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1952-01-30 第13回国会 衆議院 農林委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年一月三十日(水曜日)     午前十時二十分開議  出席委員    委員長 松浦 東介君    理事 遠藤 三郎君 理事 河野 謙三君    理事 平野 三郎君 理事 小林 運美君    理事 井上 良二君       宇野秀次郎君   小笠原八十美君       越智  茂君    小淵 光平君       川西  清君    坂田 英一君       坂本  實君    千賀 康治君       幡谷仙次郎君    原田 雪松君       吉川 久衛君    坂口 主税君       石井 繁丸君    竹村奈良一君       足鹿  覺君    高倉 定助君  出席国務大臣         農 林 大 臣 廣川 弘禪君  出席政府委員         農林政務次官  野原 正勝君         農林事務官         (大臣官房長) 渡部 伍良君         農林事務官         (農政局長)  小倉 武一君         農林事務官         (農地局長)  平川  守君         農林事務官         (農業改良局         長)      清井  正君         農林事務官         (畜産局長)  長谷川 清君         食糧庁長官   東畑 四郎君         林野庁長官   横川 信夫君  委員外出席者         農林事務次官  山添 利作君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ――――――――――――― 一月二十六日  委員中垣國男君及び橋本龍伍辞任につき、そ  の補欠として坂田英一君及び田中彰治君が議長  の指名委員に選任された。 同月二十八日  委員中村寅太辞任につき、その補欠として高  倉定助君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 昭和二十七年一月二十二日  ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する  件に基く農林関係命令措置に関する法律案  (内閣提出第一三号) 昭和二十六年十二月二十日  北安曇郡下の客土事業に対する国庫補助に関す  る請願増田甲子七君紹介)(第一九号)  北海道土地改良事業に関する請願小川原政信  君紹介)(第五六号)  へちまの特殊病害対策に関する請願足立篤郎  君紹介)(第五七号)  水稻共済掛金国庫負担増額に関する請願(塩  田賀四郎紹介)(第八一号) 昭和二十七年一月二十一日  兵庫県供米の減額等に関する請願佐々木盛雄  君紹介)(第一七一号)  装蹄師免許制度廃止反対請願佐々木盛雄君  紹介)(第一七二号)  水稻共済掛金農家負担軽減等に関する請願(  大石ヨシエ紹介)(第一七三号)  澱粉工業救済に関する請願橋本登美三郎君紹  介)(第二二七号) の審査を本委員会に付託された。 昭和二十六年十二月二十六日  疎悪林改良事業費国庫補助に関する陳情書  (第五三号)  奥地開発林道予算増額に関する陳情書  (第五四号)  土地改良事業に対する予算増額に関する陳情書  (第五五号)  干拓事業に対する予算増額に関する陳情書  (第五六号)  農林漁業生産資金確保に関する陳情書  (第五七号)  病害虫防除費国庫補助金増額に関する陳情書  (第五八号)  農業委員会運営に要する経費国庫負担金増額  に関する陳情書(第五  九号)  農林漁業組合再建整備方策強化に関する陳情  書(第六〇号)  土地改良推進に関する陳情書  (第六一号)  土地改良事業促進に関する陳情書  (第六二号)  土地改良事業等に関する陳情書  (第六三号)  積雪寒冷単作地帶振興臨時措置法実施促進に  関する陳情書外二件  (第六四号)  同(第六五号)  田沢疎水開拓建設事業促進に関する陳情書  (第六六号)  森林法改正に伴う奥地林道開発に関する陳情  書(第六  七号)  道後平野農業水利改良事業促進に関する陳情書  (第六八号)  県営土地改良事業補助金等に関する陳情書  (第六九号)  かんがい及び排水機電力料金国庫補助に関す  る陳情書(  第八〇号) 昭和二十七年一月二十九日  県農業委員会運営経費全額国庫負担に関する  陳情書(第  一六一号)  土地改良並びに農業水利事業等に対する国県費  の助成金増額等に関する陳情書  (第一六二号)  磐田用水東部土地改良事業促進に関する陳情  書(第一  六三号)  植林後の下刈手入費に対し国庫補助交付陳情  書(第一  六四号)  農業委員会法成立に伴う所要経費全額国庫負  担に関する陳情書  (第一六五号)  繭糸価安定基金増額に関する陳情書  (第一六六号)  農業改良普及事業拡充に関する陳情書外二件  (第一六七号)  農業改良普及制度推進に関する陳情書外三十七  件  (第一六八号)  国内糖業保護育成に関する陳情書  (第一六九号)  土地改良事業に関する陳情書  (第一七〇号)  国立い(藺)業指導所設置に関する陳情書  (第一七一号)  林野行政機構改革に関する陳情書  (第  一七二号)  昭和二十六年産米減額補正と五等級増設に関  する陳情書(第一  七三号)  米麦統制撤廃に関する陳情書  (第一七四号)  積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法実施促進に  関する陳情書外二件  (第一七五号)  旧農林省農事改良実験所県移管事業全額国庫補  助継続実施に関する陳情書  (第一七六号)  労務加配米制度存続に関する陳情書  (第二一〇  号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  農政及び農林関係予算に関し説明聽取     ―――――――――――――
  2. 松浦東介

    松浦委員長 これより農林委員会を開会いたします。  この際念のため御報告いたしておきます。去る一月二十二日、内閣提出ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く農林関係命令措置に関する法律案が本委員会に付託になつておりますので、御承知おきを願います。  次に張る一月二十四日理事会を開き、全員出席の上、今国会の本委員会運営に関しましていろいろ協議をいたしましたが、委員会における議事を最も能率的かつ重点的に進めるための申合せ事項を決定いたしました。その詳細はいずれ文書をもつてお知らせいたしますが、委員各位の御協力を希望いたす次第であります。  それではこれより本日の日程に入ります。本日は再開国会最初委員会でありますので、今後の委員会審査に資するため農林大臣出席を得まして、今日の農政における重要問題につきまして、大臣の所信を承ることにいたしたいと思います。なお引続いて、目下国会提出なつておりまする昭和二十七年度予算のうち、農林関係予算につきましても説明を聽駁することにいたします。廣川農林大臣
  3. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 新年度に於ける農林行政施策基本的な方針について、考えておりますところを大要申上げてみにいと思います。  終戰後ここに六年、いよいよ講和條約も近くその効力を発生し、わが国付望独立国として新たなる発足をすることとなるのであります。従いまして農林行政部面におきましても国際情勢に対応し、日本経済自立基盤である食糧自給度向上を目途として、農林漁業生産力増強並びに農山漁家経済の安定をはかり、もつて農林漁業をして他の産業分野に立ち握れずに発展させ得るように、政府として十分の力を注がなければなりません。このよよな見地におきまして、農林行政当面の目標といたしましては、食糧総合的自給度向上し得るような生産態勢整備し、あわせて、その他の農林水産資源維持倍養をはかり、農業経営の安定のために主要農産物価格保障災害に対する国家補償、並びに有畜営農奨励等必要な施設に資本を投入する等の諸方策を講ずる次第であります。これらの施策実施については、農山漁民自立的な活動促進することに留意し、施策実効を期するようにいたす次第であります。  ここにおきましてこれらの目標に照して、政府は次のような具体的な施策実施いたしたいと存ずる次第であります。  まず食糧増産確保を中心とする農業生産力増強対策について申し述べてみますると、わが国今後の食糧需給確立するためには、申すまでもなく国内生産力増強をはかることが根本でのります。当面の事情につきましては、食糧輸入確保をはかるべきは言うまでもありませんが、将来人口の増加に伴う需要の増加に対し、また食糧輸入増加を来すというごときことはこれを避けて、極力主要食糧国内において増産する施策が緊要であります。このため政府は、対策重点農業生産力基本である農地改良拡張に置きますとともに、土壌改良優良種苗普及病害虫防除等によりまして増産を期することといたし、このため本件は特に総額四百億円に及ぶ食糧増産関係費を計上したのであります。