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1952-06-14 第13回国会 衆議院 内閣委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年六月十四日(土曜日)     午後零時七分開議  出席委員    委員長代理理事 大内 一郎君    理事 青木  正君 理事 鈴木 義男君       井上 知治君    木村 公平君       鈴木 明良君    田中 啓一君       田中 萬逸君    平澤 長吉君       本多 市郎君    平川 篤雄君       松岡 駒吉君    井之口政雄君  出席政府委員         内閣官房長官 剱木 亨弘君  委員外出席者         議     員 若林 義孝君         外務事務官         (アジア局第五         課長)     和田 周作君         專  門  員 龜卦川 浩君         專  門  員 小關 紹夫君     ————————————— 本日の会議に付した事件  南方連絡事務局設置法案内閣提出第二四四  号)  引揚同胞対策審議会設置法の一部を改正する法  律案小平久雄君外八名提出衆法第五六号)     —————————————
  2. 大内一郎

    大内委員長代理 これより会議を開きます。  本日は委員長所要のため、理事の私が委員長の職務を行います。  南方連絡事務局設置法案引揚同胞対策審議会設置法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。質疑を行います。質疑は通告順によつてこれを許します。井之口政雄君。
  3. 井之口政雄

    井之口委員 南方連絡事務局設置法案に対する質問を申し上げますが、こく手近かなことを聞いてみたいと思います。  終戰前沖縄島民郵便貯金等がたくさんあつて、それが凍結されたままになつていると思いますが、それが一体幾らくらいの額に達しているのか、今までこれに対してどういう処置をとられて来ていたのか、今までのやり方でもつてしては、これがどうしても不可能になつて来ているのかどうか、この点を第一番に聞いてみたいと思う次第であります。
  4. 剱木亨弘

    剱木政委員 今正確な数字は持ち合せておりませんが、大体三億円くらいだと思います。それでこれに対しまする処置につきましては、まだはつきり決定しておりません。
  5. 井之口政雄

    井之口委員 聞くところによると、三億くらいの金じやなくて、四億数千万円にも達していると聞き及んでいる次第でありますが、そうすると今の御答弁では一億円から違つているようであります。かつ今までこれに対して何ら処置が講ぜられなかつたというのは実に驚くほどの問題でありまして、当然これだけの、零細なる向うの農民その他小学校の子供ら等々も貯金していたところのこの郵便貯金に対して、今まで何ら手を打たなかつた。これはアメリカ軍命令によつて、全然そういうことをしてはいかぬというような強制的な何か手段でも日本に講ぜられていたのかどうか、この点を伺いたい。
  6. 剱木亨弘

    剱木政委員 今の数字の点につきましては、正確なる調査はまだ十分できていないと思いますが、大体三億と申し上げましたが、なおこの点につきましては、誤りがございますれば、後ほど調査の上で訂正申し上げたいと思います。  それから郵便貯金につきまして何らの処置をいたしておりませんのは、占領下におきまして、行政分離命令が出まして、今日までいたし方なかつたのでございますが、今度南方連絡事務局を設けまして、現地機関を置きますれば、さしあたりといたしましては郵便貯金のみならず、その他につきましても、たとえば退職金でございますとか、恩給の問題でございますとか、こういうものをさしあたりは十分調査をいたす予定でございます。
  7. 井之口政雄

    井之口委員 この郵便貯金台帳というふうなものは、今日保存されているのかどうか。調べるというたところで、今日まで手がつけられていないというところから見ると、そういうことも、これから事務局を置いてやるとしても、手がかりがあるのかどうか、その点ひとつ聞いてみたいと思います。なお、遺家族への年金も相当あつたろうと思うのです。これも日本ですぐ支払いを開始しなければならない性質のものであつたにかかわらず、沖縄奄美大島その他小笠原などの住民に対しては、それでさえも全然なされていないように聞いておりますが、その金額並びにそれについて今まで取扱つた政府処置についてお尋ねいたします。
  8. 剱木亨弘

    剱木政委員 郵便貯金台帳等につきましては、もし必要がございますれば、郵政省の方からはつきりした御答弁を申し上げたいと思います。それからただいま申し上げましたように、占領下におきましては、沖縄その他の南西諸島に対しまする、そういつたよう措置につきましては、何ら手をつけることができなかつた状況でございますが、今回南方連絡事務局を置きまして、現地機関を置きます一つの大きな目的といたしましては、そういうような未解決になつておりました問題を、できるだけ早急にこれを解決したいというのが、一番大きな目的でございます。
  9. 井之口政雄

