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1952-05-30 第13回国会 衆議院 電気通信委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月三十日(金曜日)     午前十一時十二分開議  出席委員    委員長代理 理事 高塩 三郎君   理事 橋本登美三郎君 理事 長谷川四郎君    理事 松井 政吉君       井手 光治君    加藤隆太郎君       辻  寛一君    中村  清君       福永 一臣君    畠山 重勇君       石川金次郎君    田島 ひで君       稻村 順三君  出席政府委員         電気通信政務次         官       平井 太郎君         電気通信事務官         (業務局国際通         信部長)    花岡  薫君         電気通信事務官         (経済局長)  横田 信夫君         電気通信技官         (施設局長)  中尾 徹夫君  委員外出席者         電気通信事務次         官       靱   勉君         專  門  員 吉田 弘苗君         專  門  員 中村 寅市君     ————————————— 本日の会議に付した事件  日本電信電話公社法案内閣提出第二一二号)  日本電信電話公社法施行法案内閣提出第二一  三号)  国際電信電話株式会社法案内閣提出第二一四  号)     —————————————
  2. 高塩三郎

  3. 田島ひで

    田島(ひ)委員 この公社法案の第三條の二項の「公社は、前項の業務の円滑な遂行妨げのない限り、委託により左の業務を行うことができる。」という点の御説明ですが、この委託というのはその次に四箇條出ておりますが、その内容ちよつと御説明いただきたいのです。どういうのを委託というのか、今まで電通省ではそれをやつていなかつたのかどうか。
  4. 横田信夫

    横田(信)政府委員 委託と申しますのは、御承知のように電信電話については、日本では公衆電気通信を扱つております現在で言いますと電気通信省が、電信電話の大部分をやつておる関係上、そのほかにも御承知私設專用電信電話、そういうようなものもあるわけであります。ところが非常に大部分をやつておりますために、いろいろ権威者が集まつておるというようなこと、なおいろいろな企画の問題とか、そういう関係で、こういう問題についてはわれわれが委託を受けてやつた方がいい場合があるわけであります。現在も特別会計におきまして、やはりこういうことができることになつております。現在も委託によつて公衆通信業務遂行妨げない限りやつておるわけであります。もし実例が必要でありますれば、御承知私設としてたとえば八幡製鉄所区域内における專用通信施設、そういう場合にその中の設備保存についてこちらに委託する。これは現在委託はしておりません。今は向うでやつておりますが、頼まれた場合に、こちらでさしつかえなければやつてよいということでございます。それから私設の專用の中に、御承知PBX構内交換機については、交換手は当然会社の方でお雇いになるわけでありますが、その私設交換に従事いたします交換手の訓練というような問題につきましては、こちらの方に委託されればこちらの方でやる。これは現在やつておりますが、これがよくなることは、一般公衆通信業務もそれに即応してよくなるという半面の利益もある。そういうことでありますので、そういう場合にはむしろやつた方が一般的に公衆通信業務にも好影響を及ぼす、こういうことが考えられるわけであります。そういう場合、公衆通信がさしつかえない限りにおいてはやつてよろしいという規定を設ける、こういう趣旨であります。
  5. 田島ひで

    田島(ひ)委員 そうしますと私がお伺いしたいのは、行政協定によりまして、米軍施設に対しての委託どもやはりこの條項によつてすることができるのか、またするようにするのかどうか、この点を伺いたい。
  6. 横田信夫

    横田(信)政府委員 この三條は公社の方の権能の幅をきめたものでありますので、進駐軍の場合においても、こちらの方の公衆通信業務に支障がない限りにおいて、たとえば通信機器調弁をこちらへ頼むという場合に、こちらの方がさしつかえないと思えばできる。この幅に当然入つて来ることは入つて来るわけであります。
  7. 田島ひで

    田島(ひ)委員 その場合は郵政省を通じてなされるのか、それとも直接公社になされるのか、その点を伺いたい。
  8. 横田信夫

    横田(信)政府委員 これは行政協定の細目の設定の仕方でありまして、先般もお話がありましたが、今回の建前では、施設区域内におけるものについては向う側でこれを直接調弁にするか、あるいは日本政府側を通じてこちらに頼んで来るかということについての判断を、向うがし得ることになつております。それに即応して行政協定をどうするかという問題であります。その場合必ず政府を通すか、あるいは直接にこちらへ申し込まれた場合に、公社の方がさしつかえないと思えばやるかということは、今後の行政協定の問題でありまして、ただいま電気通信省は直接事業担当者としてやつております関係上、現在は同一になつておる。それが公社ができた後に、必ず政府機関を通じて来るか、あるいは直接公社に申し込まれてもよいようにするかということは、今後の問題であります。
  9. 田島ひで

    田島(ひ)委員 それは第七十七條郵政大臣監督上必要な命令をすることができるという條項に関連して、やはり郵政省を通してやるのか、それとも直接要求されるかということが決定されるのか。私今日の朝日新聞を見ましても、これは電通関係ではございませんけれども行政協定第十二條の直接調達の問題が取上げられております。これは最近ずつと問題になつておりますので、おそらく電通省関係にも影響するだろうと思いますが、これによりますと行政協定に対する不備の点から、いろいろな物資とか、その他の施設とか、労務に対する米軍側調達は、おそらく政府の今おつしやつた返答とは違つた意味で、向うが自由に向うの権限でやられる結果になつていると思います。これはおそらく今後大きく問題になると思いますが、そういう点からはたして今後通信関係だけが、なお合同委員会なり何なりの協議の上でこれを決定できるものか。たとえば米軍要求がありましたときに、公衆サービス妨げとなるという理由で公社が断りました場合、第七十七條の「監督上必要な命令をすることができる。」という意味で、郵政省監督権を発動しまして、それを左右することができるのかどうか、これはちよつと私には理解しかねる点なのですが、その点をもう少し明瞭にお答えいただきたい。
  10. 横田信夫

    横田(信)政府委員 七十七條の「公社に対し監督上必要な命令」と申しますのは、そこに書いてありますように「第一條規定する目的を達成するため特に必要があると認めるときは、」という意味でありまして、第一條の「公衆電気通信事業の合理的且つ能率的な経営体制を確立し、公衆電気通信設備の整備及び拡充を促進し、並びに電気通信による国民の利便を確保することによつて公共の福祉をを増進することを目的として」という範囲に限られた監督命令であります。従つて駐留軍に対するサービスについては、やはり駐留軍もある意味においてお客さんであります。そういう公衆通信業務一つとしての場合につきましては、やはり第一條目的の中に入る問題もあるかと思いますが、公社自身がその業務の円満な遂行妨げのない限りにおいて、以上のようなことをすることができるわけで、今のお話の元来公社仕事ではない問題について監督命令を出すということは、監督命令の精神ではないと考えます。
  11. 田島ひで

    田島(ひ)委員 横田政府委員の御答弁ではまだちよつとわかりませんけれども、もう一つ四十條の終りの方に「予測することができない事態に応ずることができる彈力性」ということにはなつておりますけれども、これはたしか政府の方の御説明では、緊急偶発事態に応じ得る彈力性という説明がなされていたと思うのであります。これはたとえば戰争が起きたとか、あるいは国内に問題が起きたというようなことを意味するのかどうか、その点を伺いたい。
  12. 横田信夫