なおこのほかにも家畜導入促進水産振興を通じ、農畜水産に及んで総合的に食糧増産を行うことにいたしておる次第であります。  右のうち食糧増産の根幹たる農地改良拡張につきましては、予算約二百十六億、農林漁業資金融通特別会計融資金約八十億をもつて灌漑排水事業土地改良事業開墾干拓、及び防災施設を行いましてこれによりまして二十八年度以降毎年百五十万石程度の増産を期待しておるのであります。また土壌改良につきましては、酸性土壌秋落水田に対しこれが改良実施いたしまして、食糧増産をはかろうといたしております。  次に、優良種苗普及対策は、米麦及び大豆原種圃及び採取圃設置寒冷地帯の温床苗しろ、保温折衷苗しろ等に対し補助金を交付するとともに、恒久的な種子対策といたしまして立毛の審査種子生産管理等優良種子生産、流通及び検査について法律に基く制度確立をはかりたいと考えております。  次に病害虫防除対策は、米麦種子の消毒、防除農薬購入等経費目的として予算的措置を講じたのでありますが、なお今年は、国際防疫保護條約に加入する等のこともありまして、国際的な観点からも防疫体制整備強化をはかりたいと存じている次第であります。  次に有畜営農奨励とその飼料対策について申し述べたいと思います。農業総合生産力増強する方法として農業経営家畜導入することがきわめて肝要であることは、いまさら申すまでもないところでありますが、わが国農家現況を見まするに、農家総数約六百十八万戸のうち、今なお三百二十五万戸が無家畜農家として残されている状態であります。そこで政府といたしましては、これらの無家畜農家のうち経営規模経営状態からみて有畜化が必要と考えられるもの百二十七万戸につきまして、可及的すみやかに有畜化するため、さしあたり第一次計画といたしまして二十七年度から二十九年度に至る三箇年間に約五十万戸の有畜化をはかることといたし、家畜導入資金約二十四億を予定いたしますとともに、融資金利子補給等のため、必要な予算的措置を講じているのであります。  なお、自給飼料増産確保をはかるため、新たに牧野改良につき積極的に助成を行うとともに、飼料作物用種子改良並びに確保をはかるため、既存国営原種圃拡張、都道府県の採取圃設置助成を行うことといたしておる次第であります。  次に単作地帯振興について申し述べたいと思います。単作地帶は、食糧増産の余地がきわめて大きい反面、積雪寒冷のため自然的條件に恵まれず、社会経済的にも立ち遅れているため、單地帯の振興は、食糧増産農業経営の安定のためきわめて重要な方策であります。従いまして前国会においては單作地帶振興のための法律が制定せられたのでありますが、政府は、このため二十六年度補正予算において二十億を支出いたし、また二十七年度予算においては、四十億を計上いたし、土地改良促進による裏作の導入立地條件に応ずる技術改良等法律に基く総合計画によりまして単作地帶振興を強力に推進いたしたいと存じている次第であります。  次にわが国地理的特殊事情よりして毎年こうむる農林水産施設災害復旧に関する措置もまたきわめて重要な問題であります。すなわち、昭和二十七年度におきましては災害復旧費を二十六年度より約五十億円増額計上いたしますとともに、特に二十六年における災害の激甚な地方に対しては、その農山民負担の限度を考慮してその急速な復旧をはかるため、その補助率を引き上げることにいたしたいと存じます。なお国土保全のための治山治水対策につきましては、後にあらたりて述べることといたしたいと思います。  次に農林金融の問題につき一言いたしたいと存じます。政府は、昨年農林漁業資金融通特別会計を設定いたしまして農林水産生産力増強のための必要な部面に対し融通を行い効果をあげつつありますが、二十七年度はさらに八十億円を増加して二百億の資金をもつて必要な方面に融資を行うことといたしました。  さらに、食糧統制の問題につき申し述べたいと存じます。最近の食糧事情は、御承知のごとく相当安定を見るに至りましたので、麦につきましては、直接統制を廃止し、価格及び需給調整をはかるための制度に改める方針で、これに関する法律案を今国会提出する予定であります。米につきましてはなお国民生活の安定の観点から愼重に検討いたしたいと考えている次第であります。  次に農業経営の安定については、農業災害補償制度整備強化農業協同組合育成強化繭糸価の安定及び農地改革成果維持等施策を講ずる予定であります。まず農業災害補償についてでありますが、先に食糧増産確保の項において申し述べました通り、毎年風水害、病害虫被害は相当に上つているのでありまして、これがため共済保険組合の中には経営支障を来しているものもある現況にかんがみまして、保険料の改訂を行い、これに対して政府負担増加しまするとともに、団体保険金支拂支障なからしめるため国と農業共済組合協同出資による支拂準備基金についての予算的及び法的措置を講ずることにいたします。  