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1952-03-27 第13回国会 衆議院 内閣委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月二十七日(木曜日)     午前十一時五十二分開議  出席委員    委員長 八木 一郎君    理事 青木  正君 理事 大内 一郎君    理事 船田 享二君       江花  靜君    木村 公平君       田中 啓一君    平澤 長吉君       本多 市郎君    山口六郎次君       松岡 駒吉君    門司  亮君       今野 武雄君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 村上 義一君  出席政府委員         特別調達庁長官 根道 広吉君         法務政務次官  龍野喜一郎君         海上保安庁長官 柳沢 米吉君         海上保安庁次長 山崎小五郎君  委員外出席者         専  門  員 龜卦川 浩君         専  門  員 小關 紹夫君     ――――――――――――― 三月二十七日  委員鈴木義男君及び森下孝君辞任につき、その  補欠として門司亮君及び江花靜君が議長の指名  で委員に選任された。     ――――――――――――― 三月二十六日  特別調達庁設置法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一一四号)  法務設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一一七号)  警察予備隊令の一部を改正する等の法律案(内  閣提出第一二四号) 同月同日  恩給の不均衡調整に関する請願上林榮吉君  外一名紹介)(第一六二六号)  同(上林榮吉君外三名紹介)(第一六二七  号)  同(小淵光平紹介)(第一六二八号)  同(松井豊吉紹介)(第一六二九号)  同外三件(中崎敏紹介)(第一六四七号)  同外三件(中村清君外一名紹介)(第一六四八  号)  同(淺香忠雄紹介)(第一六四九号)  同(田中角榮紹介)(第一六五〇号)  同(尾崎末吉君外二名紹介)(第一六六六号)  同(田中角榮紹介)(第一六六七号)  同(青木正紹介)(第一六六八号)  同(松本瀧藏紹介)(第一六六九号)  同外一件(首藤新八紹介)(第一六七〇号)  同(土井直作紹介)(第一六七一号)  同(清藤唯七紹介)(第一六七二号)  同(永井要造紹介)(第一七一二号)  同(並木芳雄紹介)(第一七一三号)  同(近藤鶴代紹介)(第一七一四号)  同(鈴木正文君外一名紹介)(第一七一五号)  同(佐藤重遠紹介)(第一七一六号)  同(田中啓一紹介)(第一七一七号)  同(松岡駒吉紹介)(第一七一八号)  軍人恩給復活に関する請願渡邊良夫紹介)  (第一六四六号)  公務員の新恩給制度確立等に関する請願(稻田  直道君紹介)(第一七一〇号)  元軍人老齢者恩給復活に関する請願永井要  造君紹介)(第一七一一号) の審査を本委員会に付託された。 同日  老齢者軍人恩給復活に関する陳情書外二件  (第九六九号)  同  (第九七〇号)  同(第  九七一号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  海上保安庁法の一部を改正する法律案内閣提  出第一〇〇号)  特別調達庁設置法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一一四号)  法務設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一一七号)     ―――――――――――――
  2. 八木一郎

    八木委員長 これより会議を開きます。  本日は文部省設置法の一部を改正する法律案内閣提出第一〇二号、海上保安庁法の一部を改正する法律案内閣提出第一〇〇号、公職に関する就職禁止退職等に関する勅令等の廃止に関する法律案内閣提出第一〇九号、特別調達庁設置法の一部を改正する法律案内閣提出第一一四号、法務設置法の一部を改正する法律案内閣提出第一一七号を一括議題といたします。  まず法務設置法の一部を改正する法律案について提案理由説明を求めます。法務政務次官龍野喜一郎君。
  3. 龍野喜一郎

    龍野政府委員 ただいま上程になりました法務設置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を簡単に説明いたします。  この法律案の要旨は、①拘置支所拘置所昇格させること、②少年院を新設すること、及び③少年院の分院を本院に昇格させることの三点であります。  まず、拘置支所拘置所への昇格のことから申しますと、小倉拘置支所は、その収容者が常時五百人を越え、しかも支所であるために運営上少なからざる困難を伴つておりましたので、かねて拘置所として独立させるべく準備中でありましたが、施設の方もようやく完備いたしましたので、この際、ここの被告人及び被疑者収容について一層円滑な運営をはかりますため、本所に昇格させたいと思います。  次に、少年院の新設及び少年院の分院の本院への昇格のことにつきましては、御承知のように、少年院施設は、新少年法の実施以来絶大な御支援をいただき、年を追つてその充実を見ているのでありますが、なお、十分ではなく、とりわけ特別少年院及び医療少年院施設、また女子少年院施設につきまして、著しく不足を感じているのであります。ことに特別少年院につきましては、そのほとんどが少年院法の規定により、暫定的に少年収容する監獄の一部を区分して充てている現状であり、さらに、昨年一月からの少年法適用年齢制限解除以来ますますこの種少年院必要性を加えて参りましたことにかんがみまして、新たにこの種の施設といたしますため、小田原少年院及び宇都宮少年院を新設いたしたいのであります。医療少年院につきましては、さきに工事未了のため一応分院として設置し、昇格準備を進めておりました宮川医療少年院を本院に昇格させ、種別を異にする本院との関係から生ずる運営上支障を取除き、その医療少年院としての特殊な機能を十分発揮させたいのであります。女子少年院につきましては、榛名山麓榛名女子学園を新設し、及びかねて工事中でありました青葉女子学園の完成を期に、分院から本院に昇格させ、本院と男女別を異にすることから生ずる運営上支障を取除き、女子少年院としての性質を深からしめたいのであります。ほかに、水府学院につきまして、その収容少年の数、施設の大きさ等から考慮いたし、一層効果的な運営を期しまするため、本院に昇格させたいと存ずるのであります。その他、少年院の名称及び位置について所要の改正を若干いたしておるのであります。  以上が提案理由であります。何とぞ、すみやかに御可決あらんことを希望いたす次第であります。     ―――――――――――――
  4. 八木一郎

    八木委員長 次に海上保安庁設置法の一部を改正する法律案について質疑を行います。質疑の通告がありますからこれを許します。今野武雄君。
  5. 今野武雄

    今野委員 きようはまだこつちの方質疑準備が全部整つておりませんから、一部分についてお伺いして、後にまた伺いたいと思います。  第一に海上警備隊の問題でありまするが、それの装備その他について今新聞紙上で大分いろいろなことがとりざたされております。そういう事実は一応知つておりまするが、はたしてそれが事実であるかどうかわかりませんから、伺いたいと思います。たとえば日本政府アメリカに要請して艦艇六十隻を借り入れる。その中にはフリゲート艦というのですか、千二百トンから千五百トン級のものが十隻、それから巡視船二百五十トンから三百五十トンが五十隻というようなことになつているそうですが、フリゲート艦というとりつぱな駆逐艦に相当する戦力を持つ軍艦になるのですが、そういうようなことがどんなふうに運ばれているのか。またどういう権限に基いてやつておるのか、そういうような点からまずお聞かせ願いたいと思います。
  6. 村上義一

    村上国務大臣 海上警備隊装備は、改正法案にもありまする通りに、大体その目的とするところが、海上における治安維持及び人命財産保護というために緊急な必要ある場合に行動をとるという性質のものであります。今回の予算にも計上して御審議を願つておりまするが、人員は大体六千三十名ほどの増員をいたしまして、一部分地上勤務でありまするが、大部分が乗船することに相なつております。今お示し通り船は千五百トンの船を十ぱい、三百トンの船を五十ぱい、六十隻で警備隊を編成することに相なつておるのであります。その船には一部武器を備えております。それは大体三インチ砲程度のものであります。従来から海上保安庁の仕事といたしましては、航路安全の業務警備救難業務とあつたのであります。警備救難の方は、天災地変あるいは高潮等で非常な海難があるというような場合に、この海難救済の衝に当る。また一面密輸入、密入国等を防止する取締りについてももとより従来も現在もやつております。普通五十トン以上の船百六十ぱいくらいでパトロールをいたしまして海上の秩序を保つ。法律違反行為を予防し、また捜査をし、鎮圧をする一面、海上における人命財産保護をするということをやつておるのでありますが、現在の設備では非常に力が足りないのであります。特に天災地変の大げさなものがある、先般の北海道における震災のごときその一つであります。またあるいは密入国にしましても、密貿易にしましても、相当の船団を組んで法を犯すというような場合に、個々の船でパトロールをやつてつては手が届かないということに相なるのであります。自然そういう場合には機動的にその力の足らざる点を補給して、海上治安を保つことが必要であるとつとに痛感いたしておつたのであります。今回この警備隊を設けることによつてこの欠陥を補いたい。今三インチ口径程度の大砲を備えるということを申し上げましたが、従来パトロール船旗信号その他で停戦を命じましても、知らぬふりをして遁走するということが相当あつたのでありまして、こういう場合に停戦命令信号をするのには砲をもつてするよりほかに方法がないのでありまして、目的はまつたくそういう目的装備をしたいという考えであるのであります。
  7. 今野武雄

