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1952-05-16 第13回国会 衆議院 内閣委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月十六日(金曜日)     午前十一時十九分開議  出席委員    委員長代理理事 江花  靜君    理事 青木  正君 理事 鈴木 義男君       鈴木 明良君    田中 啓一君       田中 萬逸君    橋本 龍伍君       平澤 長吉君    松本 善壽君       山口六郎次君    苫米地義三君       松岡 駒吉君    木村  榮君  出席国務大臣         通商産業大臣  高橋龍太郎君  出席政府委員         大蔵事務官         (大臣官房長) 森永貞一郎君         文部事務官         (大臣官房総務         課長)     相良 惟一君         農林政務次官  野原 正勝君         工業技術庁長官 駒形 作次君  委員外出席者         厚生事務官         (大臣官房総務         課長)     小山進次郎君         専  門  員 龜卦川 浩君         専  門  員 小關 紹夫君     ————————————— 五月十六日  委員高田富之辞任につき、その補欠として木  村榮君が議長指名委員に選任された。 同日  委員木村榮辞任につき、その補欠として今野  武雄君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  文部省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一八七号)  厚生省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一九二号)  通商産業省設置法案内閣提出第二〇六号)  通商産業省設置法施行に伴う関係法令整理  に関する法律案内閣提出第二〇八号)  工業技術庁設置法の一部を改正する法律案(内  閣提出第二〇七号)  大蔵省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第二二九号)  大蔵省設置法の一部を改正する法律等施行に  伴う関係法令整理に関する法律案内閣提出  第二三〇号)  農林省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第二三八号)     —————————————
  2. 江花靜

    江花委員長代理 これより会議を開きます。  本日は委員長が所用のため理事の款が委員長の職務を行います。  本日の午前の会議は、農林省設置法等の一部を改正する法律案通商産業省設置法案通商産業省設置法施行に伴う関係法令整理に関する法律案及び工業技術庁設置法の一部を改正する法律案を一括して議題として質疑か行いますが、農林省設置法等の一部を改正する法律案はまだ提案理由説服を聞いておりませんので、この際政府より提案理由説明を求めます。農批政務次官野原正勝君。
  3. 野原正勝

    野原政府委員 農林省設置法等の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げます。  令回提案いたしました農林省設置法等の一部を改正する法律案は、今次の行政機構改革の一環として農林省機構改革をその内容といたしておるのでありまして、第一條において農林省設置法の一部を、第二條において水産庁設置法の一部をそれぞれ改正いたしております。  まず第一條農林省設置法の一部改正から御説明をいたしますと、その要点は、(一)食片糧及び林野庁内局とし、それぞれ食糧局及び林野局とすること。(二)大臣官房農政局及び農業改良局事務配分調整して、農政局農林経済局とすること。(三)内局に置かれた部及び新たに内局となる食糧庁及び林野庁の部を廃止すること。(四)農林経済局及び農地局次長各一人、食糧局及び林野局次長各二人を置くこと。(五)農林経済局統計調査監畜産局競馬監を置くこと。(六)米価審議会経済安定本部から移管すること。(七)営林局管轄区域の一部を変更すること。(八)林野局農業講習所新設することの八点であります。  第一の食糧庁及び林野庁内局といたしますことは、今次の行政機構改革の主要な目的である外局整理方針に即応するものであります。  第二の大臣官房農政局及び農業改良局事務配分調整につきましては、これまでの大臣官房事務が、旧総務局事務の大部分を承継した関係上、他省に比し複雑厖大であることまた農政局事務のうち植物防疫及び農産物の生産に関する事務は、農業改良及び普及事務一体として一局において所掌させることが適当であること等の諸事情がございますので、この際これら三局間に事務調整を行い、大臣官房事務のうち金融、検査及び貿易等に関する事務並びに農業改良局事務のうち統計調査経済研究等に関する事務は、従来の農政局に移し、その名称も性格を考慮して農林経済局とし、さらに農業改良局には従来の農政局事務のうち農産、特産及び植物防疫に関する事務を移し、農林行政の刷新を企図いたしたのであります。  第三の部制廃止につきましては、これまた今回の行政機構改革の主要な目的一つでありまして、従来から臨時的なものとして存置されていた内局部制をこの際全廃することとされましたのに伴い、農林省におきましても農政局農業協同組合部農地局管理部計画部及び建設部農業改良局統計調査部研究部及び普及部畜産局競馬部、新たに内局となる食糧庁総務部業務第一部及び業務第二部、林野庁農政部指導部及び業務部廃止することといたしたのであります。  第四は、前述通り部制廃止に伴い、その所掌事務が相当複雑厖大な部局すなわち農林経済局農地局食糧局及び林野局についてはその質量に応じ、それぞれ一人または二人の次長を置くことといたしたのであります。  第五の統計調査監競馬監新設は、これまた前述部制廃止に伴うものでありまして、前者は統計調査事務の特殊の性格等を考慮してその事務を掌理する特別の職が必要と考えられたため設置するものであり、後者は競馬に関する事務を掌理する特別の職が必要であるため設けられるものであります。  第六の米価審議会は、従来経済安定本部附属機関であつたのでありますが、物価関係事務はすべて所管物資別に各省に分割されましたのに伴い、この審議会農林省附属機関といたす必要があるのであります。  第七の営林局管轄区域変更につきましては、従来の管轄区域昭和二十二年のいわゆる林政統一即ち御料林と国有林が合一したとき以来のものであり、その後における諾事情変更等を考慮してこの際国有林野の適正な経営をはかるためにはその一部の管轄区域変更することが必要と考えられると至りましたので、改正をいたすことといたしたのであります。  第八の林業講習所新設は、従来から継続して参りました林野庁及び営林局署の職員の講習施設を形式上講習所という施設に発展せしめるものでありまして、林業技術及び経営に関する教習を常設的な講習所において行うことによつて事務能率向上等をはかろうとするものであります。  次に、第二條水産庁設置法の一部改正について御説明いたしますと、その要点は、水産駐在所廃止することと漁業調整事務所を設置することの二点であります。  第一の水産駐在所廃止でございますが、この水産駐在所は、元来設置法上臨時的なものであり、またその所掌事務も水産物の需給調整及び漁業の許可に関する事務であつて水産庁地方支分部局として今日の水産行政事務実態にそぐわない点がありましたので、後述の漁業調整事務所新設ともにらみ合せてこれを廃止することといたしたのであります。  第二の漁業調整事務所新設は、水産駐在所廃止とともに水産行政出先機関整備のための支柱をなすものでありまして、水産行政の現段階から見まして、漁業法及び水産資源保護法施行に関する事務のうち特に必要な範囲内の国の事務は、直接国において出先機関を設けて行うことが必要と考えられますので、今回漁業調整事務局とならんでその小規模の組織として漁業調整事務所を設置するわけであります。なお、従来水産駐在所は、全国で七箇所設置されておつたのでありますが、調整事務所は、五箇所でございますので、簡素化目的にも順応しておるわけであります。  以上申し述べましたところが本法案提出理由の大要であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
  4. 江花靜

