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○
高塩委員長代理 これより開会いたします。
まず本日
公報に掲載いたしました
請願六十九件について、採否の決定をいたします。
請願日程中、第一、第七ないし第十、第十三、第十五ないし第十七、第十九ないし第二十二、第二十五ないし第二十八、第三十四、第三十六、第三十七、第四十、第四十三ないし第四十六、第五十五ないし第五十八、第六十五及び第六十七の各
請願は、いずれもその趣旨妥当と認められるので、採択の上、
内閣に送付すべきものと決し、第四十七、第五十の各
請願は、議院の議決を要しないものと決するに御
異議ありませんか。
〔「
異議なし」と呼ぶ者あり〕
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○
高塩委員長代理 御
異議なしと認め、さよう決定いたします。
なおお諮りいたします。ただいま議決いたしました各
請願の
報告書につきましては、
委員長に御一任を願いたいと存じますが、御
異議ありませんか。
〔「
異議なし」と呼ぶ者あり〕
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○
高塩委員長代理 御
異議なきものと認め、さよう決定いたします。
なお本日
公報に掲載いたしました各
陳情書につきましては、これまで審査いたして参りました各
請願の趣旨と同様のものが多いのであります。これらの各
陳情書の趣旨を了承いたしまして、委員会の審査の上に実質的に反映させて参りたいと存じます。
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○橋本(登)委員
有線電気通信法案並びに
公衆電気通信法案は、提出が遅れましたために、審議も遅れておるのでありますが、これには施行法案がついて参りませんと、審議の上においても非常に不便を感ずるのであります。施行法案の提出時期について政府の御所見を承りたい。
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○靱説明員 お答え申し上げます。実は両法案の施行法案につきましては、二十日までに提出いたすことにいたしまして、法制局の審議を急いでおつたのでございますが、どうしても二十日までに審議が終る見込みが立たなくなりましたと同時に、一方におきまして、本国会におきまして成立いたしました政令案の審議というものに、非常に期間的なものもございますし、法制局におきましても、そこらのにらみ合いもございまして、二十日後におきましても、二、三日遅れる程度ではどうも解決がつかぬという状況になりまして、私どもといたしましては、もちろんきわめて密接な関連のある法案でございますので、ぜひあわせて御審議をお願いいたしたく、極力努力はいたしましたが、今国会も延長が一応二十日までになつておりましたし、その後にさらに法案を出すということにつきましても、相当考えなければならぬ点もあつたやに考えまして、結局本日に至るまで御審議いただくように提案できなかつたことを、非常に遺憾に存じております。従いまして政府側といたしましては、率直に申し上げますれば、両法案をさらに継続審議を願いまして、その間できるだけ早く一応まとまつたものを、参考案としてでも両法案の御審議に役立たせるように、なお努力いたして行く考えであります。会期等の関係もございますので、本日のお答えといたしましては、ただいまのところ、ちよつと一両日中に提案することは困難だということしかお答えできないのを、非常に遺憾に存じます。
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○橋本(登)委員 ただいまの次官のお話で、努力をしておつたが、いろいろな事情でなかなか提出の運びに至つておらぬ、こういうお話ですが、いろいろな事情でそういうような関係に入つておることは、われわれも大体承知をしておるのであります。ただ両法案を審議する上においても、どうしても施行法案が出て来ないと、審議の必要上非常な困難を感ずるのであります。従つて正式に施行法案が上程されなくとも、参考案として、参考書類として、次の委員会に御提出願えるかどうか。われわれといたしましては、できれば本国会に衆議院だけは通過させたい、こういうように考えておるのであります。従つて通過されるためには、関係がありますから、参考書類としてでも提出されないと、この後の審議ができないということにもなりますし、参考書類として施行法案原案をお出し願つて、そうして審議を進めて行きたい、こう考えるのであります。政府の方でその御用意ができるかどうか、御答弁を願いたい。
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○靱説明員 今度の会期の延長も私ども承知いたしておりますが、実は明日までには参考案を出せる見込みでおつたのでございます。各法律條文を正確に参考書として提出することは困難かと思いますが、法律技術的な問題は多数あるのでございますが、内容的にどういう問題について現在どういうところまできまつておるか、ほとんど内容的に問題のところは大体きまつておるのでありまして、それらの要領を出すということでしたら、いつでも御提出できるかと思います。また実は参考としまして、要綱だけはごらんに入れてあるわけでございますが、それをもう少しその後條文を整理し、ほとんど確定したと違わないようなものを織り込みまして、もう少し詳細な要綱を出すということでしたら、間に合うかと存じます。
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○橋本(登)委員 ただいまの次官の御答弁で、大体原案に近い参考書類が出せるというお話でありますから、その原案に近い参考書類を至急に出してもらいたい。その参考書類を参考しつつ、両法案の審議を進めて、できるだけ本国会に、衆議院だけは通過させる、こういう方針でわれわれはおるのであります。その点特に御高配を願いたいと思うのであります。
続いて條文の質疑に移りたいと思います。総論は、前委員会において同僚
高塩委員から質問が済んでおりますので、逐條審議の点について、主要なる点をお伺いしたいと思うのであります。そこで第三條関係ですが、第三條関係で、届出を要しない事務または事業を行うものを政令で定める、こういうことになつておりますが、どのようなものを政令で定める予定にしておられるかどうか、その点について内容を御説明願いたい。
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○吉澤政府委員 お答え申し上げます。第三條の三項の三に、警察とかその他の事業で、御存じのごとく、法律をもつて特に保安上の通信を必要として義務を課しておる事業、それからなお保安上あるいは治安上大事な通信であるというような意味で、当然自分で通信を持つべきことが必要であるというようなものを列記してありますが、このほかここに載つておりませんが、今後におきまして、水道とかあるいはその他森林とか、こういうような事業も同じような範疇で想像されるのであります。できるだけ列挙の主義をとりましたが、その他漏れるというようなことがありますために、ここにあげました事業と同一の性質のものにつきまして、政令で漏れなく今後関係各省と相談した上で出したい、こういうふうに考えております。
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○橋本(登)委員 こういう場合はどうなります。村民一同が防犯組合を組織してその組合員となつた場合に、全組合員の住宅に有線電気通信設備を設置する、こういう場合は設置せられるかどうか。その点について明瞭でありませんのでお伺いしたいと思います。
