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1952-04-15 第13回国会 衆議院 電気通信委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年四月十五日(火曜日)     午後二時十五分開議  出席委員    委員長 田中 重彌君    理事 關内 正一君 理筆 高塩 三郎君   理事 橋本登美三郎君 理事 長谷川四郎君    理事 松井 政吉君       石原  登君    井手 光治君       加藤隆太郎君    庄司 一郎君       福永 一臣君    椎熊 三郎君       田島 ひで君  出席国務大臣         電気通信大臣  佐藤 榮作君  出席政府委員         電波監理委員会         委員長     網島  毅君         電波監理委員会         副委員長    岡咲 恕一君         電波監理長官  長谷 愼一君         電気通信監   山下知二郎君  委員外出席者         電気通信事務次         官       靱   勉君         専  門  員 吉田 弘苗君         専  門  員 中村 寅市君     ————————————— 本日の会議に付した事件  日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約  第三條に基く行政協定実施に伴う電信電話料  金法等特例に関する法律案内閣提出第一五  一号)  日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約  第三條に基く行政協定実施に伴う電波法の特  例に関する法律案内閣提出第一五八号)  電気通信事業に関する件  一般放送事業事業税非課税に関する件     —————————————
  2. 田中重彌

    田中委員長 これより開会をいたします。  前会に引続き、日本国アメリカ合衆国との問の安全保障條約第三條に基く行政協定実施に伴う電信電話料金法等特例に関する法律案、並びに日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定実施に伴う電波法特例に関する法律案の両案を議題とし、質疑を続けます。質疑の通告があります。田島ひで君。
  3. 田島ひで

    田島(ひ)委員 大臣がお見えになつてから、主要な要点をお尋ねいたしますけれども、この法案を見ますと、電信電話料金に関する行政協定に基く特例ように見受けられますけれども、その実、この大臣説明にもありますように、現在連合軍に対する電信電話サービスは、スキヤツプイン一二九九号によつて提供されておりますが、講和條発効後におきましては、行政協定七條により提供されることになりと、この説明にも書いてあるのです。問題は、やはりここが重要な点で、電信電話料金をきめます前に、私どもは一応この問題についてお伺いしたい。このことは、もうたびたび今まで申しておりますけれども、ここに大臣がおられませんので、私はその点を大臣からも御返答いただきたいと思いますけれども、一応政府委員からも御答弁をいただきたいと思います。
  4. 山下知二郎

    山下(知)政府委員 お答えいたします。スキヤツプイン一二九九号によりますものは、あくまでもサービス提供でございます。もちろんこのスキヤツプイン講和條発効と同時に消滅するものでございます。在来そのスキヤツプインに基きまして提供いたしておりましたサービスというものが、そのまま提供できますか、あるいはそのうちからサービス範囲を狭めなければならぬ、向うにやめてもらわなければならぬというようなものも出て参りますように私ども考えております。またそういうふうに交渉する考えでおります。従いましてそのサービス提供します場合に、国内法に明確になつておりますものは、もちろん国内法サービスとしまして、それに基いた提供をいたすわけでございますけれども料金法に定めのないところのサービスもまた提供することがあり得るということを予想いたしまして、その場合に法律根拠を求めたいためにこの法律案が出ておるわけでございます。
  5. 田島ひで

    田島(ひ)委員 大体政府の方の説明では、行政協定の第七條によるとありますけれども行政協定は御承知ように二十九條から成つておりまして、これを見ますと非常に抽象的で、漠然としております。そしてそのほかの各條項にも、通信関係に対するとりきめが相当なされております。これはすべて漠然と抽象的になつております。こういうような各條項における通信関係のとりきめが、まつたく解しようによつて占領前と少しもかわらないばかりでなく、どうにでもなるよう規定がされております。私はここでまず第一に、この具体的なとりきめは現在少くとも予備作業班ではなされており、またそれに対する政府の方の基本方針も、新聞などには一部分は発表されておりますが、そういうものを一応やはりここにお示しになつて、今後どのように変化するかということがわれわれに納得されなければ、これは料金立法化であるように見えますけれども、その背後には重大な通信サービスに対するすべてのことが隠されていると思います。私はそういうものに対する具体的な政府方針を、以前からもそうですけれどもお示し願いたいと思います。少くとも予備作業班におけるところの交渉の経過というものを、ここで御発表いただけるのかいただけないのか、そういうものは何もかもわれわれわからずに、ただ料金だけをここでなぜ取急いできめなければならないかという点もわからないのでありますが、その点を御説明いただきたいと思います。
  6. 山下知二郎

    山下(知)政府委員 ただいま何か通信関係のことでも隠されているというようなお言葉がございましたが、私ども何もその点に隠れたものはないと信じております。その具体的の進行度につきましては、ただいま御指摘予備作業班では、施設区域決定が行われたように聞いておりますが、予備作業班下部機関といたしまして、分科委員会ができております。その分科委員会の中に電気通信に関する委員会が設けられておりますが、その委員会は前後三回開きました。その委員会でいろいろ討議しまするには、あまりに問題かくなりますので、その委員会下部機構としまして部会というものをつくりまして、その部会にかけまして、この行政協定に関します條項に基いたいろいろなことを研究討議いたしておるのでございますが、その部会でもまたいろいろ人数の関係からして、発言が多くてまとまらないということから、小部会というものをつくりまして、その小部会が実際の活動役となりまして、いろいろ研究、進行をはかつておるわけでございます。今日までこの行政協定の二條、三條に言つておるこころの権利権能権力というものは、施設区域内ではどうなるか、施設区域外ではどうなるか、また電気通信省方面から見たならば、これをどう取扱わなければならぬかといつたような討議を経て参りまして、これからいよいよ現在のスキヤツピングと相対応しますところのどういうサービスを、こういう量、どういう料金でやるかということの交渉に入るわけでございます。今日までわれわれの方で、先方にこちらの意思はつきり伝えておりまる一、二の点を申し上げますならば、今まで従業員を、要員提供という名目のもとに、いわゆる定員のわく外であろうと、仕事の上で困つておろうと、かまわずに要求されて提供いたしておりましたが、そういうことはわれわれは今後はできないといつたようなことは、すでに今までの過程の中に意思は表示いたしております。あるいはまた資材の提供とか物品の提供とかいうようなものも、われわれの方ではいたしかねるといつたよう意思の表示はいたしておりますけれども先方でそれではそれでよろしい、その点はこうとりきめようということにはまだ相なつていないわけであります。そういうふうに小部会で意見の一致しましたものを部会でまた検討し、その部会で検討しましたものを小委員に上げまして、小委員会で検討して、これを分科委員会に出すわけでございます。それで分科委員会で解決しましたならば、予備作業班にそれを上げるという段階に相なつておりますけれども、まだ今日のところ、分科委員会予備作業班に出しました具体的なものはないわけでございます。
  7. 田島ひで

    田島(ひ)委員 ただいまの御説明でも私はよくわかりませんけれども、いろいろこちらの意思の表明はなさつておられるらしいのですが、その表明した意思がどれだけ向う協定の中に入れられるかどうかは疑問です。行政協定を読みますればわかりますように、まつたく向う様の権利権力権能というものが、絶対至上権を持つているということがここに記されているのです。これは非常に抽象的だから、どうにでも当てはまります。私は通信関係條項が相当ありますから、その点をできるだけ簡略にして御質問いたしたいと思いますけれども、その前に、こういうよう通信関係法案が、こまぎれのような形で、今二つ出ておりますが、今後も次々と必要に応じて立法化されるというようなことになりますのかどうか、その点をまずお伺いしておきたいと思います。
  8. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 電通省所管事項といたしましては、この法律をただいま予定しておるのでありまして、この法律行政協定に基く必要な法律は整備される、かよう考えております。
  9. 田島ひで

    田島(ひ)委員 つまりこれによりますと、日本法律に委嘱する点だけは立法化されて、あとの点は全部、今後米軍提供する通信サービスは、この抽象的な、結局行政協定によるということに解してよろしいのですかどうですか。その具体的な内容は、今おつしやつたようにまだわからないとすれば、われわれはこれによつて理解していいのかどうか。
  10. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 御質問趣旨がちよつと私つかみがねておるのでありますが、御承知よう電通省といたしましては、国内において具体的な電話を専用さすというような場合に、別に国内においては法律を必要としない、ただそういう場合にいかなる方法料金決定するか、その料金法規定があるわけであります。あるいはまた設備に関しましては、設備負担金法律があるだけで、それ以外の問題は日常の事務として実は処理しておるわけであります。ただ外国の駐留軍に対する関係におきまして、この料金法、あるいは設備分担法律をそのまま適用することはどうかというと、これについては行政協定安全保障條約に基く特殊な條件のもとにおいてサービス提供するということになつておりますので、その趣旨法律はこれははつきり必要とするわけであります。そういう意味においてこの法案を提出いたしておるわけであります。サービス自体内容につきましては、私ども事務として処理されることだと思いますが、かねてからいろいろ御質疑を重ねて参りましたように、一面において駐留軍活動自身には便するように、当然私どもといたしましても考慮をいたす考え方でおりますが、同時にまた国内需要に対して非常な負担を課するということでありましては、電通業務を遂行する上から見まして遺憾の点が生ずるわけであります。従つて特定施設提供する、あるいは特定サービス提供するという場合におきましては、この両者需要を十分勘案して、その間に調整をとつた処置をとつて行くということを考えておるのであります。これが先ほど来山下君からいろいろお話を申し上げた点であります。
  11. 田島ひで

