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1952-05-15 第13回国会 衆議院 電気通信委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月十五日(木曜日)     午後一時五十五分開議  出席委員    委員長 田中 重彌君   理事 高塩 三郎君 理事 橋本登美三郎君    理事 松井 政吉君       石原  登君    井手 光治君       岡西 明貞君    加藤隆太郎君       庄司 一郎君    辻  寛一君       福永 一臣君    畠山 重勇君       石川金次郎君    田島 ひで君  出席国務大臣         電気通信大臣  佐藤 榮作君  出席政府委員         電波監理委員会         委員長     網島  毅君         電気通信監   山下知二郎君         電気通信事務官         (業務局長)  田邊  正君         電気通信事務官         (経理局長)  横田 信夫君         電気通信技官         (施設局長)  中尾 徹夫君  委員外出席者         電気通信事務次         官       靱   勉君         專  門  員 吉田 弘苗君         專  門  員 中村 寅市君     ————————————— 五月十五日  委員降旗徳弥君辞任につき、その補欠として大  西弘君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  日本電信電話公社法案内閣提出第二一二号)  日本電信電話公社法施行法案内閣提出第二一  三号)  国際電信電話株式会社法案内閣提出第二一四  号)  電波法の一部を改正する法律案内閣提出第二  二三号)  電波管理に関する件     —————————————
  2. 田中重彌

    田中委員長 これより開会いたします。  電波法の一部を改正する法律案議題とし、審査に入ります。まずその趣旨の説明を求めます。網島政府委員
  3. 網島毅

    網島政府委員 ただいま御審議にあずかります電波法の一部を改正する法律案を提出いたしました理由を申し述べたいと思います。  去る四月二十八日に效力を発生しました日本国との平和條締結の際におきまして、わが政府はこの條約の最初效力発生の後六箇月以内に、国際民間航空條約への参加の承認を申請する意思があることを宣言しておりまするが、平和條約第十三条におきましては、わが国国際民間航空條約第九十三条に従つて同條約の当事国となるまで、航空機国際航空に適用すべきこの條約の規定を実施し、かつ同條約の條項従つてその條約の附属書として採択された標準方式及び手続を実施することを規定しております。  この規定に従いまして、政府航空に関する基本法たる航空法を制定いたしますために、航空法案を今国会に提出しておりまするが、これに応じて電波法中にも航空機無線局に関し、めざましく発達したこの種電波利用上必要な規定を設けることが必要となつたのでございます。  また電波法は、船舶の航行の安全のための無線局に関しまして規定しておりますが、現行法律規定は、一九二九年の海上人命の安全のための国際條約の規定従つておりますが、一九西八年にロンドンにおい新たに海上における人名の安全のための国際条約締結せられまして、本年十一月十九日に効力を発生いたすこととなつておるのであります。  ところで前に申し上げました平和條締結の際に、わが政府は実行可能な最短期間内に、かつ平和條約の最初效力発生の後一年以内に、この新しい海上における人命の安全のための国際條約に正式に加入する意思があることを宣言しております。政府はこの條約加入の手続を進めまするとともに、船舶安全法の一部を改正する法律案を今国会に提出しておりまするが、これに応じて電波法中の船舶無線局規定につき必要な改正を行う必要があります。  以上の理由により、電波法の一部を改正する法律案をここに提出いたす次第であります。何とぞ御審議の上御可決あらんことをお願いいたします。     —————————————
  4. 田中重彌

    田中委員長 電波管理に関し、橋本委員より質疑の申出があります。これを許します。橋本委員
  5. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 網島政府委員電波行政について御質問申し上げたいのですが、最近これは当局も御承知のように、いろいろの意味での電波が相当乱れ飛んでおるようであります。きのうの毎日新聞の夕刊に自由日本放送という名前で赤い放送が行われておる、こういうことが書かれておりますが、最近こうした思想攻勢ばかりでなくして、他の意味のいろいろな放送があろうと思うのでありますが、これらの放送に対して何らか電波統制という建前から、かつまたこうした国内秩序の維持という意味からして、何らか当局においては対策を講じておられるかどうか、その点承りたい。
  6. 網島毅

    網島政府委員 お答え申し上げます。ただいま御質問ございました自由日本放送と申しますか、今朝の毎日新聞に載りました放送は、確かに発射されているわけでありまして、私ども電波監視局におきまして先月の二十四日に、試験的に発射された電波をキャッチしたのであります。その発信源につきまして、監視局におきましてその職責上調べましたところ、全国の監視局方向探知をいたしました方向は、大体北京あるいは天津付近をさしているようであります。発射電波といたしまして、現在十メガ及び十一メガが付近二つの波が認められております。私どもの調べました結果、この発信源外国にございまするので、国内的な行政対象外となつておりまするが、これが条約上適法なことであるかどうかにつきましては、現在私どもまだつまびらかにしてございません。なおそのほかいろいろ最近外国電波日本に入つて参りまするが、これらの問題に対しましては、電波監理委員会だけでどうするということにも参りませんので、政府関係の部局の意見も十分伺いまして、もし必要な手段がございましたら、その手段をとるようにしたいと考えている次第でございます。
  7. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 大体政府委員の御説明で、現実に発射されている事実が証明されたようでありまするが、もちろん問題は電波監理委員会職責というばかりでなくして、他の治安当局職責にもなろうかと思うのであります。国内で発射されているのでありますれば、電波統制意味から言つて監理委員会が当面の責任者でありますけれども、これは国外から発射されておりまするから、これが国内秩序に影響する問題ということになれば、他の治安当局のこれに対する対策が必要であろうと思うのでありまするが、ただ問題はこうした技術的な問題であり、か  つまた監視責任を一応電波監理委員会の方で持つておられるのでありまするから、このような問題が明らかにされた今日において、当然とるべき措置をとつておられると思うのでありまするが、この事実を提示して治安関係当局にお示しになつて、これが対策について御相談をなさつた事実がありますか。
  8. 網島毅