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○吉澤政府委員 お答えします。実はこの警察事務とか、消防事務とかいうようなこの字句の解釈でございますが、この警察法、あるいは消防におきましては消防組織法という各法律におきまして制限されましたところの事務以外のものを含んでいない、こういう字句でございます。その意味におきまして、今お話のごとく隣組が消防組織を持つとか、あるいは防犯協会のごとく、警察事務に協力するというような任意団体のものが、はたしてこの事項に該当するかどうか、こういう問題になりますが、ただいま申し上げましたように関係法令で限定いたしておりますために、この警察事務、消防事務の中に入りません。従つてその場合におきましては、多数の共同設置で行くか、あるいは第十條の範囲内におきまして、他人使用を許せる範囲というように限定する、こういうことになります。この第三号の中にはそのようなものは含んでいないという解釈をとつております。
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○橋本(登)委員 今度の有線電気通信法は、内容的に非常に画期的な意味を含んでおつて、従来の嚴格な官僚統制といいますか、官営主義というものを清算して、できるだけ電気通信設備を一般に開放しようというような画期的な措置が行われておるわけであります。その根本方針についてはまことに有効適切であつて、われわれもその英断なる措置に対しては敬意を表するのでありますが、ただこういうような非常に開放的な取扱いが、公衆電気通信に悪影響を與えたような場合においては、非常に今後の問題が出て来やしないかということを心配するのでありますが、たとえば届出を要しない設備、こういうことを認めるのですが、届出をしなくても設備をやることができる、こういうことになりますと、万一それらに関連して故障があるような場合もあるでしようが、届け出ておらないで、そうして何らかの故障があつた場合においては、事務的にも設備の
改善の上においても非常に支障があるのではないか。そういう意味でこの無届けの設備というものの処置について、また今後の善後策について、どういうような方針でやつて行かれるか、この点についての御説明が願いたいと思います。
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○吉澤政府委員 おつしやる通り今回の有線電気通信法におきましては、通信の享受をできるだけ広く與えよう、こういう思想から出ました専用であります。すなわち一人とかあるいは一事業というものの専用の通信であるならば、それは自由に施設させたい、こういう趣旨のもとに出ておりますが、ただ技術の基準というものをはつきり守るということ、これは全体の有線電気通信相互間の安全のために必要でありますので、その点について徹底的と申しますか、その点はこの事業の性質並びに必要とする程度におきますところの段階はございますが、技術基準をもちまして一応律する。これは届出を要するもの、届出を要しないものに関係はございません。そこで届出を要するものにつきましては、どういうふうにして今後やるかということでございますが、できるだけ手続は簡單にいたしますが、その技術指導を事前に與えるという意味で、届出の際におきまして、事前に技術指導をやるということが、届出の大きな趣旨であります。そういう意味でもしも技術基準を守らない、あるいは技術基準に反している場合、他人に妨害を與える場合におきましては、それに対する措置といたしまして、修復なりあるいは改修の命令を出し、かつまた使用の停止をする、こういう措置によりまして、技術基準を守らせることになつております。そこでこの公衆電気通信との問題はどうなるか、こういう点になりますが、この点につきましてはただいまお話の通り、専用である限りは自由にする、この原則を守りまして、ただ公衆通信の独占を犯すようなおそれのあるということにつきましては、第十條をもちまして、この公衆通信の独占の保護について必要なる規定を設けてあります。以上のような趣旨によりまして、この無届によりますところの有線電気通信につきましても、一応技術基準を守らせるとともに、必要があれば検査をし、かつまた報告を徴することができる、その意味におきまして、非常の際において有線通信を公衆通信に転用するとか、あるいは有線通信相互間におきまして、非常通信の措置を講ずる際におきましても、必要な措置がとれるというような條項をもつて臨んでおるわけであります。
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○橋本(登)委員 第四條の二号の有線放送業務の運用の規正に関する法律、この法律が前国会において有線放送を規正する場合において設けられた法律ですが、この場合にわれわれは非常に困つたのは、その設備について従来の基本法としての電信法では非常に不足であつて、果してこれを電話としての施設と考えるか、電信として考えるかということで非常に困難があつたわけであります。勢い当時の電信法から言えば、これは電話の一種とみなすよりほかに方法がないということで電話の一種とみなして、そこで有線放送の設置をその方面で規定する、こういう考えであつたのですが、当時は当局においても、近い将来において通信法の改正によつてこの点を明確にしよう、こういうことで今日まで待たれておつたわけでありますが、今度第四條におきまして、この点が非常に明らかにされたわけであります。そこでこの有線放送の業務を行うための有線電気通信の設備、これはいわゆる従来の電話通信設備とは違うものとわれわれはもちろん解釈しているし、今度の規定によつてこれが加えられるわけでありますから、これらの設備に対して当局としてはどの程度まで規正なりあるいは監督なりをするお考えであるかどうか、その点の御説明を願いたいと思います。
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○吉澤政府委員 有線放送の施設につきましては、ただいまおつしやいました通り現在の法律におきましては空間になつております。従つて実は法律上は空間でございますが、すでに九州あるいは
北海道におきましては、この無秩序な有線放送設備のために公衆通信線についても、あるいは警察専用線が妨害されている事実がひんぴんと現実に起つておつたわけであります。従いましてこれに対しましては、お話合いのもとにこの技術基準を両者が話合いで妨害を與えないようにやるというような現状であります。しかし今回この法律によりまして、はつきり有線放送施設も有線電気施設の一つであるということになりまして、この必要なる措置をこれに適用することによりまして、今後におきましては技術基準の点から妨害を起しかつまた他に損害を與えることがないようになる見込みであります。しからばこれに対して、もしも公衆通信のまがいのようなことをやつた場合にはどうなるか、こういうことの点でございますが、これはまた十條におきまして、この有線放送業務そのままのものであればさしつかえありませんが、他人に使用する、あるいはこれを公衆通信と同一なる方向にこれを使用するという場合におきましては、第十條におきまして禁止いたしております。従つてこの禁止された範囲内におきましては、有線放送設備は今後相当程度まで拡張され、あるいは増設されるということを望んでおる次第であります。
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○橋本(登)委員 続いて第四條の第五号ですが、これは意味の解釈によつては重要な問題だと思うのです。「前各号に掲げる場合の外、」というのですが、これは要するに一種の公衆電信電話のことを意味すると思うのです。都市から距離が非常に離れておるということは、現実に公社の通信設備を持つておらないという意味だろうと思うのですが、こういうところに公衆電気通信の役務を提供することが困難であると認められる地域であつて、郵政省令で定める基準に該当するものに、郵政大臣の許可を受けて
実施することができる、この項目ですが、この項目はもしそういうような僻陬の地においては、公社がその設備を行うことが困難である、こういう場合に、その地方の人がその設備を行つて、これを一般の公衆電信電話に接続をせしめるということでありましようか。これはそういうぐあいに解釈してよろしいのでありましようか。それともそうではなくて、設置した区域だけを一区域にして、公衆電信電話等の接続は考えておらないのかどうか。まずその点を原則的にお伺いいたしたいのであります。
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○田邊(正)政府委員 ただいまのお尋ねは、一つの区域内だけで設置されまして、それを公衆電気通信設備とつなぐことはできないというふうに考えております。