    横田(信)政府委員 前々から御説明いたしましたように、これは事業予算でありますので、事業予算が今の消費会計予算のように非常に固定性を持つということは、事業本質に沿わない。元来この予算は基準的な予算である。要するにこれはお客さん相手仕事でありまして、われわれとしてはサービス提供してそれによつてお客さんから合理的、妥当な料金をいただくという事業であります。従つてマーケット需要の急激な増加、あるいは経済事情変動というようなことがありますれば、おのずから経費がいることは当然であります。そういう意味におきまして、收入範囲内で支出がふえて行くということは当然であろうという意味事業予算彈力性でありまして、お話のような戰争が起きたからどうするという問題は、今の事業としてのお客さんの幅でサービス提供の量が多くなつて收入がふえる、その範囲内において事業量がふえて行く分が一部あるかもしれませんが、全体的には戰争という事態に対する彈力性は、当然事業予算本質からはすぐ出て来ない。お話のようなそういう大きな事態に対しては、また予算の必要な場合においておそらくこの事業收支関係を離れてというような問題が起きるのじやないか。收支関係を離れた彈力性ということは、この事業予算本質ではないわけであります。收入に即応する事業支出彈力性事業予算本質であろう、こういう意味であります。
  13. 田島ひで

    田島(ひ)委員 私がお伺いしていることは、ちよつと今の御返答では理解できませんけれども、そうすると政府の御説明では、「予測することができない」つまり緊急偶発事態というのは、その上に書いてあります「需要の急激な増加経済事情変動」という意味をいうのでありますか。そういたしますと、たとえばこれは直接の日本戰争ではありませんが、朝鮮事変によつて大きく経済界変化して行く。また当時占領軍に大幅に施設サービス提供して行くという過去の実績があります。そういう点からいたしましてこれは大きく考えればやはり戰時状態であります。そういたしますと日本電通事業は、本来軍事的な性格を大きく持つてつくられたものであつて、その後それによつて非常に左右されて来ておりますから、公社になつてもやはりこういうときにはこれに左右されることになるのではないかと思います。そういう意味を含んでこういう規定がなされているのじやないか。公社になつたところで一旦戰争とかなんとかいう問題が起きますれば、予算の面でもすべての面が彈力性があるとなれば、そちらの方になおさら大幅に優先的に左右される結果になるのじやないか、そういう点をはつきりここに規定しているのじやないか。今の政府委員の御説明内容はちよつとわかりませんけれども、たしか市場の変動とか経済事情変動を予測することができない事態というふうに御説明なさつていると思いますが、そういうものもありましようけれども、もつと大きな戰争などによつて左右されることが起きるのじやないか、それがここに含まれているのじやないかということを私はお聞きしているのです。
  14. 横田信夫

    横田(信)政府委員 この法文には「需要の急激な増加経済事情変動その他予測することができない」と書いてありますが、法文の書き方というものは、御承知のように例示いたしましたもののあとに「その他」と書いておいた場合は、これに準ずるような場合という意味が普通の解釈になつておりまして、われわれの考えももちろんそういうことであります。今お話のように、たとえば朝鮮動乱がほかの国に起つた、あるいは東南アジアに幾分の内乱あるいはそのほかの幾分変動が起つて、それによつてわが国にいろいろ注文が来るというのは、やはり経済事情変動にはなります。そこから間接に国際関係通信サービス要求が多くなつて来る。われわれの方は通信サービスの方の関係でありまして、通信サービスというのがわれわれの方のマーケットでありますので、その原因はいろいろあるでしようが、通信需要がふえて来るという場合において、その通信需要に即応する事業としての彈力性を持つことは当然考えられるわけであります。ただお話予算彈力性というものは、日本自体についての軍事的目的前提にした事業予算彈力性という意味では毛頭ございません。
  15. 田島ひで

    田島(ひ)委員 重ねてお伺いいたしますけれども、もしそういう事態に立ち至つたときにはどうなるか。やはりこれが適用されるかどうかということを私は聞いているのです。というのは、今度の朝鮮事変に大きく左右されているばかりでなく、今度の戰争中にやはり国家財政の制約の点だ、予算面軍事的方面に大きく制約された結果、今日こうなつた国営の結果こうなつた政府説明しておられますけれども、もしそういうときに適用されるとすれば、国営よりも彈力性を持つておるために、より一層戰争の方に影響させられて行くのではないか、そういうときにも適用されるのかどうかということを私は聞いておるのです。
  16. 横田信夫

    横田(信)政府委員 今のお話の点は、こういうことではないかと思います。たとえば建設資金の問題ですが、今まで電気通信設備は、需要に対して供給力が非常に不足だつた。根本的には基礎設備を増強しなければならぬ。基礎設備を増強するには、建設資金が相当多量にいる。この資金は従来国家資金によつてまかなつてつた。今後も国家資金に依存する度合いが相当多いだろう。これは当然考えられることでありますが、その国家資金に依存するという問題については、全体の政府資金の使途として、これは経済情勢もあるでしようし、あるいは国内治安保持の必要もあるでしようし、いろいろな幅において、政府資金というものは配分されて来る。その配分の率において、この電気通信設備基礎設備に投下される金額が、従来諸種の関係で安定もしなかつたし、十分でなかつたということはたびたび申し上げたわけでありますが、その政府資金の幅というものが、この四十條の予算彈力性から当然来るのかというお尋ねのように考えます。もちろん事業予算彈力性というものは、その政府資金の貸出しのわくまでが、これによつて動くものでは絶対ありません。これはあとで別途わかりますように、この政府資金借入れ限度というものについては、予算はつきりきまるわけであります。この彈力性というのはそういうものではなく、事業でありますので、先ほどからお話いたしますように、サービス提供してお客さんから料金をいただく。その料金によつて事業運営の幅も広がる。そこから間接的に損益勘定の方に幾分剰余金が出て来ますならば、これをさらに建設に投下することはできるわけであります。四十條の趣旨はそういう意味におきまして、事業運営の幅、いわゆる損益勘定の幅が非常に彈力性を持つて来る、こういうことが前提になるわけであります。それから建設方面におきましても、御承知のように今政府資金以外に、加入者の方から負担金をいただいております。先般も御説明いたしましたように、その負担金は、基礎設備があつて、その先に端子函がある。端子函からお客さんの加入電話をつけるための設備をする、いわゆる先の設備をする資金に大体充当する金になつておるのでありますが、あき設備があつて、そのあき設備範囲内でお客さんの需要がふえて行くという場合に、その負担金をいただけば、その金によつて加入の増設をして行く、こういう幅においてというか、彈力性も当然出て来るわけでありますが、政府資金の貸出しの限度がこの彈力性から、当然に彈力性を持つて来るということは絶対に考えられないのでありまして、借入れ限度というものは予算総則の方で設定して、これによつて固定化されて来る、こういうことに相なるわけであります。
  17. 田島ひで

    田島(ひ)委員 大体そのくらいのことで、この條文はとどめておきます。  次官がおいでになりましたから、私は作目質疑の続きを一点だけお伺いいたします。昨日私は公社移行についての、労働者労働條件についてお伺いいたしましたが、端的に申しまして、労働條件はよくなりますか、悪くなりますか。よくなるとすれば、具体的にどの程度よくなりますか、次官からその点の御説明を願います。
  18. 靱勉

    靱説明員 昨日もお答え申し上げましたように、端的に申しましてよくなると私ども考えておりますし、また今後この経営者はよくして行くべきだというふうに考えておるわけであります。具体的にどうかとおつしやられますが、その点につきましては、まだどの程度という計算はいたしておりません。しかしながらこれは單に法律あるいは制度上よくなるということを申し上げておるのではなくて、他に先例のあることです。これはすでに田島委員国鉄專売職員の実質的な給與電通一般職員としての給與とはすでに比較しておられると存じますが、そういう事実があります。この法案によりましてそういうような制度が必ずとられるものと、またそういうことを目的としておつたということも、昨日はつきり申し上げた次第であります。御了承願います。
  19. 田島ひで