    田島(ひ)委員 そこで私はこの行政協定條項に関して、もう一応はつきりお伺いしておきたいと思いますのは、今大臣の御説明でも、日本国内における通信関係妨害にならない程度で、今後いろいろとりきめをなされると言われておりますけれども、まず第一に、行政協定の第三條の規定によりますと、米軍が、日本における施設あるいは区域というものは、必要に応じては幾らでも無制限、無期限に持てるのである。しかもその無期限、無制限施設区域を持つのには、当然通信関係サービスもついてまわることを要求されるわけです。そういたしますと、大臣はそのようなことを言われまするけれども米軍が必要とします通信サービスは、絶対的な権限を持つて向うが要求されるということになれば、料金の問題よりも、われわれはこれが非常に重大なんです。国内影響しないと言われますけれども、現在すでに占領下において占領軍に接収されたために、日本が非常に苦しんでいるということは、政府のいろいろな資料によりましても示されております。それが現在のまま、名前がかわるだけでもつて結局向う提供される。そればかりでなく、私どもはなおあとでも御質問いたしますけれども占領下よりもつと多くサービスを要求されるという結果を、この協定によつて見るわけなんです。そういたしますと、大臣はそう言われますけれども、結局はサービスの点では米軍の言うままになるというふうに解してよいのかどうか、その点を私どもは先ほどから聞いているのです。
  12. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいま私からも申し上げましたように、国の安全確保関係から駐留制度を必要と認めた。そういたしますと、駐留軍活動に非常な制約を加えるとか、または非常な不都合があるとか、不便があるとかいうことでは、駐留制度考えましたこと自体と矛盾するわけであります。従いまして通信設備というものも、駐留軍を許します以上、その行動に便するよう考えて行くのが当然だと思うのであります。ただ今第三條自身を取上げられまして抽象的な御議論をなさいますならば、駐留地が全国至るところに非常に網が張られるとか、あるいはまたその駐留軍の数も非常に厖大なものになつて、これは限度が考えられない。そうするとこれらの活動に便する意味におきましての通信施設の使用というものも、これまたその軍の規模に応じて非常に拡大されるのではないかという御心配のように思いますが、すでに御承知よう駐留軍内容等につきましては、別途交渉しております範囲におきまして、今後漸次その内容はつきりして参ることと思います。さよう考えてみますと、われわれが想像するところにおきましては、現在の占領下状態よりはもつと規模が縮小されるのではないかというような点も考えられますのて、かよう考えますと、電通省提供するサービスにつきましても、ややその範囲は縮小を来すのではないか、こういうことは想像が実はつくのであります。ただ問題は、現在の段階におきましてこの内容が明確でありませんために、ただいまのような御疑問を生じておるのだと思いますが、この内容がただいま明確でないが、しかし見通しといたしましては、必ず現在よりも範囲は縮小されるものだ、かように実は考えておるような次第でありますので、御疑念なり、あるいは御不安の点は、その意味においてややかわつて参るのじやないか、かように私は考えております。
  13. 田島ひで

    田島(ひ)委員 私の質問が抽象的になるのは、政府の方から具体的な交渉内容が示されないので、当然これは抽象的になる。抽象的に漠然と書かれているところに問題があると思います。大臣のたいへん善意な解釈では、現在よりも少くなるなんとおつしやつておられますけれども、少くとも日本駐留する米軍は、今までの占領軍じやないのです。現在朝鮮で━━━━━━作戰行動をとつているあの厖大軍隊が、今度は日本基地として日本作戰行動をとろうという軍隊として、今までよりももつと厖大なものであるということは、だれが見てもわかるんです。そういう厖大米軍が、名前占領軍駐留軍にかわるかもしれません。これも言葉のあやで、実際は占領軍日本ではこれを進駐軍なんて、かつて名前をつけておりますが、進駐軍駐留軍にかわつたところで、米軍が単独で日本を——するだけなんです。そしてアジア作戦厖大軍隊日本に来るということになれば、事実上どう考えても現在よりももつとサービスを要求されるのは当然であつて、しかもそれに対してこの第三條は絶対権を有しておるのです。権利権力権能というよう至上権を持つて、漠然と規定されているところに問題があります。いくら大臣善意でもつて交渉されても、力のない日本が、力を持つた米軍権限をもつて要求されたときに、今より困難でないという具体的な証拠をわれわれは示していただきたい。私は最初のところにもどりますけれども大臣がおいでになりませんでしたから、なぜ具体的なとりきめがはつきりしない前に、電話電信料金だけの法案を今急いで出さなければならないか。これは昨日無電局法案のときにも私はお聞きしましたけれども料金も問題でありますが、料金のことよりも、われわれはもつと日本電通事業の運命に関するような問題が具体的にされない先に、なぜこんなものをここで急いで論議しなければならないかということを伺いたいのです。というのは、何も今ここで決定しなくても、講和発効後九十日間は米軍が現在のままを維持する。そのあとでもなお決定しないときにはこれを続けてよいということが、ラスク・岡崎書簡によつて決定を見ているのですから、現在のまま料金を続けられて、多少多くなるか減るか知りませんけれども、それよりももつと重大な電通事業に関する問題を決定しない前になぜこういう法案を出されるか、この点をはつきり説明いただきたい。
  14. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 駐留軍の性格についての御議論は、私の所管と申すより、あるいは当委員会所管と申すより、また別なところでいろいろ御論議があるだろうと存じますが、この駐留軍を承認するという安全保障條約の規定から考えますると、駐留軍活動に便すると申しまするか、活動制約を加えないよう意味合いにおきまして、国が通信サービス提供することは、これは当然考えられるわけであります。ただいまお話になりまするサービス内容をまずきめろ、その方が大事じやないかと言われまするが、この方の点につきましては、先ほど来山下君からお話申し上げておるように、ただいま折衝中であります。問題は必ずサービス提供するということは考えられる。そこで電話料金は一体幾らにするのか、設備負担金はどういう取扱いをするのか、これは法律として当然この際に考えられなければならないのであります。先後の問題と言われますが、サービス提供するということは当然あるのであります。ただどのサービスだけをやるか、どういうような線を提供するか、こういう具体的なものはきまりません。これは先ほど来たびたび申し上げておりますように、ただいま交渉中であります。しかしながらサービス提供するということで、当然起るところの料金はいかにするか、それでこの点は今まであります国内法を適用するわけでありまするが、これについての除外例を設けなければならない。この意味におきまして本法案を早急に提案いたしまして、そうして御審議を願う要があるわけであります。
  15. 田島ひで

    田島(ひ)委員 大臣の御返答のサービス提供は、これは当然だとお言いになりますのは、これは政府としてはこのようなな屈辱的な條約をお結びになつておられるから奴隷的な根性におなりになるのもやむを得ないと思います。大臣ももう少し日本人として骨がおありになるならば、この通信関係サービスの点をごらんになつただけでも、おそらくこのよう行政協定には反対なさるのが、日本人として当然だろうと私は思いますけれども、まあ吉田内閣の閣僚としてそれだけの勇気がおありにならないのだから、サービス提供するのはやむを得ないと言いますが、私ども見解が違います。それなら、私どもがお聞きしておりますのは、そういう観点に立ちまして今までよりもよくなると言われますけれども、私ども行政協定に基けば今までよりずつと悪くなると思います。今具体的に申し上げませんが、一例私たちの知つている点だけでも申し上げますと、いつですか質問いたしましたが、愛知県下の依佐美送信所、あれは現にすでに三月から長波電波を送つてアメリカ海軍太平洋地域潜水艦基地として、五百キロワツトの厖大電波が出されておるということでありますので、電波日本裸線などは非常に妨害を受けている。これはもう政府の方でも十分おわかりで、政府当局自身が、この技術関係の方々は非常に問題にしておられるということを聞いておりますけれども、このよう厖大送信所ができておりまして、そうして日本国内電話線妨害を受けている。しかもこれを自本政府としてとめ得る権限があるかというと、決してない。この行政協定の三條の第二のところを見ますと、これは通信だけではありませんけれども、「不必要に妨げるよう方法によつては行使しないことに同意する。」というのです。不必要に妨げる方法でなければ使わないということを同意はしますというのです。けれども必要ならばどんどん妨げてもこれはやむを得ないということにわれわれには解されるのです。しかもこれは日本から卑屈にもお願いしているわけなんです。だからあの依佐美送信所などは厖大電波を送つて日本電話回線にあのよう妨害を與えても、必要ならばやむを得ないという結果になつている。今までより以上にああいうよう基地が至るところにでき、しかも無制限に無期限にこの協定によればできるのであります。そういたしますれば、従来よりももつと電通関係日本にとつては非常に影響して来ると解される。しかもこの下の條項を見ますと、米軍の方では「放射の型式及び周波数の電子装置日本側からの放射による妨害を受けないで使用する権利を有する。」というのですから、向うさんには権利がある、われわれはこれをどうすることもできない。こういうような抽象的な規定がされている中で、いくら大臣がそこでそのよう善意なお考えを持たれましても、厖大米軍が自由自在に日本の至るところに基地をつくつて、そうして日本通信サービスを要求し、あるいは妨害するという結果になる。そうすれば占領下よりも当然今後の方が、もつと影響が大きなるのだというふうにわれわれは解していいか、それを私はお伺いいたします。そうでないと言われるならば、これではそう解するより方法はないと思う。これはまつたく卑屈な主人奴隷関係協定をおきめになつている。たれが見ても常識的に考えてもそうなつている。対等な立場で交渉する力を持たない奴隷が、主人交渉してもどうにもならない。この規定でそうなつている。これに対する大臣の明確な御答弁をいただきたい。
  16. 山下知二郎