    今野委員 大体この六十隻の船はもう来ているのですか。
  8. 村上義一

    村上国務大臣 その点申し残しましたが、今それらの船を米国から貸与を受けたいという考え交渉を進めておる次第でありまして、大体要望に応じてくれるものと信じておりますが、まだ正式には承諾の通知を得ておらないような次第であります。自然まだこちらへ参つているということはないのであります。
  9. 今野武雄

    今野委員 それでその三インチ砲ですが、これは従来フリゲート艦についているものですか。くつついているものが三インチ砲というのですか。それとも今ある武装はやめてしまつて三インチ砲を装備する、こういうことなんですか。
  10. 柳沢米吉

    柳沢(米)政府委員 大体私どもの考えといたしましては、先ほど大臣が申し上げました通り、非常に遠いところで海難が起きましたときに、現在持つております船舶は七百トンが最大のものであります。従いまして、七百トンの船で一万トン級の船の災害を救助するというような場合に、非常に困難を感じておりまして、何とかして大きい船が持ちたい。それには千五百トン級以上あれば非常にいいのであります。その数も大体十隻程度あれば一応何とかなるという希望を持つております。これはもしあるならば、アメリカの方面から貸与していただけば非常にけつこうだというふうに考えておりまして、交渉を進めておるわけであります。従いましてアメリカ側であります船は、号砲の件も、できればその程度号砲がちようどいいというような要求をしておりまして、大体要求に匹敵したものが向うから借りられるのじやないかというふうに考えておるわけであります。
  11. 今野武雄

    今野委員 そうするとその三インチ砲というのは確定したものではなくて、向うでその船に何がついているかということはまだよくわからないのですか。つまり三インチ砲あるいはそのほかにどういうような装備があるか、たとえば水雷発射管とかあるいは爆雷装置とか、いろいろそういうものが、今の軍艦ですからたいがいの場合にはあることと思います。それから通信あるいは武器として使うレーダー、その他いろいろな装備がある思いますが、大体お調べの上、何か見当をつけて借りたい、こういうふうに考えているのだと思いますが、その点をもう少し明確にしていただきたいと思います。
  12. 柳沢米吉

    柳沢(米)政府委員 私たちが要求しておりますのは、先ほど申し上げました船舶のトン数が千五百トンくらいはぜひほしいということと、号砲程度のものはぜひ持ちたいということで要求したような次第であります。その船に他のどういうものがついているかということでございますが、われわれの方といたしましては、そのほかにいろいろ危険なものがついておるとすれば、それはこちらの要求外のものでありますから、これは何とか処置をするというふうに考えております。なおレーダーその他のお話でございますが、これは航海あるいはその他に必要な計器といたしましてついておる分については、必要なものはついていなくてはならないというふうに思つております。
  13. 今野武雄

    今野委員 それはフリゲート艦巡視船と両方ありますが、たとえば巡視船の場合もやはり何らかの、そういう号砲的なものをつけるというふうに理解してよろしいのですか。
  14. 柳沢米吉

    柳沢(米)政府委員 現在のところは千五百トン級の船は大体号砲くらいはつけて貸していただけるのじやいかというふうに思つておりますが、小さい船の方は号砲がつけられるかどうか非常に問題だと思います。まだその点は向うでもはつきりしておりません。つけられないのじやないかというふうに考えております。
  15. 今野武雄

    今野委員 現在七百トン級のものは何隻あるかよく存じませんが、その隻数がわかつたら言つてもらいたい。あるいは今度そういう武装を施すつもりかどうか、その点もお伺いしたいと思います。
  16. 柳沢米吉

    柳沢(米)政府委員 大体七百トン級の船は現在三隻ございます。御承知通り現在海上保安庁といたしましては、これらの船舶にはいずれも何らそういうものはありません。現在武器と称せられるものは、各保安官が拳銃を携行しているという程度でございます。そのほかに何らそういう武器的なものは現在ございません。
  17. 今野武雄

    今野委員 現在の状態は大体知つているのです。私が聞いているのは、つまりそういうものにくつつける気かどうかということです。
  18. 柳沢米吉

    柳沢(米)政府委員 七百トン級のものはできれば号砲くらいはつけていただければいいのでございますが、この点は何ら決定しておりません。われわれとしてはつけていただければ非常にけつこうだと思つております。来年度においてつけるかどうかということは全然決定しておりません。
  19. 今野武雄

    今野委員 一昨年でしたか、警察予備隊ができるときに、国会大分内容説明要求したのですが、説明されないままに警察予備隊令ができ、そうしてその後装備や何かの点も何ら国会に諮らないでどんどんとバズーカ砲とか、つまり対戦車戦をやるような装備をしておるわけです。今回の件についても、これは少くとも軍艦と見られるようなものを借りるというようなことは、これは日本の憲法の建前から見ても、また国際関係から見ても非常に重大な問題であると考えるわけです。ところがそういうようなことについての交渉が、こういう法案が出される前からもうすでに始められておる。しかもそういう交渉を進めておる中にこういう法案が出て来ておるようでありますが、新聞紙上などではほとんど交渉が済んで向うから来るばかりになつておるようなことを報道されております。そこでこういう態度ですと、今後も三インチ砲というような話だつたけれども、これを拡大するときには国会にも諮らないで、その都度必要だといつてどんどんやつてしまう。そうして向うからこれを載せろといわれれば、はいそうですかといつて載せる、こういう危険が十分感ぜられるわけでございますが、その点についてそういうふうな装備を増す場合、その他について必ず国会承認を得てやるかどうか、そういう点について伺いたいと思います。
  20. 村上義一

    村上国務大臣 ただいま御指摘になりましたような、さらに大きいものを載せるのじやないかというお話でありますが、そういうことは全然必要ないと思うのでありまして、とにかく先刻も申し述べましたことく、海上における治安維持任ずる人命財産保護任ずるというために、ただ機動力が現在全然ないのであります。緊急の必要ある場合に機動的な行動をとるというためであるのであります。これは保安庁法の第二条に設備という文字があります。つまりこの一条の目的に合致する設備以上のものはできないはずである。先刻も申します通り口径三インチの砲というのは、まさに号砲等にぜひ必要であるという意味合いで、希望をいたしておるのであります。また敏活なる通信をするために、レーダー等も必要であることは申し上げるまでもないのであります。本法に示してありまする目的以上の範囲を逸脱しないという考えを持つております。
  21. 今野武雄

    今野委員 そうすると、私がお伺いしたのは、そういう場合には必ず国会承認を得るのがこの法律建前なんでありますから、検討して、その上でやる、こういうふうに理解してよろしいかどうか。というのは治安維持のためには、たとえば今の警察予備隊の持つている装備も不必要だと思うのです。バズーカ砲がなぜ国内治安維持のために必要であるかということ、これはわれわれとしては理解しにくいのです。重戦車などに対する武器が、何ゆうに必要であるかということは、ちよつと理解しにくい。ところがそれが公然と行われ、それに基く大規模な演習をやる、またその演習地を方々につくつておる。これを国会が何ら関知しないうちにやつておる。しかも治安の名においてやつておる。同じ政府がやるこの海上保安庁――こういう一端が開かれれば、やつぱりそういうことになつて行くんじやないかという危険は、十分に感ぜられるわけでありまして、そのために聞くわけです。  それからもう一つ、この艦には日本人以外の外国人――たとえばアメリカ人の将校とか、あるいは顧問とか、あるいはその他いかなる名目にせよ、そういう者が乗るかどうかです。その点もひとつ……。
  22. 村上義一

