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1952-06-16 第13回国会 衆議院 農林委員会 第46号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年六月十六日(月曜日)     午後二時二十二分開議  出席委員    委員長代理理事 平野 三郎君    理事 遠藤 三郎君 理事 河野 謙三君    理事 小林 運美君 理事 井上 良二君       宇野秀次郎君   小笠原八十美君       越智  茂君    小淵 光平君       川西  清君    坂本  實君       中馬 辰猪君    原田 雪松君       高倉 定助君    竹村奈良一君       足鹿  覺君  出席政府委員         林野庁長官   横川 信夫君  委員外出席者         專  門  員 難波 理平君         專  門  員 岩隈  博君         專  門  員 藤井  信君 六月十六日  委員原田雪松君及び上林與市郎君辞任につき、  その補欠として小西英雄君及び足鹿覺君が議長  の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 六月十四日  農作物の凍霜害対策確立に関する請願關内正  一君外三名紹介)(第三六六二号)  山形県下の土地改良事業費国庫補助増額等に関  する請願志田義信紹介)(第三六六三号)  桑園凍霜害対策確立に関する請願關内正一君  外三君紹介)(第三七四八号)  農業倉庫建設資金融通に関する請願松本善壽  君紹介)(第三七七一号) の審査を本委員会に付託された。 六月十日  治山事業関係災害応急復旧事業費国庫補助の特  例設定に関する陳情書  (第二三四一号) 同月十四日  農業団体編成問題等に関する陳情書  (第二四  〇九号)  農業委員会法改正等に関する陳情書  (第二四一〇号)  台風災害地帶農林水産業振興法制定に関する陳  情書(第二四一  一号)  東北開拓振興に関する陳情書  (第二四一二号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  森林虫害防除に関する件     ―――――――――――――
  2. 平野三郎

    平野委員長代理 これより農林委員会を開会いたします。  この際井上良二君より森林虫害の問題について質疑をいたしたいとの申出があります。これを許します。井上良二君。
  3. 井上良二

    井上(良)委員 森林虫害防除法が施行されまして、さしあたりこの政令松食虫に対するいろいろの予防対策が講ぜられておりますが、最近本州の中央以西の各府県にわたりまして、くりたまばちと称する虫害発生をいたしまして、非常な問題になつておるのであります。くりたまばちはたしか昭和二十年ごろから発生をしたのではないかと言われておりますが、爾来これが主として山口、広島、鳥取、島根、兵庫、大阪、京都、滋賀、奈良、岐阜、三重、和歌山、さらに最近では静岡から山梨、関東の地帯まで広がりまして、その被害面積は十数万町歩に及んでおり、被害本数は少くとも一億に上りはせぬかという状態になつておる。これが急激に蔓延を始めまして、しかも最近はまた非常に繁殖が旺盛で、せつかく利用樹に達しましたくりの木が、あるものは枯死し、またあるものはその病害のためにまつたくその成育を阻害され、くり樹の栽培によります山村民の収入の重要部分が、このために非常な損害を受けております。また山村民は御存じの通りくりの実をとりまして、さらに鉄道まくら木用材としてくりを使用されております関係もあり、さらにまた建築用材、あるいはまた他のいろいろの重要な用途に使われておりまする関係もあつて、これが山村経済に及ぼす影響がきわめて重大でありまするが、何分にも交通不便な所であり、かつまた非常に民家が散在しております関係で、これら深刻な影響中央の政治に反映する機会が少かつた関係で、今日までこれが放任されておりました。ただ部分的には、各県とも地元のこれら被害地帶農村民を救済する立場から、また重要な木材資源を確保するという見地から、県の補助指導によりまして、さしあたり被害を受けておりますくりの木の枝や葉を切つてしまう、あるいは被害が非常に深刻な樹木は切り倒してしまう、あるいは害虫を芟除する。そういう姑息的、部分的な対策しかできておりませんために、逆に被害がどんどん拡大をしておる、こういうことであります。  そこで政府の方においても、これらの害虫被害に対していろいろ調査研究を遂げているらしいのですけれども何分にも的確なる防除対策がまだ十分確立していないようにも承つております。しかしこれをこのまま防除せずに放任しておくということは非常な大問題を生んで参りますので、この際政府経済的に非常に惠まれない山村農民経済的打撃を、できるだけ救済すると言いますか、さらにまたくりの実をとり、かつ鉄道まくら木とし、建築用材とし、その他の重要ないろいろな用途に使われますくりの木を確保する見地から、このくりたまちの防除に対して、せつかくできております森林病虫害防除法の適用のうちに、このくりたまばちを取上げるというように、政令をこの際改正しまして、ただちに被害防除対策に関して必要な処置とつてもらいたいと考えます。先般来被害地の各県の代表者が、それぞれ政府の方にもいろいろ陳情をされておるというお話も承つておりますので、この際政府はこのくりたまちの防除対策について、いかなる処置をおとりになろうとするか。また具体的にどういう対策を進められておりますか、この際承つておきたいと思います。
  4. 横川信夫

