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1952-05-14 第13回国会 衆議院 電気通信委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月十四日(水曜日)     午後一時三十七分開議  出席委員    委員長 田中 重彌君   理事 高塩 三郎君 理事 橋本登美三郎君    理事 長谷川四郎君 理事 松井 政吉君       石原  登君    岡西 明貞君       加藤隆太郎君    庄司 一郎君       中村  清君    福永 一臣君       降旗 徳弥君    椎熊 三郎君       畠山 重勇君    石川金次郎君       田島 ひで君    稻村 順三君  出席国務大臣         電気通信大臣  佐藤 榮作君  出席政府委員         電気通信政務次         官       平井 太郎君         電気通信監   山下知二郎君         電気通信事務官         (業務局長)  田邊  正君         電気通信事務官         (経理局長)  横田 信夫君         電気通信技官         (施設局長)  中尾 徹夫君  委員外出席者         電気通信事務次         官       靱   勉君         専  門  員 吉田 弘苗君         専  門  員 中村 寅市君 五月十四日  委員犬養健君、大西弘君及び成田知巳君辞任に  つき、その補欠として石原登君、降旗徳弥君及  び稻村順三君が議長の指名委員に選任された。     ————————————— 五月十三日  一関電報電話局新築に関する請願(淺利三朗君  紹介)(第二六九六号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  連合審査会開会に関する件  日本電信電話公社法案内閣提出第二一二号)  日本電信電話公社法施行法案内閣提出第二一  三号)  国際電信電話株式会社法案内閣提出第二一四  号)     —————————————
  2. 田中重彌

  3. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいま議題となりました日本電信電話公社法案提案理由説明申し上げます。  わが国電信電話事業は、創業以来公共事業として終始一貫国営により経営されて参つたのでありますが、昭和九年特別会計制度を採用いたしました後も、事業国営に伴う諸制約に縛られ、設備擴張資金につきましても、その時々の国家財政のわくに左右されて、十分かつ安定した資金を得られず、さらに企業経営基本であります財務会計人事管理についても、一般行政官庁と同一の規律を受けているため、活発な企業活動を阻害されて来た点が少くなく、ために戦争によつて極度に荒廃した電信電話復興は、戦後の産業、経済文化等国民活動の進展に伴うことができないで、遺憾ながら国民の要望に十分こたえることができなかつたのであります。  このため昭和二十四年七月に内閣に設けられました電信電話復興審議会は、昭和二十五年三月三十一日に電信電話事業民営の長所を最大限に取入れた公共企業体運営せしめることの必要性政府に答申いたしたのでありますが、同年四月二十六日衆議院公共企業体移行促進決議をされ、公共企業体化の機運は熟して来たのであります。しかるにその後幾ばくもなく、朝鮮動乱の勃発に伴い、関係筋の意向もありまして、ひとまず見送りとなつていたのでありますが、昭和二十六年八月政令改正諮問委員会行政機構改革の一環として電信電話事業公共企業体化することを政府に答申し、政府においては慎重審議の結果、今回電気通信省を廃止し、電信電話事業日本電信電話公社経営させることに定め、ここに日本電信電話公社法案国会に提出して御審議をお願いする運びと相なつた次第であります。  さきにも申し上場げましたように、財務会計人事管理等の面での国営形態の欠陥を除去して、企業的能率的経営をなし得るためには、純然たる民間形態も考えられるわけでありますが、電信電話事業は、全国にわたる厖大な組織及び設備を有し、巨額資産を擁する公共事業でありますから、これを民間に拂い下げて株式会社組織に切りかえることは、再評価株式の引受け、その他に多くの困難が予想されること、強度の公益性技術的統一性及び自然的独占性を有する本事業については、純民間企業としての急所を十分に期待できないこと、また公租、公課の賦課が加わるため、経営合理化が促進されてもなおかつ相当料金値上げを招来するごと、年々巨額擴張資金民間資本にのみ求めることは、現在のわが国資本蓄積状況から見てほとんど望み得ないこと等の理由から、民営形態は適当でないと思われるのであります。  政府公衆電気通信事業の合理的かつ能率的な経営体制を確立し、公衆電気通信設備の整備及び擾充を促進し、並びに電気通信による国民の利便を確保することによつて公共福祉を増進するためには、国会及び政府から必要な監督を受けることによつて公共性を確保しますとともに、一方事業経営財務会計人事管理等の面における一般行政官庁制約を脱し、民営能率的経営技術を取入れた自主的な企業活動を行い得る企業体としての公社形態に当事業経営を行わしめることが最も適当であると考えまして、ここに日本電信電話公社設立することといたした次第であります。ただ国際電気通信関係のみは、国際通信における他国との競争関係等より、一層徹底した企業活動の自由と機動性とを確保するため民営とすることとし、別に国際電信電話株式会社法案を上提いたすことといたしたのであります。  次に公社法案内容についておもなる点を説明申し上げます。法案は第一章ないし第七章にわかれておりまして、第一章は総則として、公社目的法人格業務内容資本金名称使用制限等規定いたしております。このうち公社資本金は、この法律施行の際における電気通信事業特別会計資産価額から負債金額を控除した残額相当する額とし、いわゆる狭義資本説によることとし、政府が全額を出資いたします。  第二章は経営委員会に関する規定でありまして、公社業務運営に関する重要事項決定する機関として、民間会社取締役会に準ずる経営委員会を設置いたすこととしております。この経営委員会は、両議院同意を待つて内閣が任命する非常勤委員三人と、職務上当然就任する常勤の特別委員である総裁、副総裁二人の合計五人をもつて構成され、委員長委員の互選により選任することとなつております。  この経営委員会公社経営管理基本政策決定いたす機関でありますので、公社業務執行責任者たる総裁及び副総裁のほかに、大企業経営についての深い経験と広い社会的視野を持つ非常勤委員をもつて構成し、その多数決によつて議事決定することが、公社経営を能率的ならしめるとともに、公共性を確保する所以であると考える次第であります。なお委員任期は四年で報酬は受けません。  第三章は公社役員及び職員についての規定でありまして、公社役員としての総裁、副総裁各一人及び理事五人以上を置くこととなつております。総裁及び副総裁内閣が任命し、理事総裁が任命いたします。総裁、副総裁任期は四年、理事任期は二年で、いずれも再任されることができます。  職員については、その地位、資格並びに任用の基準について規定するほか、降職及び免職、休職並びに懲戒につき身分保障の見地から一定基準を設け、一方職務遂行に専念する義務を課しておるのであります。またその労働関係については公共企業体労働関係法適用を受けることにいたしております。  第四章は財務及び会計についての規定であります。公社財務及び会計に関しては、財産の増減及び異動をその発生の事実に基いて経理するいわゆる発生主義会計原則によることを明らかにし、予算においても現金収支のみでなく、非現金収支を含むものであることを明らかにしております。また公社予算一般行政官庁の消費を目的とする予算と異なり、通信需要に即応して最低の経費で最良のサービスを提供することを目的とするいわゆる事業予算性格を持つものであります。  この目的に応ずるため、経済事情変動並びに緊急偶発の事態に応じ得る弾力性を有するものであるという本質を明文化してあります。予算予算総則収入支出予算継続費及び債務負担行為よりなつており、これに当該事業年度事業計画資金計画その他参考となる事項に関する書類を添え、国会に提出してその議決を経るものといたしております。  暫定予算追加予算修正予算についても本予算に準じます。