    山下(知)政府委員 ただいま一例としておあげになりました依佐美のことに関しまして、一応の御説明を申し上げておきます。今御指摘ように依佐美では、強力なる長波電波を発射される見込みでございます。しかしまだ影響がどの程度にあるか、はつきり資料が出ていないのであります。と申しますのは、あれは一応アンテナを全部上げて工事をいたしましたら、先日の強風でもつて一部の線が切れました。そのために仮復旧が今行われております。それができ上りまして本当の電波を出してみるわけであります。この場合私どももいろいろな過去の資料から見まして、今の状態電波を発射されたならばわれわれの、ことに裸線通信には影響があるだろうということは予想いたしております。ただいま奴隷とかあるいは卑屈とかいうお言葉もありましたが、占領下の現在でもこの影響に対しては絶対にあなたの方で責任を負わなければならぬ、こういうことははつきり申入れをして、先方でも影響をできるだけ除くが、影響が除けぬ場合においては、その除く方法電通省の方でやるならば、その費用は全面的に出さなければならぬ。とにかく協力してどの程度日本全国影響が及ぶかということを調査しようという、かたい約束に相なつているわけでございます。現在でもさようでございます。将来はますますそういうことの発言と申しますか、要求と申しますか、そういうことはできるということをかたく私は信じております。なおそういう行政協定自身規定から見ましても不必要に妨げない。これは不必要に妨げているか妨げていないかということは、両者はつきりした認定によるわけでありますから、こちらはお願いしてどうかしてくださいというのではなく、これは私どもにさしつかえがあるのだからといつて、堂々と正当に要求できるものと考えております。なおまた先ほど御指摘権利権力権能というものが日本中に絶対のごとくに、そういう意味の御発言があつたように思いますが、この行政協定に示しておりますような点も、電気通信としましてはつきりしておりますところは、こういう権利権力権能というものも、必要にして適当なものである。決して完全にして全般的なものではないということを先方に確認さしております。しかもそれは施設及び区域内だけに限る。施設外、区域外のものは、完全に日本のものであるということをはつきりさせております。ただいま御指摘ような懸念は、私ども毛頭持つていないわけでございます。
  17. 田島ひで

    田島(ひ)委員 山下政府委員の御答弁によりまして、電通当局が決意を持つてなかなか御苦労なさつておられる点は、私も一応了解いたしますけれども、せつかくのその決意と努力が、この協定によつてはおそらく報いられないのではないか。なぜかならばこの協定は、これを読めばわかるように、日本側の要求が通るよう協定ではないと思います。その点で私はもう少し先の第六條の点でも、大臣がどうお考えになつておられまするか伺いたい。きのうも多少説明がありましたけれども、ここでも通信の体系について、実にわからない、漠然とした規定がされております。すべての非軍用及び軍用の航空交通管理及び通信の体系は、緊密に協調して発達をはかるものとして、そうしてこの協調なり整合をはかるため必要な手続及びそれに対するその後の変更は、相互のとりきめにおいてきめられるというよう規定、これは一体どういうことを意味しているのか、この点の御説明をひとつお伺いしたいと思います。
  18. 山下知二郎

    山下(知)政府委員 これは日本の翻訳を読みますと、いかにも通信体系というものがぽつと離れて出まして、全体的のことを言つたように思われる。初め私どもそういう気持でもつて、たいへんなことが書いてあると思つて当局の方にはつきりさせましたら、翻訳というものを離れまして英文を見ますと、意味はつきりつかめる。これは航空通信の体系のことを言つている。ですから公衆通信の、一般に関係のあるような体系のことをここで云々しようというのではないのであります。
  19. 田島ひで

    田島(ひ)委員 それならそうとこれをはつきり訂正なさる必要がある。日本人は英語で読むのでない、日本語で読むのですから……。航案通信にしても、このよう通信の体系が、今後一切米軍との緊密な協力のもとに左右されるというふうに解してよろしゆうございますか。
  20. 山下知二郎

    山下(知)政府委員 この協定書は日本語及び英語、両方が成文に相なつております。それで両方対照しますと、私のただいま申し上げたよう意味はつきりわかるのです。この点で了承いたしておりますが……。(「翻訳がまずいのじやないか」と呼ぶ者あり)先ほど申しましたように多少翻訳が……。
  21. 田中重彌

    田中委員長 田島君に申し上げますが、先ほどのお言葉の中に、若干好ましからざる言葉がありましたが、もしそういう点がありましたら、速記録を調査いたしまして訂正をいたしますから御了承願います。
  22. 田島ひで

    田島(ひ)委員 今の山下政府委員の御返答の言葉じりを私はつかまえませんけれども、これは私が解するのじやない、日本の一般の人が読むのですが、それにわからない。英語の方でとおつしやるけれども、英語の方だつておそらくそう理解する人は相当おられると思います。こういういいかげんなことが全体を通じてなされている。どうにでもとれる。そう解しておりましてもここに明記されていなければ、今後一切の通信の体系が向うによつて協調、整合させられなければならないと言われてもしかたがないと思います。その点は私はこれ以上つきませんけれども、おそらく政府としてはこれに対して何らかの措置をとる必要があることを私は申し上げておきます。  次いで第七條ですが、これが大体主要な條項になつておりますけれども、これがまたたいへんな條項で、第七條によりますと、さきにもどなたか委員質問されましたけれども、やはり日本政府よりも不利でない條件で、しかも優先的といわれるのです。大臣は先ほどからと同じよう答弁をなさると思いますけれども、ここから考えても、これは単に通信だけの関係でない。米軍は今後日本に、この行政協定によると無制限、無期限に軍事基地をつくれるということになる。だから、あなたは施設基地の中だけとおつしやいますけれども、その基地施設幾らでも、どこへでも自由につくれて、移転できて、そして動けるのです。その中に通信施設をつくる。しかも日本政府よりも有利に優先的にできるということになつたら、これはどう解したらいいか。これは向う様の言うなり、自由自在に、通信関係だけから見ても、米軍に左右されるというように、われわれ解されると思いますが、政府はどういうようにこれを解釈なさるのか、その点をお伺いしたい。
  23. 山下知二郎

    山下(知)政府委員 かつて向う施設区域をどんどん広げて行くということは、これは絶対にあり得ないのでございます。これは行政協定の第二條にも、両者の合同委員会においてきめなければならぬということに相なつております。ですから向うがどこでもいいからどんどんやつて行者ということはあり得ない、またあつてはならないと私は考えます。
  24. 田島ひで

    田島(ひ)委員 それも何か水かけ論みたいになりますけれども日本軍隊でも戦時中の一朝事あつたときには協議だ、何だ、とそんなことを言つておられるものでなかつた。日本軍隊ですらそんなことを言つておりませんでしたが、それ以上のあの強力な厖大米軍は、山下政府委員がいかに一身を賭してお骨折りになつたところで、そんなことの協議をかれこれ言う前に左右されるということは明らかであります。しかし私はこの問題も、政府の御答弁はおそらく同じような御答弁だろうから伺いません。そのほかの條項にもいろいろな点がございます。たとえば第八條では航空気象関係に対する電気通信業務、これがやはり日本国政府は現行の手続で気象業務を米国気象台、合衆国軍隊提供することを約束するというのでありますが、現行の手続というのはどういう意味を言いますのか。現在占領下でなされている手続そのままで提供するということになるのですか。
  25. 山下知二郎

    山下(知)政府委員 これはわれわれの所管でございませんから、はつきりとお答えいたしかねますけれども、私の方で一応聞きましたところでは、やはり御趣旨ように現行の手続をそのまま続けて行くということだそうでございます。
  26. 田島ひで