次に繭糸価安定の問題については、さきに制定を見ました繭糸価安定法運用につきその適正を期して繭の増産、生糸の輸出の増進とを期したいと存じている次第であります。  次に農地改革成果維持の問題でありますが、御存じの通り農地改革によりまして二百万町歩小作地自作地となり、約四百二十万戸の農家自作農となり、その当初の目標はほぼ達成されたわけでありますが、農地改革の今後の問題は創設された自作農安定維持をはかつて農地改革成果を保持し、長く農村の基盤たらしめることにあるのでありまして、政府はこの機会に従来の農地関係法令整備統合を行い恒久的農地立法といたしたいと考え、今国会農地法案提出いたす所存であります。  なお、農業協同組合の健全な発展は、農業経営の安定のための必須の條件でありますので、この育成強化につきましては、従来政府は、大いに努力し、昨年においては組合定例検査を行いその事業につき適切な指導を行つて参り、また再建整備を必要とする組合に対しましては、奨励金を交付してその健全な発達を推進してきたのでありますが、今年におきましても引続きこれら施策遂行につきましては格段の努力をいたしたいと存じている次第であります。  次に水産につき申し述べたいと思います。沿岸においては、水産資源維持培養をはかりながら漁業を合理化して参ることが特に必要でありますので、水産増殖事業拡充強化をはかりますとともに、他方その濫獲を防止し資源に応じた適正な漁獲を行うよう措置する方針であります。このため政府は、底びき網漁船整理等国内態勢整備に努めますとともに、内水面及び浅海面における増殖、さけ、ます孵化場増設等をはかつて参る方針であります。  平和條約の発効と共に今まで制限せられた日本漁業も広く漁場が解放されますので、日米加漁業協定基本線にのつとり、公海の自由の原則を堅持しつつ科学的な調査に基き満限資源なつている資源については相互に制限的措置を講ずる等、関係国との漁業協定によつて調整をはかりつつ大いに海外漁業べの発展をはかり、狭い海面で苦しんでいる沿岸漁業にも好影響を與えるように措置する方針であります。なお、漁業経営の安定のため、漁業証券資金化をはかるとともに農林漁業資金融通特別会計活用による水産金融円滑化水産業協同組合育成強化及び漁船補償制度確立等につき、それぞれ予算的及び法制的措置を講じたいと考えている次第であります。  最後に林業行政について申し述べたいと思います。わが国森林資源は戦中戦後を通じての濫伐、過伐によりまして、著しい荒廃を来し、その伐採森林生長量に深く食い込み、このままに放任するときはわが国森林は遠からず枯渇を表す現況でありまして政府は、国土保全及び森林資源増強をはかるための措置として昨年森林法全面的改正行つたのでありますが、森林資源維持培養のためには、森林計画の適正な樹立運営治山施設拡充造林の励行、林道網拡充による奥地利用林開発及び木材利用改善による消費合理的縮減軍点を指向してその施策を維進ずる必要があるのであります。改正森林法に基く森林計画は、すでに予定のごとくその樹立公表を終りましたので、今後これが運営に万全を期する着てであります。また適正伐期齢級以下の林分に対する伐採制限の裏打ちとなる伐採調整資金につきましても明年度分として二十二億円を農林漁業資金融通特別会計より融資する考えであります。  次に治山対策でありますが、連年打続く災害のため莫大な被害をこうむり、国家経済と民生安定上ゆゆしい問題でおりまして、すでに荒廃林なつている約七十八万七千町歩林野につきましては、急速な砂防措置造林の必要がありますので、二十七年におきましても所要予算を計上しております。  次に造林につきましては、本年度末の民有林造林地は約百八万町歩の見込みでありますが、そのうち二十七年度においては、約二十五万町歩造林を推進することといたし、その予算的措置を講ずるとともに、新たに優良樹苗の養成及び清悪林地改良行い造林成績向上林業生産力増強をはかろうと存じている次第であります。また火災跡地の再造林費確保観点から林齢二十年以下の森林についてのみ保險の加入が認められている現行森林火災保険法制度を改正し、壯齢林についても国営保険に加入できる道を開きたいと考えている次第であります。  わが国森林現況は、右に申し述べました通り、その著しい荒廃現況より見て、治山造林促進を必要としているのでありますが、他方国民経済の復興、自立のために必要な林産物、特に木材はぜひとも確保しなければならないのでありまして、森林荒廃を防ぎつつ所要木材確保するには森林計画による伐採調整を適正に行いますとともに、奥地利用林開発促進すること及び木材利用改善による消費合理的組織をはかることが最も緊要と考えられるのであります。