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1952-05-15 第13回国会 衆議院 内閣委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月十五日(木曜日)     午前十一時開議  出席委員    委員長 八木 一郎君    理事 江花  靜君 理事 青木  正君    理事 船田 享二君 理事 鈴木 義男君       木村 公平君    田中 啓一君       田中 萬逸君    橋本 龍伍君       平澤 長吉君    本多 市郎君       松岡 駒吉君    高田 富之君  出席国務大臣         国 務 大 臣 野田 卯一君  出席政府委員         人  事  官 入江誠一郎君         特別調達庁長官 根道 広吉君         総理府事務官         (特別調達庁長         官官房長)   辻村 義知君         行政管理庁次長 大野木克彦君         法制意見長官  佐藤 達夫君  委員外出席者         専  門  員 龜卦川 浩君         専  門  員 小關 紹夫君     ————————————— 五月十五日  委員木村榮君辞任につき、その補欠として高田  富之君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  法制局設置法案内閣提出第一八九号)  法務設置法等の一部を改正する法律案内閣  提出第二三五号)  調達庁設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一九六号)  国家公務員法の一部を改正する法律案内閣提  出第一九九号)  行政管理庁設置法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一九一号)     —————————————
  2. 八木一郎

    八木委員長 これより会議を開きます。  本日の議題は法制局設置法案法務設置法等の一部を改正する法律案調達庁設置法の一部を改正する法律案国家公務員法の一部を改正する法律案及び行政管理庁設置法の一部を改正する法律案の五法案を一括して質疑を行います。質疑通告順にこれを許します。高田君。
  3. 高田富之

    高田(富)委員 特別調達庁設置法案につきまして若干の質疑をいたしたいと思います。  最初にこれはあるいは提案理由で御説明があつたかとも思いますが、今回調達方式が大部かわりまして、直接調達を原則とするということになりましたために、非常に仕事減つたということが提案理由になつておると思うのでありますが、今後調達庁として取扱う調達の対象になるものは、ごく大まかに言いまして何と何と何でありますか。
  4. 根道広吉

    根道政府委員 大体におきましては不動産関係業務労務関係業務及び行政協定十八条によりまする各種の請求に関する処理等がおもなるものであります。
  5. 高田富之

    高田(富)委員 労務に関しましては、従来は何か特別のとりきめといいまするか、向うからの覚書か何かありまして、これに基いて提供されました労務についての管理方式解雇の場合の条件とかいろいろの特別のとりきめが調達庁占領軍の間にあつたと思いますが、今後はそういうふうなものが別に新たにできておるのでありますか、それともあれはあのまま継続するのでありますか。
  6. 根道広吉

    根道政府委員 解雇等に関する特別なとりきめというものは、従来の占領軍日本政府との間にはございません。ただ御承知のように日本政府が雇用して、軍が使用しておるという関係にあるのであります。軍がこれを不必要とする場合には、日本政府側においても当然に解雇しなければならない、こういう問題があります。もちろん不都合を生じました者について軍が使用をやめ、同じく解雇が起るということはございます。
  7. 高田富之

    高田(富)委員 それが私もよく記憶しておりませんが、たしか前には向うは不必要になつた場合にはすぐ解雇する、しかも日本政府が雇つておる形になつておりますので、向う解雇してそれを日本政府の方に引渡してくれる、日本政府でも必要がないから解雇するということになるのでございましようが、その形式は今後直接にはならないで今までと同じということになりまして、日本労働法規については向うでは尊重するというような関係になつておりますが、従来はその間におきまして、解雇等においても日本労働法規を事実上やはり適用しないで、不必要になればすぐ解雇するというような形でやられておつたと思いますが、今後もやはりそれは同じようにやられるのですか。
  8. 根道広吉

    根道政府委員 従来におきましても解雇することは日本政府解雇する建前であります。今後ももちろん同じであります。ただ軍の方において不必要になつたものを日本政府として雇つておくわけにも行かないので、事実上向)がいらないと言えば日本政府は当然解雇しなければならぬことに相なるわけであります。
  9. 高田富之

    高田(富)委員 その場合はやはり労働法規従つて一箇月前の予告であるとか、退撃当とか、いろいろそういうふうな点につきましては、完全に日本法規通りに行われるということになつておるのでありますか。
  10. 根道広吉

    根道政府委員 その通りであります。
  11. 高田富之

    高田(富)委員 それから不動産の問題でありますが、これは今まで調達庁が介入いたしまして、事実上は占領軍か直接現地でもつて必要な土地その他の不動産を軍用に供するために接収して行つたわけでありますが、これにつきましては補償であるとかそれに要する経費でありますとか、そういうものがほとんど懸案になつたまま何らの処直もとられずに現在に至つておるものか、相当多数にあるように思うのでありますが、それはどういうふうになつていますか。
  12. 根道広吉

    根道政府委員 従来日本政府として単側に提供しておりましたものは、形の上においては自由契約によりまして町有者からこれを借りまして軍に提供しておるものであります。未解決と申しますとどういう点を言われるのでありますか、ちよつとわかりかねますが……。
  13. 高田富之

    高田(富)委員 これは実は具体的な例を一つ申し上、げますが、おそらくこればかりではないと思うのです。これは私が直接この間見聞して参つたのでありますが、埼玉県入間郡の福原村におきまして、—例ジヨンソン飛行場、あそこはたいへんな基地になるわけですが、突然去年の秋向うから参りまして、そのときに調達庁東京事務所というのですか、何か郡の中に出張所みたいなものがあるそうですが、その人と一緒に軍の方が見えまして、いつ幾日までにこの山林を伐採してくれという話があり、そうして地図だけ示されただけでありまして、文書にも何もなつておらないのでありまして、ただ口頭で言つて来られまして、その地図従つて村長の方から命令を出して全部伐採さしたわけです。ところがその伐採に要する費用もまたその後向うが接収してからの補償なんかも一銭ももらつておらないわけですが、それにつきしては相当いろいろの計算をしたり何かして要求はしておるらしいのでありますが、一向らちが明かないのであります。こういう例は全国相当あるのではないかと思うが、それはどういうふうになつておりますか。
  14. 根道広吉

