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1952-03-13 第13回国会 衆議院 農林委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月十三日(木曜日)     午前十一時十二分開議  出席委員    委員長 松浦 東介君    理事 遠藤 三郎君 理事 河野 謙三君    理事 平野 三郎君 理事 小林 運美君      小笠原八十美君    越智  茂君       小淵 光平君    川西  清君       坂田 英一君    坂本  實君       千賀 康治君    幡谷仙次郎君       原田 雪松君    大森 玉木君       石井 繁丸君  出席政府委員         農林政務次官  野原 正勝君         農林事務官         (大臣官房長) 渡部 伍良君         農林事務官         (農政局長)  小倉 武一君         農林事務官         (農業改良局         長)      清井  正君         農林事務官         (蚕糸局長)  寺内 祥一君         通商産業政務次         官       本間 俊一君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   佐竹  浩君         通商産業技官         (通商化学局化         学肥料部長)  柿手 操六君         経済安定事務官 藤巻 吉生君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ————————————— 三月十三日  委員田廣文君辞任につき、その補欠として石  井繁丸君が議長の指名で委員に選出された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  農林漁業資金融通法の一部を改正する法律案(  内閣提出第五一号)  農業改良助長法の一部を改正する法律案内閣  提出第五七号)  閉鎖機関日本蚕糸統制株式会社が積み立てた繭  糸価格安定資金の処分に関する法律案内閣提  出第六〇号)  肥料に関する件     —————————————
  2. 松浦東介

    松浦委員長 これより農林委員会を開会いたします。  農林漁業資金融通法の一部を改正する法律案を議題といたし、質疑に入ります。質疑の通告がございますから順次これを許します。大森玉木君。
  3. 大森玉木

    大森委員 大体本案と関連質問になるので、この点を了解願つておきたいと思います。  農林漁業金融の問題でありますが、きようは大蔵省の方は来ておられますか。
  4. 松浦東介

    松浦委員長 大蔵省は見えておりません。
  5. 大森玉木

    大森委員 それでは関連質問のようなことになりますから、大体おわかりならばお答えを願いたいということをまずもつて申し上げておきます。  実は農林漁業金融地方における漁業資金でありますが、今までは建造資金というようなものを出しておりましたが、今度金融関係がどうなつたのか、せつかく農林漁業金融といいながら、今まで融通をしておつた中金がこれをやらないのであります。法律を定めておきながら建造資金というものを全然出さないということを言つておるので、この点について一言でよいからお聞きしておきたいと思います。
  6. 渡部伍良

    渡部政府委員 お話通りこれは中金の固有の事業としてやつておりまして、農林漁業資金融通法では原則として共同施設というものが客体になつておりますので、今までは船の建造には出しておりませんでした。しかし大きい船になりますと一隻で数千万円、数億円というようなことになりますから、それにはこの金ではとても間に合いませんが、五トンくらいまでの船につきましては、こちらの資金でも考えたいというので、今大蔵省と相談しております。現在そういう程度でございます。
  7. 大森玉木

    大森委員 大体それでわかつたのでありますが、以前貸しておつたのが近ごろ中止になつておる。そこで今私はお尋ねいたしたのでありますが、今度の改正によつて五トンまででありますか、それをちよつと伺いたい。
  8. 渡部伍良

    渡部政府委員 大体五トン未満のものを対象にしてまだ相談を進めておるわけでありまして、標準は五トン程度までということでやつております。
  9. 大森玉木

    大森委員 次に土地改良事業の問題に対してお尋ねいたしたいと思います。今度積雪寒冷地帶に対する土地改良事業補助は、農道が二割、土地改良の方が三割というようなことであつたようでありますが、この程度のもので農道が建設でき、また土地改良も完全に行われると考えられるかどうか。私ども地方においては相当困難に遭遇いたしておる。あるいは百万円の農道をつけるといたしますと、大体これに二十万円だ、地元が八十一万円だということになるので、地元農民といたしましては非常に困難な状態になつておる。あるいはせつかくこれを計画して、そしてすべての準備はいたしたが、事業が行われないという状態に相なつておるので、これに対して当局は今後どういうふうに行かれるかということについて、御意見を伺つておきたいと思います。
  10. 渡部伍良

    渡部政府委員 積雪地帶における補助の率が少いではないかというお話でありますが、実は補助融資と両建で考えて行きたいと思つております。補助でうんと率のいいものは補助を主体にすればいいのでありますが、なるべく広くやりたいという考え方から、融資の方は大体地元負担の八割程度まで融資いたしたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  11. 大森玉木

    大森委員 どうもその趣旨が私と違つた考へ方を当局は持つておられる。この積雪寒冷地帯事業というものは何から始まつたものであるかということを、それを扱う当局考えておられますか。これは早場米奨励金というものがなくなつて、六十億が三十億になり、そういう点から單作地帯二毛作地になるということで百年の大計を立てるためにやつた事業が、今お話のように金は八割貸してある、補助は二割だというようなことでは、どうも私ども考えておつたこととは趣旨が違う、地方ではこの積雪寒冷地帶振興臨時措置法というものによつて大改革行つて、そうして今まで補助金でもらつてつたその早場米奨励金をこの土地改良によつてつて行きたい、こういうことが積雪寒冷地帯の問題として取上げられたのでありますが、今のようなお考えだと、大体八割は地元が負つてやる、これではどうも非常にいいことをやつてもらつたんだというような考えを私ども持てないのであるが、今の考え方はそうであるといたしますならば、根本方針にさかのぼつて、いかなる意味でこの問題が出たのであるか、こういうことを考えていただきたいと思います。  さらにこの災害に対しましての補助金の問題であります。これは一つの例でありますが、自分たちのためでなく、ほかの人の事業のために——長くなるから遠慮して簡単に言おうと思つてつたが申し上げますが、ある地方開拓者が入つて開拓をやるために池をつくつた。そのため池は、その部落の人のためには少しも必要ないのでありまして、開拓者のために必要でつくつたのでありますが、そのため池決壊いたしまして、一部落全滅のような形に相なつた場合には、資本家であるならば、おそらく損害は持つべきだと私は思うのであります。しかし開拓民であり、また政府の擁護しているところの事業であるがために、開拓者損害を弁償するわけには行かないと私は思う。こういう場合には、政府はいかなる方法をとられるかということを承りたい。
  12. 渡部伍良

    渡部政府委員 ただいまお引きになつた例のような場合、現在の状態では、災害地に対して補助が出ることになつております。従いまして災害を受けた所で一部、補助のない分は負担するということになつておるのでありますが、現在の法律としてはそれ以外にないと思います。開拓地の方にその負担をかけるということは、ため池をつくるときにそういう約束ができておれば別でありますが、ため池をつくる際に相当そういう点は研究してつくつておるだろうと思いますから、災害が起つて下流地帯災害を受けた場合は、下流災害を受けた地帯に対して補助金をやる以外にない、こういうふうに考えます。
  13. 大森玉木

    大森委員 そうすると、開拓民がつくつたため池決壊によつて下流損害を受けた場合は、私しつかり聞きとれなかつたのですが、下流民がそれを負担するというのですか。
  14. 渡部伍良

    渡部政府委員 そうであります。但し前もつて池をつくるときに契約があれば別でありますが、そうでなければ、下流の人が負担する以外にないのでございます。
  15. 大森玉木

    大森委員 新たにそうした開拓民というものができて、そしてそこに一つのものをつくつたために、それが障害となつて損害をこうむつた。これは当然その損害を負う能力のあるものであれば、これを負担しなければならぬと思う。開拓民だからいけないということは言われない。こういう点は政府として何か考える道がなければならぬと私は思うのでありますが、どうでしよう、この点をもう一応伺つておきたい。
  16. 渡部伍良

    渡部政府委員 詳しい点は農地局からお答えすることにいたしますが、開拓地に池をつくる場合、それの池の容量なり、その地帯降水量なり、そういうものを調べて池をつくることは当然だと思いますので、それが決壊するというようなことは、工事に欠陥があれば別でありますが、異常な降水量によつて決壊するというようなことであろうと思いますから、池をつくつた地元民が、この池の決壊によつて下流損害を及ぼすおそれがあるから、その場合には損害を補償するというような契約は、池をつくるときにやらないのが普通ではないかと思います。従いましてお話のような場合には、被害を受けた地帯に対して補助金を交付する以外にない。その残りは地元民負担していただく以外にはないのではないか。もつと話をさかのぼれば、結局そういう池をつくること自体が農林省なら農林省、県なら県が慎重にやらなければいかぬということになるのではないかと思います。
  17. 大森玉木

    大森委員 大体その池をつくる場合に、決壊をすることを予想してやるわけではない。それは決壊せないものとしてやるだろうと思う。そういうことでありますので、そこまで私は地元民との契約があつたかないかということはわかりませんが、実は現実にこの間羽咋郡堀松村で相当大きな被害をこうむつて一村水田全滅というような形になつた。それが今お話のように下流民の負担だ。自然であるならば、そういうことはない。しかるにそこに一つため池をつくつたことによつてそういう災いが起きたのであるから、それは何としてもそのつくつた人にも責任がある。しかしながら、くどいようでありますけれども、その責任者開拓民であるがゆえに、やはり責任を負う義務は持つてつても、資力を有せないということになる。そうするならば、これは政府がやらしておるような形の事業であるがゆえに、私はこれに対して何か特別のものがなければならないと考えてお尋ねするのであります。何かそういうような方法がないかどうか、またなければ、どういうふうにすればいいかというお考えを承りたい。
  18. 渡部伍良

    渡部政府委員 具体的の例をよく承知しませんのです、が、今の補助制度建前では、先ほどから私が言つているようにする以外にないと思います。しかしその具体的の事例につきまして上流というか、ため池をつくつた地帶下流話合いを県があつせんするなり、国が出て行つてあつせんするなり、あるいは県なり国なりがもつと補助率を増すというようなことを考えるか、そういう点しかないと思います。建前はやはり災害地負担するという以外にないのではないか、あと話合いで行くより、現在のところしかたがないのではないかと思います。
  19. 大森玉木

    大森委員 そうすると今のお話によると、大体普通の補助率以上に、何か調査の結果増すというようなことも考えられるというのですか、もう一応それを承りたい。
  20. 渡部伍良

    渡部政府委員 現在は、制度としてはありません。今度の国会に、災害の異常にきついところについては、補助率を増す法律が近く提案されるようでありますが、現在はないと思います。
  21. 大森玉木

    大森委員 今の場合には、今の法律ではどうにもできないとおつしやられたが、とにかく普通の補助金ならば、災害による補助金はきまつておるのだから、あなたに聞く必要もないし、また私からここで質問をして時間を費す必要もない。だがしかし、こうした問題をいかに救済すべきかということに対しては、何かなければならぬのじやないかということから私はお尋ねしておるので、どうしてもないのならばないということでいたし方ないが、しかしながらこうした問題が起きた場合に、ないといつてこのままに放任すべきものではなはいではないかと私は考える。ゆえに重ねてないならば何かの方法によつてこれを救済する道を講じていただきたいということを希望申し上げて私の質問を打切ります。
  22. 松浦東介