    江花委員長代理 これにて提案理由説明は終りました。  四法案について質疑を行います。質疑通告順にこれを許します。
  5. 木村榮

    木村(榮)委員 議事進行について。幾ら何でも与党側でも二、三人ぐらい来て、今の通商産業省関係では大臣が顏を出して一般的な問題を聞いた上で、こまかい点は長官や局長に聞いてもいいと思うのですが、これじやまつたくあまりにも権威のない委員会で、ことに内閣委員会ともあろうものがういう不手ぎわではどうにもならぬと思うのです。暫時休憩をして、崎汰体頭数をそろえてやつたらどうです。懲罰委員会では再三こんなことがあるけれども、あそこは政策を検討するところじやないから、場合によつてはしようがないと思うが、最高の委員会がこういうことでは困る。
  6. 江花靜

    江花委員長代理 お話通りです。暫時休憩しますか、または質疑を続行して待つていますか。
  7. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 ちよつと委員長……。木村君の言う通りですが、せつかく時間があるから、やれるだけはやつておいて、午後からそういうふうにいたしましよう。
  8. 江花靜

    江花委員長代理 それで木村君御了承願えますか。
  9. 木村榮

    木村(榮)委員 了解さえしてもらえば……。
  10. 江花靜

    江花委員長代理 それでは御了解を得まして、会議を続行することにいたします。鈴木義男君。
  11. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 ただいま、農林政務次官提案理由の御説明がありましたから、引続き二、三の点を承つておきたいと思います。  まず今度の行政機構改革は、外局たる庁を廃止して内局にするということで、林野庁のような大きなもの、それから食糧庁、そういうものをみな内局にしてしまつたわけでありますが、林野庁のようなものを、何ゆえこれだけ大きな仕事をしなければならぬものを内局とするのであるか、また内局とすることによつて、従来の仕事を円滑にそのままやつて行けるかどうか、その点について所信を承りたいのであります。
  12. 野原正勝

    野原政府委員 鈴木委員の御質問にお答えいたします。今度の行政機構改革に伴いまして、林野庁のごとき仕事の非常に大きい役所、量、質ともに当然外局であるべきような役所内局にした理由は何かというような御質問でありますが、これはまことにごもつともな御質問なのでありますけれども、今回の行政機構改革におきましては、一応外局というものは、原則として置かないという政府行政改革に対する一致した考え方があつたのであります。農林省としましては、その点お話のような意見も非常に強かつたのでありますが、内閣全体の意向の、外局原則として置かないようにしなければならぬという方針に順応いたしまして、農林省だけを特殊な除外例として認めていただく点を、その決定までの段階におきましては、主張もしたのでありますけれども、そのわれわれの考え方というものが、結論的には入れられなかつたという点で、われわれも内局にするという政府方針にのつとりまして、この案を提出して、御審議をいただくわけであります。内局になりましても、実質的には従来の仕事は十分やつて行けるという決意でございます。さようなわけで、仕事分量等を考えて行きますと、御説のような御主張もなり立つわけでありますが政府立場としましては、一般原則の上に立ちました外局廃止という線にのつとつて、この案は出されたものである。またこの案によつて仕事そのものについては、人員あるいはその他の問題については、従来とさしたるかわりはないという点で、仕事の方は従来のようにやつて行くつもりでございます。
  13. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 従来とかわらないと仰せられるのでございますが、部を廃止したら、人員はどれくらい減ることになるか存じませんが、その部課の整理人員の異動がどれくらいあるかを承りたいと思います。
  14. 野原正勝

    野原政府委員 こまかな人員等の問題につきましては、いずれ事務当局の方から詳しく御説明申し上げさせますけれども、一応部がなくなりましても、次長という形で、実は今の原案では、二名次長を置くということになつております。現在三名の部長がおりますので、二名の次長になりますときには、一名が数学的には減るわけでございます。ほかの課そのものにつきましても、いろいろと検討が内部において考えられるわけでありますが、表面に現われたものだけからみますと、従来の三部長が二人の次長なつたということだけで、差引一人違う。その面だけではそういうことになります。しかし従来やつておりますたとえば林野行政の本質というものには、ほとんどかわりがないので、森林法制定後に伴いましての森林資源の培養、あるいはまた奥地開発というような、林業に対する施策というものは、多々ますます強化されて行くというふうに考ますので、それに伴いまして、仕事の方は、当然その必要とする人員は確保しなければなりませんし、仕事も大いにやつて行かなければならぬという点から、この機構に現われましたものとしましては、次長部長というものは、必ずしも関連はないようなわけでありますけれども、一名だけが、部長から次長にかわりました場合において、人員が節約ができると思います。そういう形になつてつております。
  15. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 なおその点はあとで他の局との関連において重ねて質問するかもしれませんが、この林野庁建設省に持つて行くという案が中間にあつたように伝えられておるのでありますが、それはむしろ行政管理庁長官にでも聞くべき問題でありますけれども、しかし政務次官も御存じと思いますからそういう問題についてどういうふうな論議が行われ、どういう結論に達したか承りたいと思います。
  16. 野原正勝