    網島政府委員 まことにごもつともな御意見でありまして、私ども電波監親局におきましてこういう事実をキヤツチいたしましたので、さつそく関係方面にその事実を報告いたしました。なお今後御意見のように、私ども責任の範囲内で万遺漏ないことを期したいと思う次第でございます。     —————————————
  9. 田中重彌

  10. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 ただいま議題となつておりまする日本電信電話公社法案並びに関係法案について、政府当局質疑をいたしたいと思います。  大体この電信電話公社は、公共企業体という性格のもとに立つてつくられるのでありまするが、まず第一点として、政府当局公共企業体というものをどう考えておられるか。従来わが政府においては国鉄及び日本専売公社、この二つがありまして、この後において公共企業体として日本放送協会が追加せられて、今回第四番目の公共企業体ができるわけであります。そこで従来の国鉄あるいは専売あるいは日広放送協会、これらを通じて見ると、公共企業体というものに対する性格政府当局がはつきりとつかんでおらないのじやないか、こういうような感じがするのでありまするが、まず第一に政府当局の、公共企業体とは何ぞや、この性格についての御説明を願います。
  11. 横田信夫

    横田政府委員 ただいまの御質問にお答えいたします。これは根本的な問題になりまして非常にむずかしい点でありまするが、世界的な傾向といたしまして、公共企業体というものの本質いかんということは、やはり非常に問題になつている点だろうと思います。公共企業体の生れます原因は、大別しましてやはり二つ原因があるように考えられます。一つ方向は、いわゆる国営事業経営的な能率化をはかつて行く形態として公共企業体が生れる場合、もう一つ私企業というものがわれわれ大きなりまして、企業集中化、大企業化という傾向がだんだんできて来る。その集中化独占化された企業になりますと、これは非常に公益性を帯びて来る。非常に公共性を帯びて来る事業につきましては、一般私企業形態よりは公益性を重んじて、しかも経営能率を維持して行きながらやつた方がいいという意味公共企業の形、言いかえれば私企業社会化としての公共企業体、もう一つ国営企業能率化を促進して行こう、こういう意味公共企業体、この二つ種類が大体世界的傾向においてあるように見受けられるのであります。いずれにしましてもそういう意味での方向といたしましては、二つ方向考えられるわけでありますが、その生れ出づる結論としての公共企業体に対しての要請というものは、いわゆる公益性を維持しながら、しかも経営管理において非常に能率性を発揮できるような形をとつて行くという点において、両方傾向は一致しているのじやないかと考えるのであります。すなわち公共性を維持するために、いわば株主資本による私的資本支配でなくして、支配政府の政策、政府支配というものを頭に置きまして、経営自身におきましては企業体経営管理をゆだねて能率を上げさして行く、こういうところに公共企業体生れ出づる一つのもとがありまして、それがやはり本質ではないかと考えられるのであります。はなはだむずかしい問題でありますが、一応これで……。
  12. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 ただいまの政府委員の御説明で、二つの大体公共企業体性格がある、こういう点についてはわれわれも同感であります。そこでわが国の場合において、今言うような意味での公益性というものを中心にして、国鉄の場合は公社にする必要がある、同様に電信電話公社もその意味が強いようになつております。しかしながら専売公社の場合は必ずしも公益性中心でなくして、財政的収入目標になつているように考えられる。これは公社にした理由がそういうことでなくして、政治的な意味で、たとえば労働関係の運用あるいはその他の事情からして、専売公社の場合は公共企業体に移されたと思うのでありますが、ただいまの説明から言うと、専売公社はその例外に入るように考えるのですが、この点についての御見解を伺いたい。
  13. 横田信夫

    横田政府委員 ただいま申しましたのは一般論として申し上げたわけでありますが、そういう傾向からしまして、いわゆる国営事業公共企業体化して、官僚化の弊から除いて、経営能率を上げさせて行こうという傾向から、公共企業体というものが生れ出たものであると思います。しかしそういう関係とともに、世界傾向におきましても、やはりそういう事業経営において能率を発揮するということが、同時に行政分野においてもある程度望ましいということが考えられて、あるものについては、行政経営両方一緒にして公共企業体にするというようなことも、同時にあわせ行われる場合もあるように考えられるのであります。そういう意味におきまして専売事業と、国鉄あるいは電信電話とは幾分の相違があるかもわかりませんが、両方行政を相混淆して行くというのも、現実問題としてはやはり考えられる問題ではないか、こう考えられるのであります。
  14. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 そこで日本電信電話公社の場合ですが、大臣説明の中に、できれば純民営として完全な経営能力を発揮させて行きたい、しかしながら自然的な事業独占性資金の問題からして民営困難であるから、公共企業体に移すことが適当であると考えて、公共企業体にすべくこの法案が出たということがあつたようであります。そこでお尋ねしたいのは、こういうような電信電話事業は、民営では経営面からという条件がつきますが、民営で行くことがほんとうなのか。こういう自然的な独占性を持つておるものは、原則として民営に行くべきものではない。これは民営にすることによつて私的企業独占化を来すのでありまして、こういう種類のものは当然国家が行うか、国家が管理する、すなわち公共企業体に移すというような性格を持つておるものである。であるからして、民営を前提としての公共企業体ではなくして、国家が直接事業を行うことがいろいろの点において非能率的であるから、そこで経営面において民営の長所を取入れるという意味での公共企業体へ移行すべしというようにわれわれは解釈するのでありますけれども大臣説明はその点において非常に不明瞭であるが、政府当局にあらためてこの点の見解をお聞きしたいのであります。
  15. 靱勉

    靱説明員 電信電話事業国営で行くか、在来長年にわたりましてわが国では国営主義で一貫して参つたのでありますが、ただいまの御質問のように、一体民営形態で行ける本質身持つているのかどうか、あるいはあくまで公共的支配のものとして行くべきかどうかということになりますと、これは大臣の御説明不明瞭だとおつしやいますが、この点はかなり詳しく御説明になつておるのでありまして、結局電信電話事業のごとく、国民の利害にきわめて密接なる関係を有する事業におきましては、公共的支配というものは経営形体がいかになりましても存在するものというふうに考えております。民営形体とつたがゆえに、ただちに公共性がなくなるというような考えはないのでありますけれども、これは單に純理論的に解決される問題ではなく、また事業の伝統的あるいは歴史的沿革というものを考えて行かなければならぬかと思います。世界各国状況を見てみましても、民営で非常に発達した国もありますし、日本と同じようにあくまで国営主義をとつておる国もあるのでありまして、結局公共企業体をなぜとつて来たかという点におきまして、ほんとう事業能率的に経営して行く。