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1951-12-13 第13回国会 衆議院 内閣委員会 第2号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十六年十二月十三日(木曜日) 午前十一時
開議
出席委員
委員長
八木
一郎
君
理事
江花 靜君
理事
坂田 英一君
理事
船田 享二君
天野
公義
君 大内
一郎
君
木村
公平
君
平島
良一
君 本多 市郎君 松本
善壽
君 亘
四郎
君 松岡 駒吉君
深澤
義守
君
出席政府委員
内閣官房長官
岡崎
勝男君
委員外
の
出席者
総理府事務官
(
大臣官房財閥
役員審査課長
)
堀内
正名君
総理府事務官
(
新聞出版用紙
割当局長
) 鈴木 政勝君 専 門 員
龜卦
川 浩君 専 門 員 小關 紹夫君
—————————————
十二月十二日
委員橋本龍伍
君
辞任
につき、その
補欠
として八
木一郎
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 同日
木村公平
君
委員長辞任
につき、
八木一郎
君が議 長の
指名
で
委員長
に
補欠
選任された。 同月十三日
委員井上知治
君、
田中萬逸
君及び
平澤長吉
君辞 任につき、その
補欠
として
亘四郎
君、
平島良一
君及び
天野公義
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任さ れた。 同日
深澤義守
君、
天野公義
君、
平島良一
君及び亘四 郎君
辞任
につき、その
補欠
として
今野武雄
君、
平澤長吉
君、
田中萬逸
君及び
井上知治
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。
—————————————
本日の
会議
に付した事件
財閥同族支配力排除法
を廃止する
法律案
(
内閣
提出
第一号)
新聞出版用紙
の
割当
に関する
法律
を廃止する法
律案
(
内閣提出
第二号)
—————————————
八木一郎
1
○
八木委員長
これより
会議
を開きます。 議事に入ります前に、
一言お許し
を得てごあいさつ申し上げます。 昨日の衆議院におきまして、不肖私が
内閣委員長
の重責を汚すことに相なりました。もとより未熟な者でございまして、不なれな点が多いことと思いまするが、これから
委員各位
の絶大なる御
協力
によりまして、大過なくその職責を全ういたしたいとお願いするものであります。何とぞ格別の御
協力
のほどをお願い申し上げます。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
—————————————
八木一郎
2
○
八木委員長
これより
財閥同族支配力排除法
を廃止する
法律案
、及び
新聞出版用紙
の
割当
に関する
法律
を廃止する
法律案
を
一括議題
といたし、
質疑
を行います。
質疑
の通告がありますから、これを許します。
深澤義守
君。
深澤義守
3
○
深澤委員
財閥同族支配力排除法
を廃止する
法律案
につきまして。若干の質問をいたしたいと、思うのであります。
財閥
が
戦争
の原動力であり、
推進力
であり、また背後における
立案者
であつたという
意味
において、大
東亜戦争終戦
と同時に、この
解体
が強力に推し進められたのでありますが、その
見地
からこの
法案
が
立案
、制定、実施されたことは、これは申すまでもないことであります。そこで私は、この
法律
の
趣旨
を
官房長官
にこの際お聞きしたいのでありますが、これは
ポツダム宣言
の第六項にもありますように、
戰争
を遂行した者並びにその
勢力
は永久にこれを
排除
さるべきである、こういう
見地
から、こういうような
勢力
に対する
解体
並びに
排除
の処置がとられたと思うのであります。
従つて
その
戰争
の当時において存在してお
つた財閥
はもちろんのこと、その後においても
日本
における
経済力集中
の形は、厳格に永久に
排除
さるべきであるという
見地
から、この
法案
が
立案
され、実施されたとわれわれは解しておるのでありますが、この
法律
の
趣旨
というものについて私はもう一度
官房長官
から明確な御答弁をお伺いいたしたいと思うのであります。
岡崎勝男
4
○
岡崎政府委員
この
法律
は、
一つ
はむろん
戦争
に直接
間接関係
があつたと思われた点からでありますが、もう
一つ
は、
経済
の
民主化
という点をねら
つて
つくられたものと思います。そこでこの
法律
によりまして、すでにすべての過去の
財閥
は
解体
され、財産の処分も終り、人的の連鎖も断たれておりますので、すでにこの
目的
は十分達したと認められるのであります。そこで今
ちよ
つと今後におけるというようなことを言われましたが、今後の問題は、
戦争
を計画するとかなんとかいうようなことは、もうあり得ないとわれわれ確信しております。ただ
経済民主化
というような点からい
つて
、考慮を要する点もあると
考え
ておりますが、これにつきましては、
私的独占禁止法
その他一連の
経済法規
がありまして、これによ
つて
十分今後における
目的
を達し得ると
考え
ておるわけであります。
深澤義守
5
○
深澤委員
もちろん