    田島(ひ)委員 その答弁では私はわかりません。現行の手続というのが、占領下の今の手続ということなのかどうか、おわかりにならなければ、はつきりお調べ願つて答弁していただきたいと思います。  ほかの條項についてもたくさんありますけれども、第十二條についてもいろいろ質疑があります。第二十四條の点で、緊急した事態が発生した場合に、米軍によつて通信機関が自由に接収されるようなことがないかという先日の石川委員質問に対して大臣はつきりとそんなことは絶対にないという御返答をしておられますけれども、この二十四を見ますと、われわれは大臣のそういう御返答を信じているわけにはいかないのです。緊急した事態が生じた場合には、当然通信機関を結局接収される結果になると思いますけれども、なお大臣の明確な御答弁を得たいと思います。
  27. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 二十四條ははつきり書いてありますように、こういう際にはただちに協議しなければならないという規定であります。従つてその協議をまつ以外には結論は出ないわけであります。
  28. 田島ひで

    田島(ひ)委員 たいへんたよりない御答弁で、この前大臣は絶対にそんなことはありませんと、石川委員に断定的なお答えをしていらつしやるのですけれども、それとはお答えが違つて来ておる。その点……。
  29. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 石川委員質問を私ただいま十分記憶しておりませんが、ただいま田島委員の御質問にお答え申し上げた通りであります。
  30. 田島ひで

    田島(ひ)委員 私はこの條項でなおお尋ねしたい点がありますけれども政府の方のお答えは一向はつきりしないで、まつたく同じような返答で要領を得ませんから、この條項についてはおそらく答弁ができないんだろうと私は思う。できないからこそ、このような具体的な問題をも明示しない。答弁ができないほどこの協定日本人にとつてはたいへんな、それこそ日本をまつたく米軍に左右されるよう協定のもとに、電通事業をも左右されるんだ。だからこそ具体的にお出しにならないし、また大臣もお答えできない。なぜかといいますと、おそらくダレス吉田、ラスク・岡崎、この間でとりきめされまして、閣僚の大臣方も御存じないんだ、私はそういうふうに理解いたします。これ以上私は大臣にのれん式な質問はいたしませんが、その他の点で少しお尋ねしたいと思います。  料金の点は、きのう松井さんからもお尋ねになりましたから、それに対してのお答えがあるだろうと思います。今後米軍に対する費用が、日本米軍と折半で持たれるといわれておりますが、それがどの費用から出されるのか、従来は終戦処理費から出されて来たのですが、それに対するお答えがあるだろうと思いますから、これはそのお答えがあるまで私は待ちます。  なお占領下で終戦処理費の中から拂われる米軍の使用した料金が非常にたくさん未拂い、遅拂いになつておると思いますが、これの結末はどうなつておりますか、現在どのくらい残つておるか、それは今年度においては何から拂われるのか、その点御説明願いたいと思います。
  31. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 この機会に昨日松井委員からお尋ねがありました件につきまして、調査いたしましたところでお答えいたしたいと思います。行政協定により米軍提供しますサービスの代金は、契約によりまして米軍から支拂われるものでありますが、この支拂い資金といたしましては、行政協定第二十五條によりまして、わが国から一億五千五百万ドルに相当する金額が繰入れられることになつておりまして、この繰入れに対しましては、二十七年度の予算中の防衛支出金六百五十億円が引当てられておるのであります。従いまして昨日お尋ねになりましたこの費用はどこから出るかと言われますれば、この防衛支出金ということに相なるのでありまして、ただいまのところさようなことになつておることを御報告申し上げておきます。
  32. 松井政吉

    ○松井(政)委員 料金の点は明らかになりましたから了承いたしますが、これはちよつと筋違いかしりませんが、関連するので国務大臣としての立場からお答えしていただいてもけつこうであります。これは予算上明瞭に防衛支出金となつておる六百五十億から、法律できめられなければならない通信等の料金は支拂うことができるのであります。ところが行政脇定に基く優先的なサービス提供の面から考えますと、公共性を持つ電力、ガス、水道、石炭等、国民経済に影響を及ぼすあらゆるものは、行政協定のとりきめからサービスを優先的に提供することが行われるのではないかと考えられる。そうなつて参りますと、予算における費目並びに法律によつて料金等を半額負担することは、民間会社の経営に属するものもあるわけですからないかもしれない。しかし日本国全体の経済から見れば、これが今度の場合でも五十億と見積つて半分程度とすれば二十五億が日本負担になる。こういうものが五つ六つまとまれば百億、二百億の日本経済からの優先的サービス負担が生れて来るのであります。こういうことによつて他の公共的なものが優先的にサービスされることになるのであるか、波及しないのであるか、この点についておわかりでありましたら御答弁が願いたいと思います。
  33. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 電気、ガス、水道料金等も、防衛支出金の中に計上されておると私は考えております。それらの扱い方等につきましても、先ほど来申しますように、駐留軍活動に非常な不便なり制約を與えるということは、これはまず考えられないことだろうと、かよう考えますのでそういうよう意味合いにおきましては、国が好意のあるサービス提供という線で、やはり駐留軍活動につきましては特に考慮を拂つて行くべきものだろう、かように私は考えております。
  34. 松井政吉

    ○松井(政)委員 これは明瞭に防衛支出金の中に電力、ガス、水道等が含まれておるというように、大臣は御解釈でございますか。それともそこまで断定するまでの域に達していないかということが私は問題だと思います。というのは、予算委員会における大蔵大臣等のいわゆる説明並びに答弁とは多少違つておるように見えますので、その点は明らかにしておいていただかないと、たとえば電通事業はただいまのところは国有国営でありまするから、当然法律によつて料金をきめなければならぬのでありまして、この種の特例行政協定の結果必要になる。ところが電力、ガス、水道料金等、国会の議を経なくてよろしい料金等は、行政協定に基くこの種の法律は出て来ないのであります。しかも民間経営で行つている事業があるのであります。その民間経営で行つているものに対するサービス料金も、防衛支出金で負担するということになりますると、これはまたいろいろやはり解釈が違つて来る面が出て来はせぬかと思われますが、重ねてこの点について明らかにしておいていただきたいと思うのであります。具体的に大蔵省との折衝の結果でなければわからなければ、それでもよろしゆうございますが、この点をひとつ明らかにしておいていただきたいと思います。
  35. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 もちろん私専門でありませんので、一応さような私の所見を申し上げたわけでございます。従いまして大蔵委員会なりあるいは予算委員会等の主管大臣の答えが、ただいまの私の話と違つておりますれば、もちろん主管大臣の方の意見をとつていただきたいと思いまするが、なお私自身といたしましても一応の疑問もあることでございまするから、さらに取調べてみたいと思います。
  36. 田島ひで

    田島(ひ)委員 先ほどの私の質問に対するあとの方のお答えをしていただきたい。
  37. 山下知二郎

    山下(知)政府委員 現在軍に提供いたしておりますサービスに対する料金で、まだ未収のものがどのくらいあるかというお尋ねでございますが、最近非常にフル・スピードでいろいろ計算をいたしていまして、三月の年度末には相当多額の金額を収入いたしました。ただ先方との折衝が本ぎまりになりかねた点があつたのでございます。と申しますのは、昨年の十一月一日から料金の値上げをいたしました。料金の値上げに伴いまして、軍の方にも国内の方の適用通りの料金の値上げを要求しますし、またその他のサービスにつきましても、今日の状況を見まして、値上げを要求いたしました。それで軍の方でもいろいろ問題がありまして、何回となくその折衝を重ねました。ようやくわれわれの方から要求しましたほとんど大半を認めてもらつたのであります。それが三月のことでございましたから、あと値上り分の要求をしなければならぬというのと、それから現在一月遅れずつにすべてのサービスの計算をいたしておりますから、三月分の請求を今用意しつつあるところでございます。従いましてこれ全体を集めますと、約十億程度になるかと思います。この支拂いの点は、これは現在の横浜の兵站部と打合せまして、必ずそちらの方の予算を確保しておいてもらうように約束済みのものでございます。
  38. 田島ひで

    田島(ひ)委員 その点でその十億は、二十七年度から拂つていただくわけなんですか、それはどの費用から拂われるのでしようか、終戰処理費はなくなつております。
  39. 山下知二郎

    山下(知)政府委員 終戰処理費はなくなつたということは聞いております。従いましてこれが日本の、つまり普通の会計から拂われないように、軍の方でこれを何とかしてまかなつてもらわなければならぬという要求をいたしまして、軍の方でも、その点については考える、どの費目からどう出すかということは、自分の方の会計監督官もあるから、そういうものと協議しなければならぬから、しばらく待つてくれという話に相なつておるわけであります。
  40. 田島ひで

    田島(ひ)委員 おそらく結局は、何らかの形で日本の費用負担になるわけですね。日本から出たものが入るという結果になるのですね。それから電通関係で接收されております土地や建物が、この際どのくらい返されるか。その点もおわかりになつておる点をひとつ……。
  41. 山下知二郎