    村上国務大臣 先刻も申し述べます通り海上保安庁法の一条、また今回の二十五条で警備隊目的は明記せられておるのであります。そうしてなお必要な設備という文字があるのであります。第二条にもあります。この設備という範疇を逸脱しますようなときには、もちろんこの法の改正を要すると信じます。そういう際には、もちろん国会の方で改正法律案を御審議願う必要があると信じております。  なお第二点の米国軍人あるいはその他の人を乗船せしむるということは全然考えておりません。全部日本人で操作する考えでおります。
  23. 門司亮

    門司委員 私から少しばかり聞いておきたいと思うのですが、その前に一応資料を出していただきたいと思いますのは、海上保安庁現状をひとつ御報告を願つておきたいと思います。私がこういうことを聞きますのは、ここでまた人間が約五千人ばかりふえまするし、今までも五万トン八万トンにふやされて来て、だんだん装備はふえて来るのでありますが、今まで許された範囲の船が全部できておつて、それが全部活動しておるかどうか。この活動が全部なされていないで、またこういうふうに増加しなければならぬということは、私理論はわからないのでありますが、今までの船をこしらえ上げて今までの装備を全部やつて、それからなおかつ足りないから、これだけのものを要するというのなら話がわかりますけれども、今までの許された範囲のものができていないということになると、ちよつと理論上おかしいものができて参りますので、一応それの参考のために現状で許された五万トンの範囲で、艦艇は全部でき上つてそれが任務についておるかどうか、こういうことの資料を出しておいていただきたいと思います。  それからその次に聞いておきたいと思いますことは、この法律をお出しになつて改正されまする趣旨としての大臣説明の中に、いろいろな理由が書いてありまするが、その中でこの機会に聞いておきたいと思いますことは、独立国なつたから、こういうものが必要だというように実は受取れるわけであります。いわゆる「平和条約の発効とともに、完全なる主権国家といたしまして」こう書いてあります。そうしてこれがみずからの手によつて沿岸水域を安全に警備するということにもなつております。従つて今まで――主権国家でなかつた場合に、米国の海軍がわが国の沿岸警備にどのくらいの装備と、それからどのくらいの援助を与えておつたかということも、一応この機会に、もし統計で示されるなら、資料としてお示しを願いたいと思います。  それからその次に、これは大臣にひとつ聞いておきたいと思つておりますが、1海上警備隊性格であります。これは海上保安隊警備隊という名前にかえて参りまするなら、性格をもう少しはつきりしておいていただきたい。これを私が聞きますゆえんのものは、海上警備隊ということになつて参りますと、ちようどアメリカにかつてあつたコースト・ガードのような性格を持つものであると考える。コースト・ガードのような性格を持つて来るということになりますと、――この第二十五条の内容を見ますと、軍隊の組織のように書いてありますが、この解釈が少しあいまいな形をとつておると私は思います。御存じのようにコースト・ガードは、アメリカのいずれの戦争にも出動しています。そうして軍隊の一翼として働いておるということは、歴史にもはつきり書いてあります。そういう性格を持つのかどうか。この点はひとつ明確にこの際御答弁を願つておきたいと思います。
  24. 村上義一

    村上国務大臣 海上保安庁性格は、保安庁法で明らかに示してある通りであります。今回の改正法律案海上警備隊というものを設置することになつております。この海上警備隊はどういう目的で設置するかということも、今回の改正案で明らかに示してありまする通り海上における人命財産保護して、また海上治安維持するために、緊急の必要ある場合に行動をするということに相なつております。結局現在の海上保安庁目的のまつたく一部と相なると信じております。現在の海上保安庁使命わく外には少しも逸脱しないと確信しておるのであります。ただ従来は先刻も申し述べます通り、約百六十ぱいほどのものが、これは五十トン以上の船全部でありますが、パトロールをして、海上警備の任に、また航路安全の任務に当つております。これではどうしても、網の目が荒くて、密入国にしましても、密貿易にしましても、取締りができない、予防ができない。また捜査ができないという状態であるのであります。今最も欠陥だと痛感いたしておりますのは、相当大きい問題が起つたときであります。たとえば前刻も申しましたような十勝の震災でありますとか、その他大きい船の海難でありますとか、天災高潮その他で非常な海難が起つた、あるいはまた船団を組んで不法入国が行われかけておる。あるいはまた大げさな密貿易が行われつつあるといつたような場合に、微力であつて、いかんともすることができないという状態で今日まであつたのであります。どうしてもそういう場合には機を逸せず、やはりこちらも船団を組んだものが機動的に出動するということで、海上治安を保つて行きたい、こういう考えであるのであります。目的はまつたく現在の海上保安庁使命わく外に出ておるということは全然ないと信じておるのであります。
  25. 門司亮

    門司委員 大臣答弁としては、その程度しかできないと思いますが、問題となるのは、そうだといたしますと、ことさらにここで海上警備隊というものを特別につくらなければならないゆえんのものがないと思うのです。従つて今あります保安庁の持つております力の何らかの性格的な変更を要求しておるのではないかと考えられますので、さようお聞きしたわけであります。  それからその次にもう一つ聞いておきたいと思いますことは、これもよく新聞に伝えられておりますように、また総理大臣も言われたように、将来警察予備隊保安隊に切りかえられるということになつて参りますが、私は性格がかわらなければ何も名前をかえる必要はないと思いますが、しかし性格がだんだんかわりつつある。そういうことで保安隊になりまして、必然的に今の政府のこうした方向をとつて参りますと、国の治安力と今は必ずおつしやると思いますが、一つの戦力のようなものがだんだんできて来て、将来何らかの形で保安庁から離れて、警察予備隊と密接不可分の関係になります以上は、一つのまとまつた団体に必ずなるということが、一応われわれも予測されるのでありますが、大臣は今そういうお考えをお持ちになつておるかどうか。いわゆる国防上の見地から警察予備隊と一体となるべきような性格を持つておるというように大臣はお考えになつておるかどうか。また将来そういうことに進められるというようなお考えがあるかどうか、この点を一つお聞きしておきます。
  26. 村上義一

    村上国務大臣 将来のことは今私確言することはできませんけれども、警察予備隊というものと性格ちよつと違つておると私は思うのであります。これはあくまでただいま申します通り警備救難の機動隊でありまして、ちようど東京警視庁にあります予備隊、また大阪警視庁にあります機動隊と同じ性質のものだと考えておるのであります。この性質をかえるということが日本として必要になつて来れば、そのときに発生することと思いますが、そのときには前刻もお話がありましたことく、明らかに本法の改正を要することと思うのであります。
  27. 門司亮

    門司委員 それでもう一つその先を聞いておきたいのですが、そうすると、大臣説明書の中に、実はこういうことが書いてあります。さつき私が読みましたその次に、「即ち、海上におきまする大規模な災害及び重大な秩序の擾乱」、こういうように書いてあります。秩序を破壊する重大な行為というようなものは、やはりこの対象になつておるように書かれておりますが、秩序という文字はなかなか広範囲に解釈されますけれども、密貿易もやはり秩序を破壊したと言えば言えるのであります。この秩序という文字がどういう意味で書かれておるかわかりませんが、先ほどから申し上げておりますように、これは単にわれわれは密貿易が国の秩序を犯すという解釈をするわけにはこの際行かないような感じが非常に強くするのであります。従つてこの秩序を撹乱するような大規模な計画というものが一体想像されるかどうかということであります。これは大臣説明書の中に書いてあります文字は非常に重大な文字でありますので、念のためにここだけ聞いておきますが、こういうものを対象として考えられるということになつて参りますと、警察予備隊性格と違うというお話でありまするが、私は警察予備隊と密接不可分の関係を持つておるものであると思います。現在の海上保安庁にいたしましても、これは陸上を警備いたしておる警察官と、密貿易その他を警備しております警察官とは密接な関係を持つておるということは事実でありまして、これを切り離てはわれわれは考えられない。またこれをもし切り離して考え、あるいは離れて活動しておるということは、これは本来の目的、国の治安全体の上かち見ますと、非常に大きな欠陥が出て来るのでありまして、これは密接不可分の関係を持つておると私は思います。従つてここに書いておいでになる重大な秩序の擾乱とか、あるいは破壊というようなものは、単なる密貿易程度のものであるかどうか、この点を詳しく大臣からひとつお聞かせ願いたいと思います。
  28. 村上義一

