の要望するだけの基準ができておるならば、むしろそれを安上りに、金を使わずにやつたならば、ほめられることであつて、国、地方を通じて国民負担を軽減するという方向に向くことがよい政治ではないか。しかるにもかかわらず、一体どれだけの基準がなければならぬかということは、あるいは文部省あたりから一本の行政通牒あるかもしれませんが、少くとも今後におきまして、国会意思、つまり法律によつて、一体義務教育というのはどれだけの基準がなければならぬのかということは、ちつとも明確になつていない。それを明確にしないでおいて、ただ経費についてだけとやかく議論するのは本末転倒じやないか、こういうことを申し上げたのであります。
  9. 小林進

    小林(進)委員 私は中央集権官僚統制の問題でお伺いしておるのであります。今おつしやるように、一定わくをきめて示されて、それが彼我流通できないよいようにすればよろしいじやないかというこの前の御答弁なので、わくをつけてそれをやるということになれば、あなた方の手でおやりになるのも、あるいは管轄を違えてほかの官庁でおやりになるのも、同じではないか。それをあなたたちが、もし今まで通りやり方が悪いならば、わくをつくれということを言つておられて、そしてあなた方の手からとられてほかの方へわくをつけてやると、それがどうして官僚統制中央集権になるというりくつをお持ちになつて来るのか、私にはわからない。あなた方の手でやられる限りは官僚統制じやない、ほかの方に持つて行けば官僚統制中央集権になるという、その点の理由を、私はいま少し明確にしていただきたい、こういうのであります。
  10. 荻田保

    荻田政府委員 だれの手でやれということではなくて、先ほど申し上げますように、地方財政平衡交付金によりますれば、今申しましたような義務教育について一定基準というのができれば、それに必要な経費は、普通やればどれだけの経費がいるということになり、そしてその金額は個々団体ごとに計算される。そしてそれを行政基準財政需要一つと見て、そして基準財政收入と計算して平衡交付金交付される、あるいは交付されない場合もある。従つて個々経費の支出について、平衡交付金交付ということは、何ら義務づけにはならない、計算の根拠にしかならない。従つて地方財政、ひいては行政についての中央統制というようなことがない。しかるにもかかわらず、このような個別補助金で行きますれば、必ずやその使途について、個々のどういう道に使われたか、交付したあとでどう使つたかということの種々検査なり調査なり報告なりが行われる、これが中央統制になるということを申しておるのであります。
  11. 小林進

    小林(進)委員 それでは、一定基準さえ示せば、中央集権官僚権限にならないとおつしやいますならば、一応反対理由としてお示しになつたこの理由書と、御説明が若干違つて来るのじやないかと思うのでありますが、この点はまず一応別にいたしまして、次に私がお伺いいたしたいのは、大臣がお見えになりませんので、あなたにお伺いするのでありますが、官庁の予算をもつて中央官庁配分その他をやれば、これは中央集権になるけれども、地財委という委員会制度のところでやることは中央集権にはならない、こういうことを言われたのでありますが、事実その通りでございましようか。
  12. 荻田保

    荻田政府委員 先ほど申しましたように、中央集権かどうかということは、個別の補助金か、あるいは総括した一般財源として交付する平衡交付金かというところに、大きな問題があるのでありますが、さらにお尋ねでございますから、それを扱う役所各省であるか、あるいは地方財政委員会であるかということが、中央統制になるかならぬかの一つ根拠になるかどうか、こういう点線についても、それもそのように言えると私は思つております。と申しますことは、各省では、個々仕事を持つております。ばらばらの仕事を持つて地方自治ということよりも、各省それぞれの仕事のことを主体的に考える。しかもその補助金交付について、種々事務的の一定の制約を加える、こういうことから、各省で持ちますれば、やはり中央統制力が強くなる。ところが、地方財政委員会におきましては、これは單なる政府役所でなくて、委員五人のうち三人は、地方団体意思によつて、むしろ地方団体代表者として来ておる。形は東京にありますけれども、決して中央意思そのものじやない、そこに一つの違いがあります。  第二に、地方財政委員会におきましては、個別の事務を持つておりません。教育、土木、警察その他一切の事務を総合して判断して、個々事務についてとやかく言う役所ではないのであります。そういう意味におきまして、やはり各省でこのような交付金を持つよりは、地方財政委員会でこれを持つております方が中央統制にならない、さように考えております。
  13. 小林進

    小林(進)委員 私は実にふしきな御意見を聞くものだと思つております。第一の点で、もちろん、各省固有事業を持つておる。地財委固有仕事をお持ちにならないで、地方自治を本体にして事業を運営しているところである。確かにその点は相違がございましよう。だからといつて、それが中央集権団体でないというりくつにはならないと思う。例は違うかもしれませんが、昔もやはり帝王あるいは君主というものがあつて君主には固有仕事がない。余は公僕であるということで、下人民のために一生懸命に仕事をおやりになりましても、それが民主的に推薦されない以上に、やはり独裁政治であり専制政治であることは間違いないのでありまして、地財委がいかに地方自治体のためにのみ存在するシステムであるとおつしやつたところで、これは中央にたつた一つしかない官庁であり——官庁といつて語弊があるかもしれません、委員会であり、これが地方財政委員会なり、いろいろ輿論を盛り上げて来る機関があるなら別でありますが、中央でたつた一つ、ここで一切のことをおやりになつているのでありますから、これは強力なる中央集権組織ではないか、こう私は思うのであります。いかがなものでありましようか。
  14. 荻田保

    荻田政府委員 平衡交付金につきましては、総額を決定すること、これは中央地方を通じまして、国会なり中央政府なりにおいて強く関心を持つところであります。ところが、これをきめました以上、この金はすでに地方団体の金なのであります。それをどうわけるか、一万有余の団体が集まつてがやがや騒いでも、どうにもなりません。従いまして、そこにむしろ総合体としての地方財政委員会をつくつて、そこでお互いに公平にわけ合いをする、こういう趣旨なのでありまして、いわゆる中央集権をきらう地方団体そのものが構成の要素になつております。そこに、單なる中央官庁地方財政委員会との違いがあるわけであります。
  15. 小林進

    小林(進)委員 それは今おつしやるように、理論的に地方団体がそれぞれの費用を分配する、その代表者としておわけになるのだというりくつはわかるのでありますが、一体実際の面において、そのような形で進んでおりましようか。もしそれが事実会議的に行われているとするならば、なぜ一体あなたのところや課長のところへ、地方の自治体がああやつてお百度踏んで政治折衝政治交渉といつて、あらゆる陳情請願を繰返す理由があるのでございましようか。むしろ地方団体に対しまして、圧力という言葉は悪いかもしれませんが、一番強力な権限支配力をお持ちになつている官庁——官庁という言葉が悪いならば、あなたのところが一番強いのじやないか、この点はいかがでございましようか。私は事実の面においてお答えが願いたい。
  16. 荻田保

    荻田政府委員 われわれ事務局は、地方代表者組織せられます地方財政委員会事務を扱つているわけでありますので、おつしやいますように中央一つしかないのであります。これで地方全体のことを見るのでありますから、地方のそれぞれの特殊事情はこちらも調査しますし、あるいはそれで足りないところにおいては、地方からいろいろその実情を述べに来られるところもあると思います。おつしやいました言葉の中に、政治的活動という言葉がありましたけれども、地方財政委員会に関する限り、いわゆるノン・ポリテイカルの官庁でありまして、そういう政治的な考えは全然ないわけであります。これは政党に属する各省大臣政治的な官庁と違うわけであります。その意味におきましても、政治的にどうのこうのということは、全然ないわけであります。しかし、その受ける団体といたしましては、いずれにしろ自分のところの交付金の多いことを望むのは当然のことでありますから、それについて種々意見を述べて来ることは、むしろ当然のことで、その意味におきましては、むしろわれわれは地方団体代表者、仲間であるというような意味におきまして、よく事情を聞くつもりでおるわけであります。また地方団体側自分代表者に対してものを言う。中央官庁に対して陳情するとか、抗議するとかいうことじやなくて、内輪間としてものを言いに来る、こういうやり方をしておるわけであります。
  17. 小林進

    小林(進)委員 内輪同士お話をおきめになるという御説明は、まことにりつぱでありますが、事実の面において、あなたが良心的にそう確信しておいでになるとするならば、私はあまりに事実と離れ過ぎているのじやないかと思うのであります。とにかく地財委が今日お持ちになつている財産が、平衡交付金で一千二百五十億であります。それから起債のわくが八百億弱でございましようか、ちよつと数字を忘れましたが、二千億に近い財産をお持ちになつているわけであります。これは、大蔵省は別でありますが、各官庁を通じて、これほど大きな国家財政を自由にされる官庁は、あなたのところだけしかないわけです。それをあなたはこれは自分の金じやない、地方財産でである、われわれは内輪の中でそれを配分しているのだとおつしやいますが、もしそういうことでありますならば、私がいま一度お伺いしたいのは、その配分地財委委員諸君がおやりになるとして、その最後決定案に至る資料その他を含めた草案といいますか原案といいますか、決定に至る経過は局長とか課長、あなたのところでおやりになるのでありましよう、これをひとつ伺いたい。
  18. 荻田保

    荻田政府委員 おつしやいますように地方財政の非常に大きな金を扱うことになりますれば、これはますます普通の官庁ではいけない、そこに地方財政委員会の存在の理由がある。大きければ大きいほど、それが中央官庁で処理されず、地方団体意思が加わつた財政委員会において処理されることが適当だと思います。もちろん、財政委員会事務としては、すべて財政委員の任命にかかるもので、他の意思じやなくて、委員会自体で選ばれたものであります。それが財政委員会決定について事務的に補助するのは当然のことと考えております。
  19. 小林進

