運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1952-03-20 第13回国会 衆議院 内閣委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月二十日(木曜日)     午前十一時一分開議  出席委員    委員長 八木 一郎君    理事 江花  靜君 理事 青木  正君    理事 船田 享二君       井上 知治君    鈴木 明良君       田中 啓一君    平澤 長吉君       本多 市郎君    松本 善壽君       松岡 駒吉君    今野 武雄君       小平  忠君  出席政府委員         内閣官房長官 菅野 義丸君         総理府事務官         (恩給局長)  三橋 則雄君         行政管理庁次長 大野木克彦君         総理府事務官         (行政管理庁管         理部長)    中川  融君         文部事務官         (調査普及局         長)      久保田藤麿君         物価政務次官  上原 正吉君  委員外出席者         総理府事務官         (統計委員会事         務局審査第二課         長)      後藤 正夫君         総理府事務官         (地方自治庁公         務員課長)   佐久間 彊君         文部事務官         (調査普及局統         計課長)    北岡 健二君         文部事務官         (調査普及局地         方連絡課長)  田中  彰君         専  門  員 龜卦川 浩君         専  門  員 小關 紹夫君     ――――――――――――― 三月十八日  委員池田勇人辞任につき、その補欠として橋  本龍伍君が議長指名委員に選任された。 同月十九日  委員林百郎君辞任につき、その補欠として柄澤  登志子君が議長指名委員に選任された。 同月二十日  委員柄澤登志子辞任につき、その補欠として  今野武雄君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 三月十九日  経済安定本部設置法等の一部を改正する法律案  (内閣提出第八七号) 同月十八日  恩給の不均衡調整に関する請願外二件(原健三  郎君紹介)(第一五〇八号)  同(青柳一郎紹介)(第一五〇九号)  同(坂田道太紹介)(第一五一〇号)  同(丸山直友紹介)(第一五一一号)  同(吉田安紹介)(第一五一二号)  同(大西正男紹介)(第一五一三号)  同(佐竹晴記紹介)(第一五一四号)  同(安部俊吾紹介)(第一五一五号)  同(小金義照君外一名紹介)(第一五一六号)  同(田嶋好文紹介)(第一五四三号)  同(逢澤寛君紹介)(第一五四四号)  同(田中啓一紹介)(第一五四五号)  同(福永健司紹介)(第一五四六号)  同(大村清一君外一名紹介)(第一五四七号)  同(遠藤三郎紹介)(第一五四八号)  同(前田正男君外三名紹介)(第一五四九号)  同(長谷川四郎紹介)(第一五五〇号)  同(渡邊良夫紹介)(第一五五一号)  同外二件(坂本實紹介)(第一五五二号)  同外一件(渕通義紹介)(第一五五三号)  同(井上良二紹介)(第一五五四号)  同(増田連也君紹介)(第一五六四号)  同(井出一太郎紹介)(第一五六九号)  同(松永佛骨紹介)(第一五八〇号)  同(小峯柳多君紹介)(第一五八一号)  同(藤枝泉介紹介)(第一五八二号)  同(坂本實紹介)(第一五八三号)  同(仲内憲治紹介)(第一五八四号)  同外一件(堀川恭平紹介)(第一五八五号)  同(庄司一郎紹介)(第一五八六号)  同(金子與重郎紹介)(第一五八七号)  同(長谷川四郎紹介)(第一五八八号)  同(内海安吉紹介)(第一五八九号)  同(大野伴睦紹介)(第一六二〇号)  同(吉田吉太郎紹介)(第一六二一号)  同(中村幸八君紹介)(第一六二二号)  同(石原圓吉紹介)(第一六二三号)  公務員の新恩給制度確立等に関する請願足鹿  覺君紹介)(第一五一七号)  軍人恩給復活に関する請願外一件(小金義照君  紹介)(第一五一八号)  水産省設置に関する請願石原圓吉紹介)(  第一六二四号) の審査を本委員会に付託された。 同月十九日  軍人恩給復活に関する陳情書外一件  (第八八七号)  同(第八八八号)  同  (第八八九号)  同(第八  九〇号)  同  (第八九一号)  高齢者軍人恩給復活に関する陳情書  (第八九  二号)  同  (第八九三号)  同  (第八九四号)  同(  第八九五号)  同  (第八九六号)  同  (第八九七号)  同(  第八九八号)  元軍公務員恩給臨時措置に関する陳情書  (  第八九九号)  老齢者軍人恩給復活に関する陳情書外二件  (第九  〇〇号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する  件に基く総理府本府及び地方自治庁関係命令  の廃止に関する法律案内閣提出第五四号)  統計法及び教育委員会法の一部を改正する法律  案(内閣提出第五六号)  恩給法特例に関する件の措置に関する法律案  (内閣提出第六四号)  経済安定本部設置法等の一部を改正する法律案  (内閣提出第八七号)     ―――――――――――――
  2. 八木一郎

    八木委員長 これより会議を開きま  本日はポツダム宜盲の受諾に伴い発る命令に関する件に基く総理府本府及び地方自治庁関係命令廃止に関する法律案内閣提出第五四号)、統計法及び教育委員会法の一部を改正する法律案内閣提出第五六号)、恩給法特例に関する件の措置に関する法律案内閣提出第六四号)、行政機関職員定員法の一部を改正する法律案内閣提出第六九号)及び昨十九日付託されまた経済安定本部設置法等の一部を改する法律案内閣提出第八七号)を一括議題といたします。  まず経済安定本部設置法等の一部を改正する法律案提案理由説明を聴取いたします。上原物価政務次官
  3. 上原正吉

    上原政府委員 ただいま議題となりました経済安定本部設置法等の一部を改正する法律案につきましてその提案理由を御説明いたします。  この法律案物価庁経済安定本部内局組織がえするために関係法律につき、所要の改正を行おうとするものであります。  そもそも物価庁は終戦後の事態に対処して物価安定のための総合的物価行政を実施するため、昭和二十一年八月物価庁官制に基き総理府外局として設置せられましたが、昭和二十四年五月経済安定本部設置法制定公布の際、経済安定本部外局に改められました。さらに二十五年に入りますや経済諸施策の奏効により、物価は著しく安定して参りましたので、同年五月同法の一部改正によつて物価庁は二十六年四月一日をもつて経済安定本部内局組織がえされるべきものと定められました。しかるに朝鮮事変勃発後において、物価騰貴傾向が顕著でありましたので、第十一回通常国会において、前述の物価庁組織がえは二十七年四月一日まで延期されて現在に至つた次第であります。  さて最近における経済情勢は安定の度を加え、価格統制範囲も入幅に縮小して参りましたので、政府経済安定本部設置法附則第三項の規定するところに従い、二十七年四月一日を期して物価庁経済安定本部内局組織がえすることといたし、この法律案を提出した次第であります。  この法律案によつて改正する法律は、経済安定本部設置法国家行政組織法物価統制令及び地代家賃統制令の四法令であります。その改正の大要は次の通りであります。  まず経済安定本部設置法につきましては、一、新たに物価局に関する規定を設け、従来の物価庁に関する規定を削除し、二、従来の物価庁地方機構たる管区経済局物価部廃止し、調整部に吸収することにいたしました。  次に国家行政組織法につきましては、行政組織のために置かれる国の行政機関の表中より「物価庁」を削除することにいたしました。  次に物価統制令及び地代家賃統制令につきましては、両令中にある「物価庁長官」という字句を「経済安定本部総務長官」に改めることといたしました。  以上、経済安定本部設置法等の一部を改正する法律案提案理由につきまして、その概略を御説明いたしましたが、何とぞすみやかに御審議の上御賛成を賜わりますよう切望する次第でございます。
  4. 八木一郎

