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横田(信)
政府委員 今お尋ねの具体的な内容の問題についてお答えいたします。今の
お話は過去の
状況がどうであ
つたかということと、今後の見通しはどうか、こういう
お話だと思います。お手元に差上げてありますように、戦時中におきましてあるいは
戦前におきまして、
通信事業特別会計はそれだけの
納付金を背負
つて事業経営をいたして参
つたわけであります。何分相当多額なものでありますので、御
承知のように
電信電話だけではなしに、当時は郵便あるいは貯金、保険の委託と両方や
つてお
つたわけでありまして、いわゆる郵便、電信、
電話合しての
通信事業特別会計といたしまして、それだけの
納付金を背負
つて参
つたわけであります。相当多額なものでありますので、年次別決算は、私今手元に持
つておりませんが、当時の決算はそれだけの
納付金を背負
つて、その年度末においては大体ほとんど残は残
つておらないという
状況で来ております。しかしそれでどうにか赤字を背負わずにや
つて来た、こういう
状況であります。しかしそのためには
事業内部においてやるべきこともやらずに来たというものが相当多いということは、これはいなめない事実であります。戦後におきまして一般のインフレの影響を受けたために、この
納付金の
負担を持たずになおかつ戦後すぐの年には赤字を出したというような
状況であります。それによ
つて料金値上げもある程度やらざるを得なくな
つた、そういう
関係からかえ
つて財務当局の方から当時、独立採算で
事業をやるべきじやないか、
一般会計の援助を受けるなんかも
つてのほかだというので、独立採算が一般
財務当局から叫びが出るような
情勢でありました。お手元に差上げました資料の中にありますように、実はお手元に他会計からの繰入れ百九十四億とな
つております。これはたしか二十二年度だと思いますが、この当時郵便も一緒にいたしておりまして、当時約六十八億の繰入金を
一般会計からいただいたわけであります。これは当時
料金値上げは経済政策上おもしろくない。しかしどうしても職員のベース・アツプも必要だというようなことで、
料金値上げは政治的に押えるかわりに、やむを得ざる赤字として当時の六十八億というものを
一般会計から繰入れましよう、しかしこれは完全にやる金ではないが、無期限、無
利子で行きましよう、こういう意味で
一般会計からある意味の補助を受けたわけであります。
特別会計といたしましては戦後においてはそういうわけで、年度によ
つては幾分の剰余を来すことがありますが、大体どうにかとんとんでや
つて参
つた、こういう
情勢であります。その資金がどこから来たかというような
お話もあ
つたわけでありますが、今の
お話のガリオア資金だけではもちろんないのでありまして、お手元にありますように、公債あるいは
借入金というものが相当多額に上
つておりますが、この公債、
借入金というのは戦後のものが金額が一番多いのであります。この借金はほとんど全部建設の方に充てておりまして、この借金によ
つて新しい建設をや
つて参
つた、こういう
情勢であります。そのほかに
お話のガリオア資金からの繰入金というものがあります。これはそこに載
つておりませんが、その差額になります。ちようど百六十億の中にその繰入金が入る、これが
出資になるわけであります。この繰入金が約百二十億、これがガリオア資金からの繰入金になるわけであります。そのほかに進駐軍の
関係の
設備の
建設資金というものが、
設備の
建設資金を
負担するという意味において約十六億あ
つたわけであります。それと積立金と
先ほど申しました
特別会計から繰入れました従来の資産、その差額が百六十億になるわけであります。これは借金でなくて行くわけであります。建設というものはかくのごとくして非常に多くの公債、
借入金等の借金でや
つて参
つた。これは新たなる建設的な生産投資でありますので、借金はほとんどない、こう
考えております。これが過去の大ざつぱの概観でありますが、しからば今後どうなるかという問題であります。今後
建設資金はどうや
つて豊富にするのか、こういう
お話でありますが、まずこの点につきましてはたびたび御
説明いたしましたように、やはり
日本の現在の
民間蓄積
資本の
情勢におきましては、やはり再建設の資金というものは、資金運用部資金等の