    井之口委員 郵便貯金にしろ、遺家族への年金にしろ、名前を発表して、そうして実際に政府においてこれを支払おうという意思さえあれば、今までだつて、やつてやれなかつたはずはないのであります。それを、今日までなせそれが怠られていたか。同じ日本人ではないか。同じ日本人であるにかかわらず、これに対しては特別の処置がとられて、今まで支払われなかつたというここは、どうしてもわれわれは納得することができないのであります。またそういう諸島人たちから、従来とても、いろいろな団体がこれに対して支払い方を要求して来ていたはずだと思うのでありますが、それらの処置に対して、どう政府は今まで扱われておりましたか。
  10. 剱木亨弘

    剱木政委員 先ほども申し上げましたように、占領下におきましては、行政分離命令によりまして、事実上支払うことができなかつたのでございまして、これを早急に開始しようとするのが、今度の南方事務局設置目的でございます。
  11. 井之口政雄

    井之口委員 こういう事務局設置しなくたつて、今すぐ払おうと思えば通信も向うとできるはずでありますからして、すぐできなければならぬ道理でございますが、もう即刻でもこれを開始することは、日本郵便局において、または政府の方においてどんどん支払つて行くことは可能ではないか。なぜそういうふうな特別の処置をとられなければならないのか、この点を伺いたいのであります。
  12. 剱木亨弘

    剱木政委員 これは今度南方事務局を置くことにつきましても、現在におきましてはアメリカ管理下にありまして、この南方事務局設置につきましても、アメリカ側からの招請状が参りまして、それに基いて置くような状態になつたのでございます。なお現在支払い等につきましては、送金関係その他におきまして事実上は不可能でございまして、この支払い方法をいかにするかということも、今後南方事務局におきまして、現地との交渉によつて解決すべき問題だと考えております。
  13. 井之口政雄

    井之口委員 将来とても同じ問題かやはり起つて来るのであつてアメリカ占領が依然として継続されている現実は、これらの諸島は軍事的な信託統治状態にあるのでありますが、アメリカの方でそれに対して反対するならば、いくらこつちで支払おうとしても、そういうものは不可能になつて来るのじやなかろうか。それを押し切つてやるだけの、何か保障があるのか。かつ、これから為替関係向うとは——ほとんど外国のような状態アメリカは置いているのでありますが、そういう点の考慮なんかは、政府において払われているのですか。はたしてそれができるかどうか伺いたい、
  14. 剱木亨弘

    剱木政委員 現在は信託統治ではなしに、アメリカ管理下に置かれておる状況でございます。なお先ほど提案理由のときにも申し上げましたが、こういつたような問題をアメリカの方で早急に解決するというために、南方連絡事務所設置を要請して参つたのでございまして、現在の情勢といたしましては、これらのものを解決するにつきましては、むしろ積極的にアメリカの方で協力しておる状態でございますので、日本政府といたしましては、ただいま申されましたような事柄につきまして、不可能なような状態が起るとは考えていないのでございます。
  15. 井之口政雄

    井之口委員 奄美大島琉球並び沖縄諸島は、これは当然日本領土であり、向う住民日本への復帰を要求しております。復帰して来さえすれば、そういうふうな問題はただちに解消してしまうし、最も徹底的にいろいろな処理が行われると思うのであります。しかるに、そういう方針はとらないで、アメリカの庇護のもとに、わずかに連絡事務局設置してやろうとなさいますならば、これは向うの、今日制定されているところのいろいろな憲法等々を見ましても、向うで出ているところの、島民の有しているところの議会でもつて決定する事項は、全部アメリカ側承認を得ることを必要としている。アメリカがこれをいけないと言えば、それきりになつてしまう。そういうふうでありますから、たといこういうふうな事務局設置いたしましたところで、これはアメリカ側の鼻息をうかがつてやらなければならぬ。根本的な問題は、日本への復帰という方針が定まつて、初めてこうした向う住民の保護その他いろいろの、ここに目的としているところのことが達せられるのじやなかろうかと思うのでありますが、向う復帰運動に対して、政府はどれだけの考慮払つて今まで努力して来られているか、その点も伺いたいと思います。
  16. 剱木亨弘