  23. 小林運美

    小林(運)委員 資金運用計画の問題でございますが、この表にも載つておりますが、二十七年度は二十六年度より大分よけいになつております。この計画によりますと、二十六年度の場合に、共同利用施設の中の、主務大臣指定の中にその他というところがございますが、これは二十六年度にはゼロであつたものが、今度は三億にふえております。この詳細はどんなものでありますか。一体主務大臣指定するその他というものはどういう種類のものでありますか。
  24. 渡部伍良

    渡部政府委員 二十六年度の当初の資金計画では、その他をゼロにしておりますが、実際には、たとえば蚕種組合に対する融資とか、はつかの施設でありますとか、おいおい出して来ております。こういうものは当然引続いて予想されますので、二十七年度には、これに対する資金をあらかじめ予定しておく必要がありますので、二十七年度は上げたのであります。二十六年度は、計画では予想してなかつたわけではございませんけれども資金計画には、ほかの要求が非常に多かつたので上げなかつた、こういうのであります実際には出しております。
  25. 小林運美

    小林(運)委員 そうしますと、二十六年度には計画がなかつた。しかし、今度はたとえば蚕種共同施設とか、あるいははつかとか、そういうようなものもやるということですが、この二つ以外のものも何かお考えでありますか。
  26. 渡部伍良

    渡部政府委員 いろいろあります。たとえば畜産の肉の処理でありますとか、あるいはめん羊の毛の処理でありますとか、あるいは農産物のカン詰といつたもの、そういう今申請が出て来ておるものについて審査中でありますが、こういうものは貸した方がいいのではないかというのがいろいろ出て来ております。
  27. 小林運美

    小林(運)委員 そこでこれは実際にあたつていろいろ考えた問題でございますが、この資金融通するほんとうの考え方というものは、これは一応の計画ではありますが、ここに政府計画を立てておりまして共同利用であるとか、その他土地改良林業水産業その他たくさんありますが、これはやはり一応書いたのであつて精神は、農林漁業に必要な融資というものであれば、ケース・バイ・ケースによつてその根本を忘れないようにやつてもらいたい。とかくこういうようなものがありますと、融資希望があつても、この計画に載つておる以外のものはやらないというようなことを考えやすい。ところが実際にあたつては非常に不公平が起きる。たとえば土地改良とかあるいは林業というようなところでは、必要でないかあるかは別問題としても、ほかのものと比較してこの方が実際農民の必要なものだということがわかつてつても、当初の計画にないからそれはできないというようなことで、いやにかたくがんばられて、実際の目的が達成せられないということが往々にあるのでありますから、そういうような面を調整するために、たとえば、共同利用の中にも主務大臣指定というような相当融通のきくものがここに計画されておる。こういうものをもう少したくさんとつて実情に即した金融をやるのが、この資金運用の一番大事なことじやないかと私は考える。そういうような面において実際にあたつて、今もいろいろお話にあつたように、各方面に実際問題として出て来ると思いますから、そういう面を十分お考えの上、今後処置していただきたいと私は考えます。  もう一つお伺いしたいのは、共同利用の中の稚蚕共同飼育が、二十六年度は一億三千万円でありましたが、本年度は六千万円に減つております。これは計画として半分以下になつておりますが、どういう理由でこんなに減らしたのか、その辺を承りたいと思います。
  28. 野原正勝

    野原政府委員 農林漁業資金につきましては、お説の通り、この精神を十分生かすという点において最も効果的にこの資金農村の振興に役立ち、今日の金融の困難を少しでも緩和するということに意義あらしめたいということで努力しておるわけであります。やつておりますうちに、これもやりたい、あれもやりたいというように、いろいろな場合が出て参りまして、従来一応この程度で行こうという目安をつけましても、やつてみますうちに、いろいろかわつて参るのであります。従いましてその場合心々に即応して実効を納めるように、ある程度弾力性を持たればならぬという点においては、まつたく同感でありましてその点は、農林大臣指定するものという点に多少の彈力を持たしなつもりでございます。御質問趣旨等は十分に今後取入れまして、この農林漁業資金融通法精神を十分生かすように努力をいたしたいと思つております。
  29. 渡部伍良

    渡部政府委員 稚蚕共同飼育の費用が前年度に比べて資金が減つておるということでありますが、これは大体各局から要求をとりましてやつたのでありまして大体今年度はこの程度でまかなえるんじやないかというので、六千万円を計上しておるような次第であります。
  30. 小林運美

    小林(運)委員 何だかわけがわからぬお話ですが、要求があんまりないからという意味なんですか。そこは私はちよつと違うと思う。こういう資金やり方は、担当の局なりその他の人たちが、金を貸してやるのだから借りろということを、たいこをたたいて歩がなくても、必要な者があれば、申し込むのは当然ですが、そのやり方等において非常に不親切というような点があります。それから非常にめんどうくさいとかなんだとかいろいろあつて、実際は必要なんだけれどもそのやり方が悪いと、そういうような結果になる。実際現在農村行つてみても、金融が非常に逼迫しておる。どこだつて借りたい。ところがそのやり方が悪いとこんな結果になつてしまう。ことしは相当あつたけれども、今度は減るということは、実際問題としてないと思うのですが、その辺のやり方に私は欠陥があると思う。その点は十分考えてもらいたい。従つて私はこの計画もおかしいと思う。これは一体どこに原因があるのか、もう少し究明したいと思う。これはどうなんですか。
  31. 渡部伍良

    渡部政府委員 私どもの方で見たのは、二十七年度は希望が少いと見たのでありますが、しかしお話のように、貸付方とかあるいはいろいろな点で、借りたくても借りられないというような点は、できるだけ私の方で改めます。しかしそれによつて金額がふえますれば、とにかく二百億でありますから、先ほどのお話のように、六千万円として一わくをきめておるからといつてこれに拘泥するというようなことは毛頭考えておりません。ただ一応年度内に來年度計画をつくらなければいかぬというのでつくつたのでありまして大わくをきめたというふうに御了解願いたいと思います。
  32. 小林運美

    小林(運)委員 その点は大体了承しましたが、必ずしもこの表でこうだから、もう絶対だめだということは絶対にやらないように、実情に即してまた状況等もかわりまして申込みがあつたら、こういう表には拘泥されないで融資をして行くという考えで、今後やつていただきたいと思います。以上であります。
  33. 松浦東介

  34. 石井繁丸

    石井委員 農業倉庫充実のことにつきましては、自画党といたしましても、麦の統制撤廃あるいは米の統制撤廃という問題にからんで、倉庫充実をしなければならぬという建前から、去年の二億円から十二億円の予算を組む、こういうことになつたのだと思いますがこの倉庫充実という根本方針は、何か統制撤廃ということとにらみ合いになつておるのかどうか。その点についての一応政府の所見をお聞きしたいのです。
  35. 野原正勝

    野原政府委員 これは大いに関連があるわけであります。関連があると言えばある、ないと言えばないわけであります。御承知の通り、今日長い間の戰争で、ああいう倉庫などが大分いたんでおります。また老朽しており、新しくもつくらないというようなことで、倉庫が非常に少くなつておる。こればやはり食糧を適正に管理することは、いつの時代でも必要なことでありますが、特にもしかりに統制を撤廃いたしますと、やはり生産地帶の適当な場所に、適当に格納できるだけの施設として食糧倉庫を持たなければならぬということは当然なことでありまして、集荷機関としての協同組合等が活発に活動いたしますためにも、倉庫がなければどうにもならないということにも相なりますし、また特に自由経済にでもなりますと、倉庫に相当期間格納するだけの余裕がありませんと、心ならずも値段の安い時に売らなければならぬということにも相なりますので、統制を撤廃しますと、倉庫は絶対必要である。また統制を撤廃しなくも、今日の段階においてもなおかつ倉庫は必要である。いずれの面から見ましても、倉庫は非常に重要であるということに結論がなるわけであります。しかも従來は政府補助金をもつて相当食糧倉庫をつくつてつたわけでありますが、ここしばらくの間食糧倉庫に対する助成等も困難な事情がありましてそこで農林漁業資金からできるだけの融資をいたし、また利子等もできるだけ安くいたしまして生産者に対して過重な負担をかけないことにいたしたいということで、この法案の改正考えられたようないきさつでございます。その点は統制の問題にも関連があり、また必要な施設であるという点を政府は十分考えておるつもりであります。
  36. 石井繁丸

    石井委員 いろいろの問題に関連して、とにかく倉庫充実が必要であるというのでありますが、これはごもつともであります。そこで政府の方におきまして年間営業倉庫を加えて三百万石の収容不足がある、こういうようなわけでありますが、今年のこの資金でどのくらいできるか、その辺を承つておきたい。
  37. 渡部伍良

    渡部政府委員 全部計算いたしますと、あと二割くらい不足計算になります。ですから大体必要量の八割程度をこの資金で建設して行く。われわれの計算ではそうやつております。
  38. 石井繁丸

    石井委員 そうしますると、大体この種の資金農業倉庫の問題は解消する。残の二割については來年度あたりでは考慮しなくてもいいのか、それとも、あとのものについては来年度別途考えて行こうというお考えですか。
  39. 渡部伍良

    渡部政府委員 一応の試算でありますので、これくらいやれば、大体足りるという考え方をしておるのでありまして、爾後の成行きに従つて不足するようなことがあれば、また考えなければならぬと思います。
  40. 石井繁丸

    石井委員 ただいま野原次官も言いましたが、今後の点につきましては、昔統制のなかつた自由であつたときには、自分の家に積んでおくというようなことが非常にあつたのでありますが、今後の日本食糧重大性から考えまして、自分の家の不完全な倉庫に積んでおいて、虫害あるいは盗難であるとか、鼠害にかかるというようなことがないよう、売り渡すものであろうと、売り渡さないものであろうと、一応完全な倉庫に保管しておくことが必要である。こういうことを考慮しないと、相当鼠害虫害による損失が多かろうと思います。そういうようなことから、飯用以外は農家に保管しないで、全部倉庫に保管を頼む、こういうような指導等もいたして曲るのでありますが、そう考えると、まだ今回の設備だけでは足りないと思いますが、そういうふうに幅広く考えますと、今後どのくらい準備しなければならないか、その点も承つておきたいと思います。
  41. 渡部伍良

    渡部政府委員 倉庫の絶対量は、営業倉庫との関係もありまして、一応現在程度のものが営業倉庫に出されるものという計算でわれわれはやつたのであります。お話のように米麦を俵で倉庫へ入れておきますと、虫がついたりいろいろな被害が出ますので、貯蔵の完全にできる倉庫共同保管させる方針は、農林省として従来とつております。今後もますますそれを奨励して行きたいと思いますが、倉庫の收容力につきましては、大体この程度やればまかない得るのではないかと考えております。
  42. 石井繁丸