    野原政府委員 今回の行政改革という問題の最初論議が、政府部内においていろいろとございました当時におきまして御質疑のような林野庁国土省に持つて行くというような案が、相当強く行われておることは事実でございます。それに対して農林省としましては、農業林業というものは、一つ殖産業であり、またこれを営んでおる農民と申しますか、山村実態からいたしましても、全然同じような形のものが、一面においては農業を営み、一面においては山をやつておるというふうなことで、これは生産的に考えましても経済的の事情は不可分な関係に置かれておる。しかも山の治山治水というような仕事は、單に災害を防ぐというような、土木的な河川との関係のみならず、これは山をりつぱに仕立てて植林をする、あるいはまたこれを保護するというふうなことは、そのこと自体が治山治水の上に大きな効果をもたらすと同時に、それが林木育成によつて生産される木材生産というふうなことで産業としてまた非常に生かされて行くわけでありまして、現在全国的にかなり崩壊地等がありますけれども、これは單に伐採した跡をほうつておいたというようなことで、そういう特殊な災害にかかりやすいような地帶崩壊地等がありますけれども、これは急いで治山上の施設を講ずる。砂防工事等もやりますが、その砂防工事というものが單に砂防するという工事に主力を置くのではなくて、砂防工事をやりました上に植林をして、これが元の山林に帰り、りつぱな森林としてこれが将来治山治水のためにも役立つと同時に、森林資源としてこれが維持培養され、木材生産に役立つということになるので、単なる土木工事ではないといつたふうな点もございまして、林野行政というものを、国土省立場から、単なる治山治水だけの観点から考えることは実態に沿わないというふうなことを考えて、あらゆる観点から見まして、林野行政というものは、長い歴史的な関係から見ましても、過去七十年も、農、林一体として今まで仕事をして来た関係でありますので、これらを一片の行政改革の美名のもとに切り離すということは、いささか今日の国内山村における実態から離れておりはせぬかという点で、農林省といたしましては強く移管については反対をした次第でございます。われわれの主張が十分認められました結果、国土省移管ということはさたやみになりまして、依然として農林は一本で強力な治山治水と同時に、国土全体の土地生産力を向上発揮せしめるという一つ構想がまとまつて、今日の農林省設置法として出たわけであります。
  17. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 なおそれらの問題については、あとで討論の際にわれわれの意見を述べることにします。そのために御質問申し上げたのであります。  そこで今度は農地局の問題に移ります。農地局も部を廃止して、次長一人を置いて、従来の十四課でやつて行くというような方針らしいのであります。この農地局はいうまでもなく農林行政における一番枢要な地位を占めておると思うのでありまして、予算面で見ましても、八百億のうち三百二十八営いう厖大な額は農地局が所掌しておるわけです。農地局よりも少い予算を使う省はほかにたくさんあるわけであります。ただ部というものを廃止するという原則論にとらわれ、そうしてそういうふうな機構簡素化してしまうことは非常に危険なことではないか、われわれは行政機関はすべからく合理的に改革すべしという考えを持つておるのでありますが、この、内閣提案しているような機械的な整理というものには、はなはだ納得が行かないものがある。それはたくさんありますけれども、今は農林政務次官にだけ伺うわけでありますが、この農地局改革について、これで今まで以上に能率を発揮できるという確信がおありになるかどうか承りたいのであります。
  18. 野原正勝

    野原政府委員 鈴木委員のお説のごとく、農地局仕事分量は非常に大きく、また大きいばかりでなしに、現下の国内における食糧自給態勢確立強化のためには、今後ますます土地生産力を増強せしめるためのさまざまな施策が強力に行われなければならぬ。日本農政一つの新しい方向として、農地局の今後の仕事は、ますます拡大強化さるべきものであるという確信を持つておるわけでありますが、現在の農地局のやつております仕事分量も、お話のごとく非常に大きなものであります。土地改良、あるいは干拓、開拓に農地の広汎な問題を取上げておるわけです。従来から計画部門方面計画部を置き、これを実施いたします面の実施段階におきましては建設部を置きまして、計画建設が両々相まつて非常に合理的な組織のもとに仕事をして参つてつたのであります。私どもは、従来の機構というものは非常に進んだ一つ官庁行政機構のあり方として、実は一つの誇りを持つてつたぐらいなのであります。なお農地改革その他の事務管理いたそますために、管理部が設けられておつたことは御承知通りであります。従来ございましたそういつた非常に合理的な部制というものを。われわれは正置の話が、残したいというように考えておつたのでありまするが、画一的な部制廃止ということについての御意見はいろいろございましようが、先ほど来申しましたような政府の一応の方針といたしまして、内局における部制は置かないという原則の上に立ちまして、農林省としましては、率直な話が不本意ながら、部制廃止するという立場をとらざるを得なかつた。そこでそれにかわるべきものになるかどうか知りませんが、次長制というものによつて、せめてもその足りない部分を補おうということなのでありまして、この行政機械改革案によつて何ら支障がないかということになりますと、われわれ責任の当局としましては、いかなる行政機構のもとにおいてもその仕事においてはりつぱにやらなければなりませんし、またやり通すだけの信念は持つておるわけでございますから、これが完全無欠なりやという点になりますれば、いろいろ御議論もあろうと思いますが、その点につきましては、農林省としては ここまで決定いたされます段階においては、いろいろと農林省側の強い要望もあり主張もあつた。しかしそれは遺憾ながらその全体として、われわれも農林省だけの立場を守るのが困難な事情もございましたので、かような案に現われたということなんであります。機構のいかんを間わず、仕事の方は一生懸命やるつもりであります。
  19. 江花靜