    村上国務大臣 普通の密貿とかあるいは密入国とかいうものは、普通こそこそやるということが一般の概念でありますけれども、相当大がかりなものか過去においても行われんとしたことかあるのであります。またいろいろ日本の漁船に対して海賊的行為をいたして来るといつたようなこともあつた次第であります。そういつたような場合には、七十トンや百トンあるいは二百トンのパトロール船では何ともいたし方がないというような際には、機を逸せず連絡をとつて基地から機動隊が出動して、人命財産の安全を保持するようにして行く必要があるということを考えておる次第であります。あるいは本法改正につきましての説明に用いた文字の用例が適当でなかつたかもしれませんけれども、私どもの考えておりますのは、ただいま申したような点を考えておる次第であります。
  29. 八木一郎

    八木委員長 これをもつて海上保安庁法の一部を改正する法律案についての本日の質疑を終り、次会にさらに質疑を行いたいと存じます。     ―――――――――――――
  30. 八木一郎

    八木委員長 次に特別調達庁設置法の一部を改正する法律案につい、提案の趣旨の説明を求めます。特別調達庁長官根道広吉君。
  31. 根道広吉

    根道政府委員 特別調達庁設置法改正案理由を御説明申し上げます。  本案は、現在の機構の簡素化並びに経費節減の見地から今般付属機関の調達役務審議会と地方支分部局の京都特別調達局を廃止しまするとともに、平和条約の効力発生に伴いまして、特別調達庁の所掌事務に変更が生じまするので、現在の特別調達庁設置法を、次のように改正する必要があると存ずるわけであります。  第一に、従来特別調達庁設置法といつておりました題名を調達庁設置法改正し、特別調達庁を調達庁、特別調達庁長官を調達庁長官、また特別調達局を調達局、特別調達局長とありますのを調達局長と、それぞれ改めようといたしますと同時に、他の法令においても、同様な読みかえを規定いたしております。  第二に、特別調達庁の従来の任務でありますところの連合国軍のための調達を、平和条約効力発生後は駐留軍のための調達を行うように改正いたしますとともに、新たに行政協定の第十八条に規定しておりまする駐留軍の行為のために生じまする損害についての請求の処理に関する業務を所掌することといたすわけであります。  第三に、終戦処理費、解除物件処理費は、昭和二十六年度限りなくなりますので、これを単に経費という言葉に改正いたしたいと思います。  第四には、当庁に置かれております調達役務審議会及び京都特別調達局を、機構簡素化の趣旨に沿いまして、廃止することといたしたいと思つております。  第五には、従来地方支分部局の管轄区域は、連合国占領軍の管轄区域に対応するというふうに書かれてありましたものを、これを各府県別に明確化いたすわけでございます。  以上をもちまして、簡単でございますが、一応の説明といたしまして、よろしく御審議をお願いいたします。
  32. 八木一郎

    八木委員長 これをもつて提案理由説明を終りました。続いて本案についての質疑を通告の順に許します。今野武雄君。
  33. 今野武雄

    今野委員 たくさんあるのですけれども、第一にお伺いしたいのは、これは結局占領下から、今度は新たな行政協定下に移るといいますか、そういうことのためにやつたただ単なる名前のつけかえと、そういうふうに考えてよろしいのですか。
  34. 根道広吉

    根道政府委員 特別調達庁は、御承知のごとく、現在の法令におきましては、連合国軍のための調達ということに相なつております。しかし現実の問題といたしましては、今後安全保障条約、行政協定等の結果に基きまして、引続き米軍が駐留軍として駐在いたしますので、同種同様の業務が相当存在するわけでございますが、これをまた日本政府がある程度施行しなければならぬことに相なつておりまするので、まず第一の点は、今お尋ねにありましたように、連合国軍のためという字を、どうしてもこれは駐留軍とかえていただかなければならぬという問題があるわけであります。なお名称は、いろいろな意見もありましたが、特別という字が、あたかも占領下において特別のものであつたというような意味で、まあできるだけそういう言葉は避けて、新しいかつこうに少くともした方がいいのではないかというので、特別という字を廃する、まあそういうようなことでございます。
  35. 今野武雄

    今野委員 この法律には、確かに連合国軍というふうに書いてあります。それから今度は、改正案には駐留軍と書いてある。しかし従来われわれは実際の事実を見て参りますと、ポツダム宣言並びに降伏条項に基く連合国軍の業務以外のことにも、相当特別調達庁が金を支出したり、いろいろな協力をしているという事実を知つているわけです。というのは、つまりいわゆる国連軍という名目のもとになされておる朝鮮戦争の行為、こういうものに基地を提供し、それからいろいろなそのための労務を提供するその他の仕事が行われておる。現に朝鮮にまで人夫が行つたり何かもしているわけです。そういうような事実は、これはもう国会においても労働委員会その他で討議されまして、まぎれもない事実になつているということは、確認されておるわけであります。そういうようなことに対しては、どういうような始末が一体してあるのか。たとえば、例をあげればきりがないのですけれども、仁川上陸以来行つている労働者の賃金です。これは府県の渉外を通じて特別調達庁から支払われておるのです。あれが何ゆえ日本占領のための、降伏条項に基く占領のための業務であつたか、そいつは不幸にして日本の国民が理解できない。それからまた横田の基地では、あそこへ参りますと、毎日のように、私も行つて参りましたが、朝鮮爆撃のため、B二九がどんどん飛び立つておる。こういう業務に従うべき日本の国民が、あそこでもつて使用されておるわけであります。それの給料その他も、やつぱり特別調達庁から出される。それからそういう作戦行為に、よつて受けた損害、横田の基地のそばで爆弾がおつこつた事件、あるいは埼玉県におつこつた事件、川崎におつこつた事件、いろいろございますが、そういうものに対する損害賠償の請求もありまするし、そういうことについても、金を出すところは特別調達庁であるということになつておる。それから、その他、たとえば朝鮮戦争が始まつて以来、横田の向うの方の東秋留というようなところでは高射砲陣地がつくられておる。それの調達、これはまだ一年か二年になんなんとする時間がたつているのに、まだ補償措置すら講じられていないわけでありますが、そういうことに対しても、土地の取上げをやつておるのですが、そいつも特別調達庁で金を払うんだということになつておる。こういうことを考えてみますと、連合国軍ということが、非常にあいまいになつておつたというふうに思われる。でその点については、従来占領目的のために使われていた金は、つまり特別調達庁の業務として支出された金、あるいは労務は、どの程度のもので、それから朝鮮戦争のために、いわゆる国連軍の行動のために使われていたもの、それは違法であると思いますが、そういう違法的な支出はどのくらいであるか、その点をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  36. 根道広吉

    根道政府委員 ただいま、日本政府は占領軍のためでなしに、それ以外の仕事を特別調達庁を通じてやつておるのではないかという御質問でありますが、しかしながら特別調達庁が形式的にやつておりますことは、すべて占領軍としての調達要求という形において出たものだけを扱つておるわけでありまして、それ以外のものは扱つておらぬのであります。ただ今のお尋ねのうちに、朝鮮戦線にまで出かけて行つた労務者があるではないかというようなお話でありますが、われわれといたしましては、占領軍が必要とする労務者を、占領軍の要求によつて提供しておるのであります。もしこれが朝鮮の戦線等に現実に働きに行つたものがあるといたしますと、その場合は、それぞれの労務者の自由意思をもつて行つたという形になつております。もちろんそれの経費につきましては、これが占領目的のために使われたのでなければ、これは米軍といたしまして、別に計算いたしまして、日本側にドルをもつて払い込んで来るわけであります。その他いろいろな品物につきまして、たとえば占領目的のために発注したいろいろな品物がございます。これをたまたま緊急の必要上朝鮮戦線等において使つたというようなものがあるかとも存じます。これはその後におきましては、直接ドル調達でやつておりますので、ほとんど現在においてはないはずと私は存じておりますが、一部分はそういうものがあつたと思います。なおまた朝鮮事変が起る以前におきまして、遠い地区から持つて来ました自動車の修理等をPDをもつてつておつた工場等もございます。そういうものをまたよそに持つてつて、フイリピン、沖繩で使う場合には、軍の方でしかるべく原価計算いたしまして、これを日本政府に償還する、こういうような建前をとつて来ておつたと考えます。特別調達庁といたしましては、やります仕事は、すべて調達の形式にかなつた形をもつてこれをやつておるわけでございます。
  37. 八木一郎

    八木委員長 この程度において午前中の会議は一旦休憩し、牛後は一時半より再開いたし、特別調達庁設置法の一部を改正する法律案について質疑の後、討論、採決に入りたいと存じます。  これにて一時半まで休憩いたします。     午後零時五十三分休憩      ――――◇―――――     午後二時十七分開議
  38. 八木一郎