またこの事業はあくまで一つ企業であることも事実である。しかしながら公共的な支配というものもこれは否定できない。のみならず電信電話事業におきまする技術的特性と申しますか、これが全国一体的な有機的な関係にあるというような状況、従いましてそれは競争関係に立つて来ないという点から見まして、私どもとしましては、大臣から御説明がありましたように、やはり公共企業体という形が最善方法経営形態であるというように考えておるのであります。しかしながら先ほど政府委員からも御説明がありました通り、公共企業体というものに対して、一つ公共企業体の形でこれが理想体形であるというものはないのでありまして、事業性質等に応じましてそれぞれいろいろな形をとつていることは、御説明申し上げるまでもないことであります。結局目的的に考えてみまして、もちろん民営形態電信電話公共企業性が失われるという疑いは絶対ないのでありますが、わが国在来事業沿革、また現在におきまする資金面、その他いろいろな諸般の情勢考えてみまして、公共企業体が最良であるという結論で、民営が絶対にいかぬという理由もそこには成り立つていない。結局どこのところに目標を置き、どの程度にきめて行くかというような問題でありまして、今後の公共企業体の発達というようなものにつきましては、まだまだ日本では公共企業体は新たにできたばかりでありまして、これが十分その目的を達するように、事業性質から考えて判断をし、またそういう努力が払われなければならぬというふうに私ども考えている次第であります。
  16. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 次官の御答弁はやはり大臣と大体同工異曲でありますから、私の意見とは少し違うようでありますが、電信電話事業は、他の諸外国においても民間でやつているところが相当ある、こういう現実の事実から考えて、必ずしも民間事業でやつて公益性を失うものではないという議論のようでありますが、私の申し上げましたのは、こういう日本の場合を特にさして言つておるのです。日本の場合、電信電話事業というものがもちろん沿革的にもあります。沿革的にもありまするが、自然的独占性を持つているこの例は、あえて日本ばかりではなく、アメリカの場合においてもそういうことは将来は考えられるだろうと思う。アメリカの場合は都市を中心として、電信電話事業というものが自然発生的に民間に生れて来た。しかし将来全米的に、しかもその関係が非常に混雑をきわめて来た場合においては、アメリカにおいても公共企業体という形式がとられるのではないかと、これは将来の問題でありますが考えられるのであります。従つてこれは電信電話事業自体に、公共企業体的性格を持つているのではなかろうか、従つて経営上、より能率的なあるいは最善の案があつても、たとえばそれが民営ならば民営で、そういうものがあつても、その高度の公益性という点及び電信電話事業の自然的な独占性という点から考えて、公共企業体が最適任であり、原則として民営に移すべき性質のものではないというふうに私は考えているのであります。ちようど大臣がおいでになりましたから、大臣からこれについての御意見を承りたいのですが、ただこうなりますとおそらく当局の方でお困りになるのは、その一環的な一つとして、国際電信電話会社にまわすという問題が同時に提案になつておりますから、その関連性において非常な困難があろうと思います。電気通信事業というものは、その性格から見て、少くとも公共企業体原則であるというふうに考えておるのでありますが、その点についての大臣の御説明を願いたいと思います。
  17. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 先ほど来私欠席しておりましたので、次官からお話申し上げたと思います。ただいまの御意見どもしごくごもつともだと思いますが、そもそも抽象的な議論写ることは、いかにも原則一つ打立てるようでありまして、いろいろ誤解を招きやすいのではないかと思うのであります。と申しますのは、抽象的な原則論で申せば、事業性格自身いかようであろうとも、最も能率的な、また利用者の便益を十分果し得るような経営形態であるならば、それでよろしいのじやないかという議論も、これは原則論としては成り立つのではないかと思うのであります、従つて民営でやらなければいかぬとか、あるいは国が直営しなければならないとか、こういう強い主張は必ずしも私賛成しかねるのであります。しかしただ今の橋本さんの御意見のうちにも御指摘になつておりますように、事業自身が非常に公益を増進し、同時にまた独占形態になつて来る。いわゆる特殊な権益を会社経営者に付與する、こういうようなことになるならば、その性格上、利用者全体に還元されるような方法で、経営形態考えて行くべきだ、こういうような御意見つたと思うのであります。私しごくごもつとものように思うのであります。しかし私どもが今日国内電信電話会社をつくつたり、あるいは国際関係会社を設立し上うといたしておりますのは、その現在の環境がどういう状況にあるのか、現在の環境を打破して、そして本来の使命を達成するのに、どういう形態が最もよろしいのか、こういうような観点に立つて、私ども国内電信電話公社の形がよろしい、国際的なものは会社性格十分目的を達し得る。そこで橋本さんが御指摘になりましたような不都合な点とか、あるいはいろいろ経営上におきましても、特別な人たちに特権を付與したようなかつこうになることを避ける、こういうような意味におきましては最高権威である政府自身が十分これを監督して行つて、そうして利用者本位に運営される、利用者利便を増進して行く、こういうような形に十分指導監督する、こういうように物事を考えて行くべきじやないか、かように実は思つておるのであります。従いまして一般的な御意見といたしましては、私ども当然考えて参らなければならない点でありまして、先ほどからの御指摘の点はさように考えるのでありまするが、今日の現情勢下におきます四囲の環境等を勘案いたしまして、そのときに対応して経営形態考えて参る、かような考え方から公社案並びに会社案が生れたもの、かように御了承いただきたいと思います。
  18. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 そこで私は與党ですが、一応こういう根本問題についての政府当局考え方を確かめておきたいのは、従来こういう点について非常にあいまいのうちに公共企業体ができたり、御都合主義でできておるようですから、根本的な問題を聞きたいのです。そこでややもすれば資本主義経済国家では、公共企業体もしくは国営事業というものは、できるだけ民営に移すのだという、非常に百年も前のような考え方を持つておる人があるようです。これは非常に聞違つた考えで、資本主義経済であろうと、あるいは社会主義経済であろうと、資本主義経済においてもその事業自本が独占性を持つ、あるいは公共的な観点が強度なものになつて来ろ場合においては、当然これらは公共企業体的な性格を持ち、あるいは公共企業体がたくさんできておるのであります。たとえばアメリカの例でいえば、御承知のような政府の、全額出資企業体、いわゆる政府企業体という名前で言つておりまするが、そういうものが、資本主義のティピカルなアメリカですらも、三十幾つかできております。どんどんふえつつある。これは要するにその事業なり、国の社会経済状態なりが、そういうような公共企業体を、国民福利増進目標とする上において、民営ではまかされないという性格が出て来た場合においては、そういうような資本主義国家においても、公共企業体組織を持つて行くのである。これは社会主義経済でもなければ、共産主義経済でもないのであつて、こういう点について、われわれがあるいは誤解しておるかもしれませんが、政府の一部には、ややもすれば国営形態なり公共企業体なりを民営に移すことが資本主義経済泥、こういうふうに考えておる点がないでもないのではないか、こういうような点を心配しておりますが、これは質問にもなりませんから、申し上げておくだけにいたします。  そこで日本電信電話公社ですが、法的の建前からいえば郵政大臣が監督しおりますけれども、いろいろ法文の中を見ますと、内閣にも関係があるのですが、所管事項というか所属というか、非常に通俗的な名前ですが、所属という点からいえば、内閣所属とすべきか、あるいは郵政大臣所属とするのか、あるいは国会との関係はどういうぐあいにお考えになつているか、その点をお聞きしておきたいと思います。