    小林(進)委員 現在あなたたちが補助されて原案をおつくりになるのであります。内部の関係をお尋ねして、はなはだ恐縮でありますが、その原案をおつくりになるときには、いろいろ地方の状況や配分規則——今度は法律になりましたが、そういう基準に基いて計画をおつくりになるのだと思いますけれども、その間にやはり地方陳情請願——あなたが、いろいろ地方実情陳情に来るのがあたりまえだし、われわれは聞くのがあたりまえだとおつしやつたように、聞いたり、聞かせてもらつたりして、その実情によつていろいろ配分計画を変更されたり修正されたり、増減加減せられることが当然あるわけであります。この点はいかがでしようか。
  20. 荻田保

    荻田政府委員 御承知のように、この配分根本は、法律できまつております。細目につきましては、規則できまつております。これは地方財政委員会そのものがきめるわけであります。それの草案等につきましては、もちろん事務局でいろいろ意見を聞きます。それと同時に、地方意見というものも、全部事務局だけに来るのではなくて、委員各位に対してもある。ことにそれぞれ推薦された団体からあるわけでありますから、そういう方と密接な連絡をとつて地方意見——もちろんこれは地方と申しましても、一方有余ありますので、これの意見を全部聞くわけには行かないものでありますから、総合して妥当なところを判断してきめる、これが委員会任務であり、われわれ事務局任務であると考えます。
  21. 小林進

    小林(進)委員 結局いたしますと、それじや地方意向陳情従つて、あなた方の手元で、それを非常に修正加減あるいは増減加除せられることがあるということでございますね。大いにあるということの証拠でございますね。
  22. 荻田保

    荻田政府委員 配分方法は、今申しましたように、規則をつくる前に、地方意向を十分取入れてつくつております。
  23. 小林進

    小林(進)委員 現在地財委にたくさんの人たち陳情請願に行かれますし、中には、もはやいすわり戰術のようにして、長期滞在で苦労していられる方が多いのでありますが、そういう陳情請願の方が、一体財政委員会委員のところに行かれるのか、むしろ局課長のところへ目的を指向して陳情請願に行かれるのか、一体どつちに重点が行つてるのでありましようか、この点ひとつ伺つておきたいと思います。
  24. 荻田保

    荻田政府委員 それは、人により、事柄によつていろいろでございまして、委員のところに行く方もありますし、事務局に来られる方もあります。委員のところだけに来る方もあります。それはいろいろでございます。
  25. 小林進

    小林(進)委員 それはもちろん両方においでになるでございましようが、ほんとうに地方から陳情に行かれる人たちの腹の中では、どこが一番実力をお持ちになつておると考えておるか。この点あなたの御意見を承つておきたいと思うのであります。
  26. 荻田保

    荻田政府委員 どうもそれは、来られる方に聞いていただかないと、私ではわかりがねます。いずれにいたしましても、出ました意見を一応整理いたしまして、決定の前には、大体こうこうこれだけの意見が出ている、これをとるとらないということは、最後委員会の議にかけてやつております。
  27. 小林進

    小林(進)委員 私が地方から陳情請願に来られる方の意見を聞いたところでは、もつぱら地財委配分決定——もちろん法律規則にありますが、法律規則通りに世の中が行くなら、だれでもやれるので、あなた方のような優秀な局長課長はいらぬのであります。従つてやはり法律規則に基いて、地方実情その他を勘案するところに、官吏としての優秀な技術を要するのでありまして、あなた方のような優秀な方を局課長にお願いしておる。そういうわけでありまして、私が地方から陳情される方々の多くの話を聞いたところでは、何といつても、あの局長課長の牙城を落して、その御承認を得なければ、平衡交付金はちようだいできないだろう、こういうことです。委員のところは、あいさつ程度です儀礼程度お話になつて、もつぱらあなた方に懇願あるいは哀願あるいは泣訴嘆願をしていられるというのが、実情でございます。この点御承認くださいますでしようか。
  28. 荻田保

    荻田政府委員 そういう趣旨におきまして、なるべく行政的裁量を少くするために、先般も改正法案を出しましたように、配分の方は法律できめる、そうして足らざるところは規則できめることにいたしております。もちろんその規則通りにやつておるのでございまして、これにつきましては、全部会計検査院の検査がございまして、もし規則通りつておりませんと、全部向うから通知があるのであります。ただその規則をきめたり、あるいは法律をきめる原案をつくるために、各地方の方は来られると思いますが、それにつきましても、もはや交付金につきましては、おれのところは少いから、もつとふやしてくれというような政治的なことを言われる人は、よくわかつた方にはもうないのでありまして、すべて交付金法内容をよく理解してくださいまして、ここが悪いのは、どこそこが悪いのだということで、はつきり事務的に、どこの補正係数が悪い、どこの算定方法が悪いのだと、非常に事務的に、自分で御意見を持つて来られる方が非常に多いのであります。またそうなけばならぬと思います。そういう意味におきまして、詳しいところをよく事務当局お話になるかと思います。ただ漠然と、少いからふやしてくれ、こういうようなことでは全然考えない、そういういいかげんなことは考えない。事務的に、どこがどうだからどうしてもらいたい、そういう意味におきまして、事務的なお話は相当詳しくされるわけであります。
  29. 小林進

    小林(進)委員 そうすると、あなたは今の地方財政委員会で、委員のところよりは、やはりあなた方局長課長のところに一生懸命に実情を具申し、お願いに行き、陳情に行き、嘆願に行くこと、これが一番正しいあり方であるということを確信しておいでになるわけでございますか、この点ひとつ承つておきたいと思うのであります。
  30. 荻田保

    荻田政府委員 いずれにいたしましても、正確にどこがどう悪いからどうしてもらいたい、これがはつきりすることをわれわれは期待しておるのであります。その意味におきまして、よく事務的のお話をわれわれ伺うとともに、そのお話はもちろん聞きまして、決定する場合には、委員会の議決を全部経ております。もし足らないところは、その方々の御意見で、委員のところに陳情に行かれるのは当然のことだと考えます。
  31. 小林進

    小林(進)委員 あなたのお話を承つておりますと、私の質問にはいつでもポイントをはずしていらつしやいますが、この点御承認を得たようでもあり、御承認を得ないようでもありますが、今までの応答を続けて行きますと、地財委というところは、やはり法律規則によつておりますけれども、その地財委という、いわば各省を離れた一つ独立官庁——官庁という言葉は非常に語弊があります、委員会でありますが、その中央一つしかない委員会が、いわゆる普通の政府の手からやや離れて、独立していて、そうしてそれは委員によつて運営されておるが、実際はその委員の下で補助をしておられます、いわば役人さん、その役人に真の配分の実権が移つていて、あなた方の手で大半の配分計画が行われておる。しかも、その行うことは、ちつとも間違いじやありませんし、これがまた一番正しいことである、こう確信しておいでになる、こういう御答弁であつたというふうに私は解釈したいのでありますが、それでよろしゆうございますか。
  32. 荻田保

    荻田政府委員 どういうふうにおつしやるのかわかりませんが、実権が事務局にあるというようなことは、私は全然申し上げません。実権はまつたく地方財政委員会委員そのものにございます。これは各省でも、官僚に実権がなくて、大臣に実権があるのと同じでございます。
  33. 小林進

    小林(進)委員 私は形式上の実権論、権限論を言つておるのじやない。形式はもちろんそうでありましよう。私は実際の問題を質問しているのです。実際の点において、あなた方が一切をおきめになつている、こう判断いたしてよろしいかどうかということをお伺いしておるのであります。
  34. 荻田保

    荻田政府委員 地方財政委員会の運営の実際も、法律通り、形式通り行われておりますから、実権はまつたく委員会にございます。
  35. 小林進

    小林(進)委員 もしあなたがそのことを腹の底から確信していらつしやるとすれば、非常に私はおそるべきことであると思うのであります。けれども、この問題はまたあとでひとつ結論的に申し上げることにいたしまして、次にお伺いいたしておきたいのでありますが、それは五月十六日の文部委員会におきまして、私の質問に対しまして若林提案者が、このような答弁をされている。ここにこの証拠物件とまでは行きませんけれども、こういう書類が、まだ法案もできていない先から、配付されている、ここに国務大臣もお見えになつているが、おそらく国務大臣も御存じないだろうと思う。全国知事会議という名前で出ているが、一度も知事会議にかけたことはない。ただ知事会議の全体の意思として、その事務的の衝に当つている者がその名を使つている。直接知事に会つて、こういうことを知つているかというと、一つも知らぬという。これは地財委の関係の役所の一部でやつたことで云々、こういうような御答弁があるのでありますが、これに対しまして局長の御回答をお願いいたしたいと思うのであります。
  36. 奥野誠亮

    ○奥野説明員 その論議の終りごろに、私たまたまその席に出ておりましたので、事情を知つておりますから、お答えをいたしたいと思います。私は当時若林さんから、知事会議で一ぺんの論議もなしにかような陳情書が出ているというお話のときに、たまたま来たのであります。それで、そのときにも若林さんに横の方からささやいたのです。それはひど過ぎるじやないかということを申し上げたわけであります。知事会議では、何度もこの問題については論議しておりますし、また文部省の内藤課長が知事会議に行かれまして、多数の知事さんたちの前で、当時文部省が考えておりました法律案に賛成してもらいたいというふうな意味合いで、るる説明されておりましたことを、私もたまたま同席しておりまして聞きました。従いまして、知事会議が何ら相談しないでそのような陳情書を出しているということでありましたならば、どうか公式に知事会議お尋ね願いたいと思いますが、私はよく事情を承知いたしておりまして、そういうふうなことは絶対にないと承知しております。
  37. 小林進