予算流用及び繰越しについては、原則として自由とし、ただ総則に定める経費金額については、郵政大臣承認を経なければ流用もしくは繰越しができないこととしております。  資金につきましては、予算総則に定める限度額範囲内において、政府及び民間に対し電信電話債券発行し、また借入金をなすことができることとしております。公社業務にかかわる現金は、原則として国庫に預託するのでありますが、業務上必要がある場合には政令の定めるところにより、郵便局または大蔵大臣の指定した金融機関を利用することができることとなつております。また外債につきましては、財団抵当のごとき制度をとらず、元本の償還及び利子の支拂いについて政府保証を受けることができることにいたしました。  次に利益及び欠損の処理としましては、独立採算制を確立いたしますため、毎事業年度経営利益を生じたときはまず繰越し欠損の補填に充て、なお残余があるときは、予算に定めるところによつて国庫に納付する場合を除くほか、これを積立金に組み入れることとし、経営欠損を生じたときは、積立金を減額して整理し、積立金の額を超過するときは欠損の繰越しとして整理するものとしております。  以上のように、利益金原則として積立金に組み入れますので、欠損を生じた場合にも、一般会計から交付金を仰ぐということはしないことになつております。  財産処分につきましては、電気通信幹線路そその他これに準ずる重要な電気通信設備譲渡しまたは交換するには、国会議決を要することといたしました。  次に公社はその役員及び職員に支給する給與について、能率給を加味した独自の給與準則を定め得ることになつておりますが、この給與準則は無制限に定め得るものでなく、一事業年度支出国会議決を経た給與総額範囲でなければならぬことを明らかにしている次第であります。  第五章は公社監督に関する規定でありまして、公社監督郵政大臣が行うこととし、公共福祉増進等のため必要があると認めるときは、監督上必要な命令を発することができることとしてあります。  第六章は罰則でありまして、役員違反行為をした場合の罰則及び公社以外のものが日本電信電話公社という文字を使用した場合の罰則規定してあります。  第七章は雑則でありまして、この法律施行の際現に恩給法適用を受けている公務員が引続き公社役員または職員なつた場合には、当分の間恩給法適用すること、公社役員及び職員国家公務員共済組合法規定を準用すること、不動産登記法土地収用法について公社を国の機関とみなして、これらの法令を準用すること等を規定いたしております。  次に日本電信電話公社法施行法案提案理由説明申し上げます。  日本電信電話公社設立に関しましては、その手続及び経過措置を定めるとともに他の法令を整理する必要があるのでありますが、條文相当の数に上るため、これをさきに提出いたしました公社法附則とすることなく、単独の法律として提出するのが適当と考えられますので、ここに本法案を提案することといたした次第であります。  本法案のおもな内容を申し上げますと、まず同公社の最初の経営委員会委員指名は、これを公社設立前に行い得ることを定めております。またその任期につきましても一斉に改選になることのないように、二年、三年及び四年といたしております。  次に現在の電気通信省職員は、監督官庁等に移る者等を除き、すべてこれを公社に引継ぐこととし、これらには退職金は支給しないことになつております。  次に公社設立後の過渡的措置といたしまして、公社が行うことになる義務に関する権利義務及び係属中の訴訟は、国鉄専売の例にならい、公社が引継ぐことといたしております。  また公社財産関係につきましては、一般会計からの繰入金中、外国為替特別会計からの未受領の分と、警察専用電話料金未収金相当する約四億円を差引いて公社債務としたほかは、国鉄専売の例にならつております。  公社昭和二十七年度の予算につきましては、国の予算としてすでに成立している関係上、公社が一応これを踏襲することといたしました。  次は公社設立に伴う他の法令の整理であります。従来国営事業として国に適用のあつた電信法電信線電話線建設條例等電気通信関係法律につきましては、別途その全面的な改正法案準備中でありますが、間に合わないことをおそれまして、とりあえずこの法案においてこれらに必要最小限度改正を加えることといたしております。  また他の法律で、国に対し特例または除外例を設けていた登録税法印紙税法所得税法地方税法等につきましては、国鉄専売と同様、本公社にも特例を設けまたは除外するようにいたしております。  その他、他の法律電気通信省とあつた條文のうち、性質上国のみに適用すべきものにつきましては、これを削除し、また公社適用する必要のあるものにつきましては、これを公社と読みかえるようそれぞれ改正を加えておる次第であります。  次に国際電信電話株式会社法案提案理由説明申し上げます。  わが国国際電信電話事業は、その運用については国内電信電話事業と一体となつ国営により経営されて来たのでありますが、その設備建設保守については、電信については大正十四年日本無線電信株式会社が、電話については昭和七年国際電話株式会社がそれぞれ設立され、政府監督保護のもとにその任務を遂行して来たのであります。その後昭和十三年両会社が合併され国際電気通信株式会社設立され、両会社業務を引継ぐとともに、伸張する国際電信電話事業設備横張保守に鋭意専心して来たのでありますが、終戦後昭和二十二年連合軍司令部からの覚書により、同会社の解散が決定され、爾後国際電気通信設備建設保守もまた政府事業として引継がれ、今日に至つたのであります。  しかしながら今日の国際情勢にかんがみますると、対外的には列国間の通信電波の獲得及び通信網横張の熾烈な競争に伍して、自由潤連なる活動を通じてわが国対外通信地位を大いに向上せしめねばならないことと、対内的には講和成立後のわが国自立経済確立のためには貿易並びに対外報道事業に対しまして、諸外国に劣らない通信サービスを提供する必要切なるものがあるのであります。これらの要請を満たすためには、国際間の情勢に鋭敏に反応し、経済事情変動に強く反映される通信需要に即応し得る企業活動の自由なる機動性が強く要請されるのみならず、国際通信分野における競争相手の諸外国における通信担当者の多くが民営形態である事情にもかんがみまして、国際電信電話事業運営民営形態に移すととものに、その公益的特性を確保するに必要なる国の監督及び保護を與えるために、これを特殊会社とし、ここに国際電信電話株式会社法案を作成して、国会の御審議をお願いすることにいたした次第であります。  以下その内容の大略を申し上げます。  本会社株式については、その会社性格からして記名式株式とし、これを所有し得るものとしては、政府地方公共団体日本国民又は日本国法人とし、日本国法人であつてもその社員、株主もしくは業務を執行する役員の半数以上、資本もしくは出資の半額以上、もしくは議決権の過半数が外国人もしくは外国法人に属する法人は所有することができないものとしたのであります。現在国際電信電話事業の用に供せられている設備は、これを日本電信電話公社から本会社現物出資するごとに本法案規定してありますが、公社会社株式の大部分を保有することによつて会社を支配することは、会社設立の趣旨に沿わないものと考えられますので、公社はその割当てられた株式はこれを政府譲渡し、政府においてそれを処分して行くことといたしたのであります。  本会社社債発行については、今後会社において相当設備横張をはかる必要が考えられますので、商法規定による社債発行限度制限特例規定を置き、資本及び準備金総額または最終の貸借対照表により会社に現存する純財産額のいずれか少い額の三倍の額まで社債発行ができることとしたのであります。なお資金調達を確実ならしらるため、社債権者会社財産に対する担保権を認めるとともに、会社外貨債務について政府支拂い保証を受けることができる旨を規定しておおります。  本会社商法上の商事会社でありますが、その行う事業国民一般の利害に密接に関係いたしますので、社債の募集、長期借入金の借入、取締役及び監査役の選任及び解任、定款の変更、利益金処分、合併並びに解敗決議及び毎営業月度事業計画並びに重要電気通信設備讓渡並び担保提供のごとき事業活動上の重要事項については、主務大臣たる郵政大臣認可を要件とし、また監督上必要がある場合において郵政大臣会社に対し命令を発し、または業務報告を徴し得ることとしたのであります。以上の認可及び命令についての違反行為については、罰則規定を設定しております。  以上のほか附則をもつて会社設立の際の手続並びに経過措置について規定を設けておるのでありまして、会社設立のためには郵政大臣設立委員を任命してその事務を行わしめることとし、また会社財産の大部分については日本電信電話公社現物出資又は譲渡するものとし、この出資または譲渡財産範囲については、公社設立委員との協議により定め、協議がととのはないときは、郵政大臣の決するところによるものとしたのであります。なお出資または譲渡財産の価格につきましては、郵政省に設置せられます電気通信設備評価審議会決定によることとし、審議会評価に当つては、財産の時価を基準とし、国際通信事業収益率を参酌して決定するものとしたのであります。  なお法律施行期日政令で定めることといたしております。  以上まことに簡単でありますが、本法案提案理由及びその内容要点説明申し上げた次第でありますが、何とぞ十分御審議の上、すみやかに可決せられますようお願いいたす次第であります。