    根道政府委員 ただいまのお話私もほぼ承知いたしております。そういうものがございまして、実は占領下にありました当時そういうものを処理するために、日本政府終戦処理費等より支出をいたしますときには、すべて軍の承認を要するわけであります。軍の承認を要するがためにはまずその前にいわゆるPDというものが出ておらなければならぬわけです。ところがそれが形式的に発出されておらない。そのために現実事態が起つたのでありまして、まことに遺憾千万であると私は思つておりまして、しかし今後におきましては、そういうものは—ましてや今のような実例は過去のことでありますので、日本政府が今後責任をもつてできるだけすみやかに処置しなければならぬと、こう考えております。なお将来の問題につきましては、そういうようなことが起つてはならぬ、軍がかつて日本政府に命令し、直接にそういう措置をするというようなことはあつてはならぬと、こう考えております。
  15. 高田富之

    高田(富)委員 もちろんそういうことは将来あつてはならぬと思いますが、今まで向うはかつてにやつたとはいうものの、調達庁もこれに参画いたしまして、一緒に連れ立つて出て来ておりまして、おそらく調達庁が相手になつてくれるのだろうとみんな思つておるわけでありまして、もし調達庁に誠意があれば今までといえども事情は全部わかつておるはずなんでありまして、すみやかにこういうものに対して補償処置を講ずべきであつたと思うのですが、どうしてああいうふうに遷延しておるのか、またこういう例はたまたま私はここだけ見たのですが、おそらくここだけではないと推定しておるのですが、全国的にそういう未解決のままになつておるものがあるのかないのか、これが第一点。それから今まで介入しておりながらどうしてそういう措置が行われなかつたか、その点についてもう少し納得の行く御説明を願いたい。
  16. 根道広吉

    根道政府委員 それにつきまして同じようなものが全国にたくさんあるのではないかと言われますが、私はあまりそうたくさんあるとは考えておりません。今の具体的な事例につきましては、調達庁としましては形式的に向うPDを出して接収したいというはつきりした意向がなければ何ら行動はとれないわけであります。従いましてほんとうにいるものならばすみやかにPDを出して処置してもらいたいということをわれわれといたしまして何べんも軍当局に催促をしたわけであります。これが遂にまだはつきりしない状態のまま平和条約効力発生という段階になつたわけであります。従いまして今後はただいまの日本国状態に照しまして、相当処置をとつて解決をしたい、こう考えております。
  17. 高田富之

    高田(富)委員 ほかの方の例を私はここに持ち合せなかつたので、これ以上申し上げられませんが、この特定の問題については十分あなたも承知しておられることでありますから、すみやかに処理していただきたいと思います。  それから今後の問題でありますが、行政協定では、原則的には直接調達というふうな文字がうたわれておるのでありまして、これは非常に遺憾であるということについては、業界におきましても、その他各方面におきまして、相当強い反対の意見があつたわけであります。なおこれの実施にあたりまして、もちろんこれは全部直接調達ということでもなく、原則的なものでありますから、極力折衝の余地も残つておることでありまして、間接にやられる部面につきましては、その範囲を最大限度に広げるようにという要望が相当強く出ておつたと思うのであります。従来の事情等について若干調べてみましたのですが、直接調達のために、日本側といたしましては、物資の提供にあたりまして、まつたく非常識きわまる、日本商取引の慣習におきましては考えることのできないような待遇を受けておつたわけであります。石炭その他の重要物資調達価格でありますとか、あるいは規格が少し違うとか、品質が違うとかいうことのために、かつてにキャンセルをして来るとか、あるいは損害賠償みたいなことをやつて来るとか、諸掛りについて不当に日本側に負担を負わせるとか、あるいは利益が少し出過ぎたというのであとから利益をとりもどすとか、まつた常識はずれのようなことさえやつて辞さない。入札等につきましても、すこぶる不公正なことをやつておるのでありますが、こういうふうなことでは、今後の非常に大量に上るであろうと思われる物資調達につきまして、わが国経済界のこうむる打撃というものは相当重大視しなければならぬと思う。こういう問題について、これで何かはとんど万事決定されたかのごとき考え機構改革までなされて、整備縮小されて、そうして今後の直接調達をできるだけやめさせて、日本政府責任において公正な調達契約をやらせるための努力というものを、あたかも政府みずから放棄してしまつたかのごとき印象を与えるということは、どうも納得が行かないのです。こういう点についてこの機構改革をやるに至りましたことはどうも納得できない。そういう日本政府弱腰といいますか、その点がどうも納得ができぬ。それから今後そういう点について努力する意思があるのか。それを放棄してしまつたのではないかということをわれわれは疑わざるを得ないのでありますが、この点についてひとつ詳細にあちらとの折衝の経過並びに当局の心構えを御説明願いたいと思います。
  18. 根道広吉

    根道政府委員 直接調達間接調達の問題につきましては、行政協定に基きまする担当の政府係において先方と打合せて、現在日本政府やり方として一応きまつておるわけであります。調達庁といたしましては、軍の調達は現在やるときまつておる以外のことはやらぬという建前になつておりまして、当然その筋に従いまして機構改革を行わざるを得ないのであります。もちろん御説のように直接調達に関するいろいろな懸念と、また将来に起るべき問題があるだろうということは考えております。しかしながら、これにつきましては、多分には懸念にすぎない部分もあるのではないかとも考えられます。また同時に、そういうようなことは、政府としてはできるだけいろいろな手を用いまして、これが紛争防止というようなことをしなければならぬということを考えております。また当分の間政府といたしましては、現在の行方を見定めまして、その間におきまして不都合があれば、日本政府はそれを是正するように米国政府側折衝をして改善をする措置がとらるべきものであろうと考えております。
  19. 高田富之