    小林(進)委員 提案者に、この問題をひとつお伺いしておきたいと思うのであります。
  38. 若林義孝

    ○若林委員 法案が正式に出されます前に、すでにいろいろな問題が起つておつたことだけは事実なのであります。一つの例をとつてみますと、大蔵省の案といたしましては、この総額の二分の一を平衡交付金の制度によつて配分するという含みを持つておりまして、この法案に対して、二分の一の補助制度をとるべきであるということが言われたのでありますが、東京都知事が、やはり反対陳情見えましたので、どういうわけで反対されるのでありますかと尋ねてみたのであります。そのとき反対根拠になつておりましたのは、大蔵省の案に対する全国平均二分の一の案をもつて、大蔵省の言うところは二十億與えて三十億とろうとする案である、それには自分たち反対である。しかし、これは別に法律をもつて定めると書いてあるのであつて地方税制などを根本的に改革するその案に基いてこの法律で定めるということが言われておるのであるから、われわれとしては平衡交付金の制度を今動かそうという意図をもつてこの法律をやつておるのじやない、こう説明したのでありますが、それならば別に反対はない、こういうことをはつきりと私は知事から聞いておるのであります。ところが、これが問題になりかけた時分から、一体どんな案が出るのかわからない当時から、まだわれわれは地財委の方たちと懇談は重ねておつたのでありますが、すでに東京の全国府県会議議長ですかの名をもつて反対陳情書が出て来た。そうこうしておると、岡山県の議長からぜひこれを通してもらいたいという陳情書が出て来ておる。こういうようなことは、一部の連絡をとつて地財委からの働きかけがあつて、こちらの全国団体中央事務局がおひざ元にあるのでありますから、そういうところとの連絡でそういうものが出て来ておる。そして反対意思表示は、すでに岡山県の議長の名をもつてわれわれ受取つておるのであります。だから、そういうことを意味して私は申し上げておるわけであります。
  39. 小林進

    小林(進)委員 地財委員の奥野氏の意見を聞きたいのでありますが、ただ知事会議の名前で書類を御配付になつたというその知事会議に、正式にその名前を使用することを、いわば承認を得られたあとにその書類を御配付になつたのでありましようか。そういう形式上の手続は、どうなつておりますか、お伺いしたいのであります。
  40. 奥野誠亮

    ○奥野説明員 知事会議の名前の書類を、地方財政委員会が配付いたしたことは、一度もございません。知事会議から、この問題につきましての意見を、やはり私たち個別にいろいろ受取つております。もとより、それらの知事会議意見は、知事会議の議を経て、知事会議事務当局から各方面に付配されているのだというふうに承知いたしております。
  41. 小林進

    小林(進)委員 この点、今のお話によりますと、地財委役所の中で、そういう書類を知事会議の名前で配付したことはないという御答弁のようであります。私どもが承つておるところでは、どうも地財委の中の一部で、知事会議の名をもつてこれを配付したというふうに聞いておりますが、この点いかがなものでありましようか。もう一度明確な御答弁を願いたいと思います。
  42. 奥野誠亮

    ○奥野説明員 知事会議の書類あるいは市長会議の書類あるいはまた文部省意見というものは、絶えず集めながらわれわれ内部で検討はいたしております。しかしながら、自分で知事会議の書類あるいは文部省意見というものを、かつてに捏造いたしまして、それを配付したようなことは絶対にございません。また知事会議からの意見なり、あるいは文部省からの意見なりが公に出されます以前に、地方財政委員会で、そういう復写をつくつたということもまたまた絶対にございません。
  43. 小林進

    小林(進)委員 この問題は一応課長お話承認することにいたしまして、私どもの方でもう一度調査をする間だけ、留保さしていただきたい。その間あなたのお言葉を信頼いたすことにいたします。  次に、私はいま一言お伺いしておきたいのであります。同じく五月十六日のこれはわれわれの平島委員の国務大臣に対する質問でございますが、こういうことを言われている。私は岡野国務相に一言御追究くださるようにお願いをしておきたいと思う。前に義務教育標準費の法律が出るというときに、すでに閣議で決定したにもかかわらず、これを憲法違反なりとして怪文書をまいた地財委の役人があつたのであります。これは名前をあげてもいいのでありますが、私はまことに不届きな者である、かような者は懲戒免職にまで付すべきものであるとまで、そのとき言うたのでありますが、地財委には往々そういう行き過ぎた行為をする者があるということを、お忘れなく今後十分にやつていただきたい、こういう質問をいたしたのに対しまして、大臣は、公開の席上で個人の名前をおあげになつたりすることは、お互いに迷惑いたしますから、いずれゆつくり御懇談申し上げて、地財委当局の役人がどういうことを言つたとようようなことは、やはり速記に残らないで、あと政治をうまくするという方向に向つて御懇談申し上げ、そして事実を知り、同時にまた、妨害行為というものがほんとうにはつきりいたしましたならば、断固たる処分をいたすつもりであります、御了承願いたい、こういうようなことを言われておるのであります。大臣がお見えになりませんので、もしお見えなつたら、ここで公約せられた通り御懇談をなさつたのか、事実を調べられたのかどうか、私はお尋ねするつもりでおつたのでありますが、こういういわゆる閣議で決定したことまでも、憲法違反なりとして怪文書をまわされたというような事実が、実際にあるのかどうか。これは今度は局長にいま一度この点をお伺いしておきたいのであります。
  44. 荻田保

    荻田政府委員 大分古い話でありますが、当時、最後に閣議できまるまでには相当各種の議論が出た。われわれも、そのときに相当意見を申し述べました。公表もしました。しかし閣議できまつてからは、意見は出していないのであります。それから、お断りしておきますが、先ほどあなたがおつしやいましたように、地方財政委員会というものは、地方団体の代表ということが使命なのであります。従いまして、われわれの意見は、常に地方団体意見を反映しておるのであります。従いまして、意見をきめるまでには、地方団体意見を相当聞く。それには、いろいろな向うとの話合いの機会をつくる、資料を交換し合う、これは当然の職責なのであります。従いまして、この問題につきましても、單にわれわれの意見だけではなく、地方団体側意見、ことにあるいは自治庁、財政委員会だけの意見ではなく、岡野国務大臣の所管しておられます地方自治庁におきましても、常に地方自治委員会議というものが地方団体代表者の公的な機関として附属されておりまして、地方自治団体意思というものは、常に反映しておるのであります。その点は誤解のないようにお願いいたします。
  45. 小林進

    小林(進)委員 この怪文書のことについては、的確なお話がございませんでしたが、事実あつたかどうか。話が古かろうと新しかろうと、私はこうやつて局長にお目にかかる機会はあまりないのであります。そこではつきりしておいていただきたい。同時に、あとでおつしやいました、私たち地方自治団体の代表であるから、そういう人たち意見を聞いて、そのように私たち行政を運営しておるというお言葉は、あたりまえでございましよう。それは地方財政委員会の機構、ほかの官庁や、ほかの役所と若干違つているところから、あなた方は強くそのことをおつしやるのでありましようが、あなたのおつしやるお言葉は、これは何も地財委だけに極限せられたわけじやないのであります。あらゆる官庁、あらゆる役所、われわれの国会ももちろんであります。みんな地方自治体、あるいは地方の輿論に従つて政治を行つている。そういうことは、あなただけに言える言葉ではない、みんなに言い得る言葉なのであります。若干機構が違つているという点だけの相違でございまして、輿論によつてお互いの官庁が、お互いの役所が、それぞれの行政事務を分担しているということは、あたりまえのことであります。ただそういう言葉に籍口してあまりに自己の権限を強大に振りまわされているかどうかという点が、問題なのでありまして、どうも局長あるいは課長お話を承つていると、あなた方は、これが地方自治体のためになる、あるいは地方住民のためになるということを確信せられて、少し自己過信に陥つていられるのではないか。かつて、はなやかな軍部も、役人も、少壮官僚も、少壮軍閥も、みんなこれが国家国民のためになると、だれも自分のためになる、自分のために一生懸命やつていた者は一人もなかつた、そういうことを確信して日本を敗戰に導いた。今あなたのお話を聞いていると、どうもそういうにおいがしてしかたがないのでありますが、この点私はいま一度よくお尋ねしておきたいと思うのであります。
  46. 荻田保

    荻田政府委員 においがすると言われるのでございますが、あなたの鼻の感覚を私は存じませんので、どういうにおいか存じません。いずれにいたしましても、われわれは地方団体意思を相当考えまして、御承知のように市長会なり、知事会なりの正式の意見としても出ておるのであります。従つてわれわれだけが確信して、この問題を地方自治委員会議の正しい意見として反映しておるということは、間違いではないか。必ずしもわれわれだけではなく、地方団体がそういう決議をしておる、意見書を出しておるのであります。必ずしもわれわれだけが確信して、ひとりでよいと考えておるわけではないのであります。
  47. 小林進

    小林(進)委員 今の、私の鼻のにおいとか、鼻のかつこうとかいうお話に対しまして、私はいま一度お聞きしておきたいと思うのであります。
  48. 荻田保

    荻田政府委員 あなたのお話が、鼻というきわめてユーモアに富んだお話でございましたので、私もそれにつれまして、あなたの御感覚が私にはわからないということを、鼻でもつて形容して申し上げたのであります。
  49. 小林進

    小林(進)委員 私はこの前から、地財委方々質問をいたしておるのであります。われわれは、国民の代表として、国家全般のことを憂うるがゆえに、私は質問いたしたのでありまして、何も個人局長、個人課長に対して何らの感情を抱いておるものではない。私は切々として国民を思う心情、国民代表であるという気持をもつてつておるのであります。しごくまじめなのであります。  私は一つもユーモアなんか言わない。それをユーモアと解したり、いやしくも私を軽蔑するようなお話になることは、言語道断だと思うのです。いま一度私は局長の御返事をお伺いしたいと思います。
  50. 荻田保

