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1952-05-23 第13回国会 衆議院 文部委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月二十三日(金曜日)     午前十一時十三分開議  出席委員    委員長 竹尾  弌君    理事 甲木  保君 理事 若林 義孝君    理事 小林 信一君 理事 松本 七郎君       坂田 道太君    首藤 新八君       圓谷 光衞君    東井三代次君       平島 良一君    水谷  昇君       笹森 順造君    渡部 義通君       浦口 鉄男君    小林  進君  出席政府委員         文部事務官         (初等中等教育         局長)     田中 義男君         文化財保護委員         会委員長    高橋誠一郎君         文部事務官         (文化財保護委         員会事務局長) 森田  孝君  委員外出席者         文部事務官         (初等中等教育         局庶務課長)  内藤誉三郎君         専  門  員 石井  勗君        専  門  員 横田重左衞門君     ————————————— 五月十二日  図書館法の一部を改正する法律案内閣提出第  七九号)(参議院送付) 同月二十一日  学校給食継続実施等に関する請願井出一太郎  君紹介)(第二九四四号)  寒冷地帯学校屋内運動場建設促進に関する  請願中崎敏紹介)(第二九四五号)  同(山本利壽紹介)(第二九四六号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  連合審査会開会に関する件  文化財保護法の一部を改正する法律案内閣提  出第一八八号)  義務教育費国庫負担法案竹尾弌君外十五名提  出、衆法第四〇号)     —————————————
  2. 竹尾弌

    竹尾委員長 これより開会いたします。  この際お諮りいたしたいことがございます。義務教育費国庫負担法案につきまして、地方行政委員会から連合審査会開会の申入れがありました。これを受諾するに御異議ございませんか。
  3. 松本七郎

    松本(七)委員 この法律案は、提出までの経過その他から考えまして、非常に重要な法律案であるし、当然連合審査会でやらなければならぬと思います。それだけに、提出はずつと前になつておりますし、必要があれば、もつと早く向うから申出があつてしかるべきかと思うのですが、期日もずいぶん切迫しておることですから、あまり長くそういうことに時間を費すのもどうかと思う。どのくらいの時間でなさる御計画ですか、その点委員長にちよつとお伺いしておきたいのです。
  4. 竹尾弌

    竹尾委員長 今それをお諮りしたいと思いますが、この連合審査会を開くということには御異議ございませんでしようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 竹尾弌

    竹尾委員長 それではそういうことに決しました。  なお明二十四日の午前十時から、さらに二十六日の午前十時から連合審査会を二回開きたいと存じておりますが、御了承願いたいと思います。
  6. 松本七郎

    松本(七)委員 これは一日に、午前午後と通じて、切上げるというようなわけには行かないでしようか。
  7. 竹尾弌

    竹尾委員長 これは実は地方行政委員会と御相談いたしたのですが、向うは、例の地方自治法につきまして、毎日参考人を呼んでおりますので、なかなか時間のやりくりがつかない。そこで、できれば今日の午後からと思いましたが、向うでその参考人を呼んでいる関係で、できないから、土曜日と月曜日の午前中にしていただきたい、こういうことであつたのです。それでさよう御了承願いたいと思つております。これ以外に早くはできないのです。
  8. 松本七郎

    松本(七)委員 それはやむを得ないかと思いますが、月曜日の午前中にきちんと終るように、なるべく審議を促進していただくように、ひとつ委員長からおとりはからい願います。
  9. 竹尾弌

    竹尾委員長 さようとりはかろうように努力いたします。それではさよう決しました。     —————————————
  10. 竹尾弌

    竹尾委員長 次に、日程の順序を変更いたしまして、文化財保護法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入りたいと思います。質疑は通告順によつてこれを許します。水谷昇君。
  11. 水谷昇

    水谷(昇)委員 若林委員から、さきに御質問がありましたが、その御答弁等に、まだ要領を得ぬところがありますので、私からも重ねてお尋ねしたいと思います。  文化財保護法の一部を改正する法律案に対しまして、文部大臣提案理由説明しておるのでありますが、それによりますと「文化財保護法は、文化財保護の重要なる使命にかんがみまして昭和二十五年第七国会において国会みずからの御発案によつて通過成立したものでありますが、その任務重要性に照しまして、文化財保護委員会という行政委員会をしてその行政上の責任を負わしめている」ということを言われておるのであります。それほどこの文化財保護委員会というものは、重要な委員会であるといわなければなりません。そこで「今回の政府全般を通じる行政機構改革にあたりましても、文化財保護行政特殊性に基きまして、文化財保護委員会は存続することになつた」——これはよくわかるのでありますが、その次に「ただ内部的に、この委員会に関し左の諸点について機構簡素化を行うことに相なつた次第であります。」という御説明で、「第一に、文化財保護委員会委員の数は、現在五人でありますが、これを三人に減少いたしました」ということを言われている。現在五人であるのを三人に減少するのだ、ここが問題だと思うのでありまして、文化財保護委員長にお尋ねいたしたいのでありますが、過去から今日まで五人の委員によつて行政上の責任を負うて来られたのでありますが、その経過並びに、今回の行政整理によつて三人に減少してもさしつかえないのかどうかということ、これをひとつ十分御説明を願いたいのであります。議員提出でこの文化財保護法を制定したのでありますから、こういう点については、われわれは十分責任を感じます。この点を十分に御児明をいただいて、その上で十分審議をしてみたいと考えておるのであります。  なお、第二の「事務局総務部保存部の二部制廃止して次長制とし、機構簡素化をはかろうとした次第であります。」ということでありますが、これは行政機構改革にあたつてはしかるべきものだと考えております。
  12. 高橋誠一郎

    高橋(誠)政府委員 ただいまの御質問にお答え申し上げます。文化財保護委員会は、これまで行つたところによつてみますると、重要な問題につきましては、専門審議会にかけまして、その答申を得まして、これによりまして、さらにまた審議行つたのでございます。こういう場合におきまして、お話のように、まことに広汎にわたつておりますので、われわれ五人の委員の中の何人かが特にある問題に関しまして相当の造詣を持つておる者がありまして、これが中心となりまして審議を進めて行かなければならぬ必要がございますので、ただいままでの五人の委員を三人に減らされるということに相なりましては、会議制といたしまして、十分な機能を発揮いたします上に、少からざる支障を来しはしないかと、ひそかに心痛いたしておる次第でございます。現に有光委員任期が切れまして、新たに委員を任命せられます際に、特に大臣から、委員会建築方面権威者が入つておられないのは遺憾であるということで、特にこの方面権威者であります内田委員の任命を見たような次第でございます。なおまた最初の委員を選考いたします際には、財界方面連絡を保つ上において便宜な地位にある人に加わつてもらうことがいいのではないかというような意見も出たようであります。その点なども考慮せられまして、現在の委員が選ばれたように存じておるのでございまして、これを三人に減らしますということでございますと、いろいろな点におきまして困難が生じはしないが。私どもといたしましては、やはり今まで通り五人にしていただきたいという感じが、まことに深いのでございまして、その点は、すでに大臣までも申し上げておいた次第でございます。
  13. 水谷昇

    水谷(昇)委員 ただいま御説明もありましたが、財界方面との関係も考慮して、その面から委員を選定した。そういうふうに選定して、過去において、そういう委員の方が入つたがために非常に都合がよかつたというようなことがありましたら、ひとつ具体的にお話を願いたいと思います。また建築方面専門の方がいないから、そういう人も必要だ、こういうふうになつて来ると、その他の委員の方は、他の面において専門知識を持つて見える人が選ばれていると考えるのであります。そういうような点から考えると、今後五人の者を三人にして判断をしなければならぬということになると、重要な文化財でありますから、この点に欠くる点ができるといつたような心配も起るわけであります。なおまた、この五人で相談をするときに、五人ならば、物事がきまりにくいときには、多数決できまると思いますが、これを三人に減らしますと、三人分うち一人欠席でもせられるというような場合に、二人では決しようがないということも考えられる。そういう場合には、また日を改めてやらなければならぬということになつて、非常に不便であろうと想像するのでありまして、それらの点についても、委員長の御意見をひとつ伺つてみたいと思います。
  14. 高橋誠一郎

