運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1952-06-06 第13回国会 衆議院 農林委員会 第41号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年六月六日(金曜日)     午後一時五十九分開議  出席委員    委員長代理理事 平野 三郎君    理事 遠藤 三郎君 理事 河野 謙三君    理事 小林 運美君 理事 井上 良二君       宇野秀次郎君   小笠原八十美君       小淵 光平君    川西  清君       坂本  實君    千賀 康治君       幡谷仙次郎君    原田 雪松君       大森 玉木君    吉川 久衛君       高倉 定助君    石井 繁丸君       足鹿  覺君  出席政府委員         農林政務次官  野原 正勝君         農林事務官         (農地局長)  平川  守君  委員外出席者         事 務 総 長 大池  眞君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  農地法案内閣提出第八四号)  農地法施行法案内閣提出第八五号品開拓者資  金融通法の一部を改正する法律案内閣提出第  二二五号)     ―――――――――――――
  2. 平野三郎

    平野委員長代理 これより農林委員会を開会いたします。  昨日小笠原委員よりの御発言もありましたので、この際一言申し上げます。さきに本委員会を通過いたしました畜犬競技法案が、相当長期間にわたつて会議上程せられず、在荷今日まで日を送つておりますることはいかにも奇異でありまして、この点につきまして御発言があつたわけでありまするが、昨日議院運営委員会に連絡いたしましたるところ、明日本会議上程をすることに相なつておる由でありますることを御報告申し上げます。なおこの際御発言があればこれを許します。
  3. 小林運美

    小林(運)委員 ただいま委員長よりお話がありました、本委員会におきまして先月の十五日通過いたしました畜犬競技法案取扱いに関しまして、委員長からもお話がありましたが、私は議院運営委員会の方にも昨日出て、運営委員会の模様も知つておりますけれども、私は農林委員会としまして、この際委員長並びに事務総長に、この間の事情をもつと明らかにしていただきたいと思うのであります。それはすでに約三週間を過ぎておりますのに、この法案をどういう理由で本会議上程されなかつたか。きのうの運営委員会の話では、農林委員長がこの農林委員会委員長報告を、議長のところに行つて、もう一ぺん読み直したいからという理由によつて、これを持ち帰りたというようなお話でありました。ところが、この持ち帰るということは、委員長はどういう権限を持つてつたか。その委員長のやつた行為が、どういう経過をもつてそういうことをやられたのか、これを委員長からまずお答えを願いたい。本日は松浦委員長はおられませんが、委員長代理である以上は、書房いろいろの問題について責任を持つておると私は考えますので、この問題は委員長からまず第一にお伺いしたい。それからその他の問題について、一体われわれのこの常任委員会におきまして通過したものを、三週間もほうつておくというその手続は、どういうわけでそういうことをやつたか、この間の事情を詳しく承りまして、そのお答えによつては、さらに御質問いたしたい、これが第一点であります。  それから先ほど理事会におきまして、本日の議事運営についてお話がありましたが、われわれは現在農林委員に出ておりますいろいろの法案を、なるべく早く慎重に審議したいということを常々考えておりますが、せつかくわれわれは審議しても、かように常任委員会上つた法案が、どういう理由か知らぬけれども、本会議上程されないようなことであれば、いくらここでまじめに審議しても何にもたらないというような理由から、現在出ております農地法関係法案、あるいは本日審議予定になつております開拓者資金融通法の改正の問題とか、あるいはこの前から提案になつておりました議員提出飼料需給調整法案についても、われわれいろいろ考えさせられるところがある、特にこの飼料需給調整法案については、われわれ議員の間において、與党、野党というようなことは別問題として、みんなが話合いで、お互いに小委員会までつくつて、小委員会の案ができておる。これを何らの理由なしに審議に移らないというようなことで、どうもわれわれは、委員会権威の上から言つても、非常に不可解な点がたくさんあるので、この件もあわせて、委員長からどういう理由で、この飼料需給調整法案委員会審議にかけないのか、どういう予定でおるかということを、はつきりひとつ承りたい。以上二点をまずお伺いしたいと思います。
  4. 平野三郎

    平野委員長代理 ただいま小林君の委員長に対する御質疑に対してお答身を申し上げます。  まず第一点は、畜犬競技法案が何ゆえ会議上程せられないかということでありますが、これは本委員会といたしましては、すでにこれを議長手元に送付しておるわけでありまして、本委員会としての問題ではございません。なお松浦委員長が御承知通り本日も病気で休んでおりますので、的確なことは、いずれ本委員会に参りまして、あらためて御答弁を願うつもりでありますが、私といたしましては、本委員会決議通り、しばしば議院運営委員会に対しましても、これの上程労を督促をいたし、本委員会としての手続は遺憾がなくやつておるわけでありまして、これが本会議上程云々は、本委員会関係のないことで、議院運営委員会の問題でありまするので、御了承を願いたいと思います。  なお飼料需給調整法案につきましては、これもできるだけすみやかに審議を開始いたしたいと考えておるわけでありますが、なお先議を要すべき他の諸法案もありますので、これらと並行いたしまして、すみやかに審議を開始いたしたいと考えておるわけで、これは理事会におきまして御相談をいたしたい、かように考えておるわけでありますので、御了承を願います。
  5. 大池眞

    大池事務総長 小林委員に対して私から――議長並びに副議長はただいま外出中でございますので、議長または副議長の御出席はできませんのですが、私の存じておる範囲のことだけを御答弁申し上げます。  当委員会で審査終了いたしました例の犬の競技法案は、委員長報告をすでに受けておりまするので、これは本会議になるべく早く上程をすべきものであることは間違いないのであります。議事日程は、御承知のように、規則によりまして議長作成権を持つておられるのでありますから、議長といたしましては、でき上つた法案は近い本会議になるべく早い機会上程のできるような処置をして、議事日程作成をいたしておるわけであります。従いまして畜犬競技法案につきましても、当然に事務的には私どもの方に報告を受けておりますので、これを議事日程に上すように準備をいたしたのでありますが、これにつきましては自由党国会対策委員長として倉石さん、議院運営委員長として石田さんの方から、党の方で総務会その他でまだ態度が十分に決定いたしておらないから、一時議事日程に上げることを見合せてもらいたいということのお申出議長まであつたのであります。従いましてその旨を議長に申し上げましたところ、党内でまだ正式の機関で全部の意向がまとまらないものを、議事日程へ載つけましても、それは当然に議事延期というような手続をせざるを得ないのであるから、申出通り「時それを見合せるということで見合せておつたのであります。ところがこれにつきましては、さつそくその後の議院運営委員会におきまして、改進党の椎熊さんから、すでに上つておる畜犬競技法案について、議長としては何ゆえ議事日程に載つけて正式の手続をとらぬかというお話があつたのであります。そのときに議院運営委員会におきましては、ただいま申し上げましたような事情を申し上げて、それならば自由党としては至急日程に上げるべく党議その他について正式の手続を早くとるように願いたいということで、当時自由党といたしましては、御希望に沿うべく至急にこれを決定をしたいということであつたのであります。その後数回そういう状態で上らないのでございまするので、再々これに対する申出があつたのであります。最後に昨日に至りまして、もうすでに会期はなるほど延長される情勢にはあるけれども最終日前日になつてこれを上げないのは何ゆえかというお話がありまして、議院運営委員会では、かりに幾ら党の方で問題があつたといたしましても、上げないわけには行かないのであるから、当然明日は議事日程に上るんだということで、議院運営委員会も各委員の御了承を得た次第であります。今日までの経過はただいま申し上げた通りでございます。
  6. 小林運美

    小林(運)委員 最初委員長にもう一言御質問したいのです。松浦委員長きようは欠席でありますので、さらにこの問題について、委員長が出て来た際に、委員長からそのとつた態度について本人から言つた方がいい――それはわかります。しかしわれわれはそういうことがわからないままでは、この審議を進められない。ということは、先ほども私が申し上げたように、ほかの審議を進めても、そういつたことを再び行われるなら意味がないので、私はその点を明らかにしたいと思う。あなたは委員長として、この問題の取扱い議運の問題だからとおつしやいますけれども、その委員長がその間において委員長報告議長のところに行つて、もう一ぺん読みたいからというようなことで持つて来たということが行われるなら、これはあなたがここでほかの法案委員長代理として上げられた場合に、そういうことをまたやられるかもしれない。そういう場合におけるあなたの委員長としての態度はどうするか。それをまずはつきりしたいと思います。  それから今事務総長からはその間の事情を承りましたけれども、これはどこまでも事情であつて、この問題は決して解決していないと私は考える。そこでこれは事務総長言つてもしかたがないので、議長が見えましたならば、この問題をはつきり出してみたいと思うのであります。ただ私が事務総長の御説明から受ける感じは、自由尚の党内事情がこうだからといつて、三週間も延びたのだという感じが非常に強いのです。これが小さい党であつたら、いや、そんなことは何ともないですといつてどんどん進める。しかしこういうことがこの国会で行われるということは、私は非常に問題だと思う。これは私の受けた感じでありまして、事務総長を別にどうこうというのではないけれども、そういうことがあつてはならぬと私は思う。しかも先ほどのお話にありましたように、すでに会期は本日までなんです。それが昨日の運営委員会で問題になる。こういうことは、その裏には相当いろいろなことがあると私は考える。その裏の事情問題外としましても、こういうようなことが常任委員会あるいは本国会の中で行われるということは、われわれの審議権というものは重大な問題をここに包蔵するということを考えますと、ただにこの畜犬法案という一つ法律ではなくて、全般の問題としてもう少し究明したいと思う。もしこれに関して事務総長から御見解があれば承りたい。  それから委員長にもう一つ伺いたいことは、先ほど申しました飼料需給調整法案の問題は、先ほどの理事会では自由党態度がきまるまでもう一日待つてくれという話でありましたが、もし明日自由党態度がきまらなかつ場合どうするか。先ほど理事会お話のように、もし自由党が、飼料需給調整法案に対して反対だ、あの共同してつくつた案反対だというような場合にはどうするか。先ほどの理事会では、もし自由党態度がきまらぬ場合には、賛成の政党、賛成議員だけでこれの審議に移るというお話がありましたが、それはその通り確実にやるかどうか。その点もはつきりしていただきたい。
  7. 平野三郎