  19. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいましいて答えはいらないと言われました点に関するのでありますが、この種の公益事業としてやられております仕事は、利用者本位国民本位ということになるのだと思いますが、これを十分目的を達成する場合に、事業本体から見まして、会社経営ということを考えた場合に、この利潤追求の理念と国民利用者大衆利便増進ということの間に調整がとれない、こういうような危険が感ぜられる。政府指導監督ではその調整がとれない、こういうような場合があるといたしますれば、会社組織というものは、この種の事業においては許されないというのが本筋輝ろうと思うのであります。この考え方をとりまして、国際電信電話会社監督指導は一体どこでやるのか、これは郵政省所管事項といたしまして、郵政省指導監督の直接の責任に当るということに相なつておるのであります。この観点は、郵政省はとかく郵便事業並びに貯金業務簡易保険業務とをやつておるように考えますが、この点についてははつきりした行政官庁としての機能を持つわけであります。従いまして他の一般官庁がやつておると同じような行政権を行使して行くということになるわけであります。監督をいたしますのは、その意味において郵政大臣ということに相なるわけであります。しかし予算の関係等におきましては、また資金の問題等におきましては、大蔵省が本来の仕事の建前上、これに関與して参るわけであります。従いましてただいまのお尋ねに対しまする答えといたしましては、国自身が責任を持つてこの国際会社指導監督をするが、その場合の所管省といたしましては郵政省である。郵政大臣がその直接の職務遂行の任に当るということに相なるのでございます。
  20. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 大臣のおつしやつたことは、大体においてこの法律にもあるのですが、たとえば第七十六条で、「公社は、郵政大臣がこの法律の定めるところに従い監督する。」こうなつております。従つてその所管及び監督は郵政大臣がすることは、大体この法律が明示しておるのでありまするが、しかし「この法律の定めるところに従い監督する。」こうなつておりますので、この法律の定めるところにおいての監督の内容は、実はこの条文の範囲で法非常に少いのです。従つて私はこのい律のうちにおいての大臣の監督権というものは、非常に狭い範囲にとどめられておるように感ずるのです。のみならず経営委員会の委員というものは、国会の承認を得て内閣がこれを任命する、この場合内閣は総理大臣責任大臣でありますから、総理大臣が行うのでありましようが、内閣が任命する、しかもこの経営委員会はすなわち公社の管理機関であります。この管理機関の委員国会の同意を得て内閣が任命する、この経営委員会は、要するに内閣に対して責任を持つのか、あるいは国会に丸して責任を持つのか、あるいは郵政大臣に対して責任を持つのか、この点が明らかではありませんが、その責任の所在によつて、実質的にも監督が必ずしも郵政大臣にならないということになりはしないか、こういうことを考えておるが、その点の御解釈をお聞きしたいと思います。
  21. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 御承知のように国が会社を指導、監督するという場合におきまして、その監督する内容、範囲をいかにするかということは、非常に大きな問題でございます。御承知のように私どもは本来その事業経営の直接の衝の当つておる人たちのその責任において、しかもその手腕、力量において、十分事業本来の目的を達成して行くということを実は第一の念願としておるのであります。この考えを貫くといたしますれば、国の干渉にいたしましても、あるいはその他の国の機関の指導、監督等におきましても、できるだけ事業担当者の創意とくふう並びに努力を生かすような方向にしようとすれば、国の監督、指導というものをできるだけ狭めて行くのがいいのではないか。この意味におきまして、大筋の問題といいますか、先ほど来御議論のありましたように、この種の事業が高度の公益性を持つておるという考え方からみまして、この公益性遂行のために必要な基本事項については、政府並びに関係機関がこれに關與して行く。その他の部門におきましては、できるだけこれを経営者の責任にまかせて行く。そうして経営者のその責任においてやりました事柄で、府並びに国会等が考えて、本筋の使命遂行上に支障がある、こういうような場合におきまして、人事権を発動して参る、こういうような考えを方一応採用したのであります。従いまして各種の活動もいろいろの例があります。ある特殊の公社につきましては、これを監督、指導して行くのに厖大な機構を持つておるところもありますし、あるいはまた非常に簡易な方法をとつておるところもあります。あるいは国会がこれに直接関與する場合におきましても、その事業全般について、国会の議決を要するというような場合もありますし、また場合によりましては、程度の低いものとしては、あまり国会もそれに関與して行かない種類公益法人も実はあるわけであります。今回の日本電信電話公社の場合におきましては、まず考えました創意、くふうと申しますか、在来の例に必ずしもよらなかつた点は、できるだけ監督、指導の面はひとつ極限してみたい、その意味においては監督、指導の機構も非常に単純化してみよう、こういうような考え方で考案をいたしたわけであります。従いまして郵政大臣が監督、指導する面も非常に小さくなつておりますし、また国会の議決を要する事項等におきましても、在来よりもこれが簡易化されておるという感がいたすわけであります。そこで先ほどの人事の問題にいたしましては、最終的な責任を負う箇所はやはり任命者に対しての問題でありますが、任命者自身はこの場合においては国ということであります。その国を代表する者は、内閣総理大臣がその最終的な地位をはつきり持つておるということが示されておりますので、その意味におきましては、最終的な責任はその政府に対して負うことになるわけであります。その命を受けました郵政大臣が、所掌の範囲におきまして監督、指導して行きたい。だからその面におきましては、郵政大臣に対しましても同様な責任を持つことに相なるわけであります。