    田島(ひ)委員 次官お答え具体性を欠いておりますけれども、これ以上お伺いしてもお答えは得られないと思いますのでやめますが、公聽会における国鉄労組の方の公述によりましても、国鉄公社になつてからも決してよくなつていないといつて反対されていたわけです。そういう点からいいまして、私どもはきのうも申し上げておきましたのですけれども、具体的に次官から公社移つてからの従業員に対する労働條件の点を示されておりません。昨日私は公共企業体労働者に対して、ストライキ権利をお與えになる考えがあるかどうか、アメリカあたりではこれをはつきり與えているが、日本ではなぜ與えられないのか、その点をお伺いいたしたのですが、もう一度その点について、ストライキ権利を持たないような団体交渉権は、実質的には意味をなさないのだ。特に何でもアメリカのまねをしておられる政府として、将来そういう権利をお與えになる意思があるかないか、もう一応はつきりここで御答弁いただきたいと思います。
  20. 靱勉

    靱説明員 この点も昨日はつきりと申し上げたのでございますが、公社におきましては、公共企業体労働関係法適用を受けるという形になつておりましてこの法律がかわつて参りますればともかく、現在の段階におきましては、一般公務員公共企業体職員一般会社あるいは公益事業、いろいろな段階ができております。今回電通事業公社に移行させるという場合におきましては、私ども公共企業体労働関係法適用を受けるのが妥当であると考えておるのでありまして、その根本的なお尋ねの点につきましては、事業的にどうかという点もあるかと思いますが、一緒に提案されております会社法案におきましては、もちろん一般労働者と同じような形になる、そういう点も昨日お答え申し上げたのでございますが、どういうような労働政策をとるか、これはやはり国民自身によりまして、国会において法律案としてきまりて来るべきものだ。労働三法の改正等も行われておるのでございまして、それらによつて決定されるものと考えるのであります。私個人の考えとしての意見の表明は意味をなしませんので、その点は御了承願いたいと思います。
  21. 田島ひで

    田島(ひ)委員 私はこういう点につきましては、責任ある大臣の御答弁をいただきたいのでありますけれども、きのうもきようも大臣はこの重要法案について委員会に顔を出しておられません。たしか新聞で見ますと、自由党の党内工作のために、参議院あたりを渡り歩いておられるそうでありまして、非常に残念に思いまするが、これ以上次官お尋ねいたしてもしかたがありませんから、私はお尋ねいたしません。  続いて国際会社の点について二、三お尋ねいたしたいと思います。国際会社戰後電通省に合併されたものでございまするが、ちよつとその以前の歴史と経営状況について御説明いただきたいと思います。
  22. 靱勉

    靱説明員 この委員会におきましても、国際通信経過につきましてはすでに御説明いたしてございますし、また資料も差上げてあるのでございます。それで大正年間におきまして日本国際通信を拡張しなければいかぬ。ことにそのときにやはり現在と同じように電波の獲得戰が各国とも非常に激烈であつたという状況にかんがみまして、政府といたしましては民間資金の応援を得るという形におきまして、日本無線電信株式会社というものを大正十四年に興しました。これが爾来無線施設拡張設備政府提供するという形で、終戰直後まで継続されたわけであります。なおその間昭和七年に至りまして、国際電話の発達もだんだんと問題になつておりましたので、当時の体制としましては国際電話会社というものを別につくりまして、これもやはり日本無線と同じように設備提供会社であつたわけでございますが、昭和十三年か四年かと存じておりますが、両社を合併しまして、さらに国際的な有線のケーブル、これをも設備提供のできるような形にしまして、国際電気通信株式会社というものが設定されたわけであります。これが満洲事変後、あるいは支那事変後、あるいはまた太平洋戰争後におきまして、これらの名称はあるいは語弊があるかもしれませんが、ともかくその後の東亜におけるところの情勢変化に対応しまして、東亜地域会社に対しても出資をして行く、あるいは北部支那でございますが、華北、華中といわれたところの会社にも出資をする、あるいは南方にも進出した、そういう経過をとつたのでございます。その間における会社経営状況といたしましては、配当といたしましては一番上に行つた配当はあまり大した額ではなかつたと思つております。大体当時のこの株式に対する経済界の批判というものは、投機的な株でなく、まつたく資産的な株として配当率もそう高いものではなかつたわけですが、会社としましては非常に事業経営をまじめにやつたと申しますか、そういう形で減価償却等も完全にやりまして終戰を迎えた、こういう形になつている次第であります。
  23. 田島ひで

    田島(ひ)委員 たしか資料をいただいているかもしれませんけれども、私がお尋ねいたしましたのは、経営状況といいますのは、これは国際電信電話でございますから、たとえばこの会社が非常に経営状態がよいときにはどういう状態のもとにあつたか、たとえばどことの通信が一番多くなされたか、何を相手になされたか。ただいまは国際関係ですから、貿易あたりが中心になつておると思いますけれども、どことの貿易がおもになされたか。やはり貿易関係会社提供されて来たかどうかという点についての御説明を伺いたいと思います。
  24. 花岡薫

    花岡政府委員 お答え申し上げます。まず国際通信戰前における状況でありますが、国際通信の流れは、大体におきまして戰前戰後大きな変化はございません。あるのは大陸、朝鮮、台湾といつたような地域に関するものでありまして、戰前におきましても戰後におきましても、大体七割ないし八割の通信貿易関係通信であります。従いまして貿易関係の深い地域との間に、大体この割合に応じて通信が往復されておつたわけであります。アメリカ、濠州、インド、それからインドネシア地帯、ヨーロッパ、最後に南米、アフリカ、こういつたような順序でありまして、その通信の発着の量は、最近の分は資料としてお配り申し上げましたが、戰前におきましては、大体一年に通数が総体におきまして二百万通ないし二百五、六十万通のところを上下いたしております。この貿易通信に対しまして日本との通信連絡状況は、これも資料に一応触れてございますが、電信電話合せまして七十余の直通連絡を持つてつたのでございまして、現在よりも非常に多数の連絡回線を持つていたわけであります。それによります收入が、国際電気通信株式会社財政にどのような状況を與えておつたかと申しますと、先刻次官から申し上げました通り、大正十四年に日本無線電信株式会社という名前で発足いたしました。財政的の前途については相当に不安を持つておりまして、はたして收支がどうなるであろうか、多大の危惧を抱かれておつたのでありますが、実際におきましては相当に財政が好調でありまして、配当は最初の営業期一期だけは七分一厘でございましたが、第二期目から七分二厘で通しまして、終戰に至るまで七分二厘の配当を維持しております。そのほかに償却などが非常に順調に行われておりますし、設備の拡充、改善、対外通信サービスの改善につきましては、まず一流国に伍して遜色のない程度施設を維持しておつたわけでございます。
  25. 田島ひで

    田島(ひ)委員 私が最近ちよつと資料を見ましたときに、最近まで国際通信が非常にもうかつていたのは、朝鮮の動乱の結果もうかつていた、現在ちよつと下になつている、それはやはり朝鮮関係通信が減つて来たからだというようなことを拜見しましたが、そういたしますと、現在国際通信が多く利用されておりますのは、やはりこういう関係がおもなのですか。それから貿易面では現在どのくらい行われているか。また今後将来はどの方面とどのくらいの見通しをもつて国際電信電話通信の目標が立てられているのかという点の御説明をいただきたい。
  26. 花岡薫