    八木委員長 提案理由説明はこれにて終了いたしましたが、本案の質疑は後日に譲り、次にまずポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く総理府本府及び地方自治庁関係命令廃止に関する法律案統計法及び教育委員会法の一部を改正する法律案の両法案を一括して質疑を行います。質疑通告順によりこれを許します。今野武雄君。
  5. 今野武雄

    今野委員 両法案に対して質疑をいたしたいのでございまするが、まず第一に、ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く総理府本府及び地方自治庁関係命令廃止に関する法律案に関する質疑をいたします。もつともそのうちの第一の恩給に関する件は、後の議題とも関係するので、そちらと一緒に質疑したいと思います。第二の、研究機関等事業報告書等に間する件ですが、これについて御質問いたしたい点は、今まで大学の研究機関その他に対して、戰時中にはいろいろと研究動員的な仕事が課せられておつたわけであります。それで私どももその覚えがあるわけであります。今後行政協定の線に滑つてアメリカ軍事行動日本がいろいろ協力する。これは各方面に現われていることは御承知の通りで、産業方面でも、本日の新聞にも追撃砲とかあるいは戦争用の車両の注文が大量に発せられておるということが麗々しく出ておりますが、それ伴つて、われわれとしては、やはり科学技術家動員体制ができることをおそれておるわけです。でこれの提案理由等を見ますると、そういう基礎調査はすつかり済んでおるからよろしいんだということでありまするが、現在までの調査によつて科学技術者動員をする計画をどんなふうにしているのか、そういう点についてまずお伺いしたいと思います。  ただいまの件は担当の方が来ておられないようですから——これはこの前、去年でしたか文部委員会でも私取上げまして、そして東大の第二工学部その他において、やはり木更津の飛行場の整備その他について、いろいろ研究委託を受けたことやその他をあげましてこのことは平和憲法に反するじやないかという点から質問して、十分なお答えが得られないで、その後調べましたところ、やつぱりそれが事実であつたということもあるわけですし、これは非常に重大な問題でありますから、ぜひとも担当者を呼んで答えていただきたいと思います。  次に統計法及び教育委員会法の一部を改正する法律案について質疑をいたします。特別なこの法案内容等に対する質疑に先だつて統計委員会の方からお答えいただきたい点があるわけであります。それは私ども戰後において、統計ということが、私たちの中心問題であるというので、いろいろ骨折つておられることはよく承知しておるのであります。しかしそれが非常に見当違いの、あるいは日本国民にとつて有害なような統計調査方法が行われているということを事実によつて知つているわけです。たとえば労働者あるいは公務員給與をきめる基準になるCPI調査でありますが、これについては、非常にたくさんの論難が行われているのです。これについては、もう発表されたものがたくさんございまするから、いまさらここで申し上げるまでもないのでありまするが、一例をあげまするならば、たとえば一九四八年十月のCPIが非常に下つておる。そこのところがぽこんと下つておるわけでありまして、これを見ると、いかにも物価が安定して、生活が安定しているような感じを與える。またそういうことに基いて、政府はたびたびCPI横ばいであるとか、いろいろな議論を出して、それによつて正当な給與法に基く給與引上げ等を拒んで来たわけであります。しかしながら十月だけがぽこんと下つて、その後また上つておるというその実情——十月にはどこの部分が下つているかということをさらに調べてみると主食費用が特に下つておる。主食はどうであつたかという事情を調べてみると、その十月という月は、いも配給がほとんど全部であつたいも配給が非常に多かつたということがあつたわけであります。そうしますと、ひどいものを配給しておいて、そうしてその主食費がこんなふうに下つたというふうに言つて、それによつて給與を固定化しようということが行われておるわけであります。このような統計を出されますために、国民が税金を拂つて官庁においてその費用をもつて行おうとするならば、これは国民にとつては無用の長物どころかむしろ有害なものである。そしてそういうことが続くならば、国家の今後の進路について全体を誤ることが非常に多いわけであります。そういう統計技術を通じて専制的な支配というようなものが行われるおそれが十分あるわけであります。過日国際統計会議に出席する途中日本にも参りましたアメリカ予算局次長ライス博士日本に最初に来たときの報告でしたかに、やはり統計を通じて日本を支配するというような意味のことを書いておるのであります。こういうような外国に支配されることのために統計が利用されるということになれば、これは日本国民にとつては実に重大な問題であるわけです。そういう点について世論として相当論議が出ておるわけでありますが、統計委員会としてはそういう点について一体どう考えておるのか。はたしてもつと自主的な立場から、国民利益を守るために統計をやる、こういう見地に立つて真実を語る統計を出す覚悟があるのかないのか。もしそれがないならば、このように統計調査範囲を拡大することは、かえつて日本国民にとつて有害なりと考えますので、まずその点をお伺いしたいと思います。
  6. 後藤正夫

    後藤説明員 ただいまの御質問にお答えいたします。総理府統計委員会といたしましては、ただいま御指摘のございましたように、連合国の総司令部のいろいろ、な面からの指導を受けながら、真実性という点を努めて考えながら、各種の統計調査の総合的な調整をいたしております。いろいろな技術的な面につきましては、確かに連合国司令部からいろいろな具体的な指導は受けておりますけれども日本統計として自主性のある統計をつくるという立場から常に愼重に検討をいたしまして、努力をいたしておる次第でございます。ただいま御指摘のございましたCPI統計につきましては、技術的にはきわめて理論的に合理的なる方法をとりまして、設計をいたして調査を実施いたしておりますけれども、その実際の調査にあたりましては、いろいろ突発的な問題などが起つて参ります関係から、理論的には合理的であつても、実際的には幾多の改善を要すべき点が認められることが多いので、その都度いろいろ検討をいたしながら、少しでも改善をいたしまして、正しい統計をつくるように努力を続けておる次第でございます。今後ともこの統計調査担当しております総理府統計局とともに研究をいたしまして、ただいま御指摘のございましたような点、もし真実性を確保する上から見まして、さらに改善を要する点を認めますならば、この点につきましてはなるべくすみやかに改善をいたすように努めたいと考えております。
  7. 今野武雄

    今野委員 ただいま当局者自身やはり統計が、ことに国民生活にとつて重大な関係のあるCPI統計などについて不備の点のあることを認めておられるわけであります。しかしこの問題については非常に根本的な問題があるわけです。理論的に、つまり正しい方法でやるように指導を受けながらやつておる。しかし実際的にはそういうずれができ得るということをおつしやつておられるわけでありますが、先般インドで持たれました国際統計会議の席上でも、やはり統計方法について根本的な論議が行われておるようであります。その際さつき申しましたライス博士アメリカ統計を非常に誇つておる。これはいわゆる推計学に基く統計です。これがアメリカの特色であり、そしてソビエトや何かはそういうことをやつてないから野蠻国であるというような論議行つたのに対し、イギリスやインド等の各国の代表から反撃が出て、そんなばかなことはない、ソビエトへ実際行つてみたけれども、あそこではちやんとした統計がそろつておる。ソビエトでは推計学は単なる応用数学と考えられておるということを申しておるわけです。単なる応用数学でもつて実は生活を律せられたのでは、これはどうにもならないわけであります。私も数学者でありまして、そういう技術についてはよく存じておりますが、そういう応用数学だけでもつて、何が国民生活の実態であるかということがわからないでやる。こういうような方法は、それが権力を伴つて行われる場合には、実に恐るべき結果を招くわけであります。現にそのことは勤労者生活の破綻と関係がないどころか、大いにあるわけであります。従つて政府としてはそういうような非実際的なやり方をやつて行けば、今後とも事実についてはあいまいにして、ますます国民生活を圧迫して行く。たとえば失業統計などは、さつき申し上げませんでしたけれども戰後において失業統計のとり方について三度もやり方をかえておる。しかもそのたびごと失業者範囲を縮小して、非常に非現実的な、パンパンも、タバコを拾つて歩く人間もみんな失業者わくには入れない。失業していても失業者わくに入らないような統計をつくつて失業者の数何十万というような、非常に欺瞞的な数字を発表しておる。こういうようなやり方を続けておる限り、国民としては統計に対する信頼はまつたく持てなくなるわけなんです。現に総評や何かの賃金要求の出し方を見ても、CPIなどは当てにすることはできないという立場に立つておる。日本の全労働者は、内閣統計局統計を信用しないということを言つているわけです。この点について根本的な改善が必要なわけなんで、つまりアメリカ的な指導を受けて、その技術に基いてやるならば、根本的にここに欠陥が生れ、専制政治が生れるのです。そのことをどう解決するか。これはやはり重大な問題でありますから、もつと覚悟をはつきりしてもらいたい、今までのようなやり方をやつていたのではだめだという結論が出ているわけですが、それをどうするかということなんです。
  8. 後藤正夫