    平野委員長代理 お答えを申し上げます。まず飼料需給調整法案取扱い方を申し上げますが、お説の通り、これは自由党の方針がきまるとか、きまらないとかいうことに関係して、これを延ばすというものでありませんから、自由党の方の態度いかんにかかわらず、すみやかに明後日から審議に入るようにいたしたいと思います。  さらに第一点の御質問は、委員会を通過した法案の本会議への上程を必要以上に長引かせるということは、今後の本委員会の他の法案審議にも影響があるのではないかというお尋ねであつたかと思いますが、その点はまことに同感で熱ります。本委員会としては、すべて遺憾なく手続も進行しており、あるいは松浦委員長の職権をもつて委員長報告を読み直すというようなことがあつたかもしれませんが、それも単なる時間上の問題であつて、それがために非常に長期にわたつて遅れるというようなことのあるべき筋合いではないのでありまして、今後そういうことのないようにして進みたいと考えます、
  8. 井上良二

    井上(良)委員 事務総長が来ておりますから、この点特に確かめておきたいのですが、御存じの通り前の国会では、法案は本会議に一応上程されましてから、委員付託になつておりましたが、新しい国会になりましてから、重要法案でない限り、法案はそれぞれの各専門委員会に付託される慣例になつております。そこで専門委員会で当然いろいろ審議をいたしました結果、あるいは修正あるいは可決も当然党議にかけまして、党議によつてこれに反対か、賛成か、修正するかといことがきめられた上で、おのおの討論採決をやるわけであります。それまでには党議はきまつておるというのが慣例で彫ります。但し一応委員会でそういうことがきまりましても、非常に特殊利害のために法案がゆがめられたとか、あるいは法案の重要な個所に大きなミスプリントがあつたとかいう特殊な事情のあるときには、これは国会権威のために、本会議上程する場合に再修正もまたやむを得ないと、私どもは常識的にものを考えております。しかし問題になつております畜犬競擾法案は、これは輿論の上においても、またこの案の提案者並び賛成者の数を見ましても、国会の三分の二以上を占めているのです。かくのごとき重要な論議を盡され、議論の対象になりました法案を、委員会採決にあたつて党議にかけぬで採決するはずがありません。まして委員長與党委員長であります。かくのごとき内外ともに問題になる法案委員会が可決いたします場合に、委員長及び與党理事は、当該党総務会なり国会対策委員会にこれを付託いたしまして、党議をきめて委員会採決に加わるのが当然でございます。私は当然そういう措置がとられておることと存じます。従つて委員会では多数の賛成によつて案は成立をいたし、国会法五十六條の規定に基いて、議長にこれが報告されました以上、当然ただちに事務当局は本会議上程する手続をとらなければなりません。ここで問題は、事務総長としてかくのごとき経過によつて成立しました法案を、委員長報告を翌日の日程なら日程上程するの手続が正式にとられておるかどうかまた、その手続をとらぬ前に、自由党申出で一時保留してくれということになつたどうか。これは非常に大事な問題でありまして、あなたの手が離れておりますならば、これは議長責任になつて来ます。あなたがその手続がとつてない場合はあなたの責任になります。ここは明確にしてもらいたいと思います。  それからいま一つ事務当局としてのあなたに特に伺つておきたいが、国会議決というものと党議というものとを、あなたは一体どう御解釈されますか。法律案を成立さす場合、党議なるがゆえ国会議決を踏みにじつていいということにはなり得ないと思います。党議なる炉ゆえ委員会議決を三週間も遅らすということは常識上考えられない。もしそういう理由があります。ならばそれはただちに議院運営委員会に諮つてかくのごときことが農林委員会から可決送付されて来たけれども、こういうわけでこれは本会議上程するわけに相ならぬという手続が当然とられなければならぬ。それをとらずに、事務当局なり議長手元にぬくめておくということは、まつた国会の意思を無視した越権行為であります。そういうことがかりに少数の人によつてやられるということに凍りますならば、一体何ゆえ国会審議をする必要が遜るのですか。そういう党内事情で問題が起りました場合は、た落ちに議院運営委員会にかけて、議院運営委員会承認を得、また当該委員会了解を得て、その上でその案の処置を善処すべきではないか、私はそれが当然のやるべきことじやないかと思いますが、この処置に対して一体どうおとりはからいになりましたか。今のお話によりますと、これが相当長く議長手元に握られておる関係から、椎熊委員から議院運営委員会上程方促進申入れがあつた。その申入れは、本委員会から送付しましてから相当日にちがあつたあとであります。従つて従来の慣例から行きますならば、可決された法案はただちに次の本会議上程するの手続をとられておるのです。それをこの法案限つてそういう手続がとられず、党内事情によつてそういうことになつて、そうしてこれが議長手元に当分お預けという形になつた。そういうお預けの形になつた場合は、事務当局としては議長を補佐するひとの責任がございますから、事務当局としてはそれを議院運営委員会にかけて、一ぺん議運承認を得ておくことがいいのじやないか。あるいは当該委員会にまた了解を求めておく必要があるのじやないか。そうしておかぬと案を処理する当局者としては、事務の上にもまことに困る、こういうことは当然気づいてしかるべき仕事じやないかと私は思いますが、事務当局としてはそこまでやるのはちよつと行き過ぎと考えてやらなかつたか。これは今後の法案処理の上に重大な一つの問題を投げておりますから、その点を明らかに願いたいのであります。  それから、委員長及び事務総長お話によると、明日の本会議にこれが上程されるということでございますが、自由党党議としては、上程することに決定をされてそういうことになつておるのでありますか。それとも、だれの権限で本会議上程しますか。私の聞き知つた範囲では、昨日の運営委員会における経過から考えると、運営委員長の独断でこれが上程されるような印象が非常に強く響いたのであります。自由党党議いかんにかかわらず明日は上程する、もうこれ以上待てぬこういうことを運営委員長発言しておつたように思うのです。もしかりに、運営委員長があれの提案についてかくのごとき重大な発案ができますならば、運営委員長があれを上程するかしないかということに重大な問題を持つて来ますね。委員会あるいは各議員から提案されます議案は一応事務総長手元へ出し、これを成案であるかどうかを審査された上で、そこで議長から運営委員会にかけて、運営委員会仕事は、その案をどういう日程で取上げて行くかということだけのように私は考えております。案の提案権運営委員長にはないと考えておりますが、運営委員長提案権法案的にあると事務総長はお考えになりますか、この点を伺いたい。それから委員長には、自由党党議としては、明日の本会議にこれを上程することに決定をした上でそういうことになつておりますか。この点もあらためて明確にされたいと思います。
  9. 平野三郎

    平野委員長代理 まず私からお答えいたします。明日の本会議上程するということは、議院運営委員会決定してこちらに報告がありましたので、そのことをお伝えしただけであります。明日の本会議上程されるかされないかということは本委員会の関知しないことでありますし、なお、自由党党議決定したかしないかという問題は、本委員会議決をしたときにすでに自由党党議決定をしていたものと了承いたしておりますので、その後党議が変更するというようなことがある場合には、これはまた私の関知しないところでありますから御了承願います。
  10. 大池眞