    荻田政府委員 私も地方団体地方自治を所管しておる立場におきまして、一番正しいと思うことを申し上げて、御参考にしておるのであります。先ほどの言葉が悪ければ取消しいたします。
  51. 小林進

    小林(進)委員 私は今お取消しになりましたから、こういう問題を追究するのは、これでやめますけれども、しかしあなた方も国家の役人であります。私どもはあなた方から見れば、個人的に見れば、私は率直にいつて、あなた方より偉くない、あなた方よりも技術的にいつてつているかもしれません。これはしかし個人の人物、あるいは手腕の問題でありません。微々たりといえども、われわれは選挙民に選ばれて、選挙民の代表として国政の最高を論ずる一つの責任を負わされて来ておるのであります。個人的にいかに醜かろうとも、私の鼻が三角であろうとも、口が四角であろうとも、国民の代表としての立場に立つておる、その立場というものは私は十分御承認願わなくてはいけない。私は国民の気持にかわつてお尋ねしておるのであります。ユーモアであろうとも、あるいは失言であつろうとも、まじめに答弁してもらわなくちやならぬ、答弁する責任があなたにあるのであります。しかも真剣に質問しておるのであります。第一あなたが長い顔をなでたり、つつついたりしておることがいかぬ。帰るなら帰つていただきましよう。何もあなたが口をなでたり、あごをつつついたり、歯を縛つたりする必要はない。私は立つて質問しておる、あなたはすわつておる。せめて質問している間だけでも、まじめな態度で答弁してもらいたい。一体あなた方は少し失礼だ。私は率直に申し上げますけれども、地方財政委員会というものは、今おつしやるように地方自治体の代表から成り立つておる機関だと言われますけれども、現在の行われておる形は、かつての軍部の統帥権に立てこもつたあの形と同じだと思つておる。岡野国務大臣はお見えになりませんけれども、岡野国務大臣がここでしばしば言明せられておるように、岡野国務大臣は、事実地財委に対して実質上の検権がない。かつて予算委員会で私が質問いたしたときも、私はメツセンジヤー・ボーイであるというようなことを言われて、これが予算委員会で問題になつてあとで取消されましたけれども、おそらくこれがほんとうの心情だろうと思う。国務大臣を單なるメツセンジヤー・ボーイというような形にして、あなた方はまつたく独立の王国を建設されておる。しかもその独立地財委という形の中で、事実の面はどうか。あなたはさつきから逃げておられますけれども、五人の委員会議制において行われておるというものの、実際はあなた方があれを動かしておる。私は国民の名においてここで言う。動かすような強力な権限を持つていられるというのが世評であります。こういう形をとつていられるということは、あなた方は一生懸命にやつておられて、それは私心がないだろう、まじめにやつていられるだろうけれども、その形というものは、今ここではつきり浮彫りにして見れば、かつてのちようど日本の国を亡ぼした軍部が、軍政と軍令にわかれてあの軍令、統帥というものが軍部大臣の手から離れて、統帥権干犯等の問題で独立の王国をつくり上げた。しかも軍令部の中には、あるいは参謀総長もいたろう、参謀次長もいたろうけれども、実際はその下にいる軍閥の少壮軍人、中佐、大佐というものが、いわばその中であらゆる権限を握つて、あらゆる横暴をきわめ、そしてそれが遂には国の政治まで動かし、左右して、そしてこの戰争にぶち込んで、われわれ日本国民を敗戰のうき目にあわせた。私は今あなた方の答弁やら、あなた方のやり方を見ていると、非常にそういう感じを抱くのであります。これは、あなたにしてはそういうふうにお気づきにならぬかもしれませんけれども、私どもの目から見れば、まつたくそれと同じだ。これはしかし、かつての少壮軍人や少壮軍閥が、あれほどの横暴をきわめ、国会において黙れ——、黙れ大佐まででき上つた。あなたは、今私に黙れとは言わなかつた。黙れとは言わなかつたけれども、私の鼻のかつかうまで批評してくださつて、私はその気持には相通ずるものがあるのではないかと思う。こういうようなことで、私は政治にあなた方が干渉ならざる干渉、干犯ならざる干犯を続けていられることは、非常に私は国家のために危険だと思う。この点を私はおそれるがゆえに、こうして質問をいたしておるのであります。そういうような懸念は断じてない、行政本来の固有法則性をとつて、あくまでも中立、公正、妥当にやつているという確信がおありになるならば、いま一度私はあなたの言葉を聞いておきたいと思うのであります。
  52. 荻田保

    荻田政府委員 われわれとしましては、地方財政委員会設置法によりまして與えられた権限を、まじめに公正にやつておるつもりでございます。ことに、こういう問題につきましては、そこにもありますように、意見を申し上げるだけでありまして、こういう制度がとられるかどうか、法律ができるかどうかということは、まつたく国会権限なのであります。これを御決議になる前に、われわれの意見を申し上げるにすぎないのであります。
  53. 小林進

    小林(進)委員 まだ私は、この問題は氷解いたしません。大臣おいでになりましたら、私はいま一度この問題を御質問申し上げて、大臣から明確なる御返答を得なければ、われわれは国会議員として、また別個の処置を講じなければならないということを、私は申しておきます。この点もあわせて申し上げておきますが、大臣がお見えになりませんので、あなたに対するこの問題はやめまして、次に、私は、あなた方の反対意見の問題をお聞きしておきたいと思うのであります。  この反対意見の第三の項目の中に「この法案は国民の租税負担を増加せしめるか、しからずんば、他の地方行政費に不当な圧迫を加えるものである。」こういうことが言われているのであります。これは今でも確信しておいでになりますかどうか、お伺いいたしたいのであります。
  54. 荻田保

    荻田政府委員 ここに理由も書いてありますように、今でもこの考えを持つていることに、かわりはございません。
  55. 小林進

    小林(進)委員 私はこれなんかも、考えてみれば、事の真相を伝えないか、あるいはあなた方だけの小さい一つのグループの中にとらわれた、非常に危險なる考え方だと思う。どうして一体義務教育費をここで増額することが、ただちに国民の租税の負担を増加せしめ、ただちに地方行政に不当な圧迫を加えるのか。私どもは、もつと言わしむるならば、教育費というものが、あなた方のこの前御説明なつた八百六十億でありますが、八百六十億が九百億になろうとも、一千億になろうとも、たとい教育責が二千億になろうとも、それがただちに地方行政費に対する不当な圧迫になる、それがただちに国民の増税になると、どうしてこれが断言できますか、いま一度私は承りたいと思います。
  56. 荻田保

    荻田政府委員 この法案のねらいとするところが、義務教育費の総額をふやすということにありといたしますれば、ここに新しくふえる分をどこから持つて来るか、それは、国、地方を通じての財政わくの中で行います限りにおきましては、収入を増すか、あるいは他の経費を減らすか、どちらかでなければ、ふえないわけであります。無から有は生じないわけであります。その意味におきまして、この法案を運営して行くことは、つまりその他の地方行政費を削つてこちらへ持つて来るか、あるいは租税負担をふやしで地方財政全体のわくをふやすか、どちらかでなければ、このねらいは解決しないということを申しておるのであります。
  57. 小林進

    小林(進)委員 他の行政費を削減することがあるというようなお言葉であるならば——文章であるならば、私は承認しましよう。これがただちに増税と他の地方行政費に不当なる圧迫を加えるということは、一体いかがでありましようか。私はそれをお伺いしておるのであります。
  58. 荻田保

    荻田政府委員 われわれは、現在の形が、行政費につきましてバランスのとれた妥当な構成だと考えております。従いまして、他の行政費を削減して教育費に持つて行きますことは、他の行政費に対して適当でない、縮減になると、こういう考えを持つておるのであります。
  59. 小林進

    小林(進)委員 私は、そこにいわゆる行政官吏としての行き過ぎがあると言うのであります。それが行き過ぎなんです。それはもう政治問題であります。私どもは、今年度二十七年度の予算においてしかり、八百五十億円という、その予算の中において現在占めている教育費が、あるいは八百六十億か九百億というものは、国家のあり方として、予算の編成方針として、これは非常にいかぬという問題は、われわれは政治問題として、この問題を予算委員会で二箇月有余ももみ抜いている。われわれは八千五百億の国家予算の中で、われわれの国会、あるいは政府の考え方がかわるならば、一方に減税をし、一方に予算を縮減して、なおかつ教育費を増額することもできる。政府の方針がかわり、国民の輿論がかわつて来れば、今年度二十七年度に編成された一千八百億ないし二千億の軍事費も、あるいはわれわれの動きによつて、全部これを教育費につぎ込むこともできるだろうし、そういう面から考えるならば、教育費の百億や二百億や三百億の増額では、国全般の予算からながめれば、これは増税や、あるいは地方行政費の膨脹に直接影響する問題とは断じていえない。私どもの真意を言うならば、減税もしたい、国家予算も縮減したい、この縮減と減税の中で、なおかつ教育費には大幅にとりたい、こういう考え方を持つておる。そういう考え方も、当然われわれは国政を論ずる上において許さるべきである。それをあなたたちは、あなたたちの考えで、今ただちに義務教育費国庫負担法を設けることは、増税にもなり、地方行政費の圧迫になるというがごとき、唐突なる意見を出さることは、まことに私は行政官吏としての立場を離れた政治的な暴言であると思う。この点いかがでありましようか、承つておきます。
  60. 荻田保