    後藤説明員 ただいまの重ねての御質問にお答え申し上げます。ただいま御指摘ございましたように、CPIを作成いたしますための統計調査につきましては、理論的にきわめて合理的な方法を採用いたしておりますが、実際調査を実施いたして参りますと、いろいろ突発的な問題が起きて参りまして、改善を要する点の起ることは私どもも認めております。しかしただいま御指摘のございましたようなすべての点につきましては、統計委員会はその設立以来大内委員長の強く主張しておられたところでございまして、大体今お話のございましたような点に常に留意いたしながら、調査計画改善に努めておりますから、今後とも御期待に沿いますように努力をいたすつもりでございます。
  9. 今野武雄

    今野委員 もう一つつけ加えておきたいのです。政府では労働力調査を盛んにやつておられる。ところが今労働委員会でもつて失業保険の問題が問題になつておる。そこで臨時工の問題が非常に重要だと私思いますから、臨時工の数その他について質問したのです。そしたら、やはりこの問題については、まつた政府数字を持たないということがわかつた。ところが、事実は最近において臨時工はどんどんふえておる。たとえば神奈川県の鶴見にあります鶴見造船などでは、昨年は臨時工は三千名のうち四百名だつたのが、今年は一年たたないうちにすでに一千名になつている。そしてよくよく聞いてみると、ああいう造船所では、技術上の問題から臨時工といつたようなものは全体の四分の一を越えることはできないといわれておるのでありますが、にもかかわらず三分の一になつておる。この勢いはどこでもどんどんふえておる。実は技能工というようなりつぱな技術を持つた者が、臨時工の名目のもとに使われておることがわかつたのであります。こういうように労働者としての正常な取扱いを受けないという事実は至るところにたくさんあるわけであります。こういう事実について労働力調査や何かをやつてつても、政府は何も数字を持たないというようなことがあるわけでありますが、もつと国民に親身な気持になつてつてもらいたいことを重ねて私の方から申し上げておきたいと思います。  一般的なことはそのくらいにいたしまして、今度の改正の点について質問いたしたいと思います。それは今度教育委員会統計事務を扱うということは、実情に即した措置であろうと私ども考えるわけであります。そのこと自身大した問題ではない。しかし内容においてはさつきのような問題がやはり出て来るわけです。それで特に文部行政においてはとんでもないことがたくさんある。今おられる久保田調査普及局長もよく御存じのことがたくさんあるわけです。たとえば六・三制の問題でも、とんでもないごまかしばかりをやつておる。実際に即しない数字を出して、それに基いて補助金を出すというようなことを年がら年中やつておる。ですから、法律があつてもそれが実際には行われないような数字のあげ方を年がら年中やつて来た。そういうところから見ますと、私ども教育委員会調査することに対しても、内容から見てはたしてどんなものができるか、はたして国民にとつてそれが利益になるかどうかということに対しては、大いに疑いなきを得ないわけです。特に産業教育振興法に基いて産業教育調査を実施する、それを教育委員会にやらせるというのでありますが、教育委員会というところは、どこを見てもそうですが、予算編成権も持たない、非常に弱い官庁です。他の外国人の干渉とか、そういうものも非常に受けやすい、実にか弱い官庁であります。そういうところが大きな権限を持つて、そうしてこういう調査をしたときに、それが一体どういう意味を持つかということなんです。たとえば産業教育という問題に関連しては、最近やはり戦時中の学徒動員と同様な傾向の問題が方々に出かかつて来ておる。われわれはそういう学徒動員などの基礎調査をやられることは絶対に反対しなければならぬと思つております。しかも今の行政協定が締結された後の情勢から見れば、この調査がそういう学徒動員基礎調査と結びつく可能性は非常に多いわけです。この点に対して、文部省として産業教育調査というものをにわかにここでもつて実施して行くほんとうの意図はどこにあるか。このためにわざわざ千三百二十一万という経費を計上して、ここで急いで実施して行くことは、一体どういう目的のもとにやるのか、この点を明確にしてもらいたい。ここに抽象的に書いてありますが、これは産業教育という言葉をたくさん重ねただけでありまして、具体的な内容については何もわかりませんから、はつきりしていただきたいと思います。
  10. 久保田藤麿

    久保田政府委員 ただいまの御質問産業教育関係について、特に大がかりな調査文部省がねらつておりますそもそもの目的は何かという御質問のように了解いたしたのでありますが、御存じ通り学生が、たとえば高等学校について申しましても、中学校について申しましても、非常に一般的な性格を持ち過ぎている。従来の実業教育といつたような面の、たとえば商業学校工業学校といつた面の考え方が薄らいで、非常に一般的になつて来ている。そうした部分制度として研究する問題のほかに、事実上教育内容の上で、また産業教育そのものをどの程度にかウエイトをかけて振興させようというようなねらいから産業教育法ができておりますことは、すでに御存じ通りでありますが、それを裏づけて行きます基本的な材料を的確に、文部省が持ちますこと、また関係者がその材料を的確に握つて利用をしてもらうということに、この関係調査を重点を置いてやりますねらいがあるわけであります。
  11. 今野武雄

    今野委員 今のお答えは、ここに書いてあることとほとんど同じで大して得るところはなかつたのであります。私、しつこいようですが、お伺いしたいのは、こういう点なんです。この間相模工業というのへ参りました。あそこの相模原にあります戦車、自動車などの非常に大きな修理工場であります。そこに予備隊が大分使われておるわけです。予備隊を出して、そこで労働者として使つておる。労働者が少いわけじやない。失業者もたくさんおるのに、何ゆえ予備隊を出して来るかということを調べましたら、実はこれは工兵訓練をやつておる。工兵としての技能を養うために、予備隊ではどうにもならないというので、そういうところへ持つて来てやつておるということなんです。これは予備隊の問題でありますが、しかしながら学校の生徒に、そういう技能をつけるというようなことにいたしましても、たとえば軍需産業が今どんどん復活して来ている。そういうところへ学徒を連れて行つてやるということの端緒がかりにも開かれるようなことがあれば、その勢いがどつと増して、やはり戦時中の学徒動員になつて行くわけです。そうしてあの戦時中の学徒動員日本の教育をどんなに遅らせたか、その反省の上に立つて、この戦後の教育というものがともかく再出発したわけです。このことを考えますならば、やはりその轍を踏むのではないか。吉田内閣としては、憲法を蹂躪して再軍備をどんどんやろうとしておる。そういう中にあつて当然そういうことはわれわれとして出て来るということを考えざるを得ない。そういうことがないという保証がここではつきり責任を持つて言えるかどうか、その点をお伺いしたい。
  12. 久保田藤麿

    久保田政府委員 ただいまの御質問は、設備がたまたま外にあつて、学校の生徒たちがそれを利用しておるような場合に対する御質問かと思うのでありますが、それらの設備を学校の中に、できるだけ学校が直接に使えるような形に充実したいという念願から、こういうことをやつておるわけでございますので、ただいまの御質問に直接ではありませんが、文部省がそうしたものとは関係なくできるだけ充実したいがゆえに、こういうことをやつておるのだというふうに御理解願うよりほかにないと思います。
  13. 今野武雄