  4. 田中重彌

    田中委員長 次に法案内容につきまして、説明を伺います。靱事務次官
  5. 靱勉

    靱説明員 それでは法案の各條項につきまして、要点を御説明申し上げたいと存じます。大臣提案理由説明の中に、相当詳しく説明されておりますので、できるだけ重複を避けて御説明申し上げたいと存じます。  第一の目的は、ここに「合理的且つ能率的な経営体制を確立し、」ということをはつきりうたいまして、なお「ここに日本電信電話公社設立する。」ということになつておりますので、本法が施行されますと同時に、この公社は当然設立されるということに相なるわけでございます。  第二條の法人格につきましては、これは要するに特別法による法人でありまして、商法にいうところの商事会社でもないし、また民法第三十四條の規定による公益法人でもない、特別な法人ということに相なるわけでございます。  業務につきましては、大体現在電気通信省において行つておりまする業務の中から、有線電気通信に関するものを除いたものが、全部公社業務範囲と相なるわけであります。「これに附帯する業務」ということが書いてございますが、これらはたとえば職員の訓練あるいは厚生の施設業務等をさすものでありますし、また「第一條に規定する目的を達成するために必要な業務を行う。」ということで特に考えられますのは、たとえば建物の不要部分を他に転売、賃貸するというようなことも、その中に入つて来るかと思います。なお第二項におきまして、これは現在電気通信省においても委託を受けて行われておるのでございますが、これらの業務委託によりまして公社が行う、こういう内容のものでございまして、現在やつておりますのとかわつておるものではないのであります。  次に事務所でございますが、これは当然「主たる事務所を東京都に置く。」そうして「郵政大臣認可を受けて、必要な地に従たる事務所を置くことができる。」と規定してありますが、私ども大体通信局等を従たる事務所としまして、郵政大臣認可を受ける。これはもちろん登記事項になるわけでありますが、そういうような考えでございます。  それから資本金の問題でございますが、「電気通信事業特別会計資産価額から負債金額を控除した残額相当する額」ということになつておりますが、その具体的な大よその見当は百六十億円程度ということになつております。なおこれらの負債をどの程度見るか、そういうような点におきましては、施行法等規定いたしておる次第でございます。なおまたただいま申したように、百六十億程度でございますが、これは再評価いたしていないのでありまして、なお施行法におきまして、昭和二十九年度末までに資産の再評価をするということごが特に規定されております。  それから登記の問題でございますが、これは特に御説明申し上げる必要はないかと思います。  名称使用制限も、特に公共的な大きな事業公社といたしまして、相当広く、要するに「日本電信電話公社という文字又はこれに類似する文字を用いてはならない。」用いた場合は罰則規定がある、こういう形になつております。  それから民法の準用でありますが、これは法人不法行為能力、すなわちその職を行うについて他人に加えた損害というものは、法人自体が賠償の責任を持つ。法人目的以外の行為他人損害を與えた場合には責任は負わない。それは一般原則としまして、それに関係する者の連帶責任ということに相なるわけであります。法人の住所、代表権制限等はそのことになるかと思います。  第二章の経営委員会でございますが、これの大綱につきましては、ただいま御説明があつたのでございますが、特に日本電信電話公社法案におきましては、経営委員会というものを意思決定機関といたしまして、経営委員として国会承認を得て任命される三人の委員と、総裁、副総裁特別委員が一緒になりまして、いずれも議決権を持つという形におきましては、国鉄監理委員会と異なつております。また専売公社等におきましては、これは諮問機関なつておるようでございますが、この点におきましては、国鉄並びに専売公社とかわつた形をとつております。  組織につきましては、大体内容は明瞭かと存じます。  委員の任命につきましては、他の国鉄におきまして、あるいは専売におきましても、一定経験あるいは事業規定しておるのでありますが、本法案におきましては、要するに「委員は、両議院同意を得て、内閣が任命する。」ということになつておりまして、特別にどういう分野から委員を任命してはいかぬというようなことを法定いたしておりません。第二項におきましては、委員国会同意を得ることができない場合の措置でございますし、第三項におきましては、欠格條項を書いてございます。これにつきしても、多少国鉄専売公社と異なつておる点もございますが、その点につきましては、法律上私ども当然という解釈のもとに考えておるのでありまして、たとえば禁治産者、破産者あるいは服役中の君たちは、当然欠格條項に当る者、特に法律規定を設けなかつたわけでございますが、実際的には何ら異なるところがないのでございます。  それから委員任期、これは特に御説明することもないかと思いますが、委員の罷免、これは大体国鉄専売法と同じような内容に相なつております。  それから委員の報酬も、報酬を受けないという点につきましては、国鉄の監理委員と同様に考えております。  それから議決の方法は、これは先ほど申したように、特別委員議決に加わるという形になつておりますが、国鉄監理委員会におきましては、特別委員議決に加わらぬという形になつております。なお経営委員会意思決定機関でございますが、この決定があつたかなかつたかということは、第三者の関係においては問題にならない。ならなくても、総裁の行つた行為につきまして、この法律によりますと、総裁の仕事として当然の責任を負うという形になるのであります。  なお十八條は「法令により公務に従事する者とみなす。」ということに相なつておりまして、たとえば濱職罪、公文書偽造罪公務執行妨害罪等が成立するわけであります。  第三章、役員及び職員関係でございますが、役員としましては、先ほど説明ありましたように総裁、副総裁理事というものになつておりまして、特に本法案におきましては、理事につきましても任期を定め、罷免の條項等が設けられておるわけであります。この点が国鉄とかわつておる点であります。それからなお国鉄におきましては、監事というものは置いておりませんが、専売公社におきましては監事というものを置いております。本公社におきましては、やはり総裁以下の内部監査という点から見まして、特に監事を置かない。もちろん公社に対する会計監査等は、会計検査院がこれを担当するという形になつております。それから総裁公社を代表してその業務を総理するわけでありますが、副総裁あるいは理事等につきましては代表権を認めておりませんが、これは代理を許す場合におきましては、当然代表権がついて来るという形で、これは法律上当然の解釈として、また特にその規定を必要としないということで、既存の法律と異なつ規定なつておりますが、実際上におきましては、別段支障のないものと考えておる次第であります。  役員の任命及び任期につきましては、任命は監理委員会の推薦あるいは専売公社のごとく経営審議会でございますか、それの推薦等を條件としませんで、総裁、副総裁まで合せまして内閣が任命する。これは特別委員たる性格から考えても、そういう形が当然であろうというふうに考えております。それから理事は、総裁が独断で任命できる。別段経営委員会等の承認も必要としないということであります。  それから役員欠格條項につきましては、委員欠格條項とにらみ合せて規定されておるわけであります。  それから役員の兼職の禁止、これは郵政大臣承認を受けたときには例外を認めるいうことにいたしております。  