    剱木政委員 ただいま御質問がございました点につきましては、これは日本平和条約におきまして、その効力が発生いたしました以上は、平和条約に明らかに定められた線によつて、現在の状態が生じておるというように申し上げるよりしかたがないのでありまして、もとよりこの南西諸島その他につきましても、日本といたしましては、すみやかにこれが日本領土として復帰いたしますことを希望するものでございますけれども、現在の状況におきましては、平和条約にはつきりこの点は明示されておるのでありまして南方のこういつた状態は、この平和条約の條文によつておりますが、将来とも日本といたしましては、できるだけ早く復帰することに努力すべきものだと考えております。
  17. 井之口政雄

    井之口委員 総理府の附属機関として南方連絡事務局を置くとなつておりますが、これが向うにおいてなし得るところの権限というものは、まつたアメリカ軍支配下に置かれる機構になるのですか、何らか日本の従来のいろいろな中央政府の出張所のようなものとして、向う機関承認を得て、こういうものが置かれるのか、この点は一体どんな機構にこの連絡事務局がなるのでありましようか。これは日本の、向うに置いてあるところの單なる事務局というふうな性質になるのですか。
  18. 剱木亨弘

    剱木政委員 これを設置いたしますことは、さきにも申し上げましたように、向う招請状によつて設置いたすのでありますが、設置いたす機関といたしましては、明らかに日本政府現地機関でございまして、アメリカ支配下に置かれるものではございません。従つて現地機関といたしましては、日本政府を代表いたしまして、もちろん現地人との交渉その他をいたしますが、決して向う支配を受けるということはないのでございます。つまり現地機関といたしましては、あくまで日本政府現地機関でございまして現地軍支配下に置かれるものではございません。ただ一言つけ加えますれば、向う行政権は現在アメリカ管理下にありますので、直接に南西諸島住民に対する行政的な権限は、出先機関としては持つていないわけでございます。
  19. 井之口政雄

    井之口委員 「南方地域との間の渡航に関する事務を行う」ということになつおりますが、これは日本から行く人間だけでありますか。向うから来る人間の便宜も、ここにおいてはかることになるのでありますか、どんなものですか。
  20. 剱木亨弘

    剱木政委員 両方でございます。
  21. 井之口政雄

    井之口委員 向う人間戸籍問題も、今非常に複雑になつて参りまして一体日本人であるのか、日本人でないのかわからないような状態になつておる次第であります。そういう点において、この連絡事務局は、どういう仕事を向うで、戸籍上の点でするのでありますか。
  22. 剱木亨弘

    剱木政委員 国籍は明らかに日本国籍を有するものと考えております。戸籍事務につきましては、今までのところは、南西諸島につきましては、福岡県にその南方事務をする役所があつたのでございますが、今度現地に参りますれば、その現地において戸籍事務をどういうふうに処理するかということも、この現地機関におきましていろいろ研究をいたしまして、適当な処置をいたすつもりでございます。
  23. 井之口政雄

    井之口委員 事実は福岡県にあつた南方事務所が、向うの土地に行くだけですか。
  24. 剱木亨弘

    剱木政委員 福岡県にございましたのは、南西諸島におきます戸籍事務等を処理いたしますために、一時的に置いたものでございまして、この福岡県にありましたものとは、全然別個のものでございます。今度は新たな機関として、南方連絡事務所を設けるということでございます。
  25. 井之口政雄

    井之口委員 今の答弁から、いろいろ考えてみますと、結局同じ日本人でありながら、しかも日本領土でありながら、そういう領土に、こうしたまつたく無力な事務局設置して、それで日本人利益もこれによつてはかることはできないし、また現住民日本人としての利益も、この事務局設置によつては達せられないように考えます。むしろ現住民の要求していることは、日本に印刻復帰するという点であつて、そうしない限り、この現住民が抱いているところの日本への憧憬というものを満足させることはできないし、また日本としても、当然これは国際間の協定によつて、これらの島々は日本復帰すべきものである。そうしてここに駐屯しているところのアメリカ軍隊は、ここから撤退するのが、国際間の公約になつておる。それでありますからして、それを強力に要求することによつて、初めてこの法案目的としているところのことが達せられるのであると、われわれは考える次第でありますが、それは外交上の問題にもわたりますので、これだけの質問にしておきます。
  26. 平川篤雄

