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井之口委員 共産党の代表が小
委員会に参加して審議したとのことでありますが、けつこうであります。しかしその結果、もうこうしたものを置く理由をなかなか見出せないのであります。その理由といたしまして、重要なものは、これが政治的に使われてお
つて、たとえば未
復員者の家族がいろいろな全国的な運動を起すとかなんとかい
つたところで、それなら具体的にだれが
引揚げて来ていないのか
政府においてもそれの明確なる数を示すことができぬし、その県別、
生死別、性別等を明確に出すこともできない。そうしてただ総理大臣の責任ある
答弁においても、これは想像上の数にすぎないというふうなことを言
つておる。最近
新聞によりますと、参議院の高良さんからなお十何万人とかいうふうな
新聞報道も出ておるようでありますが、それに対しても、すでに衆議院、あるいは参議院でしたか、
外務委員会においてこれは信憑すべき
性質のものではないということを言
つておられるのであります。そういうふうな点を考えてみますと、すでに
引揚げというものは完了しているにかかわらず、なおこれをいかにもソ同盟が帰さずにいるかのごとき逆宣伝をするために、政治的な企図のもとにこれが利用されて、むしろ
アメリカの喜ぶことに
日本人がそのしり馬に乗
つて、そうして
日本の独立というものをむしろ危うくする、
日本のアジアにおける平和的な政策というものを危険ならしめるというふうに、
引揚審議会の
設置法が継続されて維持されるようになることは必然であります。
引揚げが
南方地域において完了したと称せられておりながら、なおアナタハンからも二十数名最近帰
つて参りましたし、インドネシアからも二百数十名の人が帰
つて来るという
状態で、むしろそういうところにこそ未
引揚者が残
つておる。そういう方面の審査をやらないでからに、單にこれを政治的な反共の宣伝に使うということは、われわれとしてなかなか納得しかねるところであります。なお
引揚げて来られた
人たちののいろいろな保護をもこれがつかさど
つているということでありますが、そうしたものに対しても、世間ではきわめて不徹底であるとの声が高いのであります。むしろ大きな
予算を組んでやれば——何もこうした審
議会の
設置を一年延ばすことによ
つてやるのでなく、本気にこれらの人を保護しようと思えば、当然それだけの
法案を備えてやるべきものであ
つて、このような姑息な
処置によ
つて、單に逆宣伝に利用するということでは、
日本の国政をして誤らしめるもとだと思います。なお
政府の方がわか
つているかどうか知りませんが、高良さんが
発表したと称する
新聞電報については、これがどういうところから出て来て、どうしてこんな逆宣伝をして
日本の輿論を誤らしめるもとにな
つているか、その点も調べているかどうか、
ちよつと聞いてみたいと思います。——
提案者の方も共産党以上に別に持
つていないそうでありますが、してみますと、やはりこれはデマで、何ら信憑のおけない
数字であ
つて、輿論を誤らしめることになるのであります。そういう
建前からして、こうしたものをさらに一年もあとに存続させるということには、なかなか論拠を見出しかねる次第であります。これをも
つて質問を終ります。