これがため奥地和用林開発のための林道の開設には、二十七年度において一般民有林道及び奥地開発林道を合せ二千二百キロメートルを計画し、これにより約二千四百万石の増産をはかろうとしているのであります。また木材利用改善合理化につきましては、総合燃料施策による薪炭の節約、パルプ用としての広葉樹の混入等方法によりまして逐次これが実施に努めている次第であります。  以上申し述べましたところは、今後重点を置くべき農林行政における施策の概要でありまして、政府といたしましては、これが遂行につき万全を期する考えでありますが、その実効は、農山漁民理解と熱意によらなければとうてい期することができないのであります。従いまして政府は、これが施策実施につきましては農業改良普及制度確立をはかるとともに、農業委員会活用等により農山漁民自立的意欲活動を促すことに十分留意いたしたいのであります。何とぞ今後とも皆様方の一層の御理解と御協力をお願いする次第であります。
  4. 松浦東介

    松浦委員長 引続いて山添農林次官より、二十七年度予算案のうち農林関係予算について大綱の説明を聽取することにいたします。山添農林次官
  5. 山添利作

    山添説明員 数字的なことを若干御説明いたしたいと思います。二十七年度農林関係予算は、結論的に申しますると、二十六年度に比べまして、これは一般並びに公共事業費を含めまして約百億の増加に相なつておるのであります。つきましては項目別に御説明をいたしたいと思います。  まず一般会計から御説明をいたします。最初食糧増産関係経費でございます。この経費の中には、第一に土地條件整備、第二に種苗対策費、第三に防疫対策費がございますが、土地改良等土地條件整備のための経費の第一といたしまして、従来経済安定本部に計上されておりました公共事業費のうち、農地改良並びに造成を目的とする食糧増産対策費について御説明をいたします。  これは総額におきまして三百三十二億二千五百万円でありまして前年度二百二十四億八千百万円に比し、百七億四千四百万円の増加なつております。このうち土地改良事業といたしまして、国営灌漑排水事業四十二億五千六百万円、前年度は三十一億七千三百万円でありました。土地改良事業補助六十八億七千三百万円、前年度は四十二億六百万円でございました。等を含み百二十三億三千九百万円、前年度は八十四億八千九百万円であります。を計上いたしております。また新規事業といたしまして、団体営土地改良に対する補助金経済効果の高い畑地灌漑施設を取上げることにいたしました。さらに開拓事業といたしましては九十一億八千九百万円、前年度は六十四億六千万円を計上いたしておりまするが、このうちには開拓建設事業四十一億四千百万円、干拓関係二十一億六千七百万円、開拓事業補助二十五億三千四百万円があります。これに伴う新規入植は七千戸でございまして、前年度より五百戸増加をいたしております。また干拓につきましては、可及的重点主義をとりまして、制止によりただちに増産効果の上るものは工事の飛躍的促進をはかることといたしました。  また積雪寒冷単作地帯振興をはかるため、土地改良及び開拓事業促進に要する経費として四十億円を計上し、特に団体営小規模土地改良事業を推進して、農家経済発展をはかることといたしました。なお公共事業費と申しまするか、この土地改良以外の経費におきましても、特に單作地帯関係の深いものにつきましては、予算運用上これを一括して単作地帯経費として交付するようにとりはからいたいと考えております。また耕地を含む農業災害復旧経費といたしまして百十六億九千六百万円を計上いたしまして、毎年累積して行く災害をなるべく短かい期間に終らせるように考慮いたした次第であります。  土地條件整備費の第二として、既存耕地土壌改良事業につき御説明いたします。予算事項では耕土培養対策費として計上いたしておりまするが、これは酸性土壌及び秋落水田に対しまして、酸性土壌には炭酸カルシウム秋落水田には含鉄物資を施用いたすことによりまして土壌改良し、食糧増産をはかろうとするもので、このための経費として一億四千三百万円を計上いたしております。なお開拓地における酸土矯正のためには、別に三億二千百万円を計上いたしております。  次に食糧増産費の第二といたしまして種苗対策でございますが、予算事項として主要食糧等種子対策費として要求いたしております。この経費米麦大豆原種圃採種圃設置補助寒冷地帯健苗育成のための保温折衷苗しろ、温床苗しろに対する補助、また災害に備えるための種ばれいしよの予備貯蔵等目的に供するものでありまして、八億七千八百万円を計上いたしております。  食糧増産対策の第三として、植物防疫費につき御説明いたします。