    高田(富)委員 調達関係につきまして紛争が生じた場合は、日米合同委員会において裁定するというような協定の文句になつておると思うのでありますが、おそらくその合同委員会におきましても、今までの調達関係についての政府弱腰から見まして、紛争が起きてもどうせ向うの言いなりになつてしまうであろうということはきわめて明瞭だろうと思うのであります。そこで業界において不服を申し立てるという事例がたくさん出て来るだろうと思うのでありますが、その不服はどういうところに申し立てたらよいのでありましようか。
  20. 根道広吉

    根道政府委員 ただいままでのやり方といたしましては、合同委員会に対する裁定を求むる前に、日本政府側といたしましては、調達庁におきましてその事柄の実体を調査いたしまして、そうして業者言い分を十分にしんしやくいたしまして、契約の諸条件その他の事項等をよく勘案しまして、これが業者言い分としてこのくらいのものをアメリカ側に請求すべきであるというようなことがわかりますれば、これを日本政府意見として、日本側委員より合同委員会に持ち出させる。もちろんその際に米国側委員がこれに反対すれば、今のところこれはそのままにならざるを得ないのでありますが、その実際上の調停的やり方において、できるだけ日本業者に対する損害を食いとめたい。またそういう問題が将来に起らぬようにいろいろな注意を与え得る材料をそこから取出して、将来に備えるというよ参なことをやりたいと現在のところ考えております。
  21. 高田富之

    高田(富)委員 それを何とか裁判上争う道はありませんか。
  22. 根道広吉

    根道政府委員 これは私がお答えすべきごとではないのかもしれません。私個人の見解を述べることをお許し願えますれば、米国政府日本国内において被告になつて裁判を受けるということはないのではないかと考えております。こういうことはむしろ法制意見長官も幸いおいでですから、その御意見もお聞きになつて、いただきたい。
  23. 八木一郎

  24. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 私、ほかの質問をいたしますが、この関連ちよつと一問だけお許し願いたい。調達庁が今度大幅に縮減されるようであります。実際の仕事は一向減らないように思うのでありますけれども、大幅に縮小する。そうして八つの調達局のうち、呉の調達局を廃止して、大阪に合併するということは、どういう理由に基くものであるか、お伺いいたします。
  25. 根道広吉

    根道政府委員 現在政府方針といたしまして、できるだけ機構は縮めて、こじんまりとするという方針であることは御承知通りであります。呉局におきましては、将来—来年の事態考えますと、事務の分量が相当減少するということは考えられるのであります。現在ただいまにおいては、いろいろな跡始末の問題もございます。不動産関係処理の問題もございます。相当手を要するのでありますが、現実に人間の数を非常に減らして行くというのが、今年から来年三月にかけて行われるのであります。その間に一応事務はこなし得るものと考えておるわけであります。もちろん現在まで局があるところでありますので、それをまるきりなくするというわけには当然参りません。従つて現地における支局的の存在として相当の人数を当分の間置いて、ある程度の権限も分限的な権限を与えて実際の問題を処理する、こういうふうに考えております。
  26. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 呉市の調達庁の管轄しておつたの鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、香川県、愛媛県、高知県でありまして、中国、四国全体にわたるそれを大阪に持つて行くということになりますれば、非常に山口県とか愛媛県とか不便なことが想像されるのでありまして、たといそれが半年あるいは一年の問題でありましても、行政はできるだけ国民の利便のために能率的にやることが望ましいことでありますから、ただいま支局的という言葉がありましたけれども、的では満足できないのでありまして、必ず支局を置くという言明を得たいと思います。
  27. 根道広吉