    高橋(誠)政府委員 ただいま申し上げましたごとく、これまでいろいろな問題が生じました際に、特に専門家と称し得ないまでも、この方面に関しまして相当理解のある者のおりますことが必要でございますので、これまで五人の委員の場合には、たいていみなその方面につきまして、相当見識のある意見を表明する者がおりまして、それによりまして、大体さしつかえない審議が行われた次第であります。なおまた、財界人を加えますことが必要であるという点は、国宝あるいは重要文化財と称すべき名器、名品を所蔵しております者が、多く財界人でありまして、こういう人たちの出品を促します際などにおきまして、少からざる便宜があることでございますし、また文化財保護委員会としてはなし得ない事業を、この委員会と表裏一体となりまして、協会を設けましてこれを行わなければならないような必要も出て参つておりますので、これらのものは、寄付金によりましてその基礎をつくらなければならぬのでございます。こういう点におきましても、財界人と密接な関係のあります委員のおりますことが、少からざる便宜を与えると思います次第でございます。なお、私の申し上げましたところで不足いたしております点は、局長から御説明申し上げることをお許し願いたいと存じます。
  15. 森田孝

    森田政府委員 ただいま委員長から御答弁願いました点で、補足する必要はないと思つておりますが、財界の方が全部ということでは、もちろん困りますけれども、財界信用があつて、しかもこちらの方面知識経験が深い人で、同時に文化財について理解の深いまた見識を持つている方がおられることによつて委員会が非常に幅の広い活動ができるという点では、具体的な例を申し上げますと、大体文化財そのものが、見方によつては一つの財産でありまして、これを動かす場合におきまして、やはりそちらの方面見方から見るという点が、非常に重要な問題になつて参ります。單に買取りというだけではなくて、展観なり、あるいは命令または勧告による出陳の場合の交渉というような場合においても、同様のような見方になつて参ります。また同時に、国費が不足しておりますので、あらゆる修理または保管というような点におきましては、七割ないし五割、あるいはものによつては三割くらいしか国の補助がないのでありまして、大部分は民間の金によつてこれを行つて行かなければならぬのであります。そういう場合におきまして、財界の方においても信用がある、また平たい言葉でいえば、顔が広いというような方々に加わつていただくことによりまして、国の費用の不足な点についての補填に必要な民間負担金と申しますか、の点が、円滑に解決して行くことができるのでありまして、そういう意味におきまして、現在の委員の構成上、主として財界において御活動になつておる方がお入りになつておるということは、委員会活動の非常に円滑化する原因となつておると考えておるのであります。
  16. 水谷昇

    水谷(昇)委員 文化財重要性にかんがみまして、これを判断する人が、三人よりは五人おつて判断をした方が、得心が行くと私は考えられる。それから、五人を三人に減らしても、簡素化という点については、そんなに大して費用が減るわけでもなし、二人を減らしたがために、一般からこの保護委員に対する信用を失うようなことが多いことになると、非常なマイナスになるということが考えられるので、こういうような点を十分考慮して行かなければならぬと私は考えるのであります。これは意見にわたりますから後にまわしますが、とにかく文化財保護委員会の方では、やはり五人であつた方がすべて万事に都合がいい、こういうふうな結論になるわけでありますか、その点だけ御意見を承つておきたい。
  17. 高橋誠一郎

    高橋(誠)政府委員 まつたくただいまの水谷委員の御意見通りに、われわれ委員会も感じておる次第でございます。
  18. 甲木保

    甲木委員 ただいま水谷委員から大半は質問になつておりますが、もし行政整理経済節約の目的をもつて必要であるというならば、三人の常勤制度を改めて、一人だけを常勤の勤務となし、他の四人を非常勤実費弁償制度とすれば、どうかこうか追いつくのではないかと思うのですが、これについて、委員会並びに文部当局の御見解を承りたい。
  19. 高橋誠一郎

    高橋(誠)政府委員 経費の節約の点から参りますと、かえつてただいまお話のございましたように、実費弁償いたしました方が、はるかに節約に相なることと存じております。われわれこれまでの委員の間におきましても、報酬を御辞退しようではないかというような意見も折々出ておつた次第でございまして、いずれもみな文化財保護に熱心な人々でございますので、俸給の有無にかかわらず、同じような努力をこの仕事のためにささげて行く人々であると考えております。
  20. 甲木保

    甲木委員 文化財の種類は雑多であり、その価値判断もきわめていろいろであるのであります。いかなる優秀な委員であつても、もしそれが先ほど水谷君が言われた通り、小人数である場合は、正確な判断を失するおそれが多分にあるのであります。でございますから、かりにもし一人が事故あるいは病気の場合は、二人ではどうしても判定し得ないことが生ずることと思うのであります。でございますから、員数の最小限度は、どうしても五人であると考えるのでございますが、いま一応この点について御答弁をいただきたいと思います。
  21. 高橋誠一郎

    高橋(誠)政府委員 先ほど申し上げました点のほか、ただいま御質問のございました事務の点を申し上げますと、この点におきましても、三人に相なりますと、支障を生ずるおそれがたいへんに多いと存じます。昨年は、私がしばらくアメリカに参つておりましたし、その後また矢代委員は、三箇月にわたりましてヨーロッパ並びアメリカを視察して参られたのであります。今後もしこれが三人になりまして、その中の少くも一人が海外に参られる、あるいは病臥せられるというようなことでもございますならば、任務の上におきまして、少からず支障を来すことに相なりはしないかと、実は懸念いたしておる次第でございます。事務簡捷化の点におきましても、これを三人に減らしましたところで、格別のこともなかろうと思うのでありまして、事務の上におきましては、委員長責任を持つて事をとり行いますようにいたしますれば、五人でも相当簡素化の実をあげ得るのではないかと考えておるのでございます。
  22. 松本七郎

    松本(七)委員 前会浦口委員から、第五条第二項を削除する理由について御質問があつたときに、森田局長の御答弁によりますと、行政委員会は独自の立場でやるのが当然なことであつて、わざわざこれを挿入する必要はない、むしろそれを挿入しておることによつて文部省連絡なしにやるかのごとき誤解を生むおそれがあるというような御答弁があつたのですが、今までの運用において、何かそういつた連絡なしにやつたというような例があるのでありましようか。
  23. 森田孝

    森田(孝)政府委員 具体的な例があつたということを申し上げたのではないのでありまして、そういうおそれがあるということを申し上げたのであります。もちろん、委員会仕事につきましては、予算におきまして、すでにこれは大臣予算審議権と申しますか、予算案の作成についての審議権編成権があるわけでありまして、従つて、各年度における文化財保護委員会予算につきましても、これを予算案として作成する場合においても、文部本省におきまして第一次の査定があるわけであります。従いまして、その仕事の内容については、すでに予算編成のときに、本省とは十分な連絡ができておるわけでありますので、一般的なことを申し上げますれば、連絡をしないで仕事を進めたということはないのであります。ただ何と申しますか、各末端と言つては申訳ありませんが、職員の中には、具体的に仕事をする上におきまして、つい連絡するのが一日遅れたとか、あるいはまたあとからになつたというようなことは、これは起る可能性がないでもないという心配があつたから申し上げたのであります。
  24. 松本七郎

    松本(七)委員 特にそういう例があればともかくとして、何らそういう例が今までないとすれば、この前の浦口委員質問の御答弁にもありましたので、今度は逆に何らか文部省の方で、監督というか、そういう面が強くなる危険の方が出て来るのじやないか。むしろそういう危険を防ぐ意味で、こういう規定は必要じやないかと思うのですが、その点はどうですか。
  25. 高橋誠一郎

    高橋(誠)政府委員 私といたしましては、やはりこの規定がございました方が、この保護委員会性格を明らかにし、運営を円滑ならしめる上において、効果が人なるものであろうと考えておる次第でございます。
  26. 浦口鉄男

    浦口委員 ただいまの松本委員質問にも関連して参りますし、私がこの間質問したことの連続のようでありますが、この際高橋委員長にまたお尋ねをしておきたいと思うわけです。  それは、ただいまの但書の問題でありますが、文化財保護という仕事が、時の政府とか政党とか国情とか、そうしたものに災いされないように、ほんとうに独自な立場で運営されなければならぬということから、私はこの条項がついていると、こう思うのでございます。同じく大幅な行政権限を持つた委員会としては、教育委員会などもあることは、御承知と思います。その教育委員会にはこういう但書条項はないのであります。それを文化財保護委員会限つて特につけたということは、私はやはりそこに非常に大きな意味がある。森田局長は、まあお立場上、この但書がなくとも実質は同じなんだから、あつてもなくてもいいのだ、こういうふうに言われたのですが、私はそれは非常に遠慮して言われたと思うのでありまして、どうしてもただいまの松本委員のような心配がここに出て来るのであります。これを削除するについての経過、どうしたお話合いでこれが削除されることになつたのか、その点お話を願えれば参考になると思います。
  27. 高橋誠一郎