    八木委員長 休憩前に引続きこれより会議を開きます。特別調達庁設置法の一部を改正する法律案について質疑を行います。質疑の通告がありますから、順次これを許します。門司亮君。
  39. 門司亮

    門司委員 これは先ほどからちよつと座談のうちにお話したのでございますが、この法案自身は、今の説明では触れていないのでありますが、現在の特調のやつております仕事の内容と、それから今度の協定によつて内容はかわつて来ると思うのでありますが、その内容のかわつて来る点を、ひとつこの際御説明つておきたいと思います。それは仕事の受注関係等は、従来でありますると特調が中に入つて、いろいろな取次をいたしておりますので、さほど困難ではなかつたと思いますが、今度はこれがはずれて参りまして、向うの連中との間に直接業者との間の取引が行われるというようなことになつて参りますと、単価その他の点についてなかなか調整しがたいものができて来はしないか、こういうことが実は最初に杞憂されるわけでありますが、従つてそういうことが、もし具体的にいうならば非常に単価がたたかれて安くなつて来る、そういたしますとそれに従つております労働者の賃金等も勢いたたかれなければならぬようなものが必ず出て来る。さらにもう一つの問題は、労働者の今日までの法の適用の範囲、あるいはこのさしず等の問題が、労働省である程度保護して行くとは考えられますが、しかしこれもこのわくがはずれてしまいますと、なかなかそう簡単には行かないのではないか。理論上から申し上げますと、今までは多少向うの連中のさしず、あるいは干渉があつたと思うのでございますが、今度はそういう干渉がなくなるはずでございます。しかしこれが全部特調がその間に関係をしないということになつて参りますと、そういうような理論上ないようなものが、実際上は今までよりも扱いにくいようなものができて来はしないかというようなことが考えられます。従つてこの法案内容改正されますと同時に、行政協定との関連を、ひとつ長官からもう少し詳しい御説明を願いたいと思います。
  40. 根道広吉

    根道政府委員 ただいまお尋ねのように、特別調達庁は現在は連合国軍のためにあらゆる種類の調達を行つております。もちろん終戦処理費をもつてする部分のみでございます。またわれわれは、同時に現在軍側においてドル勘定をもつていわゆる直接調達というものをやつておるという事実のあることも、よく承知しておるわけであります。その方面において国会においていろいろ問題があるどいうことを御指摘に相なりまして、いろいろの質問を受けたことがございます。私ども現在までの経験から割出しまして、およそ軍人の直接調達ということは、ある場合に、たといそんな権力行使的には働かなくても、ちよつと無理があるのではないか、またこれが外国の調達方式によつて、形は自由契約の建前ではありましても、それを他国内で行うということは、いろいろその相手が外国人であるがために言葉の通ぜざるところ、意思の通ぜざるところ、あるいはその交渉の経過においての誤解等がおそらくあることであろうと思います。理想的に申しますれば、そういうものはおそらく一種の完全な自由にした方がいいのではないかという説もあるのでありますが、現実問題はなかなかそう簡単に参らないで、ただいま御指摘に相なりましたような問題が起ります。その問題が起つたとき、これをどう解決するかという問題が、さらに一層むずかしい問題になつて来るのではなかろうかと考えるわけであります。もちろん最後に門司委員が言われましたのは、労働問題などもございましたが、これは現在起つておりますような労働問題といたしましては、今後はこれに関係するところのものがありましても、これはいわゆる占領軍ではございませんので、完全に独立対等の立場でなさるべきであります。従いまして会社などに来て、労働問題等に関連していろいろ干渉があるということは、これは将来はあり得べからざることと私は考えております。この点の取締りは、労働問題を所掌しておる官庁において、しかるべく措置が十分にとられるものだろうと考えております。また一つには向うと直接契約を結ぶ業者等が、不当に値をたたかれ、その結果が会社にはねかえり、また労務者の待遇までに悪影響を来すというようなことなきにしもあらずとは思うのでありますけれども、これは一般の国内の問題においても同様に存在する次第でございます。もちろんこれについては、会社が十分の採算のとれるような応じ方をすべきものである、そう言うてしまえばそれまでのものであります。しかし私はほんとうに問題として考えますのは、やはり何分にも日本の国情に明るくない、日本の経済状態、社会状態にほんとうに明るくない人が、ときどきに人がかわつて当事者になるというところに問題の発生がある。またそうして起つた問題をどう処置するかということが問題で、そういうことをなくするには、私は必要に応じ、時に応じて、日本政府側のしかるべき機関が仲介して、日本の業者等にいろいろな問題が起ることを防いで行くような方途を講ずべきであろう、こういうふうに考えます。
  41. 門司亮

    門司委員 そうしますと、今の御答弁でははつきりしないのでありますが、何らかの方法で講じて行こうということだけでは、なかなかわれわれも承服するわけには参りませんが、ただ私が聞いておりますのは、この現行法と改正法の問題で、調達局の行います仕事、内容がほとんどかわつておりません。従つて経理部であり、あるいは契約部であり、技術部、あるいは促進監督部、管財部というようなものがそのまま残されることになつております。従つて残されることになつているから、従来の業務がそのまま、逆にいえば必ずしもさつきのお話のようにそのままでもございませんし、またわれわれもそうではないと思う。従つてこの間の事情は、行政協定の中にあります治外法権的といいますか、もう一つは契約の自由というようなことが、この契約部が存置しておる限りにおいては、これとの関連性を、従来のような契約ではない、新しい建前から出て来る契約の問題だと思いますので、ひとつもう少し詳しく――ここに定めておる契約というものは、従来の契約とむろん内容が違うと思いますが、さつき長官のお話のように、契約がむろん業態においては自由になると思いますが、そうすると残された契約というものは、一体何を意味するのか、その点をもう少し詳細に御説明を願えればけつこうだと思います。
  42. 根道広吉

    根道政府委員 ただいま特別調達庁の今後においてなすべき業務として、割合とはつきりいたしておりますのは、不動産関係業務であるとか、米軍との契約に基いて行つております労務関係業務、これは相当はつきりしておるわけであります。そのほかの問題といたしますると、軍が需品その他の役務等について、全部直接調達を行いますると、特別調達庁の従来やつておりました需品、役務の関係はなくなるわけであります。しかしながらそのうちで、軍が、アメリカ側日本側と相談の上で適当だと思われるもの、あるいはそうしなければ日本側で困るというもの、また米軍側においても都合がよろしいというものがありましたときには、日本政府側にこれを委託してやらせる道は開かれておるわけであります。現在の特別調達庁の規定中におきましても、契約によつて仕事をしておることがございます。これは、大きな例は労務関係のことでございまして、昨年の七月一日以降、米軍関係において使用するところの日本人が、全部米側の経費をもつてこれをまかなうということにいたしまして、それに関する仕事は日本政府が引受ける。そうして必要なる経費は、米側より償還を受けるという意味の契約があることは御承知通りでございます。それと同じようなことが、形の上におきましては、現在の特調の仕事のうちに入つておるわけであります。それは単に労務ばかりでなしに、需品及び役務に関し、広く適用されることになつております。従いまして日米相互間で意見の合致いたしました点は、米側において日本政府に契約によつて仕事を委託して来ることは、あり得るわけであります。また今度の改正案の中におきましても、その点は実質的の変更を生じておらぬわけでありますので、今後日本政府側の実質的な交渉が進みますにつれまして、どういう仕事をしなければならぬかということが、だんだんに明らかになつて来るだろうと思います。特別調達庁としてだけの意見を申し上げますると、相当のものが問題を生ずるおそれがあるので、ことに日本にはいろいろの中小商工業者がありまして、それらのものが一々軍側と折衝することに、いろいろ問題を発生する余地があり過ぎる、従つてそれをなくするためには、軍が直接やらずに、特調のごとき政府機関が仲介して、これをやつて行くということをする方がよかろうという意見を、私は現実にも意見として出してあるわけであります。米軍に対しましても、直接にそういうような意見を申し述べつつあるのであります。今後行政協定の予備作業班等におきまして、そういうような話もだんだんと出て来ると私は考えておるわけであります。
  43. 門司亮