    今野委員 ただいまのお答えではやはり満足できないのですけれども、久保田さんとしては無理がない、それだけしか言えないと思うのですが、やはり吉田首相なり、あるいは文部大臣なりが、これは重大な問題でありますから、そういう学徒動員を再びやつてそうして日本の教育を再び破壊に導くようなことは決していたしませんという、はつきりした言明をここで得たいわけです。そうしなければ、これは納得できない。そうしてその実績がどうであるかということを見守ることによつて、初めて納得が行くわけであります。その点についてはここでは無理だと思いますから、後に何かの機会に譲りたいと思います。  それでは先ほどのポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する法律案でありますか、このことについての先ほどの質疑を繰返します。これは第二番目の「工場事業場、研究磯明等の事業報告書等に関する件」「科学技術者経歴調査書」提出に関する件」などに関係してでありますが、ここでそういう調査は完了したと申しておるのですが、従来も大学の研究所、あるいはその他の研究所、東芝とか、その他の民間の研究所はもちろんであります。あるいは電通省の元の電気試験所、今の電気通信研究所、こういうところはもちろんでありますが、いずれも軍事的な研究というものを委託されておる。そういうことを私は承知しているのでありますが、今後そういうものがさらに大規模に行われるおそれがあるということを憂慮しておる。というのは、さつき教育について申したと同じことでありますが、それによつて科学技術というものが一方に偏して、全体としての科学技術の低下が非常にはげしくなるということと、そればかりでなく、日本の憲法の建前、国民の望んでやまない平和を破壊するおそれが十分ある、こういう面からわれわれとしては非常に憂慮しているわけでありますが、今までの準備が完了したという、それによつて科学技術者動員する計画をどのように進めて行くのか。行政協定がある以一、当然進めていると思いますが、その点について具体的にここで述べていただきたい。
  14. 菅野義丸

    ○菅野政府委員 ただいまの御質疑の、科学者を軍事目的のために動員する計画があるならば、具体的に述べよという御質問でございますが、目下のところ、そういう計画はございません。今度のこのポツダム政令を廃止するのは、決してこういう調査を全然やめてしまうというのではないのでありまして、提案理由にもおりますように、この種の重要な調査は将来も続けて行きたいと考えております。しかしながら統計法等による指定統計という方法もございますし、特に立法の必要があればまた考えるといたしまして、一応この占領下の命令によるポツダム政令は廃したい、こういう意向でございまして、これを廃したから、すぐさま別の軍事目的動員するというような考えは毛頭持つておりません。
  15. 今野武雄

    今野委員 ただいまのお答えは、現在はそういう計画を持つていないという、ふうに聞いたのでありますが、そういう計画は憲法にも反することだし、当然してはならないと考えるわけですが、政府はそれに対してどういう信念を持つているか、その点をお伺いしたいのです。
  16. 菅野義丸

    ○菅野政府委員 憲法で、あらゆる意味で戦力を持つことを禁止されている以上は、軍事のために、それが科学者であろうが、学生生徒であろうが、そういうことは考えられないことである、こういうふうに考えております。
  17. 今野武雄

    今野委員 それは大体言葉としてはわかる。ところが事実はそれに反することが、しかも非常に世界的な目を集めて行われているということです。これはこの前第二次大戦において、関東軍のもとにおいて例の石井機関というか、石井中将傘下の部隊が細菌戦術を用意していた。その実験に中国人などを犠牲に供しておつたという事実は、世界に隠れなき事実となつております。これはソビエトにおいてちやんと裁判され、その浩瀚な裁判記録が証拠品の写真版とともに出版されておりますから、これは実に明確なことであります。そういうような事実が過去においてあつた。しかも最近朝鮮戦線においてコレラ菌や、あるいはペスト菌、特にペスト菌をつけたはえ、くも、ちよう、のみ等がばらまかれておる。その入れ物や、その他のものまでももうすでに調査官によつて集められている、そういうようなことが行われている。これは費用がかからなくて、しかも人に直接危害を與えるから非常に有利な武器であるということをアメリカの軍事方面の当局者が一月ごろに言明している。しかもその仕事に日本人が使われておるということです。やはり石井中将以下がその仕事に使われておるということが報道されておるわけであります。そしてそれを裏書きするかのように、たとえば蒲田区あたりではペスト菌の蔓延を恐れてねずみをとれというような保健所からの指令がずつと流されておる。前に天然痘がはやつたときも朝鮮から持つて来たということは、伝染径路は明らかになつております。しかも今度はそういうような非人道的なことがやられておる。それに日本人が使われておるということが言われておるのです。こういうように、少くとも朝鮮戰争の渦中に巻き込まれている。これはわれわれとしては非常に重大な問題になつて来るわけであります。こういうような問題が今日の前にあるときに、先ほどのような簡単なお答えではわれわれとしてはどうも納得できない。やはり追放がまだ解除されなかつた当時でも、首相官邸に盛んに軍人などを招いて再軍備の協議をやつている。これは雑誌や何かでも暴露されており、公々然たることになつている。そういうようなことではわれわれの熱望する平和なんか、とても現在の政府によつて期待することはできないわけである。その一端として、やはり科学技術者動員ということが計画として行われている、そういうようににらんでいるわけです。その点先ほどの細菌戰の問題について、政府としてそうでないということがはつきり言えるならばそう言つていただきたい。
  18. 菅野義丸

    ○菅野政府委員 お答え申し上げます。結局軍事目的のために科学技術者動員するというようなことは、政府か音頭をとりまして軍事目的を達成するために、科学者の意思いかんにかかわらずこれを動員ということになるだううと思います。それが問題になると思いますが、憲法で保障されている職業の自由ということもあるのでありまして、どういうところにたれが雇われることについて政府は一切干渉ができないのであります。その意思いかんにかかわらず動員するというような考えは毛頭ございませんし、また目的が軍事であるのを——日本の現在の憲法のもとにおきましては、さような目的のために国民の意思を無視して動員というようなことは全然考えておりません。
  19. 八木一郎

    八木委員長 別に御質疑はございませんか。——なければ両案についての質疑はこれをもつて終了いたします。     —————————————
  20. 八木一郎

    八木委員長 次に恩給法特例に関する件の措置に関する法律案について質疑を行います。この際、本案の補足説明を願いたいとの申し出もありますので、恩給局長三橋則雄君に発言を許します。
  21. 三橋則雄