    高橋(誠)政府委員 その点は、まつた文部省側意見委員会は聞いておりませんので、これが委員会の問題になりました際には、大体先ほど森田局長からお話のありましたような点を考えておつたのでありますけれども、全体の意見をまとめるには至りませんでございました。しかしながら、ただいまのお話通り、もしこの条項が依然存置せられますならば、まことに仕合せであるとわれわれは考えております。おそらく委員全体も、同様の考えではないかと推察いたす次第でございます。
  28. 浦口鉄男

    浦口委員 そういたしますと、これはひとつ、立案者文部当局文化財関係課長かどなたかいらつしやつていないのですか。——その方にお聞きすべきことと思いますが、もしおいでにならなければ、質問を保留いたします。
  29. 森田孝

    森田(孝)政府委員 浦口委員の御質問ですが、この問題は、文部本省文化財保護委員会と共同で立案したのでありまして、今仰せになりましたのはこの五条二項の問題でありますが、五条二項を削り除するという点についての経過というのは、この前私が申し上げましたような理由——これは主として本省側でありますが、これだけはこの間申し上げませんでしたけれども、本省側の希望がありまして、われわれも本質上かわらないから、その点はそういう意味で賛成をしたのであります。
  30. 浦口鉄男

    浦口委員 どうもそこが私納得行かないのです。これを置くことによつて、従来何か具体的な弊害があつたかという松本委員質問に対しては、格別弊害があつたとはわれわれは考えられない。委員会はやはりあつた方がいいと言う。それがどうしてなくなつたかということが、私はまことに不可解である。これをもう一度御答弁願います。
  31. 森田孝

    森田(孝)政府委員 まことに仰せ通りでありますが、委員会が独立してその職権を行うという本質上の性格というものが、この五条二項があることによつて、さらにはつきり裏づけられるという意味におきましては、委員長の申し上げた通り、またわれわれもそれはあつた方がいい。しかしながら、それがあることによつて、将来もし弊害が起りはしないかという意見があつたときには、これは将来絶無だという保証は得られないのだ。従つて本質がかわらなければ、そういう誤解が起れば削つてもさしつかえない、こういう程度で、われわれはそれに同意をいたしたという意味で、別に矛盾はしていないと思つております。
  32. 浦口鉄男

    浦口委員 これは文部当局からもう一度伺うことにして保留しておきたいと思います。  その次に、行政機構の全体の改革にあたつて機構簡素化であるということも、提案理由に書いてあるのですが、具体的にお聞きしたいのは、総務部保存部の二部制廃止されて、二人の部長がいなくなりまして、すべて次長がこの二つの部を兼任して、この二つの部に課せられた相当多くの事務を遂行して行くことになると思うのでありますが、それで今までと同じような仕事をやつて行く上に支障がないかどうか。その点をまず伺いたい。
  33. 森田孝

    森田(孝)政府委員 部制廃止するというのは、必ずしも文化財保護委員会機構改革だけではありませんで、今般の政府行政機構改革根本方針といたしまして、各省すべて部制廃止するという方針になつておりますので、その結果部制廃止になるのであります。事務上の支障という点におきましては、もちろん、二人の部長がおつてやられた方が、仕事ができるのでありますけれども、政府行政機構改革一般方針従つて行います上におきましては、次長が一人になつた場合、課長責任が非常に重くなつて来るという点において、部長制があるのと、仕事の上において違いができて来るのでありまして、各課長の今後一層の御努力をお願いいたすことによつて事務支障のないように遂行して参るのが、われわれの今後努力すべき点だと考えております。
  34. 浦口鉄男

    浦口委員 その次に、五人の委員のうち、一応全部解任になると承知していいと思うのでありますが、そのうちからまた再任される方は別といたしまして、解任されたきりの委員の方は、これはまだ任期があるのに、要するに失職する、こういうことになりますが、法制局の一部の意見を聞きましても、非常にそこに疑義があるということを言われている。そうした事態によつて生ずる障害は、これは文部省責任だというふうなことを一部で言われておりますが、その任期中であるにかかわらず失職される委員の問題について、どういうふうに文化財保護委員会としては、お考えになつていられるか。法制局と何らかお打合せがあつたか、その点お伺いいたします。
  35. 森田孝

    森田(孝)政府委員 仰せの点につきましては、二つ見方があるのでありまして、今度の行政機構改革におきまして、その官庁廃止になつて、新しく別の官庁ができるという形のものと、それから、官庁はそのままあつてただ人を減らすというものと、二つがあるわけであります。文化財保護委員会におきましては、大臣提案理由説明にもありますように、行政委員会としては残ることになつておりますので、従いまして、官庁そのものは変更なしに残つておるわけであります。そうして、ただ定員を五人から三人に減らすという簡素化の行き方になつておりますので、一つの見方は、これは行政整理の理論であります。従いまして、五人の委員が三人になる場合においては、その五人の委員の中から二人を行政整理で減らす、こういう行き方で行くべぎだというのが一つの理論であります。確かに一部にそういう意見があるのでありますが、もう一つ別の行き方は、五人の委員の構成と、三人の委員の構成では、構成が違わなければならないので、従つて、五人を三人に減らすということは、委員を全部新しく任命し直すということだ。従つて、これは全部職を失つて、新しい構想のもとに新しい委員を任命すべきである、こういう二つ意見があるのであります。従いまして、諸般の事情をいろいろ協議した上で、そのあとの意見従つて、この改正案ができておるわけであります。
  36. 浦口鉄男

    浦口委員 ただその場合に、任期のあるものを、任期の途中において失職させる、そういうことに対する法制上の疑義について、これは意見長官の意見を直接ここでお聞きした方が適切かと思いますが、もし事務局として法制局意見をお聞きになつておれば、この際お聞きしておきます。
  37. 森田孝

    森田(孝)政府委員 国家公務員で任期規定のある委員は、一応その任期については、反面において身分保障が当然にあるということは、これは一般的にいえることであります。しかしながら、こういう機構改革を行うという場合におきましては、その機構改革によつて廃官廃庁になるものについては、法律上当然に職を失うことになるのでありますが、先ほども申しました通りに、法律上の観念からいいますと、行政整理の観念に入るということもいえる関係上、特にこの改正案の中に附則を設けまして、その附則に、全員が職を失うという特別の規定を置きまして、この法律によつて、今の身分保障の点を、これは例外であるということを特に規定する必要があつて、附則に載せたような次第であります。
  38. 浦口鉄男

    浦口委員 その点、法制意見長官の意見を聞く機会を得たいと思いますので、その程度にとどめておきます。  最後に、委員長にお聞きしておきたいことは、この法案と直接関係はございませんが、重要文化財の中から、国宝あるいは天然記念物等の指定が大分進んで、第一次指定が終つたようにわれわれは承知しておりますが、今後第二次あるいは第三次と、最後の決定がいつごろ大体終了されるお見通しか、その点をお尋ねしておきます。
  39. 高橋誠一郎

    高橋(誠)政府委員 国宝の指定は、二回行われましてございます。そして当初三年間で一切終る予定でありましたのでございますが、人員が減りました関係などで多少延びるかと存じますが、大体まず三年程度で指定を終りたいと存じております。多少延びることをお許し願わなければならぬかと思います。
  40. 竹尾弌