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○橋本(登)委員 そうしますとその僻陬の区域だけ独立して、一種の電信電話の仕事は行われるけれども、これを公衆電話に接続せしめることはできない、こういうようなお話ですが、それは結局前の第二條の関連事項となつて来るわけですか。それともそういうよりなものが公社の公衆電信電話線につなげるのならば非常に便利を與えると思うのですが、その点については、どういう建前で公社の一般公衆電信電話につなげないのか、その点の御説明を願います。
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○田邊(正)政府委員 電信電話の拡張につきましては、御承知のような拡張予算がなかなかとれませんので、地方におきまして電話の申込みに対しまして、なかなか希望に応じられない状態でございます。特に最近多くなりましたのは、地方の山村等におきまして、少くとも自分の役場と部落だけでもつなぎたいという要望が非常に多うございますが、われわれの方といたしましては、そういう電話局から相当離れております土地におきましては、電話線の設備に必要な実費を負担していただいて電話を架設するという制度をやつておりますが、相当経費がかかりますので、地方の負担としてはなかなかその負担にたえられないわけであります。また地方の町の人々といたしましては、たとえば電柱はその土地から切り出したものでもいいではないかというふうなお考えが非常に強うございますが、われわれの方といたしましては、やはり公衆通信となりますと、相当質のいい、また相当期間持つというふうな設備にいたさなければならぬわけでありまして、もしそういう地方の、いわば間に合せのような設備をわれわれの方へつなぎますと、市外通話もうまく参りませんし、いろいろなさしさわりが出て参ります。そういう意味から、今回は特定地域の設備は公衆電気通信設備には接続しないということにいたしたわけでございます。ただ一つの特定地域の公衆電気通信設備も、その隣接の特定地域と結ぶことはこの法律でも認めておりまして、そういう幅におきまして、少しはゆとりをとつたつもりでございますが、公衆電気通信と接続することは、ただいま申し上げましたような事情から、しばらく差控えたいというふうに考えております。
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○橋本(登)委員 そうしますと、こういうような実際が出て来ると思うのです。第四條の第五号でいうところの特定地域というものが幾つか連続的に出て、そして公社の公衆電信電話網と並行して——これはりくつですからりくつを言うのですが、それと並行して、そういう地区を縫つてこういうような線ができて行くという危険がありはせぬかと思うのです。それでいわゆる当局の方で公社の公衆電話と接続をしないという建前をとつたのは、二つにはこういうことがあるじやないか。実は公社としてはあまねく国民の福利のために、相当に費用がかかつても、そういう地域にも電信電話線は引かなくてはならぬ使命を持つているのだが、実際上の問題としては、予算の関係上から行つてそれができない、そういうことで、その部落だけでもお互いに用が足りるような設備によつてやらせることによつて、一応不満をなくさせよう、こういうような非常に割切れない第五号じやないかと思うのです。できればこういう第五号を置いて、特定地域は自己負担において設備をさせるのだから、ある程度の設備基準を考えて、そして公衆電話からそう距離が遠いのでなければ、少くとも接続させるということの方が、電信
電話事業を拡大して行くという上から、また国民の利益の上から行つても、その方が非常に効果的でもあるし、大衆の利便をはかるということになると思うのですが、どうもその点公社といいましようか、国営事業、公社事業の性格と矛盾する点があるために、こういうような特定の規定を設けた、こういうようなことになると思うのですが、その点について政府の御所見を伺いたいと思います。
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○田邊(正)政府委員 この特定地域の有線電気通信設備につきましては、お話のように、われわれとしても割切れない気持を持つておるわけであります。ただいまお話もございましたように、公社になりますれば、われわれとしてはこの特定地域というものは一日も早く消滅さして行きたいという考えでおりますが、なかなかそう簡單にはならないのでありまして、もうしばらくの間特定地域は、自分の村なりあるいはそのところでつくつていただく、ただ私たちとして少し弁解といいますか、言い開きと申しますかになりますけれども、いなかにおきましても、御承知のように先般来多数共同電話制度を
実施しておりますし、なお多数共同のほかに、飛地加入と申しまして、たとえばある部落で加入希望者が相当多い、しかもそれが電話取扱局から相当遠いというところにおきましては、一定の基準を設けまして、われわれの方の経費でもつて電話線を設備いたしまして、その電話を架設して参るという制度もとつておるわけであります。従つてそういうような架設工事なり、あるいは特殊加入なり、そういう制度によつてできるだけ特定地域における電話の希望に応じたいと思つておるわけでありますが、しかしこれにもやはり毎年の予算の面で限度がございますので、今度の法案におきましても、特定地域を設けまして、お話のようにわれわれとしても割切れない気持でありまするけれども、しかしこれはこの際きめた方が、やはり国民の電気通信の利用の道が広くなると思いますから、特定地域制度を認めることにいたしたわけであります。
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○橋本(登)委員 今の点ですが、新潟県の東頸城郡の牧村に有線放送区域がありますが、この有線放送区域の諸君が、できれば簡單な電話の使用をしたいというような
陳情がありましたが、今度の場合においては、この法律の上において一種の電話を認める。これはもちろん郵政大臣の許可を必要といたしますが、認めるということになると思いますが、あの場合には公衆電話が来ておるのです。それは有線放送地区として相当広範囲にあるわけですが、ああいう場合に電話を認めるということになるかどうか、その点を例をあげてお聞きいたします。
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○靱政府委員 ただいま橋本委員の御質問の点は、非常に割切れない私どもの方の案になつておりますので、強く御質問がある次第でございますが、どうも特定地域におきまする
電話施設というものは、一般に考えられるような公衆電話に接続できるような、そんなりつぱなものはできないというふうに実は私ども考えておるのであります。非常に大きい声を張り上げて言つて、ずいぶん雑音があつても、ともかく何らかその部落の連絡がとれる、そういうことも一切禁止しておるというのはけしからぬじやないかという形でありまして、かりに公衆通信にまで連絡とれるような施設がその村のどなたかの負担でできますということになりますれば、私どもの考えとしましては、電通省でありましても、公社でありましても、特に公社になりまして、電信電話公債というものができるのでございますから、もちろんそういうところにも普及して行かなければならぬ、それだけの相当公衆通信にも連絡するようなりつぱな設備であれば、私どもの考えとしてはかなり経費がかかるものだろうと思います。そこらあたりは、それだけの経費を負担していただくならば、むしろこちらの手で施設してしまうということに、実際論としては落ちて来るのではないかと思う。まつたく今橋本委員の御指摘の通り、有線放送くらいの程度で、電話の価値をともかくその部落だけの連絡にする、あるいは特別加入区域としましても、村役場なら村役場に一本電話が入つており、そこでもつて公衆通信をやつて、部落の連絡というものは、自分たちの持つたきわめて簡單な施設でやるというようなところに、実用の効果は若干現われて来るでしようが、直接結ぶということはなかなか困難である。公衆通信法におきましてPBXを自由に認めるという観念から見ますれば、そういう特定地域にりつぱな電話ができたならば、やはりそれを接続してしかるべきではないかというのが御主張の点かと思います。その点につきましてはなかなか反駁できないのでございますが、現実の問題としましては、それだけの経費を負担して、そこだけでもつて電話経営をするというようなことは考えて行きたくない。まつたくその部落の専用であるし、きわめて経費のかからない、そのかわり通話の疏通の質等においても非常に悪いものであるというような前提のもとでないと、この制度というものは解釈が困難かと思つておりますので、そういうふうに実際上は運用して行つたらどうか、むしろ相当りつぱなものをつくるだけの経費の負担の御覚悟ができておれば、そこにむしろ公社なりあるいは政府としましては若干資金を投じてでも、そういう需要に応ずるように将来して行つて、りつぱな公社施設にこれを整備して行つた方がいいのではないかというふうに考えております。