    ○三橋政府委員 ただいま議題となりました恩給法特例に関する件の措置に関する法律案につきまして補足的な説明を申し上げます。  この法律案は、恩給法特例に関しまして、講和條約の効力発生に伴うとりあえずの措置を講じようとするものでございます。恩給法特例昭和二十年十一月二十四日連合国最高司令官から日本政府に発せられましたペンシヨン・アンド・ベネフィットと題する覚書に基くものでありまして、この覚書によつて連合国最高司令官から日本政府に命ぜられましたところを実施するために制定されたものであることは、もう御承知のことと思います。しこうしてその恩給法特例内容は、大まかに申し上げますと大体二つの事柄にわかれております。  その一つは、旧軍人、軍属、ここで軍属と申しますのは、旧陸海軍部内の文官たる官吏であつた軍属を言うのでありまして、官吏以外の軍属はここに言う軍属の中には含まれていないのであります。かかる旧軍属、それから旧軍人、それから軍人、軍属の遺族の恩給廃止または制限したことでございます。その廃止または制限の大まかなことを申し上げますと、軍人につきまして傷病者以外のものに給されておりました各種の恩給、すなわち普通恩給、扶助料、一時恩給、一時扶助料等の各種の恩給を全部廃止してしまつたのであります。また傷病者の恩給につきましては、従来下士官以下の軍人に給されておりました傷病者賜金の中で傷病の程度の低い者に給されたものを廃止してしまつたのであります。また不具廃疾者に給されておりました増加恩給の中で、増加恩給の第七項症の年金制度、それから不具廃疾に至らない程度の傷病でありまして、しかも永続性のある傷痍疾病者に給されておりました傷病年金の制度廃止してしまいまして、そして今申し上げました増加恩給七項症程度の者、それから傷病年金をもらう程度の傷病者に難しましては一時金を給せられることに改められたのであります。不具廃疾者の受ける年金として存続を許されました増加恩給の第六項症以上の金額につきましては、従来に比べまして比較にならないほど著しく減額されたのであります。また軍属たる官吏につきましては、警察官とか、それから刑務所に勤務しています判任官以外の判任文官たる軍属並びに優遇奏任官たる軍属及びその遺族に対しましては、従来通り恩給を支給することを許されたのでありますが、その他の軍属たる官吏につきましては、またその遺族に対しましては、一般官吏と同様に恩給廃止または制限されたのであります。  それからまたその二といたしましては、連合国最高司令官の命令によつて逮捕、抑留せられた者の恩給につきましては、その支給または裁定を禁止または停止されたのであります。それから連合国最高司令官の命令によつて有罪の刑に処せられた者、また退職させられた者の恩給廃止させられてしまつたのであります。すなわち軍人、軍属の恩給廃止または制限の命令と同時に、連合国最高司令官の命令によつて逮捕、抑留せられた者につきましては、その間恩給の支給または恩給の裁定の停止を命ぜられますとともに、また連合国最高司令官によつて有罪の刑に処せられた者や、連合国最高司令官によつて退職させられた者につきましては、恩給を受くる権利または資格を失わしめるように日本政府に命ぜられましたので、政府といたしましてはその命令を実施するために恩給法特例の中におきまして、軍人、軍属の恩給廃止または制限の措置をいたしますとともに、この命令を実施するために措置を講じたのであります。今回の恩給法特例に関する件の措置に関する法律案によりまして、措置せんといたしますることも、今申し上げました二つの事柄に関しておるのでございます。最後に申し上げました恩給の支給並びに裁定の停止及び恩給を受くる権利または資格を剥奪されておりますことに関しまする特例の中の規定は、講和條約の効力が発生しますと、存在理由がなくなりまするので、これを今後は削除することにいたしたのであります。提出いたしております第一條の、第七條及び第八條削除の規定がその規定でございます。  それからすでに連合国最高司令官によりまして、有罪の刑に処せられ、または退官、退職せしめられて、恩給を受くる権利を失つた者の恩給につきましては、この講和條約の効力発生の際にすでに権利を失つておる者につきましては一従来通りに権利を失つた者の取扱いをするごとにいたしておるのであります。附則第二項の規定がこれに関するものでございます。その措置につきましては、いろいろと御意泉あるかと存ずるのでありまするが、関係当局の意向もございまして、軍人、軍属に対する措置をするまではこのままにしておいて、軍人恩給措置検討されますときに、これと同時に改めて改善措置検討することにいたしたいと考えておるところでございます。  次に軍人、軍属の恩給廃止または制限に関する規定に関しまする講和條約の効力発生に伴う措置について申し上げたいと存じます。恩給法特例は先ほど申し上げましたように、連合国最高司令官の日本政府に対する覚書に基いて制定されたのでありますから、講和條約の効力が発生しますれば、恩給法特例はその制定の基礎を失うことになるのでございます。もし恩給法特例の講和條約の効力発生後の法律的効力の存続に関しまして何らの措置も講ぜられない場合におきましては、恩給法特例はすでに政府から国会に提出されました旧ポツダム宣言受諾に偉い発する命令に関する件の廃止に関する法律案規定によりまして、講和條約の効力発生後百八十日にして法令としての効力を失うことになるものと考えておるのであります。恩給法特例は、旧軍人、軍属及びその遺族の恩給恩給法規定によつて給せられておることになつていることを前提といたしまして、傷病軍人及び軍属の恩給を制限し、その他の軍人軍属及びその遺族の恩給廃止するための特例規定として定められたものであります。かかる恩給法恩給法特例との関係は、恩給法特例が制定されましてから今日までかわることはないのでございます。従つて恩給法特例廃止せられるかまたは失効しますと、旧軍人軍属及びその遺族は恩給法規定によつて恩給を給せられることになるのであります。言いかえますと、恩給法特例の効力の存続に関しましては、何らの法律的な措置が講ぜられす、講和條約の効力発生に伴つてこの特例が失効しますと、講和條約の効力発生後百八十日を経過すれば、旧軍人、軍属は従来のごとく普通恩給その他の恩給を給せられることになり、旧事人、軍属の遺族は扶助料等を給せられることになる、こういうように考えておるのであります。旧軍人、軍属及びその遺族でありまして、年金、恩給受給著たるべき人々の現在の人員及び年金恩給の総額を推計いたしますことは、いろいろな資料を整備しますることにつきまして困難もありますので、なかなかむずかしいことではございますが、昭和二十一年二月一日軍人、軍属の恩給廃止または制限せられましたその当時におきまして、いろいろと恩給局におきまして調査いたしたのでございますが、そのときにおきましては、大体年金、恩給の受給者といたしまして五百万人余りを予想いたしておつたのであります。ところでその後調査をいたしまして、昨年からことしにかけましていろいろと資料を集めて新たに検討いたしました結果は、大体七百万人を越える年金、恩給受給者があるのではなかろうかと想像しておるのであります。もちろんこの数字につきましては、今後もなお検討を加えて行きたいと考えておるところでございますので、今後正確な資料が出て参りますれば若干異動することもあるかと思いますが、一応今のところは大体それくらいに推定いたしておるのでございます。今申し上げました年金、恩給受給者の推定人員を七百万人前後と大体仮定いたしまして、そして年金を支給するということにいたしますならば、現在の恩給法のもとにおいてどれくらいの金額になるだろうかということが第一問題になるのでございますが、大体大まかに申しまして文官並に引上げるものと想定いたしますと、軍人恩給廃止されましてから今日までの権利を失つた者その他を全然考えないとしますならば、おそらく二千億円前後の金を要するのじやなかろうかと想像いたしております。その間におきまする失権を想定いたしますれば、それから三百億円内外の金は減るのじやなかろうか、結局失権を引いてしまいますれば、一千数百億円くらいの年金を要するのじやなかろうか、こういうように考えておるところでございます。この数字は非常に大まかな数字でございますので、まだ今後検討を要しなくちやいけないところもあろうと思いますが、大まかに申しまして、大体そういうふうにお考え願つていいと思つておるところでございます。かくのごとく多数の受給者に対しまして多額の恩給、年金が予想せられるにもかかわらず、講和條約の効力発生と同時に、傷病軍人その他の旧軍人の恩給また旧軍人遺族の扶助料を、昔のように、元のように返すということは、国家財政の上から考えましても、困難なことと考えられるのであります。従つて軍人、軍属の恩給及びその遺族の扶助料を元に返すといたしましても、全受給者を対象といたしまして、制限をつけて返すかどうかということが問題になつて来るのでございます。制限をつけて返すということは、結局限定的に復元をするということになるのでございますが、限定して復元をする場合におきまして、その復元をどういうふうにしてどうするかということは、いろいろな問題があると思うのであります。これにつきましては愼重の上にも愼重にすべきであることはもちろんのことでございます。たとえば軍隊に勤務または戦争、事変に従事した軍人につきましては、他の公務に従事した場合に比較いたしまして、割のいい退職金の割増しを受けるような取扱いを受けておつたのでありますが、そういうような規定をそのまま置くかどうかというような問題も、いろいろ検討しなければいけない問題じやないかと思うのであります。また軍人の遺族の恩給の取扱いいかんによりましては、現行恩給法の文官の恩給に関しましても、検討を加えなければならない問題もいろいろと出て来るか思うのであります。かくいろいろと考えてみますと、軍人、軍属の恩給またその遺族の扶助料を元に返すということにつきましては、国家財政の面から考えるばかりでなく、その他いろいろな点から検討しなければならない点が、少くないのでございます。こういうような次第でありますので、この善後措置を講和條約の効力発生後百八十日間に講じてしまいまして、そうして講和條約の効力発生後六箇月たつて恩給を元に返してしまうような措置をするということは、とうていできにくいことでございます。よつて政府といたしましては、恩給法特例は特に講和條約の効力発生後も昭和二十八年三月三十一日までは、法律として元の効力を有することといたしまして、その間に審議会を総理府の付属機関として設置いたし、その審議会の委員には官民の有識者の方々になつていただきまして、旧軍人、軍属の恩給に関しまする重要な事項を調査していただき、その審議会の合理的な結論に基きまして、善後措置をするこことしまして、これに関する法律案をここに提出するに至つた次第でございます。
  22. 八木一郎