    横川政府委員 このくりたまちの被害は、第二の松食虫被害というように言われておりまして、ただいまお話の御趣旨にもございましたように、南は大分、福岡、九州地区から、現在では東京、神奈川まで蔓延をして参つているのであります。被害材石にいたしまして一千万石を越えるような実情でございまして、今後このまま放置をいたしておきますれば、漸次その範囲を広め、かつ被害程度もひどくなつて参るのではないかと、私どもは苦慮をいたしているのであります。昨年の予算編成にあたりましても、この被害防除財政投資ということにつきまして、大蔵省とも数次にわたつて折衝を重ねたのでありますが、松食虫駆除方法と同じように、この駆除方法がきわめて原始的にならざるを得ない。お話もございましたように、山地にきわめて点々と生立いたしておりますくりの木でありますので、それに対して一々薬をかけて歩くというようなこともきわめて困難な実情であるのでございます。この被害昭和二十年ごろから少しく猖獗をきわめかかつて参つたのでありますが、明治三十八年ごろにもこの被害兵庫県地方に発生をいたしたことがあるのであります。当時土地の方々は勝ちぐりと称して、むしろ戰勝のお祝にこういうものが出たとさえ申して喜んでいたというような話もあるくらいであります。爾来そう山には発生を見なかつたのでありますが、最近に至りまして先ほど申し上げましたように猖獗をきわめて参つているのであります。このくりたまちの成虫は二ミリ半くらいのきわめて小さなはち類でありまして、その飛びます区域もそう広くはない。大体風に乗りますと一キロくらい移動できるのではないかというふうに推測されているのでありますが、そう広くない区域にだんだん蔓延して参つたわけなのであります。薬をかけますと駆除ができるのでありますが、先ほど来の説明で御了解願つたのでありますが、なかなかそれも困難であります。やはり虫瘤のつきました枝を切りまして、それを焼き捨てるという方法よりほかに、的確な、かつ実質的な駆除方法がないのであります。現在でも府県によりましては県單独補助金を出しまして虫瘤を集めた者に支払うというような措置を講じているのであります。私どもといたしましては、できるだけ近い機会にこれを予算化いたしまして、国庫補助の裏づけをいたして参りたいと考えているのであります。また駆除をいたしますと同時に、幸いにこの虫に強い品種がございます。たとえばぎんよせというような品種がございますが、このぎんよせというような品種をこの虫のついた木を切つてそこに継ぎ木をするというようなこともあわせて行つて参りたいと考えているのであります。もちろん補助金を出します際には、当然政令を改正いたしまして支出をするようにいたして参りたいと考えております。
  5. 井上良二

    井上(良)委員 いろいろ詳しい御答弁をいただいたのですが、たとえば具体的に予算化をいたします場合に、大体どのくらいの予算を必要とする見込みでありますか。たとえばそういう被害木を切り捨てるといいますか、あるいはまた虫瘤にかかつております枝葉を取除くといいますか、そういうことの処置をいたしますための予算化の具体的な方法、それから政府で考えております予算の額はおよそどのくらいを見積つておりますか。それからその予算化されますのは、次期の国会に補正予算として出す予定でございますか。それらの点をひとつ承つておきたいと思います。ごらんの通り單に野生で森林内部にありますくりの木の場合には、さほど農民も真劍には考えませんが、実はくりの実を採取することを目的としたり、あるいはまたまくら木等にとりますためにいろいろ利用しております地帯にとりましては、この虫害のために農家が非常な大きな経済的打撃をこうむつておりますから、そういうくりの木を培栽をしまして、くりの実をとつて、農家経済をそれによつて相当補つておる地帶に対しましては、特に集中的に対策を講じていただくようにしていただきませんと、せつかく政府の政策が効果が薄くなるようになりますから、そういう点についても十分御考慮を願いたいと思いますので、今申した点について御説明をいただきたいと思います。
  6. 横川信夫

