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1952-05-21 第13回国会 衆議院 電気通信委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月二十一日(水曜日)     午後一時三十分開議  出席委員    委員長 田中 重彌君    理事 關内 正一君 理事 高塩 三郎君   理事 橋本登美三郎君 理事 長谷川四郎君    理事 松井 政吉君       石原  登君    井手 光治君       加藤隆太郎君    辻  寛一君       福永 一臣君    畠山 重勇君       石川金次郎君    田島 ひで君  出席国務大臣         電気通信大臣  佐藤 榮作君  出席政府委員         電気通信政務次         官       平井 太郎君         電気通信監   山下知二郎君         電気通信事務官         (大臣官房人事         部長)     山岸 重孝君         電気通信事務官         (業務局長)  田辺  正君         電気通信事務官         (業務局国際通         信部長)    花岡  薫君         電気通信事務官         (経理局長)  横田 信夫君         電気通信技官         (施設局長)  中尾 徹夫君  委員外出席者         電気通信事務次         官       靭   勉君         専  門  員 吉田 弘苗君         専  門  員 中村 寅市君     ――――――――――――― 五月十九日  委員石原登辞任につき、その補欠として犬養  健君が議長の指名で委員に選任された。 同月二十日  委員犬養健君及び岡西明貞辞任につき、その  補欠として石原登君及び益谷秀次君が議長の指  名で委員に選任された。     ――――――――――――― 五月十七日  テレビジヨン放送の秋田県誘致に関する陳情書  (第一九一八  号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  連合審査会開会要求に関する件  日本電信電話公社法案内閣提出第二一二号)  日本電信電話公社法施行法案内閣提出第二一  三号)  国際電信電話株式会社法案内閣提出第二一四  号)  鳥取市の火災による電信電話施設災害復旧状況  の件     ―――――――――――――
  2. 高塩三郎

    高塩委員長代理 これより開会いたします。  連合審査会開会申入れの件についてお諮りいたします。現在内閣委員会において審査中の郵政省設置法の一部を改正する法律案及び郵政省設置法の一部改正に伴う関係法令の整理に関する法律案について、内閣委員会連合審査会開会申入れをいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 高塩三郎

    高塩委員長代理 御異議なしと認めまして、さよう決定いたします。
  4. 高塩三郎

  5. 長谷川四郎

    長谷川委員 次官にお尋ねしますが、きのう公聴会次官もおいでになつていたようでございますが、進藤さんの意見の中に、現在の見積つてある価格そのものに対しては、つまり公社にしろ、会社にしろ、全部これは国から、すなわち大蔵省から出ているようなものはないのだ、全部返還し切つているのだ。つまり今までの消費者そのものから取上げた料金が、かく厖大なものになつて来ているのだという御意見でございましたが、それに間違いございませんでしようか、お尋ね申し上げます。
  6. 靭勉

    靭説明員 この前そういう御趣旨の御質問がありまして、国でどれくらい現在の電気通信設備に金を出しているかという御質問がございました。昨日進藤公述人の述べられた点は、いろいろ計算の仕方でございまして、ただいま横田政府委員から具体的に今までどうなつてつたかということを御説明いたしたいと思います。
  7. 長谷川四郎

    長谷川委員 この前の計算から言いますと、百三十六億、三十四億、合せて百七十億出ているのだ、こういうようなお話で承つてつたのでありますが、しかしきのうはそういうものは全部返してあるのだ。一応は出ておるけれども全部返してしまつた、こういうことです。その返した額がはたして進藤さんのおつしやつた額とマッチするかどうかということをお聞きすればけつこうなんです。
  8. 横田信夫

    横田(信)政府委員 ただいまの御質問にお答えいたします。実はこれはこまかく分析するとなかなかむずかしい問題でありまして、実は前に御説明いたしましたように、通信事業というものは初めは一般会計経営されておつたわけであります。その当時は御承知のように一般会計収入支出というものは全然分離されております。従つて一般会計時代においては、電気通信設備をつくる、あるいは電気通信営業費を出すという場合に、その支出というものはどの財源から支出したということとは、全然関係がないわけでございます。従いましてその財源支出との関係が生ずるようになりましたのは、昭和九年の特別会計が成立して以来のことであります。昭和九年に特別会計が成立いたしました当時、一応従来の電気通信設備公衆電気通信に使われているものを、特別会計へそのまま承継いたしたわけです。それがこの間申し上げました帳簿価額としての約三億、これが幾分か当時より移動いたしておりますが、大体それが一般会計から特別会計に引継いだものでございます。特別会計になりましてからは収入支出というものが相対応いたして来たわけであります。特別会計になりましてから後に、ではどういう財源運営費がまかなわれ、あるいはどういう財源で新たな設備ができたか、こういうことが次に問題でありますが、これは特別会計ができました後は、運営費について一般会計から補助を受けたことは一つもありません。一般会計時代からありました問題については、公債とか借入金、そういう借金の形ではありますが、一般会計からこれをただでやるという金は一つもなかつたわけであります。ただ逆にこの間御質問がありましたように、特別会計ができまして後も納付金というものを納めてしました。一般会計へ毎年度数箇年にわたりまして納付いたしました金が、当時の金で約八億、それから臨軍費繰入れが当時の金で約六億というものを、一般会計から繰入れて参つたわけであります。そのほかのいろいろなものはお客さんからいただく料金で、いろいろ運営費がまかなわれた。あるいは設備負担費というようなものによつて、新たな設備も幾分できました。こういうような情勢であります。そういうわけでありまして、一般会計時代財源はどこから出たかといいますと、これは収入支出とは相わかれております。これは別なものであります。先般申しました現在できました財産というものに従いまして、現在なおかつ特別会計とは申しながら政府であります。その政府出資がこのまま公社という別にわかれた企業体出資になるということを申し上げたのであります。
  9. 長谷川四郎

    長谷川委員 もう一つ伺いますが、きのうも公聴会で問題になつたようでありますけれども国庫に納付するというその残余の額があつた場合は、これを国庫に納付するのだということが明記されておるのですけれども、つまり第一、第二、第三、第四、第五というように、逐次この法案の研究がなされて行つた当初には、そういうものが見受けられなかつたのが、だんだん出て来たということについては、大蔵省方面からこれに強いのれん代をよこせというような御請求でもあつたかどうかを承りたいのであります。
  10. 靭勉

    靭説明員 当初私ども事務当局におきまして調査研究いたしましたときに、お話通りつたくの独立採算制にしたい。こういう考えで案をつくつたわけでございましたが、もちろん政府で国会に提出いたします場合におきまして、閣議決定を要するわけであります。事務的にも関係各庁と折衝いたしまして、政府の統一的な決定をいたす次第でございますが、その際におきましてどうも国鉄の例は、御承知のように一応全部一般会計へ入れる、また足りない場合には補填してやる、こういう形になつておりまして、それらの例もございますし、またいろいろと大蔵省財務当局としての意見もありまして、何とか実際上におきましては、そのときの話合いにおきましても、鉄道にしても電気通信にしましても、建設資金を非常に要する、そういうようなときにおきまして、一般会計に納付させるというようなことを頭から考えておるわけじやないけれども前例等から考えましても一応こういうかつこうに、むしろ原則と例外とを逆にした形で話をつけた、こういうようないきさつになるわけでありまして、もちろんこれに対する意見というものは、財務当局意見にこちらが協調した、こういう形でございます。
  11. 長谷川四郎

    長谷川委員 つまり今までの電通省においてへすべての見積額というものが出ておるでしようが、一切は国民税金から取上げて、すなわちこれが政府機関のものになつてつた。これをまた国民利用するということになつている上において、公共企業体というその性格からまた一方考えてみて、はたしてこういうような法案の中の文面というものが、次官は妥当であると納得をしてお出とになつたかいなやを承りたいのでございます。
  12. 靭勉

    靭説明員 過去の電気事業に対しまする国の支出と申しますか、そういう点いろいろ考えてみますると、昨日も公述人からお話のあつたような話合いもできるかと思いますが、その点におきましては、私ども電気通信事業発達のために、国家がどういうような方針をとるかということが、根本的な問題だと思います。ただ電気通信発達の過程におきまして、加入者の数も非常に限定されておつた、ことに負担金を非常によけいにとつたという時代もありまして、千五百円までということの当時の実例もあるわけでありますが、当時の電話を架設するに要するすべての経費の負担をさした。それが漸次漸減主義でもつて、四百円以内にだんだんとなつて参りましたが、そういうような時代におきましては、電話というものが非常に特権階級所有物であるというふうな非難も受けたことがあるわけであります。占領されました当時におきましても、やはり関係機関におきましては、日本電話というものはあまねく国民利用に供すべきものであるにかかわらず、そういう点において過去の実態というものは相当一部に偏しておる、こういうような批判も受けたような次第でございます。そこで過去のいろいろな問題と切離しまして、今度公社を設立するという場合におきまして、国の財産公社出資して、そういう際におきまして企業的に見ますれば、あるいは税金負担の問題も起るかと思いますし、また出資ということではなく、かりに借入金等の形でありますれば、一定利子も支払わなければならぬ。なおまた現在までにおきましては、電気通信省におきまして有線の施設監督等、一切特別会計負担しておる。それが公社ということになりますれば、政府監督するということに当然なるべきものでございますので、それの行政費というものも考えられる。いろいろな点から財務当局としましては、一応納付金ということにつきまして強い主張が出たわけであります。私どもといたしましては、電気通信事業実態、現在の状況から見ますれば、今のところまずそういう余裕はない。むしろ利用者から入つた料金で、経営をうまくやり、そこに残金が出ればさらにこれを利用者に還元する、あるいは従事員にでも還元するというような方法がとられることが一番妥当であると考えますが、先般来その点について御説明申し上げております通り資本というものを考えて参りますれば、余つたものは現在の利用者に還元する、あるいは職員の施設にも持つて行く、あるいはまた新たな拡張資金、これは新たな加入者でございまして、現在の利用者じやございません。そういうふうな拡張にも一定の割合と申しますか、現在の利用者に非常に大きな負担をかけて、新しい施設を拡充して行くということは、きわめて妥当でないと思います。従つてこれには一定限度がございます。そういうところに向けて行く。あるいは、資本というものを非常に一般的に考えてみますれば、それに対して若干の配当と申しますか、あるいは利子に該当すると申しますか、そういうものを考えて行くということは、また一つの議論として成り立つかと思います。総合的結論といたしましては、現在の電気通信状況におきましては、できるだけ今申したように新たな施設に使う、現在の利用者に使う、あるいはこれに従事している人の能率化のために使う、こういうようなことが妥当であると私ども考えております。
  13. 長谷川四郎

    長谷川委員 大臣提案説明にも事こまかに、企業体というものはどういうような目的でこれが計画されたかということが、はつきりとうたわれている。それらから考えて、提案説明法案の内容というものを逐次検討をしてみると、まつた日本の憲法とちつとも違わぬ、これは相違があまりにもあり過ぎます。日本憲法とちつとも違つておらぬと思います。まるで外国人日本法案をつくつているようなものだといつても、過言ではありますまい。どこをついて行つても必ず行き詰まるところができている。従つてこれを逐次私が申し上げる必要もございませんが、大臣にお尋ねしたいことは、本電信電話公社法についてお話を承りたいのですが、なるほど会社というものの定義はそうなんだ、会社とは利益を追求するものなんだ、これは間違いないと思うのですが、かりにもここに設立しようというその会社を、がんじがらめに縛り上げて行つて、はたして所期の目的が達成されるやいなやという点にも、疑いを持たなければならないと同時に、しかし運営の面に対しては、大臣もそう発言権がないのだというようなことも書いてある。非常に私はここに疑問が生じて来なければならない。国際電信電話などというものは、私たち考えからいつて、今の国際的情勢日本現実をまず振りかえつて見なければならないと思うのであります。日本のわれわれが考えているように、世界の情勢というものは、そう楽観をいつときも許されない状態であるから、そのときもしそういうようなことが起つた場合に、だれがこの会社に対して一切の命令権——大臣命令一つでその会社そのもの政府機関のものになつて運営されて行くという場面が現われてない。いかにも現実と離れ過ぎていはしないかと私は考えるのですが、大臣考えは私の考えと違うと思うのですが、お答えを願いたいと思うのです。
  14. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 大臣考えが違うのだろうということをおつしやつておられますが、その通り考え方が実はたいへん違うのでありまして、ただいまお話がありましたが、事業体として、できるだけ事業責任者創意とくふうを生かすようにする、こういう考え方は当然だと思います。そこで最も自由潤達に、責任者創意とくふうを生かす方法は、政府が何ら関与しない普通の民間会社であることが私は望ましいと思います。しかしその取扱います事業性格から見ると、これを一般民間営利経営にまかすわけに行かないものがあるわけであります。国内電信電話にいたしましても、また国際間の電信電話にいたしましても、ただいま申し上げますその事業性格上、これを民間だけに自由放任ができない業種なのであります。そこで御指摘になりましたように、国家がこれに対しまして監督をするとか、あるいは指導するとか、こういう問題が生じて来るのでございます。この点は今までのお尋ね等に対しましてもお答えいたして参つたのであります。私過去のことはよく存じませんが、当委員会等におきましても、電信電話公社形態を適当とするというような御趣旨の御意見をしばしば拝聴したかに伺つておるのでございます。     〔高塩委員長代理退席委員長着席〕 多分ただいまのお話は、事業経営をできるだけその責任者創意とくふうを生かして、その努力によつて業績を上げるようにしろ、こういう御趣旨つたろうと思いますが、公社経営自身は、過日もお話申し上げましたように、明らかに国家機関であり、同時にこれを完全な自由の形態民間企業には移し得ないものである、そこで政府がこれに関与いたすわけであるのであります。ただいまのお話の中に、国際電信電話会社について、現在の国際情勢から考えて、これはとんでもないことじやないかというようなお話がありましたが、長谷川さんが考えておられます国際情勢云々というものは、いかなる考え方を持つておられますか、私自身にもちよつと理解をいたしかねておるのでありますが、私どもは現在の国際情勢のもとにおきまして、この国際電信電話会社にすることは、何ら支障ないというような考え方をいたしておるのでございます。
  15. 長谷川四郎

