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平川委員 私は修正案の共同提案者の一人といたしまして、この案に賛成の意を表するわけでありますが、この際将来のことがありますので、少し
速記にとどめたい問題があるのであります。それをつけ加えまして討論をいたそうと思います。
最初にわれわれが議員
提出として出しました案は、確かにいろいろな長所かございますが、ただ
一つ根本的な欠点を認めざるを得ないのであります。それは何かと申しますと、年数の原則たけを取上げたことであ
つて、職階の
考え方というもののいわゆる最上部、いわゆる頭打ちと申しますか、その原則を採用していないという点は、確かにこの遺憾の点であ
つたろうと思うのであります。しかしながら次いで出て参りました現在の修正案というものが、はたしてそれに比べていいかどうかということになりますと、これはやはり本来のわれわれの趣旨とは異なる点が多々あるように思うのであります。そこでまず第一番に私この際明らかにしておかなければならぬことは、不
均衡是正という、いわゆる三年前から叫ばれて参りました問題につきましては、根本的にこの案は解決をしていないということであります。
一つの実例をとりますと、たとえば不
均衡是正のさように叫ばれる点から
考えると、元の巡査と、今回の警察官の最高給というものをかりにここにと
つてみますと、か
つては差額が五千四百円であ
つた。しかるに、
給与の上において今回は七千円に幅がふえておるのであります。あるいは
教員の判任の最高給と現在の最高給を比較いたしましてみると、か
つては八千円の差でありましたものが、今度かえ
つて一万円に増加せられておるのであります。この事実はどういうところから来ておるかと申しますと、すなわち何だかんだといわれますけれ
ども、
恩給局が出しておられる
仮定俸給の決定のプリンシプルというものが、やはり現在の
給与のカーブによ
つておるということから起
つて来ておるのであります。すなわちか
つては四十五円から最高六百五十円に至るまではカーブに表わしましても、非常になだらかな、ほとんど直線に近い曲線を現わしておるのでありますが、現在はこれが非常な傾斜を持
つたカーブに
なつておりまして、その間に、最初の出発点においては生活給的な原理が施されておるが、最高給は民間の
給与の実態というものにスタンダードが置かれてお
つて、これにも結びついておるのであります。従
つて現在の
給与ベースの線に沿うてやるということは、明らかにこれは職階の
考えなしにはやれないのであります。原則的にこれに合せておりますものですから、いわゆる五十四万六千円をと
つておりますところの最高給の官吏においては、これは職階の上からいいましても、現在の
公務員の
給与の上からい
つても、ま
つたくこれは一致をするのでありますが、その中間以下のものになればなるほど、次第にその開きがはなはだしく
なつて、おそらく今回の増額によりましても、ほんとうに喜んではくれないと思うのであります。たとえば警官の最高給をと
つておりますものが、今回の増額によ
つて一体どれだけの
仮定俸給額の増加を見るかというと、まず二万円程度であります。これは
恩給実額といたしましては、おそらく年に六千円程度のものでありましよう。そうなりますと、月に割りまして、これは五百円にしかならないのであります。あるいは小学校の
教員の一番多いところをとりましても、ほとんどそれにそう違いのない程度の、千円ないしはその前後のベースアツプにしかこれは
なつていないのであります。最も不
均衡是正を叫んで来ておる階層に対しまして非常な不利を見ておるということは、これはその実際にふところへ入
つて来る金額の上からい
つても、不
均衡是正の声が決してこれによ
つて終熄するものではない。私はむしろそういう意味で今回の私
どもが一緒に
なつてやりました修正案は、決して
恩給の不
均衡是正の案ではなくして、単なる増額案にとどま
つておるという事実をお互いが
はつきり知
つておらなければならぬと思うのであります。ただここに二十五年以上を一段階上げるという
考え方、これがせめてものプリンシプルとしてわれわれの最初に出しました案の
一つの重大な点を加味した点でありますが、これとても、今回の増額におきましては、ほんのわずかなものでありまして、ことに
恩給号俸で申しますと十四号、十六号あたり以上の点におきましては、むしろその増額せられたものが現行