    竹尾委員長 次に東井三代次君。
  41. 東井三代次

    東井委員 委員会の当局の方にお伺いをしたいのでございますが、この文化財保護法ができまして、この第二十二条の第三項でございます。「国立博物館に、奈良分館を置く。」というのがあるのでありますが、この法律は前国会、昨年末に改正をされまして、そうして第二十二条の中に、京都国立博物館というのが挿入されたわけであります。これはその当時の事情といたしましては、恩賜博物館が移管をされたという実情でありますが、われわれはその当時から、京都博物館が独立の形態になるならば、奈良の分館も当然にこれは独立すべきものだと考えておつたのであります。これは政治的な考慮というよりも、むしろ奈良の博物館というものの内容が、京都と比較をいたしまして、京都が独立するなら、奈良も当然に独立すべき内容を持つている。特に奈良の博物館に納められております文化財というものは、文化的に非常に高いものがあり、その点におきましては京都と遜色なく、さらにまた奈良のあそこに保存をいたしております文化財というものは、京都博物館が持つておりますそれ以上に、国としては尊重さるべきものだと考えておるのであります。これは、政治的に考えますと、地元の方で、この博物館を分館よりも独立の植物館として独立をさせてもらいたいという要望は、もちろんあります。けれども、これはそういう政治的な考慮のほかに立つて、少くとも日本の文化の上において、奈良の博物館というものをどう取扱うか、その文化財をいかに考えるかという観点からこれは考えて行かなければならぬ問題だと思うのであります。この点につきまして、私は今回京都恩賜の博物館が独立いたしました機会に、その当時当然にこれは独立をしなければならないものだつたのでありますが、あの当時財政的ないろいろの制約もあり、また理由もあつて、奈良の方を独立させ得なかつたというような事情に了解をしておるのであります。この点につきまして、委員会当局といたしましては、行政的に考えられまして、その奈良の分館を独立させるべきものかどうか、さらにまた財政的にこれを見た場合に、どういうふうなことになつて来るかということを、事務当局、もちろんけつこうでございますが、これを独立させてよいものかどうかという委員長のお考えをお漏らし願いたいと思います。
  42. 高橋誠一郎

    高橋(誠)政府委員 ただいま御質問のありました点、われわれといたしましても同感でございまして、私、先年東京国立博物館長をいたしておりました際に、奈良に参りまして、分館長そのほかの人々と会談いたしまして、この問題を議したのでございますが、その当時におきましては、奈良の分館長そのほかの諸君の御要求が、さほど強くございませんでした。それで、まずしばらくこれを推し進めることもいたさないでおつたのでございますが、お話のございましたごとく、いよいよ京都が国立となりました以上、奈良は、その価値から申しまして、当然独立して国立博物館となる資格を備えているものと考えております。そして、ただいまのように東京国立博物館の分館と相なつておりますと、事務的なことを行う場合に、一々東京を経由しなければならぬという不便がございます。そういう点から見ましても、奈良はむしろ独立した方がいいのではないか。経費そのほかの点に関しましても、大した増額を見ないで済むのではないかと考えております。なお、この点につきましては、局長から補つてお答え申すことをお許し願いたいと存じます。一
  43. 森田孝

    森田(孝)政府委員 独立した場合の経費でありますが、東京の国立博物館として、現在予算並びに定員は、奈良の分館についても一括せられております。従いまして、予算におきましては、さしあたりは新しい予算を計上する必要もありませんし、東京の国立博物館として一括して計上せられておるものをいかにわけるか、定員につきましてこれをいかにわけるかという事務的の問題だけが残つておるのでありますので、独立するにつきましては、もちろん大蔵省におきましても、新しい故障が出るということは、考えられないと思つております。なお、将来の問題につきましては、分館であるよりは、独立いたした方が、その活動は、今、委員長から申されましたように、格段と活発に博物館の機能を発揮することができるのでありますし、また同時に、それに伴いますところの予算的な裏づけといたしましても、分館であるよりは、十分な裏づけができるようになりはしないかと考えております。
  44. 竹尾弌

    竹尾委員長 ほかに御質疑はございませんか。——本法案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめておきます。     —————————————
  45. 竹尾弌

    竹尾委員長 次に、義務教育費国庫負担法案を議題とし、前会に引続き質疑を続行いたします。質疑のある方はこれを許します。
  46. 松本七郎

    松本(七)委員 小学校の教員数ですが、この法律案では、全国の兒童数を基礎にして五十分の一・五というふうな計算の仕方をしておりますが、こういうやり方ですと、全国的には兒童数が相当数減つても、学級数としては減らせられないような状態が出て来るのではないか。むしろ合理的にやるためには、当該学校の当該学年の兒童数というものをもとにきめなければ不合理じやないかという点が考えられますが、その点どういうふうな考えを持つておられますか、明らかにしていただきたい。
  47. 若林義孝

    若林委員 今松本委員が御指摘になりましたような事柄は、相当考慮しておかなければならぬ問題だと思います。しかし、この法案のねらつておりますのは、むろんそれを慎重にやらなければならぬのでありますが、総額のことについてとりきめを行うのがこの法案でありまして、配分につきましての分は、今御指摘になりましたような事柄は、十分注意をして法律で定めなければならぬ、こう考えておるのであります。
  48. 松本七郎

    松本(七)委員 総額をきめるにあたつて、私の申したようなことを基礎にやらなければ、不合理になるという点を私は指摘しておるのですが、これは議論になりますから、この程度にしておきます。  それから第三条の教職員給与費の平均單価算出の基礎ですが、これには超過勤務手当が含まれておらないようです。こうなると、事務職員の超過勤務が認められないということになつて、非常に不便ではないか。その点はどうですか。
  49. 若林義孝

    若林委員 日直並びに宿直に関する手当というものが、ここに摘出してあるわけでございます。その中で十分考慮できるようになるわけであります。
  50. 松本七郎

    松本(七)委員 これは超過勤務は、全部日直、宿直ということで考慮するという意味ですか。
  51. 若林義孝

    若林委員 教員の場合の超過勤務手当というものは、特別に算定することなしに、日直、宿直に関する手当として出されておるのであります。それから一般事務職員の分については、府県の費用の中から支出せられるのでありまして、この法律で定めております金額の外で考慮されておると、御了解を願いたいと思います。
  52. 松本七郎

    松本(七)委員 これは教職員給与費の平均單価を算出する基礎を定めておるのですから、当然この中に包含して定めなければ——それだけを取除いて、基礎にも入れないということ自体おかしい。基礎に入れて、総額のうちどれだけを国が持つかということを定めるべきであります。基礎からすでにこれだけ除くというのは、おかしな話です。
  53. 若林義孝

    若林委員 その分は、平衡交付金の中に摘出されずに残つて行くわけであります。
  54. 松本七郎

    松本(七)委員 それから給与單価に関してですが、昨年問題になつた、三百七十五円、国家公務員より高いといわれておる。これが今回の平均單価の計算では、三百七十五円だけ差引いてやられておる。この点は、よほど生活にゆとりのあるような場合ならば、いろいろ総合的に考えて改正するということもあり得るでしようが、今日のような場合に、現在よりもそれを低くするということは、大きな問題だと思います。
  55. 若林義孝

    若林委員 この算定の基準は、一般国家公務員の基準に従つて算出をいたしておりまして、教育公務員という特別の算定は用いていないわけであります。
  56. 松本七郎

    松本(七)委員 そこに問題があると思う。今までとにかく三百七十五円だけ高かつたという事実、それを今日除いて計算するということは、非常に酷じやないか。そこに何らかの考慮あつてしかるべきではなかつたかと思います。
  57. 若林義孝

    若林委員 御存じの通り、地方公務員並びに義務教育に携わる地方の教職員として、給与は各府県においてことごとく異なつておるわけであります。それを一律の法律で定めようというところに、相当の無理はあると思うのでありますけれども、一応総額をきめる基準として、この基準を用いているわけなのであります。だから、不均衡な分を国家全体として算出する場合、やむを得ざる措置ではないかと考えるのであります。
  58. 松本七郎

    松本(七)委員 その点も、一律に早く総合的なものをきめることに重点を置くか、現在の事態というものを、もう少し考慮すべきかという議論になりますので、あとに譲ります。  その次の第四条の建設事業費のことですが、これは校舎の修理なども含まつておるものでしようか。
  59. 若林義孝

    若林委員 修理はこの法案では入つておりません。
  60. 浦口鉄男

    浦口委員 今の松本委員質問に関連して、ちよつと確かめておきます。それは今の給与の問題ですが、今までの実情としては、各府県、市町村によつてでこぼこがあつたということを、われわれは承知しております。しかし今度義務教育費国庫負担法という非常に大きな法律によつて、そうしたものをなくするというところにも、私は大きな根本的な意味があると思う。といつても、もちろん現実がございますので、一躍そこに行かないという御議論もあるでしようが、今の御答弁で承りますと、一般公務員並に、教員について特別の扱いをしないという基準で出されたということでありますので、実際に現実よりも下つて来る面は、半額地方自治体が負担する、現状としては、その半額の方において地方自治体が適当にあんばいして行くのだ、実際の給料が現実より下らないように、地方自治体がやつて行くのだ、こういうふうに承知しておいてよろしいですか。
  61. 若林義孝