    長谷川委員 私も大臣と同じような意見でございますけれども、違うところは、大臣創意、くふうをして、独創的な見地に立つて事業経営することがよりよい成績を上げる、これは間違いない事実であります。しかしながらこういうふうな縛り方をしていたのでは、会社がその独創も現わすことができないであろうし、創意、くふうも現わせないじやないか。さらにそれはいいとしても、もし一朝事があつたという——たちが憂えることは、国外の敵よりも、国内の敵の方である。国内の敵を注意しなければならぬじやないか。従つて国際的な問題が起つたときでも、伝家の宝刀が抜くことが行えるようになつておるのですか、こういうことなんです。
  16. 靭勉

    靭説明員 会社法におきまして、いろいろ縛つてありますが、これは先般来から大臣からも御説明がありました通り、要するに重要なる国際通信業務としての国家的な規律、公共的な規律等を必要とするので、その限度でありまして、この限度につきましては、いろいろ御意見がわかれるところだろうと思いますが、とにかく全然野放し的にはならないということになつておるわけでありますが、今御質問の非常に国際情勢のまずい場合といいますか、何か非常時態の起つた場合をあまり予想しないで行く。要するにこれはわが国の国際電気通信を、国際的な水準に決して劣らない、むしろますます発展させて、それを上まわるようないいサービスと、それから通信回路の設定にいたしましても、先般来御説明いたしておりますように、戦前にまだ及んでない。これを急速に戦前状態に復帰させると同時に、さらにこれを発展させて行くということを主たる目的といたしておるのでありまして、国家非常事態に対しまして、これは別途に考えらるべきもので、この法案においてはその点は予想いたしてない。昔の法律には、軍事その他の場合にはかなり供用できるとかいろいろの規定がありましたが、現在におきましては、そういう規定はむしろ入れないというところに妥当性があるのじやないかというふうに考えております。
  17. 長谷川四郎

    長谷川委員 次官がおつしやる通り、ますます発展をさせるというのには、どうしても私に納得の行かないのは、繰返すようでありますけれども、たとえば予算の面においても一々大蔵省のごきげんをとらなければいけないということでは、何でますます発展ができますか。どうもおかしい。さらにこれはあくまで会社なんというものは予算でなく、事業計画で行くべきものであるという考え方で私は思つているのですけれども、こういうような法律をつくつて、お前のところは独占企業で特別もうかるのだから、政府がこれだけ干渉するのだ。これだけの干渉をされておいて、そうしてそこで独創性を現わして、腕に力のあるだけ国際的水準まで伸ばして行けるだろうというのですが、とにかくたとえば次官はからだが大きいから、人並より働けるというので、次官の手足を縛つておいたのでは、次官もおそらく働けないだろうと思いますが、そういうような非常に矛盾があるということを聞いておるので、提案説明に、ますます発展させる、こういうようなことは常に承つておりますが、その承つておるところと提案とはあまりにかけ離れておるのでありますから、質問を申し上げておるのでありますけれども、ではこの予算という面——先日私は非常に心配になるから伺つたら、予算は一応あるけれども事業計画で前年度の繰越しとかあるいは割当てたものは、そのまま大臣が認めればやつて行けるのだというお話ですが、いくら考えても、進歩はしておるのだと思うけれども、まず私に言わせれば、予算などというものの面で大蔵省にこれだけの権限を与えるということは、非常にふしぎでならない。ですからわれわれはこれは修正をしようとかなんとかいう考えなどは出ません。何でもみな大蔵省のごきげんをとらなければ日本事業は行えないということになれば、——ですから私は次官先ほども言つておるのだけれども、申し上げたいことは、何で大蔵省のごきげんをこれまでとつてすべての法案に入れなければならなかつたのか。それほどわが電通大臣は弱いのかと言いたいけれども、そうは言えないから申し上げないのだけれども、そこで靱さんなどはもう少しがんばつていただいてもいいのじやないかと思いますが、あと質問者が控えておりますから、私の意見は本日はこれでとめておきます。
  18. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 別に答弁を要求されておつたとは思いませんが、先ほどの御意見のうち、私どもも首肯できる点が多々ありますので、私の考え方を率直に申し上げまして、御了承を特にお願いいたしたいと思うのでございます。と申しますのは、先ほど監督規定があまりこまか過ぎるではないかという御批判がありました。おそらくこれらの業務について政府が関与する規定がある程度いるということは、これはもちろん御了承のことだと思います。ただそれをこの法律をつくります際に非常にこまかな点にわたつてまで国家干渉する。これは行き過ぎじやないかという具体的な御意見かと思うのでございますし、さらにまた予算等の編成にあたつての、大蔵省と申しますか、政府干渉が過ぎはしないかという御意見もあるわけでございます。私どもは当初この公社法案考えました際に、できるだけ在来でき上つておる公社の例にならわずに、その公社の欠陥、欠点と考えられるものは、新たにつくる際にぜひとも是正いたしたいと思いまして、いろいろ努力をいたして参つたのでございます。従いまして提案理由その他公社設立趣旨と具体的にどうも違つておるのじやないかというような御疑念も、われわれの努力が十分報いられておらないので、当然生ずることだと思うのであります。しからばなぜそういうような当初の理念をそのまま実施に移すことができなかつたか。これは相当弁解がましいことになりますが、すでにできました鉄道公社であるとか、専売公社であるとか、おそらくこの公社をつくられる際にも、いろいろの論議を重ねられたことだと思いますが、いずれにいたしましても、ともかく現在厳然たる公社形態先例として二つあるわけであります。この先例を全然つくり直して参りますことは、他との振合いも相当考えざるを得ないのでございまして、これは理論の分野ではなくて、実際上の問題といたしまして、いろいろ振合い等考えざるを得ないのでございます。この点を率直にごひろう申し上げますれば、すでにでき上つておる鉄道の小社なり専売公社等についていろいろの御批判をいただいておりますが、まだこれらについての批判はつきり修正の方向にまで固まらない事情である。実施については目下検討中に属しているものである。その先例を多分に取入れざるを得なかつたために、ある程度いろいろ御批判を受けることが出て参つておるように思うのでございます。以上私この法案を立案するにあたりましていろいろ考えました事柄と、実際に取入れたものとの間の相違点先ほど言われましたように、あまりにもかけ離れているのではないかというような御批判がありますが、あまりにもとは実は思いません。ある程度のくふうを凝らして、先例に必ずしもよらないで、一歩進んだつもりではおりますが、さらに一歩の程度にとどめず、数歩どうしても進まなければならないだろう。それは先ほど申しましたように、在来の例をとらざるを得ない現状にある。この点を率直にごひろう申し上げて御批判をいただきたいと思います。
  19. 田中重彌

    ○田中委員長 松井君。
  20. 松井政吉

    ○松井(政)委員 これはどうしても大臣からお伺いしなければならない事柄でありますから、先に申し上げます。なるほど電信電話公社法案及び国際電信電話株式会社法案提案理由は承りましたし、文書もいただいております。しかしこの提案理由にうたつてありますことは、電信電話、これはやはり歴史に基いて必要だということだけが述べられておるのでありますが、私はそれ以外の理由を最初にお伺いしたいのです。というのは、御承知のようにこの種の国民全体の利用を対象とするがごとき企業の変革を行おうとする場合には、その国の経済的立地条件がどのように要求しているか、それからさらにその企業形態が変更することによつて、そのときの国家目的にどう合致するか、これが検討されて、部分的にはやはり電信電話公共企業体が必要だ、こういうことにならなければ理論的につじつまが合わない。従つて政府考えている講和後における産業構造からみたコーポレーシヨン、さらに経済的立地条件から見てなぜ必要であるかという点は、一つ提案理由にうたつていない、この点をひとつ明確にお伺いをいたしたいのであります。
  21. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 公社形態を採用いたしました基本的な問題に、ただいまのお尋ねのような点があるわけでございます。御承知のようにこの種の公益事業をいかなる形営形態にするかということは、非常にむずかしい問題であります。たとえば今のお尋ねの中にもありましたが、国家的要請の観点、たとえばこの国が軍事上特に必要とするというようなことを考えますと、どうしても国の経営形態でなければならない、かような理論もでき上るでありましようし、あるいは社会主義理念に徹底いたしますると、これまた国の直営が最も望ましいということも言われるかと思います。しかして今日の日本といたしましては、新しい憲法のもとにおきまして、平和的、文化的な国家としてこの国が発展して行くということが要請されておるのでございますし、この観点に立つて考えますと、過去において必要といたしたような特殊な国家的要請というものも考えられないのでございます。そこで最も経済的な要請であるとか、あるいは国民の生活上の要請に基いて、経営形態考えて行くのが望ましいのであります。そこであるいは突き進んだ人の考え方によれば、もう国の直営事業というものは全部よして、これを民間の企業に移したらどうだ、こういうような意見を持つ方もあります。これは社会主義理念に透徹して全部を国営に移せというごの理論と、非常に対照的な理論だと私ども考えるのであります。確かにこの日本電信電話事業経営形態として、そのいずれにも偏せず、しかも現在国民が要請している急速な整備と同時に、また国民に対しましてほんとうにサービスを提供するような機構は何だ、かように考えて参りますと、その事業性格等からいたしまして、公社という形態は望ましいのではないか。おそらくこの点が過去において国会等においても決議され、すでに政令諮問委員会におきましても答申しているゆえんではないかと私どもは解釈いたして、今日この法案を御提案いたしておるような次第であります。
  22. 松井政吉

    ○松井(政)委員 まだはつきりしない。もう少し具体的に説明してほしい。国際的な観点から見ても、世界の趨勢は逆の方向に動いておる。アメリカの統計を見てみましても、なるほどアメリカにおける電信電話の企業そのものは民営であります。しかし公共企業体の数は年々歳々ふえて参つております。さらにアメリカは、今大臣がおつしやつたように資本主義万能の国であります。しかしながら資本主義万能の国であつても、国家目的国民全体の生活条件並びに国民全体の利用の対象となるべきあらゆるものは、民間経営から公企体、さらに公企体に強い国家的制約をして、国民利用に供さなければならない、こういう傾向が強いのです。イギリスの場合においても、一九二七年には再び電信電話は国営になつております。この趨勢から見て、日本の講和後における産業構造と経済的な観点から必要かどうかということを私は聞いておるのです。日本の経済の中における産業構造、この種のものをこの程度の内容の公共企業体にしなければならないという理由を明確にしてほしい、こういうことです。
  23. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 アメリカ、イギリス等の例をとつて申されまするが、新日本としては必ずしも状況が同一と言えないので、その点はこれを例になさることはいかがかと思われます。しかしただいま言われました新たなる産業構造機構としての公社というものが、どの程度国内産業機構の新しい構想として採用されるかという問題だろうと思います。この種の構想は、おそらく今後も相当ふえて来るのではないかというような考え方を私どもはしております。これは非常に批判のあるところでありますが、国営形態、あるいは国営に近いところの公共団体の経営形態、あるいは純民間資本主義形態、こういうものの中に中間的な一つのくふうされた産業構造が当然考えられて行くべきじやないか、こういう感を実は強くいたしておるのであります。しかしこれはたいへん私見を申し上げる次第でございますので、これがただいまの政府の指導的意見というわけではございません。この考え方から見ますると、電信電話のような事業は、おそらくこの種の公社形態というのが望ましいではないかというのが、この結論でございます。
  24. 松井政吉

    ○松井(政)委員 私がその理由を明確にしてほしいというのは、公共企業体そのものに根本的に反対であるとか、賛成であるとかいう前提のもとに申し上げているのではないのです。これはやはりお互いに国家の経済をどう見るかということと、どの種の企業をどの形で行くかということは重要なことで、それで政府意見を聞いておかなければならない、こういうことです。それから一つ注意を申し上げたいのですが、先ほどからずつとこの委員会において、大臣初め政府の方々が、全部国会で決議をしている、国会で決議しているとおつしやる。国会では決議をしておりますが、国会の決議をした内容は、こんな内容を考えて決議したのではない。その点は、国会で決議したから当然だという答弁はやめてもらいたい。こういう公社の内容や、さらに国際電信電話株式会社に移してよいというような構想を描いて、国会で決議したのではない。現在の官僚経営の悪い面を打開するにはどうしたらいいかということで決議をしたのであつて、答弁の中にその理由を含めることはやめてもらいたい。これははつきり申し上げておきます。  さらにそれならばお伺いいたしますが、要するに公共企業体の設立の時期、それから方法等はいろいろ違つて来ます。これも私はたびたびお伺いするのでありますが、専売公社、国有鉄道はすでに公共企業体になつておる。ただいま大臣は、成果はわからないけれどもつておる。従つてこの種の事業はこれでいいじやないか、こういう御答弁です。それならばお伺いいたしますが、専売公社、国有鉄道を公企体にしたときには、マ書簡によつて明瞭な理由がうたつてある。しかもこの理由は、ただいま大臣が答弁された国民の生活条件の要求等からなつたものではございません。当時における主として労働組合運動の趨勢からマ書簡となり、マ書簡にうたつたほんのちよつぴりした一項目が、公企体をつくらしめた大きな原因になつたことは、大臣も御承知通りです。ところが今度の電信電話の公企体の今やらなければならないという時期と理由については、提案理由説明の中に不明であります。この点を明確にしていただきたい。どういう理由で今日現在やらなければならないか。従つて専売公社、国有鉄道とその設立の趣が違うということは明瞭でありますから、なぜ違うか、なぜやらなければならないか、この点を明らかにしてほしい。
  25. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 私の今までのお答が少し耳ざわりであつた点がありますれば、御了承いただきたいと思います。私は過去において決議をいただいた公社というものを申し上げただけで、すでに決議をしたから、その公社案が出て来たら、全部それで御賛成を願う、こういう意味で申し上げているわけではございません。ことに私自身が、おそらく公社の決議をなさつた理由は、こういうところがねらいではなかつたかということを、特に申し上げたかつたのであります。ただ先ほど長谷川委員から御指摘になつておるように、その内容として相当食い違いがあるだろうということは、これは私も予想するのでございます。従いましてただいまの松井委員のおしかりは、一応は私も了承いたしますが、その部分的な問題については、必ずしも了承しかねるものがありますので、この点はむしろ私は御返上申し上げておきたいような感じがいたすのであります。議論はともかくといたしまして、ただいまお話がありました公社経営に移すのは、主として労働問題の観点からではないかという御意見につきましては、当時の事柄についてのいろいろの批判はともかくといたしまして、現在はさような問題は毛頭ないのでございます。今回公社にいたしますことは、労働問題を解決するためにこの種のものをつくるものでないことは、この際にはつきりしておきたいと思います。この公社にいたしますゆえんのものは、時期の問題がそれと関連して参るわけでございますが、私どもは現在の電信電話状況等を勘案いたしますと、もつともつと民営的機能を取入れまして、一日もすみやかにその機能を国民の需要にこたえ得るようなものにいたしたいというのが、私どもの念願でございます。従いましてこれはできるだけ早い時期につくることが当然の要請ではないか、かように考えておるのでございます。労働問題のお話が出ましたが、なるほど過去におきましては、国家公務員に対する特例としての公共企業体等が考えられた。これは一部においてさような御批判、御意見のあることは当然だと思いますが、電気通信に関しましても、最近の政府の労働立法の方針等から見ましても、特殊な事業体に対しましては、実は一時占領下においてとり行われたような労働行政の方針でもないのでございまして、最近は非常な労働政策の転換も明らかになりつつある際であります。従いましてこれを公社形態に移すことが、労働問題を主にして考えたということは当らないのでありまして、むしろそれよりも国家的な要請、すなわち国民利用者の要請にこたえる方法として最も望ましい事業形態は何であるか。これは先ほど申したような国営形態と、それから純資本主義経営形態との中間のものとして、両者の長所を取入れるような機構をくふうした。そのくふうに基きまして、できるだけ早い時期にこれを実施して行こうというのが、本来の趣旨なのでございます。この点はもうすでに次官等からたびたび申し上げおりますので、誤解はないことだと思いますが、ただいま根本の問題についてのお尋ねがありましたので、重ねて明確にしておきたいと思います。
  26. 松井政吉