毎年病虫害による農作物被害は草大なものがありますので、これを防除することにより食糧の減産を防止しようとするものでありまして、米麦等の種子消毒、病虫害異常発生時におきまして農薬を無償交付する、その農薬購入あるいは防除農薬の購入補助、防除組織の整備及び異常発生に備える農薬の貯蔵保管費等の補助経費目的といたしまして、十一億九千八百万円を要求いたしております。  第二に、農業経営改善のための経費について御説明いたします。その第一といたしまして有畜農業確立でございますが、家畜導入農業経営を多角化し、農業経営を安定せしめることは申すまでもございません。そこで二十七年度から三箇年計画をもちまして五十万戸の農家家畜導入させることとしてさしあたり二十七年度には二十万戸の農家家畜導入することを目標とし、そのための必要資金約二十四億円の融資をはかることといたしまして、これに対して五分の金利の補給を行うための経費として九千二百万円を要求いたしております。  次に有畜営農確立のためには、右の導入資金確保と合せまして飼料を確保することが最も緊要でありますので、このための経費として、牧野の造成改良費として五千八百万円、さらに飼料の優良品種の普及をはかるため、飼料の原採種圃を設けることとし、飼料作物種子対策費二千三百万円を計上し、また自給飼料増産費九百万円を要求いたしております。  農業経営改善経費の第二としては養蚕振興対策費でございます。繭の販売代金が農家の現金收入の重要な源泉でありますことは論をまたないところでありましてこの意味から、繭の生産原価を低下することは農家経済上非常に重要なことであります。これがため優良桑苗を確保し、確実に老朽桑園を改値いたしますとともに、稚蚕共同飼育を奨励することとし、これに要する経費を養蚕振興対策費として一億四千三百万円要求いたしております。また積雪寒冷単作地帶における農業振興をはかるため、前に述べました土地改良開拓事業のほかに、農業経営改善に要する経費としておおむね五億円を要求いたすことにいたしておりまして、この点は前にちよつと申し述べました。  第三に、農業改良普及のための経費につき御説明いたします。その第一は、農業改良普及員及び専門技術員の設置及び活動補助費でございます。現在全国を通じまして一万七百九十三名の技術改良普及員及び六百九十名の専門技術員が設置されておりますので、その活動費、給與費等のための経費として十億七千六百万円を要求いたしております。  次に営農技術浸透費であります。これは全国に百二十四箇所の営農試験地を設けまして、水田裏作の導入、畑地経営及び秋落水田につき集中的に試験研究を行わせるごとといたしまして、一千九百万円の経費を要求いたしております。  改良普及経費の第三といたしましては、農村生活改善のための経費というのがございます。農業生産力を上げるためには、衣食住につき農村生活を改善することにより生産意欲の向上をはかることが必要で、ございましてこのため現在全国に六百九十名の生活改良普及員を設置いたしておりますが、二十七年度にはこれを一千二十二名に増員し、かつまた新たに生活改善のための専門技術員を四十六名、各府県に一名ずつ設置することといたしまして、その設置費及び活動費として一億五百万円を要求いたしております。  技術改良のための経費の第四といたしましては、蚕糸技術の改良普及経費一億八千八百万円がございます。こ参れは蚕糸技術普及員の設置費の補助のための経費であります。  第四に、農業災害補償のための経費につき御説明いたします。さきに食糧増産の項と申し上げました通り、毎年病虫害の被害は相当に上つております。そこでこうした被害をうけた農家の再生産支障のないように、農業共済再保険特別会計を設置して農家の共済保険につき再保険を実施し、保険料の一部を国で負担しておりますが、二十七年度はこれらに関する経費として百六億円を計上しております。このうち七十一億円は特別会計へ繰入れのための経費であり、その内訳は保険料の国庫負担分約六十億、家畜基金勘定へ繰入分三億、二十五年末までの水稻不足金補填分七億一千七百万円であります。  このほかおもなるものは共済事業運営のための、事務費の補助十八億、共済組合連合会安排準備基金に対する出資十五億円等であります。  第五に、農民自助組織の強化であります。農民自助組織といたしましては農業協同組合がございますが、設立後日浅く、経済的な変動に附える力がいまだ薄弱であります。そこで農業協同組合指導監督に必要な経費及び農業協同組合再建整備に必要な経費として、それぞれ九千九百万円、及び再建整備のための経費七億八千九百万円を要求しております。再建整備に必要な経費は、主として再建整備法に基く増資奨励金及び固定資産に対する利子補給に充てる経費でございます。  第六に、農業委員会経費であります。都道府県及び市町村の農業委員会委員及び書記の設置費及び事務費補助等といたしまして三十億千七百万円を計上いたしております。