    荻田政府委員 むしろこの国会で成立いたしました予算、これを前提に考えておるのでありまして、むしろ予算は政治的にきまつておる。従つて、これから他のものを減らすということは適当でない。むしろ政治で予算をふやすことが、行政的にいけないということからいつておるのであります。ことに、ここに書いてあります通り、他の地方行政費国費のことは申しておらぬのであります。
  61. 小林進

    小林(進)委員 こういうのは、私はまつたくわれわれを愚弄した答弁であると思う。いま少し私は良心あるお話を承りたい。国家には予備費もありましよう。あるいは臨時国会を開いて、必要ならば補正予算を組む手もありましよう。あるいはこの予算の大半の増額処置に関する問題は、二十八年度の新予算にかかわる問題であります。これは今後国会によつて決定される問題であります。それを、ただちにこのような圧迫ないしは増税ということに組ませることは、何といつても私は良心的な答弁じやないと思う。いま一度私はしつかりしたお答えを承つておきたいと思うのであります。
  62. 荻田保

    荻田政府委員 これは第八にも書いてありますように、二十七年度におきましても、この計算でありますと、他の地方行政費が圧縮されることになるのであります。
  63. 小林進

    小林(進)委員 私はこういう答弁を繰返しておりますと、だんだんかえつて疑問を深め、憤りを強くして来るのであります。まだ質問の要旨はたくさんありますが、あなたに質問いたしましても、求めるような回答はとうてい得られないと思いますので、私の質問は一応これで打切ることにいたします。大臣おいでになりますまで、私は質問を保留いたします。
  64. 竹尾弌

    竹尾委員長 次に浦口鉄男君。
  65. 浦口鉄男

    ○浦口委員 まず最初にお伺いしておきますことは、萩田局長は、ただいま、地方財政委員会権限は、あくまでも委員会にあつて事務局にはない、こういうことを小林委員質問に対してお答えになつておる。そこで、この間、二十一日の地方行政との連合審査会で、そこにおいでになる財務課長の奥野さんが、義務教育費国庫負担法案に関する意見書を読まれたのです。この意見書は、申すまでもなく地方財政委員会委員長里村秀雄氏の名前によつて出ておるわけであります。われわれの承知するところでは、委員会において、こうした公式の文書によつて法律案の提案理由などを述べられますときは、一字一句その公文書から逸脱しないのが常識なのであります。ところが、この間の連合審査会においては、奥野課長は、この意見書をお読みになる途中において、しばしば若林委員意見を否定し、あるいは反駁されて、私の見解では……である、という言葉をもつて、たくさん意見をつけ加えられております。これはおそらく私は地方財政委員会委員長の野村さんの意思ではないと思う。少くとも文書にはないわけです。ということは、事務局の財務課長の奥野個人の意見であるということが、はつきりしておると思うのでありますが、そういう点について局長の責任ある答弁を承つておきたい。
  66. 荻田保

    荻田政府委員 私当日おりませんでしたので、はつきり存じませんが、いずれにしましても、ここにおります財務課長説明の御要求がありました様子ですので、それにつきまして説明したのであります。説明をします以上は、朗読だけでなく、やはりこれ以上の意見も加わるのが当然だと考えます。しかし、それは具体的にどういう点とは申しませんけれども、大体財政委員会として相談しております範囲において、御説明申し上げておると、私は考えております。
  67. 浦口鉄男

    ○浦口委員 ちよつと念を押しておきますが、もちろんこれは速記録を調べれば、どういう意見を述べられておるかわかりますし、今申し上げてもいいのですが、この意見書以外の奥野財務課長意見は、やはり地方財政委員会  の委員長としてあくまで責任の持てる答弁と、こういうふうに解釈してよろしゆうございますか。
  68. 奥野誠亮

    ○奥野説明員 あの当時も、さらに立花委員からも御発言がございましたように、地方財政委員会からたびたび意見を申し出ておる、だから、この際に地方財政委員会から克明を求めたらどうであろうかというふうなことから、私がこれを中心にして申し上げたわけであります。それに対しまして、小林議員から、私という一人称を用いたことにつきまして、いろいろ御意見がございましたので、さらに私は、私が説明いたしました事柄で問題の起ります部分につきましては、お配りいたしております意見書が、地方財政委員会としての意見であるというふうにお考えいただきたいというふうなことも、重ねて申し上げておいたわけであります。しかしながら、地方財政委員会でしばしば議論いたしておりまして、そういうふうな議論の結果、何もかもそこに出た議論を全部出し盡すということになると、たいへんなことであります。しかしながら、抽出いたしましたものを、これだけではわかりにくいところもあろうと考えまして、しばしば委員会で行われておりました議論の一部を、説明的に附加しておつたわけでありまして、私が申し上げたことにつきまして、委員会からはずれた意見は  一つもないと考えておるのでありますけれども、しかし、それもまた言い過ぎになろうかと思いますので、先日も、この意見書が委員会としての正式な意見であるというふうにお考えいただきたい、かようにお願いいたしたわけであります。
  69. 浦口鉄男

    ○浦口委員 この間、若林議員の提案理由説明に対して、あるいは答弁の具体的な問題に対して、ことごとに駁撃され、あるいは敷衍をして説明されたわけでありますので、その点、私は非常にこれは問題が重大であると思いますので、速記録をわれわれもよく検討いたしますから、どうぞそちらにおいても検討されて、地方財政委員会の責任の帰趨を明らかにするという意味合いで、もしこの意見書と食い違うことがあれば、われわれも希望を申しますが、そちらでも適当な処置をしていただきたい、これを希望しておきます。  それから次に、具体的なことをお伺いしてみますが、この義務教育費国庫負担法は、これによつて、いきなりいわゆる日本の義務教育の水準を高めて行く、そういう具体的な内容を一挙に実現しようというものではないと私は考えております。ただ今までの平衡交付金の中に含まれた義務教育に向けらるべき予算が、申すまでもなく他の緊急を要する費目に流用されていて、ともすれば重大なる義務教育の面にこれが十分充てられない、そういう危機を打開するために、一つの義務づけられた制度であると、私はそういうふうに考えるわけでありますが、地財委としては、あくまで教育全体の水準を向上せしめるために、ここに特別に予算を伴うものだ。であるから、現在の地方財政を破壊するものであると、こういうふうにお考えになつているのかどうか。もしお考えになつていれば、それを具体的にこの際承つておきたいと、思います。
  70. 荻田保

    荻田政府委員 先ほども申し上げましたように、この義務教育の水準を維持するのにつきましては、一体何がその理想とする水準なのか、これがはつきりと法律でもつて示されることが先決問題だと考えるのであります。そういたしませずに、いたずらに経費の面だけにとらわれることは、決して義務教育を向上させるゆえんでない。ことにわれわれはそれは反対なのでありますが、かりに地方団体に対して支出義務を一定金額負わせるという面におきましては、これは今の平衡交付金でも、かりにこの義務教育費国庫負担法が出ましても、同じことなのでありまして、二分の一以上を国が持つというだけのことでありまして、それ以上に支出義務をどうするということはない。これはお断りしておきますが、われわれは支出義務を置くことがよいということを申すのではない、かりにそういたしましても、これでは解決しないのであります。それには、この間大臣がおつしやいましたように、はつきりもう全額国庫支出とするより手がない。その点につきましては、大臣が先般おつしやいました通り、われわれもまつたく同じ考えを持つておるのであります。
  71. 浦口鉄男

    ○浦口委員 そういたしますと、先ほど教育中央集権の問題が出て来たわけでありますが、これは私、必ずしも予算を持つている官庁の所管の移管ということによつて中央集権が出て来るとは考えておりませんが、地方財政委員会といたしましては、今の局長の御答弁によると、全額国庫負担にすべきであるという岡野国務大臣意見に賛成のように、答弁を私は受取るわけであります。そうした場合に、ますます中央集権になるという論拠が出て来るのではないですか、その点はいかがですか。
  72. 荻田保

    荻田政府委員 先ほど説明申し上げましたときに、念を入れてお答えしたのでありますが、そういうふうにわくをつくることはおもしろくない、われわれは反対だ。しかし、かりにどうしてもわくをきめなければならぬなら、これでもだめだ。それだつたら、その意見を突き詰めれば、全額国庫負担にするよりしかたがないだろう、こういうことを申したのでありまして、根本的にわくをきめるとか、いわんや全額国庫負担にするということは、われわれは反対でございます。
  73. 浦口鉄男

    ○浦口委員 実は私、産業教育振興法がここで立案される過程において、局長にここにおいでを願つて、あのときの予算では、一年に二十億、五年間百億で、大体文部省が考えております基準を達成する予定だということを申しまして、そのときに地方財政委員会意見を問いましたところが、荻田局長——私きよう速記録を持つて来ておりませんが、それはもうとんでもないことだということを答弁されておる。そもそも地方財政を非常に破滅に瀕させた根本原因は、六・三制を強行したゆえである。われわれはむしろ迷惑であるということを答弁をされておる。これは建築の問題になりますが、政府は二十七年度において、六・三建築は大体完成しておる言つているが、これは机上の空論だ。自分たちの考えでは、おそらく一千億というけたを越す数字が出なければ、六・三建築だけでも完成することはできない。ましてや、その上に産業教育振興法をつくつてみても、これは財政上全然問題にならぬと、こういうことを答弁されておるのでありますが、この意見書を見ましても、やはりそういう考え方が基本になつておるようであります。その考え方は、今も局長はかわらないかわらないかどうか、そのことを伺います。
  74. 荻田保