    若林委員 問題が非常に根本的な事柄に関係するようでありますけれども、種々事務的に進めて行くことに、多分に関連があると思いますので、文部当局からこの点を説明させます。
  62. 内藤誉三郎

    ○内藤説明員 ただいまお話の三百七十五円という問題ですが、これは御承知のように、教育公務員特例法によりまして、地方の教員の給与は、国立学校の教員の給与を基準とするというように法律でなつておりますので、国立学校の給与を基準として計算いたしますと、全国的には三百七十五円という数字が出たのであります。この数字についても、資格、学歴、勤務年限によつて毎年動きますので、はたして来年三百七十五円になるかどうかということはわからないのでありまして、あるいは三百円になるかもしれません。そこで、現在のところ、どういう措置をいたしておりますかというと、予算面で定員の方は一・五、一・八で計算しますと、定員上に約二万人ほどの余裕があるのであります。單価の面では三百七十五円も足らない。そこで單価と定員で差引いて、大体全国的には操作ができているというのが、現在の実情なのであります。ですから、この法案によつて、高い分を地方財政にしわ寄せするのだということにはならないと考えております。
  63. 浦口鉄男

    浦口委員 文部省はならないと言われますから、その通りに一応お聞きしておきましよう。  それから内部設備費についての補助を、この法律によつて確保されるわけです。そうなりますと、内部設備費に対しての一つの基準というふうなものが、当然文部省として、つくられると思うのでありますが、それはできているのか、その点を伺います。
  64. 内藤誉三郎

    ○内藤説明員 ただいまの御質問は、教材費のことだと思うのでありますが、これにつきましては、各学校に必要な教材教具の目録を準備しておりますので、これの法案をどうするかということも、ただいま研究中でございます。
  65. 浦口鉄男

    浦口委員 なるべく早くきめていただくことを希望いたします。  次に、地財委の意見として——と申しますよりも、これに対する反対意見として、この法案が実施されると、教員の定員が三万六千人ふえて、約七十億円地方経費が増加を来す、それによつて地方財政が不当に圧迫を来すという意見が出ておりますが、まずこれについて、文部省なり立案者はこのまま認めていいのかどうか、それをお尋ねいたします。
  66. 田中義男

    ○田中政府委員 この定員なりあるいは給与等について、実は非常に誤つた宣伝と申しますか、声が高いので、非常に遺憾に思つておるのでありますけれども、ただいまのお話の点につきましても、実はすでにお話申し上げておりますように、結核に関する療養者が非常にふえておりまして、率から申しましても、従来は一・三三というのが、今度は二・四四六というような率を示して来ておりますので、そのための増加が大部分でございます。大体約一万人せいぜいだと思つております。そうしますと、この費用は、年額にしまして約二十億、国が半額負担いたしまして十億というような実情でございまして、いろいろお耳に入つているのは、よほど誇大な数字だと考えております。
  67. 浦口鉄男

    浦口委員 従来から、教職員の行政整理のときに、よく問題になるのですが、いわゆるやみ員数と申しますか、やみ定員というものが事実相当あるということを、文部当局も暗に認めておられるのですが、そのやみ定員と、こういう地財委の意見についての関連性は、どういうふうに考えておりますか。
  68. 内藤誉三郎

    ○内藤説明員 これはやみ定員というようなものではございません。と申しますのは、平衡交付金を算定する場合に、教育費をどう見るかということになりますと、従来国庫負担がございましたときに、小学校については五十分の一・五、中学校については五十分の一・八、そのほかに結核の分といたしまして、教員総数の一・三三%を教員の定数と見ん込だのであります。それから給与の方は、国立学校の例によつて單価を計算する、この單価をかけたものが教育費の給与費総額になるのであります。それを基礎に平衡交付金は算出したのであります。もちろん、平衡交付金は、教育費以外に他の地方行政全般の費用が織り込まれるのであります。そうして結果が出るわけでありまして、これは財源上の措置であります。ですから、これをどういうふうに使うかということは、地方自治体でおきめになることであり、教育委員会と知事との交渉になるわけであります。だから、中央が財源措置したのは、こういう定員へこういう人員をかけて総額幾ら出したということが、国の方の処置の問題であります。これを実際にどういうふうに置くか、教員数をどれだけ置いて單価をどうきめるかという具体的な問題は、各地方公共団体の処理さるべき問題です。そこで定員上に欠員が生じたのは、給与の面で相当国の予想した單価より高いのでございまして、その方の單価を切つておりますので、教員数は一・五は置けないのです。そこにからくりができておるわけなのでして、地方の実情によりますと、ある府県では一・五をはるかに越えておるところもあります。そういう県では給与が非常に低い。しかし、ある県では給与單価が非常に高い、千円くらい高いところがある。しかし、そういう県は、往々にして教員数は非常に少くて能率を上げておるのです。ですから、必ず一・五、一・八なければならぬかどうかという各学校についての問題と、全国的な財源の措置との問題とは、おのずからそこに限界があると思います。その差が出て来ておる、かように考えております。
  69. 浦口鉄男

    浦口委員 それから結核教員の問題ですが、最近聞くところによれば、結核の死亡者が全体的には約半減した、こういうことが報道されております。ということは、やはり療養者も減つている、罹患者も減つているということを意味するのでありますが、この法案で見ると、結核療養者は今後相当ふえるものとして見ているようですが、教職員だけが減らないのか、あるいは逆にふえているのか、そういう点、文部省はどういうふうにお考えになりますか。
  70. 内藤誉三郎

    ○内藤説明員 お話のように、結核患者の死亡が減つておることも事実でありまして、また教員についても、結核者が減りつつあるのが現状であります。ただここに書きましたのは、二十四年のときに、実際結核になつて学校を休んでいる先生が一・三三という統計が出ていた。当時結核になつた人はおそらく五%ぐらいだつたと私は思うのです。しかし学校を休職しているというのは、これは給与の関係もございまして——いろいろ経済的な問題もありまして、先生が無理して学校に出ておつた、そこに原因がある。実際結核で休職した人が二・三三。現在幾らかといいますと、昭和二十六年の四月三十日の指定統計によりますと、二・四四という数字になつておりましたので、その数字を改めたのであります。ただ一言、先ほど地方財政委員会との数字の開きについて、私どもの推測を申し上げますと、三万六千人という数字は、現在予算上の欠員の分と、今度新たに結核等でふえる分を見込んでおると思うのです。しかしそれにしても、私どもの数字とは非常に食い違いがあるのですが、私どもの推定ではせいぜい現在の欠員が二万、それに新しいものが一万、こうなるのです。その実員との開きを考慮しているのじやなかろうか。ところが、給与の面で、單価の方では現在三百七十五円高くなつておるということについては、一言も触れていないのであります。給与はすえ置きにして、国家公務員並に引下げて、定員の方は現員で見る、こういう計算になりますと、おそらくそういう数字に近いものが考えられると思うのです。ただ教員だけが三百七十五円高いのじやなくて、これは地方公務員全体が高いのであります。府県の吏員は四百六十二円、市町村吏員は五百七十六円高いという大蔵省の統計が出ております。教員は資格、学歴、勤務年限が一番いいにもかかわらず、他の地方公務員よりもむしろ冷遇されておるということを、私どもはここに数字をもつてお示しできると思うのです。それから、いま一つの七十億という数字も、これも私ども理解に苦しむのですが、想像するところによりますと、おそらく東京、大阪にも一律に全部に二分の一やる、現在東京、大阪のように平衡交付金をもらつてないところにも、二分の一の給与費を見る、こういうふうなお考えが入つてつて、七十億という数字が出たのかもしれません。いずれにいたしましても、私どもの数字と地財委の数字とは、非常にかけ離れておるということは事実であります。
  71. 浦口鉄男