    大池事務総長 ただいま井上委員から多岐にわたつての御質問がありましたが、一番大きな問題として特に申されました畜犬競技法案、これは、本会議上程すべき手続を十分とつた後に査延期1といいますか、日程に上せないような申出があつて上せないようなことになつたのか、それも、そういう手続をしないでそのまま握つてつたのかという、一番最初お尋ねの点でありますが、これは、競技法案報告を受けまして、その次の本会議日程を組む前に、対策委員長並び運営委員長から、これについてはまだ内部的な手続が十分とつてないから、日程に上せることは一時待つてもらいたいという申出があつたのであります。従いまして、その申出の点を議長に御相談いたしまして、こう言つておるがと言つたところ、それならば、近く手続がとれるであろうから待つておいた方がよろしいということで日程に上せなかつたのであります。その後、今はつきり記憶をいたしておりませんが、たしか二回くらい本会議があつたと思います。その二回というのがもし間違いならば、あとから調べた上で御訂正を願いたいと思いますが、その後運営委員会椎熊委員から、何ゆえに今日まですでに出してあるものが載つからぬかという質問があつたのであります。そのとき運営委員会における自由党の諸訓からの御発言で、かくかく理由でまだ党議といいますか内部的の正規のあれが済まないから、しばらく待つてもらいたいという申出がありまして、それに対しては、それならば至急にこの問題が議事日程に上るように努力ををせられたいということで、その議院運営委員会では一応それまでの状態承認をされた形と考えておるのであります。その後相かわらず載りませんので、そこで問題が非常に出まして、なぜ上げないかというときに、近く上げるからということで、今日まで非常に多くの議案が載つておるのに、二十九件も行政機構が載つておるのになぜ上げないかということが非常に問題になりましてそれならばということで、上げる機会がなくて昨日になりましてそして昨日は特にこの問題が会期終了ぎわで会期延長ということを前提のもとに残しておくようなことがあつては相ならぬということで、非常に大きな問題になりましたので、議長等におきましては、この問題は党内意見のまとまるまでは延ばされておることを各派了解の上だと思つてつたのが、非常な議論に相なりましたので、それならばこれはもういやでもおうでもあしたは、そういう各派に御意見があるならば当然載つけなければならないということに相なつた際に、昨日の議院運営委員会では明日はこれを載つけるからということで、これを各派了承されたのであります。それで議院運営委員会といたしましてこれを上げることに相なつたのでありまして、運営委員長発案をして特に載つけるとか載つけないというようなお話はいろいろありましたけれども、権能のないことはただいま井上さんがおつしやつた通りであります。それは法理論として少しも間違いないところであります。  それから院議並びに一党の中の議決と、その法律効果いかんというような御質問がありましたが、これはもう私から申し上げる必要もないことでありまして、私は事務を取扱つておる者として、各党にいかなる決議があり、いかなることがきまろうと、私どもの関知せざるところでありまして、委員会議決並びに本会議議決というものに従つて事務を取運ぶ以外には何ら方法はございませんから、御了承願いたいと思います。
  11. 井上良二

    井上(良)委員 ここで重大な食い違いが生じております。というのは、あなたの事務当局としての御説明によると、倉石国会対策委員長石田議院運営委員長から、党議がまとまらぬから上程は待つてくれという申出があつて日程に上さなかつた、これが明らかにされております。ところがただいまお聞きの通り委員長は、党議としてはすでに委員会討論採決の場合決しておるという説明をされております。またそれが当然であろうと思います。そうしますると、あなたの聞いたのは党議じやなしに、單に倉石並び石田という特別な党の代表者なり、あるいは委員会代表者から申出があつたということであつて党議ではないわけです。そこの点を明らかにしておきませんと、えらいことになつて行く。
  12. 大池眞

    大池事務総長 それはただいま井上委員から言われればその通りであります。ただ私の方は、党の議がまとまらない、こういつておられたと思つておりますが、それが党議といいましても、その日の日程につきましてすでに議事日程に上つたものを、これに対してその日の議会対策委員会を開きまして、これに対する処置をきめまして、総務会あるいは代議士等にはかつてつて参ります。それまでの間の議がまとまつていないという意味だと思つております。正式にその案に対する賛否をとる場合のそのときの党議というようなことは私どもにはわかつておりませんで、党の議がということで……。
  13. 井上良二

    井上(良)委員 そうするとこういう場合どうなりますか。かりにある議案がある委員会決定されて議長手元に送付された。そうするとある党からその決定に対しては異議が出て、おれの方は党議がまとまらないから待つてくれという申入れをあなたにいたしました場合、はたしてあなた及び議長はその申出に応じますか、これは非常な問題です。かりに反対党の方から――国会反対党も与党もありません、議員として構成しております。そこで国会運営の必要から党議というものが問題はなつて来ておりまして、運営委員会が待たれておりますが、議案取扱いにそういう取扱いをされるということになりますると、甲の党が申し込んだときは待つが、乙の党が申し込んだときは待たぬという事態が起つた場合どうしますか。これは大きな問題である。これはあなたとしては一事務当局者としてこれに対してお答えができないかもしれませんが、しかしあなたがその申入れを受付けたというお話でありますから、そうすると当然議長に話をされて、こういう申入れがあつたからこれは明日の日程に上すわけにいかないから待ちましようじやないかと相談になるに違いない。そういうことがかりに許されることになると、いかに各委員会で正当な多数決に上つて決定された法案でも、本会議上程前にある政党から申出があつた場合法案を待たなければならないということになると、ここに法案審議の上において重大な支障が生ずる事態を起して来ますが、そういう先例がつくられてもいいとお考えになつており品ますが伺いたい。なおその点については、一応議長を呼んで来なければいけませんから、あなたにそれ以上言つてもしかたありませんが、一応事務当局としての御意見を伺います。
  14. 大池眞

    大池事務総長 ただいまの御質問は非常にむずかしい御質問で、私の答弁でいかがかと思いますが、ただいまの畜犬競技法案日程に上せることの延期を申し込まれましたのは、議長がおりませんので私が先ほど申し上げました両氏から正式に申入れを受けたのであります。従いましてその申入れ議長に御相談をして、こう言われるからこれを待つたらどうかということで、議長もそれは待つた方がよかろうということでお待ちになつたのであります。すでに上つた法案を当然に議事日程に上すべき場合に、一党の申入れによつて日程に上げなかつたという事例が初めてであるならば、これはまたなるほどわれわれとしても十分に考慮して、幾らそう言われても、待つということがいいか悪いかという議論は残ろうと思いますが、これは初めての先例ではございませんで、すでに上つたもので議長手元だは報告書が来ておりましても、これをその翌日の議事日程に上げなかつた事例がたくさんあるのであります。従つてそれが後刻に至つて数週間も上らないような実情に相なろうとは夢にも知らないのでありますから、当然に、何らかの都合で上らないがすぐ次の日程くらいには上るだろう、まつたく一時の便宜方法にすぎない、こう見てその通り処置をとつたのであります。ところがそれが次にも上らないという事情になつたものですから、議院運営委員会の問題になりまして、そうしてそれは至急にするからそれまで待つてもらいたいという御了解のもとに相なつてつたので、そのままに相なつてつたところが、もうじきにといつたことがなかなかもうじきにならなかつたので、今日のようにいろいろの議論が発生するように相つたのであります。従いましてそういうような議論の種になるような処置に相なつたことはまことに遺憾なことでありまして、その間にもし手落ちがあれば重々おわびを申さなければならないと考えておる次第であります。
  15. 吉川久衛

    ○吉川委員 関連して……。私は議案提案手続の問題についてよく知らないから、事務総長にその点を教えていただきたいと思うのです。先ほど、二、三回本会議があつたように思うということでございましたが、本委員会を上つたのは先月の十五日、きようでちようど二十三日目になる。事務総長は、この委員会を上つた当初において、倉石君や石田君等からの申出で、党議がきまらないからしばらく待つてくれ、それからもう出るだろう、もう出るだろうといううちに、こんなになつてしまつたということでございますが、そういう場合の責任は、私はおそらく議長にあると思うのである。はたしてそうなのか。  それからただいま委員長は、委員長の職権をもつてとりもどしたというお言葉があつたのでございますが、委員長にそういう職権があるのかどうなのか。  それから、事務総長お答えと、ここの代理委員長のお言葉との間に食い違いがある。それは事務総長の方は、待つてくれと言うから待つているうちに、日がたつてしまつたというのと、それから委員長の方の話では、松浦委員長がちよつと委員長報告の内容を読みたいから貸してくれと言つた、それで持つて行つてしまつて、そのままになつているのだというように、私は昨日の運営委員会を傍聴して承知をしたのでございますが、その食い違いは一体どうなのか。  それから事務総長は、党議の都合で待つてくれと言つていたというお言葉ですが、おさしつかえがなかつたならば、またおわかりでございましたら、一体どういうことなのか。これはちよつと言えないことでしようが、言えたらお聞かせをお願いしたい。  それから運営委員長議長補佐だと言つておりました。そして事務総長にも、議長にも、副議長にも、昨日の運営委員会に出ていられましたが、しやべらせないで、石田君が一人で引受けてやつておりましたが、運営委員長というものはそういろ職責を持つているものであるかどうかというような点を、ひとつお教えを願いたいと思います。
  16. 平野三郎

    平野委員長代理 委員長に対するお尋ねからお答えを申し上げますが、松浦委員長委員長報告書をもう一度読み直したい、こういうことを申し出たということを聞いておりますが、これは委員長の職権でございます。ということは、委員長報告取扱い委員長に一任をするという議決を願つておりますから、すなわち本委員会の同意を得て行うことであつて、これは委員長の職権に属する事項でございますので、御了承願いたいと思います。
  17. 大池眞