    ○松井(政)委員 根本的な問題だから、もう少しお伺いいたしたいと思います。そうすると、大体国有鉄道専売公社の設立当時の問題は労働問題であつたが、今度はそうでない、これは明らかになりました。しかし企業体にするのだ、こう言われる。ところが企業体にするということになりますれば、現在の国営形態のどこが一番悪いか、この形態では国民の要求に応ずることができない、その一番現在の国営形態の悪いところを教えていただきたい。そして今度公企体にして、この案によればこうなるのだというところを、明瞭にお教え願いたい。
  27. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいまの問題につきましては、長谷川委員に対する私の答えを繰返すようになつて、まことに恐縮に存ずるのでございます。先ほど来松井委員にお答えいたしましたような一つの理念をもつて、この案を生み出して参つたのでございます。国営形態で最も欠陥と見られると思いますものは、その提案理由の中にもはつきりいたしておりますが、予算的な拘束を受けて、事業資金の獲得上非常な問題があり得る。もう一つは、これがあるいは労働問題という点の誤解を受けたのかと思いますが、やはり率直に認めますのは、官僚機構の打破だと思います。打破はこれは言い過ぎかもしれませんが、この官僚機構と予算という二つの問題が、現在の国が経営いたします場合において、非常な支障を来す問題ではないかと思います。そこで今回この公社案をつくります際におきましても、この二つについて特例を考えると申しますか、ひとつ進めた考え方をして行こうというので、いろいろくふうをいたして参つたのでございます。そこで一つはつきりいたしたものは、予算の面におきまして、これの取扱い等をできるだけ簡易にいたしたいと考えて参りましたが、これは十分の目的を達することができなかつた。しかし独立採算の原則をはつきり打ち立てることができた。と申しますのは、利益金の処分等におきまして、新しい原則をここに打ち立てたのでございます。この点は在来の鉄道公社専売公社にその例を見ない次第でございます。従いまして今後さらにくふうを重ねまして、これがもつと事業予算的に、また事業計画程度を審議するようになつて参りますならば、一層徹底して参るのではないかと思います。しかし現在の状況におきましては、先例等にとらわれている面が多分にありますので、この法案といたしましては、十分の目的を達しておらないということを率直に申し上げる次第でございます。  次の官僚機構の問題になりますが、この官僚機構の問題は、長い間の歴史によつて築き上げられたものでありますので、専売公社ができたとか、国有鉄道ができましたからといつて、一年や二年でその問題がかわるわけのものではないのであります。従いましてこれは相当の長期間によりまして、人の交代が行われない限り、十分の目的は達しないであろうと思います。その点は、会社が合併をいたしました際等におきまして、これが真に一会社になりますまでには、その職員がどんどん入れかわりまして、合併後新しく採用された人たちがその後中堅になつたような際において、ほんとうの統一された会社になるのと、実は同様にお考えを願いたいと思います。
  28. 松井政吉

    ○松井(政)委員 官僚機構の問題については、ただいま資料等もいただきましたので、あとで大臣以外の方でよろしゆうございますが、この官僚経営つた時代、その他の年次別な説明をお願いしますから、あとまわしにいたします。  そこで予算関係については十分でなかつた、こうおつしやる。そうすれば、十分でないどころではなくて、国有鉄道法の三十九条と本法の四十一条の大蔵大臣の権限はかわつておりません。それからさらに国有鉄道法の三十九条と本法の四十七条、さらに国有鉄道法の四十一条と本法の四十三条は、むしろ国庫納付金制度がくつついているだけ、本法が悪い。こういう形になつて、それでも現在の官僚機構の経営よりもいい、こうおつしやるのかどうか、これをひとつ明らかにしてほしい。
  29. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいまの国庫納付金制度云々、この点が非常にかわつているということでございますが、その原則といたしましては、公社内積立てという原則ができ上るわけであります。この点は国有鉄道の経理の場合においてないことでございます。むしろ余剰金は国庫に納めるのが、鉄道の場合は原則なのでございますが、これが今回はその原則がかわつておると思います。国に納めるのは例外的措置で去ります。そういうようになつておりまして、これが先ほど私が相当自慢を申し上げた点でございます。その点は詳しくは次官からその相違説明していただくことにします。
  30. 松井政吉

    ○松井(政)委員 あとでずつと年次経理を説明してもらいますから、そのあとでひとつ……。  そうしたらここで一ぺんまた大臣に本質論をお伺いしたいのですが、一体どの種のものをやろうとも、公共企業体の正しい定義と本質をどのようにお考えになつて、これを計画されたか、その公共企業体に対する定義というものを、ひとつお教え願いたい。
  31. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 公共企業体の定義というものは、どういうものであるかというお尋ねでございます。私も別に法律的に定義を下すわけにも行きかねると考えます。ただこういうことは申し得ると思います。国家的な機能を発揮するものにつきまして、いろいろの形をつくり得るのであります。先ほど意見のうちにもあつたかと思いまするが、国営形態もありましようし、あるいは公社形態もありましよう。しかも公社形態のうちにも、いろいろ国家干渉をする度合いが非常に強いものから、非常に弱いものまでがあるように思うのでございます。さらにまた民間の特殊会社、今回御審議をいただきますところの国際電信電話会社のような、特別法に基いて設立する会社もあるわけでございます。ところがこの特別法に基いて設立した会社にいたしましても、事業の種類によりまして、国家干渉している度合いはこれまたまちまちなのであります。御承知のように最も卑近な例で、この委員会等にかかつて参りましたNHK、この組織自身をお考えになりましても、これに対する国家の関与は非常に薄い程度であるのであります。また日本銀行等の銀行業務について考えましても、これもまた管理方法がまちまちである。そのいずれの監督方法をとるのが望ましいかということが考えられるわけでございますが、今まで国営でやつておりました鉄道であるとか、あるいは電信電話であるとか、あるいは専売であるとか、こういうものはできるだけ同一に扱いたいというのが、実はただいままでの政府の強い考え方であります。そこで今回電信電話公社をつくりましても、遺憾ながら鉄道公社なり、専売公社なりを先例にせざるを得なかつた。この点は先ほどたびたび申し上げたような次第であります。
  32. 松井政吉

    ○松井(政)委員 その点をもつとはつきり聞かしてほしかつた。というのは、公共企業体というものは、官庁経営と違つてここが特質だ、民間経営と違つてここが特質だ、従つてこうだというというところを明瞭に説明が願いたかつた。それをひとつ説明願いたいと思います。たとえば官僚経営企業体と、公企体とした場合とでは、公企体の特徴はこうなんだ、民間経営と違う、さらにその面を具体化して行けば、資本の面、予算の面の計画性、技術進歩の面、さらに従業員に対する労働問題、そういうものを個別的に、具体的に、こういう形が大体公共企業体の理想的な定義であるというお考えがなければ、法案は出せないわけでありますから、その理想的に描いた公企体の定義と本質的なものを説明してほしい。
  33. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 非常に具体的なお尋ねでありますが、これは相当詳細に申上げるということにならざるを得ないものだと思いますが、とりあえず取急いで、きわめて簡単な点だけを申し上げてみたいと思います。なお説明が足りない点は、重ねてのお尋ね等によりまして、補足さしていただきたいと思います。  そこで国が経営をいたしております場合においては、明らかに国家予算に縛られる。これは他の行政官庁の予算編成の方針も、事業官庁の予算編成の方針も、何らの変更がないのでございます。しかもその職員自身につきましても、今回労働法の改正等を出しまして、やや事業官庁に対する職員の特殊的な地位は認められますが、今までの法制のもとにおきましては、一般行政官庁の職員と何らの変化がない。これは労働問題におきましても、また給与の問題等におきましても、全部統一の規定を受けるわけでございます。これが基本的な考え方であります。ところが公共企業体になりますれば、政府機関でであるという立場においては、国が経営する場合と同様でありますが、政府機関ではあるが、国が直接経営するほど、ただいま申し上げるような厳格な意味合いを持たさなくてもいいという特質があるわけでございます。たとえば今日まで電気通信省が独立採算の原則を採用するといたしました場合に、独立採算ということで一応予算をつくりますが、その予算をオーバーしての収益がありました場合には、ただちにこれを一般会計に繰入れることに相なるわけであります。また赤字が生じました場合におきましては、これが適正なる赤字であると認められる限り、ただちに一般会計からの補填を受けることに相なるわけであります。しかしながら公社になりましてからの独立採算という場合でありますならば、この経理の処理方法がかわつて参るのでありまして、予算をオーバーいたしましての利益金は、社内留保としてこれを積み立てて行く、あるいはまた赤字が出ますならば、それは欠損の繰越しとしてこれを処理して行くということに相なるのでありまして、この点ではその処理方法が全然違つて参るわけでございます。同時にまたこの予算をつくります場合におきましても、款項目の流用等、今までの政府事業官庁の予算をつくりますよりも、相当事業上の融通を認めるようになつて参るのでありまして、この点は予算編成の面から見ましても、また決算の面から見ましても、その点がかわつて参るのでございます。しかし民間の場合と比べまして、特にこの公社の場合で違いますことは、政府機関であるという意味合いにおいて、これが一般の公課を免除される恩典を有しておるわけでございます。民間会社の場合におきましては、もちろん公課を免除されるという例もあるわけでありますが、これは特殊な場合に限られる。しかし公社の場合におきましては、公課を免除されるというのが、当然の原則のように実は考えられておるのであります。しかし民間会社の場合のような株主総会があるわけではありませんし、取締役会があるわけでもありませんし、人事の任免等におきましても、政府干渉を受けることにも相なりまするし、また労働問題等におきましても、いわゆる一般労働法の規律を受けないで、公企体労法の適用を受けて行くと、こういうように特殊なものが考えられて参るのでございます。かように考えますと、一体この公社でその特質が発揮されるという方向に何を求めるかと申しますれば、先ほど申しました第一の点は、何と申しましても事業資金の獲得が容易であり、事業資金の支出が容易であり、利益金の処分が会社事業発展のために使われるような決算方式が一採用されることが、最も望ましいわけであります。ところが今回できております公社形態は、必ずしもただいま申し上げるような理想的な形態には相なつておらないと思うのでございます。労働問題等におきましては、組合活動等が一般の公務員である場合には、非常な制約を受けまするが、今回の公社になつて参りますれば、特殊な組合としての活動が承認されるわけでございます。この点は民間とも相違いたしまするが、同時に一般公務員ともその観点がかわつて参るわけでございます。また採用等の場合におきましても、また任用等の場合におきましても、経費の支出等におきましても、在来のものよりかよほどゆるやかに相なつて参るように、私ども考える次第でございます。非常に大まかなお話を申し上げましたので、なお御疑問が多々あろうかと思いますが、お尋ねがありますれば、重ねてお答えをいたしたいと思います。
  34. 松井政吉