  22. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 ちよつと私の質問があるいは明瞭でなかつたかもしれませんが、「両議院の同意を得て、内閣が任命する。」こうなつております。それから第二十一条に「総裁及び副総裁は、内閣が任命する。」どつちも内閣が任命するのです。そこで従来の電通省の場合においては、これは直接の責任大臣ですが、今度は直接責任内閣が任命した経営委員会にあるわけですが、この場合、この内閣という意味内閣総理大臣という意味ではなくして、内閣全体の連帯的責任というふうに解釈されるのです。従つて内閣が任命する場合に、やはり閣議の一致を見なければ—多数決でもけつこうですが、閣議の一致を見なければ任命することができないということになると思うのであります。従つてこの公共企業体は、内閣が最終の責任地位である、こういうふうに解釈してよろしいと思うのですが、その点についての御見解をお聞きしたい。
  23. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいまのお尋ねの通りに私ども考えております。
  24. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 そういう意味から解釈しますと、これはまあどこの公共企業体も、国鉄もそうなつておるのでありますが、従つて郵政大臣の監督権というものは、これは当然公共企業体をして能率的に仕事をさせるために、監督権を少くしたのだ、こういうことでそれはわかるのですが、公共企業体の監督権及び形式上の所属は、郵政省にはありますけれども、結局は最高首脳部の責任内閣所属するのですからして、直接のつながりは内閣にある、こういうふうに解釈してよろしいのではないか、こういうふうに思うのですが、その点の御見解をひとつ承りたいと思います。
  25. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ちよつとその点は、あるいは誤解しておるかわかりませんが、国自身が全部の責任を持つことに相なるわけであります。その国の最高機関の意思決定方法としては、ただいまお話のありましたように閣議に出て参るわけであります。閣議で最終的決定をして、そうして国の意思がきまるわけであります。その場合の発議機関と申しますか、あるいは起案官庁と申しますか、それが所管省として郵政省がありまする限り、郵政省が第一の責任者になりまして処理して参るわけであります。従いましてその事柄の性格によりますれば、政府全体の意向としてきめないで、郵政大臣限りで処理して参るものもありまするが、その範囲におきましては、これは問題なしに郵政省自身が責任を持つて、また郵政大臣責任において事務が処理されるわけであります。事柄の性格によりましては、内閣意思決定によつて処理されるものもあるわけであります。その点はただいま申し上げた点でおわかりだと思いますが、閣議決定の意向については、これは郵政大臣が直接の問題と申すよりも、政府全体としての意向として物事がきまつて行くようにお考え願えればいいのじやないか、重大なる問題につきましては、郵政大臣考えおるようになかなか行かない場合もあるだろうと思います。しかしなががら同時にそれは郵政省が発議官庁であり、同時に第一次的な直接の官庁である点においてはかわりがないと思います。
  26. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 私がこれをしつこくお聞きするゆえんは、非常にひつかかつて来るのですが、ただいま大臣は発議権があるように言われておるけれども、この条文の中には総裁、副総裁及び委員に対する候補者を選定する権限はないのです。もしありとすれば官房長官にある。これによれはあるいはまた財政問題にいたしましても、いわゆる予算の調整権は郵政大臣になくて、郵政大臣はトンネル機関で、大蔵大臣が閣議において調整を行うとはつきりしている。ですから最高人事権においても郵政大臣は発議権がない。その事業を行うべき予算及び事業計画についても、郵政大臣はこれを取次いで、大蔵大臣が検討して行く、内閣がこれを調整して決定する、こうなつておる。そうなりますと郵政大臣は何を監督するのか、最高人事権すらもこの条文から言えば内閣が行うと言えば、官房長官に発議権がある。あるいは財政問題事業計画に対しても、大蔵大臣調整して閣議にこれを諮り、決定したものは郵政大臣を通じて公社に通知をする、トンネル機関であります。これはトンネル機関であることが、公共企業体性格として当然であるという見解ならば、これはけつこうなんですが、ただ今までやつて来たところから考えても、ややもすれば人事権の問題が複雑怪奇になつたり、あるいは財政の監督権を通じて、その公共企業体が他の官庁によつていろいろと動かされる危険性もある、こういう点から考えて、もう少しすつきりしたものをこの法文としてつくるべきではないか、こういう点から私は内閣の問題をやかましくいろいろと申し上げたのです。大臣は発議権があるように言われておりますが、もう一度条文を見ればおわかりになるように、大臣には監理委員会の委員の候補者を出す権利もなければ、総裁、副総裁を出す権利もありません。この条文で言えば、内閣における官房長官が候補者を出す、こういうことになります。そういう点でよろしいのかどうか。単なる法律の範囲内においての公社に対する監督権を大臣が持つておられるというだけでは、この法律の範囲内における郵政大臣の監督権というものは非常に僅少であつて、私も二つか三つくらいしか詳しく調べておりませんが、非常に名前だけはけつこうですが、法律の範囲内ということになりますから、ほとんど監督権というものはないといつていいくらいであります。こういうような条文で、そこで郵政大臣が円滑に監督機能を発揮できるかどうか、こういう点が私の質問の要点なんです。この点についての御説明を願いたい。
  27. 靱勉

    靱説明員 この監督を郵政大臣といたしておりますのは、これは一般的な監督をここにきめたのでありまして、もちろん「この法律により」というこにとなつておりますが、他の法律によつても、たとえば電信法あるいはその他関係法律によつての監督というものは、郵政大臣が持つております。御指摘の予算につきましては、これは大蔵大臣が提出しまして閣議できめる、それをさらに国会に出すという形になつておるわけでありまして、これは郵政大臣が予算をきめるということではなくて、やはり事業計画その他につきましては、郵政大臣の審査する国の予算ではないのでありますが、予算に準じまして、手続としましては一般予算と同じような径路をとつて、すなわち大蔵大臣がこれを調整して閣議に諮り、その場合にはもちろん郵政大臣は出ているわけでありまして、閣議として決定して行くのだということを書いてあるので、郵政大臣の権限がきわめて小さいというふうには私ども考えてないわけであります。もちろんそれ以外に監督命令を出すということは、この条項にも明らかなことく、主管大臣から出て来るわけであります。人事につきまして内閣で任命するということになつておりますが、これは要するに任命権の問題であります。そういうような次第で、御指摘の点が郵政大臣一人で全部片づけるというようにすることがいいかどうかということでありますが、国の行政組織でそれぞれ主管のところで関係の事項につきまして処理するという形態は、あらゆる方面でとられておる点でありますので、特に郵政大臣の権限を区々たるものにしたというふうには考えられないのであります。なお先ほど監理委員会というようなお言葉がありましたが、この法案におきましては経営委員会としまして、監理委員会というものは指導監督意思決定の機関ということが国鉄の法律において明確でない。本法案におきましては、重要なる事項の意思決定機関として、その性格を明らかにいたしております。この点商事会社の取締役会との相違と申しますれば、取締役会におきましては、株主総会においてきめる以外のことは、全部取締役会できめるという形になつておるのですが、この経営委員会は重要なるといつた言葉が中に入つておるという点において、若干の差異を持つておるわけであります。その点あわせてお答えいたします。