    荻田政府委員 先般申し上げましたことも、他のいろいろな仕事をなすべきこともあると思いますが、とにかく義務教育は大事であるから、それをまず完全なものにするのが先決であつて、それができてからほかのことをやるべきだという考えを持つておつたのでありまして、この点は今においてもかわりありませんが、しかし片方、実業教育の振興も、法律もできましたし、予算も出たのでありますから、その範囲内におきましては、地方財政としてもやつて行けるように努力しておるのでございます。
  75. 浦口鉄男

    ○浦口委員 この意見書の中で、どうも六・三建築がまだ完備もしていないのに、内容を整えろといつたつて、それは無理だというような意見が出ておるわけでありますが、地方財政の担当者である局長——いわゆる地方自治体に二分の一の負担をゆだねたことが悪かつたのではなく、あとの二分の一の補助を国家が履行しなかつたところに大きな国家の責任がある、地方自治体並びに地方財政委員会には責任がないと、こういうふうに奥野課長も二十四日に答弁されておるわけでありますが、そういたしますと、従来、六・三建築並びにその運営費、設備費その他を含むことになるわけでありますが、国家が二分の一補助を履行しなかつたということと、そのために受けた地方財政の打撃というふうなものを、具体的にどういうふうにお考えになつていられるが、それを承りたい。
  76. 荻田保

    荻田政府委員 まず第一に、いまだ本年度をもつてしましても、満足な義務教育を実行して行くだけの校舎等設備が整いません。これは今後の地方財政の負担になつて行くと思います。それから、過去の問題につきましても、今まで地方で実施しました六・三建築の整備は、必ずしもこの二分の一の、国家が法律できめております正式の負担を得ずに、無理をしてやつておりますから、それがいろいろな形におきまして地方財政に悪いものが出ておる。たとえば今まで寄付金の公募とか、あるいは税を非常に高くとつたとか、あるいは一部立てかえして支拂つてあるとか、そういう面が、やはり地方財政につきましても、マイナスとして残つております。
  77. 浦口鉄男

    ○浦口委員 もう少し具体的に聞かれませんか。たとえば国家が二分の一の補助を現実にどういうふうに履行しなかつたか、しかもその履行しなかつたことによつて地方財政上の、少くとも教育——大部分は建築費と思いますが、それがどういうふうに現在も地方財政に大きな負担を残しておるか、それを大づかみでいいのですが、できるだけ具体的にもう一度お聞きしておきたい。
  78. 荻田保

    荻田政府委員 第一に、この新制中学の〇・七坪の基準が低いものでありまして、とうていこれでは地元では満足な教育ができませんので、これをさらに増額、増築するという要望が非常に起つております。これが将来の地方財政の重荷になると思います。それから第二に、中学校に力を注ぎました結果、小学校の方がおろそかになりまして、これが老朽等のために教育上支障を来しておる面が非常にあります。こういうものを今後直して行かなければならぬと思います。第三には、先ほど申しましたように、過去において無理をして建てたものにつきまして、相当程度のものが、財政上はつきりした形にならないで、そのままになつております。
  79. 浦口鉄男

    ○浦口委員 結局、また中央集権の問題に帰るわけでありますが、だんだんお聞きしておると、結局地方財政全体の確立に大きな関連をもつて来るということは、われわれも了承できるのであります。そうした場合に、いわゆる国税の一部を委譲するということによつて地方財政全体の基礎が確立し、政府の二分の一補助も履行されるならば、必ずしもこの法律案ができることが、中央集権的な弊害をかもし出すことになるものではないと、私はこういう考えを持つておりますが、どうもその辺、答弁を承つておると、具体的な問題以上の、何か政治的な大きな反対理由があるようにわれわれは感ずるのであります。もつとはつきり言つてもよろしいのですが、まあ一応それに対して答弁を承りたい。
  80. 荻田保

    荻田政府委員 これは二十五年度に行いました地方税制、財政の改革を通じまする根本原則でございまして、個別的な補助金をつくることは、その補助金交付を通じて、地方行政中央が干渉することになるから、これは避けるべきだ。従つて財政の調整のためには、一般全部をひつくるめて平衡交付金制度というものを設ける、これが原則でございます。この原則につきましては、われわれもいまだ誤りではないと考えております。
  81. 浦口鉄男

    ○浦口委員 先ほど局長は、地方財政委員会としてに、地方平衡交付金配分にあたつて、治山治水、道路その他すべての公共事業費と按分して、その個々のものについて、適切な配分方法を考える、こういうふうに御答弁があつたのでありますが、そうなれば、私は教育の面についても、地方財政の情勢に即した適切な配分が、やはりそこに行われていたものであると、こういうふうにわれわれは解釈するのでありますが、その点、局長の具体的な意見をもう一度聞いておきたい。
  82. 荻田保

    荻田政府委員 これまでにおきます国民負担等から見まして、日本の財政わくを前提に考えまして、地方財政における各経費配分という面から見れば、それで適当だつたと考えます。  それからなお、これは御質問ではないかもしれませんが、先般提出いたしました地方財政平衡交付金の改正法におきましても、單位費用というものを全部法定してございますので、かりにわれわれの意見が間違つておりましたら、この法律国会で適当にお直しになることによりまして、各行政費目間の是正ができるものだと考えております。
  83. 浦口鉄男

    ○浦口委員 この間、意見書の説明にあたつて、奥野課長が言われたのでありますが、この義務教育費国庫負担法によつて、教職員の給與というものを中央から一律にするということは、地方実情に即さない。むしろ地方実情に即した待遇がなさるべきであるので、その点で従来の平衡交付金を保持すべきであるというふうな意見があつたと私は記憶しておるのでありますが、その根拠をもう一度はつきり聞いておきたい。
  84. 奥野誠亮

    ○奥野説明員 教職員の給與が不均衡になつて来たということが、義務教育費国庫負担法案を提案する一つ理由にあげられておつたように記憶するのであります。そこで不均衡になつて来たといわれる点について、いろいろ御説明申上げたのであります。重ねて申し上げて恐縮でありますけれども、かつて義務教育費国庫負担法がありましたときには、御承知のように地方団体が支出した額の二分の一を国が当然に負担しておつたわけであります。義務教育を幾ら府県が支出するかということは、府県に完全にゆだねられておつたわけであります。その二分の一を国が当然に負担をして来ておつたわけでありますが、その結果国から見ました場合に、義務教育費に金を使い過ぎるということになつて来たわけであります。その結果二十三年度の途中から、府県別に平均給與額というものを文部省が示しまして、それを越えて支出いたしましても国は二分の一を負担しない、文部省がきめた額の二分の一だけしか負担しないという制度をとつたのであります。それが二十三年度の途中から二十四年度と続いたわけであります。こうなりますと、おのずから文部省が示しました額に、府県が大体似たような額をきめざるを得ないわけであります。よけい出しましても、それだけのものが、二分の一だけしか国に持つてもらえないわけでありますから、財政支出が困難であります。ことに地方財政計画を定めて行く際に、すなわち地方団体において財政計画しまず際には、二分の一を国が負担するという方針をきめまして、しかも二分の一の根拠としては、この程度の額がよろしいということをきめます場合には、国民負担の見地から考えました場合にも、府県もある程度の額の二分の一を出す、財源さえ得られればよろしい、こういうことになるわけであります。そういたしますと、それを越えて出しますと、やはりほかの行政費を圧縮するとかいうことにならざるを得ないわけでありますから、それにくぎづけになつているわけであります。反面に、文部省が示しますときには、多少府県間の実情ということがありましても、やはりどうしても府県間の大体似たところの金額でしかきめ得ないということになつて来るわけであります。もちろん、資格構成その他の問題もあるだろうと思いますけれども、そう違えてきめられる問題ではないと思うのであります。そういたしました場合に、かりに国家公務員につきましては、本俸は同じでありましても、地域間の差は勤務地手当がついておるわけであります。大ざつばなところを申し上げますと、青森と岩手に対しまして、東京に勤務する場合には二割五分の勤務地手当がつくでありましよう。しかしながら、その程度の差だけで、はたして均衡が得られているだろうかどうか。二割五分よりももつと多くつけなければならない、あるいは二割五分では高過ぎるとか、いろいろな議論があるだろうと思います。従いまして。今度は府県が自由かつてにきめられる。そうした場合に、今までは一律にきめられておつた傾向があつたかもしれませんけれども、そこに差が出て来てもあたりまえじやないか、むしろ差が出て来たのがいけないというのなら、逆に前にきめておつたことが悪平等であつたといわざるを得ないのじやないか。かような考え方をもつて、かように申し上げているわけであります。しかも、平均といたしましては同じ資格構成であります場合に、国家公務員に支給されている額よりも、全国平均は、すでに給與べースにおいて三百七十五円、地方の教職員は高過ぎるということが、文部省で指摘されているのではないか。従つて、そういう意味から、レベルが下つているとはいえないじやないか、かように御説明申し上げておるのであります。とかしながら、今のが不均衡であるとして、府県間似たり寄つたりにしなければならない。それよりも地方公務員である以上は、他の地方公務員のことを考え、また他の地方民間ベースのことを考え合せまして、しかも教育の水準を高める見地から給與がきめられて行かなければならない、画一的にするならば、むしろ国家公務員、国の官吏にかえて、文部大臣が一律に給與をきめるのがよろしいのではないか、かような考え方を申し上げたわけであります。
  85. 内藤譽三郎