    浦口委員 最後に一つだけお尋ねしておきます。これはこの法案に現われたところとは、直接関係はありませんが、災害の復旧についての取扱い方であります。老朽校舎の復旧については、不満足ながら、ここに一応解決されておるわけですが、非常に災害国といわれる日本の災害復旧について、特段の処置がないことは、たいへんこれは不安定だと思うのです。大体公共事業関係のものについては、ほとんどといつていいくらい單行法ができて、災害復旧の場合の補助率その他が確定しておりますが、ただ学校だけについてこれが確立していないということは、非常にわれわれとしても大きな矛盾があるように考えられるのであります。その点立案の過程において、この災害について、この法律案に盛るかどうかという論議がなかつたのか。あるいは論議がなかつたとすれば今後公立学校についての災害の場合に、はつきりとした單行法をつくるべきではないか、こう思うのでありますが、その二つの点について、立案者のお考えを承つておきたいと思います。
  72. 若林義孝

    若林委員 御存じの通り、災害については、われわれも他の災害についての立案をいたしましたときにも、意見相当述べる機会があつたのでありますが、一昨年は全額国庫負担というのでやつてみたわけです。そこで人工災害というようなものが続出するようになりましたので、三分の二という特別の措置を講ぜられたわけであります。その中には、学校に関しての分は除外されておつたわけであります。今度のこの法律案では、ちようど機会だという気持があつたものでありますから、二分の一という線を打出して、これに現われて来たわけなのであります。行く行くは他の法案も、学校給食であるとかいうようなことも、この中に将来包含して行けるものは包含して行つたらいいじやないか、こういうように考えております。この率その他につきましても、あまりに遠慮し過ぎているのじやないかという気もするのでありますが、他の災害との関係とにらみ合せて、この辺が妥当じやないかという気持が盛られておるわけであります。
  73. 松本七郎

    松本(七)委員 今の御説明によりますと、ちようどいい機会だから、この際にはつきり打出そうという御意見のようでありますが、それならばなおさらのこと、他の災害と同じような線をこの際打出すべきではなかつたか。特に学校の災害復旧だけ少い率にしたというのは、どうも納得行かないのです。
  74. 若林義孝

    若林委員 理想といたしましては、向うと肩を並べたいと思つておりますが、向うの他の方は全額が三分の二になつているわけであります。こつちは皆無であつた分でありますから、三分の一ということでやつたわけであります。
  75. 松本七郎

    松本(七)委員 その点は追究しないでおきましよう。  もう一つ、さつき局長の御答弁にありました結核のことですが、これはなるほど統計上からは、最近は減つておるというふうな御答弁があつて、そういうことかもしれませんが、結核の問題は、よほど形式的な数字にとらわれないで考えないと、まずいことになるのじやないかと思います。ということは、最近いろいろないい薬ができて来て、ちよつと表面から見ると全快したような状態になる、これを全快として扱われておる数が相当あるようです。ところが、実際には、むしろ年をとつた人に結核患者というものが非常にふえておるわけです。これは、第一に生活に無理があるということ——年をとつて相当な壮年期になりますと、生活の責任上、完全になおらなくても、やはり仕事をしなければならぬというふうなことから、こういう面が出て来ておるのだろうと思うのであります。そういう点を勘案してこの率というものを考えるならば、二・四四六では、なお少いのじやないかという気がするのですが、そういう点を御考慮なさつたかどうか。
  76. 若林義孝

    若林委員 仰せ通り、死亡はきわめて現象として減つておるのでありますが、罹病いたしまして病床につく者がふえて来ておるということは、これも事実でございます。厚生省あたりで、これに対する対策として病床の増加というようなことを、相当費用をもちまして進めておられるようでございますが、しかし新しい薬の出現等によりまして、これは不動のものでは決してございません、必ず動く。また施設その他がよろしきを得るならば、罹病者も少くなつて行くと思うのであります。また、あるいは反対に、憂うべき増加の現象をたどる場合があるかもしれぬと思うのでありますが、そういうことの場合は、それに応じた、実際に合つた行き方で算定して行きべきものではないか、こういうように考えておるわけであります。
  77. 小林信一

    小林(信)委員 私も、時間がありませんから、浦口委員質問をされたのに関連してお聞きいたしますが、先ほど定員の問題と、それから給与の問題でいろいろご意見があつたのですが、地財委等からは、この内容からしては、相当に豊富な人員が出て来る、こういうふうな見解であるがどうかというような御質問があつたのですが、決して多くないというように文部省の方ではお答えになつております。私たちが最近地方から聞く声は、当初政府の方の考えとしては、地方財政的な見地からだつたと思うのですが、地方公務員の定員を減すというような意向が多分にあつたようです。しかし、教員に限つてはこれはしないという形に一応なつたのですが、しかし実際においては、地方は相当減員の形を今年あたりとつているように見られるのです。私の県あたりでも、大体一、二学級程度のところを單位として教員を一人ずつ減しておるのです。そうして現に教員が足りなくて、各学校の校長さんたちは教育庁にお百度を踏んで、早く教員をまわしてくれ、担任する先生が足りないのだというふうなことを言つておるのですが、こういう実情も文部省の方からお聞きしたいし、そういう中で、單に地方自治庁がどうとかいうことでなくて、この原案も、はたして地方の要望にこたえられるかどうか私は疑念を持つものでありますが、提案者でなくして、文部当局からその点をお聞きしたいのです。
  78. 内藤誉三郎

    ○内藤説明員 ただいま小林委員からの御質問でありますが、私どもも、各県とも本年度は予算の定員が減少しておるという事実は聞いておるのであります。この減少原因が二つあるのです。一つは、昭和二十六年度は生徒数が減少しましたので、その生徒数による減の分が一つある。それからいま一つ、最も大きな原因は、平衡交付金が十分でない、その結果教育費の算定も十分でない。従つて各県で県の財政事情全体から引締めて来るということが、一番大きな原因ではないかと思うのであります。そこで、こういうような法案で財政を確保しますならば、平衡交付金が横流れすることもないし、また平衡交付金の中で教育費をどう算定するかという場合に、地財委の方で頭をはねるということもなかろうと思う。ですから、まるまるこれを見ていただきますならば、これ以上の教員数の減少はなく、しかも実際学校の規模に合つた必要最小限の教員数は、必ず確保できるというふうに私どもは考えておるのであります。
  79. 小林信一

    小林(信)委員 第一番の理由の、本年度入学兒童の生徒数が減つておることは、確かに私たちも聞いております。しかしそれがすぐ一、二学級の学校を單位として一人ずつ定員を減すというふうなことは、やはりそこに原因があるのじやないかと思うのですが、これはやはり実際に立つて考えてみれば、一学級の生徒数が十人や十五人減つたからといつて、すぐ一学級減すというふうには、私はならぬと思うのです。そういう場合に、一学級の生徒数を、二学級あつたものを一学級にするとすれば、五十人ではなくして六十人、七十人を収容するというような、そういう無理をしなければならぬ形に必ずなると思うのです。入学兒童の数が多少減つたからといつて、そうすぐ一人ずつ学校の先生を減すというようなことには、私は影響ないと思うのです。やはりこれは平衡交付金という制度からの影響というものが多いと思うのですが、またそればかりではなくて、もつと、やはり教員の不足というふうな地方の実態を考えてかからなければならぬと思うのです。従つて、今課長さんの言われた、平衡交付金に支配されずに、この教育費というものが確保されれば、最小限度は確保できるというふうなお話なんですが、これも私は非常に危険だと思うのです。もつとこの内容を検討しなければならぬと思うのです。というのは、地方の要望というものは、提案者が内容としておりますものでは、非常に実際は不備なんです。事務職員だとか、あるいは養護教諭だとかいうようなものは、何学級に一人とか、あるいは生徒数何人に対して一人ずつふえて行くというように、理論的になかなか納得し得られるようにできておるのですが、地方の実態から申しますと、これでは非常に実際に沿わない。やはり事務職員なんかは各学校に一人ずつほしい、養護教諭は一人ずつほしいというのが、これが最低限度の要望だと思うのです。それから教員の問題にしましても、たといどういうふうになつておろうとも、実際私の県あたりは、先生が一人足りなくて、まだ一人の先生が二学級担当しておるような状態で、早く充足してくれ、こういう声が聞えておるのですが、これには問題があるかもしれません。そこで理論学級から割出したところの一・五、一・八というものは、私はやはり将来また十分検討してかからないと、問題を起すのじやないかと思うのです。そこで実学級数というふうなものを基礎にして教員数を考えて行くのと——それにもちろん産休の補助だとか、あるいは養護教諭、あるいは事務職員あるいは病欠、事故欠に対する補助職員というふうなものは附加して行くわけですが、そういう形と、そうしてこの理論学級から割出して来るところの一・五、一・八という数字と、いずれが欠陥が少いか。それから、もしこの際実学級を基礎にして教員数を獲得したものと、これから検討して行つた教員数とでは、たいへんに開きがあるかどうか、この二つの点をお伺いしたいと思います。
  80. 内藤誉三郎