    石井委員 今度の農業倉庫につきましては、一応自由党としては、無準備で統制撤廃にかかるのはどうかというような関係で、あわてて倉庫に手をつけたというような様子が見られるのであります。しかしながら根本方針としては、不完全倉庫食糧を貯蔵しておくのはよろしくない。すべて完全である倉庫に貯蔵してそういう欠損を防ぐという構想から、倉庫については考えを進めて行かなければなるまいと思うのでありまして、政府としてもその根本方針としてそこまで考えておるかどうかを最後に承つておきたいと思うのであります。
  43. 野原正勝

    野原政府委員 倉庫につきましては、できるだけこれを完備させるようにいたしたいというふうに考えておりますが、御承知の通り理想的な完全な倉庫をつくるということは非常に金のかかることでありまして、これは今日の段階におきまして、たとえばどこの協同組合にも十分なだけの倉庫を完備することはなかなか容易でなかろうと思います。しかしながら食糧の格納中における損耗というふうなことは、これまた一面において非常に大きな問題であり、政府としましてはいろいろと考えておるわけでありますが、最近は、御承知の通り、單に食糧倉庫の改善のみならず格納中における損耗あるいは変質その他を防ぐための措置としまして、いろいろと新しい試みもなされておりまして、たとえば一種のドラムカン式なものにこれを格納するというふうなことにより、非常に狭い所に相当大量の食糧を格納できるというようなことも実はやつておるのであります。将来これらの普及等が徹底しますれば、あるいは倉庫そのものは割合に簡易なものであつても、格納する効果また収容能力というようなものは、十分その目的を達し得るのじやないかというふうにも考えますが、いずれにしましても、この際政府では取急いで食糧倉庫を十分整備するという方針のもとに、農林漁業資金の中にその融資わくとして一應十二億円を計上したわけであります。もしやりました結果どうしても足りないということでありますれば、先ほど官房長からも説明しましたように、ある程度の弾力は持つているつもりでございますので、その点につきましては適当に善処いたしまして、できるだけ早く倉庫の整備をいたしたい。但しこの点は政府食糧統制の撤廃を前提としてあわててやつておるという意味では毛頭ないのでありまして、食糧統制のあるなしにかかわらず、先ほど来申し上げましたように、最も必要な施設であると考え食糧倉庫充実をやつておるわけであります。
  44. 松浦東介

    松浦委員長 他に御質疑はございませんか。     〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 松浦東介

    松浦委員長 他に御質疑もないようでございますので、これをもつて質疑を終了いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 松浦東介

    松浦委員長 御異議ないようでありますから質疑を終局いたします。     —————————————
  47. 松浦東介

    松浦委員長 次に農業改良助長法の一部を改正する法律案を議題といたし質疑を行います遠藤三郎君。
  48. 遠藤三郎

    ○遠藤委員 農業改良助長法関連しまして二、三の点についてお伺いいたしたいのであります最近だんだん統制が解除になつて参りまして、この農業改良事業というものは、農村の基本的な問題としてきわめて重要になつて来ておるわけであります。そこで私は第一点としまして、農業改良事業と農業委員会の活動との関連について伺つておきたいのであります。先般農業委員会法が本国会を通過しましたときに、本委員会におきましては、農業委員会の職員を〇・八人増員をするという改正があつたときに、その職員は主として農業改良の仕事をやろのだということを満場一致で決議しておるわけであります。この農業委員会の活動が農業改良の方面村づくのり方面にだんだん進んでいるはずでありますけれども、その事情はどうなつておりますか。ことに農業改良の仕事と農業委員会の仕事とが遊離して行つているのではないかということが心配されますので、その点についての活動の実際の動きを、この際伺いたいと思います。
  49. 清井正

    ○清井政府委員 ただいまお話の農業委員会と農業改良事業との関係でありますが、先般の法律改正の際にいろいろの御議論がありましたが、その際いろいろの御意見あるいは附帯決議等がございました中に、まず農業委員会に農業改良に関する専門の部を置いたらどうかという御意見があつたと記憶しております。それらの点にかんがみまして、私どもといたしましては、御趣旨に沿つて農業改良事業の今後の推進をはかるために、農業委員会法の中に一定の規定を置きまして、従来の農業改良委員会にかわります市町村農業委員会の代表者会議というものを法律上設置いたしたことは御承知の通りであります。農業委員会に農業改良関係の部をつくるという問題につきましては、各県においてはこれを必ず設置しておるように聞いておるのでありまして、各県の農業委員会におきましても、この農業改良部会は相当活動しているように聞いております。それから市町村代表者会議でありますが、これは御心配の点もありまして、私どもといたしましては、極力従来の農業改良委員会と同程度の活動をやるべきであつて、農地委員会と合併することによつて農業改良関係の仕事がいささかも支障を生じないようにという考え方を持つておりまして、市町村農業委員会代表者会議というものは法律上一応の臨時的な機構ということになつておりますが、農業改良事業につきましては、しばしばこの会議を招集しまして農業改良にに関するいろいろ事項の御諮問にお答えしていただき、あるいはいろいろ御意見を吐いていただくというふうに、農林次官名あるいは局長名の通牒を各県に出して、指示をいたしたわけであります。その後市町村代表者会議開催の状況を調べてみますと全県をすべて調べたわけではありませんが、大体私どもが聞いておる範囲におきましては、私どもの線に沿うて会議を開催しているというふうに拜承しております。農業委員会の組織の改編に伴いまして、従来よりも農業改良事業が等閑に付されているのではないかということは、ただいまのところないと私は考えておるわけであります。
  50. 遠藤三郎

    ○遠藤委員 農業改良の問題と農地委員会の問題は非常に重要な問題でありまして、これからの農村の農業改良の問題については、やはり農業委員会が主導的な地位を占めて行く。しかも農地委員の問題、あるいは農業調整の問題等がだんだん事業の分業少くなるに応じて、そのあとに農業改良の仕事がずつとかわつて行くのだ。農業委員会の機能が停止されて新しい農業改良委員会のような性格を持つたものが生れる。そういうようなことにならないように、事前にその転換をして行く。将来日本の農業の前進をする一つの拠点になつて行くことがこの農業改良の問題だと思いますが、その場合にスムースに転換ができて行くように、十分ひとつ御注意が願いたいということをこの際申し上げておきたいのであります。  それから第二の問題といたしましては、先般植物防疫法が本国会を通過したのでありますが、この植物防疫法に関連をいたして、今回の予算におきましても最末端の発生予察の職員を農業改良の職員として五百何十人かをとつているはずであります。これは非常にいい予算でありまして、この農業改良の面からいいましても病虫害の駆除、予防ということは非常に大事でありますただしかし、法律が二本建の建前になつておりますから、一方においては農業改良の方から指令が行く、他方においては病虫害の駆除、予防の方面からの植物防疫法の関係の指令が行く。その指令を受けるところは最末端においては一つになつて行く。こういうような議論がありまして、農業改良と植物防疫の関係がなわ張り争いをやつているようなことになりますと、末端が非常に迷惑するしかもその機能は半減をされて行くのではないか、ほとんど動けないようになるのではないかということをわれわれは非常に心配したのでありますが、この点についての運用を現在どうやつておられるか。われわれが心配しておつた点が実際はどういうふうに動いているか。その点を農政局長と改良局長の両方からお伺いしておきたいと思います。
  51. 小倉武一

    ○小倉政府委員 発生予察の関係の職員が増員になりまして、病虫害の防除に協力することになつているわけでありますが、今お話地方に置かれます防除所については、職員が増加になりませんので、機構といたしましては、発生予察は試験場関係の仕事、防除の方は農林部の行政的な関係の仕事というふうな二本建にわかれておりまして、そこに若干不ぐあいがあるのではないかという御心配でありますが、その点につきましては防除所を普及事務所とか地方事務所というようなところにおきまして、発生予察員が協力するという態勢を実はとつているのでありまして、お話のようななわ張り争いというようなことがないように努めているのであります。
  52. 清井正

    ○清井政府委員 ただいま農政局長から御説明申し上げたことで盡きているのでありますが、私どもといたしましても、主として農業改良関係は調査と申しますか、発生予察関係でありまして、防除関係はいわゆる末端の防除員、常備の防除員という関係になつているのであります。御心配の点の、いわゆる末端の防除員と普及員との関係でございますが、ただいま農政局長が御説明申し上げました通り、末端は一応防除員と普及員というふうになつているのであります。ことにこういう重要なまた急速を要する事務でありますので、この点一体となつてこの事業の円滑なる運営に努力をいたしているのであります。
  53. 遠藤三郎

    ○遠藤委員 ただいま両局長から、一体になつて運用しているというお話を伺いまして、非常に安心したわけでありますが、この問題は非常に小さな問題のようでありますけれども農村へ参りますと非常に大きな問題であります。どうか農政局と農業改良局とが渾然一体をなして、一方においては病虫害の駆除予防を徹底的にやる。同時にそれは農業改良と不可分に結びついて行くのだ、そういう心構えで、ひとつ間違いのないように運営をしていただきたいということを、特にお願いをしておきたいと思います。  それから第三の点でありますが、農業改良の問題については、最近専門技術員の活動、あるいは指導普及員の活動等がだんだん地について来たように私は見ております。この農業技術の改良、あるいは改良普及員の活動等は、農村の方から見ますと何らのさしさわりがなくて、この活動が強化されればされるだけプラスになつて参ります。一つもさしさわりを生じない問題でありまして、非常に農村の方では、この活動に期待をして参おるわけでありますところが実際の問題になりますと、これらの活動をしておる人たちの動きを見ておりますと、非常にいいことをやつておりますけれども、実に動きが鈍いのであります。これはどこから来るかというと、やはり予算が足りないのだということを、関係の普及員等は異句同音にみな言つております。ほとんど旅費なんかも出ていないのではないかということを言つておるわけでありますけれども、これらの予算関係についてどういう扱いをしておるか、ここでお答えを願いたいと思います。
  54. 清井正

    ○清井政府委員 ただいま改良普及員関係の予算についてのお尋でございますが、改良普及員のうち、農業改良普及員の方は大体各市町村一人程度の人数も持つておるのでございます。その活動費といだしまして、ただいま予算に計上しておりますのは、専門技術員が年間二万四千円の旅費でございまして、農業改良普及員の方は、年間一万二千円という単価になつておるわけであります。そのほかに庁費が四千円ございます。旅費は前年一万円で、ございましたが、いろいろお話を願つて若干増額をいたしてもらつたのであります。この旅費はただいま申した通りの金額でございますが、そのほかに自転車の修理費か計上されておるのであります。現在はそういう程度の直接の活動費が含まれておりまして、そのほかいろいろパンフレットとかリーフレットなど印刷物を配布する予算、あるいは幻燈スライド代等普及に要する金が出ております。それからただいまの農業改良の方でございますが、生活改良の方につきましても員数は大体二十七年度は、二十六年度の約六百九十人に対しまして一千人ばかりに増加になりまして旅費もただいま申しましたのと同じ單価の専門技術員については二万四千円、改良普及員については一万二千円、庁費は四千円、そのほかに実際の活動費として自転車の溝入費、そのほか幻燈スライド代等を含んでおります。その程度に現在なつておる次第であります。
  55. 遠藤三郎