これは前年度は二十六億七千万円で、ございました。  第七に、農林金融円滑化のための経費について御説明いたします。この目的のもとに農林漁業資金融通特別会計及び開拓者資金融通特別会計があり、それぞれ農林漁業の長中期資金及び開拓者の営農資金融通いたしております。二十七年度予算におきましては農林漁業資金融通特別会計に対しては、六十億を一般会計から繰入れることとし、このほか見返資金から三十億、資金運用資金から百十億を借入れ合計二百億円の貸付資金確保いたしております。次に開拓者資金融通特別会計につきましては、十六億五千百万円を繰入れることとし、二十五、六、七年度の入植者に対する営農資金、十二億六千百万円、共同施設費五千二百万円、二十三年度に入植しました者の営農促進費役畜購入費を二億千七百万円貸し付けることに計画をいたしております。なお開拓者につきましては、別に開拓者信用基金に必要な経費として一億円を計上し、入植後三年以上たちました開拓者に対して短期営農資金融通を容易ならしめることといたしました。金融につき最後に申し上げたいことは農地担保金融であります。農地改革の結果農地に担保力がなく、営農資金の調達に困難を感じております向きもございますので、自作農創設特別措置特別会計におきまして、農地の強制讓渡の方式による融資を行うこととし、約一万七千町歩の買上費八億五千万円を用意いたしております。  第八に、森林資源維持培養と林産物対策のための経費であります。このうち最初に御説明いたしたいのは、従来経済安定本部所管に計上されておりました旧公共事業関係経費であります。二十七年度は山林事業総額で九十五億八千六百万円であり、前年度の九十億九千九百万円に比し四億八千七百万円の増加なつおります。この経費の第一は治山事業でありますが、天然災害の激増に対処いたしまして、水源地帶の荒廃を除去し、流域保全に努めるため、四十二億九千六百万円を計上いたしております。このうちには従来災害復旧費で支弁していました過年度の崩壊地の復旧事業経費をも含めております。この経費の第二は、造林事業でありますが、伐採跡地や従来の無立木地の蓄積補充のための造林事業及び新規事業である樹苗養成、瘠悪林地の改良事業経費として二十六億八千万円を計上いたしました。第三は林道事業であります。里山の過伐を軽減し、森林造成に主力を傾注するため、奥地開発重点を置く林道網整備する経費として十九億八千八百万円を要求いたしております。第四に災害復旧費として林道山地施設災害復旧費五億七千四百万円等があります。なお二十六年度まで公共事業費で見ておりました公有林野官行造林費及び国有林野治山事業費は国有林野事業特別会計に計上することになりましたので、二十七年度会計においてこれらの目的のために支出される経費九億六千二百万円を考慮に入れますと、さきに約五億の増加と申しましたが、総計十四億四千九百万円の増加と相成るのであります。  林業振興対策の第二といたしましては、民有林森林計画に必要な経費であります。昨年八月新森林法の施行を見ましたが、改正法による森林施業の合理化、伐採調整等の基本となる森林計画の樹立に必要な経費として三億四千三百万円を要求いたしております。第三に優良種苗確保に必要な経費であります。造林事業を推進するためには優良種苗確保が緊要であることは言うまでもありませんが、そのため優良母樹の毬果を採取するための経費として二千三百万円を要求いたしております。第四に森林病害虫の防除について御説明いたします。森林病害虫による被害は年々莫大なものがあり、戰後窮迫したわが国森林資源をさらに枯渇させているのであります。そこでこの病害虫の防除のための経費として二億四千六百万円を要求し、防除態勢の完璧を期している次第であります。  以上をもちまして農林省関係一般会計説明を終ります。  次に特別会計について御説明をいたします。  第一に、食糧管理特別会計について御説明いたします。二十七年度予算は次の方針のもとに歳入歳出とも五千八百七億八千八百万円を計上いたしました。一、米については一応統制を継続する建前。二、裏及び砂糖につきましては、二十七年四月から統制を廃止し、麦は需給調整価格調整に切りかえて参ります。三、買入れ価格はパリティ二五五を想定しております。四、消費価格は、米については二十八年三月末まで現在の価格を維持し、麦については別途安定制度をとるという考え方であります。五、早場米奨励金は三十億。六、バツク・ペイは十七億三千四百万円とする。七、インヴエントリー・フアイナンスは行わない。八、食糧買入れ予定量は、国内食糧中、米は二千八百二十五万石、麦は七百八十七万石、輸入食糧は三百五十一万トンとする。このような前提のもとに予算を編成いたしております。