    門司委員 だんだんはつきりして来たようでありますが、今の答弁をお聞きいたしますと、現在では一つの国内の業者の保護機関――ということは少し言い過ぎかもしれませんが、あつせんする機関がない形になつておる。そうして将来われわれの危惧いたしておりますように、非常に不便のあることのため、あるいは業者のあつせんするものがなくなつて、直接取引のために――これは悪いくせだといえば悪いくせでありますが、やはり仕事をしておるものは仕事がないというわけにも参りませんから、勢い少し無理でもその仕事をとつて行くということが行われる。その間に何らのコントロールをするものがなくて、直接やるということは不便でありますし、またそういう機関も必ず――アメリカの筆法がそういう筆法なんですから、今まででさえもそれでかなり日本の業者は苦しめられている。ことさらにこういう仲介がなくなつて自由の契約になつて来ると、おそらく弱い業者はかなり私は苦しめられると思う。従つて今の長官の意見といたしましては、そういう問題についてははつきりした具体的のものは今出ておらないが、しかしそういうものについては十分政府考えているか。あるいは十分そういうことのないようにもし方法が明示されるなら、この機会に明示しておいていただきたいのでありますが、もし明示されないと言うなら、そういうことにひとつ努力をして行くようなお考えが今の長官のお考えの中にあるかどうか。それから同時に、それは長官個人の意見であるのか。それは日本政府の、たとえば行政協定の関係があるとするなら、岡崎さんなら岡崎さんもやはりそういうお考えでおいでになるのか。これは少し話が飛躍したようでありますけれども、もし御答弁が願えるなら、その辺まで御答弁つておきたい。
  44. 根道広吉

    根道政府委員 ただいま申し上げましたのは、特調長官としての意見でございます。政府全体のまとまつた意見とは申し上げかねるとは存じますが、御懸念のような問題が発生することを防ぎたいと思つていることについては、もちろん同じであるとこう考えております。また従いまして私こういうような仕事をした経験に照しまして、今まで各方面に今申し上げましたような意見は述べているわけであります。また機構の上、制度の上といたしまして、直接調達がいけないものについては、いつでも政府が仲介してやれるという機構態勢には相なつているわけであります。これは十分活用してみたい、こういうふうに考えております。なおまた岡崎国務大臣等においてはどう考えておられるか、私がかわつて申し上げることはできないのでありますが、たとえば労働問題なんかにも関連いたしまして、これにもやはり、いわゆる直接調達たるべきか、すなわち直接雇用たるべきか、あるいは間接雇用たるべきかということに相当意見が闘わされたのであります。その際の岡崎国務大臣答弁といたしましては、理想としてはそういうものは直接雇用であるべきじやないか、しかしながらいろいろ問題が起るということも考えられる、また特に労働組合――連合国人に現在使われておりますものから間接雇用でなければ困るというような意見が提出されているというような関係もあるので、できるだけそういうふうなことにしたい、こういうふうに考えているという意見を表明されております。それと同じような思想は私は同様におありになることと想像いたしております。
  45. 門司亮

    門司委員 私は委員長ちよつとお願いがあるのですが、今の長官のお話によつてだんだんこの問題がはつきりして来たのであります。従つてこれはひとつ労働大臣、それから岡崎国務大臣を呼んでいただいて、その点をもう少し明確にしておきたいと私は思いますが、そういうおとりはからいを願いたいと思います。
  46. 八木一郎

    八木委員長 承知いたしました。
  47. 今野武雄

    今野委員 ただいまいろいろお話がありましたけれども、私どもの参考になつたところがたくさんあります。あまり質問が多過ぎて実は困つておるのですが、要約して一つ質問したいと思うのです。  一つの問題は、つまり現在まだ特別調達庁として仕事を終らない問題がずいぶんあるわけです。例をあげますと、たとえば土地を国連軍のために収用する。たとえば東京都下の東秋留村に私は参りましたら、そこで村道とか宅地、畑を含めて、相当な土地が収用されている。これはおととし朝鮮の戦線が悪化した時分の話だというのです。ところがことしの一月七日にそこに参りましていろいろ調査いたしましたが、村当局はそこを――柵がありますが、収用するという言い渡しを受けて、そのときは文句なしにやられちやつて、そこのところに柵をつくられたのですが、それが何らの通知を受けなかつた。村当局は何ら知らなかつたということを確言しているわけであります。しかもその値段については、非常に多数の関係者があるのですが、それの補償については坪百十円程度のものを出すとか出さないとかいうことで、いまだに片づいていない。従つて支払いも行われておらない。その畑や宅地を持つている人たちは何よりも生活の保障を求めているわけです。そこは高射砲陣地になつておりまして、高射砲がありましたが、そこのところをめぐつていまだに陳情――陳情にももう飽いてしまつて、一体どういうふうにしたらばこれができるのかわからぬ、こういうようなことを言つておるわけであります。これは横田の基地が拡大されて、あそこに都道でバスが走つている道路までとられちやつて、そこのところは非常に不便な思いをしていることもありますし、最近ではまた相模原でYEDの工場を移すために、――YEDというのは横浜エンジニアリング・デイポートですが、これの工場を移すために土地を収用するというので、三月一ぱいに立ちのけといつて柵をめぐらされた家が四軒ございます。それからそのほか畑や何かのまん中に無承認で立札を立てられて、六月一ぱいにここのところの作物をとり除けといつている。これは終戦後ずつと七年間にわたつて耕作して来たところです。こういうところをそうやつて取上げられ、そのあとの補償についてはYEDの責任者は日本政府の問題であるからわれわれはあずかり知らぬ、こういうことを明言しておりまして、そのことについてはとりつく島もないというようなかつこうになつているわけでございます。こういうような問題が今までもたくさんありました。これについてどの程度そういう件数があるか。そしてどの程度それが片づいているか。それがいつまでに全部片づくか。それから今後そういう問題が発生して来ると思いますが、そういう問題について、土地収用に伴う問題についてどういうふうに処理される考えか。それをひとつはつきり御答弁願いたいと思います。
  48. 根道広吉

    根道政府委員 ただいま土地の収用に関して、最近においてもまだ軍等においてほとんど一方的な措置がとられているのではないかというお話でありますが、これは最近に至りまして三月の初めごろかと思いますが、行政協定の話合いが終りまして予備作業班ができる、それに伴いまして軍側において一方的にいろいろなことをすることはしない、かつ関係部隊等に対しては、部隊の土地その他一切の接収に関しては、すべて今後は事前に、事実上事前に予備作業班に持ち出して、そこで検討した後でなければ接収の行動には出ない、こういうような通達がなされたわけでありますが、特別調達庁といたしましても、この模様を地方支局に伝えまして、向うの最高首脳部においてはこう考えておるので、行き過ぎのことがないように十分に見ておいてくれと、こういうような通達もいたしておるような次第であります。従いましてただいまのところ現在及び近き将来において、日米両方で相当納得の行く話合いが進まぬ前に、強制接収に付するということは行われないものと、こう期待しておる次第であります。
  49. 今野武雄

    今野委員 私の質問の一つはあとにまわしまして、一つはまだお答え願えなかつたのです。というのは今までのそういう事柄は、聞き及ぶところでは、今後二年間ぐらい処理にかかる、という話を聞いておるわけですが、はたしてそうであるかどうか。たとえば横田その他における補償の問題です。そのくらい実は仕事があるのだ。だから今特別調達庁をやめてしまうと困るのだ。こういう話を聞いたことがあるのですが、はたしてそうであるかどうか、その点もお伺いしたいのです。
  50. 根道広吉

    根道政府委員 特別調達庁の今後の仕事の一つといたしまして、新たなる接収という問題については、私はそう大きな仕事はないだろうと考えておるのであります。しかし解除されました、またされて来るだろうところの不動産に関連しましての補償をどうするかということに関する調査の業務というものは、これは相当大きな仕事であろうと考えております。従つてこれは半年や一年ぐらいの期間ではなかなか調査や実際の補償の支払いという業務は容易に片づくものではないだろう、ことに一ぺんに解除が起つて参りますると、事務が錯綜いたしまして、なかなか業務分量といたしましても非常に多いわけでございますし、また公平かつ慎重を期さなければなりませんし、また人情にも沿つた措置もとらなければならいので、まあ非常に時間も要するということに相なろうかと考えております。またお尋ねの補償の額はどうなるのかと申しますと、現在政府が軍の要求に基いて、契約によつて借り上げておりまする土地は、これは借上げでありまして、買上げ補償には現在なつておらぬのであります。しかしながら場所によりましては、借り上げられた土地が返つて来ても、たとえばこれが耕作地でありますと、耕作に適しない状態になつてしまつているというようなものに対しては、これは大きな問題でありますので、そういうものは他にかえ地等を入手し得るように、買上げの処置もこれは講じなければいかぬのじやないか、こういうような考えでおる次第でございます。
  51. 今野武雄