    ○遠藤委員 この問題については大蔵省の予算課長もおられるようでありますか、予算の事情もあると思いますけれども農村の方としましては、農業改良関係の技術員、あるいは改良普及員の活動に非常に大きな期待を持つておりますので、どうかなるべく十分に活動ができるように、ひとつ考えてやつていただきたいということを申し上げて、私の質問を終りたいと思います。
  56. 小淵光平

    ○小淵委員 ちよつと関連して……。ただいまの農業改良普及員の活動に関しての問題でありますけれども、私ども地方におりまして、普及員との座談会を開きまして、一番痛切に訴えられる問題は、その日の懇談会を済まして、なるべくその晩どんなにおそくともうちへ帰つて来たい。そこへとまれば、翌日どうしても半日つぶれてしまうので、これの解決の方法として、いろいろ協議をしてみたけれども、今一人一台ずつの自転車が配られておるわけだが、これを何とかくふうをして、軽装な自転車についておるオートバイ兼用にできるようなものがあれば、必ずその日に帰つて来られて打合せまでできるのだが、どうかそういうふうにしてもらいたいという声が痛切に上つておるわけであります。これがただいま一会一万円ずつという予定で組んであるというお話でありますけれども軽いオートバイを購入しますと、その予算はもちろん膨脹すると思いますけれども、よんどころなければ、多少その方を削つても、それにかえるようなことができれば、ぜひしてもらいたいということになつております。改良局としても、しばしばそういう陳情等がなされていると思うのですが、これについての考え方を、どんなふうに進めておるかお伺いいたしたいと存じます。
  57. 清井正

    ○清井政府委員 ただいまの御質問でございますが、ただいまもお話通り、改良普及員が各農家を巡回いたしましたり、いろいろ活動いたす場合に、非常に多忙なために、できるだけ活動の能率をよくしたいという希望はたびたびあるわけでありまして、自転車についているく私の方で心配しておりますのも、そういう希望があるからであります。ただいまのお話の、いわゆるもつと能率をよくするために、自転車に軽い装置をつけてオートバイ的なものを補助したらどうかというお話でございますが、地域によりまして、こういつたものを特に必要とする地域からは、確かに要望があるわけでありますしかしながらただいまも御説明申しました通り、自転車購入費としての一万円が基礎の單価になつておりますので、現在ただちにそれの單価を増すということは、全体の全額の関係上いたしかねるわけであります。県によりましては、配付された金額の中から、適当の数量をそういつたものに出すこともできるかと思いますけれども、問題は單価の問題でございます。相当金額がかさみますが、そういつたものを購入いたしますれば、一般の自転車の購入数量が減るということになりますので、結局問題は全体の單価に関通いたしまして、総金額を増加しなければならぬ問題になるわけでありますが二十七年度の予算額といたしましては、ただいま申しました通りの予算額であります。しかしながら私どもといたしましては、その必要は十分感じておりますから、近い機会を捕えまして、できるだけ能率的に働いていただくという方向にせつかく努力をいたしたい、こう考えておる次第であります。
  58. 小淵光平

    ○小淵委員 もちろんつき詰めれば予算の問題に帰着するのでありますけれども、痛切に言われておる地域は、非常に山間部で広汎な地域にあるところのものが、さようなことを強く言い出しておるのであります。たとえば群馬県の私どもの村でありますけれども、四つの郡を合せたほどのところが一つの村になつておるような、地域も浅間山麓にはあるわけであります。そういうような地域のところをモデルとして文明の利器とでもいいましようか、そういうものを利用すると非常に能率的になる。ただ体を楽にしたいということでなくて、エネルギーの消耗がはなはだしくて、翌日仕事にならない。とまつてしまえば、その翌日半日つぶれてしまうというようなこと、がありますので、でき得べくんばモデル地域として、そういう広汎な、ごく山間部の地域等にやつてみていただくように御配慮願いたいと思います。  いま一つの問題は、指導員は、各専門的な技能を持つている人たちがそれぞれ配られているわけでありますけれども、その人たちが寄つて、今日一日いろいろ協議したことについ話合いをして、お互いに農業改良の面で向上して参ろうという制度になつておりまするが、その人たちが寄るところに、何らか帰つて行けばお茶ぐらい飲める、あるいは一人の留守居のおばあさん等の費用が少しあつて、寒いときには火に当ることもできるということであれば、そこへ寄りたいということになるし、そうでなければなかなかそこへ寄りたくないという気分になるので、わずかなことであるが、その点を何とか解決してもらいたいという声が非常に強いわけであります。これらの費用については、幾らかのものが出せる余裕があるのかどうか、この点をあわせてお伺いいたしたいと思います。
  59. 清井正

    ○清井政府委員 ただいまのお話でございますが、大体現在は特殊地域のたまり制をしいております。普及員と普及事務所といつたようなものをつくりまして、そこに数人の普及員、生活改良、農業改良の両方がたまりをつくつて、農業及び生活の改良のいろいろな相談をしたり、研究をしたりしているわけであります。そういつた場所における一つ施設といたしまして、あまり貧弱ではないかという曲説でありますが、なるほどただいまの私ども補助金といたしましては、人件費について一人当り四千円の庁費でございますけれども、実際問題としては、万遍なくそういつたような施設を設けることが不可能であろうと思います。県といたしましても、いろいろ県費を出しまして、相当施設をいたしているようなところもありますが、遺憾ながら予算等の関係もありますので、どうも思うような施設はできにくい状況であろうかと考えております。私どもといたしましても、もちろんそういう必要を感じておりますので、できるだけ私どもの将来の問題といたしまして、画期的な庁費を予算に組むということも将来考えてみたいと思いますが、県にもできるだけ県費を出していただいて、そういう施設を拡充していただきたい、こういうふうに考えておりますので、両様の方法ど進んで参りたいと考えております。  いま一つの問題でございましたモデル地域について、特に能率的に動くようにしたらどうかというお話でありますが、この点は二十七年度の予算運用の問題でございますので、御趣旨に沿うように努力して参りたいと考えております。
  60. 松浦東介

    松浦委員長 他に御質疑はございませんか。——ないようでありますから、これをもつて質疑を終局いたしたいと思いますが、御異議、ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 松浦東介

    松浦委員長 御異議ないようでありますから質疑を終局いたします。     —————————————
  62. 松浦東介

    松浦委員長 次に内閣提出閉鎖機関日本蚕糸統制株式会社が積み立てた繭糸価格安定資金の処分に関する法律案を議題といたし、審査に入ります。本案の趣旨について、政府の説明を求めます。野原農林政務次官
  63. 野原正勝

    野原政府委員 ただいま本委員会に付託になりました閉鎖機関日本蚕糸統制株式会社が積み立てた繭糸価格安定資金の処分に関する法律案の提案理由を御説明いたします。  日本蚕糸統制株式会社は、旧蚕糸業統制法の規定に基いて、蚕糸の需給の調整または価格の安定をはかる目的で昭和十六年五月に設立された特殊法人でありますが、昭和二十一年三月に解散になり、次いで昭和二十三年八月に閉鎖機関に指定され現在清算中であります。  繭糸価格安定資金は、旧蚕糸業統制法の規定によつて統制会社が個々の蚕糸業者にかわつて繭糸価格の発動による危険を負担し、蚕糸業の安定をはかるという目的で年々積み立てて来たものでありますが、この資金の積立てについては税法上特例がとられ、会社の純益の計算の上からは損金に算入されておつたものであります。  このように、この資金は特殊な性格のものであり、その処分についても、蚕糸業法の規定によつて統制会社が解散したときは、全国を地区とする蚕糸業会で主務大臣指定するものに引渡さなければならないとされていたのであります。しかして統制会社が解散されてからこの資金の継承団体として日本蚕糸業会が指定されましたが、引渡しが未完了の間に同業会も昭和二十二年十一月閉鎖機関に指定され、これに引渡してもこの資金の本来の目的を達成することが不可能となりましたので、引渡さないままに現在に至つております。  ところが今回繭糸価格安定法の成立によつて政府が繭糸価格安定制度を実施いたすことになりましたので、この資金の本来の目的に沿つて国に引渡すことにいたしたわけでありますが、その際、旧法人税法及び旧営業税法により法人税並びに営業税を課するにつきましては、それぞれ清算所得または清算純益の計算上、この資金を残余財産の価額から控除するという課税の特例を定めりたわけであります。  なお、この資金の額は一億六十五万五千円で、前国会で成立した補正予算においても歳入として計上されております。  以上が本法律案の概略でありますが、何とぞ愼重に御審議の上、すみやかに御賛同あらんことを切望いたします。     —————————————
  64. 松浦東介

    松浦委員長 本案に対する質疑は次回にいたしたいと思います。
  65. 松浦東介

    松浦委員長 次に肥料に関する件について調査を進めます。去る二月二十九日の本委員会におきまして肥料の価格の安定並びに輸出に関する件の決議を行い、議長に報告するとともに、関係各大臣あて参考送付いたし、あわせて本件に関する政府の措置について本委員会に御報告相なるよう要望いたしておきました。この際政府の説明を求めます。野原農林政務次官
  66. 野原正勝

    野原政府委員 政府といたしましては、本農林委員会の御決議の趣旨を十分尊重いたしまして肥料の輸出によつて国内価格が現行の価格水準を越えて高騰回することのないよう、肥料の製造業者及び取扱い業者に対しまして自粛せしめるために強力な行政措置をとることにいたしたのでありまして、右の措置によりまして国内価格が高騰しない限り、政府は既定の輸出計画による、まだ輸出の計画の残つておりまする分を国内の需給事情等をも十分にらみ合せまして国内への影響を極力押えまして、影響のないような措置を講じましてこの三月から七月の間に、適宜適正な計画のもとに輸出を行うという方針に決定を見たのであります。この点につきましてこの際御了承をお願いしたいと思う次第であります。
  67. 松浦東介

    松浦委員長 質疑の通告がありますから、これを許します。河野謙三君。
  68. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 ただいまの政府からの当委員会に対する回答によりまして現行価格水準を上げないという条件のもとに輸出を許可するということに決定されたようでありますが、この際伺つておきたいと思いますことは、     〔委員長退席、平野委員長代理着席〕 去る三月の五日の参議院の農林委員会で、廣川農林大臣は森田豊壽委員質問に対しましてかように答弁しております。「私は私どもはよくメーカーが来て上げてくれというようなことを言うのでありますが、現行の価格より少くとも下げないうちは、輸出は私は承認しないと、私はこう言つてがんばつておる最中であります。」こういうことを言つております。しからば農林大臣の参議院における答弁は現行価格さえも否定しておる。しかるにわれわれ委員会の要望の線に沿つて現行価格を一応認めてそうしてその範囲内において輸出する。こういうふうに今政府からの回答がありましたが、これは農林大臣の参議院における当弁と少しく矛盾かあるのでありますが、その後これは三省と申しますか、政府部内におきまして相談の結果、かようになつた。従つて相談の結果農林大臣は下げなければ輸出しないというのを、現行価格を認めるということに農林大臣が修正されたと思いますが、その点につきましてひとつ農林省から、どういういきさつでこういうことになつたか伺いたいと思います。
  69. 野原正勝