    ○内藤説明員 ただいま奧町課長から御説明がありました点について、ちよつと事実に相違がありますので、この点を明らかにしておきたいと思います。従来から、義務教育の教職員の給與費は、都道府県が負担しておつたわけでありまして、その実績の二分の一を国が負担する、こういう建前であつたことについては、お話通りであります。しかし、二十四年に至りまして二十四年の一月から文部省である一定の額をきめたのであります。このきめ方につきましては、従来の実績で来ておりましたから、その当時の実績を基礎にしたのでありますから、文部省がそうかつてに各県の單価をきめるというようなことは、いたさなかつたのあります。なるべく地方の実績を尊重しながら、多少のでこぼこを調整した、こういう程度でございまして、文部省が一方的にこの單価をきめたというようなことはございません。それから、その制度は、昭和二十四年の一月からかわりまして、二十四年で終つて、二十五年から平衡交付金に移つたのであります。それから給與問題は、これは教員につきましては、教育職員免許法というものがございまして、資格も大体きまつております。そこで給與の單価の方は、これは公務員特例法によりまして国立学校の教員の給與を基準とする、こういうふうになつておりますから、少くともその基準が維持されなければならない、そこにあまりにでこぼこがあつてはならないと思うのであります。ただ各府県の公務員との調整のために、多少のでこぼこのあることは、これは当然であると思うのであります。そこである県では教員の資格が非常に悪いというところが——たとえば千葉県のようなところは、教員の資格が悪いのであります。そうなりますと平均單価は下りますが、人員は一・五よりも上まわつている。逆に神奈川県のようなところは、教員数を非常に少くしぼつておりまして、五十人について大体一・二ぐらいですが、この場合には、ある程度給與單価を国の基準より上げているのであります。そういうふうに、ある程度の調整は私どもとしても認めなければならぬのですが、少くとも国庫負担当時よりは、あまりにアンバランスになることは好ましくない、かように考えるのであります。それから今お話のありました三百七十五円の問題でありますが、これは最近非常に下つて来たと思うのでありまして、これは何も教員だけの問題でなくて、地方公務員全体の問題で、大蔵省の指摘しておるところによりますれば、府県吏員が四百六十二円、市町村吏員が五百二十七円も高いといわれている。むしろ教員は、学歴から申しましても、勤務年限から申しましても、府県吏員よりもつと高いのがあたりまえであつて、それより低目に計算されているというところに問題がある。そこで、昭和二十四年当時を見ますと、教員の給與は、国立学校の教員に対して平均四号ないし五号高く、それがむしろ最近は低下しているということは、これは地方財政の現状からいうと、ある程度やむを得ないと思いますが、非常に教員が、單に地方公務員に比べて優遇されているということは、一概にいえないと思う。特に教員については旅費その他実費弁償もありまするし、その他の手当についても、あるいは超過勤務手当等もないという実情であつて、決して優遇されておるとは思つてはおらぬのであります。そういう現状で、むしろ地方財政の中で、教育費が大きい地位を占めるだけに困つたものだという事情を申し上げたのであります。
  86. 浦口鉄男

    ○浦口委員 私実情は、ある程度地方実情に応じたように勘案することは当然だと思いますが、中央から国家公務員のごとく一本にきめて、それによつて生ずるアンバランスを実際にあんばいするということは、私は必ずしも地方実情を度外視するものでないと、こう考えるのでありまして、それをあくまで現状のアンバランスが、やはり地方実情をほんとうに実現するものであるというふうな地財委の考え方にしては、私はどうも少し形式的のような気がするのでありますが、その点、もう一度意見を聞いておきたい。
  87. 奥野誠亮

    ○奥野説明員 ちよつとお話を誤解しているかもしれませんが、提案理由の中に、不均衡になつて行つたからこの法律をつくる必要がある、こういうふうにお話になりましたので、それは理由にはならないじやないか、かような意味合いで申し上げているわけであります。私は画一的にしなければならない、かようなことを申し上げているわけじやございません。しかもまた、同時に内藤課長お話になりましたように、誤解があつてはいけないと申し上げておつたと思うのでありますが、教員が優遇されて来ているということを申し上げているのではないのであつて、水準が低下していると、こうおつしやつているから、私は水準は低下していない、むしろ義務教育費国庫負担法に書かれている国家公務員に支給されているような金額と同じように計算されるとするならば、現在の給與さえも下げなければならないという問題になるじやないかというふうなことを、考えているわけであります。
  88. 浦口鉄男

    ○浦口委員 これは私の意見ですが、私は元来教育者と警察官は別に待遇すべきだということを、昔から主張しております。ただその形が、現在のような平衡交付金制度において、各市町村の財政状態、あるいはその他の情勢によつて実情に即する俸給というものが、はたして適切であるかどうか。中央でこれを一本にまとめてやつた場合、要は財源の問題と実情に即した調査の基礎に立つかどうかということが、問題になるわけでございますが、今課長が言われるように、中央でやつて一律にすることは、現在よりも低くなるのだ、そうして実情に即さなくなるのだということは、私は非常な形式主義だと思うのですが、こういう点をもう一度聞いておきたい。
  89. 奥野誠亮

    ○奥野説明員 一々中央でさしずをいたしませんでも、やれることなら地方住民がくふうしながらやれるようにして行くべきだと思います。やれないことならば、中央でかまつて行かなければならぬと思うのでありますが、やれることなら、何も国で予算のわく地方ごとにきめて行くような措置をしなければならないようなことはない。またそういうようなことをすることによつて、いたずらに行政事務費がかさんで行きましようし、地方中央依存の空気を増長するでありましようし、国の干渉の機会にもなるのじやなかろうかというような考え方を持つておるわけであります。現在給與につきましては、基準とすべきものが若干書いてございますけれども、それが足らなければ、もつと明確な基準を定めるようにして行けば、決して現状から考えられますように、それより以下に下つて行くことはないだろう、教育費については、住民全体が非常な関心を持つておる問題じやなかろうかという考え方をいたしておるわけであります。
  90. 浦口鉄男

    ○浦口委員 それは論議になりますが、実情に即したようにできればいいじやないかということは、要は実情に即して行くということが、現在の制度をあくまで固執しなければならぬ理由にはならぬ、われわれはそういうように考えるのですが、その点は意見の相違でありますから、それはおいておきます。  それでは、最後に承つておきたいことは、この法案が施行されると、本年度から三万六千人の教員がふえて七十億の地方経費の増額を来す、これは地方財政を不当に圧迫する、こういう反対理由が伝えられておりますが、この点をもう少し具体的に説明していただきたい。
  91. 奥野誠亮

    ○奥野説明員 現在地方財政計画の上では、生徒兒童数を五十人で除して得た学級数に対しまして、小学校につきましては一・四二、中学校につきましては一・七一を乘じて得ました員数に対しまして、さらに結核その他の所要員数を加算してきめておるわけでおります。これを基礎にいたしまして員数を計算いいたしますと、小中学校、盲聾唖学校を通じまして五十万六千二百二十五人ということになるわけであります。現在の法律案によりますと、二十七年度におきましては五十四万三千三十七人、二十八年度以降におきましては五十五万二千五百二十七人ということになつておるようであります。これの差引を計算して参りますと、二十七年度の数字と地方財政計画との間には三万六千八百十二人、二十八年度以降の数字と地方財政計画との間には四万六千三百二人という差が出て参るわけであります。
  92. 浦口鉄男

    ○浦口委員 その点文部省意見と大分食い違いがあるようですから、この際明らかにしていただきたい。文部省答弁を聞きたいと思います。
  93. 内藤譽三郎

    ○内藤説明員 私どもの計算では、従来、国庫負担当時もそうでありましたが、国庫負担がなくなつた後におきましても、平衡交付金の算定の基礎に大蔵省が用いております数字は、五十分の一・五、中学校は五十分の一・八、そのほかに結核の分といたしまして、従来は一・三三%を見込んだ数字が平衡交付金算定の基礎になつておるのであります。ですから、その数字を基礎にいたしまして、今度新しくふえる分は、結核の一・三三は昭和二十四年の実績でございましたので、昭和二十六年度の実績に合せまして、二・四四に引上げただけが増員の分であります。ですから、そのような数字は私どもの方には承服できないのであります。
  94. 浦口鉄男

    ○浦口委員 数字の問題は、どちらが正しいか、私はここで結論もつけられませんから、これくらいにしておきまして、あとで検討することにいたします。  最後に、これは地財委意見の交換になりますから、答弁がなくてもよろしいですが、要は財源の問題あるいは技術的な問題で、実際の問題として、そこに調整しなければならぬ面がたくさんあると思いますが、地財委反対意見は、それ以外の一つ政治的な面と申しますか、あるいは地財委の存立そのものに対する非常に大きな何か問題を含んでいるように思うのであります。結局突き詰めて行きますれば、地方自治中央集権のあり方という国政全体の問題に関連して来るわけであります。私は二十四日からずつと委員会を聞いておりまして、具体的には解決し得る問題がたくさんあると思いますが、それに対しては、地財委が絶対反対される理由というのが、どうも現在の段階では私としては明確につかめない。どうしつてもそこに地財委の存立そのものに対する将来の何か大きな政治的な問題によつて、強く反対されるという感じが強いのであります。それに対して、地財委地財委としての意見がありましようが、私は私の感じだけを申し上げておいて質問を打切ります。
  95. 水谷昇

    水谷(昇)委員 議事進行上必要ですから関連して……。ただいま浦口君の質問に対して、荻田局長答弁の中に、この法案は基本が十分示してない、そこでいたずらに予算を増額させるものであるということを言われたのでありますが、私は提案者の一員として、今まで質問はしていないのでありますが、念のため一つ聞いておきたいのは、これは初め文部省が立案をしたものであつて、それを文部省なり、あるいはまた大蔵省、地財委でそれぞれたびたび折衝して、そして遂には自由党の政調会においてできた案である。しかも、十数名の議員が提案者となつて出ている法案でありますから、こはいたずらに予算を増額するという——いたずらというようなことであると、私ははなはだおもしろくないと思う。従つて文部省に念のために尋ねますが、この立案のもとになつ文部省案は、基本を全然示さないで、そしていたずらに予算の増額になるような案であるのか、その点の説明をしてもらいたい。
  96. 内藤譽三郎