    今野委員 そういう問題について今後半年や一年ではなかなか事務が進まないだろうと言われるのでありますが、事務が進まなければ従つてこれは支払いもなされない。お話のように実際畑や何かのところを全然違つた目的のために使われて、コンクリートや何か打たれてしまつて、どうにもならない、こういうような状態ではこれはもう借りたといつてお話にならない。借りた場合でも生活の上で生活の根源を奪われてしまうのですから、これもたいへんな問題のわけです。その場合に特別調達庁の方としては国の債務という、その支払いを当然受くべき者に対する債務というものは、一体いつ発生したと考えておられるのですか。債務はいつ発生することになつていますか。
  52. 根道広吉

    根道政府委員 債務がいつ発生するかというのは、これは非常にむずかしい問題であります。ただいままでのしきたりといたしましては、債務は政府が確認したときに具体的に発生するわけであります。また補償の内容はどんなふうにしてやるかといいますと、解除があつたときの状態と接収されたときの状態を比較しまして、それでいろいろな差引計算をするわけであります。
  53. 今野武雄

    今野委員 そうすると、お話によると、解除はいつあるかわからない、横田の場合もその他もこれはいつあるのかわからない。御承知のように、安全保障条約というものは無期限なのです。そうしてみると、その人の、たとえば今五十の人が、一体一生のうちにはたしてそれが解除されるかどうかわからぬ、こういうことで、ただ財産を没収されたということになつては、これはもう国民としての権利を規定しておる憲法の条章なんというものは、ほんとうの空文中の空文になつてしまう。そればかりでなく、その人はそのためにもう生活もできぬというようなことになつておるのです。事実そういう例がたくさんあるわけです。こういうことに対して国が何らの措置を講じない。そういう、解除になつたときであると確認したとき云々ということで、事実が発生しておるのに、その事実が確認されてただちにその人の気の毒な状態を救うということができないとするならば、これはもう非常に重大な人道上の問題であろうと思うのです。そういう問題に対して何らの対策を講じてない例をたくさん知つているのですが、それは一体どうしたわけか。政府は今まで占領下だからしかたがないというようなことを言つていたようでありまするが、しかしさつきのことを聞くと、これからはもつとちやんとやるのだという。これからちやんとやるというのは、もう出発していなければならないはずだ、もうちやんとその心組みができて、実際の仕事が始められていなければならないと思いますが、一体その点どうなのでしようか。御答弁の様子では横田や何かで被害を受けておる人とか、その他の人々は、これはどうもまくらを高くして眠るどころか、ほんとうに希望を失つてしまうと思いますが。
  54. 根道広吉

    根道政府委員 債務がいつ発生するかと申されたので、現在のやり方をただ申し上げた次第であります。今言われたような、ほとんど永久に取上げられてしまつたというような形、そのために生計の手段を奪われてしまつておるというような状況がもしあるといたしますれば、これは何とかして、もちろん救済の道を講じなければならぬことと考えております。現在たとえば田畑を接収されたあとが飛行機の滑走路になつてしまつて、一メートルのコンクリートが埋められてあるというようなところは、たといこれは返してくれるにしても、元の耕地としては役に立つべくもございません。従いましてそういうものに対してはこれはあらためて買上げの措置を講じなければならぬ問題だと、こういうふうに考えておるところでございます。
  55. 今野武雄

    今野委員 買上げの措置を講じなければならないと考えておる、その言葉を聞いてこの人々は憤慨するだろうと思うのです。自分たちは実際にとられてしまつている、そして生計の根本がなくなつてしまつている、乞食同然の生活になつている。それであるのに、政府日本の国民の政府であるべきなんだ、それがそういうふうにしなければならないと考えていると言う、こういうのじや、これはもうほんとうにどこの国の政府だかわからぬということになつてしまう。これはほんとうに早急にやつてもらわなければ、どうにもならないのですけれども、それがちつとも片づいておらないというところに大きな問題があると思うのです。何で片づかないのか、さつぱり常識をもつてしては理解できない。予算が足りないためにできないとかなんとかいうのなら、これは常識で判断できる。何のためにそれが片づかないのかわからないのです。被害を受けた者は、そういう政府の都合とか何とかいうことよりも、自分の今の状態を何とかしてもらいたい、こういうことなんですから、もう少し誠意のある答えを出してもらいたいのです。
  56. 根道広吉

    根道政府委員 ただいま考えておるというのでは非常に物足らぬということでありますが、実は真剣にそう考えておるわけであります。もちろん私はできるだけ早く補償すべきものは補償しなければならぬと考えておる次第であります。現在までどうしてそんなことがなされなかつたのかという御質問、現在までの状態におきましての政府のそういう関係の支払いというものは、借上料という形においてのみ支払い得た状況にあつたわけであります。今後はまたいろいろ方法をかえることも可能であろうということを考えておるわけであります。
  57. 今野武雄

    今野委員 その点はそれではそのくらいにいたしますけれども、今までの点についても、これはもう吉田内閣としての最大の失政だと思うのです。その点について十分な日本の国民の権利を主張し得なかつたこと、この点は重大な問題だと思うのですが、それはそのくらいにいたしまして、先ほど三月一日かその以後には、そういうことについては十分な話合いができて、その上でというお話でありましたが、そうすると現在起つておる相模原その他における農地の接収問題、あるいは横須賀において、あそこの旧海軍の施設であつたところがりつぱな工場になつており、また市民のためのグラウンドができている。これが再び駐留軍の、あるいは現在は占領軍ですか、その住宅にするんだといつて接収されようとしております。こういうような問題に対してもこれはどうしてもぐあいが悪い、たとえば工場の場合ですと、現在の工場を閉鎖しなければならない、そうしてそのために労働者も多数失業する非常に大きな問題が起つているわけです。こういうような問題に対して、もちろんこれは反対運動はいたしておりまするが、反対だという意思は話合いはしなくてもはつきりしている、反対を表明して陳情に来ているのですから。そういうことに対して、やはりこれはあくまでわれわれが反対であるというなら、それに対して権力をもつて押しつける、あるいは武力をもつて押しつけて、それをやらせるということはしない、こういうふうに伺つてよろしいのですね。
  58. 根道広吉

    根道政府委員 先刻申し上げましたのは、軍の方において必要とするものについて、日本側と相談せずに、日本側が納得行かぬものを無理にはやらないという意向であるということを私聞いておることを申し上げたわけであります。それにつきましては、またいろいろな利害関係もございましよう。たとえばある地域を軍の方で接収するというときに、その関係の労務者等が失業するであろうかどうであろうか、これは現に問題がありますが、これがかりに新たなる工場をそこに興して、仕事をするのだということになりますと、かえつて労務の需要が多くなるというような面もあるかわからないのであります。ものは一概に言えませんので、とにかく単にそういう土地を接収されたために会社が困る、労務者が困る、職員が困るというようなことにつきましては、政府といたしましても、十分事情を先方に話して、現在まで参つておつたような次第であります。
  59. 今野武雄

    今野委員 そうすると、さつきのお話というのは、日本側というのは日本政府との話合いであつて日本政府が主観的に――ある意味では主観的です、主観的にこうであるというふうに思つて、そうして承知してしまえばそれきりだというお話ですか。
  60. 根道広吉

    根道政府委員 たといそういうような場合に、政府がかりにそう思うといたしましても、これは仮定でございますが、その所有者が、現に権利のある者が、これを拒否いたしますれば、別にこれを強制するような法令でもない限りは、日本政府としても直接には何ともいたしかねる。将来におきましては、占領下でありませんので、軍がかつてにそこへ乗り込むというようなことは、その場合にはなかろうかと存じます。
  61. 今野武雄

    今野委員 それでは現在一方的な意思で、たとえばまだ係争中ですが、相模原で家のまわりにさくをめぐらされてしまつた。こういう場合には、これは不当であるから、従つてそのさくを取除いてもよろしいということになると思うのでありまするが、その点は局長としてはどんなふうに考えておられますか。
  62. 根道広吉