    大池事務総長 ただいまの、議案が上つてから本日までに幾日、こういうことで、最初私が今かく思つてつたのと、非常に食い違いがあるというお話でございますが、最初申し出でられたのは、当委員会で上りまして、委員長報告がありまして、次の本会議に当然に議事日程に上す、その本会議がある当日ではございませんで、その前日に、翌日の議事日程議長作成をいたしまして、議院に御報告をする、その作成前に、申入れがあつたのであります。従いまして、その申入れ通り作成をいたしたのでありますから、一番最初には申入れは早かつたのであります。その後遅れたので、二つくらいの本会議がたしかあつたと今覚えておりますが、そこで次の議院運営委員会椎熊委員から、何ゆえにあれがまだ上らないかという問題に相なりまして、そして、今党の議が十分まとまらないから待つてもらいたいという発言があり、しからば至急にこれをとりまとめてやつてもらいたい、党ではいろいろ誤解があるよ是が、そういう法案ではないという、長い御発言があつて、そしてそれならば至急にこの案に対する態度等を決定しなければならぬということで、一応の御了解があつたのであります。それがしばらく上つて来ないものですから、そこで問題が非常にやかましく相なつた次第であります。その間の事情については私どもは存じておりません。それからいま一点は、運営委員長議長、副議長等発言をさせずに、自由にいろいろやつたが、そういう権限があるか、こういうお話でございますが、議院運営委員会はやはり常任委員会一つでありまして、委員長の主催のもとに行われている委員会でありまして、議院運営委員会の性質上、議長、副議長事務総長がこれに参加をすることができるという取扱いによつて、私ども参加をいたしておる次第でありまして、委員長の許可なくして発言はできないことになつておりますから、議長、副議長等に、特に議長、副議長の答弁そのものを要求される議員があれば、当然に御答弁になると思いますが、代理に自分の知つていることを答弁をされて、質問をされた議員がこれに了承をされれば、それでさしつ更かえがないことと考えております。  それから日程作成するということに対するまでの責任を持ちながら、長い間待つてつた責任は、どこにあるかという重大な御質問でありますが、日程作成権議長にありますから、形式上の責任は当然議長が持つておるということが言えると考えます。しかしながら日程作成するには、もちろん事務的な面が相当ございますので、その補佐としての私ども責任は、当然免るべからざるものがあると確信をいたしております。
  18. 吉川久衛

    ○吉川委員 農林委員長の職権の限界でございますね。委員長報告の内容をもう一ぺん目を通したいから貸してくれと言つて、幾日間くらいそれを持ち去つていいのか、その委員長の職権の限界をひとつお聞かせ願いたい。
  19. 平野三郎

    平野委員長代理 それは衆議院規則で別に何日間というような規定がございませんので、御了承を願いたいと思います。
  20. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 私はこの機会事務総長に二つほど教えてもらいた。この取扱いについて、議長が一方的に委員長報告が不備であるからということで、委員会に下げもどしができるのかできないのか。  それからまた委員長の独自の見解で、この下げもどしを要求して、これが成り立つのかどうか。それとも下げもどしについては、農林委員会の議を経て下げもどしという手続をするのか。下げもどしのできることは私は聞いておるのですが、その下げもどしをする場合には、どういう手続を必要とするか。繰返して申し上げますと、議長が一方的に下げもどしを命ずることができるか。委員長独自の要求によつてできるか、それとも農林委員会議決を経るということによつて下げもどしをやるということなのか、これについてひとつ伺いたい。  もう一つは、この提案について、提案者にいろいろ不備の鳥があるということが言われておりますそれについて私ども聞くところでは、議長が再調査するというような話を聞いておりますが、一ぺん委員会通り、また本会議を通つたものが、今度の問題は別にいたしましても、もしもあとにおいて提案者について、同意せざる者が提案者になつてつたというようなことがありました場合には、その議決の効力は一体どうなるか、そういう場合に議長はどういうふうな手続をとるべきであるかということについて、ひとつ伺いたいと思います。
  21. 大池眞

    大池事務総長 ただいまの御質問は三点ばかりあるようでありますが、委員会審議を終了いたしまして、委員会報告書として議長手元に差出したものを、議長がこれを見まして、その中に不備があるといいますか、あるいは聞違いがあるということを、かりに発見をいたしましたといたしましても、議長の職権としてこれを委員会にさしもどすという権能はないものと思つております。ただそういうことを発見した場合に、その当該委員長に対して注意をするというようなことはあり得ても、下げもどしをする権能はないものと思います。  それから一旦差出しました報告書を、委員長権限においてこれをとりもどす、言いかえれば撤回をする――一時的といえども撤回をするということは、これはあり得ることでありまして、今日まで再々やつておることがあるのであります。それは議決に、あるところに間違いを直後に発見したとか、あるいは本会議日程にならぬ前に、特別の事項の発見があつたから、もう一度とりもどして再議にかけてそうして直すべきところは直す必要があるから、これを返してくれという例は、しばしばあるのであります。委員長権限として下げもどすということはあり得るのであります。そういう場合に、委員長報告書の取扱いについて御一任を受けておるような場合は、なお当然あり得ることと考えております。  それから委員長が、すでに提出をしたものを一応見るというような、ただいま問題があつたようでございますが、これは誤解があるようでございます。委員長から報告書を見たいという申出はありましたけれども、見にもお見えになりませんし、その報告書を自分の手元へ持つてつた事実はございません。従いまして、報告書は議長のところに差出されたままでございます。自分の報告書を委員長としてごらんになるということは自由でありまして、ごらんになつたからといつて、私どもの方へ報告書は来ておるわけで魅りますから、ただごらんになる間だけ貸せる場合もありましようし、そこで見る場合もあるという事実問題だけでありまして、報告は受けておるのであります。それは別にさしつかえないこと考えております。  署各人がもし誤りがありますれば、これはあとから訂正という道はございまするけれども、これは署名人が間違つておるからこれを返してやるというようなことは、権能的にはないと考えております。     ―――――――――――――
  22. 平野三郎

    平野委員長代理 この際内閣提出開拓者資金融通法の一部を改正する鵬律案を議題といたします。まず本案の趣旨について政府の説明を求めます。農林政務次官野原正勝君。
  23. 野原正勝

    ○野原政府委員 ただいま提出されました開拓者資金融通法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由の概要を御説明申し上げます。  御承知通り、政府は昭和二十一年度に成立いたしました開拓者資金融通法に基きまして、開拓者の営農資金、住宅資金及び共同施設資金を貸し付けて参りましたが、二十六年度の貸付を終了いたしまして、その総額は七十八億円に越しております。  かように貸付を行つた結果といたしまして、開拓者も営農に必要な資材を取得いたし、あるいは共同加工事業に必要な施設を整備いたしまして、営農の基礎を着々と固め、食糧の増産に害興しつつあるのでありますが、ただここに二十三年度以億の入植者について見ますと、御承知のように、当時は物価変動のはげしいころでありまして、予算に基いて貸し付けた資金では、当初予定しただけの営農資材を取得することができなかつた状況でありましてこれがために当時の入植者のうちには、いまだに営農の安定を得でいない者もある現状であります。そこでこの際その営農を促進させるために、重ねて営農資金の貸付を受ける機会を與えることによつて、その営農の安定をはかつてやる必要があると考える次第であります。  かように申しましても過去においてすでにきわめて低利の資金を貸し付けておりますし、また入植後数年経過いたしまして、ある程度の力もついて参つておりますので、従来通りの長期低利の資金でなく、いわゆる中期の資金でも、十分にその成果をあげ得るものと確信いたすのであります。  そこで政府といたしましては、本法案により現行の開拓者資金融通法の一部を改正いたしまして、新たに五分五厘の年利で二年すえ置き、三年間の均等年賦噴還の方法により、資金を貸し付ける道を開きたいと存ずるのであります。なおその他種々の條件につきましては、現行の法律とまつたく同様なものであります。  以上がこの法案の趣旨と内容の概略でありますが、どうぞ慎重御審議の上、御可決あらんことを切望する次第であります。
  24. 平野三郎

    平野委員長代理 これに対する質疑は次会より行います。     ―――――――――――――
  25. 平野三郎

    平野委員長代理 これより農地法案及び農地法施行法案を一括議題といたし、審査を進めます。すでに両案につきましては、農林大臣より提案理由説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので、これを許します。石井繁丸君。
  26. 石井繁丸

    ○石井委員 この問題は非常に重要か問題でありまして、まだ大臣に対しましても一般的な質問がないので紡りますが、     〔平野委員長代理退席、遠藤委員長代理着席〕 大臣の出席はありますか、その点一応承つておきたいと思います。
  27. 遠藤三郎