    根道政府委員 私支局的と申し上げましたのは、今までの慣例によりますと、支局というものをはつきり設けますためには、法令の上にはつきり表わさなければならぬと考えております。しかしながら実際相当権限を与えることによりまして、たといこれが名前出張所でありましても、監督官事務所でありましても、たとえば山口県等における、鳥取県等における人たち大阪まで出なければ用が足りないというようなことにはしたくない。それができるように、出ないで済む、呉までで済むというふうに実際上の措置をはかりたい、こう考えているわけであります。
  28. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 その問題はまた別の機会にひとつ……。  次に私は法制意見長官にお尋ねいたしたいと思います。私は法務府の設置法及び法制局設置法に関して二、三の点を質問したいと思いますが、本来は総理大臣行政管理庁長官法務総裁に承りたいのでありますが、いずれも御都合が悪いということでありますから、法制意見長官がひとつそれらの政府を代表して責任ある御答弁を願いたいと思います。  第一に、従来法務総裁内閣において各省の大臣とは違つた地位を持つている。これは終戦後の行政組織改革関連して司法省というものを廃止する—一体終戦前でも司法大臣裁判の内容に関与ができないのであつて司法行政だけに関与するのでありますけれども、それでも裁判に対してある種の影響を及ぼして弊害があるというので、むしろ司法省を廃止せよ、そうして司法行政権大審院長に与えるべきものであるという議論があつたくらいであります。終戦後簡単にこの問題は解決して、裁判所は完全に行政権から独立をして、司法行政もまた最高裁判所がこれを行うことになつて来た。その結果司法大臣というものは必要がなくなつた。司法省というものも必要がない。主たる仕事は何かと言えば検察である。検察検事総長にゆだねればよろしい。あとの仕事として考えてみると、監獄の保護矯正仕事、登記その他の民事局的な仕事、それが残つているだけであります。ゆえに一省を必要としないという議論が強かつた。それにもかかわらず特に一つの省あるいは省以上のものが必要であるというのは、内閣全体に対する法律顧問たる官庁が必要である。これはむろんイギリス、アメリカ制度を参考したわけでありますが、アトニー・ゼネラルという制度を参照して、わが国にあつてもそれが必要であろうということから、特に通常の大臣とその性格を異にした法務総裁というものを設けたのであろうと思うのであります。その必要がなくなつたので再び法務省というものをつくり、法務大臣を置くということにしたのであろうと思いますが、その理由を承りたいのであります。
  29. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 鈴木先生は初代の法務総裁であらせられまして、今のお話の節乏もいろいろ私個人としては考えを持つているところでございますが、確かに法務庁でありましたかこれの設置の際の趣旨は、今お述べになりました通りと私ども了承いたしております。ただ今回さらにそれを一言にして言えば前の形にもどすようなことにすることに関しまして御疑念をお漏らしになつたわけであります。今回の措置について申し上げ得るところを一通り述べますと、要するに今までの実施の経験ということもございましようが、根本としてはやはり実施行政事務というものと、純粋法律関係法制立案あるいは意見と申しますか解釈の関係仕事というものとは、仕事性質としてはやはり別系統のものではないかということが一つ考え根本にあると存ずるのであります。それからもう一つは、昨今における治安関係責任というものと法務総裁とのつながりをどういうふうに持つて行くかという、一つのこれは流れと申しますか行き方が一つのかぎになると思うのでありますが、そういうような点を総合いたしますと、結局純粋法制立案あるいは意見、そういうようなことは別の形、別の機構にした方が、あるいはさらに趣旨が徹底するのじやないかというような結論から、一応この法律案が出ているというふうに私了解している次第でございます。
  30. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 それならば、今度法制局というものを内閣に設ける、これは戦前の制度にもどることである。しかし内閣全体として考える場合には、何といつて立法のことは行政府における一番大事な仕事、本来は国会が立法最高機関でありますから、もう内閣の方ではあまり必要がないはずでありますが、実際は予算との関連において法律をつくらなければならぬという関係から、また行政制度全般を見通して、世界各国実例等と比較しながら、常に最上の立法を続けて行くというためには、法制局長官というものの地位は非常に大事なものであると思うのであります。承るところによれば、佐藤法制意見長官がこの法制局長官に擬せられているそうでありますが、それは百非常にけつこうなことである。ただ願わくは、その地位法務総裁にかわるべき一面を持つのであるからして、同時に国務大臣たる地位くらいを持たなければほんとう仕事ができないのじやないか。また同時にこの法制局の構成は、調査というような方面において十分でないように見受けられる。十分なスタッフを持つて常に全世界に目を張つて立法比較研究をして行く、そうして政府から命ぜられて技術的な立案修正だけをやるのでなく、進んで意見提出し勧告をするというだけの権威を持たなければならぬと思うのであります。そういう官職がなければならぬ。司法大臣はそうやつてもよかつたかもしれませんが、これは官織上今度はそういう地位は持たないわけであります。そういうもののなくなることを私は国家のために憂えるのであつて、そういう点を御考慮になつておるかどうか。これは私から意見長官に聞くのはちよつと変でありますが、後日他の大臣からお答えを願つてもよろしいのでありますけれども、少くもこの質問速記録にとどめておかなければならぬ、そういう意味でお尋ねいたすわけであります。
  31. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 具体的の人事の問題はもとより別といたしまして、宏話の節々はわれわれとしてはまことにありがたい言葉だと拝承するわけであります。法制局自身権威といいますか責任と申しますか、そういう点についてのお尋ねについては、当然さようにあるべきことと存じております。ただお言葉の端に国務大臣をもつて充てるようなことも考えられないかというお言葉がございましたが、これは私自身と申しますよりも、おそらく内閣方針であろうと存じますが、この法制局仕事性質から申しまして、むしろ国務大臣というよりも手がたい実務の修練を積んだ者というような点に重点を置かれまして、名前と申しますかそういう点よりも、実質的の方に着目されてのものであろうと考えておる次第であります。
  32. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 意見の相違になりますからそれ以上追究いたしません。中際は法制局長官というものは技術家であつて立法の技術を忠実にやつておればよろしい、事務官僚の優秀な者がよろしいわけであります。ところが常にそのときの内閣の最高政策にやはり参与せざるを得ない。結局普通の事務官僚では物足りないということになつて、古い制度のもとにおいても、だんだん後期になりますと法制局長官は政治家をもつて充てるようになつた。ただ国務大臣ではないという、だけである。そういうことは、実際の必要がいかに動いて行くかということを過去の経験が語つておるのでありますから、こういうことを立案する際に十分考えのうちに置くことが望ましいことと存ずるのであります。  それから、これも速記録にとどめたいのでありますが、私が総裁という言葉を使つたのは、大臣という言葉は封建的なにおいが非常にする。これを英語などに訳しますと大きな家来、天皇の第一の家来、こういうことになる。いやしくも国民主権を前提にしておる日本の国において、民主化されたという以上は、大臣という言葉は最も封建的な非民主的な言葉である。ところがこの大臣という言葉に非常にあこがれを持つておる。大臣といわれたいために……(「鈴木さんだつてつたじやないか」と呼ぶ者あり)(笑声)私もやりましたが、その言葉をできるだけ早い機会に—憲法改正をしなければ直らぬからしかたありませんが、直したい上いうことはわれわれの考えおるところであります。法務省としてしまえば大臣にせざるを得ないかもしれませんが、せめて一つ二つでもそういう例外をつくつてだんだん拡張して行つてほしかつたと私は考えておる。その点を一応お伺いをいたしておきたいと思います。
  33. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 新憲法ができまする際にも、鈴木委員が当時憲法の委員として今の御趣旨をお述べになつたことを私よく記憶しておるのでありますが、やはり今のお言葉にもございましたように、憲法そのものの関係にも触れて参りますし、結局全体的な根本問題ではないかと考えておるわけであります。
  34. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 大きいところはそういう問題でありまするが、今度のこの法務省に置かれまする各種の局は、これほどの数を置かぬでもいいかもしれないと思うぐらいのものもありまするし—しかし分業的には人の数さえふやさなければ、できるだけ別箇の部局を置く方がよろしいというのは私の宿論であります。その点は賛成いたすのであります。ちよつと入国管理局を特に外務省から法務省に移した理由を承りたいと思います。
  35. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 一応私から御説明申し上げます。申すまでもございませんけれども、平和条約発効後における外務省の仕事は、本格的な外交事務に専念してもらわなければならないわけであります。そういう角度から申しますと、出入国管理等の関係は、これはむしろ国内行政と申してもよろしい性格のものでございますからして、外務省の本来あるべき姿から申しますれば、遠いものであるという見地から法務省の方へ移したということでございます。
  36. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 行政管理庁長官が御出席になりましたから、一点だけ重複しますけれども法務総裁の問題についてお尋ねをいたしておきたいと思います。先ほど法制意見長官にお尋ねをしたのでありますが、司法省廃止論というのがつとにあつた。これは裁判所司法行政をつかさどつていた時代からあつた。ところが裁判所司法行政は完全に最高裁判所に移つて、行政府からなくなつた。そうするとあとの仕事は刑事局、矯正局、保護局、登記などの民事局の仕事ということになつて、ある意味においては一省を必要としないというくらいのもので、そこで終戦後の機構改革の際には英米の制度に学んで法務総裁というものを内閣の最高顧問とし、進んで総理大臣以下各大臣立法上の意見提出する、そういう趣旨でそういう官職を設けたのであります。今これをなくして法務大臣を置くということは、むしろ改悪ではないかということをお尋ねしたのですが、その点について行政管理庁長官の御意見を承りたいと思います。
  37. 野田卯一