    花岡政府委員 最近の国際通信に対しまして朝鮮事変の及ぼした影響は、主として国際電話の方でございます。国際電話は、この前もちよつと申し上げたと存じますが、アメリカの将兵の利用する通話の割合が非常に多うございまして、これが朝鮮戰争勃発後相当ふえております。どのくらいの割合がふえておるかということは、これはその人の通信内容あるいは資格その他につきましては記録いたしませんが、全体の傾向といたしまして、朝鮮事変勃発当時と現在とを比較しますと、私ここで正確な数字は頭にございませんが、倍ぐらいにふえております。しかしながらこの国際電話收入国際通信收入全体から見ますと全体の收入約四十億に対して五億前後でありまして、一割五分前後というわずかな部分でありますので、国際通信事業全体といたしましては、国際電話收入に依存するとか、これによつて左右されるような考え方で計画を立てることはいささか危険であります。しかし国際電話におきましても、南方地域との電話は今後に期待されておるのでありまして、バンコック、サイゴン、ジャカルタ、ボンベイ、パキスタン、こういつたような日本と最も貿易関係の密接な地域との通話は、これから施設をいたしまして、これに応じて行くわけであります。こういうものを考えますと、電話だけを切り離して考えましてもかなり事業の幅を持ち得る、かように存じております。先刻次官からもちよつと触れられました通り、昭和七年に国際電話だけの事業会社ができておつたわけでありまして、これもともかく普通の業績を上げておつたわけであります。その点からいたしましても、戰争とか外国将兵の利用する通話というようなことを考えませんでも、日本国際電話事業の幅、内容は相当のものになるだろうと考えております。  それから見通しの点についてのお尋ねでございますが、この見通しは何と申しましても主として貿易に関連するのであります。貿易の見通しは、これは專門家でもなかなかむずかしい問題だろうと思います。私どもといたしましては、今日通信が電信の面において相当ふえておりますのは、朝鮮事変の影響も多少あるかと思いますが、それよりもやはり貿易一般的に順調に動いて来たということが第一であります。それから戰前を凌駕しておる点については、これは多少ノーマルでない状態も含んでおる、それは通信上いろいろ不便な條件がありまして、今後多少利用の收縮する面も予想されるが、しかしながら一面において新しい貿易の開拓と同時に、ふえて行く面も予想されます。また通信施設の改善拡充、配線の増加などによりまして、日本の国としての收入増加——通数の絶対量におきましては増加いたしませんでも、通信施設を直接に方々に開くことによつて日本の取り分として主張し得る面がふえて来る、そういうことによつて收入増も見込まれますので、私どもの将来の見通しといたしましては、現状は大体維持できるという大まかなものを持つております。
  27. 田島ひで

    田島(ひ)委員 そうしますと今の政府の御答弁では、せいぜい現状が維持できる程度であります。次官の先日からの御説明のように、非常に国際的な競争のはげしい高度の企業性を必要とするこの会社が、そのような見通しで今後はたして民間にしたからといつて、それで十分な発展性があるかどうか。特にただいまの御説明にもありましたように、正常な貿易の面よりも、ノーマルでない面が相当加算されておるのであります。今後貿易の面に大きく影響されるといたしますれば、この貿易の面の見通しとの関連なくしては、やはりこの国際電信電話という問題は解決できないのじやないかと思います。そういう点からいたしまして私は政府説明では不満でありますが、とにかく今後は南方を第一目標としておられるのかどうか。アメリカあたりとの現在の收入、今後の見通しはどうなのか、たとえば貿易の面におきましてはアメリカとの貿易は非常に制限されております。まぐろのカン詰一つでも、これが日本で大きく経済界の問題になつておりますように、ほとんど見通しがない。そこで伺いたいのは、きのうからの次官の御説明によりまして、こういうような高度の企業性を持ち、国際的な競争に耐えて行くには、相当の資本を持つた会社にしなければならないと思いますが、そういう点について十分な計画性と見通しを持つておられるのかどうか、そういう点をお伺いいたしておきます。
  28. 花岡薫

    花岡政府委員 最初のお尋ねの点でありますが、発展性を相当持つている事業であるという点につきましては、’これは次官も申された通り国際通信界は大体自由競争場になつております。従いましてぼんやりしていると現状維持も困難である。サービスを改善し、技術の改善、拡充によりまして、現在第三国に依存しておる通信の流れも、これを自分の手によつて取扱うことができるようにするのみならず、第三国の通信をもわが方の手によつて取扱つて行く。すなわち料金サービスの質の点からいたしましても、質のいいところへ自然に流れて行く、こういう自由競争の半面がありますので、活躍の余地は相当にある。将来の見通しは十分ある。ある程度計画の上に数字的に表わす見通しはできますけれども、私先ほど申し上げたのは、もう少し内輪のところを申し上げたわけであります。発展性の点は会社活動なり事業活動に比例しての話でございまして、そういう面が事実存在するということだけは御了承願いたいと思うのであります。  それからアメリカに対してはどうか、南方に主力を注ぐのであるかというお尋ねでございますが、アメリカにつきましては、貿易関係のほかに通信報道関係、そのほか社交往来関係通信がありますので、戰前よりも通信の量が多くなつております。と同時にそれに即応する施設が講ぜられております。施設の面におきましても戰前よりは改善されております。南方につきましては戰前と一概に比較はできません。戰前におきましては海底線がありましたし、支那大陸、台湾を経由する通信といつたものもありましたし、それから英国の南方圏に対する通信状況も現在とは多少異なつておりましたので、戰前にできなかつたことを戰後においてやつておる面もございます。たとえばシンガポールとか、香港とかいう場所に対しましては、戰前通信連絡が海底線によつて行われておつたのが、現在におきましては直接無線電信、香港に対しましては無線電信並びに電話によつて通信をしております。しかしながら全体といたしましては、貿易の活発な割合に通信はまだこれに即応いたしておりません。最も大きな例を申し上げますと、パキスタンにつきましては、ようやく現在何とか直通信路をカラチとの間に開設が近々できるかというところまでこぎ着けているような状態でありまして、これをさらに実現するのみならず、これを改善し、質的に疏通量の豊富なものにして行かなければならぬと思つております。シンガポール、ジャカルタにつきましても、質的改善はまだ非常に残された問題になつております。濠州につきましてはまだ非常な努力を要しますので、いろいろな交渉経過をたどりまして、何とか濠州とも直通通信を開きたいというような状態になつておりますので、現在といたしましては、南方圏についてはまだ通信改善の余地が非常にたくさんございます。こういうような大きな仕事がまだ前途に横たわつておりますので、資本の力などについてどうかというお話でございますが、民営といたしますことによつて資金の使い方が自主的に行われ、收益性も現状維持で参りますれば、ある程度自己資金の蓄積も見込まれ得る。かような條件と財的背景をもとに、社債の発行、借入金の道も開けて来るかと思います。そういうことによつて非常に大きな困難はなくて、この国際通信につきましては一応は拡充ができる。しかし私が申し上げたのは、普通の状態に推移した場合のことでありまして、技術の変動その他によつて非常に多くの資金を必要とする場合には、社債その他の面に調達方法が講ぜられて来るわけでございます。
  29. 靱勉

    靱説明員 なお私の答弁に関連しましてお尋ねがございましたのでお答え申し上げますが、国際通信は、現在の状態で満足すべきじやないということは、これはもう御説明するまでもないかと思います。資料としましてもごらんに入れてありますが、戰前無線通信の回路全部がまだ回復してない状態であります。ただいままでは占領中でございましたので、わが国の国際的な活躍ということも、そう自由にできなかつたわけでありますが、国際社会の一員として、今後日本貿易その他で国際間に活躍するという場合におきまして、通信に対する需要といいますか、量の問題につきましては、それほど絶対量が多くなるということは考えられないというふうに、花岡政府委員から答弁しておりますが、方面別あるいは質の点におきましては、さらに改善をして行かなければならぬ。それが先般来御説明しております波長の獲得の問題でありますし、現在の施設につきましても、なお新しい通信の機械をとりかえて行かなければならぬ、利用者に対するサービスも、もつと迅速なサ治ビスを提供しなければならぬ、現在南方方面の回路もだんだんできて参りまして、あるいはその使用時間、回線の利用の制限というようなものからいいまして、一つの回路にうんと通信を投げ込んでおる、それだけ経過時分が長くかかるということなのでありまして、收益率は低くなりますが、もつと経費を出して、国際通信を国際的水準に持つて行かなければならぬという要請がきわめて強い、こういう点を申し上げたのであります。
  30. 田島ひで