財閥
の
解体
が、
経済
の
民主化
という
見地
から行われて、それから
戦争責任
というものの追究から行われておるのでありますが、
経済
の
集中
というものが、常に
戦争
を組み立てる
背景
にな
つて
おるということは、これはもう
資本主義社会
における通説でありまして、これは一九四八年二月一日付、
マツカーサー元帥
が
アメリカ上院議員マクマホーン
氏にあててある書簡の中にも、その第二項に、
経済力
の
集中
が、
戦争
の暴力を組み立てる中核をなしたばかりでなく、その
指導者たち
が、軍閥と
協力
して
戦争
と征服の方向に国民の意思を
形成
した、こういうように明快に言われておる。
従つて
どういう形におきましても、
経済
の
集中
あるいは
独占
という形が、
戦争
を
組織
する
背景
になるということは、もう洋の東西を問わずこれは明らかであります。
従つて日本
の
民主化
と、
日本
が再び
戦争
への傾向をなくするためには、徹底的に
経済
の
集中
が
排除
されなければならぬということが、この
法律
の
趣旨
であるとわれわれは
考え
るのであります。
従つて戦争
中の
財閥
が形式的にこれは
解体
されたと言われておりますが、われわれはそうは解釈することができないのであります。なぜかならば、旧
財閥
は一応細分され、あるいは人的な
重要メンバー
の
人々
は追放されておるというような形になりましても、それとの
つながり
、あるいはその
組織
の中にあ
つて
、
相当
の
ポスト
を持
つて
お
つた人々
が、分散された
会社
や、あるいは
企業体
の
指導者
とな
つて
おることは、これは明らかであります、
従つて政府
がすでにその
目的
が達成されたと認められるということは、まことにわれわれは事実と相反することはなはだ遠いという感じを持つのでありますが、この
目的
が、人的な上からも、あるいは
資本
の面からも、完成されたという
ぐあいに
、真剣に
政府
はお
考え
にな
つて
おるのかどうか。その点をもう一ぺん明確にお聞きしたいと思います。
岡崎勝男
6
○
岡崎政府委員
私とあなたとは意見がどうも違うようでありますが、われわれはもう確実に、しかも明確に、
財閥
は
解体
され、この
法律
の
目的
は達成されたと
考え
ております。
深澤義守
7
○
深澤委員
政府
は
私的独占禁止法
の廃止をも総
司令部
に要請されたかのごとくにわれわれは聞いておりますが、しかし総
司令部
はこれを拒否した。そういうこと
自体
の中に、まだ
日本
の
経済
の
独占形態
が十分に
整理
されていないという
一つ
の証左があると
考え
ます。
政府
はこの
私的独占禁止法等
があるからよろしいと言われておるが、しかしこの
法律
さえも廃止しようとして、総
司令部
に要請されたということをわれわれは聞いております。その点はどうですか。
岡崎勝男
8
○
岡崎政府委員
あなたの間違いであります。
深澤義守
9
○
深澤委員
それでは私は
財閥解体
の
実情
について、さらにもう少しお聞きしたいのでありますが、この
集中排除法
によりまして
指定
された
会社
が
相当
たくさんあるのでありますが、そのうち、もちろん十五の大
コンツエルン
に
相当
する
会社
はこれはすでに
解体
されております。その後において八十一社に対してまた
指定
をしておりますが、その八十一社のうち、わずかに二十四社が
取引行為
の停止があつただけで、五十数社というものはそのまま取残されて、以前と同じような業態を続けておるという
事情
があるやにわれわれは聞いておるのでありますが、この点はどういう
ぐあいに
整理
されておりますか。私はその
意味
で、昨日も詳しい
資料
の要求をしたのでありますが、それに
相当
する
資料
をいただいておりませんので、その点の御
説明
をひとつ願いたいと思います。
岡崎勝男
10
○
岡崎政府委員
これは
説明員
から詳細に
説明
いたさせます。
堀内正名
11
○
堀内説明員
集中排除
の
関係
は、この
法律
と
ちよ
つと
関係
がないのでございます。
深澤義守
12
○
深澤委員
それでは十大
財閥
というものの
解体
の
事情
でありますが、この十大
財閥
というものがどのように
解体
されておるか、その具体的な
実情
を、この
資料
ではどうも漠然としてわかりにくいのでありますが、できる限り詳細に
説明
していただきたいと思います。
堀内正名
13
○
堀内説明員
資本
の面からする
財閥
の
解体
というのは、
持株会社整理委員会
の任務でございます。この
財閥同族支配力排除法
の
目的
とするところは、十大
財閥
の
人的結合
を切り離す、そういうことが
目的
でございまして、どのようにその
法律
を施行したかということは、大体ただいま差上げました
報告書
でおわかりのことと思いますが、いかがでございましようか。
深澤義守
14
○
深澤委員
私は今ここへ来て
資料
をいただいただけであります。
従つて
まだ熟読すらしていないのでありますから、十分に納得し得るように御
説明
願いたいと思います。
堀内正名
15
○
堀内説明員
十大
財閥
の
財閥指定者
の同
籍者
及びその十代
財閥
の
財閥会社
の主要な旧
役員
を
排除
しまして、十大
財閥
の
人的結合
を切り離すということが、この
法律
の
目的
でございます。しかしながらこの
法律
には
免除規定