    山下(知)政府委員 今予備作業班の方で進行中でございますから、まだ全部本ぎまりには相なつていないのでございます。大体前に日本の軍が使つておりました無線局、それから米軍が建てました超短波中継所、そういうところが主たるように大体考えられております。
  42. 田島ひで

    田島(ひ)委員 それから回線の点では、どのくらい接收解除になるのか。これは私この前もお伺いしたのでございますが、ここに昭和二十七年度電気通信事業設備計画要領というものがありまして、その中の二の点に、市外電話施設工程説明書というものがございます。その中には、はつきり「朝鮮事変発生以来連合軍要望による回線が著しく増加し昨年六月以来既に十万粁を超過し、」とずつと書いてありまして、「このままでは市外電話は半身不随の状態に陷ることが明らかである。」というような、政府のこういうものまで出ております。この点の説明もいただきたいのでございますが、回線がどのくらい解除になつて、それが公衆用に向けられるのが一体どのくらいか、今おわかりになつておる点だけでもいいから、御説明願いたい。
  43. 山下知二郎

    山下(知)政府委員 私ども市外線の拡充ということに対しては、非常な熱意を持つておる。これは当然のことでございます。そこで予算もこの点に重点を置かなければならぬ。ここに書いてありますように、この状態だと半身不随になるぞという警告を書いているほど、大いに力を入れたわけでございます。軍に提供しております市外線も、これをつくりました時分が一番割合からいつても多かつたのであります。現在ではこれをつくりました当時よりも、提供しております線は減少いたしております。そこでただいまお話の、どのくらい返してもらえるか。つまりこの專用線自身は、初めから日本のものであります。それを貸しておるわけであります。どのくらい貸すのをやめて、一般公衆の方に使うようにするかというお尋ねの点でございますが、その点私どももぜひある程度までは返してもらつて、公衆線にまわしたいと考えております。われわれの公衆通信は、不必要に妨げられておるから、ある程度のものは返してもらわなければならぬという意向は伝えておりますが、どの回線をどれだけ返すという具体的の交渉には、まだ入つておりません。返してもらうという考えではおります。
  44. 田島ひで

    田島(ひ)委員 その点私は納得行きません。占領下で一時的のものであつて、決して所有権までとられたのではないと、さつき大臣は言われましたが、向うに使用権があればこそここで問題にしておるのです。その点は私はもうしつこく聞きませんけれども、結局はこういう点からいいましても、すでに半身不随になつておるのが、今後行政協定によつて、半身不随どころか、全身不随の結果になると見られるわけであります。  そこで私はもう二、三伺いますが、占領軍に派遣されております要員があります。その要員中からどのくらい電通省に帰るか、その数と、それから帰つて来た人々に、部署がどこに與えられるか、定員法とはそれはどんな関係になるか、私は定員法のわくの外にあると思いますけれども、そういう点の関係をちよつと御説明願いたいと思います。
  45. 山下知二郎

    山下(知)政府委員 この点は、私今まで再々例として申し上げたのでございますが、要員提供という今までのような業務は、お断りする考えでおります。つまり人を出してくださいと言つたときに、今までのような自治権のないような、そんな要員の提供はしたくないのであります。そこで向うにおりたいという人は、籍をかえて向うで働くようになるかもわかりませんが、それ以外の人は、みな帰つて来てもらう考えでおります。その部署は、それぞれその方の一番適材であり、適所であるところに仕向けるつもりであります。
  46. 田島ひで

    田島(ひ)委員 定員法との関係は……。
  47. 山下知二郎

    山下(知)政府委員 失礼しました。今までの提供も、定員法の中から出しておりますが、帰つて来たためにわくの外になるから、さびしい思いをさせるというようなことは、全然ないようにいたしたいと思います。
  48. 田島ひで

    田島(ひ)委員 今占領下で、非常に電通従業員が苛酷な扱いをされておるということですが、これは御承知だと思いますけれども、たとえば川崎電話局のように、これは立川などの軍事基地関係のあるところの電話局では、非常に扱いが苛酷になつている。ここなどでは、晝よりも夜の方が忙しくてほとんど夜に従業員が向けられる。夕方の七時に出動して朝の六時ぐらいまでやらされる。なぜそんなことになつたかというと、ある従業員に聞きましたところが、たしか朝鮮からウオーカーが夜中に奥さんのところに電話をかけた。ところがそれが通じなかつたので、すぐ呼び出して、絶対夜は勤務しなければならないというようなきつい命令が来て、晝が案外楽で、夜は絶対的な権限で使用されている。非常に労働も強化され、苛酷である。こういうような状況が、私は方々に見られると思います。たしか青森の三沢の電話局では、何でもよろい戸をおろして、がんじがらめにして外と遮断して、そこに見張りが張つていて、従業員が働かされておるというようなことを聞いております。おそらく御存じだろうと思います。そういう例が現在方々にあると思いますが、こういう例も、今後この行政協定のこういうような抽象的な規定のもとでは、ずつと継続されるとわれわれは思われますけれども、こういう事実を御存じかどうか。そしてなおこういうような事実に対して、われわれは国政調査として一応行つて調べる必要があろうと思いますが、政府の方の御所見を伺いたいのです。
  49. 山下知二郎

    山下(知)政府委員 ただいまの例を知つておるかというお話でございますが、私は三沢の例は知つております。もうずいぶん前から知つております。そこでこれはいかぬと思つて、総司令部の方にも嚴重にかけ合いいたしまして、相当の改善を行つてもらいました。当然のことであります。そういうような例が今まであつたればこそ、私どもは今後人員の提供というような、手放しのよう提供はしない。人員を提供するということは、契約による場合においては、こちらでもつてできる範囲においては受けましよう。受けるけれども、その場合は人員の管理権は完全に日本側にある、これを確認するならば、人を出しましようという腹でおります。ですから今後は、今のような問題は起らないし、またわれわれの方からでも、もしそういう不都合なことがあれば、その契約を破棄するというようなところまで、私は行きたいものだと思つております。
  50. 田島ひで

    田島(ひ)委員 今の山下政府委員の御返答で、私は政府がそのような努力をしておられるとすれば、たいへんけつこうだと思いますが、川崎の電話局に対してもお調べいただき、それから電通委員から国政調査として、われわれを出していただきたいということを申し述べておきます。早急にそこを調査していただきたいということを申し加えておきます。  最後に、電波の方の関係で、電波監理委員会の方に伺います。電波の周波数が、今後どのくらい米軍に増加されるのか、その間の御説明をもう少し詳しくしていただきたいと思います。
  51. 網島毅

    ○網島政府委員 周波数の問題についてお尋ねでございますが、この問題は現在予備作業班通信分科会の周波数部会というところで、作業を継続中でございます。この周波数の問題につきましては、国際会議で日本に割当てられた周波数は、これは日本が使い得るものでありまして、それをアメリカが使うということはないものと考えております。ただ国際会議におきまして、まだきまつておらない都合が相当ございます。そのきまつておらない部分について、どの部分を日本で使い、どの部分を向うが使うかということの協議を進めておるのでございますが、現在まず超短波の周波数の使い方につきまして、協議を進めております。まだ最終的な結論に到達しておりませんけれども、現在まで進行した範囲内におきましては、相当な部分が日本において拡張されて、使い得るという状況になつておりまして、今後わが国の周波数の利用というものは、相当高まつて行くものと考えております。なお今後私どもはできるだけ日本の周波数を増加するように努力して行く考えでございます。
  52. 田島ひで

    田島(ひ)委員 それではいつかのテレビのときに問題になりました超短波、五つの周波数帯を米軍が使つているというのは、これも国際的には日本の使用を許可されていないということをおつしやるのですか。もちろん日本に割当てられたものは日本が使うのがあたりまえですけれども、あたりまえのことができないので問題があるのですが、米軍が使つているのに、日本が当然使えるものが使えない。そのテレビに使える周波数はどうなるか、これは国際的には日本は使用を決定されていないものですか、どうですか。いるものとすればそれはどうなるのか、これはいつかも問題になりましたが、その点はつきりと御返答がありませんでしたから、ちよつとお尋ねいたします。
  53. 網島毅

    ○網島政府委員 テレビジヨンに使う周波数は、これは超短波という部類に属するものでございまして、この超短波の周波数の利用に関しましては、まだ国際会議においてはどこからどこまではどこの国が使う、どこからどこまでは日本が使うという決定はされておらないのでございます。従いまして先に使つた方がその先取権と申しますか、使用権と申しますか、それがあるわけでございまして、まだ日本はテレビジヨンを開始しておらないために、そこの部分は日本としては使つておらなかつたのでございます。と申しますのはテレビジヨン、いわゆる放送に使う部分は、これは国際條約で各国ともこれは放送以外に使つてはいけないということになつております。ただどこの国が使うかということは、まだ国際会議ではきまつておらないということなのでございます。従いまして従来のその部分はアメリカ軍が使つておつたのでございますが、しかもこの前御質問のときにはまだ具体的な協議になつておらなかつたのでございます。最近の周波数の分科会におきまして、超短波のテレビジヨンのバンドの研究が済みまして、その結果国際條約でテレビジヨンに割当てられた部分は、日本において使い得る状況になつて参りました。もちろんこれはまだ下の方の分科会のところで相談しているところでありまして、その案に基きましてさらに上の方の通信分科会、さらに上の方において最終決定をする次第でございますが、ただいま申し上げましたようにテレビジヨンの部分は、相当日本に有利に展開して参りました。
  54. 田中重彌