    ○遠藤委員長代理 大臣はただいま呼んで奉ります。局長に対する質問を続けてください。
  28. 石井繁丸

    ○石井委員 委員長は、この法案審議に対して、大臣ができるだけ出席するように手配してもらいたいのですが、その点いかがですか。
  29. 遠藤三郎

    ○遠藤委員長代理 手配をいたします。
  30. 石井繁丸

    ○石井委員 それではあとで大臣が来るときまで大臣に対する質問を保留いたしまして、局長に対する質問、また政務次官もおりまするから、政務次官にも質問したいと思います。  御承知通り、農地調整法ができるときもなかなかやつかいで、昔は小作調停その他で糊塗いたしておつたのであります。戰争になりましてから、農地調整法ができるというふうになりまして、その間農地調整法も幾度か変遷したのでありますが、この農地調整法と自作農創設特別措置法、これらの法案一つになりまして、初めて日本としましては農地制度に対する法案が一本となりまして、農地法案となつたわけであります。法案全体を見ますと、農林当局の苦心の跡がいろいろと見受けられるのでありますが、しかしながらなおこの法案を施行いたしまして、提案理由説明書のような効果が十分に獲得できるかどうかということ等につきましても、相当の疑問点があるのでありますから、これらの点につきまして質問をいたして行きたいと思うのであります。  この法案の中心として考える点は、要するに中堅自作農主義という点であります。中堅自作農主義ということにつきましては、戦前においても適正規模農家というような点が非常に言われておつたのでありますが、この適正規模農家ということは、ある意味におきましては、その線に入つた農家は恵まれるのでありますが、この中堅適正農家はこの線の引き方によりましては、非常にいろいろな問題ができて来るのであります。大体農林省といたしましては、この中堅自作農はどの辺に線を引いて行ごうとするのか、これらについて承つておきたいと思うのであります。
  31. 平川守

    ○平川政府委員 中堅自作農と申しましても、これははつきりした数字的なめどがあるわけではございませんが、およそ中庸の農家というところで押えるよりいたし方がないだろうと思います。農地法案におきましては、その中庸の幅をかなり広くとりまして、かりに全国平均で申しますならば、一町歩弱のところが平均的のところかと存じますが、中堅自作農農家のおる程度の幅をとりましても、それからはずれるものとしては、まず三反歩以下くらいのところをはずして考える。今逆にはずす方を、ある程度限定して考えておるわけであります。大体において農業を専業とし、主たる收入の大部分を農業によつてまかなつておる、抽象的に申せば、こういうところで押えるよりいたし方がないかと思います。
  32. 石井繁丸

    ○石井委員 中堅自作農主義については、昔は適正規模農家という線でいろいろ考えたのであるが、今の日本の耕地の関係上、そういうふうな高い線に引けない。そこでとにかくある耕地面積があつて、何とか農業経営をやつておれば、この線あたりに一応めどを置いて、中堅自作農いうことを考えて行きたい、こういうふうに了解しておいてよろしいのでしようか。
  33. 平川守

    ○平川政府委員 そういう考えであります。
  34. 石井繁丸

    ○石井委員 大体日本の土地の制度としますと、例のソ連式のコルホーズあるいはソホーズ、アメリカの一農主義というようなものもできない。アジア一般の特徴であるところの、狭い農地をなるべく多くの農民につくらせ、そして生産を上げさせる。こういう線をとらざるを得ないので、この線が出たと思うのでありまして、日本の実情といたしましては、一つの戰後における余議ない実情であろうと思います。そこで中堅自作農主義ということにつきまして、後において條文に従つて質問もとたい点はありますが、それはあと條文の條章に従つて申し上げますが、一応その線に了解いたします。  それからこの法律につきましては、所有権の移動の制限ということを非常に考慮に入れまして、そこでせつかく農地開放を受けた農家が、転落しないようにする。あるいはまた今までの自作農が、土地をなくして農民でなくならないようにする。こういうふうな考慮が拂われておるわけでありますが、今後におきまして、農民が農地を失うというような場合におきましては、いかなる点において農民が農地をなくすということが発生するであろうか。またどういうふうなお考えでもつて、農林省としてはその対策を立てておるかどうか。そのねらいどころを承つておきたいと思うのであります。
  35. 平川守

    ○平川政府委員 結局農家経済あるいは農業経営全体の問題でありまして、農家の経済が窮迫をいたすということが、土地を手離す直接的の原因かと思うのであります。従つてこれが対策といたしましては、大きく申せば、全体の農業政策に関係があるかと思うのでありますが、要するに、農家経済を安定せしめるということが、その眼目であろうと思います。つまり法律的に所有権の移転、あるいは各種権利の設定を制限いたしますと同時に、その裏打ちとしての経済施策というものを、農家がやむを得ず手離さなければならぬ状態に追い込まれないような経済施策を、あわせ考えて行くことが必要であろう。そういう意味におきまして、直接農業経営の点につきましては、各種の施策がございますが、特に農家が、たとえば家に病人が出ますとか、あるいは災害にあいますとか、あるいはことに新しい相続法によりますと、均等相続をしなければならぬといつたような場合において、臨時に出費のいる場合があるわけであります。そういう場合に対して、適当な融資の道を講じてやるということが、この農地を手離すことを防ぐ一つの方法であろうかと考えておるわけであります。この法案におきましても、そういう場合に対して、政府がそういう自作農の土地を買い上げまして、同時にこれをただちにその農家に、長期年賦償還で拂い下げてやる、そしてその耕作権を確保する、こういう手段を講じておるわけであります。そういうように、広く申せば非常にいろいろな施策があろうかと思いますが、農地法案においても、そういう点を考慮しておるわけであります。
  36. 石井繁丸

    ○石井委員 経済政策その他政治政策全般につきましては、いろいろと農林大臣等にも承りたいと思うのでありますが、それらの農業政策よろしきを得ないことが、農地をなくす根本の大きな理由であることは、これは論をまたないのでありますが、しかし現実に、どういう形において、具体的には農地が農民の手から離れて行くかという点につきましては、それだけでは解決せられないと思うのであります。実際どの線からその一角がくずれるか。たとえば川でありますと、大水が出るときに、堤防が弱いからくずれるといえばそれまででありますが、しかし一体どの点からくずれるかということになりますと、農地制度のくずれるところに、大きな根本原因があろうと思うのであります。この点につきましては、一番大きな問題は、農地の価格というものが、今後の農地の制度の崩壊する根本原因だと思います。農地の価格制度が、今度の法律におきましてはきまつておりませんで、農地の価格というものは自由の価格になつて来ております。群馬県下におきまして見ましても、山間地帯におきまして、田の少い二毛作地点においては、一反歩当り本数万円の土地になつている。あるいは関西方面におきましても、非常に田の少いところにおきましては、十万円あるいは二十万円の間を動いている。こういうふうに非常に高い農地の価格が出て来ておるのであります。そこで非常に農地の価格が高いままに放任せられた形に置くというようなことからして、農民は一反歩くらいは処分しても、というような安易な気持から土地を失いまして、次第に一角からくずれて、土地をなくするというようなことがあるのでありますが、この農地の価格を任意にいたしておくことは、自由党の立場の自由政策というような点からしますと、これは一つの根拠もあるので彫りますが、しかし農地というものは、採算から見ると、それほど不当に高いものではないのであります。そういうことを考えてみると、農地が経済採算面格を上まわつて取引せられるということが、農地をなくして来るところの大きな原因になるのが、今度の農地法案においては、農地の価格の点について、何ら不当な価格を制約するところの方途が講ぜられておらないのであります。この大きな抜け道ができると、あといかに完璧な法案をつくりましても、その一角からくずれて来る危険が予測せられるのでありますが、この点について農林当局としてはいかにお考えであるか、承つておきたいと思うのであります。
  37. 平川守

    ○平川政府委員 農地の価格と申しましても、ただいまお話の数万円あるいは十万円という端極な使もあるわけでありますが、これは私どもの見方では、単に農地の所有権だけの価格とは考えられないと思うのであります。すなわちそういう非常に高価な値段の出てお。ますのは、実は耕作する権利に価値があるのではなかろうか。現に実際の売買の事例を見ましても、自作農が自作地を手放す場合、地主がその所有地を手放す場合、小作人に売り渡す場合では非常な価格の差があるわけであります。単に農地を所有するというだけの立場から見ますれば、現在の制度によつては、小作料を統制するということによつて採算の限度というものがおのずからきまつて来るわけであります。一面耕作権を含めましたところの、お話のごとき農地価格というものにつきましては、これを実際統制をいいたしましても、なかなかその統制奪り切れないという面が一方にあるのではないか。また一面この高い価格の相当部分が耕作権に対する価格である。いわば作離料というような性質のものであるというふうに考えますならば、それらの農民が何らかの機会において若干の農地を手放岩なければならないような事情に追い込まれました場合に、その耕作権に対する評価は、あの意味においてはむしろ高い方がその農家にとつては有利であるという点もあるわけであります。一方また買手の方の立場から考えますれば、おのずから作物の価格は限度がありまするし、従つて自分が自作してそれで引合の値段というものはおのずから限度があるもけであります。そう法外の値段というものは出ないのではないか。私どもの考え方といたしましては、小作料は統制を続けて行く。これによつておのずからいわゆる単純なる所有権の価格、いうものは制限して行くことがで吾る。そのほかの現在比較的高い値段ル引起しておりますものは、これは耕作権に対する価格というような性質のものである。こういうふうに考えております。
  38. 石井繁丸