がございまして、
自分
は
財閥関係役員
ではないと信ずる者は、
内閣総理大臣
に対して
財閥関係役員
に該当しないことの
承認
の
申請
をすることが
規定
されております。それに基きまして、
財閥関係役員
に該当しないことの
承認
を
申請
した者が、この
法律施行
以来七百四十一件、そのうち
承認
されたものが六百九十一件、
不承認
または却下に
なつ
たものが五十件でございます。これはもちろん
承認
の
申請
をした者は、きわめて地位が軽か
つた者
でありまして、この
法律
にい
つて
ありまするところの
財閥
の
形成
に重大な
寄与
をしていなかつたと認定された結果、
承認
されたものでございます。その他の
清算人
が
財閥関係役員
であ
つて
も、
総理大臣
の
承認
があれば、
清算会社
の
清算人
に留任または就任できるという
規定
がございますが、それに関して
承認
を
申請
した者が通算して九十七件でございます。このうち
承認
が九十三件、
不承認
が四件とな
つて
おります。それからこの
財閥会社
が
企業再建整備
によ
つて
第二
会社
を設立した場合は、その
会社
が前
会社
の
承継会社
であるかどうかということを認定し
指定
する必要があるので、それに関して各
承継会社
は
承継会社
であるかどうかという
指定
の
申請
をしなければならないのでありますが、この
指定
の
申請
をしたものが通算しまして百三十一件、
うち指定
が百十六件、また不
指定
が十七件とな
つて
おります。また
自分
の
会社
は
財閥会社
に
指定
されておるが、
異議
がある。こういつたわけから
異議申立
をしたものが四十件でありまして、そのうち十九件は
承認
されております。これらの
申請
のうち、本
法律
が
目的
としています
人的結合
の切難しに最も重大な
関係
のある
財閥関係役員個人
の
申請
というものは、この
法律
ができたとき現に
財閥会社
またはその
関係会社
の職にあ
つた者
は、ただちに三十日以内に
承認
の
申請
をしなければならないという
規定
がありまして、また
現職
を難れている者は、随時必要に応じて
財閥関係役員
でないという
承認
の
申請
をすることができることとにな
つて
おりますが、これらの
申請
は、本
法律
ができましたのは、
昭和
二十三年一月七日でありまして、たまたま
現職
にあ
つた者
の数はきめて多く、それらの
人々
の
申請
は
昭和
二十三年中に全部終了いたしました。二十四年以来といものは、そのような
申請
は急激に減少して来たのでございます。そして本年の上半期になりましては、それらの
申請
はもうほとんどなくな
つて
来たような
状況
であります。
自分
は
財閥関係役員
に該当していないということの
承認
の
申請
がこのように漸次非常に減少して来た理由は、
財閥関係役員
というものが旧
会社
へ復帰する
可能性
及び機会というものが、非常に少くな
つて
来たということを物語
つて
おるものでありまして、またそれが事実原因であります。このことは
従つて
将来そういう
人たち
によ
つて財閥
が人的な面から復活するというような懸念はないということを証拠立てるものと私
たち
は解釈しております。しからば
財閥関係役員
がなぜ旧
会社
に復帰することが困難かと言いますと、この
法律
によ
つて財閥関係役員
に該当しておる
人たち
は、おおむね
終戰前
の
役員
でありまして、すでに年齢的におよそ五十歳以上の
人たち
が非常に多かつたのでありまして、もしこの
法律
によ
つて
排除
されなくても、また
会社
によ
つて
は
停年制
というようなものを定めておりますが、そういつた制度がなくても、この
法律
ができてからすでに今日三年以上を経過しておりますし、漸次自然退職するような運命にな
つた人たち
だと思いまして、こういつた年齢の点からい
つて
も、再び
財閥会社
に返り咲くというようなことは、われわれの
承知
する限りでは、それら御本人ももはやあまり希望しませんし、また
会社方面
でもこれを迎え入れるというような意向がないようでございます。また
経済界
では、御
承知
の
通り昭和
二十二年の一月四日に
公職追放
のわくが非常に擴大されまして、いわゆる
公職追放令
で、
公職会社
に
指定
されている
会社
の
常務
以上の
人たち
は全部退任させられました。またこの
法律
ができまして、さらに非常に広範囲の
役員
が、各
財閥会社
またはその
関係会社
から
排除
されました。そのために
財閥会社
またはそれら
関係会社
の
役員陣
に一時非常な動揺がありまして、非常な変化を来したことは、御
承知
の
通り
でございますが、その結果、各社を通じて
部課長クラス
にあ
つた人たち
が、一躍
社長
になるとか、専務になるとか、
常務
になるとかいつたような現象が起つたのでありますが、これらの新しい
役員
も、すでに
公職追放
または本
法律
による
排除
以来三年以上経過しておりまして、
会社
の
経営
に対しても非常な自信を持
つて
参りましたし、また
経験
を積んで参つたのでありまして、
会社
も全般的に見て、そういつた古い
財閥関係役員
を
自分
の
会社
に再び迎え入れようというような
会社自体
の
必要性
というものが非常に減少しております。また現いの
役員
というものは、
自分たち