    ○松井(政)委員 大体主たる目的事業資金の獲得だと、こういうお話であります。そうすれば事業資金の獲得をどういう幅でどういうふうにするかということは、条文の中にも不完全ながらのぞいております。その線で事業資金を獲得しようという考え方があるということは明らかになつておりまするから、そこで一番問題になりまするのは、現在の国営形態よりも事業資金がどの程度に獲得できて、その事業資金の運用がどのようにやつて行けるかと、こういうことです。ところが先ほどから不完全だということを大臣みずから認めておりまする資本の運用と予算上の制約は、この法律により依然として公社は受けております。従つてその制約を受けている範囲で事業資金の獲得目的を達成して、公共企業体の本質を全うするような公社になり得るかどうか、ならなくともやるんだということになれば、政府提案の理由が薄弱になつて参ります。しかしそうならないのだけれども、なるようにするのだということになれば、考え方だけは通ずるが、できないということになります。従つて公社案提出の根拠というものが、きわめてぐらついて参ります。だからとにかく予算上の制約についても思うように行かなかつた資本の獲得と資本の運用の面でも制約を受けている、けれども公社にするのだ、こういうことでありますが、けれども公社にするのだということになりまするならば、もつと具体的に説明を願わなければならないので、そこで大臣からそれに対する一般的な説明をお願いして、具体的な年次別数字等は、大臣以外の方の方がいいように考えられますので、答弁はその方からしてもらいたいのですが、大体創設以来、すなわち国営がずつと続いて来たもの——たとえばここに本日資料をいただきましたが、資料の中に、多少やはり政府に納めた納付金等の年次別数字は拝見いたしました。しかしこれだけでは私は足らない。なぜかといえば、国家経営で行けるのか、公共企業体で行けるのか、そしてその方が国民に利益を与えながら、独立採算ができるのか。できなければ、資金にしても資本にしても、国家の世話にならなければならない。そうすれば公共企業体でなくて、国営のまま国家の全責任でやる方がよろしいという結論が、また逆もどりして出て来る。だからそれを聞かなければ態度をきめることができない。そこでお伺いするのでありますが、特別会計時代と戦時中と戦後とわけて、どれだけの利益を上げて、その利益の中から今この数字に出ている程度の金は一般会計へ納付して、一般会計へ納付しなかつた場合には、どこの資金で戦後ここまでやつて来たか、その資金はおそらく見返り資金だろうと思いまするが、その額は幾らであるか、どのように運営されて来たか、この点はひとつ時間がかかつてもよろしいから、納得の行くように、年次別に数字をあげて御説明願いたい。
  35. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいまのお尋ね、しごくごもつともな基本的な問題だと思います。そこで私からは大体の構想についてお話をいたしたいと思いまするが、資金の獲得ということももちろん必要でありまするし、資金の運用あるいは決算というようなことが、同時に非常に大事な問題に相なつて来るのでございます。と申しますのは、資金の獲得は、本来ならば自己資金と借入金で処理するというのが、普通の会社経営形態でございます。この公社の場合におきましても、その自己資金なりあるいはその借入金なりというようなものが考えられますが、この自己資金としての株式組織がないわけでございます。在来の資産の償却であるとか、あるいはまたその利益金の処分等の問題が、その場合においては最も考えられるわけでございます。もちろん配当等の問題もありませんので、利益金の処分は、同時に事業発展の用に使われるわけでございます。その点が先ほどこひろう申し上げました利益金を社内に積み立てるという考え方の基本に相なつて、これを政府に納付しない考え方で参るわけであります。借入金といたしましても、社債の発行の問題は、これはもちろん法律におきましてその道を開いていただくわけでございまするが、この点も現在の国家財政経済資金といたしましてのいろいろの統制のわく等もありますので、現在の状況におきましてはなかなか自由には参らないだろうと思います。ここに一つの困難性があるわけでございます。同時にまた社債等を発行いたします場合において、外債等についてもいろいろの質問等もあろうかと思うのでございまするが、ただいままでのところ外債についての具体的な話合いもなければ、その話を進めておるような姿も実はないのでありまして、この点は明確にいたしておきたいと思います。ただそういうことが将来起り得るという点等をも考えまして、いろいろくふうをいたしておるものはありまするが、具体的にそういうような話合いは別に進んではおらないのであります。先ほど来お尋ねの数字等につきましては、次官等からお話を申し上げることといたしまして、ただただいまのようなお話を申し上げましても、公社になつて一年や二年で国内電信電話が見違えるようになる、かような考え方をされる方もまずないだろうと思いますが、昨日の公聴会でもちよつと話を伺いましたが、おそらく公社になれば事業活動は一層活発になるだろう、しかしながら相当の期間、相当の年月をかさなければ、ほんとうに公社としての機能も発揮できず、また国民の需要にもなかなか沿い得ないのではないか。問題は、どこまでも現在電気通信省が所掌いたしております電気通信の実情が、国民の需要と比較してみますると、非常な懸隔があるということを意味しておるのであります。これは国営だから悪いとか、またそれがどうしても直らないとか、公社にしたらただちに直るとか、すぐよくなるとか、かような結論ではないのでございます。どこまでも現状を一層できるだけ早い時期において整備いたしで、国民の需要にこたえる方法としての活発なる活動を要望する形態としては、国家経営よりもこの公社経営の方が望ましいという結論で、案をつくつておる次第なんでございますから、その点は誤解のないように願いたいと思います。
  36. 横田信夫

    横田(信)政府委員 今お尋ねの具体的な内容の問題についてお答えいたします。今のお話は過去の状況がどうであつたかということと、今後の見通しはどうか、こういうお話だと思います。お手元に差上げてありますように、戦時中におきましてあるいは戦前におきまして、通信事業特別会計はそれだけの納付金を背負つて事業経営をいたして参つたわけであります。何分相当多額なものでありますので、御承知のように電信電話だけではなしに、当時は郵便あるいは貯金、保険の委託と両方やつてつたわけでありまして、いわゆる郵便、電信、電話合しての通信事業特別会計といたしまして、それだけの納付金を背負つてつたわけであります。相当多額なものでありますので、年次別決算は、私今手元に持つておりませんが、当時の決算はそれだけの納付金を背負つて、その年度末においては大体ほとんど残は残つておらないという状況で来ております。しかしそれでどうにか赤字を背負わずにやつて来た、こういう状況であります。しかしそのためには事業内部においてやるべきこともやらずに来たというものが相当多いということは、これはいなめない事実であります。戦後におきまして一般のインフレの影響を受けたために、この納付金負担を持たずになおかつ戦後すぐの年には赤字を出したというような状況であります。それによつて料金値上げもある程度やらざるを得なくなつた、そういう関係からかえつて財務当局の方から当時、独立採算で事業をやるべきじやないか、一般会計の援助を受けるなんかもつてのほかだというので、独立採算が一般財務当局から叫びが出るような情勢でありました。お手元に差上げました資料の中にありますように、実はお手元に他会計からの繰入れ百九十四億となつております。これはたしか二十二年度だと思いますが、この当時郵便も一緒にいたしておりまして、当時約六十八億の繰入金を一般会計からいただいたわけであります。これは当時料金値上げは経済政策上おもしろくない。しかしどうしても職員のベース・アツプも必要だというようなことで、料金値上げは政治的に押えるかわりに、やむを得ざる赤字として当時の六十八億というものを一般会計から繰入れましよう、しかしこれは完全にやる金ではないが、無期限、無利子で行きましよう、こういう意味で一般会計からある意味の補助を受けたわけであります。特別会計といたしましては戦後においてはそういうわけで、年度によつては幾分の剰余を来すことがありますが、大体どうにかとんとんでやつてつた、こういう情勢であります。その資金がどこから来たかというようなお話もあつたわけでありますが、今のお話のガリオア資金だけではもちろんないのでありまして、お手元にありますように、公債あるいは借入金というものが相当多額に上つておりますが、この公債、借入金というのは戦後のものが金額が一番多いのであります。この借金はほとんど全部建設の方に充てておりまして、この借金によつて新しい建設をやつてつた、こういう情勢であります。そのほかにお話のガリオア資金からの繰入金というものがあります。これはそこに載つておりませんが、その差額になります。ちようど百六十億の中にその繰入金が入る、これが出資になるわけであります。この繰入金が約百二十億、これがガリオア資金からの繰入金になるわけであります。そのほかに進駐軍の関係設備建設資金というものが、設備建設資金負担するという意味において約十六億あつたわけであります。それと積立金と先ほど申しました特別会計から繰入れました従来の資産、その差額が百六十億になるわけであります。これは借金でなくて行くわけであります。建設というものはかくのごとくして非常に多くの公債、借入金等の借金でやつてつた。これは新たなる建設的な生産投資でありますので、借金はほとんどない、こう考えております。これが過去の大ざつぱの概観でありますが、しからば今後どうなるかという問題であります。今後建設資金はどうやつて豊富にするのか、こういうお話でありますが、まずこの点につきましてはたびたび御説明いたしましたように、やはり日本の現在の民間蓄積資本情勢におきましては、やはり再建設の資金というものは、資金運用部資金等の政府資金に主としてたよるということに相なるのは、これはやむを得ないかと思います。その面においてしからば非常に飛躍的な増加ができるということになりますと、これは資金運用部資金が飛躍的に増加するかどうか、あの貯金なり保険なりの資金が飛躍的に増加するかどうかということであります。これはそう一度に飛躍的に増加するということも考えられない。そうするとこの面においては公社になつたからといつてふえるというわけではなかろう。今度それに対するプラスは何かということになりますが、そのほかのプラスというものは、政府の資金以外に民間からの電信電話債券の引受け、それから民間からの借入れというものがどうなるかということであります。この点の数字を示せとおつしやいますと、これはちよつとただいま無理でありまして、電信電話債券の引受けというものはどういう場合に引受けがあるか、一般にこの電信電話債券の利子は、おそらく五分ないし七分だろうと思われますので、これを一般にただ公募したくらいで集まつて来るものではないと思います。しかし先般も話が一出ましたように、いずれにしろ今の電話の需要と供給は非常に離れておる。しかし今の建設資金を前提にいたしますならば、すべての御希望に沿うことはもちろんできない。自分の村なりあるいは自分の町なり、そういうところの電信電話の基礎設備をふやすことの方に投資してくれるならば、電信電話債券をわが市町村で持とうというような場合もあるかと考えられるのであります。これはどの程度になるかは今すぐわかるわけではありませんが、こういうものが、ある程度あり得るということは考えられるわけであります。  それからただいまも大臣からお話がありましたように、いわゆる外資の導入という問題になりますならば、もちろん絶対にすぐ見通しがつくということはちよつとむずかしいのであります。もちろん外資は、コマーシヤル・ベースで入つて来ることは当然であります。従いましてこの公社のコマーシヤル・ベースというものが、外資から見て十分安定しているということについて——十分コマーシヤル・ベースの率、外資の導入策、外資の入つて来るそちらの方面にそれだけの信用を持つ。それから労働情勢につきましても、御承知のように労働情勢は安定しておるというようなことについて、外資を入れて来る方が安心をするという情勢になれば、私は入つて来ると思うのであります。しかしこれは今後の公社努力と今後の情勢に相まつわけで、今すぐ幾らになるかということは、もちろんこれは見通しがつかないのが当然であろうと思います。そういう意味で、建設資金の問題は幾分プラスになり得ると思いますし、また将来は相当発展性はあろうと思うわけであります。  公社のできるゆえんは、ただ建設資金だけではないということは、大臣がたびたびお話なりましたように、この国営事業につきまして、理論だけからいいますならば、この国営事業のままに置いて、いわゆる企業的経営というものが絶対にできぬことはない。しかしこれは事実上非常に困難である。公企業、電信電話事業というものは一般の行政とは違うのでありますから、これはやはり企業的に能率的に経営して行く。これは利潤本位ということではありません。そういうことが絶対に必要だ。それならば現在の態勢でいいかということになりますと、これはどうしてもそういう意味において、人事管理においても、財務、会計のやり方につきましても、企業会計的に一歩進むべきである、これは当然だろうと思います。それをやるのに、国営のままよりは、こういう形においてやることが実際に適するし、容易であろうということが一つの大きな原因であろうと思います。そういう意味において考えてみたときに、はたしてそういう財政上の自主性、あるいは人事管理上の自主性がこの公社案において完璧であるかということになりますと、ここに幾分問題があるわけでありますが、これも先ほど大臣お話がありましたように、なるほど成立の原因は幾分違いまして、も、鉄道公社等のねらいの一つはやはりそこにあつたわけであります。そういう鉄道公社あるいは専売公社等よりは少くとも一歩進んで行く。この前進的な進歩の中に、やはりほんとうの堅実な進歩ということも考えられるのではないか、こう考えるのであります。鉄道公社ができましてから、財務、会計の問題についても、あの公社法は三回の改正を経ております。一歩々々企業的に進んで行つております。それよりはなお非常に完全とは申し上げませんが、この公社案では一歩は進んでおると考えるのでありまして、今後事業経営管理者と従業員の一致した努力によつて、国会あるいは輿論の一般の支持のもとに、なお今後非常に発展して行く可能性があるだろう、こういうように考えるわけであります。
  37. 松井政吉

    ○松井(政)委員 そこで承りたいのでありますが、戦後、昭和二十年には、資料によれば、やはり臨時軍事費に二億四千万円繰入れております。郵便と電通の方との分布は私はわかりませんが、しかしやはり二億四千万円繰入れておる。それが二十一年から終戦後赤字となつた主たる原因をひとつ明瞭にしてほしいと思います。
  38. 横田信夫

    横田(信)政府委員 この赤字となりました主たる原因は、人件費、物件費の増高であります。これは御承知の物件費のインフレによる問題、それから人件費につきましても、これは当然インフレに伴つて人件費を相当上げなければならぬということが、非常に大きな原因である。そのほかになお原因と申しますならば、ある意味において戦争中なり過去において、通信事業というものが相当搾取をしておつたとも言えるのであります。従来は御承知かと思いますが、電報配達人等におきましては一月にわずか一日か二日の休みしかなかつたのであります。それが戦後におきまして週休制が採用され、労働時間は八時間制をとるというようなことで、この人員の増加というものも相当あります。そういう意味におきましての人件費の増加、物件費の増加、こういうことであります。また料金の方は、国家事業でありますので、非常に飛躍的な大きな料金の値上げということもできかねるというような、収入の面と支出の面と両方相関関係におきまして赤字に転向して参つた、こういう情勢であります。
  39. 松井政吉

    ○松井(政)委員 物件費の増大、人件費の増大というものは、やはり時代の趨勢に基いて上つたり下つたりするものなんです。しかしその間において、やはり経済政策に伴う物価政策から来る諸物価の影響というものがはね上つて来る、そこから生れた小売指数、卸売指数並びに生活指数から影響をこうむつて来るのです。その点を把握し承知をしない電通当局ではなかつたと思います。把握しながら赤字を出した責任の所在と、把握しながらもできなかつたという原因をひとつ説明してください。
  40. 横田信夫

    横田(信)政府委員 今のお尋ねにお答えいたしますが、私先ほどある年はそうやつて赤字を起したと申しましたけれども、それは赤字のかわりにその繰入金によつて、一般政府からいわゆる無期限、無利子の金でその赤をカバーした。それは時の政府におきまして、料金値上げの意味はわかる、しかし料金値上げを今すぐやつたのでは、一般に響くところが大きいからこれを延ばしてくれ、延ばす間の赤字というものは、一般会計の無期限、無利子の金でカバーして行こうじやないか。鉄道運賃におきましても同様な政策がとられたわけであります。これはその年度のことでありまして、ほかの年度につきましては、決算において赤字は出しておりません。ただ戦争前におきましては、これだけの繰入金を入れるだけの余裕があつたけれども、それがすつかりなくなつておる、それだけのことであります。
  41. 松井政吉

    ○松井(政)委員 わかりました。そうすると戦後赤字はなかつたが、やはり建設資金の獲得はうまく行かない、こういうことですか。
  42. 横田信夫

    横田(信)政府委員 建設資金の獲得が全然できなかつたとは申し上げません。今のそこに上げております公債、借入金というものは、建設資金に充てるためにこれに来たものであります。しかし何分にも電話の需要と供給との関係におきまして、需要にマッチするだけの資金というものは非常に厖大なものを要する。しかし財政全体の関係からいつて、それだけの資金は出ない。その全体の関係考えまして、それだけの建設資金が借金として借り得た、こういうわけであります。
  43. 松井政吉