    田島(ひ)委員 そこで、これは他の委員の御質問にお答えになつておるかもしれませんが、次官の言われる国際的なはげしい競争に耐えて行く会社を設立するために、大体どのくらいの資本と、今後の構想を持つておられるのか。これはもちろん会社自身の問題でもありますけれども電通省としての見通しについてお伺いいたします。
  31. 靱勉

    靱説明員 これも前に大体御説明申し上げましたが、ここ数年間に四十億前後の資金を投じまして、回線の設定並びに設備の改善を行わなければならぬというふうに考えております。また非常に大きな問題といたしましては、わが国の海底ケーブルは主として東洋方面に集中しておつたのであります。これらは中国あるいは朝鮮との関係その他から現在回復されてないというような状況でありまして、海底線の問題もまた一つの大きな問題として浮び上つて来るものと思つております。そういう方面に問題を持つて参りますれば、さらに大きな資金もいることが予想されるのであります。
  32. 田島ひで

    田島(ひ)委員 資金の点はもう少し伺う点がありますが、国際通信貿易関係に依存する点が非常に大きいのでございますから、南方方面を期待しておられ、また私から見ますれば非常に甘い考え政府は持つておられますが、御承知のように南方方面は民族解放運動がはげしい、貿易の面からいえば、非常に困難な問題がたくさん横たわつておる現状としては、国際通信関係も、政府考えておられますような甘い考えでは行かないだろうと思います。そういう点からいいまして、この点は大臣にお伺いしたいのですが、きようの朝日新聞などには、中共貿易の問題が大きく出ておる。日本の金にして三百億からの貿易が、個人の帆足氏によつて結ばれております。おそらく今後開かれようとしております中共あたりとの貿易がどんどんできますれば、はげしい国際的な競争に耐えて、しかもこういうような中で国際会社だけ民間に分離して、非常な疑惑を生むような中で、こういうようなやりくりをなさるよりも、中共あたりとの貿易をどんどん切り開いていらつしやれば、この電通関係の收益の面もきつと上るんじやないか、こういう意見について大臣としての所見をお伺いいたしたいのですが、残念ながら大臣はおられません。そういう点で、今まで大体大陸との関係においてどのくらいの收益がありましたか、そうして今後はどういう見通しを持つておられますか、おわかりになりますればその点ちよつとお伺いしたい。
  33. 花岡薫

    花岡政府委員 中共との貿易関係は私わかりませんが、中共との通信につきましては、当然私ども考えなければならぬ問題であろうと思います。現在私ども中共との通信は直接連絡をいたしております。しかしながら貿易がございませんために、通信の量はごくわずかであります。通信連絡は無差別普遍的な考えでやつておりますので、通信連絡はいつでも即応して開き得る、現在細くはございますが、連絡はやつております。  お尋ね戰前戰後を通じての中国その他との関係の問題でございますが、戰前においては数百万の日本人が行つており、向うからもいろいろな人が来ておつたということによつて貿易よりほかの面が開けております。大陸との通信が、貿易関係だけには依存しておらないことは、容易に御了解願えると思います。先刻も私さような意味で申したつもりであります。同じような意味で今後をぼくしますと、やはり経済社会関係いかん、こういうことによりますので、たとえば韓国と日本との関係につきましては、無線通信のみならず、非常に優秀な海底線がございます。この海底線は非常に厖大な疏通力を持つておりますので、いかに通信量が増大いたしましても、これに耐え得る。大陸との連繋は、将来そういう必要が起りました場合には、この海底線が相当に大きく用をなして来るかと思います。無線通信においても、最近の技術によりまして、一つの電波によつて多数の通信路が開けるというような関係、それから機械化しまして、モールス符号にかわる直接印字いたします印刷機械を利用いたしますので、非常に能率化いたしておるのであります。この国際通信に連繋いたしまして、国内に入つてからの疏通改善についても努力をいたしますから、全体の疏通量は非常に上つて来る、かような見通しを持つております。
  34. 田島ひで

    田島(ひ)委員 私が重ねてここで申し上げておきたいことは、政府は技術的な点から、しきりに通信事業の收益とか、いろいろな点を御答弁なさつておられます。それ以上私がお答えをいただくのは無理かもしれません。けれども技術面で、たといいかに日本にいろいろな施設が現存いたしておりましようとも、やはり貿易の面に大きく依存します以上は、アメリカとの貿易は現在でも、先ほど申し上げましたようにまぐろカン詰一つですら困難になつておる。南方におきましては、南方の民族の解放運動、それからもう一つポンド圏との問題は、日本の期待するような貿易が非常に困難になつております。だから通信事業一つ考えても、今後お隣の中国との貿易に依存しなければ非常に困難だ。これに依存しますれば、こういうように民間会社に分離しなくたつて通信関係が大いに発展して、そうして收益の点でも確実性を持つことができる。そういう点からこういう私の見解を申し述べまして、この点の質問は一応打切ります。  続いて次官にお伺いいたしたいのは、先ほど資金の面で、大体四十億の資金を見込まれておられまして、会社の方に公社から出されます資金と寄せて、ざつと六十億ぐらいの資金になつて来るかと思います。この四十億の資金は大体国内から集めますのか。それとも外債を当てにしておられますが、外債が入るとすれば、この点についてもう一つお伺いいたしたいのは、これは石川委員が非常に克明に質問をされました問題で、この條項では、外債が入つて、たとえば執行機関に外人が入り得るかという点については、これを拒否する法規上の規定がないということを言つておられます。おそらくこういう点をむしろ政府の方では期待しておられるのであつて、厖大な資金を今後要するとすれば、外債に大きく食い込まれて、外国の——はつきり申し上げますれば、アメリカ資本に食い込まれる。むしろ私はもつと考えまするならば、アメリカ会社の一支店ぐらいに将来なつて行くのじやないか、そういう危険をこの中に十分見られると思う。そういう点について、政府はこの資金面についての確実な十分なる見通しを持つておられるかどうか、その点のお答えを願いたいと思います。
  35. 靱勉

    靱説明員 お答えいたします。まず第一に、会社の資本金につきましては、ただ資本金をどんどん返して行くという考えは、普通経営者としてもないと思います。従いましてここ数年に相当資金を必要とするものは、できるだけ借入金、すなわち社債等によつて行かれると思います。その場合におきまして、これは結局その会社経営状況、要するに投資できる健全性があるという点がなければ、国内の社債も集まりませんし、外債ももちろん集まつて参らないのであります。非常に健全な経営をやるということになりますれば、国内においてこの程度資金は獲得できるのではないかとも考えられますが、一方外債が入つて来るということは、会社設備拡張の面におきまして、必ずしも排撃すべきことではなく、むしろ歓迎すべきことではないかということで、この会社法案におきまして、外貨債に対する政府保証の規定等も設けておるのでありますから、自然に外債が入つて来る。むしろそういうような方向に行くものと私ども考えております。しかしこれは今全体の空気としましては、外貨債の問題は非常にむずかしい問題で、率直に言えばなかなか向うは乗つて来ないという現状にあるので、それは会社経営者のいろいろな努力にまたなければならぬというのでありますが、黙つていてどんどん入つて来るとは私ども考えておりません。その場合におきまして、アメリカの子会社になつてしまうのじやないかということをおつしやいましたが、これは会社法をごらんになりましても、やはり国際通信におきまする非常に重要な使命を持つておる点におきまして、外国資本の支配も排除しておるという形になつておる。法律的な措置が、執行役員等についてとられていないとおつしやられましたが、この点はやはり定款によつて——定款の変更はすべて政府の認可事項で、政府の認可がなければ効力を発生しないという形になつております。そこらのことは、必ずしも法律にそういうことを書く必要はないということを、先般石川委員にもお答え申し上げておる通りであります。
  36. 田島ひで