    ○内藤説明員 この問題は、結局配分の問題に関連するわけでございまして、今の平衡交付金制度では、学校、学級、兒童という三本の單位をとつておりますので、ここに問題がありまして、こういう学校、学級、兒童という全国一律に出した單価では、今お話のように山間僻地、あるいは島嶼等の場合には非常に困りますので、この附則にあるような理論学級という構想を取入れたのであります。この理論学級よりは、実学級の方がいいではないかという御質問でありましたが、実際学級をとる場合には——この理論学級は、もちろん実際学級の組織を考慮しながら理論学級というものをきめたわけであります。そのきめ方は、できるだけ実際学級に即応するような方法できめた。実際学級そのままをとりますと、ある場合には、無理に詰め込んで六十人、七十人詰め込むところもある。そういうような弊害をできるだけ避けるように、この理論学級では最高限が五十にならないようにする、小さい学校は二十五人までは一学級一人、五十人までは二学級、八十人までは三学級、こういうふうにどんな小さな学校でも必要な教員が置けるようにする、そうして一番多くても五十以下で打切つておく。ですから、教育上にはこの方がいいというふうに、私どもは考えております。もし実際学級をとりますと、必要ないのに、たとえば東京などで六十人おるところを三十人の学級にして、どんどん実際学級をふやして来るという危険もあると思います。ですから、小さい学校では、実学級をとつた方がいいと私どもは思います。その小さい学校に合うように、理論学級をつくつたわけであります。大きい学校でも、無制限にこれを割らないようにいたしたい。実際六十人、七十人詰め込んでも、この計算で行きますと五十人以下で一人、こういうふうにしておりますから、都会地にも非常な負担がかからないし、いなかの方にも負担のかからないような算定方式を用いたのであります。それからこの総数で行きますと、実際学級の方がはるかに少いのでありまして、理論学級の方が多いのであります。ですから、今お話された点については、実際の運営についても支障がないのみならず、さらに条件がよくなる、かように考えております。
  81. 竹尾弌

    竹尾委員長 小林進君。
  82. 小林進

    小林(進)委員 一時までという時間なので、私も全部尽すわけにはいかぬのでありますが、時間の許す範囲でお聞きしたいと存じます。  その前に、委員長にお答えを願いたいと思うのは、せつかくこの前に、私どもは文部委員会を開いて、早急にこれを打上げて、何とかかつこうをつけようというさ中に、休憩のままで流会してしまつたのでありますが、その後どうも新聞紙上などで見ますと、与党の方で相当歩調が乱れて、何かこれが審議未了に終るのではないかというようなことが報道せられておる。私は用事で遅れて参りましたのですが、同僚諸君からちよつと聞いたところによりますと、地方行政委員会連合審査が行われるということであります。それは非常にけつこうだと思いますが、付か与党の空気その他を兼ね合いまして、提案者である委員長が、この法案に対していささが精神の動揺を来しておるのじやないかと思いますので、その決意のほどを私どもは承つておきたい。あくまでも今会期中に、委員長はみずからの責任において審議をして、参議院に送り込みたい、成立せしめたいという確固たる決意をお持ちになつているのかどうか。あるいは与党幹部の攻撃で、やや精神に動揺を来しておられるのかどうか。その御決意のほどを、ひとつ承つておきたいと思います。
  83. 竹尾弌

    竹尾委員長 お答え申し上げます。私の気持は、絶対に動揺しておりません。必ずこれを通すつもりで努力しております。それだけはひとつ天地神明に誓いましてお答え申し上げたいと思います。
  84. 小林進

    小林(進)委員 委員長の決意を承りまして、私どもの爾後の作戰に、非常に得るところがあつたことだけを申し添えておきたいと思います。  次に、今の理論学級、実学級の問題につきましても、文部当局説明で、まだ私は承服できません。いろいろお尋ねいたしたいのでありますが、何分時間がありませんのでこの次に譲ることにいたしまして、教職員の給与費の問題でございますが、この算定の中に、昨年から問題になつております三百七十五円というこの金額が、事実上削除せられて計算をせられているのではないか。この前の委員会でも、地財委の岡野さんがお見えになつたときに、文部当局としては、地方公務員よりながめて、この三百七十五円を加えてもなおかつバランスがとれていないのだ、教職員の万が一般地方公務員からながめれば低位にあるのだ、こういうような御説明があつた。それくらいの忠誠を持ちながら、この給与の計算をされるときに、従来の既得権を削除して計算をせられておるのは、何か従来の説明と、この計算方式に、矛盾があるのではないかと思います。この点をいま一応承つておきたいと思います。文部省からお伺いしたいと思います。
  85. 内藤誉三郎

    ○内藤説明員 先ほどお答えいたしましたのですが、これは教育公務員特例法によりまして、地方の教員の給与は、国立学校の教員の給与を基準とするというようになつておりますので、これから計算を始めますと、資格、学歴、勤続年数によつて、地方の教員を全部ならして計算した結果、一百七十五円という数字にほぼ近い数字が出たのであります。予算の編成上は、そういう單価を用いての従来の教員数の算定の仕方が、五十分の一・五、一・八、かようになつてつたのであります。今回この法案で見ますと、五十分の一・五、一・八のほかに結核の分が二・四四、さらに事務職員が加わつております。そこでこの総数と先ほど申しました教員の理論單価を乘じたものを見ますと、大体現在の地方の教員給与費をまかない得るという結論に到達しておるのであります。と申しますのは、現在地方の教員の実数は、この定員で計算しましたよりは、はるがに少いのであります。従来の算定方式の結核の一・三三だけを見込んでも、約二万人ほどの欠員があるわけであります。ですから、その二万人の欠員と三百七十五円とで、ほぼ相殺ができますので、現在の地方の給与費を割ることはない。これを引下げるというようなことは、私どもとしてはしたくないし、またすべきではないと考えておるのであります。この計算方式で参りますならば、今の教員の既得権を尊重できるという考えでございます。
  86. 小林進

    小林(進)委員 そういう予算面上において引下げないで済むというお話は、一応納得ができるのであります。できればそういう計算の資料を、私は御配付願いたい。実際において二万人も少い、それを配分すれば三百七十五円確保できるという、その資料をひとつ頂戴したい。けれども、その事実の問題とこれは異なりまして、やはりこの法文にうたわれる限りは、言葉は強いかもしれませんが、そういうやみ取引的な形は形といたしまして、やはり地方公務員並に、一般公務員とは別個に、どうしても私はこの教職員の俸給というものは理論的にも出て来るという確信があるのでありまして、この法案にそういう形をやはり文章の上で盛つてもらいたいという気持が強いのであります。この点ひとつ時間がありませんので、これは留保しておきますが、私はどうしてもこれはひとつ考えていただきたい、こう思うのであります。これはまたこの次に繰返します。  それから校舎の問題でありますが、この小学校の校舎の一・一坪という中に、屋体の問題がどれくらい織り込まれているのか、あるいは織り込まれてついないのかということを、ひとつお伺いしておきたいと思います。
  87. 若林義孝

    若林委員 これは前回にもお答えをいたしたのでありますが、〇・二だけは屋体が入つておる計算になつております。なお詳しいことは、文部省の方からお聞きを願いたい。
  88. 小林進

    小林(進)委員 一・一坪の中に〇・二坪が入つているという計算は、どうしても私どものみ込めないのであります。何か具体的な計数、お持ちではございませんか。ございましたら、ひとつ御説明願いたいと思います。
  89. 内藤誉三郎

    ○内藤説明員 いずれ資料をもつて説明申し上げますが、小学校の一・一坪の中には、〇・二坪というものが屋体なのです。ですから、一・一の計算基礎を差上げますれば、御了解いただけると思いますから、これを至急にお手元に配付いたしたいと思います。
  90. 小林進