政府資金に主としてたよるということに相なるのは、これはやむを得ないかと思います。その面においてしからば非常に飛躍的な増加ができるということになりますと、これは資金運用部資金が飛躍的に増加するかどうか、あの貯金なり保険なりの資金が飛躍的に増加するかどうかということであります。これはそう一度に飛躍的に増加するということも
考えられない。そうするとこの面においては
公社にな
つたからとい
つてふえるというわけではなかろう。今度それに対するプラスは何かということになりますが、そのほかのプラスというものは、
政府の資金以外に
民間からの
電信電話債券の引受け、それから
民間からの借入れというものがどうなるかということであります。この点の数字を示せとおつしやいますと、これはちよつとただいま無理でありまして、
電信電話債券の引受けというものはどういう場合に引受けがあるか、一般にこの
電信電話債券の
利子は、おそらく五分ないし七分だろうと思われますので、これを一般にただ公募したくらいで集ま
つて来るものではないと思います。しかし先般も話が一出ましたように、いずれにしろ今の
電話の需要と供給は非常に離れておる。しかし今の
建設資金を前提にいたしますならば、すべての御希望に沿うことはもちろんできない。自分の村なりあるいは自分の町なり、そういうところの
電信電話の基礎
設備をふやすことの方に投資してくれるならば、
電信電話債券をわが市町村で持とうというような場合もあるかと
考えられるのであります。これはどの程度になるかは今すぐわかるわけではありませんが、こういうものが、ある程度あり得るということは
考えられるわけであります。
それからただいまも
大臣から
お話がありましたように、いわゆる外資の導入という問題になりますならば、もちろん絶対にすぐ見通しがつくということはちよつとむずかしいのであります。もちろん外資は、コマーシヤル・ベースで入
つて来ることは当然であります。従いましてこの
公社のコマーシヤル・ベースというものが、外資から見て十分安定しているということについて
——十分コマーシヤル・ベースの率、外資の導入策、外資の入
つて来るそちらの方面にそれだけの信用を持つ。それから労働
情勢につきましても、御
承知のように労働
情勢は安定しておるというようなことについて、外資を入れて来る方が安心をするという
情勢になれば、私は入
つて来ると思うのであります。しかしこれは今後の
公社の
努力と今後の
情勢に相まつわけで、今すぐ幾らになるかということは、もちろんこれは見通しがつかないのが当然であろうと思います。そういう意味で、
建設資金の問題は幾分プラスになり得ると思いますし、また将来は相当
発展性はあろうと思うわけであります。
公社のできるゆえんは、ただ
建設資金だけではないということは、
大臣がたびたび
お話なりましたように、この国営
事業につきまして、理論だけからいいますならば、この国営
事業のままに置いて、いわゆる企業的
経営というものが絶対にできぬことはない。しかしこれは事実上非常に困難である。公企業、
電信電話事業というものは一般の行政とは違うのでありますから、これはやはり企業的に能率的に
経営して行く。これは利潤本位ということではありません。そういうことが絶対に必要だ。それならば現在の態勢でいいかということになりますと、これはどうしてもそういう意味において、人事管理においても、財務、会計のやり方につきましても、企業会計的に一歩進むべきである、これは当然だろうと思います。それをやるのに、国営のままよりは、こういう形においてやることが実際に適するし、容易であろうということが
一つの大きな原因であろうと思います。そういう意味において
考えてみたときに、はたしてそういう財政上の自主性、あるいは人事管理上の自主性がこの
公社案において完璧であるかということになりますと、ここに幾分問題があるわけでありますが、これも
先ほど大臣の
お話がありましたように、なるほど成立の原因は幾分違いまして、も、
鉄道公社等のねらいの
一つはやはりそこにあ
つたわけであります。そういう
鉄道公社あるいは
専売公社等よりは少くとも一歩進んで行く。この前進的な進歩の中に、やはりほんとうの堅実な進歩ということも
考えられるのではないか、こう
考えるのであります。
鉄道公社ができましてから、財務、会計の問題についても、あの
公社法は三回の改正を経ております。一歩々々企業的に進んで
行つております。それよりはなお非常に完全とは申し上げませんが、この
公社案では一歩は進んでおると
考えるのでありまして、今後
事業の
経営管理者と従業員の一致した
努力によ
つて、国会あるいは輿論の一般の支持のもとに、なお今後非常に
発展して行く可能性があるだろう、こういうように
考えるわけであります。