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石井委員 われわれとして、また
裁判所ももちろんであろうと思いますが、
農民が
土地をなくすということは非常に困ることでありまして、現在の農耕地の実情からしまして、一反歩といえども耕地を減らしていいというような耕作
面積の広い農家はほとんどない。二町も持
つておれば大農家のうちに入るというような実情なんです。そういうふうな
土地で転落農家も多い。こういうときにおきまして、借金のかたで
土地を
競売等によ
つてなくすというふうなことは、農村としましてはなはだゆゆしい問題でございます。そこで今度の
農地法におきましても、はなはだ条文があいまいで、読んだだけでは見当がつかないわけでありますが、その第十六条におきまして、
政府としましては、
農地を抵当に入れたり、あるいはまた借金のかたで
競売されるというようなことはなるべくなくしたい。できるならば第十六条の
規定に基いて、農家がなかなか低金利の金融の道が得られない場合には、
政府が一反歩八千円なり一万円で、大体八億ばかりの金を貸して、売渡し担保の形において一応
土地を預か
つてお
つて、それを逐次返済して、またもどす、こういうふうにはかられたいというわけで、第十六条の
規定が設けられて来ておるわけであります。実際問題として農村としましては、今後
農民が
高金利等による
抵当権執行によ
つて、あるいは
競売によ
つて土地がなくなるということははなはだ好ましからざる傾向でありますので、
裁判所としましても、これは積極的にどうこうということは
裁判所の
立場上困難であろうかと思いますが、第十六条の
規定によりまして、
農地を
競売するというような目に
農民があわないで、国家の金を低金利で借りて、非常に困つた場合はこれによ
つて処置をする、こういうふうな
法律ができているわけでありますから、
農地が
競売になり、そして
農民が
土地をなくすということは、今後の社会不安を醸成する非常に大きな原因にもなろうかと思われますので、こういう
法律のできている点を十分ごしんしやく、御研究くださいまして、
競売や何かによ
つて、
土地のブローカーあるいはまたいろいろな形によ
つて力のある者が
土地を兼併収奪するようなことのないように、大所高所より御
対策をお願いしておきたいと思うわけであります。これは
調停の方面の主任とし、民事の第一課長でありますから、局長あるいは
最高裁判所の各位と御協議の上、十分に
対策を御研究願いたいということを最後にお願いして、質問を終りたいと思います。