    ○石井委員 局長の言う通りに、土地の所有権だけで、耕作権がないというような土地というものは非常に価格が安い。つまり耕作権付の所有権、これで値が出るというわけでありまして、その点はその通りであると思います。そこで農民としましては、自分の持つておる土地を一反歩なり、あるいは二反歩なり、自分の生活を縮めまして放伊という場面ができるわけであり、土地の価格というものが経済採算点を上まわつて動くということによつて、そういう場面が非常に発生する。こういうときにおきまして、つまりその土地の格価等につきまして、一応政府が経済採算点において押えて行くという点の政策がとちれないというと、その一角かち土地の価格がくずれて来るということが非常にできるわけであります。この価格を調整するということは非常にむずかしいことであつて、これはなかなか困難であるとい点は局長の申される通りであります。しかしながらある意味におきまして、この点におきまして一つの制約があるということは、農民に対しましても土地の取引価格に対する自分の考え方というものをきめさせるということになる。不当に土地の価格をあおるというようなこともなくなる。今後おそらく農地の売買に対して、いろいろと知事等について承認を求めるというような場合が起りますが、当事者の間におきまして、相当の高価なるところの取引の相談ができており、そうして両者からいろいろと農業委員会あるいは県農業委員会等にも運動しまして、そして両者が納得をしておるのだから売買を許可したらよろしかろう、こういうふうに仕事が持つて行かれる。こういうふうに思われるわけであります。その間におきまして取引をさせるところの一つの基準価格というふうな面が出ておりまして、そうしてこれより高いものについて砥適当な処置がとられるということになりますれば、それに関係する人も、お互い同士であるからいくら高くてもいいのだ、こういうふうなわけで土地を思惑的に動かす。本人は現金がとりたいからというふうな関係で、少し耕作面積を減らしてもというような安易な気持竜なくなるわけでありまして、これらの点を考えると、なかなか農地に対して価格を今後統制しても、実行巷れないのだからという安易な気物でなくして、一つのめどをつけてやるということが、村の農業委員会、あるいは県の農業委員会、あるいは県の農地課の各係官の人々等が、その土地の移動等をやる場合等におきましても、一つの非常に有利なるところの指導目標となる、こう思われるわけでありますが、こういうことについて何らの考えを持たないというと、非常に農業委員会が、今後土地ブローカー的な役割になつて、そして金のある農家が金を出して、力のない農家の土地を売り買いさせるあつせん機関になるようなことさえも発生する危険性が多いのであります。これらに深く思いをいたしますときにおきまして、十分にこの農地法の改正のときから手を打つておく必要があると思うのですが、この点について御心配がないと思われるかどうか、承つておきたいと思います。
  39. 平川守

    ○平川政府委員 もとより全然手放しで、どうなつてもかまわないのだという考え方では決してないわけでありまして、ただ直接的に、この価格を幾らにするという従来の統制方式のようなやり方が、農地に関して、ことにこれが耕作権の価格を含んでおります場合において、非常にめんどうなむずかしい問題であり、下手な押え方をすることは、かえりて逆に農地を手放す農民を不当にいじめるようなことにもなるわけであります。非常にむずかしい問題であると思います。たとえば固定資産税あるいは相続税等の場合においても一定の評価というような例もあるわけであります。ある程度の常識的な考えでもつて、所有権移転の際に、條件としてあまりに不当なものがあれば、許可の際に條件として押えて行くというようなこともごの法案で不可能ではないわけであります。一般的に標準をきめて、幾ら幾らとするというふうには考えておりませんけれども、そういうことは不可能ではないわけであります。それからなお間接的に、これを買い受けるべき人を非常に限定しておりまして、これが一つにはごの価格を押える大きな役割をするのではないか、つまり純粋にその農地で自分が耕作をするという立場の人同士の間でありますれば、おのずからそこに自作農としての採算のとり方があるわけであります。そうむちやな値段というものは出て来るはずがないと思います。そうでない全然ほかの、農業以外の分野におきまして、金を持つておるというような人があるいは飯米とか、あるいは昔のように小作料とかいうような形において、土地を利潤を生む一つの財産として考えられた場合に、非常にそこに農民とかけ離れた値段が出て来る船それがあるわけであります。そういう点を間接的にこの法案は非常に押えております。その村において、しかも自作をするという人間をのみ対象とする。これを貸付地として持つようなものは対象にならぬ。あるいは非常に小さい面積を持つて、主たる收入は農業以外の面から得ておるというような人は排除するというような事柄等によりまして、この買受人の範囲がお互い同士そうひどい開きのな、自作農だけの間で競争が行われるということでありますから、そういう面からよほど法外な値段が出ないという條件ができると思うのであります。それにしても、何か非常に法外なものがありますれば、先ほど申しましたように、許可の條件という方法もないことはないわけであります。
  40. 石井繁丸

    ○石井委員 いろいろとそういうふうな法外な値が出るという危険性があるのでありまして、これらの点については、任意取引の場合におきましては、政府が買い上げる価格より高いということは「何らかれこれ申すのではないが、ある一つの基準価格というような点につきましてのラインを引いて、それ以上の法外な価格についての取引はさせないというようなあり万が、ぜひ必要じやなかろうかと思うのであります。これを法文に示すということはなかなかむずかしいこことであろうと思いますが、しかしながら今後におきまして、もしそういうふうな、実際におきまして、法外な取引によつて農業委員会等が農地をブローカー的に動かすような危険性があつたときにおきましては、今後の経過を見まして、あるいは価格制を設けて、それを超過したものについては違反の罰則をもつて臨むというような構想を、今から持つておいていただかなくてはならないと思うのでありますが、こういう考糺をお持ちであるかどうか、瀦尋ねをしておきたいと思います。
  41. 平川守

    ○平川政府委員 ただいまのところ、そこまではまだ考えておりません。また農業委員会につきましては、形式的に売買についてタッチするそういう権限を與えておりません。ただお話は、おそらく実際問題を言つておられること売と思いますけれども法律的に農業委員会権限を持つておりません。なおその問題については、今後とも研究をいたしたいと存じます。
  42. 石井繁丸

    ○石井委員 この問題と相並行して考えられる問題は、今まで農家に金を貸すという入が比較的少かつた。いかなる点において少かつたかと申しますと、土地の価格が最高において押えられておる。そうして耕作権というものがなかなかうるさいという点が一つの制約をなしておる。それからもう一つは、御承知通り農作物がほとんど統制物資になつておりまして、こういう関係から米も麦も差押えができない。繭等までもできない。しばらく前は、さつまいも等までも差押えができない、こういう状態であつた。つまり農家の農作物は差押えの対象になつておらない。ところが今度は、主食の重要なる一翼である大小麦も統制を撤廃されるとようような形になつて来て、米穀を除きましては、農家の作物のほとんどすべてが、差押えをすればできるというふうな状況になつて来た。こうなりますと、農家に対する金融というものは、貸した金がとれるという面から、金融関係の人々、あるいは小銭を持つている人々等が金を貸して来るというような形が出て来ようと思うのであります。一面農地につきましては、価格の点につきまして少しも統制されていない、リミツトがないというふうなことになりますと土地はある意味におきまして相当に買いあさりもある、こういう裏面が発生しようと思います。この線から、今後農家に対する金融というものが動いて来るであろうというふうに考えられるわけであります。そこで、そういう場合におきまして、抵当権の執行あるいは任意競売というふうな場面が非常に強力に行われる、こういうふうな形になつて来るわけであります。そこで任意競売あるいは抵当権執行、競売法における競売の実施、こういうふうな場面が出て来て、価格において制約がされないということになりますと、土地というものがいろいろな形において競売の対象になり、農民の手から離れて行きまして、そうしてこれが他の人の耕作地に移つて来るというふうな場面が起つて来ると思うのであります。金銭関係について比較的ルーズな考えを持つておる農民に対して、金利税統制というふうなことがないわけでありまして、今は非常に高金利の金が動いておる。利息制限法等も、金融業者からのものはその制約を受けておらない。こんなような形が現われておる関係上、予想外に金利がかさんで、そうして土地等が競売になる、こういうふうになるのでありますから、この抵当権の執行、任意競売等によつて、土地を売却の対象に出されたという場合におきまして打つ手は、今度の農地法においては、いかなる点において打つておられるか、その点について承りたいと思うのでございます。
  43. 平川守

    ○平川政府委員 御指摘の点は、私どももまことに心配をいたしている点でございまして、まずその前提と、これを防ぐ第一段階といたしましては、やはり農家の必要欠くぺからざる資金需要に対しまして、いわゆる高利貸しのようなものにたよらなくとも、正当な低利の必要な資金が供給できるという制度がまず必要であろうと考えるわけであります。これに対しましては、農業経営上の問題としては、御承知のごとく長期の資金についての特別会計の制度もございますし、また短期の営農資金につきましては手形の制度も開けているわけであります。なおこれによつて救われない部分に対しましては、先ほどちよつと触れましたけれども、強制譲渡の方式を活用いたしまして、政府がその農地を買い上げて、またただちに当人に売渡しをいたしまして、長期年賦償還を認める。これによつて反当五千円くらい程度までは資金を得られるわけであります。そういう方法によりまして、できる限り農家の必要とする資金について、高利貸等に走らないような態勢をまずつくるということが、第一段階だと存じます。なお競売あるいは抵当流れ等の場合においての御心配でありまして、これは何ともいたし方がないのでありますが、まずその競落金の範囲を非常に限定いたしておるわけであります。従いまして、普通の競売と違いまして、その農地を買つて自作農になり得る資格を持つた者でなければ競落ができない。単純な高利貸はそういう適当な競落人が出るかどうかわからないわけであります。また現在までの実情といたしましては、むしろ非常に競落が困難でありまして、そういう場合に、この法案にありますように、農林大臣が一定の価格で競落をいたすという制度を設けておるわけでありますが、この農林大臣が競落いたします場合には、現耕作者にまた拂下げをすることができるわけであります。要するに、競落人を押える、競落人の範囲を非常に限定いたすということによりまして、従前の手放しの競売というよりは非常に救われておることかと思うのであります。しかし御指摘のごとく、これによつて完璧であるというわけにはまだ参らないと思うのであります。これらの点については、なお研究の余地があろうかと思いますが、さしあたりの程度におきましては、その程度でまず防いで参りたい、現在のところは、まだその弊害は出ておらない、かように考えます。
  44. 石井繁丸