    ○野田国務大臣 お示しの点につきましては、私は門外漢であり、鈴木委員の方が当時その衝に当つておられてよく存じておられると思うのでありますが、最近の実情から見ますと、法務総裁仕事はたいへん忙しいのであります。もちろん法制意見局に所属する点も忙しい点でありますが、しかしそれ以外にたいへん忙しいのでありまして、私は一人の大臣を置いてやつていただく必要があると思う。御承知のように行政管理庁長官も実は木村法務総裁が兼務しておられたのですが、多忙に耐えずという存で、とうくおやめになりまして私の方へおはちがまわつて来た。こういう実情でありまして、閣僚中で最も忙しい仕事をしておられるということだけを見ましても、私は法務省というものが存在し、法務大臣があつて、いろいろなされることも必要だと思つております。
  38. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 今の法務総裁が忙しいのは、本来の法務総裁として忙しいのではないのであつて、いかにして国民を弾圧するかというようなことに忙しい。(笑声)それは私から特に注意を喚起しておかなければならないのであります。これで法制局内閣に移り、監獄と登記と—検察検事総長がやつておるのでありまして法務大臣といえども干渉できない。そうすると実はやることがないはずだ。おひまで困るようになるだろうと思う。目下暫定的に忙しいということで、機構改革についてあまり目先の改革をお考えになつてはいかぬ、こう存ずるのであります。まあ念のため申し上げておきます。私急ぎますから、これで質問を打切ります。
  39. 八木一郎

    八木委員長 青木正君。
  40. 青木正

    ○青木(正)委員 行政管理庁長官に二、三お尋ねいたしたいと思います。  まず第一に、行政管理庁設置法の第二条第二号に書いてある通り行政管理庁の使命といたしまして、行政機関の機構それから定員それから運営この三つの面につきまして、行政管理庁としては、当然大きな責任があるわけであります。そこで毎年当委員会で問題になるのでありますが、国家公務員の数がふえるということは、当然国民の負担が過重になつて来るのでありまして、その意味で、定員法をきめて、定員の増加については、国会の議決を要するというふうなことになつたわけであります。ところが実際問題になりますと、いつも予算の編成にあたりまして、大蔵省が行政管理庁とはあまり関係なしに予算を組んで、どんどんと定員をふやしてしまつて予算の方で定員がきまつたからということで、あとになつて定員法の改正という問題が、いつも出て来るのであります。そこで私どもの考えといたしましては、予算編成権の問題について、これを大蔵省にまかせずに、総理府に移すという問題も、強く主張しておるのでありますが、いろいろな情勢から、今回も実現できなかつたのであります。そこでせめて、定員をきめる場合にあたりまして、従来のようでなしに、単に予算の査定の際に、大蔵省だけで考えるということでなしに、行政管理庁におきましても、相当予算編成にあたりまして、定員の面については、強い発言権を持つべぎじやないか、またそういうふうにすることが、当然じやないか、こう思うのでありますが、そういつた点につきまして、長官のお考えを伺いたいと思います。
  41. 野田卯一

    ○野田国務大臣 ただいま青木委員が御指摘になりましたことは、まつたく同感でありまして、従来ややもすれば、予算編成の際に、定員問題につきまして、十分なる連絡がとれていなかつたうらみがあります。この点につきましては、今後十分緊密に連絡をとりまして、必ず定員増を認めるような場合におきましては、行政管理庁と連絡をとり、十分打合せた後、それを認めて行くというようなふうに措置いたしたい、こういうふうに考えております。
  42. 青木正