    ○松井(政)委員 さらに参考までに……。資料には昭和九年以降の納付金が出ておりまするが、要するに電信電話は、私みたいなしろうとが申し上げるまでもなく、帝国議会以前に条例によつて創設されております。それから電信法ができたのは明治三十三年というぐあいにずつとやつて来たのであります。従つて昭和九年以前の経営状態はどのようになつてつたか、これを参考資料がありましたらひとつ御説明願いたい。
  44. 横田信夫

    横田(信)政府委員 非常に古いものになると、はたして資料があるかどうかわかりませんが、創設当時は、御承知のように日本においては国営で始めたという点は、当時こういう事業を進歩的にやるには、やはり国家資金でやらなければいかぬというので始まつたのであろうと思いますが、当時は収入支出とわかれておつた。おそらく最初の明治初年の当時は赤字だつたと思います。それがだんだん多くなつて参りまして、収入支出というものは会計上わかれておりますが、この収入支出を見合わして見ると、どうにかだんだん余裕が出て来るというような情勢になつてつたわけであります。ただいまそこに差上げましたように、昭和九年から特別会計になつたわけでありますが、その当時の状況が、一般会計の中にあつてそれくらいの剰余金が大体できておつた従つて特別会計になることは、企業的にする意味において当時よかろう、しかし特別会計にわかれることによつて一般会計に非常に影響を及ぼすことはこれまた問題だというわけで、従来の一般会計におつた実績、それくらいは特別会計が生れても、一生重荷を負つて特別会計をやつて行きなさいというようなことで、当時の実情は一般会計の中にあつて収入支出は一応わかれておるけれども、見合してみると、大体そのくらいの黒字が出ておつた、こういうことであります。
  45. 松井政吉

    ○松井(政)委員 経過の説明は大体わかりましたが、そうするとますますお伺いいたしたくなるのは、従来の国営で、昭和九年以前、特別会計のできるまでの前の国営形態においては、むしろこの九年以降よりも私は利益をあげていたと思われる。従つて国としてはずいぶん郵政、電気通信事業でもうけたと思います。昭和九年以降、やはりその当時の物価の低いときの金でも、これに出ておりますように、国庫へ厖大なる納付金として繰入れをいたしております。それからさらに戦後物件費、人件費等が上つても赤字にはならなかつた、こういうことでありますね。そうすると、ただ現在の経営公共企業体に移行しなければならないという理由は、先ほど大臣説明している主として資金の獲得、こういう面じやないかと思う。さらに資金を獲得して建設をして、多くの需要者に満たして、国民にサービスができるかというと、公共企業体にしてもそう簡単には参りませんという御答弁をただいま申されておる。それならば何のために公共企業体にするかということなんです。それでは公共企業体にする根拠というものが、ますます薄弱になつて来る。だからそこで私は現在でも赤字は出ておらない、戦後赤字は出さない、しかしやはり資金は欠乏しておつたらしい。それを今度は公企体にして獲得したい、しかしそれにしたつて需要者を満たすようなことには、一年や二年、三年にはできない、こういうことですね。そうすれば現在の国営形態の悪い面も万万承知しておる、しかしその悪い面を除去しようといつても、なかなか困難な面がある、しかし公共企業体にしても、公企体のいい面ばかりただちに行きはしない、こういうことなんですね。それでもなおかつこういう考え方で公企体にして、電通当局としては予算上も気にいらぬ。政府全体としては私は知りませんよ。しかし電通当局としては予算上の条項も、法律上気にいらない、早くいえば……。資金運用の面についても気にいらない。公共企業体の面を発揮するだけの完璧な法律もできなかつた。しかしこれをやらなければならぬという原因は一体どこにあるか、これをひとつお聞かせ願いたい。
  46. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 先ほど横田君の資料の説明でよくおわかりになつたと思いますが、その点を少し補足して私見を申し上げてみたいと思います。  戦前と戦後の問題でありまするが、戦前といいますが、戦争に突入する前と戦時中の問題と、それから戦後の問題、かように考えお話申し上げてみたいと思います。おそらく過去のことは——これは私の私見でありまして、あるいは当らないかもわかりませんが、私の理解するところにおきましては、あの新興日本が特殊な発展をいたしております際に、おそらくひとり経済活動上から必要だというばかりでなく、軍事上からも特に重点を置かれるこの種の施設につきましては、政府自身が非常に積極的な意図を持つて、これの設備に非常に努力して来たことはいなめない事実だろうと思うのであります。従いましてその建設整備にあたりましても、国家的資金はどんどんつぎ込まれたでありましようし、また利益金の処分等におきましても、整備にどんどん使われて参つたことだろうと思います。ところが戦時中になりますと、この施設の改善等はほとんど手をつけないでそのままにいたしまして、戦争遂行のためにあげて資金をその方向に振向けたというような財政状態であつたのではないかと思うのであります。これが戦後の状態から見まして、非常な負担をここにもたらしておるのであります。先ほどからの話でよくおわかりだと思うのでありますが、あれだけの大戦争をして、国内の都市という都市が灰燼に帰した。電話のない都市は一つもないわけであります。今でもなお焼け電話として、過去の電話の加入権を持つておるものが元に復したい、あるいは市内の通話等におきましても非常に不便を感じておる、あるいはまた地方の電話等においても、長期にわたる戦時中においての施設の改善、いわゆるその時勢に即応した整備等が遅れておる、こういうような状況でありますので、この戦後の経営といたしましては、非常に困難な問題に当面しておることは事実でありますが、現状自身が非常に困難な状態に置かれておる。荒廃に帰した電話の復旧も、もちろん必要ならば、また時勢に非常に遅れたところの設備の改善も積極的にしなければならない。そうして一面におきましては、いわゆるインフレの波にあおられまして、この料金の改正はいつも後手々々となつて参るわけであります。これらの状態が予測できない経営者は、とんでもないやつだとおしかりを先ほども受けましたが、あのインフレの高進の状況のもとにおいて、この種の事業経営を遂行して行くことは、これは並たいていのことではないのであります。     〔委員長退席、高塩委員長代理着席〕 しかもインフレがかような高進を示しましたゆえんのものは、とりもなおさず国力自身を反映しておるのであるし、国民生活のどん底にあることを現わしておる現象なのであります。かように考えますと、政府がこの種の事業が非常に大事だと考えましても、国家資金は涸渇しておる。しかも国民生活は窮乏のどん底にある、いずれを先にするかというような点を考えて参りますと、これは最も必要な大事な事業であるにもかかわらず、これらの整備が遅れたこともやむを得ないと思いますから、政府自身の責任と申しますよりも、その時の情勢といたしましては、これはやむを得なかつたのではないかと思うのであります。その意味において、ある方々からはあの困難な状況のもとにおいて、よく電話はここまで復興したとまで推賞を受けるゆえんであります。しかし私どもがこの事業経営にあたつていろいろ考えてみますと、あの戦後の荒廃からとにかく立ち上つて事業経営の基礎も一応できた、従業員の給与等にいたしましても、なお不十分な点もあろうと思いますが、ともかくも一般国民生活と同じように、ある程度の安定をもたらし得たということは、これは今までの政府当局なり、あるいはこの事業遂行の衝に当つている人たち努力のたまものだと思います。従つてこれは過去の経営自身が非常な不都合があり、この不都合ではいかぬというようなことを声を大にして申し上げておるものでは絶対にないのでありますが、この電信電話事業状態考えますると、やはり経営者といたしましては、いろいろな苦心もあり、いろいろな努力もいたして参るが、その経営自身創意とくふう努力現実に出て来るような経営形態に移す、しかも本来の使命を達成するに万全である、かような形態考えるのが当然だと思うのであります。この意味においてこの公社考えられて来たのであります。従いまして先ほど横田君の説明で、大まかな点は御了承はできたろうと思いますが、私どもが理解しておりますところは、軍事的な要請が特に強く響いた時代とは、よほどそのことがかわつて来ておるのではないか。その意味においての活発なる事業活動を要望しておる際でありますので、この際は私どもは国営よりも公社形態をぜひとも取上げたいと考えておるのであります。
  47. 松井政吉

    ○松井(政)委員 私はやはりちよつと大臣考え方が違うのです。というのは、基本的な国の経済的立地条件から、公共企業体というものはどのような性質を持つものであるかということのお伺いをし、さらにその上に立つて、今の国営形態から公共企業体にしなければならないという根拠と理由というものが納得行かない。とにかくうまく行くとは考えられないのであります。できてからの公社努力でやつて行く、こういうことがただ一つ横田さんの答弁でうなづける点なんです。公社ができ上つてから必死の努力をして、それによつて成績を上げて行こう、こういうことはうなづける。けれどもこれはやはり現在の国営形態でも必死の御努力をなさつただろうと思う。なさらぬということは、当然公開の席で言うべき筋合いではない。真剣な努力をなさつているだろうし、していると御答弁をなさるにきまつている。しかしわれわれが考えるのに、この点は少し私の思い過ぎかもしれませんが、明らかにしてほしいと思う。というのは、第五国会以来、郵政一本のときから私は委員になつておる。あるいはときには運輸にかわり、労働にかわりましたけれども、ずつと一応関係をして来ておる。そうすると第五国会、第七国会ころまでは、それほど世間の評判は悪くなかつた。ところが昨年来電通当局の人気というものは非常によくない。一方からは、電話を何ぼ申し入れたつて引いてくれないじやないかと言われている。電話を引くということになれば、東京で市内ならば五十万がやみ相場、市外ならば三十万がやみ相場で、これはわれわれの聞いておる通り相場です。通り相場——ずいぶんいやな言葉です。あなたは国会の何の委員をやつている、電通委員をやつている、それならば電話を引いてくれない委員会だという。さらに今度は、毎日新聞をにぎわしておる汚職事件を起しておる委員会だという。ずいぶん人気が悪い。そこで根本的な経営形態をどうするかということではなくて、こういう人気の悪い国営形態の官僚経営電信電話をコーポレーシヨンに切りかえて、新しい角度かちやろうという考え方がかなり働いておるのではないかと想像される。これは私の逆想像かもしれません。しかし想像される。単にそういうところに根拠があるとしますならば、誤解があつて御迷惑をかけるといけないから、かりにと申し上げますが、かりにそういう考え方が、お出しになつた電通当局にありとするならば、根本的な経営形態国民のものとしての電信電話を、どのような利用の需要に供するかという建前からではなくて、きわめて本質的な考え方というものが稀薄になつて来る。そういうことがないとは思いますし、あつてはならない。だから私はかりにという言葉を使うのでありますが、そういう考え方があつてはならないし、あるはずがないと思いますけれども、この点を明瞭にしてほしい。やはり電信電話国民のものであり、国家的のものである。しかしながら国営であつてはいろいろな理由からやつて行けないので、公共企業体にするというお考えの方が全部ならば、公共企業体の本質が備わつた法律案が出されなければならない。それが出されなくて、へんぱなものでもいいからつくろうということで、不完備きわまる法律によつてつくるということは、これはむしろ罪悪です。国家の経済的立地条件と講和後の産業構造からいつて、一種の罪悪です。もつと政府みずからが完璧を期す時期まで研究を続け、さらに電通当局の意見が通るまで研究すべき段階なんだ。不完全なものでもいいから出そうということの考えに、われわれは本格的な企業形態を真剣に考える以外の考え方があつたのではないかと想像される。その点はあるかないか。ほんとうにこのように考えておるかということを念のために、ずいぶん失礼な言葉で質問しましたけれども、了解願つて御答弁を願いたい。
  48. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 失礼な言葉を使つたから了解願つてと言われますが、思い過しではないかという前置きもありましたから、おそらく自分が思い過しをしておられるということであるのだと私はかように了解しますが、いろいろおあげになりました点は、ほんとうに御懸念なさつている通り思い過しの意見でありまして、私ども賛成ができないのであります。ことに第五国会以来電気通信委員をしておられますので、電気通信省の変遷と申しますか、事業遂行の状況につきましては、私より以上の経験と知識を持つておられるわけであります。従いましてただいまお尋ね、御意見のうちに出て来ておること自身は、これはしろうとが申すならばともかくでありますが、第五国会以来ずつと引続いて電気通信省業務をちやんと批判し、監督しておられた松井さんとしては、私まことに意外に思い、機会がありましたら、その思い過しであることをぜひ御明確に願いたいと私は思うのであります。これはたいへん議論めいたことを申し上げて私も恐縮に存じます。しかし第五国会以来今日まで電気通信委員として非常に活躍され、わが電気通信省業務については非常に御理解をいただいている松井さんにして、なおかつかような思い過しではないかと思うがというような御意見を発表なさる。しかもこの席は私どもの最も大事に考えておる公開の席上でございますし、これより以上の席はないと思いますので、ほんとうに松井委員の信念を吐露なさつたといたしまするならば私は大いにこの席において議論をかわしてみたいような感がいたすのであります。まず冒頭にそれだけ私の私見を申し上げておく次第であります。
  49. 松井政吉

    ○松井(政)委員 こちらはずいぶん敬意を払つて質問したつもりなんだ。けれども思い過しだと断定をなさるならば私は申し上げる。それならばひとつお伺いをいたしまするが、世間を騒がしたり、国民に迷惑をかけたりしておる汚職事件の責任はないとおつしやるかどうか。この点はひとつ明瞭にしてほしい。
  50. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 この汚職事件というものは、ただいま御承知のように検察当局においていろいろ審理が進んでおりますので、その方において明確になるのであります。その問題と法案提出と関連してお考えになつておるところを、私は思い過しだと申すのであります。法案法案としてほんとうの生命、理想を吹き込んで御提案し、そうして御審議をいただいております。この種の事柄があつたから、何とか気をかえるような意味合いにおいてこの種の法案を出したのではないかと言われることは、私はまことに心外に思う次第であります。
  51. 松井政吉