パリテイ等の変更がございますれば、またそれぞれ措置をいたすことに相なるわけであります。  第二に、農業共済再保険特別会計について申し上げます。この会計は四つの勘定よりなつておりまするが、まず基金勘定より申し上げます。この勘定の歳入歳出は二十八億一千四百万円で、前年の二十五億四百万円に比し三億一千万円の増加であります。この増加のおもなるものは、家畜勘定に対する基金を増設したものであります。次に農業勘定は歳入歳出百五億九千二百万円でありまして、前年度八十四億七千七百万円に比し二十一億一千五百万円の増加でありまするが、この増加のおもなるものは、パリテイの上昇による共済金額の増加と、水稻共済掛金率の変更による国庫負担増加のほかに、二十五年度末の水稻不足額の補填を含むものでございます。家畜勘定は十九億八百万円でありまして、前年度十七億八千五百万円に比し一億二千三百万円の増加であります。また業務勘査定は三千七百万円を計上いたしております。  第三に、森林火災保険特別会計について申し上げます。この会計の歳入歳出はともに一億一千四百万円でありまして、前年度の七千八百万円に比し三千六百万円の増加なつております。この増加のおもなるものは、新規事業といたしまして林齢二十一年以上の林木を保険対象といたしたこと、及び二十年生以下の林木の契約面積の増加によるものであります。なお保険料率の適用につき改正を加えまして、樹種別によらず、全国を地区別に危険率によつて等級別に改めたのであります。  第四に、漁船再保険特別会計につき申し上げます。前年は勘定区分はなく歳入歳出で三億六千三百万円でありましたが、二十七年度より三つの勘定にわかれてまず普通保険勘定は歳入歳出四億七千八百万円、特殊保険勘定は二億百万円、業務勘定は一千七百万円をそれぞれ計上いたしております。特に申し上げたいことは、第一に従来任意加入の二十トン未満の漁船を当然加入とし保険料の二分の一を国庫負担としたことと、第二に特殊保険について料率を改正したこと及び二十六年度中の赤字補填を行つたことであります。右により一般会計より一億八千八百万円の繰入れを行つております。  第五に、自作農創設特別措置特別会計について申し上げます。二十七年度においては、一、未墾地三万町歩、既墾地一万一千町歩を買い上げる。二、売渡し面積は二十万六千町歩とする。三、右のほかさきに一般会計の項で御説明した通り、本特別会計の余裕金により一万七千町歩を買い入れて、農地担保金融にかわるべき機能を行わせる。右の方針に基き予算を編成いたし、歳入歳出とも十三億七千五百万円を計上いたしました。  第六に開拓者資金融通特別会計について申し上げます。この会計の歳入歳出は十七億九千百万円でありまして、前年の十六億六千五百万円に比し一億二千六百万円の増加であります。これは二十五年度以降の入植者に対する営農資金並びに共同施設資金及び経済変動の影響を最もはげしく受けた二十三年度入植者の営農促進のための家畜導入資金の貸付を目的とするものでありまして、パリテイの上昇に伴う融資額の増加を考慮に入れて計上いたしております。  第七に国有林野特別会計の歳入歳出は二百六十億二千五百万円で、前年の二百四億六千五百万円に比し五十五億六千万円の増加なつております。この増加を見ましたのは、木材価格の高騰と事業費の上昇によるものであります。なお本年度林道等の生産施設拡充をはかり、従来公共事業費で見ていました治山事業費及び公有林野官行造林事業費を本会計において支弁することとした次第であります。  第八に国営競馬特別会計について申上げます。まず投票券勘定の歳入歳出は九十八億二千百万円で、前年の七十九億八千三百万円に比し、開催回数の増加によりまして十八億三千八百万円の増加をはかつた次第であります。業務勘定は歳入歳出二十七億七千万円で、このうちには益金として一般会計へ繰入分十三億五千八百万円を含んでおり、この益金は前年に比し約四億の増加なつております。  第九に農林漁業資金融通特別会計は歳入歳出二百十三億四千三百万円でありまして、前年の百二十二億九千七百万円に比し九十億四千六百万円の増加なつております。この会計において一般会計よりの受入れ六十億、借入金百四十億を貸付財源といたしております。  最後に、糸価安定特別会計は三十億六千八百万円を歳入歳出に計上いたしております。以上をもつて私の説明を終ります。
  6. 松浦東介

    松浦委員長 本日は前回の理事会の申合せによりまして、大臣、次官の説明の聴取のみにいたしまして、次会より質問を行うことにいたします。次会は明一月三十一日午前十時より開会いたすことにいたします。なお、散会直後理事会を開きますから、理事諸君はお残りを願いたいと思います。  本日はこれをもつて散会いたします。     午前十一時七分散会