給与ベースにぴ
つたり合うというようなカーブに
なつておる。すなわち修正案の基礎の額というものの表は、現行
公務員の
給与べースより下まわ
つておる、こういうことも私
どもは今回
はつきり知
つておかなければならぬ点だと思うのであります。従いましてこの職階の
考えと年数の
考えを入れるということは、将来の不
均衡是正の場合には絶対これは不可欠の要件であります。この点については非常な困難な問題がありますが、最初自由党
委員の方から
考えられました警察官、
教員その他の不
均衡を生じておると思われる職種のものについて、別個の
俸給表をつくるという案は、将来真剣に
考えてみなければならぬ問題であろうと思います。なおそれに付随して判任
文官についても、これは
考えてみなければならないと思います。奏任
文官と判任
文官をただ金額の序列においてずつと並べるということは間違いであります。やはり過去の官吏
制度によりますと、高等官になりますものは、資格あるいは職の上から
はつきりきま
つておりまして、現在よりか一層はなはだしい封建的な階級
制度というものがしかれてお
つたのであります。それを是正をするということが新しい
公務員の
秩序なんです。その
秩序を元
通りに
考えないで新たに
考え直すということが原則として打立てられなければ
政府が現在
考えておりますような
軍人恩給の問題すら解決
はつかない。いわゆる
給与課長の窮余の言葉であろうと思いますが、貨幣価値の変動に伴うものがこれが
恩給の不
均衡是正の原則であるというようなことを言われておる。さような
考え方で行きますならば、当然ただいまの
考え方というものは、
恩給局自体が数年来や
つておられる
考え方が根本的に成り立たないと同時に、将来の問題もとうてい成り立たない問題である。そこでこの点では
恩給法を根本的に性格がえをするよろなことが、かりにありましても、ぜひ一ぺん
考えてみなければならない点である。この点については、
一つ恩給局の真剣な御解決をお願いしたいと思うと同時に、ただいまいろいろな
公務員の
給与並びに災害補償等の
関係のものはすべて人事院が
扱つておるのであります。この方からもいろいろな
研究を出させて、ここは
恩給局と人事院がどこまでも協力をして、
一つのりつぱな案を出しておいでになることが、
政府としての義務であろうと思うのであります。さいぜん
局長の御言明にもありましたように、私の申しますような不
均衡というものは、現に存在する、こういうことを認められます以上は、やはりその点で人事院とも協力して取組まれるべきである。どうしても御協力ができないのならば、われわれは国会の名において、人事院にその
研究並びに発表を至急にやるように要請をせざるを得ないと思うのであります。しかし従来しばしば人事院と
恩給局の間にいろいろな
意見の対立があ
つたやに聞いておる。そういうところが三年もこの問題を荏苒と遅らせて来たことを思いますときに、どうかこの際ひ
とつ心を広くして、
恩給法というものを根本的に
考えてみていただきたいと思うのであります。
いろいろ申したいことがあるのでありますが、そのほかにきよう小
委員懇談会の席でも出ましたところのある
関係の
文官というものにつきましては、これは至急に
閣令を
改正して、この
恩給法の中に取組まれることが私は必要であると思います。この点もその
措置をと
つていただきたいと思います。以上この修正案並びにわれわれの提案をいたしました案についてそれぞれ欠点があるのでありますが、同僚
委員、ことに
委員長、小
委員長が予算の獲得について非常に御
努力をなさ
つておる。またこの問題は、この程度の増額でも受給者は喜ぶのでありますから、私
どもはそういう実際的な効果の上に立
つて、この際この修正案に賛成をいたすわけでありますが、原則といたしましては決してこの修正案に賛成をいたしておるものではないのであります。従
つて、私がただいま申しましたように、この案は不
均衡是正ではない、単なる増額案にとどま
つておるという点を、特に
恩給局長は銘記していただきたいと思うのであります。なお与党の
委員の諸君にお願いをするのでありますが、先ほど小
委員会の席で言明をせられました十月分以降必ず出すというその線を、今後実現せられるように強力に御
努力をお願いしたいと思います。
以上私の
考え方の一斑を申し述べまして、賛成の討論にかえる次第であります。