    田中委員長 他に御質疑はありませんか。——なければ両案に対する質疑はこれにて終了いたしたものと認めます。  引続き日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定実施に伴う電信電話料金法等特例に関する法律案及び日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定実施に伴う電波法特例に関する法律案を一括して、討論に付します。討論の通告があります。高塩三郎君。
  55. 高塩三郎

    ○高塩委員 ただいま上程の議題につきまして、まず日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定実施に伴う電信電話料金法等特例に関する法律案に対し、私は自由党を代表して賛意を表するものであります。申すまでもなく本法案は、近く発効を予定されまする日本国との平和條約及び日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約と、一連の関係にあるものであります。すなわち安全保障條約は平和條約の効力発生のときにおいて、日本国が固有の自衛権を行使する有効な手段を持たないため、暫定措置として日本国内にアメリカ合衆国がその軍隊駐留することを認め、かつアメリカ合衆国軍隊日本国内及びその付近における配備を規律する條件は、両政府間の行政協定決定することとなつているのでありますが、本法案は主としてこの行政協定七條に関するものでありまして、日本国政府に属し、または日本国政府によつて管理され、もしくは規制される公衆電気通信設備を、日本国政府の各省庁に適用される條件よりも不利でない條件で利用する権利を合衆国軍隊に対して認めた結果として、電信電話施設の設置については電信法の適用はあるが、提供サービス料金については、その徴収事務関係等から、むしろ別個の体系とするを便宜とするので、電電話料金法の適用を排除し、もつぱら行政協定に基くとりきめによるの形式をとり、これに対応する必要の改正を料金法別表に加えることとし、また話設備費臨時負担措置法も適用しないこととしたのであります。本委員会におきましては、この法案につき詳細な審査を進めたのでありますが、本法案内容とするところは、安全保障條約及び行政協定趣旨にかんがみ、適当であると認めるものであります。なお本委員会の審議におきまして、公衆電気通信設備の利用以外の関係にも及んで質疑応答がかわされたのであつて、現に進行中の行政協定に基く具体的とりきめに関する本委員会の希望等も明らかとなつたのでありますから、政府はよろしく本委員会における論議の要点を軍規されまして、万遺漏なき成果を収めるよう、この際希望を明らかにいたしまして、賛成の意を表するものであります。次に日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定実施に伴う電波法特例に関する法律案に対し、私は自由党を代表いたしまして賛成いたすものであります。御承知の通り本法案は、さきに国会が承認を與え、近く平和條約とともに効力を発生すべき安全保障條約の第三條に基き、日本国内に駐留するアメリカ合衆国軍隊の無線局の設置、運営について、両国政府間で決定した行政協定規定実施する上に必要とする措置でありまして、主として右の行政協定第三條に関するものであります。すなわちその細目は、相互のとりきめにより、または必要に応じ、随時協議によつて具体化されることとなつておるのでありますが、合衆国が軍用に供する目的をもつて設置するものである関係に照しまして、それに電波法を直接適用できないことは、もとより当然の帰趨と存ずるのであります。従つて問題は、とりきめ等の内容関係して来るのでありますから、私はこの際電波、電力等について、日本側の割当に支障を與えず、また日本側の運営を妨害しないよう、愼重な交渉、努力を継続せられんことを強く政府に要望いたしまして、本案に賛成の意を表するものであります。
  56. 田中重彌

  57. 椎熊三郎

    椎熊委員 改進党を代表して、簡単に本案に賛成の趣旨を述べてみたいと思います。わが改進党は講和條約並びに安全保障條約に賛成をいたしました。この安全保障條約に基く行政協定も、また私どもは條約であると解釈するものであります。従いまして條約たる以上は国会の承認を経べきものであるということを、強く私どもは主張して参つております。しかしながら行政協定を国会の承認を経べしとのわれわれの決議案は、多数をもつて蹂躪せられております。われわれはこの重大なる行政協定が国会の承認なくして実施せられることに、憲法上の疑義さえ感じておるのであります。敗戦以来七年間の苦痛を経て今や独立日本、再生日本として出発せんとするわれわれは、この重大なる日本の再出発にあたつて日本人民の権利義務に重大なる影響を及ぼす行政協定が、政府の独断によつてきめられて行くなどという状態を、日本の将来のためにはなはだ遺憾に存ずるのであります。従いましてこの憲法違反の疑義さえあるといわるる行政協定実施に基く諸法案に対しましては、われわれは軽々しく賛意を表することはできない点が多々あるのであります。しかしながらただいま議題となつております両案のごときは、これ行政協定が、たといわが党の反対ありしにもかかわらず、国会の承認を経ずして実現するものといたしまして、それから胚胎するところの今日の処置は、まつたく事務的なものでありまして、いずれにいたしましてもこれを放擁して、無方針でやつて行くというわけにいかぬ問題であります。従つてどもは、行政協定の本質上の問題には深い疑義を持つてはおりますけれども、現に多数をもつて実施せられんとする今日、無方針のままで放置するよりも、疑義あつた行政協定ではあるが、責任ある政府としてその協定に基いて実施せんとする事務的な行動で、あえて国民の権利義務をさまで侵害しないよう状態、特にないよりは、そういう規定を設けて料金等が完全に役所に入つて来るというようなことであるならば、むしろその方は賛成すべきであるという見地に立つて行政協定の本質上に疑義を持つておるわが党ではあるが、特に佐藤大臣等の熱心なる説明等も聞いて、われわれが要望する国家防衛の線を、アメリカ軍隊が十二分に機能を発揮できるようサービスしてあげるというわれわれの気持から、今回はあえて佐藤大臣の衷情に私どもは同情いたしまして、この両案に賛成する次第であります。
  58. 田中重彌

    田中委員長 松井政吉君。
  59. 松井政吉

    ○松井(政)委員 私は日本社会党を代表して、ただいま議題になつております両法案に反対の意見を述べたいと思います。  最初に電信電話料金の特例から申し上げます。第一の理由は、御承知ようにわが党は安保條約、行政協定、二つについては反対をいたしております。しかも行政協定七條からただいまの特例を設けなければならないということが根拠をなしておるのでありますから、行政協定の第七條そのものは、われわれは了解することのできない、不平等にして屈辱的な内容が含まれておることを明らかにしたいと思うのであります。  第二点は、御承知よう日本占領から解除されまして独立をしたということになりますならば、国内においてもろもろの事業を行うものも、日米安全保障條約に基いて、日本に地域、施設を持つアメリカ軍隊といえども、すべて日本国内法によつて料金等は決定さるべきが妥当であります。しかもその金額は、全額米軍負担すべきものであります。ところが本特例によりますと、ラスク・岡崎会談あるいは吉田・ダレスの安保條約附帯交換文書等、すなわち不平等のとりきめによりまして日本がこの種の費用は、占領が解けても約半額に近いものを負担しなければならないということに相なつております。これはせつかく独立をして、終戦処理費の国民負担がなくなつて、そのなくなつた部分が、国内の経済自立と、国民生活の安定に振り向けられてこそ、完全なる自主権を回復した独立日本の基礎ができると考えておつたのでありますが、六百五十億に近い負担が国民に課される結果と相なつたのであります。さらに私は、法律によつてきめなければならない料金等が、ただいまの電信電話料金の特例となつて出たのでありますが、これにならつて国内において国民生活と日本の産業上、公益的な立場において公共性を持つあらゆるものが、これと同一の優先的サービス提供を行わなければならないということになりますならば、この法律による負担はわずか二十億か二十五億でありましようが、寄せれば、日本国の国民は何百億に近いものを負担しなければならないのではないかと考えられる。これは日本の経済とアメリカの経済、世界を比較して、経済の実態を把握して、民族の独立と経済再建をしなければならないという考え方からするならば、簡単に賛成できる事柄でないのであります。これが第二の理由であります。  第三の理由は、御承知の立法技術の点であります。この法律趣旨からいいますならば、明らかにアメリカ合衆国日本国との間における電信電話料金のとりきめであります。ところがそのとりきめによつて生ずるこの法律によつて、国有鉄道、刑事訴訟事務用等の電話料金も、やはり同率の二百通話になるということでございます。これは明らかに立法技術上、同一視すべき性質のものではございません。この法律趣旨からいうならば、アメリカ合衆国日本国との関係料金のみが取扱われるのであります。いやしくも国内における国有鉄道並びに刑事訴訟事務用等の料金に波及するということは、法律上避けなければならない性質のものであります。これを同一に取扱つて、修正する意思のない政府考え方には賛成でき得ないのであります。この種の法律技術というものは、よほど考えなければ、いろいろの支障が出て参りまして、法律趣旨と違つた事柄が、違つた場面の国民に負担をかけるという結果になるのでありますから、こういう点においても賛成することができないのであります。以上の三点が反対の理由であります。  電波関係について申し上げます。御承知よう電波は、ただいま委員長答弁なさつた通り、国際会議あるいは国際條約、こし国際的な関係において周波数等が検討され、さらに周波数等がきめられる性質のものであります。たびたび当委員会において委員長答弁された中にあつたように、電波そのものは国家のものであり、国民のものであります。しかも国家のものであり、国民のものであるということになれば、日本国の自衛上、電波の問題を愼重に考えなければならない。文化上、経済上考えなければならない。この種の重要な問題が、不平等條約としての安保條約、行政協定の不備とはいいながら、電波そのものについても治外法権的な形の生れるということについては、われわれは賛成できないのであります。これについてはいろいろ御意見がありましようけれども、われわれはやはりこれは治外法権的な形が打出されはせぬかということを心配いたすのであります。こういうことは将来の日本の自衛、文化、経済、電波考えた場合において、非常に重要な事柄になりますので、私はこういう治外法権的な電波の立場をつくるそのことについて、反対をいたしたいのであります。以上が私の反対理由であります。
  60. 田中重彌