    野原政府委員 参議院の農林委員会における農林大臣の答弁と食い違いがあるということでありますが、さほどの食い違いはないと思つております。当時としまして御承知のごとく農林省といたしましては、あくまでも肥料の価格ができるだけ安くなることが好ましいことでありますので、農業政策の上から見ましても、現実に肥科が高過ぎるということは常識であります。何とかして肥料が安くなつてくれることをわれわれは心から念願しておるのでありまして、特に輸出等の問題に関しましては、御承知の通りわれわれとしましては、司令部等からの要請等もございまして、国内における肥科の増産ができた際においては、ある程度の輸出もやむを得ないということで承認を與えた過去の事例もあるのでありますが、その際におきましても、絶対に価格が上らぬことをわれわれは期待もし、通算当局ともしばしば連絡をとつてつたのであります、が、ややもしますというと、肥科の価格には、この輸出を一つのポイントとして上るというような現象が過去においてございましたので、この際われわれとしまては、こういう点は十分警戒を要するという点から、相なるべくならば、現行価格が少し下るというくらいなことにならなければ、輸出に対しては賛成をいたしかねるという点を卒直に大臣の見解と申し述べりたものと私は了承するのであります。今日におきましても、農林当局としましての考え方は依然としてかわつておりませんけれども、輸出の問題はひとり農林省だけできめられる問題でもないのでございまして肥料生産等の問題につきましては、御承知の通り通産省及び安定本部等も關與します。特に通産省所管として生産の方の仕事を担当してもらつておるのであります。農林省が卒直に農民の立場において主張するという点におきましては、今後とも大いに努力をいたすつもりでございますが、今回の措置につきましてい、三者十分に緊密な連携をとりまして少くとも現行価格を上まわらない、これより上らないということを絶対の要件としてならば、われわれも考えなければならぬ。しかも需給の事情等も十分にらみ合せまして、一どきに大量のものを出すということは、いくら価格決定があつたとは言いながらも、国内における肥科の需給等にいろいろ変動がある。そのために時期的にもいろいろ困難が生ずる、あるいは価格の高騰が起るかもしれない。そういう点も考え合せまして、時期的にさような影響のないようにという点を十分おもんばかりまして三月から七月の間に適正な計画のもとに輸出をする。しかも現行価格以上に上らないという建前をもつてこの際メーカーに対しましても、十分自粛をするようにという要望、またもしこれがその計画通り進みまし実際においてはなはだしく高騰したということがありますれば、ただちに農林省当局としましては、適切なる措置を講じまして、肥科の価格が上らないように十分なる善処をいたしたいと考えておる次第であります。
  70. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 今の御説明によりまして先ほどの参議院の農林大臣の答弁は、農林大臣としての気持を織り込んであるというふうに解釈しますが、どうぞ今後も農林省は、肥料行政に対しては従来のように自主性を喪失しないで、しつかりと農林大臣の気持そのままでひとつやつていただきたい。ところで現行価格以上に上げないということについて適当なる行政措置云々ということでありますが、行政措置とは一体どういうことか、これをひとつ私は伺つておきたいと思います。
  71. 野原正勝

    野原政府委員 この適当な行政措置を講ずるという点は、実は肥料関係業者を招致いたしまして通産、農林、安本等の了解として今回方針をきめました線に沿いまして、この際十分自粛をしてもらいたいという一応の勧告と、また生産業者の方たちが、これに対して十分責任をもつて政府に協力をするという確約を勧める。もし万一にも、そういう約束はしたが、さてその後価格の値上げが行われたというふうなことになりましたときには、ただちに輸出等を取消す等の措置もやむを得ないという点をも含めた行政措置と御了解をいただきたいのであります。
  72. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 今の御説明によりまして、行政措置についていろいろお考えがある、もし政府が目標だとする現行価格水準を上つた場合にはただちに輸出のさしとめ等の行政措置をとる、ここに私はみそがあると思います。これはそこまで政府が御決心をいただいておるならば、それをもつて了承いたします。しからば現行価格水準とは何か。この前のわれわれの方の委員会の要望は、現行価格水準は小売価格をさしておるのであります。しかし一応この要望書を出しましたときに、農政局長に現行価格につきましての御説明を伺いましたが、当時二月二十五日の市況調査として卸売価格が九百九十二円ということを言われました。これはもちろん間違いはないと思いますけれども、もう一ぺんこの点を、大事な問題でありますから確認しておきたいと思います。
  73. 小倉武一

    ○小倉政府委員 この前御質問に応じましてお答えしましたように、当時の卸売価格の平均値九百九十二円でございました。
  74. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 そういたしますと、今後の取引におきましては、卸売価格が平均の九百九十二円、これ以上の価格は平均価格としては出て来ない。たとえば具体的に申すならば、北海道から鹿児島までを一手に買付しておるところの全購連の契約値段は、全購連並びに県購連の口銭までも内口銭にしてそうして九百九十二円を上らない、こういうことになると私は思いますが、それで間違いありませんか。
  75. 小倉武一

    ○小倉政府委員 現行価格水準を限度とするということでありますから、大体お説のようなことと私どもは了解しております。
  76. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 しつこいようでありますが、大体でなくてやはりそれがはつきりとしなければ私はいかぬと思います。その点もう一度、どうしても大体という字をつける理由があるのはどこに意味があるのか、それを伺いたい。
  77. 小倉武一

    ○小倉政府委員 この前申し上げました価格は平均でございましてその平均も單純なる十五箇所の平均でございましてウエートといつたようなことを考えなかつたのであります。従つて詳細に分析してみますと、当時の日本の硫安の卸売価格の水準が正確にそうであつたかということになりますと、それはいろいろむずかしい問題になるので、そういう意味合いにおきまして申し上げたのでありまして別に他意はないのであります。
  78. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 それでは全購連の販売価格は九百九十二円、これは全購連の口銭と県購連の値段の口銭、これが内口銭として入つたものである。それでそれを上らないということで、私はさようは政府が解釈しておるということに了承してこれ以上この問題には触れません。もしそれがさように了承していけないならば、もう一ぺんあらためて御答弁いただきたい。  それから次に数量の問題でありますが、新聞紙上に発表されておるところによりますと、ここで一時に三万五千トン硫安を出すとか、四万五千トン出すとかいうような話がありましたりが、はたしてこの機会に、政府に一度にそれだけのものを輸出許可を與えるいかなる準備があるか。それを私は非常に疑つておる。輸出については、現行価格の範囲内において輸出を認める。これはわれわれも大賛成であります。しかしものには順序があります。方法があります。一体農林省の方では、昨年の現在と本年のこれから春肥を迎えるという今日ただいまのところを比較されたことがありますか。昨年の現在におきましては、政府肥料公団の名において四十万トン以上のものを手持ちしておつて、そうして春肥を迎えたはずです。しかるに現在は政府手持ちのものは何もありません。メーカーのストックが少しふえたというようなことを聞いておりますが、これとても十五万トンも二十万トンもあるわけではありません。今後の生産におきまして六月までの間に毎月昨年よりは二万トン、三万トン増産はあるかもしれません。しかしその増産分は、昨年の当時持つておりました肥料公団の手持ちの半分にもなりません。そういうような場合に、一体これからいよいよ肥料の実需期に入ろうというときに、こういうふうに大々的に輸出数量について天下に宣伝これ努めるというようなことは、いかに現行価格水準を維持する行政措置をとると言いましても、今後の三、四、五のこの実需期に対して何らかの懸念を持つておるはずだと私は思います。それをそういうことは一切心配ないというならば、心配ない数字を私はひとつこの際教えていただきたい、こういうふうに思います。
  79. 小倉武一

    ○小倉政府委員 御懸念の点まことにごもつともでございまして私どももその点はいろいろ調べておるのであります。二月末までの、一部推定が入つておりますが、大体の実績によりますと、硫安では、当初計画に比べまして約八方八千トン余り増産になつておるのであります。もつとも窒素質肥料全体といたしますれば、石炭窒素が計画に若干遅れておりますので、窒素質全体といたしましての当初計画に対する増産量は、二月末におきまして五万五千トン余りであります。従いましてもちろんこの中には既定の輸出をいたしました二方五千トンがございますので、残りは三万トンぐらいになるわけでございます。かように生産が大体順調に行われておりますので、この際台湾向けの輸出を認めるということも、さほど心配はいらないのではないかというふうに存じております。
  80. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 現在のところの説明がありましたが、その説明の中に、私は非常に落ちている点があると思う。硫安と石灰窒素というものは、別々に計算すべきものではないと思う。窒素肥料として硫安、石灰窒素というものは一つわくの中で需給推算をすべきである。また従来そうしております。しかるにこの際何で硫安、石灰窒素を織り込まないでそういう御説明をおやりになるか、私は他意があるのではないかと思う。この点他意があるなら、その他意のあるところをお示し願いたいと思います。
  81. 小倉武一

    ○小倉政府委員 ただいま申しました五万五千トンというのは石灰窒素の足りない分を補つた上の数字でございまして、硫安だけで申し上げますれば八方八千トンでございますが、窒素質肥料全体といたしまして五万五千トン余り当初計画に対して増産となつておるというふうに申し上げたのであります。
  82. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 当初計画は、輸出の場合の根拠数字にならぬと私は思う。輸出をせんがための十五万トン増産計画すなわち改訂計画というものがすべて輸出の数字をはじき出す場合の根拠数字だと思う。改訂計画に基きますと——これは自分の手元にありますけれども二月末でまだ二万トン弱のマイナスであります。しかるに先ほど申し上げたような三万数千トンの輸出をここで一時にとりきめるということにつきまして私は伺つておるのであります。同時にこれから三月、四月、五月、六月と春肥が終るまでの、農林省はどういう需給推算を持つておられるか、昨年の三月から六月まで出荷した数量をそのままとり、需要量をかりにそのままと仮定してとつた場合に、一体マイナスになりませんかそれを非常に心配しておるのですが、ひとつ伺いたいのであります。
  83. 小倉武一