それから代表権制限、これは一般商法等にも規定があるということでございまして、具体的にいえば総裁の所有する不動産とたとえば公社の間に問題が起つたような場合、当然こういう規定を必要とするわけであります。それから代理人の点は、先ほど御説明申し上げました。  次に一般職員であります。「この法律において公社職員とは、公共企業体労働関係法第二條第二項に規定するものをいう。」ということに相なつておりますが、第二條第二項は、この法律において職員とは常時公共企業体に勤務する者であつて役員及び二箇月以内の期間を定めて雇用される者以外をいうということに規定されておりまして、一般的に普通の、要するに公社業務に継続的に従事し、報酬を受けるという者は、当然この公社職員ということに相なるわけでありまして、臨時の者等公社職員といえないということでございます。なお第二項におきましては、町村の議会の議員はやることができるが、その他はできない。これは国鉄等と同じような規定にいたしております。  それから任用の基準給與任用の基準につきましては、要するにきわめて抽象的に書いてございまするが、結局公務員法の精神と申しますか、大きな企業におきまする情実等を排除した規定でございます。給與につきましては、職員の「職務内容責任に応ずるものであり、且つ、職員が発揮した能率が考慮されるものでなければならない。」ということで、この意味におきまして、将来といいますか、公社におきまして勤勉手当的なもの、あるいはまた報奨手当的なものを設定して行く観念をごこに明らかにいたしておるわけであります。  それから降職及び免職、休職等の規定は、これは国鉄専売法とまつたく同一にいたしておりまして、国家公務員法に準じ、相当職員の身分を保障いたしておる次第でございます。  懲戒につきましても同様でございまして、懲戒処分内容も、ここに法律で限定して定めてあるような次第であります。  それから三十四條の服務の基準につきましては、やはり他の公共企業体とまつたく同様でありまして、一応公務員に準じた精神と申してさしつえないかと思います。  それから準用規定、十八條の規定と申しますのは、要するに「公務に従事する者とみなす。」という規定でございますが、刑法の適用につきまして準用規定役員及び職員にも準用いたしております。  なお三十六條におきまして、公共企業体労働関係法適用規定いたしておりますが、これは公共企業体労働関係法におきまして、なおいろいろと特別の定めをなすことができますので、その根拠をここに設けた次第であります。  以上で、次に第四章の財務及び会計に入りますが、この点につきましては、経理局長の横田政府委員から御説明申し上げます。
  6. 横田信夫

    ○横田政府委員 第四章の財務及び会計について御説明申し上げます。  三十七條に総則規定いたしておりますが、この規定の意味は、公社財務及び会計に関しては本章の規定によりまして、いわゆる国家財政法あるいは会計法の規定によらないということを書いておるわけであります。  次は事業年度でありますが、公社事業年度企業体でありますので、あるいは半年ごとにするというような方法もあるわけでありますが、これが政府関係機関として一緒に提出されるというような事情もありまして、できるだけ合わすということで、やはり政府予算と同じに毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終るという会計年度の、政府会計年度と年度を同じくしたものであります。  次に経理原則として三十九條に掲げてありますのは、「公社財務及び会計に関しては、財産の増減及び異動をその発生の事実に基いて経理するものとする。」すなわち国家の予算は大体消費会計予算なつておりますが、公社会計事業会計でありますので、発生主義原則による。同時に政府予算と違いまして、いわゆる現金主義予算ではない、非現金の収支関係も入れて行く、こういう事業予算としての、あるいは事業決算としての特性を持たせて行く。こういう趣旨をもつて規定いたしたのであります。  次に四十條に予算の彈力性のことを書いてありますが「公社予算には、その事業企業的に運営することができるように、需要の急激な増加、経済事情変動その他予測することができない事態に応ずることができる弾力性を與えるものとする。」公社予算公社事業体としての、事業予算としての特性を持つものでありますので、定まつた予算をただ忠実にそのまま執行して行けばよいというのではなくて、常にマーケット需要の増加に対する適応性というものも持たなければならぬわけであります。そういう点につきまして事業予算としての本質上、公社予算は本質的に強力性を持つものであるという原則を明らかにいたしたわけであります。  次に四十一條に予算の作成及び提出のことを規定いたしております。これは内容は一項から六項まで詳しく書いてありますが、先ほどから御説明いたしましたように、公社予算事業予算でありまして、また公社予算は憲法上の国家予算でないことはもちろん当然であります。しかしながら政府機関ではないけれども、政府関係機関である関係上、予算の提出の手続等におきましては、政府予算と同時に提出するということが妥当だという結論からしまして、この作成及び提出については、事業予算の本質を害しない範囲において、できるだけ同一の方法によるということを採用いたしたわけであります。すなわち一項では毎事業年度予算を作成しまして、必要なる添付書類も添えて郵政大臣に提出する。郵政大臣はそれを検討して、検討の結果いいと認めれば大蔵大臣に送付する。第三項では大蔵大臣はこれに必要なる調整を加えて閣議に提出し、閣議の決定を得、内閣はこれを国会に国の予算とともに提出する。以下そういうことを書いておるわけであります。  次に予算内容でありますが、予算内容もただいま御説明申し上げましたと同じように、事業予算の本質を害せざる限りにおきまして、大体一般の国の予算形式に準ずる形をとつたわけであります。公社予算予算総則収入支出予算継続費債務負担行為。国家予算は歳入歳出予算なつておりますが、もちろん本質は前の四十一條によるところでありますが、そういう形式においてはできるだけ同じ形式を採用したわけであります。  次に四十三條の予算総則、先ほどの四十條でこの予算事業予算としての弾力性の本質を持つものでありますが、その内容予算総則で明らかにするという方針をとつたものであります。予算総則には収入支出予算継続費債務負担行為に関する総括的規定、この中に弾力性範囲を定める規定も当然含めまして、そういう総括的規定のほか、次に並べるようなことを予算総則には規定いたします。」に書いてあります四十七條二項の規定による債務負担行為における限度額、これは申しますれば、債務負担行為のうちで予想できて、目的の明らかなものは当然予算の—公社予算は、予算総則収入支出予算継続費及び債務負担行為に関する、この債務負担行為の中に入ると思いますけれども、二項の方では予測し得ざるもの、目的の明瞭でないものを一括してこの限度を明らかにして行こう、こういうことであります。二は五十三條の二項の規定による経費の指定、これは事業予算でありますから、流用制限流用原則として自由だということにいたしておるわけでありますが、特別に必要がある場合はここで流用できないという費目を指定できる。その指定いたした場合は、その指定いたした費目につきましては主管大臣承認を受けなければ公社は使えない、こういうことになつております。これは流用制限経費規定であります。その次の三は繰越しの制限経費の指定であります。次の四は六十一條第一項に規定する国庫納付に関する事項、これは公社利益並びに損失の処理に関しましては、公社は全額政府出資でありますので、利益金がある場合は原則としては公社積立金にいたしますが、予算で定めた場合はその額だけは国庫に納付するということになつておりますので、ここに国庫納付に関する事項規定いたしましてそれだけを除いたものを公社原則として積立金に積み立てるということになつているわけであります。次の五は長期借入金、一時借入金及び電信電話債券の最高限度額をここできめよう。次の六は役員及び職員に対して支給する給與総額給與総額制限事項に入れるかどうか、一つの問題でありますが、ただいまの現状といたしましてなお公社の今後の経営上の問題もございますが、他の公社との均衡ということもありまして、給與総額は一応総額として出しまして、この総額に定められたもので一応制限いたすという趣旨であります。そのほかに必要な事項総則規定いたすことになつております。  