の頭の上にまた新たに古の人を迎え入れようというような気持がないことは、人情のしからしむるところでありまして、また現在の
役員
というものはほとんど全部が
従業員上り
の
重役
でありまして、か
つて
の
重役
に比して、
従業員組合
における基盤というものを持
つて
いるように認められまして、それらの点から、
組合
の圧力というようなものもありまして、古い
役員
が再びその
会社
に帰
つて
来ようというようなことは、さらに困難と感ぜられます。また
財閥関係役員
の中には、旧
財閥
の
資本
を
背景
として就任したものが多かつたことは、御
承知
の
通り
でありますが、前に
官房長官
から御
説明
のありました
通り
、
財閥
の
解体
は
資本
の面でも非常に
徴力
とな
つて
おりまして、
従つて
それを
背景
として再び
会社
に復帰するというようなことは
考え
られない。今日こそ復帰の
可能性
というようなものも多分に少くな
つて
いるのではないかと
考え
られます。これはもちろん
一般論
でありまして、旧
役員
が再び
財閥会社
に復帰して、その
首脳部
に返り咲くとか、あるいは最近の例で申しましても、会長になるとか、相談役になるとかいうようなことがございますが、これは一部情誼に基いたものもあるかもしれません炉、大体はその
人個人
の実力、すなわちその人がその
会社
に必要な非常に優秀な技術を持
つて
いるとか、またはたまたまその
会社
が
経営
困難にな
つて
いたような場合に、
経営
の才能が優秀であるという点を買われて入
つて
来るというような場合でありまして、旧
財閥
との
つながり
とか、因縁といつたものから復帰するものではないと
考え
られます。
八木一郎
16
○
八木委員長
説明員
の方に申し上げますが、まだ
説明
が
相当
ございますか。簡潔に要領よくお願いいたします。
堀内正名
17
○
堀内説明員
もしそのような場合があつたといたしましても、これはその
会社
が発展するために、ひいては
日本
の
経済再建
というものがうまく行くためには、むしろ望ましいことではないかとわれわれは
考え
ております。以上であります。
深澤義守
18
○
深澤委員
ただいまの
説明
では、單に旧
財閥
の
主要役員
という、
個人
を問題として
考え
られているようであります。
相当
年輩の、旧
財閥
に
関係
した
個人個人
が、
日本
の
経済界
から引退しているという事実は、これは概括的に認めることができると思います。しかしそこに問題があるのではないと私は思うのです。
財閥
の
事業
の
形成維持
に強力な
寄与
をした
人的結合
を切り離す
目的
は、
財閥
というものの
日本経済
における
支配力
をなくするということが
根本
の問題であると思います。
従つて
そういう老朽の
個人
々々は、その
経済機構
から
排除
されたといたしましても、依然としてその
支配力
というものはあるのであります。單に
縁故関係
とか
情実関係
とかいうものの
観点
から現在の
役員
や現在の
経済機構
が、そういうものの
支配
を受けていないという
観点
は、これはまことに形式にすぎないと私は
考え
るものであります。そこで
官房長官
に私はお伺いしたいのでありますが、現在の
日本
に
三井系
とか、
三菱系
とか、あるいは
安田
、
住友
というような、旧
財閥
の
勢力
が依然として
支配
的な力を持
つて
いるということは、これは
経済雑誌
すべてを見ても、
世間周知
の事実であります。こういう点に関しまして
官房長官
はどういうふうに
考え
られておるか。単に人的な
整理
を
行つた
から、すでに
財閥
は
日本
では
解体
されたという
ぐあいに
考え
ることは、まことに形式的であ
つて
、
日本
の
経済
の
実情
というものと全然食い違
つて
おるという
ぐあいに
考え
るのでありますが、そういう点は
官房長官
はどういう
ぐあいに
考え
られておりますか。
岡崎勝男
19
○
岡崎政府委員
私は先ほど言いましたように、
財閥
は
資本
の面からも人的の面からも、すでにその実体を失
つて
おると
考え
ております。そこでたとえば
財閥
の
会社
に働いてお
つた人たち
が新しい
会社
を興して
仕事
をすることは、これは
財閥
の
支配力
を継続するのではなくて、今までの
経験
を生かして同じかまの飯を
食つた者
が一緒に働くということであ
つて
、何らさしつかえないと思
つて
おります。また
財閥
の、たとえば
三井
のトレード・マークというものを使うということは、
世界各国
に売り込んでおる商標でありますから、これを使うことも一向さしつかえないと
考え
ております。要するに新しい
組織
で新しい
企業
を興すことは一向さしつかえない、こう思
つて
おります。
深澤義守
20
○
深澤委員
それでは私は具体的な例をも
つて
お伺いしたいのでありますが、たとえば、今
日本
の
経済
の
支配
は、大体
銀行
が
支配
の
中心
にな
つて
いると思います。大体
日本
の
金融支配
は十一大
銀行
がこれを行
つて
いる。全
日本
の
銀行
の貸出しの大体五五%をこの十一
犬銀行
が占めておる。その十一大
銀行
の中に、現在の
冨士銀行臓旧安田銀行
である。現在の
千代田銀行
は三菱
銀行
である。大阪
銀行
は
住友
銀行
である。
帝国銀行
は
三井銀行
であるという
ぐあいに