    ○松井(政)委員 だから私は、そういうことがあつてはならない、この法律案に関連してはならない、関連はないと思うが、提出される根拠が、公共企業体の本質にも目的にも、さらに国営との企業形態相違にも納得行くだけの目的、明瞭なる答えがいただけないので、別の理由があるとすれば、かくのごとき理由はないか、あつてはならないが、ありはせぬか、こういう質問をしておる。質問の内容が悪かつたらもう一ぺん質問します。
  52. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 私もよくお話趣旨はわかりましたが、いやしくも最も電通省に理解のある松井さんといたされまして、そういう疑念を持たれたということを、私はまことに心外に思つておそのてあります。これは表現の方法としてたただそういうことを申されたというのなら、何も私は申し上げませんが、ほんとうの真意はよく電通省の実相を御理解あり、またおそらく電通委員会といたしましては、この困難な事業遂行の時期におきまして、非常な御鞭撻も賜わり、また同時に御指導もいただいておる私どもであります。従いまして松井さんの過去におけるお働きになつたことから考えますると、実は先ほどお話はまことに意外に響いたのでございます。しかしこれは別に本筋の話でもないのでありまするので、この点は私もこの程度でとめたいと思います。  そこで今お話がありましたが、電気通信省の評判は、御指摘のように最近非常にまずくなつている。同時にまた汚職事件が起きまして一層まずい結果になつておることは、私もこれを認めざるを得ない事実であります。しかしこれは弁解がましくなるかもわかりませんが、あえて申し上げますると、戦後のあの荒廃いたしました時期におきまして、まず当時の需要にはとりあえずこたえ得ただろうと思うのであります。また電気通信の働きから見まして、あれだけ混乱もし、あれだけ窮迫のどん底にもあり、また都市も荒廃したときに、電話は一応まず相当働いてくれていたという程度であつたろうと思います。ところが電気通信設備の整備というものには、相当の段取りを要するわけであります。そうして他の面のように、なかなか立上りが容易ではないのであります。ここに一般の整備状況あるいは復興状況とマツチしないものが確かにあつたと思います。そこに一層の批判が加わつて来たのだ、かように私は考えておるのであります。経済的な活動のためにお店ができる、店ができれば必ず電話は必要だ、しかし電話をつけますためにはその回線路から実は直して行かなければだめだ。あるいはまた都市でありますならば、相当整備された交換局を設備しなければだめだ、しかもこれらの国内生産等においてもなかなか思うように工場は動いて行かない、ここらに総合的な設備をいたします事業経営者の苦心が存するわけであります。そこで私ども今日の電話の普及状況は、もうすでにたびたび申上げておるので御了承をいただいておると思いますが、日本全国を通じて見ますれば、戦前の数以上のものが出ているわけであります。しかしながら最も需要の多い、政治的あるいは経済的中心である大都市におきましての整備が非常に不十分である。しかもまた遠距離通話等においての回線路の整備については相当の遅れがある。あるいは機械自身の老朽したもの、あるいは時代離れがしておるというようなものが多数あるわけであります。これらの点はよく御承知おき願つていることだと思います。この点において、利用者の面から見ますると、おそらく相当の不満がここに生じて来る、これはいなめない事実であります。もつと電話の加入個数でもふえて参ると申しますか、これが五百万だとか一千万も個数があるような電話状況でありましたならば、今日までの復興にいたしましても一層すみやかであつたのではないか。言いかえますれば、国民利用数が多いということ、ここに大衆性があるわけでありますので、この整備についての批判がもつと活発に行われたのではないかと思うのであります。御指摘のように、また私どもがいつもごひろう申し上げておりますように、これは国民のものであります。また国民の利便を増進するものなのであります。かように考えますと、これを利用する者、これを使う者の批判といいますか、一般の意見はもつと率直に、もつと端的に出て来ることが、この事業発展のためにどれだけの力を貸すかわからないのであります。かような意味合いにおいて、たとえば鉄道の復興等については、一般利用者批判が新聞等にも非常に活発に出ております。これは利用者大衆という数の問題から見まして、生活の問題、経済活動の問題から見ますれば、鉄道と何らかわらない重要性を持つものであります。そうしてその大衆性がもたらす当然の結果だろうと思うのでありますが、こういうようなこの種の事業鉄道電信電話も同様でありますが、国民のものと考え、また国民の利便の増進、あるいは経済活動、あるいは国民生活の確保の上から絶対必要だと申しますならば、一層国民批判を受けて、この要請にこたえるようなサービスを提供することは絶対に必要なことだと思うのであります。この意味におきましてはいろいろ御議論はおありだと思いまするが、国自身経営をいたして参り、そうして特殊な目的だけの遂行に重点を置いたような経営方針をとるなど、もつと視野を広め、民間経営の長所を取入れつつ、国民批判を率直に受入れ得るような機構をつくるのが最も望ましいことだと思うのであります。この意味におきましても公社形態は、ぜひとも御採用願いたいと思う次第であります。
  53. 松井政吉

    ○松井(政)委員 根本の理由については、やはり公共企業体そのものに対する考え方の一致の部所がないとは申し上げられません。しかしながら遺憾ながら納得できない面があるということをもう一度申し上げておきます。そこで今度は部分的にお伺いします。部分的にお伺いしますが、ただいま大臣が言われたように、大都市においては非常に要求が強い、これはわれわれもたびたび説明を聞き、数字を見てわかつております。そこで問題になりまするのは、今公共企業体になつて独立採算制で利益を追求しなければならない、欠損をしてはならない、こういうことになりまする考え方から——これもまた思い過しをするなと言われればそうかもしれないけれども、そういうものの考え方から大都市偏重になつて、結局大都市の場合は民間経営そのままの形を公企体の中に生かしている。そうして今度は、どうしても間尺に合わない、計算のとれない地方については勢い建設が遅れがちになるが、その面はやはり公企体の中の国家性というところでちよつぴり生かしている。こういうような形態になりはせぬかとおそれる点があるが、この点に対する公社になつた場合の当局の構想をひとつ聞かしていただきたい。
  54. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 この種の事業の整備ということは、まことにむずかしい問題であります。そこでただいまのようないろいろな御疑念が生じたり、不安が生じたりするのだと思いますが、国が経営いたしておりましても、都市または地方を通じましてまんべんない計画はなかなかできかねるのでありましよう。また機械の整備等にいたしましても、同一の機械を全国至るところで全部施設するというような状況には、なかなかなりにくいのではないかと思います。これは非常に金がいるわけであります。例をとつて申しますれば、全国が全部自動交換の施設になり得るか、かように考えますると、これは相当の時日と金額を必要とするに違いないだろうと思います。あるいはまた回線路の整備の問題にいたしましても、都市をつなぐ場合の回線路と、あるいは純地方的な線路の整備等におきましては、必ずしも同一の網を張るわけには参らないと思います。あるいはまたこの整備の問題にいたしましても、必ずしも都市を先にするというわけではありませんが、戦災をこうむりまして復興を今最も必要としておりまするものは、都市であるということははつきりした現実であります。また都市相互間の通話等も非常に整備されて参るわけでありますし、従いまして経営者といたしましては、絶えず国内総体の需要を勘案いたしまして、それが経済的な要求、あるいは政治的な要求、あるいは一般国民生活上の要求等の需要度の強さ等をも考えまして、それぞれ整備の方策を具体的に立てざるを得ないと思うのであります。さらにまた根本の問題として考えますれば、今日ある電信電話にいたしましても、十分の機能を発揮しておらない。そういう際に新しいものを建設する力は、これはしばらくとめおいて、現在あるものをまず完全に円滑に機能を発揮するようにしろというような御意見もあろうと思うのでありますが、しかしそればかりにとらわれるわけにも参らないと思うのであります。現在あるものは少々不便でも一応しんぼうしてくれ、ゼロであるところの方がもつと必要なんだから建設をやつてくれろという御意見も、これもあり得ると思うのであります。ただ私ども国内の要請につきましては、公平な考え方でこれを取上げて参るということに尽きるので、まことに抽象的なお話で恐縮に存じますが、その考え方経営の衝に当る人に要望して参りたいと、かように考えておる次第であります。
  55. 松井政吉

    ○松井(政)委員 独立採算制の問題で、基本的な問題についてお伺いしたい。御承知のように独立採算制が必要だということになりまするならば、やはり利用濃度からして、利益の多い部分は民間企業のいい部分と解釈しなければならないから、公企体においては、やはりこれを包容し育てて行かなければならない。といつて欠損のあるところでも、公共企業体の性質からいつて、公共性を生かさなければなりませんから、それをやらないというわけには行かない。そこでそういう独立採算性の立場から考えるならば、われわれが従来の予算等を見ても、あるいは決算等を見ても、利益のあると思われる国際通信を何のために切離しになるか、この目的を聞かしてほしい。その目的の前に、国際通信の利用者、現在並びに従来の利用者と、それから国際通信の収益計算の数字的内容がありましたら、御説明願いたい。
  56. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 お尋ねの数字等の問題につきましては、横田君等よりお答えいたしたいと思いますが、基本的な問題といたしましての独立採算制の問題につきまして、一言私見をつけ加えておきたいと思います。独立採算制は、必ずしも利益追求の経営形態という意味でないことは、御了承を願いたいと思うのであります。利益追求と申しますると、利益を上げまして、その利益の分配ということに当然なつて参るわけでありますが、公社形態として、政府機関としていたしておりますこの独立採算では、この事業によつて生じました利益金を、あげてこの事業の整備のために使うということが本来でございます。この点では何らの誤解はないと思いますが、そういう趣旨のものであります。従いましてこの事業経営の衝に当る人は、これは都市といわず地方といわず、国内をまんべんなく見る。また同時に経済的要請であるとか、政治的要請であるとか、あるいは国民生活上の要請であるとか、それらを適当に勘案いたしまして、その緊急度に応じて公平な立場において、国内事業の整備をはかつて行くように要求しているのが、この独立採算制であります。従いまして事業経営者の意欲というもの、また公社の使命とする公益増進を達成するという意欲の観点から見ますると、この意味において、同時にこの公社の従業員に対する給与等につきましても、相当の考慮が払われることは当然でありまするが、本筋といたしましては、どこまでもただいま申し上げるような事業の整備を第一主眼点に考えて参るわけであります。さように考えると、利益の上つている国際の問題をなぜ分離したか、それならば国際の問題で利益が上つているものを、国内の整備になぜこれを使わないのか、これは明らかに一つのりつぱな意見だと思うのであります。在来におきましては国際の面で上りました利益は、国内電信電話の整備の方向に使われていること、これは申し上げるまでもなく先刻御承知通りであります。ただここで特にこれを分離いたしましたゆえんのものは、その業務性格もやや違つております。ものによりましてわけ得ないものも実はある。たとえば電話と電報はわけ得るではないかというような御批評もあろうかと思いますが、設備関係上、必ずしもこれを明確には区分しかねる。従つて電報と電話とを区分するということは考えませんが、国内のものと国際のものとはある程度わけ得る。そうして国際のものは利益が上つている。そうして国内の方においては過去においてこの方の利益を受けておるという状況でありまするが、今後分離いたしました際におきましては、これはおそらく両者の間においての競争ということが考えられるのではないか。その利益を、これを薄い方、しかも非常な厖大な機構の方へ流してみますよりも、これを独立し得るものをひとつ見本といたしましてりつぱに育て上げる、そうして国内の方もこれに負けないように事業の整備をし、業績を上げて行く努力をする。これが実は望ましいのではないか、ものによりましては、相当の利益を他の方へ流すことによつて均霑さすことは、これは可能でありますが、その場合におきましては多くの場合において、悪い方向に均霑するのが普通の例であります。むしろいいものはいいとして、一つの標準にし、そうして悪い方が一層の努力をいたしまして、いいものの地位にまで引上げて行くような努力をすることの方が、最も事業発展上必要なんじやないか、これが一つのねらいであります。しかし形態的な問題からいえば、すでに提案理由で申し上げておりますように、国際の分野においての通話の形式等から見まして、むしろ国際関係会社形態が望ましいということを申して参つておるのであります。しかし在来の利益金の問題等の観点から申せば、むしろ競争さすべき筋のものではないかと考えます。しこうして今回公社から会社へ現物出資いたしますものを、特に有償で大蔵省一般会計の方へ譲渡いたしますゆえんは、この利益金が相当上つている。従つてその財産的な価値を公社の方に還元してもらいたいというねらいから、普通ならば、政府出資ならば政府出資として簡単に処理されているのでありますが、この場合においては、公社が現物出資する、政府の持分は一般会計公社に対して有償で支払いをして行く、こういうことをいたしましたゆえんは、ただいま御指摘の利益金が公社にかねてから還元されている、この点を見のがし得ない事実として、その跡始末をいたしておるような次第であります。
  57. 横田信夫

    横田(信)政府委員 国際電信電話の中の収支関係がどういうことであるかという御質問でありましたので、お答えいたします。これにつきましては、今お手元に国際電信、電話収支目論見書というものをお配りいたしましたが、ここに差上げましたのは、実はこれは御承知のように本年までは一緒に経営いたしておりますので、この一貫のものを分離するという推計をやらなければならぬ。そういう意味で、これは正確性において幾分問題はあるかもわかりませんが、最も合理的なように一応理論的に考えて行くと、実は本年の三月三十一日の決算も全部終了いたしておりません。幾分報告もまだ参つていないところもありますが、大体その推定ができますので、その三月三十一日の決算を予定いたしまして、その中で国際国内とわけまして、国際関係だけをわけてどういうことになるかというのがお手元に上げたものであります。これについて申し上げますと、いわゆる損失のうち支出といたしまして、二十六年度の決算から国際関係を見てみますと、支出がここにありますように、二十五億六千九百万円というものになるわけであります。収入国際電話収入国際電信収入両方を加えて三十九億二千六百万円、その差額の十三億五千万円、これが現在の共同に経営しておるものを合理的に計算すると、大体こういうことに相なるという数字であります。この中の各項目につきましては、ごらん願えば大体おわかりになると思いますので、一応説明は省略いたします。御疑問がありましたら御質問いただきたいと思います。
  58. 花岡薫