    ○小倉政府委員 昨年と対比してのお尋ねでありますが、供給の方は、昨年と比較いたしまして二月末から本肥料年度末の七月三十一日までの計画を申し上げますと、去年は百二十三万トンでございました。本年は百十五万トン近くであります心ところで需要の方を見ますと、昨年はこの三月から七月までの聞の需要量が大体九十三万トンであります。これに対しまして本年は、年間の需要量が大体去年とほぼ同じく二百二十一万トン程度というふうに見込みますと、去年の八月から本年の二月までに出荷したものを差引きまして今後の必要出荷量というものは九十五万トン程度になろうかと思います。そこで先ほど申しました本年三月以降の供給の計画百十五万トン逝くと比べてみますと、若干のゆとりがあるのではないか。七万五千トンの解出花の計画を除きますと、来肥料年度に持ち超す数量は十二万トン余りとなるのであります。持超し肥料が若干少いのではないかという御議論があるかとも存じますけれども、これは今後豊水期を迎えまして計画以上の増産ということを期待しまして既定の輸出はできるもと考えております。
  84. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 遅くなりますから、その数字の問題は別の機会に讓りますが、持超量はももろん少いのであります。これをさらに月別に検討すると、いわゆるピーク時においてやり繰りのつくはずがない。そこでこの問題についてはただいま申し上げましたように別の機会に検討させてもらいますが、ただ一言ここにつけ加えておきでたいのは、ここでかりに三万五千トンの輸出をきめました場合に、あと残る問題は朝鮮の四万何千トンかの問題であります。朝鮮の輸出の問題については、いかなる時期に今後おやりになるつもりか。もちろん増産の実が上らなければ、これは御破算になるでしよう。かりに増産の実が上つたとしていかなる時期にこれをおやりになるか、これをひとつ伺つておきたい。
  85. 小倉武一

    ○小倉政府委員 朝鮮の方につきましては、もちろん私どもといたしましては、この麦の最盛期が過ぎて後にいたしたいという強い希望を持つておりましてそういうふうに関係各省とも話合いをいたしたいと考えております。またさようにできるのではないかと考えております。
  86. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 それをこの際ぜひはつきりしていただきたいのです。大体は農政局長の話でわかりますが、最盛期を過ぎた後において扱いたい。これはもつと具体的に言えば、五月までは出さない。六月、七月において朝鮮の輸出の問題は処理する、そういうことになると思いますが、ただいまあなたから御答弁いただきました、最盛期を過ぎてから云々ということと違いますかどうですか、その点を伺いたい。
  87. 小倉武一

    ○小倉政府委員 御趣旨のようなことと存じております。
  88. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 しからばさらに端折つて次に移りますが、われわれ委員会の要望として、石灰窒素の増産対策をすみやかに樹立しろということと、これに関連して従来のつカーバイドの横流しのことについての御答弁を求めておきます。過日参議院の農林委員会でカーバイドの横流しの事件が問題になつたときに、通産当局は、私に言わせればきわめて良心的でない答弁をしておられる。極端に言えば、議院を侮辱した答弁をしておると私は思う。一箇年を通じて石灰窒素の予定計画ができればいいのだ。各月々々のことは言つていない、こういう御答弁のように伺いましたが、少くともカーバイドや石灰窒素をつくつておる工場は、他の工場と違いまして石灰窒素をつくるのに優先的に電気の配分をきめておられる。従つて必要の時期——現在のように石灰窒素が非常に足りない、価格が硫安に比較して暴騰しておるというような際は、石灰窒素を優先につくるべきだと思う。しかるにさように年間を通じて数字のつじつまが合えばいいのだというような答弁は、——現在の石灰窒素は月別に生産計画を法的にきめておるわけではない。従つてそういうことも法的には云々する余地はないかもしれませんが、少くとも生産行政を指借律しておられ、しかも電気知の配分にいていろいろめんどうを見ておられる通産当局の最良の気持ではないと思う。それを昨日の参議院の答弁のように、現在もなおそれがあたりまえだ、それでいいのだというふうにお考えになつておるか、これをひとつあらためて伺つておきたい。良心的にお答え願いたいと思います。
  89. 柿手操六

    柿手説明員 お答えいたします。この前参議院で問題になりましたのでお答えいたしましたのは、石灰窒素は硫安とちよつと違いまして電気のあるときにカーバイドをつくつて、そうしてそれをたくわえて渇水期に石灰窒素にすることができるという性質の事業でありますので、毎月割当てました電気の量と石灰窒素になる量とは、必ずしも毎月々々ぴつたり合わない。その工場の都合によつてある月はカーバイドに重点を置いて石灰窒素の方の操業を落す、ある月は予定以上に石灰窒素をつくるというふうに、電気の割当と石灰窒素の生産量とは必ずしも一致しないということを申し上げたのでありまして、一年間を通じて計画量に達すればそれでいいと申し上げたのではないのであります。それから私が申し上げました去年の一月から十二月までのカーバイドの生産量と石灰窒素の生産量を比較してみると、カーバイドの総生産量に対しまして、石灰窒素につぶした量が、当初予定いたしました量より幾分石灰窒素の方が少いという事実は確にあるのであります。それは必ずしもいいとは私は思つておりませんが、この点につきましては、昨年の十二月末に約三万八千八百トン、石灰窒素に換算して五万二千トンばかりのカーバイドがありますので、昨年の十、十一、十二月の石灰窒素の生産は一万九千トンから二万三千トン、二万七千トン程度であつたものを、一月からそのストックのカーバイドを重点的に石灰窒素につぶすというようにして一月は三万三千トン、二月は三万四千トン、三月はさらにこれを四万四千トンまでにするという計画にしたのであります。これは一、ニ、三月の電力の割当量から言えば、そういうことができない数字になつておりますけれども、去年の暮れまでにできましたカーバイドをもつてこれに間に合せるように努力いたしたいと思います。
  90. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 そうすると、これは言葉は適当ではないと思いますが、極端な表現をすれば、カーバイドの横流しと申しますか、こういう事実が昨年の暮れまでにはあつた、しかしこれは非常にいけないことであるから、この一、二、三月は石灰窒素に大急ぎで埋めさせる、また埋めるべく今やつておるというように率直にお認めになつた、こういうふうに解釈しますが、同時に今後はやはり電気の配分との関連において、必要な時期に施肥に間に合うように、カーハイドその他のものよりも何よりも優先的に重点的に石灰窒素身生産させるように、通産省は責任ある指導をする、こうういうことに承知してよろしいですか。
  91. 柿手操六

    柿手説明員 昨年の一月から十二月までのカーバイドの生産量に対する石灰窒素の生産量、比例的に言えば少一かつたことは事実であります。これも横流し云々というふうには私ども考えておらないのであります。カーバイドの出荷量が当初計画よりも幾分多いことは認めますが、さらに二十五年度末のカーバイドのストックが非常に多かつたという点もありますので、われわれといたしましては、三月までに重点的にやることによつて当初計画いたしました石灰窒素の生産をやつて行きたいと考えております。
  92. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 最後に石灰窒素の増産の問題についてお伺いいたします。これも新聞紙上によりますと、増産協議会と申しますか、増産対策審議会と申しますか、かようなものを急速につくつてそうして今通産省はこれに対するいろいろな具体的問題を考えておる、こういうふうに書いてありますが、これについて少しく伺いたいのと、それからその際にどういうわけですか、電気化学という石灰窒素の三割五分も生産しておる大メーカーが、通産省の意図に沿つてこの増産の審議会に加わらないということでありますが、これについては何かいきさつがあるのじやないかと思います。またいきさつばかりではありませんで、そういうことによつて政府の石灰窒素増産の意図というものがひつくり返るのではないかと思いますが、この点を御説明いただきたい。  それからさらに一昨年の秋問題になりました燐鉱石のキャンセル問題、これにつきましては、私文書をもつて過日政務次官に御回答をいただきたいということを申し上げたのです、が、本日御用意がなければ、早急にひとつ文書をもつて、このキャンセル問題のいきさつ並びに今後の政府のとるべき措置について御回答をいただきたいと思います。
  93. 柿手操六

    柿手説明員 石灰窒素の増産は農林省からも非常に熱心な御要望がありますので、電力の送電が十分できない状態でありますけれども、何とかして御要望に沿いたいということで、通産省といたしましても、早急に安本に申し入れて、来年度の計画の策定に当つてその点を十分織り込んで参りたいということを要求いたして、目下計画を検討中であります。われわれといたしましても、電力事情から言えば、無理をして要求しておる関係もあり、またカ—バイドの統制はいたしておりませんけれども肥料の重点的生産をやらなければならぬということは十分考えております。カーバイドが石灰窒素の方に行くことが、——ややもすれば電力の関係からありがちなこともいろいろ御批判のある通りでありますから、私どもといたしましても無理な電気を要求する以上は、もらつた電気を適正に使うということにつきましても、やはり業者及び関係官庁方面と一体となつて相戒めてやる、さらにこの一定の電気から一トンでも多くつくるように、生産の合理化、技術の改善ということもはかる必要があるというので、そういう方針を持つて増産協議会をつくつてつているのであります。その協議会は先ほど申し上げましたように、石灰窒素をつくりますメーカー及び農林省、安定本部、通産省など関係官庁が一体となつてつておるのであります。去る二月二十九日でありましたか第一回の会を持ちました。当日電気化学が御欠席になつたのでありますけれども、あれは初会合でありまして、明日第二回をやることになつております。そのときは電気化学の方も必ず出席してくれるものと考えております。さらにどうして来られなかつたかという御質問でありますが、いやしくも肥料をつくつている人はそれには御異存はないと思つておりますから、必ず御出席を願えるものと期待いたしております。
  94. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 本日政府の当委員会に対する回答の内容について、価格、数量その他いろいろ御質問申し上げました。それぞれきわめて明快なる御答弁をいただきましたが、農林政務次官の答弁であろうと、農政局長の答弁であろうと、また通産省の答弁であろうと、本日のこの御答弁は、政府一体の各省共通の責任ある御答弁である。かりにも農林省はそう言つたけれども通産省はそうでなかつた、安本は違つたとかいうことがあつては困りますから、そういうことはないと思いますけれども、この際特に私は念のために伺つておきます。もしそうであるならば御答弁の必要はないと私は思います。
  95. 野原正勝