    ○青木(正)委員 その点は、私どもの希望といたしましては、何か大蔵省は、その問題につきましては、行政管理庁長官と相談しなければいかぬというような、できればそうした明文まで置くことが必要じやないか、こうも思うのでありますが、それはそういう機会がありましたら、ぜひともその点に十分の御考慮をいただきたいと思うのであります。  次に経済調査庁が、今度行政管理庁の方に一緒になりまして、もつぱら経済調査庁でやつておりました行政監査の関係が、充実されて来るのでありますが、私ども地方における中央官庁の出先機関の整理問題で、いろいろと検討して参つたのでありますが、御承知のごとく、公選知事になりましてから、国政事務を地方に委譲することは、どうも国政事務を十分に監査もできぬし、不便だというようなことから、国政事務の地方委譲が不適当であるということで、各省ともそれぞれ出先機関を設置して参つたのであります。そこで出先機関の整理問題から考えまするときに、私どもは国政事務を地方に委任した場合に、行政管理庁として、当然従来よりも、もつと強い発言権を持つて、委任した国政事務について、行政監査ができるようにすることが必要じやないか。そのことができれば、私は中央の各機関が、出先機関を持たなくとも、地方の府県の方に委譲してもいいのではないか、こう思うのでありますが、今回特に行政管理庁で、新しく行政監査の問題を従来より大きく取上げるということに相なつておるのでありますが、そうした点から見まして、新しい行政管理庁といたしましては、そうした国政事務を地方に移した場合、それに対する監査の面について、従来よりも特段の何かお考えを持つておるかどうか。特段のお考えがあるとすれば、私は中央官庁の地方の出先機関の整理問題というものも、相当大幅に整理ができるのではないか、こう思うのでありますが、その点についてのお考えを伺いたいと思います。
  43. 野田卯一

    ○野田国務大臣 国政事務を地方公共団体等に委託してやらせるという場合とか、あるいは国家が補助金を出してやらせるというような事業につきましては、今後行政管理庁において、監察をし得る制度を開きまして、その間遺憾なきを期したいと考えております。なお各省におきましても、大体そういうふうな方向に進んでおるのでありまして、たとえば建設省にいたしますれば、建設省所管の土木行政につきましては、地方公共団体が営むものもあるのでありますが、えういうものにつきましては、建設省といたしましても、十分調査いたしまして、監督という言葉は強過ぎますが、十分調査してその適正を期するという方向に行つておりますし、また自治庁の方においても、やはり地方団体全体をお世話しておるという立場からいいまして、そういう方面のことにつきましても、十分調査しておる。そういうわけで行政管理庁と各省と相連繋いたしまして、その点に遺憾なきを期したい、こういうふうに考えておるわけであります。
  44. 青木正

    ○青木(正)委員 その点につきまして、出先機関を整理するということは、私どもどうしても必要であると思うのでありまして、その出先機関の整理という問題と不可分の関係において、十分地方に仕事をまかせる。そのかわり十分監察もできるとい、うふうなあり方が、ぜひ望ましいと思うのであります。  それから今回附属機関として設けられます、行政審議会の問題でありますが、この行政審議会の使命は、この条文によつて拝見いたしますと、一面におきましては、行政制度の審議をやる、一方におきましては、その委員の方々が同時に行政監察をなさる、こういうことになつておる。そこで行政制度の審議、これは行政管理庁長官一つの諮問的使命を果すわけであります。ところが監察の方は、これは実際の実務と申しますか、実際に行政の監察をなさるということになるのでありまして、何かこの行政審議会の性格が、すつきりしないような気がするのであります。あるいはまたその裏面のことをそんたくをすることは、どうかと思いますが、考え方によりますと、従来の監察委員の方々を、やはりそう幾つも委員会をおいても、行政の簡素化という面から見て、そう幾つも審議会なりあるいは委員会を置くわけに行きませんので、行政審議会という一本にして、本来二つ設けなければならぬ審議会を無理に一本にしたのではないか、こういうふうなことも想像できないわけではないのであります。そこでこの二つの異なつた性格を持つものを一本にして、はたしてうまく行くかどうか。どうも監察委員を廃止するので、そのかわりに行政審議会ができるから、そこへ入れるというような点に、少し無理があるのではないか。そういう不自然なことをして行きますと、将来になつて結局破綻を生ずるのではないかとも思われるのであります。行政審議会の方のこういう機関も必要でありますし、また監察委員制度も必要であるとするならば、そう無理をせぬで、必要とあれば、むしろ二つの審議会なり何なり設けた方が、かえつてすつきりもし、また将来いろいろ不便を生ずることを除くことにもなるのではないか、こう思うのでありますが、この点について御意見を承りたいと思います。
  45. 野田卯一

    ○野田国務大臣 ただいま御指摘の点でありますが、現在は行政監察委員というのがありまして、行政監察をやつておりまして、その陣容は御承知のように二十名であります。現在の行政管理庁の監察部の陣容も二十名であります。同数の人員がおられるわけであります。ですから監察機能は、行政管理庁の監察部よりも、むしろ監察委員の方がよけいやられるような建前になつておると私は思うのでありますが、今後この新しい行政管理庁においては、監察部の人員は一千名を越えるという、非常に厖大になるわけであります。従つて監察の主体というものは、私は行政管理庁の監察部でやることになると思います。従つてこの行政審議会のメンバーの方が、行政監察をなさるということは、どちらかというと、補完的な意味になるのではないかと思います。それからそういう委員の方に行政監察のお手伝いを願うということのよしあしの問題でありますが、私は委員の方が、行政制度なり行政運営に関する調査審議をして、いろいろとわれわれに対してよきアドヴアイスを与えてくれる、よき助言を与えてくださるという観点からいたしますと、やはり監察をされまして、行政の実態を把握しておられるということが、適切なる意見をお出しになるという、非常にいい参考というか、基礎になるのではないか、こういうようにも考えられます。もちろん御指摘のような弊害を生ずるおそれがありますれば、十分それは注意をいたしまして、その運用上調整を加える必要があるかと思いますが、ただいま申しましたように、監察をやつていただくことのために、非常にいい点もあるのではないかというふうにも考えておるのでありまして、よき点は十分活用し、また弊害は避けるというふうに進んで行きたい、こういうふうに思つておるのであります。
  46. 青木正