    江花委員長代理 この際お諮りいたします。通産大臣出席されておりますが、予算委員会に御出席の都合上、きわめて短時間でも皆さん方の御質疑を受けたいとおつしやつておいでになつたわけでございますから、通商産業大臣に御質問の向きがあれば、この際農林省関係を一時やめまして、その方の御質問をお願いしたいと思いますが、いかがでしよう—それでは木村榮君。
  20. 木村榮

    木村(榮)委員 時間がないそうですから、簡単に要点だけをお尋ねしますが、今度の通商産業省設置法を見ますと、大体一貫して流れていますものは、日本の再軍備ときわめて密接な関係があるように再編成されるものと考えております。そこでたとえば重工業局といつたふうのものができまして、その内容はまだ詳しく検討いたしておりませんが大体一般的に見まして、兵器の生産に非常に関係の深いような方向に再編成をされておる。その一方、平和産業と目されます軽工業の方を見ますと、今までは繊維局雑貨局化学局といつたふうのものになつていたのを、ただ軽工業局といつたふうに簡単にまとめまして、日本産業は御承知のように非常に中小企業が多いわけですが、こういつたものの方面へは積極的な対策を立てないような形において、この今度の設置法が考えられておる、こういうふうに考えますが、その点に対して最初大臣の御意見を承つておきたい。
  21. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 今度の通産省の機構改革は再軍備ということを考えてでないかという御質問でしたが、そういうことは全然考えておりません。重工業というと、何かそういう誤解を受けるかもしらぬですが、今まで工業関係しておる局が五局あつたのです。それを工業局と、うような一局に集めまするのは、あまりに仕事がたくさんでありますから、工業重工業と軽工業二つにわけて、二つの局を置くという趣旨なのであります。
  22. 木村榮

    木村(榮)委員 それからこれはきのうの新聞にも報道されていたと思いますが、今までアメリカ軍に接収されておりましたかつて日本軍工廠燃料廠、こういうふうなものを民間拂下げはなくなつて、また日本政府管理によつて昔のような軍需生産をやる工廠に復活するのではないか、こういつたふうなことが民間報道されております。またこれを裏づけいたしますように、御承知のように、敗戦後は全国で大体百八十箇所のかつて陸海軍工廠が、約千の日本中小企業に分割されて、賃貸借されておつた。ところが最近アメリカの直接管理下に置いてこれを利用するんだという建前から、無補償でどんどんまた再び接収されておるような状態にある、こういつたようなことを考えますと、この間の新聞報道も必ずしもこれは虚構なことではないというふうに考えますが、これに対して大臣の御所見を伺つておきたいと思います。
  23. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 その新聞記事は私も読みましたが、どういうところかちその報道の何が出たのか、私は別にそういうことは全然考えておりません。
  24. 木村榮

    木村(榮)委員 大臣は考えておられなくても、今度の機構改革にも見られますように、今まであつた民間産業の、おもに中和産業保護育成するといつたふうな建前試験所、研究所こういつたものはどんどん縮小されまして、そうして日本の大きな企業体、こういつたふうなものが工業技術院の方に大体まとめられてヘアメリカのいわゆる技術導入といつたふうなことと関連いたして、そういつた方面のみで、大資本だけの技術の援助といつたふうなことになつておりますが、こういつたふうなことを考えますと、今大臣が御答弁なさつたことと相当矛盾するのじやないかと思うのです。そういうことを考えていないということだけでなく、具体的にこういうふうな方法で日本平和産業保護育成へ発展するのだという点を御説明が願いたいと思うのですが、時間もありませんから、大臣は御無理でございましようが、できましたならば簡単でもけつこうですが、御説明願いたいと思います。
  25. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 現在あります技術庁を技術院ということにかえたのです。が、それについてただいまの御発言は何か誤解があるように思うのです。技術庁を技術院にいたしましたのは、ただ名前をかえただけなのです。内容は少しもかわらない。工業技術庁というもものは現在の幾つかの工業試験所を持ちまして、技術の研究向上と技術行政とを一貫して取扱つておる。今度の機構改革で一部では技術庁を内局にするという意見もあつたのであります。しかし御承知のように、日本技術方面が非常に遅れておりますので、将来もこの技術の研究向上ということには非常に力を入れなくちやいけない、これを内局にすることは不適当だということを私は固執しまして、附属機関として残ることになつたのであります。ただそれだけの理由であります。
  26. 木村榮

    木村(榮)委員 これは予算委員会で聞くほうがいいかと思いますが、ちようどお見えになつたからお尋ねしたいのですが、そういつたふうな、今後答弁になつた指導とかあるいは再軍備方向の再編成ではないといつたふうなことでございますが、実際問題といたしまして現益の日本の経済状態を見ますと、たとえば綿糸や綿布にいたしましても、最近の報道では滞貨がすでに三十万こり、しかも中小メーカーの持つております手持ちを加えますと、四十五万こりぐらいに及ぶのではないかといつたふうなことが報道せられておる。こういつた状態の中において、七の責任者である大臣は今後一体こういつた状態をどのような方法で処理して行くか、きのうの新聞でも御承知のように、綿布や綿糸の輸出の状態はきわめて悪化の傾向をたどつておるように報道されておる、その中にあつてしかもこのような滞貨が出ておる。操短をやつておりますが、操短にも限度があり、そう操短々々では、まつたくこれは壊滅いたしますが、こういつた点を、こういう機構改革を機会にどのようにうまく調整をいたされる考えでございますか、承つておきたい。
  27. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 綿糸布の滞貨のお話がありましたが、滞貨ということは、考えようによつて非常にむずかしいので、ある程度のランニング・ストツクというものは必要なので、綿花についても、綿糸についても、このランニング・ストックがどの程度かぜひ必要だということは、いろいろ意見があります。このランニング・ストツクがあまり少いことは好ましくないので、たとえば昨年の九月ごろに、日本の石炭のストックが非常に少なかつた。大体石炭のストックとしては二百万トンぐらいが適当であろうと思うのですが、それが百万トンぐらいちよつとした事情で、たとえば渇水が平年より多かつたということで、石炭の事情がああいうことになつたのであります。あの当時ストックが二百万トンあれば、ああいうような混乱は起ざずに済んだのであります。それから現在の四十万こりというのは、私ちよつと納得ができないのですが、現在の綿糸関係のストックというものは私はそう多過ぎるとは思わない。多過ぎるといいましても、せいぜい五万こりかそこらであつて、現在三月から生産制限を勧告しておりますが、三月、四月の実態を考えますと、滞貨はあまりふえていない。このくらいのところでそう心配をすることはないのではないかと思います。  それから繊維品類の輸出の状況ですが、これは世界的に繊維品の事情がオーバー・プロダクトとなつて事情が非常にかわつて来たわけなのです。各地で、イギリスのごときも生産制限をしておるのですが、その影響は、多少の影響が日本のこれらの輸出にあるということは免かれませんが、こういう必需品的のものですから、私は世間の悲観論者が言つているように、悲観はしていないのです。これは昨年の七、八月ごろに輸出が停頓しました時分にも、いろいろな悲観論がありましたけれども、少し時をたつてみればそういうものは解決した。従つて今の滞貨というものは、現在の生産を継続して行くなれば、そう御心配になるものでないと私は信じております。
  28. 木村榮