次に収入支出予算内容美ございますが、これは政府予算は御承知のように部局別あるいは款項別になつておるわけでありますが、これは公社予算事業予算である関係上、これは事業体としてのふさわしい勘定の別に区分する、そうして勘定ごとに、収入にあつてはその性質、支出にあつて目的に従つて区分するということを明らかにいたしたわけであります。  次の四十五條は予備費でありますが、予備費では災害の復旧その他避けることのできない事由による支出予算の不足を補うために、予備費を設ける、こう規定いたしておるわけであります。この点につきましては、国家の予算あるいは現在の国鉄公社予算は「災害の復旧その他」、こう書いてありませんで、いわば事業のマーケットの変動業務量の増加によるものの予備費もここに書いておるわけであります。この業務量の増加による問題は当然この四十條からいたしまして、事業予算の特性上当然のことであります。それは予算総則の問題になりまして、この電信電話公社における予備費というものは、災害の復旧等に充てるべき予備費を計上するのだ、マーケットの変動によるものは当然予算の特性として、この総則でその基本的な法則を明らかにすればいい、こういうことにいたしておるわけであります。  次に継続費であります。これは事業の特殊性といたしまして、当然こういう建設工事が多年にわたつて継続して行われるべきであるという必要上、継続費規定を定めたわけであります。  次に債務負担行為、これは先ほど御説明いたしましたように、一項は予定できるものを規定いたしまして、第二項で予定できない災害の復旧その他を規定いたしておるわけであります。第一項のうち法律に基くものは、これは債務負担行為に書かなくても当然これは法律に基くものであるので、債務負担行為には入らない。これは法律に基くものと申しますと、たとえば借入金あるいは電信電話公社債の発行というものは、法律規定に基いて認めておるわけであります。またその次に支出予算金額、これは支出予算金額で当然御承認を受けるわけでありますので、これは債務負担行為に入らない。それから継続費も別途そういう形で御承認を受けるので、これは入らない。こういう原因に基くもの以外で、次年度以降において支拂い原因になる行為を当該年度でするという場合に、これが債務の負担行為になるわけであります。  次に予算議決手続について、四十八條、四十九條と二條あります。四十八條「予算国会議決に関しては、国の予算議決の例による。」先ほど申しましたように、この予算政府関係機関予算として、政府予算と同時に提出される関係上、その議決手続についても同様な方法によることが妥当だと考えるわけであります。従つて「国の予算議決の例による。」ということから、衆議院優先審議原則あるいは両院協議の場合の手続、こういうものは当然これに適用なつて来るわけであります。四十九條も同様に手続でありまして、政府公社予算が成立したときは公社に通知する。その通知を受けて実は予算を実施することになる。すなわち公社予算はこの通知を受けることによつて、いわゆる実施上の條件が成立することになるわけであります。もちろんその次に書いてありますように、会計検査院にも通知しなければならないということになるわけであります。  次に追加予算が五十條でありまして、五十一條は予算の修正であります。すなわち追加予算ないし修正予算手続でありますが、この手続は大体国家予算ないし国鉄公社予算と同じであります。  暫定予算は五十一條に手続を書いてありますが、これも大体同趣旨であります。  次に五十三條に予算流用のことを書いてありますが、これは事業予算の特殊性からしまして、「公社は、予算については、当該予算に定める目的の外に使用してはならない。」これは次の但書において、「但し、予算の実施上適当且つ必要であるときは、第四十四條の規定による区分」、先ほど申し上げました勘定別ないし目的別、性質別の区分であります。「区分にかかわらず、彼此流用することができる。」事業としての特性を生かして行こうということで、流用原則として認めて行こうということが書いてあるわけであります。しかし二項で「公社は、予算で指定する経費金額については、郵政大臣承認を受けなければ、前項但書の規定によりこれを他に流用することができない。」となつております。  予算の繰越しについては五十四條に規定がありますが、これも予算流用と同じように、原則として自由ではあるけれども、特に指定する金額については郵政大臣承認を受けなければならないと一項に書いてあるわけであります。二項は継続費についてであります。この事業予算の本質上、当然当該年度から次年度にわたつて継続して行わるべきものでありますので、たとい当該年度に予定されたものができなくても、随時繰越して使用することができることを明らかにいたしたものであります。三項は通知の手続規定いたしました。  次に資金計画を五十五條に規定いたしておりますが、先ほど申しましたように、この公社予算現金主義会計ではありませんので、必ずしも現金の収支が伴わぬものも、当然公社予算には入つているわけであります。しかし資金自身の動きを明らかにするということも同時に非常に必要なことでありますので、資金計画として別途明らかにいたしまして、ことにこの資金計画の動きが国家資金の動きと相当関連をしますので、これを四半期ごとに郵政大臣大蔵大臣及び検査院に提出する。そして大蔵大臣から、国家資金の動きと関連しまして、これは少し変更する必要があるという通知を受けた場合は、公社はそれに基いてなお資金計画をかえて行くというようなことを規定いたしたわけであります。  収入支出等の報告、これは五十六條に定めてありますが、これは関係大臣あるいは検査院に報告することは当然なことであろうと思います。  次に決算の手続につきまして、五十七條、五十八條、五十九條、六十條と四條の規定を掲げてあります。五十七條では、決算を翌年度六月三十日までに完結する。五十八條では、決算完結後一月以内に財務諸表を郵政大臣に提出する。そしてその承認を受けるといたしておるわけであります。承認を受けた財務諸表は、公社はこれを一般に公告することにしております。五十九條によりましてその財務諸表のほかに、予算の区分に従つた実績報告書を郵政大臣を経て大蔵大臣に提出し、これを内閣に送付するということを規定いたしておるわけであります。第六十條の規定は、内閣公社の決算書類を検査院に送る。なお検査院の検査を経た公社の決算書類を、国の歳入歳出の決算とともに、国会に提出するということにいたしておるわけであります。  次は利益及び損失の処理であります。第六十一條に規定いたしておる意味は、公社が毎事業年度経営士の利益を生じましたときは、原則としては積立金に繰入れて行く。しかし公社資金は全額政府出資でありますので、これは政府出資に対する反対報償といたしまして、まず損失の補填に充てた後になお残額があるときは、あらかじめ予算で定めるところによりまして国庫に納付する、そのあとは積立金として整理するということにいたしたわけであります。こういうように原則として積立金に整理するという方法をとりまして、公社自身の独立採算を確立して行こうということを明らかにいたしましたので、専売公社やあるいは国鉄公社にありますように、損失を生じたときに政府から交付金をもらうという規定は設定いたしておりません。  次に借入金及び電信電話債券であります。六十二條、六十三條の規定でありますが、借入金民間からも借り入れることができるし、政府に対してこの電信電話債券の引受けを求めることもできるということになつておるわけであります。もつともこれを行うについては、郵政大臣認可を受けなければならない。なおその限度額は、先ほど申したように予算総則に設定いたしまして、国会議決を経なければならない。六十二條の三項に書いておりますのは、一時借入金は当該年度内に償還しなければならないということであります。しかし郵政大臣認可がある場合は借りかえができる。それから五項に書いておりますことは、「法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律第三條の規定にかかわらず、国会議決を経た金額範囲内において、第一項の規定による長期借入金及び電信電話債券のうち、外貨で支拂われるものについて、保証契約をすることができる。」すなわち原則として政府は他の法人に対して元利支拂い保証は禁止されておるわけでありますが、この電信電話債券及び借入金について、外貨の場合は政府の元利支拂い保証を受ける。こういう方法によつて外資の導入を便宜にいたしたいという趣旨であります。このほかに外資の導入を便宜にいたします方法としては、財産の抵当の方法が考えられるわけでありますが、やはりこういう方法の方が妥当であろうと考えられるわけであります。