    ○花岡政府委員 国際通信の利用者状況、あるいは利用者方面の現在の状況からするいろいろな要望などにつきまして、ちよつと申し上げます。国際通信の利用者は、貿易関係の業者が主体でありまして、それに新聞、通信あるいは外交、政治方面、あるいはまた一般の社交往来関係というものが若干入つているわけであります。しかしながらこの利用者の数は、非常に限定されておりまして、利用の対象はきわめてはつきりしておるということは言えるかと思います。  現在の国際通信は、貿易界の戦後のいろいろな状況からいたしまして、つまり海外に支店を持たない、まつたく出直した貿易態勢で臨んでおるというような関係からいたしまして、通信に依存する度合いが非常に強くなつております。一にも二にも通信に依存しておる。その通信の質のよしあしが非常に貿易活動に影響するわけでございまして、この点につきましては戦前も同様でありますが、戦前以上に通信に依存しておるというのが現状であります。従いまして貿易業者方面の国際通信事業に関する関心の度合いが、きわめてまた深まつて来ております。料金のごときも戦前に比べまして、電信におきましては六十八倍、電話におきましては四十倍、戦後こういつたような比較的他の公共事業、あるいは他の通信料金よりは安くとどまつておるわけでありますが、なおかつ貿易に対する非常な圧迫である。すなわち通信のサービスの質をもつとよくして、貿易業者の負担を軽減してくれという一面、また料金が高いからこれをなるべく合理化して下げるように努力してもらいたい、こういつたような要望が強くなつておるわけであります。こんな関係からいたしまして、最近の貿易方面からの国際通信の民営の要望と切り離して、われわれにも企業に参加させてくれというような要望がきわめて強くなつて来ております。  それから利用の分量につきまして申し上げますと、さつきちよつと触れました通り、悪条件のもとに通信をかわしておりますために、非常に通信の量がよけいにいりまして、戦争前に一年に二百六十七万通ぐらいが最高でありましたものが、二十六年におきましては三百四十三万通、非常に通数が厖大になつておるのであります。これは繰返すようでありますが、特殊の状況からいたしましてこうなつておるのでありまして、非常によけいの通信料を貿易業者が負担しておるということを物語つておると思われます。
  59. 松井政吉

    ○松井(政)委員 ちよつとお伺いしますが、利用者は貿易業者、報道関係、それから政府関係ですか。この場合、従来の進駐軍はどのようになつておりましたか、さらに駐留軍はどのようになつておりましようか、これを一つ……。
  60. 花岡薫

    ○花岡政府委員 電信を主として申し上げたのでございますが、電信の方におきましては、駐留軍の方の将兵の利用いたします通信の割合は、全体の一割強でございます。大体安定した割合で利用されております。それから電話につきましては、先刻申しましたが、これは八五%ないし九〇%近くが将兵によつて利用されておる。しかも電話におきましては、まだその需要が圧倒的に出ておりまして、これに対して疏通が非常に不満足で、設備拡張を相手の国からも要求されておるような状態であります。
  61. 松井政吉

    ○松井(政)委員 そういたしますと、国際通信の中の先ほど横田さんが説明をせられました数字には、私ども多少疑義がありますが、これは横田さんは前提で申されましたので、この数字はそのままいいとして、この収支の中に、あとから説明いたしました従来の進駐軍、これは入つておりますか。
  62. 花岡薫

    ○花岡政府委員 入つております。
  63. 松井政吉

    ○松井(政)委員 これはあげ足をとるわけではないが、それならば収支のバランスから、やはり独立採算制の問題にからんで、国際通信の利益をお伺いし、さらに利用者を聞いたときに、進駐軍は落しまして、貿易、報道、こうおつしやいましたが、進駐軍というものは従来計算上、取扱い上、別個のものとして、国際通信の通念は貿易、報道として取扱つたのですか。今後駐留軍の場合は、一体どのようにお考えになりますか。
  64. 横田信夫

    横田(信)政府委員 ただいま御質問の私の説明がどうもふに落ちぬというお話でございましたが、国際電話事業収入電話は、ただいまお話がありましたように大部分が進駐軍将兵の利用するものでありますが、これはやはり個人として利用するのでありまして、当然この収入に見ているのであります。電信も同様であります。従いましてこれは当然見たわけであります。見たことはあやまちではないと思つております。
  65. 松井政吉

    ○松井(政)委員 わかりました。
  66. 石川金次郎

    ○石川委員 ちよつと関連してお伺いいたします。先ほど松井さんの御質問のうちに、公社事業で上つたところの金は、全部事業のために使つて行く、こういうものが公社だというふうに承りましたが、さような御趣旨ですか。
  67. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 あの規定に明確にいたしております。例外はもちろんあるわけでございますが、今回の特別会計、独立採算の制度をとりましたゆえんは、そういう考え方をいたしておりますのと、利益金は公社に積み立てるということを原則にいたしまして、予算編成の際におきまして、繰入れることあるべしといいますか、その予算の定むるところによつて繰入れることがあるというような、例外的な措置を認めわけであります。この点は在来の考え方でありますと、また国が経営しているような場合でありますると、利益金が予算以上に上りますると、それは一般会計に繰入れるというのが原則でありまして、その金を事業整備のために使うのは、次年度予算で特に承認する場合でなければならないわけであります。その原則の建前をはつきりいたしたことが、今回の改正点の一つであります。従いまして、同時にもし赤字を生じたという場合におきましては、欠損といたしましてこれを繰越して行く。過去において積立金がありますならば、その積立金をくずして欠損を埋めて行くという考え方をいたしておるわけであります。その利益金を事業遂行のためにと申しますのは、これは事業設備、物的施設ばかりを意味するものではないことは御了承願いたいと思います。
  68. 石川金次郎

    ○石川委員 この点私どうもまだはつきりいたしませんので、公社性格、本質にもかかわりますからお聞きして参りますが、ただいま大臣が御説明になりましたのは、公社法の六十一条を御説明くだすつたと思うのであります。ところがまず第一番にこの読み方が、大臣がおつしやいましたような読み方にはとれないのであります。法文となつて現われて参りましたのは、この六十一条はまず公社の損益処分の場合の規定、つまり営業の結果がどうなるかということを規定した条文に見えるのでありますが、利益があつた場合においては、繰越し損失を補填し、次に「なお残余あるときは、その残余の額は、あらかじめ予算で定めるところにより国庫に納付する場合におけるその納付額を控除し、」とありますが、そこが大臣の御説明によると、予算総則であらかじめ定めるから、この規定があつて国庫納入は必ずしも納入すべきであるという規定でないと理解されるのです。ところがそれがそういうようにこの規定では法律上読めないじやありますまいか。私も大分長い間条文は読んで参りましたけれども、これは利益金が出た場合、損失として出た場合はどうするとか、利益が出た場合にはどうするのか、もしそれでももし余つた国庫に納める。次官横田さんもこの問題に答えて、これは第五条の出資の対価である、この意味ばかりではないかとおつしやつた。どうもこの意義は明確でないのであります。この六十一条の納付金というのはどういう意味の納付金だか、大臣がおつしやるような納付金だと言われるのか、はつきりお伺いしたいのです。
  69. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 この点はいろいろ疑問も生じておるようでありまするが、先ほど申し上げたような趣旨で立案いたしたのでございまして、その立法の衝に当る法制局等といろいろ意見を交換いたしました専門家の横田君を紹介いたしますから……。
  70. 石川金次郎

    ○石川委員 私は真によい公社をつくり上げたいのです。それだけです。あと私個人には野心はございません。これは法務府のだれに相談しましたか。法務府が確かにそういうような読み方に言つてつたのでしようか。
  71. 横田信夫

    横田(信)政府委員 今のお話の点について一応お答えいたします。ここに書いてありますように、まず利益金が生じた場合には損失の補填に充てる。なお残余があるときは、あらかじめ予算の定めるところにより国庫に納付すべき場合における納付額を控除し、この納付すべき場合を除くとこういうのです。ですから納付すべき場合を除く原則として、積立金として整理しなければならない。それを法文にずつと書いたのがこういうことでありまして、やはり意味は今大臣がおつしやいましたように、そういう意味であります。ただそれなら「あらかじめ」なんかとつたらいいではないかということもできて来るのでありますが、実はこれは「あらかじめ」を入れておかないと、利益金が出た場合にこの予算で定めた場合は先に納付する。しかし予算総則で書いてない場合は、これはないのですから、そのまま積立金に行くということになるわけですが、なお問題は利益金が決算上出て来たのを見て、利益金が出たならよこせ、こういうようなことを言つたのでは企業の経営努力の結果が水泡に帰して行く。この点は経営の管理能率を上げる上において最も必要なことだと思いますが、利益が決算上出たのを見て持つて行くというのでは、まさに企業の経営努力の効果を期して行くことにはならない。もし納付さすなら、あらかじめ予算できめなければならない。予算できめない以上はこれは積立金にする、こういう構成にいたしておるわけであります。これは国鉄公社あたりの条文を見合してごらんになるとわかりますが、国鉄公社の場合におきましては、予算で積立金として定めた場合を除いて国庫に納付すると書いてありますが、積立金として特に書くのは財務当局と折衝することが必要であります。そういう意味で原則として国庫へ納付するような形になるわけです。それをひつくり返したという意味において、国鉄の条文あたりを見合せていただくと、ここにその意味が出て来ると思うわけであります。  なお先般からお話のありました出資の問題が、この問題だけでなしに、ほかの方面にも関係するのではないか、従つて一体出資とは何かという御疑問もありまして、その答弁をそのときに留保いたした問題もありますので、一応それも説明させていただきます。当時申し上げましたように、出資はあくまでもやはり有償譲渡でも無償譲渡でもないので、やはり出資だと思うわけであります。では国家はなぜこういう公共企業体出資するのかという問題でありますが、公共企業体というのはやはり非常に公益的な使命をそのまま保存させておきながら、経営管理の面においてはできるだけ自主性を持たせて行つて経営を合理的あるいは能率的に上げて行こうというところに目標があるわけでありますが、そういう公共的な目的を十分達成させるために、政府が全額出資すべきだ、こういうことに相なつたわけであります。そういうところから見まして、その出資がなくても、こういう公益的な企業体でありますので、公益的な支配のいろいろの条文と申しますか、内容は当然規定すべきだということも言えるわけであります。これは御承知の放送協会というのも、これまた広い意味の公共企業体でありますが、あれは政府は全額出資どころか、一つ出資いたしておりません。なおその中に目的として、公共的な目的を持つということも書いてあります。そういう意味におきまして、必ずしも政府出資しなくても、公共的支配の必要な限度において法律を設けるということはできるわけでありますが、全額出資して政府出資するゆえんは、やはり公益的支配を十分達成しようというところに目的があるわけでありますので、そういうことについて相当強い支配をするときにおいては、政府出資するということが望ましいことだということもまた考えられるわけであります。そういう意味ではつきりどの条文がこれは出資のために入つた条文、これはただ出資じやなくても公共的支配として当然設ける条文、こう截然とわけることは、相当困難があるかと思いますが、たとえば本公社における目的として書いております「公衆電気通信事業の合理的且つ能率的な経営の体制を確立し、公衆電気通信設備の整備及び拡充を促進し、並びに電気通信による国民の利便を確保することによつて、公共の福祉を増進することを目的として、」これもやはりそういう政府出資関係があると見てよいと思います。そのほか経営委員会の役員を、国会の承認を得て内閣が任命する。これもある程度関係があると思います。しかしこれも必ずしも出資がなくても、ここまでの法律を設けることができないということではない。役員の点においても、やはり政府が任命するということになつております。政府の任命の根拠も、これはやはり政府出資ということをある程度関連がある、こう見ていいのではないかと思います。これはことに戦前法律あたりにおきましては、こういう役員を政府が任命するという場合は、大体政府出資するという場合が相当多いのでありますが、しかし戦後の法律においては、必ずしも政府出資を役員任命の絶対的条件とはいたしておりません。しかしある程度の関連があると見ていいわけであります。それから財務関係におきましても、やはり国会が予算を審議し、予算を議決する、こういうこともやはり政府出資関係があるものと見ていいのではないか、こう思います。それから事業財産の譲渡処分、こういうものも国会の議決を要する、やはりこれも政府出資関係がある。あるいは会計検査院が検査する、これもやはり政府出資関係がある。こういうように大体考えられるのでありまして、それを絶対的に法律的に設けられないかといえば、必ずしもそうでもないけれども、大体政府出資を前提としてそういう条文を設ける方が、より妥当だろうということは言えるだろうと思います。
  72. 石川金次郎

    ○石川委員 六十一条について大臣の御見解を承りたいと思います。こう了承してよろしゆうございますか。公社国庫納付金を納めても、納めないでもかつてなんだ。任意にやつていいんだ。もし公社が納めようと思つた場合には、国庫に納めるのだ。こういう意味に解釈していいのですか。
  73. 横田信夫

    横田(信)政府委員 これは公社が自発的に納めようというのではなくて、やはり政府の方から、あるいは国会の——これも国会の議決を経る予算総則であります。国会がこれが妥当だと議決した場合においては納める、こういうことであります。その場合もしかし予定でありますので、利益金が出るか出ないかということがまだわからないわけであります。もし出た場合にはこの限度で納めるべしと、こう国会で議決された場合にはそれに従う、こういうことであります。     〔高塩委員長代理退席委員長着席
  74. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 今のお話ではちよつとおわかりにくいかと思いますが、これはお尋ねの通り予算を編成いたします際に、あらかじめ公社了承しない限り、予算編成権が大蔵省にあるからということだけで、取上げられる筋のものではないのであります。従いまして本筋は、先ほど私が申しましたように積立金にするということが本筋であります。その場合にその積立金をいかに処理するかといういろいろな議論が出て来る、その場合に大蔵省との折衝の問題で、場合によりましたら、予算納付金幾らということに相なるわけであります。従いまして原則として話し合つて納付するのではなくて、一応ここへ積み立てるという考え方でおるわけであります。その点は先ほど説明でおわかりだと思いますが、書き方が鉄道公社の場合の書き方と相違しておりますのは、先ほど来の説明通りであります。
  75. 石川金次郎

    ○石川委員 それで大臣にちよつとお聞きしますが、利益があつた場合、国庫に納付するときまつた場合、この金はどういう性質のものですか。出資に対する代償でありますか。それとも公社から国庫に対する寄付でありますか。どういうものでしようか。
  76. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 これはそういう疑義が当然出て来ると思います。国が一つの資産を提供しておる。そうするとそれから上つて来る収益のわけ前をとるということは、一応考えられるのであります。けれどもどもこの公社をつくります際に、一般の公課も実はかけておらないし、また国民にその利益を還元するという考え方が本筋なのであります。金銭的なわけ前を政府にやるということは、これは特殊の例外的な措置であります。従つて今の予算編成に際しまして、その種の相談を受けました際には、その使い方等についていろいろの議論が必ず出て来ると思います。本筋の建前から申しますならば、株式会社における株式の配当のような考え方をするとか、あるいは税金税金として当然納めるように考えて行く。そうしてなおかつ事業遂行ができるようにいたすのが、これは非常に理論が明確でよろしいものかと思うのであります。しかし公社の場合は、そういうような考え方にまで発展をいたしておらないのであります。それは先ほど来申し上げた通りであります。ただ国といたしまして、いろいろな必要が生ずる場合もあり得るということは、予想されるわけであります。そういう場合にこの種の規定を設けておるのであります。もちろん因縁がないわけではないので、これはもともと政府機関でありますから、そういう意味においての因縁はあるわけであります。
  77. 石川金次郎