    木村(榮)委員 あと一点を聞きまして鈴木さんに譲りたいと考えますが、今の御答弁ははなはだ不満であつて、この点は私は反駁するものをたくさん持つておりますが、時間もございませんし、大臣と議論はきようはしてもしようがありませんからやめます。そこで最後に私が聞きたい点は、従来通商監というのがいまして、特にアメリカ方面との貿易関係というものは、通産省において円満にやつておるといつたふうなものが相当あつたと思います。ところが御承知のように、私が今までいました水産委員会でも相当問題になつたのですが、通商局あたりが積極的に扱つて円満な方向へいつもやつていげればならぬ問題であるにもかかわらず、特に最近まぐろの輸入関税の問題をめぐつて日本の業界にはたいへんな混乱が起つておる。今日の新聞なんかを見ますと、アチソン長官は関税がかからない方を希望しているというふうなことを言つておりますが、それはほんとうかうそか別として、そういう報道さえあるぐらい、このまぐろの関税問題というのは、アメリカの国務省やまた業者、その他議会方面においても相当問題になつておる。こういつた中におきまして、日本のあなた方の責任において、もう少しこれを処理なさらぬと、もしこのような方向で輸入関税をかけられますと、おそらく日本のまぐろ業者は壊滅的な打撃を受けるのは、これは業界一致した意見です。それに対して何か現在のところ御交渉とかあるいはまた打つべき手をお考えになつておるかどうか、この点を承つておきたいと考えます。
  29. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 まぐろの米国における輸入関税の問題は、むろんわれわれも非常に重大な関心を持つて、もう昨年からこの対策を講じておるのです。これは民間の入ですけれども、この一月からアメリカへ入を派しまして、各方面に極力運動をして来たのであります。最近数日前に、いよいよ国会で審議されるということで、すぐわれわれは、今日は外務省を通じてでありますけれども、アメリカ政府当局意見を述べて阻止方を要請しておるわけであります。
  30. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 それでは通産大臣に、資源庁とか中小企業庁こういうものも例の外局内局にするという根本方針に従つて機械的に内局編入したようでありますが、一体そのままの形で役所内局にするのだから、何も今までと違つたところはない、大いに今までと同じことをやるのだ、こう農林省の方でも御弁明になつたのでありますが、おそらく通産省の方でもそういうことを言おうとすると思います。しかし行政の実際を知つておる者から見れば、外局であるのと内局であるのとでは雲泥の差があることは公知の事実であります。ことにわれわれは、この中小企業対策等についは、て日本産業構造から見ても、最も力を入れなければならない。それでありますから、独立の役所をつくつていいと思つているのに、せつかくともかくも外局として存在する中小企業庁、資源庁のごときものを内局に編入するということは、どういうお考えからであるか。またそれは今までと同じく、今まで以上の能率を上げ得るものと信じておられるのであるかどうか、お答えを願いたい。
  31. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 たいへんむずかしい御質問で、農林次官も大分お苦しいようであつたけれども、いろいろ省内で検討に検討を重ねたのですが内局にいたしましてもさしつかえないという結論を得ましたので、とにかくこれに同意したわけでありますから、どうか御賛成を願いたい。
  32. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 実にたよりないことおびただしい答弁でありまして、農林政務次官の方の御答弁もやはり同じようなことで、そういう盲信のない行政改革をやるということは、まことによろしくないと思います。いずれそのことはあとで討論の際に申し上げます。  それではなお農林省関係について伺います。委員長の議事運営の政策かどうか知りませんが、せつかく熱が上つて来たところで水を入れてしまつた。こういうことはなるたけひとつ避けるように願いたいと思います。先ほど農地局の問題で、農林次官のお答えがあつたのでありますが、すこぶる自信のないお答えと私は拝聴した。やむを得ないからそうしておる、そういうことでは必ずこれは将来憂うべきものがあると思うのであります。どういう部でも廃止するのはいけないと、そういうむちやな議論はわれわれはしないのでありまして、こういう大切な仕事をする、ことに広川農林大臣は、東京ではあまり言わぬようですが、いなかの方に行くと農地改良五箇年計画、今に食糧を非常に増産してみせる、それには着々手が打つてあるし、行政機構も十分整備してかかるというようなことをお話になつておる。それで出て来るものはこういうふうに部長制を廃止し、今までのほかの小さい局と同じような雑然たる、分類をあいまいにしてやつて行こう、それでは実際に仕事がやれるとはちよつと思えないのであります。しかしそういうことを論じて行くと、議論になりますから省略をしておきますが、十分にその点をひとつお考えを願いたいと思うのであります。  それからいま一つ米価審議会のことを承つておきます。経済安定本部廃止した結果、各物資ともそれぞれの所掌の役所審議するということにしたというのでありますが、しかし米価のようなものはこれは特別なものであつて、あらゆる物価の基本をなすものでありまするから、それはどこに置いてもさしつかえはないわけでありますけれども、経済審議庁というものを安本の後継者としてつくる以上は、やはりそういうところにおいて総合的に、そしてある意味においては中立的に審議することが妥当ではないかと思うのであります。これを農林省の所管にされた理由を承りたいのであります。
  33. 野原正勝