六十三條は、長期借入金の借入れ、電信電話債券発行を当該年度内にしなかつた場合に、これを繰越して翌年度においてやることができるということであります。これは前の繰越しの規定のうらはらをなすわけでありまして建設工事が延びたという場合、において、前年度中に全部これを発行しておくという方法があるわけでありますが、当然利子のつくことでありますので、これを必要に応じて繰越してやはり発行して行くということにいたしたわけであります。  政府からの貸付等、これは六十四條の規定は、ただいまの電信電話債券発行及び借入金、これを政府からもできるということにいたすためには、政府の方のこれに対応する権限を明らかにして行くということが必要でありますので、政府は、公社に対して貸付をし、あるいは電信電話債券の引受けをすることができるということを明らかにいたしたわけであります。  次は国庫余裕金の一時使用であります。次の六十七條に書いてありますように、公社の金は原則として国庫を利用いたします。国庫内において公社の口座が別にはなりますが、やはり国庫としては統一的にやり得るという便宜もあるわけであります。その意味で国庫の余裕金がある場合に、その余裕金を総合的に使うという意味合いにおきまして、国庫余裕金の一時使用という方法を便宜といたす場合も多いのであります。しかしながらこの国庫余裕金の一時使用は、特別会計のときもずいぶんあつたわけであります。ただこれに対して、特別会計のときは利子は当然なかつたわけでありますが、公社が分離いたしましたので、これは当然国庫余裕金の貸付を、実質的には一時借入金同様でありますので、利子をつけるんだということを第二項で明らかにいたしたわけであります。  次に償還計画、この長期借入金等につきましては、償還計画を立てることは当然なことでありますが、これは事業の今後の改善と相まつて行く事柄であろうと思います。各事業情勢に応じて妥当な償還計画を立てて、郵政大臣承認を受けるということを規定しておるわけであります。  次は現金の取扱いを第六十七條で規定しておりますが、公社の保有する金は、今後におきましてもお客さんからいただきます料金の収入、これは当然でありますが、そのほかには建設資金といたしまして、やはり資金運用部資金等の国庫資金に主としてたよることに相なることと思います。そういう関係上、やはり日本銀行を利用することが当然であろう、むしろ現在としては妥当であろうということになるわけであります。日本銀行を利用することを原則といたす限りにおきまして、やはり国庫に預託することが原則だということに相なるわけであります。それが「公社は、業務に係る現金国庫に預託しなければならない。」という意味であります。しかしながら「業務上必要があるときは、政令で定めるところにより、郵便局又は銀行その他大蔵大臣が指定する金融機関に預け入れることができる。」といたしたわけでありますが、国鉄等の場合におきましては、業務上必要と書かずに、ただ資金の安全のためと書いてありますが、しかしこれは例外の場合も幾分広くいたしまして、原則国庫預託であるけれども、業務上必要のあるときは、こういうものも利用できるということを明らかにいたしたわけであります。業務上必要だということを例示いたしますと、たとえば日本銀行の本店、代理店等のないようなところにおきましては、こういう他の機関を利用することは当然必要であります。なおお客さんからいただく料金を、中央にだんだん集めて行く上におきまして、送金上便宜なために銀行を利用する、あるいは郵便局を利用するということも、当然考えなければならぬ問題だと思います。そのほか各支社の俸給の支拂いの場合に、現在現金を人をもつて現送しておるというような危険なことも行われておるわけでありますが、できるだけこういう金融機関を使つて、そういうことを避けて行くということの必要が起るわけであります。そういう意味の規定が六十七條の規定でありまして、その二項に書いてありますのは、日本銀行に預託した場合においても、今度は相当の利子をつけるということにいたしたわけであります。  次に財産処分制限、これは当然公社財産は重要なる財産でありますので、「公社電気通信幹線路及びこれに準ずる重要な電気通信設備譲渡し、又は交換しようとするときは、国会議決を経なければならない。」これは当然なことであろうと思います。議決の形式につきましては、法律をもつてする場合、あるいは予算をもつてする場合という、両方の場合が考えられるわけであります。  次は会計職員のことであります。六十九條と七十條に規定いたしてありますが、この六十九條の規定は、契約担当者と現金出納の職員、物品出納の職員、この三種類につきましては、これらの一つ一つの行建つつきまして、総裁から一々の委任を受けるのではなくして、この法律で当然公社総裁を代理して、公社の名において契約し、現金の出納をし、物品の出納をすることができるようにいたしたわけであります。七十條は、そのうち現金出納職員と物品出納職員につきまして、亡失毀損の場合の損害の弁償について、これを総裁命令することができるということにいたしました。これは、この規定を置かない限りにおきましては、全部こまかいことも会計検査院が最初から命令することになるわけでありますが、こういうものにつきましては、一応公社総裁がみずからやるということにいたしたわけであります。しかしながらこれに対して不服がある場合は、二項に「会計検査院1の検定を求めることができる。」ということを定めまして、その救済を考えたわけであります。もちろんこれは行政処分ではありませんので、なお当人が検査院の検定に対しても不服があるときは、裁判所に訴えることが、本條に明文がなくても、当然できるわけであります。次に三項では、会計検査院が弁償責任がないと検定いたしましたときは、もちろん総裁は弁償の命令を取消して、弁償金を還付しなければならないことは当然のことであります。  次に会計規程の第七十一條、これは財政法、会計法の適用が当然ないわけでありますが、公社自身が会計を円滑に、経済的に、能率的にやつて行くためには、みずから会計規程をつくつて、その中の重要な基本事項について郵政大臣認可を受けて行くということにいたしたわけであります。郵政大臣認可については第三項に規定いたしております。  次に給與準則、これは脚七十二條に規定いたしておりますが、この給與準則は、公社はその役職員について当然、前に定められました趣旨に基いて、すなわち能率的な給與準則を定めて行かなければならぬわけでありますが、この後段に書いてありますのは「この場合において、この給與準則は、これに基く一事業年度支出国会議決を経た当該事業年度予算の中で定められた給與総額をこえるものであつてはならない。」すなわち給與準則公社みずから定めてよろしいと書いてありますが、しかしごの給與準則公社が無制限にかつてにやつていいかと申しますと、そうは行かないのでありまして、予算国会議決を経ました給與総額範囲内でなければならない。従いまして公社の管理者は、組合との協定におきまして、この給與総額範囲内においての協定はできる。組合との協定において、給與準則をかつてにかえて、どんどん総額をふやしてやような給與準則の変更はできないということを明らかにいたしたわけであります。  次に会計検査、これは政府全額出資でありますので、会計検査院が検査するのは当然なことであります。  次に大蔵大臣に対する報告等を七十四條に規定いたしております。すなわち公社に対する一般監督郵政大臣でありますが、財務に関しては大蔵大臣がやはり監督権限の一部を持つということであります。  次に七十五條に、一般監督大臣といたしましての郵政大臣の、大蔵大臣との協議事項規定いたしておりますが、郵政大臣は第五十三條第二項、これは流用承認のことでありますが、流用承認をするときは大蔵大臣協議しなければならない。第五十四條第一項但書、繰越しの承認をするときには大蔵大臣協議する。第五十八條第一項の財務諸表の承認をするときには、大蔵大臣協議する。第六十六條は償還計画の承認をするときであります。並びに第六十二條第一項は、電信電話債券発行であります。同條第三項但書、これは一時借入金の借りかえの規定であります。第七十一條第三項は、会計規程のうちの基本事項であります。これらの認可を必要とするときは、郵政大臣大蔵大臣協議しなければならないということを明らかにいたしたものであります。終ります。
  7. 靱勉