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○橋本(登)委員 実はこの問題は、今言つた公衆電話との接続ばかりでなく、他の問題にも関連があるのであります。あるいは政府当局は考えておらないようでありますが、それは有線放送法の中で、なぜわれわれが有線放送法というものを有線放送業務の運用の規正に関する
法律案というものをつくらなくてはならなかつたかというと、その一つの重要なる目的としては、この有線放送が特定の目的のものに使われる危険がある。こういうことでもつて、これに対して政治的な公正を期するために、この有線放送業務の運用の規正に関する法律というものを、電気通信設備規正の方から見ると、非常に不完全でありながらも、これを強行してつくつた理由は、そういう点があるのであります。ところが今度はこれに対して、なお電話を使つても電話的な業務を行うことができるということになりますと、選挙法では電信電話を使つて行うことは可能であります。そうなりますと、いわゆる国営事業にひとしい公社の場合においては、その電話を使うということにおいては無論公平に行われるのですが、こういう私設の、特定の人あるいは特定の団体がつくつたこういう特別区域の有線電気通信を利用して、電信なり電話でもつてその特定の人が選挙運動に使う、こういうことも可能になつて来ると思うのです。従つてこれは有線放送法でも規制できないし、選挙法の方でも規制できない面がここで現われて来るわけでありますが、こういう点を一応政府としてはお考えの上、こういう有線設備に対して私設的なものを認めて、なお電気通信業務というものを認めるということにお考えおきになつたかどうか。その点についての御意見を承りたい。場
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○田邊(正)政府委員 お答えいたします。お尋ねの点につきましても、一応考慮はいたしましたが、お話のようなたとえば特定の政党が使う、あるいはまたボス的なものの道具になるというような危険も、もちろんないとは考えられないわけであります。しかしこの法律全体といたしまして、なお
公衆電気通信法案におきまする通信の自由と申しますか、そういう点についても関連して参るわけでありまして、
公衆電気通信法案におきましては、現在電信法に規定してありますところの通信の制限、そういうものはすべて廃止することにいたしてございます。そういう関連から考えまして、この特定地域の設置につきましても、通信の制限をするということは、二つの法案の間に首尾一貫せざるものもあるように考えます。そういう意味から、一応は考えましたけれども、特定地域に設備するにつきまして、内容の制限はいたさなかつたわけであります。
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○橋本(登)委員 これは特別の法律をつくらない限りは、ちよつとむずかしいだろうと思うのですが、しかしながら一応目的としては、できるだけ僻遠の地にも電信電話の利益を自己の責任においてやらしたい、こういう意味において非常に目的としてはいいのでありますが、将来こういう点についても御研究を願いたいと思うのであります。
続いて第八條関係ですが、本邦と外国間の有線電気通信設備を公社以外のものに設置を禁止した理由、もう一つは、本邦を通過する外国相互間の有線電気通信設備は、この法律によつて規制されると思うのですが、その点についての御意見を伺いたいと思います。
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○吉澤政府委員 本邦と本邦外の場所をつなぎます有線電気通信設備を、公社以外に設置させないということの理由といたしましては、国際電気通信というものは、歴史的に見ましても、個人の施設という場合が非常に少いのでございます。大体政府もしくは政府の特許を受けた機関というようなものでありまして、それらの間柄において協定によつて設置しておりますことと、なお国際電気通信の重要性にかんがみまして、一般の私人の専用の施設としては適当でない、こういう方針から出たものであります。しかし今後公社以外の国際電気通信株式会社ができますれば、同じように公社とともにこれを設置ができるということといたしまして、施行法におきましてはそのような
修正点を考えております。しかしその他特別の事由がある場合という場合において、それを全然無視するということも公益性、かつまた実情において必要やむを得ないという場合がありますれば、但書をもちまして郵政大臣の許可を受けてこれを設置することができるということになつております。そこで本邦を通過しますところの有線というものの問題でございますが、これはこの公社もしくは会社以外には大体今後といえども予想されないのであります。かりに予想されますのは外国の個人の通信、たとえばアメリカの例をとりますれば、マツケー、RCAというような、これは無線でございますが、有線で外国通信会社というようなものができました場合においては、陸揚げの許可はこれは別途の許可として処理いたしますけれども、それと有線連絡線としての問題は別でありまして、今後といえども予想されるものは、別にこの程度の法律をもつて足りる、こう考えております。
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○橋本(登)委員 この第八條は、原則として公社でなければ設置できないという原則を明らかにしておるのですが、但し特別の事由ということでもつて開放されているわけです。そこでこの特別の事由は郵政大臣の許可で事が足りる、こういうことですが、ただわれわれが心配するのは、やはりこの電信電話というものの通信設備というものは、国内の自衛態勢あるいは国防態勢、治安態勢の上から見ても、非常に重要な役割を努めるものでありますから、従つてこれらが分散をされたり、あるいは支離滅裂な状態になるということを、議員の間でも心配をしておるのであります。しかしこの第八條によつても原則としては公社でなければできない、こういうことになつておるのですが、この特別の事由というもので予想されるもの、そういうものはどういうものが予想されるか、その点についての政府の見通しをお聞きしたいと思います。
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○田邊(正)政府委員 お答えいたします。現在この但書によりまして、郵政大臣の許可を受けて、設備を認めるいうことは、一つも考えられないわけでございます。ただ一点ございます。は、長崎に大北電信会社が陸揚げされておるのでありまして、大北電信会社は、現在
電気通信省で運用をいたしております。設備は大北電信会社のものでございますが、その設備をこちらで借りまして、運用をいたしておるわけでございます。従つてこの
有線電気通信法案の建前から申しますというと、第一條の設置ということに関連して参りますが、われわれの考えますところでは、大北電信会社の長崎における問題は、電通省が有線電気通信設備を設置しておるというふうに解釈できるわけであります。ただその点につきまして、若干の疑念がございましたので、大事をとりまして但書をつけたわけでございまして、大北電信会社以外に、今後においてこの但書の適用されるものは絶無であるとただいまは考えております。