、これは何人も否定することのできない事実であります。こういうものが現在の
日本
の
経済
の
中心
に
支配力
を握
つて
いるわけでございます。もちろんその
メンバー
は昔の
メンバー
とは違
つて
おりましようが、依然としてそういう
三井系
、
三菱系
、
安田系
、
住友系
というものが
支配
しておるのであります。こういう
観点
は、これは
経済
の
事情
を知
つて
いる者には常識であります。これでも
つて
なおかつ
日本
の
財閥
は
解体
され、
日本
の
経済
の
支配力
の中に
財閥
の
勢力
がないという
考え方
は、およそこれは
実情
と反する
考え方
であるというふうに私は思うのであります。
銀行一つ
の例をも
つて
も、
財閥
が
支配
しているのは明らかな事実であります。こういう点はどういう
ぐあいに
考え
ておりますか。
岡崎勝男
21
○
岡崎政府委員
私は今申した
通り
、
財閥
というのは、たとえば
住友一家
の
支配
しておる
住友コンツエルン
というものがあるとすれば、その
住友一家
の
支配力
をなくすることが
根本
であ
つて
、元
住友
において働いた
人たち
が新しい
形態
において新しい
事業
をやることを何ら妨げるものではありません。なおか
つて
この
一般論
をお聞きになりましても、今
議題
にな
つて
おる
財閥同族支配力排除法
というこの
法律
は十大
財閥
の同
籍者
とそれから主要な
役員
を
排除
して、その
人的結合
を切り難すということが
目的
でありまして、その
一般論
と今
議題
にな
つて
います
法律
の内容とはいささか趣を異にしておるのであ
つて
、ただいまのところは
財閥同族支配力排除法
が
議題
とな
つて
おりますから、これについてのみ御審議を願いたいと思うのであります。
深澤義守
22
○
深澤委員
もちろんそういう形式的なことはわかるのであります。しかしながらその
人的結合
を切り難すということろに
重点
が置かれておるのでありますが、その前段にある
財閥
の
事業
の
形成維持
に有力な
寄与
をした
人的結合
を切り離すことと、それから
財閥
の
事業
の
形成維持
を
解体
するところに
目的
があると思う。そのために
人的結合
を切り離すのだということでありますから、単に
個人
々々の
人的結合
を切り離されたからとい
つて
、
財閥
の
事業
の
形成維持
いうこの事実をわれわれは
解体
しなければならないというところに、この
法案
の
趣旨
があるという
ぐあいに
考え
ますがゆえに、あえて私は
日本経済
の
民主化
のためには、この
財閥同族支配力排除法
と
私的独占禁止法
、この二つが武器として活用されなくてはならぬ。その活用が十分行われていない。あまり
実情
に即さない
考え方
と認識を
政府
は持
つて
おられるということを私は追究しておるのであります。先ほど
人的結合
の問題について
審査課
の方から御
説明
がありましたが、
人的結合
を切り離すということでありますけれども、これは單に
戰争
中の
財閥
の
主要役員
、こういう者を
経済機構
の中から
排除
するというところに
重点
が置かれて行われたようでありますが、
財閥
の中にあ
つて相当
の
ポスト
を持
つて
お
つた者
が、分散された
会社
の
社長
とかあるいは
常務
とかという立場にあり、そうして
排除
された
人々
の陰の
支配
というか、あるいは連絡というか、そういうものを持
つて
おることは、これはいなむことのできない事実であります。たとえば
三井物産等
の
解体
を見ましても、現在は幾つかの
会社
に分散されております。ところがその分散された
会社
の
主要役員
は、先の
業務部長
であるとか、あるいは
総務部長
であるとかというような
人々
が、そういう分散された
会社
に依然として
支配力
を持
つて
おるわけであります。そういうものをわれわれは十分に検討し、あるいは
結合
をなくして行かなければ、この
法律
のいわゆる
人的結合
を切り離すという
趣旨
を十分実現したということにはならないと思うのであります。その
人的結合
の問題は、軍に旧
財閥
の主要の
役員
を
経済機構
から切り離したというだけで、
人的結合
は十分に切り離すことができたというふうに解釈することは、まことに安易な
考え
に過ぎると思うのであります。そういう点はどういう
ぐあいに
考え
られておりますか。
岡崎勝男
23
○
岡崎政府委員
これは
法律
でありまして、
法律
の命ずるところに
従つて総理府
の中の
関係
の職員が
仕事
をいたすのであります。他方においては基本的の人権を尊重するということもありまして、そうむやみにだれでもかれでも
仕事
をさせずに追つばら
つて
しまうというわけに参りません。
法律
に
従つて法律
の認める範囲内でしか
仕事
はできないのであります。現実にその
仕事
をずつとや
つて
来たところが、本年にな
つて
から
審査課
に対する
承認
の
申請等
はほとんどなくな
つて
しま
つて
、
審査課
は事実上何も
仕事
をしない
状況
にな
つて
おるのでありますから、この
法律
を廃止して
審査課
をやめる、これは当然のことだと思います。
深澤義守
24
○
深澤委員
私は
審査課
をやめるという問題を言
つて
おるのではなくして、こういう
法律全般
が廃止されるということはまだ
日本
の
財閥
に基礎を置く
勢力
が完全に駆逐されてないから、現在の