    ○内藤説明員 この法案の制度が、従来の点からかわりましたのは、先ほど申しましたように、結核の分が一・三三が二・四四にふえた分と、事務職員の若干の増と合せて一万人程度であります。従つて、これに要する経費はせいぜい十六億か十七億程度であります。その半分を国が持つとしますならば、十億以内であります。それから教材費の分が、この案で行きますと、給與費総額の百分の十になつておりますから、大体五十億以内ということになりまして、ただいま地財委の方の意見書に出ているような百四十億の増ということは、私どもは了解に苦しむのであります。ですから、この法案としては、いたずらに予算を増額というようなことは、私どもは考えていないのであります。
  97. 水谷昇

    水谷(昇)委員 そこで荻田さんにお尋ねしたいのでありますが、いたずらなるというように批評せられるが、議員の提案した議案に対して、批評がましい発言をされるということは、はなはだ不穏当だと私は考える。そこで、そのいたずらということ、あるいは不当だというようなことを、十分あなたから説明していただいて、なるほどそうだと納得が行けばわれわれも承知しますが、そうでなかつたら、それを取消してもらいたいと思います。
  98. 荻田保

    荻田政府委員 いたずらにという言葉を使つたかどうか忘れましたが、使つたといたしましたら、こういう気持で申し上げたのです。義務教育を振興して、全国的基準の向上をはかるということにおいては、われわれももちろん問題なく賛成です。この法案をおつくりなつたのも、そういう御趣旨であろうと思いますが、その義務教育の水準を向上して行くという方針に向うのには、むしろその水準というのは何であるか、どこまで行くのが向上した水準なのか、その法律をつくるが先決なんで、その前に予算経費のことを議論するのは順序が違つているのじやないか、こういう意味で申し上げたので、この法案によつていたずらに予算がふえるというようなことを申し上げたのじやなくて、むしろ義務教育の向上をはかるのには、予算のことを言うよりも先に、一体基準というのは何であるかをきめる法律をおつくりになるのがよいのじやないか、こういう意見を申し上げたのであります。
  99. 水谷昇

    水谷(昇)委員 意味はその意味であつたかもわかりませんが、いたずらに予算が増額されるようにこの法案はできておるということを一方的に言われることは、提案者からいうて、非常に不穏当だと思う。だから、あなたがそれを取消す意思があればいいが、取消さないということならば、私は論議したいと思う。なお岡野国務大臣も、これを提案するまでは反対意見も述べていたが、提案をした以上は、国会の審議にまつてその決議に従うのだということを表明して見える。これが提案される前なら、どんなに論議せられてもいいが、ここに提案になつたいきさつをずつと考えてみると、非常に苦心してできたものである。そういうところにあなたも心をとめられて、こちらからの質問に対して、答弁はいかようにせられてもいいですけれども、この法案を政治的に批判せられることは、大いに考えてもらわなければならぬ。大臣意思もそこにあるのでありますから、あなた方も、そういうような考えのもとに答弁してもらわぬと、先ほど小林君が言われたように、いろいろなにおいがするというようにもとれ、非常に感じが悪いと考えるので、一応御注意申し上げたい。
  100. 圓谷光衞

    圓谷委員 簡單ですが、答弁を願いたいと思います。荻田局長にお伺いします。先ほど小林君の質問にも出たのですが、前に標準義務教育費を提案されたときに、平島君が政務次官をしておつて私もよく知つておるのですが、その際にアメリカさんの方に——名前まで言つてもいいのですが、地財委のある者が、憲法違反だというようなことを流した。この前に公務員の首切り問題が起つたときにも、農林省の役人の何人かが、このためにやめておる。こういう法案に対して、役人が政治活動をすることはいかぬというので、自由党としては、増田幹事長が談話を発表しております。それでお伺いするのですが、あなた方とも折衝して、政調会においても十数回やりましたが、あなたの御意見は、私ども役人として非常にりつぱな御意見であると拝聽しました。そこまではいいのです。但し、私が聞くところによりますと、知事会議に行つても、あるいは議長会に行つても、奥野君とあなたが、この法案はきわめてうまくないというようなことを言うので、反対意思を表示されるということは、政治活動になりますか、なりませんか、お伺いしたい。
  101. 荻田保

    荻田政府委員 まず初めの水谷さんの御質問でございますが、ただいたずらに予算を増額するものだというようなことは、言うこともうございません。もしも言つておりますれば、取消しておきます。  それからあとの御質問でありますが、これは先ほども御説明いたしましたように、地方財政委員会の性格といたしましては、地方団体との連絡ということは、どうしても必要な、これがなければ存続の理由がないような役所でございます。従いまして、いろいろな会議に行きまして意見を申し述べるということは、やむを得ないじやないか、これはむしろ政治的ではなくて事務の問題として。但し、これは法案のことでございますから、法案が両院を通過して成立いたしますれば、これに対してとやかくの批判をすることは、政治活動になると思いますが、成立する前におきまして、そういう使命上意見を述べることは、お許し願いたいと思います。
  102. 圓谷光衞

    圓谷委員 荻田局長の御意見は、言葉はまことにりつぱです。法案になる前に意見を述べられることはけつこうなんですが、議員が政調会、総務会の承認を得て提案をした、それを各所に行つて反対する。御意見だといえば、なるほどりつぱであるが、それは政治活動と見ないのですか、いかがですか。
  103. 荻田保

    荻田政府委員 われわれは、役所の性格として、当然の職務と考えて、地方団体との連絡に当つているわけであります。
  104. 圓谷光衞

    圓谷委員 あなたは政治活動と見ないのですか。
  105. 荻田保

    荻田政府委員 見ません。
  106. 圓谷光衞

    圓谷委員 私はりつぱな政治活動と見ている。法案の出る前ならけつこうです。法案が出て今国会が審議中で、われわれ何とかしてこの義務教育責国庫負担法を通過させたいと努力している最中に、いろいろな会合に行つて、この法案は地方財政を圧迫すると反対意見を述べることを、あなたは政治活動と思わないのですか、私は政治活動と思うのですが……。
  107. 荻田保

    荻田政府委員 法案が通ります前に、よいと言いますことも、悪いと言いますことも、われわれ地方団体と、先ほどから御説明しておりますように、特別の関係がある役所でございますから、これはどうしても言わなければならぬと思います。
  108. 圓谷光衞

    圓谷委員 ところが、あなたは反対なんです。この案に反対意見を述べるということは、政治活動でしよう、そうではないですか。われわれ国会議員が、国民の代表としてこの法案をやるときに、反対意見を述べることは、政治活動でないのですか。
  109. 荻田保

    荻田政府委員 反対意見政治活動でしたら、賛成意見政治活動になる。法案でございまして、成立したものではないと思います。
  110. 圓谷光衞

    圓谷委員 成立の過程であるということはわかるでしよう。この前行政整理の法案が出たときに、あの法案が参議院でつぶされてしまつた。その際にやはり盛んに、農林省の役人がたいへん減るというので、私のところにも来ました。どうかあれに反対してくれという。それを一役人が、これをやられて自分の部下が首を切られては困るという、それと同じで、あなたの方が、地方財政の方の仕事文部省にとられるために減るので、何とかして自分の方のわくを確保し阻止しようとすることは、私は政治活動だと思いますが、この見解をはつきりさせていただきたい。政治活動だとすれば、役人は公務員法の何條かで政治活動ができないことになつている。
  111. 荻田保

    荻田政府委員 政府決定しました法案、これについて反対意見を申し述べれば、これはいけないと思いますが、これは政府ではなく国会の御提出でざいます。従いまして、これについてその思つているところを申し述べることは、もちろんさしつかえないと思います。
  112. 圓谷光衞

    圓谷委員 それは非常に間違つている。政府が提案したものに対して反対すればいけないとおつしやるが、ところがこれは、国会議員が法案を提出することが本質なんだ。アメリカでもみなそうだ。今はまだそういうふうに行つておらないが、将来は国会議員が提出することになつている。その国会議員が提出したものには、反対しても政治活動ではない、政府が提案したものに反対すれば、それは政治活動だとあなたはおつしやるが、あなたの御見解は間違つていませんか。
  113. 荻田保

    荻田政府委員 政治活動とおつしやいますと、私が誤解したのかもしれませんが、少くとも政府反対のことを政府の役人がすることはいかぬ、そういう意味合いにおきまして、政府の提案したものに反対したらいけないだろうと申したのであります。ただ、こういう法案に対して意見を申し述べますことは、これはわれわれ委員会の職務としても、当然のことだと思います。
  114. 圓谷光衞

    圓谷委員 それはけつこうです。先ほどから申し上げている通り、ここにおいでになつて反対意見を述べようが、われわれがつくつているときに政調会へ来て反対意見を述べようが、それはけつこうです。しかしながら、この法案で外部的に呼びかけるときには政治活動だと言うのです。ところが、あなたが、国会議員が提案したら、反対しても政治活動ではないと言うことは、おかしいじやありませんか、どうなんですか。
  115. 荻田保

    荻田政府委員 先ほどから申しておりますように、外部と申しましても、われわれは地方団体があることが存立理由なんであります。ほかの役所とは違いまして、直接の関連がある。そういう意味におきまして、ほかの一般演説会でもやつて大いに反対意見でも述べれば、これはいかぬかもしれませんが、地方団体の者と懇談することは、少しも政治活動にはならないと思います。
  116. 竹尾弌

    竹尾委員長 本日はこれにて散会いたします。     午後一時二十三分散会