  28. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 私が監理委員会といつたのは間違いで、経営委員会のつもりで申し上げたのであります。今靱次官から郵政大臣の権限はそういう小さいものではない、こういうお話ですが、それではひとつ条文をあげて申しますが、第四十一条を、こらんになればわかるのですが、そのうちで、第二項に「郵政大臣は、前項の規定により予算の提出を受けたときは、これを検討して適当であると認みたときは、大蔵大臣に送付しなければならない。」これは要するに郵政大臣公社当局との間の打合せを済んだものを、大蔵大臣に送付するわけであります。その送付した原案をきめるのは、第三項の「大蔵大臣は、前項の規定により予算の送付を受けたときは、これを検討して必要な調整を行い、閣議の決定を経なければならない。」こうなつておる。もし郵政大臣中心であるというならば、郵政大臣は大蔵大臣と協議して、この予算書を検討して必要なる調整を行い、これを閣議の決定にまたなければならない、こうなつていなければならない。ですからして予算の問題については相談にあずかることは実際はそうでありましようが、この法文の上から言えば、あえて大蔵大臣は相談にあずからなくてもよろしいということになつております。閣議で国務大臣としての責任においてやるのであつて郵政大臣責任においてやることは、この条文の中に一つもない。閣議においては国務大臣責任においてやるのですから、私は郵政大臣が何もかもやれというのはありませんが、いやしくも公社に対する責任の大部分を負つておる、行政上の責任を負つておるという建前でありますから、この行政上の責任を大部分負う以上は、それにふさわしいところの権利がやはり伴わなければならない。従つて予算作成並びに提出に関しては、郵政大臣が大蔵大臣と協議していわゆる調整行つて、これを閣議に提出をする、こういうことでなければならぬと考えるのであります。あるいはまた最高人事の任命権に対しても、内閣が任命することはけつこうですが、それに対してこの法律によつて郵政大臣がこれを推薦して、内閣が任命する、こういう形式をとることが郵政大臣が監督上の責任がとれると思う。そういうような事実がなくて、單に責任だけを郵政大臣が引受けるような、そういう法案をつくるということは、あまり郵政省というか、郵政大臣というか、郵政当局内閣や大蔵大臣に御遠慮なさつておるのではないか。もつ責任のある仕事をしようというならば、やはり権利義務を明らかにすることが必要であろうと思うのでありますが、この点に関する大臣の御答弁をひとつ願いたいと思います。
  29. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 先ほど来申しました私の答弁が不十分であつたので、いろいろ誤解を受けているようですが、閣議にかかります事項は、それぞれの官庁が全部発議しまして、閣議を開いてもらつて整理をいたすわけであります。その事務を取扱うのが官房長官でありまして、なるほど閣議は官房長官主催ということになるわけであります。しかし先ほど来申します人事の原案を、それでは官房長官がつくるのかと申しますと、そうではなくて、郵政大臣がそれを要求しまして、そして閣議にかかるわけであります。それから予算の問題についていろいろお話がありましたが、現在でも各省で予算をやりますが、予算の発議というものは全部大蔵大臣が持つております。大蔵省自身が各省の予算を調査、審査いたしまして、そして大蔵省で原案をつくつて、そしてそれを閣議に出すということに相なるわけであります。従つて任命の問題にいたしましても、また予算を審議する場合におきましても、在来からの例から見まして何ら変化はないのであります。その点は実際上の実務の扱い方ばかりでなしに、現在まで予算の提出権は大蔵省が持つておるという考え方から、郵政省関係の事項を全部調査いたしまして、それを大蔵省に送り込んで、形式的には大蔵省が出して行くとこうことに相なるわけであります。従いまして条文と実際扱い方の食い違いと申しますか、扱い方の慣例を申しあげなかつた点がいろいろ誤解を受けたのではないかと思います。
  30. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 今大臣のお話では、各省ともに大蔵大臣に予算の発議権があるのだ、こういうお話ですが、それは今までの電通省の、国営事業としての電信電話事業であれば、それでけつこうです。今度の場合は、公共企業体という新しい別の機関になつたのでありますからして、その間における関係もかわつて来なければならないし、かつまた各省の場合においては、大蔵省から予算左もらつて、それでまかなつて行くのですから、大蔵省に発議権があるのも当然であろうと思います。しかし公社の場合は、自分で独立採算制のもとに、自分の収入によつて予算事業書というものをつくるのですから、大蔵省にお願いするのは、建設予算関係が、大蔵省の金融関係統制建前からして、大蔵省の了解を得る必要がある。その他の場合においては、実際上は大蔵省当局の了解がいらないのです実際上自分のとつた金を自分が使うのです。一応国の機関として目を通すと思いますが、これは参考程度であつてよろしい。ですから、もしこれを二つにわけることができるなら、建設予算というものはあるいは金融のわくという関係からいつて、大蔵省が積極的な発議権を持つ、あるいは調整権を持つということも考えられるのですが、自分の収入によつてまかなわれた予算、一般経費、そこまで大蔵省が中心でやつて行かなければならぬということについては、非常にわれわれ疑問を持つ。かつまたこの条文の中にありますが、大蔵大臣はこういうように予算を中心に権利を持つておるという建前からして、事業の監督権まで持つておる。たとえば第七十四条の「大蔵大臣は、公社の予算の実施に関し必要があると認めるときは、収支に関する報告を徴し、予算の実施状況について実地監査を行うことができる。」これは明らかに大蔵大臣公社に対する予算の実施状況、いわゆる事業全体に対して監査権を持つておるということであります。ところが郵政大臣は、実はこの実地監査権というものが、広義に解釈すればあるとおつしやるでしようが、われわれ法文からいうと、郵政大臣にはこの規定が特にないのであります。この法文に従つて監督を行うということだけですから、その法律の中に、郵政大臣が実施状況を監査するということが入つ薫りませんから従つてこれを狭く解釈すれば、郵政大臣にはそういう予算の実施状況」について実地監査を行う権利がない。大蔵大臣は特にこういうことを明記してあるために、実地監査を行う権利がある。こういうような解釈もできるのであります。従つてここまで大蔵大臣が入つて来るということは、せつかく公共企業体が自由に、弾力のある予算を組んで、そうして民営の長所を取入れて、能率的な運用をしよう、こういうときに、こういうような大蔵大臣の実施状況についての実地監査まで行うというような権限を與えることが適当かどうか。こういう点についてわれわれは疑問を持つのでありますが、大臣の御見解を伺いたいのであります。