    野原政府委員 米価審議会農林省附属機関とすることは、先ほど提案理由説明で申し上げました通りでありまするが、これはわれわれといたしましては米を生産しております者は農民であり、農業生産観点から見まして、農業政策としてあくまでもこの米価を適正にきめるということが大事でありまして、もとより米の値段というものは、他の国民全体の生活に及ぼす影響は非常に大きいのでありますから、その点は十分考えなければならぬのは当然でありまするけれども、生産費及び将来の再生産というふうなものを考え、また経済事情の動向と、豊凶その他の事情も考えて米価の決定をする、しかもその際は米価審議会意見を十分尊重してきめるような建前になつておりますので、農林大臣及び安本長官等が米価審議会意見を聞いて今までは相談してきめておつたわけであります。ただ安定本部が廃止されますると、その米価審議会をどの省で所管をするかということなのでありますが、最も縁故の深い関連の深いものが農林省であるというふうな点から、農林省の所管ということになつたわけでありまして、所管でありましても決して米価審議会というものの任務というふうなものについては、従来と同じように、やはり非常に重大なものであるという点は十分承知しておるわけであります。
  34. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 それじやその構成、運営等はどういう構想であられますか、今までの通りでありますか、念のためにお尋ねしておきます。
  35. 野原正勝

    野原政府委員 審議会の構成については従来と同じように考えております。
  36. 木村榮

    木村(榮)委員 時間がありませんから、詳しい点はまたあとで聞きますが、一つだけお聞きしたいのは、水産片の問題であります。御承知のように今度は大海区制になつて、また政府の五ポイント計画によつて減船整理をやる。それから最近また新たに漁船損害保険の制度もできまして、一トンぐらいの小さい船にまで漁船の船体損害保險をかけるといつたふうな非常にたくさんな、今まで沿岸漁民が経験しなかつたようなたくさんな問題があるわけであります。そこでこれは沿岸漁民の指導、保護、育成といつたふうなことに対しましては、従来から見れば相当積極的に水産庁の方で指導いたしませんと、実際問題としてうまく行かないと私たちは考えておるわけであります。ところが今度の案を見ますと、水産駐在所といいますか、こういつたものはやめて、調整事務所を五箇所こしらえるということになつておりますが、仕事の方はうんと末端においてふえて行く、こう見ておるときに、あなたの方では逆にそういつた点は縮小なさるという点は、大体どういう根拠に立つておやりになるのか、その点を承つておきたいと思うのであります。
  37. 野原正勝

    野原政府委員 水産駐在所廃止いたしまして、漁業調整事務所を設ける、七箇所あつたものが今度は五箇所になる。その点は私も突は十分な詳しい事情承知しておりません。従つて明確に申し上げられませんが、水産庁としましては従来のいわゆる水産駐在所というよりも、漁業調整事務所というはつきりした機構にいたしますことは、機構そのものからいうとむしろ内容的には整備をされるという点も伴うわけでありまして、七箇所の駐在所があつたが今度はあらためて五箇所の漁葉調整事務所ができるということは、実質的には従来の七箇所の駐在所よりも仕事は十分、そういつた現下の五ポイント計画その他を進める上にも役立つのではないかというふうに考えております。
  38. 木村榮

    木村(榮)委員 どうもこれは野原次官に聞くのは、まつたく御承知ないようでお気の毒でありますから、またあらためて水産庁長官を呼んで聞きたいと思います。この上聞いても、私の方が大分専門家のようでありますから、きようはやめておきます。
  39. 江花靜

    江花委員長代理 それでは工業技術関係質疑を行います。
  40. 木村榮

    木村(榮)委員 それでは時間がございますのでひとつお伺いしたい点は、アメリカからの技術の導入は、最近どのような状態になつておりますか、この点を御説明をお願いしたいと思います。
  41. 駒形作次

    ○駒形政府委員 お答え申し上げます。アメリカからの技術の導入の点につきましては、こちらの産業工業技術の現状から考えまして、こちらの技術水準を上げるという点に重点を置いて考えておる次第でございます。従いまして重工業、軽工業全般にわたりまして、技術の導入がなされておるのでございます。大体この一年間におきましては六十五億円くらいの金額に達しておるかと存じております。こまかいどういうものに対して技術を導入したかということに対しましては、いずれ御希望がございますれば、調書をつくりまして差上げてもよろしいと存じます。
  42. 木村榮

    木村(榮)委員 もう一点伺いますが、あまり長官は、御存じないようですから、私の方で調べたものを、簡単にお答えいたしますが、二十六年度の佼術援助の契約を見ますと、機械器具工業が三十九件、化学が十六件、造船十四件、医薬品十三件、金属十一件、ゴム、皮革五件、繊維四件、ガラス及び土石二件、その他十五件、計百十九件、これは私たちが調査したものでありますが、この調査をいたしました過程で私たちが発見いたしましたことは、非常に軍需産業的な、的と言わずに軍需産業と言つてもいいのですが、そういつたものと目されるものに集中的に援助といいますか、導入が入つておる、こういう点はあなた方の方ではそうではないと必ず答弁なさるが、これはもうそれに間違いない。従つて今度の機構改革を見ますと、さつき大臣場とちよつと一間一答をやつてみましたが、これは雲をつかむような話で議論にならないわけなんですが、どつちにいたしましても、こういつたあなた方の専門分野においてもこの軍需産業、こういつた方向へ相当力を注がれる傾向にあると思うのです。さよう解釈してさしつかえございませんでしようか。
  43. 駒形作次