    靱説明員 第五章は監督でございますが、公社に対しましては、財務に関する事項のうち、大蔵大臣協議をするものも少くありませんし「また会計については、会計検査院の検査を受けるのでありますが、公社事業経理の一般的な監督郵政大臣ということに定められております。これは別途郵政省設置法一部の改正によつて審議を願つておるわけでございますが、それを受けまして郵政大臣ということに相なつておるわけであります。命令及び報告でございますが、これは監督命令規定いたしております。すなわち公社が当然なすべきことを怠つたり、あるいは公社経営政府の施策に逆行するような場合において、監督命令ができるという規定でございます。  第六章、罰則につきましては、御説明申し上げなくてもよいかと存じます。  第七章、雑則でございますが、結局先ほど申し上げましたが、国家公務員からこの公社に引続き移るものにつきまして、恩給あるいは共済組合、これらの関係をそのまま継続させるという形をとつておるのでございましてこれらは国鉄専売等とまつたく同様でございます。  それから健康保健、第八十二條でございますが、これにつきましては、結局公社役員及び職員は、国に使用されるものとみなすということによりまして、日本電信電話公社役員職員に対しましては、健康保険法、厚生年金保険法及び船員保険法の適用がないという趣旨のことでございます。  それから災害補償につきましても、電信電話公社相当大規模であるし、経済的負担能力も大でありますので、国有鉄道等の例にもならいまして、国の直営事業とみなしまして、これにも適用しない。  失業保険につきましても、公社役員及び職員については、政府職員と同様に、国家公務員に対する退職手当の臨時措置法が準備されますので、このものも国に使用されるものとみなすという規定にいたしておる次第であります。  その他の法令の準用等については、御説明を省略いたしますが、本法律は七月一日から施行するという予定に相なつておるのであります。  以上で日本電信電話公社法案の各條項に対するおもな説明を終ります。  引続きまして施行法でございますが、これは相当條文としましてはたくさんございますが、先ほど大臣から御説明がありました通り、大体国の政府機関に準じて法律をそのまま適用して行くもの、あるいは単なる読みかえというものが大部分を占めておりますが、特に御説明申し上げたい事項だけに限定して申し上げます。  第一條の点については、これは先ほど御説明があつた通りでございまして、結局この法律が公布されまして、施行前におきまして、経営委員の任命を規定してありますと同時に、任期につきまして特例を設けておる次第であります。  第二條は職員の引継ぎでありまして、電気通信省職員である者は、電気通信大臣指名する者を除いて、そのときにおいて公社職員に当然なる。従つて退職手当は支給しない、こういう形に相なつておるわけであります。  第三條につきましては、権利義務の承継でございまして、「別に定めるもの」と書いてございますのは、たとえば公債借入金とか、あるいは一般会計からの繰入金のごとく、一応一般会計に属し、公社に引継がれるもの、または訴訟の受継ぎの、別に引継ぎに関して朗文のあるものを意味しておるわけでございます。  第四條は訴訟の受継ぎでございまして、御説明申し上げる必要はございません。  第五條は不動産に関する登記につきまして、「政令特例を設けることができる。」と書いてございますが、これは公社が特別会計から承継する不動産及び公社が今後取得すると予定されております不動産は、非常に多数に上りますので、この不動産に関する登記手続に関しまして、政令特例を設けることを規定しておく必要があるからでございます。  第六條以下、会計に関連したものにつきましては、横田政府委員から御説明申し上げます。  なおここで問題になりますのは、結局現在電気通信省が、公衆電気通信事業運営いたしておりますところの基本法というものは、非常に古い法律である電信法及び無線電信法、あるいは電信電話線建設條例、こういうようなものになつておるのでありますが、これは私どもといたしましてはぜひ新しく改正いたしまして、近代的立法にいたしたい考えで、目下法制局において條文の整理を行つておるような状態でございますが、大臣からの説明もございました通り、それぞれ別個に提案できますように、一応電信法等を若干改正いたしまして、公衆電気通信営業法あるいは有線電気通信法等、予定されている法案にかかわりなく、一応公社法会社法等が成立できるように考えておる次第であります。そこで電信法におきましては、第二十二條におきまして若干の改正をいたしております。すなわちそのまま読みかえるわけに参りませんので、たとえば電信電話に、政府が「管掌ス」というのを「管理ス」に改める、それから一條の二を加えまして、「公衆通信ノ用二供スル電信電話二関スル業務日本電信電話公社ヲシテ之ヲ行ハシム」ということを、この施行法において改正をいたしておるわけでございます。  なお電波法の改正は、四十條におきまして、公衆通信業務を行うところの無線局の開設は、電気通信省だけができるようになつておるので、これを「国」と書いてありますのを、「日本電信電話公社」に改める。内容には関係ないわけでございます。  なお電信線、電話線の建設條例の問題でありますが、これは第十九條において一部改正をいたしております。と申しますのは、これは明治何年か、非常に古い法律でございまして、これにおいては公衆通信の線路を建設する場合あるいは公衆通信に障害がある他人のガス管とか水道管とか電燈線その他のものを、その権利者に命じて移転させ、または障害のある竹木の伐除、移植が容きることになつておりますが、これはこの際改めまして、公社には植物、竹木の伐除、移植のみを認めるというふうに、一応在来ある法律につきまして、きわめて問題のある点につきましては、修正いたしておるのでございます。  これが施行法におきましておもな問題でございますが、あとは大体先ほど大臣から一般的な御説明がありました通りの状況でございますので、なお御質問によつてお答えいたすということにいたしたいと思います。
  8. 横田信夫

    ○横田政府委員 予算関係に関しまする本年度における経過措置を御説明いたします。本年度における経過措置は、施行法の十二條、十三條、十四條、十五條、十六條、十七條、大体それだけに規定いたしてあるわけであります。  十二條に規定いたしてありますことは、この公社法規定いたしましたいわゆる公社予算を、事業予算としての特性を持たして行くということにつきましては、来年度からの問題といたしまして、本年度はすでに電気通信特別会計につきまして、国会の御承認を得た予算があるわけであります。それを実質的に承継いたしますことは、これは本年度として最も妥当であろうと思われるわけであります。従いまして公社昭和二十七年度の予算については、公社法の四十條から四十九條までの規定適用しない、いわば事業予算としての特性を持つたものは適用しないといたしたわけであります。しかし「公社は、政令の定めるところにより、昭和二十七年度分の電気通信事業特別会計予算のうち昭和二十七年六月三十日までに執行されなかつた部分に準ずる昭和二十七年度の予算を作成して内閣に提出し、その承認を経なければならない。」これによりまして、第一項で公社予算についての規定を除外いたしましたので、それが空白になるわけであります。従いましてその二項で、すでに国会の御承認を得ました特別会計予算のうちで、六月三十日末、すなわち七月一日に公社ができるわけでありますので、それまでに執行されなかつた部分に準ずる予算を作成して、内閣に提出して、その承認を経なければならないということにいたしたわけであります。これは正確に六月三十日までの決算ができるのには、約二箇月かかるわけでありますが、これを実質的に承継いたすために、まずこれは暫定的な予算内閣に提出して、その承認を受ける。それから決算が終了いたしましたならば、その残額を出して内閣承認を受けるということに相なろうかと思いますが、これを「準ずる」といたしましたのは、国庫債務負担行為というようなことが、当然予算には書いてありますが、公社でありまするならば、債務負担行為ではありますが、国庫債務負担行為ではないということに当然なりますので、そういう点から幾分の違いができて来る。そういう点で準ずるという字句を使つたわけであります。実質的には、その残額内閣に提出して、承認を受けるということにいたしたわけであります。その承認を受けましたときは、ただちにその旨を会計検査院に通知しなければならない。これは当然のことであろうかと思います。  十三條に規定いたしておりますことは、大体今のこの予算の執行にあたりましての読みかえの規定であります。