    八木委員長 午前中はこの程度にいたしまして、午後一時半まで休憩をし、質疑を続けたいと思います。委員及び政府委員各位、遅れずにひとつ時間励行で御参集を願います。  これにて休憩いたします。     午後零時一分休憩      ————◇—————     午後一時五十五分開議
  23. 八木一郎

    八木委員長 これより内閣委員会を再開いたします。  午前中に引続きまして恩給法特例に関する件の措置に関する法律案について質疑を行います。質疑の通告がありますから、これを許します。今野武雄君。
  24. 今野武雄

    今野委員 先ほど追加の御説明があつて、およそ現状どのくらい受給資格者が本来ならばあるかということがわかつて来ました。これは表を見ると十八年から二十一年に飛んでいるのですが、これはどういう事情だつたんでしようか。ごく簡単に御説明願いたい。
  25. 三橋則雄

    ○三橋政府委員 お手元に配付いたしました統計に十八年のところまでございますが、十九年、二十年のところが出ていないじやないかということにつきましての理由のお尋ねでございますが、実は十九年、二十年の統計につきましては、当時戰争中でございまして、官庁事務の簡素化というようなところからだつたと想像するのでございまするが、統計の作成を一時中止いたしました。その関係からいたしまして、その年の統計はほかの年におけるほど正確なる統計がとれておりませんので、正確なる統計という点から考えまして、推計をしたものはその当時ございましたけれども、ほかの統計ほどに正確な統計がございませんでしたので、ほかの統計との振合いを考えまして、実はそのところは省いたのでございます。実は推計というようにいたしまして、そこに御参考までにつけ加えておけばよかつたのでございますが、私どもの申しますような推計の程度の統計はございますから、またあとでお手元に差上げます。
  26. 今野武雄

    今野委員 その点はよくわかりました。すると先ほどの七百万というのは大体その推計をもとにしてやつたのでございますか。
  27. 三橋則雄

    ○三橋政府委員 やはり推計をもとにいたしてやつております。それから恩給の請求をまだされていない受給者が相当数あります。これについては恩給局は、統計の基礎となるべき資料を持つておりませんので、これにつきましては終戰の当初は陸海軍の当局、それから今日におきましては両復員局に調査を依頼たしまして、いろいろと調査をいたしましたその数を推計いたしまして、そしてかれこれ勘案いたしましてつくり上げたものでございます。
  28. 今野武雄

    今野委員 私どもの方にも恩給受給者から、特に生活に困窮している人からいろいろと陳情が来たりなんかするのですけれども、その人たちの要望というのは、大体どういうような要望がそちらの方に届いているか、そういう要望はないのですか。
  29. 三橋則雄

    ○三橋政府委員 要望はたくさんございます。どういう要望があるかというお尋ねでございますが、陸海軍人であつた人、あるいはまた遺族の方々からは一日も早く昔のように恩給を、また扶助料を復活してもらいたいという切なる要望が出されて来ております。
  30. 今野武雄

    今野委員 そういう切なる要望は私どものところへも大分前から、あの恩給増額運動と同時に、去年もありましたし、おととしもあつたと思いますが、それと同時に非常にたくさんあつたわけです。そこでふしぎに思うのは、何か今度講和発効ということになると、今までのものが立消えになるかりというので、あわてて審議会をつくるというのですが、この点どうも、今まで相当要望があり、生活に困窮していることもわかつておる、それをつかんでいるのに、今までそういう審議会などがなぜつくられなかつたのか、その事情がありましたらお教え願いたいと思います。
  31. 三橋則雄

    ○三橋政府委員 占領下におきましては、軍人、軍属及びその遺族の恩給並びに扶助料につきましては、非常な嚴格な制限の措置が加えられて来ていますことは御承知の通りであります。従つて占領下におきまして、審議会を設けまして恩給を元に返す、すなわち占領指令に違反するような措置をすることもいかがかと思いますので、こういうようなことで、実はできかねておつたような次第でございます。しかし事務当局といたしましては、常にいろいろと、講和條約の効力が発生いたしまして、恩給が元に返るようなことになつた場合のことも十分に考えまして、検討検討を加えて来たことは、私が申し上げるまでもないことで、審議会を設けるということにつきましては、今申し上げますような事情でございまして、今までは設けることができなかつたのであります。
  32. 今野武雄

    今野委員 その点が私どもとしては非常にふしぎに思うのです。というのは、やはりポツダム宣言によりまして、あるいは日本国憲法にもうたわれている通り、そういう平和的な事柄については、相当な自由があるわけです。だから恩給受給者が、これから恩給をどうするかわかりませんが、将来平和な生活をやつて行くための基礎になる措置を講ずるということは、これは世界のどこの国にも遠慮しないでやれるはずのことであります。もしもそれが、再軍備のために軍人恩給を復活してやるのだ、こういうことなら、これはむろん憲法の趣旨にも反しますし、それからポツダム宣言にも反することですから、これは遠慮しなければならない。けれどもほんとに平和的な趣旨でやるということなら、遠慮なくやれるわけなのであります。審議会等においても、おそらくそういうことが審議されなければならないと思うのでありますが、そういうものが、今遠慮されたようなお話でしたけれども、遠慮する理由がわからない。今言つたように、厳重に禁止されているということだけでは、遠慮する理由がわからない。そうしてみると、政府としては何か気を使つて、つまり再軍備の用意のために、遺家族の援護もこの際何とかしなければならない。あるいは軍人恩給のこともこの際考えなければならない、こういう趣旨から急にこういう審議会を設けることになつたと思わざるを得ないわけでありますが、その点は一体どういうものか、もう少しはつきりした返事をもらいたいと思います。
  33. 三橋則雄

    ○三橋政府委員 占領下におきまして、連合国最高司令官から日本政府に発せられました軍人軍属の恩給廃止または制限に関する指令に違反するようなことを目的とした措置は、私は講ぜられないものだと思つております。従つて占領下におきまして、そういうことを目的とした審議会をつくるということは許されておりません。しかしながら、講和條約の効力発生後におきましては、連合国最高司令官から日本政府に発せられました、軍人軍属の恩給廃止制限に関します指令の効力はなくなることでございますから、従つて指令の効力がなくなつた後における日本政府の独自の立場における自主的な措置として軍人、軍属の恩給をどうするかということは、検討してもさしつかえないということになつて来たわけであります。そこでこの審議会の設置が許されることになつて来て、ここにこういうような法案を出しまして、御審議を願うということになつたわけであります。
  34. 今野武雄