    ○駒形政府委員 お答えいたします。今のお話技術の導入につきまして、軍需産業方面に重点を置くというようなことはございません。現に合成繊維の関係でございますとか、肥料の関係でございますとか、あるいはストレプトマイシン関係の医療品に関するものでありますとか、そういう問題に対しましては、やはり技術導入を相当は治かつておるのでございます。先ほど大臣からお話がありましたように、局の問題につきましてもそういうことはないと私は考えております。
  44. 木村榮

    木村(榮)委員 これでやめますが、この際私は一言申しておきたいのは、私は久しぶりに内閣委員会へ来ましたが、片山内閣の時代から—当時は決算委員会内閣委員会を代行しておりましたが、私はその委員をやつていた。ところが今度出て来て驚いたのは、今の政府側の答弁というものは何にも研究していない。さつきの野原さんの答弁のごときは、やむを得ぬからしておる。これでは答弁にならぬのです。そんなことはもう簡單なことで、もう少し委員長におかれましては、われわれの質問したことに対して理路整然と答弁のできるような準備をするように、政府委員の方へ御厳命を願つてつていただかぬと、これではのれんに腕押しで、幾ら勉強して来ても一向さえませんから、この点を御配慮願います。内閣の中にこのくらい無能無策—答弁にならざる答弁をして平気でおるということは、これはやはり国会を侮辱しております。こういう点をもう少し—それはわれわれと反対なら反対でいいから、反対なら反対の論理を公然とやらなければ、そういう方針でございますからこういたします、そんなことを言つてつたら答弁にはならないのです。答弁らしい答弁を今後はやつていただくような態勢に御努力あらんことを、特に江花委員はなかなか話のわかる男だから、この際要求いたしましてやめます。
  45. 江花靜

    江花委員長代理 おだてられて恐縮しておるほどの男でもありませんが、政府委員が無能無策かは別といたしまして、御趣旨に沿うように努めます。  午前中の会議はこの程度にいたし、時休憩し、午後二時より再開いたします。     午後零時二十五分休憩      ————◇—————     午後二時三十六分開議
  46. 青木正

    ○青木(正)委員長代理 これより内閣委員会を再開いたします。  大蔵省設置法の一部を改正する法律案大蔵省設置法の一部を改正する法律等施行に伴う関係法令整理に関する法律案文部省設置法の一部を改正する法律案及び厚生省設置法の一部を改正する法律案、以上を一括して議題とし、質疑を行います。質疑通告順によりこれを許します。松岡駒害君。
  47. 松岡駒吉

    ○松岡委員 国税庁を廃止して内局にするという問題につきましてですが、税務行政の最も肝要な点は、税務行曲が公正であるということでなければならないと思うのです。そういう点から見まして、一体大蔵省の内局として、ともすれば内閣の更迭などと関連して、大蔵大臣の指揮のままに動くというようなことによつて、はたして税務行政の公正を保持できるかどうか、その点に大いなる疑問なきを得なないのですが、その点についての所信を伺いたいのです。
  48. 森永貞一郎

    ○森永政府委員 国税庁は、昭和二十四年の行政機構改革の際に大蔵省から分離いたしまして、外局にいたしまして、その後種務行政の適正化に大いに寄与して今日に至つたわけでございますが、今般の行政整理に際しましては、審判的機能を有するもの以外は、外局はできるだけやめて内局にする、そうして機構簡素化するという内閣の根本方針にのつとりまして、国税庁といたしましても、これを内局に吸収することになつたようなわけでございます。ただいま御指摘のございました税務行政の公正を期するという点、これはもとより税務行政の第一義でございまして、内局にいたしましても、その点に、つきましては、われわれ最も重大な関心を持たなければならぬわけでございます。いやしくも不公正にわたることがないようにこの機構を運営して行かなければならぬわけでございまして、かかる観点とも関連いたしましてただいまでは国税庁自身が国税に関する決定権も持つて、自分でも税務行政の執行面に当つてつたわけでございますが、今回は本省におきましてはそういう執行面には当らない、地方支分部局以下が税務行政の執行面に当つて、1大蔵省本省はこれを監督するというようなことにも実は配慮いたしておるようなわけでございまして、本省といたしましては監督面に当り、地方史部局以下に税務行政の執行をゆだねるというような機構にもいたしておるわけでございます。運用の面におきましては、もつと重点を税務行政の公正という面に置いて今後運用して参る所存でございまして、御心配の点はないように極力努力をするつもりでおります。
  49. 松岡駒吉

    ○松岡委員 不公正になるがごときことのないように努力することは当然な次第で、不公正になるように努力されてはたまらぬのでありますが、ただ人事の問題でおのずから今の答弁に沿わないようなことになるおそれを感ずるのでありす。ことにそういう問題について、ヨーロツパあるいはアメリカ等における実例がどうなつておるか、そういう点についてお調べがあればこの機会に聞きたいと思います。
  50. 森永貞一郎

    ○森永政府委員 各国の例は様々でございますが、アメリカにおきましては、ただいまの国税庁組織みたいな制度をとつております。イギリスにおきましては、必ずともそれほどはつきりわかれていないようでございます。もつともイギリスは、国税につきましても、たとえば間税消費税と、その他の消費税をわけた機構になつてつたりなどいたしまして、ただちに比較はできないわけでございますが、大蔵省が税務行政をになつておるというようなことになつております。その他の各国につきましては、今ここでつまびらかにいたしません。
  51. 松岡駒吉

    ○松岡委員 公正の原則が保たれることは言うまでもないと信ずるのであります。ことに申告なんかの実態の把握というものははなはだ不成績であると聞いておるのですが、私どもの聞いておるところでは七〇%しか把握できない。現在国税庁という独立の官庁があるが、その機構の努力をもつてすらその程度しか行つていないので、縮小された内局で国税行政がはたして改善できる可能性がありやいなや大なる疑問があるのですが、その点はどうですか。
  52. 森永貞一郎