    野原政府委員 その点は同じ政府の見解でありますので、全完に一致した見解ということを御了承いただきたいと思います。
  96. 遠藤三郎

    ○遠藤委員 ただいまの質疑応答を伺つておりまして、河野委員はきわめて明快なる答弁を得たと言つておりますけれども、実は私は明快な答弁ではないと思う。私ども農林委員会として要望した趣旨はどこにあるかと言えば、現行の価格を維持する、これ以上に高くしない、しかも高くなるような場合には輸出はしないのだ、その点をはつきり考えて、あくまで価格を現状で維持する、こういう線でやつて行くということでありますけれども、ただいまの野原政務次官の説明によりますと、行政措置でもつて自粛をさせて、うまく行かないときは行政措置でもつて手を打つて行くのだ、こういうことを言つております。ところが今までの私どもの経験から言いますと、肥料のメーカ—の諸君が、自粛をする、自粛をすると言つて自粛をしたためしがない。もう値段を上げてはいけないのだということを何べんも約束をしておりましても、知らない間に上つてしまつておる。農村の方ではがやがや騒いでいるだけで、何とも手がないのだ。ここで自粛をするというその価格を一応きめました以上、もし価格が上つて来たような場合には、メーカーに対して自粛の価格でもつて強制的に出させる。メーカが倉庫にしまつてつて、なるほど高い価格で売らぬけれども、物を出さないという事態が想像されるわけであります。そういう場合に、政府は全購連の要望に対して、自粛価格で売りなさい、こういうことが言えるようなはつきりした約束ができておるかどうか。それでなければこれは死文だと思う政府がわれわれ農林委員会を一ぱいかける考えであるとは私は思いません。しかし結果から言うと、そういう結果になるおそれが十分あるわけであります。三万トンなり四万トンの輸出をするということを決定すると、すでにその際に価格が上つてしまう。上つてしまつてから輸出はもうとめますというようなことを言つても、上つたものはもう下らない。そのあとで輸出をとめてもあとの祭りである。ですから、倉庫に持つておる場合には、政府は強力に自粛価格で売りなさいということが言えるのかどうか、その点がはつきりしなければ、この政府の言明はちつとも明確でないと私は思うわけであります。その点について、通産、農林両次官がおられますから、両次官の御見解をひとつはつきり伺つておきたいと思う。
  97. 野原正勝

    野原政府委員 政府としましては、三省間で話合いをいたしまして、この方針で進むということをきめたのであつて、ただいま遠藤君のおつしやるような、これだけの価格で全購連に売るとかいうような具体的な事項は実はきめてはおりません。がしかし、三省間におきまして、この問題に対して非常に重愼に検討をいたしました結果、政府方針としましては、メーカーに対しまして、いわゆる自粛価格でこの際協力をしてもらうことを特に要望いたしまして、そして勧告をして、しかして前にきめておりました一応の輸出計画というものをやる。これが輸出につきましても、それぞれ今後の増産というふうなもの、国内における需給事情等も十分勘案いたしまして、その影響が最も少いようにという点で、三月から七月までの間において輸出を考えなければならぬということにしたのでありまして、そういう細部の問題までもきめなければだめではないかという御主張の点もよくわかりますけれども、そういう個々のケースにつきましては、発生しなければ具体的な措置はとり得ないのではないか。あらかじめそういうことことごとくを完全に準備をし、交渉を進めてとりきめをするというようなことによらなくとも、この際三省間の十分の話合いと、将来万一にも価格を不当に値上げをしたという場合には、輸出をとめるという強硬な措置を講ずるという腹構えで行くならば、生産業者としても十分協力をするであろうということで行くのではないか、かように考えまして、具体的な事柄につきましてはまだきめておりませんけれども、その方針行つてさしつかえないものである。遠藤君の御意見は御意見として、十分今後の行政措置の上に反映さしたい、かように考えております。
  98. 遠藤三郎

    ○遠藤委員 肥料問題については、農林当局はすこぶる甘いのです。こんな問題をのみ込んでおるということがそもそもおかしいようだと、私ども思うわけであります。今までもこういう経験がないわけではないのであります。自粛々々と言つてつて、これ以上価格を上げないということを何べんも約束しておるけれども、その次にちやんと上つてしまつておる。もう何ともしようがない。具体的な問題をきめないでも、ひとつまかしてくれということを言いますけれども、今までの経験から言いまして、これはだめなことは明瞭にわかるわけであります。そんなことをやつておりますと、すぐまた値段が上つてしまう。そこで三万五千トンなら三万五千トンの輸出契約をした、その瞬間に値段が上つて来たという場合には、それさえも取消すことができるような、そういう約束ができておるかどうか、その点を私ははつきり伺つておきたい。
  99. 野原正勝

    野原政府委員 そういうはつきりした約束はしておりませんが、もし万一さようなことがある場合には、農林省としては、断固たる処置をとる決意でございます。
  100. 遠藤三郎

    ○遠藤委員 ただいまの農林政務次官の御答弁で、非常に大きな声で断固たるというようなことをおつしやいましたが、私は大いにそれを信頼するものであります。しかしこの問題は重大な問題であります。農村の方では、この委員会の論議を、おそらく手に汗を握つて聞いているだろうと思う。こういう問題になつて参りますと、一方においては通産当局は、何でも輸出さえすればよいという気持になるのは人情だと点うし、また農林当局は、できるだけ輸出を避けて、肥料価格の安定をはかつて行こうと考えるのは人情でありますが、どうしても基本問題は機構の問題だと私は思います。肥料行政の一元化をはかることばどうしても必要な段階に来ている。この点については、肥料農村が使うのだから、農林行政として農林省の方に一元化したらどうかと思う。これはもう長い間の主張でありました。この際両次官がおられるから、各次官別々に、農林省肥料行政を統一するその意見についてお伺いしたいのであります。
  101. 野原正勝

    野原政府委員 非常に重大な問題でありますが、農林省といたしましては、かねてから肥料行政に対しましては一つの理想とする考え方を持つております。それにただいま遠藤君から御指摘の、肥料行政は農林行政に一元化すべしという構想であります。このことはひとり自由党の閣僚ばかりではなしに、社会党当時もそうでありましたが、農林大臣たるものは、一応はこの考え方をがんばつて来たことは、私は農林委員会に長年おりましてよく知つておりますが、これが実際問題としては解決容易でなく、今日に至つておるのであります。やはり何と申しましても、肥料農村の最も必要とする必需物資であります。従つてこれが生産需給の問題、価格の問題等は、農村の生命とも申すべき重大な関係を持つております。この点から申しますれば、理想としては農林行政に一元化をいたしたいが、現段階において、そのことをただちに実現することはあるいは困難かもしれません。その目的に沿うて、通産省の所管でありましても、その考え方を十分尊重していただいて、やはり商工業者の保護というような観点からでなしに、それを利用する多数の農民の利益という立場を十分尊重して、肥料行政は円滑に進めていただきたい。もしさようなことがどうしても期待するごとく運営ができない場合におきましては、おそらく国民が黙つていないだろう、われわれもまた黙つておれないということに相なるわけでありまして、その点につきましては、しばしば通産省には、円満に肥料行政の運営をはかつていただくことについて連絡をとつております。従来も緊密にとつておりますし、また今後も十分緊密なる連絡のもとに、そのようなことのないように、われわれの希望が十分実現されるように、われわれは努力を続けるつもりであります。
  102. 本間俊一

    ○本間政府委員 御答弁申し上げます。御承知のように肥料行政の問題は、今までにおきましてもたびたび問題になつて来ておるのでございますが、通産省といたしましては、肥料の生産に関係する人はほとんど農林省の方から来ていただいておりまし、生産をできるだけ順調に進捗さしたいということに配慮をいたして来ておるような次第でございます。輸出の問題もあるのでございますが、これは肥料を使用する国内の農民各位の利害も十分に勘案をいたしまして、三省の間で十分な協議をいたしまして、その三省の協議をいたしました線によつて実行いたしたいと考えておるような次第でございます。従いまして、今ただちに遠藤さんの御意見に賛意を表しかねますので、その点はどうか御了承を賜わりたいと思います。
  103. 遠藤三郎

    ○遠藤委員 ただいま両次官から御答弁がございましたが、農林次官は、理想としては農林行政に一元化することがよろしいという意見でありますが、理想としてよろしいということでは、いつまで考えておつてもだめなんです。どうも農林省の腰は弱い。うしろに五、六百万の農家が控えておりましてこの問題々非常に重要現しておるのですから、もう少し元気を出してもらいたい。それから通産次官に対しては、今ただちに賛成することができないというお話であります。それはよくわかりますが、農林省の職員が通産省にたくさん行つておるということであれば、それをみな農林省に連れて帰つたらいいじやないか。そして農林省に一元化したらいいじやないか。この点は農村の基本問題として最後までがんばつて農林行政に元化されるようにして行きたいと思つております。どうか深甚なる御考慮をお願いしたいと思います。
  104. 平野三郎

    ○平野委員長代理 この際委員長から本間政務次官にちよつとお尋ねいたします。ただいま野原政務次官から断固という非常に力強い御発言がありましたが、断固という形容詞の中に問題の急所があるわけであります。先ほど万一価格が騰貴した場合には、輸出のさしとめもあえて辞せぬというお話でありましたが、そういうことが実際にできるかどうか。今までもそういうことがたびたびありまて、ことにかつて農林大臣の同意を得なければ輸出の許可が與えられないといつていたにかかわらず、同意を得ることなしに許可したというような、まつたく違法行為の輸出もあつたのであります。これなどは当然取消すべきものであると思うが、そのときに、もうすでに船に積んで出発して、海の上にあるものを呼びもどすわけにいかないということで、泣寝入りになつたこともあつたのであります。それでも正当に許可したものに対して、それをすぐ取消すということが合法的に行い得るものであるかどうか。あるいはこれが部分的に少しずつ許可してやれえば、あとのものは許可しないということはできますけれども、一ぺんに許可を與えてしまえば、取返しがつかないことになるのではないかということを非常に憂えるものでありますが、その点はどうでありますか。
  105. 本間俊一

    ○本間政府委員 ただいまの問題につきましては、通産省といたしましては、国内もいいように、それから輸出をする地域も日本と非常に緊密な関係にある所ですから、輸出もうまく行くように、双方うまく行くように努力つないたしたいと思うのでありまして輸出につきましては、農林省の意見を尊重して十分協議をして無理のないように善処いたしたいと考えております。
  106. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 関連して……。これは話が逆もどりになつたと思うが、私さつき明快なる御答弁をいただいたといつて、遠藤さんからお小言を食つたけれども、もし価格が高騰した場合には輸出はさしとめするというようなはつきりしたお話で、しかも最後に私は念を押しましたら、通産省、農林省、安本御出席の各省共同責任においての言明である。こう言われたから私は明快なる御答弁だと言つたのです。ところが今の政務次官——私は政務次官はなはだ苦手なんだか、どうも誉言葉がきわめて抽象的であつて何かそこに含むところあるように思うのだが、これが明快でないと私はさつきの明快なる御答弁というのを取消します。価格が高騰した場合にはさしとめする、それはできます。それが行政措置なんだそれがなければ行政措置はありはしない、そこのところはもう一ぺんはつきりと——もし何ならここで相談してもらつて、一本になつて御答弁願いたい。
  107. 本間俊一

