○
横川政府委員 この
くりたまば
ちの被害は、第二の
松食虫の
被害というように言われておりまして、ただいま
お話の御趣旨にもございましたように、南は大分、福岡、
九州地区から、現在では東京、神奈川まで
蔓延をして参つているのであります。
被害の
材石にいたしまして一千万石を越えるような
実情でございまして、今後このまま放置をいたしておきますれば、漸次その範囲を広め、かつ
被害の
程度もひどく
なつて参るのではないかと、私
どもは苦慮をいたしているのであります。昨年の
予算編成にあたりましても、この
被害防除の
財政投資ということにつきまして、
大蔵省とも数次にわたつて
折衝を重ねたのでありますが、
松食虫の
駆除方法と同じように、この
駆除の
方法がきわめて原始的にならざるを得ない。
お話もございましたように、山地にきわめて点々と生立いたしております
くりの木でありますので、それに対して一々薬をかけて歩くというようなこともきわめて困難な
実情であるのでございます。この
被害は
昭和二十年ごろから少しく
猖獗をきわめかか
つて参つたのでありますが、
明治三十八年ごろにもこの
被害が
兵庫県地方に
発生をいたしたことがあるのであります。当時
土地の方々は勝ちぐりと称して、むしろ戰勝のお祝にこういうものが出たとさえ申して喜んでいたというような話もあるくらいであります。爾来そう山には
発生を見なかつたのでありますが、最近に至りまして先ほど申し上げましたように
猖獗をきわめて参つているのであります。この
くりたまば
ちの成虫は二ミリ半くらいのきわめて小さなはち類でありまして、その飛びます
区域もそう広くはない。大体風に乗りますと一キロくらい移動できるのではないかというふうに推測されているのでありますが、そう広くない
区域にだんだん
蔓延して参つたわけなのであります。薬をかけますと
駆除ができるのでありますが、先ほど来の
説明で御
了解願つたのでありますが、なかなかそれも困難であります。やはり
虫瘤のつきました枝を切りまして、それを焼き捨てるという
方法よりほかに、的確な、かつ実質的な
駆除方法がないのであります。現在でも
府県によりましては
県單独で
補助金を出しまして
虫瘤を集めた者に支払うというような
措置を講じているのであります。私
どもといたしましては、できるだけ近い
機会にこれを
予算化いたしまして、
国庫の
補助の裏づけをいたして参りたいと考えているのであります。また
駆除をいたしますと同時に、幸いにこの虫に強い
品種がございます。たとえば
ぎんよせというような
品種がございますが、この
ぎんよせというような
品種をこの虫のついた木を切つてそこに継ぎ木をするというようなこともあわせて行つて参りたいと考えているのであります。もちろん
補助金を出します際には、当然
政令を改正いたしまして
支出をするようにいたして参りたいと考えております。