    ○森永政府委員 申告所得税の面等におきまして、必ずしも百パーセント捕捉ができていないという点は、御指摘の通りであろうかと思います。われわれといたしましては、日夜その捕捉の完全化に努力しておるわけでございますが、今度の機構改革に際しましても、税務行政機構全体としては決して賜化されてはいないのでございまして、定員等も減少しておりません。むしろ今まで国税庁という中央の税務行政面の機関は、相当の人数を擁しておつたのでありますが、それを国税局以下の第一線業務に若干移すことになろうかと存ずるのでございまして、直接の調査事務の面におきましては、今度内局なつたからという理由で機能が賜化されるということは万あるまいと確信しておるわけでございます。
  53. 松岡駒吉

    ○松岡委員 税務署の襲撃事件とか何とかいうようなことが最近頻発しておりますが、税務行政機構というものを、そういう現実にかんがみて、ある点では強化することなくしては、今の世相からすると、税務行政の完璧を期することができないのではなかろうかという懸念を感ずるのであります。ことに飽和点を越えておるような重税の課せられておる現状においては、ある意味においては税務官吏の仕事というものはまことに同情に値するものがある。これは抽象的に言えば、行政機構簡素化して、国民の負担を軽減することによつておのずからそういう問題も解決される、こういうことが考えられるのであるが、しかしこの法律案を見ると、そういう問題について、税務官吏が真に厳正な立場で公正に仕事を途行し得るやいなやということについて大なる疑問を感ずるのです。そういうことについては一体どういう確信があるか、正直なところをひとつ答えていただきたい。
  54. 森永貞一郎

    ○森永政府委員 先般来御指摘のございましたように、税務署に対する襲撃の事件が相次ぎまして、私ども非常に遺憾に存じております。これは酒税の脱税摘発といつたような問題を中心とするものが多いようでございまして、韓国人によるものも少くないのでございますが、今日までのところ、税務署の職員諸君が周到なる用意をもつてたとえば宿直について万全を期するとか、常時警備態勢を確立するとか、そういうような非常な努力によりまして大事に至らずして参りましたことは、これは職員諸君の非常な御努力によるものと私ども感謝いたしておるのであります。今後の対策の問題でありますが、全国的に、たとえば宿直制度を確立するとか、警察との連絡を十分にするとか、そういつたような問題につきましてはすでに十分手配をいたしておりますが、今後なお一層そういう点につきまして、物的方面につきましてもできますことならば努力をいたしまして、不祥事件に対して万全の態勢を強化して行かなければならぬと思うておるところでございます。国税庁が内局になりましたことによりまして、職員の志気が沮喪されるのではないかということを御懸念の上での御質問かとも思うのでありますが、先ほどから申し上げております通り、中央の機構内局として簡素化されるのでございますが、国税局以下につきましては、強化されこそすれ決して弱化はされないのでありまして、むしろ中央、地方を通じた一元的な組織が確立されるという見方もできるわけでございまして、職員諸君におかれても、すべて今後の問題を誤解することなく、なお一層税務行政の確立のために努力せられるようひたすらこいねがつている次第であります。
  55. 松岡駒吉

    ○松岡委員 なお重ねてその点質問しますが、中央は簡素化されるが、第一線の方は、ただいまの答弁によればむしろ強化されるということに了解してよろしいですか。
  56. 森永貞一郎

    ○森永政府委員 これは国税庁と国税局の事務のわけ方の問題になるわけでございます。今度本省にできます徴税局、これは国税庁のやつておりました仕事を引受けるわけでございますが、実際の執行面の仕事はやらない方がよろしい、税務行政の機構面をやつた方がよいという考え方に立つております。従いまして、国税庁が今やつております執行面の仕事は国税局以下に移しまして、たとえば人員等につきまして国税局にこれを再配置する、そういつたようなことが必要になろうかと考えておるわけでございます。そういう意味で、国税局以下につきましては、強化こそすれ弱化はしないということを申し上げたわけであります。御了承いただきたいと思います。
  57. 松岡駒吉

    ○松岡委員 なお地域的に税務署の廃止ということと関連いたしまして、私どもときどきさいさな事柄で、自分の経験を言えば、まつたく悪意があつたものでも何でもなくても、どこかで講演料をもらつたやつをうつかりして申告しなかつたというようなことのために呼び出されたりすることがあるのです。議員であつたり何かするせいで幾分遠慮してくれて、あまりむだな時間がなくても済むようであるけれども、一般の話を聞くとかなかなかそうでなくて、呼び出された人たちはえらい迷惑をするらしい。いわんや都会生活をしておるのではなくて、税務署の所在地まで何か交通機関を利用しあるいは徒歩でというような人たちにとつては、一日つぶさなければならない。これは現にそういう不満、不平を相当に耳にしておるわけなのですが、税務署が廃止されるというようなことのために、国民にそういう迷惑を一段とかけるようなことにならないくふうがありますかどうか。
  58. 森永貞一郎

    ○森永政府委員 税制の数次にわたる改正に伴いまして、免税点がいろいろにかわつて参つておりますのと、また国民所得の発生の層と申しますか、分野と申しますか、それが長い間にいろいろかわつて来るというようなこともございまして、一度きめました税務署の配置をそのままずつと維持するわけに行かないというような事態も起つて来るわけでございますが、このような観点から若干の税務署につきましては、税務署を廃止いたしまして、ほかの、より忙しい、またより仕事の集中しておる税務署を強化するというようなことを考えて行かなければならぬ場合が起つて来るわけでございます。さような場合を予想いたしまして、税務署の整理統合も実は考えておるわけでございますが、ただいまお話のございましたように、納税者各位の利便ということも、これはまた無視することのできない非常に重要なことでございますので、税務署の支所というようなものを置く道を開きまして、そこで簡單な窓口事務は処理できる、かような態勢にいたしまして、わざわざ長い距離を交通機関を使つて来ていただくことができるだけ少いように、納税者の利便を考えたい、さような配慮から、税務署の支所という制度を新たに今回の改革で設けたいと思つております。できるだけ親切、御不便のないようにということに十分心がけて参るつもりでございます。
  59. 青木正

    ○青木(正)委員長代理 本日はこの程度にとどめ、明十七日午前十時半より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後二時五十四分散会