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○橋本(登)委員 一応第八條は終つて、次の第九條関係のことでお伺いいたします。第九條関係で、設備の接続という問題ですが、接続というものと放置とはどういうふうに区別するか、またどういう場合をさしておられるかを御説明願います。
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○吉澤政府委員 この本法で設置と申しますのは、こういうふうな観念をもりて規定しておるのであります。それは設備が使用に適する状態でありまして、継続してそれを管理する状態に置くというのが設置でございます。従つて工事をするとかいうような場合は、この点は触れておりません。なお接続につきましては、同様な観点をもちまして、この両通信、有線電気通信設備が、相互間通話し得る状態に置くという物理的な継続状態をさすものでありまして、しからば設置と接続の間において、どういうようなはつきりした基準があるか、こういうことでございますが、これは大きな回線を新しく設置し、接続するということは、これは新設の部類に入るわけでありますが、非常にささいな、あるいは部分的に見ましても、小部分をもちまして両施設が通話し得る状態ということを、接続の範囲ということに考えております。しかししさいなる点につきましては、社会通念をもちまして、この法の精神を十分に解するように適用して行きたい、こういうように考えております。
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○橋本(登)委員 この設備の接続の第九條の中で、天災、事変その他の非常事態が発生した場合、この場合におけるところの接続の判断、これは特に郵政大臣の認可を必要としておらないようでありますが、その判断は、だれがどういう立場において行うことを予想しておられるか、その点についての御説明を願いたい。
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○吉澤政府委員 この第一号の天災、事変その他の非常事態におけるときの判断はどうするか、だれがやるか、こういり点でございますが、この法の意図しておりますのは、このような天災、事変その他の非常事態というのは、客観的にだれもが現実にわかる問題であるということを前提といたしておりますために、この接続される相互間の、お互いがこれを認定する、そうして接続をさせる、こういうように考えておりまして、特別に監督官庁あるいはその他の機関がこれを認定するということを考えておりません。但しそのような場合におきまして、次の二号でございます。十五條一項の規定による命令という場合におきましては、郵政大臣が認定しまして、命令を下す、こういうように考えております。
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○橋本(登)委員 そうしますと、第十五條一項の郵政大臣の命令、これは天災、事変その他の非常事態に対するもののようですが、そうでない、一項の場合は、これは第二項というのは、第一項を受けての意味ですか。それとも独立した項目として解釈されますか。その場合、天災、事変その他の非常事態とありますが、その天災というものは、一戸の家が焼けても天災に違いない、そういうものまで考えておられるのかどうか。この点ちよつと御説明を願いたいと思います。
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○田邊(正)政府委員 天災、事変という言葉の意味でございますが、ただいまお話の一軒のうちが焼けたという場合は、天災とは考えておらないわけであります。また事変という内容につきましても同様でございまして、たとえばある小さい町で何と申しますか、ごたごたが起つたというような場合には、事変とは考えないわけであります。やはりこれは社会通念によりまして天災、事変、あるいは社会通念と申しますか、それとも常識的な判断と申しますか、そういうふうな内容を天災、事変に含ましておるというふうに考えております。
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○橋本(登)委員 そうしますと、実際上は第十五條第一項の規定と第二の規定とは、関連性を持つておるように考えられるのですが、実際上の誤解を防ぐためには、その点を連絡して規定された方がよかつたかと思うのであげますが、この点はこの点だけにしておきます。なお四項目の「有線放送設備を接続するとき。」この場合は有線放送の設備は二及び三の場合を言つておるのでありましようが、その場合に距離とかいうものを考えておられないのか、そういうような地区を設けた場合は、たとえば一里、二里離れておつてもそういう場合の接続というものを認めるのか。その点の御説明を願いたい。
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○吉澤政府委員 有線放送設備の接続につきましては、一応この九條をもちまして許しておるのでありますが、それはその接続する場合百におきましても、おのずから技術基準がきめられております。従つてあまり遠距離で接続するという場合におきましては、技術基準の方から非常に困難である、こういうふうに技術問題におきましてそういう場合を具体的に考えて行きたい、そう考えております。
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○橋本(登)委員 第十條の規定ですが、第十條の第五項目になりますが、公社以外のものが設置した有線電気通信設備の目的外使用を、これでは別に制限をしておらないようでありますが、特に制限する必要がないかどうか。その点についての御答弁を願いたい。
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○吉澤政府委員 目的外使用につきましては、法文上明らかに制限をした規定がございません。しかしこれは目的外に使うということは不法な施設である。従つてこの法律におきますところの設置條件ということに違反であるという点におきまして、その方で取締るということで、ここではその目的外使用について規定を欠いておる次第であります。
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○橋本(登)委員 第十一條関係、今度の有線電気通信法は、先ほど申しましたように非常に画期的な、開放的な規定ですが、そこで第十一條の有線通信設備、これが技術基準の問題は、非常に重要な意味を持つて来るわけであります。この技術基準を政令で定めることになつておるのでありますが、これについての方針、技術基準がなぜ必要であるかどうかという問題と、はたして現在の技術基準で十分であるかどうか。もちろん今度の政令によつて定める場合においては、より嚴格な規定になるようでありますからして、現在では不十分であるという見解のもとにできておるようでありますが、それらについてこの開放された規定を運用される場合においては、技術基準が最も重要なる根拠をなすのでありますからして、これらについての内容の御説明を願いたい。
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○吉澤政府委員 おつしやいますように、本法におきましては技術基準が生命でございます。従つてこのきめ方いかんということが、重要なる問題であることは申すまでもございません。しかしこれを政令に譲りましたのは、電気通信のごときものは日進月歩で、技術は非常に進歩して行くのであります。のみならずこの点につきまして、この規定その他につきましては純然たる技術的なものでありますために、その事情に即応し、かつまた精密なる技術基準を定めたいということでありまして、関係各省の意向も十分その辺で織り込みたいという意味で、政令に讓つたわけでありますが、しからばただいまどんなふうな進入方において政令できめておるのかというお話でございますが、実はこの技術基準につきましては、必要以上の義務を課さないということであります。十一條に列記してあります通り、他の通信に妨害を與えないということと、さらに人体もしくは物件に損傷を與えない。この必要最小限度の基準のもとに、おのおのの専用施設が自分で必要とするところの標準技術、それ以上で自由にきめてもよろしいということでありますからして、一般にこれを強硬な規定として、必要以上に高い標準で技術基準を定めるという意味はございません。そういうふうな意味で技術基準をきめて行きたいと思います。この技術基準のきめ方につきましては、主として国鉄とかあるいは