    ○本間政府委員 河野さんの御質問はごもつともだと思うのでございますが、今度三省の間で御協議を願いましたのは、先ほど農林政務次官から御答弁がありましたように、現行の価格水準を維持する、高騰させないという万全の措置をとるということを前提にいたしておりますので、輸出がきまりましてすぐ値段が高騰するというふうには私ども考えておらないわけでございます。従いまして三省の間で、今御指摘になりましたような、細部の点までかつきりお話合いができておるというふうには聞いておりませんので、きわめて良心的に三省の間で決定をいたしました線に沿うてお答えを申し上げた次第でございますから、その点はどうか御了承を賜わりたいと思うのであります。
  108. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 私はきようの答弁は不満であるとしなければならぬ。かつてこういうことがあつたのです。去年でしたか、輸出の許可をする場合に、農林省は、もし価格が高騰した場合にはさしとめるという条件をつけたことがある。それが今委員長が言われたように空文に終つた事実がある。そこで今度こそはそういうことのないように行政措置をしつかりとる、こういうことであつたから私は了承したのですが、今伺いますように、細部についての相談がついてなければ、なぜきよう私どもに現状価格以上に上げないという責任ある答弁ができるのです。書いたものだけでは、私は承知しません。そういう細部にわたつての打合せができて、しかるのちにきようの答弁でなければならぬはずだ。そういうことは、いかに先輩の各位であつても私は承知しない。もし細部にわたつての打合せができていなければ、細部にわたつての打合せができて、あらためて答弁がいただけるまで、この委員会を一時休憩してもらいたいと思う。それでなければ私はきようの政府の答弁には誠意がないと思います。それともの際休憩の必要なく、ここで具体的に答弁がいただけるならばなお仕合せでありますけれども、もう一ぺん御答弁願います。
  109. 野原正勝

    野原政府委員 先ほど河野委員の御質問に答えまして、もし価格が高騰する際には断固たる措置も考えざるを得ないということを申し上げたことは、これは農林省の立場といたしまして、この行政措置を講ずるという点から見まして、事後の輸出については当然考えなければならぬのじやないか、そういう点を実は申し上げたつもりなのであります。そういう点につきまして、まだ三省間の十分なる話合いが具体的にはついておりませんけれども、当然三省間において価格の高騰は押えるという基本方針であります。ただいま本間通産政務次官からお話がありましたように、メーカーにおきましても、十分政府の勧告に従つて自粛するであろうし、また従つて輸出がきまつたからといつて、すぐ高騰することは事実あるまいと思う。われわれはそれを期待しておるわけであります。もし万一上つた場合においては、爾後の輸出についてはあらためて話合つてやめてもらうというような措置も必要ではないかという点を、私は断固たるという言葉をもつて表現したつもりであります。その点につきましては、今日といえども、そういつた措置が必要の場合においてはとらるべきものであるということを考えておるのであります。それでもつてもうすでによく御了承いただけると思うのでありますが、なおいただけないとするならば、これは細部の問題までも相談しなければならぬわけでありますが、私は、同じ政府内部でありますので、その点については細部のことまで相談しなくても、お互いがその腹構えであるということならば、十分おわかりであろうと考えております。
  110. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 私はそこは非常に信じられない。先ほど申し上げましいように、三万五千トンの輸出そのものに非常に無理がある。政府の持つておる数字から行きますと、増産の実は三万トンしか上つていない。三万トンしか上つてないのに、三万五千トン輸出するという、さらに七千トンまで追加しようというばかなことをやつておる。でありますから、この輸出を許可することによつて上る危険性は多分にあるのです。そういうことは万々一ないという前提で、かりにもしあつた場合にはというような問題ではないのです。かりにじやな。上る危険性は非常にあるんです。でありますから、私はここで申し上げるのです。三万五千トンを許可して、もし上つた場合にはこの次の分と言う。この次は、先ほど政府から答弁がありましたように、六月、七月の春の肥科が終つてから出すことになる。それまでの間どうにもならない。それをやるまでには春の肥科は終つてしまつておる。でありますから、この三万五千トンの輸出の条件が、もし上つた場合にはいつでも取消すということがなければ、意味がない。私はよけいなことを言いますけれども、三万五千トンをかりに許可するにしても、方法があると思う。今政務次官が心配されておるように、もし上つた場合というようなことがあれば、五千トンずつ七回に切つてつてもいいわけであります。一ぺんに三万五千トンやらなくてもいい。五千トンやつてみて、それで安定したら、一万トン出す。それで大丈夫なら、さらに追加して一万トンやる。こういう方法つてある。政府がほんとうに肥料の価格をこれ以上げない、安定させるのだというほんとうの誠意があるなら、そういう具体的な方法はすでに私は事務当局でできておると思う。その点いかがですか。
  111. 本間俊一

    ○本間政府委員 河野委員の御指摘になりましたような方法も、非常に有力な御意見であろうと思うのでございます。輸出にあたりましては、農林当局と十分相談いたしまして、無理のないような線で実行いたしたい、こう考える次第であります。
  112. 平野三郎

    ○平野委員長代理 この際石井繁丸君から簡單なる質疑の通告がありますので、これを許しますが、本会議も開会になつておりますので、簡潔に願います。
  113. 石井繁丸

    石井委員 今の肥料の値上げの問題でありますが、輸出をするので上るかもしれない。こういうところへ持つて来て、最近電力関係で公益事業委員会では、電力業者の関係から値上げを要求されておる。こういう事態になつておりまするが、政府としては肥料の値はこれ以上上ない。こういう断固たる考えを持つている以上は、電力値上げによる肥料の値上げの場面につきましても、責任をもつて値上げを押える、こういう見地に立たれると思うのでありますが、もう一ぺん、電力料金が上つても、本年度の肥料の価格は上げないという決心を持つておるかどうか、この点につきまして、明確なるところの御答弁をお願いいたしたいと思います。
  114. 本間俊一

    ○本間政府委員 お答えいたします。電力料金の値上げの問題は、公益事業委員会の方で愼重な検討を加えておりまするので、まだどのような結末に相なりまするか、正確な見通しを立てるところまでは運んでおらないわけでございます。従いまして、現行の肥料価格を高騰せしめないというのは、やはり特別の場合がある場合には、御承知でもあろうかと思いますが、非常にむずかしい問題に相なるわけでございますので、私どもといたしましては、ただいままだ電力料金の値上げ問題は、先ほども申し上げましたような段階にありますので、その場合は考慮いたしませんで、先ほど御答弁申し上げましたような線で参りたい、こういうふうに考えて知る次第であります。
  115. 石井繁丸

    石井委員 ただいま地方肥料の販売業者あるいは農協の方の線におきましても、肥料は、電気料金が値上げになるので、先高見越しである、こういうふうに相当宣伝されておる。農民もそういうふうに、電気の値上げがあるから、肥料が上るのではないかという不安の念にかられておるのでありますそこで本肥料年度におきましては、いかなる事態があつても、肥料は値上げしない、こういうような線が出なければ、農民としましては非常に不安に襲われると思うのであります。農林次官、通産次官等も、具体的な事態、あるいは今後問題が起つたときにおいては、どうなるかどうもわからない、こういうことでなく、今肥料年度はいかなる事態があつてもこの線で押える。もし非常に不測の事態があつたときにおいては、政府責任においてこの線で押え切るというところの確信がないと、農民が不安に襲われると思うのでありますが、これに対し、事態が起つたらばということでなく、どういうときにおいてもかかる態度をとるというところを、ひとつ表明していた、だきたいと思うのであります。もう一度、農林政務次官、通産政務次官の御答弁をお願いしたいと思います。
  116. 野原正勝

    野原政府委員 電気料金が値上げになつたという場合においては、結局生産コストが上つて来るわけであります。現在のところまだ上つておりませんので、それを基礎にしておるわけであります。電気料金は、ひとり肥料代の問題のみならず、国民経済のあらゆる面に影響があるのでありまして農産物等の価格も当然変動を来すのであります。ひとり肥料価格だけをくぎづけにするというふうなことは困難なことになると思います。ある程度の値上げはやむを得ないようなことになりはしないか。そういうことになりますと、結局農産物の価格も、パリテイが上昇することになるので、今米麦等の政府の買入れ価格は、パリテイ二五五をもつて応の想定はしておりますけれども、電気料金等が値上げになりますと、おそらくパリテイの相当程度上昇はやむ身得ないことである。そうなりますと、政府の買います米麦の買入れ価格等もそれに半つて上げざるを得ないというふうに考えざるを得ないのであります。将来の問題としましては、その点も考えますが、農林省としましては、肥料の値段は上げてもらいたくないということは本心であります。そういつた生産事情等がかわりますと、これは別途の考え方から対策を講ぜざるを得ない、かように考えております。
  117. 平野三郎

    ○平野委員長代理 大森君。
  118. 大森玉木

    大森委員 大体各委員からお尋ねになられたので、私のお尋ねすることも、蛇足のようになりますが、これは大きな問題でありますから、一言だけ聞いておきた。先ほどから輸出することによつて上るとは考えられないという通産政務次官のお答えであつたのでありますが、私どもは輸出することによつて上ると考えておる。それは大体肥料統制時代には幾らであつたかということを考えてみると、四百四十円であつた。それがただいまでは九百九十二円になつておるのであります。そうすると何倍になつたでありまうようか。昨年この農林委員会で輸出問題に対してやかましく論議された当時は七百円であつたのであります。その後だんだん上つてまいりまして今や九百九十二円という価格までになつておりますから、足らざるものを輸出することによつて必ず上るということは当然の理だと私は思います。いもなどはどうであるかというと、同じ自由販売になつたけれども、輸出することはできないから、三十五円のいもが今十四円になつた、こういう状態で、余るとそうなつて来る。でありますから、肥料のごときは、足りないものを輸出するから上つて来るということは当然に考えられる問題でないかと思うので、農村も自由販売にしていただいて肥料を使うてつくつたいもは十四円、その元の肥料は三倍にもなつて来るようなことであつては、農村としては立ち行かないのでありますから、どうした理由によつてこの点上らないというお考えを持つておられるか、承つておきたいと思います。
  119. 本間俊一

    ○本間政府委員 お答えをいたします。御指摘のように、肥料の価格が上昇して参りましたのは、一般物価の関係でありますとか、あるいは石炭の関係でありますとかいうような関係で上つて来ておるわけでございます。それから一昨年までは、御承知のように例の補給金の関係どもありました関係で低かつたと思うのでありますが、先ほども御答弁申し上げましたように、私どもといたしましては、三相の間で決定いたしたものでありますから、輸出によりまして肥料の国内価格が高騰しないように十分ひとつ努力をいたしまして、できるだけ御趣旨に沿うように努力いたしたいという点を、先ほど来御答弁申し上げておるような次第でございますので、その点どうか御了承賜わりたいと思うのでございます。
  120. 平野三郎

    ○平野委員長代理 先ほど河野委員から休憩の動議が出ております。実は委員長といたしましても、政府の御答弁にはいささか明確を欠く点があり、ことに農林、通産両政務次官の御答弁には食い違いがあるように思いますので本問題のきわめて重要性にかんがみ、さらに審議を続行すべきものと思いますが、本日はすでに本会議が開会されているようでありますし、また本委員会の公共事業に関する少委員会が午後ありますので、本日はこの程度といたし、明日午前十時より開会いたすことにいたしまして散会をいたします。     午後一時二十四分散会