  61. 田島ひで

    田島(ひ)委員 私は日本共産党を代表いたしまして、ただいまの二法案にもちろん反対であります。本法案は、文面を一読いたしましたのでは、はなはだ簡單で、電信電話料金に廻する特例及び電波法に関する特例というよう規定であるように見受けられますが、しかしその立法の真意は、その裏に隠された重大な、日本通信事業の施設サービスが、行政協定の名で、何ら占領下とかわりなく、米軍によつて支配されることを規定しているのであります。講和後は通信サービスが主として行政協定七條によつて提供されるというのでありますが、第七條はもちろん、行政協定二十九箇條の條項は全部、まことに漠然とした抽象的な規定でありまして、具体的な事項は今後政府間のとりきめによつてきめられ、講和後は、なお政府間のとりきめができないものは、合同委員会という協議機関にゆだねられるのでありますが、政府は具体的事項の内容については、国会にもまつたく秘密にして、国民の前にも明らかにいたしておりません。行政協定二十九箇條によつて私たちの知ることのできるのは、日本がアメリカにお頼みして駐留していただく、米軍が無期限日本全土にわたつて絶対的な権利権力権能を行使できるということであります。つまりアメリカ人のための不可侵の特権を二十九箇條にわたつて規定しているということができるのであります。しかもそれは占領政策上日本にとどまつていた軍隊だけではなく、国連の名によつて現在アジア作戰に従事しております厖大なアメリカ軍が、日本基地として作戦上必要とする物資なり施設なり等、すべてのものを彼らの意のままに、日本から調達あるいは拡充、提供せしめ得るというのであります。従つて電通事業の全体系が、これら作戦上の米軍に供せられるという重大な内容を持つております。このような傍若無人な米軍の行為が、明確に日本の法規上に触れる箇所のみを特例として、こまぎれ的に立法化したにすぎないのでありまして、たとえば第三條によりますれば、アメリカは日本の領域への、領域からのまたは領域内の通信を不必要に妨げるよう方法によつては行使しないことに同意するとあつて、彼らが必要とする分には、いくら妨害になつてもよいということになるわけであります。他方日本側からは、妨害を受けないで使用できる権利を持つのでありますが、まつたくこれは奴隷主人権利義務でありまして、日本側は卑まにもお願いしている形であります。これに対して御主人の方は絶対的至上権権力権利権能を持つというよう規定がなされております。このよう主人奴隷協定であればこそ、国会の審議にも行政協定そのものも諮らず、国民にはまつたくその内容を知らさないで、吉田、ダレス二人の間で條約は決定し、ラスク、岡崎二人の間が行政協定は強行されてしまつた。具体的なとりきめは一切秘密の了解事項としてなされているのでありまして、これらの少数の人々の意中できめられてしまつたこの行政協定に基くところの電気通信関係の一切のサービス提供、これに対しましても政府答弁では、閣僚である大臣すら具体的な内容については何もおそらく知らされていないと見られるところの、具体的な答弁がなされず、わからない。あるいはまだ審議中だ、協議中だというような一点張りの御答弁でございました。この行政協定を見ますと、今後無期限、無制限日本にとどまる米軍の家族、軍属の、施設及び区域に対しまして、国内法はまつたく適用されず、行政協定という名によつて支配され、行政協定のその具体的な内容という点になりますと、政府間のとりきめでやるのだ。しかもとりきめができないときは、講和後は合同委員会という機関にまかされる。この合同委員会でなおきまらないときは、さらに政府間でとりきめをするのだといつたような、まつたく行政協定あるいはラスク・岡崎間の書簡を読みますと、一般の常識では理解しかねるわけのわからない規定で、国民を欺満し、米軍アジア作戦の名のもとに、日本を彼らの手でがんじがらめに縛りつけてしまつているのであります。まつたく国会と国民を愚弄し切つた、日本人ならこの行政協定を読んで憤りを感じない者はないようなこの規定に基いて、電気通信事業一切があげて米軍の支配下に治外法権として提供される、そのための法案であるとわれわれは見るのであります。わが共産党は平和條約、日米安全保障條約に対しましては、もちろんこれに絶対反対をし、さらに行政協定に対しましてもこれに反対し、この二法案に反対するばかりでなく、われわれはこの條約、安全、行政協定の破棄に向つて、その最後の光栄ある任務をなし途げるまで、国民とともに断固として囲うことを申し上げまして、この反対の趣旨といたします。
  62. 田中重彌

    田中委員長 これにて両案に対する討論は終局いたしました。  日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定実施に伴う電信電話料金法等特例に関する法律案について採決いたします。本案を可決するに賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕
  63. 田中重彌

    田中委員長 起立多数。よつて本案は可決すべきものと決定いたしました。  お諮りいたします。本案に関する報告につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 田中重彌

    田中委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  次に日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定実施に伴う電波法特例に関する法律案について採決いたします。本案を可決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  65. 田中重彌

    田中委員長 起立多数。よつて本案は可決すべきものと決しました。  お諮りをいたします。本案に関する報告書につきましては、委員長に御一任願いたいと存じまするが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 田中重彌

    田中委員長 御異議なしと認め、さよう決定をいたします。     —————————————
  67. 田中重彌

    田中委員長 この際日程を追加し、電気通信事業について調査を進めます。質疑の通告があります。庄司一郎君。
  68. 庄司一郎

    ○庄司委員 きわめて簡単でありますが、過般日時は忘れましたが、読売新聞のトップに電信電話工事の会社を、われわれが平素心配しているよう電通省が何かあつせんをして、保護助長せしめるような、ある特殊な関係や関連があるかのごとき印象を與える記事が大きな活字で出ていました。それと同時に国際電信電話の民間会社を、政府が窓癒してつくらしむるというよう意味の記事が載つておりました。きようはその切抜きを持つておりませんけれども、家庭には持つておりますが、いつか大臣にお尋ね申し上げたところ、電信電話工事会社等は、まつたくこれはガラス張りで、政府との特約も黙契も何らないのである、まつたく平等に他の諸会社と五分々々の競争入札等でさせる方針であつて、何ら他意がないという意味のお答えがありました。しかるにただいま申し上げた読売の記事を見まして、私は新聞の報道が誤りであればけつこうであるが、何となく政党でいえば政党の院外団のような、密接不離な関係を持つておるかのごとき報道ぶりについて心配しておるのでありますが、それらの点について大臣の御所見があれば、もう一度再確認したいので伺つておくのであります。
  69. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 記事がいかように出ておりますか、私も記憶いたしておりません。しかしこの機会にさらにお尋ねの点にあるいは該当するのかと思いますが、電通省の基本的な考え方を申し上げておきたいと思います。  電通省におきましては、かねてから工事を一部直営をし、一部請負に付して参つておるのでありますが、私大臣に就任いたしまして以来、建設工事自身はできるだけこれを民間業者の請負に付するという基本的な方針を採用いたしたのであります。ただ設備の保守等につきましては、これは直営が望ましいというので、その点は直営を相当大幅にいたしまするが、建設等の工事につきましては、これを民間に移すという基本的な方針を採用いたしておるのであります。この観点に立ちまして民間の請負業者、工事業者の状況等を勘案してみますると、在来の工事の遂行上等から見まして、必ずしも資力、信用等十分なものばかりでも実はないのであります。これらの点に着目いたしまして、民間におきまして相当資本金を持つ厖大なもので、そうして工事能力のある会社ができて参つておるのであります。この種の資力、信用のある会社が出現いたしますことは、私どもといたしましても希望するところであります。しかしながら基本的な工事を請負に付するという場合におきましては、指名請負のもとにおきまして競争入札をいたし、公正な取扱い方をいたしておるのでありまして、特殊な会社等の間に特別な関係を結ぶというようなことは絶対にないのであります。この点につきましては、今までもこの委員会等におきまして二、三のお尋ねがあつたやに記憶いたしておりまするが、その際にもただいま申し上げる基本的な考え方なり、方針なり、また実際の取扱い等につきましては、はつきりお答えをいたしておるのでありまするが、その点において何らかわりがないということを、重ねてこの機会にお話をいたす次第でございます。  なお国際通信の会社設立につきましては、ただいま電通の公社移行なり、あるいは国際部門を会社にするというような点については、法案を整理中でありまして、いずれそれらの法案が提出されますれば、皆さん方の御審議を賜わりたい、かよう考えておるのであります。この関係におきましても、一部におきまして新聞等でとやかく申しておるやのうわさは伺つておりますが、まだ記事になつたという記憶は私自身におきましてはありませんから、これらの点につきましても、どこまでもサービス本位に考えまして機構の改革をねらつておるわけでありますので、十分注意をいたして参るつもりでおりますし、また疑念、疑惑等を生じないように、十分注意をいたして参るつもりでおります。一言お答え申し上げます。
  70. 庄司一郎