    今野委員 もう一ぺん念のためにお尋ねしますが、今まで軍需工業をやつてはいかぬ、司令部や何かもそれに基かなければならないはずのポツダム宣言によつても、この軍事能力という中には、むろん軍需産業も入るわけですけれども、そういうものの復活はどしどしやつている。これはもう今日では、ほとんどの産業がそういうところへしぼられて来ようとさえしているくらいに、着々とやつて来たわけです。そういうことについては遠慮なくやる。これは憲法の趣旨に反することだと思う。それから再軍備の用意としての警察予備隊も、どんどんつくつて行く。こういうことは遠慮なくやる。けれども、一旦軍人であつた人たち——しかも本人の意思に反して、一銭五厘でかり出された人たちが幾らでもいる。そういう人たちは、決してもう再び戦争をしようとは思つていない人だと思うのです。その人たちの生活の援護に関することはやれない、今まではやれなかつた、こういうことでは、何か非常につじつまが合わぬような気がするわけです。だから実際にそういうことについて、具体的に、いつ禁止されたか、なぜ禁止されたかということをはつきり言つていただきたいと思うのです。つまり漠然とそういうことはできないだろうとして自発的にしなかつたのか、あるいはしようと思つたけれども、いろいろとさしさわりが出て来てできなかつたのか、その辺の事情をお話願いたいと思います。
  35. 三橋則雄

    ○三橋政府委員 今野委員もすでに御承知のことと思いますが、昭和二十年の十一月二十四日に連合国最高司令官から軍人恩給廃止の指令が出ましたときから、政府当局といたしましては、総理大臣はもちろんのこと、その他の各大臣、それから私たちも、できるだけ、あらゆる努力を拂いまして、関係当局に対して、この軍人恩給廃止または制限につきまして、何とかして寛大な措置をとることが許されないかということにつきまして、懇請をして参りました。もちろん私たちばかりではなく、国会議員の方々からも、非常な御熱心な陳情、請願関係当局にされたことは、御承知のことと思うのであります。しかしながら、その熱烈なる陳情、請願、また懇請にもかかわりませず、連合国最高司令官からはデイレクテイプの趣旨に基きまして、どうしても許されなかつたというのが、今日までの実情であります。
  36. 今野武雄

    今野委員 私は昨年民生局長のリゾーさんに会つて、いろいろな問題について話し合つたことがあります。そのときにリゾーさんの言うには、われわれとしては、いろいろな日本国内のことに関して干渉はしたくない、現にあなたは議員をずつとやつているけれども、廊下で私の姿を見かけたことはないだろうと、去年の十月に申したのです。ところがその際言つていたことは、つまり連合軍の行動や何かに直接関係あることについては、それはこちらとして都合があるから、いろいろと意見を言わざるを得ないのだということを言つておる。そして、特に予算の問題については、ということを言つておるのです。そうすると、今の懇請にもかかわらずということは、私はこの提案趣旨の中にある国家財政その他各方面に及ぼす影響少なからざることを考慮しまして、つまり先ほど二千億程度の金がかかるだろう、あるいは割引して考えても、千七百億はかかるだろうというようなお話でありましたが、このことを常識的に考えますと、これはそのまま再軍備計画と相反するわけです。矛盾するわけです。こういう金を出せば、再備はできなくなる、そういう都合から、これがなかなか今までやれなかつたのだ、そういうふうに考えざるを得ないわけです。そうすれば、やつぱり事重大でありましてつまり日本の国としては、ああいう無理な戦争に国民をかり出すにあたつて、いろいろと約束しているわけです。それもそのときにできた約束ではなくて、ずつと明治以来続いて来た約束をしているわけです。そういうことに基いて戦争にかり出された。そして悲惨な目にあつた人、あるいはその遺族というようなものが、何らの補償も得ない。国家としての約束も果されない。それであるのに、もう戦争でこりごりしたのに——そういう人たちはもちろんこりごりしておりますし、日本の国としても大きな破綻を招いた。その破綻の一つが、この約束が果せないということに現われていると思う。現にそういう金を今出したのでは、とても再軍備はできないということは明らかです。そうしてみると、やつぱり再軍備のために、新たな戦争を準備するために、この恩給が支拂われないのだ。今度の審議会もそういう点をごまかして、それをぐんと減額して、この前の遺家族の場合と同じように、あのときはお燈明料だつたのですが、今度はどういう名前がつくかわからないけれども、そういうことでごまかそうとするための審議会にならざるを得ないと思う。だからしつこく聞いているわけです。その点はわれわれとしてそういうふうに考えざるを得ないのだが、政府でそうでないという見解をはたして述べることができるかどうかということです。
  37. 三橋則雄

    ○三橋政府委員 提案理由の中におきましても申し上げ、また私から補足的な説明を申し上げまする際にもるる申し上げたことでございまするが、今野委員の仰せられまするように、軍人、軍属の恩給は、年金恩給を具現するだけにいたしましても、相当な経費がかかるわけでございます。しかもそれは年々の経費でございます。それを講和條約の効力発生と同時に支出するということが、とうてい不可能なことであることは、今野委員も御承知のことであると思いますし、御推察していただけると思います。ところで、その国家財政のまかなえる範囲におきまして、軍人、軍属の恩給を、できとるだけ多くの金額になりまするように具現しました場合におきまして、どういうような方法をとるかということは、そこにいろいろな問題があるわけでございます。またこの具現の方法いかんによりまして、及ぼす影響も非常に大きいものがございまするので、愼重の上にも愼重を期して考慮をしなければならない、こういうところからいたしまして、すなわち事の重要性にかんがみまして、愼重を期して取扱うということで、一年間延ばしておる次第でございます。もちろん昭和二十八年の三月二十一日まで、愼重に国家のことを考えて措置されることでございまするが、しかしそのままで軍人、軍属をほうつておくことは、情において絶対に忍び得ないことでございます。そこで一方におきまして援護の措置を講ずる、こういうようなことになつたわけでございまして今お話のように、再軍備をするがために、この軍人、軍属の恩給を整理するというようなことは、毛頭考えられていないところでございます。
  38. 今野武雄

    今野委員 大体終つたのですが、最後に私申しておきたいことは、これはやつぱりふに落ちないのです。というのは、経済上困難であろうというのですが、今二千億からの金が、しかも生活的な消費に使われるものとして出る。あるいは、そういうようなことになれば、国内向けの産業というものは、相当大きな購買力を得て、相当繁栄するわけです。軍需産業はもちろん何もそのことには役に立ちません。現在国内向けの産業は非常な困難に逢着しておる。たとえば、衣料や何かは私はあえて国内向の産業とは言わないけれども、しかしもしも輸出が不振であつても、民需が非常に多くなれば何とでもなる。その他あらゆる平和産業というものは、民度が高くならなけれぱどうにもならない。そういう点からすれば、二千億からの金がここで出るとすれば、やつぱりそれで民度というものがずつと高くなる可能性がある。そういう国家的見地からいつても、このことはこんな簡単なことでなく、もつと論を盡さなければなりませんですが、とにかくこれは全体の平和経済のためには決して不都合なものじやない。しかしながら、戦争経済をやろうとすれば、こういう大きな支出が今こういう形で出ることは、不都合なことになる。こういうはつきりした目途が出るわけです。そういう点から考えますると、やつぱりこれは戦争準備のためである。そのために大きなジレンマに陷つている。一方においては何とか軍人や何かに援護の措置を講じなければ、あとに軍人になる者がない。御承知のように、警察予備隊の募集をしても、なかなかなり手がない。今度の九月でやめる者が相当多いということが、新聞にも出ております。一方においてそういうような援護措置を講じなければ、軍人になり手がない。しかし一方、それを出せば、今度は戰争経済に進んで行くのにどうにもぐあいが悪い。こういうようなジレンマの中でこういう審議会ができるのではないか、こういうふうに考えざるを得ない。それを反駁する材料というものは、何も出されなかつたわけです。今の御説明では何もその説明になつていないわけです。それを私ははつきりしてもらいたい、こういうことなんです。あなたでできなかつたら、だれかはつきりできる人に答弁してもらいたい、こういうことなんです。
  39. 三橋則雄