    田島(ひ)委員 その点は重ねて申し上げても、お答えは得られないかもしれませんけれども、こんな定款上の規定でもつてそういう点が阻止できると申されますが、第一に政府が望んでおりますところの外資そのものも、全体としては今日では非常にいろいろ困難な状態にぶつかつておる。たまたまうまく外債あたりが入りましても、やはり政府の定款上の規定があると言われましたところで、こんなものは現在の法律がどんどん多数によつてかえられます以上、法律規定いたしましたところで、それが法律でもつて十分守られるような状態にあるとは思いませんので、やはり今後この会社アメリカの子会社、孫会社みたいなことになる危険性があるのではないか。たとえば満州の電々会社という例があります。それに結びついて前から與党の委員の方あるいは野党の委員の方から、非常に疑惑を持たれておりますように、たとえば満鉄が政党の資金の非常に大きな役割をなしたというような点で、こういう点に結びついて政党資金として、ともかく非常に利益の上る会社だと言われております以上は、そこに大きな疑惑の目を向けられると思います。こういうような会社だけ分離するという点に、政府においても、今日十分な見通しを持つて返答が得られないのじやないか。結局は将来こういう満州の電々会社のような会社になつて行くのではないか。同時に仕事の点で不正の問題についても、従来電通省に起りました不正問題が今後合法的になされるのではないかという点を私は憂慮いたしますので、政府の方の答弁ではそんなことはあり得ないと御答弁になりましようけれども、一応今まで起りました不正の問題あたりはどういうふうに解決されるか。この会社になつたら、なおそれが合法的に政党と結びついた政治資金の方へ流れる危険性があるのではないかということを、一点お伺いしておきたいと思います。
  37. 靱勉

    靱説明員 この点この会社におきましては、特に規定を設けておるのでございまして、附則の三十四に「経済関係罰則の整備に関する法律の一部を次のように改正する。」としまして、「国際電信電話株式会社」を追加いたしております。すなわち職員の不正行為等につきましては、公務員と同じように罰せられるということで、特別にそれが自由にできるということではないのです。同時にもう一つ、政党献金と申しますか、政治資金と申しますか、これは私どもどうもよくわからぬ事情でございまして、そういうようなことがこの会社で十分できるようなものじやない。この会社の設立の目的にありますように、ともかくこの会社をつくつて、さらに民間の資金を利用して、国際通信の整備をやる、また利用者に対して最善のサービスを與えて行くということになるのであります。私ども現在十三億あるいは十四億の黒字が一応出ておると言いますが、その黒字というものは、ほんとうに正確なものであるかどうかということを御検討願いたいところなのでございます。むしろ利用者に惡いサービスを與えて黒字を出しておるということでは、真の黒字ではない。経営者がほんとうの利潤追求主義でやるということであつては困りますが、その点に関しましては、この法律においては、利益金の処分を主管大臣の認可事項にかけておる。そういうような用意をいたしまして、公共性を保ちつつ、国際通信の発展を期して、自由闊達な活動をさせようということで、私どもこれによりまして国際通信サービスが全面的に改善されるという結果をもたらすことになれば、国民全体の利益であるとも考えるわけであります。  それから国際通信の問題につきまして、先ほど貿易等の問題がありましたが、かりに一日に数通の電報しか出ないというようなところにおきましても、通信回路を直通に持つということは、非常に国の利益でございます。そういうことをやつてつて、だんだんと国際通信を開拓して行くという、一つの大きな商売もあるのではないかと考えます。国際通信の競争性につきましては、先般石川委員の御質問に対しましてお話申し上げておいたのでございます。現在日本政府独占でやつておりますが、これに関連するものはアメリカの三会社もありますし、台北の海底線の会社もあるわけであります。これらはわが国において非常にはげしく競争をやつておる。サンフランシスコの平和会議の場合におきましても、アメリカの三社は毎日その電報をとる時間に、どのくらいの経過時間でどういうふうに着いたということを監視しているというほど、会社としてはそこに非常に熱心な競争性があるということで、この点も先般御説明いたしましたので、重ねて詳しくは申し上げる必要はないかと存じますが、国際間の通信の競争というものは、一つの商売であるかと思います。ことに中継線の問題は、ある意味において電報料をかせぐということが目的であるように考えておるのであります。
  38. 田島ひで

    田島(ひ)委員 次官は、この前どたたか委員の御質問にも罰則があると言われたが、私は起きた不正を罰則によつて罰するということを問題にしているのではなくて、不正が起らないような根本的な解決がなされるかなされたいか、問題にしておる。たとえば従業員の生活の安定、最低賃金の保障ということがなされておらなければ、従業員の不正も起りましよう。不正が起りますのは、そういうこまかいところを罰しておられますので、結局は従業員が食べて行かれなければ、いろいろなやりくりも自然の形で出て参りましよう。そうでなくて、やはり大きいところに合法的ないろいろな問題が、現在の電通省の不正事件の中には出ております。それが会社になればなおはつきりと合法的になされる可能性が十分あるということを私は聞いております。その点についての御答弁はこれ以上いただかなくてもよろしゆうございますが、私は今後そういう点が大きく出て来るのではないかということを、はつきりここで申し述べておきたいと思います。  先ほどの御答弁の中で一点、これは私は專門的な知識があまりありませんからわかりませんけれども、社債の点につきましての借入金ということが問題になつておりましたが、やはり大きく社債あたりが出ますれば、これを借入金としてありますものもやはり国家資金に依存する点が大きいのじやないかと考えますが、私は專門家じやありませんからよくわかりませんが、どういうところから借入金をなさるのか、そして社債を引受けるだけの国民に余力があるかどうか。そうすると結局政府に負担させる結果になるのじやないかという点を御答弁願いたい。
  39. 靱勉

    靱説明員 その点につきましては、この会社法案をつくる精神として、国の資金をこれに持つて行くということを考えていないのであります。一般民間にある資金を集める、あるいは外国の金を集めて来る、こういう考えでございまして、政府がこれに貸すということはここには考えていないのであります。
  40. 松井政吉

    ○松井(政)委員 ちよつと関連して伺いますが、先ほどから盛んに外国資本を歓迎するという御答弁ですが、御承知のように現状では外国資本の政治借款は不可能であります。その不可能なところへ、たとえば国際電信電話株式会社に外国が投資をしようとする場合に、政治借款でない限り、そこにはやはり反対給付というものがなければならない。だから投資を歓迎するならば、この会社によつて反対給付をどのような形で求めようとしておるか。その構想をお持ちでしたらはつきり伺いたい。
  41. 靱勉

    靱説明員 外債の問題はいろいろむずかしい問題があることは、私ども十分承知いたしておるのであります。この会社法案の構想といたしましては、特別にこれにたとえば会社施設を担保にするとか、あるいは料金收入を担保にするとかいうことは考えていないのであります。そこで政府保証というものでできるだけ行こうという態勢にいたしておるわけであります。
  42. 松井政吉

    ○松井(政)委員 そこが問題なんです。たとえば担保を提供するということになれば、これはやはり一種のビジネス・ライフの形になりますから、投資が可能でありましようが、政府保証ということになりますと、一種の政治資金の形態が整われるのです。そういうことが可能であるかどうか、可能でないのに外資を歓迎することを目的とするということになりますと、そこでやはり資本に対する考え方の食い違いが出て来はしないか。その構想でやつて行ける見通しがつくかどうかということに非常な疑問が出て来る。だから政府保証の形式と、内容をどの形の保証にするかということを御説明願いたい。
  43. 靱勉