    ○石川委員 大臣の御説明で、だんだんに了解し得るようになりましたが、そうするとこういう説明でわかりますか。この公社法によつて特別に出て来たところの一つ国庫納付金、こういう説明を当てはめて行つていいのではないでしようか。従来概念はきまつていない。利益金配当でもないし、寄付でもない。公共企業体という制度を、この法律でこしらえ上げるのだ。この法によつて出て来たところの一つ国庫への納付金だ。新しい概念がここに出て来た、こう見られるのですか。私は決して社会現象を全部心持の中で割切るようにいたしたいとは思いません。そういうような解釈はいけません。いろいろに複雑なものがありまして、大臣たちのお考えになつたことも考えなければなりません。国民財産公社に移すのだから、利益があつたら幾ら納めるということは、当然のことであります。しかし法律として見て来る場合には、こんなことを言つては変ですが、法治国家だから、法律従つて国政をやつて行くのだから、法律的にはどういう構えかということを明らかにしておかなければならない。ですからこの場合は、この公社から出て来た特有の一つ国家に対する納付だ、こう解釈していけないのかどうか聞くのです。
  78. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいまのように納付制度と申しますと、非常な誤解がありはしないかと思います。納付制度と考えますると、政府出資が幾らであつて、そうして金額がどうなつていて、そして毎年必ず納付しなければならない、こういうような問題が生ずるわけであります。そういう筋のものではないわけであります。ただ政府出資をしておる、その因縁と申しては、ちよつとりくつがわかりにくいかしりませんが、そこに納付を要求する何らかのものがあり得る。ただそういう意味合いにおいて納付し得る道を開いておる、こういうように御了承願いたいと思います。納付制度という一つの制度を確立したとお考えになると、これは行き過ぎのように思います。
  79. 石川金次郎

    ○石川委員 これはそうしますと、政府の方から納付しろということを請求ができるという建前で、この法律はでき上つているのですか、それをひとり……。
  80. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 その通りでございます。だから政府の方といたしましても、納付を請求する権能はもちろんこれで生じて来るわけであります。だから先ほど申しましたのが、実際的な取扱いの議論と、あるいは制度上の問題とわけて申せばはつきりして来るかと思いますが、石川さんの法律的な理論から申されて、納付制度が生じた、その納付制度は必ず毎年実施するものなりやいなやという問題になると、必ずしも納付するということにはつきり限るわけではないのであります。そういう制度ができるということであります。
  81. 石川金次郎

    ○石川委員 そうすると、この間次官横田さんにお伺いしたとき、法律概念はこうかとお伺いしたときに、そうだと言いました。今度はかえて、今の六十一条が入つた場合を予想して、本法にいう公社というものは、こういう法人じやないかと思われますから、ひとつ伺つておきたい。国より出資せられた資本をもつて電気通信事業を営み、国民の利便を確保するとともに、公共の福祉を増進することを目的とし、あわせて資本に対して利潤があつた場合には、これを国家に納入することがある法人であるという、この特別の法人なんですか。
  82. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 よほど観念的に割切つたお尋ねのように思います。抽象的な公社、具体的な今御審議をいただいております日本電信電話公社というものではなくて、公社というものの一つ形態としては、ただいま御指摘になつたようなことは、当然考えられることだと思いまするでありますから先ほど私も申し上げたように、場合によりましたら当然公社は公課も支払い、しかも政府出資したものに対しては、それに対する配当的な意味合いの納付もいたすべきではないか、そういうような状態にまで持つて行くのが理想ではないかということを申しました。これは一般的な、原則的な、抽象的な一つの議論であることを誤解のないように願つておきない。今回提案いたしております公社は、そういふような趣旨ではなくて、この法律で明確になつておる範囲に限られておるのです。だから公社論といいますか、いわゆる公社論、私の説明もあるいは誤解を生じておるかと思うのは、この種の事業経営形態としての公社論がいろいろ出ております。会社論も出ておれば、公社論も出ておれば、国営論も出ておる。従つてそのどういうような形態がよろしいかというようなことに対しては、私ども公社がよろしいということを申し上げた。しかもその公社というものは、その観念を明白にしろというお話であるが、これは非常な範囲の広いもので、そのどれに該当しているということもなかなか申し上げかねるというので、先ほどからお話して参つておるわけです。従いまして今回やりましたこの六十一条は、基本的な裏の裏をお考えにならないで、文字の上に出ているところを、そのまますなおにひとつお取上げを願いたい。そういたしますと、利益金を生じましたならば、利益金は積立金にするのが原則である。そして予算上の折衝によつて政府に納入することがあるのだ、こういうようにどうかひとつすなおにお取上げを願いたいと思います。
  83. 石川金次郎

    ○石川委員 私はすなおでないとは思いません。本来職業的に非常に悪く解釈するかもしれませんが、決してそういう考えはなく、率直に読みたいのです。本法に現われた日本電信電話公社が、こういう法人かということを聞いているのです。そうするとこの日本電信電話という公社が、どうしても国に金を納めることがあるべきだと、大臣説明を聞いてもそう言われている。そうするとその納める金は何かと追究して行かなければならない。そしてその法人の実態を確かめてみて、この法がどれがどうということを分類して行かなければならぬ。そうすると公共企業体労働関係法との関係はどうなるかということです。御提出の公社法案には、鉄道公社の公法上の文字が削られている。それで公共企業体労働関係法に日本鉄道公社専売公社公共企業体とみなすとあるが、本電信電話公社公共企業体労働関係法で、公共企業体とみなすとの改正案も、本委員会には出ておらない。それで今度は、別の本法の条文の三十六条に加えた理由が、法律的になくちやならない。それでなければ、この公社公共企業体と見ないということになつてしまう。しかし時間が長くなるので、その点伺つて、きようはこれで留保いたします。
  84. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 なるべく留保なさらないで、最後まで済ましておいてもらいたいと思います。それでもう一つこういうことを申し上げると、あるいはこの規定ができました理由が曲りなりにも納得行きはしないかと思いますのは、在来の特別会計におきましては、利益金があつたらば、それは政府に納入するという建前です。それでその公社として、これを積立金だけにするということになりますと、非常な変化がそこにあるわけでございます。そこにこの種の、予算的にこれを認めた場合においては、これを政府に納入することがあるということに相なつておるわけであります。だから新らしく納付金制度が生れるとかいうわけではなくて、在来の会計制度の処理上の因縁等も一応御勘案願いたいと思います。そういう筋のものであります。
  85. 石川金次郎

    ○石川委員 ところが大臣、そうなりますとどういうことになりますか。第一条の目的を達成するならば、今言つた六十一条の規定はいらぬじやないですか。それを大臣が苦労なすつて大蔵省に負けてしまつたのじやないですか。第一条は大臣案でいい案、六十一条は大蔵省から負けた案、大臣の苦しい案だ、こうなりはしませんか。
  86. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 たいへん率直な御意見のように伺つておりますが、これはたびたび申し上げますように、在来の公社先例もあることでありますので、ある程度の先例をふむということもやむを得ない。しかし先例に対しての原則をこれはひつくり返した。先例において例外だつたものを原則にして、その原則として取扱つた部分を、今度は例外の方向にまわした。ここに新しいものを一つ打立てたということに相なるわけであります。御了承を願いたいと思います。
  87. 松井政吉

    ○松井(政)委員 きようは公社法の概念だけを大体お伺いしたのですが、さらに国際関係会社法案及び公社法案の内容に移りまして、条文等の中で、大臣御自慢の納付金の問題もお伺いしたいと思いますが、ただいま関連質問で、石川さんがかなり詳しく質問したようであります。従つて本日は、先ほど委員長から一人で時間をとるのはいかぬじやないかという御注意もありました。だから私の質問はさらに内容、それから国際関係会社法案等について質問がありますので、後日やるということを条件に、本日は私の質問はこれで終ります。
  88. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 先ほど来お答えいたしましたうちで、重大な点を一つ訂正をいたしたいと思いますので御了承願いたいと思います。あるいはこの点は、きようの答弁ばかりでなく、今までの答弁の中にもしばしば使つたと思うのでありますが、それは公社政府機関だということを申しましたが、政府機関という意味ではなく、これは政府関係機関という意味でありますので、この点を訂正させていただきたいと思います。
  89. 石原登

    石原(登)委員 石川さん、あなたにちよつとお断りをしておきますが、あなたの御議論の六十一条の、極端に言うと納付金は不都合だという、こういうような御議論に拝聴するのですが、そうですか。
  90. 石川金次郎

    ○石川委員 これは六十一条が不当とか正当とかいう結論に達しておりません。その意味を一生懸命聞いているのです。正当、不当を発見しようと思いまして、その意味を聞いているのですが、まだはつきりしません。     —————————————
  91. 田中重彌

    ○田中委員長 この際井手委員より、鳥取市の火災による電信電話施設の災害復旧状況について質疑をいたしたいとの申出がありますので、これを許します。井手光治君。
  92. 井手光治

    ○井手委員 ちよつと大臣にお伺いします。私は時間を遅れて参りましたので、冒頭に皆さんが御質問される前に、一言だけ伺つておきたいと思つておりましたが、最後にまわされたのでありますが、過般の鳥取市の災害につきまして、各般の復興計画が進められておるようでありますが、ちようどこの委員会には、山陰方面を代表する委員がありませんために、十分それらの復興についての意見がかわされておりません。これは私どもまことに遺憾に存じますが、いろいろ政府等においても、その復興についての各省関連ある事項について考慮せられておりまするので、この機会にお伺いをしておきたいと思います。鳥取市は御承知のように山陰方面においてこの有力な都市でありまするし、また今後山陰方面の開発に重要な役割を果しますることは申し上げるまでもありませんが、罹災前の電話はどれくらいありましたでしようか。それから今日まで復興いたしておりまする電話数は、どういう状況になつておりますか。臨時電話を入れましてどういう状況になつておりますか。
  93. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 鳥取の大火災につきましては、近来にない大災害でありまして、罹災された方々に対しましては心から御同情を申し上げている次第であります。通信は申すまでもなく復興のためにも一日も早く整備しなければならないまことに急を要するものであります。かように考えまして、電通省におきましては、火災が発生いたしますと、ほとんど時を移さず関係官を現地に派しまして、応急的な措置に万遺憾なきを期して参つたのであります。ただいま加入口数なり、復旧口数等のお尋ねがありましたが、その数を私自身つまびらかにいたしておりませんが、しかしその火災が一応やみました際に、電話交換局を焼いてしまいましたけれども、管理所の設備を臨時的設備といたしまして、生きております電話がただちに働き得るような臨時的な応急処置をとつてつたのであります。従いまして電話といたしましては、比較的すみやかに部外との遠距離通話等も開設することができまして、応急の需要には事足りたかと思います。ただいま数字を調べておりますが、加入品数二千三百のうち、その三分の二が焼失いたしたような次第であります。現在復興、復旧してと申しますか、生きておりまするものが約六百であります。そうしてただいまのところ市外電信電話は、これは全部復旧いたしておるような状況であります。従いまして市内の電話を整備することが最も急を要する次第であります。非常に県といい、市当局者といい、再建復旧に涙ぐましい努力をしておられるということでありますので、住居、店舗等も急速に整備されることだと考えまするが、そういう機会におきましては、やはり進んでこの電話の要求を満たし得るように、もうすでに準備をいたさなければならないと思つております。なお鳥取におきましては、かねてから自動電話交換局にこれを切りかえる強い要請があつたのでありますが、今日までそれが実現していなかつたのでありまするが、電通省といたしましては、今回の復旧に際しましては自動式にいたしたい、かように思いまして、ただいまその準備中であります。これはお尋ねの点につきまして、やや先走つたお答えをいたす次第でございますが、大体ただいま申し上げるような概要の状況になつております。
  94. 井手光治

    ○井手委員 大臣の御配慮になつておりますること、それからただいま御答弁をいただきましたことを現地の罹災者に伝えましたならば、さぞかし感激いたすであろうと思います。ありがたく存じますが、実は私が今これは質問を申し上げるというよりも、山陰方面を代表してお願いをするという形の方がよかろうと思いますが、今御質問申し上げようと思いましたことを大臣から御答弁いただいたので補足する必要はありませんが、今私どもの方の手に入つておりまする情報によりますと、臨時電話の仮設方式によつて漸次間に合うようになつたが、都心部が焼失をしておるために、都心部とその他のつながりが非常に不円滑である。これを早急にひとつ円滑ならしめるようにしてもらわないと、都心部の復興に非常な支障を来すのではないかということがいわれておる。それからただいまお話がありましたように、鳥取市の復興につきましては、建設省の新しい考え方により、都市計画その他の復興計画が進められておりますので、相なるべくは、ただいま大臣から御答弁いただきましたように、電話管理所その他の交換局等も、ひとつそれの本格的な復興と歩調を合せていただいて、そうして山陰における近代都市としての将来性があるような考え方をしていただきたいと思う。それからでき得れば、もう御答弁いただいたから必要ございませんが、なるべくこの機会にひとつ、多額の犠牲を払われると思うのでありますが、自動交換方式にお切りかえを願うことを、現地住民はさらに強く要望しておるということを、私かわりましてお願いを申し上げておきたいと思います。これで終ります。
  95. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 たいへん詳細な御指示等をいただきまして、私ども事業遂行上に非常に仕合せでございます。今日までの計画を一般計画の遂行と歩調を合わしまして、十分地方の需要に応ずるようにして参りたいと思います。なお先ほど説明のうちに一つつけ加えておきますが、なお都心部のために約四百を追加分として、ただいま準備中でございます。その点をごひろう申し上げます。
  96. 田中重彌

    ○田中委員長 本日はこの程度にとどめまして、明日午後一時から続会をいたします。  これにて散会をいたします。     午後四時二十八分散会