    ○石井委員 農民が土地あるいは農作物を担保して金を借りるということは、昭和十三、四年を転機として、ここ十二、三年間大体なくなつて来ておるのであります。日支事変の半ばごろから、ほとんど土地を担保で金を借りるという状態がなくなつてつておるわけであります。そうして現在四十歳くらいを越えた人々は、借金というものの恐ろしさを知つておりますが、その後の人は、借金の恐ろしさを知らない。むしろ最近中金融資を仰ぐとか、あるいは政府資金の融資を仰ぐとかいうことで、金を借りるということは何か非常に得のような考えを持つておりまして、これらの考えが農民の各方面に自然に浸透いたして参り、何か金を借りるというと得だというくらい、安易な気持がある。しかしながら前申した通り、農作物が統制の物資であつて、土地の価格が押えられておるという関係上、今までは金融業者の活躍の余地がなかつた。これが今後全然様相を異にして、非常に無理な借金に農民が悩むというふうな事態ができて来るわけです。そこで抵当権の執行、任意競売というような点から、その一角がくずれて来るわけでありまして、競落人に対する制限が、そういう点からくずれて来るというわけであります。その競落人をどういうふうにきめるかということ等につきましては、競落人に対しまして、ある資格、土地を取得するについては、やかましい法律の許可が実際に適用せられなければなるまいと思う。競落人だから、これはだれでもしようがない、本人が競売の結果とられるのだからというので安易な取扱いをするというと、非常に問題が起るわけでありまして、競落人に対して、土地取得の資格というようなヒとについて、どういうふうな処置を最高裁判所等と打合せしておつたか。まだそれらについては、何らの手も打たれておらないのか、一応承つておきたいと思います。
  45. 平川守

    ○平川政府委員 競売によつて農地を競落いたします場合には、当然一般の農地取得の場合の必要條件、三條にありまする各條項の適用があるわけであります。この関係で許可を得られないという性質の者は、つまり堅実な自作農になり得るだけの者でない者は競落し得ないということになるわけです。従いまして、御心配の点は、競落人が制限されるということによつて、よほど緩和されるのではないかと考えております。
  46. 石井繁丸

    ○石井委員 競落人がその資格條件を持つてないと競落はできないということにつきましては、最高裁判所の規則その他において、執行人に届け出す書面とか、あるいは執行裁判所に出す提出書類とかいうような関係において、これが処理をされなければなるまいと思うのでありますが、これらの問題についての手続や何かはどんなふうな取扱いになつておるか、それで大体今までに心配のないようになつておるかどうか、この点を一応承つておきたいと思います。
  47. 平川守

    ○平川政府委員 資格のないものは参加ができないわけでありまして、有資格者であるという証明書を持たないと参加させない、こういうことに最高裁判所の方と打合せておりまして、すでにこれについての通牒も出ておりますし、すでにこの通り実行されておるわけであります。この点については御心配はないと思います。
  48. 石井繁丸

    ○石井委員 ここでお願いしておきたいのですが、最高裁判所の事務当局――事務総長でもあるいは事務次長でもよろしゆうございますが、それらの点が実際にどういうふうにになつておるか、その規則の取扱い、実施方面がどういうふうになつておるかということを、今後の重大な問題でありますから、一応確かめておきたいと思うのであります。一つ委員部の方へ委員長から申されまして、その手続をとつていただきたいと思います。
  49. 遠藤三郎

    ○遠藤委員長代理 承知しました。
  50. 石井繁丸

    ○石井委員 それらの点は今後非常に大きな問題を含む問題でありまして、この農地法がうまく運営されるかどうかということにつきまして非常に問題があるわけであります。この点についてはあとで第三條の点を質問するときにおいてお尋ねしたいと思いますが、ここで一つ不審にたえないのは、今度の農地法を制定した場合におきまして、今までの農地調整法の第三條であります。要するに今後――言うまでもなく、農地開放したあとでありますし、農家の規模も大体制約をされておりますから、土地を小作に出すというふうな形はなくなるというふうに思われる。今後は、今までの保有地で残つた小作地があり、その上において新しい小作地ができるということはなかなか考えられない。しかしながら農家におきまして人で間にいろいろと変遷があるわけであります。農家のうちにおいて、どの家においても人手間の関係で盛衰がある。今盛りであつても、手がなくて今度は暮し向きの苦しくなることがある、浮き沈みはどこの家庭にもあるわけであります。あるいはまた疾病等をいたして若干つくり揚を減らさないと手に余るというふうな形が出て来ておる、そのために農地調整法の第三條におきましては、そういう場合においては農地の管理または買取の申出をなすことができる、こういうふうに言つておるのであります。買取の点はあとで法文に制定せられておりますが、何よりも大事な農地でありますから、農家は病人が出たからといつてなかなか売りたくはない、売つてしまえば困るわけであります。そこで何とかしてこれを適当な人に一時つくつてもらう、そのかわり自分が必要なときはいざこざがなく返してもらう、小作地の設定でなくして、完全なる耕作権の設定という、ある任意の期間、自分の不時の所要の間お世話を願いたい、こういうふうな形が非常に多く今後発生しようと思われるのであります。そういうときにおいてこの第三條の農業委員会に土地の管理をお願いするというふうな場面が活用されなければならない、今後こそその場面が非常に多くなつて来る、こういうふうに思われるわけであります。それを今度の法案におきましては、この点につきましての條章が抜けておるというふうに思われますが、断片的の点を拾い合せると、そういう点もうかがわれますが、こういう場合において最も強く打出さなければならない問題、ある家庭的の事情等によつて、耕地についてのいろいろな手不足その他が生じたときに打つべき手を、強く法文において表わさなければならないときにおいて、それが法文の條章から消えているということは、今後の農村の趨勢とは非常に逆行する姿でありまして、これらについては、いかなる根拠に基いてさようなことをなしたのであるか、承つておきたいと思うのであります。
  51. 平川守

    ○平川政府委員 ただいまお話のような場合におきましては、つまり農家の方の労力が特殊の事情によつて急速に不足をいたしている、一時的に不足をいたしているというような場合につきましては、この法案におきましても第三條第二項の六号、七号等においてこの括弧書きで書いてありまするように、例外的にその貸付けを許可することにいたしているわけであります。従いましてそういう場合には一時的な貸付として、一時何人か適当な人に貸しておく。将来労力が十分になつた場合にはまた返してもらう。こういうことができるわけでありまして農地調整法の三條の趣旨は生かさてているわけであります。なお農業協同組合が一時管理をするというようなことにつきましては、協同組合法の方に規定がございまして、個人が協同組合にしばらく預けておくということはそれによつて認められているわけでありまして、御指摘の点はごの法案におきましても十分考えているわけであります。
  52. 石井繁丸

    ○石井委員 この点が、そういう場合においてこういう手もあるのだ、こういうふうな考え方でありまして、非常に消極的になつているのであります。まあ農業協同組合の方にもというふうなわけでありまするが、実際問題としては、今後新しく法律本来の形におけるところの賃貸借というものは発生しない。しかしながら今後の土地の上におきましては、そういうふうな、さつき私が述べたような場面が多い。そこで土地を有効適切に利用する。しかしながらあとでその本人が必要であるときにはいざこざがなく返してもらう。この非常に有機的なる活動がなければならない。こういうときにはまあこれで間に合せるようにというのでなく、そういう場合にも十分に農業委員会その他において活動させまして、あそこの家はあのように手間がなくて、あれだけつくつているから手間代に追われたり、手不足で作柄も悪くなる、そこでどこそこにはあれだけの手間があるのにあれだから、これをめんどうを見てやつて、そのかわりあそこの家の子供がもう少したつと新制高等学校を卒策するから、そのときになつたならばまた返してもらう、こういうふうにしたらばどうだ、こういうふうに農業委員会等が積極的に活動をいたしまして、そういう場合におけるところの情一勢に応ずるようにさせるということが、何よりも必要なことであろうと思うのであります。これらの点を、こういうことが起つたときにおいては農業委員会に申し出ることができるというのでなく、自分の力にあまつた耕作條件が現われているときにおいては、農業委員会がそれらを見まして、積極的にその土地についていろいろと発言をいたし、そうして農業委員会発言によつて処理したところのその土地につきましては、やかましい土地契約解除あるいは契約の更改の規定等に基かないで、そういう特殊の賃貸借については非常に簡易に扱うというふうな制度をやつて、土地の有効利用の道を開くということが非常に必要であろうと思うのです。この点は條章をはつきりと一本加えまして、農業委員会等に活動の道も與えたり、また土地の有効利用の適切な方途を講ずるという必要があろうと思われるのでありまするが、これらの考えについて、農林当局の御意見は消極的で、起つたらそういうわけにするというのでなく、積極的に手を打つというお考えはないかどうか、承つておきたいと思うのであります。
  53. 平川守