  31. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 郵政大臣の実地調査権自体の問題は、これは一般監督官庁乏して当然あるわけでございまして、これは一般の監督官庁としての本来の姿で、当然出て参ることでございます。従いまして郵政大臣の権限を排除はしておらない。ただ問題は大蔵省の關與する面が非常に多いのではないか。こういう点については、公社にいたします場合の実は基本的な問題であります。御承知のようににこの案をつくります際に、一面におきまして、事業性格上国がうんと關與すべきではないかという議論もありまするし、あるいはまたできるだけ公社の主見任者の責任において、事業経営をさすべきではないかという議論もあつたわけであります。前者の議論をとりますならば、大蔵省が今日各省予算を審議し、また国会に対しましても、予算委員会等で御審議を願つていると同様な形のものが、当然出て参るわけであります。後者の議論といたしますならば、郵政省だけでもできるだけこれを減して参る、従つてその面においては、大蔵省もうんと後退すべきではないか。場合に上りましては、国会におきましても、議決を要する事項なのか、あるいは承認を求める事項でよろしいのか、この辺が非常に議論の存した点でございます。そこで予算の扱い方の点におきましては、すでにでき上りました鉄道公社法、専売公社法等の扱い方の例にまずよることを本体といたしまして、若干のくふうをいたして、今回の電信電話公社を設立することにいたしたのであります。従いまして御指摘のような理想的な考え方から見ますれば、今回のこの措置必ずしも十分とは言えないように思います。ただこれは今までできております鉄道公社法なり、専売公社法等の先例をいましばらく採用してみるという意味におきまして、大体同じ形を採用しておるということでございます。
  32. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 大臣のいろいろ苦労のおるところはよくわかるのでありますが、これはこの際新しくできるのでありますから、できるだけ理想的な形態に移してやつて行くことが本筋であろうと考えますので、その点を質問するのですが、こういうふうに大蔵大臣が各条項に積極的に乗り込んでおりますために、こういう考え方があるのではないかと思います。大蔵省というところは金をもうける機関ですから、何とか金をもうけようという考え方もあるでしようが、そこで独立採算制、これは電信電話事業公共企業体になる前からですが、独立採算制を唱えておる。それにもかかわらず昭和九年から昭和二十年の間に、一般会計へ利益金のうちから繰入れをした額は、十四億六千四百万円ある。これは収入に対するその比率は二割を越えています。こういう厖大を金を今まで一般会計に吸収せしめられておる。搾取されておるのです。そして一方においては電信電話の復興ができておらない。非常に電信電話が悪い。こういう考え方が、同じく今度の法案の中にもでておる。たとえば利益金の処分でありますが、利益金の処分の場合においては、その損益補填をして、余裕があればこれを一般会計に繰入れる、国庫に納付するという規定になつておる。これは説明によれば、できるだけ十分に損益補填なり積立金をして、そうして残つた額を国家に繰入れるのだ、こういう説明のようでありますけれども、これは関係当局の方からいえば、そういうような気持でありましようけれども、法の上からいえば、そうは解釈できない。やはり特定の積立金をして、なお残りがあれば、金額のいかんを問わず、相当金額を国庫に納付しなければならぬという、国庫納付金制度の承認であります。こういう考え方は、独立採算制をとるという建前からいつても、非常に矛盾がありはしないか。しかも電信電話という事業が、今日各方面から非難を、こうごうとして受けておるときに、その拡張費用にあるいけ改善費用に、特別積立金としてこれらが加えられるならば別でありますが、そういうような法規上の積立金をした残りは、国庫に納付するような制度を認めるということは、はたしてこの独立採算制の建前からいつて妥当なものかどうかこれがもしマイナスの場合においては、一般会計からこれを繰入れる、こういうような相互規定でありますならば、これはやむを得ないのでありますけれども、損をした場合においては、一般会計からは繰入れない、もうかつた場合においては一般会計にこれを繰入れる、こういう考え方は、要するに電信電話料金の収入というものを税金と同じように、国家財政の収入の一つとして考えているから、こういう議論が出て来るのではないか、こういうふうに考えるのです。こういう例は、外国にもあそらく公共企業体においてはないのでありまして、少くとも電信電話事業は、国の金もうけの機関ではなくして、高度の国民公益性を発揮するための機関であるのでありますから、その利益金を、いわゆる国庫に納入するという考え方はやめなければならぬ。もしそういう余裕が、改善をしてなおかつ金の余りがあるならば、当然これは料金の値下げに向けるべき性質のものである。こう考えておるのですが、この点に対する国務大臣の御所見を承りたいのであります。
  33. 靱勉

    靱説明員 ただいまの利益金の処分につきましては、今橋本委員の御意見の通り、私ども完全なる独立採算制をとることが妥当であるというふうに考えたのでございますが、大蔵当局といろいろ折衝中におきまして、また大蔵当局としても一つ意見があつたわけでございます。御承知のように政府全額出資になつていて、真に独立採算制をとり、ほんとうにこの企業を実費主義といいますか、要するに役務の対象として料金が入つて来るという態勢を考えてみますと、資本に対して一定の利子なりあるいは利益をわけるということは、必ずしも妥当を欠く措置であるとは考えられないという主張も、ひとつ意見として出て参るのではないかと思います。ほんとうにこの事業を、最も合理的に経済的に経営して行く。料金も適正な合理的な料金を設定いたします場合においては、そういうような顧慮というものがされなければならぬのではないかと思います。と同時に今橋本委員の御指摘のごとく、まさに電信電話事業国民の要望に沿うていない。もつと建設資金を十分にして、需要に応じた供給がなされなければならぬということは、まことにごもつともな御意見定、これに対しては私ども全然御同感でございます。従つていろいろとりくつはあるが、ともかく一応現在の段階におきましては、税金も免除する、利益金があつたら、そういうものは建設資金等にまわしまして、もつ国民にいいサービスを提供すべきであるということが、一番妥当な理論と考えられますが、ただ国鉄と比較してみますと、もちろん国鉄においては、国内私企業によるところの運輸事業が営まれておる。そちらの方は当然税金を負担している。国鉄公共企業体として税金を負担していない。その間においてかなり、何と申しますか、一般企業との公平性から申しますれば、これは税金を課するか何かしなければならぬというようなことも、当然考えられるわけでありまして、これらの状況考えてみますれば、利益があつたならば、もちろん一般会計に納付するというような規定を設けなければ、国鉄と私鉄との関係説明できないのじやないか。