    小林(進)委員 この内容は、また資料をいただいてから、ひとつ検討させていただくことにいたしますが、この屋体の問題について、あるいは義務教育費国庫負担法と別個になるかもしれませんが、今年度約九千万円を計上願つたが、これではとうてい及びもつきませんので、一道十七県の、特に積雪寒冷地帯の方々が、猛烈な輿論を反映しての運動を展開されて、せめて今年度の必要量の約十億円、そのうちから約一億円を引いた差額の九億円程度のものは、ぜひとも文部省から今年度の追加予算に計上してもらいたいという運動が展開されているはずであります。これに対して、文部当局は一体どんな御意向でいられるのか、お伺いいたしたいと思うのであります。
  91. 若林義孝

    若林委員 ちよつとその前に、お答えをいたしておきますが、ただいま十七県建ち上つておりますのは、六・三に関係する別個の分であります。この法案では根本的に恒久的のものを考慮いたしております。なお不備な点は文部省から説明いたさせます。
  92. 内藤誉三郎

    ○内藤説明員 ただいまの御質問ですが、これは今若林先生からお話のあつたように、義務教育の年限延長の分は、この法案とは別個なのでありまして、六・三の不足分とあわせて屋体の問題は、補正予算の機会があれば補正予算、あるいは来年度実現するように文部省努力いたしております。
  93. 小林進

    小林(進)委員 六・三制の問題とは別個に、今も言うように、屋体の問題については、何か積乘法に相準ずるような別個の單行法を設けて特別に——これは六・三制ではありません。義務教育に関する積雪寒冷地帯に対する屋内体操場については、特別に單行法を設けてもらいたいというような、熱烈な陳情もあるはずであります。こういう單行法の問題と、この義務教育国庫負担法の問題との関連を、一体どんなぐあいにお考えになつておるのか、これもひとつこの際文部当局の御意向を伺つておきたいと思います。
  94. 内藤誉三郎

    ○内藤説明員 もちろんこの法案で不備な点があれば、将来改正しなければならないと考えておりますが、ただいまのところ、單行法で屋体の問題を扱うという決定をする段階には、文部省はまだなつていないのであります。今後この法案で補い得ません点につきましては、この法案を改正する。これは單行法でするかということは、今後の研究にまちたいと思います。
  95. 小林進

    小林(進)委員 この校舎の問題でありますが「校舎の総坪数の五十分の一に相当する坪数の校舎の建設事業費に相当する額とする」というようなことで、この「五十分の一」という算定は一体どこからお出しになつたのか、提案者にひとつお伺いいたしたいと思うのであります。
  96. 若林義孝

    若林委員 木造の施設を標準といたしまして、土地、風土、気候などの影響を受けまして、二十五年、三十年のところもあると思うのであります。なお建築に用材の質その他が、よいものを使つた場合は、五十年、あるいはより以上耐えられる場合もあるわけでありますが、平均いたしまして大体四十年を標準としておるわけであります。この法案は、最初から御説明をいたしておりますように、最小限度のところをねらうという、きわめて遠慮深い行き方で立てられたものでありますので、この五十年というものをまず出して来た、こういうことになつておるのであります。
  97. 小林進

    小林(進)委員 この校舎の建築費は文部省の査定によりますれば、坪当り三万三千円。一体二万三千円の建物がどんなものができ上るかということは、もう私どもは言葉を尽す必要がないと思うのでありますが、一方に坪当りの單価を二万三千円くらいに見積つておいて、今度はその建物の生命なりあるいは維持の年限を、五十年というふうな長期に換算されるということは、大蔵省、地財委に対する委員会の腰の弱さがあるのであつて、事実に沿わざる非常に矛盾せる内容ではないかと思うのであります。これを拝見したときに、鉄筋コンクリートにしては、ちよつと期間が短か過ぎるわけであります。まさか木材の建物をもつて、五十年と見ておられるようなことはなかろうと私は思つていたのであります。おそらく終戰前の相当材料の豊富な、りつぱな大きな建物でつくつた分の既存の校舎でも、四十年を過ぎたものは、もう老朽校舎として、たいていの小学校の使用に耐えられない。九州やそつちの方面は、私は見ておりませんけれども、北陸、東北、北海道というような雪や雨の多い地方では、四十年過ぎた建物というものは、もはや危険校舎の中に含まなくちやならないような程度にまで老朽化しておるのが実情であります。まして二万三千円などという、これはバラックであります。こういうバラックの建物で、五十年の年限を見るというようなことは、私は非常に矛盾していると思います。この点、いま一度提案者の御意向を承つておきたいと思います。
  98. 若林義孝

    若林委員 これは、もう御説の通りでありまして、同感共鳴禁ぜざるものがあるのでありますが、しかし、このくらいのところの線を出しておきませんと、この起債を国家全体からながめました場合に、相当困難を生ずるのじやないかという気持から、この線を出して来たわけであります。それから、先ほど申し上げましたように、気候風土、あるいは建築当時の様相からながめまして、二十年、二十五年で老廃朽になるものもあるし、また場合によりますと、非常に用材の單価の豊富な場所などにおきましては、あるいはまたそれの修繕に極力手を加えて行くというような保存維持、運営に心をいたしますところでは、六十年相当のものもあると思いますから、一応この線を出しておりますけれども、配分の場合は、今仰せなつたようなことを十分勘案をして、この起債の配分は行われて行くというつもりであるわけであります。
  99. 小林進

    小林(進)委員 この際、これに関連して、文部省にちよつとお聞きしておきたいと思うのでありますが、この校舎の建築について、現状のままでは、なかなか小、中学校の校舎の整備も不可能のようでありますから、何か特別の公庫のようなものを設けて、各自治体が毎年一定の金額を積み立てて、そうして緩急順序に従つて、その金でもつて校舎を順次整備して行くというような法案を準備されているかのごとく承つているのであります。私個人も承つたことがございますが、その法案とこの義務教育費国庫負担法との関連について、承つておきたいと思うのであります。
  100. 田中義男

    ○田中政府委員 ただいまお話の点につきましては、文部省内の一部においても、研究はいたしておるようでございますけれども、ただいまここで特にその関連について、どうですと申し上げるほど具体化しておりませんことを、御了承いただきます。
  101. 若林義孝

    若林委員 立案者といたしまして、別に御質問はありませんけれども、この点やはり考慮の対象にはいたしたのであります。しかし、これを実施するのに、ただいま仰せになりました金庫制度の実施ということは、回収の困難あるいは、少くとも三十年、四十年を目標といたすのでありますから、巨額の金高をいたずらに寝かすということと、それから物価の変動というものを考慮の中に入れますと、現在考えております起債の制度と比べまして、こちらの方が長所を持つておるのじやないかというような気持をもつて、まずこの線を強く打出して来たわけであります。
  102. 小林進

    小林(進)委員 時間もありませんから、いま一問で終ります。私はその他各条項について、それぞれ疑問を持つておるわけでありますが、時間がありませんので、この次の機会に譲ります。今こうして提案者にいろいろ承つておりますと、話し合つておるうちに、気持の上においては何ら相反しているところはない。われわれの考えているところは、提案者も考えておられるようでありますから、この際ひとつ委員会というような正式のものじやなくて、提案者とわれわれ野党と懇談をして——またいろいろあなた方の党内の事情もありましようし、ほかの関係もありましようから、われわれの言う通りに修正することも困難と思いますけれども、お互いの話合いの上で、懇談的に、ある程度この法案を共同で修正するというお気持が一体おありかどうか。これを提案者に承つて、私はきようの質問を終りたいと思うのであります。
  103. 若林義孝

    若林委員 もう十分お気持はわかつておるのでありますが、制度の上から、提案者が修正の中に加わるということは、ちよつと困難であります。われわれといたしましては、文部委員の中で、もし修正するようなことがあれば、文部委員の中で出せるようにというわけで、提案者から一名だけ除いてあるのであります。しかし仰せのごとく、そういうお気持でございましたならば、先ほど委員長も申されたごとく、天地神明に誓つて強き決意のあるところもあります。しかしそういたしましても、相当困難性も感ずるのでありますが、与野党一致いたしまして、この委員会の御協力を得て、これを通過させたいという念願に燃えておるわけでありますから、仰せのごとき気分は多分に持つておりますことを表明いたしまして、もし話合いがつきましたならば、共同提案何ら辞するところではございませんということを表明いたしておきます。
  104. 竹尾弌

    竹尾委員長 本日はこれにて散会にいたします。     午後一時八分散会