電気通信施設とか、当省及び当省等に準ずるような技術基準をきめているところがございます。そういうところにつきましては、自由にこの政令におきまして、その必要とする技術基準に開放をするということも考えますとともに、またこの技術基準を必要としないというようなものも、政令において省きたいということも考えまして、今日草案をつくりつつありますのは、相当内容は大部であります。ただいま手元に詳細なものを持つておりませんが、もしも詳細について御説明する必要がございましたならば、次の国会のときに詳細な資料をもつて御説明したいと考えております。
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○橋本(登)委員 この技術基準と関連して次の項目でありますが、設備の検査等がありますが、検査もしくは技術者の資格あるいは担当者の経済的な資格等の問題が、他の條文に関係して来ると思うのであります。そこで今度の電気通信法及び公衆電気通信法で、相当に従来の国営事業であつたものからして、民営関係においてもこれを行うことができるとなりましたために、一応この施設関係については一般に開放せられた、こう言つていいと思います。特にPBX関係においては、相当複雑な設備が、公社はもちろんできるけれども、一般業者もこれを行うことができるという規定が、公衆電気通信法ではできておるわけでありまして、従つて電話の末端に至るまで、従来のような独占事業から開放されたわけでありますが、それにはもちろん公衆電話というものに悪影響を與えないということが前提條件であります。従つて今まで国営でありました公社でやつておつた場合においては、通信及び電話の能率か非常によかつたが、それが今度は民間に開放せられたために非常に障害が多くなる、こういうことであつてはこれは逆行することになりますので、その点がわれわれ審議の上においても非常に重要な段階にあるわけでありまして、従つてこの技術基準の問題及び検査並びに業務担当者及び技術者の資格の問題、これらが非常に重要な問題であろうと思うのです。單に原則的に技術基準を相当に高いところ及び嚴格なところにきめましても、それを施行するいわゆる担任者あるいは技術者が非常に質が低下しておつて、そうしてせつかくの技術基準に適合することができない。このために改修命令を受ける、こういうことが再三行われておつたのでは、結局においては能率が上らないし、経済的に見ても非常に不利益をこうむるわけでありますが、こういう一連の関係について、当局においてはもちろん、公衆電気通信法の建前からいえば、公社がこれらの検定についても郵政省からして委任を受けることになつておるようでありまするが、具体的にいえば、こういう問題をどういうぐあいに指導し、監督し、あるいは技術基準といいましようか、そういう内容をあげて行くおつもりであるか。この点についての御説明をお伺いいたします。
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○田邊(正)政府委員 お答えいたします。第一に設備基準につきましては、公衆電気通信法にも書いてございますが、公衆電気通信法の設備基準は、これはいわゆるPBXあるいは専門線の端末設備、そういう方面についての基準でございまして、PBXないし専用線の端末設備は、公衆電気通信系の一環を構成するわけでございますので、従つてその技術基準は、この
有線電気通信法案における技術基準よりもさらに高度のものでなければならないわけでございます。
公衆電気通信法案の技術基準は今申し上げた通りでございますが、なおそのほかに工事担当者の資格というものも、郵政大臣の認可を受けてきめることにいたしております。そういうような次第でありまして、PBXあるいは端末設備のような公衆通信系の一環をなすものについては、その通話の施設を十分に保持して参りたいと考えております。
次にこの
有線電気通信法案における技術基準でございますが、これは第十一條にございますように、もつぱら保安上及び傷害の防止上、その二点から最小限度のものにとどめたわけであります。それは第一には有線電気通信設備を施設する人の経費をできるだけ少くするということであります。もちろん有線電気通信設備を施設する人が、いい質の通信をほしいということはわかりまするが、しかしそれは必ずしもそういう施設をする人の希望ではございませんで、とにかく話ができればいいのだというふうな施設者も相当あるわけであります。その意味で第一に施設の経費をできるだけ安くするというような意味で、技術水準をほんとうに保安上及び通信の妨害の防止上、必要な最小限度にとどめたわけであります。
次にこの有線電気通信設備についての技術の担当者あるいは工事担当者の問題でございますが、この法案全体の考え方は、できるだけ施設者の自律にまつという考え方を第一に方針としてとつておるわけでございます。従つて届出あるいは許可というものは最小限度にいたしましたが、しかし責任は持つてもらいたい、施設者において十分なる責任を持つてもらいたいというふうな自治的と申しますか、自律的と申しますか、施設者におけるそういう心構えを、われわれはこの法案をつくる一つの指標といたしたわけであります。従つてこの法案におきましては、
公衆電気通信法案とかわりまして、施設者、工事担当者あるいは技術者につきまして、何らの制限も設けなかつたわけであります。ただ、ただいまお話がございましたように、施設者がまずい工事担当者あるいは技術者に設備をしてもらつて、その結果、話もできないというようになつて、かえつて経費がよけいかかるというふうなことも、むろんあり得ることでございます。こういう点につきましては、われわれの方といたしましてはできるだけ指導して参りたい、設備をいたします場合に、届出につきましても、事前届出をしてもらいまして、技術的な指導を加えるということにいたしてございます。なおその以外につきましても、できるだけ施設者の相談を受けまして、下手な工事担当者によつて不測の失費をこうむることのないようにいたして参りたい、さように考えておるのであります。
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○橋本(登)委員 公衆電気通信法の場合は、あとで質疑をいたしますから、その関係の業務内容、建設内容はあらためて御質問することにして、一応次の條項に入ります。
第十二條で検査の権限、検査の問題がありますが、この検査の権限は犯罪捜査のため認められたものでないということに、もちろんなつております。しかしその場合検査吏員がそういう犯罪事実を認めても、この條文の上においては、これを告発する義務があるかないか、この点についての御説明を願います。
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○吉澤政府委員 この検査につきまして、この権限は犯罪捜査のために認められたものでないということは、憲法第三十三條との関係におきまして、この点をはつきりしておく必要があつたからであります。しかしこの犯罪捜査権というものにつきましては、おのずから刑事訴訟法の規定がありまして、それに適応する場合におきましては、おのずからその権限がある官庁及び権限を委任されるものによつて行われるものと思いますが、郵政大臣及びその命を受けるものにつきましては、刑事訴訟法関係につきましては、ただいまのところ予想できません。
ただいま言い落しましたが、告発の義務ありやいなやということでございますが、公務員法によつて、郵政大臣及び郵政大臣の命を受ける公務員は、犯罪の事実があつた場合においては、告発することを義務づけられております。その意味におきましては、告発の義務を履行することになるわけでございます。
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○橋本(登)委員 第十四條関係で、有線電気通信設備の設置の場所の全部が特定地域に該当しなくなつても、その許可を五年間存続させることになつておるようですが、その理由、及び特定地域に該当しなくなつたが、許可の取消しがあるまでは、その設備についてその後における新しい接続、他人使用等は許可する方針かどうか、その点の御説明を願いたい。