    根道政府委員 ただいま具体的な事例はわかりませんので、言葉の上だけで御返答申し上げるわけには私は行きかねると思うのでありますが、もちろん正式の接収、PDがなくして、そういうような行動があります場合には、われわれといたしましては、現実問題といたしまして、そういうことをしないようにということは、地方における関係の者より再々申し出ているようなことはございます。今相模原の現実のさくをめぐらしたという問題は、私よく存じませんので、これについてはどう思うかと申されましても、ただちにはお答えしかねます。
  63. 今野武雄

    今野委員 もちろん、さくをめぐらして、そちらの問題になるのは、さつきのお話ですと、ずつとあとなんです。先に実力でもつてさくをめぐらしてしまうのです。これに対しては、最近占領が終るというので、便乗的にといつてもいいくらい、これはアメリカばかりではありません、イギリス軍まで呉やその他において便乗的にそういうことをどんどんやつておる。便乗的という意味は、実際これは占領ということが一応終らぬうちに急いで既得権を獲得しておこうというようなかつこうに見える行動が非常に多いわけであります。こういうような点については、その被害を受ける者にとつては実に重大な問題である。しかしながら何しろ相手が武器を持つた軍隊であるし、土地の人がみんなへいへいしているんだから、これはもうしかたがない、天災のようなものであろう、こういうように考えている場合が多いわけであります。こういうようなことがやはり過渡的な時期に多く発生するということになりますれば、何のために日本政府があるかわからぬということになるわけでありますから、そういう問題に対して特別調達庁としては、問題は聞かないといいますけれども、必ず紛争になつておれば問題はどこかに響いているわけです。われわれのところにさえ陳情に来るのですから。だからそういう問題に対して、やはりはつきりした日本政府としての態度を確立してもらわなければ、これはどうにもならぬというふうに思われるわけです。  そこで土地の問題はそのくらいにいたしまして、次に労働者の労務調達の問題につきましては、先ほど懇切なるお話がありました。そこでもう一ぺん念のために伺いたいのでありますが、PDその他工場においてアメリカの兵隊さんあるいは将校が、直接に労働者を監督しておるという例が非常に多いわけです。しかも東日本重工下丸子工場におけるように、何べんもあすこでは例の軍命令による首切り、しかもそれが軍の雇い人じやないのです。会社の雇い人を軍が首切るということが何べんも行われているわけです。こういう問題ははなはだ不可解でもあるし、今度の行政協定などにも、そういうことはしないと書いてあるし、今までもそんなことをしていいというりくつは一つもない。そういう点については、いかなる根拠でなされているのか、その点をまず第一にお伺いしたい。
  64. 根道広吉

    根道政府委員 もし軍がそういうことをしておつたとすれば、いかなる根拠であるかは私は存じませんが、結局におきまして問題は、会社とその雇用人の関係でありまして、もちろん日本の労働関係法規に照しまして、会社と被用者との間の問題として、現在でもやはり取上げらるべき問題であろうとは考えております。しかし軍が事実上いろいろなことをしたというようなことがありましても、何分にも現在までは占領下でございますから、軍のある個人等の行為そのものを云々することは、法律上は私はむずかしいことと考えておりますが、事実上において、ある被用者が被害を受けたというようなことがあれば、それはまた別個の日本国内の労働関係法規その他の関係において、当然調整が行われなければならぬものだろうと思います。  今後日本が完全な独立の状態になりまして、そういうところに米軍などが入つて来て、権力者たるかのごとき行動をすることは、先刻も申し上げました通りに、今後はなかるべきものである、もしそういうことがありましたならば、日本国といたしまして、労働関係法規を守るべき官庁におきましても、そういうことは当然に排除するという措置がとられるものだと考えております。
  65. 今野武雄

    今野委員 今後はそういうことはなかるべきごとであろうと言われますが、実際に今申しました東日本重工下丸子工場ばかりではなく、富士モーター相模工場その他のPD関係の工場では、そういう例がある。たとえば相模工場では、二十人に一人の武器を持つた日本人、これはCPとかガードとか言われておりますが、こういう者が多数におり、それが工場の中で労働者を監視するというようなかつこうになつておるわけであります。これは日鋼赤羽工場でも同じであります。そういう武器の威嚇のもとに置かれているときに、労働者がみずからの権利を守るための組合活動をするとか、あるいは労働法規が蹂躙されている場合に、その履行を確保するということが、はたして実力の上でできるかどうか、この点は非常に大きな疑問であります。そういうような点から考えて、そういう法規の蹂躙などを確保することができると思うと言いますけれども、できると思われる根拠が一つもない。そういう実力を日本の労働者は持たされていないわけです。そのことについては、今言われたこととは、まさに事実の進行状態と逆のことを言われていると思う。事実の進行状態は、最近になつて、そういう色彩が次第に強くなつて来ておるりであります。従つて今の御答弁はごまかしとしか思えないのですが、何かもつとはつきりした根拠のある、理由り立つた御答弁を願いたいと思います。
  66. 根道広吉

    根道政府委員 ただいままでの御質問に対しまして、いろいろ私考えておるところを申し上げた次第でありますが、ただいまいろいろ御質問がありました点は、正直のところ申しまして、私の特別調達庁における職務とは直接関係のないことなのであります。しかし関連がありますので、私の意見を現実に申し上げたわけでありますので、御了承願いたいと思います。
  67. 八木一郎

    八木委員長 今野君、簡潔に願います。
  68. 今野武雄

    今野委員 その点は直接関係がないからと言われれば、政府の他の人たちから答弁を求めることにいたしたいと思いますが、直接関係のあることで、なおいろいろ問題があるわけです。先ほどは労働者一般の問題でありましたが、今度は人命その他に対して、従来占領軍にふざけて殺された、この間はからすと間違えて娘が鶴見で、撃たれております。その前には老婆が津久井郡の方で、やはりいのししと間違えられて、猟銃で撃たれて殺されておる。その他自動車や何かで突つかけられ、殺される子供、あるいは子供でなく、一家の責任者が、これは実に多数あるのでありまして、私どもは現実にそういう人々に泣きつかれて困つている例があるわけであります。実例はよく御承知通りでありますが、たとえば昨年の四月以前、三月七、八日ごろ、パンパンを乗せた自動車でもつて、故意にハンドルをまげ、ふざけて殺した、これは軍事裁判にかかつて、裁判上の処理はされておるようであります。しかしながらその残つた家族は、病身のおかみさんと、中学校一年を頭にしての子供が四人で、どうにもできない。そうして見舞金として調達庁から県を通じて十万円もらつたきりという、これは事実でありますが、そういう例などを見ると、その犠牲者が悲惨な状態に陥つているのは幾らでもいるわけです。横須賀だけでも年に十件くらいそういうことがあります。そういう人たちに対して十万円、今は二十万円になつておるそうですが、とにかく十万円とか二十万円とかいうことで事が済まされておるということです。これでは、もうその十万円がなくなつて、そのおかみさんは自殺でもするよりしかたがないという一歩手前に行つちやつているわけですが、こういうような問題に対して……。
  69. 八木一郎

    八木委員長 今野委員に申し上げますが、議題となつております点について具体的に触れて、広汎にわたらないように質疑をお願いいたします。
  70. 今野武雄

    今野委員 特別調達庁の仕事としては、今まで見舞金しか出せなかつた、しかし今後は見舞金じやなくて補償もできるというのですが、具体的にどういうような補償ができるのか。それから現在までにそうやつてすでに困つておる人たちに対して、政府として、さかのぼつて補償することができないものか、その点をお伺いしたいと思います。
  71. 根道広吉

    根道政府委員 人が誤つて殺されたときに、補償十万円は少い、去年あたりから二十万円になつた、これもまた少いじやないか、まさにそういうことでございますので、最近におきましては、その額を新たに引上げまして、もしそういう不幸な目にあつた者があれば、これはいわゆる労災保険とか、ああいうような基準においてするというふうに相なつたはずと考えております。その予算は、特別調達庁の終戦処理費から払つておるので、特別調達庁に関連はございますが、現実の業務は、ただいまのところは厚生省でやつておる次第であります。
  72. 八木一郎

    八木委員長 他に御質疑がなければ、これにて質疑は終了いたします。  討論採決は次の機会に譲り、本日はこれにて散会いたし、次会は明日午前十時半から、警察予備隊令の一部を改正する等の法律案の審議を行いたいと思います。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後三時十一分散会