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今野委員 私は
日本共産党を代表いたしまして、この
法律の改正に反対するものであります。われわれといたしましては、
もともとこの
法律そのものにも反対して来たのです。それは形式的な点というよりはむしろ中身に関する問題であります。
形式的な点については簡単に触れまするが、第一には、
憲法において第
八條の
規定が設けられ、
皇室の
経済行為に対して
国会が
関與するということは、軍に
皇室、
天皇が
象徴である、その
象徴及びその家族の問題は、公的な
性格を持つというだけではなくして、やはり従来、
日本の
皇室が、非常に大きな権限を持
つておつた、その権限の背後に大きな財力を持
つておつた、それを制限しなければ、やはり
日本の民主化というものはむずかしい、こういう見地からなされたものと解するわけであります。従
つてこの
皇室経済法等によ
つて議会の監視を免れるような、そういうような権限委譲を
政府にいたすというようなことは、われわれとしてはできるだけこれをしないようにしなければならない。そういう
意味からわれわれはこれを違憲の疑いがある。そういう
意味で形式的には反対でありまして、同時に内容から申し上げますと、この
皇室経済法第一條第五項の
規定による
皇室用財産の調査に関する
報告書にもあります
通り、現在
皇室用財産として使用されておる
国有財産は莫大なものに上
つておる。しかもそれが
土地の評価は平均坪十円以下、建物の方は平均いたしまして千六百円くらい、立木等に至
つては石当り六円というようなばかげた安い
値段がついておる。これによ
つて皇室が
国有財産を使用している分量が非常に軽く見られている。これは一種のやはり煙幕になると思うのです。たとえば立木の場合などに申しましても、一石当りパルプ材でも千六百円もする。それが六円というなら、私
どもでもすぐでも買いたいところであります。貧乏人でも買えます。光一つでも
つて五石も買えるのですから、こんなもうかる仕事はないわけであります。そういうような安い見積りをして、そうしてどんなに莫大な
国有財産を使用しているかということをごまかしておる。そうしてそういう煙幕の
もとにやはり
天皇の権威を維持して、そして再び戰争に持
つて行く。再び軍隊をつくる場合の精神的なよりどころを保存して行こう、こういうような陰謀の現われであると私
どもは見ますので、そういう点から内容的にも反対せざるを得ない。
翻
つて国民の
生活を見まするに、
遺家族あるいは
戰傷病者はああいう
戦争に自分の意思でなくかり出され、そうして大きな犠牲を拂い、
生活も立たなくなり、いろいろな悲惨な
事件が起
つておる。
労働者も戰争後であるというので、ひどい
生活に甘んじなければならないという
状態に
なつておる。農民も
土地や娘も手放すというような
状態に
なつておる。かような悲惨事が年々増して来るわけです。それが解決されて来るどころか、増して来る。この
戦争のけはいというものがどんどん強くなり、そうして金へん景気というものが最近もまた出て参りましたが、そういう軍需景気が出て来る。そういう中にあ
つて、
一般の
国民の
生活というものがどん底に陷れられて来る。そういう際にこの
皇室経済に対する制限をさらにゆるめて、ますます
皇室が再軍備の
象徴として利用されよう、こういうようなことに対しては、私
どもとしては
日本の
国民の安全という見地から断固として反対せざるを得ない。なおこういうような
皇室の問題に対して
質疑が私一人しかない、
討論も一人しかない、このこと自身
日本の民主化の
程度を現わしておる。