    横川政府委員 一応各府県から出て参りました資料を集計いたしますと、現在被害を受けております材石が一千五十八万二千石となつております。もつとも先ほど来申し上げましたように、そのうちの山奧に転々としてありますもので駆除のでき得ないものもあるかと考えますので、その七割を駆除するという見通しを立てております。七百四十万七千石、大体その程度駆除する考えでおるのであります。單価といたしまして国費は一石当り四十円という見込みであります。それに大体防除事務費を加えまして、三億一千百万円程度国庫補助を必要とするのではないかというふうに考えております。先ほど申し上げましたように、この予算的措置はできるだけ早い機会に考えております。補正予算機会がありますれば、ぜひその際に支出ができ得ますように、大蔵省とただいま折衝を続けておるところであります。
  7. 井上良二

    井上(良)委員 もう一点伺います。ただいま非常に詳しく予算化の点についての御説明をいただきましたが、この駆除松食虫と一緒で、相当根強く年次計画を立てまして、防除対策をいたしませんと、ほんとうに絶滅をすることがむずかしいのじやないかと思います。大体来年からそういうぐあいで予算が認められまして、政府指導のもとに積極的にこれが実施に当るにつきまして、少くとも継続的に実行して行かなければならぬのではないかと考えますから、それらの点についても、十分対策を立てていただくように希望しておきたいと思います。なおこれらのことについて、実際各県とも地帶地帶であるだけに、また非常に山間部であるということから見まして、実際の調査指導というものが非常に不活発になる危険がございますから、それらの点についても十分ひとつ考慮を願いまして、せつかく政府が力を入れてやるのですから、実効が上るようにお願いをいたしておきたいと思います。
  8. 横川信夫

    横川政府委員 ただいまのお話のように、この害虫駆除いたしまするのには、一年や二年ではとうてい完全には参らぬと考えておるのでありまして、お話のように継続的に絶滅ができ得まするまで、続けて参りたいと考えております。なお先ほどの御質問のうちにございました、栽培しておるものを優先的に取上げて早く駆除しろというお話がございましたが、私どももさようなつもりで取扱うつもりでございます。
  9. 小笠原八十美

    小笠原委員 こんなりつぱな本を出されるというのには、相当な時間がかかつたと思います。こんなけしからぬ虫は一体いつ生れて、いつ発見したのですか。
  10. 横川信夫

    横川政府委員 昭和二十年ごろに兵庫県に出たのでありますが、その後蔓延いたして参つておるのであります。古くは明治三十八年にも発生いたしたことがあるのでありますが、これはまもなく終熄をいたしたという記録がございます。これもできるだけ早く終熄をさせたいと努力いたしておるところでございます。
  11. 小笠原八十美

    小笠原委員 これくらい恐しいものであつたならば、これに対する予算なんか前に大蔵省折衝があつたのじやないですか。あつたとしても、大蔵省がらちが明かぬで今までひつぱつて来たというのですか、その内容はどんなものですか。
  12. 横川信夫

    横川政府委員 昨年も折衝を重ねたのでありますが、松食虫駆除と同じように、なかなか適当なきめ手がないのであります。やはりきわめて原始的な虫瘤とつて焼き捨てるような方法であります。もう少し科学的な駆除方法がないかと思つて検討いたしております間に、かような事態になつてしまつたのでございまして、できるだけ早く駆除を完成いたしたいと考えております。
  13. 小笠原八十美

    小笠原委員 ちよつと焼き捨てるということの駆除方法ですが、木のまま焼き捨てるのですか。木のまま焼いてしまうというと、枕木なども一つもできなくなつてしまう。こういうものは枝葉を部分的に焼き捨てるということはできないものでしようか。
  14. 横川信夫

    横川政府委員 この虫は、枝についております次の年の葉の芽で、腋芽といいますが、これにつくのでありまして、木を切るのではないので、虫のついている枝だけ切るのであります。
  15. 平野三郎

    平野委員長代理 他に御発言はございませんか——別段御発言もないようでありますから、暫時休憩いたします。     午後二時四十五分休憩      ————◇—————     〔休憩後は開会に至らなかつた〕