すなわち「公社を国の行政機関とみなし、」この暫定期間におきましては、公社法の本則に書いてあります会計検査の適用ではなくして、従来のそれに関係する範囲で、特別会計法及び財政法、会計法の規定を必要な範囲において、それの適用を延ばして行こうというようなことが書いてあるわけであります。  十四條に書いてありますことは、このようにして一応実質的には承継いたすわけでありますが、しかしその後におきまして、全体的に予算の追加を要するというような場合は、これはあらためまして新しい方法によつてこの追加予算を作成して、郵政大臣を経て大蔵大臣に提出する。これは閣議の決定を経て、第三項で予算国会へ提出して承認を受ける。  それから第十五條においては、その修正予算のときにも、今の追加予算同様に、国会に提出しまして御承認を受ける、こういうことにいたすわけであります。従いまして国際電信電話株式会社が分離いたすことになりますならば、これによる修正予算を提出することが当然妥当なことであろろと考えられるわけであります。  十六條は、昭和二十七年度の歳入歳出決算決定計算書を作成して、これは公社となりましての、いわゆる政府におつた機関と、それから公社機関と、両方のものにつきまして、決算手続公社がこれをやるということを規定いたしております。  十七條も、二十六年度、二十七年度の予備費の支出、決算その他の会計事務は、公社法の施行後におきましても、これは従前の例によりまして、公社がこれを行つて行く。ただいまの通信事業特別会計がなくなるものでありますから、通信事業特別会計の担当者がなくなる以上、公社がかわつてあとを継ぐということを規定いたしたものであります。
  9. 靱勉

    靱説明員 次に国際電信電話株式会社法案の各條について御説明いたします。  第一條につきましては、国際電気通信事業経営することを目的としているわけでございますが、これは本法案附則におきまして、附則の三十三に電信法改正いたしまして、「第一條ノ二に次の担書を加える。」といたしてあります。すなわち「主務大臣ハ日本国外国間二於ケル電信電話二関スルモノハ国際電信電話株式会社ヲシテ之ヲ行ハシムルコトヲ得」ということにいたしておりますし、なお無線の免許につきましては、同じく次のページの三十八に電波法を改正いたしまして、先ほど申しましたところの電信電話公社と、それからまたこの国際電信電話株式会社が、国にかわつてできる。結局国際電気通信事業会社経営できるということであります。従つて公社国際電信電話株式会社だけが、国際電気通信事業を行うという形になるわけであります。しからば公社会社との関係は、いかに調整するかという問題でありますが、これはただいま電信法改正によりまして、行わしむることを得という規定に相なります関係上、主管大臣がこれをきめることができるということになるわけであります。なお先ほど申し述べましたように、営業法ができますれば、電信法改正ではなく、はつきりなつて参るわけでありますが、電信法改正で、一応これは定めておる次第でございます。  それから事業としましては、ここには附帶業務その他必要な業務と書いてありますが、附帶業務としましては、たとえば外国欧文電報を委託して取扱うとか、国際放送用無線設備の貸付をするとか、あるい、はまた必要な業務としてなお技術の研究を行うというようなことが予定されるわけであります。  事務所につきましては、説明する必要はないのでありますが、第四條の株式につきましては、先ほど大臣からお話がありましたように、外国の支配を予防するというような意味合いで、株式の所有につきまして制限を設けてあります。  第五條は、国際電信電話株式会社という文字を用いてはならないということでありまして、類似のものは別段特に規定していないわけです。  第六條は社債発行限度、これも先ほど大臣の御説明にございましたので、省略させていただきます。  第七條につきましては、結局現在の法律、すなわち担保付社債信託法あるいは工場抵当法におきましては、この会社財産抵当の対象ともなり得ませんし、また一々の不動、雇掴聖を議定することも、非常に煩雑な手数を要すると同時に、また一方ごの会社政府の強力な監督権のもとに経営される会社でありますので、一般担保制度を設定することを適当と認めた次第であります。  第八條につきましては、この会社が将来国際通信業務を整備蹟充する際におきまして、外貨債の入つて来ることを考えまして、特に政府保証規定を設けている次第であります。  第九條以下は監督でございまして、所管大臣郵政大臣でございます。第十條におきまして、社債の募集あるいは長期資金の借入れというものは、認可を受けなければならない。  第十一條におきましては、認可を受けなければ効力を生じない。それから事業計画の設定、変更につきまして郵政大臣認可、あるいは設備譲渡、担保等につきましての認可等、いわゆる国際通信の非常に重要なる通信事業といたしまして、民営形態をとるのでありますが、相当厳格なる国の監督をいたしまして、この公共性を確保いたそうとしているような規定に相なつております。なお第十四條につきましてもすでに御説明がありましたので、省略させていただきます。命令及び報告につきましても、業務に関し監督上必要な命令をすることができる。  罰則は、認可を受けない場合その他につきまして罰則を設けてあります。なおこれ以外に、もちろん電信法、あるいは電波法、商法等の罰則適用のあることも当然でありますし、この会社の特殊性にかんがみまして、経済関係罰則の整備に関する法律罰則適用とたしておりますとこれは附則の三十四におきまして「経済関係罰則の整備に関する法律の一部を次のように改正する。」といたしまして、国際電信電話株式会社を加えましたので、これらによりまして、収賄等の行為に対して取締ることができるわけであります。  それから附則でございますが、第一におきまして「施行期日は、政令で定める。但し、その期日は、昭和二十八年三月三十一日後であつてはならない。」すなわち今年度内に施行の日を定めるという形になつておりますが、これは主として先ほど公社法におきまして御説明申し上げましたが、本年度の予算公社が踏襲することになりまして、一応会社が発足いたしまして、予算的の補正等の措置を講じました上で、この会社が発足するということにいたしておるのであります。  それから設立委員を任命いたします。これは商法特例でありまして、「会社設立に関する事務を処理させる。」これは郵政大臣が任命する。  それから公社現物出資につきましては、先ほど大臣からの御説明にありましたので、説明を省略させていただきたいと思います。なお会社設立手続等につきましては、あるいは株主の募集、拂込み、定時総会等、附則規定されておるのでありまして、別に説明を要しないと思います。  なお登録税の特例につきましては、公社から出資するものにつきまして減額の措置をとつておる次第でございます。  それから二十は、これも大臣の御説明がございましたので省略いたしますが、一応公社から現物出資をしますが、その株は激府の方に譲渡しておくという規定を二十、二十一、二十二に設けておるわけであります。  二十三は、この会社業務が主として無線局の運用ということにあるわけであります。一応現在あるものは、免許人の地位の承継を電波法の特例として認めておる次第でございます。  二十四以下は、電気通信設備評価審議会で、特に会社設立につきまして、公社の持つべき施設国際通信に関するものを出資して行く上におきまして、その評価がきわめて重要なる問題でありますので、特に評価審議会を設けてあるわけでございます。その委員会内容につきまして規定いたしております。二十四から三十二までその規定でございます。  あとはすでに御説明申し上げたような、ほかの関係條文改正等が入つておる次第でございます。  以上非常に粗雑でございましたが、各條文説明を終ります。     —————————————
  10. 田中重彌

    田中委員長 お諮りいたします。昨十三日郵政委員会より、ただいま審議中の日本電信電話公社法案外二法案について、連合審査会開催についての申入れがありましたが、郵政委員会と連合審査会を開くことに決するに御異議ございませんか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 田中重彌

    田中委員長 御異議がなければ、さように決定をいたします。なお日時は郵政委員長と追つて協議の上、決定を通知いたしたいと存じます。  本日はごの程度で散会をいたしまして、明十五日午後一時より開会いたします。     午後三時十九分散会