    靱説明員 その問題はやはり外債募集のいろいろな條件にかかつて来るのでありまして、今こういう形であるということを考えていないのです。初めから御説明申し上げております通り、その会社に外貨債が入つて来ることに対して、歓迎という言葉はどういうようにおとりになりましたか、とにかく国内資金だけでなく、向うから入つて来るならば、それに努力して行けるような態勢をここに整えてやるということでございまして、ここに具体的に今どういう態勢で入つて来るかということは、御指摘の通り、現在過渡期と申しては語弊があるかもしれませんが、どういうような條件、どういうような形でということは今後の問題といたしまして、一応ここに態勢を整えたというだけの意味合いのものでございます。
  44. 松井政吉

    ○松井(政)委員 それならば外資の方は断るのじやなくて、むしろ歓迎の立場をとつているという先ほどの次官答弁は、ただいまの御答弁に御訂正を願つて、やはり外資が入つて来ることを迎え得る態勢程度のものだという解釈でよろしゆうございますか。それともやはり積極的歓迎ということになるならば、今の御答弁でなしに、もつと明確に政治保証の内容という構想までつかまないと、会社ができないことになります。だから積極的な歓迎の意味であるか、それとも政府の保証で言うならば保証の内容、これはいずれにせよ政治的な借款ということは絶対困難であります。それが困難でありまするから、政府保証とすれば担保條件というものが出て来る。担保でなければ反対給付の利益享受を相手に與えなければ投資しない。だからその方法がなければ、積極的な歓迎という言葉は訂正してもらわなければ、これは当らないことになる。この点もう一ぺんはつきりしておいてもらいたいと思います。
  45. 靱勉

    靱説明員 この会社の性質といたしまして、会社に関する外国の資本の支配というものを一応防いだ規定になつております。但し借入金につきましては、これは外国資本も入つて来るならば入れた方がいい、ただいま重ねて申したような意味合いでその用意を整えて置く、そこで積極的な歓迎かどうかという問題につきましては、この事業としては、ここに外貨が入つて来るということは何ら支障がない。入つて来るなら、むしろそれを受入れたらどうか。またそういう状態になるならば、努力して入れるべきだという意味合いにおいては、努力ということに一つの積極性があると思います。そういう意味合いで現在の情勢で、ただちにこれが求められるというような会社でないということにおきまして、いろいろその條件等について一つの構想を持つておるわけではないのであります。基本的なこの会社の立法の精神としましては、この国際通信の支配権を外国に持たれることは困るということが、趣旨にまず現われておるのであります。そういう線に沿うて外債につきましても対処して行くべきであるということが一つ考えであります。そういう意味合いにおきまして、現在も積極的に歓迎するのだという言葉は訂正いたしてさしつかえありません。
  46. 松井政吉

    ○松井(政)委員 それでわかりました。訂正されたんですからわかりましたが、要するにこの一つだけは私はやはりどうしても大臣にお伺いしようと思つたんですが、昨日やはり事務当局の責任者である事務次官靱さんの方から私の質問に対する答弁で、第一次案から第八次案までの間、われわれ小委員会において審議を続けて来ておる。ところが第六次案ころまでは、国際関係会社にするということは一つも出ていなかつた。突如として公社法案が提案されるときに、国際電信電話は切り離して民営に移すという法律が出て来た。これは一体どういうわけかとこういう質問をしたところが、次官答弁は、要するにそれは大きな政治的政策から来ておるのであつて、われわれも第一次案、第二次案、第三次案、第四次案の公社案を審議するころまでは考えておらなかつたと、こういうのです。そうだとすれば政治的な大きな政策から来たということになつて、これは当然事務次官その他の事務系統の政府委員にはわからないことです。そこでこれだけはどうしても大臣にお伺いしようと思つてつたんですが、大臣がおいでにならない。従つて政務次官でよろしゆうございますから、政治的な政策から来たという、その意味を明瞭におつしやつていただきたいと思います。
  47. 靱勉

    靱説明員 政務次官お答えになる前に私からちよつとその点について……。
  48. 松井政吉

    ○松井(政)委員 また訂正ですか。
  49. 靱勉

    靱説明員 訂正じやございません。政治的と申し上げた覚えはないのでございまして、政治的とは申し上げません。政府の大きな政策決定であると申し上げたことをはつきり覚えておるのでございます。そこでそのときも特に御説明申し上げたのでございますが、公社に移行するということの決定というものは、国際会社と同時に政府としては決定されたのでありまして、第五次案等をつくつておりました当時は、調査研究を進めておつたということでありまして、まだ政府として最終決定を見ていないということを御了解を得つつその案を御説明申し上げた、その点は松井委員も十分御承知の点かと思います。そういう政治的にきまつたというのではなくて、私の申し上げるのは、これはわが国の電信事業を改革する大きな問題、すなわち政府の政策として最終的にきまつたときに、公社と特殊会社となつたのであります。こういうふうにお答えしたのですから、その点はひとつ誤解のないようにお願いしたいと思います。
  50. 松井政吉

    ○松井(政)委員 それならばその程度でもよろしゆうございますが、政府の大きな政策的という意味はどういう意味でございますか。
  51. 靱勉

    靱説明員 その点は内閣の政策という点から見れば、政府がこういう大方針を決定するのでありまして、事務当局が事務的に決定すべきものでないことは当然の話であります。現在の政府の政策としてきまつたという意味でございます。
  52. 松井政吉

    ○松井(政)委員 それだから先ほどから言つている。事務系統の次官ではわからないかもしれぬから、大臣ならよろしいが、大臣がいないから、政務次官からでもその意味を明瞭にしてほしいと言つているのです。
  53. 平井太郎

    ○平井(太)政府委員 ただいまの御質問の内容につきましては、いろいろむつかしい問題がございますので、私よりむしろ大臣から御答弁していただく方が当然かと存じますが、実は私まだ政務次官になりまして日が浅いのでございまして、公社や国際の問題につきましては、私が就任する前からいろいろ問題がございまして、その間私もこういう点について必要であるということもたびたびお伺いしたようなわけであります。なおこの公社になる前提といたしまして、私ども三回ほど通信関係の大先輩並びに電通関係における大先輩、こういう方々とひざを交えていろいろ意見を聞いたことはございます。そのときになかなかこの問題はむつかしい問題で、日本の電通行政始まつて以来の大問題だから、これはよほど慎重にものを取運ばなければいかぬ、その際皆さんの御意見といたしましては、むしろ公社になるようなときには、国際通信というものは昔から民間でやつたが、また民間に復元するということも考えたらどうかということが話されたわけであります。われわれもこの問題についてはあまり專門家でもないのでございまして、ただただ皆さんの御意見を拜聽いたしているわけなのでございます。そのときに皆さんの御意見を総括いたしまして聞いた場合に、なるほど公社になつたときに国際というものは昔民間で生れたものであり、占領政策の一環として国に取上げられ、今日になつた。またそれが元へ復元し、いわゆる企業の合理化、また国際全般の通信関係において一致して行く上においても、民間にした方がいいという大先輩の意見、また一般的な輿論というものが、相当政府並びに電通関係の事務当局者に響いて、こうした問題が持ち上つたのではなかろうか、かように考えるわけです。その点私自身といたしまして責任者の立場にあるのでありますが、知識が少いので、十二分に皆さんの御満足の行く御答弁はできないのでありますが、私の考えといたしましては、決して政治力という大きな力で公社からまた国際を切り離して行くということは、あまり考えられないのではないかと考えているのです。その点は非常に漠としたまことに申訳のない答弁でございますが、ひとつ御了承願いたいのであります。
  54. 松井政吉

