○
釘本政府委員 第
一條の、目標として掲げました点に、具体性が欠けていはしないかという御質問でございます。なお具体的にはどういうことをやろうと考えておるかという
仕事についても御
質疑があつたかと存じます。この「
国際連合教育科学文化機関憲章の定めるところに従い」と、こう簡單にそこを
表現しましたので、そういう印象をお持ちかと存じますが、この
ユネスコ憲章そのものの中には、かなり具体的なことがるる書いてありますので、そこに譲つたわけでございます。
なお、
仕事としてどういうことを考えておるかと申しますと少し長くなりまして恐縮でありますが、たとえば、
教育につきましては、
各国の個性的な
教育のあり方というものを、お互いに十分に情報を交換し合うとか、どの
国民も、みな自主的なりつぱな価値を持つた
国民であるということ、つまり国際理解の
教育と申しておりますが、そういう
教育の仕方をお互いに
協力し合
つて行く。また自然
科学の
分野につきましては、
科学の応用面におきまして、人類の生活の改善向上に役立つような学問の方に
ユネスコが刺激し合うというようなこと、
科学の民衆化、啓蒙というような点、また社会
科学の面では、
戦争の原因となりそうな社会的ないろいろな緊張を突き詰めまして、その緊張をほどいて行くための調査研究を
各国協力してやる。特にその点などにおきましては、
日本の
ユネスコ活動に期待するところが、本部も非常に多いのでありまして、ボルドー大学の教授であるとか、またレイデン大学の若き学徒であるとかいう
方々が、
ユネスコ本部から特に
日本に参りまして、
日本の学者に
協力して、
日本の社会状態の調査研究とか、
日本における
活動の状態を調査して、
各国の参考に資しようというような
活動をや
つております。その他、
文化活動につきましては、すでに
若林委員などは
ユネスコ運動に非常に御熱心で、十分御
承知と思いますが、第一流の
文化人、その他第一流の人物の交換とか、あるいは新聞ラジオ等を通じて国際理解の
教育を普及啓蒙するというようなこと。なおつけ加えて申し上げることを許されますならば、
ユネスコ活動は、当然に自主的でなければならないのでありまして、一色の
文化活動で塗りつぶして行くというようなことは、間違いであるかと愚考いたします。
ユネスコ憲章の中にも、
各国の個性的な自主的な
文化活動を高く評価して、そうなければならぬ、それが
世界を幸福にするのだというふうな
意味の
言葉もございます。
なおあわせてつけ加えますと、歴史的には、東洋
文化を摂取し具現いたしました
日本、地理的には、
ユネスコが最もカを入れております東洋の未開発地域に対する技術援助という面で、きわめて地理的にも近い
関係にあります
日本に対して、
日本の自主的な精力的な
ユネスコ活動を期待する点が、非常に多いのでございます。まだ独立しておりませんうちに、すでに
加盟になりまして、
日本の青少年
活動に対しては、
ユネスコ本部から相当の
予算的な補助もしてくれて、
日本人に対する期待を具体的に現わしている点な
ども、その一例でございます。