    平川委員 一、二点お伺いして、それにちようど官房長官が見えておりますのでこれに関係ないこともちよつとお聞きしたいと思いますが、よろしいですか。
  27. 大内一郎

    大内委員長代理 どうぞ。
  28. 平川篤雄

    平川委員 南方連絡事務局設置法案につきましては、ちようどこれは所管の方でないので御答弁はどうかと思いますけれども、一応お伺いしてみたいと思います。「信託統治協定が結ばれるまでの間」云々ということが、提案理由説明書にありますが、この信託統治の問題については、外務委員会でも相当問題になつてつたようであります。もしこの協定が結ばれるといたしましたら、この南方連絡事務局というのは、どういうことになるのですか。
  29. 和田周作

    和田説明員 信託統治になるというふうには、はつきりきまつておるわけでないのでありまして、アメリカ側信託統治にしたいという、何らかの、そういつた提案を国連にするときには日本側ではそれに承諾するというふうになつておるのであります。従つて現在のところでは、アメリカ側からそのような提案をするというふうなことは聞いていないのであります。
  30. 平川篤雄

    平川委員 この四月十四日にこういう招請状が来たということは、将来信託統治をやるつもりがあるかないかということについて、何らか向うの腹が読めるのではないですか。
  31. 和田周作

    和田説明員 その招請状の中には、現状のままの状態がまだ暫時続く可能性があるので、というふうなことが書いてあるのでありまして、むしろ私はそのようなおそれはないというふうに感ずるのであります。
  32. 平川篤雄

    平川委員 この琉球政府というものと現地軍というものと、それから南方連絡事務局というもの、この三者の関係はどういうふうになるのでしようか。
  33. 剱木亨弘

    剱木政委員 この南方連絡事務所は、主としてアメリカ民政部との交渉が主になつて参ると思います。
  34. 平川篤雄

    平川委員 現地のいろいろな問題は党としてお聞きしなければならぬことがあるかと思いますから、保留したいと思います。  この際ちよつと、関連事項でありませんが、副長官に齢聞きしたいのですが、新聞で見ますと、閣議軍人恩給を実施するという決定がなされたやに報道しておるのです。そのことについて詳細にお話を願いたいと思います。
  35. 剱木亨弘

    剱木政委員 軍人恩給につきましては、先般国会を通過いたしました恩給特例に関しまする法律に基きましてただいま恩給特例審議会というものを設置して、早急にこれが成案を得まして、なるべく早くその成案に基いて実施をいたそうと考えておるのでございます。先般新聞軍人恩給を復活するということが決定したと載つておりましたが、これはまつたく事実無根で、ございまして、閣議決定といつたよう種類のものではございません。
  36. 平川篤雄

    平川委員 そうすると、ただ懇談程度の茶飲み話だつたのですか。
  37. 剱木亨弘

    剱木政委員 事実を申しますれば議員提出法案でございましても、一応閣議報告することになつております。当日の閣議では、この国会議員提出恩給関係法案につきまして報告をいたしまして、その際にいろいろな話があつたわけでございますが、そこで軍人恩給関係等の話も出たのでございます。しかし、それは單に議案報告でございまして、閣議決定といつたよう種類のものでは、ございません。
  38. 平川篤雄

    平川委員 今の議案報告というのは、議員提案になつております例の不均衡是正法案のことですか、軍人恩給に関する法案なのですか。
  39. 剱木亨弘

    剱木政委員 不均衡是正法案でございます。
  40. 平川篤雄

    平川委員 そういうことになると、ちよつと根掘り葉掘り聞いてみたいのですが、私語に類するものを副長官お話になれるかどうかということは私も問題だと思いますけれども、でき得る限り率直にお願いしたいと思います。どうせただいま内閣委員会の小委員会で取上げられておる問題に関連をしておるということになれば、主として予算関係とか、あるいは軍人の方面から起つて参ります要望に対する政治的な意図その他で議論が出たものと思いますが、これは今回の恩給の不均衡是正の問題に非常な関係がありますので、私は関心を持たざるを得ないわけであります。一体ただいまの議員立法予算を十分に要求するということになると、大蔵省の方では二十数億いると言つておりますが、そんなに出すと、軍人恩給に大きな響きが生ずるというような方向で物語られたかどうかということ、それを私は聞いてみたいのであります。
  41. 剱木亨弘