事情
に応じてさらにこの
法律
の改正をやるとかいう問題ならともかくも、全然なくするということはまことに安易な
考え
にすぎないのであ
つて
、現在
財閥
の流れをくみ、あるいは
財閥
の
支配力
がまだ残
つて
おる
勢力
が、
日本
の
経済界
に大きな力を持
つて
おるのではないか、こういう点からこの
法案
自体
をもつと改正して、そうして
法案
のほんとうの
趣旨
である
日本
の
財閥
あるいは
独占
集中
支配
の力を
解体
する。そうでなければ真の
経済
の
民主化
ということは行われないという
見地
から、われわれはこういう主張をしておるのであります。 そこで私はなお質問したいのでありますが……。
八木一郎
25
○
八木委員長
深澤
君に申し上げますが、御意見は御意見として、御
質疑
の点がまだ
相当
ございますか。御
質疑
の点を簡潔に御進行願います。
深澤義守
26
○
深澤委員
そこで先ほどの
説明
にもあつたのでありますが、
財閥関係役員
に該当しないという
承認
申請
が七百四十一件あつた、こういう御
説明
でありますが、大体
財閥関係役員
に該当すると
指定
した総数はどのくらいあつたのでありますか。
堀内正名
27
○
堀内説明員
ただいまの御質問の
財閥関係役員
は生存者の該当総数が三千二百三十七名でございます。このうち
承認
されました六百九十一名を除きましたものが、いわゆる
不承認
に
なつ
た五十名とともに潜在該当者とな
つて
おるのでございます。
深澤義守
28
○
深澤委員
「十大
財閥
の同
籍者
及び主要な旧
役員
」ということにな
つて
おりますが、これは同
籍者
をも含むのですか。
堀内正名
29
○
堀内説明員
同
籍者
を含んでございます。同
籍者
の数は十大
財閥
で二百五十二名にな
つて
おります。
深澤義守
30
○
深澤委員
それから
解体
されて
企業再建整備
によ
つて
承継会社
が出たのですね、その
承継会社
はどのくらいの数が
承継会社
として出て来たのですか。
堀内正名
31
○
堀内説明員
承継会社
は百十六社でございます。
深澤義守
32
○
深澤委員
どうも具体的にわからないのであります。たとえば
三井
物産はやはり
財閥
の
経済機構
として
指定
されたのですが、その
三井
物産はどういう
ぐあいに
人的結合
が切り離され、それが
解体
され、どういう
ぐあいに
再建整備によ
つて
承継会社
が出たか、そういう
一つ
の具体的な例を
説明
していただけば了解するにいいのです。
堀内正名
33
○
堀内説明員
三井
物産、三菱商事、この二つは全然別個の政令によ
つて
拘束されておりまして、この
法律
とは
関係
がございません。
従つて
三井
物産系の第二
会社
というものはこの
法律
では
承継会社
にな
つて
おりません。
深澤義守
34
○
深澤委員
それでは何でもよろしゆうございますから、この十大
財閥
の
会社
のうち
一つ
の例をと
つて
、こういう
ぐあいに
人的結合
が切り離され、こういう
ぐあいに
再建され、こういう
ぐあいに
承継会社
が出たのだという
一つ
の例を御
説明
願いたいと思います。
八木一郎
35
○
八木委員長
深澤委員
に申し上げますが、御質問の点は
相当
広範囲な調べを要するように思われますが、後刻ではいけませんか。
深澤義守
36
○
深澤委員
この点は私は昨日の
資料
要求の場合に、そういうものが具体的に明らかにされて、そうしてこの
法律
がこういう
ぐあいに
具体的に処理されたんだということがわかることによ
つて
、この
法律
の廃止に対してわれわれは審議ができるという
考え
で要求した。ただこういう程度の
資料
では、この重大な
法案
がいかに実施され、そうしてこれを廃止してもよろしいという了解ができないのであります。そういう点で私は本日の
資料
は、そういうものも具体的に示されている
資料
がおありになるというふうに
考え
ておつたのでありますが、まことに漠然たるものでありまして、了解に苦しみますがゆえに、そういう質問をするのであります。だから私は最大譲歩をいたしまして、
一つ
の例でもいいから具体的に
説明
してもらいたい、こういうわけであります。それが了解できなければもうこの
法案
はよろしいんだということが理解できないので、できますならば
一つ
の例でも御
説明
願いたいのであります。
堀内正名
37
○
堀内説明員
たとえば
住友
の井華鉱業株式
会社
、これが四つの第二
会社
にわかれまして、別子鉱業、別子百貨店、別子建設、井華鉱業——井華鉱業の名前は前の
通り
であります。この四つにわかれまして、それらの四つはいずれも
承継会社
に
指定
されました。これには
住友系
の
財閥関係役員
は就職できないことにな
つて
おります。
岡崎勝男
38
○
岡崎政府委員
ちよ
つと補足して御
説明
申しますが、
深澤
君はいろいろのものを一緒に
考え
ておられるようですが、
財閥解体
の各種の法令は大部分がポツダム政令で出ておるのでありまして、これがただ
一つ
法律
で出ておる。そこで主として人的の
つながり
を切り離すものはこの
法律
で出ておりますが、そのほかの財的の分割その他いろいろの
支配力
の
排除
をするのは政令で出ておるのであります。ところがその他のものは全部もう
仕事
が終了したと認められまして、ポツダム政令は
司令部