そういう意味合いにおきまして、国鉄はこの公社法とまさに逆の規定をいたしておるのでありまして、ともかく剰余金があれば、これは一般会計に納付するのだ。そのかわりどうしてもやれなく、欠損の場合には、一般会計から補填するということになつておるわけであります。終戦後国鉄の方におきましても、復旧整備の点において、非常に資金がいる、非常に赤字だといわれた時代もあつたように私ども承知いたしておるのでありますが、その際において、もちろんそういう余裕はないけれども、そういう規定が設けられてある。結論的に申しますと、いろいろと説は立て得るのでありますが、今御指摘のような点が、現在の段階においてはきわめて正しい。また正当な適切な御意見であるということにつきましては、まつたく異議ないのでありますが、過去の例におきまして、国鉄等においても、原則として一般会計に納付すると書いてありましても、これは剰余金を繰越しまして、補正予算の財源等にするということで、いまだにかつて剰余金を納付しているようなことは現在までは現実心ないそうであります。電通といたしましてはこれを逆にしまして、原則として積立金にする。しかし観念としましては、一般会計に納付する場合もあるというふうに私ども解釈いたしますと同時に、現状の電気通信施設の状況におきましては、できるだけ拡張資金を確保するという意味合いにおきまして、これは政府当局のもちろん重要な認識のもとに、一般会計に納付することは、実除上今のところは考えないでもいいのじやないか。法文におきましては御指摘の通りになつておりますが、これらの規定の制定にあたりましては、そういうような径路をとりましてつくられておりますので、実行上におきましては、公社を担当する人は、また国会においても政府においても、そういう金を納付さして、電信電話の整備拡張を遅らせるというような御心配はないのではないかというふうに、私ども信じておる次第であります。
  34. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 次官の気持はよくわかるのでおりますが、た泥基本的な考え方をはつきりしておきませんと、いろいろな障害が起るということは、今次官からの説明の中に、国鉄においてもそういう例があつた、こういうお話ですが、これは間違つておるのです。というのは、国鉄とかあるいはこういう公共企業体電信電話事業などが、利害と経費を打算せず、国民の福利のために、普及徹底しなければならぬ義務を持つておる。ですからこれを私鉄と関連して考えたり、あるいはまたこの公共企業体がもし民営事業があるとすれば、それを考えて、一方は税金をとつていないからして、その税金のかわりに国庫へ納入する金がいるのだという、そういう考え方では、公共企業体という目的があやふやになるのでありますからして、その点をよく御認識願いたい。なぜ国鉄公社であり、またこの電気通信事業国営であつて、今度公社になるかというと、その目的が違う。私鉄の場合においては、もちろん公共性はありますが、これは採算の合わないところに私鉄はやる必要がないし、またやらない国鉄の場合は、採算が合おうが合うまいが、国家全体として必要な場合においては、その建設をやらなければならぬ義務を持つている。同様にこの電信電話公社も、採算が合うと合わないとを問わず、国民全般の利益増進ために、これは公共の福祉を増進するために、拡張する義務を持つている。従つて税金の対象になるべき性質のものではないのである。こういう意味から考えても、納付金制度を認めるということは、非常に基本的な観念があやふやであるけれども、結局は納付金制度を認める、こういう結果に陷りまして、実際的な問題といたしましては、今次官が言われたように、納付金を納めることはないでありましようけれども、根本観念としてその点を明確にしておきませんと、非常に将来において誤解を生ずるおそれがありますので、本員はその点をやかましく追究しておるのであります。その点一応大体の意見を申し述べておきます。  なお時間がありませんので、国際電信電話公社法の方についての質問は保留しておきますが、なお簡単にこの公社法の方についてお聞きしたいのは、これは簡単な問題でありますが、経営委員会の構成ですが、この点は、たとえば経営委員会は委員五名とそれから特別委員二人によつて、五名の経営委員会ができるのですが、そのうち委員長またはこれを代理する者一名と他の二名が出席すれば経営委員会を開くことができる。こうなつております。そうなりますと、これは大体あり得ないことかもしれませんが、論理的にはあり得るのですが、委員長または委員長を代理する一名、いわゆるこれは経営委員でありますが、それともし経営委員のうち二名が欠席をして一名だけが出席をする、そこで特別委員の二名が出席すれば議決することができる。こうなるのであります。これはこまかい問題ですが、経営委員会というものの性格と、いわゆる公社の役員の性格とが混同する危険がある。すなわち公社の役員である総裁及び副総裁が出席して、そうして経営委員の方から一名出ればこれを議決することができる、こういうことになりますと、これはまあ総裁と副総裁でありますから、意見がわかれることは原則としてあり得ない。いわゆる役員会の決定を持つて来て経営委員会にかけるのでありますから、総裁と副総裁の意見は同様でなければならない。そういたしますと、もし二名の欠席があつた場合においては、いわゆる総裁、副総裁によつて経営委員会の議決が可能だということになる、そういうことが結局経営委員会の性格と役員会の性格とを混同して、同一のものにする危険がありはしないか。従つてこの点については何らか救済する考え、救済規定と言いますか、条項を修正する考えはないか、その点を伺います。
  35. 靱勉

    靱説明員 お答えいたします。ただいま申したように最低数を三名といたしておりまして、委員長またはこれを代理する者は委員から出ますし、そうするとあと二名、ちようど総裁、副総裁が特別委員で二名を補充しますから、お説のようなことは考え得るのでありますけれども、結局これは最低限の定足数を定め、しかも委員長という者または代理する者が必ず出なければならぬという形になりまして、最低数をきめてあるのでございますから、考えようによりましてはまたまつたく逆の場合で、総裁、副総裁が全然いなくて、普通委員だけで形成されるということも考えられるのでありますが、私どもといたしましては厳格に解釈いたしますと、御指摘のようなことになるかと思いますが、実際上におきましては大して支障がないものと考えましてこういうように規定いたしておる次第であります。
  36. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 公社関係質疑は私はきようはこれをもつて打切りといたしまして、続いて国際電信電話公社に対する質問もいたしますが、これは次会に譲りたいと思います。
  37. 松井政吉

    ○松井(政)委員 議事進行について……。きようは本会議で記名投票がありますから、理事会を開いていただいて、きようの日程等打合せていただきたいと思います。
  38. 田中重彌

    田中委員長 それではただいまはこの程度にとどめまして、理事会を開いてきめることにいたします。もし招集がないときは明日開会いたしますが、これは公報をもつてお知らせいたします。  それでは一応本日はこれにて休憩いたします。     午後三時十六分休憩      ————◇—————     〔休憩後は開会に至らなかつた