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○吉澤政府委員 この特定地域を認めました理由につきましては、先ほど田辺政府委員から御説明があつた次第でございまして、この特定地域はできるだけ早期になくして、今後公衆通信をできるだけ拡充して行くというのが公社の方針でございますために、特定地域でありましても、公社の線が拡張されることになれば、ただちに特定地域でなくなるということになります場合には、他動的原因によりまして、せつかくつくつた施設が取消しあるいは失効するということは酷に過ぎるために、五年間の猶予を與えまして、その間において設備を回収するなり、あるいはその措置をさせるということの余裕期間を持つた点でございます。
次にこの特定地域でなくなつたという場合においての許可を取消す場合におきましては、これは五年間たてば自動的に許可を取消すのでありませんで、こちらの郵政大臣がその事実を認めまして、しかも五年間たつたというときに、初めて許可の取消しの行為をして取消されるのでございます。なおこの特定地域でなくなつた以後五年間の期間におきまして、特定地域であると同じ効果をもつて、本法にきめてありますところの接続あるいは他人使用ということができるかというお話でございますが、これは特定地域でなくなつたその日から、そのような特定地域であるところの條件に合するところの接続あるいはその他の処置はさせない、ただ過去のものにつきましては、既得権を尊重して行きたい、こういうふうに考えております。
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○橋本(登)委員 次の非常事態における通信の確保ですが、この第十五條の先ほど来お聞きした点であります。この場合における非常事態という言葉ですが、これはもちろん総理大臣の非常事態の宣言というときの非常事態というものとは、その範囲といいましようか、事態が異なるものと解釈はしておるのですが、しかしどうも非常事態という言葉を使つてありますことは、それではどの程度のものを郵政大臣の考える非常事態とするのか、その点も法律的な言葉といいましようか、そういう意味で非常にあいまいな点があり、この非常事態の事態を認定するのが、この條文の上から言えば、郵政大臣がこれが非常事態である、こういうように認定になるようでありますけれども、総理大臣のいう非常事態の宣言というものと、ここでいう郵政大臣の「非常事態が発生し、又は発生するおそれがあるとき」、こういう認定の対象の内容の問題ですが、この点については、いささか言葉の上においても誤謬しやすい点があろうと思つておるのですが、これについての当局の研究し、または処置しておる内容を御説明願いたい。
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○田邊(正)政府委員 第十五條の非常事態が、
内閣総理大臣の宣告いたしまする非常事態宣言とどういう幅になるかというお尋ねでございますが、これは場合によりまして、いろいろあると考えるわけでございます。ただ一般的に申しますと、第十五條の方が若干天災あるいは事実の非常時性と申しまするか、それの程度が少いのではないかというふうに予想いたしておるわけであります。それから次に、なお具体的に天災、事変その他非常事態について、どの程度のものを予想しておるかというお尋ねのようでございますが、第十五條を設けました趣旨は、これは
電気通信省で行つております公衆電気通信が使えない場合というふうな場合を、われわれは想定いたしおるわけでございます。公衆電気通信が、こういう緊急な通信を普通にあるいは十分にはける場合におきましては、これを発動する必要はない。従つてこれが発動されます場合には、天災あるいは事変が相当広範囲にわたりまして、公衆電気通信設備も相当被害をこうむる、そういう場合であろうと考えているわけであります。
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○橋本(登)委員 どうもこの点は言葉の上で同じような言葉を使われるために、非常に誤解が生じやすいのじやないか。総理大臣のいう非常事態宣言というのは、治安の維持のため特に必要があると認めるとき、一応こういう前提はあるのですが、しかしこの場合でも、第十五條の非常事態の場合でも、こういう意味の内容が部分的ではあつても、場合によつては部分的な場合がありますが、こういう場合をやはり想定しておるのじやないか。天災、事変というものを特別にあげて、「天災、事変その他の非常事態が発生し」と、こうなつていますから、必ずしもこの天災、事変そればかりではなくして、あるいはそれに伴つて起る場合もありましようが、天災や事変とは全然切り離して、そうして別個の特別事態が発生するということを予想し得る、こういう文句だろうと思うのです。従つてこういう場合において、非常事態というものを郵政大臣が、この場合においては電気通信設備の上においてのみ、この非常事態というものを考えておるのか、あるいはしかしまだ「発生するおそれがあるとき」となつていますから、この通信法の建前から言えば、有線電気通信設備に関してのみこういうことを考えて、非常事態ということを考えておられるのか、あるいは他の場合を考慮してそういうものが考えられるか、あるいは郵政大臣がこの場合の非常事態を認定する場合に、他の機関においてそういうものが協議をなされ、あるいはそういうことについての事前の打合せというものが考えられるかどうか。あらゆる場合においてのやり方があるでしようが、少しこの非常事態という言葉が強過ぎはせぬかというような感じもするのですが、一応もう少し内容についての御説明を願いたい。
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○田邊(正)政府委員 ただいまのお尋ねは、郵政大臣が第十五條によりまして、有線電気通信設備の施設者に対して命令を発します場合は、有線電気通信設備だけに着目して発するのか、あるいは
内閣総理大臣の発しまする非常事態の宣言というふうなものとの関連において、本條の命令を発するのかというお尋ねかと存じます。天災、事変と書いてございますが、天災につきましては、たとえば地震とかあるいは津浪とかいうふうな場合におきましても、こちらが、公衆電気通信設備が非常に障害をこうむつておる、そうしてその情報なりあるいは救援の通信なり、そういうものを運ぶ場合に、どうしてもこの有線電気通信設備を利用しなければならないというふうな判断をいたしました場合におきましては、これが発動するというふうに考えておるわけであります。
なおお尋ねの第二点の、郵政大臣がこの命令を発します場合に、ほかの機関と相談するかどうかというお尋ねでございますが、この点につきましては、場合によつていろいろだろう思いますが、予想いたしますことは、天災あるいは事変の場合におきまして、むしろほかの機関と連絡ないし相談する余裕がない場合が多いではないか。従つて郵政大臣は、天災あるいは事変の場合におきまして、十分な通信を確保いたしますために、どうしてもこの十五條によつて、命令を発しなければならないというような判断をいたしました場合には、ただちにその命令を発する、そうして緊急な通信だけ特にその確保に力を盡すというふうに考えております。
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○橋本(登)委員 まだ少しこの非常事態の内容について究明が不足のように思うのですが、この場合は、こういう場合も具体的にはあり得るのじやないかと思うのです。たとえば集団的な暴行といいますか、そういうものが行われた場合に、公衆電信などは阻害せられるというふうなことも起り得ると思うのですが、そういう場合において、あるいはそういうことが予想せられる場合においては、他の有線電気通信設備を利用する、こういうことが考えられるのじやないかと思うのですが、そういう点をある程度はこの非常事態の一つに考えて、これができておるのかどうか、それとも天災、事変というものに関連しての非常事態だけを考えておるのであるか、法文の上から言うとそうではないと思うのですが、この点についてもう一度御説明願いたい。