    ○庄司委員 佐藤さんのお答えの通り、あるいは御決意の通り、将来さようにあらまほしいことを私は念願してやみません。特に本員は政府與党の一員の関係上、何となく道義的にやはり責任観念に打たれまして、そういう新聞記事を読みますと一層心を痛めておりますから、ただいまの御答弁の御方針で、特に公社等に移行の場合、俗にいう火事場どろぼうという悪い言葉がありますが、どさくさまぎれに、何か利権が伴うようなことが、もし国民の中のある特定のグループに與えられるようなことがあつたならば、これはたいへんだと思うのであります。ぜひ念には念を入れて、ただいまの御答弁の御趣旨が将来とも実現されるようにお願い申し上げ、希望してやまないのであります。  もう一点、これは結果においては小さな問題のようでありまするが、これは全国的にかような傾向があるように思います。それは国際電話局の設置に伴う経過並びに結果の問題でございますが、これは入札等の問題ではございません。私はただいまお許しをいただいてわかりやすい一つの実例を申し上げたい。今回仙台市に昭和二十七年度の予算の範囲内において、国際電話局ができることになつておりまして、これはその地方から出ております私としても、たいへんありがたいと喜んでおります。ところがこの国際電話局の土地は、元来政府のものでありませんで、元の仙台逓信局の敷地でありました。その敷地を仙台銀座商業株式会社という会社に政府からやられて、その会社が持つておつた土地と交換した。その結果、今回交換をして仙台電通局が政府の名のもとに所有権を確保された数千坪の土地があります。その土地には、仙台銀座商業株式会社の店舗並びに住宅が二十六戸あります。この会社の総計の店舗並びに住宅は百三十六戸あります。そのうちの二十六戸が、たまたま交換の結果、今回国際電話局の設立される敷地内にあつたのであります。ところが電通省の仙台の出店の方では、この電話局の地鎭祭、起工式を四月十五日、今日でありますが、今日という日におきめになられた。ところがにわかなことでありまするから、その二十六の世帯が立ちのいて行く先がないのであります。ところが裁判にかけて強制立ちのきの訴訟となりましたが、むろん譲渡権が電通省にあるのですから、政府が勝つたのであります。その結果、今日という日が強制立ちのきを受けるその日なのでありますが、にわかにどうしても立ちのきができない、行き先がないというので、昨日今日にかけて二十六戸の代表者が二名参りまして、中尾施設局長初めお役所の係の方々にるる陳情されておるのであります。その結果、中尾局長におかれても、電話等を利用されてある程度の御善処を願つたことだと私は信頼しておるのでありまするが、幸いにも、この交換した土地と土地の間に、一本の道路が市区改正によつて新しくできました。その道路のかたわらの方に二百四十坪という市区改正によつて電通局が提供した土地があき地になつております。そこにその二十六戸をきわめて容易に移行させ得る方法があるのであります。また二十六戸もそれを希望しておるのであります。店舗をばらして持つて行く必要はない、すぐもうじやんじやんトロか何かで押して持つて行かれる、そういう問題であります。ところが法律上からいえば、きようは強制的に立ちのきをさせられる日であります。法律的の所有権や何かからいえば、当然役所にはその権利があり、強制執行をなし得る判決を受けているのでありますから、それはけつこうでありますけれども、それでは味もそつけもない。ぜひかような問題は、お役所の出店の方に適当な方法を講ぜられて、一定期間、たとえば十日とか十五日とか強制執行の日時を延長され、その間にあるいは仙台市長とか宮城県知事とか、そういうお役所の方へ交渉されて、円満に笑つて二十六戸が立ちのきできるような措置をとつていただきたい。これはひとり仙台市だけではなく、他にもこれに類した大小の問題がありまして大きな社会問題化するおそれもありますので、国際電話局の開設はもとより大切なことであるが、それに伴いまして、従来長い間権利を持つておつた、あるいは住居権といいましようか持つておりました諸君が、にわかに行先がなくなる、強制執行で警察官を手先にして立ちのきをさせるなどというような冷たい、愛情のない行政措置では私はいけないと思います。これは大臣からも靱さんからも答弁はいりませんが、かような問題については、お役所にお帰りの後——米沢部長におかれてもさだめし適当な措置をとられているとは思いますけれどもこれは重大な問題でございます。私は自分の選挙区であるから弁明するのではない、これは大きな人道問題であり、社会問題でありますので、ひとつ御善処を願つておきたいと思います。     —————————————
  71. 田中重彌

    田中委員長 次に電波監理について調査を進めます。  お諮りいたします。昨日橋本委員より御発言のありました一般放送事業に対する事業税の非課税に関する件につきましては、その趣旨妥当と認められましたので、当委員会といたしましては、本件についてその善処方を地方行政委員会に申し入れたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  72. 田中重彌

    田中委員長 御異議なしと認め……。
  73. 田島ひで

    田島(ひ)委員 私は今の御提案には賛成でございますが、地方では財政が非常に困難になつております。これは皆様も御承知だと思います。こういう事業税は地方財政の上での非常な期待もありますけれども——大きな差はないかもしれませんが、地方財政に対する点をやはり考慮した上でこれをやるべきものと思います。そういう点の考慮を一応つけ加えて賛成したいと思います。
  74. 田中重彌

    田中委員長 多数賛成と認めることに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  75. 田中重彌

    田中委員長 なお案文につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 田中重彌

    田中委員長 御異議なければ、委員長において作成いたしました案文を朗読いたします。    一般放送事業に対する事業税非    課税に関する申入書   一般放送事業(所謂民間放送事業)は、特殊な経営形態に属するものを除き現在、地方税法第七百四十一條第一項の規定によつて事業税の課税対象となつているのであるが、本委員会は大要左に述べる理由に基き、一般放送事業を地方税法第七百四十三條に掲げる事業税の非課税範囲に加えることが適当であるとする見解をとるものである。即ち  一、一般放送事業電波法による免許事業であり、また放送法及び電波監理委員会規則によつて公共の福祉に適合するように運営されなければならない公益性を有する事業であるのみならず、その政治経済文化に及ぼす影響の重大性に鑑み国及び地方自治体として、これに十分なる保護助長を加えるべき理由があること  二、一般放送事業は法令によるの外、その事業本来の性質上よりしても新聞事業と同じく高度の公共性をもつ事業であり、新聞事業が他の公共的事業に伍して、地方税法第七百四十三條によつて事業税非課税の取扱いをうけている均衡上からみても一般放送も、これと同様の取扱いを受けることが当然であること  三、一般放送事業にあつては、新聞事業における購読料に相当する受信料は現にこれを徴放しておらず、広告收入が唯一の収入源であつて、一般公衆は反対給付なくして一般放送の番組を聴取し得ること  四、一般放送事業と並んで放送事業を行つている日本放送協会については、法律上特殊の義務を負わしめている非営利体である関係もあるが、受信料の徴收、所得税及び法人税の免税その他の特権をふ與し、更に地方税法第七百四十三條第三号により事業税を課していないのに反し、一般放送事業は広告税を除き何等の課税上の特典をも與えられていないこと  五、一般放送事業は発足後日なお浅く且つ、多額の当初設備資金を必要とする事業であるため、その経営収入は楽観を許さないことよつて委員会は四月十五日の会議の席上、目下貴委員会に上程中の内閣提出「地方税法の一部を改正する法律案」御審議の参考として上記の見解を貴委員会に伝え、適宜の措置をとられんことを要請する旨の議決を行つた。よつて小職は右議決に従い、この申入書によつて委員会の要望を貴職に伝達するものである。   昭和二十七年四月十五日       衆議院電気通信委員長    衆議院地方行政委員長殿  以上のごとく申入れいたしたいと存じます。  本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもつてお知らせいたします。これにて徴会いたします。     午後四時十六分散会