    ○松井(政)委員 次官はもうけつこうでございます。私は重ねて次官はつきりとお願いしておきますが、私のただいまの質問については大臣から、明日でよろしゆうございますから、御答弁されるようにおとりはからいを願いたいのであります。というのは、政府の大きな政策的なものということになりますれば、これはどの政党が内閣をつくりましても、やはり大きな政策的なものがあります。そこで私は公社会社を含めて大臣に質問したときに明らかになつていなかつたので、昨日質問したのであります。というのは、大きな政策だということになれば、日本の産業構造の上から、どの種の企業はどの形態において経営をやつてつたらよろしいか。さらに日本の経済の実情の上に立つて産業構造を考える場合に、どの種の企業はどうしたらいいかということは、早く言えば政府の大きな政策である。そういう意味ならば、講和後の日本の産業構造と経済の実態から、この種の企業はこうするという政策がここで説明されなければならぬ。だからそういうことは責任ある所管大臣から、明日でけつこうでありますから、御答弁願います。それをひとつお伝え願いたいと思います。
  55. 田島ひで

    田島(ひ)委員 私は最後に一点、この国際と国内との分離につきまして、資産の区分がはつきりできるかどうか、それから会社の方々の資産の再評価につきまして、その再評価のいかんによつては、一部大資本家に非常に有利にもうけさせる結果になるのではないかという点を、ちよつとお伺いたしたいと思います。
  56. 靱勉

    靱説明員 資産の点は過去におきまして、御承知のように施設は全部国際電気通信会社が持つてつたという経験もございますし、必ずある区別に従つてはつきりとわけることはできると思います。  それからある一部のものに非常にもうけさせるのではないかという点につきましては、先般来御審議願つております通り、評価審議会というものができまして、そこでもつてきわめて嚴正、公平に定められるのでございますから、それによつて非常にもうけるものができるというようなことは考えられないのでございます。その点は評価審議会の評価の基準をこの法律で書いてありますので、この原則に従つてきめることになるわけでございます。
  57. 田島ひで

    田島(ひ)委員 私の質問は大体これで終りたいと思いまするが、先ほど政務次官お話の中にもありましたように、電信は発足以来八十年、電話は六十年という歴史を持ち、しかも日本にとつてはまことに大きな独占的企業としてのこの国営事業が、今日このように幾つかに区分されるという重大な法案の提出にあたつて、最も責任の地位にある大臣がきのうもきようも出席しておられない。私自身さきに大臣に質問いたしておりましたのが、途中で打切られましたので、事務的な問題でまだ納得の行かない点がたくさんございますし、根本的な国務大臣としての政治的な見解をお述べいただきたい点が多々あるのでございますけれども、残念ながら大臣はおいでにならない。大物大臣とか何とかというので、今自党内の工作にたいへん忙しいということを新聞で読みましたが、重ねて私は申し上げておきます。大物か小物か知りませんけれども、少くとも電通大臣としては職責上——大体佐藤大臣はあまり勉強しておられないものでございますから、お答えも非常に不熱心なお答えしか今まで得ていない。われわれも三年以上ここにくつついておりますけれども、わからない点がたくさんございます。こういうような重大な時期に、委員会をそつちのけにしておられる国務大臣としての責任に対して、私はこの点を非常に遺憾に思うばかりでなく、重大な問題であろうと思います。おいでになつたところで、そういう大臣のことだから、十分な御返答が私は得られるとは思いませんから、重ねて質疑を申し上げようとは思いません。いずれ私は討論の中で私どもの見解を申し述べたいと思います。私の質疑は一応これで打切りたいと思います。
  58. 石川金次郎

    ○石川委員 私は昨日申し落しましたので、ちよつとお伺いしたい。きのう打切ると言つてながら、はなはだ失礼ですけれどもちよつとだけ……。  国際電信電話株式へ出資して行く範囲の表をいただきましたが、これには引継がれる業務関係の人、施設関係の人が全部で二千六百五十三名となつておりますが、公社から会社の方に引継がれる人数の予定はこれだけでありますか。
  59. 横田信夫

    横田(信)政府委員 それは参考までに差上げたものでありますが、そこにたしか現業と書いてあつたと思います。今そこの送信所、受信所、国際電話局の中の国際專門の業務に携わつている人、そういう人の現在ある状況を計上いたしたものであります。そのほかに国際になりましても、管理要員はいるわけであります。管理要員が今いろいろな部面に総合的にやつておりますので、管理要員が一緒になつて行く場合もあります。私も経理関係をやつておりますが、その中にはそういう管理要員は入つておりません。管理要員も国際になりましていることは当然だと思います。それから現場要員の現在の人がそのまま行くかどうかということにつきましては、また別個の問題でありまして、現場に従事している人をどうしてもやめさせてやるということは、條件的にむずかしい問題であろうとも思います。そういう意味で大体の人数がそういうことだ、従つて現場の人は大体同じように当面いるだろう、こういうように御了解願いたいと思います。
  60. 石川金次郎

    ○石川委員 人数のことは事業のことでありますから、いろいろ問題がありましようが、引継がれるというのは、結局公社をやめて会社に入れるというのでありますか。
  61. 横田信夫

    横田(信)政府委員 今のお尋ねの通りであります。会社へ行く人は、一応公社をやめて、新たに会社に採用される、こういう関係になります。
  62. 石川金次郎

    ○石川委員 行かないという意思表示をした人は、どう解決されますか。
  63. 靱勉

    靱説明員 その点は公社と違いまして、その職員に入れるという規定もありませんので、各個人の自由意思であることは当然でございます。
  64. 石川金次郎

    ○石川委員 それでは希望せざる人は公社にとどまる自由はある、こう了解いたします。  次に、公社経営はそれでよろしいのですが、みんな行きたくないから行かない、あるいは国際会社の方では、来なくてはしかたないということで、業務は円満に行けるという見通しがありますか。
  65. 靱勉

    靱説明員 これは常識的に申し上げまして、現在国際通信に従事している人、あるいは現に従事しなくとも、会社の希望等から見まして、必要な人はそちらへ行かれることが最もいい形でございますけれども、極端な例としまして、全然行かなかつた場合において、会社は別の方から人を集めても、公社として困るか困らないかという問題になりますれば、これは電通公社仕事は、年々大きな施設をやつて行くのでございまして、人員の点につきまして非常にむだになるというような考えは持たなくともまず大丈夫ではないかと思います。
  66. 石川金次郎

    ○石川委員 それからこの公社を去るときには、その退職金は公社の負担となる、そういうお考えでありましようか。
  67. 靱勉

    靱説明員 この形におきましては、要するに行政機構の改革に伴う不要な人と申しますか、そういうような点で考えて行かれるものと考えております。退職金は公社の負担ということに相なります。
  68. 石川金次郎

    ○石川委員 その点は心配ないですね。国から公社に移りますときは、この経過法によつて一切を引継ぐことになりますが、公社から会社従業員の方が参ります場合には、一時やめて退職金をもらつて、そうして新たに採用というかつこうになるのだ、こう了承してよろしゆうございますか。
  69. 靱勉

    靱説明員 まつたくさようでございます。
  70. 石川金次郎

    ○石川委員 そうすると退職者に対して公社の方で十分配慮しなければならないことはむろんお含みの上で、この案をこしらえられたものと思いますが、金額はどのくらい見積られておりますか、それが公社にとつて非常な負担になりはしないかということをお聞きいたしておきます。
  71. 靱勉

    靱説明員 その点につきましては、この公社にやはり公務員の退職手当に関する臨時特例と申しますか、それが適用されるような形に法律できめてございますので、行政整理等によつてやめる者の退職手当に対しては、特例を適用することは可能なのでございます。そこでただいまの御質問でございますが、退職手当を出すことになりますれば、それの措置をやはり法律的にやらねばならぬ、あるいは予算的にも問題でありますので、そこらは全部含んでいる次第であります。金額につきましては今すぐここでどのくらいということを申し上げることはできませんが、もちろん退職者の利益を十分公社において考えられるべきものであるし、また客観的にそれは必要であると考えております。
  72. 高塩三郎

    ○高塩委員長代理 松井君に申し上げますが、明日大臣答弁されるそうでありますから、さよう御承知願います。本日はこの程度にとどめ、次会は明日午後一時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時五十四分散会