    ○三橋政府委員 今の御意見では、戦争経済を遂行する云々というようなことに立脚しての、いろいろの御意見のようでございまするが、実に私たちといたしましては心外にたえないところでございまして、私たち毛頭そういうようなことは考えておりません。国家の現在の財政から見まして、あるいは今野委員の仰せられるように、二千億の金ぐらいやすくと出せるのではないかというような御見解の方もおありかもしれませんけれども国家の財政の現実からは、私はとうてい今日においては不可能なことのように聞いておりまするし、大体それが一般の常識ではないかと思つているわけであります。私は常識的な見地に立つて申し上げるわけではございますが、そういう常識的な見解に立つて、ひとつもう一ぺんお考えになつていただければ、私が御説明申し上げたことが御了解いただけるのではないかと思います。
  40. 船田享二

    ○船田委員 二、三簡単に質問を申し上げたいのですが、第一は第二條の期限の点であります。申すまでもなく、できるだけ早く審議を終了して救済といいますか、援護といいますかを実施するようにしなければならないのでありますが、審議会で審議して、先ほどお話がありましたような、二千億とか千七百億とかいうのではないにしても、たとえばその半額でも支出しなければならないというような結論に達しました場合に、それをできるだけ早く実施に移すためには、どうせもう二十七年度には間に合いませんので、あるいは早ければ二十七年度の補正予算というようなことも考えられますが、おそらくそれも不可能とすれば、二十八年度から予算的な実施をすることになるだろうと思います。そのためにはやはりできるだけ早く、たとえば半分くらいの期間でもつて審議会というものは終るくらいに急いで進める必要があるのじやないか。もちろん愼重に審議しなければならないことは言うまでもありませんが、一方恩給をとめられておりますために非常に困窮している人がある現状は、これは申し上げるまでもないのでありますから、そういう点から申しますと、わざわざ二十八年度の三月三十一日までというふうに延ばさずに、たとえばその半分くらいにした方がいいのではないかというふうにも考えられる。こういう点について恩給局の方でどういう御意見を持つておられるか、伺いたいと思うのです。
  41. 三橋則雄

    ○三橋政府委員 二十八年度からは軍人、軍属の恩給の復元の善後措置が議せられますように、審議会におきましては、それに間に合いまするように合理的な結論が出されるように運営されるといいますか、努力されることと思つておりまするが、その庶務を担当いたしまする恩給局といたしましても、審議会がすみやかに合理的な結論を出されまして、そうして今仰せになりましたように、一日も早く軍人、軍属の恩給の善後措置ができますように努力を続けたい、こういうように考えております。
  42. 船田享二

    ○船田委員 その次は恩給法特例審議会の機構、組織その他政令で定めるということになつておりますが、大体の構想はどんなふうになるのか、ちよつともう一度御説明を願いたい。
  43. 三橋則雄

    ○三橋政府委員 特例審議会の組織でございますが、大体委員は十名ないし十五名くらいを予定いたしております。それからその十五名ないし十名の委員の中におきまして、少くとも半数以上は民間の学識経験者の方をもつて充てるようにいたしたい、こういうように考えておるところでございまするが、具体的にどういう方面からどういうような人に委員をやつていただくということまではまだきまつておりません。審議会の性格といたしましては、内閣総理大臣の諮問に応じて答申をするという以外に、自主的にみずからこの重要事項につきましては答申できるようなふうにもいたしたいというように考えておるところでございます。
  44. 船田享二

    ○船田委員 ちよつとそれと関連しまして特例審議会の権限といつて——法律規定するほどはつきりしたものだというわけではありませんが、実質的な意味で権限という言葉を使つて質問したいのですが、特例審議会でもつてある結論に達したというような場合に、それに基いて実際に恩給局の方で案をお立てになることだと思いますが、これまでの恩給関係に関するいろいろな処置について見ますと、どうもとかくいろいろな要望が達せられない場合が非常に多かつた。つまり恩給審査会なり恩給局の意見が内閣の政策の上に十分に反映しなかつたうらみがあるのじやないかと思いまして、こんな場合についてもつと恩給審査会とともに、恩給法特例審議会というものも——この法案では單に総理府の付属機関というだけになつておりますが、強力に政府の施策を促進することができるような態勢を整えるなり、政府の方針としてそういうふうに行かなければならぬのじやないか、こう思うのですが、その点について実は私できれば政府の代表的な意見をこの委員会で述べてもらいたいと思つてつたのでありますが、近々に機構改革の案が政府から提出されるとかいうお話も承りましたので、それと関連してこの点を問題にすることはできるかと思うのです。そういうような点について思給局としての御意見を一応ここで承つておきたいと思うのですが、さしつかえのない程度でおつしやつていただきたいと思います。
  45. 三橋則雄

    ○三橋政府委員 今の御意見は現在の恩給局が総理府の付属機関といたしまして総理大臣、官房長官の下にありまするために、官房長官の非常な広汎な職務の関係からいたしましても、ざつくばらんに申し上げますれば、恩給局の仕事に十分手がまわらないようなきらいもあるのではなかろうか、今後軍人恩給の復元という大きな問題を控えている今日においては、もう少し恩給の行政について政府の最高機関たる内閣といいますか、政府首脳部の方でしつかりと恩給局を握つて、そうして恩給行政をうまく運用されるような機構というものを考えらるべきじやないかというふうな御意見と推察するのでございまするが、私もその点はまことにごもつともな御意見のように思います。つきましては今船田委員からそのような意見がありましたということをよく私上の方へ報告いたしまして今後のいろいろな施策の参考といたしたいと思つております。
  46. 船田享二

    ○船田委員 最後に最初の質問とも関連するのですが、できるだけ早くこの問題について解決をつけて困窮者を救うことが望ましいのです。精密ないろいろな審議は相当ひまがかかるかもしれませんが、その間に暫定的な処置でも講じて、できれば追加予算を提出するというようなことも必要じやないかと思うのですが、ことに恩給受給者の中ですでに相当老境に入つている人たち——何年以上というふうにはつきりと私今案があるわけじやありませんが、たとえば五十五歳から以上くらいの人、ことに第二次大戦のときの軍人その他でなくて実は日露戦争ごろからの生残りの人たちもあるわけなんです。そういう老齢の方々は非常に困窮しておられる。せめてこういう人たちに対してでも、あるいはまたその他に及ぼしてでも暫定的な処置を講じて、できるだけ早く救済する必要があるのではないかと思います。そういうようなさしあたりの処置を講じて、たとえば追加予算を提出するというようなことについて、恩給局の方で何かお考えがありますかどうですか、参考のために承つておきたいと思います。
  47. 三橋則雄

    ○三橋政府委員 今のお話はもつともなお話なのでございますが、この軍人、軍属の恩給の全体に対しまする政府の方針といたしまして、ただいまのところでは老齢軍人の恩給の復元にいたしましても、来年の三月三十一日までは現状のままで行く、こういうような方針がきめられておるのであります。すなわち今のお話のような暫定的な措置を講ずるために、あるいは追加予算を組んで老齢軍人の恩給の復元措置を講ずるというようなことは、今のところ全然考えられていないところでございます。従つて局といたしましても、その政府の政策通りに今のところは進んでおるような現状でございます。
  48. 八木一郎

    八木委員長 他に御質疑がなければ、質疑はこれをもつて終了いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  49. 八木一郎

    八木委員長 御異議なしと認め、質疑はこれをもつて終了いたしました。  本日はこの程度で散会いたし、次会は来週の火曜日、二十五日午前十時半より開会いたし、行政機関職員定員法の一部を改正する法律案についての質疑を行つた後に、ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く総理府本府及び地方自治庁関係命令廃止に関する法律案統計法及び教育委員会法の一部を改正する法律案恩給法特例に関する件の措置に関する法律案、及び行政機関職員定員法の一部を改正する法律案の討論採決を行いたいと存じます。  本日はこれにて散会いたします。     午後二時三十三分散会