    ○平川政府委員 この法案といたしましては、やはり建前として完全なる自作を中心として考えておりますためにただいまの臨時的な一時的な貸付につきまして、非常に例外のような形で表現をいたしております。しかしながら実質におきましては、先ほど申しましたように、農業委員会が大いに自発的に活動をいたして、そういう場合の起りましたときによく農民を指導して、あとあと間違いのないようにこの規則を運用して参ることが好ましいことでございまして、そういう指導をいたすべきだと思つていますが、法文といたしましては、農業委員会の方においてそういう農地ができました場合に管理をいたすことができるごとになつている。またこの農法案におきましては、そういう一時貸付ができることになつている。しかもうこの一時貸付につきましては、できる限り契約の文書化を指導いたしまして、この條文にも彫りますように文書によつて明らかにする。同時にその写しを農業委員会に提出しておくというよなことによりまして、将来再び労働が回復して参りました場合に、土地の返還について紛糾が起るようなことのないように、法文的には必要な條項を満たしていると考えております。ただその表現におきましてはあるいは御指摘のように、そういう場合を一まとめにして、明確に強く表現してないではないかという御意見と伺いますが、それは表現の差としてありますが、中味においては違いはないと考えております。
  54. 石井繁丸

    ○石井委員 中味においてはかわりがないと言うのでありますけれども、やはり法案を見ましてそれが出ているということになりますと、結局―特に農業委員会で農業委員会の書記が立合つて契約書をかわすというようなことにしましても、ときどき農業委員はかわつたり何だりいたしまして、法規の條章等にも明るくないのでありまして、一時賃貸かあるいは通常の賃貸借かどうかということについての区分等もはつきりいたしておりませんので、そこで常にそういうような問題を一切、また旧庁まで行つて許可を得るとか何とかいうことにまでなるとやつかいだというようなことでおつくうになる。そこで一時賃貸ということについては、村の農業委員会と県庁の農地課の小作官等が立ち会つて簡易にやるということによつて、そうしてそれもその契約でできたものはあとでいざこざができても、裁判所や何かに行きましても、それはそういう趣旨のあれであるというふうにして、調停等においてもその趣旨をくんで、ほかの賃貸借と違つて取扱うというふうにやつてもらいますと、その方面の活用並びに農地の利用度が高まると思うのであります。それらの点について農林省といたしましては、最高裁判所その他の方面と打合せしまして、何らかいろいろと手を打つて、ひとついざこざのないように、そうして気持よく一時賃貸をし、また気持よく返すというような方途を講じているかどうか。またそれを講じようとしているかどうか。一応承つておきたいと思うのであります。
  55. 平川守

    ○平川政府委員 一時貸付の場合につきましては、ほかの一般の権利の設定前と異なりまして、市町村農業委員会で比較的簡単に許可ができるようになつているわけであります。かなり頻繁に起ることを想定いたしまして、そういうことを一々知事まで行かなくして、市町村農業委員会で許可ができるという制度になつておるわけであります。しかもその契約の内容につきましては、文書によつてとりかわしておきますらば、あとあと労力がまた十分になりました場合にも、返還についてのいざこざが起らないで済む。こういう形になつておるのでありますし、また協同組合等の活動につきましては、先ほど申し上げましたように、協同組合法にも規定があるわけであります。あとは、指導の方針として、お話のごとき指導をして参れば、この問題についてはさほど困難な事態は起らないであろう、かように考えておる次第であります。
  56. 石井繁丸

    ○石井委員 第一章の点についての質問は大体その程度にいたしまして、第二章の点につきましてお尋ねしたいと思います。
  57. 遠藤三郎

    ○遠藤委員長代理 簡潔に願います。
  58. 石井繁丸

    ○石井委員 なるべく簡潔にしたいと思いますが、農地問題としまして、今後非常に問題になりまするから伺います。第二章で権利の移動及び転用の制限の問題が中心として論ぜられておるのでありますが、この第三條を見ますると、土地の権利を得たり得ようとする者は、これが都道府県知事の許可を得なければならない、こういうのが見出しでありまして、二項としましてはこれこれの場合においては許可することはできないというふうになつておるのであります。許可できない場合と許可を受けなければならない場合とある。しかしながら、どの辺の人に土地をとらせるかという点については触れておらぬ。たとえていうと、最後のところで、自分でつくつておる土地が、関東地方におきましては、三町近いというような制限を越えた人は土地は買えない、こういう規定ができておりまするが、しかしながら、一町五反の人が五反を買うということについては、それは何らさしつかえない。中には七、八反でもう三、四反ぜひ買いたいという人も出て来ようかと思うのでありますが、それらの許可ということについては何らの方針が現われておらない。そこへ来るとお互いに自由だ、自由というと結局金をよけい出した者が買えるというふうな線が出て来ようと思うのであります。こういう者については買えないということでなく、これこれの者になるべく買わせるのだというところの積極的なる指導の方針がなければなるまいと思うのであります。これらの点については、とにかく資格にはずれなければあとはだれでもいいのだというのでなく、その土地を取得することがその農業のために一番よろしいという人に買わせるということについての指導的な考えでなければならぬと思いますが、これが何もないということはいかなるわけであるか、承つておきたいと思うのであります。
  59. 平川守

    ○平川政府委員 この法案におきましては、先ほど申しましたように、堅実な自作農として農業に精進する者を育成することを対象に考えておるわけでありますが、そういう一つの、やや抽象的でありまするけれども、目標の範囲内にありまする者であるならば、それがだれかということを具体的にきめるについては、結局何人かにこれを選定させなければならぬわけでありまして、その選定させる方法といたしましては、個人の自由にある程度まかせるよりいたしかたがない、それがまた一番適切な方法であろうと考えているわけであります。従いまして、堅実なる自作農というわくからはずれると考えられますところの、非常に大きい経営者及び非常に小さい経営者、これをはずして、あとは、当人同士の自由意思並びに農業委員会の判定、そういうような要素によつて判定するよりいたしかたがあるまいと思います。村の中の土地を買いたい何人かの中で、だれが一番いいかということを序列をつけることは、実際問題としてむずかしいと思いますので、その一定の範囲の中の人であれば、お互い同士の話のついたところでよろしい、こういう考え方であります。実際問題といたしましては、どうもこの辺が一番妥当なところではあるまいかと考えておるのであります。
  60. 石井繁丸

    ○石井委員 一番妥当なところであつて、また一番問題の起るところではないかと考えられるところであります。適当なる自作農ならばというふうな漫然たる考えでなく、また、自作農の人になおふやしてやるのではなく――三反歩以下の農家というものは問題にしないということでいつもやつておるのでありますが、とにかく、これが適当なる自作農になれるようになるべく許可をして、土地を得させるというふうな指導のあり方、あるいは許可のあり方等が最も必要ではないかと思うのであります。まあしかたがないだろう、これ以上はしようがないだろうというのではなく、そういうことが当然であるというふうに農業委員会が、あるいは県等の人が考えるように、農林省が積極的に指導するということが最も必要だと思うのであります。これ以上は、まあしかたがないだろう、このわくに入つているならばしかたがないだろうというようになると、あとは金がある者が買うのだろうというような結論になるのでありますが、そうでなく、先ほどからも申した通りを適当なる中堅農家になれるような人に買わせる、許可をするというような方針をもつて臨むのが、農林省としては妥当ではないかと思うのでありますが、それらについて、ひとつ農林省のほんとうのところを承つておきたいと思うのであります。
  61. 平川守

    ○平川政府委員 なかなかこれはむずかしい問題でございまして、一人々々について、甲が乙よりもさらに適当であるというようなところまで農業委員会あるいは知事、あるいは役人等がきめるということは、少し行き過ぎなのじやなかろうか。やはり大体のところで、中堅農家として、この程度のものであれば農地を買わしてもさしつかえないと思われる範囲のところを、法律としては規定をいたしまして、あとは、村の農家全体がお互によくなるように、村の人々全体が考えて行く、そういう方向に村々の者の考え方を持つて行かせる。こういう一般的な指導と申しますか、考え方で措置して行くのが適当であつて、売買当事者以外の者が、一人々々について、甲は乙よりもさらに優先すべきだというようなことを、あまりにこまかく判断するような規定は、場合によつては弊害も生ずるわけであります。その決定権を持つた人の感情とか、あるいは個人的な事情等によりまして、かえつて弊害を生ずるおそれもあるわけであります。そういう意味から、ある程度の幅を設けて、その中においては相互の当事者の話合いにまかせて行く、こういう考え方をとつたわけであります。
  62. 石井繁丸

    ○石井委員 それでは、残余の質問は明日午前十時からにして、本日はこの程度にとどめておきたいと思います。
  63. 遠藤三郎

    ○遠藤委員長代理 本日はこの程度にいたしまして、次会は明七日午前十時より開会し、質疑を継続いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時五十九分散会