で了承してこれを廃止することになりまして、すでに廃止しておる。
従つて
その主たる
仕事
をいたしました持株
整理
委員
会もすでに廃止されておる。そこで
法律
だけは、これは国会を通さなければなりませんから、今まで廃止されずに来たのであ
つて
、その
関係
上これだけ
一つ
取残されておるのであります。そこでこの
法律
の審議を願
つて
おるのであ
つて
、今、
説明員
にお聞きに
なつ
たようないろいろな点は、持株
整理
委員
会の
仕事
であ
つて
、政令でも
つて
行われ、すでにその政令が廃止されて、もう
仕事
が済んだということにな
つて
おります。そこで今御審議願
つて
いるのは人的の問題にとどま
つて
、これだけ残
つて
いるから不
公平
だ、こういうのであります。そこで
政府
委員
にいろいろお聞きになりましても、それは持株
整理
委員
会の方の人でも呼んで来ないと、詳細なことは出ない。
深澤義守
39
○
深澤委員
私はこの際、もちろん今の
法律
技術的に
官房長官
の言うことはわかるのです。そういう
意味
において、この
法律
を
整理
しなければならないということも、よくわかるのです。しかし問題は、先ほどから私が申上げているようにそういう政令がもう廃止され、持株
整理
委員
会なく
なつ
た。そのしてこれもなくなるのだという、その
法律
技術上の問題はわかるのであります。そこでこの提案理由の
説明
にもありますように、
資本
の面から言
つて
も、人的の面から言
つて
も、
経済
の
民主化
ができたんだ、それによ
つて財閥
の
解体
はできたんだという
ぐあいに
言われているけれども、たとえば
日本
の
経済界
を見ても、紡績
関係
を見ましても、これはもう十ぐらいの紡績
会社
が
日本
の紡績の部門の九%を握
つて
いる。その中に
三井系
三菱系
という有力な商社が重要な地位を占めておる。また人絹を見ても製紙を見ても漸次そういう形において
財閥
系の
資本
が
独占
的な立場をと
つて
おるということは、これは無視でできないのです。そういう
事情
があるにかかわらず一方においては政令のこういうものがどんどん廃止されて、そうして
政府
の方では人的にも
資本
の面からい
つて
も
経済
は
民主化
されているのだ——少しも
民主化
されていない。むしろ
集中
と独立はますます高度に逆にもどりつつあるということが
実情
であ
つて
、どうもこういうものをどんどん廃止してしまうということと
実情
と違うから、その点で私は問題にしておるのであります。そこで私は
法律
技術上の問題はよくわかりますが、なかなか
官房長官
にお伺いする機会がないので総括的にまずお伺いいたしますが、
官房長官
は
日本
の
経済
の上に、
財閥
の
資本
や、あるいはその他の
独占
資本
が大きな力を持
つて
日本経済
を
支配
しておるという事実をお認めになるのかならないのか、
日本
の
経済
はきわめて
民主化
されて自由競争の中に発展しつつあるというあなたの属する自由党の自由主義
経済
の方向が明らかに発展の方向をたど
つて
おるのか、それとも
独占
のこういう方向が進んでいるのじやないか、どういう見解を持
つて
おるのか、この際ひとつお伺いしたい。
岡崎勝男
40
○
岡崎政府委員
独占
も
集中
も全然ないのであります。
財閥
の財産はすでに
解体
されて、もう何ら力がないのであります。これは私は確言いたします。
深澤義守
41
○
深澤委員
これは議論になりますからあまり申しません。
日本
の
経済
は
独占
資本
の
支配
下に置かれていることは明らかであります。これは討論の場合に1私は明確にしたいと思います。
八木一郎
42
○
八木委員長
他に御
質疑
がなければ、これにて
質疑
は終了いたしました。 これより
財閥同族支配力排除法
を廃止する
法律案
及び
新聞出版用紙
の
割当
に関する
法律
を廃止する
法律案
を一括して討論、採決に入ります。
深澤義守
43
○
深澤委員
議事進行について……。討論をする場合にまだ十分
整理
されていないのであります。一旦休憩をされて、午後に私は討論したいと思います。なおあえて強行するならば、私はまず
委員
会は定員に達しないと思うから……。
八木一郎
44
○
八木委員長
ちよ
つと速記をやめて。 〔速記中止〕
八木一郎
45
○
八木委員長
速記を始めて。 それではこれより討論を行います。討論の通告がありますからこれを許します。
深澤義守
君。
深澤義守
46
○
深澤委員
ただいま
議題
になりました
財閥同族支配力排除法
を廃止する
法律案
に対しまして、私は
日本
共産党を代表いたしましてここに反対するものであります。 大体侵略
戰争
の原動力は、またその
組織
者は、洋の東西を問わず
財閥
であります。あるいは
独占
資本
であることは、これは明らかであります。
日本
の大東亜
戦争
の原動力もまたこの背後に
三井
、三菱、
住友
、
安田
等の
財閥
の
独占
資本
があつたことは、何人もこれは否定することのできない事実であります。戦後における
日本経済
の
民主化
と
日本
再建のためには、これらの
財閥
独占
資本
の徹底的な
排除
なしに
経済
の
民主化
も、
日本
の再建も不可能であります。
ポツダム宣言
の第六項の
規定
に、
日本
国国民を世界征服の挙に出づるの過誤を犯さしめたる者の権力及び
勢力
は、永久に
排除