    剱木政委員 閣議決定事項につきましては、その都度発表をいたすべきものは正式に発表いたしておるのでございまして、閣議のいろいろな話合いの内容につきましては、これは私ども申し上げる自由を持ちませんので、御了承願います。
  42. 平川篤雄

    平川委員 そうすると新聞へ出ましたのは、官房長官を通じて、きよう軍人恩給の問題を大体やるという話の発表があつたのですか。それともこの事項につきましては、そういうことが全然ないのを新聞社が抜いたのですか。そこらのところ、正式に官房から発表があつたことなのかどうか。
  43. 剱木亨弘

    剱木政委員 おそらく官房から発表があつたことではないと私は思いますが、どういうことで新聞が書かれましたか、その点は私ども存じておりません。
  44. 井之口政雄

    井之口委員 もう少し確かめておきたいと思いますが、先ほど終戰前郵傭貯金遺家族への年金項目だけを聞いたのでありますが、そのほかにまだたくさん支払わなければならない項目があることと思います。その項目並びにそれに支払わなければならぬような金額概算等についても、ひとつ聞いておきたいと思います。
  45. 剱木亨弘

    剱木政委員 ただいまのお尋ねの点でございますが、これにはまだいろいろございまして、たとえば恩給支払いでございますとか、また政府職員でございました者の未払い給与でございますとか、また公務員で退職いたしました者の退職手当あるいは死亡賜金、こういうのがございます。それから未復員者及び特別未帰還者に対しまする給与の支給が、未払いで残つております。それから遺族等援護費が残つておるのでございまして、これも実はごく概算的には、ある程度の金額は調べておりますけれども、実際におきましては、現地において至急明確に調査いたしませんと、その明確なる数字はわかりません。ただ一応私どもの方の計算といたしましては、全部今までの未支払分を入れまして、約三十億ぐらいな金額に上るかと思つております。
  46. 井之口政雄

    井之口委員 その点をひとつでき得る限り明細に調べて、資料として発表していただきとうございます。  なお連絡事務局設置された場合、または設置されない場合でもよろしいのですが、当然今日は政府建前は独立したということになつておるのですから、そういう建前からいたしましてこれをいつごろに支払うという明確なる返事ができましようか。またその方針を立てるとすれば、今度の予算関係等はどうなつて来るのか。單に連絡事務所をつくつて現地との間のいろいろな問題を処理するというふうなことは言つていても、こうした重要な問題が解決せられる見込みが立つていなければ、こういう事務所をつくつても、何も役に立たないと思いますが、明確な責任のある答弁がなされるでしようか。
  47. 剱木亨弘

    剱木政委員 数字につきましてはただいまも申し上げましたように、こちらの推定数字でございまして、今後調査をまつて、この金額は確定するものと思いますが、今私の方で調べておる概数だけを一応申し上げます。恩給関係経費につきましては約二億五千万円、未払給与約一億九千万円、退職手当約三億九千万円、死亡賜金約五千六百万円、未復員者給与約一億五千九百万円、それから遺族援護経費約二十億もつともこの二十億のうち十五億は国債であります。これをなるべく早く調査いたしまして、これらのものにつきましては、政府義務支出に属するものもございますので、できるだけこれを予算化いたしたいと考えておりますが、立法及び予算関係がございますので、その時期につきましては、今明確に申し上げるわけに行きませんが、できるだけ早い機会に政府といたしましては、立法的措置及び予算的措置をいたしたいと考えております。
  48. 井之口政雄

    井之口委員 なお向うの島嶼の方々の日本に置いてあつた財産等も、終戰後持つて帰ることができなかつたろうと思いますが、その辺はこれからどうなさるのですか。
  49. 剱木亨弘

    剱木政委員 今までは、引揚げます場合に、大体十万円を限度として持ち帰ることができたのでございますが今後の問題といたしましては、どういうふうにいたしますか十分研究をして適当に善処したいと考えております。
  50. 井之口政雄