    ○青木(正)委員 次に行政監察の問題に関連いたしまして一経済調査庁が昭和二十三年でありましたか、発足した当時は、御承知のごとく経済統制法規の励行といつたようなことを使命にしておつたわけであります。それが段々進むに従いまして、そういう経済統制法規の励行という面から、さらに進んで行政監察的使命を相当果して参つたことは、私ども承知いたしておるのであります。そこで今回経済調査庁の四割ほどの人員を削減して、これが行政管理庁の行政監察の方の仕事を担当することになるのでありますが、この人員の四割という問題は、大体これくらいあればということでできたものか。あるいはまた現在経済調査庁が、経済統制法規の方の仕事がなくなつて行政監察的な仕事をやつておる現在の実情に即して、この人員が決定されて来たものかどうか。この点を承りたいと思います。
  47. 野田卯一

    ○野田国務大臣 今回の行政機構改革一つの重点が、行政監察機能の充実ということにあることは、御承知通りであります。それがために、行政管理庁にあります監察部を大々的に拡充するという措置に出たわけでありますが、そこで従来の経済調査庁の方は、ただいまおつしやつたように、経済統制法規の励行ということを主たる使命として存在しておつた官庁でありますが、それがなくなつて来たのにつれまして、行政監察の仕事も経過的にやつて来たといういきさつがあるのであります。そこで中にはこの行政監察に習熟している人も数多いと思いますので、そういう人々は、できるだけ今度拡充される行政管理庁の監察部に吸収したい、こういうふうに考えておるのであります。定員につきましては、諸般の情勢を勘案いたしまして、あの程度にいたすのが、今日のいろいろの情勢から適当ではないか。政府全体の行政監察機構の点、それから他の行政監察機構の状況、あるいは今までの経験であるとか、いろいろな点から勘案いたしまして、あの程度をもつて適当だ、こういう結論に達したような次第であります。
  48. 青木正

    ○青木(正)委員 この問題につきましては、御承知のごとく、経済安定委員会の方でいろいろ、と議論があるようでありまして、私どもも経済安定委員会の御意見も十分拝聴しておるのでありますが、大体これくらいあれば、政府考えている行政監察の仕事が十分であろうということでおきめになつたことと思うのですが、私どもはそうでなしに、現在経済調査庁がそうした行政監察的な仕事をやつておる方々が、大体これくらいでやつておるのだというような基礎に立つて政府の人員がきめられておるのだというところに、根拠があるのじやないかというようにも考えておるのであります。経済安定委員会の方では、どういうことで四割削減でなしに、二割削減という主張をなさるのか、その根拠もはつきりいたさないのでありますが、何か私どもは、行政監察をやるのに、これだけの人員で十分であり、またこれくらいがどうしても必要だという根拠が望ましいのであり、そういう考えからいたしまして、現在経済調査庁が、行政監察の仕事をやりつつあるのでありますから、それをそのままそうくりこちらへ移すのだというような根拠があるのじやないか、こういうふうに思つたのでありますが、そうしたはつきりした点はないわけでありますか。
  49. 野田卯一

    ○野田国務大臣 私どもの考え方から申しますと、今度設けます行政管理庁の監察部というものは、一種の恒久的な存在、そして行政監察の本元であるという、恒久的制度として考えるわけであります。恒久制度として考える場合には、どのくらいの規模にすべきか。こういうものは、初めから人員がふえたり減つたりするということになりますと、それに従事する人がおちつかないわけです。特に権力を持つて、ある場合は非違を正さなければならないというような立場に立ちますと、やはり役所として安定性を持たなければならないというような考え方からいたしまして、適当な陣容を持つてスタートいたしませんと、途中でいろいろな問題が起ります。機構的にもヴオリユームの点においても問題が起りますので、その点はいろいろ慎重に勘案した結果、今お手元に差上げてある程度の陣容が適当であるというふうに考えたのでありまして、経済調査庁の方の、いろいろと関係した方の御意見もあるわけでありますが、経済調査庁を伸ばすのだとか、それを存続させるのだという考え方で、今度の機構をつくるのじやないのでありまして、新しくしつかりした恒久的な監察機構を設けるのだ。それにはどのくらいの陣容がふさわしいか。将来行政整理をやるとか、何とか心配のない、確固たる陣容としては、どの程度をもつて最大限とするかというような、いろいろな点も考えましこの程度にいたしたのであります。
  50. 青木正

    ○青木(正)委員 次に第二条の第十二でありますか、そこに行政監察につきまして、関係行政機関と協力してやる、こういうことが書いてあるわけであります。各行政機関とも、御承知のごとく省によつて違いますが、それぞれ部内監査と申しますか、自己監査と申しますか、そういうことをやつておるのであります。この各行政機関と協力してやるという意味は、一般的に他の行政機関と協力するということだと思うのでありますが、私どもは行政運営伝というような法案も出す必要があるということも考えており、その構想の中には、各行政機関の部内監査につきましては、当然部内監査をやる場合には、行政管理庁の監察と協力してやるようにせいということを、行政運営法で、各行政機関にはつきりと出そうという考えを持つておるのであります。そこで行政管理庁設置法二の一の第十二号の点につきましても、それと相応するような考え方で、関係行政機関と協力してやるという意味は、関係行政機関の部内監査と協力してやるというふうなお考えに立つておるのか、そこまで行かず、ただ一般的に行政機関と協力してやるという抽象的な考え方かどうか、その点を承りたいと思います。
  51. 野田卯一