されなければならないと言われております、この永久に
排除
されなければならない
勢力
の中に、この
財閥
独占
資本
があることは明らかであります。この
法律
が立法、公布されたのも、この
ポツダム宣言
の
趣旨
を実施するために立法公布されたものと解釈できるのであります。ところが
政府
の提案理由によりますと、わが国
経済民主化
の大眼目であ
つた財閥
の
解体
は、本年上半期に至
つて
資本
の面からもあるいは人の面からも、完全にその
目的
を達成したと認められるに至つたという見解から、本
法律
の廃止が行われんとしているのであります。しかしはたして
日本
の
財閥
が完全に
解体
され、そうして
日本
の
経済
の上から
財閥
の
支配
、
独占
資本
の
支配
というものが一掃されておるかどうかということを
考え
てみますと、
日本
の
経済
の上に旧
財閥
の流れをくむ
勢力
が
支配
的な力を持
つて
、そうして
日本
の
経済
が
独占
資本
の
支配
下にあるということは、これは明らかな事実であります。この
法律
あるいは
財閥解体
の
事業
が完全に行われずして、むしろ
独占
資本
を温存し、
財閥
の
勢力
を温存することに
相当
の努力が行われたという事実すら、われわれは見のがすことができないのであります。特に
銀行
等の問題を
考え
てみますと、旧
安田
銀行
が富士
銀行
となり、あるいはまた
千代田銀行
は旧三菱
銀行
であり、大阪
銀行
は旧
住友
銀行
であり、
帝国銀行
は旧
三井銀行
であるというような形で、
日本
の
経済
の上に君臨しているこの事実を何人も否定することはできないと思うのであります。 なお
日本
一般の
経済界
を見ましても、紡績界は十の大きな
三井系
あるいは
住友系
の
会社
によ
つて
支配
されている。人絹界を見ましても、そのような大きな
独占
資本
の
勢力
が君臨しております。製紙、石炭、石油、鉄鋼
関係
を見ましても、そういう
独占
資本
の
支配
が行われていない事実は
一つ
もないのであります。こういうものに徹底的なメスを加えて、そして
経済
の
民主化
をすることこそが、侵民
戦争
の禍根を断ち、
日本
の平和的再建の基礎をつくるものであるというようにわれわれは
考え
るのであります。こういうことをそのままにしておいて、もはや
財閥
の
解体
が行われたというようなことは、まことにこれはそらぞらしい認識であると
考え
るのであります。こういう
見地
から、むしろ私は本
法律
は今日の
実情
に即して改正され、そして
財閥
の
勢力
並びに
独占
資本
の
勢力
を
排除
する方向に、一般の努力を進める機会であると
考え
るにもかかわらず、その逆にこの
法律
を廃止するということに対しましては、わが党といたしましては断じて賛成することができないのであります。以上をもちまして本
法案
に対する私の反対論を終ります。 なお一括上程されました
新聞出版用紙
の
割当
に関する
法律
を廃止する
法律案
につきましては、もはや事実上この
法律
の効力もないほど処理されておりますから、この
法案
に対しましては私どもも賛成いたします。
八木一郎
47
○
八木委員長
江花
委員
。
江花靜
48
○江花
委員
今上程になりました両
法案
のうち、まず
財閥同族支配力排除法
を廃止する
法律案
でありますが、これは
政府
からも詳しく御
説明
に
なつ
た
通り
、この
法律
の所期する
目的
はすでに達せられたのでありまして、今共産党の
深澤
君の言うごとくかりに百歩護
つて
、
財閥
が
解体
されないか、あるいはまだ新しいそういう事態が生じておるというような事実がかりにありといたしましても、これはまた別個の
法律
でこれを処置すればいいのであ
つて
、この
法律
の廃止とまつたく別個の問題でありますから、今反対された理由は、この
法律
の廃止に対する理由としてはな
つて
いないと
考え
ます。 次に
新聞出版用紙
の
割当
に関する
法律
を廃止する
法律案
につきましては、これはもちろんそういうことを必要としなく
なつ
た事態が生じたのでありますから、廃止するのが当然であります。 以上、自由党を代表して両
法案
に賛成の意を表します。
八木一郎
49
○
八木委員長
これにて討論は終局いたしましたただちに採決に入りたい評と存じますが、御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
八木一郎
50
○
八木委員長
御
異議
なければさように決し、これから採決に入ります。まず
財閥同族支配力排除法
を廃止する
法律案
を採決いたします。本案について賛成の諸君の御起立を願います。 〔賛成者起立〕
八木一郎
51
○
八木委員長
起立多数。よ
つて
本案は原案の
通り
可決いたしました。 次に
新聞出版用紙
の
割当
に関する
法律
を廃止する
法律案
を
議題
とし、採決いたします。本案に賛成の諸君の御起立を願います。 〔総員起立〕
八木一郎
52
○
八木委員長
起立総員。よ
つて
本案は原案の
通り
可決いたしました。 以上によりまして、両
法案
に対する可決をいただきましたが、この両
法案
に関する
委員
会の
報告書
の作成につきましては、
委員長
に御一任願います。 本日はこの程度にいたし、次会は公報をも
つて
お知らせいたします。 これにて散会いたします。 午後零時八分散会