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○田邊(正)政府委員 ただいまお話の暴動という点につきましても、たとえばある町あるいは市におきまして暴動が起つた。そうして公衆電気通信設備がみなこわされてしまつたというふうな場合におきましては、第十五條によつて重要な通信、その暴動の連絡なり、あるいは通知なり、そういうことをすることができるという場合におきましては、発動を予想いたしておるわけであります
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○橋本(登)委員 次の第十六條の、有線電気通信の秘密の保護ですが、これは大体内容としてはどういうものを考えておられるか。また通信の秘密ということは昔の考え方で、今日は通信上の秘密というものは、原則としてないと言つていいと思うのですが、一応こういう項目を設けた理由並びに内容について御説明を願いたい。
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○吉澤政府委員 通信の秘密を侵してはならない、これは憲法において規定しておりますために、わざわざこういうところで宣言的にうたう必要はないじやないかという説もあるのでありますが、この有線電気通信法におきましては、やはり通信の秘密というものをここにはつきりしておくという必要のために、憲法の條項を、おおむ返しながらここに規定したわけであります。但し第十六條におきましては、公衆電気通信の通信の秘密につきましては、公衆電気通信法においてその所要の規定を設けておりますために、括弧を設けまして、それを除いた公衆通信以外の有線電気通信の秘密を侵してはならないということに、この法條は限定した條文になつております。その場合におきまして、通信の秘密とはどういうものであるかということにつきましては、これは従来の観念におきまして、現在の電信法及び無線電信法その他判例によりまして、大体その内容が今日まで限定されております。たとえば通信を特に聞く意思をもつて聞いて他に漏らすとか、あるいは秘密を他人に伝えることによつて何か自己が利益を得んとする、こういうようなことでございまして、その秘密の範囲につきましては、おのずから内容が限定されておるのであります。
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○橋本(登)委員 この秘密の意味の中には、他人の通信設備を盗用する、こういうことも含まれておると思うのですが、通信内容を侵すとか、そういう問題は、もちろん憲法の上においても規定されておりますから、いかぬのでありますが、窃用するといいますか、そういう場合もこの中に含めておると解釈してよろしいのか、それをお尋ねいたします。
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○吉澤政府委員 窃用もしくは盗用してこれを使用するという場合のことも、もちろん含んでおります。
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○橋本(登)委員 大体有線電気通信法についての質疑は、各條についても終りたいと思うのですが、最後に條約上の罰則ですが、これは海底線の国外部分、すなわ公海にある部分に対してなされた日本人の犯罪行為について條約の罰則が適用されるものであろうと思うのですが、この法律は、海底線の日本国内にある部分についてなされた犯罪行為について、日本人たると外国人たるとを問わず、適用されるものと考えるのですが、その点についての御意見をお伺いいたしたい。
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○吉澤政府委員 海底線の保護條約におきます問題はあとにいたしまして、この法律は日本国民及び外国人にも適用されるかということでございますが、これは一般にこの法律の適用という中身と同一に扱われるものであります。やはり外国人といえどもそれによつて適用を受けることになるのであります。
その次の海底線の保護條約の問題でありますが、これは今日まで有効でございまして、公海においてその保護は当然認められます。しかもそれを侵したものに対しては、その條約によつて罰せられるということになつております。
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○橋本(登)委員 この
有線電気通信法案に対して、国有鉄道からの
陳情もありますが、その
陳情は、第一が電信法で鉄道の事業については施設することを認められておる私設通信設備が、公衆通信設備を専用することができない場合でなくては認められない、こういうふうになるような危険があるというので、その点を心配しているようであります。この点についての御所見を伺いたい。
第二は、信号の定義において、鉄道信号保安設備等、踏切道の保安設備等を包含するようになるようでありますが、これについての御所見もお伺いいたしたい。
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○吉澤政府委員 運輸省とは、立法の当初から今日まで、なお今後政令をつくる場合において密接に連絡をいたしまして、ほとんど運輸省としての意見はいれたような形になつております。ただいまお話の公衆通信設備が利用できる場合は、この鉄道専用線は設置できなかつたということは、当初立法の過程におきましてはそういう意見がありましたが、この法律におきましては、公衆電気通信があろうとなかろうと、鉄道専用の通信施設であれば、届出なくて自由にできる、こういうことになりまして、その点は明らかになつております。
第二の信号の点でございますが、これは、この法律におきまする信号について準用している條文がございます。それは第十九條でございますが、この信号設備は、有線電気通信設備でない。しかし信号につきましても、技術基準を守るべき分野がある。あるいは他に妨害を與えるという場合においては、それを除去し、改修する必要あるために、必要な條文をこの第十九條をもちまして準用しておるわけであります。従つてこの準用の中に国鉄の信号線をどういうふうに含むかということでございますが、これにつきましては、目下十一條の政令と同様な意味におきまして、十九條におきましても、信号設備中真に国鉄だけの利用であり、かつまたその技術基準が国鉄内部において当然責任をもつて事業の保護の上からやつているものにつきましては、なるべく政令をもつて除外してかかりたいという話合いのもとに、今後政令をつくつて行く予定でおります。
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○橋本(登)委員 そうしますと、国有鉄道の
陳情は昨年二月の古い書類になつておりますから、あるいはその後打合せによつてかわつているのかもしれませんが、この点については十分な打合せが行われて、今日においてこの
有線電気通信法案については国鉄及び運輸省においては何ら異存がない、こう考えてよろしいか、この点を伺います。
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○吉澤政府委員 ただいま申し上げました通り、この法律の点につきましては全部了解を遂げております。ただ政令その他、信号につきまして技術基準をどう定めるかということにつきましては、今後話合いで行こうというような点にただいま話合いが進められておりまして、おのおの両者の意見がほとんど一致した点に行くだろう、こう考えております。心配はないものと思います。
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○橋本(登)委員 私の本日の
有線電気通信法案に対する質疑はこれをもつて終了いたします。
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○
高塩委員長代理 ほかに御質疑ございませんか。——なければ、本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
午後三時二十九分散会