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野田参考人 まず最初に、この
私学振興会法案を
国会において慎重
審議されますことに対して、私
ども厚くお礼を申し上げます。同時に、この
法案がここまで参りますについての
文部当局の非常な御努力と、また大蔵省の非常な御
理解に対して、あわせて感謝いたしたいと思います。この
法案ができます当時におきましては、数回にわたりまして
文部省の前
管理局長、現在の
近藤局長並びに福田課長と、しばしば折衝をいたしたのでございます。いろいろ問題がございましたが、当局におかれましても、われわれの
希望をいれて、相当修正をしていただきました。しかし、それにもかかわらず、なおまだ十分でない点がございますので、これは将来の問題として、ぜひともかようにありたいというので、先ほど来
参考人からの御
意見があつたわけでございます。
ただいま二、三の点について問題になりました点を申し上げますと、
資本金の問題でございます。中にも
戦災復興貸付金、これを
私学振興会の方に譲渡すべきか、それとも現在のままにしておいて、それから取立てた金を
私学振興会に繰入れるべきかというような点について、数回にわた
つて折衝をいたしたのであります。それから現在の三億九千万円では、先ほど
参考人が申しましたように、少額で運営上ほとんど実績をあげ得ないのではないかというので、何とかこの増額ができないだろうかということも、数回にわた
つて折衝いたしたのでございます。
次に役員の問題、評議員の問題についても、数回にわた
つて折衝をいたしました。役員の問題といたしましては、まず数の問題、これは
私学側としては、なるべくよけい出していただきたいという
要望が強か
つたのでございます。しかし
予算面から見まして、あまり多いと経費倒れになるからというので、この
程度ということで一応は納得いたしましたが、ただ、
私学関係者が、はたしてその中に加えていただけるかどうかというこ
とついて、最後までこれが折衝を続けられましたが、明確な点にまで到達いたしておりません。
考え方によりましては、利益代表者は入れるべからずというような
考えも起るのでありますしようが、
貸付の場合についての利益側は法人でありまして、
私学関係の個人としてはそういう代表
関係はございません。かりに、会長に選ばれた人が
大学の総長であるといたしますれば、
法案の十四条にもありまするように、その範囲においては代表権がないというようなふうになりまするので、一向さしつかえないと思うのであります。要は
大学から
幼稚園と申しまするが、それぞれ非常な複雑な機構を持
つておりますので、これを十分に
理解する者でなければこの運営はや
つて行けないのではないか、こういうふうに私
どもは
考えるのであります。のみならず、私
ども大学関係者といたしまして、短大あるいは高等、
中等学校の問題になりますると、いかに自分が認識不足であるかを、つくづく
考えさせられるのであります。こういうような状態を
考えてみますると、相当数数の
私学関係者の役員が加わ
つていませんと、実態に即した運営ができないのではないか、こういうことを痛切に感ずるのであります。また評議員についても、同様のことが言われるわけでございまして、この点についても、私
ども、もし役員の方で
私学関係者をあまりお入れにならぬというような御構想であるならば、評議員会というのは議決機関にしていただきたい。しかもその評議員の多数は、
私学関係者から出していただきたいということまで
要望いたしたのであります。しかしながら、これは
法案を提案される際に、評議員の方には多数
私学関係者を出すというような御意向であ
つたのであります。しかしながら、何名出すかというようなことは、条文に表わせないから、これはひ
とつ話合いできめようじやないかというような、ぎりぎりのところまで参
つたのであります。こういうようなわけで、かなり私
ども文部当局と胸襟を開いてとことんまでやり合
つて、ここまで参つたような次第であります。
なお、問題になりまするのは、設立
委員を多数やはり
私学関係者から出していただかぬと、定款の作成等においても、非常に不満足なものができる、ぜひともこれは実現するようにしていただきたいということを
要望してあるような次第でございます。
これを要約いたしますると、二点に帰着いたしまして、
一つは先ほど来から
参考人がいろいろと御説明を申し上げました
資本金を毎年増額するようにしていただきたい。
ちようど育英会と同じような
方法でや
つていただくならば非常によくはないか。いな、さらに一歩を進めますると、
教育の国家的性格という面から見ますれば、これは当然に
助成さるべきでなければならぬと思う。かような、
出資して、それを
私学の方に貸し付けて云々というのでなくして、当然
助成さるべきものではないか、育英会と同じような性格を持たなければならぬのではないかとさえ
考えるのであります。しかしこれは、今日は議論でありまして、実際面といたしましては、ぜひとも年々この
資本金を増額するようにひ
とつ御配慮を願いたいということでございます。
次に第二点といたしましては、役員、評議員並びに設立
委員については、少くとも
私学関係者は半数以上出すように御配慮を願いたいということでございます。これをその条文に表わすことの当否は、技術問題でありまして、相当問題になると思いまするが、もし
法案に表わすことができないとするならば、
国会におきまして、
委員の皆様方の特別な御配慮によ
つて、ぜひ
私学関係者が半数以上入れるように、ひ
とつ御配慮をお願いいたしたいのであります。
以上、私は二点について申しましたが、それ以外は全部満足しておるかというと、決して満足しておるのではございません。この
法案全体を見ますると、非常に官制的な性格が強いということでございます。事々に文部大臣が認可、許可あるいは承認ということにな
つておる。これだけおやりにな
つていても、文部大臣は相当な激務だろうと思います。そういうようなことが
法案に出ておる。また法人自体の性格から言いますると、
貸付あるいは
助成をやるだけですから、公益法人かつ私法人――公法人でありませんで私法人であ
つて、公益法人の性格が非常に強いのであります。こういう面から見ましても、役員の構成等は、よほど今申し上げましたように御配慮を願うことが適当ではないか、かように
考えるのであります。
以上、私の陳述を終ります。