    ○野田国務大臣 ただいまの点は青木委員のおつしやつた考えとほぼ同様でありまして、たとえば専売公社なり専売公社、国有鉄道なら国有鉄道という例をとりましても、専売公社につきましては、大蔵省が監督官庁であり、国有鉄道につきましては運輸省が監督官庁である。従いまして、運輸省の中の監察を担当しておる部局におきまして相当監督をしておられるはずであります。そういう監督と行政管理庁の全般的な、あるいは第三者的と申しますか、そういう監督と相協力して、その間にあまりフリクションを起さないように、協力して最もよぎ監察をいんしたい、こういう趣旨でもつて法案はつくられた次第であります。御指摘の点はまつたく同感でございます。
  52. 青木正

    ○青木(正)委員 もう一点これは大臣でなくてけつこうでありますが、この地方監察局に、第一部、第二部というのができるようになつておりますが、その所掌事務がどうなるのかはつきりいたさないのであります。これは仕事が多いので、名称を一部、二部とするほかないと思うのでありますが、できればその名称が事務内容をそのままわからせるようにした方がいいのじやないか。これは専門の行政管理庁で、第一部、第二部としたのですから、おそらくわけにくくてこういうふうにしたのだと思いますが、どういうふうなわけ方でありますか、その点ちよつと事務的なことですが、お伺いしたいと思います。
  53. 大野木克彦

    ○大野木政府委員 実はその点まだはつきりきめておりませんが、大体の考え方といたしましては、一般の行政機関のやります事務に対する監査と、それから公共事業等の監査というふうなものにわけまして、事務量をよく勘案いたしまして、あるいは省別に担当をきめたらどうか、というふうにも考えております。
  54. 八木一郎

    八木委員長 江花靜君。
  55. 江花靜

    ○江花委員 入江人事官がおいでになつておるようでありますから、入江人事官に四つの点について御質問を申し上げます。  実はこの質問をする飯塚君が欠席しておりますので、私がかわつてやるわけであります。やはり速記録にとどめておく必要があつて、飯塚君の質問されるのを私がかわつて質問いたします。その意味をつけ加えておきます。  人事院は人事委員会となつたのでありますが、今後の人事行政事務内容について、名称といいますか、機構といいますかがかわつたのに伴つて、どのような変更が加えられるつもりか、これをお伺いいたします。
  56. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 ただいまの江花さんの、今後の事務内容につきましてどういう変化があるかというお尋ねにつきましては、この人事院の機構改革に伴つて権限がどういうふうにかわるかというお尋ねと存じますが、まず第一点には、御存じの通り、人事院が総理府の外局になりまして、人事委員会になりますが、まず人事院規則の制定につきまして、総理大臣承認を得ることになります。それから給与その他の勧告につきまして、従来は内閣と国会へ同時に勧告をする建前となつておりましたが、これが内閣及び国会となりまして、内閣を通じて国会へ勧告をするということになります。おもな点はそんなところでございます。
  57. 江花靜

    ○江花委員 第二にお尋ねいたしますが、この総理府の外局となつた人事委員会と、それから各省の人事行政部局との関係はどういうふうになるわけですか。
  58. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 その点につきましては、従来とほとんど同じでございまして、御存じの通り各省の関係につきましては、人事主任官会議と申しまする法律によつて設けられた機関がございまして、その人事主任官を通じて、各省との連絡を保持して参りましたが、今後もその点は従前通りの形及び運用の方法によつて処理して参りたいと思つております。
  59. 江花靜

    ○江花委員 各種の勧告が今後どういうふうに行われるかということもお尋ねしようと思つたのでありますが、勧告の点につきましては、先ほどの第一の質問にお答えがあつたことで大体了承できると思いますので、最後にお尋ねいたしますことは、人事院は人事権の独立を高く掲げておられるわけでありますが、今回の改正は、もちろんこの目的に対して妨げになるようなことはないと思いますけれども、その点どういうお考えでありますか。
  60. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 人事権の独立と申しますか、人事院の独立の問題につきましては、ただいま申しました通り、勧告は内閣を通じて国会に勧告する、あるいは人事院規則の制定につきましては、総理大臣承認を得ることになりましたけれども、しかしながらこういう点が変更になりましただけでございまして、実は御存じの通り、人事院の設置されますときに、人事院の独立のために設けられました条項がございまして、それらのものはほとんど、今回の改正によりましては従前通り存続されておるわけでございます。たとえば法令その他の意見の申出につきましては、この国家公務員法の改正前には内閣総理大臣にのみ意見の申出をすることになつておりましたが、これが国家公務員法の改正の場合に、国会へも申し出るということになりまして、この条項は今回の改正にもやはり従前通り存続されております。それから給与の勧告につきましても、ただいま申しました通り内閣を通じて国会へ勧告することになつておりますけれども、従前は勧告権もありませんでしたのを勧告権を認められたわけでありまして、その点はやはり勧告権は存続いたしておりますし、またかりに内閣を通じて国会へ勧告することになりましても、これを内閣が修正あるいはそのまま拒否するということはないものと考えております。また御存じの通り公平審理の問題がございまして、公務員が不当処分を受けました場合に、これの救済を要求する権限が規定されておるわけでございます。この公平審理の問題につきましては、今回の改正におきましては全然これに触れませんで、従前通り権限を人事院に与えておるわけでございます。  なお人事院の独立の一つの基礎になりまする人事官は、今度の改正におきまして、御存じの通り国家人事委員となるのでございますが、国家人事委員の身分の保障でありまするとか、あるいはこれを罷免いたします場合に国会の訴追を要することになつております等の規定におきましては、何ら変更を加えませんで、十分の保障の道を講じてございますので、最初に申し上げました人事院の権限につきまして、総理府の外局になりまする結果の若干の変更はございまするけれども、今度の改正の人事委員会の、人事行政の基本を樹立いたしますための必要な独立権というものは保持されておる次第でございまして、その点御了承願いたいと思います。
  61. 八木一郎

    八木委員長 これにて通告者の質疑は全部終了いたしました。  散会いたします。  次会は明十六日午前十時半より開会いたします。     午後零時十二分散会