    井之口委員 為替関係はどうなりますか。
  51. 剱木亨弘

    剱木政委員 外国為替予算でございます。
  52. 井之口政雄

    井之口委員 円と向うの金との比率は同一でありますか。
  53. 剱木亨弘

    剱木政委員 ドル建てで、大体三対一の割合になつております。
  54. 井之口政雄

    井之口委員 その明細な資料をひとつ出してもらうように委員長からもお願いいたします。
  55. 大内一郎

    大内委員長代理 承知いたしました。
  56. 井之口政雄

    井之口委員 引揚同胞対策審議会設置法の一部を改正する法律案に対してちよつと提案者質問したいと思いますが、この引揚審議会で、まだソ連に引揚者が数十万人いるとかなんとかしきりにデマが飛んでおりますが、向う発表によりますと、きのうの新聞にもありましたが、一千四百何名の戰犯者が残つておるというだけであつて、あとの人数はいないということが明瞭になつておる。それでありますのに、日本においてしきりにそれを依然として主張されるところを見ますと、その府県別生死別並びに性別、いろいろなものが今日だつた発表できなければならないはずだと思います。そうしてこそ初めてこの法案研究する必要も出て来るだろうと思います。この点についてどうなつておるか、お聞かせ願いたいと思います。
  57. 若林義孝

    若林義孝君 この法案特別委員会で議をまとめたのであります。そのとき共産党の方もお加わりになつておりまずから、一応よくお聞き願つておくということがわれわれとして申し上げられることであります。  それから数の問題でありますが、常に数が問題になるのでありまして、井之口君が御質問になりまりたお気持も、われわれとしてわかるのでありますが、しかしとにかく留守家族があの要求の悲痛な声をあげております現実は、引揚者があるかないか、未復員者があるかないかということを物語つておるのであります。いかにないと申しましても、ほんとうにないのなら、死なれた人たちの数を向う方から報告があれば、日本として明確なものができるだろうと思いますけれども、向うは一人も死亡者はない、しかも残つておる者は戰犯以外にないのだ、ただ九人だけであつて、そのうちの一人は帰つて来て、残つておるのは八人というようなことで、日本といたしましては、政府が極力調査を急いで——昨年でありましたか、私たち相当苦心をしたところだと思いますが、数字については政府当局から御説明をお聞き願つたらけつこうかと思います。  なおこの審議会自身は、引揚げ問題ばかりじやありませんので、帰つて参りました人たち、あるいは遺家族留守家族の援護、それから帰還者の更生対策、帰還者の在外資産いうような重要な項目の御審議を願つて行くところでございますので、なおそういう重要な仕事を御解決願う有力な審議会として残しておきたいと考えております。
  58. 井之口政雄

    井之口委員 共産党の代表が小委員会に参加して審議したとのことでありますが、けつこうであります。しかしその結果、もうこうしたものを置く理由をなかなか見出せないのであります。その理由といたしまして、重要なものは、これが政治的に使われておつて、たとえば未復員者の家族がいろいろな全国的な運動を起すとかなんとかいつたところで、それなら具体的にだれが引揚げて来ていないのか政府においてもそれの明確なる数を示すことができぬし、その県別、生死別、性別等を明確に出すこともできない。そうしてただ総理大臣の責任ある答弁においても、これは想像上の数にすぎないというふうなことを言つておる。最近新聞によりますと、参議院の高良さんからなお十何万人とかいうふうな新聞報道も出ておるようでありますが、それに対しても、すでに衆議院、あるいは参議院でしたか、外務委員会においてこれは信憑すべき性質のものではないということを言つておられるのであります。そういうふうな点を考えてみますと、すでに引揚げというものは完了しているにかかわらず、なおこれをいかにもソ同盟が帰さずにいるかのごとき逆宣伝をするために、政治的な企図のもとにこれが利用されて、むしろアメリカの喜ぶことに日本人がそのしり馬に乗つて、そうして日本の独立というものをむしろ危うくする、日本のアジアにおける平和的な政策というものを危険ならしめるというふうに、引揚審議会設置法が継続されて維持されるようになることは必然であります。引揚げ南方地域において完了したと称せられておりながら、なおアナタハンからも二十数名最近帰つて参りましたし、インドネシアからも二百数十名の人が帰つて来るという状態で、むしろそういうところにこそ未引揚者が残つておる。そういう方面の審査をやらないでからに、單にこれを政治的な反共の宣伝に使うということは、われわれとしてなかなか納得しかねるところであります。なお引揚げて来られた人たちののいろいろな保護をもこれがつかさどつているということでありますが、そうしたものに対しても、世間ではきわめて不徹底であるとの声が高いのであります。むしろ大きな予算を組んでやれば——何もこうした審議会設置を一年延ばすことによつてやるのでなく、本気にこれらの人を保護しようと思えば、当然それだけの法案を備えてやるべきものであつて、このような姑息な処置によつて、單に逆宣伝に利用するということでは、日本の国政をして誤らしめるもとだと思います。なお政府の方がわかつているかどうか知りませんが、高良さんが発表したと称する新聞電報については、これがどういうところから出て来て、どうしてこんな逆宣伝をして日本の輿論を誤らしめるもとになつているか、その点も調べているかどうか、ちよつと聞いてみたいと思います。——提案者の方も共産党以上に別に持つていないそうでありますが、してみますと、やはりこれはデマで、何ら信憑のおけない数字であつて、輿論を誤らしめることになるのであります。そういう建前からして、こうしたものをさらに一年もあとに存続させるということには、なかなか論拠を見出しかねる次第であります。これをもつて質問を終ります。
  59. 松岡駒吉

    ○松岡委員 ちよつと提案者にお尋ねしたいのでありますが、ソビエト同盟からの帰還者を目標にお考えになつたのであるか、あるいは井之口君も御指摘になる通り南方に今なおとどまつているということをひんぴんとして日本新聞が報道している。しかし必ずしもこれのみが確証があつて信憑性があるものとは私たちは断定するわけにいかぬ。しかしひんぴんと伝えられていることは事実である。同時にまた、中共にも残されているということがひんぴんと伝えられている。そういう点を総合的にお考えになつて提案者は御提案なつたものであるかどうか。井之口君が指摘されるように、ソ同盟のことのみで御提案になつたのであるかどうか、それらの点を明確に御答弁願います。
  60. 若林義孝

    若林義孝君 御質問の御趣旨の通り全部を包含いたしておるのでありまして、ソ同盟だけを目標にはいたしておりません。外務省の発表によりますと死亡者の数を入れますとソ同盟は多いのでありますけれども、生きているであろうと想像をいたしております外務省の発表する数字は、中共にいるであろうと思う数字よりはるかに少いのであります。だから、この法案のねらつております審議会の機能としては、中共の残留者に対しても目的を貫徹するために——なお南方諸島には現段階の調査の上では、あるいは引揚げ完了というようなことを言えるかもしれませんが、何分あの離れた多くの島のことでありますから、これらもできる限り調査を促進し、そうして引揚げをやらなければならぬ。なおわれわれ特別委員会におきましては、遺骨の奉還引揚げということも非常な関心を持つた条件になつておりまして、おそらく独立いたしましていろいろ交渉を各地とも持ち得るのであります。また交通の利便もあることでございますので、こういうものを有効に利用して、政府をしてその実を上げさせて行きたい、かように念願をいたしておる次第であります。
  61. 井之口政雄

    井之口委員 もう一つ聞いておきたいのですが、中共地区の残留邦人の問題もこの審議会で取扱われるということでありましたが、最近中共の指導によつて中華人民共和国の生産が非常に増加し、国力が充実して参りまして、向うにいるまだ引揚げて来ていないところの多くの残留者が、それぞれ生産部面について相当高額な給与を受けている。そのためにそこから留守家族への送金が最近ひんぴんとして参つているわけであります。しかるにそういうものが香港政庁においてさしとめられてしまつて日本へ来ないようにとめておる実情があるのであります。こういうものに対して一体審議会なんかが従来何らか活動をしたものか、その真相なんかを突き詰めているものか、どのくらいの額の送金があり、それが香港政庁に差押えられて、しかも日本政府はこれに対して何らの交渉も開始していないというようなことになつているんじやなかろうか、この点もひとつ提案者に御質問申し上げておきたいと思います。
  62. 若林義孝

    若林義孝君 提案者のわれわれといたしましては、寡聞にして今のことは耳にいたしておりませんが、経済事情その他時々刻々変転いたして行くのでありますから、あるいは井之口委員の御発言のような事柄があるだろうと思うのであります。あるいは政府の方ではそれを把握しておるかもしれませんが、われわれは存じておりません。
  63. 大内一郎

    大内委員長代理 これにて暫時休憩いたします。     午後零時五十九分休憩      ————◇—————     〔休憩後は開会に至らなかつた